(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152682
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20231005BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/01 451
B41J2/165 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006365
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/16262
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】松場 喜久男
(72)【発明者】
【氏名】伊田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】神山 勇
(72)【発明者】
【氏名】諏訪田 明
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB23
2C056EB29
2C056JA05
2C056JA13
2C056JB04
2C056JB08
(57)【要約】
【課題】ノズル面に対してキャップ部材の昇降方向の位置が不明でも、キャリッジに対するキャップ部材の干渉を防止できること。
【解決手段】画像形成装置10は、ノズル15から液滴を吐出可能な記録ヘッド14と、前記ノズル15のノズル面16を封止可能に昇降するキャップ部材41と、カム軸71と、前記カム軸71に設けられた第1カム73と、前記カム軸71を駆動するモータ80とを備える。前記カム軸71は、前記キャップ部材41が最下降位置Hclにあるときの、回転方向の位置を基準点P0として、前記基準点P0から第1方向CWへの第1の回転角範囲θ1と、前記第1方向CWとは反対の第2方向CCWとに、回転可能である。前記第1カム73は、前記カム軸71が前記基準点P0から前記第1の回転角範囲θ1に回転することによって、前記キャップ部材41を上昇させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液滴を吐出可能な記録ヘッドと、
前記ノズルのノズル面を封止可能に昇降するキャップ部材と、
前記キャップ部材が最下降位置にあるときの、回転方向の位置を基準点として、前記基準点から第1方向への第1の回転角範囲と、前記第1方向とは反対の第2方向とに、回転可能なカム軸と、
前記カム軸に設けられており、前記カム軸が前記基準点から前記第1の回転角範囲に回転することによって、前記キャップ部材を上昇させる第1カムと、
前記カム軸を前記第1方向と前記第2方向とに駆動するモータと、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記カム軸は、前記基準点から前記第2方向への第2の回転角範囲にも回転可能であり、
前記画像形成装置は、
前記ノズル面を払拭可能に昇降するワイパー部材と、
前記カム軸に設けられており、前記カム軸が前記第2の回転角範囲に回転することによって、前記ワイパー部材を昇降させる第2カムと、
前記カム軸の回転角が、前記基準点と、前記第1の回転角範囲と、前記第2の回転角範囲との、いずれにあるかを検出する回転角検出部と、
前記カム軸の回転角が、前記第1の回転角範囲と前記第2の回転角範囲の、いずれにあるという信号を、前記回転角検出部から受けた場合には、前記カム軸の回転角を前記基準点に戻す方向へ、前記モータを制御する制御部と、
を更に備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転角検出部は、前記カム軸と共に回転する半円状の被検出体と、前記被検出体自体を検出することによって前記カム軸の回転角を検出可能な検出部と、によって構成され、
前記被検出体は、円周方向の一端が前記基準点の位置に相当するとともに、前記基準点から前記第2の回転角範囲の全体にわたって連続している、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モータの出力軸と前記カム軸とは、ギヤ機構によって接続されており、
前記被検出体は、前記ギヤ機構のなかの、前記カム軸に備えた最終ギヤに一体に設けられている、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カム軸の前記第1方向への回転を規制する第1ストッパと、前記カム軸の前記第2方向への回転を規制する第2ストッパと、を更に有し、
前記基準点に対する、前記カム軸の前記第1方向への回転の限界点は、前記キャップ部材が最上昇位置にあるときの前記カム軸の回転角に対して、予め設定されている一定角度だけ前記第1方向に位置しており、
前記第1ストッパは、前記第1方向への回転の前記限界点に位置し、
前記第2ストッパは、前記基準点に対する前記第2の回転角範囲の限界点に位置している、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1ストッパ及び前記第2ストッパは、前記モータの最大出力によって受ける最大荷重に対する強度を有している、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1ストッパ及び前記第2ストッパは、前記最終ギヤから前記カム軸に沿って延びている単一のピンと、前記ピンが嵌合可能に前記カム軸を中心とした円弧状の単一の長孔を有している固定部材と、によって構成されており、
前記固定部材には、前記検出部が取り付けられている、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記モータの出力軸と前記カム軸とは、ギヤ機構によって接続されており、
前記ギヤ機構のなかの、いずれか1つのギヤには、前記モータの停止中に手動によって回すことが可能なダイヤルが設けられている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ダイヤルは、取外し可能なカバーによって覆われている、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記録ヘッドの前記ノズルの前記ノズル面に対する、前記キャップ部材の封止位置よりも、更に、予め設定されている一定の上昇高さだけ上昇した位置を上限位置とし、
前記キャップ部材の位置を検出するキャップ位置検出部と、前記モータを制御する制御部とを、更に備え、
前記制御部は、前記カム軸を前記第1方向へ駆動するように前記モータを制御しているときに、前記キャップ位置検出部によって検出された前記キャップ部材の位置が、前記上限位置に到達したと判断したときには、前記キャップ部材を前記上限位置から前記上昇高さ分だけ下降させるまで、前記カム軸を前記第2方向へ駆動するように、前記モータを制御する構成である、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの機能を複合させて備えた画像形成装置には、インクなどの液滴を吐出する液滴吐出ヘッドによって構成する記録ヘッドを備えた、液滴吐出装置が用いられている。
【0003】
インクなどの液滴を吐出可能な装置では、記録紙等の記録媒体を搬送しながら記録ヘッドから吐出される液滴を付着、あるいは浸透させることによって、画像を形成するようになっている。
【0004】
なお、記録媒体の対象となるものとして、上述した記録紙だけでなく、糸などの繊維、皮革や金属さらには樹脂やガラス、木材そしてセラミックスなどの液体の付着あるいは浸透が可能な材質がある。
【0005】
一般に、液滴吐出装置においては、ノズルからの液滴吐出不良を防止するための維持回復処理が行われる。維持回復処理は、インクなどの液滴の自然乾燥による像粘固着の防止、及び像粘固着した液滴の吸引除去を実行することによって、ノズルの機能維持及び機能回復を行う処理であり、この処理のために維持回復機構が用いられている。
【0006】
維持回復機構は、記録ヘッドのノズル面を封止して湿潤状態を維持可能なキャップ部材、ノズル面を払拭するワイパー部材、さらにはキャップ部材に接続された吸引ポンプを備えている。この維持回復機構によれば、ノズル面をキャップ部材により封止した状態で、吸引ポンプによる負圧化動作によりノズルから気泡や像粘した液滴を強制的に排出する、クリーニング処理を行うことができる。このような画像形成装置に関する従来技術として、例えば特許文献1に開示される技術がある。
【0007】
特許文献1に示される画像形成装置は、キャップ部材を保持するキャップホルダと、ワイパー部材を保持するブレードホルダと、これらのホルダを昇降させるカム軸と、カム軸を回転させるモータとを備えている。モータが一方向へ回転することによって、キャップ部材とワイパー部材とを交互に反復して昇降させることができる。また、例えば、画像形成装置に紙詰まりが発生した場合には、キャップ位置検出装置によって、キャップ部材が下降位置にあるか上昇位置にあるかを検出し、上昇位置にある場合にはモータによってキャップ部材を下降位置へ移動させる。キャップ部材の位置の判別ができない場合には、画像形成装置はエラー発生の警報を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
画像形成装置の作動中には、何らかの原因によって画像形成装置への電力供給が遮断されることが、有り得る。その場合には、キャップ位置検出装置によるキャップ部材の位置の検出が不能状態になる。このとき、停止状態の画像形成装置に、人為的な操作を加えた場合には、トラブルの要因となり得る。例えば、キャップ部材の位置が不明な状態で、キャリッジをキャップ部材の昇降範囲に移動させ、電力供給が復帰した後、モータを駆動したのでは、キャップ部材が上昇してキャリッジに干渉する可能性がある。そこで、キャップ部材の位置が不明になった場合は、キャリッジに対するキャップ部材の位置を、下降させて原点まで戻す必要がある。しかし、キャップ部材の位置が不明なためモータを正転と逆転のどちらにすれば、キャップ部材が上昇することなく下降して原点に戻せるのか、不明なままである。
【0010】
本発明は、ノズルのノズル面に対する、キャップ部材の昇降方向の位置が不明となっても、キャリッジに対するキャップ部材の干渉を防止することができる画像形成装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、ノズルから液滴を吐出可能な記録ヘッドと、前記ノズルのノズル面を封止可能に昇降するキャップ部材と、前記キャップ部材が最下降位置にあるときの、回転方向の位置を基準点として、前記基準点から第1方向への第1の回転角範囲と、前記第1方向とは反対の第2方向とに、回転可能なカム軸と、前記カム軸に設けられており、前記カム軸が前記基準点から前記第1の回転角範囲に回転することによって、前記キャップ部材を上昇させる第1カムと、前記カム軸を前記第1方向と前記第2方向とに駆動するモータと、を備えた画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ノズルのノズル面に対する、キャップ部材の昇降方向の位置が不明となっても、キャリッジに対するキャップ部材の干渉を防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1Aは実施例1による画像形成装置の斜視図、
図1Bは実施例1による画像形成装置の記録ヘッド周りを説明する概念図、
図1Cは実施例1による画像形成装置の記録ヘッドとキャップ部材の関係を説明する概念図である。
【
図2】
図1Aに示されるクリーニングユニットの斜視図である。
【
図3】
図2に示されるクリーニングユニットの模式図である。
【
図4】
図3に示される第1カム軸とカムと回転角検出部の斜視図である。
【
図5】
図1Aに示されるカバー周りの斜視図である。
【
図6】
図4に示される回転角検出部の斜視図である。
【
図7】実施例1による第4ギヤ及びストッパ周りを回転角検出部に対して反対側から見た分解図である。
【
図8】
図8Aは
図6の矢視線8A方向から見た回転角検出部の概念図、
図8Bは
図7の矢視線8B方向から見たストッパの概念図である。
【
図9】
図3に示されるクリーニングユニットの作動特性を説明する特性図である。
【
図10】
図3に示される制御部の制御フロー図である。
【
図11】
図11Aは実施例1の第1カム軸が回転方向の基準点に位置しているときのキャップユニットの作用図、
図11Bは
図11Aに示される第1カム軸が基準点に位置しているときのワイパーユニットの作用図である。
【
図12】
図12Aは
図11Aに示される第1カム軸が基準点から第1方向へ第1の回転角範囲だけ回転したときのキャップユニットの作用図、
図12Bは
図12Aに示されるキャップユニットに連動したワイパーユニットの作用図である。
【
図13】
図13Aは
図11Aに示される第1カム軸が基準点から第2方向へ第2の回転角範囲だけ回転したときのキャップユニットの作用図、
図13Bは
図13Aに示されるキャップユニットに連動したワイパーユニットの作用図である。
【
図14】実施例2による画像形成装置のクリーニングユニットの模式図である。
【
図16】
図14に示されるクリーニングユニットの作動特性を説明する特性図である。
【
図17】実施例2の第1カム軸が回転方向の基準点に位置しているときのキャップユニットの作用図(
図11Aに対応する図)である。
【
図18】
図17に示される第1カム軸が基準点から第1方向へ上限角まで回転したときのキャップユニットの作用図である。
【
図19】
図18に示される第1カム軸が上限位置から第2方向へ第1点まで戻ったときのキャップユニットの作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。説明中、左右とは図面を基準として左右、前後とはメディアの送り方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0015】
<実施例1>
図1~
図13を参照しつつ実施例1の画像形成装置10について説明する。
【0016】
図1Aに示されるように、画像形成装置10は、メディアMeにカラー画像を形成可能なインクジェット式プリンタの構成である。この画像形成装置10は、例えば、大型の看板、ポスターの印刷を行うことができる。
【0017】
ここで、画像形成装置10の搬送装置(図示せず)によって送られたメディアMeの送り方向S2を基準として、メディアMeの幅方向S1のことを、適宜「主走査方向S1」ということがある。また、メディアMeの送り方向S2のことを、適宜「副走査方向S2」ということがある。画像形成装置10を上から見て、副走査方向S2は主走査方向S1に対して直交した方向である。
【0018】
印刷対象としてのメディアMeは、例えば、ロールに巻かれたロールメディアであり、メディアの材質としては、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよく、様々な材料によって構成可能である。
【0019】
図1Bに示されるように、画像形成装置10は、基台11の主走査方向S1へ延びているレール12と、このレール12に移動可能に設けられているキャリッジ13と、このキャリッジ13に設けられている記録ヘッド14(プリントヘッド14)及び少なくとも1つ(例えば2つ)の光照射装置17,17とを備えている。これらの光照射装置17,17は、記録ヘッド14からメディアMe上に吐出された光硬化性インクに光を照射して、この光硬化性インクを硬化させる。
【0020】
図1B及び
図1Cに示されるように、記録ヘッド14は、種々のインクの液滴を吐出可能な複数のノズル15を有する。記録ヘッド14の下端面16は、各ノズル15のノズル面16をなす。
【0021】
画像形成装置10は、
図2に示されるクリーニングユニット20を備えている。このクリーニングユニット20は、
図1A及び
図1Bに示されるように、記録ヘッド14がメディアMeへの印刷を終了したときなどの所定のタイミングで位置する待機位置Spに、且つキャリッジ13の下方に位置するとともに、カバー31によって覆われている。待機位置Spは、画像形成装置10のなかの、主走査方向S1の右端部分に位置している。
【0022】
カバー31は、基台11に対して取り外し可能に取り付けられている。このカバー31の前面には、リッド32によって開閉される開口33が設けられている。
【0023】
図1Cも参照すると、このクリーニングユニット20は、記録ヘッド14のノズル面16を封止可能なキャップユニット40と、記録ヘッド14のノズル面16を払拭可能なワイパーユニット50と、キャップユニット40及びワイパーユニット50を昇降する昇降ユニット60とを備えている。
【0024】
図1Cに示されるように、キャップユニット40は、ゴムなどの可撓性部材が設けられたキャップ部材41により、待機位置Spに位置する記録ヘッド14のノズル面16を保護して、ノズル15にゴミなどの異物の付着を防止するとともに、ノズル15の目詰まりや気泡の混入などを防止する。つまり、記録ヘッド14が印刷が終了するなどの所定のタイミングで待機位置Spに位置すると、キャップユニット40が上昇することにより、キャップ部材41がノズル面16を封止する。このキャップ部材41は、記録ヘッド14のノズル15から吐出されたインクを吸収可能な吸収体42を備えている。
【0025】
キャリッジ13は、複数の記録ヘッド14を設けてもよい。
図2に示されるように、本実施例1では、これに対応して、キャップユニット40も複数有している。各キャップユニット40,40のキャップ部材41,41は、複数の記録ヘッド14のそれぞれに対応する位置に配列されている。なお、記録ヘッド14が1つの場合には、キャップユニット40も1つあればよい。
【0026】
図2に示されるように、ワイパーユニット50は、記録ヘッド14のノズル面16を払拭可能なワイパー部材51と、このワイパー部材51を支持するワイパー支持部52とを備えている。ワイパー部材51は、ゴムなどの可撓性部材によって構成されている。記録ヘッド14が印刷が終了するなどの所定のタイミングで待機位置Sp(
図1A参照)に位置すると、ワイパー部材51が上昇する。ノズル面16に対して、ワイパー部材51が副走査方向S2へ移動することにより、ノズル面16に付着しているインクや異物等の付着物をワイパー部材51によって、払拭することができる。
【0027】
図2及び
図3に示されるように、昇降ユニット60は、基台11(
図1A参照)に取り付けられた平盤状の固定ベース61と、この固定ベース61の上に位置するとともにキャップユニット40を支持した平盤状の昇降台62と、固定ベース61の一端に設けられてワイパーユニット50を昇降可能に支持した副ベース63とを備えている。固定ベース61は、主走査方向S1の両端から起立した第1壁板61a及び第2壁板61bを有する。第1壁板61aは主走査方向S1の右端に位置し、第2壁板61bは主走査方向S1の左端に位置している。
【0028】
ワイパー支持部52は、副ベース63に対して下方(
図1Cに示される記録ヘッド14のノズル面16から離れる方向)へ、複数の付勢部材64によって付勢されている。この付勢部材64は、例えば引張りコイルバネによって構成される。
【0029】
昇降台62は、固定ベース61の上に間隔を有して位置した平盤状の部材であって、固定ベース61に対して昇降方向のみに移動可能に支持されている。この昇降台62は、固定ベース61に対して下方(記録ヘッド14のノズル面16から離れる方向)へ、複数の付勢部材65によって付勢されている。この付勢部材65は、例えば引張りコイルバネによって構成される。この昇降台62の上には、キャップユニット40が取り付けられている。
【0030】
昇降ユニット60は、ワイパーユニット50及び昇降台62を昇降する少なくとも1つ(本実施例1では2つ)のカム軸71,72と、このカム軸71,72を駆動するモータ80と、このモータ80の出力軸81とカム軸71,72とを接続するギヤ機構90とを備えている。
【0031】
各カム軸71,72は、主走査方向S1へ延びるとともに、互いに平行に配列されており、固定ベース61と昇降台62との間を通っている。この各カム軸71,72は、固定ベース61の第1壁板61a及び第2壁板61bを貫通するとともに、この第1及び第2壁板61a,61bによって回転可能に支持されている。各カム軸71,72のなかの一方を第1カム軸71といい、他方を第2カム軸72という。
【0032】
図4も参照すると、第1カム軸71は、昇降台62を昇降させる少なくとも1つ(本実施例1では2つ)の第1カム73と、ワイパーユニット50を昇降させる少なくとも1つの第2カム74と、を備えている。
【0033】
第1カム73及び第2カム74は、第1カム軸71の軸方向から見て、楕円形や長円形等の細長い形状を有した部材によって構成されている。細長い各カム73,74の長手方向の中心は、第1カム軸71からオフセットしている。
図4に示されるように、第1カム73の長手方向の両端73a,73bのなかの、第1カム軸71から遠い方の先端面73aのことを「第1端面73a」といい、第1カム軸71から短い方の先端面73bのことを「第2端面73b」という。第2カム74の長手方向の両端74a,74bのなかの、第1カム軸71から遠い方の先端面74aのことを「第1端面74a」といい、第1カム軸71から短い方の先端面74bのことを「第2端面74b」という。第1カム軸71に対して、第1カム73と第2カム74の向きは互いに相違している。
【0034】
第1カム73の第1端面73aによって、昇降台62が最大限に押し上げられている場合に、昇降台62及びキャップ部材41は、最上昇位置に位置する。第1カム73の第2端面73bが昇降台62に接している場合に、昇降台62及びキャップ部材41は、最下降位置に位置する。
【0035】
第2カム74の第1端面74aによって、ワイパー支持部52が最大限に押し上げられている場合に、ワイパー部材51は最上昇位置に位置する。第2カム74の第2端面74bがワイパー支持部52に接している場合に、ワイパー部材51は最下降位置に位置する。
【0036】
第2カム軸72の構成は、第1カム軸71と同じなので、説明を省略する。
【0037】
図2及び
図3に示されるように、モータ80は、第1壁板61aに取り付けられている。ギヤ機構90は、第1壁板61aよりも右側に位置している。このギヤ機構90は、モータ80の出力軸81に一体的に設けられている第1ギヤ91(ピニオン91)と、この第1ギヤ91に噛み合うように中間軸92に回転可能に設けられている大径の第2ギヤ93と、この第2ギヤ93に一体的に設けられている小径の第3ギヤ94と、この第3ギヤ94に噛み合うように第1カム軸71に一体的に設けられている大径の第4ギヤ95とを備えている。中間軸92は、第1壁板61aに設けられている。
【0038】
ギヤ機構90は、ベルト機構100を含む。第1カム軸71に対して、第2カム軸72はベルト機構100によって接続されている。このベルト機構100は、第1カム軸71に一体的に設けられている駆動プーリー101と、第2カム軸72に一体的に設けられている従動プーリー102と、駆動プーリー101と従動プーリー102とに掛けられているベルト103と、によって構成されている。駆動プーリー101は、例えば第4ギヤ95に一体に構成されている。駆動プーリー101の径に対して、従動プーリー102の径は、同径である。このため、第1カム軸71の回転角に対して、第2カム軸72の回転角は同じである。また、ベルト機構100を採用しているので、第1カム軸71の回転方向に対して、第2カム軸72の回転方向は同じである。ベルト103は、テンショナー104(
図2参照)によって張力を調整される。
【0039】
さらに、ギヤ機構90は、モータ80の停止中に手動によって回すことが可能な手動調整用のダイヤル111を備えている。このダイヤル111は、ギヤ機構90のなかの、いずれか1つのギヤに設けられている。例えば、このダイヤル111は、モータ80の出力軸81と共に回る第1ギヤ91に設けることが、可能である。また例えば、ギヤ機構90は、第1ギヤ91に噛み合う別個のギヤ112(第5ギヤ112)を備え、この第5ギヤ112にダイヤル111を一体的に設けることもできる。本実施例1では、ダイヤル111は第5ギヤ112に設けられている。第5ギヤ112を回転可能に支持する支軸113は、第1壁板61aに設けられている。
【0040】
このように、モータ80の出力軸81とカム軸71とは、ギヤ機構90によって接続されている。このギヤ機構90のなかの、いずれか1つのギヤ112(第5ギヤ112)には、モータ80の停止中に手動によって回すことが可能なダイヤル111が設けられている。
【0041】
このため、何らかの原因によって画像形成装置10への電力供給が遮断されたときに、ダイヤル111を回してキャップ部材41を上げて、記録ヘッド14のノズル15のノズル面16を封止することができる。
【0042】
図5に示されるように、このダイヤル111は、取外し可能なカバー31によって覆われている。
【0043】
このため、通常時には、ダイヤル111はカバー31(リッド32を含む)によって覆われているので、誤操作をすることがない。記録ヘッド14やキャップ部材41のメンテナンスをするときだけ、カバー31を外して(例えばリッド32を開けて)ダイヤル111を回すことができる。
【0044】
図6及び
図7に示されるように、画像形成装置10は、第1カム軸71の回転角θ(カム73,74の回転角θ)を検出する回転角検出部120を備えている。この回転角検出部120は、第1カム軸71と共に回転する半円状の被検出体121と、被検出体121自体を検出することによって第1カム軸71の回転角θを検出可能な検出部122と、によって構成されている。
【0045】
被検出体121は、例えば第1カム軸71に有している第4ギヤ95(最終ギヤ95)に、一体に設けられている。より具体的に述べると、この被検出体121は、第4ギヤ95の軸方向の一方の側面95aに有しており、第1カム軸71を中心とした円弧状のフィンによって構成されている。このフィンの幅や厚みは均一である。被検出体121のなかの、円周方向の一端121aのことを「第1端121a」といい、他端121bのことを「第2端121b」ということがある。
【0046】
検出部122は、例えば光学センサーによって構成される。光学センサーとしては、フィンによって構成される被検出体121の有無を検出可能な、フォトインタラプタによって構成されることが好ましい。
図7に示されるように、検出部122は第1壁板61a(固定部材61a)に取り付けられている。
【0047】
図7に示されるように、画像形成装置10は、第1カム軸71の第1方向CWへの回転を規制する第1ストッパ131と、第1カム軸71の第2方向CCWへの回転を規制する第2ストッパ132と、を備えている。第1ストッパ131及び第2ストッパ132は、例えば、第4ギヤ95(最終ギヤ95)に一体に設けられた単一のピン133と、このピン133を嵌合可能な円弧状の単一の長孔134を有している第1壁板61a(固定部材61a)と、によって構成されている。
【0048】
ピン133は、第4ギヤ95の軸方向の他方の側面95bから第1カム軸71に沿って長孔134内へ延びている。このピン133は、第1カム軸71から径方向外側へ、オフセットしている。長孔134は、第1カム軸71を中心とした円弧状に形成されている。この長孔134の円周方向の一方の縁134aのことを「第1縁134a」といい、他方の縁134bのことを「第2縁134b」ということがある。
【0049】
つまり、第1ストッパ131は、第1壁板61aに形成されている長孔134の第1縁134aに対して、ピン133が当接することによって、第1カム軸71の第1方向CWへの回転を規制する構成である。第2ストッパ132は、第1壁板61aに形成されている長孔134の第2縁134bに対して、ピン133が当接することによって、第1カム軸71の第2方向CCWへの回転を規制する構成である。
【0050】
第1ストッパ131及び第2ストッパ132は、モータ80の最大出力によって受ける最大荷重に対する強度を有している。
【0051】
このため、仮に、モータ80によるカム軸71の駆動力が過大になった場合でも、カム軸71の過大な回転を規制して、キャップ部材41やワイパー部材51の過大な上昇を規制することができる。
【0052】
さらには、上述のように、第1ストッパ131及び第2ストッパ132は、最終ギヤ95からカム軸71に沿って延びている単一のピン133と、ピン133が嵌合可能にカム軸71を中心とした円弧状の単一の長孔134を有している固定部材61a(第1壁板61a)と、によって構成されている。この固定部材61aには、検出部122が取り付けられている。
【0053】
このため、第1ストッパ131及び第2ストッパ132の構成を簡単にできる。
【0054】
次に、回転角検出部120と第1及び第2ストッパ131,132との関係について、
図8A及び
図8B、
図9に基づいて説明する。
図8Aは、
図6の矢視線8A方向から見た回転角検出部120を表している。
図8Bは、
図7の矢視線8B方向から見た第1及び第2ストッパ131,132を表している。
【0055】
図8A及び
図9に示されるように、回転角検出部120の被検出体121において、円周方向の第1端121aは、第1カム軸71の回転方向の基準点P0(原点P0)の位置に相当する。この基準点P0は、キャップ部材41が最下降位置Hclにあるとともに、ワイパー部材51が最下降位置Hwlにあるときの、第1カム軸71の回転方向の位置である。このときには、
図8Bに示されるように、ピン133は長孔134の円周方向の中点134cに位置している。
【0056】
第1カム軸71が、基準点P0から図時計回り方向CW(第1方向CW)へ予め設定された第1点P1まで回ったときに、基準点P0から第1点P1までの範囲θ1のことを「第1の回転角範囲θ1」という。第1点P1に対して、更に第1方向CWへ、予め設定されている一定角度αだけ回った点L1のことを、「基準点P0に対する第1方向CWへの限界点L1」という。検出部122は、被検出体121を検出しないことによって、第1カム軸71が第1の回転角範囲θ1にあることを検出する。つまり、検出部122は、非検出信号(OFF信号)を発することになる。
【0057】
図8Bに示されるように、第1カム軸71が第1方向CWへの限界点L1まで回ったときに、ピン133は長孔134の円周方向の第1縁134aに当接する。つまり、第1ストッパ131は、第1方向CWへの限界点L1に位置することによって、第1カム軸71の第1方向CWへの回転を規制する。
【0058】
図8A及び
図9に示されるように、第1カム軸71が、基準点P0から図反時計回り方向CCW(第2方向CCW)へ予め設定された第2点P2まで回ったときに、基準点P0から第2点P2までの範囲θ2のことを「第2の回転角範囲θ2」という。第2点P2のことを、「基準点P0に対する第2方向CCWへの限界点L2」ということがある。
【0059】
図8Bに示されるように、第1カム軸71が第2方向CCWへの限界点L2(限界点L2の直前を含む)まで回ったときに、ピン133は長孔134の円周方向の第2縁134bに当接する。つまり、第2ストッパ132は、第2方向CCWへの限界点L2に位置することによって、第1カム軸71の第2方向CCWへの回転を規制する。
【0060】
図8A及び
図9に示されるように、回転角検出部120の被検出体121は、円周方向の第1端121aが第1カム軸71の基準点P0の位置に相当するとともに、この基準点P0から第2の回転角範囲θ2の全体にわたって連続している。被検出体121の第1端121aから第2端121bまでの範囲θ2は、第1カム軸71の第2の回転角範囲θ2に相当する。
【0061】
検出部122は、被検出体121の第1端121aの位置を検出することによって、基準点P0の位置を検出し、検出信号(ON信号)を発する。さらに検出部122は、被検出体121を検出し続けることによって、第1カム軸71が第2の回転角範囲θ2にあることを検出し、検出信号(ON信号)を発し続ける。
【0062】
以上の説明をまとめると、第1カム軸71が第1の回転角範囲θ1にあるときには、検出部122は非検出信号(OFF信号)を発する。第1の回転角範囲θ1にある第1カム軸71が第2方向CCWへ回転して基準点P0に到達したときには、検出部122の信号は、非検出信号(OFF信号)から検出信号(ON信号)に切り替わる。第1カム軸71が第2の回転角範囲θ2にあるときには、検出部122は検出信号(ON信号)を発し続ける。第2の回転角範囲θ2にある第1カム軸71が第1方向CWへ回転して基準点P0に到達したときには、検出部122の信号は、検出信号(ON信号)から非検出信号(OFF信号)に切り替わる。このように、回転角検出部120は、第1カム軸71の回転角θが、基準点P0と、第1の回転角範囲θ1と、第2の回転角範囲θ2との、いずれにあるかを検出する。
【0063】
図3に示されるように、画像形成装置10は、モータ80を制御する制御部140を備えている。
図9も参照すると、この制御部140は、第1カム軸71の回転角θが、第1の回転角範囲θ1と第2の回転角範囲θ2の、いずれかにあるという信号を、回転角検出部120から受けた場合には、第1カム軸71の回転角θを基準点P0に戻す方向へ、モータ80を制御する。
【0064】
次に、
図3及び
図9を参照しつつ、
図10に基づいて、制御部140による制御を説明する。制御部140は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。マイクロコンピュータによって構成した制御部140の、具体的な制御の一例を説明すると、次の通りである。
【0065】
図10は、制御部140の制御フローチャートであって、制御部140の一連の制御のなかの、第1カム軸71の回転角θを基準点P0に戻す制御の処理を実行するサブルーチンを示している。このサブルーチンは、所定の条件による割込処理や、時分割処置によって実行する。例えば、このサブルーチンは、画像形成装置10に電力が供給されたとき、例えば電源スイッチがオンになったという、条件のときに実行する。
【0066】
制御部140は制御を開始すると、先ずステップS01では、第1カム軸71の回転角θが第1の回転角範囲θ1にあるか否かを判断する。ステップS01において、回転角検出部120から非検出信号(OFF信号)を受けた場合、つまり、第1の回転角範囲θ1にあると判断した場合には、キャップ部材41が上昇位置にあるので、ステップS02へ進む。
【0067】
ステップS02では、第1カム軸71を第2方向CCWへ、つまり第1カム軸71の回転角θを基準点P0に戻す方向へ回転させるように、モータ80を制御して、ステップS03へ進む。
【0068】
ステップS03では、第1カム軸71の回転位置が基準点P0に到達したか(回転角θがゼロに戻ったか)否かを判断し、到達するまでステップS02を繰り返す。ステップS03において、回転角検出部120からの信号が非検出信号(OFF信号)から検出信号(ON信号)に切り替わった場合、つまり、第1の回転角範囲θ1にある第1カム軸71が第2方向CCWへ回転して基準点P0に戻ったと判断した場合には、モータ80を停止した後にサブルーチンを終了する。この結果、キャップ部材41の位置を最下降位置HCLへ下降させることができる。
【0069】
一方、ステップS01において、第1カム軸71の回転角θが第1の回転角範囲θ1にはないと判断した場合には、回転角検出部120から検出信号(ON信号)を受けていることになる。ステップS01では、第1カム軸71の回転角θが第2の回転角範囲θ2にあると判断した場合には、キャップ部材41が下降位置にあるので、ステップS04へ進む。
【0070】
ステップS04では、第1カム軸71を第1方向CWへ、つまり第1カム軸71の回転角θを基準点P0に戻す方向へ回転させるように、モータ80を制御して、ステップS05へ進む。
【0071】
ステップS05では、第1カム軸71の回転位置が基準点P0に到達したか(回転角θがゼロに戻ったか)否かを判断し、到達するまでステップS04を繰り返す。ステップS04において、回転角検出部120からの信号が検出信号(ON信号)から非検出信号(OFF信号)に切り替わった場合、つまり、第2の回転角範囲θ2にある第1カム軸71が第1方向CWへ回転して基準点P0に戻ったと判断した場合には、モータ80を停止した後にサブルーチンを終了する。この結果、ワイパー部材51を最下降位置HWLへ下降させることができる。
【0072】
なお、第1カム軸71の回転位置が、初めから基準点P0に位置している場合には、先ずステップS01において検出信号(ON信号)を受けていると判断し、次にステップS04において第1カム軸71を第1方向CWへ回し、次にステップS04において検出信号(ON信号)から非検出信号(OFF信号)に切り替わったと判断して、モータ80を停止する。つまり、これらの一連のステップによって瞬時に、モータ80を停止することができる。
【0073】
次に、キャップユニット40及びワイパーユニット50を昇降ユニット60によって昇降する作用について、
図9を参照しつつ説明する。
【0074】
図11A及び
図11Bに示されるように、キャップユニット40及びワイパーユニット50は、使用しないときには待機状態を維持している。つまり、
図11Aに示されるように、昇降台62は、固定ベース61に対して下方へ付勢部材65によって付勢されている。第1カム73は、第1端面73aが昇降台62から離れ、第2端面73bが昇降台62に接している。このため、昇降台62及びキャップユニット40(キャップ部材41を含む)は、最下降位置Hclに位置している。
【0075】
また、
図11Bに示されるように、ワイパー支持部52は、副ベース63に対して下方へ付勢部材64によって付勢されている。第2カム74は、第1端面74aがワイパー支持部52から離れ、第2端面74bが昇降台62に接している。このため、ワイパーユニット50(ワイパー部材51を含む)は、最下降位置Hwlに位置している。
【0076】
その後、モータ80(
図3参照)によって、第1カム軸71を第1方向CWへ回転させる。すると、第1カム73は、昇降台62及びキャップユニット40を、
図9及び
図12Aに示される最上昇位置まで上昇させる。この結果、キャップ部材41の高さHcは最上昇位置Hchまで上昇する。キャップ部材41は、記録ヘッド14のノズル面16を封止する。
【0077】
図12Aに示されるように、第1カム軸71を、基準点P0から第1方向CWへの第1の回転角範囲θ1まで回転させた状態では、
図11Bに示されるように、第2カム74はワイパーユニット50を上方へ押していない。このため、ワイパーユニット50は最下降位置を維持している。ワイパー部材51の高さHwは、最下降位置Hwlを維持している。
【0078】
その後、第1カム軸71を第2方向CCWへ回転させて、基準点P0まで戻すと、第1カム73は元の位置へ戻る。昇降台62及びキャップユニット40は、
図11Aに示される最下降位置に復帰する。この結果、キャップ部材41の高さHcは、元の最下降位置Hclまで下降する。
【0079】
その後、
図11A及び
図11Bに示される待機状態において、モータ80(
図3参照)によって、第1カム軸71を基準点P0から第2方向CCWへ回転させる。しかし、
図13Aに示されるように、第1カム73は昇降台62及びキャップユニット40を上方へ押していない。このため、昇降台62及びキャップユニット40は、最下降位置を維持している。
【0080】
その一方、
図13Bに示されるように、第1カム軸71が第2方向CCWへ回転することによって、第2カム74はワイパー支持部52を最上昇位置まで上昇させる。この結果、ワイパー部材51の高さHwは、最上昇位置Hwhまで上昇する。ワイパー部材51は、記録ヘッド14のノズル面16を払拭することができる。
【0081】
その後、第1カム軸71を第1方向CWへ回転させて、基準点P0まで戻すと、第1カム73は元の位置へ戻る。ワイパー支持部52は、
図11Bに示される最下降位置に復帰する。この結果、ワイパー部材51の高さHwは、元の最下降位置Hwlまで下降する。
【0082】
第1カム軸71が回転方向の基準点P0(原点P0)に位置していない状態、つまり、
図11A及び
図11Bに示される待機状態ではないときに、何らかの原因によって画像形成装置10への電力供給が遮断された場合には、次のとおりである。つまり、画像形成装置10に電力が再び供給された、例えば電源スイッチがオンになったときには、制御部140は、カム軸71の回転角θを基準点P0(
図9参照)に戻す方向へ、モータ80を制御する。この結果、キャップ部材41及びワイパー部材51は、
図11A及び
図11Bに示される待機状態に戻される。このため、ノズル15のノズル面16に対する、キャップ部材41及びワイパー部材51の昇降方向の位置が不明であっても、キャリッジ13に干渉することはない。
【0083】
以上の実施例1の説明をまとめると次のとおりである。
【0084】
図1A~
図1C、
図3及び
図9に示されるように、画像形成装置10は、
ノズル15から液滴を吐出可能な記録ヘッド14と、
ノズル15のノズル面16を封止可能に昇降するキャップ部材41と、
キャップ部材41が最下降位置Hclにあるときの、回転方向の位置を基準点P0として、基準点P0から第1方向CWへの第1の回転角範囲θ1と、第1方向CWとは反対の第2方向CCWとに、回転可能なカム軸71(第1カム軸71)と、
カム軸71に設けられており、カム軸71が基準点P0から第1の回転角範囲θ1に回転することによって、キャップ部材41を上昇させる第1カム73と、
カム軸71を第1方向CWと第2方向CCWとに駆動するモータ80と、を備えている。
【0085】
このように、キャップ部材41を上昇させるカム軸71の回転を、基準点P0から第1方向CWへの第1の回転角範囲θ1としたことにより、カム軸71を第1方向CWに回転することでキャップ部材41を上昇し、第2方向CCWに回転させることでキャップ部材41を下降することができる。従って、ノズル15のノズル面16に対する、キャップ部材41の昇降方向の位置が不明となっても、カム軸71を第2方向CCWへ回転することにより、キャップ部材41を必ず下降させることができる。キャップ部材41がキャリッジ13に干渉することを、避けることができる。
【0086】
さらには、
図1A~
図1C、
図2、
図3及び
図9に示されるように、カム軸71(第1カム軸71)は、基準点P0から第2方向CCWへの第2の回転角範囲θ2にも回転可能である。画像形成装置10は、ノズル面16を払拭可能に昇降するワイパー部材51と、カム軸71に設けられており、カム軸71が第2の回転角範囲θ2に回転することによって、ワイパー部材51を昇降させる第2カム74と、カム軸71の回転角θが、基準点P0と、第1の回転角範囲θ1と、第2の回転角範囲θ2との、いずれにあるかを検出する回転角検出部120と、カム軸71の回転角θが、第1の回転角範囲θ1と第2の回転角範囲θ2の、いずれにあるという信号を、回転角検出部120から受けた場合には、カム軸71の回転角θを基準点P0に戻す方向へ、モータ80を制御する制御部140と、を更に備えている。
【0087】
このように、カム軸71の回転を、基準点P0(原点P0)からキャップ部材41を昇降させる第1の回転角範囲θ1と、ワイパー部材51を昇降させる第2の回転角範囲θ2とに、分けた。回転角検出部120は、カム軸71の回転角θが、基準点P0と、第1の回転角範囲θ1と、第2の回転角範囲θ2との、いずれにあるかを検出可能である。画像形成装置10に電力が供給された(電源スイッチがオン)ときに、制御部140は、カム軸71の回転角θが第1の回転角範囲θ1と第2の回転角範囲θ2の、いずれにある(つまり、基準点P0にはない)という信号を、回転角検出部120から受けた場合に、カム軸71の回転角θを基準点P0に戻す方向へ、モータ80を制御する。このため、何らかの原因によって画像形成装置10への電力供給が遮断され、その後に電力供給が再開された場合に、キャップ部材41が上昇してキャリッジ13に干渉することはない。
【0088】
さらには、
図6、
図8A及び
図9に示されるように、回転角検出部120は、カム軸71(第1カム軸71)と共に回転する半円状の被検出体121と、被検出体121自体を検出することによってカム軸71の回転角θを検出可能な検出部122と、によって構成されている。被検出体121は、円周方向の一端121a(第1端121a)が基準点P0の位置に相当するとともに、基準点P0から第2の回転角範囲θ2の全体にわたって連続している。
【0089】
このため、簡単な構成の回転角検出部120によって、基準点P0と、第1の回転角範囲θ1と、第2の回転角範囲θ2とを検出することができる。
【0090】
さらには、
図3及び
図6に示されるように、モータ80の出力軸81とカム軸71とは、ギヤ機構90によって接続されている。被検出体121は、ギヤ機構90のなかの、カム軸71に備えた最終ギヤ95(第4ギヤ95)に一体に設けられている。
【0091】
被検出体121を最終ギヤ95に一体に設けたので、部品数が少なくてすむ。
【0092】
さらには、
図7、
図8B及び
図9に示されるように、画像形成装置10は、カム軸71の第1方向CWへの回転を規制する第1ストッパ131と、カム軸71の第2方向CCWへの回転を規制する第2ストッパ132と、を更に有する。基準点P0に対する、カム軸71の第1方向CWへの回転の限界点L1は、キャップ部材41が最上昇位置Hchにあるときのカム軸71の回転角θに対して、予め設定されている一定角度αだけ第1方向CWに位置している。第1ストッパ131は、第1方向CWへの回転の限界点L1に位置している。第2ストッパ132は、基準点P0に対する第2の回転角範囲θ2の限界点L2に位置している。
【0093】
このように、第1ストッパ131及び第2ストッパ132を設けたので、カム軸71の過大な回転を規制することができる。また、キャップ部材41を最上昇位置Hchまで上昇させたときに、カム軸71の回転角θを更に一定角度αだけ増すことによって、記録ヘッド14のノズル15のノズル面16に対する、キャップ部材41の封止状態を、より確実にすることができる。
【0094】
【0095】
実施例2の画像形成装置200は、上記
図1~
図13に示される実施例1の画像形成装置10の制御部140を、
図14に示される制御部240に変更するとともに、キャップ位置検出部251を追加したことを特徴とする。その他の基本的な構成については、上記実施例1による画像形成装置10と共通する。実施例1による画像形成装置10と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0096】
先ず、
図15B~
図19を参照しつつ、実施例2の画像形成装置200における、カム軸71,72及び第1カム73とキャップ部材41との作動関係について説明する。
【0097】
第1カム73(カム73)は、基準点P0から限界点L1までの全範囲にわたって、キャップ部材41の高さHcを調整可能に、カム軸71,72に対する傾きや形状が設定されている。例えば、基準点P0に対する、キャップ部材41の封止位置Hchや上限位置HcUは、次のように設定されている。
【0098】
キャップ部材41の「封止位置Hch」は、記録ヘッド14のノズル15のノズル面16を、キャップ部材41によって封止状態にする位置のことであって、上記実施例1の最上昇位置Hch(
図12A参照)に相当する。従って、最上昇位置Hchのことを、適宜「封止位置Hch」と言い換えることがある。カム軸71及びカム73の回転角θが、第1の回転角θ1であるときに、キャップ部材41の高さHcは封止位置Hchとなる。
【0099】
キャップ部材41の「上限位置HcU」は、記録ヘッド14のノズル15のノズル面16に対し、キャップ部材41の封止位置Hchよりも、更に、予め設定されている一定の上昇高さUcだけ上昇した位置のことである。カム軸71及びカム73の回転角θが、上限角L11であるときに、キャップ部材41の高さHcは上限位置HcUとなる。
【0100】
上限角L11は、第1の回転角θ1よりも大きく、限界点L1(限界角度L1)よりも小さい値に設定されている。第1の回転角θ1と上限角L11との差を、上昇角βという。
【0101】
上昇高さUcは、封止位置Hchと上限位置HcUとの差であって、上昇角βに対応する。この上昇高さUcは、キャップユニット40が封止位置Hchまで上昇した時点で、モータ80を停止させた場合に、自然に下降し得る高さ、例えば、ギヤ機構90を構成している各ギヤ間のバックラッシに相当する分を予め想定して、設定される。この上昇高さUcは、例えば0.1~0.2mmに設定することが好ましい。
【0102】
図1C、
図14、
図18及び
図19に示されるように、キャップ位置検出部251は、キャップ部材41の位置(上下方向の位置)を検出するものであって、例えばキャップ部材41が封止位置Hchや上限位置HcUに到達したことを検出することが可能である。
【0103】
図14~
図16に示されるように、キャップ位置検出部251は、例えばモータ80の回転角を検出するモータ用回転角検出部252によって構成される。モータ用回転角検出部252は、例えばモータ80に備えた、レゾルバやロータリエンコーダによって構成される。このモータ用回転角検出部252により検出された、モータ80の回転角の変化を求めることによって、各カム軸71,72の回転方向CW,CCW及び回転角θを求めることができる。各カム軸71,72の回転方向CW,CCW及び回転角θは、キャップ部材41の位置(封止位置Hch及び上限位置HcUを含む)に対応する。
【0104】
このように、キャップ位置検出部251は、キャップ部材41の封止位置Hch及び上限位置HcUを検出して、検出信号を制御部240に送ることができる。なお、キャップ位置検出部251は、モータ用回転角検出部252による構成に限定されるものではなく、キャップ部材41の封止位置Hch及び上限位置HcUが上限位置HcUを検出するものであればよい。例えば、キャップ位置検出部251は、キャップ部材41が封止位置Hch及び上限位置HcUに到達したことを直接に検出する構成とすることができる。
【0105】
実施例2の制御部240は、実施例1の制御部140の制御構成を有するとともに、さらに、キャップ位置検出部251からの信号に基づいて下記の制御を行う構成である。
【0106】
図14、
図16~
図20に示されるように、制御部240は、カム軸71(第1カム73)を第1方向CW(図時計回り方向CW)へ駆動するようにモータ80を制御しているときに、キャップ位置検出部251によって検出されたキャップ部材41の位置が上限位置HcUに到達したと判断したときには、キャップ部材41を上限位置HcUから上昇高さUc分だけ下降させるまで、カム軸72を第2方向CCW(図反時計回り方向CCW)へ駆動するように、モータ80を制御する。
【0107】
次に、
図14~
図19を参照しつつ、
図20に基づいて、制御部240による制御を説明する。制御部240は、実施例1の制御部140と同様に、例えばマイクロコンピュータによって構成される。マイクロコンピュータによって構成した制御部240の、具体的な制御の一例を説明すると、次の通りである。
【0108】
図20は、制御部240の制御フローチャートであって、制御部240の一連の制御のなかの、キャップ部材41の位置を上限位置HcUから上昇高さUc分だけ下降させる制御の処理を実行するサブルーチンを示している。このサブルーチンは、所定の条件による割込処理や、時分割処置によって実行する。例えば、このサブルーチンは、モータ80の駆動を開始したという、条件のときに実行する。
【0109】
制御部240は制御を開始すると、先ずステップS11では、第1カム軸71の回転角θが0°から第1の回転角範囲θ1にあるか否かを判断する。ステップS11において、回転角検出部120から非検出信号(OFF信号)を受けた場合、つまり、回転角θが0°から第1の回転角範囲θ1にあると判断した場合には、キャップ部材41が上昇位置にあるので、ステップS12へ進む。一方、ステップS11において、第1カム軸71の回転角θが第1の回転角範囲θ1にはないと判断した場合には、このサブルーチンを終了する。
【0110】
ステップS12では、モータ80がカム軸71を第1方向CWへ駆動しているか否かを判断する。第1方向CWであるか否かは、モータ用回転角検出部252により検出された、モータ80の回転角の変化によって判断することができる。ステップS12において、第1方向CWへ駆動していると判断した場合には、ステップS13へ進む。一方、ステップS12において、第1方向CWへ駆動していないと判断した場合には、このサブルーチンを終了する。
【0111】
ステップS13では、キャップ位置検出部251によって検出されたキャップ部材41の位置が、上限位置HcU(
図18参照)に到達したか否かを判断し、到達するまでステップS11及びステップS12を繰り返す。ステップS13において、到達したと判断した場合には、ステップS14へ進む。
【0112】
ステップS14では、キャップ部材41を上限位置HcUからカム軸72を第2方向CCW(図反時計回り方向CCW)へ駆動するように、モータ80を逆転制御して、ステップS15へ進む。
【0113】
ステップS15では、キャップ位置検出部251によって検出されたキャップ部材41の位置が、上限位置HcUから上昇高さUc分だけ下降した(
図19の封止位置Hchまで下降した)か否かを判断し、到達するまでステップS14を繰り返す。ステップS15において、上昇高さUc分だけ下降したと判断した場合には、ステップS16へ進む。ここで、上昇高さUcは、予め設定されている一定値である。
【0114】
ステップS16では、モータ80を停止した後にサブルーチンを終了する。
【0115】
次に、
図17~
図19を参照しつつ、キャップユニット40の動作を説明する。
【0116】
図17に示されるように、キャップユニット40を使用しないときには、昇降台62は、付勢部材65によって下方へ付勢されている。この付勢部材65の付勢力は、キャップ部材41を最下降位置Hclに保持可能な程度に設定されている。
【0117】
その後、キャップユニット40を使用するときには、制御部240はモータ80(
図14参照)を第1方向CWへ回転させる。モータ80は第1カム73を第1方向CWへ回転させる。第1カム73は、付勢部材65の付勢力に抗して昇降台62及びキャップユニット40を、
図18に示される上限位置HcUまで上昇させる。
【0118】
キャップユニット40が上限位置HcUに到達すると、制御部240はモータ80を逆転させる。モータ80は第1カム73を第2方向CCWへ逆転させる。第1カム73の逆転に従って、昇降台62及びキャップユニット40は、付勢部材65の付勢力によって下降する。
【0119】
キャップユニット40が上限位置HcUから上昇高さUc分だけ下降したときには、制御部240はモータ80を停止させる。この結果、昇降台62及びキャップユニット40は、封止位置Hchで停止する。キャップ部材41は、記録ヘッド14のノズル面16を適切な状態で封止する。
【0120】
以上の実施例2の説明をまとめると次のとおりである。
【0121】
図18に示されるように、記録ヘッド14のノズル15のノズル面16に対する、キャップ部材41の封止位置Hchよりも、更に、予め設定されている一定の上昇高さUcだけ上昇した位置を上限位置HcUとする。
【0122】
図14に示されるように、画像形成装置200は、キャップ部材41の位置を検出するキャップ位置検出部251と、モータ80を制御する制御部240とを、更に備えている。
【0123】
図14、
図16~
図20に示されるように、制御部240は、カム軸71(第1カム73)を第1方向CW(図時計回り方向CW)へ駆動するようにモータ80を制御しているときに、キャップ位置検出部251によって検出されたキャップ部材41の位置が上限位置HcUに到達したと判断したときには、キャップ部材41を上限位置HcUから上昇高さUc分だけ下降させるまで、カム軸72を第2方向CCW(図反時計回り方向CCW)へ駆動するように、モータ80を制御する構成である。
【0124】
モータ80の出力軸81とカム軸71,72とはギヤ機構90によって接続されている。このギヤ機構90は、モータ80の回転速度を減速してカム軸71,72に伝達する、いわゆる減速機構である。このため、モータ80のトルクに比べて、第1カム73による駆動トルクは大きい。
【0125】
しかも、第1カム73によって、昇降台62及びキャップユニット40を上昇させるときには、昇降台62及びキャップユニット40の自重や付勢部材65の付勢力に抗するとともに、キャップ部材41によって記録ヘッド14のノズル15のノズル面16を押し付けるので、上昇させるトルク(上昇トルク)は大きい。
【0126】
一方、キャップユニット40が封止位置Hchまで上昇した時点で、モータ80を停止させた場合には、昇降台62及びキャップユニット40の自重、付勢部材65の付勢力、ノズル面16に押し付けられているキャップ部材41の反力は、下向き荷重(下降荷重)として第1カム73に作用する。つまり、下向き荷重によって、第1カム73には第2方向CCWへ回すトルク(逆トルク、下降トルク)が作用する。逆トルクは、上昇トルクよりも小さい。つまり、キャップユニット40を上昇させるときと下降させるときとでは、トルクのヒステリシスがある。モータ80の停止状態において、逆トルクにより、第1カム73及びギヤ機構90(減速機構90)を介してモータ80を逆転させるには、トルクが小さい。
【0127】
しかし、ギヤ機構90を構成している各ギヤ間には、必然的にバックラッシを有する。キャップユニット40が封止位置Hchまで上昇した時点で、モータ80を停止させた場合に、第1カム73及びギヤ機構90は、少なくともバックラッシの分の僅かな逆転量だけは、第2方向CCWへの逆トルクによって逆転し得る。第1カム73が逆転した分だけ、キャップ部材41はノズル面16から下方へ離れる。キャップ部材41によるノズル面16の封止状態を、より最適化するためには、何らかの配慮が好ましい。
【0128】
これに対して実施例2では、
図18に示されるように、キャップ部材41を最上昇位置Hchよりも一定量(上昇高さUc分)だけ高い上限位置HcUまで一旦上げた後に、この一定量(上昇高さUc分)だけ下げるようにした。つまり、例えばモータ80をバックラッシの分の僅かな逆転量だけ逆転させることにより、キャップ部材41の位置を最上昇位置Hchに補正することができる。これにより、キャップ部材41によるノズル面16の封止状態を、より最適化することができる。
【0129】
実施例2の画像形成装置200は、実施例2の効果の他に、上記実施例1の画像形成装置10の効果と同様の効果を発揮することができる。
【0130】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0131】
例えば、回転角検出部120は、基準点P0と第1の回転角範囲θ1と第2の回転角範囲θ2とを、識別可能であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の画像形成装置10,200は、インクジェット式のプリンタに好適である。
【符号の説明】
【0133】
10 画像形成装置
14 記録ヘッド
15 ノズル
16 ノズル面
31 カバー
32 リッド
41 キャップ部材
51 ワイパー部材
61a 固定部材
71 第1カム軸(カム軸)
73 第1カム
74 第2カム
80 モータ
81 出力軸
90 ギヤ機構
95 第4ギヤ(最終ギヤ)
111 手動調整用のダイヤル
120 回転角検出部
121 被検出体
122 検出部
131 第1ストッパ
132 第2ストッパ
133 ピン
134 長孔
140 制御部
200 画像形成装置
240 制御部
251 キャップ位置検出部
252 モータ用回転角検出部
CW 第1方向
CCW 第2方向
Hc キャップ部材の高さ
Hcl キャップ部材の最下降位置
Hch キャップ部材の最上昇位置;封止位置
HcU 上限位置
Hw ワイパー部材の高さ
Hwl ワイパー部材の最下降位置
Hwh ワイパー部材の最上昇位置
L1 基準点に対する第1方向の限界点
L11 上限角
L2 基準点に対する第2方向への限界点
P0 回転方向の基準点
P1 第1点
P2 第2点
Uc 一定の上昇高さ
α 一定角度
β 上昇角
θ 第1カム軸の回転角
θ1 第1の回転角範囲
θ2 第2の回転角範囲