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  • 特開-筆穂 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152691
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】筆穂
(51)【国際特許分類】
   B43K 1/12 20060101AFI20231005BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20231005BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20231005BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B43K1/12 A
A45D34/04 510B
C08L77/00
C08L67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009977
(22)【出願日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2022057431
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小倉 和人
【テーマコード(参考)】
2C350
4J002
【Fターム(参考)】
2C350GA05
2C350HA14
2C350NC02
2C350NC20
2C350NC32
2C350NC48
4J002CF051
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF081
4J002CL011
4J002CL031
4J002FA041
4J002FD010
4J002GC00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】先行技術文献に記載されている筆穂は、縮径部が短い筆穂用繊維の先端が他の筆穂用繊維の先端に対して後方に位置するため、筆穂の先端付近に硬さを付与しにくく、まとまりの悪いものであった。本発明は、筆穂の先端付近に硬さを付与しつつ、まとまりの良い筆穂を提供することを目的とする。
【解決手段】縮径部変曲点の位置が、筆穂用繊維の長手方向に互いに異なる筆穂用繊維が用いられた筆穂を要旨とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部繊維径が0.100mm以上0.200mm以下、かつ、先端に向かい外径が小さくなる縮径部が形成された筆穂用繊維の先端を揃えて束ねられた筆穂であって、筆穂用繊維の長手方向における縮径部の外径が基部繊維径の70.0%となる地点である縮径部変曲点の位置が、筆穂用繊維の長手方向に互いに異なる少なくとも2種類の筆穂用繊維が用いられた筆穂。
【請求項2】
前記2種類の筆穂用繊維の材質が、ナイロン繊維とポリエステル繊維とであり、前記縮径部変曲点が、ナイロン繊維よりポリエステル繊維の方が筆穂用繊維の長手方向における先端側に位置する、請求項1に記載の筆穂。
【請求項3】
前記筆穂用繊維の長手方向における各縮径部変曲点間の長さが、ナイロン繊維の基部繊維径の7.0倍以上20.0倍以下である、請求項2に記載の筆穂。
【請求項4】
前記ポリエステル繊維の配合量(重量%)が前記ナイロン繊維の配合量(重量%)の1.0倍以上4.0倍以下である、請求項2又は請求項3に記載の筆穂。
【請求項5】
前記筆穂用繊維の表面粗さRaが0.10μm以上0.20μm以下である、請求項2又は請求項3に記載の筆穂。
【請求項6】
前記筆穂用繊維の表面粗さRaが0.10μm以上0.20μm以下である、請求項4に記載の筆穂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆ペン、画筆、刷毛、アイライナー、アイブローなどの塗布具の塗布先に用いられる筆穂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筆穂は、その用途に応じて材質や形状の異なる様々な筆穂用繊維を束ねて構成される。特に、所謂テーパー形状と言われる、一端に向かい外径が小さくなる縮径部が形成された筆穂用繊維は、穂先全体の形状を整えることができ塗布感も良いため重用される。例えば特許文献1には、縮径部が形成された筆穂用繊維を束ねたものであって、筆穂用繊維の長手方向における縮径部及び筆穂用繊維の長さが異なる筆穂用繊維を、各筆穂用繊維の先端位置が異なるよう束ねられた筆穂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56-83073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、あらゆる筆穂は鉛筆やボールペンなどの硬筆より軟質であるため、所望の塗布跡を形成するに際し筆穂の繊細な操作が必要となる。筆穂を硬い材質の筆穂用繊維で構成することによって塗布感を硬筆に近づけることができるため筆穂の操作が容易になる。一方、筆穂を被塗布体に押し付ける力の強弱による塗布幅の変化をつけにくく、過度に押し付けると束ねた筆穂用繊維間に割れが生じやすくなり所望の塗布跡を形成しにくいという問題がある。特許文献1に記載されている筆穂は、縮径部が短い筆穂用繊維の先端が他の筆穂用繊維の先端に対して後方に位置するため、筆穂の先端付近に硬さを付与しにくく、さらに筆穂の屈曲に対して全長の短い筆穂用繊維が追従できず散ってしまい、まとまりの悪いものであった。
【0005】
本発明は、筆穂の先端付近に硬さを付与しつつも、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基部繊維径が0.100mm以上0.200mm以下、かつ、先端に向かい外径が小さくなる縮径部が形成された筆穂用繊維の先端を揃えて束ねられた筆穂であって、筆穂用繊維の長手方向における縮径部の外径が基部繊維径の70.0%となる地点である縮径部変曲点の位置が、筆穂用繊維の長手方向に互いに異なる少なくとも2種類の筆穂用繊維が用いられた筆穂を第1の要旨とする。
また、前記2種類の筆穂用繊維の材質が、ナイロン繊維とポリエステル繊維とであり、縮径部変曲点が、ナイロン繊維よりポリエステル繊維の方が筆穂用繊維の長手方向における先端側に位置する筆穂を第2の要旨とする。
また、前記筆穂用繊維の長手方向における各縮径部変曲点間の長さが、ナイロン繊維の基部繊維径の7.0倍以上20.0倍以下である筆穂を第3の要旨とする。
また、前記ポリエステル繊維の配合量(重量%)が前記ナイロン繊維の配合量(重量%)の1.0倍以上4.0倍以下である筆穂を第4の要旨とする。
そして、前記筆穂用繊維の表面粗さRaが0.10μm以上0.20μm以下である筆穂を第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塗布具は、縮径部変曲点の位置が筆穂用繊維の長手方向に互いに異なる少なくとも2種類の筆穂用繊維が用いられることで、筆穂用繊維の先端が揃っていても筆穂用繊維同士が互いに干渉しにくくなる。よって、縮径部変曲点が筆穂用繊維の先端に近い位置に設けられた筆穂用繊維を用いて筆穂の先端付近に硬さを付与しつつも、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができる。
また第2の要旨にあっては、縮径部変曲点の位置が、比較的軟質なナイロン繊維より比較的硬質なポリエステル繊維の方が筆穂用繊維の長手方向における先端側に位置することで、各筆穂用繊維の先端が揃っていても互いに干渉しにくくなるため、筆穂の先端付近に硬さを付与しつつも、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができる。
また第3の要旨にあっては、ポリエステル繊維の縮径部変曲点がナイロン繊維の縮径部変曲点より、ナイロン繊維の基部繊維径の7.0倍以上20.0倍以下と先端側に十分離れて位置することで、筆穂が屈曲しても各縮径部変曲点同士が互いに干渉しにくく、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができる。
また第4の要旨にあっては、ポリエステル繊維の配合量(重量%)がナイロン繊維に対して1.0倍以上4.0倍以下と、比較的硬質なポリエステル繊維が筆穂全体に豊富に含まれることで筆穂先端付近の硬さを十分に発現できつつ、比較的軟質なナイロン繊維の周囲をポリエステル繊維で囲ってもナイロン繊維が柔軟に変形できるため、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができる。
そして第5の要旨にあっては、各筆穂用繊維の表面粗さRaが0.10μm以上0.20μm以下と、塗布液に対して適度な濡れ性を発現できるため各筆穂用繊維間に働く毛管力によって、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】塗布具1の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の筆穂は、筆ペン、画筆、刷毛、アイライナー、アイブローなどの塗布具の塗布先として用いることができる。塗布具には少なくとも使用者が把持するための軸筒があり、筆穂は軸筒の少なくとも一端に配置されるものである。本発明における筆穂及び筆穂用繊維のうち、軸筒の端部から露出し始める根元の部分を基部とする。また、筆穂用繊維の基部の外径を基部繊維径とする。本発明の筆穂を構成する筆穂用繊維としては、基部繊維径が0.100mm以上0.200mm以下のものの使用が特に好ましい。
【0010】
本発明の筆穂は、各筆穂用繊維の先端を揃えて束ねられている。各筆穂用繊維の先端が揃っていることで、例えば筆穂が屈曲した際に各筆穂用繊維が互いに追従できるため、筆穂が割れにくくまとまりが良くなり好ましい。各筆穂用繊維の先端を揃える方法としては各筆穂用繊維の長さに寄らず先端のみを揃えても良いが、軸筒に配置する都合上、各筆穂用繊維の後端の位置がずれ過ぎないよう各筆穂用繊維の全長自体を揃える方法が好ましい。また、各筆穂用繊維の先端を揃えるとは、測定可能な範囲内で全ての筆穂用繊維の先端位置に全く差がない状態のみを意味するものではなく、製造上の公差や使用に伴う摩耗などによる任意の位置からの多少のズレを許容するものである。
【0011】
各筆穂用繊維を束ねる際に、軸方向に貫通した中空筒状の部材である固定管を用いることもできる。軸筒の前端開口部から固定管の一端が露出するよう、軸筒に固定管を配置することができる。固定管を用いる場合、筆穂及び筆穂用繊維のうち、軸筒の前端部から露出した固定管の前端部から露出し始める根元の部分を基部とする。固定管の内壁面に、軸方向に延びる複数の突起であるリブを設けることもできる。当該リブを設けることで、塗布具の組み立て時や使用時に、筆穂を構成する筆穂用繊維同士がねじれてしまうのを抑制することができる。また、各筆穂用繊維を束ねた筆穂の後端を、接着剤の使用や各筆穂用繊維の溶着等の方法で固定することもできる。
【0012】
筆穂用繊維には、先端に向かい筆穂用繊維の外径が小さくなる縮径部が形成されている。各筆穂用繊維は基部から縮径部の始点まではほぼ一定の外径となっている。縮径部の始点から先端に向かう外径の変化量は一定であっても変化があっても良い。本発明では、筆穂用繊維の長手方向における、縮径部の外径が基部繊維径の70.0%となる地点を縮径部変曲点とする。縮径部を設ける範囲を狭めたり、縮径部変曲点をより先端側に設けたりすることで、筆穂用繊維の外径が大きい範囲を広くすることができ、筆穂を被筆記面(被塗布面)に接触させて屈曲させた際に、筆穂が元の直線状の形状に戻ろうとする力が大きくなり、筆記感を硬筆に近づけることができ使用しやすくなるものである。
【0013】
筆穂用繊維に縮径部を形成する方法としては、例えば、メタクレゾールと塩化カルシウム-メタノール溶液との混和液である処理液による方法、筆穂用繊維に熱延伸を与えて引き伸ばす方法、グラインダーなどによって研磨する方法などが挙げられる。
【0014】
本発明の筆穂を構成する筆穂用繊維には、縮径部変曲点の位置が、筆穂用繊維の長手方向に互いに異なる少なくとも2種類の筆穂用繊維が用いられる。つまり、縮径部変曲点の位置が、他方の筆穂用繊維より先端側に位置する筆穂用繊維と、基部側に位置する筆穂用繊維とが用いられる。このような少なくとも2種類の筆穂用繊維を用いることで、筆穂を使用する際に縮径部変曲点付近同士が互いに干渉し合って、筆穂の一部に割れが生じ、筆穂全体が意図せず広がるのを抑制することができる。具体的には、一方の繊維の縮径部変曲点から先端側の、空間的に隙間の大きい長手方向範囲内に他方の繊維の始点から縮径部変曲点まで程度の、外径が比較的大きい部分を位置させることできるため各繊維が互いに干渉しにくくなる。また、縮径部の始点ではなく縮径部変曲点の位置をずらすことによって、縮径部の始点からの縮径の仕方が比較的緩やかな筆穂用繊維であっても外径が基部繊維径の70.0%程度まで小さくなった地点を基準にすることで確実に各繊維の干渉を防ぐことができ好ましい。そして、2種類の筆穂用繊維のうち一方又は両方の縮径部変曲点を筆穂用繊維のより先端側に設けて筆穂の先端付近に硬さを付与して筆記感を硬筆に近づけても、筆穂全体として割れにくくまとまりの良い筆穂とすることができる。なお、2種類以上の筆穂用繊維は、各繊維同士がなるべく均一に混ざり合うようにして束ねられる。
【0015】
本発明の筆穂は、先述の効果を妨害しない種類、量であれば、3種類以上の筆穂用繊維を用いることもできる。また、筆穂用繊維自体の長手方向に直交する方向の断面形状(横断面形状)は、任意のものを使用することができ、円形、多角形、内部が空洞の中空のものなどを用いることもできる。
【0016】
筆穂用繊維の材質としては、例えば、ナイロン(6,6-ナイロン、6-ナイロン、12-ナイロン、6,10-ナイロン、6,12-ナイロンなど)、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなど)、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレン共重合物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合物など、又はこれらの材質の複合材などを適宜選択することができる。また、これらの材質を用いて筆穂用繊維を得る材料樹脂中に、カルシウム、マンガン、亜鉛、銅、炭酸カルシウム、カオリナイト、クレー、水酸化アルミニウム等の無機充填剤を添加し、強度、耐磨耗性、耐薬品性、耐熱性、形状安定性などの機械的、物理的特性を付与したり、表面にこれら無機粉体の粒子径や配合量などを調整して所望の表面粗さに調整したりすることもできる。
【0017】
本発明の筆穂に用いられる、少なくとも2種類の筆穂用繊維の材質が、ナイロン繊維とポリエステル繊維とであると好ましい。ナイロン繊維は分子内にアミド基を持つため親水性があり、塗布液の液媒体を吸水することで比較的軟質な繊維となる。ナイロン繊維は他の合成繊維を比べて耐摩耗性や屈曲回復性にも優れているため、度重なる使用によって繊維が切れたり形状が変化したりすることがなく好ましい。ポリエステル繊維は比較的硬質な繊維であり、筆穂に硬さを付与することができ好ましい。
【0018】
そして、ポリエステル繊維からなる筆穂用繊維の縮径部変曲点の方が、ナイロン繊維からなる筆穂用繊維の縮径部変曲点より、筆穂用繊維の長手方向における先端側に位置すると好ましい。これにより、比較的硬質なポリエステル繊維が筆穂の先端付近まで外径が大きいままのため、筆穂の先端付近に硬さを付与することができ、筆穂全体としては割れにくくまとまりの良くすることができ好ましい。例えば筆穂を被塗布面に対して急な角度(より垂直に近い角度)で使用せずとも筆穂先端付近に硬筆感を感じやすくなり好ましい。
【0019】
また、各筆穂用繊維の長手方向における各縮径部変曲点間の長さが、ナイロン繊維の基部繊維径の7.0倍以上20.0倍以下とすると好ましい。このように、ポリエステル繊維の縮径部変曲点がナイロン繊維の縮径部変曲点より筆穂用繊維の長手方向における先端側に十分にずれて位置することで、筆穂が屈曲しても各縮径部変曲点同士が互いに干渉しにくくなり、なおかつ、ナイロン繊維の縮径部変曲点がポリエステル繊維の縮径部変曲点から離れすぎていないため、例えば筆穂を被塗布面に対して急な角度(より垂直に近い角度)で使用し、筆穂がより屈曲した状態でも各繊維の追従性に優れ、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができ好ましい。縮径部変曲点の位置がそれぞれ異なる3種類以上の筆穂用繊維を用いる場合であって、2種類以上のナイロン繊維を用いる場合は、各筆穂用繊維の長手方向における各縮径部変曲点間の長さが、いずれのナイロン繊維の基部繊維径に対しても、7.0倍以上20.0倍以下であると好ましい。
【0020】
また、ポリエステル繊維の配合量(重量%)をナイロン繊維の配合量(重量%)の1.0倍以上4.0倍以下とすると好ましい。このように、比較的硬質なポリエステル繊維が筆穂全体に豊富に含まれることで筆穂先端付近の硬さを十分に発現できつつ、比較的軟質なナイロン繊維の周囲をポリエステル繊維で囲ってもナイロン繊維が柔軟に変形できるため、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができ好ましい。縮径部変曲点の位置がそれぞれ異なる3種類以上の筆穂用繊維を用いる場合であって、2種類以上のナイロン繊維及び/又はポリエステル繊維を用いる場合は、ポリエステル繊維の合計の配合量(重量%)がナイロン繊維の合計の配合量(重量%)の1.0倍以上4.0倍以下とすると好ましい。
【0021】
さらに、各筆穂用繊維の表面粗さRaを0.10μm以上0.20μm以下とすると好ましい。塗布液に対して適度な濡れ性を発現できるため各筆穂用繊維間に働く毛管力によって、割れにくくまとまりの良い筆穂を提供することができ好ましい。
【0022】
(塗布液1)
塗布液の例としては、以下のようなインキ組成物を例示することができる。
WATER RED 2(赤色着色剤、C.I.Acid Red 87、オリエント化学工業株式会社製) 0.10重量部
WATER BLACK L200(黒色着色剤、C.I.Direct Black 19、主溶媒として水、オリエント化学工業株式会社製) 34.00重量部
WATER YELLOW 1(黄色着色剤、C.I.Acid Yellow 23、オリエント化学工業株式会社製) 0.05重量部
WATER BLACK 191L(黒色着色剤、C.I.Direct Black 19、主溶媒として水、オリエント化学工業株式会社製) 14.60重量部
エチレングリコール(溶剤、三菱化学株式会社製) 10.00重量部
へキシレングリコール(速乾性付与剤、三井化学株式会社製) 8.00重量部
尿素(保湿剤、三井化学株式会社製) 9.00重量部
PVP K-90(にじみ防止剤、ポリビニルピロリドン、アイ・エス・ビージャパン株式会社) 0.05重量部
PROXEL GXL(S)(防腐剤として1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、pH調整剤として水酸化ナトリウム、主溶媒としてイオン交換水、ロンザジャパン株式会社製)
0.20重量部
サンアイバックNaオマジン(防腐剤として2-メルカプトピリジン-N-オキサイドナトリウム塩、安定化剤として塩化水素、防腐剤としてビス(1-オキシ-2-ピリジル)ジスルフイド、主溶媒としてイオン交換水、三愛石油株式会社製) 0.50重量部
水酸化ナトリウム(pH調整剤、東京応化工業株式会社製) 0.06重量部
イオン交換水 23.44重量部
上記材料を任意の容器に全量投入し、十分攪拌することで得られる、黒色の水性染料インキ組成物を塗布液とすることができる。
【0023】
(塗布液2)
また、塗布液の他の例として、以下のようなインキ組成物も例示することができる。
WATER YELLOW 1(黄色着色剤、C.I.Acid Yellow 23、オリエント化学工業株式会社製) 0.03重量部
WATER BLACK 191L(黒色着色剤、C.I.Direct Black 19、主溶媒として水、オリエント化学工業株式会社製) 2.90重量部
WATER RED 1(赤色着色剤、C.I.Acid Red 18、オリエント化学工業株式会社製) 0.03重量部
エチレングリコール(溶剤、三菱化学株式会社製) 23.00重量部
へキシレングリコール(速乾性付与剤、三井化学株式会社製) 8.00重量部
PVP K-90(にじみ防止剤、ポリビニルピロリドン、アイ・エス・ビージャパン株式会社) 0.40重量部
PROXEL GXL(S)(防腐剤として1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、pH調整剤として水酸化ナトリウム、主溶媒としてイオン交換水、ロンザジャパン株式会社製)
0.20重量部
サンアイバックNaオマジン(防腐剤として2-メルカプトピリジン-N-オキサイドナトリウム塩、安定化剤として塩化水素、防腐剤としてビス(1-オキシ-2-ピリジル)ジスルフイド、主溶媒としてイオン交換水、三愛石油株式会社製) 0.50重量部
水酸化ナトリウム(pH調整剤、東京応化工業株式会社製) 0.06重量部
イオン交換水 64.94重量部
上記材料を任意の容器に全量投入し、十分攪拌することで得られる、灰色の水性染料インキ組成物を塗布液とすることもできる。
【実施例0024】
以降、本発明に係る実施例及び比較例について説明する。なお、これらの記載は本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【0025】
各実施例及び比較例は、図1に示す塗布具1を基本構造とする。塗布具1は、所謂筆ペンである。塗布具1は、ポリプロピレン樹脂製の軸筒2に、各部品が配置され構成されている。軸筒2は円筒状の部材である。軸筒2の内部には、先述の塗布液1又は塗布液2が含浸されたアクリル繊維の収束体である塗布液吸蔵体3が収納されている。塗布液1又は塗布液2は、いずれも1.80g含浸されている。塗布液吸蔵体3の端面からはポリエチレンテレフタレート樹脂製の中継芯4の一端が挿入され、中継芯4の他端は塗布先としての筆穂5の端面に挿入されており、塗布液吸蔵体3から筆穂5まで塗布液を供給可能となっている。筆穂5はポリプロピレン樹脂製の固定管6を介して軸筒2の開口端部に配置されている。軸筒2の、筆穂5側の端部にはポリプロピレン樹脂製のキャップ7が、筆穂5に対して長手方向反対側の開口端部には、ポリプロピレン樹脂製の尾栓8が配置されている。
【0026】
各実施例及び比較例の筆穂5は、表1及び表2に記載の各筆穂用繊維がなるべく均一に混ざり合うようにして束ねて作成した。筆穂5の基部から先端までの長さは21.00mmであり、基部の外径がφ3.60mmである。また、後述する荷重測定方法及び割れの評価方法の結果を、表3に記載した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(荷重測定方法)
各実施例及び比較例に係る筆穂5が配置された塗布具1を用意し、塗布可能な程度に筆穂5に塗布液1又は塗布液2が含浸した状態とした。計量機器(UF-60、新光電子株式会社製)の計量皿状に被塗布面としての普通紙を置き、筆穂5と被塗布面とのなす角が、それぞれ、40°、60°、80°になるよう塗布具1をセットした。各角度において、筆穂5の先端から2mmの位置までを被塗布面に押し付けた際の荷重を確認し、筆穂5先端付近の硬さの評価とした。
【0030】
(割れの評価方法)
荷重測定に伴い、各角度において、筆穂5の先端から2mmの位置までを被塗布面に押し付けた際に、筆穂5に割れが生じるかを目視にて確認した。目視の結果、一切の割れが確認できない場合を「5」、筆穂5の1か所のみにわずかに筆穂用繊維の密集の程度が低くなり筆穂5が薄く見える箇所が確認できる場合を「4」、筆穂5の2か所のみにわずかに筆穂用繊維の密集の程度が低くなり筆穂5が薄く見える箇所が確認できる場合を「3」、筆穂5の1か所に割れが確認できる場合を「2」、筆穂5の2か所以上に割れが確認できる場合を「1」、と評価した。
【0031】
【表3】
【0032】
実施例1から実施例81に係る筆穂5は、基部繊維径が0.100mm以上0.200mm以下、かつ、先端に向かい外径が小さくなる縮径部が形成された筆穂用繊維の先端を揃えて束ねられた筆穂5であって、筆穂用繊維の長手方向における縮径部の外径が基部繊維径の70.0%となる地点である縮径部変曲点の位置が、筆穂用繊維の長手方向に互いに異なる少なくとも2種類の筆穂用繊維が用いられた筆穂5である。そのため、筆穂5の先端付近である先端から2mmの位置において、所望の硬さを付与しつつ、各比較例より、いずれの角度においても割れにくくまとまりの良い筆穂5とすることができた。
比較例1から比較例5に係る筆穂5は、各筆穂用繊維の縮径部変曲点の位置が同じであるため、割れの生じやすい筆穂5となった。
【符号の説明】
【0033】
1 塗布具
2 軸筒
3 塗布液吸蔵体3
4 中継芯
5 筆穂
6 固定管
7 キャップ
8 尾栓
図1