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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152550
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】バッテリー用緩衝材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20231010BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20231010BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231010BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/262 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062662
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100189289
【弁理士】
【氏名又は名称】北尾 拓洋
(72)【発明者】
【氏名】三宅 諒
(72)【発明者】
【氏名】大山 貴之
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA19
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC34
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】剛体と緩衝部材とを容易に一体化し、取り扱いやすく、位置ずれを抑制するようなバッテリー用緩衝材を実現する。
【解決手段】平坦な当接面2aを有する平板状の剛体部材2であって、幅方向の両端部に、幅の中央側に向かって開口した隙間Sを形成するように中央側に向かって折り返した折り返し部2bを有する剛体部材2と、当接面2aとは反対側の剛体部材2の面と当接部30が当接する、剛体部材2の厚さ方向および幅方向に沿った断面がM字形状の弾性体からなる構成単位が、幅方向に複数連続してつながってなる構成を有する緩衝部3であって、幅方向の両端部に、折り返し部2bの隙間Sに挿入される挿入部3bを有する緩衝部3と、を備えた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な当接面を有する平板状の剛体部材と、
前記当接面とは反対側の前記剛体部材の面と当接する当接部を有する、弾性材からなる緩衝部と、を備え、
前記剛体部材は、該剛体部材の幅方向の両端部に、前記幅方向の前記緩衝部の両端部と係合する係合部を有するものであるバッテリー用緩衝材。
【請求項2】
前記剛体部材は、前記係合部として、該剛体部材の前記両端部に、前記幅の中央側に向かって開口した隙間を形成するように前記中央側に向かって折り返した折り返し部を有するものであり、
前記緩衝部は、該緩衝部の前記両端部に、前記折り返し部の前記隙間に挿入される挿入部を有するものである請求項1に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項3】
前記緩衝部は、前記剛体部材の厚さ方向および前記幅方向に沿った断面がM字形状の弾性体からなる構成単位が、前記幅方向に複数連続してつながってなる構成を有するものである請求項1又は2に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項4】
前記バッテリー用緩衝材は、前記剛体部材と、該剛体部材の前記折り返し部の前記隙間に前記挿入部が挿入された前記緩衝部の組が、前記剛体部材の厚さ方向に、複数組積層されてなるものである請求項2に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項5】
前記緩衝部の前記当接部は、前記剛体部材の前記反対側の面に対向する対向面であって、荷重を受ける前の状態では前記剛体部材の厚さ方向および前記幅方向に沿った断面においてU字状に凹んだ形状を有し荷重を受けて前記反対側の面に沿って前記剛体部材に当接する対向面を有するものである請求項1又は2に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項6】
前記剛体部材は、前記係合部として、該剛体部材の前記両端部に、該剛体部材の厚さ方向に貫通した貫通孔を形成する貫通孔形成部を有するものであり、
前記緩衝部は、該緩衝部の前記両端部に、前記貫通孔に挿入されて前記当接面の側で前記剛体部材に係止する係止部を有するものである請求項1に記載のバッテリー用緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー用緩衝材に関する。更に詳しくは、電気自動車などに用いられる
二次電池などのバッテリーに使用されるバッテリー用緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーにおいて、荷重を弾性的に緩和するためのバッテリー用緩衝材が従来から知られている。たとえば、電気自動車等に用いられるバッテリー(二次電池)において、電力発生源となる電池セルの積層体の間、あるいは、こうした複数の電池セルの積層体とそれを挟み込むようにして保持する筐体(拘束部)との間に配置されるバッテリー用緩衝材はその典型的な例である(たとえば特許文献1参照)。このような緩衝部を配置することで、過度な荷重を緩和しつつ電池セルの積層体を保持するのに必要な荷重を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-4556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部分的に荷重を支持するような緩衝部品の場合、支持部に面圧が集中するため、筐体によっては、筐体と緩衝部材との間に平板状の剛体を設置して面圧を均一化することが知られている。しかし、剛体と緩衝部材との設置は、部品点数増加による取り扱い時の扱いづらさや、剛体と緩衝部材との位置ずれの原因となる。また、剛体と緩衝部材とを一体化する場合は、接着工程等の追加工程が必要となる。
【0005】
上記の事情を鑑み、本発明では、剛体と緩衝部材とを容易に一体化し、取り扱いやすく、位置ずれを抑制するようなバッテリー用緩衝材の実現を図っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のバッテリー用緩衝材を提供する。
【0007】
[1] 平坦な当接面を有する平板状の剛体部材と、前記当接面とは反対側の前記剛体部材の面と当接する当接部を有する、弾性材からなる緩衝部と、を備え、前記剛体部材は、該剛体部材の幅方向の両端部に、前記幅方向の前記緩衝部の両端部と係合する係合部を有するものであるバッテリー用緩衝材。
【0008】
[2] 前記剛体部材は、前記係合部として、該剛体部材の前記両端部に、前記幅の中央側に向かって開口した隙間を形成するように前記中央側に向かって折り返した折り返し部を有するものであり、前記緩衝部は、該緩衝部の前記両端部に、前記折り返し部の前記隙間に挿入される挿入部を有するものである[1]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0009】
[3] 前記緩衝部は、前記剛体部材の厚さ方向および前記幅方向に沿った断面がM字形状の弾性体からなる構成単位が、前記幅方向に複数連続してつながってなる構成を有するものである[1]又は[2]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0010】
[4] 前記バッテリー用緩衝材は、前記剛体部材と、該剛体部材の前記折り返し部の前記隙間に前記挿入部が挿入された前記緩衝部の組が、前記剛体部材の厚さ方向に、複数組積層されてなるものである[2]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0011】
[5] 前記緩衝部の前記当接部は、前記剛体部材の前記反対側の面に対向する対向面であって、荷重を受ける前の状態では前記剛体部材の厚さ方向および前記幅方向に沿った断面においてU字状に凹んだ形状を有し荷重を受けて前記反対側の面に沿って前記剛体部材に当接する対向面を有するものである[1]又は[2]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0012】
[6] 前記剛体部材は、前記係合部として、該剛体部材の前記両端部に、該剛体部材の厚さ方向に貫通した貫通孔を形成する貫通孔形成部を有するものであり、前記緩衝部は、該緩衝部の前記両端部に、前記貫通孔に挿入されて前記当接面の側で前記剛体部材に係止する係止部を有するものである[1]に記載のバッテリー用緩衝材。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、剛体部材が幅方向の両端部に緩衝部の両端部と係合する係合部を有することで、剛体部材と緩衝部とが簡単に一体化される。このため、接着工程が不要となる上に、一体化して一部品にすることで部品点数を下げることができ、作業性が向上している。
【0014】
さらに本発明が、このように一体化された剛体部材と緩衝部との組が、剛体部材の厚さ方向に複数組積層されてなるバッテリー用緩衝材の場合には、剛体部材と緩衝部とが一体化されていることで位置ずれが抑制され厚さ方向についての剛体部材や緩衝部の位置決めも容易となる。このため、このような積層体のバッテリー用緩衝材の場合には、作業性の向上効果が特に高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態のバッテリー用緩衝材の使用状態を模式的に示す断面図である。
図2図1のバッテリー用緩衝材の他の使用状態を模式的に示す断面図である。
図3図1および図2のバッテリー用緩衝材の斜視図である
図4図3のバッテリー用緩衝材の断面図である。
図5】一体化された図4の剛体部材と緩衝部の組が剛体部材の厚さ方向に複数組積層されてなる本発明の別の実施形態のバッテリー用緩衝材の断面図である。
図6】一体化されていない完全に板状の剛体部材と緩衝部の組が剛体部材の厚さ方向に複数組積層されてなる参考例のバッテリー用緩衝材の断面図である。
図7図4とは異なる構成の係合部を持つ本発明の別の一実施形態であるバッテリー用緩衝材の断面図である。
図8図4とは異なる構成の緩衝部の上面図である。
図9図8のAA’線における断面図である。
図10図9とは異なる形状の断面を持つ緩衝部の断面図である。
図11図9とはさらに異なる構成の緩衝部の上面図である。
図12図11のBB’線における断面図である。
図13図12とは異なる形状の断面を持つ緩衝部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態のバッテリー用緩衝材1の使用状態を模式的に示す断面図、図2は、図1のバッテリー用緩衝材1の他の使用状態を模式的に示す断面図である。
【0018】
本実施形態のバッテリー用緩衝材1は、図1に示すバッテリー200のように隣り合う電池セル210の間に配置したり、図2に示すバッテリー201のように、複数の電池セル210からなる積層体220と拘束部230との間に配置したりすることができる。なお、バッテリー用緩衝材1は、1つに限らず複数使用することもできる。この場合、複数のバッテリー用緩衝材1を積層させて使用してもよいし、平面上に複数配置するように使用してもよく、これらを組み合わせてもよい。バッテリーとしては、全固体電池に限らず液状電解質の電池であってもよい。
【0019】
図3は、図1および図2のバッテリー用緩衝材1の斜視図であり、図4は、図3のバッテリー用緩衝材1の断面図である。
【0020】
バッテリー用緩衝材1は、剛体部材2と緩衝部3とを備えている。
【0021】
剛体部材2は、図4に示すように、平坦な当接面2aを有する平板状の剛体からなる部材である。この当接面2aは、外部から剛体部材2に荷重を及ぼす平板状の部材(以下、単に荷重部材という)に当接する面である。剛体部材2の材料としては、硬度が高く変形しにくい材料を用いることができる。たとえば、硬度が比較的高い金属や硬質プラスチックや硬化樹脂等を用いることができる。ここで、図4は、この平板状の剛体部材2の厚さ方向(図4の上下方向)および幅方向(図4の左右方向)に沿った断面においてバッテリー用緩衝材1を表した図である。
【0022】
緩衝部3は弾性材からなる部材であり、当接面2aとは反対側の剛体部材2の面と当接する当接部30を有している。緩衝部3の材料となる弾性材としては、たとえば、ゴムやエラストマーを挙げることができる。
【0023】
ここで、剛体部材2は、幅方向の両端部に、緩衝部3の両端部と係合する係合部を有している。図4では、そのような係合部の一例として、その幅の中央側に向かって開口した隙間Sを形成するようにその幅の中央側に向かって折り返した折り返し部2bが示されている。それに対応して緩衝部3は、剛体部材2の幅方向の両端部に、剛体部材2の折り返し部2bの隙間Sに挿入される挿入部3bを有している。以下では、このような係合部を持つ形態を例にとって説明を行うが、本発明では、異なる構成の係合部を持つ形態が採用されてもよい。そのような実施形態については後述する。
【0024】
また、緩衝部3は、図4に示すように、M字形状の弾性体からなる構成単位が剛体部材2の幅方向に複数連続してつながってなる構成を有している。剛体部材2の幅方向について弾性力を有する。この幅方向の弾性力により、緩衝部3の両端部の挿入部3bは、剛体部材2の折り返し部2bの隙間Sの中に強く押し込まれることとなり、緩衝部3と剛体部材2の一体性が安定化している。ただし、このような緩衝部3の構成は、あくまでも一例であり、本発明では、異なる構成の緩衝部を持つ形態が採用されてもよい。そのような実施形態については後述する。
【0025】
バッテリー用緩衝材1では、断面がM字形状の弾性体からなる構成単位が複数連続してつながった構成を緩衝部3が持つことで、このM字形状の隙間に中空の空間が形成される。そして、荷重部材から荷重を受けたときには、この中空の空間がつぶれることで変位量が十分に吸収される。また、緩衝部3と荷重部材との間に、荷重部材に当接する平坦な当接面2aを有する平板状の剛体部材2が介在することで、荷重部材と当接する際の面圧も均一になっている。このため、バッテリー用緩衝材1は、変位量を十分に吸収するとともに、荷重部材と当接する際の面圧が均一なバッテリー用緩衝材となっている。
【0026】
ここで、変位量を十分に吸収するとともに荷重部材と当接する際の面圧を均一にするのであれば、完全に板状の剛体部材と、こうした剛体部材に部分的に当接し荷重を受けてつぶれて厚さが縮小する形状の緩衝部とを、単純に重ね合わせることが考えられる。しかしながら、このような剛体部材と緩衝部の重ね合わせでは、剛体部材と緩衝部とを接着する接着工程が必要となる上に、接着するまで部品点数が多くなり、作業性が悪い。
【0027】
一方、バッテリー用緩衝材1では、剛体部材2の折り返し部2bの隙間Sに緩衝部3の挿入部3bが挿入される構成を有することで、剛体部材2と緩衝部3とが簡単に一体化される。このため、接着工程が不要となる上に、一体化して一部品にすることで部品点数を下げることができ、作業性が向上している。
【0028】
ここで、本発明では、図4に示すように、緩衝部3の当接部30が、当接面2aとは反対側の剛体部材2の面に対向する対向面3aであって、荷重部材から荷重を受ける前の状態では断面においてU字状に凹んだ断面形状を有し荷重を受けて上述の反対側の面に沿って剛体部材2に当接する対向面3aを有する形態が好ましい。ここで、本願における「荷重部材から荷重を受ける前の状態」とは、緩衝部3が一度も荷重部材から荷重をかけられたことがなく作製時の単体の緩衝部3の形状がそのまま保たれている状態、すなわち緩衝部3が使用される前の状態を指す。
【0029】
このような形態によれば、荷重部材から荷重を受けたときに、当接部30の対向面3aが剛体部材2にぴったりはりつきやすくなり、バッテリー用緩衝材1の圧縮状態が安定化する。
【0030】
ここで、本発明のバッテリー用緩衝材は、図4の剛体部材2と、その剛体部材2の折り返し部2bの隙間Sに挿入部3bが挿入された緩衝部3との組が、剛体部材2の厚さ方向に、複数組積層されてなるものであってもよい、以下、このように一体化された図4の剛体部材2と緩衝部3の組が、複数組積層されてなるバッテリー用緩衝材について説明する。
【0031】
図5は、一体化された図4の剛体部材2と緩衝部3の組が剛体部材2の厚さ方向に複数組積層されてなる本発明の別の実施形態のバッテリー用緩衝材1Aの断面図、図6は、一体化されていない完全に板状の剛体部材2’と緩衝部3の組が剛体部材2’の厚さ方向に複数組積層されてなる参考例のバッテリー用緩衝材1’の断面図である。
【0032】
図5および図6では、図4のバッテリー用緩衝材1と同一の構成要素については同一の符号が付されており、その重複説明は省略する。
【0033】
図5のバッテリー用緩衝材1Aは、図4のバッテリー用緩衝材1とは異なり、図4の剛体部材2と緩衝部3の組を複数組備えている。この点以外は、図5のバッテリー用緩衝材1Aは、図4のバッテリー用緩衝材1と同じであり、図4のバッテリー用緩衝材1と同様に、変位量を十分に吸収するとともに、荷重部材と当接する際の面圧が均一なバッテリー用緩衝材となっている。また、図4のバッテリー用緩衝材1と同様に接着工程が不要で部品点数も低いため、作業性が向上している。
【0034】
一方、図6のバッテリー用緩衝材1’は、図4の剛体部材2の折り返し部2bのような、緩衝部3と一体化させる工夫がない完全に板状の剛体部材2’を備えている。このため、図6のバッテリー用緩衝材1’では、図5のバッテリー用緩衝材1Aとは異なり、剛体部材2’と緩衝部3との接着が必要であり、接着するまで部品点数も多くなるため、作業性が悪い。
【0035】
ここで、図5図6のような積層構造のバッテリー用緩衝材では、積層の際に、積層方向について構成要素の部材の位置決めを行うことがさらに必要となる。たとえば図6のバッテリー用緩衝材1’では、個々の剛体部材2’と緩衝部3について位置決めを行うことが必要となる。それに対し、図5のバッテリー用緩衝材1Aでは、剛体部材2と緩衝部3とが一体化されていることで、剛体部材2と緩衝部3の組をまとめて位置決めするだけでよく、位置決めが容易である。このように、積層体のバッテリー用緩衝材の場合には、剛体部材2と緩衝部3とが一体化されていることによる作業性の向上効果が特に高い。
【0036】
次に、図4とは、異なる構成の係合部を持つ別の実施形態について説明する。
【0037】
図7は、図4とは異なる構成の係合部を持つ本発明の別の一実施形態であるバッテリー用緩衝材1Bの断面図である。
【0038】
図7では、図4のバッテリー用緩衝材1と同一の構成要素については同一の符号が付されており、その重複説明は省略する。図7のバッテリー用緩衝材1Bでは、剛体部材21は、係合部として、剛体部材21の両端部に剛体部材21の厚さ方向に貫通した貫通孔を形成する貫通孔形成部21bを有している。それに対応して、緩衝部31は、緩衝部31の両端部に、上記の貫通孔に挿入されて当接面2aの側で剛体部材21に係止する係止部31bを有している。このような構成により、剛体部材21と緩衝部31とが強固に一体化され、この一体化により作業性が向上する。以下、係止部31bについてもう少し詳しく説明する。係止部31bは、緩衝部31の一部を突起状に形成したものであり、突起は緩衝部31側から立ち上がる柱形状部と、更にその先端には拡径した楔形状部を有する。係止部31bにおいて、柱形状部の外径を剛体部材21の貫通孔形成部21bの内径より小さくし、楔形状部の外径を剛体部材21の貫通孔形成部21bの内径より大きくすることで、剛体部材の貫通孔形成部21bに挿入された係止部31bが抜けることはなく、緩衝部31は剛体部材21に固定される。また係止部31bは、部分的に括れ部を有する柱形状の突起(括れ部の外径は貫通孔形成部21bの内径より小さく、中形状部の外径は貫通孔形成部21bの内径より大きい)としても良い。
【0039】
次に、図4とは異なる構成の緩衝部を持ついくつかの別の実施形態について説明する。これら別の実施形態では、剛体部材については図4の剛体部材2と同じであり、緩衝部の構成のみが異なる。そこで以下では、緩衝部に絞って説明を行う。以下の図では、図4の緩衝部3と同一の構成要素については同一の符号が付されており、その重複説明は省略する。
【0040】
図8は、図4とは異なる構成の緩衝部32の上面図、図9は、図8のAA’線における断面図である。
【0041】
図8および図9に示すように、緩衝部32は、複数の円柱状の当接部320(図8および図9では、一例として9個の円柱状の当接部320)が並んだ構成を備えており、これら複数の円柱状の当接部320が、図4の当接部30と同様に、当接面2aとは反対側の剛体部材2の面と当接する。
【0042】
図10は、図9とは異なる形状の断面を持つ緩衝部33の断面図である。
【0043】
本発明は、図10に示すように、複数のドーム状の当接部330が並んだ構成を備えた形態を採用することもできる。なお、図10の実施形態における上面図は、図8と同じであり、ここではその図示は省略する。
【0044】
図11は、図9とはさらに異なる構成の緩衝部34の上面図、図12は、図11のBB’線における断面図である。
【0045】
図11および図12に示すように、緩衝部34は、断面が矩形の複数本の突状の当接部340(図11および図12では、一例として断面が矩形の3本の突状の当接部340)が並んだ構成を備えており、これら複数本の突状の当接部340が、図4の当接部30と同様に、当接面2aとは反対側の剛体部材2の面と当接する。
【0046】
図13は、図12とは異なる形状の断面を持つ緩衝部35の断面図である。
【0047】
本発明は、図13に示すように、断面がドーム状の複数本の突状の当接部350が並んだ構成を備えた形態を採用することもできる。なお、図13の実施形態における上面図は、図11と同じであり、ここではその図示は省略する。
【0048】
なお、以上において、図9図10図12図13の係止部3bは図4の係止部3bと同形状であるが、これらを図7の係止部31bに置き換えても良い。
【0049】
以上が本発明の実施形態の説明である。
【0050】
以上の説明では、1枚の剛体部材2と1枚の緩衝部3の組を構成単位とするバッテリー用緩衝材について説明したが、本発明は、2枚の剛体部材2とそれに挟まれた1枚の緩衝部3の組を構成単位とするバッテリー用緩衝材に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、変位量を十分に吸収するとともに、荷重部材と当接する際の面圧が均一なバッテリー用緩衝材を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0052】
1,1’,1A,1B:バッテリー用緩衝材、
2,2’,21:剛体部材、
2a:当接面、
2b;折り返し部、
3,31,32,33,34,35:緩衝部、
3a:対向面、
3b:挿入部、
21b:貫通孔形成部、
30,320,330,340,350:当接部、
31b:係止部、
200,201:バッテリー、
210:電池セル、
220:積層体、
230:拘束部、
S:隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13