(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152582
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】クラウドコンピューティングを用いた宿泊施設向け客室精算機
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20231010BHJP
【FI】
G06Q50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022070409
(22)【出願日】2022-04-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522054949
【氏名又は名称】色摩 法浩
(72)【発明者】
【氏名】色摩 法浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】宿泊施設における客室精算機の設備導入費の低廉化と業務の省力化を図るため、クラウドコンピューティングを利用した宿泊施設向け客室精算機を提供する。
【解決手段】クラウドコンピューティングを利用した宿泊施設向け客室精算機は、宿泊施設の客室内に設置され、宿泊施設を利用する宿泊客1が操作して宿泊料金の精算処理を行うと、RS232C WiーFi変換モジュールによる通信を行い、決済のデータをクラウドサーバーに送信することで、クラウドサーバーと決済のデータを同期する。クラウドサーバーは、同期されたデータを、リアルタイムに宿泊施設の従業員2が持つスマートフォン・タブレットにプッシュ通知で送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パブリッククラウド上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境・ストレージ・データベースを含むクラウドサーバー、及び、通信可能なスマートフォン・タブレットで実行されるスマートフォン・タブレット用アプリ、を含む宿泊施設向け客室精算機であって、スマートフォン・タブレット用アプリは、アカウントに基づいてクラウドサーバーに認証を行い、ユーザをログインさせるログイン処理と、クラウドサーバー上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境を用いた宿泊客の宿泊料金の自動計算処理と、各種処理を行なった際にアカウントに基づいて、同一アカウントにログインした複数のパソコン・スマートフォン・タブレットにプッシュ通知を送信する処理と、宿泊施設の宿泊客が精算処理を行なった際にアカウントに基づいて、同一アカウントにログインした複数のパソコン・スマートフォン・タブレットにクラウドサーバー上のデータを同期する処理と、Voice over Internet Protocol規格を用いて宿泊施設の従業員と通話する機能と、Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate(BR/EDR)とBluetooth Low Energy(LE)規格を用いてドア開閉センサーと通信を行い権限の無い者が扉を開けた場合は従業員が持ち歩くスマートフォン・タブレットにリアルタイムのプッシュ通知で通知を行い、客室精算機はアラーム音を発出する機能と、客室精算機の入出金の金種をリアルタイムにクラウドサーバーに送信して、各金種が過小過ぎたり、過大すぎたりした場合は集金が必要だと宿泊施設の管理者が持ち歩くスマートフォン・タブレットにリアルタイムのプッシュ通知で通知を送る処理と、精算機の各種処理はスマートフォン・タブレットにインストールされたアプリで実行されることによって、従来の客室精算機とは異なり操作を行うためのボタン、音を出すスピーカー、各金種を返却するためのレバー等の部品を削減することができる効果と、客室精算機の中に搭載された紙幣識別装置(ビルバリ)と硬貨選別機(コインメック)のRS232C規格もしくはRS485規格をIEEE802.11規格(Wi-Fi規格)に変換してスマートフォン・タブレットにインストールされたアプリと通信を行うことによって、客室精算機の部品点数の削減とスマートフォン・ダブレットにインストールするアプリによって機能を拡張する効果と、を備えた宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項2】
アカウントには、クラウドサーバーに構成されたIdentity and Access Managementを用いたクラウドサーバーへのアクセス権限の制御が可能となる。リソースごとに、ユーザーごとに、さまざまなアクセス権限を設定できる。不正なユーザーが客室精算機を操作することを防ぐことができ、同一アカウントにログインした複数のタブレット・スマートフォン毎にデバイストークンが発行され、許可を受けていない不正な端末からのクラウドサーバーへのアクセスを拒否することが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項3】
クラウドサーバーには、クラウドサーバー上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境であるFaaS(Function as a Service)を用いた宿泊客の宿泊料金の自動計算処理が可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項4】
同一アカウントにログインした複数のタブレット・スマートフォンにプッシュ通知を送信する処理には、宿泊施設の利用客が客室精算機を用いて精算して完了操作を行なった際に、IEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を用い、クラウドサーバー上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境であるFaaS(Function as a Service)を用いて、プッシュ通知を生成して、同一アカウントにログインした宿泊施設の従業員が持ち歩く複数のタブレット・スマートフォンに即時に精算操作の結果を同期・通知することが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項5】
宿泊施設の宿泊客が精算処理を行なった際にアカウントに基づいて、クラウドサーバーにIEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を用い客室精算機の精算データを送信して、同一アカウントにログインした複数のパソコン・スマートフォン・タブレットにクラウドサーバー上のデータを同期する処理を行うことが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項6】
客室精算機に備え付けられたタブレットにインストールされたアプリを用い、Voice over Internet Protocol規格に準拠した通信を宿泊施設の従業員が持ち歩くタブレット・スマートフォンと通話することが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項7】
Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate(BR/EDR)とBluetooth Low Energy(LE)規格を用いてドア開閉センサーと通信を行い、権限の無い者が扉を開けた場合は従業員が持ち歩くスマートフォン・タブレットにリアルタイムのプッシュ通知で通知を行い、客室精算機はアラーム音を発出することが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項8】
客室精算機の入出金の金種をリアルタイムにIEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を行いクラウドサーバーに送信して、各金種が過小過ぎたり、過大すぎたりした場合は集金が必要だと宿泊施設の管理者が持ち歩くスマートフォン・タブレットにリアルタイムのプッシュ通知で通知を送ることが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項9】
客室精算機の各種処理はスマートフォン・タブレットにインストールされたアプリで実行されることによって、従来の客室精算機とは異なり操作を行うためのボタン、音を出すスピーカー、各金種を返却するためのレバー等の部品を削減することが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【請求項10】
客室精算機の中に搭載された紙幣識別装置(ビルバリ)と硬貨選別機(コインメック)のRS232C規格もしくはRS485規格をIEEE802.11規格(Wi-Fi規格)に変換してスマートフォン・タブレットにインストールされたアプリと通信を行うことによって、客室精算機の部品点数の削減とスマートフォン・ダブレットにインストールするアプリによって機能を拡張することが可能となる請求項1に記載された宿泊施設向け客室精算機である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宿泊施設の客室内において、現金の入出金を行い精算することができるクラウドコンピューティング技術を使用した客室精算機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の社会では、スマートフォン普及率が90%に迫るなど広く活用されている。またユビキタス社会の実現のためにクラウドコンピューティングの技術が発展し、従来のオンプレミス環境のサーバー技術に取って代わろうとしている。宿泊業界においてもデジタルネイティブな環境への移行が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の宿泊施設の客室精算機では、高額なオンプレミスのサーバーを設置する必要があり、また宿泊施設内にホストとなるパソコンを配置して、パソコンのハードディスク内に宿泊者のデータを格納していた。そのため、サーバーやパソコンのハードウェアが故障すると高額な修理費が発生していた。客室精算機の内部にも音を出すためのスピーカー、操作を行うためのボタンやレバーなど部品点数が多く、客室精算機の部品代が高額であった。
【0004】
従来の宿泊施設の客室精算機では、日本銀行が発行する各金種を認識して入出金する紙幣識別機と、日本銀行が発行する各硬貨を認識して入出金する硬貨選別機との通信において、RS232C規格を用いた有線接続が必須であり、設置するにも宿泊施設の従業員がいるフロントと各客室を有線で配線しなければならず、初期工事費が高額になる状況となっていた。本発明は、社会で一般的に使用されているスマートフォン・タブレットを用いて簡便に宿泊施設の客室精算機を導入・管理を行うことができるようになるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、パブリッククラウド上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境・ストレージ・データベースを含むクラウドサーバーと通信して、通信可能なタブレット・スマートフォンで実行されるタブレット・スマートフォン用アプリから宿泊施設の客室内で宿泊客が会計・精算操作を行うことを可能とする。
【0006】
第2の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、アカウントに基づいて、クラウドサーバーに構成されたIdentity and Access Managementを用いたクラウドサーバーへのアクセス権限の制御が可能となる。リソースごとに、ユーザーごとに、さまざまなアクセス権限を設定できる。不正なユーザーが客室精算機を操作することを防ぐことができ、同一アカウントにログインした複数のタブレット・スマートフォン毎にデバイストークンが発行され、許可を受けていない不正な端末からのクラウドサーバーへのアクセスを拒否することを可能とする。
【0007】
第3の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、クラウドサーバーには、クラウドサーバー上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境であるFaaS(Function as a Service)を用いた宿泊客の宿泊料金の自動計算処理を可能とする。
【0008】
第4の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、同一アカウントにログインした複数のタブレット・スマートフォンにプッシュ通知を送信する処理には、宿泊施設の利用客が客室精算機を用いて精算して完了操作を行なった際に、IEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を用い、クラウドサーバー上に構成されたサーバーレスのプログラム実行環境であるFaaS(Function as a Service)を用いて、プッシュ通知を生成して、同一アカウントにログインした宿泊施設の従業員が持ち歩く複数のタブレット・スマートフォンに即時に精算操作の結果を同期・通知することが可能とする。
【0009】
第5の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、宿泊施設の宿泊客が精算処理を行なった際にアカウントに基づいて、クラウドサーバーにIEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を用い精算データを送信して、同一アカウントにログインした複数のパソコン・スマートフォン・タブレットにクラウドサーバー上のデータを同期する処理を行うことを可能とする。
【0010】
第6の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、客室精算機に備え付けられたタブレットにインストールされたアプリを用い、Voice over Internet Protocol規格に準拠した通信を宿泊施設の従業員が持ち歩くタブレット・スマートフォンと通話することを可能とする。
【0011】
第7の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate(BR/EDR)とBluetooth Low Energy(LE)規格を用いてドア開閉センサーと通信を行い、権限の無い者が扉を開けた場合は従業員が持ち歩くスマートフォン・タブレットにリアルタイムのプッシュ通知で通知を行い、客室精算機はアラーム音を発出することを可能とする。
【0012】
第8の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、入出金の金種をリアルタイムにIEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を行いクラウドサーバーに送信して、各金種が過小過ぎたり、過大すぎたりした場合は集金が必要だと宿泊施設の管理者が持ち歩くスマートフォン・タブレットにリアルタイムのプッシュ通知で通知を送ることを可能とする。
【0013】
第9の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、各種処理はスマートフォン・タブレットにインストールされたアプリで実行されることによって、従来の客室精算機とは異なり操作を行うためのボタン、音を出すスピーカー、各金種を返却するためのレバー等の部品を削減することを可能とする。
【0014】
第10の構成に係る宿泊施設向け客室精算機は、客室精算機の中に搭載された紙幣識別装置(ビルバリ)のRS232C規格もしくはRS485規格をIEEE802.11規格(Wi-Fi規格)に変換してスマートフォン・タブレットにインストールされたアプリと通信を行うことによって、客室精算機の部品点数の削減とスマートフォン・ダブレットにインストールするアプリによって機能を拡張することを可能とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の宿泊施設向け客室精算機は、サーバー等の機器の設備投資費の大幅な圧縮を実現する。またサーバーの老朽化による故障が発生しない。IEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いて各機器は通信するので、配線工事が不要となる。更に従来の技術とは異なり、世界中のどこからでも客室精算機を管理することが可能となる。宿泊客が客室精算機を操作する際は、タブレット上の画面で操作を行うことから、客室精算機の操作のボタン、レバーなどの部品点数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を実施するための形態に係る宿泊施設向け客室精算機の構成を示す図(実施例1)
【
図2】宿泊施設向け客室精算機のタブレット・スマートフォンにインストールされたアプリの動作方法を示した説明図である。(実施例1)
【0017】
本発明は、宿泊施設の客室内において、現金の入出金を行い精算することができるクラウドコンピューティング技術を使用した客室精算機に関する。
【実施例0018】
図1は、本発明を実施するための形態に係る宿泊施設向け客室精算機の構成を示す図である。客室精算機は日本銀行が発行する各金種を認識して入出金する紙幣識別機と、日本銀行が発行する各硬貨を認識して入出金する硬貨選別機と、RS232C規格もしくはRS485規格をIEEE802.11規格(Wi-Fi規格)に変換して客室精算機のタブレットにインストールされたアプリと通信できるようにするRS232C Wi-Fi変換モジュールで構成されている。宿泊施設の客室内に設置された客室精算機を、宿泊施設を利用する宿泊客1が操作して宿泊料金の精算処理を行うと、決済のデータがIEEE802規格またはMobile Communication System規格を用いた通信を行なって、クラウドサーバーに送信されて、決済のデータが同期される。クラウドサーバーで同期されたデータを、リアルタイムに宿泊施設の従業員2が持つスマートフォン・タブレットにプッシュ通知で送信することできる。宿泊施設の従業員2は、宿泊施設内のどの場所にいても、宿泊客の精算の状況を知ることができるようになる。
【0019】
図2は、本発明を実施するための形態に係る宿泊施設向け客室精算機を操作する、客室精算機のタブレットにインストールされたアプリの画面を示している。会計画面aでは、宿泊施設の宿泊客は会計ボタン3を押すと宿泊料金の精算処理を開始することができ、会計画面bに遷移して、宿泊料金のテキストフィールド5が自動表示される。宿泊施設の宿泊客が、客室精算機に紙幣と硬貨を入金すると、入金額のテキストフィールド6の表示金額が自動で変わり、宿泊料金を満たす入金額となった時、精算ボタン7を押すことができるようになる。精算ボタン7を押すと、会計画面cに遷移して、お釣りのテキストフィールド9が表示され、客室精算機からお釣りの紙幣と硬貨が出金されて宿泊客が受け取ることができる。