(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152507
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】弁および弁の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
F16K 3/24 20060101AFI20231010BHJP
F16K 31/06 20060101ALN20231010BHJP
【FI】
F16K3/24 D
F16K31/06 305L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062561
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】古川 健太
(72)【発明者】
【氏名】西村 直己
(72)【発明者】
【氏名】出口 優
【テーマコード(参考)】
3H053
3H106
【Fターム(参考)】
3H053AA26
3H053BD10
3H106DC09
3H106EE35
3H106GC15
(57)【要約】
【課題】付勢手段の付勢力の精度が高い弁および弁の組み立て方法を提供する。
【解決手段】ケース21内で動作可能な弁体22と、弁体22を付勢する付勢手段29と、付勢手段29を保持するリテーナ23と、を備える弁1であって、リテーナ23は、ケース21に固定される筒状部材231と、筒状部材231内に配置され付勢手段29の一端を支持する受部材232と、を備え、受部材232の外周面232bは筒状部材231の内周面231eに固定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内で動作可能な弁体と、前記弁体を付勢する付勢手段と、前記付勢手段を保持するリテーナと、を備える弁であって、
前記リテーナは、前記ケースに固定される筒状部材と、前記筒状部材内に配置され前記付勢手段の一端を支持する受部材と、を備え、
前記受部材の外周面は前記筒状部材の内周面に固定されている弁。
【請求項2】
前記筒状部材の外周部にかしめ部が形成されている請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記筒状部材が塑性変形可能な薄板で構成されている請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記受部材は板材である請求項1ないし3のいずれかに記載の弁。
【請求項5】
ケース内で動作可能な弁体と、前記弁体を付勢する付勢手段と、前記付勢手段を保持するリテーナと、を備える弁の組み立て方法であって、
前記リテーナは、前記ケースに固定される筒状部材と、前記筒状部材内に配置され前記付勢手段の一端を支持する受部材と、を備えており、
前記受部材を前記筒状部材の軸方向に相対移動させた後、前記筒状部材の内周面に前記受部材の外周面を固定する弁の組み立て方法。
【請求項6】
前記筒状部材の外周部からかしめて前記筒状部材に前記受部材を固定する請求項5に記載の弁の組み立て方法。
【請求項7】
前記筒状部材は有底筒状をなし、前記受部材は前記筒状部材に固定される前に前記筒状部材の底部に一時的に保持されている請求項5または6に記載の弁の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体を制御する弁および弁の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業分野で作動流体の制御を行うために利用されている弁は、弁座と、弁座に対して離接可能な弁体を備え、弁開度が調節されることで作動流体の圧力や流量が制御可能となっている。
【0003】
このような弁には、弁座である開口に対して平行に弁体であるスプールが移動するスプール弁、弁体が回動軸を有するバタフライ弁、さらには弁体が弁座である開口に対して直交するように移動するリフト弁が代表的な弁形態として挙げられる。これらの弁の中でもスプール弁は、スプールの移動方向と作動流体が流れる方向が交差しており、スプールの移動方向に作動流体の流体圧が作用し難いため、駆動力に対するスプールの応答性が高くなっている。
【0004】
スプール弁として、例えば、特許文献1のソレノイドバルブが知られている。特許文献1のソレノイドバルブは、スリーブに収納された円柱状のスプールと、スリーブの一端に固定されスプールを駆動させるソレノイド部と、スリーブの他端に固定されるリテーナと、スプールとリテーナとの間で保持される付勢手段と、から主に構成されている。
【0005】
リテーナは、プレス成形された有底筒状を成し、スリーブに固定される円筒状周壁と、円筒状周壁から連設された底壁と、から構成されている。付勢手段は、スプールと底壁との間で保持されるようになっている。円筒状周壁をスリーブに固定した後、外部から底壁をスプール側に押圧し、円筒状周壁と底壁との接続部分を塑性変形させることで、付勢手段を圧縮させ、該付勢手段の付勢力を適正に調整できるようになっている。また、円筒状周壁と底壁との接続部分が塑性変形されるため、付勢手段を圧縮させた状態で保持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-185497号公報(第5頁、第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のソレノイドバルブにあっては、外部から底壁をスプール側に押圧し円筒状周壁と底壁との接続部分を塑性変形させることから、底壁を適正位置よりもスプール側に移動させると、底壁をスプールから離れる方向に戻すことができず、付勢手段の付勢力を調整精度が低かった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、付勢手段の付勢力の精度が高い弁および弁の組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の弁は、
ケース内で動作可能な弁体と、前記弁体を付勢する付勢手段と、前記付勢手段を保持するリテーナと、を備える弁であって、
前記リテーナは、前記ケースに固定される筒状部材と、前記筒状部材内に配置され前記付勢手段の一端を支持する受部材と、を備え、
前記受部材の外周面は前記筒状部材の内周面に固定されている。
これによれば、リテーナが受部材と筒状部材との別部材で構成されており、筒状部材に受部材が好適な位置で固定されるため、付勢手段の付勢力の精度が高い弁を提供できる。
【0010】
前記筒状部材の外周部にかしめ部が形成されていてもよい。
これによれば、筒状部材の外周部にかしめ部が形成されているので、受部材を筒状部材に強固に固定できる。
【0011】
前記筒状部材が塑性変形可能な薄板で構成されていてもよい。
これによれば、かしめ部を良好に構成できる。
【0012】
前記受部材は板材であってもよい。
これによれば、弁の軸方向寸法を小さくできる。
【0013】
ケース内で動作可能な弁体と、前記弁体を付勢する付勢手段と、前記付勢手段を保持するリテーナと、を備える弁の組み立て方法であって、
前記リテーナは、前記ケースに固定される筒状部材と、前記筒状部材内に配置され前記付勢手段の一端を支持する受部材と、を備えており、
前記受部材を前記筒状部材の軸方向に相対移動させた後、前記筒状部材の内周面に前記受部材の外周面を固定する。
これによれば、受部材を筒状部材の軸方向に相対移動させることにより付勢手段を圧縮または伸長させることができ、付勢手段の付勢力を調整した状態で受部材を筒状部材に固定することができるため、付勢手段の付勢力を精度よく調整できる。
【0014】
前記筒状部材の外周部からかしめて前記筒状部材に前記受部材を固定してもよい。
これによれば、筒状部材に受部材を簡便に固定することができる。
【0015】
前記筒状部材は有底筒状をなし、前記受部材は前記筒状部材に固定される前に前記筒状部材の底部に一時的に保持されていてもよい。
これによれば、固定前には筒状部材と受部材とをユニット化して扱えるので弁の組み立てが簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例におけるソレノイドバルブを示す側断面図である。
【
図3】(a)は筒状部材の側面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は(b)のB-B断面図である。
【
図4】(a)は受部材を軸方向から見た図、(b)は(a)のC-C断面図である。
【
図5】(a)は受部材を筒状部材に固定する前の状態を示す概略図、(b)は操作用治具により受部材を軸方向他端側に動かした状態を示す概略図である。
【
図6】(a)は受部材と筒状部材とを固定した状態を示す概略図、(b)は受部材と筒状部材とを固定後、操作用治具を撤去した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。尚、実施例はソレノイドバルブを例にして説明するが、その他の用途にも適用可能である。
【実施例0018】
実施例に係るソレノイドバルブにつき、
図1から
図6を参照して説明する。以下、
図1の紙面右側をソレノイドバルブの軸方向一端側とし、
図1の紙面左側をソレノイドバルブの軸方向他端側として説明する。
【0019】
図1に示されるように、本実施例のソレノイドバルブ1は、スプールタイプのソレノイドバルブであって、例えば車両の自動変速機等の油圧により制御される装置に用いられるものである。尚、ソレノイドバルブ1は、装置側のバルブハウジングの装着穴に取付けられて使用される。
【0020】
ソレノイドバルブ1は、流体、すなわち作動油等の制御流体の流量を調整するバルブ部2がソレノイド部3に一体に取付けられて構成されている。尚、
図1は、ソレノイド部3のコイルに通電されていないソレノイドバルブ1のオフ状態を示すものである。
【0021】
先ず、ソレノイド部3の構造について概略的に説明する。ソレノイド部3は、筒状のソレノイドケース30内にコイル、ステータ、ヨーク、可動鉄心等が収容されている。ソレノイドバルブ1のオフ状態において、スプリング29(
図1参照。)の付勢力によりスプール22が軸方向他端側に付勢され、これに伴いスプール22およびロッド5が軸方向他端側に移動している。
【0022】
また、ソレノイドバルブ1のオン状態において、コイルへの通電によりソレノイド部3内で磁気回路が形成され、ステータと可動鉄心との間に磁力が生じることにより、可動鉄心およびロッド5が軸方向一端側に向けて軸方向に移動する。これに伴い、スプール22がスプリング29を圧縮するように軸方向一端側に移動するようになっている(図示略)。
【0023】
次いで、バルブ部2の構造について説明する。
図1に示されるように、バルブ部2は、ケースとしてのスリーブ21と、弁体としてのスプール22と、付勢手段としてのスプリング29と、リテーナ23と、から主に構成されている。
【0024】
スリーブ21には、バルブハウジングの装着穴内に設けられた流路と接続される入力ポート24、出力ポート25、排出ポート26、ドレンポート27、フィードバックポート28等の各種ポートの開口が設けられている。
【0025】
スプール22は、スリーブ21の内径側において軸方向に形成される貫通孔21aに液密に収容されている。
【0026】
スプール22は、軸方向に往復移動可能となっており、スプール22を軸方向に往復移動させることにより、各種ポートの連通状態を変化させ、作動油の圧力や流量を制御するようになっている。尚、スリーブ21、スプール22は、アルミ、鉄、ステンレス、樹脂等の材料により形成されている。
【0027】
スプリング29は、コイルスプリングであり、スプール22を軸方向他端側に付勢している。また、スプリング29の軸方向一端はリテーナ23に保持されている。
【0028】
図2に示されるように、リテーナ23は、スリーブ21の軸方向一端に固定される筒状部材231と、筒状部材231内に配置されスプリング29の一端を支持する受部材232と、を備えている。
【0029】
図2および
図3に示されるように、筒状部材231は、有底筒状をなしている。詳しくは、筒状部材231は、円板状の底部231aと、底部231aの外縁から軸方向他端側に向けて延びる円筒状の側壁部231bと、側壁部231bの軸方向他端側から外径方向に延びる環状のフランジ部231cと、を備えている。
【0030】
この筒状部材231は、アルミ、鉄、ステンレスなどの塑性変形可能な金属製の薄板をプレス加工することにより形成されている。
【0031】
底部231aには、その中心から外径側にずれた位置で周方向に複数(本実施例では4個)の貫通孔231dが等配して設けられている。
【0032】
側壁部231bは、底部231aの外縁から軸方向他端側に向けて僅かに拡開しながら延びている。この側壁部231bにおける最小の内径寸法はL1となっている。
【0033】
フランジ部231cは、底部231aと略平行に延びている。
【0034】
このように構成された筒状部材231は、スリーブ21の軸方向一端側の端面21bにフランジ部231cを面当接させた状態で、端面21bの外縁から軸方向一端側に延びるかしめ片21cを内径側にかしめることで、スリーブ21に固定されている(
図2参照)。尚、筒状部材231のスリーブ21への固定態様はかしめ以外の態様であってもよい。
【0035】
図2および
図4に示されるように、受部材232は、アルミ、鉄、ステンレスなどの塑性変形可能な材料、好適には金属製の板材により構成されている。本実施例における受部材232は、筒状部材231の底部231aよりも軸方向他端側に離間した位置で該筒状部材231に固定されている。
【0036】
この受部材232は、軸方向視円形状をなし、その中心に貫通孔232aが形成されている。
【0037】
また、受部材232の径方向寸法はL2となっている。この径方向寸法L2は、側壁部231bにおける最小の内径寸法L1よりも若干小さくなっている(L1>L2)。また、受部材232の厚み寸法L3は径方向寸法L2よりも小さい(L2>L3)。
【0038】
次いで、ソレノイドバルブ1の組み立て方法について
図5および
図6を用いて説明する。
先ず、内部に受部材232を配置した状態で筒状部材231のフランジ部231cをスリーブ21の端面21bに面当接させ、かしめ片21cを内径側にかしめることで、筒状部材231をスリーブ21に固定する。
【0039】
次いで、スリーブ21の軸方向他端から受部材232、スプリング29およびスプール22を挿入した後、スリーブ21の軸方向他端にソレノイド部3を固定する(すなわち
図5(a)に示される状態となる。)。このとき、受部材232は、筒状部材231の底部231aに当接するため、筒状部材231から軸方向一端側に抜け出すことが防止される。
【0040】
次に、
図5(b)に示されるように、筒状部材231の外側から各貫通孔231dに棒状の操作用治具6を挿入し、受部材232を軸方向他端側に動かしてスプリング29の付勢力を調整する。尚、このとき、スプリング29の付勢力をセンサで直接的または間接的にモニタリングしながらスプリング29の付勢力を調整する。
【0041】
貫通孔231dは、複数設けられているため、複数の操作用治具6により受部材232をバランスよく操作することができ、受部材232の傾きを抑制することができる。
【0042】
また、貫通孔231dは、底部231aの中心から外径側にずれた位置で周方向に等配して設けられているため、操作用治具6が受部材232の中心に設けられた貫通孔232aに干渉することがない。
【0043】
また、受部材232の径方向寸法L2は、側壁部231bにおける最小の内径寸法L1よりも若干小さくなっているため、受部材232を軸方向に移動させる際に、受部材232の外周面232bと筒状部材231の内周面231eとが摺動しない。そのため、受部材232を軸方向に移動させる際に、摩耗紛などのコンタミが発生することが防止される。
【0044】
受部材232がスプリング29の付勢力が適正となる位置に配置されると、
図6(a)に示されるように、受部材232を筒状部材231に固定する作業を行う。
【0045】
具体的には、操作用治具6により受部材232が適正位置に配置された状態を維持したまま、筒状部材231の外部から受部材232の外周面232bに向けて側壁部231bをかしめ用治具7によりかしめる。尚、図示しないが、本実施例では、かしめ用治具7により側壁部231bの周方向の複数箇所をかしめる。
【0046】
側壁部231bの外周部に複数のかしめ部233が形成されることにより、筒状部材231の内周面231eにおけるかしめ部233の内径側に位置する部位が受部材232の外周面232bに食い込み、筒状部材231に受部材232が固定される。
【0047】
かしめ部233は内径側に頂部を有する断面視V字形状、すなわち略円錐形状をなすため、内周面231eにおいてかしめ部233の鋭角な頂部に位置する部位が受部材232の外周面232bに食い込みやすい。
【0048】
その後、
図6(b)に示されるように、操作用治具6を取外すことで、スプリング29の付勢力が適正な状態でソレノイドバルブ1の組み立てが完了する。
【0049】
また、受部材232には貫通孔232aが設けられており、筒状部材231には貫通孔231dが設けられており、これら貫通孔232a,231dを呼吸孔として作動油を流通させることができるため、ソレノイドバルブ1の使用時においてスプール22を円滑に動作させることができるようになっている。
【0050】
以上説明したように、リテーナ23が筒状部材231と受部材232との別部材で構成されており、受部材232を筒状部材231の軸方向に相対移動させ、互いを好適な相対位置に調整した後に受部材232の外周面232bを筒状部材231の内周面231eに固定することができるため、スプリング29の付勢力の精度が高いソレノイドバルブ1を提供できる。
【0051】
また、筒状部材231の外周部にかしめ部233が形成されている。このように、筒状部材231の外周部からかしめて筒状部材231に受部材232を簡便に固定することができるとともに、筒状部材231の内周面231eを受部材232の外周面232bに食い込ませて強固な固定状態にすることができる。
【0052】
また、筒状部材231は、塑性変形可能な薄板により構成されているので、筒状部材231にかしめ部233を簡便にかつ良好に構成することができる。
【0053】
また、筒状部材231の側壁部231bは、軸方向他端側に向けて僅かに拡開しながら延びており、側壁部231bの外周部からかしめられるようになっているため、側壁部231bの内周面231eは、軸方向他端側よりも軸方向一端側が受部材232の外周面232bに強く食い込むようになっており、受部材232が筒状部材231に固定された状態にあっては、受部材232が軸方向一端側に移動することを好適に規制できる。
【0054】
また、受部材232は径方向寸法L2よりも軸方向の厚み寸法L3が小さい板材により構成されているため、受部材232の軸方向寸法を小さくしてソレノイドバルブ1をコンパクトに構成することができる。また、前記板材は塑性変形可能な金属製であるため、筒状部材231の内周面231eを受部材232の外周面232bに好適に食い込ませることができる。
【0055】
また、受部材232は筒状部材231に固定される前に、該筒状部材231の底部231aに一時的に保持され、筒状部材231から軸方向一端側に抜け出すことが防止される。言い換えれば、固定前には筒状部材231と受部材232とをユニット化して扱えるのでソレノイドバルブ1の組み立てが簡便である。
【0056】
また、筒状部材231は、スリーブ21の端部から軸方向一端側に膨出するように固定されているため、強度を必要とするスリーブ21の軸方向の長さを短くすることができる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0058】
例えば、前記実施例では、筒状部材に受部材を固定する形態として、筒状部材の外周部からかしめることで受部材の外周面と筒状部材の内周面とを固定する形態を例示したが、これに限られず、例えば、受部材の外周面と筒状部材の内周面とを溶接や接着などにより固定してもよい。
【0059】
また、前記実施例では、筒状部材および受部材が塑性変形可能な金属製の薄板で構成されていたが、樹脂などで構成されていてもよい。この場合、受部材の外周面と筒状部材の内周面とを溶着して固定させればよい。
【0060】
また、前記実施例では、受部材が円形平板状をなす形態を例示したが、これに限られず、例えば、平板部から軸方向他端側や一旦側に延出する箇所を有するものであってもよいし、例えば、円柱状をなしていてもよい。
【0061】
また、前記実施例では、筒状部材が有底筒状である形態を例示したが、軸方向に貫通する筒状部材であってもよい。
【0062】
また、前記実施例では、付勢手段が圧縮ばねである形態を例示したが、引きばねであってもよい。
【0063】
また、前記実施例では、筒状部材の底部に操作用の貫通孔が中心からずれて複数設けられており、受部材の中心に呼吸用の貫通孔が設けられている形態を例示したが、筒状部材の底部の中心に操作用の貫通孔を設け、受部材の中心からずれた位置に呼吸用の貫通孔が設けられていてもよい。このように、操作用の貫通孔と呼吸用の貫通孔とが径方向にずれて配置されていることが好ましい。
【0064】
また、前記実施例では、弁体にスプールを用いるスプールタイプの弁として説明したが、これに限られず、グローブ弁やゲート弁等を用いた弁であってもよい。