(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152474
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】金型収納装置、及び曲げ加工システム
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20231010BHJP
B21D 37/04 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B21D5/02 G
B21D37/04 R
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062509
(22)【出願日】2022-04-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 英人
【テーマコード(参考)】
4E050
4E063
【Fターム(参考)】
4E050CA03
4E050CB01
4E050CD01
4E050CD03
4E050CD04
4E063AA01
4E063BA07
4E063DA14
4E063DA17
4E063DA18
(57)【要約】
【課題】曲げ加工機の金型ホルダに対して金型を装着するときの作業効率の向上を図る。
【解決手段】金型収納装置2は、左右方向における曲げ加工機1の側方に配置されたラック本体20の内部に設けられ、長尺上金型UT1を保持する金型保持ユニット35を備えている。金型保持ユニット35は、長尺上金型UT1を保持する金型保持溝46が直線状に設けられたストッカ45と、前後方向に沿ってストッカ45を進退させるとともにと、ストッカ45を水平回動させるストッカ移動部と、を含む。ストッカ45は、切り替え可能な状態として、金型保持溝46が前後方向に沿うような姿勢でラック本体20内に格納される第1状態と、ラック本体20外へと進出し、金型保持溝46が上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って左右方向に整列する第2状態と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工機のテーブルに左右方向に設けられた金型ホルダに対して作業者が金型の交換を行うための複数の金型を収納する金型収納装置において、
左右方向における前記曲げ加工機の側方に配置され、前側に開口部が設けられたラック本体と、
前記ラック本体の内部に設けられ、前記金型を保持する金型保持ユニットと、を備え、
前記金型保持ユニットは、
前記金型を保持する金型保持溝が直線状に設けられたストッカと、
前後方向に沿って前記ストッカを進退させるとともに、前記ストッカを水平回動させるストッカ移動部と、を含み、
前記ストッカは、
前記作業者の手動操作によって切り替え可能な状態として、
前記金型保持溝が前後方向に沿うような姿勢で前記ラック本体内に格納される第1状態と、
前記ラック本体外へと進出し、前記金型保持溝が前記金型ホルダのホルダ溝に沿って左右方向に整列する第2状態と、を有する
金型収納装置。
【請求項2】
前記ストッカ移動部は、
前後方向に移動自在に前記ラック本体に設けられ、前記開口部を介して前記ストッカを進退させる進退機構と、
前記進退機構と前記ストッカとを相互に連結し、上下方向に沿うストッカ回転軸周りで前記ストッカを水平回動させるストッカ回転部と、
を含む請求項1記載の金型収納装置。
【請求項3】
前記金型保持ユニットは、
上下方向に沿うアーム回転軸周りで前記進退機構を水平回動させるアーム回転部を更に備える
請求項2記載の金型収納装置。
【請求項4】
前記進退機構は、
前記ラック本体に固定されたレール部材にガイドされることで前後方向に移動するスライド部と、
前記アーム回転部を介して前記スライド部に連結される保持ブロックと、
前記保持ブロックにガイドされて、前記保持ブロックの長手方向に沿って進退するアームと、を含む
請求項3記載の金型収納装置。
【請求項5】
前記ストッカには、複数の金型保持溝が並列に配置される
請求項2から4いずれか一項記載の金型収納装置。
【請求項6】
前記ラック本体には、前記曲げ加工機に隣接する第1の金型保持ユニットと、前記第1の金型保持ユニットに隣接する第2の金型保持ユニットとが左右方向にかけて隣り合うように配列される
請求項2から4いずれか一項記載の金型収納装置。
【請求項7】
前記第2の金型保持ユニットが保持する前記金型は、前記第1の金型保持ユニットが備える前記ストッカの前記金型保持溝を経由して、前記金型ホルダまで移送される
請求項6記載の金型収納装置。
【請求項8】
前記テーブルは、前記曲げ加工機の上部テーブルであり、
前記金型は、前記上部テーブルの上金型ホルダに装着される上金型である
請求項2から4いずれか一項記載の金型収納装置。
【請求項9】
前記金型収納装置は、
前後方向に沿って引き出し可能に構成された金型テーブルを更に備え、
前記金型テーブルには、前記曲げ加工機の下部テーブルの下金型ホルダに装着される下金型が前後方向に沿って複数搭載され、
前記曲げ加工機が備えるロックレバーが左右方向に沿ってロック位置まで進出し、前記金型テーブルのロック溝に進入することで、前記金型テーブルは、前後方向の移動が規制される
請求項8記載の金型収納装置。
【請求項10】
前記ロックレバーは、
前記下部テーブルと、前記金型テーブルとの間に配置されており、
上下方向に沿って起立した状態で左右方向へ移動し、前記ロック位置へと到達することで、前後方向へと傾倒した状態へと切り替え可能となる
請求項9記載の金型収納装置。
【請求項11】
前記ストッカ移動部は、
前記金型保持溝の延在方向にかけて間隔を空けて前記ストッカに取り付けられ、ガイドテーブルに形成されたガイド溝に挿入されて前記ストッカの移動を案内する一対のガイドピンを含み、
前記ガイドテーブルの前記ガイド溝は、
前記ラック本体内から前記ラック本体外まで前方に向かって延在する縦ガイド溝と、
左右方向に延在し、前記縦ガイド溝の前端が接続される横ガイド溝と、を有し、
前記一対のガイドピンは、
前記縦ガイド溝から、前記縦ガイド溝と前記横ガイド溝との接続部を通過して前記横ガイド溝へと到達することで、前記ストッカを水平回動させる
請求項1記載の金型収納装置。
【請求項12】
左右方向に沿って金型ホルダが設けられたテーブルを含む曲げ加工機と、
前記テーブルの前記金型ホルダに対して作業者が金型の交換を行うための複数の金型を収納する金型収納装置と、を備え、
前記金型収納装置は、
左右方向における前記曲げ加工機の側方に配置され、前側に開口部が設けられたラック本体と、
前記ラック本体の内部に設けられ、前記金型を保持する金型保持ユニットと、を備え、
前記金型保持ユニットは、
前記金型を保持する金型保持溝が直線状に設けられたストッカと、
前後方向に沿って前記ストッカを進退させるとともに、前記ストッカを水平回動させるストッカ移動部と、を含み、
前記ストッカは、
前記作業者の手動操作によって切り替え可能な状態として、
前記金型保持溝が前後方向に沿うような姿勢で前記ラック本体内に格納される第1状態と、
前記ラック本体外へと進出し、前記金型保持溝が前記金型ホルダのホルダ溝に沿って左右方向に整列する第2状態と、を有する
曲げ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型収納装置、及び曲げ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プレスブレーキなどの曲げ加工機の側方に配置される金型マガジンが開示されている。金型マガジンのマガジンハウジング内には、複数の収納レールが配置されている。個々の収納レールには、その長手方向に沿って複数の金型が前後して列をなすように、金型が収容されている。それぞれの収納レールは、その長手方向に沿って、マガジンハウジングの前側から引き出し可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された手法では、金型の幅方向が前後方向に沿うように、収納レールに対して複数の金型が並んでいる。一方で、曲げ加工機のテーブルは左右方向に延在している。そのため、曲げ加工機に金型を装着するときには、収納レールから金型を取り出した上で金型の姿勢を回転させる必要がある。このため、曲げ加工機に金型を装着する際の作業効率が悪いという不都合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の金型収納装置は、曲げ加工機のテーブルに左右方向に設けられた金型ホルダに対して作業者が金型の交換を行うための複数の金型を収納する。金型収納装置は、左右方向における曲げ加工機の側方に配置され、前側に開口部が設けられたラック本体と、ラック本体の内部に設けられ、金型を保持する金型保持ユニットと、を備え、金型保持ユニットは、金型を保持する金型保持溝が直線状に設けられたストッカと、前後方向に沿ってストッカを進退させるとともに、ストッカを水平回動させるストッカ移動部と、を含む。ストッカは、作業者の手動操作によって切り替え可能な状態として、金型保持溝が前後方向に沿うような姿勢でラック本体内に格納される第1状態と、ラック本体外へと進出し、金型保持溝が金型ホルダのホルダ溝に沿って左右方向に整列する第2状態とを有する。
【0006】
本発明の一態様の金型収納装置によれば、ストッカ移動部により、ストッカの前後移動と、ストッカの水平回動とを行うことができる。作業者は、ラック本体内に前後方向に沿って収容されたストッカを前方へと進出させ、且つ左右方向に沿うようにストッカの姿勢を変更することで、金型ホルダの側方にストッカを配置することができる。これにより、ストッカの金型保持溝を金型ホルダのホルダ溝に沿って左右方向に整列させることができるので、金型ホルダのホルダ溝の延長線上に、金型を並列させることができる。したがって、金型を左右方向にスライドさせるだけで、ストッカが保持する金型を金型ホルダへと配置することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、作業者は、ストッカの前後移動と、ストッカの水平回動とを一連の動作の中で行うことができるので、ストッカが保持する金型を金型ホルダへとスムーズに移送することができる。これにより、曲げ加工機の金型ホルダに対して金型を装着するときの作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る曲げ加工システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、金型収納装置の要部を示す正面図である。
【
図4】
図4は、金型収納装置の要部を示す側面図である。
【
図5】
図5は、ストッカの要部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、曲げ加工機の上部テーブル側に設けられたテーブル側固定ブロックを説明する図である。
【
図7】
図7は、ストッカの要部を拡大して示す側面図である。
【
図8】
図8は、上段収納部を利用した長尺上金型の交換動作を説明する図である。
【
図9】
図9は、ストッカの長尺上金型を上金型ホルダに装着する動作を説明する図である。
【
図10】
図10は、中段収納部を利用した長尺下金型の交換動作を説明する図である。
【
図11】
図11は、曲げ加工機が備える乗り継ぎ部及びロックレバーを説明する図である。
【
図12】
図12は、中段金型テーブルの長尺下金型を下部ホルダに装着する動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、下段収納部を利用した短尺上金型及び短尺下金型の交換動作を説明する図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図17】
図17は、金型保持ユニットの構成を示す説明図である。
【
図18】
図18は、ガイドプレート及びガイドプレート上を移動するストッカを説明する上面図である。
【
図19】
図19は、ストッカの長尺上金型を上金型ホルダに移送する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本実施形態に係る金型収納装置、及び曲げ加工システムについて説明する。
【0010】
図1は、金型収納装置の要部を説明する図である。金型収納装置及び曲げ加工システムの構成を説明するにあたり、方向の定義として、左右方向、前後方向、及び上下方向を用いる。左右方向及び前後方向は、水平方向において直交する2つの方向に対応し、上下方向は鉛直方向に対応する。ただし、これらの方向は、本実施形態において金型収納装置及び曲げ加工システムを説明するために、便宜的に用いられるに過ぎない。
【0011】
本実施形態に係る金型収納装置2は、曲げ加工機の上部テーブル7に左右方向に設けられた上金型ホルダ8に対して作業者が長尺上金型UT1の交換を行うための複数の長尺上金型UT1を収納する。金型収納装置2は、左右方向における曲げ加工機1の側方に配置され、前側に開口部が設けられたラック本体20と、ラック本体20の内部に設けられ、長尺上金型UT1を保持する金型保持ユニット35と、を備えている。金型保持ユニット35は、長尺上金型UT1を保持する金型保持溝46が直線状に設けられたストッカ45と、前後方向に沿ってストッカ45を進退させるとともに、ストッカ45を水平回動させるストッカ移動部と、を含む。ストッカ45は、作業者の手動操作によって切り替え可能な状態として、金型保持溝46が前後方向に沿うような姿勢でラック本体20内に格納される第1状態と、ラック本体20外へと進出し、金型保持溝46が上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って左右方向に整列する第2状態とを有する。
【0012】
本実施形態において、ストッカ移動部は、前後方向に移動自在にラック本体20に設けられ、開口部を介してストッカ45を進退させる進退機構と、進退機構とストッカ45とを相互に連結し、上下方向に沿うストッカ回転軸周りでストッカ45を水平回動させるストッカ回転部40と、を含む。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る金型収納装置、及びこの金型収納装置を含む曲げ加工システムについて詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る曲げ加工システムの構成を示す図である。曲げ加工システムは、曲げ加工機1と、金型収納装置2とを備えている。
【0014】
曲げ加工機1は、板金などの板状のワークに対して曲げ加工を行う加工機である。曲げ加工機1は、例えばプレスブレーキであり、パンチなどの上金型と、ダイなどの下金型との協働によりワークに対して曲げ加工を行う。
【0015】
曲げ加工機1は、左右のサイドフレーム3L、3Rと、下部テーブル5と、上部テーブル7と、左右の駆動機構9L、9Rとを備えている。
【0016】
左右のサイドフレーム3L、3Rは、互いに対向するように、左右方向に離間して配置されている。下部テーブル5は、左右方向に延在しており、左右のサイドフレーム3L、3Rの前側下部に支持されている。上部テーブル7は、左右方向に延在しており、左右のサイドフレーム3L、3Rの前側上部に支持されている。上部テーブル7は、左右のサイドフレーム3L、3Rに対して、上下方向に移動自在に構成されている。
【0017】
下部テーブル5の上側には、下金型を着脱可能に保持する下金型ホルダ6が、左右方向に沿って設けられている。下金型ホルダ6には、下金型の基部(シャンク部)を保持するためのホルダ溝が左右方向に沿って形成されている。
【0018】
上部テーブル7の下側には、上金型を着脱可能に保持する上金型ホルダ8が、左右方向に沿って設けられている。上金型ホルダ8には、上金型の基部(シャンク部)を保持するためのホルダ溝が左右方向に沿って形成されている。
【0019】
左右の駆動機構9L、9Rは、サイドフレーム3L、3Rの左右の上部にそれぞれ設けられている。左右の駆動機構9L、9Rは、上部テーブル7を上下方向へ移動させる昇降機構として機能する。左右の駆動機構9L、9Rは、電動モータ及びボールネジ機構など構成されているが、油圧シリンダなどであってもよい。
【0020】
左側のサイドフレーム3Lには、曲げ加工機1の動作を制御するNC(Numerical Control)装置などの制御装置10が支持されている。
【0021】
図2に示すように、本実施形態の曲げ加工機1は、上記の構成に加え、テーブル側固定ブロック11、乗り継ぎ部15、及びロックレバー16を備えている。テーブル側固定ブロック11は、上部テーブル7の右端に配置された上金型ホルダ8の側方に設けられている。乗り継ぎ部15及びロックレバー16は、下部テーブル5の右端に設けられている。なお、テーブル側固定ブロック11、乗り継ぎ部15、及びロックレバー16の詳細については後述する。
【0022】
このような構成の曲げ加工機1では、下部テーブル5の下金型ホルダ6に装着された下金型上にワークが位置決めされる。上金型ホルダ8に上金型が装着された上部テーブル7を下部テーブル5に向かって下降させると、上金型と下金型との間でワークが加圧される。上金型と下金型との協働によってワークが所望の目標曲げ角度で折り曲げられる。
【0023】
以下、
図2から
図4を参照し、金型収納装置2について説明する。
図3は、金型収納装置の要部を示す正面図である。
図4は、金型収納装置の要部を示す側面図である。
【0024】
金型収納装置2は、上金型UT1、UT2及び下金型LT1、LT2を含む複数の金型を収納している。金型収納装置2は、下金型ホルダ6及び上金型ホルダ8に対して作業者が金型の交換(手動交換)を行うために用いられる。金型収納装置2は、曲げ加工機1の左右側方のいずれか一方又は両方に配置されている。
図2に示す例では、ラック本体20は、曲げ加工機1の右側に隣接するように配置されている。
【0025】
金型収納装置2は、ラック本体20を備えている。ラック本体20は、フレームとその周囲を覆うパネルとで構成され、箱形状を有している。ラック本体20の前側には、開口部が設けられている。ラック本体20には、上段収納部30と、中段収納部60と、下段収納部80とが設けられている。なお、
図4では、説明の便宜上、ラック本体20のパネルが省略されている。
【0026】
上段収納部30は、ラック本体20の上段に位置する。上段収納部30には、金型幅方向の寸法が長い長尺上金型UT1が収納される。上段収納部30の前側の開口部は、ヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられた開閉扉31によって閉塞することができる。なお、
図3では、開閉扉31の記載が省略されている。
【0027】
中段収納部60は、ラック本体20の中段に位置する。中段収納部60には、金型幅方向の寸法が長い長尺下金型LT1が収納される。中段収納部60の前側の開口部は、後述する中段金型テーブル65の前端に取り付けられた中段扉61によって閉塞することができる。
【0028】
下段収納部80は、ラック本体20の下段に位置する。下段収納部80には、金型幅方向の寸法が短い短尺上金型UT2及び短尺下金型LT2が収納される。下段収納部80の前側の開口部は、後述する下段金型テーブル85の前端に取り付けられた下段扉81によって閉塞することができる。
【0029】
以下、各収納部30、60、80を詳細に説明する。
【0030】
上段収納部30は、長尺上金型UT1を保持する金型保持ユニット35を備えている。上段収納部30には、複数の金型保持ユニット35、本実施形態では、2つの金型保持ユニット35が左右方向にかけて隣り合うように配列されている。個々の金型保持ユニット35は、スライド部36と、アーム回転部37と、保持ブロック38と、アーム39と、ストッカ回転部40と、ストッカ45とを有している。
【0031】
スライド部36は、前後方向に移動自在に構成されている。ラック本体20には、前後方向に延在する一対の上段スライドレール41が設けられており、スライド部36の左右の両端は、一対の上段スライドレール41によって保持される。スライド部36は、上段スライドレール41にガイドされることで、前後方向へ移動する。
【0032】
アーム回転部37は、スライド部36の下部に連結されており、スライド部36と一体に移動する。アーム回転部37は、上下方向に沿うアーム回転軸周りに回転自在に構成されている。
【0033】
保持ブロック38は、一方向に延在する角筒体で構成されており、その長手方向が前後方向に沿うような姿勢で上段収納部30に格納されている。保持ブロック38の後端側は、アーム回転部37の下端に連結されている。保持ブロック38は、アーム回転部37(アーム回転軸)を中心に回転することで、保持ブロック38の前側が左右に揺動するように、水平回動する。
【0034】
保持ブロック38は、前後の両端が開放されており、その内部にアーム39を保持している。保持ブロック38の内部には、アーム39の移動をガイドするガイド部が、保持ブロック38の長手方向に沿って設けられている。アーム39は、保持ブロック38にガイドされることにより、保持ブロック38の長手方向に沿って進退することができる。アーム39は、保持ブロック38に保持されているため、保持ブロック38の水平回動に応じて水平回動する。
【0035】
ストッカ回転部40は、アーム39の先端に連結されており、アーム39と一体に移動する。ストッカ回転部40は、上下方向に沿うストッカ回転軸周りに回転自在に構成されている。
【0036】
ストッカ45は、一方向に沿って縦長となる箱体で構成されており、その長手方向が前後方向に沿うような姿勢で上段収納部30に格納されている。ストッカ45は、曲げ加工機1の上金型ホルダ8と対応する高さに配置されている。ストッカ45における上面の中央部は、ストッカ回転部40の下端に連結されている。ストッカ45は、ストッカ回転部40(ストッカ回転軸)を中心に回転することで、ストッカ45の両端が左右に揺動するように、水平回動する。
【0037】
ストッカ45の下面には、長尺上金型UT1を保持する金型保持溝46が設けられている。金型保持溝46は、ストッカ45の長手方向に沿って直線状に延在する凹形状の溝から構成されている。長尺上金型UT1は、金型保持溝46における長手方向の一方又は他方の端部側から、長手方向に沿ってスライド挿入することで、金型保持溝46に装着される。本実施形態では、ストッカ45の下面に、2つ金型保持溝46が並列に設けられている。ストッカ45は、金型保持溝46に応じた個数の長尺上金型UT1を保持することができる。個々の長尺上金型UT1は、金型保持溝46によって、曲げ加工機1の上金型ホルダ8に装着される長尺上金型UT1と同一の高さで保持される。
【0038】
図5は、ストッカの要部を拡大して示す斜視図である。
図6は、曲げ加工機の上部テーブル側に設けられたテーブル側固定ブロックを説明する図である。
図7は、ストッカの要部を拡大して示す側面図である。ストッカ45の長手方向の両端には、ストッカ側固定ブロック47が設けられている。ストッカ側固定ブロック47の側面には、上部テーブル7の右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45を位置決めするための位置決め溝47aが設けられている。一方、テーブル側固定ブロック11の右側端面には、位置決めピン12が設けられている。位置決めピン12が位置決め溝47aに挿入されることで、右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45が位置決めされる。
【0039】
ところで、ストッカ45の移動及び水平回動を行ったときに、長尺上金型UT1に慣性力又は遠心力が作用することで、長尺上金型UT1が金型保持溝46内を水平移動し、金型保持溝46の端部から長尺上金型UT1が脱落してしまう可能性がある。
図7に示すように、ストッカ側固定ブロック47には、2つのストッパ47cが設けられている。ストッパ47cは、金型保持溝46と対応する位置にそれぞれ設けられている。個々のストッパ47cは、ばねなどの押圧手段により下方へと押圧されており、ストッパ47cの下部47caは、ストッカ側固定ブロック47の下面より一定量だけ下側に突出している。したがって、金型保持溝46に沿って長尺上金型UT1が水平移動しても、ストッパ47cに突き当たることで、長尺上金型UT1が金型保持溝46の端部から脱落してしまうことを規制することができる。
【0040】
ストッパ47cの上部47cbには、テーパー面が形成されている。位置決めピン12が位置決め溝47aへと進入した際、位置決めピン12の先端は、上部47cbのテーパー面に突き当たる。そして、位置決めピン12の挿入力を受けると、ストッパ47cは上方へと押し上げられ、ストッパ47cの下端はストッカ側固定ブロック47の下面よりも上昇する。このため、上部テーブル7の右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45を位置決めした状態では、ストッパ47cによる規制がなくなるので、ストッカ45から上金型ホルダ8へと長尺上金型UT1を移動させることができる。
【0041】
また、ストッカ側固定ブロック47の上面には、右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45を固定するための固定溝47bが設けられている。一方、テーブル側固定ブロック11には、上下方向に進退する固定ラッチ14が設けられている。右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45を位置決めすると、固定ラッチ14が固定溝47bに挿入される。これにより、右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45が固定される。なお、解除ボタン14aを押圧操作することで、固定ラッチ14が強制的に上昇し、ストッカ45の固定を解除することができる。
【0042】
図4及び
図5に示すように、ストッカ45の上面には、作業者が把持するための上段把手48が設けられている。作業者は、上段把手48を利用することで、ストッカ45の水平回動、アーム39の進退移動、アーム39及び保持ブロック38の水平回動、及び、スライド部36の前後移動を行うことができる。
【0043】
中段収納部60は、長尺下金型LT1を保持する中段金型テーブル65を備えている。中段金型テーブル65の前端には、中段扉61が設けられており、中段扉61の前面には、中段把手62が設けられている。中段金型テーブル65は、曲げ加工機1の下金型ホルダ6と対応する高さに配置されている。
【0044】
中段金型テーブル65は、前後方向に移動自在に構成されている。ラック本体20には、前後方向に延在する一対の中段スライドレール66が設けられており、中段金型テーブル65の左右の両端は、一対の中段スライドレール66によって保持される。中段金型テーブル65は、中段スライドレール66にガイドされることで、前後方向へと移動する。作業者は、中段把手62を利用することで、中段金型テーブル65を中段収納部60から引き出したり、引き出された中段金型テーブル65を中段収納部60に格納したりすることができる。
【0045】
中段金型テーブル65の上面には、それぞれが長尺下金型LT1を保持する複数の下金型保持部67が配置されている。複数の下金型保持部67は、前後方向にかけて等間隔で配列されている。個々の下金型保持部67は、左右方向に沿って一定の長さを備えており、1本分の長尺下金型LT1を保持することができる。個々の長尺下金型LT1は、下金型保持部67によって、曲げ加工機1の下金型ホルダ6に装着される長尺下金型LT1と同一の高さで保持される。
【0046】
中段金型テーブルの左右の側面には、中段金型テーブル65の前後方向の移動を規制するための複数のロック溝68が設けられている。複数のロック溝68は、複数の下金型保持部67と対応して設けられている。
【0047】
下段収納部80は、短尺上金型UT2及び短尺下金型LT2を保持する下段金型テーブル85を備えている。下段金型テーブル85の前端には、下段扉81が設けられており、下段扉81の前面には、下段把手82が設けられている。
【0048】
下段金型テーブル85は、前後方向に移動自在に構成されている。ラック本体20には、前後方向に延在する一対の下段スライドレール86が設けられており、下段金型テーブル85の左右の両端は、一対の下段スライドレール86によって保持される。下段金型テーブル85は、一対の下段スライドレール86にガイドされることで、前後方向へと移動する。作業者は、下段把手82を利用することで、下段金型テーブル85を下段収納部80から引き出したり、引き出された下段金型テーブル85を下段収納部80に格納したりすることができる。
【0049】
下段金型テーブル85の上面には、それぞれが短尺上金型UT2を保持する複数の上金型保持部87、及びそれぞれが短尺下金型LT2を保持する複数の下金型保持部88が配置されている。複数の上金型保持部87は、前後方向にかけて等間隔で配列されている。個々の上金型保持部87は、左右方向に沿って一定の長さを備えており、2本以上の短尺上金型UT2を横並びで保持することができる。複数の下金型保持部88は、前後方向にかけて等間隔で配列されている。個々の下金型保持部88は、左右方向に沿って一定の長さを備えており、2本以上の短尺下金型LT2を横並びで保持することができる。
【0050】
つぎに、金型収納装置2を利用した金型の交換動作を説明する。金型の交換動作は、上段収納部30、中段収納部60、及び下段収納部80のそれぞれで相違するため、収納部毎に、金型の交換動作を説明する。
【0051】
まず、
図1から
図4、
図8及び
図9を参照し、上段収納部30を利用した長尺上金型UT1の交換動作を説明する。以下の説明では、上段収納部30に収納された長尺上金型UT1を、上部テーブル7の上金型ホルダ8へ装着する状況を例示する。ここで、
図8は、上段収納部を利用した長尺上金型の交換動作を説明する図である。
図9は、ストッカの長尺上金型を上金型ホルダに装着する動作を説明する図である。
【0052】
まず、
図3及び
図4に示すように、保持ブロック38及びストッカ45は、長手方向が前後方向と沿うような姿勢にあり、アーム39は最も後退した位置にある。この場合、ストッカ45は、金型保持溝46が前後方向に沿うような姿勢でラック本体20内に格納され、ストッカ45に保持された長尺上金型UT1も上段収納部30の内に格納されている(第1状態)。
【0053】
作業者は、ストッカ45を前方へと引き出す。スライド部36が前方へと移動し、且つ、アーム39が前方へと進出することで、上段収納部30の内部からストッカ45を引き出すことができる。
【0054】
図8に示すように、作業者は、ストッカ45を左方向又は右方向に向けて回転させる。ストッカ45がストッカ回転部40を中心に回転することで、ストッカ45が水平回動する。作業者は、ストッカ45の姿勢を約90度回転させ、ストッカ45の長手方向、すなわち、長尺上金型UT1が上金型ホルダ8と平行となるように、ストッカ45の姿勢を変化させる。これにより、ストッカ45は、右端の上金型ホルダ8の側方、且つ、左右方向に整列した位置へと配置される。その結果、ストッカ45の金型保持溝46が上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って左右方向に整列し、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上に、長尺上金型UT1を並列させることができる(第2状態)。
【0055】
なお、作業者は、ストッカ45を回転させるときに、左方向に回転させるのか、それとも右方向に回転させるのかを選択することができる。これにより、ストッカ45を90度回転させたときに、長尺上金型UT1の表面側が作業者に対面しているのか、それとも長尺上金型UT1の裏面側が作業者に対面しているのかを選択することができる。上金型ホルダ8に対して、長尺上金型UT1を表向きで取り付けるのか、それとも裏向きで取り付けるのかを選択することができる。
【0056】
つぎに、
図1に示すように、作業者は、ストッカ側固定ブロック47がテーブル側固定ブロック11に突き当たるまで、ストッカ45を左側へと移動させる。このとき、保持ブロック38が水平回動し、アーム39及び保持ブロック38が左方向へと揺動することで、ストッカ45を左方向に直線移動させることができる。また、ストッカ45がアーム39に対して水平回動し、且つ、アーム39及びスライド部36が前方へ移動することで、ストッカ45をスムーズに直線移動させることができる。
【0057】
このとき、作業者は、位置決めピン12が位置決め溝47aに挿入するように、ストッカ側固定ブロック47をテーブル側固定ブロック11に突き当てる。これにより、右端の上金型ホルダ8に対してストッカ45が適切に位置決めされる。また、固定ラッチ14が固定溝47bに挿入されることで、右端の上金型ホルダ8の側方にストッカ45が固定される。また、位置決めピン12が位置決め溝47aと挿入されると、ストッパ47cが上方へと押し上げられる。これにより、ストッパ47cによる規制が無くなるので、長尺上金型UT1を移送させることが可能な状態となる。
【0058】
図9に示すように、右端の上金型ホルダ8の側方にストッカ45が位置決めされると、上金型ホルダ8のホルダ溝と、ストッカ45の金型保持溝46とが左右方向に整列する。作業者は、ストッカ45の長尺上金型UT1を左方向へと移動させることで、ストッカ45から上金型ホルダ8へと長尺上金型UT1を移送させることができる。そして、作業者は、上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って長尺上金型UT1をスライド移動させることで、上部テーブル7の所望位置に対して長尺上金型UT1を配置することができる。
【0059】
つぎに、
図1から
図4、
図10から
図12を参照し、中段収納部60を利用した長尺下金型LT1の交換動作を説明する。以下の説明では、中段収納部60に収納された長尺下金型LT1を、下部テーブル5の下金型ホルダ6へ装着する状況を例示する。ここで、
図10は、中段収納部を利用した長尺下金型の交換動作を説明する図である。
図11は、曲げ加工機が備える乗り継ぎ部及びロックレバーを説明する図である。
図12は、中段金型テーブルの長尺下金型を下部ホルダに装着する動作を説明する図である。
【0060】
まず、
図3及び
図4に示すように、中段金型テーブル65は、中段収納部60の内部に格納された状態となっている。
【0061】
作業者は、中段金型テーブル65を前方へと引き出す。中段金型テーブル65は、一対の中段スライドレール66によって案内されることで、中段収納部60の内部から前方へと引き出される。
【0062】
図10に示すように、中段金型テーブル65に搭載された複数の長尺下金型LT1のうち、下部テーブル5に対して装着対象となる長尺下金型LT1が下部テーブル5の右側方へと到達すると、作業者は、中段金型テーブル65を停止させる。作業者は、下部テーブル5の右端に設けられたロックレバー16を用いて、中段金型テーブル65を固定する。
【0063】
図11に示すように、ロックレバー16は、レバー支持部材17に形成されたガイド溝17aに沿って操作することができる。ロックレバー16は、直立した状態で左右方向へ移動することができる。ロックレバー16の下端には、左右方向に延在する円柱状のロッド16aが連結されている。ロックレバー16がガイド溝17aの右端まで移動すると、ロックレバー16はロック位置へと到達する。ロックレバー16がロック位置にある場合、ロッド16aの右端は、中段金型テーブル65の側面に設けられたロック溝68へと進入する。これにより、中段金型テーブル65に対する前後方向の移動が規制され、中段金型テーブル65を固定することができる。
【0064】
また、ロックレバー16がロック位置にある場合、ロックレバー16を前方へと傾倒させることで、ロックレバー16がロック溝17bへと進入する。これにより、ロックレバー16及びロッド16aの左右方向の移動がロックされ、ひいては、中段金型テーブル65の前後方向の移動をロックすることができる。
【0065】
一方、ロックレバー16を傾倒状態から直立状態へと復帰させることで、ロックレバー16は、ガイド溝17aに沿って左右方向への移動が可能となる。ロックレバー16がガイド溝17aの左端にある場合、ロッド16aの右端は、中段金型テーブル65のロック溝68から引き出された状態となる。これにより、中段金型テーブル65を前後方向へ移動させることができる。
【0066】
上述のように、ロックレバー16によって中段金型テーブル65が固定されると、
図12に示すように、作業者は、長尺下金型LT1を左方向へとスライド移動させる。これにより、作業者は、中段金型テーブル65から下金型ホルダ6へと長尺下金型LT1を移送させることができる。そして、作業者は、下金型ホルダ6のホルダ溝に沿って長尺下金型LT1をスライド移動させることで、下部テーブル5の所望位置に対して長尺下金型LT1を配置することができる。
【0067】
図11に示すように、下金型ホルダ6の右側方には、長尺下金型LT1の移動をガイドする乗り継ぎ部15が設けられている。乗り継ぎ部15は、前後方向に沿う回転軸周りで回転可能な従動ローラ15aを備えている。
【0068】
図12に示すように、作業者が長尺下金型LT1を左方向へとスライド移動させた場合、長尺下金型LT1は、乗り継ぎ部15の従動ローラ15aを経由して、下金型ホルダ6へと到達する。このため、中段金型テーブル65と下金型ホルダ6とが左右方向に離れていても、乗り継ぎ部15を経由させることで、中段金型テーブル65から下金型ホルダ6まで、長尺下金型LT1をスムーズに移送することができる。また、下金型ホルダ6と、中段金型テーブル65との間に上下方向の高さギャップがある場合でも、乗り継ぎ部15を経由させることで、長尺下金型LT1の移送高さを調整することができる。これにより、長尺下金型LT1が下金型ホルダ6に衝突することなく、中段金型テーブル65から下金型ホルダ6へと長尺下金型LT1をスムーズに移送することができる。
【0069】
なお、
図11の一点鎖線で示すように、ロックレバー16が直立状態となっている場合、ロックレバー16は、中段金型テーブル65から下金型ホルダ6へと至る長尺下金型LT1の搬送経路上に位置する。そのため、中段金型テーブル65から長尺下金型LT1を左方向へとスライド移動させると、ロックレバー16と干渉し、長尺下金型LT1を下金型ホルダ6まで到達させることができない。このため、ロックレバー16をロック溝17bへと進入させて、中段金型テーブル65が確実にロックされた場合に限り、長尺下金型LT1を下金型ホルダ6へと移送することができるようになっている。
【0070】
最後に、
図1から
図4、
図13を参照し、下段収納部80を利用した短尺上金型UT2及び短尺下金型LT2の交換動作を説明する。以下の説明では、下段収納部80に収納された短尺上金型UT2を上部テーブル7の上金型ホルダ8へ装着し、短尺下金型LT2を下部テーブル5の下金型ホルダ6へ装着する状況を例示する。ここで、
図13は、下段収納部を利用した短尺上金型及び短尺下金型の交換動作を説明する図である。
【0071】
まず、
図3及び
図4に示すように、下段金型テーブル85は、下段収納部80の内部に格納された状態となっている。
【0072】
作業者は、下段金型テーブル85を前方へと引き出す。下段金型テーブル85は、一対の下段スライドレール86によって案内されることで、下段収納部80の内部から前方へと引き出される。
【0073】
図13に示すように、下段金型テーブル85が引き出されると、作業者は、下段金型テーブル85に搭載された複数の短尺上金型UT2の中から、上部テーブル7に対して装着対象となる短尺上金型UT2を取り出す。そして、作業者は、取り出した短尺上金型UT2を、上部テーブル7の上金型ホルダ8に装着する。同様に、作業者は、下段金型テーブル85に搭載された複数の短尺下金型LT2の中から、下部テーブル5に対して装着対象となる短尺下金型LT2を取り出す。そして、作業者は、取り出した短尺下金型LT2を、下部テーブル5の下金型ホルダ6に装着する。以上の作業により、各テーブル5、7の金型ホルダ6、8に所要の金型が配置される。
【0074】
以上の説明では、各収納部30、60、80から金型を装着する状況を説明した。当然、各テーブル5、7から各収納部30、60、80へと金型を収納する場合であっても、本実施形態は適用可能である。金型を収納する場合には、上述した装着動作を逆の手順で実行すればよい。
【0075】
このように、本実施形態の金型収納装置2によれば、進退機構の進退動作、及びストッカ回転部40の回転動作を利用することで、ストッカ45の前後移動と、ストッカ45の水平回動とを行うことができる。作業者は、ラック本体20内に前後方向に沿って収容されたストッカ45を前方へと進出させ、且つ左右方向に沿うようにストッカ45の姿勢を変更することで、上金型ホルダ8の側方にストッカ45を横付けすることができる。ストッカ45の金型保持溝46を、上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って左右方向に整列させることができるので、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上に、長尺上金型UT1を並列させることができる。このため、長尺上金型UT1を左右方向にスライドさせるだけで、ストッカ45が保持する長尺上金型UT1を、上金型ホルダ8へと配置することができる。
【0076】
このように、作業者は、ストッカ45の前後移動と、ストッカ45の水平回動とを一連の動作の中で行うことができるので、ストッカ45が保持する長尺上金型UT1を、上金型ホルダ8へとスムーズに移送することができる。これにより、曲げ加工機1の上部テーブル7の上金型ホルダ8に対して長尺上金型UT1を装着するときの作業効率の向上を図ることができる。
【0077】
本実施形態において、金型保持ユニット35は、上下方向に沿うアーム回転軸周りで進退機構を水平回動させるアーム回転部37を更に備えている。
【0078】
この構成によれば、ストッカ45のみならず、進退機構も水平回動させることができる。進退機構が水平回動することで、ストッカ45の左右方向への移動が可能となる。上金型ホルダ8と金型保持ユニット35とが左右方向に隔離しているような場合でも、上金型ホルダ8に対して近接した位置にストッカ45を横付けすることができる。
【0079】
本実施形態において、進退機構は、ラック本体20に固定された上段スライドレール41にガイドされることで前後方向に移動するスライド部36と、アーム回転部37を介してスライド部36に連結される保持ブロック38と、保持ブロック38にガイドされて保持ブロック38の長手方向に沿って進退するアーム39と、を含む。
【0080】
この構成によれば、スライド部36の前後方向の移動と、アーム39の前後方向の移動とを用いて、ストッカ45を前後方向へと移動させることができる。また、アーム回転部37により、保持ブロック38を水平回動させることができるので、保持ブロック38及びアーム39を左右方向に揺動させることができる。これにより、ストッカ45を左右方向へと揺動させることができる。上金型ホルダ8と金型保持ユニット35とが左右方向に隔離しているような場合でも、上金型ホルダ8に対して近接した位置にストッカ45を横付けすることができる。
【0081】
本実施形態において、ストッカ45には、複数の金型保持溝46が並列に配置されている。
【0082】
この構成によれば、1つのストッカ45が複数の長尺上金型UT1を保持することができるので、複数の長尺上金型UT1を効率的に収納することができる。また、前後方向におけるストッカ45の位置決めによって、複数の長尺上金型UT1の中から、上金型ホルダ8の側方に整列させる長尺上金型UT1を選択することができる。加えて、複数の長尺上金型UT1の姿勢を一度に変更することができるので、複数の長尺上金型UT1の姿勢を個別に変更する場合と比べて、作業効率の向上を図ることができる。
【0083】
本実施形態において、ラック本体20には、曲げ加工機1に隣接する、左側の金型保持ユニット35と、これに隣接する右側の金型保持ユニット35とが左右方向にかけて隣り合うように配列されている。
【0084】
ラック本体20にストッカ45を格納する場合、ストッカ45は、前後方向に沿うような姿勢をとることができる。これにより、左右方向に大きなスペースがなくとも、ラック本体20内に複数のストッカ45を収納することができる。
【0085】
本実施形態において、金型収納装置2は、前後方向に沿って引き出し可能に構成された中段金型テーブル65を更に備えている。中段金型テーブル65には、曲げ加工機1の下部テーブル5の下金型ホルダ6に装着される長尺下金型LT1が、前後方向に沿って複数配列されている。曲げ加工機1が備えるロックレバー16が左右方向に沿ってロック位置まで進出し、中段金型テーブル65のロック溝68に進入することで、中段金型テーブル65は、前後方向の移動が規制される。
【0086】
この構成によれば、ロックレバー16によって中段金型テーブル65の前後方向の移動を規制することができる。これにより、下部テーブル5の下金型ホルダ6と、中段金型テーブル65に保持された長尺下金型LT1との位置決め及び固定を適切に行うことができる。
【0087】
ロックレバー16は、下部テーブル5と、中段金型テーブル65との間に配置されている。このロックレバー16は、上下方向に沿って起立した状態で左右方向へ移動し、ロック位置へと到達することで、前後方向へと傾倒した状態へと切り替え可能となる。
【0088】
ロックレバー16が起立状態である場合、ロックレバー16は、長尺下金型LT1の移動経路上に存在する。このため、ロックレバー16と干渉するため、中段金型テーブル65から下金型ホルダ6へと長尺下金型LT1を移送させることができない。一方で、ロックレバー16がロック位置へと到達すると、ロックレバー16を傾倒させることができる。これにより、ロックレバー16を、長尺下金型LT1の移動経路から退避させることができる。これにより、ロックレバー16との干渉が回避されるので、中段金型テーブル65から下金型ホルダ6へと長尺下金型LT1を移送させることができる。このように、中段金型テーブル65をロックレバー16によってロックした状態でなければ、長尺下金型LT1を移送することができない。これにより、ロックレバー16によって中段金型テーブル65がロックされた状態でのみ、長尺下金型LT1の移送を許可することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
以下、
図14及び
図15を参照し、第2の実施形態に係る金型収納装置2について説明する。
図14は、第2の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
図15は、第2の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【0090】
第1の実施形態に係る金型保持ユニット35は、アーム回転部37及びストッカ回転部40を備え、2軸で水平回動を行う構成である。しかしながら、金型保持ユニット35は、ストッカ回転部40による1軸の水平回動を行う構成であってもよい。
【0091】
図14に示すように、第2の実施形態に係る金型保持ユニット35は、スライド部36と、保持ブロック38と、アーム39と、ストッカ回転部40と、ストッカ45とを有している。すなわち、第2の実施形態に係る金型保持ユニット35は、アーム回転部37を備えておらず、保持ブロック38がスライド部36に対して連結されている。
【0092】
この構成によれば、スライド部36が前方へと移動し、且つ、アーム39が前方へと進出することで、ストッカ45は上段収納部30の内部から前方へと引き出される。そして、作業者は、ストッカ45の姿勢を約90度回転させることで、ストッカ45の長手方向、すなわち、長尺上金型UT1が上金型ホルダ8と平行となるように、ストッカ45の姿勢を変化させる。これにより、ストッカ45は、右端の上金型ホルダ8の側方、且つ、左右方向に整列した位置へと配置される。この場合、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上に、長尺上金型UT1を並列させることができる。
【0093】
このように、本実施形態の金型収納装置2によれば、進退機構の進退動作、及びストッカ回転部40の回転動作を利用することで、ストッカ45の前後移動と、ストッカ45の水平回動とを行うことができる。作業者は、ラック本体20内に前後方向に沿って収容されたストッカ45を前方へと進出させ、且つ左右方向に沿うようにストッカ45の姿勢を変更することで、上金型ホルダ8の側方にストッカ45を横付けすることができる。ストッカ45の金型保持溝46を、上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って左右方向に整列させることができるので、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上に、長尺上金型UT1を並列させることができる。このため、長尺上金型UT1を左右方向にスライドさせるだけで、ストッカ45が保持する長尺上金型UT1を、上金型ホルダ8へと配置することができる。
【0094】
このように、作業者は、ストッカ45の前後移動と、ストッカ45の水平回動とを一連の動作の中で行うことができるので、ストッカ45が保持する長尺上金型UT1を、上金型ホルダ8へとスムーズに移送することができる。これにより、曲げ加工機1の上部テーブル7の上金型ホルダ8に対して長尺上金型UT1を装着するときの作業効率の向上を図ることができる。
【0095】
図15に示すように、曲げ加工機1に隣接する、左側の金型保持ユニット35においては、ストッカ45を回転させることで、右端の上金型ホルダ8の側方へ、ストッカ45を位置づけることができる。一方で、曲げ加工機1から離れた位置にある、右側の金型保持ユニット35においては、ストッカ45を回転させても、ストッカ45と右端の上金型ホルダ8との間に距離がある。そこで、右側の金型保持ユニット35のストッカ45から長尺上金型UT1を移送する場合には、右側の金型保持ユニット35が備えるストッカ45の金型保持溝46を経由させることで、上部テーブル7へと金型を移送する経路を形成してもよい。
【0096】
このように、本実施形態において、右側の金型保持ユニット35が保持する長尺下金型LT1は、右側の金型保持ユニット35が備えるストッカ45の金型保持溝46を経由して、上部テーブル7が備える上金型ホルダ8まで移送される。
【0097】
この構成によれば、隣接するストッカのそれぞれを、金型ホルダの左右側方に横並びで配置することができる。これにより、隣接するストッカ同士が協働することで、曲げ加工機から遠い位置にあるストッカの金型を金型ホルダまで移送することができる。
【0098】
上述した各実施形態は、金型収納装置2を開示するのみならず、曲げ加工機1と金型収納装置2とを備える曲げ加工システムも開示するものである。この曲げ加工システムによれば、曲げ加工機1の上部テーブル7の上金型ホルダ8に対して長尺上金型UT1を装着するときの作業効率の向上を図ることができる。
【0099】
なお、上述した第1から第2の実施形態において、ストッカ45は、長尺上金型UT1に限らず、短尺上金型UT2を保持してもよい。同様に、中段金型テーブル65は、長尺下金型LT1に限らず、短尺下金型LT2を保持してもよい。
【0100】
(第3の実施形態)
以下、
図16から
図18を参照し、第3の実施形態に係る金型収納装置2について説明する。
図16は、第3の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
図17は、金型保持ユニットの構成を示す説明図である。
図18は、ガイドプレート及びガイドプレート上を移動するストッカを説明する上面図である。
【0101】
第1の実施形態と同様、第3の実施形態に係る金型収納装置2には、上段収納部30と、中段収納部60と、下段収納部80とが設けられている。第3の実施形態が第1の実施形態と相違する点は、上段収納部30における金型保持ユニット100の構造である。以下、相違点を中心に説明を行う。
【0102】
上段収納部30には、複数の金型保持ユニット100、本実施形態では、4つの金型保持ユニット100が左右方向にかけて隣り合うように配列されている。個々の金型保持ユニット100は、後述するガイドテーブル200上に配置されている。金型保持ユニット100は、ストッカ103と、ストッカ移動部106と、を有している。
【0103】
ストッカ103は、ストッカベース101と、支持コラム102とを含み、ストッカベース101及び支持コラム102によってガイドテーブル200から所定の高さとなる位置に支持されている。
【0104】
ストッカベース101は、一方向に沿って縦長となる箱体で構成されており、下面側が開放されている。ストッカベース101は、その長手方向が前後方向に沿うような姿勢で上段収納部30に格納されている。ストッカベース101の長手方向の両端には、作業者が把持するための上段把手105が設けられている。
【0105】
支持コラム102は、ストッカベース101の長手方向の中央位置に配置されており、ストッカベース101に対して直角に起立している。支持コラム102の上部には、ストッカ103が固定されており、支持コラム102は、ストッカ103を一定の高さで支持する。
【0106】
ストッカ103は、一方向に沿って縦長となる構造体であり、その長手方向が前後方向に沿うような姿勢で上段収納部30に格納されている。ストッカ103は、曲げ加工機1の上金型ホルダ8と対応する高さに配置されている。ストッカ103の下面には、長尺上金型UT1を保持する金型保持溝104が設けられている。金型保持溝104は、ストッカ103の長手方向に沿って直線状に延在する凹形状の溝から構成されている。長尺上金型UT1は、金型保持溝104における長手方向の一方又は他方の端部側から、長手方向に沿ってスライド挿入することで、金型保持溝104に装着される。本実施形態では、ストッカ103の下面には、1つ金型保持溝104が設けられている。金型保持溝104は、曲げ加工機1の上金型ホルダ8に装着される長尺上金型UT1と同一の高さで長尺上金型UT1を保持するように構成されている。
【0107】
ストッカベース101の下面には、ストッカ移動部106が取り付けられている。ストッカ移動部106は、ストッカ103を水平回動させたり、前後移動及び左右移動させたりするもので、一対のガイドピン108a、108bを備えている。
【0108】
一対のガイドピン108a、108bは、金型保持溝104の延在方向にかけて間隔を空けて配置されている。金型保持ユニット100が上段収納部30に格納された状態で、一方のガイドピン108aが前側に位置し、他方のガイドピン108bが後側に位置する。一対のガイドピン108a、108bには、ストッカベース101と対向するように配置されるガイドプレート107が取り付けられている。
【0109】
ガイドプレート107は、一方向に沿って縦長となる箱体で構成されており、上面側が開放されている。ガイドプレート107は、その長手方向が、ストッカベース101の長手方向に沿うような状態で取り付けられている。
【0110】
図18に示すように、ガイドテーブル200の上面には、複数のガイド溝210が設けられている。複数のガイド溝210は、前後方向に延在する4つの縦ガイド溝211a~211dと、左右方向に延在する1つの横ガイド溝212とを含んでいる。4つの縦ガイド溝211a~211dは、4つの金型保持ユニット100に対応して設けられている。これらの縦ガイド溝211a~211dは、一対のガイドピン108a、108bと協働することで、上段収納部30に格納されるストッカ103の姿勢を前後方向に沿うように規制したり、ストッカ103を前後方向へ移動させたりするためのガイドとして機能する。横ガイド溝212は、一対のガイドピン108a、108bと協働することで、ストッカ103を左右方向へと移動させたり、ストッカ103を水平回動させたりするためのガイドとして機能する。横ガイド溝212は、ガイドテーブル200の前側、具体的にはラック本体20外に配置されており、4つの縦ガイド溝211a~211dの前端は、横ガイド溝212にそれぞれ繋がっている。縦ガイド溝211a~211dと横ガイド溝212との接続部は、ストッカ103がスムーズに水平回動できるように面取りされている。
【0111】
上述した金型保持ユニット100のストッカベース101は、ガイドテーブル200の表面側に位置し、ガイドプレート107は、ガイドテーブル200の裏面側に位置する。ストッカベース101及びガイドプレート107がガイドテーブル200の上下に配置されることで、支持コラム102が安定的に起立し、これにより、ストッカ103も水平状態を維持することができる。また、一対のガイドピン108a、108bは、ガイド溝210に挿入されている。これにより、間隔を隔てた一対のガイドピン108a、108bがガイド溝210に沿って移動することで、ストッカ103を前後方向へ移動させたり、左右方向へ移動させたりする。また、一対のガイドピン108a、108bは、縦ガイド溝211a~211dから、縦ガイド溝211a~211dと横ガイド溝212との接続部を通過して横ガイド溝212へと進入することで、ストッカ103を水平回動させる。
【0112】
つぎに、
図16から
図19を参照し、上段収納部30を利用した長尺上金型UT1の交換動作を説明する。以下の説明では、上段収納部30に収納された、最も右側に位置する長尺上金型UT1を、上部テーブル7の上金型ホルダ8へ装着する状況を例示する。ここで、
図19は、ストッカの長尺上金型を上金型ホルダに移送する動作を説明する図である。
【0113】
まず、
図16から
図18に示すように、一対のガイドピン108a、108bは前後方向と沿うように並び、縦ガイド溝211dの最も後側の位置にある。ストッカ103は、金型保持溝104が前後方向に沿うような姿勢で上段収納部30内に格納され、ストッカ103に保持された長尺上金型UT1も上段収納部30内に格納されている(第1状態)。
【0114】
図18に示すように、作業者は、ストッカ103を前方へと引き出す。一対のガイドピン108a、108bが縦ガイド溝211dによってガイドされるため、ストッカ103は長手方向が前後方向に沿ったままの姿勢で前方へと移動する。作業者は、前側のガイドピン108aが横ガイド溝212に到達するまで、ストッカ103を手前に引き出すことができる。
【0115】
前側のガイドピン108aが横ガイド溝212に到達すると、作業者は、ストッカ103を手前に引き出ししつつ、ストッカ103の前端を右方向へ向けて移動させる。前側のガイドピン108aは、横ガイド溝212に沿って右方向へと移動する。このとき、後側のガイドピン108bは、縦ガイド溝211dに沿って前方向へと移動し、横ガイド溝212まで到達すると、その後は、横ガイド溝212に沿って右方向へと移動する。このような一対のガイドピン108a、108bの動きに連動し、ストッカ103は、縦ガイド溝211dと横ガイド溝212との接続点において水平回動する。これにより、ストッカ103の姿勢は、約90度回転した状態へと変化する。そして、ストッカ103は、上部テーブル7の上金型ホルダ8と横並びとなる。
【0116】
一対のガイドピン108a、108bが横ガイド溝212へと進入すると、一対のガイドピン108a、108bが左右方向に整列するため、ストッカ103及び金型保持溝104も、左右方向に整列する。横ガイド溝212は、ガイドテーブル200上の所定の位置に精度よく形成されているので、一対のガイドピン108a、108bによってストッカ103が左右方向に整列したとき、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上にストッカ103の金型保持溝104が位置するようになっている。これにより、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上に、長尺上金型UT1を並列させることができる(第2状態)。
【0117】
つぎに、
図18及び
図19に示すように、作業者は、ストッカ103の左端が上金型ホルダ8に突き当たるまで、ストッカ103を左側へと移動させる。このとき、一対のガイドピン108a、108bが横ガイド溝212に沿って左方向へと移動することで、ストッカ103をスムーズに直線移動させることができる。
【0118】
図19に示すように、右端の上金型ホルダ8の側方にストッカ103が到達すると、上金型ホルダ8のホルダ溝と、ストッカ103の金型保持溝104とが左右方向に連続する。作業者は、ストッカ103の長尺上金型UT1を左方向へと移動させることで、ストッカ103から上金型ホルダ8へと長尺上金型UT1を移送させることができる。そして、作業者は、上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って長尺上金型UT1をスライド移動させることで、上部テーブル7の所望位置に対して長尺上金型UT1を配置することができる。
【0119】
このように本実施形態によれば、ストッカ移動部106は、金型保持溝104の延在方向にかけて間隔を空けてストッカ103に取り付けられ、ガイドテーブル200に形成されたガイド溝210に挿入されてストッカ103の移動を案内する一対のガイドピン108a、108bを含む。ガイドテーブル200のガイド溝210は、ラック本体内からラック本体外まで前方に向かって延在する縦ガイド溝211a~211dと、左右方向に延在しており、縦ガイド溝211a~211dの前端が接続された横ガイド溝212と、を有している。一対のガイドピン108a、108bは、縦ガイド溝211a~211dから、縦ガイド溝211a~211dと横ガイド溝212との接続部を通過して横ガイド溝212へと到達することで、ストッカ103を水平回動させる。
【0120】
この構成によれば、ストッカ移動部106により、ストッカ103の前後移動と、ストッカ103の水平回動とを行うことができる。作業者は、ラック本体20内に前後方向に沿って収容されたストッカ103を前方へと進出させ、且つ左右方向に沿うようにストッカ103の姿勢を変更することで、上金型ホルダ8の側方にストッカ103を配置することができる。ストッカ103の金型保持溝104を、上金型ホルダ8のホルダ溝に沿って左右方向に整列させることができるので、上金型ホルダ8のホルダ溝の延長線LA上に、長尺上金型UT1を並列させることができる。このため、長尺上金型UT1を左右方向にスライドさせるだけで、ストッカ103が保持する長尺上金型UT1を、上金型ホルダ8へと配置することができる。
【0121】
このように、作業者は、ストッカ103の前後移動と、ストッカ103の水平回動とを一連の動作の中で行うことができるので、ストッカ103が保持する長尺上金型UT1を、上金型ホルダ8へとスムーズに移送することができる。これにより、曲げ加工機1の上部テーブル7の上金型ホルダ8に対して長尺上金型UT1を装着するときの作業効率の向上を図ることができる。
【0122】
なお、第3の実施形態に係るストッカ103は、長尺上金型UT1に限らず、短尺上金型UT2を保持してもよい。
【0123】
上記のように、本実施形態を記載したが、この実施形態の一部をなす論述及び図面はこの実施形態を限定するものであると理解すべきではない。この実施形態から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0124】
1 曲げ加工機
3L、3R サイドフレーム
5 下部テーブル
6 下金型ホルダ
7 上部テーブル
8 上金型ホルダ
9L、9R 駆動機構
10 制御装置
11 テーブル側固定ブロック
12 位置決めピン
14 固定ラッチ
14a 解除ボタン
15 乗り継ぎ部
15a 従動ローラ
16 ロックレバー
16a ロッド
17 レバー支持部材
17a ガイド溝
17b ロック溝
2 金型収納装置
20 ラック本体
30 上段収納部
31 開閉扉
35 金型保持ユニット
36 スライド部(ストッカ移動部(進退機構))
37 アーム回転部
38 保持ブロック(ストッカ移動部(進退機構))
39 アーム(ストッカ移動部(進退機構))
40 ストッカ回転部(ストッカ移動部)
41 上段スライドレール(レール部材)
45 ストッカ
46 金型保持溝
47 ストッカ側固定ブロック
47a 位置決め溝
47b 固定溝
47c ストッパ
48 上段把手
60 中段収納部
61 中段扉
62 中段把手
65 中段金型テーブル(金型テーブル)
66 中段スライドレール
67 下金型保持部
68 ロック溝
80 下段収納部
81 下段扉
82 下段把手
85 下段金型テーブル
86 下段スライドレール
87 上金型保持部
88 下金型保持部
100 金型保持ユニット
101 ストッカベース
102 支持コラム
103 ストッカ
104 金型保持溝
105 上段把手
106 ストッカ移動部
107 ガイドプレート
108a、108b ガイドピン
200 ガイドテーブル
210 ガイド溝
211a、211b、211c、211d 縦ガイド溝
212 横ガイド溝
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
【
図1】
図1は、金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る曲げ加工システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、金型収納装置の要部を示す正面図である。
【
図4】
図4は、金型収納装置の要部を示す側面図である。
【
図5】
図5は、ストッカの要部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、曲げ加工機の上部テーブル側に設けられたテーブル側固定ブロックを説明する図である。
【
図7】
図7は、ストッカの要部を拡大して示す側面図である。
【
図8】
図8は、上段収納部を利用した長尺上金型の交換動作を説明する図である。
【
図9】
図9は、ストッカの長尺上金型を上金型ホルダに装着する動作を説明する図である。
【
図10】
図10は、中段収納部を利用した長尺下金型の交換動作を説明する図である。
【
図11】
図11は、曲げ加工機が備える乗り継ぎ部及びロックレバーを説明する図である。
【
図12】
図12は、中段金型テーブルの長尺下金型を下部ホルダに装着する動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、下段収納部を利用した短尺上金型及び短尺下金型の交換動作を説明する図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
【
図17】
図17は、金型保持ユニットの構成を示す説明図である。
【
図18】
図18は、ガイド
テーブル及びガイド
テーブル上を移動するストッカを説明する上面図である。
【
図19】
図19は、ストッカの長尺上金型を上金型ホルダに移送する動作を説明する図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
金型収納装置2は、上金型UT1、UT2及び下金型LT1、LT2を含む複数の金型を収納している。金型収納装置2は、下金型ホルダ6及び上金型ホルダ8に対して作業者が金型の交換(手動交換)を行うために用いられる。金型収納装置2は、曲げ加工機1の左右側方のいずれか一方又は両方に配置されている。
図2に示す例では、
金型収納装置2は、曲げ加工機1の右側に隣接するように配置されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
まず、
図3及び
図4に示すように、保持ブロック38及びストッカ45は、長手方向が前後方向と沿うような姿勢にあり、アーム39は最も後退した位置にある。この場合、ストッカ45は、金型保持溝46が前後方向に沿うような姿勢でラック本体20内に格納され、ストッカ45に保持された長尺上金型UT1も上段収納部30
内に格納されている(第1状態)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
図15に示すように、曲げ加工機1に隣接する、左側の金型保持ユニット35においては、ストッカ45を回転させることで、右端の上金型ホルダ8の側方へ、ストッカ45を位置づけることができる。一方で、曲げ加工機1から離れた位置にある、右側の金型保持ユニット35においては、ストッカ45を回転させても、ストッカ45と右端の上金型ホルダ8との間に距離がある。そこで、右側の金型保持ユニット35のストッカ45から長尺上金型UT1を移送する場合には、
左側の金型保持ユニット35が備えるストッカ45の金型保持溝46を経由させることで、上部テーブル7へと金型を移送する経路を形成してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
このように、本実施形態において、右側の金型保持ユニット35が保持する長尺下金型LT1は、左側の金型保持ユニット35が備えるストッカ45の金型保持溝46を経由して、上部テーブル7が備える上金型ホルダ8まで移送される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
(第3の実施形態)
以下、
図16から
図18を参照し、第3の実施形態に係る金型収納装置2について説明する。
図16は、第3の実施形態に係る金型収納装置の要部を説明する図である。
図17は、金型保持ユニットの構成を示す説明図である。
図18は、ガイド
テーブル及びガイド
テーブル上を移動するストッカを説明する上面図である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
一対のガイドピン108a、108bは、金型保持溝104の延在方向にかけて間隔を空けて配置されている。金型保持ユニット100が上段収納部30に格納された状態で、一方のガイドピン108aが前側に位置し、他方のガイドピン108bが後側に位置する。一対のガイドピン108a、108bには、ストッカベース101と対向するように配置されるガイドプレート107が取り付けられている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
前側のガイドピン108aが横ガイド溝212に到達すると、作業者は、ストッカ103を手前に引き出しつつ、ストッカ103の前端を右方向へ向けて移動させる。前側のガイドピン108aは、横ガイド溝212に沿って右方向へと移動する。このとき、後側のガイドピン108bは、縦ガイド溝211dに沿って前方向へと移動し、横ガイド溝212まで到達すると、その後は、横ガイド溝212に沿って右方向へと移動する。このような一対のガイドピン108a、108bの動きに連動し、ストッカ103は、縦ガイド溝211dと横ガイド溝212との接続点において水平回動する。これにより、ストッカ103の姿勢は、約90度回転した状態へと変化する。そして、ストッカ103は、上部テーブル7の上金型ホルダ8と横並びとなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】