IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クラウン・パッケージの特許一覧

<>
  • 特開-包装容器及び展開体 図1
  • 特開-包装容器及び展開体 図2
  • 特開-包装容器及び展開体 図3
  • 特開-包装容器及び展開体 図4
  • 特開-包装容器及び展開体 図5
  • 特開-包装容器及び展開体 図6
  • 特開-包装容器及び展開体 図7
  • 特開-包装容器及び展開体 図8
  • 特開-包装容器及び展開体 図9
  • 特開-包装容器及び展開体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152492
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】包装容器及び展開体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/355 20060101AFI20231010BHJP
   B65D 5/28 20060101ALI20231010BHJP
   B65D 27/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B65D5/355
B65D5/28
B65D27/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062538
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 理菜
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB18
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060BC04
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】 包装容器の第1状態から第2状態への変形を容易にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】 包装容器は、第1側板と、第1側板に対向する第2側板と、第1側板と第2側板との間に配置される第3側板と、を備え、第1状態では、第3側板が第1側板と第2側板に連結されており、第1側板と第3側板とのうちの一方は、第1側板と第3側板との連結箇所を他の個所から切り離し可能な切離部を備え、切離部によって連結箇所が特定の側板の他の個所から切り離されることによって、第3側板が第1側板及び第2側板に対して移動可能であり、包装容器が第1状態から第2状態に変形可能であり、第2状態では、第1側板と第2側板との間隔が第1状態における第1側板と第2側板との間隔よりも大きく、第3側板の少なくとも一部が第1状態から第2側板に対して立ち上がって配置され、第1側板と第2側板との間に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器であって、
第1側板と、
前記第1側板に対向する第2側板と、
前記第1側板と前記第2側板との間に配置される第3側板と、を備え、
第1状態では、前記第3側板は、前記第1側板と前記第2側板のそれぞれに連結されており、
前記第1側板と前記第3側板とのうちの特定の側板は、前記第1側板と前記第3側板との連結箇所を、前記特定の側板の他の個所から切り離し可能な切離部を備え、
前記切離部によって前記連結箇所が前記特定の側板の前記他の個所から切り離されることによって、
前記第3側板が前記第1側板及び前記第2側板に対して移動可能であり、
前記包装容器が前記第1状態から第2状態に変形可能であり、
前記第2状態では、
前記第1側板と前記第2側板との間隔が、前記第1状態における前記第1側板と前記第2側板との間隔よりも大きく、
前記第3側板の少なくとも一部が、前記第1状態から前記第2側板に対して立ち上がって配置され、前記第1側板と前記第2側板との間に配置されている、包装容器。
【請求項2】
前記第1状態では、
前記第1側板と前記第3側板とは、重ねて配置されており、
前記連結箇所において、前記第1側板と前記第3側板とは、互いに面接着されている、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記第3側板は、前記第2側板の両端縁のそれぞれから延びる一対の第3側板部分を備え、
前記一対の第3側板部分のそれぞれは、前記第2側板に連結されている、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記第1状態において前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とで画定される開口を閉じる蓋板をさらに備え、
前記蓋板は、前記第2側板の端縁に回転可能に連結されている、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記第2状態では、
前記第3側板と、前記蓋板の前記第2側板側の一部と、前記第1側板及び前記第2側板の少なくとも一方の側板の一部と、が前記第2側板から立ち上がって配置されており、
前記第1側板と前記蓋板とによって、前記第2側板から立ち上がって配置される前記第3側板と、前記蓋板の前記第2側板側の一部と、前記第1側板及び前記第2側板の少なくとも一方の側板の一部と、によって画定される開口を閉じる、請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
第1状態から第2状態に変形可能な包装容器であって、
第1側板と、
前記第1側板に対向する第2側板と、
前記第1側板と前記第2側板との間に配置され、前記第2側板と折曲線を介して連結されている第3側板と、を備え、
前記第1状態では、
前記第3側板が前記第2側板に対して折り曲げられて、前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とが重なって配置されており、
前記第2状態では、
前記第3側板が前記第2側板に対して立ち上げられて、前記第1側板と前記第2側板とが離間して配置されている、包装容器。
【請求項7】
1枚の平板で構成されており、請求項1又は6に記載の包装容器を組み立て可能な展開体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、包装容器に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容積を変更可能な配送箱が開示されている。配送箱では、配送箱の高さを変更することによって、容積が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-138415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、展開体から、高さの高い状態と、高さの低い状態と、のいずれかの状態の配送箱が組み立てられる。高さの高い状態と低い状態との一方の状態から他方の状態に変形することは考慮されていない。
【0005】
本明細書では、包装容器を第1状態から第2状態へ変形することを容易にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、包装容器を開示する。第1の態様では、包装容器は、第1側板と、前記第1側板に対向する第2側板と、前記第1側板と前記第2側板との間に配置される第3側板と、を備え、第1状態では、前記第3側板は、前記第1側板と前記第2側板のそれぞれに連結されており、前記第1側板と前記第3側板とのうちの特定の側板は、前記第1側板と前記第3側板との連結箇所を、前記特定の側板の他の個所から切り離し可能な切離部を備え、前記切離部によって前記連結箇所が前記特定の側板の前記他の個所から切り離されることによって、前記第3側板が前記第1側板及び前記第2側板に対して移動可能であり、前記包装容器が前記第1状態から第2状態に変形可能であり、前記第2状態では、前記第1側板と前記第2側板との間隔が、前記第1状態における前記第1側板と前記第2側板との間隔よりも大きく、前記第3側板の少なくとも一部が、前記第1状態から前記第2側板に対して立ち上がって配置され、前記第1側板と前記第2側板との間に配置されていてもよい。
【0007】
この構成では、第1状態では、第3側板が第1側板と第2側板とのそれぞれと連結されることによって、第1側板と第2側板と第3側板とによって画定される空間に対象物を収納する。第1状態から第2状態に変形する場合、切離部によって連結箇所が特定の側板の他の個所から切り離されることによって、第3側板を、第1側板及び第2側板に対して移動可能とすることができる。これにより、第3側板を第1側板と第2側板に対して立ち上げることができる。これにより、第1状態から、第1状態よりも高い第2状態に容易に変形することができる。
【0008】
第2の態様では、上記の第1の態様において、前記第1状態では、前記第1側板と前記第3側板とは、重ねて配置されており、前記連結箇所において、前記第1側板と前記第3側板とは、互いに面接着されていてもよい。
【0009】
この構成によると、切離部によって面接着されている連結箇所を、第1側板と第3側板とのいずれか一方の側板から切り離すことによって、第1側板と第3側板との連結を解除することができる。
【0010】
第3の態様では、上記の第1又は第2の態様において、前記第3側板は、前記第2側板の両端縁のそれぞれから延びる一対の第3側板部分を備え、前記一対の第3側板部分のそれぞれは、前記第2側板に連結されていてもよい。
【0011】
この構成によると、一枚の平板形状を有する展開体から包装容器の作製を容易にすることができる。
【0012】
第4の態様では、上記の第1から第3の態様のいずれか一つの態様において、前記第1状態において前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とで画定される開口を閉じる蓋板をさらに備え、前記蓋板は、前記第2側板の端縁に回転可能に連結されていてもよい。
【0013】
この構成によると、一枚の平板形状を有する展開体から包装容器を作製することができる。
【0014】
第5の態様では、上記の第4の態様において、前記第2状態では、前記第3側板と、前記蓋板の前記第2側板側の一部と、前記第1側板及び前記第2側板の少なくとも一方の側板の一部と、が前記第2側板から立ち上がって配置されており、前記第1側板と前記蓋板とによって、前記第2側板から立ち上がって配置される前記第3側板と、前記蓋板の前記第2側板側の一部と、前記第1側板及び前記第2側板の少なくとも一方の側板の一部と、によって画定される開口を閉じてもよい。
【0015】
第2状態では、蓋板と第1側板とで開口を閉じることによって、蓋板のみで開口を閉じる構成と比較して、蓋板を小さく形成することができる。
【0016】
本明細書で開示される第6の態様では、包装容器は、第1状態から第2状態に変形可能な包装容器であって、第1側板と、前記第1側板に対向する第2側板と、前記第1側板と前記第2側板との間に配置され、前記第2側板と折曲線を介して連結されている第3側板と、を備え、前記第1状態では、前記第3側板が前記第2側板に対して折り曲げられて、前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とが重なって配置されており、前記第2状態では、前記第3側板が前記第2側板に対して立ち上げられて、前記第1側板と前記第2側板とが離間して配置されていてもよい。
【0017】
第1状態の包装容器は、書類等の厚みが小さい対象物を包装するのに適している。第2状態の包装容器は、厚みがある対象物を収容可能である。この構成によると、第3側板を第2側板に対して立ち上げることによって、第1状態から第2状態に容易に変形することができる。
【0018】
上記した上記の第1から第6の態様のいずれか一つの態様の包装容器を作製するための展開体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施例の第1状態の包装容器の斜視図。
図2】第1実施例の第1状態の包装容器が閉じられている状態の斜視図。
図3】第1実施例の包装容器の展開図。
図4】第1実施例の第1状態から第2状態を組立途中の包装容器の斜視図。
図5図4に続く第1状態から第2状態を組立途中の包装容器の斜視図。
図6】第1実施例の第2状態の包装容器の斜視図。
図7】第1実施例の第2状態の包装容器が閉じられている状態の斜視図。
図8】第2実施例の第1状態の包装容器が閉じられている状態の斜視図。
図9】第2実施例の第2状態の包装容器が閉じられている状態の斜視図。
図10】第2実施例の包装容器の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施例)
図1に示す包装容器10は、対象物を包装して搬送するために用いられる。なお、包装容器10の用途は、搬送に限られず、保護、保管等に用いられてもよい。本明細書に含まれる前後、左右、及び上下方向は、説明を容易にするために規定されており、実際の使用時の姿勢を規定するものではない。包装容器10は、図1に示す第1状態と、図6に示す第2状態と、のいずれかの状態で、対象物を収容し、封止されて用いられる。
【0021】
図3に示すように、包装容器10は、1枚の平板状の展開体BL1に設けられている複数の折曲線を折り曲げることによって作製される。複数の折曲線のそれぞれは、折曲線に沿って容易に折り曲げられるように、折曲線に沿った溝及びスリットの少なくとも一方を有する。スリットは、平板を貫通する隙間が無いあるいは隙間が小さい切れ込みである。複数の折曲線は、細い破線で表されている。また、接着剤が塗布される箇所は、平行細線で表されている。なお、接着剤が塗布される面が図3に表される面であっても、裏面であっても、平行細線で示される。展開体BL1は、1枚の段ボール紙で作製されている。なお、展開体BL1は、段ボール紙以外の紙、又は、樹脂によって作製されていてもよい。
【0022】
包装容器10は、5個の側板12、14、16、18、20、30を備える。包装容器10の各板12、14、16、18、20、30は、平板で構成されている。
【0023】
側板16は、包装容器10の下端に配置される。側板16は、長方形状を有する。側板16の後端縁には、側板12が折曲線を介して連結されている。側板12は、前後方向の長さが、側板16の前後方向の長さよりも短い。側板12は、側板16と反対側の端縁に両端に位置する角部が丸められた略長方形状を有する。側板12の前後方向の中間位置には、折曲線12bが配置されている。折曲線12bは、側板16と側板12との境界の折曲線に平行に配置されている。折曲線12bは、左右方向に平行に配置されている。また、側板12の下面(図3の裏面)には、接着剤が付された接着領域12aが設けられている。接着領域12aは、剥離紙で覆われており、側板12が接着される場合、剥離紙が剥がされる。
【0024】
側板16の前端縁には、側板14が折曲線を介して連結されている。側板14は、前後方向の長さが、側板16の前後方向の長さよりも短い。側板14は、側板16と反対側の端縁に両端に位置する角部が丸められた略長方形状を有する。側板14の前後方向の中間位置には、折曲線14bが配置されている。折曲線14bは、側板16と側板14との境界の折曲線に平行に配置されている。折曲線14bは、左右方向に平行に配置されている。折曲線14bから側板16と側板14との境界の折曲線の距離は、折曲線12bから側板16と側板12との境界の折曲線の距離と一致する。
【0025】
側板14には、さらに折曲線14dが配置されている。折曲線14dは、折曲線14bと平行に、折曲線14bよりも側板16から離れた位置に配置されている。側板14には、折曲線14dの両端のそれぞれに、係合片14cが配置されている。係合片14cは、折曲線14dから側板16に向かって延びて、湾曲して側板14の端縁に向かって左右方向(即ち折曲線14d)に平行に延びているスリットによって側板14の他の部分から部分的に切り離されている。
【0026】
側板14の側板16と反対側の端縁には、側板16と反対側に突出する一対の突出部14a、14aを備える。一対の突出部14a、14aは、左右方向に互いに離間して配置されている。
【0027】
側板14の折曲線14bと、側板16と側板14との境界の折曲線と、の間において、側板14の左右方向の両端縁のそれぞれには、接着片50、52のそれぞれが配置されている。
【0028】
側板16の右端縁には、側板20が折曲線を介して連結されている。側板20は、フラップ22と、側板部分24と、折曲片26と、上端片27と、接着片28と、を備える。側板部分24は、長方形状を有する。側板部分24の前後方向の長さが、側板16の前後方向の長さと略同一である。側板部分24の側板16との境界の折曲線から側板16と反対側の端縁までの長さは、折曲線14bから側板16と側板14との境界の折曲線の距離及び折曲線12bから側板16と側板12との境界の折曲線の距離と略一致する。
【0029】
側板部分24の後端縁には、フラップ22が折曲線を介して連結されている。側板部分24の側板16と反対側の端縁、即ち上端縁には、折曲片26が折曲線を介して連結されている。折曲片26は、側板部分24の前後方向の全長に亘って連結されている。折曲片26には、スリット26aが配置されている。スリット26aは、折曲片26を貫通している。スリット26aは、左右方向において折曲片26の全長に亘って延びて、折曲片26の左右方向の両端において、後方に若干延びている。スリット26aは、図6に示す第2状態において、係合片14cと重なる位置に配置されている。
【0030】
折曲片26の側板部分24と反対側の端縁には、上端片27及び接着片28が配置されている。上端片27と接着片28とは、前後方向に並んで配置されている。接着片28は、図1に示す第1状態において、後端部分が突出部14aと重複しており、突出部14aよりも後端に突出しない位置及び形状を有する。接着片28の上面(図3の表面)には、側板14の下面に接着するための接着領域28aが配置されている。上端片27と接着片28とは、折曲片26との境界から反対側の端縁までの長さが同一である。接着片28は、上端片27と切離部40を介して連結されている。切離部40は、スリットが断続的に配置されるミシン目を有する。切離部40は、折曲片26側の端から折曲片26と反対側に向かって進むのに従って、前方に傾斜している。切離部40は、折曲片26側の端において、前後方向に平行に曲がって、折曲片26と接着片28との境界の折曲線に沿って延びる。接着片28は、側板20の他の部分22、24、26、27に対して、切離部40を介して連結されている。
【0031】
側板16の左端縁には、側板30が折曲線を介して連結されている。側板30は、側板20の、フラップ22、側板部分24、折曲片26、上端片27、及び接着片28と同様の、フラップ32、側板部分34、折曲片36、上端片37、及び接着片38を備える。側板30は、側板16を挟んで、対称な形状を有する。側板30は、側板20のスリット26a、接着領域28a、及び切離部40と同様に、スリット36a、接着領域38a、及び切離部42を備える。
【0032】
(展開体から第1状態への組立方法)
次いで、図3に示す展開体BL1から図1に示す第1状態に組み立てる方法を説明する。展開体BL1において、接着片50を側板20の側板部分24の前端部に接着するとともに、接着片52を側板30の側板部分34の前端部に接着する。図3では、接着片50、52の全面に亘って斜線が付されているが、実際には、接着片50は、側板部分24の折曲線20aよりも前端部部分に接着され、接着片52は、側板部分34の折曲線30aよりも前端部部分に接着される。側板20を折曲線20aに沿って折り曲げるとともに、側板30を折曲線30aに沿って折り曲げる。これにより、側板16と側板20と側板14とが重なり合って配置されるとともに、側板16と側板30と側板14とが重なり合って配置される。
【0033】
接着片28は、接着領域28aに塗布される接着剤によって、側板14に接着される。側板14では、接着領域28aに重なる接着領域14fにおいて、接着片28と接着される。同様に、接着片38は、接着領域38aに塗布される接着剤によって、側板14に接着される。側板14では、接着領域38aに重なる接着領域14gにおいて、接着片38と接着される。
【0034】
これにより、図1に示す第1状態が完成する。第1状態では、側板20、30が側板16に重なるように折り曲げられている。側板14は、側板20、30と接触した状態で面接触されている。第1状態では、前端において、側板16と側板14とが重なるように、折曲線で折り曲げられている。第1状態では、側板16と側板14との間の空間の上下方向の長さはほとんど無く、包装容器10を、封筒のように、書類等を包装するのに利用することができる。第1状態では、側板12を、側板16に対して折り曲げて、側板14に重ねることによって、側板14、16、20、30で囲まれる空間の開口を閉じることができる。接着領域12aの剥離紙を剥がすことによって、側板12を側板14に接着することができる。
【0035】
(第1状態から第2状態への変形方法)
次いで、第1状態から図6に示す第2状態の包装容器10に変形する方法を説明する。包装容器10は、図2に示すように、使用前に、第1状態であって側板12を側板14に重ねた状態で出荷される場合がある。出荷時には、側板12は側板14に接着されていない。これにより、包装容器10をできるだけ小さくして搬送することができる。この場合、図2に示す状態から図1に示す第1状態に変形させてから、第1状態から示す第2状態に変形させる。フラップ22、32は、図2の状態において、側板12に伴って、側板部分24、34に重なるように折り曲げられている。この状態で、フラップ22、32は、側板14に重ならない寸法に設定されている。
【0036】
第1状態から、突出部14a、14aを、突出部14a、14aの裏面に重なっている接着片28、38とともに、上方に引き上げる。これにより、切離部40、42が破断して、接着片28、38が側板20、30の他の部分から切り離されて、側板14とともに、上方に引き上げられる。側板14に突出部14a、14aを配置することによって、ユーザは、側板14のどの部分に掴んで引き上げればよいかを知ることができる。また、突出部14a、14aによって指への引掛りができて、引き上げやすくなっている。フラップ22、32が側板14に重なっていないため、側板14を引き上げる際に、邪魔にならない。
【0037】
図4に示すように、第1状態から側板14を引き上げると、側板14が側板16との境界の折曲線を中心に回転して、側板16に対して立ち上げられる。これにより、側板20、30は、側板14の立ち上がりに伴って折曲線20a、30aにおいて広がる。この結果、側板20、30は、側板14と同様に、側板16に対して立ち上がる。図5に示すように、側板20の折曲片26は、側板部分24に対して側板16に対向するように折り曲げられる。同様に、折曲片36は、側板部分34に対して側板16に対向するように折り曲げられる。
【0038】
図6に示すように、側板14を、折曲線14bに沿って、側板16に対向するように折り曲げる。この結果、係合片14c、14cのそれぞれが、スリット26a、36aのそれぞれに重なるように配置される。係合片14c、14cのそれぞれを、スリット26a、36aのそれぞれに挿入する。係合片14cは、折曲片26のスリット26a周辺を下方に押し下げる。スリット26aが折曲片26の左右方向の両端において前後方向に若干延びているために、スリット26aが形成されている箇所が、係合片14cに伴って下方に変形される。これにより、スリット26aに挿入された係合片14cが折曲片26の下方に変形されている部分によって折曲片26に挟まれることによって、係合片14cがスリット26aから脱落することを抑制することができる。スリット36aも同様である。これにより、第2状態の包装容器10が組み立てられる。係合片14c、14cのそれぞれが折曲片26、36のそれぞれに係合することによって、側板14が、上方に移動することを防止することができる。係合片14c、14cは、折曲線14dの両端に配置されている。側板14を折曲線14dに沿って軽く折り曲げることによって、係合片14c、14cをスリット26a、36aに挿入しやすくすることができる。
【0039】
図7に示すように、側板12を側板16との境界の折曲線を中心に回転させて、側板16に対して立ち上がる。側板12を、折曲線12bに沿って、側板16に対向するように折り曲げる。この結果、包装容器10は閉じられる。この状態では、側板14の折曲線14bよりも側板16側の部分(以下、「側板部分14e」と呼ぶ)と、側板12の折曲線12bよりも側板16側の部分(以下、「側板部分12e(図6参照)」と呼ぶ)と、側板部分24、34とによって、側板16が囲まれている。側板部分12e、14e、24、34によって画定される開口は、側板12の折曲線12bよりも側板16と反対側の部分(以下、「蓋部分12d」と呼ぶ)と、側板14の折曲線14bよりも側板16と反対側の部分(以下、「蓋部分14h」と呼ぶ)と、によって、閉じられている。接着領域12aの剥離紙を剥がすことによって、側板12を側板14に接着することができる。蓋部分12d、14hによって、側板部分12e、14e、24、34によって画定される開口を閉じることによって、開口を1枚の蓋部分によって閉じる構成と比較して、各蓋部分を小さく形成することができる。
【0040】
包装容器10では、第1状態から、接着片28、38を切離部40、42に沿って側板20、30の他の部分から切り離すことによって、側板20、30と側板14との連結を切り離すことができる。これにより、側板部分12e、14e、24、34を側板16に対して立ち上げて、第2状態の包装容器10を容易に作製することができる。
【0041】
切離部40は、上端片27と接着片28との境界において、前方に傾斜するように配置されている。この構成によると、切離部40を容易に切断することができる。切離部42も同様である。なお、変形例では、切離部40、42に替えて、側板14に、接着領域14f、14gを、側板14の他の部分から切り離し可能な切離部を配置してもよい。
【0042】
側板20、30は、側板16の左右端縁のそれぞれに折曲線を介して連結している。また、側板12、14を、側板16の前後端縁のそれぞれに折曲線を介して連結している。これにより、展開体BL1から包装容器10を容易に作製することができる。なお、変形例では、第1状態では、側板20、30は、側板14の内面において互いに連結されていてもよい。この場合、第1状態から第2状態に変形する途中において、側板14を引き上げる際に、側板20、30を切り離してもよい。
【0043】
(対応関係)
側板14が「第1側板」の一例であり、側板16が「第2側板」の一例であり、側板20、30が「第3側板」の一例であり、側板20、30のそれぞれが「第3側板部分」及び「特定の側板」の一例であり、側板12が「蓋板」の一例である。接着領域28a、接着領域38a、接着領14f及び接着領域14gが「連結箇所」の一例である。
【0044】
(第2実施例)
図8から図10を参照して、第2実施例の包装容器210を説明する。包装容器210は、包装容器10と比較して、図9に示す第2状態の包装容器210の上下方向の長さが第2状態の包装容器10の上下方向の長さよりも短い。図10に示すように、1枚の平板形状の展開体BL2を組み立てることによって、第1状態の包装容器210が作製される。包装容器210は、包装容器10の側板16、20、30と同様の側板216、220、230を備える。側板220は、側板20と同様に、折曲線220a、フラップ222、側板部分224、折曲片226、上端片227、接着片228及び切離部240を備える。側板部分224は、側板部分24と比較して、第2状態における上下方向の長さが短い。側板230は、側板30と同様に、折曲線230a、フラップ232、側板部分234、折曲片236、上端片237、接着片238及び切離部242を備える。側板部分224、234では、側板部分24、34と比較して、第2状態における上下方向の長さが短い。
【0045】
接着片228は、接着領域228aにおいて、側板214の接着領域214fと面接着される。接着片238は、接着領域238aにおいて、側板214の接着領域214gと面接着される。側板214は、一対の突出部14aと同様の一対の突出部214aを備える。側板214は、側板部分14eと蓋部分14hと同様の側板部分214eと蓋部分214hとを備える。側板部分214eと蓋部分214hとは折曲線を介して連結されている。
【0046】
側板212は、側板部分12eと蓋部分12dと同様の側板部分212eと蓋部分212dとを備える。側板部分212eと蓋部分212dとは折曲線を介して連結されている。側板212は、側板216と反対側の端縁において、一対の切欠き212k、212kによって形成されると挿入片212fを備える。図8に示すように、第1状態において、挿入片212fは、側板214に配置されるスリット214jに挿入される。これにより、側板212が側板214に係合することによって、包装容器210が閉じられる。また、図9に示すように、第2状態において、挿入片212fは、側板214に配置される凹部214hの下方に挿入される。これにより、側板214が側板212の切欠き212k、212kに挿入され、側板214が側板212に挟まれることによって、包装容器210が閉じられる。凹部214hは、側板214の一対の突出部214a、214aの間に配置される。凹部214hは、側板214の側板216とは反対側の端縁を側板216側に窪ませることによって形成される。側板212に折曲線212gが配置されているために、挿入片212fを、スリット214j及び凹部214hに挿入する際に、側板212を撓ませやすい。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0048】
例えば、包装容器10では、側板12は、側板14、16、20、30と別体で作製されていてもよい。側板12は、展開体BL1以外の展開体から組み立てられてもよい。包装容器210において側板212も同様である。言い換えると、「包装容器」では、「蓋板」は、蓋板以外の部分と別体で作製されていてもよい。
【0049】
側板14と側板20、30とは、面接着以外の方法で連結されていてもよい。
【0050】
第1状態では、包装容器10は、側板14、16から立ち上がる側板部分を備えていてもよい。側板20、30及び側板14と側板16の少なくとも一方の側板が、側板部分を備えていてもよい。
【0051】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
10:包装容器、12、14、16、20、30:側板、12d:蓋部分、12e:側板部分、14e:側板部分、14f、14g:接着領域、14h:蓋部分、24、34:側板部分、28、38:接着片、28a、38a:接着領域、40、42:切離部、BL1:展開体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10