(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152478
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】シート押さえ具及びシート押さえ具の土壌挿入方法
(51)【国際特許分類】
A01G 13/02 20060101AFI20231010BHJP
A01G 13/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A01G13/02 J
A01G13/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062514
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】502231018
【氏名又は名称】株式会社グリーンフィールド
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 滋
【テーマコード(参考)】
2B024
【Fターム(参考)】
2B024DC05
2B024EC07
(57)【要約】
【課題】シート押さえ具が土壌にシートを固定する力が弱くなったり、シート押さえ具が土壌から抜けることを抑える。
【解決手段】シート押さえ具は、頭部と、シートを貫通して土壌に差し込まれる差込部とを備え、差込部は、本体部と、本体部から、本体部の長手方向に対して直角方向に、互いに反対方向に延びる、一対の板状の突き出し部とを有し、一対の前記突き出し部の主面は、本体部の長手方向に対して平行であり、一対の突き出し部の一の突き出し部の端部から他の突き出し部の端部までの長さは、頭部の幅よりも長い。シート押さえ具は、一枚の金属板のプレス加工により作製されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と、シートを貫通して土壌に差し込まれる差込部とを備え、
前記差込部は、本体部と、該本体部から、該本体部の長手方向に対して直角方向に延びる、一対の板状の突き出し部とを有し、
一対の前記突き出し部の主面は、前記本体部の長手方向に対して平行であり、
一対の前記突き出し部の一の突き出し部の端部から他の突き出し部の端部までの長さは、前記頭部の幅よりも長い、シート押さえ具。
【請求項2】
一枚の金属板のプレス加工により作製された、請求項1に記載のシート押さえ具。
【請求項3】
前記突き出し部の形状は三角形である、請求項1に記載のシート押さえ具。
【請求項4】
一対の前記突き出し部は、前記本体部の長手方向に対して直角方向に、互いに反対方向に直線状に延びる、請求項1に記載のシート押さえ具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシート押さえ具の差込部を、前記シートを介して土壌に挿入するときに、一対の突き出し部により前記シートに線状の切り目を作る、シート押さえ具の土壌挿入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に敷設した防草シート等のシートを地面に固定するシート押さえ具及びシート押さえ具の土壌挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に雑草が繁茂することを防止するための手段の一つとして、防草シートを敷設することがあげられる。また、防草シートを敷設する際には、防草シートを地面に押さえ付けるためのシート押さえ具が必要となる。
シート押さえ具は、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0003】
特許文献1には、無用植物の発生防止具が記載され、発生防止具が、有用植物が植わった植込14の地面を覆うように敷設される非透水性のカバーと、そのカバーを地面に打ちつけて固定する杭(シート押さえ具に対応する)とから構成されることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、シート状体の敷設状態をより安定化させることのできる固定具(シート押さえ具に対応する)が記載され、固定具が、地面に設置されたプラスチックフィルムを貫通して地面に埋め込まれる略棒状の埋め込み部、地面との間にプラスチックフィルムを挟み込む押さえ部とを備えることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、嵩張ることなく保管・運搬でき、使用時には農業用フィルム等の張設物を確実に押さえて土の表面に固定する、張設物の留め具(シート押さえ具に対応する)が記載され、留め具が、張設物を上方から下方へ貫通して土中に刺し込む土刺部と、その上端側に設けて張設物を上方から押さえる押頭部とから成り、土刺部の側縁に、土から抜け止めする鋸刃状の抜止歯が形成されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-228611号公報
【特許文献2】特開2019-106964号公報
【特許文献3】特開2011-223943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
防草シートのようなシートをシート押さえ具で固定した場合に、寒暖の差等によりシートが伸縮し、それによってシート押さえ具に対して力がかかり、シート押さえ具が動いて土壌に固定する力が弱くなったり、シート押さえ具が抜ける可能性があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決し、シートが伸縮しても、シート押さえ具が土壌にシートを固定する力が弱くなったり、シート押さえ具がから抜けることを抑えることが可能なシート押さえ具及びシート押さえ具の土壌挿入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0010】
(1) 本発明に係るシート押さえ具は、頭部と、シートを貫通して土壌に差し込まれる差込部とを備え、
前記差込部は、本体部と、該本体部から、該本体部の長手方向に対して直角方向に延びる、一対の板状の突き出し部とを有し、
一対の前記突き出し部の主面は、前記本体部の長手方向に対して平行であり、
一対の前記突き出し部の一の突き出し部の端部から他の突き出し部の端部までの長さは、前記頭部の幅よりも長い、シート押さえ具である。
である。
【0011】
(2) (1)に記載のシート押さえ具において、前記シート押さえ具は、一枚の金属板のプレス加工により作製してもよい。
【0012】
(3) (1)に記載のシート押さえ具において、前記突き出し部の形状は三角形としてもよい。
【0013】
(4) (1)に記載のシート押さえ具において、一対の前記突き出し部は、前記本体部の長手方向に対して直角方向に、互いに反対方向に直線状に延びるようにしてもよい。
【0014】
(5) 本発明に係る、シート押さえ具の土壌挿入方法は、上記(1)から(4)のいずれかに記載のシート押さえ具の差込部を、前記シートを介して土壌に挿入するときに、一対の突き出し部により前記シートに線状の切り目を作る、シート押さえ具の土壌挿入方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シートが伸縮しても、シート押さえ具が土壌にシートを固定する力が弱くなったり、シート押さえ具が土壌から抜けることを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態におけるシート押さえ具の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるシート押さえ具の6面図である。
【
図3】防草シートに線状の切り目を作る動作を説明する図である。
【
図4】防草シートに線状の切り目を作る動作を説明する図である。
【
図5】防草シートに線状の切り目を作る動作を説明する図である。
【
図6】防草シートに線状の切り目を作る動作を説明する図である。
【
図7】2つのシート押さえ具で防草シートの一部を固定した様子を示す図である。
【
図8】端部が上方に移動した一対の突き出し部を示す図である。
【
図9】端部が下方に移動した一対の突き出し部を示す図である。
【
図10】一対の突き出し部の他の構成例を示す図である。
【
図11】一対の突き出し部の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態におけるシート押さえ具の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態におけるシート押さえ具の6面図である。
【0018】
シート押さえ具10は、
図1に示すように、土壌の地面上の防草シートの上に露出して残る頭部11と、防草シートを貫通して土壌に差し込まれる(挿入される)差込部12とを備えている。
頭部11は、
図1及び
図2の平面図に示すように、上方から見ると四角状となっており、差込部12の先端は
図2の底面図に示すように下から見ると「く」の字状となっている。
差込部12の先端は、差込部12が土壌に差し込み(挿入)しやすいように尖っている。
差込部12は、
図1に示すように、本体部12aと、本体部12aから、本体部12aの長手方向に対して直角方向に、互いに反対方向(X方向)に直線状に延びる、一対の平板状の突き出し部12b
R、12b
Lとを有する。
【0019】
一対の突き出し部12bR、12bLはそれぞれ、三角形状であり、一対の突き出し部12bR、12bLの主面は、本体部12aの長手方向に対して平行である。ここで、「平行」とは実質的に平行であることを意味し、本体部12aが土壌に挿入されるときに、一対の突き出し部12bR、12bLの傾きが障害にならない程度であれば、一対の突き出し部12bR、12bLの主面は、本体部12aの長手方向に対して対して傾いてもよい。
突き出し部12bRの端部から突き出し部12bLの端部までの長さLは、頭部11の幅Wよりも長い(L>W)。
【0020】
シート押さえ具10は、頭部11と、突き出し部12bR、12bLを含む差込部12とを作成するための原型となる一枚の金属板を、プレス加工することで作製される。
ただし、シート押さえ具10は、別な作製方法で作製してもよく、例えば、頭部11と、突き出し部12bR、12bLを含み、先端部が尖った差込部12とを別々に作製し、その後、頭部11と差込部12とを溶接で接続して作製されてもよい。
【0021】
本実施形態では、シート押さえ具10の頭部11をハンマー等でたたいて、差込部12を、防草シートを介して土壌に打ち込むときに、一対の突き出し部12b
R、12b
Lは防草シートに線状の切り目を作る。
以下、防草シートに線状の切り目を作る動作について、
図3~
図6を用いて説明する。
図3は、差込部12の本体部12aを、防草シート20を介して土壌30に挿入する様子を説明する図である。
図4及び
図5は、一対の突き出し部12b
R、12b
Lが防草シート20に細長い開口部を作る様子を説明する図である。
図6は一対の突き出し部12b
R、12b
Lが土壌30に挿入され、防草シート20に線状の切り目が作られた様子を説明する図である。
【0022】
シート押さえ具10の頭部11をハンマー等でたたいて、
図3に示すように、差込部12の本体部12aを、防草シート20を介して土壌30に挿入する。
【0023】
シート押さえ具10の頭部11を続けてハンマー等でたたくと、
図4及び
図5に示すように、一対の突き出し部12b
R、12b
Lが防草シート20に細長い開口部を作る。開口部の長さは、突き出し部12b
Rの端部から突き出し部12b
Lの端部までの長さLとほぼ同一となる。
【0024】
シート押さえ具10の頭部11を更にハンマー等でたたくと、
図6に示すように、一対の突き出し部12b
R、12b
Lが土壌に挿入され、防草シート20には、シート押さえ具10の頭部11が残る。防草シート20では、一対の突き出し部12b
R、12b
Lが抜けて、細長い開口部が埋まり、シート押さえ具10の頭部11を基準とした、線状の切り目が残る。線状の切り目の長さは、突き出し部12b
Rの端部から突き出し部12b
Lの端部までの長さLとほぼ同一となる。
図1に示すように、突き出し部12b
Rの端部から突き出し部12b
Lの端部までの長さLは、頭部11の幅Wよりも長く(L>W)したのは、
図6に示すように、シート押さえ具10の頭部11の周囲に頭部11を基準とした、線状の切り目を作成するためである。
【0025】
そして、防草シート20の複数箇所を、複数のシート押さえ具を用いて地面に固定することにより、切り目の入った防草シート20の固定作業が完了する。
図7は、2つのシート押さえ具10A、10Bで防草シート20の一部を固定した様子を示している。
【0026】
以上説明した本実施形態によれば、シート押さえ具10の頭部11の周囲に線状の切り目ができ、寒暖の差等により防草シートが伸縮しても、伸縮によって発生する力を切り目で緩和することができる。よって、防草シートの伸縮によって発生する力によって、シート押さえ具に対して力がかかり、シート押さえ具が動いて土壌に固定する力が弱くなったり、シート押さえ具が土壌から抜けることを抑制することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る実施形態は、上述した実施形態に限るものではない。
例えば、頭部11の形状は四角状となっているが、特に四角状に限らない。特に、シート押さえ具10を、頭部11と、差込部12とを溶接で接続して作製する場合には、頭部11の形状は円形、楕円形、三角形、五角形以上の多角形等の任意の形状としてよい。
また、差込部12の形状は、頭部11から先端にいくにしたがって「く」の字状に折れ曲がっているが、折れ曲がっていなくてもよい。
【0028】
突き出し部12b
R、12b
Lの各形状は、特に限定されず、半円状、半楕円状、四角状等の他の形状であってもよい。三角形の形状も、特に
図1~
図6に示した二等辺三角形状に限定されず、
図8に示すように、端部が下方に移動した突き出し部12b
R1、12b
L1であってもよく、
図9に示すように、端部が上方に移動した突き出し部12b
R2、12b
L2であってもよい。
【0029】
本実施形態として、差込部12は、
図1に示すように、本体部12aから、本体部12aの長手方向に対して直角方向に、互いに反対方向に直線状に延びる、一対の平板状の突き出し部12b
R、12b
Lを有する例について説明した。
しかし、「本体部の長手方向に対して直角方向に延びる」とは、このような例に限定されず、例えば、差込部12は、
図10に示すように、本体部12aから、本体部12aの長手方向に対して直角方向に「ハ」の字状に延びる、一対の平板状の突き出し部12b
R3、12b
L3を有してもよい。この場合、シート20には「ハ」の字状の切り目が作成される。
また差込部12は、
図11に示すように、本体部12aから、本体部12aの長手方向に対して直角方向に、「ハ」の字状に延びる、一対の曲面板状の突き出し部12b
R4、12b
L4を有してもよい。つまり、「板状」とは曲面板状も含まれる。この場合、シート20には「ハ」の字状の切り目が作成される。
【0030】
上述した実施形態では、シート押さえ具で固定するシートとして防草シートを例にとって説明したが、特に防草シートに限定されず、例えばレジャー用シートであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 シート押さえ具
11 頭部
12 差込部
12a 本体部
12bR、12bL 突き出し部
20 防草シート
30 土壌