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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152552
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231010BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062669
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 隆行
(72)【発明者】
【氏名】横地 界斗
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晃次
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聖基
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 博章
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BD01
2H148BG11
4M118AA01
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA19
4M118CA02
4M118FA06
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB17
4M118GC08
4M118GC14
4M118GC20
4M118GD03
4M118HA22
4M118HA25
4M118HA31
(57)【要約】
【課題】微細構造体を用いる場合に、感度を向上させつつ、解像度の低下を抑制する。
【解決手段】光検出装置は、複数の画素を有する光電変換領域と、前記光電変換領域に積層され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、前記画素制御領域は、像高に応じた開口範囲内の光量の光の伝搬方向を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する光電変換領域と、
前記光電変換領域に積層され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、
前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記画素制御領域は、像高に応じた開口範囲内の光量の光の伝搬方向を制御する、光検出装置。
【請求項2】
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記微細構造体のピッチ径、前記微細構造体同士のピッチ間隔、前記微細構造同士のギャップ間隔、及び前記微細構造体のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることで、前記開口範囲を制御する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記画素制御領域は、像高が高いほど前記開口範囲を大きくし、像高が低いほど前記開口範囲を小さくする、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
複数の画素を有する光電変換領域と、
前記光電変換領域よりも光入射方向側に配置され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、
前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域のそれぞれは、像高に応じて、前記微細構造体のピッチ径、前記微細構造体同士のピッチ間隔、前記微細構造同士のギャップ間隔、及び前記微細構造体のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることにより、対応する前記画素制御領域に入射される光の光量に応じた開口範囲を制御する、光検出装置。
【請求項5】
前記画素制御領域は、像高が高いほど、より多くの光量の光を前記光電変換領域に伝搬させ、像高が低いほど、より少ない光量の光を前記光電変換領域に伝搬させる、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記光電変換領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに複数の色画素を有し、
前記光制御領域は、前記複数の色画素のそれぞれごとに前記画素制御領域を有し、
前記画素制御領域は、入射光の波長及び像高に応じた光量の光の伝搬方向を制御する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記画素制御領域は、入射光の波長によって、像高の変化に対する入射光量の変化率を相違させる、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
1つの画素に含まれる前記複数の色画素に対応する複数の前記画素制御領域のそれぞれは、前記1つの画素内の色別の前記色画素の数の違いに基づいて前記開口範囲を制御する、請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記1つの画素内の色別の数の少ない前記色画素に対応する前記画素制御領域ほど、前記開口範囲を大きくして、より多くの光量を透過させる、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記光制御領域及び前記光電変換領域の間に前記複数の色画素に対応づけて配置されるカラーフィルタ領域を備え、
前記カラーフィルタ領域は、1つの画素ごとに複数のカラーフィルタ部を有し、
前記画素制御領域は、前記複数のカラーフィルタ部の色別の数の違いに基づいて前記開口範囲を制御する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記微細構造体の材料を相違させる、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記微細構造体は、
光入射面に沿ってそれぞれが離隔して配置される複数の柱状部材と、
前記複数の柱状部材の周囲を覆うベース部材と、を有し、
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記柱状部材及び前記ベース部材の少なくとも一方の材料を相違させる、請求項11に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域のうち、少なくとも一部の前記画素制御領域では、入射光に対する瞳補正を行う、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、瞳補正量を大きくする、請求項13に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記光制御領域内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記光電変換領域内の対応する画素に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記光制御領域内の前記画素制御領域を前記光電変換領域内の対応する画素に対してずらす量を大きくする、請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記光制御領域内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記カラーフィルタ領域内の対応するカラーフィルタ部に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記光制御領域内の前記画素制御領域を前記カラーフィルタ領域内の対応するカラーフィルタ部に対してずらす量を大きくする、請求項10に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記光制御領域は、
第1微細構造体を有する第1光制御部と、
前記第1光制御部に積層され、第2微細構造体を有する第2光制御部と、を有し、
前記第1光制御部及び前記第2光制御部は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記第1光制御部内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記第2光制御部内の対応する前記画素制御領域に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記第1光制御部内の前記画素制御領域を前記第2光制御部内の対応する前記画素制御領域に対してずらす量を大きくする、請求項14に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、イメージセンサ等の光検出装置では、光電変換領域の中央側と比べて周縁側では入射光量が低下し、周縁部の感度及びS/N比が低下して画質が劣化する要因になっている。光電変換領域の光入射面側にオンチップレンズを配置しても、周縁部の感度の低下は生じる。
【0003】
オンチップレンズを透過した光が光電変換領域の受光面に結像する際、光軸位置が最も光量が多くて明るくなり、光軸から離れるに従って光量が低下して暗くなる。この現象を周辺光量の低下、又は周辺光量不足、あるいは周辺減光と呼ぶ。周辺光量の低下は、口径食とコサイン4乗則に従って生じる。
【0004】
一方、フォトダイオードの光入射面側に、オンチップレンズの代わりに、微細構造体を配置して、周辺画素からの光を取り込めるようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。微細構造体の形状等を制御することで、光の伝搬方向を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-69119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フォトダイオードの光入射面側に微細構造体を配置した場合でも、光電変換領域の中央側に比べて周縁側では、感度が低下するおそれがある。また、微細構造体で光の伝搬方向を制御すると、混色が生じやすくなり、感度が低下するおそれがある。
特許文献1は、光電変換領域の周縁側での感度の低下を防止する対策と、微細構造体を設けたことによる混色の発生に対する対策について、特に言及していない。
そこで、本開示では、微細構造体を用いる場合に、感度を向上させつつ、解像度の低下を抑制できる光検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、複数の画素を有する光電変換領域と、
前記光電変換領域に積層され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、
前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記画素制御領域は、像高に応じた開口範囲内の光量の光の伝搬方向を制御する、光検出装置が提供される。
【0008】
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記微細構造体のピッチ径、前記微細構造体同士のピッチ間隔、前記微細構造同士のギャップ間隔、及び前記微細構造体のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることで、前記開口範囲を制御してもよい。
【0009】
前記画素制御領域は、像高が高いほど前記開口範囲を大きくし、像高が低いほど前記開口範囲を小さくしてもよい。
【0010】
本開示によれば、複数の画素を有する光電変換領域と、
前記光電変換領域よりも光入射方向側に配置され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、
前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域のそれぞれは、像高に応じて、前記微細構造体のピッチ径、前記微細構造体同士のピッチ間隔、前記微細構造同士のギャップ間隔、及び前記微細構造体のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることにより、対応する前記画素制御領域に入射される光の光量に応じた開口範囲を制御する、光検出装置が提供される。
【0011】
前記画素制御領域は、像高が高いほど、より多くの光量の光を前記光電変換領域に伝搬させ、像高が低いほど、より少ない光量の光を前記光電変換領域に伝搬させてもよい。
【0012】
前記光電変換領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに複数の色画素を有し、
前記光制御領域は、前記複数の色画素のそれぞれごとに前記画素制御領域を有し、
前記画素制御領域は、入射光の波長及び像高に応じた光量の光の伝搬方向を制御してもよい。
【0013】
前記画素制御領域は、入射光の波長によって、像高の変化に対する入射光量の変化率を相違させてもよい。
【0014】
1つの画素に含まれる前記複数の色画素に対応する複数の前記画素制御領域のそれぞれは、前記1つの画素内の色別の前記色画素の数の違いに基づいて前記開口範囲を制御してもよい。
【0015】
前記1つの画素内の色別の数の少ない前記色画素に対応する前記画素制御領域ほど、前記開口範囲を大きくして、より多くの光量を透過させてもよい。
【0016】
前記光制御領域及び前記光電変換領域の間に前記複数の色画素に対応づけて配置されるカラーフィルタ領域を備え、
前記カラーフィルタ領域は、1つの画素ごとに複数のカラーフィルタ部を有し、
前記画素制御領域は、前記複数のカラーフィルタ部の色別の数の違いに基づいて前記開口範囲を制御してもよい。
【0017】
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記微細構造体の材料を相違させてもよい。
【0018】
前記微細構造体は、
光入射面に沿ってそれぞれが離隔して配置される複数の柱状部材と、
前記複数の柱状部材の周囲を覆うベース部材と、を有し、
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記柱状部材及び前記ベース部材の少なくとも一方の材料を相違させてもよい。
【0019】
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域のうち、少なくとも一部の前記画素制御領域では、入射光に対する瞳補正を行ってもよい。
【0020】
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、瞳補正量を大きくしてもよい。
【0021】
前記光制御領域内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記光電変換領域内の対応する画素に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記光制御領域内の前記画素制御領域を前記光電変換領域内の対応する画素に対してずらす量を大きくしてもよい。
【0022】
前記光制御領域内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記カラーフィルタ領域内の対応するカラーフィルタ部に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記光制御領域内の前記画素制御領域を前記カラーフィルタ領域内の対応するカラーフィルタ部に対してずらす量を大きくしてもよい。
【0023】
前記光制御領域は、
第1微細構造体を有する第1光制御部と、
前記第1光制御部に積層され、第2微細構造体を有する第2光制御部と、を有し、
前記第1光制御部及び前記第2光制御部は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記第1光制御部内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記第2光制御部内の対応する前記画素制御領域に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記第1光制御部内の前記画素制御領域を前記第2光制御部内の対応する前記画素制御領域に対してずらす量を大きくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態に係る光検出装置の概略構成を示すブロック図。
図2】微細構造体の原理を説明する図。
図3A】光電変換領域の光入射面側にレンズを配置した場合の光電変換領域への光入射方向を示す図。
図3B】レンズと光電変換領域の間に光制御領域を設けた場合の光電変換領域への光入射方向を示す図。
図4】像高と輝度との関係を示す図。
図5】本実施形態による光検出装置1の模式的な断面図。
図6】カラースプリッタを説明する図。
図7A】カラースプリッタ内の各色画素に対応する各画素制御領域が周辺から光を取り込む様子を模式的に示す平面図。
図7B図7Aに続く図。
図7C図7Bに続く図。
図8A】カラースプリッタの開口と感度の関係を示す図。
図8B】カラースプリッタの開口と解像度の関係を示す図。
図9】赤画素と青画素についての開口範囲を模式的に示す平面図。
図10図9の開口範囲を示す円を径方向に沿って並べた図。
図11】カラースプリッタの中央部から周縁部にかけての光検出装置の断面方向の開口範囲を示す図。
図12】緑画素についての開口範囲を模式的に示す平面図。
図13図12の開口範囲を示す円を径方向に沿って並べた図。
図14】カラースプリッタの中央部から周縁部にかけての光検出装置の断面方向の開口範囲16を示す図。
図15】瞳補正をより詳細に説明する図。
図16】遮光壁を設ける場合の瞳補正の一例を示す図。
図17】カラースプリッタ内の微細構造体の平面図及び断面図。
図18A】ピラー部のピッチ径、ピッチ間隔、及びギャップ間隔を説明する平面図。
図18B】ピラー高さを説明する断面図。
図19A】カラースプリッタ内の微細構造体の第1例を示す平面図。
図19B】カラースプリッタ内の微細構造体の第2例を示す平面図。
図19C】カラースプリッタ内の微細構造体の第3例を示す平面図。
図20】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
図21】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、光検出装置の実施形態について説明する。以下では、光検出装置の主要な構成部分を中心に説明するが、光検出装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0026】
(撮像装置の概略構成)
図1は本開示の一実施形態に係る光検出装置1の概略構成を示すブロック図である。図1の光検出装置1は、イメージセンサ、すなわち撮像装置の概略構成を示している。なお、本実施形態による光検出装置1は、イメージセンサ以外の光検出機能を備えた装置、例えば、ToF(Time of Flight)機能又はフォトンカウント機能などを備えた装置にも適用可能である。
【0027】
図1の光検出装置1は、画素アレイ部2と、垂直駆動回路3と、カラム信号処理回路4と、水平駆動回路5と、出力回路6と、制御回路7とを備えている。
【0028】
画素アレイ部2は、行(ロウ)方向及び列(カラム)方向に配置された複数の画素10と、列方向に延びる複数の信号線L1と、行方向に延びる複数の行選択線L2とを有する。画素10は、図1では省略しているが、光電変換部と、光電変換された電荷に応じた画素信号を信号線L1に読み出す読出し回路とを有する。画素アレイ部2は、光電変換部が二次元方向に配置された光電変換領域と、読出し回路を二次元方向に配置された読出し回路領域とを積層した積層体である。
【0029】
垂直駆動回路3は、複数の行選択線L2を駆動する。具体的には、垂直駆動回路3は、複数の行選択線L2に線順次に駆動信号を供給して、各行選択線L2を線順次に選択する。
【0030】
カラム信号処理回路4には、列方向に延びる複数の信号線L1が接続されている。カラム信号処理回路4は、複数の信号線L1を介して供給される複数の画素信号をアナログ-デジタル(AD)変換する。より詳細には、カラム信号処理回路4は、各信号線L1上の画素信号を参照信号と比較して、画素信号と参照信号の信号レベルが一致するまでの時間に基づいて、デジタル画素信号を生成する。カラム信号処理回路4は、画素内の浮遊拡散層のリセットレベルのデジタル画素信号(P相信号)と、画素信号レベルのデジタル画素信号(D相信号)を順次に生成し、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)を行う。
【0031】
水平駆動回路5は、カラム信号処理回路4の出力信号を出力回路6に転送するタイミングを制御する。
【0032】
制御回路7は、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5を制御する。制御回路7は、カラム信号処理回路4がAD変換を行うために使用する参照信号を生成する。
【0033】
図1の光検出装置1は、画素アレイ部2などが配置される第1基板と、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、水平駆動回路5、出力回路6及び制御回路7などが配置される第2基板とをCu-Cu接続、バンプ、又はビアなどで積層して構成されうる。
【0034】
画素アレイ部2内の各画素のフォトダイオードPDは光電変換領域に配置されている。本実施形態に係る撮像装置は、図1では省略しているが、光電変換領域に積層される光制御領域を備えている。光制御領域は、後述するように、微細構造体を用いて、入射光の光学特性を変換する。例えば、光制御領域は、入射光の光路長を長くすることで、光電変換領域での量子効率Qeを向上することができる。
【0035】
図2は微細構造体14の原理を説明する図である。図2はそれぞれ光を透過させるA領域とB領域が隣接している例を示している。A領域とB領域は、光の伝搬方向に長さLを有する。B領域の屈折率はn0である。これに対して、A領域の一部(L-L1)は屈折率n0、残りL1は屈折率n1である。
【0036】
図2のA領域の光路長dAとB領域の光路長dBは、それぞれ以下の式(1)と式(2)で表される。
dA=n0×(L-L1)+n1×L1 …(1)
dB=n0×L
【0037】
よって、A領域とB領域の光路長差Δdは、以下の式(3)で表される。
Δd=dB-dA=L1(n0-n1) …(3)
【0038】
また、A領域とB領域の位相差φは、以下の式(4)で表される。
φ=2πL1(n0-n1)/λ …(4)
【0039】
式(4)で示すように、A領域とB領域を伝搬する光は、A領域とB領域の屈折率差に応じて光路長が変化し、かつ屈折率差に応じて伝搬方向に差異が生じる。伝搬方向の差異は、光の波長に依存する。
【0040】
このように、微細構造体14に光を入射することで、光の光路長と伝搬方向を変化させることができる。また、後述するように、微細構造体14の幅又は形状、向き、数等を調整することで、光の光路長と伝搬方向を種々に変化させることができる。
【0041】
図3Aは、光電変換領域11の光入射面側にレンズ12を配置した場合の光電変換領域11への光入射方向を示す図である。図3Bはレンズ12と光電変換領域11の間に光制御領域13を設けた場合の光電変換領域11への光入射方向を示す図である。図4は、図3A図3Bにおいて、像高と輝度との関係を示す図である。図4の横軸は像高[%]、縦軸は相対輝度[%]である。ここで、像高とは、レンズ12の光軸中心位置から、被写体光入射位置までの径方向の距離である。図4の曲線w1は図3Aの像高に対する輝度変化を示し、曲線w2は図3Bの像高に対する輝度変化を示している。
【0042】
図3A図3Bに示すように、レンズ12の中央側、すなわち光軸に近い側よりも、レンズ12の周縁側の方が、斜め光が入射される割合が多くなる。よって、図4の曲線w1に示すように、光電変換領域11に入射される光量が中央側よりも周縁側で少なくなる。しかしながら、図3Bのようにレンズ12と光電変換領域11の間に、微細構造体14を有する光制御領域13を設けることで、図4の曲線w2に示すように、周辺画素からの光を取り込むことができるため、図3Aの場合よりも、像高が大きい周縁側での光量を増やすことができ、輝度を向上できる。
【0043】
図5は本実施形態による光検出装置1の模式的な断面図である。本実施形態による光検出装置1は、光電変換領域11と、カラーフィルタ領域15と、光制御領域13とを積層した構造を備えている。
【0044】
光電変換領域11は、それぞれが光電変換を行う複数の画素10を有する。各画素10は、複数の色画素10c(10r、10g、10b)で構成される。光電変換領域11は、色画素10cごとにフォトダイオードを有する。各画素10は、ベイヤ配列の場合、縦横2個ずつの計4個の色画素10cで構成される。
【0045】
カラーフィルタ領域15は、各色画素10cに対応した波長の光を透過させるカラーフィルタ部を有する。1つの画素10は複数の色画素10cで構成されるため、カラーフィルタ領域15は、画素10ごとに、複数のカラーフィルタ部を有する。カラーフィルタ部は、対応する色の波長帯域の光を主に透過させる。
【0046】
光制御領域13は、カラーフィルタ領域15よりも光入射方向側に配置されている。光制御領域13は、複数の画素10のそれぞれごとに、微細構造体14を有する画素制御領域17を有する。本明細書では、光制御領域13をカラースプリッタ13と呼ぶことがある。画素制御領域17は、像高に応じた開口範囲16(後述する図6参照)内の光量の光を透過させる。後述するように、複数の画素10に対応する複数の画素制御領域17は、像高に応じて、微細構造体14のピッチ径、微細構造体14同士のピッチ間隔、微細構造同士のギャップ間隔、及び微細構造体14のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることで、開口範囲16を制御する。
【0047】
光制御領域13とカラーフィルタ領域15の間には、光透過性の絶縁層20が配置されている。また、光制御領域13の光入射面側には、不図示の反射防止膜又は保護膜が配置されていてもよい。
【0048】
画素制御領域17は、像高が高いほど開口範囲16を大きくし、像高が低いほど開口範囲16を小さくする。
【0049】
光電変換領域11は、複数の画素10のそれぞれごとに複数の色画素10cを有する。カラースプリッタ13は、複数の色画素10cのそれぞれごとに画素制御領域17を有する。画素制御領域17は、入射光の波長及び像高に応じた光量の光を透過させる。
【0050】
画素制御領域17は、入射光の波長によって、像高の変化に対する入射光量の変化率を相違させる。1つの画素10に含まれる複数の色画素10cに対応する複数の画素制御領域17のそれぞれは、1つの画素10内の色別の色画素10cの数の違いに基づいて開口範囲16を制御する。1つの画素10内の色別の数の少ない色画素10cに対応する画素制御領域17ほど、開口範囲16を大きくして、より多くの光量を透過させてもよい。
【0051】
図6は上述したカラースプリッタ13を説明する図である。より詳細には、図6は光電変換領域11にベイヤ配列で色画素10cが配置されている場合のカラースプリッタ13の機能を説明する図である。ベイヤ配列は、1つの画素10が4つの色画素10cからなる。4つの色画素10cは、1個の赤画素10rと、2個の緑画素10gと、1個の青画素10bとを含んでいる。
【0052】
図6Aはベイヤ配列を構成する4つの色画素10cの平面図である。図6B図6AのA-A線方向の断面図、図6C図6AのB-B線方向の断面図である。カラースプリッタ13には、柱形状の複数の微細構造体14が設けられており、光の波長ごとに、光を取り込む開口範囲16が異なっている。本明細書では、個々の微細構造体14を構成する個々の柱状部材をピラー部14pと呼ぶ。ピラー部14pは、円柱形状でもよいし、立方体形状でもよい。また、個々の微細構造体14は、高さ方向の幅が変化する形状でもよい。
【0053】
図6AのA-A線方向では、図6Bに示すように、緑色波長の光は、図示の矢印の矢元の開口範囲16から取り込まれて、緑画素10gで受光され、赤色波長の光は、図示の矢印の矢元の開口範囲16から取り込まれて、赤画素10rで受光される。同様に、図6AのB-B線方向では、図6Cに示すように、緑色波長の光は、図示の矢印の矢元の開口範囲16から取り込まれて、緑画素10gで受光され、赤色波長の光は、図示の矢印の矢元の開口範囲16から取り込まれて、赤画素10rで受光される。
【0054】
このように、微細構造体14からなるカラースプリッタ13を設けることで、光を取り込む開口範囲16を広げることができ、隣接画素10に対応する画素制御領域17に入射された光を取り込むことができる。
【0055】
図7A図7B図7Cは、カラースプリッタ13内の各色画素10cに対応する各画素制御領域17が周辺から光を取り込む様子を模式的に示す平面図である。赤画素10rに対応する画素制御領域17は、図7Aに示すように、周辺の8つの色画素10cに対応する8つの画素制御領域17に及ぶ開口範囲16内の光を取り込む。緑画素10gに対応する画素制御領域17は、1つの画素10内に2個あり、各緑画素10gに対応する画素制御領域17は、図7Bに示すように、周辺の4つの色画素10cを含む開口範囲16内の色を取り込む。青画素10bは、図7Cに示すように、周辺の8つの色画素10cに対応する8つの画素制御領域17に及ぶ開口範囲16内の光を取り込む。
【0056】
図8Aはカラースプリッタ13の開口と感度の関係を示す図である。図8Aには、小さい開口範囲16(径r1)の場合と大きい開口範囲16(径r3)の場合について、カラースプリッタ13の模式的な平面図及び断面図と、カラースプリッタ13への入射光量と、カラースプリッタ13からの出射光量と、感度との関係が図示されている。
【0057】
図8Aに示すように、カラースプリッタ13の開口範囲16が小さいほど、各色画素10cの中央部に光量が集中するため、各色画素10cの感度の改善幅は小さくなる。一方、カラースプリッタ13の開口範囲16が大きいほど、各色画素10cの周縁部の光量を増やせるため、各色画素10cの感度の改善幅が大きくなる。
【0058】
図8Bはカラースプリッタ13の開口と解像度の関係を示す図である。図8Bには、開口範囲16が小さい場合と大きい場合について、カラースプリッタ13の模式的な平面図及び断面図と、カラースプリッタ13に入射される被写体光像と、カラースプリッタ13から出射される被写体光像と、解像度との関係が図示されている。
【0059】
図8Bに示すように、開口範囲16が小さいほど、隣接する色画素10c同士の混色は起きなくなる。一方、開口範囲16が大きいほど、隣接する色画素10c同士の混色が起きやすくなる。
【0060】
このように、カラースプリッタ13の開口範囲16を大きくするほど、感度を向上できるものの、混色が起きやすくなる。また、開口範囲16を小さくするほど、感度は低下するものの、混色が起きにくくなる。よって、カラースプリッタ13内の場所によって、開口範囲16を制御するのが望ましい。より具体的には、カラースプリッタ13の中央側ほど開口範囲16を小さくし、周縁側ほど開口範囲16を大きくするのが望ましい。
【0061】
図9は赤画素10rと青画素10bについての開口範囲16を模式的に示す平面図である。図9では、カラースプリッタ13の中央部から周縁部にかけての各色画素10cに対応する画素制御領域17の開口範囲16を模式的に円で表している。
【0062】
図10図9の開口範囲16を示す円を径方向に沿って並べた図である。図10に示すように、開口範囲16は、カラースプリッタ13の中央部から周縁部にかけて徐々に広くなる。開口範囲16が広いほど、対応する色画素10cに入射される光量が増えて、感度が向上する。
【0063】
図11はカラースプリッタ13の中央部から周縁部にかけての光検出装置1の断面方向の開口範囲16を示す図である。図11Aには、図10の3箇所の色画素10cに対応する画素制御領域17の開口範囲16(径r1、r2、r3(r1<r2<r3))が図示されている。図11Aに示すように、開口範囲16が広いほど、対応する色画素10cに入射される光量が増えて、感度が向上する。
【0064】
カラースプリッタ13の周縁部には、中央部よりも、斜め方向の光がより多く入射される。カラースプリッタ13内の微細構造体14は、斜め方向からの光の伝搬方向を変更することができるが、微細構造体14だけでは十分とは言えない。そこで、カラースプリッタ13と光電変換領域11との相対的な位置関係をずらす瞳補正を行うのが望ましい。
【0065】
図11Bは瞳補正を行った場合の模式的な断面図である。図11Bでは、光電変換領域11の周縁側では、カラースプリッタ13への入射光の方向に沿って、光電変換領域11の位置をずらしている。これにより、カラースプリッタ13に斜めに光が入射されても、その光を対応する色画素10cに入射させることができる。
【0066】
なお、図11Bに示すように、瞳補正量は、光電変換領域11(カラースプリッタ13)の中央側ほど小さく、周縁側ほど大きくなる。
【0067】
このように、本実施形態では、光制御領域13内の画素制御領域17を、光入射面に沿って、光電変換領域11内の対応する画素10に対してずらすことにより瞳補正を行うことができる。光制御領域13の中央側よりも周辺側に位置する画素制御領域17ほど、光制御領域13内の画素制御領域17を光電変換領域11内の対応する画素10に対してずらす量を大きくする。より詳細には、光制御領域13内の画素制御領域17を、光入射面に沿って、カラーフィルタ領域15内の対応するカラーフィルタ部に対してずらすことにより瞳補正を行う。光制御領域13の中央側よりも周辺側に位置する画素制御領域17ほど、光制御領域13内の画素制御領域17をカラーフィルタ領域15内の対応するカラーフィルタ部に対してずらす量を大きくする。
【0068】
また、図11Bに示すように、カラースプリッタ13を二層構造にして、各層の相対的な位置関係を光入射面に沿ってずらすことで、瞳補正を行うことで、瞳補正効果を高めることができる。
【0069】
図12は緑画素10gについての開口範囲16を模式的に示す平面図である。図13図12の開口範囲16を示す円を径方向に沿って並べた図である。図14はカラースプリッタ13の中央部から周縁部にかけての光検出装置1の断面方向の開口範囲16を示す図である。
【0070】
ベイヤ配列の場合、1つの画素10の中に2つの緑画素10gがあり、他の色画素10r、10bと比べて、光量が多い。よって、緑画素10gの開口範囲16を赤画素10rと青画素10bよりも小さくすることができる。そこで、図12及び図13では、開口範囲16を示す円のサイズを、図10及び図11の円のサイズよりも小さくしている。ただし、カラースプリッタ13の中央部から周縁部にかけて、開口範囲16が徐々に広がる点では、赤画素10r及び青画素10bと同様である。
【0071】
また、緑画素10gでも、カラースプリッタ13の周縁部には、中央部よりも斜め方向の光がより多く入射されるため、瞳補正を行うのが望ましい。図14Aは瞳補正なしの断面図、図14Bは瞳補正ありの断面図である。図14Bでは、カラースプリッタ13の中央側から周縁側にかけて、徐々に瞳補正量を大きくしている。
【0072】
図11及び図14では、カラースプリッタ13とカラーフィルタ領域15(光電変換領域11)との相対的な位置関係を光入射面に沿ってずらすことで瞳補正(以下、第1瞳補正)を行うとともに、カラースプリッタ13を二層化して、各層の相対的な位置関係を光入射面に沿ってずらすことで瞳補正(以下、第2瞳補正)を行う例を説明したが、第1瞳補正と第2瞳補正のいずれか一方のみを行ってもよい。
【0073】
図15は瞳補正をより詳細に説明する図である。図15には、カラースプリッタ13の中央部に光を入射した場合と、カラースプリッタ13の中央部と周縁部の中間付近に光を入射した場合と、カラースプリッタ13の周縁部に光を入射した場合の瞳補正が図示されている。
【0074】
図15Aはカラースプリッタ13への光の入射位置bsを示す模式的な平面図である。図15Bは、図15Aの3つの入射位置bsで瞳補正を行わない場合の光検出装置1の模式的な断面図である。図15Cは、図15Aの3つの入射位置bsで瞳補正の第1例を行う場合の光検出装置1の模式的な断面図である。図15Dは、図15Aの3つの入射位置bsで瞳補正の第2例を行う場合の光検出装置1の模式的な断面図である。
【0075】
カラースプリッタ13の中央部では、光入射面の法線方向から入射される光の割合が多いため、瞳補正を行う必要はない。よって、図15B図15Dの断面構造はほぼ同じになる。
【0076】
カラースプリッタ13の中央部と周縁部の中間位置付近では、斜め方向からの光の割合が増えるため、瞳補正を行うのが望ましい。そこで、図15Cでは、カラースプリッタ13を二層構造にし、これら二層の相対的な位置関係を光入射面に沿ってずらすことで、瞳補正を行う。
【0077】
より詳細には、図11B図14B図15C、及び図15Dのカラースプリッタ13は、積層される第1光制御部13a及び第2光制御部13bを有する。第1光制御部13aと第2光制御部13bはそれぞれ微細構造体14を有する。本明細書では、第1光制御部13aの微細構造体を第1微細構造体14aと呼び、第2光制御部13bの微細構造体を第2微細構造体14bと呼ぶことがある。第1光制御部13aと第2光制御部13bの相対的な位置関係を、光入射面に沿ってずらすことで、瞳補正を行うことができる。
【0078】
図15Dでは、図15Cの瞳補正に加えて、カラースプリッタ13と光電変換領域11の相対的な位置関係を光入射面に沿ってずらす。これにより、図15Cよりも瞳補正量を増やすことができる。
【0079】
なお、カラースプリッタ13が単層構造の場合は、カラースプリッタ13のみでの瞳補正は行えないため、図15Dのように、カラースプリッタ13とカラーフィルタ領域15(光電変換領域11)の相対的な位置関係をずらすことにより瞳補正を行う。
【0080】
カラースプリッタ13の周縁部では、斜め方向からの光の割合がさらに増えるため、瞳補正を行う必要性が高まる。そこで、図15Cでは、カラースプリッタ13内の第1光制御部13aと第2光制御部13bの相対的な位置関係をより大きくずらして、瞳補正を行う。また、図15Dでは、図15Cの瞳補正に加えて、カラースプリッタ13とカラーフィルタ領域15(光電変換領域11)の相対的な位置関係をより大きくずらして、瞳補正を行う。
【0081】
カラースプリッタ13は、色画素10cに対応する画素制御領域17の境界部分に遮光壁18(第1遮光壁)を有する場合がある。同様に、光電変換領域11に設けられるカラースプリッタ13は、色画素10cの境界部分に遮光壁19(第2遮光壁)を有する場合がある。これら遮光壁18、19を設けることで、隣接する色画素10cの領域からの光の入射を防止できる。
【0082】
図16は、上述した遮光壁18、19を設ける場合の瞳補正の一例を示す図である。図16には、カラースプリッタ13の中央部、中間部、及び周縁部での光検出装置1の断面構造が図示されている。カラースプリッタ13の中央部では、カラースプリッタ13内の遮光壁18とカラーフィルタ領域15内の遮光壁19の相対的な位置が積層方向に揃っているが、中間部では、これら遮光壁18、19の相対的な位置が光入射面に沿って、多少ずれている。周縁部では、これら遮光壁18、19の相対的な位置がより大きくずれている。
【0083】
図17はカラースプリッタ13内の微細構造体14の平面図及び断面図である。カラースプリッタ13は、個々の色画素10cに応じた画素制御領域17に区分けされており、画素制御領域17ごとに微細構造体14を有する。微細構造体14は、それぞれが積層方向に延びる複数のピラー部14pを有する。複数のピラー部14pは、ベース部材14bで囲まれている。ピラー部14pの屈折率はベース部材14bの屈折率よりも大きい。ピラー部14pの材料は、例えばTiO2などの絶縁材料である。より具体的には、ピラー部14pは、窒化シリコン、炭化シリコンなどのシリコン化合物、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化インジウム、酸化スズなどの金属酸化物、あるいはこれらの複合酸化物で構成される。この他、ピラー部14pは、シロキサンなどの有機物で構成されてもよい。ベース部材の材料は、例えばSiO2などの絶縁材料である。
【0084】
カラースプリッタ13は、色画素10cに対応する画素制御領域17ごとに、像高に応じて、ピラー部14pのピッチ径、ピラー部14p同士のピッチ間隔、ピラー部14p同士のギャップ間隔、及びピラー部14pのピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることにより、光を透過させる開口範囲16を制御する。また、カラースプリッタ13は、色画素10cに対応する画素制御領域17ごとに、像高に応じて、ピラー部14pの材料とベース部材14bの材料、ピラー部14pの形状、ピラー部14pの数、及びピラー部14pの積層方向の長さの少なくとも一つを制御することで、開口範囲16を制御できる。
【0085】
図18Aはピラー部14pのピッチ径、ピッチ間隔、及びギャップ間隔を説明する平面図、図18Bはピラー高さを説明する断面図である。図18Aに示すように、ピッチ径とは、ピラー部14pが円柱形状の場合は、円柱の直径である。ピッチ間隔とは、隣接する2つのピラー部14pの中心位置同士の最短距離である。ギャップ間隔とは、隣接する2つのピラー部14pの外周面同士の最短距離である。図18Bに示すように、ピラー高さとは、ピラー部14pの積層方向の長さでさる。
【0086】
図17の例では、赤画素10rと青画素10bの微細構造体14の構造を同一にし、かつベイヤ配列内の2つの青画素10bの微細構造体14の構造を同一にしている。また、図17の例では、緑画素10gと青画素10bのピラー部14pの径を、緑画素10gのピラー部14pの径よりも小さくしている。さらに、図17の例では、画素制御領域17の境界に沿って、複数のピラー部14pを配置している。
【0087】
図17は微細構造体14の一例であり、ピラー部14pの配置には種々の変形例が考えられる。図19Aはカラースプリッタ13内の微細構造体14の第1例を示す平面図である。図19Bはカラースプリッタ13内の微細構造体14の第2例を示す平面図である。図19Cはカラースプリッタ13内の微細構造体14の第3例を示す平面図である。
【0088】
図19A図19B、及び図19Cのいずれも、赤画素10rと緑画素10gに対応する画素制御領域17内の微細構造体14の構造を同一にしている。また、ベイヤ配列内の2つの緑画素10gに対応する画素制御領域17内の微細構造体14の構造を同一にしている。図19A図19Cは、微細構造体14の一例であり、種々の変形例が考えられる。
【0089】
このように、本実施形態では、光電変換領域11よりも光入射方向側に配置されるカラースプリッタ13内に、画素10(色画素10c)ごとに、微細構造体14を有する画素制御領域17を設けて、各画素制御領域17が像高に応じた開口範囲16内の光量の光を透過させるようにした。これにより、カラースプリッタ13の中央部よりも周縁側の開口範囲16を大きくすることができ、周辺光量の落ち込みを抑制でき、感度の向上が図れる。
【0090】
また、カラースプリッタ13の中央部側では、開口範囲16を小さくすることができ、解像度の低下を目立たせなくすることができる。よって、本実施形態によれば、感度の向上と解像度の低下防止を両立させることができる。
【0091】
また、本実施形態では、カラースプリッタ13の中央側から周縁側に近づくにつれて、瞳補正量を増やすことができ、光電変換領域11の全域にわたって、適正な瞳補正を行うことができる。
【0092】
<<応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0093】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図20に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0094】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図20では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0095】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0096】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0097】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0098】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0099】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0100】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0101】
ここで、図21は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0102】
なお、図21には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0103】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0104】
図20に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0105】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0106】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0107】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0108】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0109】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0110】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0111】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0112】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0113】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0114】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0115】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0116】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0117】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0118】
なお、図20に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0119】
なお、図1等を用いて説明した本実施形態に係る光検出装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0120】
以上説明した車両制御システム7000において、図1等を用いて説明した本実施形態に係る光検出装置1は、図20に示した応用例の統合制御ユニット7600に適用することができる。
【0121】
また、図1等を用いて説明した光検出装置1の少なくとも一部の構成要素は、図20に示した統合制御ユニット7600のためのモジュール(例えば、一つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。あるいは、図1を用いて説明した光検出装置1が、図20に示した車両制御システム7000の複数の制御ユニットによって実現されてもよい。
【0122】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)複数の画素を有する光電変換領域と、
前記光電変換領域に積層され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、
前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記画素制御領域は、像高に応じた開口範囲内の光量の光の伝搬方向を制御する、光検出装置。
(2)前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記微細構造体のピッチ径、前記微細構造体同士のピッチ間隔、前記微細構造同士のギャップ間隔、及び前記微細構造体のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることで、前記開口範囲を制御する、(1)に記載の光検出装置。
(3)前記画素制御領域は、像高が高いほど前記開口範囲を大きくし、像高が低いほど前記開口範囲を小さくする、(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(4)複数の画素を有する光電変換領域と、
前記光電変換領域よりも光入射方向側に配置され、前記光電変換領域への光の伝搬方向を制御する光制御領域と、を備え、
前記光制御領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域のそれぞれは、像高に応じて、前記微細構造体のピッチ径、前記微細構造体同士のピッチ間隔、前記微細構造同士のギャップ間隔、及び前記微細構造体のピッチ数のうち少なくとも一つを相違させることにより、対応する前記画素制御領域に入射される光の光量に応じた開口範囲を制御する、光検出装置。
(5)前記画素制御領域は、像高が高いほど、より多くの光量の光を前記光電変換領域に伝搬させ、像高が低いほど、より少ない光量の光を前記光電変換領域に伝搬させる、(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(6)前記光電変換領域は、前記複数の画素のそれぞれごとに複数の色画素を有し、
前記光制御領域は、前記複数の色画素のそれぞれごとに前記画素制御領域を有し、
前記画素制御領域は、入射光の波長及び像高に応じた光量の光の伝搬方向を制御する、(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(7)前記画素制御領域は、入射光の波長によって、像高の変化に対する入射光量の変化率を相違させる、(6)に記載の光検出装置。
(8)1つの画素に含まれる前記複数の色画素に対応する複数の前記画素制御領域のそれぞれは、前記1つの画素内の色別の前記色画素の数の違いに基づいて前記開口範囲を制御する、(7)に記載の光検出装置。
(9)前記1つの画素内の色別の数の少ない前記色画素に対応する前記画素制御領域ほど、前記開口範囲を大きくして、より多くの光量を透過させる、(8)に記載の光検出装置。
(10)前記光制御領域及び前記光電変換領域の間に前記複数の色画素に対応づけて配置されるカラーフィルタ領域を備え、
前記カラーフィルタ領域は、1つの画素ごとに複数のカラーフィルタ部を有し、
前記画素制御領域は、前記複数のカラーフィルタ部の色別の数の違いに基づいて前記開口範囲を制御する、(6)乃至(9)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(11)前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記微細構造体の材料を相違させる、(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(12)前記微細構造体は、
光入射面に沿ってそれぞれが離隔して配置される複数の柱状部材と、
前記複数の柱状部材の周囲を覆うベース部材と、を有し、
前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域は、像高に応じて、前記柱状部材及び前記ベース部材の少なくとも一方の材料を相違させる、(11)に記載の光検出装置。
(13)前記複数の画素に対応する複数の前記画素制御領域のうち、少なくとも一部の前記画素制御領域では、入射光に対する瞳補正を行う、(1)乃至(12)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(14)前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、瞳補正量を大きくする、(13)に記載の光検出装置。
(15)前記光制御領域内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記光電変換領域内の対応する画素に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記光制御領域内の前記画素制御領域を前記光電変換領域内の対応する画素に対してずらす量を大きくする、(14)に記載の光検出装置。
(16)前記光制御領域内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記カラーフィルタ領域内の対応するカラーフィルタ部に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記光制御領域内の前記画素制御領域を前記カラーフィルタ領域内の対応するカラーフィルタ部に対してずらす量を大きくする、(10)に記載の光検出装置。
(17)前記光制御領域は、
第1微細構造体を有する第1光制御部と、
前記第1光制御部に積層され、第2微細構造体を有する第2光制御部と、を有し、
前記第1光制御部及び前記第2光制御部は、前記複数の画素のそれぞれごとに、微細構造体を有する画素制御領域を有し、
前記第1光制御部内の前記画素制御領域を、光入射面に沿って、前記第2光制御部内の対応する前記画素制御領域に対してずらすことにより瞳補正を行い、
前記光制御領域の中央側よりも周辺側に位置する前記画素制御領域ほど、前記第1光制御部内の前記画素制御領域を前記第2光制御部内の対応する前記画素制御領域に対してずらす量を大きくする、(14)に記載の光検出装置。
【0123】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 光検出装置、2 画素アレイ部、3 垂直駆動回路、4 カラム信号処理回路、5 水平駆動回路、6 出力回路、7 制御回路、10 隣接画素、10 画素、10c 色画素、11 光電変換領域、12 レンズ、13 光制御領域(カラースプリッタ)、13a 第1光制御部、13b 第2光制御部、14 微細構造体、14b ベース部材、14p ピラー部、15 カラーフィルタ領域、16 開口範囲、17 画素制御領域、18 遮光壁、19 遮光壁、20 絶縁層
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20
図21