(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015250
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】ミニ錠
(51)【国際特許分類】
A61K 47/26 20060101AFI20230124BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230124BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20230124BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K47/26
A61K9/20
A61K31/135
A23L5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179841
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2020542681の分割
【原出願日】2018-10-17
(31)【優先権主張番号】17197153.4
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520138162
【氏名又は名称】ディーエフイー ファーマ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ヒューベル、コリンデ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ラールホーフェン、バス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、エバ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ハーンデル、マーラ マリア ビルヘルミーナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医薬物質又はダイエタリーサプリメントのための有効成分を含む錠剤に好適な充填剤としての凝集体を調製する方法を提供する。
【解決手段】ラクトース凝集体を調製する方法であって、無水ラクトースからなるラクトース粒子を、ソルビトール、マンニトール及びラクチトールから選択される糖アルコールを含む水性結合溶液と流動床中で接触させ、それにより前記ラクトース粒子の凝集体を形成することを含み、前記結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり結合溶液からの1kgの乾燥固体当たり0.05~0.25kgの量で使用する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトース凝集体を調製する方法であって、無水ラクトースからなるラクトース粒子を、ソルビトール、マンニトール及びラクチトールから選択される糖アルコールを含む水性結合溶液と流動床中で接触させ、それにより前記ラクトース粒子の凝集体を形成することを含み、前記結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり結合溶液からの1kgの乾燥固体当たり0.05~0.25kgの量で使用する方法。
【請求項2】
前記結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり0.15~0.20kgの量で使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凝集体のラクトースと糖アルコールとの重量比が、80:20~99:1の範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記凝集体が、70~99重量%の無水ラクトースを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ソルビトール、マンニトール及びラクチトールから選択される糖アルコール及び水溶性炭水化物を含む凝集化物質により凝集化された一次無水ラクトース粒子を含む、請求項1、又請求項2~4のいずれかに記載の方法により取得可能な、無水ラクトースを含む凝集体。
【請求項6】
前記凝集体のラクトースと糖アルコールとの重量比が、80:20~99:1の範囲である、請求項5に記載の凝集体。
【請求項7】
70~99重量%の無水ラクトースを含む、請求項5又は6に記載の凝集体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、栄養補給食品又は食品用サプリメントの製造の分野に関する。特に、本発明は、医薬物質又はダイエタリーサプリメントのための有効物質を含む錠剤を作製する方法に関する。本発明はさらに、そのような物質を含む錠剤に、凝集体を作製する方法にそれぞれ、及び錠剤の作製における使用に好適な凝集体に関する。
【背景技術】
【0002】
小型単位剤形、特に、ミニ錠の形態の医薬、栄養補給食品又はダイエタリーサプリメントは、改善された快適さでの医薬、栄養補給食品又はダイエタリーサプリメントの投与を可能とし;それらは、大型単位剤形のそのような製品よりも容易に飲み込まれる。これは、患者又は消費者コンプライアンスの増加の実現にも有益である。さらに、口内で崩壊することが意図され、又は溶解されることが意図される単位剤形について、利益が存在する。それというのも、より小型のサイズは、剤形のより早い崩壊を可能とし得るためである。
【0003】
固体医薬、栄養補給食品及びダイエタリーサプリメント、特に、錠剤などは、典型的には、1つ以上の有効成分、1つ以上の賦形剤、例えば、滑沢剤、崩壊剤、充填剤、担体、及び場合により1つ以上のさらなる成分、例えば、香味剤、着色剤などを含む。医薬、栄養補給食品及びダイエタリーサプリメント有効成分は、一般に、比較的不十分な「圧縮性」(圧力下で容積が減少する粉体の能力)、及び/又は不十分な「成形性」(規定強度の錠剤に圧縮される粉体化材料の能力)を有する。したがって、一般に、そのような有効剤の改善された打錠性が必要とされている。したがって、有効成分は、通常、打錠を改善するために充填賦形剤と混合される。
【0004】
小型サイズの単位剤形(一般に、5mm以下の直径を有し、典型的には、約1~約3mmの直径を有する)、例えば、ミニ錠の生産は、特に困難である。単一単位剤形中で同一用量の有効成分を提供することを可能とするため、比較的高い有効成分負荷が得られる。したがって、賦形剤の最大含有率が低減される。賦形剤の成形挙動の改善は、単位剤形の十分な形成に重要である。また、良好な自由流動特性が特に重要である。これは、とりわけ、ダイ又はモールドを使用して単位剤形が形成される本質的に小型のダイ又はモールド穴の有効で効率的な充填を達成する方法に関連する。大量生産において、本質的に同一のサイズ及び重量の複数の単位剤形を得るためにこれは特に重要である。さらに、十分な重量均一性を有する小型単位剤形を得るために賦形剤の流動特性の改善が必要とされる。さらに、特に直接圧縮技術を使用する場合にミニ単位剤形の生産が直面する問題は、特に比較的高い生産速度(例えば、打錠速度)における「キャッピング」であり、キャッピング又はラミネーションは、医薬、栄養補給食品及びダイエタリーサプリメントの錠剤などの生産の分野において一般に公知の問題である。ミニ錠などの生産において、キャッピング又はラミネーションに起因する製品の高い排除割合は特に問題である。
【0005】
国際公開第2011/025673号パンフレットは、具体的には、医薬成分の経口投与のための多層ミニ錠を対象とする。これは、速放層及び放出制御層により形成されるコアミニ錠、及びコーティングを含む。これは、一般的用語において、例えば、賦形剤、例えば、炭水化物(糖、多糖)又はタンパク質充填剤又は無機物質を用いる直接圧縮による放出層の調製を指す。ミニ錠の製造が典型的に直面する問題は具体的に対処されておらず、選択される賦形剤の重要性が認められるのは述べるまでもない。
【0006】
種々の賦形剤は当分野において公知であるが、本発明者らの知る限り、小型サイズ単位剤形、例えば、ミニ錠の生産のための賦形剤についての全ての必要性に具体的に対処するものはない。次に考察される刊行物及び製品は打錠賦形剤に関するが、ミニ単位剤形の生産を具体的に開示していない。
【0007】
欧州特許第509606A1号明細書は、1~15重量%の糖アルコール(乾燥すべき溶液の固体に基づく)が乾燥前に添加された高いベータ-ラクトース含有率を有するラクトースのローラ乾燥溶液の均一塊の形態で直接打錠により錠剤を作製するための(非凝集化)打錠賦形剤に関する。この賦形剤は、糖アルコールを有さない賦形剤よりも高い硬度を提供することが記述されている。打錠性が不十分な成分、例えば、パラセタモールによる高い薬物負荷のため、セルロースの包含が推奨される。実施例4において、医薬成分(パラセタモール)と、75%の無水ラクトース(主にベータ-ラクトース)、5%の無水ラクチトール及び20%のセルロースを含む押出賦形剤とを含む錠剤が、市販の無水ラクトース(主にベータ形態)により作製された同一負荷の医薬成分を有する錠剤と比較される。打錠強度が改善された。さらに、より高い薬物負荷において、市販の製品はキャッピングを示した。このことから、キャッピングを回避するためにセルロースの包含が必要であることが結論付けることができる。しかしながら、重合体材料、例えば、セルロースの存在は、直接圧縮技術によりミニ単位剤形を生産する場合の高い生産速度において有害であることが本発明者らの知見である。これらの材料は、高い滞留時間感受性を有する。このことは、そのような材料の存在が圧縮単位剤形のレジリエンシー(resiliency)を増加させるためであることが企図される。さらに、セルロースは、不水溶性である。不水溶性材料についての必要性は、例えば、単位剤形を使用前に水中で溶解させるべき、又はそれが口内で崩壊すべき(これは、例えば、食感に有害である)場合に不所望である。特に、本発明者らは、欧州特許第509606A1号明細書により取得可能な、ラクトース及びラクチトールからなる賦形剤を用いてミニ錠を作製した試験において、硬度が比較的低いことを見出した。
【0008】
国際公開第2006/068484号パンフレットは、0~1.0重量%の総含水率を有する少なくとも50重量%のベータ-ラクトース結晶体を含む無水ラクトース凝集体に関する。標準的な無水ベータ-ラクトースと比較して良好な適合性を有するが、良好な流動特性も示すことが記述されている。この凝集体は、一次ラクトース粒子を結合剤溶液により処理する湿式造粒により得られる。結合剤溶液は、1つ以上の糖を含有し得る。かなり高い硬度を有する錠剤を調製するため、ラクトース、セルロース及び糖アルコールの混合物を含む結合剤溶液が推奨される。
【0009】
さらに、固体剤形を作製するための多数の市販の賦形剤が公知である。賦形剤に応じて、それらは、1つ以上の欠点、例えば、吸湿性、高い滞留時間感受性、高い滑沢剤感受性、流動可能性の制限、低いかさ密度を被ることがあり、比較的低い硬度を有する錠剤を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、目下、規定のラクトースベース賦形剤が、上記欠点の1つ以上に対処することを見出した。特に、本発明者らは、規定のラクトースベース賦形剤が、特に有効成分の高い負荷及び/又は高い生産速度においても小型サイズ固体単位剤形を作製するために好適であることを見出した。
【0011】
したがって、本発明は、医薬物質及びダイエタリーサプリメント又は栄養補給食品のための有効物質の群から選択される有効成分を含む、最長包含円(longest enveloping circle)により決定される1~5mmの範囲の直径及び/又は1~100mgの範囲の重量を有する錠剤を作製する方法であって、
a)好ましくは、無水ラクトース、より好ましくは、無水ベータ-ラクトース、及び糖アルコールを含むラクトース凝集体を提供すること;
b)有効成分を提供すること;
c)凝集体及び有効成分を混合し、それにより混合物を得ること;並びに
d)混合物を直接圧縮により錠剤に形成すること
を含む方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、ラクトース凝集体を調製する方法であって、好ましくは、少なくとも実質的に無水ラクトースからなり、より好ましくは、少なくとも実質的に無水ベータ-ラクトースからなるラクトース粒子を、糖アルコール及び場合により水溶性炭水化物、好ましくは、ラクトースを含む水性結合溶液と流動床中で接触させ、それによりラクトース粒子の凝集体を形成することを含み、結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり結合溶液からの1kgの乾燥固体当たり0.05~0.25kgの量で使用する方法に関する。
【0013】
驚くべきことに、こうして得られたラクトース凝集体は、セルロースも別の重合体も必要とせずに直接圧縮法によりかなり高い引張強度を有する錠剤を提供するために好適であることが見出された。
【0014】
本発明はさらに、糖アルコール、好ましくは、ソルビトール、マンニトール、マルチトール及び/又はラクチトールを含む凝集化物質により凝集化された一次無水ラクトース粒子を含み、好ましくは、本発明による凝集体を調製する方法により取得可能な、無水ラクトース、好ましくは、ベータ-ラクトースを含む凝集体に関する。
【0015】
本発明による(方法により得られる)凝集体は、本発明による錠剤の製造における充填剤としての使用に特に好適であることが見出された。実施例により説明されるとおり、これは、とりわけ、良好な自由流動特性を提供し、例えば、比較的高い薬物負荷においても優れた機械的特性を有するミニ錠の生産を可能とする。単一ラクトースベース充填賦形剤についてこれが可能であることは、特に驚くべきことである。それというのも、公知の市販の打錠単一充填賦形剤は、典型的には、良好な流動又は良好な錠剤硬度のいずれかを提供するが、他の条件に関する性能の欠落を提供するためである。したがって、いくつかの賦形剤の混合物が要求されることが多い。つまり、購入、貯蔵、分注及びおそらくブレンドに関してより多大な労力が要求される。本発明による(方法において使用される)ラクトース凝集体は、特に直接圧縮によるミニ錠の製造において良好な粉体流動及び良好な打錠性の両方を提供する即時使用可能な充填賦形剤である。したがって、錠剤を充填賦形剤の組合せから調製する場合よりも購入、貯蔵、分注及び/又はブレンドに要する時間及び費用が少ない。
【0016】
別の利点は、例えば、錠剤を形成するためにいくつかのステップを要求する、錠剤の生産において慣用であるが煩雑な方法である湿式造粒に代えて、直接圧縮技術を使用することができることである。
【0017】
本発明はさらに、本発明の方法により取得可能な、最長包含円により決定される1~5mmの範囲の直径及び/又は1~100mgの範囲の重量を有する錠剤であって、ラクトース、好ましくは、無水ラクトース、糖アルコールと、医薬物質及びダイエタリーサプリメント又は栄養補給食品のための有効物質の群から選択される有効成分とを含む錠剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において使用される「又は」という用語は、特に規定のない限り、「及び/又は」を意味する。
【0019】
本明細書において使用される「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、特に規定のない限り、「少なくとも1つ」を意味する。
【0020】
「実質的(に)」又は「本質的(に)」という用語は、一般に、規定されるものの一般的特徴又は機能をそれが有することを本明細書において示すために使用される。定量可能な特徴部を指す場合、それらの用語は、特に、それがその特徴部の最大の少なくとも75%、より特定すると、少なくとも90%、いっそうより特定すると、少なくとも95%、いっそうより特定すると、少なくとも99%についてのものであることを示すために使用される。
【0021】
「本質的に有さない」という用語は、一般に、物質が存在せず(有効出願日時に利用可能な分析技術により達成可能な検出限界未満)、又はそれが前記物質を本質的に有さない製品の特性に有意に影響しないような少量で存在することを本明細書において示すために使用される。実際、定量的観点において、生成物は、物質の含有率がそれが存在する生成物の総重量に基づき0~0.5重量%、特に、0~0.2重量%、より特定すると、0~0.1重量%である場合、通常、物質、特に、水を本質的に有さないとみなされる。当業者により理解されるとおり、ある物質、例えば、ある芳香物質又は微量栄養素について、出発材料中の存在は、0.5重量%、0.2重量%又は0.1重量%を十分に下回り得、依然として製品の特性に対する有意な効果を有する。
【0022】
値に関連する「約」という用語は、一般に、当業者により理解されるその値前後の範囲を含む。特に、範囲は、その値を少なくとも15%下回る値~少なくとも15%上回る値、より特定すると、その値を10%下回る値~10%上回る値、より具体的には、その値を5%下回る値~5%上回る値である。
【0023】
本明細書において使用される「直接圧縮」という用語は、一般に、当分野において公知であり、1つ以上の有効医薬成分及び好適な賦形剤の粉体混合物から錠剤を直接圧縮する方法と定義される。湿式又は乾式造粒手順による粉体ブレンドの前処理は要求されない。
【0024】
本明細書において使用される割合は、通常、特に規定のない限り、重量割合である。割合は、通常、特に規定のない限り、総重量に基づく。
【0025】
「名詞」(例えば、化合物、添加剤など)を単数形で指す場合、特に規定のない限り、複数形が含まれることが意味される。
【0026】
明確性及び正確な記載の目的のため、特徴部は、同一又は別個の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、本発明の範囲は、記載される特徴部の全て又は一部の組合せを有する実施形態を含み得ることが認識される。
【0027】
「錠剤」という用語は、一般に、当分野において公知である。錠剤は、構造的剛性及び25℃(通常、その温度を十分に上回る、例えば、最大約100℃以上)における形状又は容積の変化に対する耐性により特徴付けされる。液体とは異なり、固体物体は、その容器の形状に沿って流動せず、気体のようにそれが利用可能な容積全体を充填するように膨張もしない。本発明による錠剤の重量は、一般に、本質的に、アモルファスでも結晶質でもよい固体物質からなる。原則として、錠剤は多孔性であり得、気相を含有する。通常、錠剤は、本質的に液相を有さない。
【0028】
本発明による錠剤のサイズは、比較的小型である。したがって、これらは本明細書においてミニ錠とも称される。直径に関して、最長包含円により決定される錠剤、特に、ミニ錠の直径は、通常、1~5mmの範囲、好ましくは、1.5~4mmの範囲、より好ましくは、2.0~3mmの範囲である。ミニ錠の重量は、通常、1~100mgの範囲である。好ましくは、重量は、少なくとも3mg、より好ましくは、少なくとも5mg、特に、少なくとも8mg、より特定すると、10mg、いっそうより特定すると、少なくとも15mgである。ミニ錠の重量は、好ましくは、75mg以下、より好ましくは、50mg以下、いっそうより好ましくは、40mg以下、特に、少なくとも30mg以下、より特定すると、25mg以下である。
【0029】
「凝集体」という用語は、一般に、当分野において公知である。凝集化は定義上、一次粒子を一緒に固定してより大きい、一般に多孔性の二次粒子(凝集体)を形成する方法である。これらの凝集体内で、個々の一次粒子は、(例えば、顕微鏡観察により)依然として可視的である。
【0030】
本発明の錠剤は、有効成分、すなわち、対象、特に、ヒト又は他の動物に投与された場合に生理学的活性を有する成分を含有する。有効成分は、錠剤中の配合に好適な医薬物質及びダイエタリーサプリメントのための有効物質の群から選択される任意の有効成分であり得る。このような成分は、一般に、当分野において公知である。ダイエタリーサプリメントのための有効物質の典型例としては、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、アミノ酸、ハーブエキス及び酸化防止剤が挙げられる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのビタミンが本発明の錠剤中に存在し、このビタミンは、ビタミンA、D、E及びKの群から選択される。
【0031】
本発明による錠剤は、特に、医薬物質(当分野において医薬品有効成分(API)とも称される)のための投与量単位として有利であり、その有効用量は、投与量当たり100mg未満、特に、0.01~50mg、より特定すると、0.1~25mg、例えば、0.2~10mgである。このような医薬物質は、一般に、当分野において公知である。
【0032】
本発明による錠剤を作製する方法において、ラクトース及び糖アルコールを含むラクトース凝集体を提供する。ラクトースは、ラクトース凝集体の主構成成分である。典型的には、ラクトース含有率は、凝集体の少なくとも約75重量%、好ましくは、85重量%以上、より好ましくは、90重量%以上、特に、93重量%以上である。凝集体のラクトース含有率は、典型的には、99重量%以下、好ましくは、98重量%以下、特に、97重量%以下、より特定すると、96重量%以下である。
【0033】
ラクトース凝集体のラクトースは、アルファ-ラクトース、ベータ-ラクトース又はそれらの組合せであり得る。好ましくは、ラクトース凝集体の調製に使用されるラクトース粒子は、少なくとも実質的にベータ-ラクトースからなる。凝集体の調製方法に応じて、ベータ-ラクトース一次粒子から凝集体を調製する場合にも、調製される凝集体のラクトースの一部は、特に、一次ラクトース粒子を凝集化するための結合溶液の構成成分としてアルファ-ラクトースを使用する場合、アルファ-ラクトースであり得る。通常、ラクトース凝集体中のアルファ-ラクトースとベータ-ラクトースとの重量比は、0:100~30:70、好ましくは、2:98~25:75、特に、5:95~25:75、より特定すると、10:90~20:80である。
【0034】
ラクトース凝集体のラクトースは、アモルファスでも結晶質でもよい。原則として、ラクトース凝集体のラクトース又はその一部は、ラクトース一水和物であり得る。しかしながら、実施例において説明されるとおり、ラクトースが少なくとも実質的に無水ラクトースからなるラクトース凝集体について特に良好な結果が達成された。したがって、ラクトース凝集体は、典型的には、70~99重量%、好ましくは、75~99重量%、より好ましくは、85~98重量%、特に、90~97重量%、より特定すると、93~96重量%の無水ラクトースを含む。凝集体の無水ベータ-ラクトース含有率は、通常、70~99重量%、好ましくは、75~99重量%、特に、80~98重量%、より特定すると、85~98重量%である。
【0035】
凝集体のラクトース一水和物含有率は、一般に、0~30重量%、特に、0.1~25重量%、より特定すると、1~10重量%、例えば、2~5重量%である。
【0036】
当業者は、無水ラクトース及びラクトース一水和物の含有率を決定する方法を理解している。
【0037】
特に、少なくとも凝集体を構成する一次粒子が、少なくとも実質的に無水ラクトースからなることが有利である。好ましくは、凝集体中のラクトースの一部は、(糖アルコールと一緒になって)結合剤として作用し、一次粒子間で結合剤として作用するラクトースは、(乾燥後に形成され得る)ラクトース一水和物でも無水ラクトースでもよい。
【0038】
ラクトース凝集体は、糖アルコールを含む。糖アルコールは、一般式HOCH2(CHOH)nCH2OHにより表される。典型的には、本発明による凝集体中に存在する糖アルコールについて、nは、2~22の範囲の整数である。このような糖アルコールの例は、エリトリトール(4炭素)、トレイトール(4炭素)、アラビトール(5炭素)、キシリトール(5炭素)、リビトール(5炭素)、マンニトール(6炭素)、ソルビトール(6炭素)、ガラクチトール(6炭素)、フシトール(6炭素)、イジトール(6炭素)、イノシトール(6炭素;環式糖アルコール)、ボレミトール(7炭素)、イソマルト(12炭素)、マルチトール(12炭素)、ラクチトール(12炭素)、マルトトリイトール(18炭素)、マルトテトライトール(24炭素)である。ポリグリシトールは、24個超の炭素を有する糖アルコールである。
【0039】
好ましくは、凝集体は、6つの炭素(n=4)又は12個の炭素(n=10)を有する糖アルコール、より好ましくは、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール及びマンニトールからなる群から選択される糖アルコールを含む。このような糖アルコール、特に、ラクチトール、マルチトール、マンニトール及びソルビトールからなる群から選択される糖アルコールは、とりわけ、低分子量を有する糖アルコールと比較して、及び市販のラクトース凝集体と比較して改善された引張強度を有する固体剤形、特に、錠剤を提供するために特に好適である。
【0040】
4、6又は12個の炭素を有する糖アルコール、例えば、エリトリトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール又はソルビトールを含む凝集体は、さらに、好ましくは、高速打錠法において使用される。
【0041】
良好な結合特性のため、ラクトース凝集体の糖アルコール含有率は、一般に、少なくとも約1重量%、好ましくは、少なくとも2重量%、より好ましくは、少なくとも3重量%、特に、少なくとも4重量%である。一般に、ラクトース凝集体の糖アルコール含有率は、20重量%未満、好ましくは、15重量%未満、より好ましくは、約10重量%以下、特に、8重量%以下、より特定すると、7重量%以下、例えば、約5重量%以下である。
【0042】
通常、糖アルコール含有率の50~100重量%、好ましくは、75~100重量%、より好ましくは、90~100重量%は、6又は12個の炭素を有する1つ以上の糖アルコール、特に、本明細書の他箇所で好ましいと同定される糖アルコールの1つ以上、例えば、ラクチトール、マルチトール、マンニトール及びソルビトールの群から選択される1つ以上の糖アルコールにより形成される。
【0043】
凝集体中のラクトース及び糖アルコールの含有率は、通常、凝集体のラクトースと糖アルコールとの重量比が、80:20~99:1の範囲、好ましくは、90:10~97:3の範囲であることを提供する。
【0044】
ラクトース凝集体は、通常、本質的に、篩過により決定される、600μm以下、好ましくは、約500μm以下のサイズを有する凝集体からなる(重量基準)。これは、成形特性に有利であることが見出された。粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、好適には、レーザ回折装置、例えば、Rodos乾燥粉体分散ライン及びR5レンズを使用するSympatec Helos Fシリーズを使用して計測することができる。
【0045】
粒子サイズ分布に関して、X10は、好ましくは、45~85μm、より好ましくは、55~73μmの範囲、特に、約64μmである。
【0046】
粒子サイズ分布に関して、X50は、好ましくは、110~220μm、より好ましくは、131~200μmの範囲、特に、約166μmである。
【0047】
粒子サイズ分布に関して、X90は、好ましくは、230~400μm、より好ましくは、268~360μmの範囲、特に、約314μmである。
【0048】
X10は、容積基準の積算篩下分布の10%に対応する粒径である。
【0049】
X50(中央値)は、粒子の50容積%がこの直径よりも小さく、50%が大きいことを意味する。
【0050】
X90は、容積基準の積算篩下分布の90%に対応する粒径である。
【0051】
有利な成形特性のため、ラクトース凝集体は、通常、440~600kg/m3の範囲、好ましくは、460~590kg/m3の範囲、特に、475~575kg/m3の注入かさ密度(poured bulk density)(USP<616>に従う)を有する。
【0052】
本発明による(方法において使用される)ラクトース凝集体の流動機能係数(FFC、Jenickeにより決定可能、実施例も参照)は、通常、少なくとも約20、好ましくは、少なくとも25、より好ましくは、30以上である。特に、FFCは、最大60、より特定すると、55以下、例えば、約45以下であり得る。このような高いFFCは、本発明による凝集体を調製する方法について特に達成可能である。比較として、市販の充填賦形剤は、典型的には、30未満のFFCを有する。例えば、Microcelac(登録商標)100については15のFFCが、Ludipress(登録商標)については19のFCCが、SuperTab 24ANについては25のFCCが、Prosolv SMCC HD90については15のFCCが計測された。
【0053】
本質的に重合体を有さない凝集体について、本発明による錠剤の製造に関して極めて良好な結果が達成された。重合体、例えば、当分野において公知のセルロースベース充填剤は、他の公知の非重合体(ラクトースベース)充填剤と比べて利点を有するが、欠点、例えば、吸湿性の増加又は高い滞留時間感受性も有することに留意すべきである。本発明によれば、ラクトース凝集体以外の充填剤を必要とせずに優れた特性を有する錠剤を提供することが可能であることが見出された。このような本質的に重合体不含の充填剤は、とりわけ、直接圧縮によるミニ錠、特に、高い打錠速度においても比較的高い有効成分負荷を有するそのようなミニ錠の調製に有利である。
【0054】
好ましい具体的な実施形態において、ラクトース凝集体は、75~95重量%の無水ラクトース、特に、無水ベータ-ラクトース、最大20重量%のラクトース一水和物及び1~10重量%の糖アルコールを、約81対約14対約5の重量比で含む。
【0055】
原則として、ラクトース凝集体は、当分野において公知の方法、例えば、国際公開第2006/068484号パンフレットからの方法に基づき提供することができる。
【0056】
好ましくは、凝集体は、粉体形態のラクトース粒子を、糖アルコール及び場合により炭水化物、好ましくは、ラクトースを含む水性結合溶液により凝集化する噴霧凝集化によりそれを調製することにより提供される。
【0057】
ラクトース凝集体を調製する方法であって、少なくとも実質的にラクトースからなり、特に、少なくとも実質的に無水ラクトースからなるラクトース粒子(一次粒子)を、糖アルコール及び水溶性炭水化物、好ましくは、ラクトースを含む水性結合溶液と流動床中で接触させ、それによりラクトース粒子の凝集体を形成することを含み、結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり結合溶液からの1kgの乾燥固体当たり0.05~0.25kgの量で使用する方法について特に良好な結果が達成された。換言すると、1kgの最終ラクトース凝集体当たり結合剤溶液中の0.05~0.25kgの固体を使用する。
【0058】
有利には、得られる凝集体の高い成形性のため、ラクトース一次粒子は、60μm以下、好ましくはさらに、45μm未満の平均サイズを有する。少なくとも20μm、好ましくは、少なくとも30μmの平均サイズを有する一次粒子を使用して可能な限り高い成形性を達成することが好ましい。粒子サイズは、Alpine Air Jet篩(Hosakawa Alpine,Germany)により計測されるものである。32μm未満の粒子については、レーザ回折計測も好適である(例えば、Malvern又はSympatecによる)。
【0059】
特に、良好な打錠特性、特に、高いFCCを有する凝集体は、結合溶液を1kgのラクトース凝集体当たり比較的少量の乾燥固体で使用し、すなわち、1kgのラクトース凝集体当たり1kgの乾燥固体当たり0.10~0.22kg、好ましくは、1kgのラクトース凝集体当たり1kgの乾燥固体当たり0.12~0.20kg、より好ましくは、1kgのラクトース凝集体当たり1kgの乾燥固体当たり0.15~0.20kgの量の結合溶液を適用する方法により取得可能であることが見出された。
【0060】
本発明による錠剤を調製する方法において、提供されるラクトース凝集体及び提供される有効成分を混合する。これは、通常、自体公知の様式で、例えば、乾式ブレンドにより行う。さらに、凝集体は有効物質の十分に広範な粒子サイズの範囲内の有効物質を支持することが本発明の利点である。
【0061】
ラクトース凝集体及び有効成分は、特に、有効成分が低い有効投与量、例えば、20重量%未満、例えば、約10重量%以下の負荷を有する場合、比較的低い有効成分負荷を提供するための比でブレンドすることができる。しかしながら、本発明は、特に、比較的小型の単位剤形、例えば、ミニ錠を有効成分の比較的高い負荷において提供することが有利であることが見出された。したがって、本発明による錠剤の有効成分負荷(単位剤形の総重量に対する1つ以上の医薬物質及びダイエタリーサプリメント又は栄養補給食品のための有効物質の総重量%)は、一般に、少なくとも20重量%、好ましくは、少なくとも25重量%、より好ましくは、30重量%以上、特に、35重量%以上、より特定すると、少なくとも約40重量%である。最大負荷は、一般に、投与量単位当たりの有効な成分の所望の投与量により決定される。さらに、有効成分の物理化学的特性は、ある役割を担う。当業者が理解しているとおり、有効成分の物理化学的特性に応じて、有効成分は、錠剤を形成するための使用される混合物の流動性に有害な影響を与え得る。良好な自由流動性は、ダイを使用して錠剤を形成する場合に特に重要である。当業者は、共通一般知識、本明細書に引用される文献及び本明細書に開示の情報に基づきこれにどのように対処するかを理解する。実施例において説明されるとおり、錠剤の調製に問題を抱える薬物として公知の有効医薬成分、例えば、パラセタモールも、少なくとも約40%の負荷において本発明による錠剤に適切に配合することができる。通常、有効成分は、ラクトース凝集体と80重量%以下、好ましくは、70重量%以下、特に、60重量以下、より特定すると、50重量%以下の有効成分負荷を提供するための比でブレンドする。具体的な実施形態において、有効成分負荷は、約45重量%以下、例えば、約40重量%以下である。
【0062】
任意のさらなる賦形剤を使用すべき場合、それらは、好ましくは、ラクトース凝集体及び有効成分を混合した後にブレンドすることができる。或いは、それらは、凝集体及び/又は有効成分と同時にブレンドすることができる。このようなさらなる賦形剤は、任意選択である。それらは、使用する場合、主な賦形剤構成成分としてラクトース賦形剤を用いる錠剤の調製における使用のための公知の賦形剤、特に、滑沢剤、崩壊剤、香味剤、着色剤からなる群から選択される1つ以上の物質から選択することができる。当業者は、共通一般知識、本明細書に引用される文献及び本明細書に開示の情報に基づき好適な量を理解する。通常、ラクトースは、錠剤(を調製するために使用されるブレンド)の総賦形剤含有率の50~99重量%、特に、75~98重量%、より特定すると、80~95重量%を形成する。一般に、ラクトース及び糖アルコール以外の賦形剤構成成分の総含有率、特に、ラクトース、糖アルコール及び前記有効成分以外の構成成分の総含有率は、0~15重量%、特に、0.5~6重量%、より特定すると、1.0~5重量%である。
【0063】
好ましくは、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムを、好ましくは、0.2~2重量%の量で使用する。
【0064】
好ましくは、崩壊剤、例えば、クロスカルメロースを、好ましくは、0.2~10重量%の量で使用する。
【0065】
次いで、有効成分、ラクトース凝集体及び場合により1つ以上の他の成分の得られた混合物を錠剤に形成する。形成ステップは、当分野において自体公知の方法、例えば、本明細書に引用される文献又は前記文献中の参照文献に記載のものに基づき得る。
【0066】
特に、粉体混合物をダイ内で圧縮して錠剤を形成する、一般に公知の技術である直接圧縮について良好な結果が達成された。種々の段階は、典型的には、以下のとおりである:再配列、変形、成形及び緩和(Jivraj et al,Pharm.Sci.Technolo.Today;Vol3,No2 February 2000,pp58-63)。
【0067】
小型寸法のダイ中への高い薬物負荷においても流動性が良好であることが、本発明の利点である。さらに、滞留時間感受性が比較的低く、高速における直接圧縮による打錠を可能とする。高速は、60ms(ミリ秒)以下、好ましくは、50ms未満、より好ましくは、30ms以下、最も好ましくは、20ms以下、特に、10ms以下の滞留時間により本明細書において特徴付けされる。滞留時間は、一般に、0ms超である。実際、滞留時間は、好ましくは、少なくとも約1ms、例えば、約5ms以上である。
【0068】
本発明の追加の利点は、ミニ錠の摩損度が、従来のラクトース製品、例えば、P.Lennartz et al;“Minitabletting:improving the compactability of paracetamol powder mixtures”,International Journal of Pharmaceutics,vol.173,no.1-2,1 October 1998,pp75-85に報告されているPharmatose DCL11(DMV)を用いて作製されたミニ錠と比較して低減されることである。摩損度はUSP<1216>に従って決定し、1%未満であるべきである。
【0069】
上記のとおり、本発明はさらに錠剤に関する。
【0070】
好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、総ラクトース含有率に基づき70~100重量%の無水ベータ-ラクトース、より好ましくは、75~97重量%の無水ベータ-ラクトース、特に、80~96重量%の無水ベータ-ラクトース、より特定すると、90~95重量%の無水ベータ-ラクトース(全て総ラクトース含有率に基づく)を含む。
【0071】
好ましい実施形態において、錠剤のラクトース一水和物含有率は、一般に、0~30重量%、特に、0.1~25重量%、より特定すると、1~20重量%、例えば、2~15重量%である。
【0072】
特に好ましい実施形態において、錠剤は、最長包含円により決定される1~5mmの範囲の直径及び/又は1~100mgの範囲の重量を有し、無水ラクトース、好ましくは、無水ベータ-ラクトース、糖アルコールと、医薬物質及びダイエタリーサプリメント又は栄養補給食品のための有効物質の群から選択される有効成分とを含み、有効成分の合計は、錠剤の20~80重量%、特に、30~75重量%、より特定すると、35~70重量%、例えば、40~60重量%を形成する。無水ラクトースと糖アルコールとの重量比は、好ましくは、80:20~99:1、より好ましくは、90:10~97:3の範囲である。
【0073】
通常、本発明による錠剤は、実施例に記載のとおり決定可能な、0.7MPa超、好ましくは、少なくとも1.0MPa、より好ましくは、少なくとも1.5MPa、特に、少なくとも2.0MPa、より特定すると、少なくとも2.5MPaの引張強度を有する。典型的には、引張強度は、最大約10MPa、特に、約8MPa以下、より特定すると、約7MPa以下、約5MPa以下、例えば、約3MPa以下である。具体的な実施形態において、引張強度は、約2MPa以下である。
【実施例0074】
実施例1
本発明による凝集体の調製及び自由流動特性。
噴霧溶液の調製:
1.32kgのラクチトール一水和物(Dupont,USA)及び3.68kgのアルファ-ラクトース一水和物(Pharmatose200M,DFE Pharma,Germany)を、10kgの水中に溶解させた。溶液を撹拌下で70℃に加熱した。
【0075】
20kgの無水ベータ-ラクトース(Lactopress無水微粉体、DFE Pharma,Germany)を、空気吸入口温度80℃において作動する噴霧凝集装置(Aeromatic STREA70,GEA)中で流動させた。二流体ノズルを0.5kg/分の流量において使用して噴霧溶液をアトマイズすることにより流動床を湿潤させた。凝集化プロセスの間、全溶液を床上に噴霧した。
【0076】
得られた生成物は、以下の表に示される粒子サイズ分布を有する凝集体であった。:
【0077】
【0078】
さらに、凝集体は、以下の特質を有した:
- 注入かさ密度(USP<616>)530kg/m3
- Properties of powders and bulk solids,Dietmar Schultze,Ostfalia University for Applied sciences,Wolfenbuttel,Germany,http://www.dietmar-schulze.de/grdle1.pdfに記載のとおり決定されたJenickeによる流動機能係数=45。
- ラクトース含有率95重量%(そのうち80%は、無水ベータ-ラクトース(すなわち、凝集体の総重量に基づき76重量%)であり、20%(すなわち、凝集体の総重量に基づき19重量%)は、アルファ-ラクトースである)。
- ラクチトール含有率5重量%。
- カールフィッシャー法による含水率:1.0重量%。
【0079】
実施例2
本発明による凝集体と、ローラ乾燥ラクトース粉体との比較
無水ラクトース(95重量%)及びラクチトール(5重量%)の比較例の非凝集化ラクトース粉体(Pharmatose DCL40として既に市販)を、欧州特許第509606号明細書に従ってローラ乾燥により作製した。成形性能を、本発明により得られた凝集体(実施例1に記載)と比較した。
【0080】
以下の手順を使用してローラ乾燥ラクトース粉体から、及び本発明のラクトース凝集体粉体から錠剤を作製した:
【0081】
全ての錠剤成分を使用前にコンディショニングした。コンディショニングは、実験室用加熱器中で20℃及び30%の相対湿度において行った。ラクトース粉体を慎重に秤量し、Turbulaミキサを使用してガラスジャー中でブレンドした。ブレンド手順は、22rpmにおける15分間であった。初回ブレンド後、0.5重量%のステアリン酸マグネシウム(MgSt)を添加し、全ての混合物を22rpmにおいて5分間再度ブレンドした。
【0082】
混合後、RoTab T回転式実験室用プレスを使用して直接圧縮により配合物を打錠した。シングルチップ及びダイを有するiHolland凹型パンチを使用した。
【0083】
回転式錠剤プレスは、5つのパンチからなるものであった。回転周波数を25Hzに設定し、得られる滞留時間は60msであった。ダイの充填深さは、250mgの錠剤重量が得られるように設定した。
【0084】
本発明による凝集体から得られた錠剤は、以下の表により説明されるとおり同等の圧縮圧力において錠剤の増加した引張強度を有した。
【0085】
【0086】
実施例3
本発明による凝集体と、実施例1からの単一成分の物理的混合物との比較。
ラクチトール及びラクトースの物理的混合物を、以下のとおり作製した:ラクチトール一水和物を、315ミクロン篩を備える振動篩ERWEKA AR400中で粉砕した。篩からの篩下分画を噴霧凝集化無水ラクトース(SuperTab 24AN;DFE Pharma)と、5重量部のラクチトール/95重量部の無水ラクトースの比でTurbulaミキサ中で62rpmにおいて8分間混合した。
【0087】
錠剤を以下のとおり作製した:全ての錠剤成分を使用前にコンディショニングした。コンディショニングは、実験室用加熱器中で20℃及び30%の相対湿度において行った。ラクトース粉体を慎重に秤量し、Turbulaミキサを使用してガラスジャー中でブレンドした。ブレンド手順は、62rpmにおける8分間であった。初回ブレンド後、0.5重量%のステアリン酸マグネシウム(MgSt)を添加し、全混合物を62rpmにおいて2分間再度ブレンドした。
【0088】
混合後、RoTab T回転式実験室用プレスを使用して配合物を打錠した。シングルチップ及びダイを有するiHolland平面面取り型パンチ(flat beveled punch)を使用した。
【0089】
回転式錠剤プレスは、5つのパンチからなるものであった。回転周波数を25Hzに設定し、得られる滞留時間は60msであった。ダイの充填深さは、250mgの錠剤重量が得られるように設定した。
【0090】
得られた錠剤の引張強度を実施例2に記載のとおり試験し、実施例1に従って作製されたラクトース凝集体から作製された錠剤と比較した。
【0091】
本発明による凝集体から得られた錠剤は、以下の表により説明されるとおり同等の圧縮圧力において錠剤の増加した引張強度を有した。
【0092】
【0093】
実施例4
ラクチトール対他の結合剤
凝集体を以下のとおりHosokawa Agglomaster AGM-2M PJ-SD中で調製した。
【0094】
486gの無水ラクトースを出発材料として使用した(Lactopress無水微粉、DFE Pharma,Germany)。171gの水中に両方とも溶解させた30gの以下に規定される糖アルコール及び84gの無水ラクトースを含む溶液を調製した。溶液を撹拌しながら60℃に加熱した。
【0095】
粉体を流動させ、凝集化装置の空気吸入口温度を115℃とした。溶液を14g/分の流量において噴霧した。溶液を床上に完全に噴霧した後、床を乾燥させ、20分間冷却した。凝集体を500μm篩上で篩過し、篩下分を回収した。
【0096】
凝集体を、実施例2及び3に上記される混合手順に従って崩壊剤(Primellose,DFE Pharma)とブレンドした。
【0097】
打錠は、Kilianシングルパンチ(SP-300)打錠装置上で直接圧縮を使用して行った。平面面取り型ツールを使用した。いくつかの圧縮圧力(CP)における引張強度(TS)を、以下の表中でSuperTab 24AN(DFE)と比較した。
【0098】
糖アルコールを用いて作製された凝集体のそれぞれは、比較例よりも優れていた。
【0099】
【0100】
実施例5
薬物負荷試験
実施例1の凝集体を、配合物中で高い負荷において使用することが困難な薬物であることが公知であるためモデル薬物として使用されることが多いモデル薬物パラセタモールと混合した。細粒のパラセタモールを選択した(x50=38μm)。この配合物に、4%のクロスカルメロースナトリウムを添加し、Turbulaミキサ中で62rpmにおいて8分間ブレンドした。
【0101】
初回ブレンド後、1%のMgStを添加し、さらに2分間再度ブレンドした。iHolland凹型パンチマルチチップ及びダイ(*7)を使用する回転式実験室用錠剤プレス、RoTab T上で直接圧縮を使用して配合物を打錠し、回転周波数は25Hzであり、得られる滞留時間は60m秒であった。ダイの充填深さは、20mgの重量の錠剤が得られるように設定した。
【0102】
比較例の錠剤の調製のため、良好な自由流動特性が公知の2つの市販の賦形剤、すなわち、凝集化微結晶性セルロース(Pharmacel MCC102,DFE Pharma)及び凝集化無水ラクトース(SuperTab 24AN)を使用してこの手順を繰り返した。
【0103】
結果を以下の表に示す。
【0104】
【0105】
高い負荷においても十分な引張強度に達したことが見出された。流動の問題は、比較例の賦形剤について35%のパラセタモール以上の負荷において観察された一方、40%のパラセタモール及び実施例1による60%のラクトース凝集体のブレンドから作製されたミニ錠は、依然として十分な質、例として、十分な引張強度のミニ錠を生産するための十分な流動特性を有した。
【0106】
実施例6
ミニ錠の錠剤引張強度(TTS)及び摩損度
Pharmatose DCL11(DMV)及び実施例1において調製された本発明の凝集体を比較する比較試験を実施した。
【0107】
Pharmatose DCL11は現在、Supertab11 SDとして市販されており、DFE Pharma,GmbH,Germanyから入手可能である。これらの製品は同一である。
【0108】
種々の薬物(パラセタモール)負荷を有する20mg及び3mmのミニ錠を、以下のとおり調製した。
【0109】
【0110】
Acros Organicsから微粉砕パラセタモールを入手した(315ミクロンの強制篩過。
【0111】
【0112】
粉体の気候順化
使用される全ての粉体(ステアリン酸マグネシウムを除く)を、ブレンド前にHeraeus人工気候室中で一晩保存する。温度は20℃であり、相対湿度(RH)は30%である。
【0113】
ブレンド及び篩過
0~40重量%の微粉砕パラセタモールを、SuperTab11 SD(DCL11)又は実施例1の凝集体のいずれかを含有する配合物に添加し、両方の試験物は、4重量%のPrimellose及び1%のステアリン酸マグネシウムをさらに含有した。賦形剤配合物混合物の添加前、Erweka AR400振動篩を使用してパラセタモールを315μm篩上で篩過して凝集体を取り出す。サンドイッチ手順をパラセタモールの添加に適用する:賦形剤混合物の約50%をジャー中に予備充填し、次いで所望量のパラセタモールを添加し、混合物を賦形剤混合物の残りの50%により充填する。最後のステップにおいて、Primelloseを添加する。ジャーをTurbula T2Fブレンダ中に62rpmにおいて8分間配置し、第2の混合ステップにおいて、ステアリン酸マグネシウムを62rpmにおいて2分間混合する。
【0114】
打錠
Luxner RoTab T回転式プレス、回転周波数:
25rpm(得られる滞留時間60ms)
50rpm(得られる滞留時間30ms)
を使用して錠剤を圧縮した。
【0115】
ダイの充填深さは、20mgの重量の錠剤(ミニ錠のため)が得られるように設定する。
【0116】
ミニ錠のため、iHolland3mm凹型パンチマルチチップ及びダイ(*7)を使用する。12kN系列Aについて)(60ms)、及び7kN(系列Bについて、30ms)の成形力を使用して錠剤を生産した。ミニ錠パンチは極めて脆弱であるため、医薬産業において、限定的な力をパンチに適用することが好ましい。12kNの圧力は産業にとっては高く、理想的には、高い錠剤引張強度(TTS)は低い成形力を用いて達成される。
【0117】
全ての打錠実験の間の実験室に関する条件は、t=20~23℃であり、RH39~44%であった。
【0118】
錠剤重量及び硬度試験
ミニ錠を、立証済みのDr.Schleuniger(登録商標)Pharmatron計測技術によりSotax SmartTest50上で分析した。硬度は、0.35mm/sの定速を使用して試験する。
【0119】
成形(打錠)は、通常、成形プロファイル、成形力又は圧力(単位面積当たりの力)に対する錠剤引張強度(TTS)(錠剤破壊強度(TCS)から導出)として表現される。それというのもこの値が錠剤サイズと無関係であるためである。
【0120】
凹型錠剤について、錠剤引張強度は、シリンダ高さ(W)又はカップ高さ(hc)についての追加の値を用いてのみ計算することができる:
【数1】
(K.Pitt,M.Heasley,2013,Powder technology edition 238,Determination of the tensile strength of elongated tablets)
【0121】
3mmの凹型工具についてのHcは、0.25mmである。
【0122】
摩損度
2グラムの20mgミニ錠を使用して摩損度を試験した。錠剤を慎重にティシュー上で除塵し、試験前に秤量する。錠剤をドラム中に配置し、100回回転させる(25rpm、4分間)。錠剤を取り出し、除塵し、正確に秤量した。USP<1216>に従って、1.0%以下の3つの試料からの最大平均重量損失をほとんどの製品について許容可能とみなす。
【0123】
結果
以下の表において、錠剤引張強度及び摩損度計測値の結果を示す:
【0124】
【0125】
【0126】
上記表から、本発明による生成物を用いて作製されたミニ錠は、Pharmatose DCL11(=Supertab11 SD)を用いて生産されたミニ錠と比較してかなり高い引張強度を有することが明らかであり;さらに、本発明の凝集体を使用することにより、摩耗に対するミニ錠の耐性が特に高い薬物負荷において有意に改善され;摩損度は1%を十分に下回るままである一方、DCL11を用いて調製されたミニ錠は、2%超もの摩損度を有し、それはミニ錠について許容不可能である。
【0127】
[請求項1]
医薬物質及びダイエタリーサプリメント又は栄養補給食品のための有効物質の群から選択される有効成分を含む、最長包含円により決定される1~5mmの範囲の直径及び/又は1~100mgの範囲の重量を有する錠剤を作製する方法であって、
(a)ラクトース、及び糖アルコールを含むラクトース凝集体を提供すること;
(b)前記有効成分を提供すること;
(c)前記凝集体及び前記有効成分を混合し、それにより混合物を得ること;並びに
(d)前記混合物を直接圧縮により前記錠剤に形成すること
を含む方法。
[請求項2]
前記糖アルコールが、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール及びエリトリトール、好ましくは、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール及びマンニトールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記有効成分の総含有率が、総単位剤形重量の少なくとも20重量%、好ましくは、30~80重量%、特に、40~70重量%である、請求項1又は2に記載の方法。
[請求項4]
(a)粉体形態のラクトース粒子を、前記糖アルコール及び場合により水溶性炭水化物、好ましくは、ラクトースを含む水性結合溶液により凝集化する噴霧凝集化により前記凝集体を調製することにより前記凝集体を提供する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
[請求項5]
ラクトース凝集体を調製する方法であって、好ましくは、少なくとも実質的に無水ラクトースからなり、より好ましくは、少なくとも実質的に無水ベータ-ラクトースからなるラクトース粒子を、糖アルコール及び場合により水溶性炭水化物、好ましくは、ラクトースを含む水性結合溶液と流動床中で接触させ、それにより前記ラクトース粒子の凝集体を形成することを含み、前記結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり結合溶液からの1kgの乾燥固体当たり0.05~0.25kgの量で使用する方法。
[請求項6]
前記結合溶液を、1kgのラクトース凝集体当たり0.15~0.20kgの量で使用する、請求項5に記載の方法。
[請求項7]
前記凝集体のラクトースと糖アルコールとの重量比が、80:20~99:1の範囲、好ましくは、90:10~97:3の範囲である、請求項5又は6のいずれかに記載の方法。
[請求項8]
前記凝集体が、70~99重量%、好ましくは、75~95重量%の無水ラクトース、特に、無水ベータ-ラクトースを含む、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
[請求項9]
前記圧縮を、60ms以下、好ましくは、50ms未満、より好ましくは、30ms以下、最も好ましくは、20ms以下、特に、10ms以下の滞留時間において実施する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
[請求項10]
糖アルコール、好ましくは、マンニトール、ソルビトール、マルチトール又はラクチトール及び場合により水溶性炭水化物を含む凝集化物質により凝集化された一次無水ラクトース粒子を含む、好ましくは、請求項5、又は請求項5に従属する請求項6~8のいずれかに記載の方法により取得可能な、無水ラクトース、特に、無水ベータ-ラクトースを含む凝集体。
[請求項11]
前記凝集体のラクトースと糖アルコールとの重量比が、80:20~99:1の範囲、好ましくは、90:10~97:3の範囲である、請求項10に記載の凝集体。
[請求項12]
70~99重量%、好ましくは、75~97重量%の無水ラクトース、特に、85~96重量%の無水ラクトース、より特定すると、90~95重量%の無水ラクトースを含む、請求項10又は11に記載の凝集体。
[請求項13]
最長包含円により決定される1~5mmの範囲の直径及び/又は1~100mgの範囲の重量を有する錠剤、好ましくは、請求項1~4のいずれかに記載の方法により取得可能な錠剤であって、ラクトース、好ましくは、無水ラクトース、糖アルコールと、医薬物質及びダイエタリーサプリメント又は栄養補給食品のための有効物質の群から選択される有効成分とを含み、(1つ以上の)有効成分の合計が、前記錠剤の少なくとも20重量%を形成する錠剤。
[請求項14]
ソルビトール、ラクチトール、マルチトール及びマンニトールの群から選択される糖アルコールを含む、請求項13に記載の錠剤。
[請求項15]
ラクトースと糖アルコールとの重量比が、80:20~99:1、好ましくは、90:10~97:3の範囲である、請求項13又は14に記載の錠剤。
[請求項16]
総ラクトース含有率に基づき70~100重量%、好ましくは、75~97重量%の無水ベータ-ラクトース、特に、80~96重量%の無水ベータ-ラクトース、より特定すると、90~95重量%の無水ベータ-ラクトースを含み、及び/又は無水ベータ-ラクトースが、前記錠剤の総賦形剤含有率の50~99重量%、特に、75~98重量%、より特定すると、80~95重量%を形成する、請求項13~15のいずれかに記載の錠剤。