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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152563
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20231010BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231010BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20231010BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 670A
G09G3/20 622G
G09G3/20 623R
G09G3/20 622A
G09G3/20 623H
G09G3/20 612T
G09G3/20 670E
G02F1/1368
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062684
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】音瀬 智彦
【テーマコード(参考)】
2G036
2H192
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2G036AA22
2G036BA33
2H192AA24
2H192HB04
2H192HB13
2H192HB23
5C006AC25
5C006AC26
5C006AF53
5C006AF73
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC20
5C006BF03
5C006BF04
5C006BF06
5C006BF14
5C006BF26
5C006BF27
5C006BF31
5C006BF33
5C006EB01
5C006FA14
5C006FA47
5C080AA10
5C080DD15
5C080DD26
5C080DD27
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK20
(57)【要約】
【課題】小型かつ簡易な構成により検査のコストを削減し、安定して多様な検査を可能にする。
【解決手段】プリチャージ回路31A、31Bは、ゲート線GLの両側に配置される。プリチャージ回路32A、32Bは、データ線DLの両側に配置される。共通電極用検査回路33は、コモン電極に接続される。検査データ処理回路34は、ゲート線GLの一端に配置される。検査データ処理回路35は、データ線DLの一端に配置される。第1期間において、ゲート線GL、データ線DL、コモン電極のうち、一部に第1電圧が供給される。第2期間において、ゲート線GL、データ線DL、コモン電極のうち、一部に第2電圧が供給される。検査データ処理回路34、35は、第2電圧の供給にもとづくゲート線GLおよびデータ線DLの電圧レベルを取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素部と、
前記画素部に接続された配線および電極と、
前記配線の異常を検査可能な検査回路と、を備え、
前記検査回路は、
第1期間において、前記配線および前記電極の一方または両方に第1電圧を供給し、
前記第1期間に続く第2期間において、前記配線および前記電極の一方に第2電圧を供給し、
前記第2電圧の供給にもとづく前記配線の電圧レベルに対応して、異常の発生を検出可能である、
表示装置。
【請求項2】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された第2検査データ処理回路と、を含み、
前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路は、デジタル論理回路としてのシフトレジスタを用いて構成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の走査回路を、さらに備え、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された第2検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路は、デジタル論理回路としてのシフトレジスタを用いて構成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記配線は、複数のゲート線を含み、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の電圧供給回路は、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路は、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記配線は、複数のデータ線を含み、
前記検査回路は、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の電圧供給回路は、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路は、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記配線は、複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記コモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記配線は、複数のゲート線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記コモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線における電圧レベルを取得する第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線における電圧レベルを取得する第2検査データ処理回路と、を含み、
前記検査回路は、
複数の表示期間のあいだの第1ブランキング期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により前記複数のゲート線および前記複数のゲート線の一方または両方における電圧レベルを取得し、
前記複数の表示期間のあいだで前記第1ブランキング期間の次の第2ブランキング期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により取得された電圧レベルに対応する検査データを出力する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線における電圧レベルを取得する第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線における電圧レベルを取得する第2検査データ処理回路と、を含み、
前記検査回路は、
複数の表示期間のあいだのブランキング期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により前記複数のゲート線および前記複数のデータ線の一方または両方における電圧レベルを取得し、
前記複数の表示期間のうち前記ブランキング期間に続く表示期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により取得された電圧レベルに対応する検査データを出力する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記検査回路は、前記画素部と同一の基板に搭載される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記検査回路は、前記基板上に形成される薄膜トランジスタに対応して、CMOS伝送ゲート、PMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタから選択されたタイプのスイッチ回路を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
表示装置を検査する方法であって、
前記表示装置の画素部に接続された配線および電極に対応する検査回路により、第1期間において、前記配線および前記電極の一方または両方に第1電圧を供給し、
前記検査回路により、前記第1期間に続く第2期間において、前記配線および前記電極の一方に第2電圧を供給し、
前記検査回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記配線の電圧レベルに対応して、異常の発生を検出する、
表示装置の検査方法。
【請求項14】
前記配線に含まれる複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記配線に含まれる複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の第1電圧供給回路により、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【請求項15】
前記配線に含まれる複数のゲート線の両側に配置された複数の電圧供給回路により、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路により、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【請求項16】
前記配線に含まれる複数のデータ線の両側に配置された複数の電圧供給回路により、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路により、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【請求項17】
前記配線に含まれる複数のデータ線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記電極としてのコモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路により、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【請求項18】
前記配線は、複数のゲート線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記コモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記配線に含まれる複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記電極としてのコモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路により、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にする、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【請求項19】
複数の表示期間のあいだの第1ブランキング期間において、前記配線に含まれる複数のゲート線および複数のゲート線の一方または両方における電圧レベルを、前記配線における電圧レベルとして取得し、
前記複数の表示期間のあいだで前記第1ブランキング期間の次の第2ブランキング期間において、前記配線における電圧レベルに対応する検査データを出力する、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【請求項20】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線における電圧レベルを取得する第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線における電圧レベルを取得する第2検査データ処理回路と、を含み、
前記検査回路は、
複数の表示期間のあいだのブランキング期間において、前記配線に含まれる複数のゲート線および複数のデータ線の一方または両方における電圧レベルを、前記配線における電圧レベルとして取得し、
前記複数の表示期間のうち前記ブランキング期間に続く表示期間において、前記配線における電圧レベルに対応する検査データを出力する、
請求項13に記載の表示装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び表示装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置は、車載用表示装置に適用可能である。ある種の車載用表示装置は、配線の異常である線欠陥を検知する機能が要求される。この機能を実現するための回路は、装置の大型化、製造や検査におけるコストの増大といった、問題を招きやすい。
【0003】
特許文献1は、ソース線およびゲート線に接続された故障検査回路を開示する。図29は、特許文献1において開示されているアクティブマトリクス基板の回路構成を示す。図29におけるアクティブマトリクス基板A1は、故障検査回路A100を有する。故障検査回路A100は、判定回路A105、A114、期待値比較回路A106、A115を含む。
【0004】
判定回路A105は、モニタ出力信号線A104を介して、ソース線A11におけるモニタ出力信号が入力される。判定回路A105により検出されたモニタ出力信号の電圧レベルは、期待値比較回路A106において期待値と比較される。判定回路A114は、モニタ出力信号線A112を介して、ゲート線A12におけるモニタ出力信号が入力される。判定回路A114により検出されたモニタ出力信号の電圧レベルは、期待値比較回路A115において期待値と比較される。
【0005】
特許文献2は、走査信号であるゲート信号の異常を検出する異常検出回路を開示する。図30は、特許文献2において開示されている液晶表示装置の構成を示す。図30における液晶表示装置B10は、走査信号異常検出回路B400、異常判定回路B800を含む異常検出回路部が、液晶表示部B100の外側に設けられる。走査信号異常検出回路B400は、ゲート信号GLsが順次供給されると、スタート信号STVをシフトさせる。シフトされたパルスは、異常判定回路B800に送られる。異常判定回路B800は、シフトパルスをラッチする。ラッチされたデータ出力にもとづいて、異常の有無が判定される。
【0006】
図31は、特許文献2において開示されている異常判定回路の回路例を示す。図31に示された異常判定回路B800において、コンパレータB810は、走査信号異常検出回路B400の出力値と、予め定めた基準電圧値Vrefとを比較する。
【0007】
特許文献3は、ゲート線およびデータ線の短絡を検出するためのテスト回路を開示する。図32は、特許文献3において開示されている液晶表示装置の構成を示す。図32における液晶表示装置C1Aは、ゲート線Gm、データ線Dnの短絡を検出するために、ゲート線テスト回路C10A、データ線テスト回路C20Aが、それぞれゲート線駆動回路C2A、データ線駆動回路C3A側に設けられ、ゲート線Gm、データ線Dnに接続されている。
【0008】
図33は、特許文献3において開示されているデータ線テスト回路の概略図である。図34は、図33におけるデータ線テスト回路C20Aの等価回路を示す回路図である。図34におけるデータ線電位Vdは、短絡抵抗Rsにもとづいて、電源電位VDDの抵抗分圧により決まる。検出用論理回路C21は、入力されたデータ線電位Vdに応じて、データ線Dnの短絡の有無を出力する。図35は、インバータ回路C22nを含む検出用論理回路C21を示す回路図である。
【0009】
特許文献4は、短絡部の位置を特定する配線検査装置を開示する。図36は、特許文献4において開示されている配線検査装置の構成を示す。図36における配線検査装置D1は、撮像手段D6、画像処理手段D7を含む。撮像手段D6は、基板部材D2の赤外線画像を撮像する。赤外線画像の画像データは、画像処理手段D7に与えられる。画像処理手段D7は、赤外線画像および2値化画像を形成した後に、2値化画像から短絡位置を特定する。
【0010】
特許文献5は、薄膜トランジスタ液晶基板の検査装置を開示する。図37は、特許文献5において開示されている検査装置の構成を示す。図37におけるプローブE36a、E36bは、基板E30の配線パターンに接触させられる。走査線および信号線のあいだの電位差は、赤外画像検出器E5により赤外画像として検出される。差画像検出回路E55および座標検出回路E56は、画像処理により短絡欠陥位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2018/079636号
【特許文献2】特開2019-113710号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0226866号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0204199号明細書
【特許文献5】米国特許第5309108号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載された故障検査回路において、複数のゲート線から選択された1のゲート線における第1のモニタ出力信号Goutを第1の判定回路に入力し、複数のソース線から選択された1のソース線における第2のモニタ信号Soutを第2の判定回路に入力する。この構成では、配線や回路の接続が複雑になり、回路の規模が増大する。また、期待値比較回路はアナログ回路としてコンパレータを用いた場合に、回路の規模が増大する。さらに、多数の薄膜トランジスタにおける特性が異なる場合に、期待値の設定が困難になる。したがって、特許文献1に記載された技術は、小型の回路による安定した検査が困難である。
【0013】
特許文献2に記載された異常判定回路は、アナログ回路としてコンパレータを用いるので、回路の規模が増大する。また、多数の薄膜トランジスタにおける特性が異なる場合に、基準電圧値の設定が困難になる。したがって、特許文献2に記載された技術は、小型の回路による安定した検査が困難である。回路規模の増大は、「額縁」と称される表示装置の周辺部における面積を増加させる。また、安定した検査を実現するために、製造や検査のコストが増大しやすくなる。
【0014】
特許文献3に記載されたテスト回路は、電源電位とグランド電位とがシリーズ抵抗を介して接続される。このシリーズ抵抗は、貫通電流を発生させる。貫通電流の発生は、装置の消費電力を増大させる。消費電力を抑制するための構成が設けられる場合に、検査コストの増大が発生する。
【0015】
特許文献4および特許文献5に記載された装置は、特別な画像処理を必要とする。このため、装置が大型化し、製造や検査のコストを増加させる。また、短絡位置を特定できる一方で、断線の検査ができないので、多様な検査が困難である。
【0016】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、小型かつ簡易な構成により検査のコストを削減し、安定して多様な検査を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本開示の表示装置は、
画素部と、
前記画素部に接続された配線および電極と、
前記配線の異常を検査可能な検査回路と、を備え、
前記検査回路は、
第1期間において、前記配線および前記電極の一方または両方に第1電圧を供給し、
前記第1期間に続く第2期間において、前記配線および前記電極の一方に第2電圧を供給し、
前記第2電圧の供給にもとづく前記配線の電圧レベルに対応して、異常の発生を検出可能である。
【0018】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された第2検査データ処理回路と、を含み、
前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路は、デジタル論理回路としてのシフトレジスタを用いて構成されてもよい。
あるいは、前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の走査回路を、さらに備え、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された第2検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路は、デジタル論理回路としてのシフトレジスタを用いて構成されてもよい。
【0019】
例えば、前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0020】
また、前記配線は、複数のゲート線を含み、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の電圧供給回路は、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路は、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0021】
また、前記配線は、複数のデータ線を含み、
前記検査回路は、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の電圧供給回路は、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路は、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0022】
また、前記配線は、複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のデータ線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記コモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0023】
また、前記配線は、複数のゲート線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記コモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記複数の第1電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路は、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記検査データ処理回路は、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0024】
前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線における電圧レベルを取得する第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線における電圧レベルを取得する第2検査データ処理回路と、を含み、
前記検査回路は、
複数の表示期間のあいだの第1ブランキング期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により前記複数のゲート線および前記複数のゲート線の一方または両方における電圧レベルを取得し、
前記複数の表示期間のあいだで前記第1ブランキング期間の次の第2ブランキング期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により取得された電圧レベルに対応する検査データを出力してもよい。
あるいは、前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線における電圧レベルを取得する第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線における電圧レベルを取得する第2検査データ処理回路と、を含み、
前記検査回路は、
複数の表示期間のあいだのブランキング期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により前記複数のゲート線および前記複数のデータ線の一方または両方における電圧レベルを取得し、
前記複数の表示期間のうち前記ブランキング期間に続く表示期間において、前記第1検査データ処理回路および前記第2検査データ処理回路の一方または両方により取得された電圧レベルに対応する検査データを出力してもよい。
【0025】
前記検査回路は、前記画素部と同一の基板に搭載されてもよい。
前記検査回路は、前記基板上に形成される薄膜トランジスタに対応して、CMOS伝送ゲート、PMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタから選択されたタイプのスイッチ回路を含んでもよい。
【0026】
本開示の表示装置の検査方法は、
表示装置を検査する方法であって、
前記表示装置の画素部に接続された配線および電極に対応する検査回路により、第1期間において、前記配線および前記電極の一方または両方に第1電圧を供給し、
前記検査回路により、前記第1期間に続く第2期間において、前記配線および前記電極の一方に第2電圧を供給し、
前記検査回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記配線の電圧レベルに対応して、異常の発生を検出する。
【0027】
例えば、前記配線に含まれる複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記配線に含まれる複数のデータ線の両側に配置された複数の第2電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の第1電圧供給回路により、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0028】
また、前記配線に含まれる複数のゲート線の両側に配置された複数の電圧供給回路により、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路により、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0029】
また、前記配線に含まれる複数のデータ線の両側に配置された複数の電圧供給回路により、前記第1電圧として、高レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記複数の電圧供給回路のうち、前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路の反対側である入力端側に配置された電圧供給回路により、前記第2電圧として、低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0030】
また、前記配線に含まれる複数のデータ線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のデータ線に供給し、
前記電極としてのコモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路により、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数のデータ線の一方側に配置された検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のデータ線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0031】
また、前記配線は、複数のゲート線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路と、
前記コモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路と、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路と、を含み、
前記配線に含まれる複数のゲート線の両側に配置された複数の第1電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記複数のゲート線に供給し、
前記電極としてのコモン電極に接続された複数の第2電圧供給回路により、前記第1電圧に含まれる低レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数の第2電圧供給回路により、前記第2電圧として、高レベルの電圧を前記コモン電極に供給し、
前記複数のゲート線の一方側に配置された検査データ処理回路により、前記第2電圧の供給にもとづく前記複数のゲート線における電圧レベルを取得し、当該電圧レベルが高レベルである場合に、異常の発生を検出可能にしてもよい。
【0032】
複数の表示期間のあいだの第1ブランキング期間において、前記配線に含まれる複数のゲート線および複数のゲート線の一方または両方における電圧レベルを、前記配線における電圧レベルとして取得し、
前記複数の表示期間のあいだで前記第1ブランキング期間の次の第2ブランキング期間において、前記配線における電圧レベルに対応する検査データを出力してもよい。
あるいは、前記配線は、複数のゲート線および複数のデータ線を含み、
前記電極は、コモン電極であり、
前記検査回路は、
前記複数のゲート線における電圧レベルを取得する第1検査データ処理回路と、
前記複数のデータ線における電圧レベルを取得する第2検査データ処理回路と、を含み、
前記検査回路は、
複数の表示期間のあいだのブランキング期間において、前記配線に含まれる複数のゲート線および複数のデータ線の一方または両方における電圧レベルを、前記配線における電圧レベルとして取得し、
前記複数の表示期間のうち前記ブランキング期間に続く表示期間において、前記配線における電圧レベルに対応する検査データを出力してもよい。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、第1期間の第1電圧および第2期間の第2電圧にもとづいて、配線の電圧レベルを取得することで、異常の発生を検出可能にする。このため、回路規模が縮小され、安定して多様な検査が可能になる。また、検査中の電流を防止して、検査コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】表示装置の概略構成図である。
図2】(A)と(B)は、ゲート線およびデータ線のショートを検査する例を示す図である。
図3】(A)と(B)は、ゲート線の切断を検査する例を示す図である。
図4】(A)と(B)は、データ線の切断を検査する例を示す図である。
図5】(A)と(B)は、データ線およびコモン電極のショートを検査する例を示す図である。
図6】(A)と(B)は、ゲート線およびコモン電極のショートを検査する例を示す図である。
図7】表示装置の他の構成を示す概略構成図である。
図8】プリチャージ回路の概略的な接続を示す図である。
図9】(A)~(C)は、スイッチ回路の構成例を示す回路図である。
図10】共通電極用検査回路の概略的な接続を示す図である。
図11】(A)と(B)は、検査データ処理回路の構成例を示す図である。
図12】CMOSタイプのレジスタ回路を示す回路図である。
図13】PMOSタイプのレジスタ回路を示す回路図である。
図14】NMOSタイプのレジスタ回路を示す回路図である。
図15】(A)と(B)は、検査データ処理回路の構成例を示す図である。
図16】CMOSタイプのレジスタ回路を示す回路図である。
図17】PMOSタイプのレジスタ回路を示す回路図である。
図18】NMOSタイプのレジスタ回路を示す回路図である。
図19】表示期間およびブランキング期間を示すタイミングチャートである。
図20】ゲート線およびデータ線のショートが検査されるときのタイミングチャートである。
図21】ゲート線およびデータ線のショートが発生した場合の例を示す図である。
図22】ゲート線およびデータ線の切断が検査されるときのタイミングチャートである。
図23】ゲート線の切断がある場合の例を示す図である。
図24】データ線あるいはゲート線およびコモン電極のショートが検査されるときのタイミングチャートである。
図25】データ線およびコモン電極のショートが発生した場合の例を示す図である。
図26】検査データ処理回路におけるタイミングチャートである。
図27】検査データ処理回路におけるタイミングチャートである。
図28】検査データ処理回路におけるタイミングチャートである。
図29】特許文献1におけるアクティブマトリクス基板の回路構成を示す図である。
図30】特許文献2における液晶表示装置の構成を示す図である。
図31】特許文献2における異常判定回路の回路例を示す図である。
図32】特許文献3における液晶表示装置の構成を示す図である。
図33】特許文献3におけるデータ線テスト回路の概略図である。
図34図33におけるデータ線テスト回路の等価回路を示す回路図である。
図35】インバータ回路を含む検出用論理回路を示す回路図である。
図36】特許文献4における配線検査装置の構成を示す図である。
図37】特許文献5における検査装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施形態に係る表示装置と表示装置の駆動方法について、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、表示装置100の概略的な構成を示す。表示装置100は、基板11、ドライバIC12、判定回路13を含む。基板11は、薄膜トランジスタ(TFT)基板などであればよい。ドライバIC12は、基板11上に位置する配線と電気的に接続される。ドライバIC12は、表示装置100の駆動信号を基板11における各要素へと供給する。ドライバIC12は、半導体装置でも、ディスクリート回路でも、ソフトウエアで制御されるプロセッサでもよい。ドライバIC12は、チップオンガラス(COG)の技術により、基板11上に実装されてもよい。あるいは、ドライバIC12は、基板11に外付け可能であってもよい。判定回路13は、基板11から出力される検査データを用いて、異常の有無を判定する。
【0037】
複数の回路要素は、基板11上に搭載される。例えば、基板11上に搭載された画素アレイ21と走査回路22とデマルチプレクサ23は、一般的なTFT基板に搭載可能な回路構成であればよい。画素アレイ21は、複数の画素回路を含む画素部である。画素アレイ21における各画素回路は、スイッチ用のトランジスタと、液晶素子と、を含む。画素アレイ21は、走査線となる複数のゲート線GLを介して、走査回路22と接続される。画素アレイ21は、映像信号線となる複数のデータ線DLを介して、デマルチプレクサ23と接続される。ゲート線GLおよびデータ線DLは、画素アレイ21に接続された配線である。画素アレイ21に含まれる複数の画素回路は、対向電極としてのコモン電極CBに接続される。コモン電極CBは、画素アレイ21に接続された電極である。
【0038】
基板11上に搭載されたプリチャージ回路31A、31Bは、ゲート線GLの両側に配置される。画素アレイ21は、プリチャージ回路31Aおよびプリチャージ回路31Bの間で、ゲート線GLに接続される。プリチャージ回路31Aは画素アレイ21に接続されたゲート線GLの一方側に接続され、プリチャージ回路31Bは画素アレイ21に接続されたゲート線GLの他方側に接続される。プリチャージ回路31A、31Bの出力は、画素アレイ21に接続されたゲート線GLを介して、互いに接続される。プリチャージ回路31A、31Bは、画素アレイ21に接続された配線に含まれるゲート線GLへと、検査用電圧を供給可能である。プリチャージ回路31Aは、画素アレイ21からみて走査回路22と同じ側において、ゲート線GLに接続される。プリチャージ回路31Bは、画素アレイ21からみて走査回路22の反対側において、ゲート線GLに接続される。走査回路22と同じ側は、ゲート線GLに正規の信号が入力される側である。
【0039】
基板11上に搭載されたプリチャージ回路32A、32Bは、データ線DLの両側に配置される。画素アレイ21は、プリチャージ回路32Aおよびプリチャージ回路32Bの間で、データ線DLに接続される。プリチャージ回路32Aは画素アレイ21に接続されたデータ線DLの一方側に接続され、プリチャージ回路32Bは画素アレイ21に接続されたデータ線DLの他方側に接続される。プリチャージ回路32A、32Bの出力は、画素アレイ21に接続されたデータ線DLを介して、互いに接続される。プリチャージ回路32A、32Bは、画素アレイ21に接続された配線に含まれるデータ線DLへと、検査用電圧を供給可能である。プリチャージ回路32Aは、画素アレイ21からみてデマルチプレクサ23と同じ側において、データ線DLに接続される。プリチャージ回路32Bは、画素アレイ21からみてデマルチプレクサ23の反対側において、データ線DLに接続される。デマルチプレクサ23と同じ側は、データ線DLに正規の信号が入力される側である。
【0040】
プリチャージ回路31A、31B、32A、32Bはそれぞれ、電圧生成器と、スイッチ回路と、を含む。プリチャージ回路31A、31Bに含まれる電圧生成器は、ゲート線GLに供給可能な低レベルまたは高レベルの電圧を生成する。プリチャージ回路31A、31Bに含まれるスイッチ回路は、プリチャージ回路31A、31Bに含まれる電圧生成器と、ゲート線GLとの接続を、オフまたはオンに切り替える。プリチャージ回路32A、32Bに含まれる電圧生成器は、データ線DLに供給可能な低レベルまたは高レベルの電圧を生成する。プリチャージ回路32A、32Bに含まれるスイッチ回路は、プリチャージ回路32A、32Bに含まれる電圧生成器と、データ線DLとの接続を、オフまたはオンに切り替える。ゲート線GLおよびデータ線DLを含む配線は、正規の信号が入力される側に入力端を有する。ゲート線GLおよびデータ線DLを含む配線は、入力端の反対側に出力端を有する。プリチャージ回路31Aは、ゲート線GLの入力端側に接続される。プリチャージ回路31Bは、ゲート線GLの出力端側に接続される。プリチャージ回路32Aは、データ線DLの入力端側に接続される。プリチャージ回路32Bは、データ線DLの出力端側に接続される。
【0041】
スイッチ回路は、金属酸化膜シリコン電界効果トランジスタ(MOSFET)といったスイッチ素子を用いて構成される。スイッチ回路がオンであるときに、スイッチ素子は導通状態である。スイッチ回路がオフであるときに、スイッチ素子は非導通状態である。スイッチ素子としてのMOSトランジスタは、Pチャネル型MOS(PMOS)トランジスタまたはNチャネル型MOS(NMOS)トランジスタであってもよい。スイッチ回路は、PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの組合せを用いた相補型MOS(CMOS)の伝送ゲートであってもよい。スイッチ回路のタイプは、基板11上に形成される薄膜トランジスタに対応して、選択可能であればよい。
【0042】
基板11上に搭載された共通電極用検査回路33は、コモン電極CBの所定位置に接続される複数の出力を有する。共通電極用検査回路33の複数の出力は、画素アレイ21に接続されたコモン電極CBを介して、互いに接続される。共通電極用検査回路33は、画素アレイ21に接続された電極に含まれるコモン電極CBへと、検査用電圧を供給可能である。共通電極用検査回路33は、電圧生成器と、スイッチ回路と、を含む。共通電極用検査回路33に含まれる電圧生成器は、コモン電極CBに供給可能な低レベルまたは高レベルの電圧を生成する。共通電極用検査回路33に含まれるスイッチ回路は、共通電極用検査回路33に含まれる電圧生成器と、コモン電極CBとの接続を、オフまたはオンに切り替える。
【0043】
基板11上に搭載された検査データ処理回路34は、ゲート線GLの一端に配置される。検査データ処理回路34は、画素アレイ21からみて走査回路22およびプリチャージ回路31Aの反対側である出力端側において、ゲート線GLに接続される。基板11上に搭載された検査データ処理回路35は、データ線DLの一端に配置される。検査データ処理回路35は、画素アレイ21からみてデマルチプレクサ23およびプリチャージ回路32Aの反対側である出力端側において、データ線DLに接続される。検査データ処理回路34は、ゲート線GLの電圧レベルを取得可能である。検査データ処理回路35は、データ線DLの電圧レベルを取得可能である。検査データ処理回路34は、画素アレイ21に接続された配線に含まれるゲート線GLの電圧レベルを検出可能にする。検査データ処理回路35は、画素アレイ21に接続された配線に含まれるデータ線DLの電圧レベルを検出可能にする。
【0044】
プリチャージ回路31A、31B、32A、32Bと、共通電極用検査回路33と、検査データ処理回路34、35とは、基板11上に搭載され、表示装置100の検査回路に含めることができる。表示装置100は、画素部としての画素アレイ21を含む。画素アレイ21は、配線としてのゲート線GLおよびデータ線DLと、電極としてのコモン電極CBと、に接続される。表示装置100の検査回路は、ゲート線GLおよびデータ線DLを含めた配線と、コモン電極CBといった電極とに、接続される。表示装置100の検査回路は、ゲート線GLおよびデータ線DLを含めた配線について、異常を検査可能である。
【0045】
検査データ処理回路34、35は、アナログ回路としてのコンパレータではなく、デジタル論理回路を用いる。アナログ回路とは異なるデジタル論理回路を用いることにより、回路の集積度が高められる。また、薄膜トランジスタの特性ばらつきを補正する必要がない。検査データ処理回路34、35は、貫通電流が発生しない構成を有する。このような検査データ処理回路34、35によれば、回路規模が縮小され、検査コストが削減される。したがって、表示装置100の検査回路は、線欠陥といった異常の有無を、適切に検査することができる。
【0046】
表示装置100の検査回路により実行される検査例は、図2から図6までにおいて、概略的に示される。図2(A)および図2(B)は、ゲート線GLおよびデータ線DLのショートを検査するための第1例を示す。図3(A)および図3(B)は、ゲート線GLの切断を検査するための第2例を示す。図4(A)および図4(B)は、データ線DLの切断を検査するための第3例を示す。図5(A)および図5(B)は、データ線DLおよびコモン電極CBのショートを検査するための第4例を示す。図6(A)および図6(B)は、ゲート線GLおよびコモン電極CBのショートを検査するための第5例を示す。
【0047】
図2(A)および図2(B)に示されたゲート線GL1~GL3は、複数のゲート線GLに含まれる。図2(A)および図2(B)に示されたデータ線DL1~DL4は、複数のデータ線DLに含まれる。図2(A)は、検査の第1例における第1ステップを示す。この例では、ゲート線GL1とデータ線DL2との間において、ショートSH1による線欠陥が発生している。図2(A)におけるプリチャージ回路31A、31Bは、ゲート線GL1~GL3に低レベルの電圧を供給する。図2(A)におけるプリチャージ回路32A、32Bは、データ線DL1~DL4に低レベルの電圧を供給する。より一般的に、複数のゲート線GLは、両側のプリチャージ回路31A、31Bから低レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。複数のデータ線DLは、両側のプリチャージ回路32A、32Bから低レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。図2(A)においてプリチャージ回路31A、31Bからゲート線GL1~GL3へと供給される低レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。図2(A)においてプリチャージ回路32A、32Bからデータ線DL1~DL4へと供給される低レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。
【0048】
図2(B)は、検査の第1例における第2ステップおよび第3ステップを示す。図2(B)におけるプリチャージ回路31A、31Bは、ゲート線GL1~GL3に高レベルの電圧を供給する。図2(B)におけるプリチャージ回路32A、32Bは、オフ状態であり、データ線DL1~DL4に電圧を供給しない。より一般的に、複数のゲート線GLは、両側のプリチャージ回路31A、31Bから高レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。データ線DLは、両側のプリチャージ回路32A、32Bから電圧が供給されず、フローティング状態となる。図2(B)においてプリチャージ回路31A、31Bからゲート線GL1~GL3へと供給される高レベルの電圧は、第2期間において供給される第2電圧に含まれる。なお、プリチャージ回路31Bは、第2期間においてオフ状態であってもよい。
【0049】
以上の第1例における第1ステップおよび第2ステップにもとづいて、検査データ処理回路34は、データ線DL1~DL4の電圧レベルを取得する。例えば、データ線DL1、DL3、DL4が正常である場合に、検査データ処理回路34は、低レベルの電圧を取得する。これに対し、データ線DL2がゲート線GL1との間でショートSH1による線欠陥を含む場合に、検査データ処理回路34は、高レベルの電圧を取得する。より一般的に、データ線DL2が複数のゲート線GLの少なくとも1つとショートした場合に、検査データ処理回路34は、高レベルの電圧を取得する。第3ステップにおいて、検査データ処理回路34は検査データ出力DD11を判定回路13に提供する。判定回路13は、検査データ処理回路34から受けた検査データを用いて、異常の発生を判定することができる。
【0050】
図3(A)および図3(B)に示されたゲート線GL1~GL4は、複数のゲート線GLに含まれる。図3(A)は、検査の第2例における第1ステップを示す。この例では、ゲート線GL3において、切断OP1による線欠陥が発生している。図3(A)におけるプリチャージ回路31A、31Bは、ゲート線GL1~GL4に高レベルの電圧を供給する。より一般的に、複数のゲート線GLは、両側のプリチャージ回路31A、31Bから高レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。図3(A)においてプリチャージ回路31A、31Bからゲート線GL1~GL4へと供給される高レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。
【0051】
図3(B)は、検査の第2例における第2ステップおよび第3ステップを示す。図3(B)におけるプリチャージ回路31Aは、ゲート線GL1~GL4に低レベルの電圧を供給する。図3(B)におけるプリチャージ回路31Bは、オフ状態であり、ゲート線GL1~GL4に電圧を供給しない。より一般的に、複数のゲート線GLは、検査データ処理回路35の反対側である入力端側に配置されたプリチャージ回路31Aから低レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。このとき、複数のゲート線GLは、出力端側に配置されたプリチャージ回路31Bから電圧が供給されない。図3(B)においてプリチャージ回路31Aからゲート線GL1~GL4へと供給される低レベルの電圧は、第2期間において供給される第2電圧に含まれる。
【0052】
以上の第2例における第1ステップおよび第2ステップにもとづいて、検査データ処理回路35は、ゲート線GL1~GL4の電圧レベルを取得する。例えば、ゲート線GL1、GL2、GL4が正常である場合に、検査データ処理回路35は、低レベルの電圧を取得する。これに対し、ゲート線GL3が切断OP1による線欠陥を含む場合に、検査データ処理回路35は、高レベルの電圧を取得する。第3ステップにおいて、検査データ処理回路35は検査データ出力DD13を判定回路13に提供する。判定回路13は、検査データ処理回路35から受けた検査データを用いて、異常の発生を判定することができる。
【0053】
図4(A)および図4(B)に示されたデータ線DL1~DL4は、複数のデータ線DLに含まれる。図4(A)は、検査の第3例における第1ステップを示す。この例では、データ線DL3において、切断OP2による線欠陥が発生している。図4(A)におけるプリチャージ回路32A、32Bは、データ線DL1~DL4に高レベルの電圧を供給する。より一般的に、複数のデータ線DLは、両側のプリチャージ回路32A、32Bから高レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。図4(A)においてプリチャージ回路32A、32Bからデータ線DL1~DL4へと供給される高レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。
【0054】
図4(B)は、検査の第3例における第2ステップおよび第3ステップを示す。図4(B)におけるプリチャージ回路32Aは、データ線DL1~DL4に低レベルの電圧を供給する。図4(B)におけるプリチャージ回路32Bは、オフ状態であり、データ線DL1~DL4に電圧を供給しない。より一般的に、複数のデータ線DLは、検査データ処理回路34の反対側である入力端側に配置されたプリチャージ回路32Aから低レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。このとき、複数のデータ線DLは、出力端側に配置されたプリチャージ回路32Bから電圧が供給されない。図4(B)においてプリチャージ回路32Aからデータ線DL1~DL4へと供給される低レベルの電圧は、第2期間において供給される第2電圧に含まれる。
【0055】
以上の第3例における第1ステップおよび第2ステップにもとづいて、検査データ処理回路34は、データ線DL1~DL4の電圧レベルを取得する。例えば、データ線DL1、DL2、DL4が正常である場合に、検査データ処理回路34は、低レベルの電圧を取得する。これに対し、データ線DL3が切断OP2による線欠陥を含む場合に、検査データ処理回路34は、高レベルの電圧を取得する。第3ステップにおいて、検査データ処理回路34は検査データ出力DD13を判定回路13に提供する。判定回路13は、検査データ処理回路34から受けた検査データを用いて、異常の発生を判定することができる。
【0056】
検査の第2例は、ゲート線GLを検査対象とする。ゲート線GLの切断は、検査データ処理回路35を用いて検査される。この例において、データ線DLは検査対象でない。ゲート線GLの切断が検査されるときに、検査データ処理回路34が用いられない。検査の第3例は、データ線DLを検査対象とする。データ線DLの切断は、検査データ処理回路34を用いて検査される。この例において、ゲート線GLは検査対象ではない。データ線DLの切断が検査されるときに、検査データ処理回路35が用いられない。したがって、ゲート線GLの切断およびデータ線DLの切断は、同時に検査することができる。
【0057】
図5(A)および図5(B)に示されたデータ線DL1~DL4は、複数のデータ線DLに含まれる。図5(A)は、検査の第4例における第1ステップを示す。この例では、データ線DL3とコモン電極CBとの間において、ショートSH2による線欠陥が発生している。図5(A)におけるプリチャージ回路32A、32Bは、データ線DL1~DL4に低レベルの電圧を供給する。図5(A)における共通電極用検査回路33は、コモン電極CBに低レベルの電圧を供給する。より一般的に、複数のデータ線DLは、両側のプリチャージ回路32A、32Bから低レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。コモン電極CBは、共通電極用検査回路33から低レベルの電圧が供給される。図5(A)においてプリチャージ回路32A、32Bからデータ線DL1~DL4へと供給される低レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。図5(A)において共通電極用検査回路33からコモン電極CBへと供給される低レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。
【0058】
図5(B)は、検査の第4例における第2ステップおよび第3ステップを示す。図5(B)におけるプリチャージ回路32A、32Bは、オフ状態であり、データ線DL1~DL4に電圧を供給しない。より一般的に、データ線DLは、両側のプリチャージ回路32A、32Bから電圧が供給されず、フローティング状態となる。図5(B)における共通電極用検査回路33は、徐々に高レベルの電圧をコモン電極CBに供給する。コモン電極CBは、画素回路の保持容量を含めた画素アレイ21の画素容量により、電圧の上昇が減速される。コモン電極CBの電圧は徐々に上昇するので、コモン電極CBは、ゲート線GLおよびデータ線DLとのカップリングが防止される。図5(B)において共通電極用検査回路33からコモン電極CBへと供給される高レベルの電圧は、第2期間において供給される第2電圧に含まれる。
【0059】
以上の第4例における第1ステップおよび第2ステップにもとづいて、検査データ処理回路34は、データ線DL1~DL4の電圧レベルを取得する。例えば、データ線DL1、DL2、DL4が正常である場合に、検査データ処理回路34は、低レベルの電圧を取得する。これに対し、データ線DL3がコモン電極CBとの間でショートSH2による線欠陥を含む場合に、検査データ処理回路34は、高レベルの電圧を取得する。第3ステップにおいて、検査データ処理回路34は検査データ出力DD14を判定回路13に提供する。判定回路13は、検査データ処理回路34から受けた検査データを用いて、異常の発生を判定することができる。
【0060】
図6(A)および図6(B)に示されたゲート線GL1~GL4は、複数のゲート線GLに含まれる。図6(A)は、検査の第5例における第1ステップを示す。この例では、ゲート線GL3とコモン電極CBとの間において、ショートSH3による線欠陥が発生している。図6(A)におけるプリチャージ回路31A、31Bは、ゲート線GL1~GL4に低レベルの電圧を供給する。図6(A)における共通電極用検査回路33は、コモン電極CBに低レベルの電圧を供給する。より一般的に、複数のゲート線GLは、両側のプリチャージ回路31A、31Bから低レベルの電圧が同一期間の共通電圧として供給される。コモン電極CBは、共通電極用検査回路33から低レベルの電圧が供給される。図6(A)においてプリチャージ回路31A、31Bからゲート線GL1~GL4へと供給される低レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。図6(A)において共通電極用検査回路33からコモン電極CBへと供給される低レベルの電圧は、第1期間において供給される第1電圧に含まれる。
【0061】
図6(B)は、検査の第6例における第2ステップおよび第3ステップを示す。図6(B)におけるプリチャージ回路31A、31Bは、オフ状態であり、ゲート線GL1~GL4に電圧を供給しない。より一般的に、データ線DLは、両側のプリチャージ回路31A、31Bから電圧が供給されず、フローティング状態となる。図6(B)における共通電極用検査回路33は、徐々に高レベルの電圧をコモン電極CBに供給する。図6(B)において共通電極用検査回路33からコモン電極CBへと供給される高レベルの電圧は、第2期間において供給される第2電圧に含まれる。
【0062】
以上の第5例における第1ステップおよび第2ステップにもとづいて、検査データ処理回路35は、ゲート線GL1~GL4の電圧レベルを取得する。例えば、ゲート線GL1、GL2、GL4が正常である場合に、検査データ処理回路34は、低レベルの電圧を取得する。これに対し、ゲート線GL3がコモン電極CBとの間でショートSH3による線欠陥を含む場合に、検査データ処理回路35は、高レベルの電圧を取得する。第3ステップにおいて、検査データ処理回路34は検査データ出力DD15を判定回路13に提供する。判定回路13は、検査データ処理回路34から受けた検査データを用いて、異常の発生を判定することができる。
【0063】
検査の第4例は、データ線DLを検査対象とする。データ線DLおよびコモン電極CBのショートは、検査データ処理回路34を用いて検査される。この例において、ゲート線GLは検査対象ではない。データ線DLおよびコモン電極CBのショートが検査されるときに、検査データ処理回路35が用いられない。検査の第5例は、ゲート線GLを検査対象とする。ゲート線GLおよびコモン電極CBのショートは、検査データ処理回路35を用いて検査される。この例において、データ線DLは検査対象ではない。ゲート線GLおよびコモン電極CBのショートが検査されるときに、検査データ処理回路34が用いられない。したがって、データ線DLおよびコモン電極CBのショートと、ゲート線GLおよびコモン電極CBのショートは、同時に検査することができる。
【0064】
第1期間における第1電圧は、検査対象となる複数の配線に対して供給される共通の電圧を含んでいる。複数のゲート線GLに供給される低レベルまたは高レベルの電圧と、複数のデータ線DLに供給される低レベルまたは高レベルの電圧は、検査タイプに従って、第1期間における第1電圧に含められる。これに対して、表示期間において、走査回路22からの走査信号およびデマルチプレクサ23からの映像信号に対応して供給される電圧は、複数の配線において異なる電圧を含んでいる。したがって、第1期間における第1電圧の設定は、表示期間における電圧の設定と相違する。
【0065】
第2期間における第2電圧の設定は、第1期間における第1電圧の設定と相違する。第2期間における第2電圧は、検査タイプに従って、検査対象となる複数の配線に対して供給される共通の電圧を含む場合と、含まない場合と、がある。コモン電極CBに供給される高レベルの電圧が第2電圧である場合に、ゲート線GLおよびデータ線DLは、第2電圧の供給がなく、フローティング状態となる。したがって、第2期間における第2電圧は、画素アレイ21に接続された配線および電極の一方に供給されるが、他方に供給されない。
【0066】
図7は、表示装置100とは別の構成例として、表示装置101の概略的な構成を示す。図7において、図1と同様の構成には、同一の符号が付されている。表示装置101は、基板15上に搭載された回路要素として、走査回路22A、22B、検査データ処理回路35A、35Bを有している。基板15上に搭載された走査回路22A、22Bは、ゲート線GLの両側に配置される。画素アレイ21は、走査回路22Aおよび走査回路22Bの間で、ゲート線GLに接続される。走査回路22Aは画素アレイ21に接続されたゲート線GLの一方側に接続され、走査回路22Bは画素アレイ21に接続されたゲート線GLの他方側に接続される。走査回路22A、22Bの出力は、画素アレイ21に接続されたゲート線GLを介して、互いに接続される。走査回路22A、22Bの一方が走査信号を出力しているときに、他方は走査信号を出力しない。ドライバIC12は、チップオンガラス(COG)の技術により、基板15上に実装されてもよい。あるいは、ドライバIC12は、基板15に外付け可能であってもよい。
【0067】
基板15上に搭載された検査データ処理回路35A、35Bは、ゲート線GLの両側に配置される。画素アレイ21は、検査データ処理回路35A、35Bの間で、ゲート線GLに接続される。検査データ処理回路35Aは画素アレイ21に接続されたゲート線GLの一方側に接続され、検査データ処理回路35Bは画素アレイ21に接続されたゲート線GLの他方側に接続される。検査データ処理回路35A、35Bの入力は、画素アレイ21に接続されたゲート線GLを介して、互いに接続される。
【0068】
表示装置101の検査回路により実行される検査例のうち、ゲート線GLおよびデータ線DLのショートが検出される第1例は、表示装置100の検査回路による検査例と同様である。表示装置101の検査回路により実行される検査例のうち、データ線DLの切断が検査される第3例は、表示装置100の検査回路による検査例と同様である。表示装置101の検査回路により実行される検査例のうち、データ線DLおよびコモン電極CBのショートが検出される第4例は、表示装置100の検査回路による検査例と同様である。表示装置101の検査回路により実行される検査例のうち、ゲート線GLおよびコモン電極CBのショートが検出される第5例は、表示装置100の検査回路による検査例と同様である。
【0069】
表示装置101の検査回路により実行される検査例のうち、ゲート線GLの切断が検出される第2例は、表示装置100の検査回路による検査例と相違する。例えば、検査データ処理回路35A、35Bの一方がゲート線GLの電圧レベルを取得するときに、他方はゲート線GLの電圧レベルを取得しない。したがって、ゲート線GLの両側に配置された検査データ処理回路35A、35Bのうち、一方を用いた検査が行われる場合に、他方を用いた検査は行われない。
【0070】
図8は、プリチャージ回路の概略的な接続を示す。図8に示されたゲート線GLnは、複数のゲート線GLに含まれる1の配線である。図8に示されたデータ線DLnは、複数のデータ線DLに含まれる1の配線である。ゲート線GLnおよびデータ線DLnは、画素アレイ21に含まれる画素回路PCnに接続される。画素回路PCnは、コモン電極CBにも接続される。
【0071】
ゲート線GLnは、スイッチ回路SWG1、SWG2に接続される。スイッチ回路SWG1は、プリチャージ回路31Aに含まれる。スイッチ回路SWG2は、プリチャージ回路31Bに含まれる。プリチャージ回路31A、31Bに含まれる電圧生成器は、プリチャージ電圧PCGを生成する。スイッチ回路SWG1がオンであるときに、プリチャージ回路31Aにおいて生成されたプリチャージ電圧PCGは、ゲート線GLnに供給される。スイッチ回路SWG1がオフであるときに、プリチャージ回路31Aにおいて生成されたプリチャージ電圧PCGは、ゲート線GLnに供給されない。スイッチ回路SWG2がオンであるときに、プリチャージ回路31Bにおいて生成されたプリチャージ電圧PCGは、ゲート線GLnに供給される。スイッチ回路SWG2がオフであるときに、プリチャージ回路31Bにおいて生成されたプリチャージ電圧PCGは、ゲート線GLnに供給されない。
【0072】
データ線DLnは、スイッチ回路SWD1、SWD2に接続される。スイッチ回路SWD1は、プリチャージ回路32Aに含まれる。スイッチ回路SWD2は、プリチャージ回路32Bに含まれる。プリチャージ回路32A、32Bに含まれる電圧生成器は、プリチャージ電圧PCDを生成する。スイッチ回路SWD1がオンであるときに、プリチャージ回路32Aにおいて生成されたプリチャージ電圧PCDは、データ線DLnに供給される。スイッチ回路SWD1がオフであるときに、プリチャージ回路32Aにおいて生成されたプリチャージ電圧PCDは、データ線DLnに供給されない。スイッチ回路SWD2がオンであるときに、プリチャージ回路32Bにおいて生成されたプリチャージ電圧PCDは、データ線DLnに供給される。スイッチ回路SWD2がオフであるときに、プリチャージ回路32Bにおいて生成されたプリチャージ電圧PCDは、データ線DLnに供給されない。
【0073】
コモン電極CBは、スイッチ回路SWCに接続される。スイッチ回路SWCは、共通電極用検査回路33に含まれる。共通電極用検査回路33に含まれる電圧生成器は、プリチャージ電圧PCCを生成する。スイッチ回路SWCがオンであるときに、共通電極用検査回路33において生成されたプリチャージ電圧PCCは、コモン電極CBに供給される。スイッチ回路SWCがオフであるときに、共通電極用検査回路33において生成されたプリチャージ電圧PCCは、コモン電極CBに供給されない。
【0074】
ゲート線GLnは、スイッチ回路SWT1、SWT2に接続される。スイッチ回路SWT1は、走査回路22と、ゲート線GLnとの接続を、オフまたはオンに切り替える。スイッチ回路SWT2は、検査データ処理回路35と、ゲート線GLnとの接続を、オフまたはオンに切り替える。スイッチ回路SWT2がオンであるときに、ゲート線GLnの電圧レベルを示す出力信号GOnは、検査データ処理回路35に入力される。スイッチ回路SWT2がオフであるときに、ゲート線GLnの電圧レベルを示す出力信号GOnは、検査データ処理回路35に入力されない。
【0075】
データ線DLnは、スイッチ回路SWTに接続される。スイッチ回路SWTは、検査データ処理回路34と、データ線DLnとの接続を、オフまたはオンに切り替える。スイッチ回路SWTがオンであるときに、データ線DLnの電圧レベルを示す出力信号DOnは、検査データ処理回路34に入力される。スイッチ回路SWTがオフであるときに、データ線DLnの電圧レベルを示す出力信号DOnは、検査データ処理回路34に入力されない。
【0076】
スイッチ回路の構成例は、図9(A)から図9(C)までに示される。スイッチ回路のタイプは、CMOSタイプ、PMOSタイプ、NMOSタイプのうちから選択される。図9(A)は、スイッチ回路SW1を示す回路図である。スイッチ回路SW1は、CMOSタイプである。図9(B)は、スイッチ回路SW2を示す回路図である。スイッチ回路SW2は、PMOSタイプである。図9(C)は、スイッチ回路SW3を示す回路図である。スイッチ回路SW3は、NMOSタイプである。PMOSタイプのスイッチ回路SW2が使用される場合に、図8の画素回路PCnに含まれるスイッチ用のトランジスタも、PMOSタイプである。
【0077】
図9(A)におけるスイッチ回路SW1は、スイッチ入力SI1と、スイッチ出力SO1と、を含む。スイッチ回路SW1は、スイッチ制御信号SC1と、スイッチ制御信号SC1の反転信号と、を受ける。スイッチ回路SW1は、スイッチ制御信号SC1および、その反転信号に対応して、オフまたはオンに切り替える。図9(B)におけるスイッチ回路SW2は、スイッチ入力SI2と、スイッチ出力SO2と、を含む。スイッチ回路SW2は、スイッチ制御信号SC2の反転信号を受ける。スイッチ回路SW2は、スイッチ制御信号SC2の反転信号に対応して、オフまたはオンに切り替える。図9(C)におけるスイッチ回路SW3は、スイッチ入力SI3と、スイッチ出力SO2と、を含む。スイッチ回路SW3は、スイッチ制御信号SC3を受ける。スイッチ回路SW3は、スイッチ制御信号SC3に対応して、オフまたはオンに切り替える。
【0078】
図8において、スイッチ回路SWG1、SWG2、SWD1、SWD2、SWC、SWT1、SWT2、SWTは、共通のタイプが選択される。例えば、薄膜トランジスタがNMOSトランジスタとPMOSトランジスタを同一基板上に集積した低温ポリシリコンを用いて形成された場合に、CMOSタイプのスイッチ回路SW1が選択され得る。薄膜トランジスタが特定の単一導電型の低温ポリシリコンまたは有機TFTを用いて形成された場合に、PMOSタイプのスイッチ回路SW2が選択され得る。薄膜トランジスタが別の単一導電型の低温ポリシリコンまたはIn-Ga-Zn-O系半導体(IGZO)またはアモルファスシリコン(a-Si)を用いて形成された場合に、NMOSタイプのスイッチ回路SW3が選択され得る。いずれのタイプを選択すべきかは、基板11に一体形成される走査回路22およびデマルチプレクサ23の製造プロセスに依存する。
【0079】
図8におけるスイッチ回路SWG1が図9(A)におけるスイッチ回路SW1である場合に、スイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNと、スイッチ制御信号GNの反転信号と、を受ける。この場合に、スイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNおよび、その反転信号に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWG1が図9(B)におけるスイッチ回路SW2である場合に、スイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNの反転信号を受ける。この場合に、スイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNの反転信号に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWG1が図9(C)におけるスイッチ回路SW3である場合に、スイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNを受ける。この場合に、スイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNに対応して、オフまたはオンに切り替える。このように、図8におけるスイッチ回路SWG1は、スイッチ制御信号GNおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWG2は、スイッチ制御信号GFおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。
【0080】
図8におけるスイッチ回路SWD1は、スイッチ制御信号DNおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWD2は、スイッチ制御信号DFおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWCは、スイッチ制御信号COMおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWT1は、スイッチ制御信号TEST1および、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWT2は、スイッチ制御信号TEST2および、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。図8におけるスイッチ回路SWTは、スイッチ制御信号TESTおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。より一般的に、スイッチ回路は、スイッチ制御信号および、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。
【0081】
図10は、共通電極用検査回路33の概略的な接続を示す。図10において、スイッチ回路SWC11~SWC1nと、スイッチ回路SWC21~SWC2nとは、共通電極用検査回路33に含まれる。スイッチ回路SWC11~SWC1nは、コモン電極CBの一方側に接続される。スイッチ回路SWC21~SWC2nは、コモン電極CBの他方側に接続される。共通電極用検査回路33は、コモン電極CBの両側に配置された複数のスイッチ回路を含む。図10において、スイッチ回路SWC11~SWC1n、および、スイッチ回路SWC21~SWC2nは、共通のタイプが選択される。図10に示された複数のスイッチ回路のタイプは、図8におけるスイッチ回路SWCのタイプと同じであればよい。
【0082】
図10におけるスイッチ回路SWC11が図9(A)におけるスイッチ回路SW1である場合に、スイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMと、スイッチ制御信号COMの反転信号と、を受ける。この場合に、スイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMおよび、その反転信号に対応して、オフまたはオンに切り替える。図10におけるスイッチ回路SWC11が図9(B)におけるスイッチ回路SW2である場合に、スイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMの反転信号を受ける。この場合に、スイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMの反転信号に対応して、オフまたはオンに切り替える。図10におけるスイッチ回路SWC11が図9(C)におけるスイッチ回路SW3である場合に、スイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMを受ける。この場合に、スイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMに対応して、オフまたはオンに切り替える。このように、図10におけるスイッチ回路SWC11は、スイッチ制御信号COMおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。同様に、図10におけるスイッチ回路SWC11~SWC1n、SWC21~SWC2nといった、共通電極用検査回路33に含まれる複数のスイッチ回路は、スイッチ制御信号COMおよび、その反転信号のうち、一方または両方に対応して、オフまたはオンに切り替える。
【0083】
検査データ処理回路34の構成例は、図11(A)および図11(B)に示される。検査データ処理回路34は、複数のゲート線GLにおける電圧レベルに対応する検査データを出力可能な任意のシフトレジスタであればよい。検査データ処理回路34におけるシフトレジスタは、複数のゲート線GLからパラレル入力された電圧レベルに対応した検査データを、シリアル出力することができる。図11(A)に示されたシフトレジスタSR11は、CMOSタイプである。図11(B)に示されたシフトレジスタSR12は、PMOSタイプまたはNMOSタイプである。検査データ処理回路34におけるシフトレジスタのタイプは、プリチャージ回路31A、31B、32A、32Bのタイプと同様である。いずれのタイプを選択すべきかは、基板11に一体形成される走査回路22およびデマルチプレクサ23の製造プロセスに依存する。
【0084】
図11(A)におけるシフトレジスタSR11は、縦続接続された複数のレジスタ回路RG11を含む。各レジスタ回路RG11は、複数のゲート線GLのうちの1つから、電圧レベルを取得する。例えば、レジスタ回路RG11は、複数のCMOSインバータ回路および複数の伝送ゲートを用いたD型フリップフロップ回路であればよい。伝送ゲートは、図9(A)に示されたスイッチ回路SW1と等しい。シフトレジスタSR11における複数のレジスタ回路RG11は、クロック信号GCLKおよび、クロック信号GCLKの反転信号を用いることにより、検査データを前段から後段へと転送する。最後段のレジスタ回路RG11は、検査データ出力GTDを判定回路13に供給する。
【0085】
図11(B)におけるシフトレジスタSR12は、縦続接続された複数のレジスタ回路RG12を含む。各レジスタ回路RG12は、複数のゲート線GLのうちの1つから、電圧レベルを取得する。例えば、レジスタ回路RG12は、複数のPMOSトランジスタおよび保持容量を用いた一時記憶回路であればよい。あるいは、レジスタ回路RG12は、複数のNMOSトランジスタおよび保持容量を用いた一時記憶回路であればよい。シフトレジスタSR12における複数のレジスタ回路RG12は、クロック信号GCLKおよび、クロック信号GCLKの反転信号を用いることにより、出力開始信号GSTを前段から後段へと転送する。各段のレジスタ回路RG12は、出力開始信号GSTにもとづくタイミングにて、検査データ出力GTDを判定回路13に供給する。
【0086】
図12は、レジスタ回路RG11の構成例を示す回路図である。レジスタ回路RG11は、伝送ゲートを用いた2段のラッチ回路を構成する。レジスタ回路RG11は、インバータ回路IN11~IN14と、伝送ゲートSG11~SG15と、を含む。インバータ回路IN11、IN12および伝送ゲートSG11、SG12は、1段目のラッチ回路を構成する。インバータ回路IN13、IN13および伝送ゲートSG13、SG14は、2段目のラッチ回路を構成する。2段目のラッチ回路において伝送ゲートSG13、SG14に供給されるクロック信号GCLKおよび反転信号は、1段目のラッチ回路において伝送ゲートSG11、SG12に供給されるクロック信号GCLKおよび反転信号の逆位相である。
【0087】
端子GS11は、レジスタ回路RG11におけるD入力端子である。端子GT11は、レジスタ回路RG11におけるQ出力端子である。端子GS11は、前段のレジスタ回路RG11における端子GT11に接続される。最前段のレジスタ回路RG11において、端子GS11は未使用状態であり、低レベルの電圧源またはグランド端子に接続されていればよい。端子GT11は、後段のレジスタ回路RG11における端子GS11に接続される。最後段のレジスタ回路RG11において、端子GT11は検査データ出力GTDを提供する。
【0088】
図13は、PMOSタイプのレジスタ回路RG12の構成例を示す回路図である。図13におけるレジスタ回路RG12は、複数のPMOSトランジスタTR21~TR25と、保持容量C21と、を含む。端子GS21は、前段のレジスタ回路RG12における端子GT22に接続される。最前段のレジスタ回路RG12において、端子GS21は、出力開始信号GSTが入力される。端子GS22は、前段のレジスタ回路RG12における端子GT21に接続される。最前段のレジスタ回路RG12において、端子GS22は未使用状態である。端子GT21は、後段のレジスタ回路RG12における端子GS22に接続される。最後段のレジスタ回路RG12において、端子GT21は未使用状態である。端子GT22は、後段のレジスタ回路RG12における端子GS21に接続される。最後段のレジスタ回路RG12において、端子GT22は未使用状態である。
【0089】
図14は、NMOSタイプのレジスタ回路RG12の構成例を示す回路図である。図14におけるレジスタ回路RG12は、複数のNMOSトランジスタTR31~TR35と、保持容量C31と、を含む。端子GS31は、前段のレジスタ回路RG12における端子GT32に接続される。最前段のレジスタ回路RG12において、端子GS31は、出力開始信号GSTが入力される。端子GS32は、前段のレジスタ回路RG12における端子GT31に接続される。最前段のレジスタ回路RG12において、端子GS32は未使用状態である。端子GT31は、後段のレジスタ回路RG12における端子GS32に接続される。最後段のレジスタ回路RG12において、端子GT31は未使用状態である。端子GT32は、後段のレジスタ回路RG12における端子GS31に接続される。最後段のレジスタ回路RG12において、端子GT32は未使用状態である。
【0090】
検査データ処理回路35の構成例は、図15(A)および図15(B)に示される。検査データ処理回路35は、複数のデータ線DLにおける電圧レベルに対応する検査データを出力可能な任意のシフトレジスタであればよい。検査データ処理回路35におけるシフトレジスタは、複数のデータ線DLからパラレル入力された電圧レベルに対応した検査データを、シリアル出力することができる。図15(A)に示されたシフトレジスタSR21は、CMOSタイプである。図15(B)に示されたシフトレジスタSR22は、PMOSタイプまたはNMOSタイプである。検査データ処理回路35におけるシフトレジスタのタイプは、プリチャージ回路31A、31B、32A、32Bおよび検査データ処理回路34のタイプと同様である。いずれのタイプを選択すべきかは、基板11に一体形成される走査回路22およびデマルチプレクサ23の製造プロセスに依存する。
【0091】
図15(A)におけるシフトレジスタSR21は、縦続接続された複数のレジスタ回路RG21を含む。各レジスタ回路RG21は、複数のデータ線DLのうちの1つから、電圧レベルを取得する。例えば、レジスタ回路RG21は、複数のCMOSインバータ回路および複数の伝送ゲートを用いたD型フリップフロップ回路であればよい。伝送ゲートは、図9(A)に示されたスイッチ回路SW1と等しい。シフトレジスタSR21における複数のレジスタ回路RG11は、クロック信号DCLKおよび、クロック信号DCLKの反転信号を用いることにより、検査データを前段から後段へと転送する。最後段のレジスタ回路RG21は、検査データ出力DTDを判定回路13に供給する。
【0092】
図15(B)におけるシフトレジスタSR22は、縦続接続された複数のレジスタ回路RG22を含む。各レジスタ回路RG22は、複数のデータ線DLのうちの1つから、電圧レベルを取得する。例えば、レジスタ回路RG22は、複数のPMOSトランジスタおよび保持容量を用いた一時記憶回路であればよい。あるいは、レジスタ回路RG22は、複数のNMOSトランジスタおよび保持容量を用いた一時記憶回路であればよい。シフトレジスタSR22における複数のレジスタ回路RG22は、クロック信号DCLKおよび、クロック信号DCLKの反転信号を用いることにより、出力開始信号DSTを前段から後段へと転送する。各段のレジスタ回路RG22は、出力開始信号DSTにもとづくタイミングにて、検査データ出力DTDを判定回路13に供給する。
【0093】
図16は、レジスタ回路RG21の構成例を示す回路図である。レジスタ回路RG21は、伝送ゲートを用いた2段のラッチ回路を構成する。レジスタ回路RG21は、インバータ回路IN21~IN24と、伝送ゲートSG21~SG25と、を含む。インバータ回路IN21、IN22および伝送ゲートSG21、SG22は、1段目のラッチ回路を構成する。インバータ回路IN23、IN24および伝送ゲートSG23、SG24は、2段目のラッチ回路を構成する。2段目のラッチ回路において伝送ゲートSG23、SG24に供給されるクロック信号DCLKおよび反転信号は、1段目のラッチ回路において伝送ゲートSG21、SG22に供給されるクロック信号DCLKおよび反転信号の逆位相である。
【0094】
端子DS11は、レジスタ回路RG21におけるD入力端子である。端子DT11は、レジスタ回路RG21におけるQ出力端子である。端子DS11は、前段のレジスタ回路RG21における端子DT11に接続される。最前段のレジスタ回路RG21において、端子DS11は未使用状態であり、低レベルの電圧源またはグランド端子に接続されていればよい。端子DT11は、後段のレジスタ回路RG21における端子DS11に接続される。最後段のレジスタ回路RG21において、端子DT11は検査データ出力DTDを提供する。
【0095】
図17は、PMOSタイプのレジスタ回路RG22の構成例を示す回路図である。図17におけるレジスタ回路RG22は、複数のPMOSトランジスタTR41~TR45と、保持容量C41と、を含む。端子DS41は、前段のレジスタ回路RG22における端子DT42に接続される。最前段のレジスタ回路RG22において、端子DS41は、出力開始信号DSTが入力される。端子DS42は、前段のレジスタ回路RG22における端子DT41に接続される。最前段のレジスタ回路RG22において、端子DS42は未使用状態である。端子DT41は、後段のレジスタ回路RG22における端子DS42に接続される。最後段のレジスタ回路RG22において、端子DT41は未使用状態である。端子DT42は、後段のレジスタ回路RG22における端子DS41に接続される。最後段のレジスタ回路RG22において、端子DT42は未使用状態である。
【0096】
図18は、NMOSタイプのレジスタ回路RG22の構成例を示す回路図である。図18におけるレジスタ回路RG22は、複数のNMOSトランジスタTR51~TR55と、保持容量C51と、を含む。端子DS51は、前段のレジスタ回路RG22における端子DT52に接続される。最前段のレジスタ回路RG22において、端子DS51は、出力開始信号DSTが入力される。端子DS52は、前段のレジスタ回路RG22における端子DT51に接続される。最前段のレジスタ回路RG22において、端子DS52は未使用状態である。端子DT51は、後段のレジスタ回路RG22における端子DS52に接続される。最後段のレジスタ回路RG22において、端子DT51は未使用状態である。端子DT52は、後段のレジスタ回路RG22における端子DS51に接続される。最後段のレジスタ回路RG22において、端子DT52は未使用状態である。
【0097】
ゲート線GLおよびデータ線DLの検査は、表示装置が起動されたときに実行される。また、ゲート線GLおよびデータ線DLの検査は、映像表示のブランキング期間において実行される。映像表示のブランキング期間は、表示期間の後に配置される。
【0098】
図19は、表示期間およびブランキング期間を示すタイミングチャートである。表示装置が映像表示を行う場合に、複数のブランキング期間は、複数の表示期間のあいだに設定される。図19におけるブランキング期間TB01~TB04は、表示期間TA01~TA05のあいだに設定される。前述した第1例から第5例までの検査のうち、1または複数の検査に対応する電圧レベルは、複数のブランキング期間のうちの1の期間において取得される。複数のブランキング期間のうちの次の期間において、電圧レベルの取得結果に対応する検査データが出力される。
【0099】
例えば、図2(A)および図2(B)における第1例の検査は、第1ステップおよび第2ステップがブランキング期間TB01において実行される。検査データ処理回路34は、複数のデータ線DLにおける電圧レベルを、ブランキング期間TB01において取得する。検査データ処理回路34は、ブランキング期間TB01の次のブランキング期間TB02において、検査データ出力DTDを提供する。
【0100】
図3(A)および図3(B)における第2例の検査と、図4(A)および図4(B)における第3例の検査は、第1ステップおよび第2ステップがブランキング期間TB03において実行される。検査データ処理回路34は、複数のデータ線DLにおける電圧レベルを、ブランキング期間TB03において取得する。検査データ処理回路35は、複数のゲート線GLにおける電圧レベルを、ブランキング期間TB03において取得する。検査データ処理回路34は、ブランキング期間TB03の次のブランキング期間TB04において、検査データ出力DTDを提供する。検査データ処理回路35は、ブランキング期間TB03の次のブランキング期間TB04において、検査データ出力GTDを提供する。
【0101】
検査データ出力DTDおよび検査データ出力GTDは、複数の表示期間において提供されてもよい。例えば、図2(A)および図2(B)における第1例の検査は、第1ステップおよび第2ステップがブランキング期間TB01において実行される。検査データ処理回路34は、ブランキング期間TB01に続く表示期間TA02において、検査データ出力DTDを提供する。図3(A)および図3(B)における第2例の検査と、図4(A)および図4(B)における第3例の検査は、第1ステップおよび第2ステップがブランキング期間TB01の次のブランキング期間TB02において実行される。検査データ処理回路34は、ブランキング期間TB02に続く表示期間TA03において、検査データ出力DTDを提供する。検査データ処理回路35は、ブランキング期間TB02に続く表示期間TA03において、検査データ出力GTDを提供する。図5(A)および図5(B)における第4例の検査と、図6(A)および図6(B)における第5例の検査は、第1ステップおよび第2ステップがブランキング期間TB02の次のブランキング期間TB03において実行される。検査データ処理回路34は、ブランキング期間TB03に続く表示期間TA04において、検査データ出力DTDを提供する。検査データ処理回路35は、ブランキング期間TB03に続く表示期間TA04において、検査データ出力GTDを提供する。
【0102】
図20は、ゲート線GLおよびデータ線DLのショートが検査されるときのタイミングチャートである。図20におけるブランキング期間TB21は、第1期間TC21、第2期間TC22、第3期間TC23を含む。第1期間TC21が開始するときに、図8におけるスイッチ制御信号GN、GF、DN、DFは、低レベルから高レベルに変化する。これらの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。プリチャージ電圧PCG、PCDは、第1期間TC21において低レベルに設定される。図8におけるスイッチ回路SWG1、SWG2、SWD1、SWD2は、第1期間TC21においてオンとなる。図8におけるゲート線GLnは、第1期間TC21において低レベルのプリチャージ電圧PCGが供給される。図8におけるデータ線DLnは、第1期間TC21において低レベルのプリチャージ電圧PCDが供給される。したがって、第1期間TC21において、第1電圧に含まれる低レベルのプリチャージ電圧PCGがプリチャージ回路31A、31Bの両方からゲート線GLnに供給され、第1電圧に含まれる低レベルのプリチャージ電圧PCDがプリチャージ回路32A、32Bの両方からデータ線DLnに供給される。これにより、ゲート線GLnおよびデータ線DLnの電圧レベルが初期化される。ゲート線GLnの両側に配置されたプリチャージ回路31A、31Bによりプリチャージ電圧PCGが供給されるので、ゲート線GLnの線路インピーダンスにかかわらず、電圧レベルの円滑な初期化が可能になる。データ線DLnの両側に配置されたプリチャージ回路32A、32Bによりプリチャージ電圧PCDが供給されるので、データ線DLnの線路インピーダンスにかかわらず、電圧レベルの円滑な初期化が可能になる。
【0103】
図20における第1期間TC21が終了するときに、スイッチ制御信号DN、DFは、高レベルから低レベルに変化する。これらの反転信号は、低レベルから高レベルに変化する。第1期間TC21に続いて第2期間TC22が開始されたときに、プリチャージ電圧PCGは、高レベルに設定される。スイッチ制御信号GNは、第2期間TC22において高レベルを維持する。図8におけるスイッチ回路SWG1は、第2期間TC22においてオンである。図8におけるスイッチ回路SWD1、SWD2は、第2期間TC22においてオフである。図8におけるゲート線GLnは、第2期間TC22において高レベルのプリチャージ電圧PCGが供給される。図8におけるデータ線DLnは、第2期間TC22においてフローティング状態である。したがって、第2期間TC22において、第2電圧として高レベルのプリチャージ電圧PCGがプリチャージ回路31A、31Bの両方からゲート線GLnに供給される。ゲート線GLnの両側に配置されたプリチャージ回路31A、31Bによりプリチャージ電圧PCGが供給されるので、ゲート線GLnの線路インピーダンスにかかわらず、第2電圧の円滑な供給が可能になる。
【0104】
図20における第3期間TC23が開始するときに、スイッチ制御信号TESTは、低レベルから高レベルに変化する。これの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。図8におけるスイッチ回路SWTは、第3期間TC23においてオンとなる。検査データ処理回路34は、第3期間TC23においてデータ線DLnの電圧レベルを取得する。ゲート線GLnおよびデータ線DLnのショートがない場合に、ゲート線GLnに供給された高レベルのプリチャージ電圧PCGは、データ線DLnに影響を与えない。この場合に、データ線DLnの電圧は、第3期間TC23において低レベルである。
【0105】
図21は、ゲート線GLnおよびデータ線DLnのショートが発生した場合を例示する。ゲート線GLnおよびデータ線DLnのショートがある場合に、ゲート線GLnに供給された高レベルのプリチャージ電圧PCGは、ショート抵抗RS1を介してデータ線DLnに伝送される。ショート抵抗RS1は、ゲート線GLnとデータ線DLnとの間に形成されたショート回路の抵抗である。この場合に、データ線DLnの電圧は、第3期間TC23において高レベルである。
【0106】
図22は、ゲート線GLの切断が検査されるときのタイミングチャートである。加えて、図22は、データ線DLnの切断が検査されるときのタイミングチャートである。図22におけるブランキング期間TB31は、第1期間TC31、第2期間TC32、第3期間TC33を含む。第1期間TC31が開始するときに、図8におけるスイッチ制御信号GN、GFは、低レベルから高レベルに変化する。これらの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。プリチャージ電圧PCGは、第1期間TC31において高レベルに設定される。図8におけるスイッチ回路SWG1、SWG2は、第1期間TC31においてオンとなる。図8におけるゲート線GLnは、第1期間TC31において高レベルのプリチャージ電圧PCGが供給される。したがって、第1期間TC31において、第1電圧として高レベルのプリチャージ電圧PCGがプリチャージ回路31A、31Bの両方からゲート線GLnに供給される。これにより、ゲート線GLnの電圧レベルが初期設定される。ゲート線GLnの両側に配置されたプリチャージ回路31A、31Bによりプリチャージ電圧PCGが供給されるので、ゲート線GLnの線路インピーダンスにかかわらず、第1電圧の円滑な供給が可能になる。
【0107】
図22における第1期間TC31が終了するときに、スイッチ制御信号GFは、高レベルから低レベルに変化する。これの反転信号は、低レベルから高レベルに変化する。このときに、プリチャージ電圧PCGは低レベルに設定される。スイッチ制御信号GNは、第1期間TC31に続く第2期間TC32において、高レベルを維持する。図8におけるスイッチ回路SWG1は、第2期間TC32においてオンである。図8におけるスイッチ回路SWG2は、第2期間TC32においてオフである。図8におけるゲート線GLnは、第2期間TC32においてスイッチ回路SWG1を介して低レベルのプリチャージ電圧PCGが供給される。したがって、第2期間TC32において、第2電圧として低レベルのプリチャージ電圧PCGがプリチャージ回路31Aからゲート線GLnに供給される。この場合に、ゲート線GLnの両側に配置されたプリチャージ回路31A、31Bのうちで、検査データ処理回路35の反対側に配置されたプリチャージ回路31Aはゲート線GLnにプリチャージ電圧PCGを供給する一方で、検査データ処理回路35と同一側に配置されたプリチャージ回路31Bはゲート線GLnにプリチャージ電圧PCGを供給しない。検査データ処理回路35は、ゲート線GLnに切断がない場合に低レベルの電圧レベルを取得する一方で、ゲート線GLnに切断がある場合に高レベルの電圧レベルを取得する。
【0108】
図22における第3期間TC33が開始するときに、スイッチ制御信号TEST2は、低レベルから高レベルに変化する。これの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。図8におけるスイッチ回路SWT2は、第3期間TC33においてオンとなる。検査データ処理回路35は、第3期間TC33においてゲート線GLnの電圧レベルを取得する。ゲート線GLnの切断がない場合に、ゲート線GLnにスイッチ回路SWG1を介して供給された低レベルのプリチャージ電圧PCGは、出力信号GOnとして提供される。
【0109】
図23は、ゲート線GLnの切断がある場合を例示する。ゲート線GLnに切断がある場合に、スイッチ回路SWG1を介して供給された低レベルのプリチャージ電圧PCGは、出力信号GOnとして提供され得ない。この場合に、ゲート線GLnの出力信号GOnは、第1期間TC31におけるプリチャージ電圧PCGにより、第3期間において高レベルである。
【0110】
図22における第1期間TC31が開始するときに、図8におけるスイッチ制御信号DN、DFは、低レベルから高レベルに変化する。これらの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。プリチャージ電圧PCDは、第1期間TC31において高レベルに設定される。図8におけるスイッチ回路SWD1、SWD2は、第1期間TC31においてオンとなる。図8におけるデータ線DLnは、第1期間TC31において高レベルのプリチャージ電圧PCDが供給される。したがって、第1期間TC31において、第1電圧として高レベルのプリチャージ電圧PCDがプリチャージ回路32A、32Bの両方からデータ線DLnに供給される。これにより、データ線DLnの電圧レベルが初期設定される。データ線DLnの両側に配置されたプリチャージ回路32A、32Bによりプリチャージ電圧PCDが供給されるので、データ線DLnの線路インピーダンスにかかわらず、第1電圧の円滑な供給が可能になる。
【0111】
図22における第1期間TC31が終了するときに、スイッチ制御信号DFは、高レベルから低レベルに変化する。これの反転信号は、低レベルから高レベルに変化する。このときに、プリチャージ電圧PCDは低レベルに設定される。スイッチ制御信号DNは、第1期間TC31に続く第2期間TC32において、高レベルを維持する。図8におけるスイッチ回路SWD1は、第2期間TC32においてオンである。図8におけるスイッチ回路SWD2は、第2期間TC32においてオフである。図8におけるデータ線DLnは、第2期間TC32においてスイッチ回路SWD1を介して低レベルのプリチャージ電圧PCDが供給される。したがって、第2期間TC32において、第2電圧として低レベルのプリチャージ電圧PCDがプリチャージ回路32Aからデータ線DLnに供給される。この場合に、データ線DLnの両側に配置されたプリチャージ回路32A、32Bのうちで、検査データ処理回路34の反対側に配置されたプリチャージ回路32Aはデータ線DLnにプリチャージ電圧PCDを供給する一方で、検査データ処理回路34と同一側に配置されたプリチャージ回路32Bはデータ線DLnにプリチャージ電圧PCDを供給しない。検査データ処理回路34は、データ線DLnに切断がない場合に低レベルの電圧レベルを取得する一方で、データ線DLnに切断がある場合に高レベルの電圧レベルを取得する。
【0112】
図22における第3期間TC33が開始するときに、スイッチ制御信号TESTは、低レベルから高レベルに変化する。これの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。図8におけるスイッチ回路SWTは、第3期間TC33においてオンとなる。検査データ処理回路34は、第3期間TC33においてデータ線DLnの電圧レベルを取得する。データ線DLnの切断がない場合に、データ線DLnにスイッチ回路SWD1を介して供給された低レベルのプリチャージ電圧PCDは、出力信号DOnとして提供される。データ線DLnの切断がある場合に、スイッチ回路SWD1を介して供給された低レベルのプリチャージ電圧PCDは、出力信号DOnとして提供され得ない。この場合に、データ線DLnの出力信号DOnは、第1期間TC31におけるプリチャージ電圧PCDにより、第3期間において高レベルである。
【0113】
図24は、データ線DLおよびコモン電極CBのショートが検査されるときのタイミングチャートである。加えて、図24は、ゲート線GLおよびコモン電極CBのショートが検査されるときのタイミングチャートである。図24におけるブランキング期間TB41は、第1期間TC41、第2期間TC42、第3期間TC43を含む。第1期間TC41が開始するときに、図8におけるスイッチ制御信号DN、DF、COMは、低レベルから高レベルに変化する。これらの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。プリチャージ電圧PCDは、第1期間TC41において低レベルに設定される。プリチャージ電圧PCCは、第1期間TC41において低レベルに設定される。図8におけるスイッチ回路SWD1、SWD2、SWCは、第1期間TC41においてオンとなる。図8におけるデータ線DLnは、第1期間TC41において低レベルのプリチャージ電圧PCDが供給される。図8におけるコモン電極CBは、第1期間TC41において低レベルのプリチャージ電圧PCCが供給される。したがって、第1期間TC41において、第1電圧に含まれる低レベルのプリチャージ電圧PCDがプリチャージ回路32A、32Bからデータ線DLnへと供給され、第1電圧に含まれる低レベルのプリチャージ電圧PCCが共通電極用検査回路33からコモン電極CBへと供給される。データ線DLnの両側に配置されたプリチャージ回路32A、32Bによりプリチャージ電圧PCDが供給されるので、データ線DLnの線路インピーダンスにかかわらず、電圧レベルの円滑な初期化が可能になる。共通電極用検査回路33は、図10における複数のスイッチ回路SWC11~SWC1n、SWC21~SWC2nを用いて、プリチャージ電圧PCCをコモン電極CBに供給するので、コモン電極CBのインピーダンスにかかわらず、電圧レベルの円滑な初期化が可能になる。
【0114】
図24における第1期間TC41が終了するときに、スイッチ制御信号DN、DFは、高レベルから低レベルに変化する。これらの反転信号は、低レベルから高レベルに変化する。第1期間TC41に続いて第2期間TC42が開始されたときに、プリチャージ電圧PCCは、高レベルに設定される。スイッチ制御信号COMは、第2期間TC42において高レベルを維持する。図8におけるスイッチ回路SWCは、第2期間TC42においてオンである。図8におけるスイッチ回路SWD1、SWD2は、第2期間TC42においてオフである。図8におけるコモン電極CBは、第2期間TC42において高レベルのプリチャージ電圧PCCが供給される。図8におけるデータ線DLnは、第2期間TC42においてフローティング状態である。したがって、第2期間TC42において、第2電圧として高レベルのプリチャージ電圧PCCが共通電極用検査回路33からコモン電極CBに供給される。
【0115】
図24における第3期間TC43が開始するときに、スイッチ制御信号TESTは、低レベルから高レベルに変化する。これの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。図8におけるスイッチ回路SWTは、第3期間TC43においてオンとなる。検査データ処理回路34は、第3期間TC43においてデータ線DLnの電圧レベルを取得する。データ線DLnおよびコモン電極CBのショートがない場合に、コモン電極CBに供給された高レベルのプリチャージ電圧PCCは、データ線DLnに影響を与えない。この場合に、データ線DLnの電圧は、第3期間TC43において低レベルである。
【0116】
図25は、データ線DLnおよびコモン電極CBのショートが発生した場合を例示する。データ線DLnおよびコモン電極CBのショートがある場合に、コモン電極CBに供給された高レベルのプリチャージ電圧PCCは、ショート抵抗RS2を介してデータ線DLnに伝送される。ショート抵抗RS2は、データ線DLnおよびコモン電極CBのあいだに形成されるショート回路の抵抗である。この場合に、データ線DLnの電圧は、第3期間TC43において高レベルである。
【0117】
図24における第1期間TC41が開始するときに、図8におけるスイッチ制御信号GN、GF、COMは、低レベルから高レベルに変化する。これらの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。プリチャージ電圧PCGは、第1期間TC41において低レベルに設定される。プリチャージ電圧PCCは、第1期間TC41において低レベルに設定される。図8におけるスイッチ回路SWG1、SWG2、SWCは、第1期間TC41においてオンとなる。図8におけるゲート線GLnは、第1期間TC41において低レベルのプリチャージ電圧PCGが供給される。図8におけるコモン電極CBは、第1期間TC41において低レベルのプリチャージ電圧PCCが供給される。したがって、第1期間TC41において、第1電圧に含まれる低レベルのプリチャージ電圧PCGがプリチャージ回路31A、31Bからゲート線GLnへと供給され、第1電圧に含まれる低レベルのプリチャージ電圧PCCが共通電極用検査回路33からコモン電極CBへと供給される。ゲート線GLnの両側に配置されたプリチャージ回路31A、31Bによりプリチャージ電圧PCGが供給されるので、ゲート線GLnの線路インピーダンスにかかわらず、電圧レベルの円滑な初期化が可能になる。共通電極用検査回路33は、図10における複数のスイッチ回路SWC11~SWC1n、SWC21~SWC2nを用いて、プリチャージ電圧PCCをコモン電極CBに供給するので、コモン電極CBのインピーダンスにかかわらず、電圧レベルの円滑な初期化が可能になる。
【0118】
図24における第1期間TC41が終了するときに、スイッチ制御信号GN、GFは、高レベルから低レベルに変化する。これらの反転信号は、低レベルから高レベルに変化する。第1期間TC41に続いて第2期間TC42が開始されたときに、プリチャージ電圧PCCは、高レベルに設定される。スイッチ制御信号COMは、第2期間TC42において高レベルを維持する。図8におけるスイッチ回路SWCは、第2期間TC42においてオンである。図8におけるスイッチ回路SWG1、SWG2は、第2期間TC42においてオフである。図8におけるコモン電極CBは、第2期間TC42において高レベルのプリチャージ電圧PCCが供給される。図8におけるゲート線GLnは、第2期間TC42においてフローティング状態である。したがって、第2期間TC42において、第2電圧として高レベルのプリチャージ電圧PCCが共通電極用検査回路33からコモン電極CBに供給される。
【0119】
図24における第3期間TC43が開始するときに、スイッチ制御信号TEST2は、低レベルから高レベルに変化する。これの反転信号は、高レベルから低レベルに変化する。図8におけるスイッチ回路SWT2は、第3期間TC43においてオンとなる。検査データ処理回路35は、第3期間TC43においてゲート線GLnの電圧レベルを取得する。ゲート線GLnおよびコモン電極CBのショートがない場合に、コモン電極CBに供給された高レベルのプリチャージ電圧PCCは、ゲート線GLnに影響を与えない。この場合に、ゲート線GLnの電圧は、第3期間TC43において低レベルである。ゲート線GLnおよびコモン電極CBのショートがある場合に、コモン電極CBに供給された高レベルのプリチャージ電圧PCCは、ショート抵抗を介してゲート線GLnに伝送される。この場合に、ゲート線GLnの電圧は、第3期間TC43において高レベルである。
【0120】
図26は、レジスタ回路RG11を含む検査データ処理回路34あるいはレジスタ回路RG21を含む検査データ処理回路35におけるタイミングチャートである。図12におけるレジスタ回路RG11は、図11(A)に示されたCMOSタイプのシフトレジスタSR11を構成する。図16におけるレジスタ回路RG21は、図15(A)に示されたCMOSタイプのシフトレジスタSR21を構成する。
【0121】
図12におけるレジスタ回路RG11は、ゲート線GLnの電圧レベルを示す信号GOnを取得した場合に、信号GOnがインバータ回路IN11へと入力される。インバータ回路IN11の出力により、ノードN11の電圧が高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLに設定される。例えば、信号GOnが低レベルである場合に、ノードN11の電圧が低レベルの電圧VGHに設定される。信号GOnが高レベルである場合に、ノードN11の電圧が高レベルの電圧VGLに設定される。
【0122】
伝送ゲートSG12がオンであるときに、ノードN12の電圧がノードN11と等しくなるように設定される。ノードN12の電圧はインバータ回路IN12へと入力される。インバータ回路IN12の出力は、信号GOnの電圧レベルに対応して、高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLに設定される。例えば、信号GOnが低レベルである場合に、インバータ回路IN12の出力電圧は低レベルの電圧VGLに設定される。信号GOnが高レベルである場合に、インバータ回路IN12の出力電圧は高レベルの電圧VGHに設定される。したがって、1段目のラッチ回路により、信号GOnに示されたゲート線GLnの電圧レベルが取得される。
【0123】
次に伝送ゲートSG12がオフになると、伝送ゲートSG13、SG14がオンになる。伝送ゲートSG13がオンであるときに、ノードN13の電圧がノードN12と等しくなるように設定される。伝送ゲートSG14がオンであるときに、ノードN14の電圧がノードN13と等しくなるように設定される。ノードN14の電圧はインバータ回路IN14へと入力される。インバータ回路IN14の出力電圧は、ノードN14の電圧レベルに対応して、高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLに設定される。インバータ回路IN14の出力電圧は、インバータ回路IN13へと入力される。インバータ回路IN13の出力電圧は、インバータ回路IN14の出力により、高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLに設定される。このように、2段目のラッチ回路により、1段目のラッチ回路の出力が取得される。そして、伝送ゲートSG15がオンであるときに、端子GT11の出力電圧は、ノードN14の電圧レベルと等しくなるように設定される。
【0124】
レジスタ回路RG11において、伝送ゲートSG11がオンであるときに、ノードN11の電圧は、端子GS11の入力電圧と等しくなるように設定される。伝送ゲートSG11がオンであるときに、伝送ゲートSG12もオンなので、1段目のラッチ回路により、端子GS11の電圧レベルが保持される。以後は同様に、2段目のラッチ回路により、1段目のラッチ回路の出力が取得される。伝送ゲートSG15がオンであるときに、端子GT11の出力電圧は、ノードN14の電圧レベルと等しくなるように設定される。このように、シフトレジスタSR11に含まれる複数のレジスタ回路RG11は、ゲート線GLnの電圧レベルに対応して、高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLを、前段から後段へと伝送する。シフトレジスタSR11における最後段のレジスタ回路RG11は、順次に検査データ出力GTDを判定回路13に供給することができる。
【0125】
図16におけるレジスタ回路RG21は、データ線DLnの電圧レベルを示す信号DOnを取得した場合に、信号DOnがインバータ回路IN21へと入力される。ノードN51の電圧は、信号DOnの電圧レベルと等しくなるように設定される。インバータ回路IN21、IN22の出力により、ノードN52の電圧が高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLに設定される。例えば、信号DOnが低レベルである場合に、ノードN52の電圧が低レベルの電圧VGLに設定される。信号DOnが高レベルである場合に、ノードN52の電圧が高レベルの電圧VGHに設定される。このように、ノードN52の電圧は、ノードN51の電圧に対応する。したがって、1段目のラッチ回路により、信号DOnに示されたデータ線DLnの電圧レベルが取得される。
【0126】
次に、伝送ゲートSG23、SG24がオンであるときに、ノードN53の電圧が、ノードN52の電圧と等しくなるように設定される。インバータ回路IN23、IN24の出力により、ノードN54の電圧が高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLに設定される。例えば、ノードN53の電圧が低レベルである場合に、ノードN54の電圧が低レベルの電圧VGLに設定される。ノードN53の電圧が高レベルである場合に、ノードN54の電圧が高レベルの電圧VGHに設定される。このように、ノードN54の電圧は、ノードN53の電圧に対応する。したがって、2段目のラッチ回路により、1段目のラッチ回路の出力が取得される。そして、伝送ゲートSG25がオンであるときに、端子GT11の出力電圧は、ノードN54の電圧レベルと等しくなるように設定される。
【0127】
レジスタ回路RG21において、伝送ゲートSG21がオンであるときに、ノードN51の電圧は、端子DS11の入力電圧と等しくなるように設定される。伝送ゲートSG21がオンであるときに、伝送ゲートSG22もオンなので、1段目のラッチ回路により、端子DS11の電圧レベルが保持される。以後は同様に、2段目のラッチ回路により、1段目のラッチ回路の出力が取得される。伝送ゲートSG25がオンであるときに、端子GT11の出力電圧は、ノードN54の電圧レベルと等しくなるように設定される。このように、シフトレジスタSR21に含まれる複数のレジスタ回路RG21は、データ線DLnの電圧レベルに対応して、高レベルの電圧VGHまたは低レベルの電圧VGLを、前段から後段へと伝送する。シフトレジスタSR21における最後段のレジスタ回路RG21は、順次に検査データ出力DTDを判定回路13に供給することができる。
【0128】
図27は、レジスタ回路RG12を含む検査データ処理回路34あるいはレジスタ回路RG22を含む検査データ処理回路35におけるタイミングチャートである。図13におけるレジスタ回路RG12は、図11(B)に示されたPMOSタイプのシフトレジスタSR12を構成する。図17におけるレジスタ回路RG22は、図15(B)に示されたPMOSタイプのシフトレジスタSR22を構成する。
【0129】
図13におけるレジスタ回路RG12は、ゲート線GLnの電圧レベルを示す信号GOnを取得した場合に、その電圧レベルを保持容量C21により保持する。端子GS21の入力電圧が低レベルであるときに、ノードN21の電圧は、低レベルの電圧VGLからPMOSトランジスタのしきい値電圧を差し引いた電圧に設定される。これにより、端子GT22の電圧は、高レベルのクロック信号GCLKと等しくなるように設定される。ノードN22の電圧が高レベルであるときに、PMOSトランジスタTR21はオフなので、ノードN21に対する高レベルの電圧VGHの供給は遮断される。端子GT21の出力電圧が高レベルであるとき、保持容量C21は、検査データ出力GTDから遮断される。このとき、保持容量C21の電圧レベルに対応する検査データ出力GTDは、判定回路13に供給されない。
【0130】
続いて、端子GS21の入力電圧が低レベルから高レベルに変化したときに、クロック信号GCLKは高レベルから低レベルに変化する。ノードN21の電圧は、ブートストラップ効果により、高レベルの電圧VGHから低レベルの電圧VGLを差し引いた分だけ、さらに降下する。低レベルのクロック信号GLCKは、電圧の上昇がなく、端子GT22へと供給される。保持容量C21は、検査データ出力GTDと導通する。このとき、保持容量C21の電圧レベルに対応する検査データ出力GTDは、判定回路13に供給される。
【0131】
端子GT22は、後段のレジスタ回路RG12における端子GS21に接続されている。1段目のレジスタ回路RG12は、端子GS21に出力開始信号GSTが入力される。出力開始信号GSTが高レベルから低レベルに変化した後に、この出力開始信号GSTが低レベルから高レベルに変化したときに、1段目のレジスタ回路RG12から検査データ出力GTDが供給される。また、出力開始信号GSTは、1段目のレジスタ回路RG12から2段目のレジスタ回路RG12へと伝送される。以後は同様に、2段目のレジスタ回路RG12からデータ信号出力GTDが供給される。このように、シフトレジスタSR12に含まれる複数のレジスタ回路RG12は、前段から後段へと伝送される出力開始信号GSTに対応して、順次に検査データ出力GTDを判定回路13に供給することができる。
【0132】
図17におけるレジスタ回路RG22は、データ線DLnの電圧レベルを示す信号DOnを取得した場合に、その電圧レベルを保持容量C41により保持する。端子DS21の入力電圧が低レベルであるときに、ノードN61の電圧は、低レベルの電圧VGLからPMOSトランジスタのしきい値電圧を差し引いた電圧に設定される。これにより、端子DT22の電圧は、高レベルのクロック信号GCLKと等しくなるように設定される。ノードN62の電圧が高レベルであるときに、PMOSトランジスタTR41はオフなので、ノードN61に対する電圧VGHの供給は遮断される。端子DT21の出力電圧が高レベルであるときに、保持容量C41は、検査データ出力DTDから遮断される。このとき、保持容量C41の電圧レベルに対応する検査データ出力DTDは、判定回路13に供給されない。
【0133】
続いて、端子DT21の入力電圧が低レベルから高レベルに変化したときに、クロック信号DCLKは高レベルから低レベルに変化する。ノードN61の電圧は、ブートストラップ効果により、高レベルの電圧から低レベルの電圧を差し引いた分だけ、さらに降下する。低レベルのクロック信号DCLKは、電圧の上昇がなく、端子DT22へと供給される。保持容量C41は、検査データ出力DTDと導通する。このとき、保持容量C41の電圧レベルに対応する検査データ出力DTDは、判定回路13に供給される。
【0134】
端子DT22は、後段のレジスタ回路RG22における端子DS21に接続されている。1段目のレジスタ回路RG22は、端子DS21に出力開始信号DSTが入力される。出力開始信号DSTが高レベルから低レベルに変化した後に、この出力開始信号DSTが低レベルから高レベルに変化したときに、1段目のレジスタ回路RG22から検査データ出力DTDが供給される。また、出力開始信号DSTは、1段目のレジスタ回路RG22から2段目のレジスタ回路RG22へと伝送される。以後は同様に、2段目のレジスタ回路RG22から検査データ出力DTDが供給される。このように、シフトレジスタRG22に含まれる複数のレジスタ回路RG22は、前段から後段へと伝送される出力開始信号DSTに対応して、順次に検査データ出力DTDを判定回路13に供給することができる。
【0135】
図28は、レジスタ回路RG13を含む検査データ処理回路34あるいはレジスタ回路RG23を含む検査データ処理回路35におけるタイミングチャートである。図14におけるレジスタ回路RG12は、図11(B)に示されたNMOSタイプのシフトレジスタSR12を構成する。図18におけるレジスタ回路RG22は、図15(B)に示されたNMOSタイプのシフトレジスタSR22を構成する。
【0136】
図14におけるレジスタ回路RG12は、ゲート線GLnの電圧レベルを示す信号GOnを取得した場合に、その電圧レベルを保持容量C31により保持する。端子GS31の入力電圧が高レベルであるときに、ノードN31の電圧は、高レベルの電圧VGHからNMOSトランジスタのしきい値電圧を差し引いた電圧に設定される。これにより、端子GT32の電圧は、低レベルのクロック信号GCLKと等しくなるように設定される。ノードN32の電圧が低レベルであるときに、NMOSトランジスタTR32はオフなので、ノードN31に対する低レベルの電圧VGHの供給は遮断される。端子GT31の出力電圧が低レベルであるとき、保持容量C31は、データ信号出力GTDから遮断される。このとき、保持容量C31に対応するデータ信号出力GTDは、判定回路13に供給されない。
【0137】
続いて、端子GS31の入力電圧が低レベルから高レベルに変化したときに、クロック信号GCLKは低レベルから高レベルに変化する。ノードN31の電圧は、ブートストラップ効果により、高レベルの電圧VGHから低レベルの電圧VGLを差し引いた分だけ、さらに上昇する。高レベルのクロック信号GCLKは、電圧の降下がなく、端子GT32へと供給される。保持容量C31は、データ信号出力GTDと導通する。このとき、保持容量C31の電圧レベルに対応するデータ信号出力GTDは、判定回路13に供給される。
【0138】
端子GT32は、後段のレジスタ回路RG12における端子GS31に接続されている。1段目のレジスタ回路RG12は、端子GS31に出力開始信号GSTが入力される。出力開始信号GSTが低レベルから高レベルに変化した後に、この出力開始信号GSTが高レベルから低レベルに変化したときに、1段目のレジスタ回路RG12からデータ信号出力GTDが供給される。また、出力開始信号GSTは、1段目のレジスタ回路RG12から2段目のレジスタ回路RG12へと伝送される。以後は同様に、2段目のレジスタ回路RG12からデータ信号出力GTDが供給される。このように、シフトレジスタSR12に含まれる複数のレジスタ回路RG12は、前段から後段へと伝送される出力開始信号GSTに対応して、順次にデータ信号出力GTDを判定回路13に供給することができる。
【0139】
図18におけるレジスタ回路RG22は、データ線DLnの電圧レベルを示す信号DOnを取得した場合に、その電圧レベルを保持容量C51により保持する。端子DS31の入力電圧が低レベルであるときに、ノードN71の電圧は、高レベルの電圧VGHからNMOSトランジスタのしきい値電圧を差し引いた電圧に設定される。これにより、端子DT32の電圧は、低レベルのクロック信号DCLKと等しくなるように設定される。ノードN72の電圧が低レベルであるときに、NMOSトランジスタTR52はオフなので、ノードN71に対する低レベルの電圧VGHの供給は遮断される。端子DT31の出力電圧が低レベルであるとき、保持容量C51は、データ信号出力DTDから遮断される。このとき、保持容量C51に対応するデータ信号出力DTDは、判定回路13に供給されない。
【0140】
続いて、端子DS31の入力電圧が低レベルから高レベルに変化したときに、クロック信号DCLKは低レベルから高レベルに変化する。ノードN71の電圧は、ブートストラップ効果により、高レベルの電圧VGHから低レベルの電圧VGLを差し引いた分だけ、さらに上昇する。高レベルのクロック信号DCLKは、電圧の降下がなく、端子DT32へと供給される。保持容量C51は、データ信号出力DTDと導通する。このとき、保持容量C51の電圧レベルに対応するデータ信号出力DTDは、判定回路13に供給される。
【0141】
端子DT32は、後段のレジスタ回路RG22における端子DS31に接続されている。1段目のレジスタ回路RG22は、端子DS31に出力開始信号DSTが入力される。出力開始信号DSTが低レベルから高レベルに変化した後に、この出力開始信号DSTが高レベルから低レベルに変化したときに、1段目のレジスタ回路RG22からデータ信号出力DTDが供給される。また、出力開始信号DSTは、1段目のレジスタ回路RG22から2段目のレジスタ回路RG22へと伝送される。以後は同様に、2段目のレジスタ回路RG22からデータ信号出力DTDが供給される。このように、シフトレジスタRG22に含まれる複数のレジスタ回路RG22は、前段から後段へと伝送される出力開始信号DSTに対応して、順次にデータ信号出力DTDを判定回路13に供給することができる。
【0142】
判定回路13は、デジタルデータとしての検査データ出力GTD、DTDを用いて、配線の異常を検出することができる。アナログ回路としてのコンパレータが不要なので、配線や回路の規模を縮小することができる。検査データ処理回路34、35は、デジタル論理回路としてのシフトレジスタを用いるので、回路規模の縮小とあわせて、安定した検査を可能にする。
【0143】
以上本開示の実施の形態を説明したが、本開示は実施の形態に限定されるものではない。本発明に係る検査回路は、複数の配線および電極を有する任意の表示装置に適用可能である。
【0144】
表示装置100の検査回路は、一部または全部が基板11の外部に設けられてもよい。表示装置101の検査回路は、一部または全部が基板15の外部に設けられてもよい。例えば、プリチャージ回路31A、31B、32A、32Bおよび検査データ処理回路34、35の一部または全部は、表示装置100に外付け可能であってもよい。あるいは、プリチャージ回路31A、31B、32A、32Bおよび検査データ処理回路34、35の一部または全部は、ドライバIC12に含まれてもよい。
【0145】
ゲート線GLおよびデータ線DLのショートは、データ線DLに高レベルの電圧を供給し、フローティング状態としたゲート線GLの電圧レベルを取得することによって検査することもできる。ゲート線GLおよびデータ線DLの切断は、低レベルの電圧を両側から供給した後に、高レベルの電圧を入力端側から供給して、ゲート線GLおよびデータ線DLの電圧レベルを取得することによって検査することもできる。
【0146】
本願発明における表示装置の検査回路は、第1期間において、画素部に接続された配線および電極の一方または両方に第1電圧を供給する。また、第1期間に続く第2期間において、配線および電極の一方に第2電圧を供給する。このような第2電圧の供給にもとづく配線の電圧レベルに対応して、異常の発生を検出可能である。これにより、回路規模や検査コストの増大を防止しつつ、安定して多様な検査が可能になる。
【0147】
第1期間における第1電圧は、検査対象となる複数の配線における電圧レベルを初期化または初期設定するための初期電圧を含む。第2期間における第2電圧は、検査対象となる複数の配線における電圧レベルを異常の有無に対応して異ならせるための検査電圧となる。これらの初期電圧および検査電圧は、供給対象となる複数の配線または電極に対して、同一期間に一括して供給される。そして、検査対象となる複数の配線における電圧レベルは、同一期間に一括して取得される。電圧レベルの取得結果に対応する検査データは、パラレルデータをシリアルデータに変換して出力される。これにより、検査の時間調整が容易になり、簡単な構成で安定した検査が可能になる。
【符号の説明】
【0148】
11、15 基板
12 ドライバIC
13 判定回路
21 画素アレイ
22、22A、22B 走査回路
23 デマルチプレクサ
31A、31B、32A、32B プリチャージ回路
33 共通電極用検査回路
34、35、35A、35B 検査データ処理回路
100、101 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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