(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152471
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】排泥計測システム
(51)【国際特許分類】
E21D 9/12 20060101AFI20231010BHJP
E21D 9/13 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
E21D9/12 D
E21D9/13 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062506
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】509175078
【氏名又は名称】中川企画建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠間 良治
(72)【発明者】
【氏名】檜皮 安弘
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC05
2D054BA03
2D054FA10
2D054GA12
2D054GA17
2D054GA22
2D054GA58
2D054GA70
2D054GA95
(57)【要約】
【課題】誤差が少なく、リアルタイムに排泥量を計測できる排泥計測システムを提供する。
【解決手段】本発明の排泥計測システムは、土砂を掘削するカッタ2を先端に有するカッタチャンバ3と、該カッタチャンバ3に高濃度泥水を圧送する高濃度泥水供給管11と、掘削土砂を含む泥土をカッタチャンバ3から間欠的に排出するピンチバルブ5と、該ピンチバルブ5から排出された排泥Mを収容する排泥受け6と、該排泥受け6に接続され排泥受け6から排泥Mを坑外に排出するための吸引管13と、排泥受け6に設けられピンチバルブ5から排出された排泥Mの重量を測定するロードセル24と、を備えた掘進機1と;ロードセル24と電気的に接続され所定の掘進長に到達するまでに前記排泥バルブが開いた回数の排泥重量を積算して、前記所定の掘進長における排泥重量を算出する演算部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂を掘削するカッタを先端に有するカッタチャンバと、
該カッタチャンバに高濃度泥水を圧送する高濃度泥水供給管と、
掘削土砂を含む泥土を前記カッタチャンバから間欠的に排出する排泥バルブと、
該排泥バルブから排出された排泥を収容する排泥受けと、
該排泥受けに接続され、排泥受けから前記排泥を坑外に排出するための排泥管と、
前記排泥受けに設けられ、前記排泥バルブから排出された排泥の重量を測定する重量測定器と、
を備えた掘進機と、
前記重量測定器と電気的に接続され、所定の掘進長に到達するまでに前記排泥バルブが開いた回数の排泥重量を積算して、前記所定の掘進長における排泥重量を算出する演算部と、を備えた排泥計測システム。
【請求項2】
前記カッタチャンバ内の土圧が上限域に到達したとき、前記排泥バルブを開き、前記土圧が下限域に到達したとき、前記排泥バルブを閉じる制御部をさらに備えた、請求項1に記載の排泥計測システム。
【請求項3】
前記演算部は、前記排泥バルブが開の信号を受けて、前記排泥の投入開始前に測定した前記排泥受けの重量(w1)と、前記排泥の投入開始から前記排泥バルブを閉じるまでの間の前記排泥受けの重量(w2)とを測定し、式:(w2)-(w1)より前記排泥重量を算出する、請求項1または2に記載の排泥計測システム。
【請求項4】
前記排泥受けの重量(w2)は、前記排泥の投入開始初期の排泥の重量(w22)と、前記投入開始初期を除く前記投入開始から前記排泥バルブを閉じるまでの間に前記排泥受けに投入された排泥の重量(w21)とを加算したものであり、前記投入開始初期の排泥の重量(w22)は、事前に計測した、前記投入開始初期の期間内に前記排泥受けから排出される排泥の重量である、請求項3に記載の排泥計測システム。
【請求項5】
前記投入開始初期の期間が、前記排泥の投入開始から2~5秒経過までの範囲内の期間である、請求項4に記載の排泥計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中掘削により管渠を構築するための泥濃式推進工法等に適用される排泥計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
泥濃式推進工法は、前部が隔壁で密閉された掘進機のカッタチャンバ内に高濃度泥水を圧送し、カッタチャンバ内で掘削土砂と高濃度泥水とを撹拌混合して得られる泥土を切羽面に作用させることで、土圧や水圧に対向した泥土圧を保持することにより切羽の安定を図りながらカッタにより掘進し、立坑に設けた元押ジャッキの推進力により推進管を推進、圧入して管渠を構築する方式である(特許文献1)。
【0003】
カッタチャンバ内で泥土となった掘削土砂は、通常、カッタチャンバ内の圧力を利用して掘進機後部にある排泥受けに排土される。ついで、排泥は、地上に設置された吸泥排土装置によって排泥受けから発進立坑上の排土貯留槽に真空輸送され貯留される。
【0004】
泥濃式推進工法では、掘進中の排泥の掘進機内への取り込み量が多すぎると、地盤沈下を引き起こすおそれがあるため、排泥量を適切に管理する必要がある。一般には、上記排土貯留槽に貯留された排泥量を計測して管理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排泥受け内の排泥は、真空輸送によって排土貯留槽に送る際に、配管内に排泥が排出されずに残っていることが多く、そのため排泥量に誤差が発生する。さらに、施工中にバキューム車によって排土貯留槽内の排泥を収集し搬出されてしまうため、正確な排泥量をリアルタイムに把握することが困難である。
【0007】
本発明の課題は、誤差が少なく、リアルタイムに排泥量を計測できる排泥計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の排泥計測システムは、土砂を掘削するカッタを先端に有するカッタチャンバと、該カッタチャンバに高濃度泥水を圧送する高濃度泥水供給管と、掘削土砂を含む泥土をカッタチャンバから間欠的に排出する排泥バルブと、該排泥バルブから排出された排泥を収容する排泥受けと、該排泥受けに接続され排泥受けから排泥を坑外に排出するための排泥管と、排泥受けに設けられ、排泥バルブから排出された排泥の重量を計測する重量測定器と、を備えた掘進機と;重量測定器と電気的に接続され、前記排泥バルブの開くたび毎の排泥量を計測・積算して、所定の掘進長における排泥量を算出する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カッタチャンバから排泥受けに排出された時点で、排泥量を計測するため、誤差が少なく、かつリアルタイムで排泥量を管理できるため、排泥の取り込みすぎ等を短時間で把握できる。そのため、地盤沈下等をひき起こすのを防止して、安全な施工が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る排泥計測システムが適用される泥濃式推進工法の一例を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る排泥計測システムにおいて排泥バルブが閉じた状態を示す掘進機の断面図である。
【
図3】排泥バルブが開いた状態を示す掘進機の断面図である。
【
図4】(a)、(b)は、排泥受けに設けたロードセルの取付け構造を示す平面図および側面図である。
【
図5】(a)は
図4(b)のA部の拡大図であり、(b)は、
図5(a)のB方向から見た側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る排泥計測システムを利用した排泥量の計測方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る排泥計測システムを説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排泥計測システムが適用される泥濃式推進工法の一例を示している。
【0012】
図1において、1は掘進機を示しており、この掘進機1の先端にはカッタ2(切羽)が取り付けられ、このカッタ2で地中を掘進する。掘進機1の先端部には、高濃度泥水を加圧充満し、カッタ2の安定を図りながら掘進するために、隔壁で密閉されたカッタチャンバ3が設けられている。掘進機1は、立坑4に設けた元押ジャッキ40の推進力により地中を掘進しながら、推進管41を発進坑口42から地中に圧入して管渠を構築する。
高濃度泥水は、立坑4外の作泥装置9で作泥され、ポンプ10により高濃度泥水供給管11を経てカッタチャンバ3に圧送される。
【0013】
掘削土砂は、先端のカッタチャンバ3内で高濃度泥水と攪拌混合されて塑性流動化して、高濃度泥水となる。この高濃度泥水により加圧されたカッタチャンバ3内と掘進機1内の圧力差を利用して、ピンチバルブ5(排泥バルブ)を間欠的に開閉し、排泥受け6内に排土される。ピンチバルブ5としては、例えば、空気加圧式のピンチバルブが使用可能であり、コンプレッサ7からエアーホース8を経て圧搾空気をバルブ本体内に注入して、ゴム製のスリーブ51を押圧し、流体の流れを遮断するように構成されている。例えば、エアーホース8に電磁弁、減圧弁等を取り付けることでピンチバルブ5の遠隔制御が可能となる。
【0014】
排泥受け6内に排土された排泥は、排泥受け6に接続された吸引管13(サクションホース)を通じて吸泥排土装置12(真空発生装置)により立坑4外に搬出され、排土コンテナタンク14から排土貯留槽15に送られる。排土貯留槽15に貯留された排泥は、バキューム車等によって搬出されるか、固化処理後トラックにて運搬処分される。搬出は、通常、施工中に適宜行われる。
【0015】
立坑4外には、滑材注入装置16が設けられており、この滑材注入装置16からポンプ17により滑材供給管18を経て、掘削直後の掘進機1の外周面上にできるテールボイド(余掘り空間、図示せず)に滑材を注入充填している。これにより、掘進機1と地山との摩擦抵抗を軽減させることができる。滑材としては、例えば、従来から使用されている二液型固結型滑材等が挙げられる。
【0016】
図2および
図3は、それぞれ掘進機1におけるピンチバルブ5の閉状態および開状態を示している。カッタチャンバ3には、カッタチャンバ3内の排泥Mを排出するための排泥管19の一端が接続され、他端がピンチバルブ5に接続されている。
図2および
図3において、符号20は、カッタを駆動(回転)するためのカッタモータを示している。また、符号21は、掘進機の姿勢制御および方向修正するための中折れジャッキを示している。
【0017】
ピンチバルブ5は、前記したように一端(排泥流入側)に排泥管19が接続され、他端(排泥流出側)には緊急ゲート22および排出口23が順に接続されている。緊急ゲート22は停電時や緊急時に自動で閉塞し、排泥流入を防止するためのものである。
排出口23は筒状であって、ピンチバルブ5を開いた状態で(
図3参照)、排泥Mを排泥受け6に投入するものである。排出口23は、下方に曲がったエルボ形であってもよい。
排出口23から落下する排泥を受ける排泥受け6は、上面が開口した容器で構成されており、側面には、収容された排泥を坑外に排出するための吸引管13が接続されている。
【0018】
次に、排泥Mの排出方法および排泥量の計測方法を
図2および
図3に基づいて説明する。
図2に示すように、ピンチバルブ5を閉じた状態で、カッタチャンバ3内に高濃度の泥水を供給しながら、掘進機1による掘進を進める。その結果、カッタチャンバ3内の土圧が上限域に到達したとき、これを図示しないセンサで検知し、コンプレッサ7のエアーホース8に取り付けた電磁弁を閉じる等により圧搾空気の供給を止め、ピンチバルブ5のスリーブ51を開いて、排泥Mの排出を開始する(
図3参照)。上記土圧の上限域とは、カッタチャンバ3内の土圧の上限値およびそれに近い値を含む領域をいう。
【0019】
カッタチャンバ3内の圧力により、開いたピンチバルブ5から排出された排泥Mは、緊急ゲート22を経て排出口23から排泥受け6内に投入される。投入された排泥Mは、吸引管13により坑外に排出される。カッタチャンバ3内の土圧が下限域に到達したとき、これをセンサで検知し、電磁弁を開く等により圧搾空気の供給を開始して、ピンチバルブ5のスリーブ51を押圧してピンチバルブ5を閉じる。上記土圧の下限域とは、カッタチャンバ3内の土圧の下限値およびそれに近い値を含む領域をいう。
【0020】
ピンチバルブ5の開閉は、オペレーターの操作または制御部からの指示信号により行うことができる。制御部は、カッタチャンバ3内の土圧を検知し、ピンチバルブ5の開閉を行う。ピンチバルブ5の開閉に基づいてカッタチャンバ3から排出される排泥の量が計測され、排泥量が適正か管理される。排泥量が多くなると、土砂の取り込み過ぎによる地盤沈下等をひき起こすおそれがあるからである。
【0021】
本実施形態では、排泥量の管理をリアルタイムで行うために、例えば、
図2,3に示すように、ロードセル24(重量測定器)を排泥受け6に設けている。
図4(a)、(b)は、排泥受け6に設けたロードセル24の取付け構造を示す平面図および側面図である。同図に示すように、ロードセル24は、平面が矩形の排泥受け6の底部四隅に取り付けられており、前記制御部内の演算部と電気的に接続されている。
図5(a)は、
図4(b)のA部の拡大図であり、
図5(b)は、
図5(a)のB方向から見た側面図である。
【0022】
図5(a)、(b)は、ロードセル24としてビーム型ロードセルを使用した例を示している。ロードセル24はスイベルフット60上に設置されている。スイベルフット60は、排泥受け6を設置するための基台65上に載置され、アジャスタパッド用固定プレート61を介してボルト62によって固定されている。ロードセル24は、排泥受け6に一片が固定されたアングル63の他片にボルト64によって固定されている。ロードセル24には、演算部と電気的に接続するためのケーブル66の一端が接続されている。
なお、ロードセル24は、排泥受け6の底部四隅に限定されるものではなく、排泥受け6の荷重を受けられる限りは、例えば排泥受け6の三隅、二隅、底部中央部等に設けてもよい。
また、ロードセル24としては、ビーム型に限定されるものではなく、例えば、ひずみゲージ型、プラットフォーム型、S字ビーム型、キャニスタ型、引張/圧縮型等も採用可能である。
【0023】
次に、本実施形態における排泥量の計測方法を、
図6を参照して説明する。掘進機1の掘進によりカッタチャンバ3内の土圧が上限域に到達したとき、ピンチバルブ5の電磁弁を開き、信号が送られる。電磁弁が開状態となった信号を受けて、排泥受け6に取り付けられたロードセル24で重量計測を開始する。計測は、最初に、ピンチバルブ5が開いた際(排泥Mの投入開始前)の排泥受け6の重量(w1)を測定する。計測対象となる排泥受け6には、いくらかの排泥Mが直前の排泥操作で排出されずに残留しているので、排泥受け6それ自体の重量だけでは正確な排泥量を算出できないからである。
【0024】
排泥量を計測するための演算部では、基本的に、排泥Mの投入開始前に測定した前記排泥受け6の重量(w1)と、排泥Mの投入開始からピンチバルブ5を閉じた後の排泥受け6の重量(w2)とを測定し、式:w2-w1より排泥量を算出する。
【0025】
しかし、ピンチバルブ5を開いた直後は、一気に土砂(排泥)が排泥受け6に落下するため、衝撃荷重が発生するおそれがある。そこで、ピンチバルブ5を開いてから、排泥Mの落下が落ち着くまで待って(すなわち、投入開始初期を除いて)排泥Mの重量の計測を開始する。具体的には、例えば、ピンチバルブ5を開いて、排泥Mの投入開始から所定時間経過後(例えば2~5秒経過後)に計測を開始し、排泥Mがすべて排泥受け6内に入ったときの排泥受け6の重量(w21)を測定する。
排泥Mの増加量は、上記排泥Mがすべて排泥受け6内に入ったときの排泥受け6の重量(w21)より、ピンチバルブ5を開いた際の排泥受け6の重量(w1)を差し引いた重量とする。すなわち、排泥増加量=w21-w1である。但し、2~5秒間に搬出された排泥重量(w22)を考慮する必要がある。
【0026】
排泥Mの投入開始から上記所定時間(例えば2秒間)に吸引管13から搬出された排泥の重量(w22)は、試験的にあらかじめ求めておく。そして、上記排泥受け6の重量(w21)に搬出された排泥の重量(w22)を加算することにより、上記重量(w2)を得ることができる。すなわち、式:w21+w22=w2であり、全体としては、式:w21+w22-w1により排泥量を測定することができる。
【0027】
ピンチバルブ5を開いてから重量の計測を開始するまでの時間は、衝撃荷重の影響を回避するのに充分な時間であり、工事の実施状況を確認して決定するのがよい。すなわち、対象土質、地下水圧、泥水材等により、ピンチバルブ5を開いてから重量の計測を開始するまでの時間は若干の差が発生する可能性があるため、計測時に設定を行うのが好ましい。通常は、ピンチバルブ5を開いてから2~5秒後に重量(w21)の計測を開始するのが適切である。
【0028】
上記排泥Mの重量(w22)は、事前に求めておく。すなわち、排泥受け6から吸引管13により排泥は常時、搬出されていることから、あらかじめ試験的に、排泥Mの投入開始初期(例えば2秒間)における排泥受け6から吸引管13により搬出した排泥Mの重量(w22)を測定しておく。すなわち、排泥受け6から吸引管13により搬出された排泥Mの重量(w22)は、例えば、ピンチバルブ5を開いて、排泥Mが全て排泥受け6内に入った状態で、掘進(従ってピンチバルブ5の開閉)を止め、排泥受け6から吸引管13により排泥Mを吸引・搬出しながら、1秒毎の排泥受け6の重量の減少量を測定し、これから排泥受け6の平均重量減少量、すなわち、1秒当たりの排泥吸引量(kg/秒)を求める。測定は、実際の施工時に行うのがよい。このようにして、排泥Mの投入開始初期における排泥Mの重量(w22)を知ることができる。例えば、排泥Mの投入開始から2秒間の排泥Mの重量(w22)は、上記排泥吸引量(kg/秒)×2秒から求めることができる。
なお、排泥受け6からの排泥の搬出は、ピンチバルブ5の開閉に連動していてもよい。すなわち、ピンチバルブ5が開いたとき、排泥受け6からの排泥の搬出を停止し、ピンチバルブ5が閉じたとき、排泥受け6からの排泥の搬出を開始するようにしてもよい。
また、上記で説明した重量(w1)、(w2)および(w21)は、いずれも排泥受け6の重量を含んだものであるが、これらの重量から排泥受け6の重量を差し引いてから、前記式にて排泥量を算出してもよい。
【0029】
高濃度泥水をカッタチャンバ3に圧送しながら掘進を継続する中で、土圧が下限域に到達してピンチバルブ5を閉じた後、再びカッタチャンバ3内の土圧が上昇して上限域に到達したとき、前記と同様にして、ピンチバルブ5を開いて土砂(排泥)を排泥受け6に排出し、その重量(w2)を測定する操作を繰り返す(
図6参照)。
このようにして、掘進機1の掘進に伴う連続した排泥量をリアルタイムで計測できる。そこで、ロードセル24と電気的に接続された演算部では、ピンチバルブ5が開いた回数の排泥量を積算する。そして、その間の掘進機1の掘進長さは元押ジャッキ40のジャッキストロークを計測し、式:積算排泥量/掘進長さから所定の掘進長における排泥量を算出し、これによって排泥量を管理することができる。排泥量の測定結果は管理用のモニター(図示せず)に表示させることができる。
所定の掘進長とは、例えば推進管1本分の長さ、またはシールド工法におけるセグメント1リング分の長さが挙げられるが、それ以外(例えば掘進長さ1m当たり等)であってもよい。
【0030】
また、排泥量(重量)を体積に換算して管理することが好ましい。泥濃式では、(掘削土量+泥水注入量-テールボイド残量)×50%=排泥量としており、排泥量は体積で管理されることが多い。体積に換算するには、排泥の比重を、泥水比重計(マッドバランス)等を用いて求めておき、演算部において排泥重量/比重により排泥体積を得る。
【0031】
計測した排泥量が所望の設定範囲よりも高い場合は、土砂の掘削量が多すぎるので、掘進を停止し、薬液注入を行うのがよい。また、排泥量が所望の設定範囲よりも低い場合は、カッタチャンバ3に送られた高濃度の泥水が地山に浸透し逸泥しているので、泥水の材料を変更する等の措置を講ずるのがよい。
【0032】
排泥受け6内に投入された排泥Mは、吸泥排土装置12により吸引管13を経て坑外に吸引・排出される。
【0033】
本実施形態によれば、上記のように、排泥量をリアルタイムで計測し管理できるので、排泥の取り込みすぎ等を短時間で把握できる。そのため、地盤沈下等をひき起こすのを防止して、安全な施工が可能になる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更や改善が可能である。例えば、上記の実施形態は、泥濃式推進工法に基づいているが、泥濃式シールド工法、土圧式推進工法、土圧式シールド工法にも同様にして適用可能である。また、上記の実施形態では、重量測定器としてロードセル24を用いたが、ロードセル24に限定されるものではなく、種々の重量測定器が使用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 掘進機
2 カッタ
3 カッタチャンバ
4 立坑
5 ピンチバルブ(排泥バルブ)
51 スリーブ
6 排泥受け
7 コンプレッサ
8 エアーホース
9 作泥装置
10 ポンプ
11 泥水供給管
12 吸泥注入装置
13 吸引管(排泥管)
14 排土コンテナタンク
15 排土貯留槽
16 滑材注入装置
17 ポンプ
18 滑材供給管
19 排泥管
20 カッタモータ
21 中折れジャッキ
22 緊急ゲート
23 排泥口
24 ロードセル(重量測定器)
40 元押ジャッキ
41 推進管
42 発進坑口
60 スイベルフット
61 固定プレート
62、64 ボルト
63 アングル
65 基台
66 ケーブル
M 排泥