(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152739
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】タービンシステム構成要素における冷却通路の出口開口部の断面積の減少
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20231005BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20231005BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20231005BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20231005BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/18 A
F02C7/18 E
F01D25/00 L
F02C7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023026012
(22)【出願日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】17/657,420
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、カイル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラッキング、ケイトリン シア
(72)【発明者】
【氏名】ドリーティ、ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤーキス、パトリック
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202CA06
3G202CA15
3G202CB01
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ02
3G202JJ09
3G202JJ18
3G202JJ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タービンシステム構成要素における冷却通路の出口開口部の断面積を小さくして冷却能力を低下させる。
【解決手段】タービンシステム構成要素は、外面を有する本体部と、前記本体部に画定された冷却通路とを有する。冷却通路は、前記本体部内に、第1の断面積を有する。また、前記構成要素は、前記本体部の外面において第1の出口開口部を画定する中空部材であって、前記冷却通路に結合された中空部材を含む。前記中空部材は、第1の出口開口部において、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有し、元の冷却通路よりも小さい寸法の出口開口部を形成する。中空部材は、タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている。中空部材は、冷却通路の冷却能力を低下させる。構成要素の冷却プロファイルを生成して、過剰に冷却する冷却通路を特定し、冷却通路の出口開口部の断面積を減少させることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシステム用のタービンシステム構成要素(200)であって、該タービンシステム構成要素(200)は、
外面(212)を有する本体部(210)、
前記本体部(210)に画定され、前記本体部(210)の外面(212)まで延在する冷却通路(202)であって、第1の断面積を有する冷却通路(202)、及び
前記冷却通路(202)に結合され、前記本体部(210)の外面(212)において第1の出口開口部(214)を画定する中空部材(220)であって、前記中空部材(220)の第1の出口開口部(214)は、前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する、中空部材(220)
を含み、
前記中空部材(220)は、前記タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている、タービンシステム構成要素(200)。
【請求項2】
前記冷却通路(202)は、前記本体部(210)に画定された第1の複数の冷却通路(202A)を含み、前記第1の複数の冷却通路(202A)の各冷却通路は前記第1の断面積を有し、
それぞれの中空部材(220)は、前記第1の複数の冷却通路(202A)の各冷却通路に対して、前記本体部(210)の外面(212)において前記第2の断面積を有する前記第1の出口開口部(214)を画定する、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項3】
前記冷却通路(202)は、前記本体部(210)に画定された第2の複数の冷却通路(202B)を含み、前記第2の複数の冷却通路(202B)の各冷却通路は、前記本体部(210)内において前記第1の断面積を有し、各冷却通路は、前記本体部210に画定され前記第1の断面積を有する第2の出口開口部(222)において、前記本体部210の外面212の外側に通じる、請求項2に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項4】
前記第1の複数の冷却通路(202A)の第1の出口開口部(214)と前記第2の複数の冷却通路(202B)の第2の出口開口部(222)は、前記本体部(210)の外面(212)に沿って交互に並ぶ、請求項3に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項5】
前記中空部材(220)は、ろう材(226)によって前記本体部(210)の冷却通路(202)に結合されている、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項6】
前記ろう材(226)の最大厚さは254マイクロメートル(μm)である、請求項5に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項7】
前記本体部(210)は、ニッケル又はコバルト系の超合金を含み、前記中空部材(220)は、ニッケル-クロム系の超合金、コバルト系の超合金、又はステンレス鋼を含む、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項8】
前記中空部材(220)は、前記冷却通路(202)の水力直径で、前記出口開口部(214)における前記外面(212)から内部に延在する、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項9】
前記第1の断面積は1.31~1.70平方ミリメートル(mm2)の範囲にあり、前記第2の断面積は0.58~0.62mm2の範囲にある、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項10】
前記中空部材(220)の最小壁厚は、0.15~0.23ミリメートルの間の範囲にある、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項11】
前記本体部(210)は、タービンシステムの高温部品の一部である、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項12】
前記中空部材(220)は、前記冷却通路(202)の少なくとも一部(242)の内側断面の形状に対応する外側断面を有し、前記中空部材(220)の外側断面は、前記中空部材(220)の内側断面とは異なる、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項13】
前記中空部材(220)は、前記第1の出口開口部(214)から遠位の位置であって、前記本体部(210)の内側の位置において、第3の断面積を有し、前記第3の断面積は、前記第1の出口開口部(214)における第2の断面積とは異なる、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項14】
前記冷却通路(202)は、前記冷却通路の内面に複数のタービュレータ(228)を含む、請求項1に記載のタービンシステム構成要素(200)。
【請求項15】
タービンシステム構成要素(200)の本体部(210)の外面(212)の少なくとも1つの第1の冷却通路(202)に中空部材(220)を結合することであって、前記少なくとも1つの第1の冷却通路(202)は、前記本体部(210)に画定されており、前記本体部(210)内に第1の断面積を有し、前記中空部材(220)の第1の部分(242)は前記本体部(210)の外面(212)を越えて外側に延在する、中空部材(220)を結合すること、及び
前記中空部材(220)の、前記本体部(210)の外面(212)を越えて延在する前記第1の部分(242)を除去することであって、前記中空部材(220)は、前記本体部(210)の外面(212)において、前記少なくとも1つの第1の冷却通路(202)と流体連通する第1の出口開口部(214)を画定する、前記第1の部分(242)を除去すること
を含み、
前記第1の出口開口部(214)における前記中空部材(220)は、前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有し、及び
前記中空部材(220)は、前記タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、タービンシステム構成要素に関し、より詳細には、タービンシステム構成要素の本体部の外面の冷却通路の出口開口部の断面積を小さくして、冷却能力を低下させることに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンシステム構成要素は、構成要素の本体部を流れる冷却媒体を供給する冷却通路を含むことが多く、冷却媒体は、構成要素が高温環境(ガスタービンや蒸気タービンなど)で使用されている間に構成要素を冷却する。冷却通路は、出口開口部において、本体部の外面を流出する。冷却通路の出口開口部の大きさを調整することにより、出口開口部を通過する冷却媒体の量、及び冷却通路によって提供される冷却の程度を変更することができる。出口開口部のサイズを変更するための現在のプロセスは、冷却通路の出口開口部を完全に塞ぎ、出口開口部を異なるサイズの開口部にして再度開くことを含む。各出口開口部を塞ぎ、その後で、各出口開口部を(例えば、ドリルを用いて)個別に再度開くプロセスは、時間がかかり、面倒であり、品質の結果が悪くなることに関係している。
【発明の概要】
【0003】
以下に述べる全ての態様、実施例、及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0004】
本開示の一態様は、タービンシステム構成要素を提供する。該タービンシステム構成要素は、外面を有する本体部、前記本体部に画定され、前記本体部の外面まで延在する冷却通路であって、第1の断面積を有する冷却通路、及び前記冷却通路に結合され、前記本体部の外面において第1の出口開口部を画定する中空部材であって、前記中空部材の第1の出口開口部は、前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する、中空部材を含み、前記中空部材は、前記タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている。
【0005】
本開示の別の態様は、上記の態様を含み、前記冷却通路は、前記本体部に画定された第1の複数の冷却通路を含み、前記第1の複数の冷却通路の各冷却通路は前記第1の断面積を有し、それぞれの中空部材は、前記第1の複数の冷却通路の各冷却通路に対して、前記本体部の外面において前記第2の断面積を有する前記第1の出口開口部を画定する。
【0006】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記冷却通路は、前記本体部に画定された第2の複数の冷却通路を含み、前記第2の複数の冷却通路の各冷却通路は、前記本体部において前記第1の断面積を有し、各冷却通路は、前記本体部に画定され前記第1の断面積を有する第2の出口開口部において、前記本体部の外面の外側に通じる。
【0007】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記第1の複数の冷却通路の第1の出口開口部と前記第2の複数の冷却通路の第2の出口開口部は、前記本体部の外面に沿って交互に並ぶ。
【0008】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材は、ろう材によって前記本体部の冷却通路に結合されている。
【0009】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記ろう材の最大厚さは300マイクロメートル(μm)である。
【0010】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記本体部は、ニッケル又はコバルト系の超合金を含み、前記中空部材は、ニッケル-クロム系の超合金、コバルト系の超合金、又はステンレス鋼を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材は、前記冷却通路の水力直径で、前記出口開口部における前記外面から内部に延在する。
【0012】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記第2の断面積は、前記第1の断面積の30%~50%の値である。
【0013】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材の最小壁厚は、0.1~0.3ミリメートルの範囲にある。
【0014】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記本体部は、タービンシステムの高温部品の一部である。
【0015】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材は、前記冷却通路の少なくとも一部の内側断面の形状に対応する外側断面を有し、前記中空部材の外側断面は、前記中空部材の内側断面とは異なる。
【0016】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材は、前記第1の出口開口部から遠位の位置であって、前記本体部の内側の位置において、第3の断面積を有し、前記第3の断面積は、前記第1の出口開口部における第2の断面積とは異なる。
【0017】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記冷却通路は、前記冷却通路の内面に複数のタービュレータを含む。
【0018】
本開示の一態様は、方法に関する。本方法は、タービンシステム構成要素の本体部の外面の少なくとも1つの第1の冷却通路に中空部材を結合することであって、前記少なくとも1つの第1の冷却通路は、前記本体部に画定されており、前記本体部内において第1の断面積を有し、前記中空部材の第1の部分は前記本体部の外面を越えて外側に延在する、中空部材を結合すること、及び
前記中空部材の、前記本体部の外面を越えて延在する前記第1の部分を除去することであって、前記中空部材は、前記本体部の外面において、前記少なくとも1つの第1の冷却通路と流体連通する第1の出口開口部を画定する、前記第1の部分を除去することを含み、前記第1の出口開口部における前記中空部材は、前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有し、及び前記中空部材は、前記タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている。
【0019】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材を結合することは、前記中空部材を前記少なくとも1つの第1の冷却通路に挿入することと、前記中空部材を前記本体部の前記少なくとも1つの第1の冷却通路に結合するための接合工程を行うこととを含む。
【0020】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材を挿入する前に前記冷却通路を洗浄することをさらに含む。
【0021】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記本体部は、前記タービンシステム構成要素の前記本体部の外面に少なくとも1つの第2の冷却通路を含み、前記少なくとも1つの第2の冷却通路は、前記本体部に画定されており、前記本体部内及び前記本体部の外面において第1の断面積を有する。
【0022】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材を結合する前に、過剰な冷却能力を有する冷却通路を示すタービンシステム構成要素の冷却プロファイルに基づいて、前記少なくとも1つの第1の冷却通路と前記少なくとも1つの第2の冷却通路を含む複数の冷却通路から前記少なくとも1つの第1の冷却通路を特定することをさらに含む。
【0023】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材は、前記冷却通路の水力直径で、前記出口開口部における前記外面から内部に延在する。
【0024】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記第1の断面積は、前記第2の断面積の2倍から3倍の値である。
【0025】
本開示の一態様は方法を含み、前記方法は、タービンシステム構成要素の本体部の外面の少なくとも1つの第1の冷却通路に中空部材を結合することであって、前記少なくとも1つの第1の冷却通路は、前記タービンシステム構成要素の本体部に画定された複数の冷却通路から、過剰な冷却能力を有する冷却通路として特定され、前記複数の冷却通路は、前記本体部内に第1の断面積を有し、前記中空部材の第1の部分は前記本体部の外面を越えて外側に延在する、中空部材を結合すること、及び前記中空部材の、前記本体部の外面を越えて延在する前記第1の部分を除去することであって、前記中空部材は、前記本体部の外面において、前記少なくとも1つの第1の冷却通路と流体連通する第1の出口開口部を画定する、前記第1の部分を除去することを含み、前記第1の出口開口部における前記中空部材は、前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有し、及び前記中空部材は、前記タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている。
【0026】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記タービンシステム構成要素の冷却プロファイルに基づいて、前記タービンシステム構成要素の本体部に画定された前記複数の冷却通路から前記少なくとも1つの第1の冷却通路を特定することをさらに含む。
【0027】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材を前記少なくとも1つの第1の冷却通路に挿入することと、前記本体部の前記少なくとも1つの第1の冷却通路に前記中空部材を結合するための接合工程を実行することとを含む。
【0028】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材を挿入する前に前記冷却通路を洗浄することをさらに含む。
【0029】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記本体部の前記複数の冷却通路は、前記タービンシステム構成要素の前記本体部の外面に第2の出口開口部を有する少なくとも1つの第2の冷却通路を含み、前記少なくとも1つの第2の冷却通路は、前記本体部に画定されており、前記本体部内及び前記本体部の外面の前記第2の出口開口部において、前記第1の断面積を有するしている。
【0030】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材を結合する前に、過剰な冷却能力を有する冷却通路を示すタービンシステム構成要素の冷却プロファイルに基づいて、前記複数の冷却通路から前記少なくとも1つの第1の冷却通路を特定することをさらに含む。
【0031】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記中空部材は、前記冷却通路の水力直径で、前記出口開口部における前記外面から内部に延在する。
【0032】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記第1の断面積は、前記第2の断面積の2倍から3倍の値である。
【0033】
本開示の別の態様は、上記の態様のいずれかの態様を含み、前記本体部は、ニッケル又はコバルト系の超合金を含み、前記中空部材は、ニッケル-クロム系の超合金、コバルト系超合金、又はステンレス鋼を含む。
【0034】
本開示に記載された2つ以上の態様(この概要に記載された態様を含む)を組み合わせて、本明細書に明確には記載されていない実装を形成することができる。
【0035】
1つ以上の実装の詳細は、添付の図面及び以下の発明を実施するための形態に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、発明を実施するための形態及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【0036】
本開示のこれら及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付図面と併せて、本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、更に容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】ガスタービンシステムの形態の例示的なターボ機械を示す概略図である。
【
図2】
図1のガスタービンシステムと使用することができる例示的なガスタービンアセンブリの断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、回転ブレードの形態のタービンシステム構成要素の斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による、ノズルの形態のタービンシステム構成要素の斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態による、シュラウドの形態のタービンシステム構成要素を示す斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態による、例示的なタービンシステム構成要素の冷却通路の長手方向の概略断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、例示的なタービンシステム構成要素の冷却通路の幅方向の概略断面図である。
【
図8】本開示の他の実施形態による、冷却通路の幅方向の概略断面図である。
【
図9】本開示のさらに別の実施形態による、中空部材及び冷却通路の幅方向の概略断面図である。
【
図10】本開示の別の実施形態による、中空部材及び冷却通路の長手方向の概略断面図である。
【
図11】本開示の実施形態による、複数の冷却通路の全てが中空部材を有するタービンシステム構成要素の本体部の外面の端面図である。
【
図12】本開示の実施形態による、複数の冷却通路を含むタービンシステム構成要素の本体部の外面の端面図であって、複数の冷却通路のうちの一部の冷却通路が中空部材を含む図である。
【
図13】本開示の実施形態による、複数の冷却通路を含むタービンシステム構成要素の本体部の外面の端面図であって、複数の冷却通路のうちの一部の冷却通路が中空部材を含む図である。
【
図14】本開示の実施形態による、複数の冷却通路を含むタービンシステム構成要素の本体部の外面の端面図である。
【
図15】本開示の実施形態による、中空部材を選択された冷却通路に結合するときのタービンシステム構成要素の本体部の外面の端面図である。
【
図16】本開示の実施形態による、中空部材の、本体部の外面を越えて延在する部分を除去するときのタービンシステム構成要素の本体部の外面の端面図である。
【0038】
本開示の図面は同一のスケールで拡大縮小されているわけではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。図面において、類似の符号は、図面間で類似の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に、本開示の対象を明確に説明するために、ターボ機械の形式の例示的な産業機械内の関連する機械の構成要素に言及して説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈を与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解する。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含むことがあり、複数の構成要素を含むものとして言及されることがある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0040】
さらに、本明細書では、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合があり、発明を実施するための形態の始めにこれらの用語を定義しておくことが有益である。これらの用語と用語の定義は、特に明記しない限り、以下の通りである。本明細書において、「下流」及び「上流」は、タービンエンジンを流れる作業流体などの流体の流れ、又は燃焼器を流れる空気の流れ若しくはタービンの複数の構成要素システムのうちの1つを流れる冷却媒体の流れに関する方向を示す用語である。用語「下流」は流体の流れの方向に対応し、用語「上流」は、その流体の流れとは反対の方向(即ち、流れの源に向かう方向)を表す。
【0041】
中心軸に対して異なる半径方向の位置に配置された部品の説明を要求されることがある。用語「半径」は、軸に対して垂直な動き又は位置を表す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸の近くに存在している場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向内側」又は「内側」にあると記載される。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」又は「外側」にあると記載される場合がある。用語「軸の」は、軸に対して平行な動き又は位置を表す。最後に、用語「円周の」は、軸の周りの動き又は位置を表す。このような用語は、タービンの中心軸に関連して適用できることが理解される。
【0042】
さらに、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために互換的に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図しているのではない。
【0043】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことを意図している。用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを述べているが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことがさらに理解される。「任意の」又は「任意に」は、その後に記述される事象若しくは状況が発生してもよいし発生しなくてもよいこと、又はその後に記述される構成要素若しくは要素が存在してもよいし存在しなくてもよいことを意味し、また、その記述が、その事象が発生する又はその構成要素が存在する例と、その事象が発生しない又はその構成要素が存在しない例とを含むことを意味する。
【0044】
ある要素又は層が、別の要素又は層「に接触する」、「に係合されている」、「に接続されている」、又は「に結合されている」ものとして言及されている場合、他の要素又は層に、直接的に接触、係合、接続、又は結合していてもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「に直接的に接触」、「に直接的に結合」、「に直接的に接続」、又は「に直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、用語「及び/又は」は、列挙された関連する複数の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる組み合わせを含む。
【0045】
上記のように、本開示は、タービンシステム構成要素を提供する。タービンシステム構成要素は、外面を有する本体部と、本体部内に画定された冷却通路とを含む。この冷却通路は、冷却通路でもよいし、ガスタービン構成要素の他の流量測定通路、オリフィス又は他の同様の要素であってもよく、当該ガスタービン構成要素は、本方法が適用されると、システムの当該部分を流れる流量を低下させる。冷却通路は、本体部の外面まで延在しており、第1の断面積を有している。また、タービンシステム構成部品は、冷却通路内に結合された中空部材であって、本体部の外面において第1の出口開口部を画定する中空部材を含む。中空部材の第1の出口開口部は、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有し、元の冷却通路よりも小さな寸法の出口開口部を形成する。本開示の方法の実施形態による1つ以上の冷却通路に中空部材を結合すると、本体部の外面における冷却通路の断面積が減少し、冷却通路の冷却能力を低下させることができる。タービンシステム構成要素の冷却プロファイルを生成して、過剰に冷却する冷却通路を特定し、冷却通路の出口開口部の断面積を減少させることができ、節約された冷却能力をタービン又はタービンシステム構成要素の他の場所でより効率的に使用することができる。
【0046】
図1は、ターボ機械100の形態である例示的な産業機械の概略図を示す。ターボ機械10のターボシステム構成要素の一部は、本開示の教示による冷却通路を含むことができる。この実施例では、ターボ機械100は、燃焼器又はガスタービンシステムの形態である。ターボ機械100は、圧縮機102と燃焼器104とを含む。燃焼器104は、燃焼領域106と燃料ノズルアセンブリ108とを含む。また、ターボ機械100は、タービンアセンブリ110と、圧縮機/タービンの共通シャフト112(ロータ112と呼ばれることもある)とを含む。一実施形態では、ターボ機械100は、サウスカロライナ州グリーンビルのゼネラル・エレクトリック・カンパニイから市販されている7HA.04ガスタービン(GT)エンジンとすることができる。本開示は、任意の特定のGTシステムに限定されず、他のエンジン(例えば、ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスのエンジンモデル及び他の会社のエンジンモデル)に実装することができる。本開示は、特定のタービン又はターボ機械に限定されるものではなく、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機、ターボファンなどに適用することができる。さらに、本開示は、特定の構成要素に限定されることはなく、例えば、燃焼器内の高温燃焼ガス又はタービンの高温ガス経路に晒され、冷却を必要とする任意の形態の高温部品に適用することができる。本開示は、ターボ機械以外で、高温部品のクーリングを抑制する必要がある任意の産業機械に適用することもできる。
【0047】
図1の説明を続ける。空気は圧縮機102を流れ、圧縮された空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮された空気は、燃焼器104に組み込まれた燃料ノズルアセンブリ108に供給される。アセンブリ108は、燃焼領域106と流体連通している。燃料ノズルアセンブリ108は、燃料源とも流体連通しており、燃焼領域106に燃料及び空気を流す。燃焼器104は、燃料に点火して燃焼させる。燃焼器104は、ガス流の熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換するためのタービンアセンブリ110と流体連通している。タービンアセンブリ110は、ロータ112に回転可能に結合するタービン111であって、ロータ112を駆動するタービン111を含む。圧縮機102も、ロータ112に回転可能に結合される。例示的な実施形態では、複数の燃焼器106と複数の燃料ノズルアセンブリ108が存在している。
【0048】
図2は、ターボ機械100(
図1)の例示的なタービンアセンブリ110の一部の断面図を示す。タービンアセンブリ110のタービン111は、ターボ機械100の静止ケーシング122に結合されたノズル列又はノズル段120と、軸方向に隣接する回転ブレード列又は回転ブレード段124を含む。静止ノズル126(ベーンとも呼ばれる)は、半径方向外側プラットフォーム128及び半径方向内側プラットフォーム130によってタービンアセンブリ110に保持されるようにすることができる。タービンアセンブリ110のブレード段124は、ロータ112に結合された回転ブレード132であって、ロータと共に回転する回転ブレード132を含む。回転ブレード132は、ロータ112に結合された(ブレードのルート部における)半径方向内側プラットフォーム134と、(ブレードの先端部における)半径方向外側先端部136とを含むことができる。シュラウド138は、ノズル126と回転ブレード132の隣接する段を分離することができる。作動流体140(例示的なガスタービンの例えば燃焼ガスなど)は、高温ガス経路(以下、単に「HGP」)と呼ばれる部分に沿って、タービン111を流れる。HGPは、タービン111の、高温の燃焼ガスに晒される任意の領域とすることができる。タービン111の様々な構成要素は、タービン111内のHGP又は燃焼器104の高温の燃焼ガスに直接的又は間接的に晒されており、高温ガスタービンシステム構成要素200(以下、「タービンシステム構成要素」)を含む。例示のタービン111において、ノズル126、ブレード132、及びシュラウド138は、本開示の教示から利益を受けることができるタービンシステム構成要素の例である。タービン111の、HGPに直接的又は間接的に晒される他の部分も、本開示の教示の利益を受けることができるタービンシステム構成要素と見なせることが認識される。
【0049】
図3~
図5は、本開示の教示を使用することができるタービンシステム構成要素200のいくつかの実施例の斜視図を示す。
図3は、回転ブレード132の形態のタービンシステム構成要素200の斜視図である。回転ブレード132はルート部142を含んでおり、ルート部142によって回転ブレード132がロータ112(
図2)に取り付けられる。ルート部142は、ロータ112(
図2)のロータホイール146(
図2)の外周部の対応するダブテールスロットに取り付けられるように構成されたダブテール144を含むことができる。ルート部142は、ダブテール144とプラットフォーム134との間に延在するシャンク148をさらに含むことができ、このシャンクは、エアフォイル152とルート部142との接合部に配置され、タービンアセンブリ110の全体において、HGPの内側境界の一部を画定する。エアフォイル152は、回転ブレード132において、作動流体の流れを遮断し、ロータディスクが回転するように誘導する有効部品であることが理解される。回転ブレード132のエアフォイル152は、凹状の圧力側(PS)外壁154と、円周方向又は横方向に対向する凸状の吸引側(SS)外壁156とを含み、外壁154および156は、対向する前縁158と後縁160との間において軸方向に延在することが分かる。また、側壁154、156は、プラットフォーム134から半径方向外側の先部端136まで半径方向に延在する。先端部136は、現在知られている又は後に開発される任意の先端シュラウド(図示せず)を含むことができる。本開示の実施形態による冷却通路202(
図6~
図16)は、例えば、エアフォイル152、プラットフォーム134、又は回転ブレード132の他の部分で使用することができる。
【0050】
図4は、静止ノズル126の形態のタービンシステム構成要素200の斜視図を示す。ノズル126は半径方向外側プラットフォーム128を含み、ノズル126は、半径方向外側プラットフォーム128によってターボ機械の静止ケーシング122(
図2)に間接的に取り付けられる。外側プラットフォーム128は、ケーシングの対応する取付台に取り付けるための、既知の又は後に開発される任意の取付け構造を含むことができる。ノズル126は、隣接するタービン回転ブレード132(
図3)のプラットフォーム134(
図3)の間に位置決めするための半径方向内側プラットフォーム130をさらに含むことができる。プラットフォーム128、130は、タービンアセンブリ110の全体において、HGPの外側境界及び内側境界のそれぞれの一部を画定する。エアフォイル176は、ノズル126において、作動流体の流れを遮断し、作動流体をタービン回転ブレード132(
図3)の方へ向ける有効部品であることが理解される。ノズル126のエアフォイル176は、凹状の圧力側(PS)外壁178と、円周方向又は横方向に対向する凸状の吸引側(SS)外壁180とを含み、外壁178および180は、対向する前縁182と後縁184との間において軸方向に延在することが分かる。また、側壁178、180は、プラットフォーム130からプラットフォーム128まで半径方向に延在する。本開示の実施形態による冷却通路202(
図6~
図16)は、例えば、エアフォイル176、プラットフォーム128、130又はノズル126の他の部分で使用することができる。
【0051】
図5は、シュラウド138の形態のタービンシステム構成要素200の斜視図である。シュラウド138は、タービン回転ブレード132の先端部136(
図2~
図3)とノズル126(
図2、
図4)の半径方向外側プラットフォーム128(
図2及び
図4)との間に位置決めするためのプラットフォーム190を含むことができる。シュラウド138は、任意の方法でケーシング122(
図2)に固定することができる。本開示の実施形態による冷却通路202(
図6~
図16)は、例えば、面192、内面194、又はシュラウド138の他の部分で使用することができる。
【0052】
図3~
図5を参照すると、上記のように、本明細書に記載された開示の実施形態は、タービン111(
図2)の任意のタービンシステム構成要素200に適用することができ、タービンシステム構成要素200は、タービン回転ブレード132(
図3)、ノズル126(
図4)及び/又はシュラウド138(
図5)などであるが、これらに限定されることはない。しかしながら、本開示の教示は、燃焼器104の構成要素(ノズル、ライナー、流路、ヘッド端部の構成要素など)にも適用可能であることが強調される。タービンシステム構成要素200には、1つ以上の冷却回路が含まれる場合があることが認識される。この1つ以上の冷却回路は、冷却媒体(典型的には、空気などの気体)を、燃焼器104又はタービン111のHGPの高温燃焼ガスに晒されるタービンシステム構成要素200の部品に供給して、その部品を冷却するために、1つ以上の冷却通路202を含んでいる。
図6~
図16を参照すると、説明のために、本開示の実施形態による冷却通路202は、概略的に示した本体部210に対して図示され、記載されている。本体部210には、タービンシステム構成要素200の任意の部分(回転ブレード132又はノズル126のエアフォイル152、176の後縁160、184など)が含まれるが、これらに限定されることはない。本開示の教示は、任意のタービンシステム構成要素200における本体部210の外面212に通じる任意の冷却通路202に適用できることが強調される。
【0053】
図6は、本開示の実施形態による、例示的なタービンシステム構成要素200の冷却通路202の長さ方向の概略断面図を示し、
図7は、例示的なタービンシステム構成要素200の冷却通路202の幅方向の概略断面図を示す。タービンシステム構成要素200は、外面212を有する本体部210を含む。上記のように、本体部210は、タービン111(
図2)の高温ガス経路の構成要素の一部とすることができる。タービンシステム構成要素200は、本体部210に画定された冷却通路202も含む。冷却通路202は、本体部210内の任意の冷却回路に流体的に結合することができる。本体部210は、本体部210の中に冷却通路202を有することができる任意の構造とすることができ、冷却通路202は、本体部210の外面212の(元の)出口開口部214まで延在している。本体部210は、既知の又は後で開発される高温部品用の任意の材料を含むことができる。タービン111の設定において、本体部210は、ニッケル又はコバルト系超合金を含むことができる。より詳細には、本体部210は、これらに限定されないが、タービンシステム構成要素に適した超合金(R108、MarM-247、GTD-111;MarM247/CM-247、GTD-222/241/262/111/141/444、ReneN5/N4/N400/N500、Inco738などのニッケル系超合金;又は同様の構造のコバルト超合金など)を含むことができるが、これらの超合金に限定されることはない。
【0054】
冷却通路202は、本体部210に、本明細書において「通路断面積」と呼ばれる断面積を有する。冷却通路202の断面積は、冷却通路202の長さに沿って変化することができる。通路断面積は、本明細書に記載される中空部材220が使用される場所を除いて、冷却通路202の長さの平均断面積として計算することができる。
図7では、冷却通路202は、幅方向において概ね円形の断面を有しており、通路断面積は円形である。しかしながら、冷却通路202は、様々な非円形の断面形状を有することができる。冷却通路202は、概ね直線的又は真っすぐに形成されているが、或る程度の曲率を有していてもよい。冷却通路202の長さは、冷却通路202の概ね直線の部分であって、本体部210の外面212と流体的に連通する部分ことができる。
【0055】
図6及び
図7は、中空部材220を含むタービンシステム構成要素200も示しており、中空部材220は、冷却通路202に結合されており、本体部210の外面212に(新たな)出口開口部222を画定する。中空部材220は、出口開口部222において、通路断面積よりも小さい断面積を有している。参照の目的で、中空部材220の断面積は、本明細書では「部材断面積」と呼ぶ。このようにして、中空部材220は、元の出口開口214と比較して、冷却通路202を通過して出口開口部222から出る冷却媒体の量を少なくして、冷却通路202の冷却能力を低下させる。出口開口部222の断面積を小さくする量は、ユーザが定義することができる。一例では、部材断面積は、通路断面積の約30%~約50%の値である。あるいは、通路断面積は、部材断面積の約2倍から約3倍の値である。断面積は、いくつかの要因(タービンシステム構成要素200のサイズ、冷却されるべきタービンシステム構成要素の位置、望まれる冷却量、及び/又は特定の冷却通路などがあるが、これらに限定されることはない)に応じて変化することが認識される。中空部材220は、冷却通路202の内側断面に結合できるように形成された外側断面を有する。
【0056】
中空部材220は、任意の数の接合技術(ろう付け、はんだ付け、抵抗溶接、他の技術など)によって、本体部210の冷却通路202に結合することができる。
図7に示す一実施形態では、中空部材220は、ろう材226によって本体部210の冷却通路202に結合することができる。別の実施形態では、ろう材26の最大厚さを300μmとすることができる。ろう材226は、本体部210の材料と中空部材220の材料とをろう付けするための任意の適切な材料(AMS4782、103、D15、DF4B又はB1Pろう材などのニッケル系の低融点ろう材であるが、これらの材料に限定されることはない)を含むことができる。中空部材220は、タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている。したがって、タービンシステムの動作は、中空部材220に影響を与えず、例えば、中空部材220の内側断面積は変化しない。中空部材220としては、例えば、ニッケル-クロム系の超合金、コバルト系超合金、又はステンレス鋼であるが(インコネル(登録商標)625(Special Metals Corporationから入手可能)、又は300シリーズステンレス鋼など)、これらに限定されるものではない。一実施形態では、中空部材220は、冷却通路202の水力直径で、出口開口部222における外面212から内部に延在することができる。特定の実施形態では、中空部材220は、冷却通路の一部の長さから最大で冷却通路202の全長まで、出口開口部222における外面212から内部に延在する(距離Dを参照)ことができる。
【0057】
中空部材220は、様々な形状を有することができる。
図7では、冷却通路202は、概ね円形の断面を有するように示されている。ここで、中空部材220の外側断面は、冷却通路202の少なくとも一部の内側断面の形状に一致する形状を有している。この実施例では、中空部材220は管状とすることができる。中空部材220の最小壁厚は、例えば、0.1~0.3ミリメートルの範囲の厚さを有することができ、中空部材220の壁厚は、中空部材220の長さに沿う方向に関して概ね一定である。冷却通路202の内側断面は、中空部材220を収容することができる異なる形状を有することができる。
図8は、本開示の別の実施形態による、冷却通路202の幅方向の概略断面図を示す。
図8の冷却通路202は、概ね円形の断面を有するが、冷却通路202の内面に複数のタービュレータ228(例えば、突出部又は窪み)を含んでいる。タービュレータ228は、例えば、冷却通路を流れる冷却媒体の冷却能力を向上させるために備えることができる。円形以外の断面形状も可能であり、例えば、楕円形又は横長の形、多角形などである。中空部材220は、本体部210の外面212において冷却通路202の元の出口開口部214に挿入できるように、及び/又は冷却通路202に結合できるように、収容可能な外側断面を有することができる。例えば、中空部材220は、タービュレータ228間の最小直径よりも小さい円形断面を有することができ、また、タービュレータ228を捕らえるための座部を含むこと等もできる。
【0058】
図9は、本開示のさらに別の実施形態による、中空部材220及び冷却通路202の幅方向の概略断面図を示す。特定の実施形態では、中空部材220は、例えば、中空部材220の長さに沿って円形の内側断面形状及び外側断面形状を有する管状である必要はない。すなわち、中空部材220の外側断面は、中空部材220の内側断面とは異なっていてもよい。中空部材220の外側断面は、冷却通路202の少なくとも一部の内側断面の形状に一致することができる。
図9では、例えば、中空部材202の外側断面は、冷却通路202の少なくとも一部の内側断面に一致する概ね円形であるが、中空部材220の内側断面(例えば、四角などの多角形)は、中空部材220の外側断面(例えば、円形)と異なるようにすることができる。また、中空部材220の外側断面及び内側断面の両方は、他の形状も可能である。
【0059】
図10は、本開示の別の実施形態による、中空部材220及び冷却通路202の長手方向の概略断面図を示す。先に説明した実施形態では、中空部材220は、中空部材220の長さに沿って、同じ寸法で同じ内側形状及び同じ外側形状を有している。すなわち、任意の長さ方向の断面において、中空部材220の両側の壁厚は、長さ方向に均一な厚さを有するものであった。
図10に示す代替実施形態では、中空部材220は、本体部210の内側にある中空部材220の内部端230において、出口開口部222における部材断面積とは異なる断面積を有することができる。この場合、中空部材220は、本体部210内の冷却通路202の通路断面積と流体的に交わる場所の断面積が、出口開口部222における部材断面積よりも大きい。すなわち、冷却媒体の流れが冷却通路202から出口開口部222に向かって進むにつれて、中空部材220の壁厚は増加し、中空部材220の断面積は減少する。したがって、流れが冷却通路202から出口開口部222に進むにつれて、中空部材220は狭くなる。中空部材220は、様々な他の特徴(フレア状の端部、内側タービュレータなどであるが、これらに限定されることはない)を含むことができる。
【0060】
タービンシステム構成要素200は、多くの場合、複数の冷却通路202を含み、各冷却通路は、外面212において本体部210の外に通じる。
図11は、複数の冷却通路202(本体部210の内部)を含むタービンシステム構成要素200の本体部210の外面212の端面図を示す。この実施例では、すべての冷却通路202(本体部210の内部)は、中空部材220を含んでいる。したがって、すべての冷却通路202は、本体部210に、小さい部材断面積を有している。このようにして、全ての冷却通路202の冷却能力が低下する。代替の実施形態では、複数の冷却通路202のうちの一部の冷却通路202のみが、中空部材220を含んでいてもよい。
図12は、複数の冷却通路202A、202B(本体部210の内部)を含むタービンシステム構成要素200の本体部210の外面212の端面図を示し、複数の冷却通路202A、202Bの一部は中空部材220を含み、一部は中空部材220を含んでいない。この場合、中空部材220は、本体部210に画定された複数の冷却通路のうちの選択された冷却通路202Aのみに使用することができる。
図12において、中空部材220は、複数の冷却通路202A、202Bのうちの選択された冷却通路202Aの各々に対して、本体部210の外面212に部材断面積を有する出口開口部222を画定する。したがって、複数の冷却通路のうちの選択された冷却通路202Aの各々は、本体部210の外面212の出口開口部222において、小さい部材断面積を有する。中空部材220を含まない他の冷却通路202Bは、元の出口開口部214において、より大きな通路断面積を有したままである。すなわち、複数の他の冷却通路202Bが本体部210に画定され、本体部210の複数の冷却通路202Bの各々は、本体部210に画定され大きい通路断面積を有する出口開口部214において、本体部210の外面212の外側に通じる。また、冷却通路202Bは、元の高い冷却能力を有する。所与のタービンシステム構成要素200において、任意の数の冷却通路202又は冷却通路202の異なるセットは、同じサイズの中空部材220又は異なるサイズの中空部材220に応じてサイズ変更することができる。
【0061】
出口開口部222、214をそれぞれ有する冷却通路202A及び冷却通路202Bは、異なる断面積を有しており、任意の所望の方法で配置することができる。
図12では、例えば、2つの冷却通路202Bは、6つの冷却通路202Aによって分離されているが、そのパターンは繰り返されてもよいし、繰り返されなくてもよい。
図13に示す別の実施形態では、異なる冷却通路202A、202Bは、本体部210の外面212に沿って交互に配置することができる。所望の冷却特性を得るために、任意のパターンを採用することができる。
【0062】
図14~
図16を参照して、本開示の様々な実施形態による方法を説明する。中空部材220が使用される冷却通路202は、いくつかの方法で選択することができる。上記のように、一実施例では、すべての冷却通路202がそれぞれの中空部材220(
図11)を受け入れることができる。別の実施例では、それぞれの中空部材220を受ける冷却通路202は、ランダムに選択することができる。別の実施例では、それぞれの中空部材220を受けるための冷却通路202は、あるパターンを形成するように選択することができる。例えば、多くの他の構成では、冷却通路202A、202Bを、交互に並ぶように配置する、中空部材を備える1つ以上の冷却通路が中空部材を備えていない1つ以上の冷却通路に隣接するように配置する、パターンが繰り返されるように配置する、冷却通路202A、202Bを或る割合で配置する、及び/又はタービンシステム構成要素200の特定の位置に配置することができる。いずれにしても、複数の冷却通路のうち、中空部材220を受け入れる少なくとも1つの冷却通路202は、過剰な冷却能力を有する冷却通路202を示すタービンシステム構成要素200の冷却プロファイルに基づいて特定することができる。冷却プロファイルは、実験データ、測定データ、及び/又は熱モデリングを使用した既知の又は後に開発される任意のソフトウェアシステムを使用して確認することができる。実験データに関して、1つの非限定的な実施例では、構成要素を加圧して冷却通路から流出する空気の流量を測定するフローベンチを使用して、タービンシステム構成要素における空気の流量を測定することができる。冷却プロファイルは、冷却属性、測定された流量特性、及び/又は他の流量特性に基づいて生成することができ、冷却通路202Cは、本明細書に記載された方法の一部として特定することができる。すなわち、本方法は、タービンシステム構成要素の冷却プロファイルに基づいて、タービンシステム構成要素200の本体部210に画定された複数の冷却通路から冷却通路202Cを特定することを含むことができる。あるいは、冷却プロファイル及び/又は特定方法は、別の方法で取得したり、別の方法で実行することができ、例えば、第三者によって作成され、本明細書に記載された方法と共に使用することができる。
【0063】
いずれにせよ、冷却プロファイルは、過剰な冷却能力を有する冷却通路202を特定する。「過剰な冷却能力」は、例えば、過剰な空気流量又は空気流速が必要な又は所望の空気流の閾値と比較されることによって特定することができ、又は、「過剰な冷却能力」は、冷却が所定の冷却閾値(例えば、所望の温度、複数の冷却通路の全体の温度など)を超えることによって特定することができる。過剰な冷却能力を示す所望のパラメータの閾値は、性能上の理由で調整することができる。特定された冷却通路の冷却通路断面積を小さくして、その冷却能力を有利に低下させることができる。節約された冷却能力は、別の場所で又は別の目的で使用することができ、例えば、タービンシステム構成要素200及び/又はターボ機械100(
図1)の全体的な効率を向上させるために使用することができる。特定の冷却通路202の冷却能力は、様々な要因(出口開口断面積、通路断面積、通路、通路および出口開口部の物理的状態(例えば、物理的に閉じているなど)、目詰まり、外面212の酸化又は外面212の他の摩耗、上流冷却通路又は回路の状態、冷却通路202の数、冷却通路内の中空部材220の内径及び外径、及び/又は冷却媒体の温度、圧力、流量などがあるが、これらに限定されることはない)に基づいている。所望の冷却能力を得るために中空部材220を選択することができる。
【0064】
図14は、複数の冷却通路202(本体部210の内部)を含むタービンシステム構成要素200の本体部210の外面212の端面図を示す。特定の冷却通路202Cは、過剰な冷却能力を有する場所として特定されており、したがって、中空部材220を受け入れる対象とされている。
図15は、タービンシステム構成要素200の本体部212の外面212の冷却通路202C(6個の冷却通路202Cが示されている)に中空部材220を結合することを示している。上記のように、本体部210に画定された冷却通路202Cは、通路断面積を有している。中空部材210を冷却通路202Cに挿入する前に、冷却通路202C(例えば、冷却通路202Cの内面)の洗浄を任意に実施することができる。どのような接合技術が採用されるにせよ、洗浄は、中空部材220を適切に結合できるようにするための化学的洗浄又は研磨/機械的洗浄を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
図15に示すように、結合することには、中空部材220を選択された冷却通路202Cに挿入することを含むことができる。中空部材220は、冷却通路202の水力直径で、出口開口部222における外面212から内部に延在することができる。中空部材220が冷却通路202C内に延在する範囲は、例えば、冷却通路の長さ、又は中空部材220が冷却通路202C内に配置される範囲によって設定することができる。
図15は、それぞれの冷却通路202Cにおいて中空部材220を物理的に結合すること、すなわち、中空部材を取り外すことができないように結合することを示す。物理的に結合することは、中空部材220に対して接合プロセス(ろう付けプロセスなど)を実行することを含むことができる。ろう付けプロセスは、中空部材220の少なくとも一部と本体部210の対応する冷却通路202Cとの間にろう材226を形成することを含むことができる。例えば、ろう材としては、冷却通路202の出口において、タービンシステム構成要素200と中空部材220との間に吸い込まれる液体ろう材、中空部材220とタービンシステム構成要素200との間のろう箔、タービンシステム構成要素200と中空部材220との間に位置する乾燥ろう粉末又はろうペースト/スラリーを使用することができる。ろう付けプロセスは、熱処理プロセスを実行することを含むこともできる。ろう付けプロセスは、使用される特定のろう材、及び/又は本体部210及び中空部材220の材料に合わせて、カスタマイズすることができる。結合は、任意の適切な接合装置240を使用して実施することができる。
図15に示すように、中空部材220の一部242は、本体部210の外面212を越えて外側に出ている。
【0066】
図16は、タービンシステム構成要素200の端面図であり、中空部材220の、本体部210の外面212を超えて突出している部分242(
図15)を、例えば、切断又は研削によって除去する様子を示している。除去した後、中空部材220は、本明細書に記載されているように、本体部210の外面212において冷却通路202Cと流体連通する出口開口部222を画定する。出口開口部222における中空部材220は、通路断面積よりも小さい部材断面積を有し、冷却通路202Cを流れる冷却媒体の量を減少させる。本体部210は、タービンシステム構成要素200の本体部210の外面212において、元の大きい出口開口部214を有する冷却通路202Bを含むこともできる。すなわち、冷却通路202Bは本体部210に画定されており、冷却通路202Bは、本体部210の外面212の元の出口開口部214において、本体部210の大きい通路断面積を有する。一実施例では、通路断面積は、1.31平方ミリメートル~1.70平方ミリメートル(mm
2)の範囲内の値とすることができ、部材断面積は、0.58mm
2~0.62mm
2の範囲内の値とすることができる。上記のように、他の断面積も可能である。
【0067】
本開示の実施形態は、冷却通路の出口開口部の断面積を減少させることができるタービンシステム構成要素及び方法であって、冷却通路の冷却能力を選択的に低下させるタービンシステム構成要素及び方法を提供する。タービンシステム構成要素の冷却プロファイルを使用して、過剰に冷却する冷却通路を特定することができるので、冷却通路は、断面積が減少した出口開口部を有することができ、節約された冷却能力をタービン又はタービンシステム構成要素の他の場所でより効率的に使用することができる。
【0068】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここで、並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組合せ及び/又は置き換えが可能であり、文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0069】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記載は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものを含んでいることも、開示された形態で本開示に限定することも意図するものではない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの改変及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最適に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態について本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0070】
100 ターボ機械
102 圧縮機
104 燃焼器
106 燃焼領域
108 燃焼ノズルアセンブリ
110 タービンアセンブリ
111 タービン
112 ロータ
120 ノズル段
122 静止ケーシング
124 ブレード段
126 ノズル
128 半径方向外側プラットフォーム
130 半径方向内側プラットフォーム
132 回転ブレード
134 半径方向内側プラットフォーム
136 半径方向外側先端部
138 シュラウド
140 作動流体
142 ルート根
144 ダブテール
146 ロータホイール
148 シャンク
152 エアフォイル
154 PS外壁
156 SS外壁
158 前縁
160 後縁
176 エアフォイル
178 PS外壁
180 SS外壁
182 前縁
184 後縁
190 プラットフォーム
192 面
194 内面
200 タービンシステム構成要素
202 冷却通路
202A 冷却通路
202B 冷却通路
202C 冷却通路
210 本体部
212 外面
214 出口開口部
220 中空部材
222 出口開口部
226 ろう材
228 タービュレータ
230 内部端
240 接合装置
242 部分
【外国語明細書】