(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001526
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】供給装置およびそれを含む成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 31/08 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B29C31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102310
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(74)【代理人】
【識別番号】100217892
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 真吾
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AC03
4F201BA03
4F201BC02
4F201BC12
4F201BC17
4F201BC21
4F201BD05
4F201BK13
4F201BM01
4F201BM06
4F201BQ08
4F201BQ10
4F201BQ11
4F201BQ16
4F201BQ17
4F201BQ35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形生地の予熱時間が短く、ポット内での成形生地の温度が均一化することで成形型への注入速度が均一化して成形不良が低減し、高硬度・高粘度の成形生地を用いることが可能であり、温調性能向上による成形生地の可塑化推進によって生産性が向上する成形機の提供。
【解決手段】成形生地10を収納するポット31およびノズル33が設けられている分配型3と、上下動可能に設けられ下降時にポット内に嵌合するプランジャ5と、ポット内に成形生地を供給するための供給装置7と、ポット内から成形生地を受け入れる成形型9とを有する成形機1であって、供給装置はバレル71と、バレル内に成形生地を装入する装入機構73と、バレル内の回転スクリュー75と、バレルおよび回転スクリューの温度を調整する温度調整機構77とを有し、成形生地を回転スクリューの駆動によって押出して、可塑化され、温度調整された成形生地をポット内へ排出する、成形機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形生地を収納するポットおよび前記ポット内に収納した前記成形生地を排出するための流路であるノズルが設けられている分配型と、
上下動可能に設けられ、下降時に前記ポット内に嵌合するプランジャと、
前記ポット内に前記成形生地を供給するための供給装置と、
前記ポット内から前記ノズルを経由して排出された前記成形生地を受け入れる成形型と、
を有し、前記供給装置によって前記ポット内に供給された前記成形生地が前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断される成形機であって、
前記供給装置は、
バレルと、
前記バレル内に前記成形生地を装入する装入機構と、
前記バレル内において回転駆動する回転スクリューと、
前記バレルおよび前記回転スクリューの温度を調整する温度調整機構と、
を有し、前記バレル内に装入された前記成形生地を前記回転スクリューの駆動によって押出すことで、可塑化され、温度調整された前記成形生地を前記ポット内へ排出する、成形機。
【請求項2】
成形生地を収納するポットおよび前記ポット内に収納した前記成形生地を排出するための流路であるノズルが設けられている分配型と、
上下動可能に設けられ、下降時に前記ポット内に嵌合するプランジャと、
前記ポット内から前記ノズルを経由して排出された前記成形生地を受け入れる成形型と、
を有し、前記ポット内に供給された前記成形生地が前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断される成形機における前記ポット内へ、前記成形生地を供給する供給装置であって、
バレルと、
前記バレル内に前記成形生地を装入する装入機構と、
前記バレル内において回転駆動する回転スクリューと、
前記バレルおよび前記回転スクリューの温度を調整する温度調整機構と、
を有し、前記バレル内に装入された前記成形生地を前記回転スクリューの駆動によって押出すことで、可塑化され、温度調整された前記成形生地を前記ポット内へ排出する、供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は供給装置およびそれを含む成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機として、従来、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
特許文献1には、成形生地を収納するポットおよびポット内に収納した成形生地の成形時における通路となるノズルが設けられている分配型と、上下動可能に設けられるとともに、下降時に前記ポット内に嵌合し得るプランジャと、前記ポット内に成形生地を供給する供給装置と、前記分配型に密着した状態で設けられる断熱盤と、この断熱盤に接離可能に設けられる熱盤と、この熱盤に接離可能に設けられる成形型とを具え、前記供給装置により前記ポット内に供給された成形生地は、前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断されるとともに、このときのプランジャの下降によって前記熱盤が断熱盤に、前記成形型が前記熱盤に接触し、この状態で前記ノルズを介して前記成形型内に成形生地が充填されることを特徴とする成形機が記載されている。
【0003】
特許文献1に代表される従来の成形機では、前工程でリール状に巻き取り準備した帯状の成形生地を必要量だけ巻き出して送ることでポット上部に差し込み投入し、プランジャを下降させることでプランジャとポットとを嵌合させて帯状の成形生地を剪断し、ポット内に所望量の成形生地を供給していた。そして、剪断されてポット内に供給された成形生地は、成形型への注入時における成形生地の流動性を向上させ、また粘度を小さくすることで必要注入力を低減するためにポット内で昇温される。所定の温度に温調したポットとプランジャを成形生地に接触させることで、成形生地を昇温することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に代表される従来の成形機では、ポット内へ成形生地を供給した後、ポットおよびプランジャからの加熱によって昇温するため、ポット内における成形生地の温度分布にバラツキが生じ、その結果、ゴム材料の成形型への注入速度が一定になり難い場合があった。また、成形生地の昇温に長時間を要する傾向があった。また、粘度や硬度が高いために成形型への注入の際に大きな注入力が必要となる材料を用いる場合、設備出力(油圧仕様、設備寸法等)が拡大することで注入成形方式の適用が難しくなる場合があった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、成形生地(ゴム材料等)の予熱時間が短く、また、ポット内における成形生地の温度が均一化するために成形型への注入速度が一定となり、その結果、成形不良が低減し、さらに、高硬度・高粘度の成形生地を用いることが可能であり、温調性能向上による成形生地の可塑化推進によって、注入速度すなわち注入量が増加することによる成形数量の増加、成形品目の適用範囲の拡大による生産性向上が期待できる成形機およびそれに用いる供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の(1)~(2)である。
(1)成形生地を収納するポットおよび前記ポット内に収納した前記成形生地を排出するための流路であるノズルが設けられている分配型と、
上下動可能に設けられ、下降時に前記ポット内に嵌合するプランジャと、
前記ポット内に前記成形生地を供給するための供給装置と、
前記ポット内から前記ノズルを経由して排出された前記成形生地を受け入れる成形型と、
を有し、前記供給装置によって前記ポット内に供給された前記成形生地が前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断される成形機であって、
前記供給装置は、
バレルと、
前記バレル内に前記成形生地を装入する装入機構と、
前記バレル内において回転駆動する回転スクリューと、
前記バレルおよび前記回転スクリューの温度を調整する温度調整機構と、
を有し、前記バレル内に装入された前記成形生地を前記回転スクリューの駆動によって押出すことで、可塑化され、温度調整された前記成形生地を前記ポット内へ排出する、成形機。
(2)成形生地を収納するポットおよび前記ポット内に収納した前記成形生地を排出するための流路であるノズルが設けられている分配型と、
上下動可能に設けられ、下降時に前記ポット内に嵌合するプランジャと、
前記ポット内から前記ノズルを経由して排出された前記成形生地を受け入れる成形型と、
を有し、前記ポット内に供給された前記成形生地が前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断される成形機における前記ポット内へ、前記成形生地を供給する供給装置であって、
バレルと、
前記バレル内に前記成形生地を装入する装入機構と、
前記バレル内において回転駆動する回転スクリューと、
前記バレルおよび前記回転スクリューの温度を調整する温度調整機構と、
を有し、前記バレル内に装入された前記成形生地を前記回転スクリューの駆動によって押出すことで、可塑化され、温度調整された前記成形生地を前記ポット内へ排出する、供給装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、成形生地(ゴム材料等)の予熱時間が短く、また、ポット内における成形生地の温度が均一化するために成形型への注入速度が一定となり、その結果、成形不良が低減し、さらに、高硬度・高粘度の成形生地を用いることが可能であり、温調性能向上による成形生地の可塑化推進によって、注入速度すなわち注入量が増加することによる成形数量の増加、成形品目の適用範囲の拡大による生産性向上が期待できる成形機およびそれに用いる供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について説明する。
本発明は、成形生地を収納するポットおよび前記ポット内に収納した前記成形生地を排出するための流路であるノズルが設けられている分配型と、上下動可能に設けられ、下降時に前記ポット内に嵌合するプランジャと、前記ポット内に前記成形生地を供給するための供給装置と、前記ポット内から前記ノズルを経由して排出された前記成形生地を受け入れる成形型と、を有し、前記供給装置によって前記ポット内に供給された前記成形生地が前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断される成形機であって、前記供給装置は、バレルと、前記バレル内に前記成形生地を装入する装入機構と、前記バレル内において回転駆動する回転スクリューと、前記バレルおよび前記回転スクリューの温度を調整する温度調整機構と、を有し、前記バレル内に装入された前記成形生地を前記回転スクリューの駆動によって押出すことで、可塑化され、温度調整された前記成形生地を前記ポット内へ排出する、成形機である。
このような成形機を、以下では「本発明の成形機」ともいう。
【0011】
また、本発明は、成形生地を収納するポットおよび前記ポット内に収納した前記成形生地を排出するための流路であるノズルが設けられている分配型と、上下動可能に設けられ、下降時に前記ポット内に嵌合するプランジャと、前記ポット内から前記ノズルを経由して排出された前記成形生地を受け入れる成形型と、を有し、前記ポット内に供給された前記成形生地が前記プランジャの前記ポット内への嵌合によって所望の大きさに切断される成形機における前記ポット内へ、前記成形生地を供給する供給装置であって、バレルと、前記バレル内に前記成形生地を装入する装入機構と、前記バレル内において回転駆動する回転スクリューと、前記バレルおよび前記回転スクリューの温度を調整する温度調整機構と、を有し、前記バレル内に装入された前記成形生地を前記回転スクリューの駆動によって押出すことで、可塑化され、温度調整された前記成形生地を前記ポット内へ排出する、供給装置である。
このような供給装置を、以下では「本発明の供給装置」ともいう。
【0012】
本発明の成形機は、本発明の供給装置を含む。つまり、本発明の供給装置は、本発明の成形機の一部を構成する。
【0013】
本発明の成形機および本発明の供給装置を、図を用いて説明する。
図1は、本発明の供給装置を含む本発明の成形機の概略断面図である。
図1において本発明の成形機1は、分配型3と、プランジャ5と、本発明の供給装置7と、成形型9とを有する。
【0014】
分配型3には、成形生地を収納するポット31と、ポット31内に収納した成形生地10を排出するための流路であるノズル33が設けられている。
【0015】
ここで分配型3の上面側にポット31が設けられ、下面側にノズル33が設けられている。ノズル33は一端がポット31内の底面と連通し、他端がポット31の下面から下方へ突出した状態で開口している。
ノズル33は複数、配置されていてもよい。
なお、成形生地10については後述する。
【0016】
分配型3の内部には、温油を循環させるための流路(不図示)が形成されていて、この流路に所望の温度の温油を循環させることで分配器3におけるポット31の内面の温度(さらに好ましくはノズル33の内面の温度についても)を調整できるように構成されていることが好ましい。これによってポット31内に収容された成形生地10を加熱することができる。
【0017】
また、プランジャ5の内部には下面側から他端面まで貫通する孔が形成されていて、この孔を介してポット31内を負圧状態または正圧状態に調整できる機構を有することが好ましい。プランジャ5が下降してポット31内に嵌合したとき、プランジャ5の下面とポット31の内面とによって形成される密閉空間をこのような機構によって負圧状態にすると、成形生地10の空気の含有量(巻き込み量)を減らすことができ、また、逆に正圧状態にすると、プランジャ5の下面への成形生地10の付着を抑制することができる。
【0018】
ポット31を構成する内面に、プランジャ5が嵌合したときにプランジャ5とポット31との間をシールするシール部材(不図示)が設置されていることが好ましい。
【0019】
分配型3は、鉛直方向に立てられた支柱(不図示)に沿って移動可能なガイド(不図示)に支持されていて、このガイドがスプリングの付勢力によって支えられていることが好ましい。このような構成の場合、プランジャ5が下降してポット31内に嵌合したとき、分配型3はスプリングの付勢力に対抗してプランジャ5の下降に追随してガイドと共に下方へ移動する。
【0020】
また、分配型3の下面に密着した状態で断熱盤85が設けられ、加えて、断熱盤85の下面に接離可能に熱盤87が設けられていることが好ましい。断熱盤85は分配型3と熱盤87との間を断熱する役割を果たし、熱盤87は成形型9を加熱する役割を果たす。
【0021】
プランジャ5は、上下動可能に設けられ、下降時にポット31内に嵌合する。例えば基台上に鉛直方向に立てられた支柱に沿うように上下動可能にガイドが取り付けられ、このガイドにプランジャ5が取り付けられている態様が挙げられる。この場合、ガイドとプランジャ5は一体に上下動し、プランジャ5が下降したときにポット31内へ正確に嵌合させることができる。
【0022】
また、プランジャ5が下降してポット31内への嵌合することによって、後述する本発明の供給装置7からポット31内に供給された成形生地10を所望の大きさに切断することができる。
【0023】
成形型9は、ポット31内からノズル33を経由して排出された成形生地10を受け入れる。プランジャ5を下降することでポット31内の成形生地10がノズル33を経由して成形型9へ排出される。
【0024】
図1に例示される成形型9は上型91と下型93とからなり、嵌合したときにこれらの間にキャビティ95が形成される。ポット31内からノズル33を経由して排出された成形生地10はキャビティ95内に充填され、原則としてキャビティ95と同一形状の成形体が成形される。
本発明においてキャビティ95の形状等は特に限定されず、それを含む成形型9の態様についても特に限定されない。
成形型9では、例えば加硫成形を行うことができる。
【0025】
上型91は分配型3がガイドを介して支持されている支柱の基部に取り付けられていることが好ましい。この場合、分配型3、断熱盤85および熱盤87がプランジャ5によって押圧されて一体となって下方へ移動することにより、熱盤87の下面が上型91の上面と密着する。
また、この基部にローラが内蔵されていて、このローラによって支持されることにより、上型91が水平方向に移動可能に構成されていることが好ましい。
【0026】
下型93は基台上に設けられた支柱に沿って上下方向に移動可能なガイドに支持され、ガイドと一体に支柱に沿って上下方向に移動可能に構成されていることが好ましい。
また、このガイドにローラが内蔵されていて、このローラによって支持されることにより、下型93が水平方向に移動可能に構成されていることが好ましい。
【0027】
また、下型93の下面に密着させることができる別の熱盤89が設けられていることが好ましい。別の熱盤89は成形型9を加熱する役割を果たす。
【0028】
このような分配型3、プランジャ5および成形型9では、プランジャ5が下降してポット31内への嵌合することによって、後述する本発明の供給装置7からポット31内に供給された成形生地10を所望の大きさに切断することができ、このとき更にプランジャ5の押圧によって熱盤87が断熱盤85に接触すると共に成形型9が熱盤87および別の熱盤89と接触し、この状態でポット31からノズル33を介して成形型9のキャビティ95内へ成形生地10が充填され、成形が行われる。
【0029】
本発明の供給装置7(以下では単に「供給装置7」ともいう)について説明する。
供給装置7は、バレル71と、バレル71内に成形生地10を装入する装入機構73と、バレル71内において回転駆動する回転スクリュー75と、バレル71および回転スクリュー75の温度を調整する温度調整機構77とを有する。
【0030】
バレル71は内部に円筒状の空洞を有し、回転スクリュー75を囲む筐体としての役割も果たす。また、バレル71の外面には孔712が形成されて、この孔712から成形生地10がバレル71の内部へ装入される。
【0031】
また、バレル71は温度調整機構77によって所望の温度に調整される。例えば
図1に示す態様の場合、バレル71内は温油が流れる流路714が形成されていて、この流路714内を所望の温度の温油が流れることでバレル71の温度が調整されている。そのため、回転スクリュー75が回転することによってバレル71の内面と回転スクリュー75の外面との間を移動する成形生地10は加熱され、所望の温度に調整される。
バレル71の内面の温度が50~100℃となるように流路714内の温油の温度や流速等を調整することが好ましい。
【0032】
装入機構73はバレル71内に成形生地10を装入する役割を果たす。
図1に示した態様の場合、装入機構73はリール731および送りローラ733を含む。
【0033】
リール731は帯状の成形生地10を巻いている。
ここで成形生地10の帯の幅は、例えば数十mmであってよい。成形生地10として射出成形用フープ材を用いることができる。また、成形生地10は加硫成形するためのゴム材料であってよい。
回転可能なリール731に巻かれている帯状の成形生地10は、送りローラ733によって送られ、バレル71の外面に形成された孔712からバレル71内に装入される。バレル71に装入された成形生地10は回転スクリュー75に巻き込まれて、回転スクリュー75の先端方向へ送られる。
送りローラ733は帯状の成形生地10を平板状に矯正しつつ、所望の供給量で成形生地10をポット31内へ送り出す役割を果たす。
【0034】
回転スクリュー75は、バレル71内において回転駆動する。
回転スクリュー75はバレル71に形成された円筒状の空洞内に挿入され、モータ79等の作用によって軸を中心として回転可能に構成されている。
【0035】
回転スクリュー75は温度調整機構77によって所望の温度に調整される。例えば
図1に示す態様の場合、回転スクリュー75内に温油が流れる流路752が形成されていて、この流路752内を所望の温度の温油が流れることで回転スクリュー75の温度が調整されている。そのため、回転スクリュー75が回転することによってバレル71の内面と回転スクリュー75の外面との間を移動する成形生地10は加熱され、所望の温度に調整される。
回転スクリュー75の外面の温度が50~100℃となるように流路752内の温油の温度や流速等を調整することが好ましい。
【0036】
回転スクリュー75が回転すると、孔712から装入された成形生地10が混練されつつ、回転スクリュー75の先端側へ移動される。この移動過程において成形生地10は摩擦熱および圧縮等の影響で昇温される。さらにバレル71および回転スクリュー75自体が温度調整されているので、これらからの加熱によって成形生地10は昇温される。その結果、成形生地10の粘度は低下し、圧縮効果をも加わって、可塑化される。
バレル71の内面と回転スクリュー75の外面とのクリアランスを小さくすると、成形生地10はより摩擦されるため摩擦熱が大きくなり、より圧縮されるため、成形生地10の粘度は低下する傾向がある。
【0037】
このような本発明の供給装置7では、バレル71の外面に形成された孔712からバレル71内に装入された成形生地10が回転スクリュー75の駆動によって混練され、回転スクリュー75の先端方向へ向けて押出される。この過程において成形生地10は所望の温度に調整され、かつ、可塑化されている。回転スクリュー75の先端から押し出された成形生地10は逆止弁81を通過して口金83からポット31内へ排出される。
ポット31内へ排出された成形生地10はすでに全体が温度調整され、可塑化されているため、ポット31において成形生地10を予熱する時間が短いか、または予熱する必要が無い。また、ポット31内における成形生地10の温度が全体的に均一化されているので、成形型9への注入速度が均一化して成形不良が低減する。また、成形生地10として高硬度・高粘度のもの(例えば、ゴム材料、樹脂材料等)を用いることもできる。そして、本発明の成形機1は注入速度すなわち注入量が増加することによる成形数量の増加、成形品目の適用範囲の拡大による生産性向上が期待できる。
【0038】
なお、成形生地10が加硫成形用の材料である場合、成形生地10が加硫しない範囲で加熱し、可塑化することが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1 本発明の成形機
3 分配型
31 ポット
33 ノズル
5 プランジャ
7 供給装置
71 バレル
712 孔
714 流路
73 装入機構
731 リール
733 送りローラ
75 回転スクリュー
752 流路
77 温度調整機構
79 モータ
81 逆止弁
83 口金
85 断熱盤
87 熱盤
89 熱盤
9 成形型
91 上型
93 下型
95 キャビティ