(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152493
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20231010BHJP
H01H 47/00 20060101ALI20231010BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231010BHJP
G01R 31/56 20200101ALI20231010BHJP
【FI】
G01R31/00
H01H47/00 C
B60R16/02 645D
G01R31/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062539
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内野 剛雄
(72)【発明者】
【氏名】谷中 裕太
【テーマコード(参考)】
2G014
2G036
【Fターム(参考)】
2G014AA13
2G014AA23
2G014AB57
2G036AA24
2G036AA26
2G036BB07
(57)【要約】
【課題】リレー接点の異常を検知することができる給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】給電制御装置11は、リレー接点30を介した給電を制御する。マイコン24の制御部(処理部)は、リレー接点30がオンである場合、リレー接点30の下流側に位置するNO端子30bの第1電圧値を取得する。制御部は、取得した第1電圧値に基づいて、リレー接点30において異常が発生しているか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー接点を介した給電を制御する給電制御装置であって、
処理を実行する処理部を備え、
前記処理部は、
前記リレー接点がオンである場合に、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得し、
取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定する
給電制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記リレー接点がオンである場合に、所定期間中に前記第1電圧値を繰り返し取得し、
前記第1電圧値を取得する都度、取得した第1電圧値が所定範囲外の値であるか否かを判定し、
前記第1電圧値が前記所定範囲外の値であると判定した場合、前記所定範囲の上限値及び下限値の中で前記第1電圧値に近い値と、前記第1電圧値との差分値を算出し、
前記所定期間中に算出した差分値の積算値が積算閾値以上である場合、前記リレー接点にて、前記異常が発生していると判定する
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記リレー接点がオンである場合に、所定期間中に前記第1電圧値を繰り返し取得し、
前記所定期間中に取得した複数の第1電圧値に含まれている所定範囲外の第1電圧値の数が所定数を超えている場合、前記リレー接点にて、前記異常が発生していると判定する
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記リレー接点の上流側の一端の第2電圧値を取得し、
前記リレー接点がオンである場合にて、取得した第2電圧値が所定電圧値以上であるとき、前記第1電圧値を取得する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記リレー接点がオン又はオフに切替わった切替え回数が閾値回数以上であるか否かを判定し、
前記リレー接点にて前記異常が発生していると判定した異常検知回数に応じて、前記閾値回数を低下させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記リレー接点は、直流電源から負荷への給電経路に配置されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項7】
リレー接点を介して給電を制御する給電制御方法であって、
前記リレー接点がオンである場合にて、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得するステップと、
取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定するステップと
をコンピュータが実行する給電制御方法。
【請求項8】
電流が流れるリレー接点がオンである場合に、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得するステップと、
取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直流電源から負荷への給電を制御する構成が開示されている。直流電源の正極と、負荷の一端との間にリレー接点が接続されている。直流電源の負極と、負荷の他端とは接地されている。リレー接点をオン又はオフに切替えることによって、直流電源から負荷への給電が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレー接点に関して、導体が端子に接触することによって、状態はオフからオンに切替わる。導体が端子から離れることによって、状態はオンからオフに切替わる。導体若しくは端子が変形した場合、又は、導体若しくは端子が摩耗した場合、リレー接点を介して流れる電流の通流が不安定となる可能性がある。結果、リレー接点において異常が発生する可能性がある。特許文献1では、リレー接点の異常の検知について考慮されていない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リレー接点の異常を検知することができる給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、リレー接点を介した給電を制御する給電制御装置であって、処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、前記リレー接点がオンである場合に、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定する。
【0007】
本開示の一態様に係る給電制御方法は、リレー接点を介して給電を制御する給電制御方法であって、前記リレー接点がオンである場合にて、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得するステップと、取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定するステップとをコンピュータが実行する。
【0008】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、電流が流れるリレー接点がオンである場合に、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得するステップと、取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定するステップとをコンピュータに実行させる。
【0009】
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える給電制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする給電制御方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、給電制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、給電制御装置を含む電源システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、リレー接点の異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
【
図3】閾値回数テーブル及び回数変更テーブルの内容を示す図表である。
【
図4】切替え処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】マイコンの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】実施形態2における異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、リレー接点を介した給電を制御する給電制御装置であって、処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、前記リレー接点がオンである場合に、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定する。
【0014】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記リレー接点がオンである場合に、所定期間中に前記第1電圧値を繰り返し取得し、前記第1電圧値を取得する都度、取得した第1電圧値が所定範囲外の値であるか否かを判定し、前記第1電圧値が前記所定範囲外の値であると判定した場合、前記所定範囲の上限値及び下限値の中で前記第1電圧値に近い値と、前記第1電圧値との差分値を算出し、前記所定期間中に算出した差分値の積算値が積算閾値以上である場合、前記リレー接点にて、前記異常が発生していると判定する。
【0015】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記リレー接点がオンである場合に、所定期間中に前記第1電圧値を繰り返し取得し、前記所定期間中に取得した複数の第1電圧値に含まれている所定範囲外の第1電圧値の数が所定数を超えている場合、前記リレー接点にて、前記異常が発生していると判定する。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記リレー接点の上流側の一端の第2電圧値を取得し、前記リレー接点がオンである場合にて、取得した第2電圧値が所定電圧値以上であるとき、前記第1電圧値を取得する。
【0017】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記リレー接点がオン又はオフに切替わった切替え回数が閾値回数以上であるか否かを判定し、前記リレー接点にて前記異常が発生していると判定した異常検知回数に応じて、前記閾値回数を低下させる。
【0018】
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記リレー接点は、直流電源から負荷への給電経路に配置されている。
【0019】
(7)本開示の一態様に係る給電制御方法は、リレー接点を介して給電を制御する給電制御方法であって、前記リレー接点がオンである場合にて、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得するステップと、取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定するステップとをコンピュータが実行する。
【0020】
(8)本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、電流が流れるリレー接点がオンである場合に、前記リレー接点の下流側の一端の第1電圧値を取得するステップと、取得した第1電圧値に基づいて、前記リレー接点にて異常が発生しているか否かを判定するステップとをコンピュータに実行させる。
【0021】
上記の一態様に係る給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムにあっては、リレー接点がオンである場合に第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値に基づいてリレー接点の異常を検知する。
【0022】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、所定期間中に複数の第1電圧値を取得する。取得した複数の第1電圧値に所定範囲外の第1電圧値が含まれている場合、所定範囲外の第1電圧値について、所定範囲の上限値又は下限値との差分値(絶対値)を算出する。差分値の積算値が積算閾値以上である場合、リレー接点の異常を検知する。
【0023】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、所定期間中に複数の第1電圧値を取得する。取得した複数の第1電圧値に含まれる所定範囲外の第1電圧値の数が所定数を超えている場合、リレー接点の異常を検知する。
【0024】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、第2電圧値が低い場合、誤った判定が行われる可能性があるため、第1電圧値を取得することはない。
【0025】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、リレー接点の切替え回数が閾値回数以上であるか否かを判定する。これにより、リレー接点の交換を通知することできる。異常検知回数に応じて閾値回数を低下させる。これにより、リレー接点の交換を通知するタイミングが早まる。
【0026】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、リレー接点をオン又はオフに切替えることによって、直流電源から負荷への給電が制御される。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
<電源システム1の構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両Cに搭載されている。電源システム1は、直流電源10、給電制御装置11、スタータ12及び負荷13を備える。直流電源10は、例えばバッテリである。負荷13は、例えばECU(Electronic Control Unit)である。
【0029】
給電制御装置11は、リレー20を有する。リレー20は、リレー接点30及びコイル31を有する。リレー接点30は、COM端子30a、NO端子30b及び棒状の導体30cを有する。導体30cの端部は、COM端子30aに接続されている。導体30cは、COM端子30aを基点として回転することが可能である。
【0030】
導体30cは、図示しないバネによって引っ張られている。コイル31を介して電流が流れていない場合、導体30cは、バネによってNO端子30bから離されている。このとき、COM端子30a及びNO端子30bを介して電流が流れることはない。リレー接点30はオフである。コイル31を介して電流が流れた場合、コイル31は磁石として作用し、導体30cをNO端子30b側に引き寄せる。結果、導体30cはNO端子30bに接触する。このとき、COM端子30a及びNO端子30bを介して電流が流れることができる。リレー接点30はオンである。
【0031】
直流電源10の負極は接地されている。接地は、例えば、車両Cのボディへの接続によって実現される。直流電源10の正極は、リレー接点30のCOM端子30a、スタータ12の一端に接続されている。リレー接点30のNO端子30bは負荷13の一端に接続されている。負荷13の他端は接地されている。スタータ12の他端は接地されている。
【0032】
給電制御装置11はリレー接点30をオフからオンに切替える。これにより、電流は、矢印で示すように、直流電源10の正極から、リレー接点30、負荷13及び直流電源10の負極の順に流れる。結果、負荷13に電力が供給される。給電制御装置11はリレー接点30をオンからオフに切替える。これにより、リレー接点30を介した電流の通流が停止し、負荷13への給電が停止する。以上のように、給電制御装置11は、リレー接点30をオン又はオフに切替えることによって、直流電源10から負荷13への給電を制御する。
【0033】
リレー接点30がオンである場合、リレー接点30では、電流は、COM端子30a、導体30c及びNO端子30bの順に流れる。COM端子30aは、リレー接点30の上流側の一端に相当する。NO端子30bは、リレー接点30の下流側の一端に相当する。前述したように、電流は、直流電源10の正極からリレー接点30及び負荷13の順に流れるので、リレー接点30は直流電源10から負荷13への給電経路に配置されている。
【0034】
直流電源10の正極は、更に、一又は複数の車載機器の一端に接続されている。一又は複数の車載機器の他端は接地されている。直流電源10は、負荷13に加えて、スタータ12及び一又は複数の車載機器に電力を供給する。スタータ12は車両Cのエンジンを始動させるためのモータである。直流電源10内では、電流は、電源本体から内部抵抗を介して流れる。内部抵抗で生じる電圧降下の幅は、内部抵抗を介して流れる電流の電流値が大きい程、大きい。
【0035】
直流電源10の正極の電圧値を電源電圧値と記載する。電源電圧値の基準電位は接地電位である。直流電源10の正極はリレー接点30のCOM端子30aに接続されているので、電源電圧値は、COM端子30aの電圧値であり、第2電圧値に相当する。
【0036】
電源電圧値は、電流が出力される内部抵抗の出力端の電圧値である。電源電圧値は、内部抵抗を介して流れる電流の電流値が大きい程、低い。スタータ12が作動した場合、内部抵抗を介して流れる電流の電流値は大きい。このため、スタータ12が作動した場合、電源電圧値は大きく低下する。スタータ12が動作を停止した場合、電源電圧値は、スタータ12が作動する前の値に戻る。
【0037】
一又は複数の車載機器の作動によって、内部抵抗を介して流れる電流の電流値は大きく変動することはない。このため、電源電圧値は、一又は複数の車載機器が作動しているか否かに無関係に安定している。
【0038】
<給電制御装置11の構成>
給電制御装置11は、リレー20に加えて、電源電圧検出回路21、出力電圧検出回路22、トランジスタ23及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)24を有する。電源電圧検出回路21は分圧抵抗21a,21bを有する。出力電圧検出回路22は分圧抵抗22a,22bを有する。トランジスタ23は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0039】
電源電圧検出回路21の分圧抵抗21aの一端は、リレー接点30のCOM端子30aに接続されている。分圧抵抗21aの他端は分圧抵抗21bの一端に接続されている。分圧抵抗21bの他端は接地されている。2つの分圧抵抗21a,21b間の接続ノードはマイコン24に接続されている。2つの分圧抵抗21a,21bは、直流電源10の正極から出力された電圧を分圧する。直流電源10の正極から出力された電圧の電圧値は電源電圧値である。電源電圧検出回路21は、2つの分圧抵抗21a,21bが分圧することによって得られた分圧電圧の電圧値を、電源電圧値を示すアナログの電源電圧情報としてマイコン24に出力する。電源電圧情報は、電源電圧値を一定値で除算することによって得られる値であり、電源電圧値に比例する。
【0040】
出力電圧検出回路22の分圧抵抗22aの一端は、リレー接点30のNO端子30bに接続されている。分圧抵抗22aの他端は分圧抵抗22bの一端に接続されている。分圧抵抗22bの他端は接地されている。2つの分圧抵抗22a,22b間の接続ノードはマイコン24に接続されている。NO端子30bの電圧値を出力電圧値と記載する。出力電圧値は、基準電位が接地電位である電圧値である。出力電圧値は第1電圧値に相当する。
【0041】
2つの分圧抵抗22a,22bはNO端子30bの電圧を分圧する。出力電圧検出回路22は、2つの分圧抵抗22a,22bが分圧することによって得られた分圧電圧の電圧値を、出力電圧値を示すアナログの出力電圧情報としてマイコン24に出力する。出力電圧情報は、出力電圧値を一定値で除算することによって得られる値であり、出力電圧値に比例する。
【0042】
リレー20内では、コイル31の一端はCOM端子30aに接続されている。コイル31の他端は、トランジスタ23のコレクタに接続されている。トランジスタ23のエミッタは接地されている。トランジスタ23のベースはマイコン24に接続されている。トランジスタ23はスイッチとして機能する。マイコン24は、接地電位を基準としたベースの電圧値を調整することによってトランジスタ23をオン又はオフに切替える。トランジスタ23がオンである場合、電流はコレクタ及びエミッタの順に流れることが可能である。トランジスタ23がオフである場合、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることはない。
【0043】
トランジスタ23がオフである場合、コイル31を介して電流が流れることはない。このため、リレー接点30はオフである。マイコン24がトランジスタ23をオフからオンに切替えた場合、電流は、直流電源10の正極から、コイル31、トランジスタ23及び直流電源10の負極の順に流れる。コイル31を介して電流が流れるので、リレー接点30はオフからオンに切替わる。マイコン24がトランジスタ23をオンからオフに切替えた場合、コイル31を介した電流の通流が停止する。このため、リレー接点30はオフに切替わる。以上のように、マイコン24は、トランジスタ23をオン又はオフに切替えることによって、リレー接点30をオン又はオフに切替える。
【0044】
<マイコン24の構成>
図2はマイコン24の要部構成を示すブロック図である。マイコン24は、切替え部40、A/D変換部41,42、タイマ43、報知部44、記憶部45及び制御部46を有する。これらは内部バス47に接続されている。切替え部40は、更に、トランジスタ23のベースに接続されている。A/D変換部41は、更に、2つの分圧抵抗21a,21b間の接続ノードに接続されている。A/D変換部42は、更に、2つの分圧抵抗22a,22b間の接続ノードに接続されている。
【0045】
切替え部40は、トランジスタ23に関して、接地電位を基準電位としたベースの電圧を調整することによって、トランジスタ23をオン又はオフに切替える。制御部46は、切替え部40に指示して、トランジスタ23をオン又はオフに切替えさせる。
【0046】
電源電圧検出回路21からA/D変換部41にアナログの電源電圧情報が入力される。A/D変換部41は、電源電圧検出回路21から入力されたアナログの電源電圧情報をデジタルの電源電圧情報に変換する。A/D変換部41が変換した電源電圧情報は、制御部46によって取得される。制御部46が取得した電源電圧情報が示す電源電圧値は、取得時点における電源電圧値に実質的に一致する。
【0047】
出力電圧検出回路22からA/D変換部42にアナログの出力電圧情報が入力される。A/D変換部42は、出力電圧検出回路22から入力されたアナログの出力電圧情報をデジタルの出力電圧情報に変換する。A/D変換部42が変換した出力電圧情報は、制御部46によって取得される。制御部46が取得した出力電圧情報が示す出力電圧値は、取得時点における出力電圧値に実質的に一致する。
【0048】
タイマ43は、制御部46の指示に従って、計時の開始及び終了を行う。タイマ43が計時している計時時間は制御部46によって読み出される。
報知部44は、制御部46の指示に従って、報知を行う。具体的には、報知部44は、ランプの点灯、又は、メッセージの表示を行うことによって、リレー20の交換を通知する。なお、報知部44は、リレー20の交換を示すデータを送信することによって報知を行ってもよい。
【0049】
記憶部45は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリによって構成される。記憶部45には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部46は、処理を実行する処理素子、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部46は処理部として機能する。制御部46は、コンピュータプログラムPを実行することによって、切替え処理及び異常検知処理等を並行して実行する。
【0050】
切替え処理は、リレー接点30をオン又はオフに切替える処理である。切替え処理では、制御部46は、リレー接点30をオン又はオフに切替えた切替え回数が閾値回数以上であるか否かを判定する。制御部46は、切替え回数が閾値回数以上である場合、報知部44に報知を行わせる。異常検知処理は、リレー接点30の異常を検知する処理である。異常検知処理では、制御部46は、リレー接点30において異常が発生していると判定した異常検知回数に応じて閾値回数を低下させる。
【0051】
リレー接点30に関して、NO端子30b若しくは導体30cが変形した場合、又は、NO端子30b若しくは導体30cが摩耗した場合、リレー接点30を介して流れる電流の通流が不安定となる。リレー接点30の異常は、電流の通流が不安定となる現象である。リレー接点30がオンである場合において、異常が発生したとき、NO端子30bの出力電圧値は大きく変動する。
【0052】
なお、コンピュータプログラムPは、コンピュータプログラムPを読み取り可能に記憶した非一時的な記憶媒体Aを用いて、マイコン24に提供されてもよい。記憶媒体Aは例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード又はコンパクトフラッシュ(登録商標)等が挙げられる。記憶媒体Aが可搬型メモリである場合、制御部46の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体AからコンピュータプログラムPを読み取ってもよい。読み取ったコンピュータプログラムPは記憶部45に書き込まれる。更に、コンピュータプログラムPは、マイコン24の図示しない通信部が外部装置と通信することによって、マイコン24に提供されてもよい。この場合、マイコン24の処理素子は、通信部を通じてコンピュータプログラムPを取得する。取得したコンピュータプログラムPは記憶部45に書き込まれる。
【0053】
また、制御部46が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。制御部46が複数の処理素子を有する場合、複数の処理素子が協同して、切替え処理又は異常検知処理等を実行してもよい。
【0054】
記憶部45には、閾値回数を示す閾値回数テーブルT1と、閾値回数を変更する場合に用いられる回数変更テーブルT2とを有する。
図3は、閾値回数テーブルT1及び回数変更テーブルT2の内容を示す図表である。閾値回数テーブルT1では、切替え部40がリレー接点30をオン又はオフに切替えた切替え回数と、閾値回数とが示されている。切替え回数及び閾値回数それぞれは制御部46によって変更される。
図3の例では、閾値回数は10万である。切替え回数は10201である。
【0055】
回数変更テーブルT2では、複数の異常検知回数それぞれに対応する複数の閾値回数が示されている。
図3の例では、異常検知回数が0である場合、閾値回数は10万である。異常検知回数が1である場合、閾値回数は8万である。異常検知回数が2である場合、閾値回数は5万である。異常検知回数が大きい程、閾値回数は小さい。
【0056】
<切替え処理>
図4は切替え処理の手順を示すフローチャートである。切替え処理では、制御部46は、まず、リレー接点30をオンに切替えるか否かを判定する(ステップS1)。マイコン24は、例えば、リレー接点30のオンへの切替えを指示するオン信号が入力されるオン信号入力部を有する。この構成では、オン信号入力部にオン信号が入力された場合、制御部46は、リレー接点30をオンに切替えると判定する。オン信号入力部にオン信号が入力されなかった場合、制御部46は、リレー接点30をオンに切替えないと判定する。
【0057】
制御部46は、リレー接点30をオンに切替えないと判定した場合(S1:NO)、リレー接点30をオフに切替えるか否かを判定する(ステップS2)。マイコン24は、例えば、リレー接点30のオフへの切替えを指示するオフ信号が入力されるオフ信号入力部を有する。この構成では、オフ信号入力部にオフ信号が入力された場合、制御部46は、リレー接点30をオフに切替えると判定する。オフ信号入力部にオフ信号が入力されなかった場合、制御部46は、リレー接点30をオフに切替えないと判定する。
【0058】
制御部46は、リレー接点30をオフに切替えないと判定した場合(S2:NO)、ステップS1を再び実行する。制御部46は、リレー接点30をオン又はオフに切替えるタイミングが到来するまで待機する。制御部46は、リレー接点30をオンに切替えると判定した場合(S1:YES)、切替え部40に指示して、トランジスタ23をオンに切替えさせる(ステップS3)。これにより、コイル31を介して電流が流れ、リレー接点30がオンに切替わる。直流電源10は、リレー接点30を介して負荷13に電力を供給する。
【0059】
制御部46は、リレー接点30をオフに切替えると判定した場合(S2:YES)、切替え部40に指示して、トランジスタ23をオフに切替えさせる(ステップS4)。これにより、コイル31を介した電流の通流が停止し、リレー接点30がオフに切替わる。直流電源10から負荷13への給電が停止する。
【0060】
制御部46は、ステップS3又はステップS4を実行した後、閾値回数テーブルT1に示されている切替え回数を1だけインクリメントする(ステップS5)。切替え回数が、
図3に示すように、10201である状態でステップS5が実行された場合、制御部46は、切替え回数を10202に変更する。制御部46は、ステップS5を実行した後、閾値回数テーブルT1において、切替え回数が閾値回数以上であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0061】
制御部46は、切替え回数が閾値回数以上であると判定した場合(S6:YES)、報知部44に指示して報知を行わせる(ステップS7)。これにより、リレー20の交換が給電制御装置11の使用者に通知され、リレー20の交換が促される。制御部46は、切替え回数が閾値回数未満であると判定した場合(S6:NO)、又は、ステップS7を実行した後、切替え処理を終了する。制御部46は、切替え処理を終了した後、切替え処理を再び実行する。
【0062】
以上のように、切替え処理では、切替え回数が閾値回数以上となった場合、給電制御装置11の使用者にリレー20の交換が促される。
【0063】
<異常検知処理>
図5及び
図6は異常検知処理の手順を示すフローチャートである。異常検知処理では、出力電圧値に関する差分値を積算する。記憶部45には、差分値の積算値を示す積算データが記憶されている。積算データが示す積算値は制御部46によって変更される。記憶部45には、異常検知回数を示す回数データが記憶されている。回数データが示す異常検知回数は制御部46によって変更される。給電制御装置11が製造された時点又はリレー20が交換された時点では、回数データが示す異常検知回数は0に設定されている。
【0064】
制御部46は、まず、リレー接点30がオンであるか否かを判定する(ステップS11)。リレー接点30がオンではない場合、リレー接点30はオフである。制御部46は、リレー接点30がオンではないと判定した場合(S11:NO)、ステップS11を再び実行し、リレー接点30がオンに切替わるまで待機する。
【0065】
制御部46は、リレー接点30がオンであると判定した場合(S11:YES)、A/D変換部41から電源電圧情報を取得する(ステップS12)。電源電圧情報は電源電圧値を示すので、電源電圧情報の取得は電源電圧値の取得に相当する。次に、制御部46は、ステップS12で取得した電源電圧情報が示す電源電圧値が所定電圧値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。所定電圧値は、一定値であり、予め設定されている。制御部46は、電源電圧値が所定電圧値未満であると判定した場合(S13:NO)、ステップS11を再び実行する。制御部46は、リレー接点30がオンである状態で電源電圧値が所定電圧値以上となるまで待機する。
【0066】
制御部46は、電源電圧値が所定電圧値以上であると判定した場合(S13:YES)、積算データが示す積算値を0に設定し(ステップS14)、タイマ43に指示して計時を開始させる(ステップS15)。
【0067】
制御部46は、ステップS15を実行した後、A/D変換部42から出力電圧情報を取得する(ステップS16)。出力電圧情報が出力電圧値を示すので、出力電圧情報の取得は出力電圧値の取得に相当する。次に、制御部46は、ステップS16で取得した出力電圧情報が示す出力電圧値が、予め設定されている設定範囲外の値であるか否かを判定する(ステップS17)。設定範囲は所定範囲に相当する。制御部46は、出力電圧値が設定範囲外の値であると判定した場合(S17:YES)、ステップS16で取得した出力電圧情報が示す出力電圧値が設定範囲の下限値未満であるか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18に関して、出力電圧値が設定範囲の下限値未満ではない場合、出力電圧値が設定範囲の上限値を超えている。
【0068】
制御部46は、出力電圧値が下限値未満であると判定した場合(S18:YES)、出力電圧値及び下限値の差分値を算出する(ステップS19)。制御部46は、出力電圧値が下限値未満ではないと判定した場合(S18:NO)、出力電圧値及び上限値の差分値を算出する(ステップS20)。ステップS19,S20に関して、出力電圧値は、ステップS16で取得した出力電圧情報が示す出力電圧値である。上限値及び下限値それぞれは、設定範囲の上限値及び下限値である。差分値は絶対値である。
【0069】
制御部46は、ステップS19又はステップS20を実行した後、積算データが示す積算値を、ステップS19又はステップS20で算出した差分値だけ増加させる(ステップS21)。積算値は差分値に基づいて算出される。差分値は出力電圧値に基づいて算出される。従って、積算値は出力電圧値に基づく値である。制御部46は、出力電圧値が設定範囲外の値ではない場合(S17:NO)、又は、ステップS21を実行した後、タイマ43が計時している計時時間が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS22)。所定時間は、一定値であり、予め設定されている。
【0070】
制御部46は、計時時間が所定時間未満であると判定した場合(S22:NO)、ステップS16を再び実行する。制御部46は、計時時間が所定時間以上となるまで、出力電圧情報(出力電圧値)を繰り返し取得する。出力電圧値が設定範囲外の値である場合、積算データが示す積算値を差分値だけ増加させる。
【0071】
なお、計時時間が所定時間以上となる前にリレー接点30がオンからオフに切替わった場合、制御部46は、タイマ43に指示して計時を終了させる。その後、制御部46は、再び異常検知処理を実行する。
【0072】
制御部46は、計時時間が所定時間以上であると判定した場合(S22:YES)、タイマ43に指示して、計時を終了させる(ステップS23)。制御部46は、ステップS23を実行した後、リレー接点30において異常が発生しているか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24では、制御部46は、積算データが示す積算値が積算閾値以上である場合、異常が発生していると判定する。制御部46は、積算データが示す積算値が積算閾値未満である場合、異常が発生していないと判定する。積算閾値は、一定の正値であり、予め設定されている。制御部46は、異常が発生していると判定した場合(S24:YES)、回数データが示す異常検知回数を1だけインクリメントする(ステップS25)。
【0073】
次に、制御部46は、回数データが示す異常検知回数に対応する閾値回数を、回数変更テーブルT2から読み出す(ステップS26)。次に、制御部46は、閾値回数テーブルT1に示されている閾値回数を、ステップS26で読み出した閾値回数に低下させる(ステップS27)。回数変更テーブルT2では、異常検知回数が多い程、閾値回数は小さい。このため、ステップS27がされた場合、閾値回数テーブルT1の閾値回数は低下する。ステップS27が実行された場合、リレー20の交換を通知するタイミングが早まる。制御部46は、異常が発生していないと判定した場合(S24:NO)、又は、ステップS27を実行した後、異常検知処理を終了する。制御部46は、異常検知処理を終了した後、再び、異常検知処理を実行する。
【0074】
図7は、マイコン24の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7には、リレー接点30の状態の推移と、電源電圧値の推移と、出力電圧値の推移とが示されている。3つの推移それぞれの横軸には時間が示されている。
図7において、Vpは所定電圧値を示す。V1及びV2それぞれは、設定範囲の上限値及び下限値を示す。取得期間は、タイマ43が計時を開始してから、タイマ43の計時時間が所定時間に到達するまでの期間である。取得期間は所定期間に相当する。
【0075】
前述したように、リレー接点30がオフである場合、又は、電源電圧値が所定電圧値Vp未満である場合、制御部46は出力電圧情報を取得することはない。所定電圧値Vpは、スタータ12が作動していない場合の電源電圧値以下である。所定電圧値Vpは、スタータ12が作動している場合の電源電圧値を超えている。従って、スタータ12が作動している間、電源電圧値は所定電圧値Vp未満であるため、制御部46は、出力電圧情報を取得することはない。
【0076】
制御部46は、リレー接点30がオンである場合において、取得した電源電圧情報が示す電源電圧値が所定電圧値以上であるとき、タイマ43に計時を開始させることによって取得期間を開始させる。制御部46は、取得期間中に出力電圧情報(出力電圧値)を繰り返し取得する。取得期間中、制御部46が出力電圧情報を取得する取得間隔は一定である。制御部46は、出力電圧情報を取得する都度、取得した出力電圧情報が示す出力電圧値が設定範囲外の値であるか否かを判定する。制御部46は、出力電圧値が設定範囲外の値であると判定した場合、設定範囲の上限値及び下限値の中で出力電圧値に近い値と、出力電圧値との差分値を算出する。
【0077】
制御部46は、取得期間中に差分値を算出しなかった場合、積算値は0であり、積算閾値未満である。このため、制御部46は、リレー接点30において異常は発生していないと判定する。所定期間中に制御部46が取得した複数の出力電圧値の中で、設定範囲外の値である出力電圧値の数が1である場合、積算値は、設定範囲外の値である出力電圧値を用いて算出された差分値と一致する。所定期間中に制御部46が取得した複数の出力電圧値の中で、設定範囲外の値である出力電圧値の数が2以上である場合、制御部46は、複数の出力電圧値に基づいて複数の差分値の積算値を算出する。制御部46は、積算値が積算閾値以上である場合、リレー接点30において異常が発生していると判定し、リレー接点30の異常を検知する。
【0078】
図7に示すように、リレー接点30がオンである場合において、取得した電源電圧情報が示す電源電圧値が所定電圧値以上であるとき、取得期間は繰り返し開始される。
図7の例では、最初の取得期間では、制御部46が取得した全ての出力電圧値が設定範囲内の値であるため、積算値は0である。制御部46は、リレー接点30において異常は発生していないと判定する。2回目の取得期間では、所定期間中に制御部46が取得した複数の出力電圧値に設定範囲外の出力電圧値が含まれ、かつ、積算値が積算閾値を超えているため、制御部46はリレー接点30の異常を検知する。
【0079】
リレー接点30がオンである場合であっても、電源電圧値が所定電圧値未満であるとき、異常に関する誤った判定が行われる可能性があるため、制御部46は出力電圧情報(出力電圧値)を取得することはない。リレー接点30に関して、NO端子30b若しくは導体30cが変形した場合、又は、NO端子30b若しくは導体30cが摩耗した場合、リレー接点30がオンであるときのCOM端子30a及びNO端子30b間の抵抗値が低下する可能性がある。この場合、出力電圧値は設定範囲の上限値を超える。
【0080】
(実施形態2)
実施形態1では、マイコン24の制御部46は、積算値に基づいて、リレー接点30において異常が発生しているか否かを判定している。しかしながら、異常が発生しているか否かの判定に用いる値は、積算値に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0081】
<異常検知処理>
図8は、実施形態2における異常検知処理の手順を示すフローチャートである。実施形態2における異常検知処理では、マイコン24の制御部46は、実施形態1と同様に、ステップS11~S13,S15,S16,S22~S27を実行する。実施形態1,2における異常検知処理を比較した場合、ステップS24の内容が異なる。このため、ステップS11~S13,S15,S16,S22,S23,S25~S27の詳細な説明を省略する。
【0082】
実施形態2における異常検知処理では、制御部46は、ステップS12で取得した電源電圧情報が示す電源電圧値が所定電圧値以上であると判定した場合(S13:YES)、ステップS15を実行する。制御部46は、ステップS16を実行した後、ステップS22を実行する。従って、リレー接点30がオンである場合において、電源電圧値が所定電圧値以上であるとき、タイマ43の計時時間が所定時間以上となるまで、制御部46は、出力電圧情報(出力電圧値)を繰り返し取得する。実施形態1の説明で述べたように、タイマ43の計時時間が0から所定時間に到達するまでの期間は取得期間である。
【0083】
制御部46は、ステップS23を実行した後、実施形態1と同様に、リレー接点30において異常が発生しているか否かを判定する(ステップS24)。実施形態2のステップS24では、制御部46は、取得期間中に取得した複数の出力電圧情報が示す複数の出力電圧値に含まれる設定範囲外の出力電圧値の数が所定数以上である場合、リレー接点30において異常が発生していると判定する。制御部46は、取得期間中に取得した複数の出力電圧情報が示す複数の出力電圧値に含まれる設定範囲外の出力電圧値の数が所定数未満である場合、リレー接点30において異常が発生していないと判定する。所定数は、一定の正値であり、予め設定されている。
【0084】
制御部46は、リレー接点30において異常が発生していると判定した場合(S24:YES)、ステップS25~S27を順次実行する。従って、制御部46は、回数データが示す異常検知回数を1だけインクリメントする。制御部46は、変更後の異常検知回数に応じて閾値回数テーブルT1の閾値回数を低下させる。
【0085】
制御部46は、ステップS26を実行した後、又は、リレー接点30において異常が発生していないと判定した場合(S24:NO)、異常検知処理を終了する。制御部46は、異常検知処理を終了した後、再び、異常検知処理を実行する。
【0086】
以上のように、制御部46は、取得期間中、複数の出力電圧値を取得する。取得した複数の出力電圧値に含まれる設定範囲外の出力電圧値の数が所定数を超えている場合、制御部46はリレー接点30の異常を検知する。
図7の例では、最初の取得期間に関して、設定範囲外の出力電圧値の数は0である。このため、制御部46は異常を検知することはない。2つ目の取得期間に関して、設定範囲外の出力電圧値の数は4である。所定数が4以下の値に設定されている場合、制御部46は異常を検知する。所定数が4を超える値に設定されている場合、制御部46は異常を検知しない。
【0087】
<給電制御装置11の効果>
実施形態2における給電制御装置11は、実施形態1における給電制御装置11が奏する効果の中で、積算値を用いて異常を検知することによって得られる効果を除く他の効果を同様に奏する。
【0088】
<変形例>
実施形態1,2において、トランジスタ23は、マイコン24の切替え部40によってオン又はオフに切替えることができるスイッチとして機能すれば、問題はない。このため、トランジスタ23は、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)であってもよい。また、リレー接点30に関して、COM端子30aではなく、NO端子30bに導体30cの端部が接続されてもよい。この場合、導体30cは、NO端子30bを基点として回転することが可能である。コイル31を介して電流が流れていない場合、導体30cは、バネによってCOM端子30aから離れている。このとき、リレー接点30はオフである。コイル31を介して電流が流れている場合、導体30cは、COM端子30aに接触する。このときリレー接点30はオンである。
【0089】
実施形態1,2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
開示された実施形態1,2は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0090】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 電源システム
10 直流電源
11 給電制御装置
12 スタータ
13 負荷
20 リレー
21 電源電圧検出回路
21a,21b,22a,22b 分圧抵抗
22 出力電圧検出回路
23 トランジスタ
24 マイコン
30 リレー接点
30a COM端子
30b NO端子
30c 導体
31 コイル
40 切替え部
41,42 A/D変換部
43 タイマ
44 報知部
45 記憶部
46 制御部(処理部)
47 内部バス
A 記憶媒体
C 車両
P コンピュータプログラム
T1 閾値回数テーブル
T2 回数変更テーブル