(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152730
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/06 20090101AFI20231005BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231005BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20231005BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20231005BHJP
【FI】
H04W24/06
G06Q50/10
H04W84/06
H04W88/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022780
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2022059471の分割
【原出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】津金 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大橋 朋紘
(72)【発明者】
【氏名】川名 弘志
【テーマコード(参考)】
5K067
5L049
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067DD42
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH21
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飛行装置が発する電波による周辺の基地局が行う無線通信に対する干渉を抑えつつ、良好な無線通信を行う飛行装置を運航させる。
【解決手段】運航計画管理装置1は、飛行予定の飛行装置の運航計画情報に含まれる飛行装置の運航予定範囲に基づいて飛行装置と無線通信を行う基地局を特定する基地局特定部133と、飛行装置が運航予定範囲を飛行中に所定の動作を実行している場合に行われる基地局と飛行装置との間での無線通信の通信性能が要求通信性能を満たすときの、基地局の周辺基地局が行う無線通信に対して飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する干渉量取得部135と、飛行装置が運航予定範囲を飛行して無線通信を行う場合に、干渉量の推定値が、周辺基地局が行う無線通信に対して飛行装置が与える電波の干渉量の許容範囲を超えないかを判定する判定部136と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行する予定の飛行装置を識別するための飛行装置識別情報と、当該飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報とを含む運航計画情報を取得する計画情報取得部と、
前記運航予定範囲に基づいて前記飛行装置と無線通信を行う基地局を特定する基地局特定部と、
所定の動作を実行する際に前記飛行装置に要求される所定の通信性能である要求通信性能を示す情報を記憶する記憶部と、
前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行中に前記所定の動作を実行している間に行われる前記基地局と前記飛行装置との間での無線通信の通信性能が前記要求通信性能を満たすときの、前記基地局の周辺の基地局である周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する干渉量取得部と、
前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行して前記基地局と無線通信を行う場合に、前記推定値が、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の所定の許容範囲を超えないかを判定する判定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、所定の用途に対応する動作を実行する際に前記飛行装置に要求される所定の通信性能である要求通信性能を示す情報を記憶し、
前記干渉量取得部は、前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行中に前記所定の用途に対応する動作を実行している間に行われる前記基地局と前記飛行装置との間での無線通信の通信性能が前記要求通信性能を満たすときの、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記要求通信性能の実現に必要となる前記基地局が前記飛行装置に割り当てる前記無線通信のリソース量である新規割当リソース量と、前記飛行装置に割り当て可能な前記リソース量である割当可能リソース量とを特定するリソース量特定部をさらに有し、
前記判定部は、前記リソース量特定部が特定した前記割当可能リソース量と前記新規割当リソース量とに基づいて、前記飛行装置に対して前記新規割当リソース量に対応するリソースを割り当て可能であるかを判定し、
前記飛行装置に対して前記新規割当リソース量に対応するリソースを割り当て可能であるとともに、前記推定値が前記許容範囲を超えないと前記判定部が判定すると、前記飛行装置の運航を許可する運航許可部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運航計画情報には、前記飛行装置が前記無線通信を行うための通信モジュールを識別するためのモジュール識別情報が含まれており、
前記リソース量特定部は、前記運航計画情報に含まれる前記モジュール識別情報に基づいて特定される、前記通信モジュールが行う前記無線通信のスペックである前記無線通信に対応する通信規格、使用周波数帯域、変調方式の少なくともいずれかに基づいて前記新規割当リソース量を特定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の飛行装置それぞれに対応する前記運航計画情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記リソース量特定部は、前記記憶部に記憶されている複数の前記運航計画情報を参照し、前記計画情報取得部が取得した前記運航計画情報が示す前記飛行装置が飛行する予定の日時に、当該運航計画情報が示す前記運航予定範囲を飛行する他の飛行装置を特定し、特定した他の飛行装置に対して当該日時に割り当てられている当該他の飛行装置と前記基地局との間で行われる無線通信のリソース量に基づいて、前記割当可能リソース量を特定する、
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記リソース量特定部は、前記飛行装置を含む前記基地局と無線通信を行う全ての飛行装置それぞれに割り当てられる割当リソース量を特定し、
前記干渉量取得部は、前記リソース量特定部が特定した前記全ての飛行装置それぞれに割り当てられる前記割当リソース量に基づいて、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記全ての飛行装置が与える電波の前記干渉量の推定値を取得する、
請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記干渉量取得部は、前記基地局がカバーするエリアにおける空間の開放性に対応する前記基地局の種別に基づいて、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の前記干渉量の推定値を取得する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記干渉量と、前記飛行装置に出力させる前記無線通信の送信電力量を指示する指示値との関係と、前記無線通信の通信性能と、当該指示値との関係とを示す情報に基づいて、前記干渉量の閾値を下回るとともに、前記要求通信性能を上回る通信性能が期待される送信電力を前記飛行装置に出力させる前記指示値を特定する指示値特定部と、
前記指示値を示す情報を前記飛行装置に通知する前記基地局に対し、前記飛行装置に前記指示値を送信させるための情報を通知する通知部と、
をさらに有する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記干渉量取得部は、前記飛行装置と前記無線通信を行う複数の前記基地局それぞれに対応して前記干渉量の推定値を取得し、
前記指示値特定部は、前記複数の前記基地局それぞれに対して特定された干渉量の推定値に基づいて、複数の前記基地局それぞれに対応する前記指示値を特定し、
前記通知部は、複数の前記基地局それぞれに対し、当該基地局に対して特定された前記指示値を送信させるための情報を通知する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記干渉量取得部は、前記飛行装置と前記無線通信を行う複数の前記基地局それぞれにおける前記干渉量の推定値を取得し、
前記判定部は、前記複数の前記基地局それぞれに対応する前記干渉量の閾値と、前記干渉量の推定値とを比較することにより、前記複数の前記基地局それぞれにおいて前記推定値が前記許容範囲を超えないかを判定し、
前記複数の前記基地局それぞれにおいて前記推定値が前記許容範囲を超えないと前記判定部が判定すると、前記運航計画情報が示す前記飛行装置の運航を許可する運航許可部をさらに有する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する、
飛行する予定の飛行装置を識別するための飛行装置識別情報と、当該飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報とを含む運航計画情報を取得するステップと、
前記運航予定範囲に基づいて前記飛行装置と無線通信を行う基地局を特定するステップと、
前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行中に所定の動作を実行している間に行われる前記基地局と前記飛行装置との間での無線通信の通信性能が、記憶部に記憶されている前記所定の動作を実行する際に前記飛行装置に要求される所定の通信性能である要求通信性能を示す情報が示す前記要求通信性能を満たすときの、前記基地局の周辺の基地局である周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得するステップと、
前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行して前記無線通信を行う場合に、前記推定値が、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の所定の許容範囲を超えないかを判定するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行装置を、所定の飛行ルートに沿って飛行させる技術が普及している。飛行装置は、無線通信を用いて外部装置と通信可能であり、飛行中に生成したデータを外部装置に送信可能となっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行装置が飛行中に無線通信を行うために発する電波が飛行装置の周辺の基地局と地上装置との無線通信に対して干渉してしまうという問題がある。一方で、飛行装置の無線通信の送信電力を低くすると、データの送信性能を低下させる問題が発生する。このため、飛行装置が発する電波による周辺の基地局が行う無線通信に対する干渉を抑えつつ、所望の無線通信の通信性能を確保できる飛行装置のみ運航させることが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、飛行装置が発する電波による周辺の基地局が行う無線通信に対する干渉を抑えつつ、良好な無線通信を行う飛行装置を運航させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、飛行する予定の飛行装置を識別するための飛行装置識別情報と、当該飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報とを含む運航計画情報を取得する計画情報取得部と、
前記運航予定範囲に基づいて前記飛行装置と無線通信を行う基地局を特定する基地局特定部と、
所定の動作を実行する際に前記飛行装置に要求される所定の通信性能である要求通信性能を示す情報を記憶する記憶部と、前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行中に前記所定の動作を実行している間に行われる前記基地局と前記飛行装置との間での無線通信の通信性能が前記要求通信性能を満たすときの、前記基地局の周辺の基地局である周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する干渉量取得部と、前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行して前記基地局と無線通信を行う場合に、前記推定値が、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の所定の許容範囲を超えないかを判定する判定部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、所定の用途に対応する動作を実行する際に前記飛行装置に要求される所定の通信性能である要求通信性能を示す情報を記憶し、前記干渉量取得部は、前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行中に前記所定の用途に対応する動作を実行している間に行われる前記基地局と前記飛行装置との間での無線通信の通信性能が前記要求通信性能を満たすときの、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記要求通信性能の実現に必要となる前記基地局が前記飛行装置に割り当てる前記無線通信のリソース量である新規割当リソース量と、前記飛行装置に割り当て可能な前記リソース量である割当可能リソース量とを特定するリソース量特定部をさらに有し、前記判定部は、前記リソース量特定部が特定した前記割当可能リソース量と前記新規割当リソース量とに基づいて、前記飛行装置に対して前記新規割当リソース量に対応するリソースを割り当て可能であるかを判定し、前記情報処理装置は、前記飛行装置に対して前記新規割当リソース量に対応するリソースを割り当て可能であるとともに、前記推定値が前記許容範囲を超えないと前記判定部が判定すると、前記飛行装置の運航を許可する運航許可部をさらに有してもよい。
【0009】
前記運航計画情報には、前記飛行装置が前記無線通信を行うための通信モジュールを識別するためのモジュール識別情報が含まれており、前記リソース量特定部は、前記運航計画情報に含まれる前記モジュール識別情報に基づいて特定される、前記通信モジュールが行う前記無線通信のスペックである前記無線通信に対応する通信規格、使用周波数帯域、変調方式の少なくともいずれかに基づいて前記新規割当リソース量を特定してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、複数の飛行装置それぞれに対応する前記運航計画情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記リソース量特定部は、前記記憶部に記憶されている複数の前記運航計画情報を参照し、前記計画情報取得部が取得した前記運航計画情報が示す前記飛行装置が飛行する予定の日時に、当該運航計画情報が示す前記運航予定範囲を飛行する他の飛行装置を特定し、特定した他の飛行装置に対して当該日時に割り当てられている当該他の飛行装置と前記基地局との間で行われる無線通信のリソース量に基づいて、前記割当可能リソース量を特定してもよい。
【0011】
前記リソース量特定部は、前記飛行装置を含む前記基地局と無線通信を行う全ての飛行装置それぞれに割り当てられる割当リソース量を特定し、前記干渉量取得部は、前記リソース量特定部が特定した前記全ての飛行装置それぞれに割り当てられる前記割当リソース量に基づいて、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記全ての飛行装置が与える電波の前記干渉量の推定値を取得してもよい。
【0012】
前記干渉量取得部は、前記基地局がカバーするエリアにおける空間の開放性に対応する前記基地局の種別に基づいて、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の前記干渉量の推定値を取得してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、前記干渉量と、前記飛行装置に出力させる前記無線通信の送信電力量を指示する指示値との関係と、前記無線通信の通信性能と、当該指示値との関係とを示す情報に基づいて、前記干渉量の閾値を下回るとともに、前記要求通信性能を上回る通信性能が期待される送信電力を前記飛行装置に出力させる前記指示値を特定する指示値特定部と、前記指示値を示す情報を前記飛行装置に通知する前記基地局に対し、前記飛行装置に前記指示値を送信させるための情報を通知する通知部と、をさらに有してもよい。
【0014】
前記干渉量取得部は、前記飛行装置と前記無線通信を行う複数の前記基地局それぞれに対応して前記干渉量の推定値を取得し、前記指示値特定部は、前記複数の前記基地局それぞれに対して特定された干渉量の推定値に基づいて、複数の前記基地局それぞれに対応する前記指示値を特定し、前記通知部は、複数の前記基地局それぞれに対し、当該基地局に対して特定された前記指示値を送信させるための情報を通知してもよい。
【0015】
前記干渉量取得部は、前記飛行装置と前記無線通信を行う複数の前記基地局それぞれにおける前記干渉量の推定値を取得し、前記判定部は、前記複数の前記基地局それぞれに対応する前記干渉量の閾値と、前記干渉量の推定値とを比較することにより、前記複数の前記基地局それぞれにおいて前記推定値が前記許容範囲を超えないかを判定し、前記情報処理装置は、前記複数の前記基地局それぞれにおいて前記推定値が前記許容範囲を超えないと前記判定部が判定すると、前記運航計画情報が示す前記飛行装置の運航を許可する運航許可部をさらに有してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、飛行する予定の飛行装置を識別するための飛行装置識別情報と、当該飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報とを含む運航計画情報を取得するステップと、前記運航予定範囲に基づいて前記飛行装置と無線通信を行う基地局を特定するステップと、前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行中に所定の動作を実行している間に行われる前記基地局と前記飛行装置との間での無線通信の通信性能が、記憶部に記憶されている前記所定の動作を実行する際に前記飛行装置に要求される所定の通信性能である要求通信性能を示す情報が示す前記要求通信性能を満たすときの、前記基地局の周辺の基地局である周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得するステップと、前記飛行装置が前記運航予定範囲を飛行して前記無線通信を行う場合に、前記推定値が、前記周辺基地局が行う無線通信に対して前記飛行装置が与える電波の干渉量の所定の許容範囲を超えないかを判定するステップと、を有する。
【0017】
【0018】
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、飛行装置が発する電波による周辺の基地局が行う無線通信に対する干渉を抑えつつ、良好な無線通信を行えるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】運航計画管理システムの概要を示す図である。
【
図2】運航計画管理装置の機能構成を示す図である。
【
図6】スループット特性情報の一例を示す図である。
【
図8】運航計画管理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[運航計画管理システムSの概要]
図1は、運航計画管理システムSの概要を示す図である。運航計画管理システムSは、ドローン等の無人航空機である飛行装置の運航計画を管理するシステムである。
【0022】
運航計画管理システムSは、運航計画管理装置1と、運航者端末2とを有する。運航計画管理装置1は、有線又は無線の通信ネットワークNを介して、運航者端末2と通信可能に接続された情報処理装置である。
【0023】
運航計画管理装置1は、例えば、所定エリアを飛行する飛行装置の運航を管理する運航管理者としてのUASSP(Unmanned Aircraft Systems Service Provider)により運用されるコンピュータである。運航管理者は、例えば、所定エリアに設置されている複数の基地局により構築されている携帯電話回線等の無線通信回線を提供する所定の通信事業者である。運航計画管理装置1は、所定の通信事業者が提供する無線通信回線を利用して所定エリアを飛行する飛行装置の運航計画を管理する。
【0024】
運航者端末2は、飛行装置の運航者(Unmanned Aircraft System Operator:UASO)が使用する端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等のコンピュータである。運航者端末2は、運航計画管理装置1に対して運航計画を申請するために用いられる。
【0025】
運航計画管理装置1は、運航者端末2から、飛行装置の飛行の申請データを取得する。申請データには、飛行する予定の飛行装置を識別するための飛行装置識別情報である飛行装置IDと、当該飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報とを含む運航計画情報が含まれている。
【0026】
運航計画管理装置1は、申請データを取得すると、運航計画情報に含まれる運航予定範囲情報が示す運航予定範囲に基づいて、地上に設けられている複数の基地局のうち、飛行装置と無線通信を行う基地局を特定する。運航計画管理装置1は、飛行装置が運航予定範囲を飛行して無線通信を行う場合における、特定した基地局の周辺の基地局である周辺基地局が行う無線通信に対して飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する。干渉量の推定値は、例えば、飛行装置が電波を出力するときの送信電力に基づいて、予め算出された値である。周辺基地局は、飛行装置が特定した基地局と無線通信を行う場合に、当該飛行装置が無線通信を行わない基地局である。
【0027】
運航計画管理装置1は、飛行装置が運航予定範囲を飛行中に基地局と無線通信を行う場合に、干渉量の推定値が所定の許容範囲を超えないかを判定する。運航計画管理装置1は、干渉量の推定値が所定の許容範囲を超えないと判定すると、運航計画情報が示す飛行装置の運航を許可する。そして、運航計画管理装置1は、飛行装置の運航を許可する旨を示す申請結果情報を運航者端末2に送信する。
【0028】
このようにすることで、運航計画管理装置1は、飛行装置が発する電波による周辺の基地局が行う無線通信に対する干渉を抑えつつ、良好な無線通信を行う飛行装置を運航させることができる。
【0029】
[運航計画管理装置1の機能構成]
続いて、運航計画管理装置1の構成の詳細を説明する。
図2は、運航計画管理装置1の機能構成を示す図である。運航計画管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0030】
通信部11は、インターネット等のネットワークを介して運航者端末2とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、計画情報取得部131、性能特定部132、基地局特定部133、リソース量特定部134、干渉量取得部135、判定部136、運航許可部137、指示値特定部138、及び通知部139として機能させるプログラムを記憶する。
【0031】
記憶部12は、運航計画管理装置1が取得した運航計画情報のうち、申請が許可された運航計画情報を記憶する。記憶部12は、飛行を予定している複数の飛行装置それぞれに対応する運航計画情報を記憶する。
図3は、運航計画情報の一例を示す図である。
図3に示すように、運航計画情報は、飛行する予定の飛行装置の運航者を識別するための運航者IDと、当該飛行装置を識別するための飛行装置IDと、当該飛行装置の運航計画とを関連付けた情報である。
【0032】
運航計画は、例えば、モジュール識別情報としてのモジュールIDと、飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報と、用途情報と、要求性能情報とを含んでいる。
【0033】
モジュールIDは、飛行装置が無線通信を行うための通信モジュールを識別するための情報である。モジュールIDは、例えば、飛行装置が有する通信モジュールの型番である。
運航予定日時情報は、飛行装置が飛行を予定している運航予定日と、飛行を開始する時刻である飛行開始時刻と、飛行を終了する時刻である飛行終了時刻と含んでいる。運航予定日時情報には、一以上の通過点それぞれの飛行時刻が含まれていてもよい。
【0034】
運航予定範囲情報は、飛行装置が飛行を開始する地点を示す始点位置と、飛行を終了する地点を示す終点位置とを含んでいる。運航予定範囲情報には、一以上の通過点それぞれの位置が含まれていてもよい。始点位置、終点位置、及び通過点の位置は、例えば、緯度及び経度を示す情報を含んでいる。また、運航予定範囲情報には、飛行装置が飛行する高度を示す高度情報が含まれていてもよい。高度情報は、始点位置、終点位置、及び通過点の位置のそれぞれに対応して含まれていてもよい。通過点の位置は、運航者が任意で登録できる項目であり、運航計画情報に含まれていなくてもよい。運航予定範囲情報は、始点位置と、終点位置とを含むこととしたが、これに限らない。飛行装置が円錐形や立方体のような三次元の空間をランダムに移動する場合、運航予定範囲情報は、円錐形や立方体のような三次元空間を規定するものであってもよい。
【0035】
用途情報は、飛行装置の飛行における用途を示しており、例えば、空撮、測量、物流、設備点検等が含まれる。要求性能情報は、飛行装置の利用用途が示す飛行装置の動作を支障なく実現するにあたり、飛行装置に要求される所定の通信性能を示している。ここで、通信性能は、例えば飛行装置が無線通信を行う場合におけるスループットであり、所定の通信性能は、飛行装置に要求されるスループットである所望スループットを示している。なお、本実施形態では、運航計画情報に用途情報が含まれることとしたが、これに限らず、運航計画情報が用途情報を含んでいなくてもよい。
【0036】
記憶部12は、基地局に関する情報である基地局情報を記憶する。
図4は、基地局情報の一例を示す図である。
図4に示すように、基地局情報は、基地局を識別するための基地局IDと、基地局が対応している通信規格(RAT)と、基地局が無線通信に用いる電波の周波数帯域と、変調方式と、基地局の位置と、基地局が無線通信をカバーする距離である対応距離と、基地局が有する、飛行装置に対して割り当て可能な全てのリソース量を示す全リソース量とを少なくとも関連付けた情報である。ここで、基地局の位置を中心とし対応距離を半径としたエリアが、基地局のカバーエリアとなる。
【0037】
なお、図示は省略するが、基地局情報には、アーバン、サブアーバン、ルーラル等の、基地局がカバーするカバーエリアにおける空間の開放性、すなわち電波を遮蔽する遮蔽体の多さに対応する基地局の種別を示す種別情報が含まれていてもよい。また、説明を簡単にするために、基地局が1つの周波数帯域、変調方式に対応しているものとして説明を進めるが、基地局は複数の周波数帯域、変調方式に対応していてもよい。
【0038】
記憶部12は、基地局が飛行装置に割り当てているリソースを示すリソース割当情報を記憶する。
図5は、リソース割当情報の一例を示す図である。
図5に示すように、リソース割当情報は、基地局IDと、時間帯と、当該時間帯において基地局がリソースを割り当てた飛行装置の飛行装置IDと、使用する周波数帯域、割り当てたリソース量と、飛行装置の送信電力パラメータとを少なくとも関連付けた情報である。
【0039】
送信電力パラメータは、飛行装置が電波を出力するときの出力電力である送信電力を設定するための送信電力初期値P0pと、伝搬損失補償係数αpとの組み合わせである。ここで、送信電力初期値P0と伝搬損失補償係数αとの添え字pは、オフセット値を示しており、オフセット値が大きくなればなるほど、飛行装置の送信電力が小さくなるものとする。基地局が、送信電力パラメータを含む指示情報を飛行装置に送信することにより、飛行装置は、当該送信電力パラメータに基づいて送信電力を出力する。
【0040】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、計画情報取得部131、性能特定部132、基地局特定部133、リソース量特定部134、干渉量取得部135、判定部136、運航許可部137、指示値特定部138、及び通知部139として機能する。続いて、計画情報取得部131、性能特定部132、基地局特定部133、リソース量特定部134、干渉量取得部135、判定部136、運航許可部137、指示値特定部138、及び通知部139の詳細を説明する。
【0041】
[運航計画情報の取得]
まず、運航計画情報の取得に係る機能を説明する。計画情報取得部131は、運航者端末2から、飛行予定の飛行装置の運航計画を示す運航計画情報を含み、飛行装置の飛行申請を行うための申請データを取得する。計画情報取得部131は、申請データを取得することにより、飛行する予定の飛行装置を識別するための飛行装置IDと、飛行装置の運航者の運航者IDと、当該飛行装置が飛行する予定の日時を示す運航予定日時情報と、当該飛行装置が飛行する予定の運航予定範囲を示す運航予定範囲情報とを含む運航計画情報を取得する。
【0042】
計画情報取得部131は、
図3に示すように運航者ID、飛行装置ID、モジュールID、運航予定日時情報、運航予定範囲情報、用途情報、要求性能情報を含む運航計画情報を取得する。以下の説明において、運航計画情報に対応する飛行予定の飛行装置を申請飛行装置という。
【0043】
[申請飛行装置のスペックの特定]
性能特定部132は、計画情報取得部131が取得した運航計画情報に含まれるモジュールIDに基づいて、申請飛行装置のスペックを特定する。具体的には、性能特定部132は、モジュールIDに基づいて、申請飛行装置が有する通信モジュールが行う無線通信のスペックとして、無線通信に対応する通信規格であるRAT(Radio Access Technology)、使用周波数帯域、変調方式の少なくともいずれかを特定する。例えば、記憶部12には、モジュールIDと、通信規格と、使用周波数帯域と、変調方式とを関連付けたモジュール情報が記憶されている。性能特定部132は、モジュール情報を参照して、申請飛行装置が有する通信モジュールが行う無線通信のスペックを特定する。
【0044】
また、性能特定部132は、取得した運航計画情報に用途情報が含まれているとともに要求性能情報が含まれていない場合、当該用途情報が示す用途に基づいて所望スループットを特定してもよい。例えば、記憶部12は、複数の用途情報それぞれに対し、対応する所望スループットを関連付けて記憶している。性能特定部132は、用途情報に関連付けられている記憶されている所望スループットを、運航計画情報に含まれる用途情報に対応する所望スループットとして特定する。このようにすることで、運航計画管理装置は、運航者が申請飛行装置の用途において必要なスループットを認識しておらず、運航計画情報に要求性能情報が含まれていない場合であっても、当該所望スループットを特定することができる。
【0045】
[捕捉基地局の特定]
基地局特定部133は、計画情報取得部131が取得した運航計画情報に含まれる運航予定範囲に基づいて、申請飛行装置と無線通信を行う基地局を特定する。基地局特定部133は、記憶部12に記憶されている基地局情報を参照し、計画情報取得部131が取得した運航計画情報に含まれる運航予定範囲情報が示す運航予定範囲の少なくとも一部をカバーエリアとする基地局を、申請飛行装置と無線通信を行う基地局として特定する。基地局特定部133は、性能特定部132が特定した申請飛行装置のスペックに対応する基地局の基地局IDを特定する。基地局特定部133は、基地局のセクターごとに申請飛行装置と無線通信を行う基地局を特定してもよい。以下の説明において、基地局特定部133が特定した申請飛行装置と無線通信を行う基地局を捕捉基地局という。
【0046】
[割当リソース量の特定]
リソース量特定部134は、所望スループットの実現に必要となる、捕捉基地局が申請飛行装置に割り当てる無線通信のリソース量である新規割当リソース量を特定する。リソース量特定部134は、基地局特定部133が特定した一以上の捕捉基地局のそれぞれに対応して新規割当リソース量を特定する。
【0047】
具体的には、リソース量特定部134は、運航計画情報に含まれるモジュールIDに基づいて性能特定部132が特定した、申請飛行装置の通信モジュールが行う無線通信のスペックである、無線通信に対応する通信規格、使用周波数帯域、変調方式の少なくともいずれかと、申請飛行装置が基地局と無線通信を行うときの所望スループットとに基づいて、新規割当リソース量を特定する。
【0048】
まず、リソース量特定部134は、運航計画情報が示す運航予定範囲に含まれる申請飛行装置の高度に基づいて、申請飛行装置が発生した電波を捕捉基地局が受信するときの受信電波の電波強度を算出し、当該電波強度に対応するスループットを特定する。なお、リソース量特定部134は、補足基地局が発生する電波を申請飛行装置が受信するときの受信電波の電波強度を算出し、当該電波強度に対応するスループットを特定してもよい。
【0049】
記憶部12には、飛行装置が使用する通信規格、使用周波数帯、変調方式、飛行装置の送信電力のパラメータごとに、電波強度と、1つのリソースを割り当てた場合のスループットとの関係であるスループット特性を示すスループット特性情報が記憶されている。
図6は、スループット特性情報の一例を示す図である。
図6には、同一の通信規格、使用周波数帯、変調方式を用いて通信する場合の、2つの送信電力パラメータに対応するスループット特性が示されている。
【0050】
リソース量特定部134は、性能特定部132が特定したスペックに対応するスループット特性情報を参照し、申請飛行装置に対して算出した電波強度に対応するスループットを特定する。リソース量特定部134は、取得した運航計画情報に対応して初めてスループットを特定する場合、飛行装置の送信電力パラメータの初期値(送信電力初期値=P0default、伝搬損失補償係数=αdefault)に対応するスループット特性に基づいてスループットを特定する。
【0051】
リソース量特定部134は、1つのリソースに対応するスループットを特定すると、当該スループットに基づいて、所望スループットを満たすために必要となるリソース量である新規割当リソース量を特定する。
【0052】
また、リソース量特定部134は、基地局特定部133が特定した捕捉基地局において申請飛行装置に割り当て可能なリソース量である割当可能リソース量を特定する。リソース量特定部134は、記憶部12に記憶されている複数の運航計画情報を参照し、計画情報取得部131が取得した運航計画情報が示す申請飛行装置が飛行する予定の日時を特定し、当該日時に、当該運航計画情報が示す運航予定範囲を飛行し、捕捉基地局と無線通信を行う他の飛行装置を特定する。リソース量特定部134は、特定した他の飛行装置に対して当該日時に割り当てられている無線通信のリソース量に基づいて、割当可能リソース量を特定する。
【0053】
具体的には、リソース量特定部134は、記憶部12に記憶されている基地局情報を参照し、予定の日時に申請飛行装置と無線通信を行う捕捉基地局の基地局IDに関連付けられている全リソース量を特定する。また、リソース量特定部134は、記憶部12に記憶されているリソース割当情報を参照し、当該予定の日時において当該基地局IDに関連付けられている割当リソース量の合計を、捕捉基地局が一以上の他の飛行装置に割り当てている割当済リソース量として特定する。リソース量特定部134は、全リソース量から、割当済リソース量を差し引くことにより、捕捉基地局に対応する割当可能リソース量を特定する。リソース量特定部134は、基地局特定部133が特定した一以上の捕捉基地局それぞれにおいて上述の処理を行うことにより、一以上の捕捉基地局それぞれに対応する割当可能リソース量を特定する。また、リソース量特定部134は、申請飛行装置を含む捕捉基地局と無線通信を行う全ての飛行装置それぞれに割り当てられる割当リソース量を特定する。
【0054】
[干渉量の推定]
干渉量取得部135は、申請飛行装置が運航予定範囲を飛行して捕捉基地局と無線通信を行う場合における、捕捉基地局の周辺の基地局である周辺基地局が行う無線通信に対して申請飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する。干渉量取得部135は、送信電力パラメータに対応する電波強度の電波を申請飛行装置が送信した場合の電波の干渉量の推定値を取得する。具体的には、干渉量取得部135は、記憶部12に記憶された、飛行装置が電波を出力するときの送信電力に基づいて定められた干渉量特性情報を参照することにより、送信電力パラメータに対応する申請飛行装置の送信電力に対応する干渉量の推定値を取得する。干渉量特性情報の詳細については後述する。
【0055】
申請飛行装置は、申請飛行装置が捕捉基地局と無線通信を行う場合に所望スループットを得られる送信電力で電波を送信することが想定されている。したがって、干渉量取得部135は、運航計画情報に含まれる高度情報が示す高度を申請飛行装置が飛行して捕捉基地局と無線通信を行う場合における通信性能が所望スループットを満たす強度の電波を申請飛行装置が送信したときの干渉量の推定値を取得する。
【0056】
干渉量取得部135は、申請飛行装置と無線通信を行う一以上の捕捉基地局それぞれに対応して干渉量の推定値を取得する。これにより、干渉量取得部135は、申請飛行装置が飛行する運航ルート上における、一以上の補足基地局それぞれに対応するエリアごとの干渉量の推定値を取得する。
【0057】
記憶部12には、通信規格、使用周波数帯、リソースの使用量、高度ごとに、送信電力パラメータと、干渉量との関係を示す干渉量特性情報が記憶されている。
図7は、干渉量特性情報の一例を示す図である。
図7に示す例では、一つの通信規格、使用周波数帯、リソースの使用量及び高度の組み合わせに対応する送信電力パラメータと、干渉量との関係が示されている。干渉量特定情報は、例えば送信パラメータと、干渉量とを関連付けたデータテーブルである。干渉量特性情報は、例えば、飛行装置が送信パラメータにしたがって電波を出力するときの送信電力に基づいて、予めシミュレーションにより作成される。
【0058】
干渉量取得部135は、申請飛行装置に対応する通信規格、使用周波数帯、及び申請飛行装置に対して割り当てられた新規割当リソース量に対応する干渉量特性情報を参照し、申請飛行装置が周辺基地局に与える干渉量の推定値を取得する。リソース量特定部134が運航計画情報に対応して初めて新規割当リソース量を特定する場合、飛行装置の送信電力パラメータが初期値であるものとして新規割当リソース量を特定することから、干渉量取得部135は、干渉量特性情報において、送信電力パラメータの初期値に対応する干渉量を特定する。
【0059】
干渉量取得部135は、申請飛行装置が捕捉基地局と無線通信を行う時間帯において、当該捕捉基地局と無線通信を行う他の飛行装置が存在する場合、周辺基地局が行う無線通信に対して当該他の飛行装置が与える電波の干渉も考慮して、電波の干渉量の推定値を取得する。
【0060】
この場合、干渉量取得部135は、リソース量特定部134が特定した、捕捉基地局と無線通信を行う全ての飛行装置それぞれに割り当てられる割当リソース量に基づいて、周辺基地局が行う無線通信に対して当該全ての飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する。具体的には、干渉量取得部135は、申請飛行装置と異なる一以上の他の飛行装置それぞれに対し、他の飛行装置の運航計画情報に含まれるモジュールIDに基づいて他の飛行装置のスペックを特定する。また、干渉量取得部135は、リソース割当情報を参照し、他の飛行装置対応する送信電力パラメータを特定する。干渉量取得部135は、特定したスペックと、リソース量特定部134が特定した他の装置に割り当てられる割当リソース量とに対応する干渉量特性情報を参照し、特定した送信電力パラメータに対応する干渉量の推定値を取得する。干渉量取得部135は、取得した全ての干渉量の推定値を合計することにより、周辺基地局が行う無線通信に対して全ての飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する。
【0061】
なお、干渉量取得部135は、捕捉基地局がカバーするエリアにおける空間の開放性に対応する基地局の種別に基づいて、捕捉基地局の周辺基地局が行う無線通信に対して申請飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得してもよい。この場合、記憶部12に、通信規格、基地局における空間の開放性を示す基地局の種別、使用周波数帯、リソースの使用量ごとに、干渉量特性情報が記憶されてもよい。そして、干渉量取得部135は、基地局情報を参照して、捕捉基地局に対応する基地局の種別を特定し、当該基地局の種別、申請飛行装置に対応する通信規格、使用周波数帯、及び申請飛行装置に対して割り当てられた新規割当リソース量に対応する干渉量特性情報を参照し、申請飛行装置が周辺基地局に与える干渉量の推定値を取得してもよい。このようにすることで、補足基地局に対応する空間の開放性に応じて、遮蔽物が多いエリア(例えば繁華街)においては干渉量の推定値を少なくしたり、遮蔽物が少なく申請飛行装置の電波の干渉を受けやすいエリア(例えば田園地帯)において干渉量の推定値を多くしたりすることができる。
【0062】
[申請飛行装置の飛行許可判定]
続いて、判定部136は、申請飛行装置の飛行を許可するかを判定する。判定部136は、申請飛行装置が運航予定範囲を飛行して補足基地局と無線通信を行う場合に、干渉量取得部135が取得した干渉量の推定値が、周辺基地局が行う無線通信に申請飛行装置が与える電波の干渉量の所定の許容範囲を超えないかを判定する。
【0063】
具体的にはまず、判定部136は、リソース量特定部134が特定した割当可能リソース量と、申請飛行装置に割り当てる新規割当リソース量とに基づいて、捕捉基地局が申請飛行装置に対して新規割当リソース量に対応するリソースを割当可能か否かを判定する。判定部136は、新規割当リソース量に対応するリソースを割当可能と判定すると、干渉量取得部135が取得した干渉量の推定値が干渉量の所定の許容範囲の上限を示す閾値を超えるか否かを判定することにより、干渉量の推定値が許容範囲を超えないかを判定する。
【0064】
判定部136が、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定した場合、運航許可部137は、申請データを受け付け、申請飛行装置の運航を許可する。また、判定部136が、新規割当リソース量に対応するリソースを割当不可能と判定すると、運航許可部137は、申請データが示す申請飛行装置の運航を却下する。申請飛行装置の運航の許否に係る処理については後述する。
【0065】
[送信電力パラメータの調整]
上述の説明では、リソース量特定部134が飛行装置の送信電力パラメータが初期値である場合における干渉量の推定値に基づいて干渉量の推定値が許容範囲を超えないかを判定した。この場合、干渉量の推定値が閾値を超え、判定部136により、干渉量の推定値が許容範囲を超えると判定されることがある。
【0066】
この場合、リソース量特定部134は、送信電力パラメータを調整し、調整後の送信電力パラメータに対応して新規割当リソース量を特定する。例えば、リソース量特定部134は、送信電力パラメータを、調整前の送信電力から1段階低下させる送信電力パラメータに調整し、調整後の送信電力パラメータに対応するスループット特性情報に基づいて調整後のスループットを特定する。そして、リソース量特定部134は、特定したスループットに基づいて、送信電力パラメータを調整した後の新規割当リソース量である調整後割当リソース量を特定する。
【0067】
判定部136は、リソース量特定部134が特定した割当可能リソース量と、調整後割当リソース量とに基づいて、捕捉基地局が申請飛行装置に対して調整後割当リソース量に対応するリソースを割当可能か否かを判定する。判定部136が、調整後割当リソース量に対応するリソースを割当不可能と判定すると、運航許可部137は、申請データが示す申請飛行装置の運航を却下する。
【0068】
干渉量取得部135は、調整後割当リソース量に対応するリソースを割当可能と判定部136が判定すると、調整後の送信電力パラメータに対応する干渉量の推定値である調整後推定値を取得する。
【0069】
そして、判定部136は、調整後推定値が干渉量の許容範囲の上限を示す閾値を超えるか否かを判定することにより、干渉量の推定値(調整後推定値)が許容範囲を超えないかを再判定する。リソース量特定部134は、判定部136により調整後割当リソース量に対応するリソースを割当不可能と判定されるか、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定されるかまで、送信電力パラメータの調整を繰り返す。同様に、干渉量取得部135も、調整後推定値を再取得し、判定部136も、干渉量の推定値が許容範囲を超えないかの再判定を繰り返す。これにより、運航計画管理装置1は、干渉量の推定値が許容範囲を超えないときの、申請飛行装置に割り当てられるリソース量と、送信電力パラメータとを決定することができる。
【0070】
[申請結果データの送信]
運航許可部137は、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定すると、運航計画情報が示す申請飛行装置の運航を許可する。具体的には、運航許可部137は、申請飛行装置に対して新規割当リソース量に対応するリソースを割り当て可能であるとともに、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定部136が判定すると、飛行装置の運航を許可する。運航許可部137は、申請飛行装置が無線通信を行う全ての捕捉基地局それぞれに対応して新規割当リソース量に対応するリソースを割り当て可能であるとともに、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定部136が判定すると、飛行装置の運航を許可する。
【0071】
運航許可部137は、申請飛行装置の運航を許可する場合、計画情報取得部131が取得した申請データに含まれる運航計画情報を記憶部12に記憶させる。また、運航許可部137は、申請飛行装置の運航を許可する場合、申請飛行装置の運航が許可されたことを示す許可情報を含む申請結果情報を送信する。
【0072】
運航許可部137は、判定部136により、送信電力パラメータの調整によっても干渉量の推定値が許容範囲を超えると判定された場合、又は新規割当リソース量又は調整後割当リソース量のリソースを申請飛行装置に割り当てることができないと判定された場合、申請飛行装置の運航を却下する。運航許可部137は、申請飛行装置の運航を却下する場合、申請飛行装置の運航が却下されたことを示す却下情報を含む申請結果情報を送信する。
【0073】
[リソースの割当及び送信電力パラメータの指定]
指示値特定部138は、無線通信の通信性能と、干渉量と、申請飛行装置に出力させる無線通信の送信電力量を指示する指示値としての送信電力パラメータとの関係を示す情報に基づいて、干渉量の閾値を下回るとともに、所望スループットを上回る通信性能が期待される送信電力を申請飛行装置に出力させる送信電力パラメータである指定パラメータを特定する。指示値特定部138は、申請飛行装置と無線通信を行う全ての捕捉基地局それぞれに対して特定された干渉量の推定値に基づいて、当該全ての捕捉基地局それぞれに対応する指示値を特定する。
【0074】
指示値特定部138は、判定部136により干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定された場合に当該判定に用いられた干渉量の推定値を特定する。指示値特定部138は、当該干渉量の推定値の特定に用いられた送信電力パラメータを、指定パラメータとして特定する。また、指示値特定部138は、申請飛行装置が捕捉基地局と無線通信を行う予定の日時を含む時間帯、すなわち、捕捉基地局が、指定パラメータを申請飛行装置に指示する時間帯を特定する。
【0075】
通知部139は、指示値特定部138が特定した指定パラメータを示す情報を申請飛行装置に通知する捕捉基地局に対し、申請飛行装置に対して特定された時間帯を示す時間帯情報を含み、申請飛行装置に対して新規割当リソース量の割当を指示するとともに、当該指定パラメータを申請飛行装置に送信させるための指示情報を通知する。通知部139は、申請飛行装置と無線通信を行う全ての捕捉基地局それぞれに対し、指示値特定部138が特定した指定パラメータを申請飛行装置に送信させるための指示情報を通知する。
【0076】
指示情報には、申請飛行装置の飛行装置IDと、特定された時間帯を示す時間帯情報と、割当リソース量と、指定パラメータとが含まれている。また、通知部139は、捕捉基地局の基地局IDと、指示情報に含まれる時間帯と、飛行装置IDと、新規割当リソース量と、指定パラメータとを関連付けて、リソース割当情報として記憶部12に記憶させる。これにより、運航が許可された申請飛行装置に対応するリソース割当情報が追加される。
【0077】
捕捉基地局は、指示情報に含まれる時間帯情報が示す時間が到来すると、申請飛行装置に対し、送信電力を指定パラメータに対応する送信電力とすることを指示する出力指示情報を送信する。これにより、申請飛行装置は、捕捉基地局と無線通信を行う場合に指定パラメータに対応する送信電力に基づいて電波を発生させるので、捕捉基地局と無線通信を行う場合における干渉量を許容範囲内に抑えることができる。
【0078】
[動作フロー]
続いて、運航計画管理装置1における処理の流れを説明する。
図8は、運航計画管理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
まず、計画情報取得部131は、運航者端末2から運航計画情報を含む申請データを取得する(S1)。続いて、性能特定部132は、運航計画情報に含まれるモジュールIDに基づいて、申請飛行装置が有する通信モジュールが行う無線通信のスペックを特定する(S2)。
【0080】
続いて、基地局特定部133は、計画情報取得部131が取得した運航計画情報が示す運航予定範囲に基づいて、申請飛行装置と無線通信を行う捕捉基地局を一以上特定する(S3)。
【0081】
続いて、リソース量特定部134は、基地局特定部133が特定した一以上の捕捉基地局の中から一つの捕捉基地局を選択する(S4)。リソース量特定部134は、運航計画情報が示す運航予定範囲に含まれる申請飛行装置の高度に基づいて、申請飛行装置が発生させる電波を捕捉基地局が受信するときの当該電波の電波強度を算出する(S5)。
【0082】
続いて、リソース量特定部134は、算出した電波強度が予め定められた所定の閾値を超えるか否かを判定することにより、申請飛行装置が飛行するエリアが、捕捉基地局と無線通信が可能なエリアであるか否かを判定する(S6)。リソース量特定部134は、無線通信が可能なエリアであると判定すると、S7に処理を移し、無線通信が不可能なエリアであると判定するとS15に処理を移す。
【0083】
S7において、リソース量特定部134は、申請飛行装置の送信電力パラメータを選択する。リソース量特定部134は、初めて送信電力パラメータを選択する場合、初期値を示す送信電力パラメータを選択する。リソース量特定部134は、二回目以降に送信電力パラメータを選択する場合、直前に選択した送信電力パラメータよりも送信電力が一段階少なくなる送信電力パラメータを選択する。
【0084】
続いて、リソース量特定部134は、性能特定部132が特定したスペックに対応するスループット特性情報を参照し、選択したパラメータに対応するスループットを特定する。そして、リソース量特定部134は、特定したスループットと、所望スループットとに基づいて、新規割当リソース量を特定する(S8)。また、リソース量特定部134は、割当可能リソース量を特定する。
【0085】
続いて、判定部136は、新規割当リソース量と、割当可能リソース量とを比較することにより、捕捉基地局が申請飛行装置に新規割当リソース量に対応するリソースを割当可能か否かを判定する(S9)。判定部136は、リソースを割当可能と判定すると、S10に処理を移し、割当不可能と判定するとS15に処理を移す。
【0086】
続いて、干渉量取得部135は、申請飛行装置がS4において選択された捕捉基地局と無線通信を行う場合における、周辺基地局が行う無線通信に対して申請飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する(S10)。干渉量取得部135は、申請飛行装置が捕捉基地局と無線通信を行う時間帯において、当該捕捉基地局と無線通信を行う他の飛行装置が存在する場合、周辺基地局が行う無線通信に対して当該捕捉基地局と無線通信を行う全ての飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する。
【0087】
続いて、判定部136は、干渉量の推定値が、干渉量の許容範囲の上限を示す閾値を超えないか否かを判定することにより、干渉量の推定値が許容範囲を超えないかを判定する(S11)。判定部136は、干渉量の推定値が閾値を超えないと判定すると、S12に処理を移し、干渉量の推定値が閾値を超えると判定すると、S7に処理を移す。
【0088】
続いて、判定部136は、捕捉基地局が全て選択されたか否か、すなわち、全ての捕捉基地局のそれぞれに対し干渉量の推定値が許容範囲を超えないかの判定が行われたか否かを判定する(S12)。判定部136は、捕捉基地局が全て選択されたと判定すると、S13に処理を移し、捕捉基地局が全て選択されていないと判定すると、S4に処理を移す。
【0089】
続いて、運航許可部137は、申請データに基づく申請飛行装置の飛行が許可されたことを示す許可情報を含む申請結果情報を運航者端末2に送信する(S13)。
続いて、通知部139は、申請飛行装置に対して新規割当リソース量の割当を指示するとともに、指示値特定部138が特定した指定パラメータを申請飛行装置に送信させるための指示情報を通知する(S14)。
S15において、運航許可部137は、申請データに基づく申請飛行装置の飛行の申請を却下したことを示す却下情報を含む申請結果情報を運航者端末2に送信する。
【0090】
[変形例]
上述の説明では、リソース量特定部134は、取得した運航計画情報に対応して初めてスループットを特定する場合、申請飛行装置の送信電力パラメータの初期値に対応するスループットに基づいて新規割当リソース量を特定した。そして、干渉量取得部135は、取得した運航計画情報に対応して初めて干渉量の推定値を取得する場合、申請飛行装置の送信電力パラメータの初期値に基づいて干渉量の推定値を取得した。この場合に判定部136により、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定すると、申請飛行装置は所望スループットよりも大幅に高いスループットにより無線通信を行うことがある。
【0091】
このため、リソース量特定部134は、新規割当リソース量を特定する場合、申請飛行装置の送信電力が最も低くなる送信電力パラメータから順に新規割当リソース量を特定してもよい。そして、判定部136は、申請飛行装置の送信電力が最も低くなる送信電力パラメータから順に、新規割当リソース量のリソースを割当可能か否かを判定してもよい。そして、干渉量取得部135は、判定部136が新規割当リソース量のリソースを割当可能と判定したことに応じて、当該判定に対応する送信電力パラメータに基づいて干渉量の推定値を取得してもよい。
【0092】
そして、指示値特定部138は、取得した干渉量の推定値に基づいて、干渉量の推定値が許容範囲を超えないと判定部136が判定したことに応じて、当該判定に用いられた干渉量に対応する送信電力パラメータを、指定パラメータとして特定してもよい。このようにすることで、運航計画管理装置1は、申請飛行装置の無線通信のスループットが所望スループットを満たすとともに、申請飛行装置の電波が周辺基地局に与える干渉量が最も少なくなるように、送信電力パラメータを決定することができる。
【0093】
[運航計画管理装置1による効果]
以上説明したように、本実施形態に係る運航計画管理装置1は、取得した運航計画情報が示す運航予定範囲を申請飛行装置が飛行して捕捉基地局と無線通信を行う場合における、捕捉基地局の周辺基地局が行う無線通信に対して申請飛行装置が与える電波の干渉量の推定値を取得する。運航計画管理装置1は、申請飛行装置が運航予定範囲を飛行して無線通信を行う場合に、推定値が、当該周辺基地局が行う無線通信に対して申請飛行装置が与える電波の干渉量の許容範囲を超えないと判定すると、運航計画情報が示す申請飛行装置の運航を許可する。このようにすることで、運航計画管理装置1は、飛行装置が発する電波による周辺の基地局が行う無線通信に対する干渉を抑えつつ、良好な無線通信を行う飛行装置を運航させることができる。
【0094】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0095】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0096】
1 運航計画管理装置
2 運航者端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 計画情報取得部
132 性能特定部
133 基地局特定部
134 リソース量特定部
135 干渉量取得部
136 判定部
137 運航許可部
138 指示値特定部
139 通知部
S 運航計画管理システム