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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152785
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】アンモニア燃焼器の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20231005BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20231005BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20231005BHJP
   F23R 3/10 20060101ALI20231005BHJP
   F23J 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F23R3/28 F
F02C3/22
F02C7/22 B
F23R3/10
F23C99/00 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023035350
(22)【出願日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】17/708,860
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】セリム、ハテム エム.
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン、バハ
(72)【発明者】
【氏名】サマック、マジェド
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、マイケル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハリディ、アブドゥルラフマン アブダラ
(72)【発明者】
【氏名】ダーウード、アラーエルディン エルサイード
【テーマコード(参考)】
3K065
【Fターム(参考)】
3K065TA01
3K065TB07
3K065TC08
3K065TD05
3K065TF09
(57)【要約】
【課題】 アンモニアによる燃焼器の運転方法を提供する。
【解決手段】アンモニア(NH3)を含む燃料(100)及び酸化剤(102)の第1の部分をリッチ混合物として燃焼室(42)の第1のゾーン(56)に供給し、第1のゾーンで燃焼させ、窒素酸化物(NOx)を含有する燃焼ガス(34)が生成される。酸化剤の第2の部分(104)を第2のゾーン(58)に送達して、未燃焼アンモニアを第2のゾーン(58)中でアンモニア中間体に分解し、窒素酸化物(NOx)はアンモニア中間体と第2のゾーン(58)で反応し、消費される。未燃焼アンモニアをアンモニア中間体に分解する結果として副生成物水素が生成される。酸化剤の第3の部分(122)を第3のゾーン(60)に供給し、副生成物水素は第3のゾーン(60)で燃焼される。酸化剤の第3の部分(122)は、第1の部分(102)及び第2の部分(104)よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(10)の燃焼器(17)を動作させる方法(500,600)であって、燃焼器(17)は、燃焼室(42)を画定する燃焼ライナ(40)を備え、燃焼室(42)は、直列流れ順序で第1のゾーン(56)、第2のゾーン(58)、及び第3のゾーン(60)を含み、方法(500,600)は、
燃焼器(17)の前方端部に配置される1つ以上の燃料ノズルを用いて、アンモニア(NH3)を含む燃料(100)及び酸化剤(102)の第1の部分をリッチ混合物として燃焼室(42)の第1のゾーン(56)に供給するステップと、
燃料(100)及び酸化剤(102)の第1の部分をリッチ混合物として第1のゾーン(56)でリッチ混合物を燃焼させるステップであって、これにより、窒素酸化物(NOx)を含有する燃焼ガス(34)が生成される、ステップと、
第2のゾーン(58)内に酸化剤(104)の第2の部分を供給し、未燃焼アンモニアを第2のゾーン(58)内のアンモニア中間体に分解するステップであって、これによって第2のゾーン(58)内のアンモニア中間体と反応して窒素酸化物(NOx)が消費され、それによって未燃焼アンモニアをアンモニア中間体に分解した結果として副生成物水素が生成される、ステップと、
酸化剤(122)の第3の部分を第3のゾーン(60)内に送達するステップであって、酸化剤(122)の第3の部分が酸化剤(102)の第1の部分及び酸化剤(104)の第2の部分のそれぞれよりも大きい、ステップと、
酸化剤(122)の第3の部分で第3のゾーン(60)内の副生成物水素を燃焼させるステップと、
を含む、方法(500,600)。
【請求項2】
第1のゾーン(56)内のリッチ混合物の少なくとも一部の燃焼によって生成された窒素酸化物(NOx)を含有する燃焼ガスが、第1のゾーン(56)を通って第1期間にわたって搬送され、
燃焼ガス及び未燃焼アンモニアは第2の期間にわたって第2のゾーン(58)を通って運ばれる一方、酸化剤(104)の第2の部分は第2のゾーン(58)に送られ、第2のゾーン(58)において未燃焼アンモニアがアンモニア中間体に分解にされ、
酸化剤(122)の第3の部分は第3のゾーン(60)に供給される一方、燃焼ガス及び副生成物水素を第3のゾーン(60)を通して第3の時間期間にわたって搬送され、
第2の時間期間は、第1の時間期間及び第3の時間期間よりも長い、請求項1に記載の方法(500,600)。
【請求項3】
未燃焼アンモニアの分解により、第3のゾーン(60)に入ると未燃焼アンモニアが完全に消費され、第3の部分の酸化剤(122)を供給することにより、第3のゾーン(60)内の燃焼ガス(34)の温度が熱NOx形成温度未満に低下する、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項4】
酸化剤(102)の第1の部分を送達することが、燃焼器(17)に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達することを含み、酸化剤(104)の第2の部分を送達することが、燃焼器(17)に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達することを含み、酸化剤(122)の第3の部分を送達することが、燃焼器(17)に添加される全酸化剤の残りを送達することを含む、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項5】
リッチ混合物が、約1.05~約2の当量比を含む、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項6】
酸化剤(102)の第1の部分を送達することが、酸素が付加された空気を送達することを含む、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項7】
約6ミリ秒~約12ミリ秒の滞留時間で燃焼ガス(34)を第2のゾーン(58)を通して搬送することを含む、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項8】
燃料(100)が、純粋なアンモニア、または水素と混合されたアンモニアを含む燃料混合物のいずれかである、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項9】
酸化剤(104)の第2の部分の送達が、酸化剤(104)の第2の部分を、第2のゾーン(58)内の少なくとも2つの酸化剤注入段(106)で送達することを含み、酸化剤の第3の部分の送達が、酸化剤の第3の部分を、第3のゾーン(60)内の少なくとも2つの酸化剤注入段で送達することを含む、請求項1または2に記載の方法(500,600)。
【請求項10】
第2のゾーン(58)内の少なくとも2つの酸化剤注入段(106)は、第1の酸化剤注入段(118)と、第1の酸化剤注入段(118)から軸方向に離間している第2の酸化剤注入段(120)とを含み、第1の酸化剤注入段(118)及び第2の酸化剤注入段(120)はそれぞれ、燃焼器(17)に添加される全酸化剤の約3.5%~約7%を注入する、請求項8に記載の方法(500,600)。
【請求項11】
第3のゾーン(60)内の少なくとも2つの酸化剤注入段(124)は、第1の酸化剤注入段(126)及び第2の酸化剤注入段(128)を含む、請求項8に記載の方法(500,600)。
【請求項12】
燃焼器(17)であって、燃焼器(17)は、入口(41)と出口(45)の間に延びる燃焼室(42)を画定するライナ(40)を備え、燃焼室(42)は、直列流れ順序で第1のゾーン(56)、第2のゾーン(58)、及び第3のゾーン(60)を含み、
燃焼器は、
アンモニア(NH3)を含む燃料(100)と酸化剤(102)の第1の部分との混合物を第1のゾーン(56)に噴射するように構成された少なくとも1つの燃料ノズルであって、酸化剤(102)の第1の部分が燃焼器(17)に添加される全酸化剤の約7%~約15%である、少なくとも1つの燃料ノズルと、
第2のゾーン(58)内の少なくとも2つの酸化剤注入段(106,118,120)であって、少なくとも2つの酸化剤注入段(106,118,120)は、燃焼器(17)に添加される全酸化剤の約7%~約15%を含む酸化剤の第2の部分(104)を第2のゾーン(58)内に注入するように構成される、少なくとも2つの酸化剤注入段(106,118,120)と、
第3のゾーン(60)内の少なくとも2つの酸化剤注入段(124,126,128)であって、少なくとも2つの酸化剤注入段(124,126,128)は、燃焼器(17)に添加される全酸化剤の約70%~約95%を含む酸化剤(122)の第3の部分を第3のゾーン(60)内に注入するように構成される、少なくとも2つの酸化剤注入段(124,126,128)と、
を備える、燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、代替燃料でガスタービン燃焼器を動作させることに関する。特に、本開示は、アンモニア(NH3)を含有する燃料混合物上でガスタービン燃焼器を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、エネルギー伝達目的のために様々な産業及び用途で利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、タービンセクションと、排気セクションとを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに入る作動流体の圧力を徐々に増加させ、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体および燃料(例えば、従来のシステムのための天然ガス)は、燃焼セクション内で混合し、燃焼室内で燃焼して、高圧および高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼セクションからタービンセクションに流れ、そこで膨張して仕事を生成する。例えば、タービンセクション内の燃焼ガスの膨張は、例えば発電機に接続されたロータシャフトを回転させて電気を生成することができる。次いで、燃焼ガスは、排気セクションを介してガスタービンから出る。
【0003】
従来のガスタービンエンジンは、天然ガスと空気との混合気を燃焼室内で燃焼させて高圧及び高温の燃焼ガスを生成する1つ以上の燃焼器を含む。副産物として窒素酸化物(NOx)および他の汚染物質が生成され、排気セクションによって排出される。ガスタービンからの低排出物に対する規制要件は、ますます厳しくなっており、世界中の環境機関は、現在、新しいガスタービンおよび既存のガスタービンの両方からのNOxおよび他の汚染物質の排出量をさらに低くすることを要求している。
【0004】
燃焼器内のNOxの生成を低減するために、天然ガスの代わりに(または天然ガスに加えて)代替燃料を使用することができる。しかしながら、多くの代替燃料は、従来の燃焼器運転方法での使用に適さない燃焼特性を有する。例えば、そのような特性は、遅すぎる/速すぎる火炎速度、熱すぎる/冷すぎる火炎温度、および/または望ましくない燃焼副生成物を含み得る。
【0005】
したがって、アンモニア(NH3)などの代替燃料の使用を可能にする燃焼器を動作させる改善された方法が望まれており、当技術分野で理解されるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示による方法の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載され、または説明から明らかになり、または本技術の実施を通じて習得され得る。
【0007】
一実施形態によれば、ガスタービンの燃焼器を動作させる方法が提供される。燃焼器は、燃焼室を画定する燃焼ライナを含む。燃焼室は、直列流れ順に第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンを含む。この方法は、燃焼器の前方端部に配置される1つ以上の燃料ノズルを用いて、燃料及び酸化剤(オキシダント)の第1の部分をリッチ混合物(rich mixture)として燃焼室の第1のゾーンに供給することを含む。燃料は、アンモニア(NH3)を含む。方法は、リッチ混合物を第1のゾーンで燃焼させることをさらに含む。その結果、窒素酸化物(NOx)を含む燃焼ガスが生成される。本方法は、酸化剤の第2の部分を第2のゾーンに送達して、未燃焼アンモニアを第2のゾーン内のアンモニア中間体に分解することをさらに含む。その結果、第2のゾーンにおいて、窒素酸化物(NOx)がアンモニア中間体と反応して消費される。副生成物水素は、未燃焼アンモニアをアンモニア中間体(ammonia intermediates)に分解する結果として生成される。方法は、酸化剤の第3部分を第3のゾーンに送達することをさらに含む。副生成物水素は第3のゾーンで燃焼される。酸化剤の第3部分は、酸化剤の第1部分および酸化剤の第2部分よりも大きい。
【0008】
別の実施形態によれば、ガスタービンの燃焼器を動作させる方法が提供される。燃焼器は、燃焼室を画定する燃焼ライナを含む。燃焼室は、直列流れ順に第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンを含む。この方法は、燃焼器の前方端部に配置される1つ以上の燃料ノズルを用いて、燃料及び酸化剤の第1部分をリッチ混合物として燃焼室の第1のゾーンに供給することを含む。燃料は、アンモニア(NH3)を含む。この方法は、リッチ混合物の少なくとも一部を第1のゾーンで燃焼させることをさらに含む。その結果、窒素酸化物(NOx)を含有する燃焼ガスが生成され、かつ第1の期間にわたって第1のゾーンを通って搬送される。本方法は、燃焼ガス及び未燃焼アンモニアを第2期間にわたって第2のゾーンを通して搬送する一方で、酸化剤の第2部分を第2のゾーン内に送達して、未燃焼アンモニアを第2のゾーン内のアンモニア中間体に分解する。その結果、燃焼ガス中の窒素酸化物は第2のゾーン内のアンモニア中間体と反応することによって消費される。本方法は、燃焼ガスを第3期間にわたって第3のゾーンを通して搬送しながら、酸化剤の第3部分を第3のゾーンに供給することをさらに含む。酸化剤の第3部分は、酸化剤の第1部分および酸化剤の第2部分よりも大きく、第2期間は第1期間および第3期間よりも長い。
【0009】
別の実施形態によれば、燃焼器が提供される。燃焼器は、入口と出口の間に延びる燃焼室を画定するライナを含む。燃焼室は、直列流れ順に第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンを含む。燃焼器は、燃料と酸化剤の第1部分との混合物を第1のゾーンに噴射するように構成された少なくとも1つの燃料ノズルをさらに含む。燃料は、アンモニア(NH3)を含む。酸化剤の第1の部分は、燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%である。燃焼器は、さらに、第2のゾーンに少なくとも2つの酸化剤噴射段を含む。第2のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段は、燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%である酸化剤の第2部分を注入するように構成される。燃焼器はさらに、第3のゾーンに少なくとも2つの酸化剤噴射段を含む。第3のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段は、燃焼器に添加される全酸化剤の約70%~約95%を有する酸化剤の第3部分を注入するように構成される。
【0010】
本方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本技術の実施形態を示し、説明とともに、本技術の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
当業者を対象とする、本システムおよび方法を作製および使用する最良の形態を含む、本方法の完全かつ有効な開示は、添付の図面を参照する本明細書に記載される。
図1】本開示の実施形態によるターボ機械の概略図である。
図2】本開示の実施形態による燃焼器の断面図である。
図3】本開示の実施形態による燃焼器の概略図を示す。
図4】本開示の実施形態によるアンモニア(NH3)燃焼機構経路の図を示す。
図5】本開示の実施形態による燃焼器を動作させる方法のフローチャートを示す。
図6】本開示の実施形態による燃焼器を動作させる方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本方法の実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例を図面に示す。各実施例は、技術の限定ではなく、説明のために提供される。実際に、特許請求される技術の範囲または趣旨から逸脱することなく、本技術において修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入るような修正および変形を包含することが意図される。
【0013】
「例、事例、または実例として機能すること」という単語は、本明細書では「例示的」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」と説明される任意の実装形態は、必ずしも他の実装形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。加えて、特に特定されない限り、本明細書に記載される全ての実施形態は、例示的であると見なされるべきである。
【0014】
詳細な説明では、図面中の特徴を参照するために数字および文字の符号を使用する。図面および説明における同様または類似の符号は、本発明の同様または類似の部分を指すために使用されている。本明細書で使用する「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために互換的に使用されることがあり、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。
【0015】
「流体」という用語は、気体または液体であり得る。「流体連通」という用語は、流体が指定された領域間を接続することができることを意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「上流:upstream」(または「前方:forward」)および「下流:downstream」(または「後方:aft」)という用語は、流体経路内の流体の流れに対する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向を指し、「下流」は、流体が流れていく方向を指す。しかしながら、本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、電気の流れを指すこともある。「半径方向に:radially」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対方向を指し、「軸方向に:axially」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行および/または同軸に整列した相対方向を指し、「円周方向に:circumferentially」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線の周りに延びる相対方向を指す。
【0017】
「約(about)」、「およそ(approximately)」、「一般に(generally)」、および「実質的に(substantially)」などの近似の用語は、指定された正確な値に限定されるべきではない。少なくともいくつかの事例では、近似表現は、値を測定するための機器の精度、または構成要素および/もしくはシステムを構築もしくは製造するための方法もしくは機械の精度に対応し得る。少なくともいくつかの事例では、近似表現は、値を測定するための機器の精度、または構成要素および/もしくはシステムを構築もしくは製造するための方法もしくは機械の精度に対応し得る。例えば、近似表現は、個々の値、値の範囲、および/または値の範囲を定義するエンドポイントのいずれかにおいて、1、2、4、5、10、15、または20%マージン内にあることを指すことができる。角度または方向の文脈で使用される場合、そのような用語は、述べられた角度または方向よりも10度以内に大きいまたは小さいことを含む。例えば、「略垂直」は、任意の方向、例えば時計回り又は反時計回りの垂直から10度以内の方向を含む。
【0018】
「結合される:coupled」、「固定される:fixed」、「取り付けられる:attached to」などの用語は、本明細書で別段の指定がない限り、1つまたは複数の中間構成要素または特徴を介した直接的な結合、固定、または取り付け、ならびに間接的な結合、固定、または取り付けの両方を指す。本明細書で使用される場合、「含む:comprises」、「含んでいる:comprising」、「含有する:includes」、「含有している:including」、「有する:has」、「有している:having」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。たとえば、特徴のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるとは限らず、明示的にリストされない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有でない他の特徴を含み得る。さらに、そうでないと明示的に述べられていない限り、「または」は包括的なまたはを指し、排他的なまたはを指さない。例えば、条件Aまたは条件Bは、以下のいずれかによって満たされる。 Aは真(または存在する)であり、Bは偽(または存在しない)であり、Aは偽(または存在しない)であり、Bは真(または存在する)であり、AおよびBの両方は真(または存在する)である。
【0019】
ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わされ、交換され、そのような範囲は識別され、文脈または文言が別段の指示をしない限り、その中に含まれるすべての部分範囲を含む。例えば、本明細書に開示される全ての範囲は端点を含み、端点は互いに独立して組み合わせ可能である。
【0020】
ここで図面を参照する。図1は、図示の実施形態ではガスタービン10であるターボ機械の一実施形態の概略図を示す。本明細書では、産業用または陸上用のガスタービンが示され、説明されているが、本開示は、特許請求の範囲で別段の指定がない限り、陸上用および/または産業用のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載のスワラ組立体は、限定はしないが、蒸気タービン、航空機ガスタービン、又は船舶用ガスタービンを含む任意のタイプのターボ機械で使用することができる。
【0021】
図示のように、ガスタービン10は、一般に、入口セクション12と、入口セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14と、複数の燃焼器17とを含む。2)圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼器セクション16、燃焼器セクション16の下流に配置されたタービンセクション18、及びタービンセクション18の下流に配置された排気セクション20内に配置されている。さらに、ガスタービン10は、圧縮機セクション14とタービンセクション18の間に結合される1つ以上のシャフト22を含むことができる。
【0022】
圧縮機セクション14は、一般に、複数のロータディスク24(そのうちの一方が示されている)と、各ロータディスク24から半径方向外向きに延在し、それに接続された複数のロータブレード26とを含むことができる。各ロータディスク24は、圧縮機セクション14を通って延在するシャフト22の一部に結合されるか、またはその一部を形成することができる。
【0023】
タービンセクション18は、一般に、複数のロータディスク28(そのうちの一方が示されている)と、各ロータディスク28から半径方向外向きに延在し、相互接続された複数のロータブレード30とを含むことができる。各ロータディスク28は、タービンセクション18を通って延在するシャフト22の一部に結合することができ、又は一部から結合することができる。タービンセクション18は、シャフト22の一部およびロータブレード30を円周方向に取り囲む外側ケーシング31をさらに含み、それによって、タービンセクション18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に画定する。
【0024】
動作中、空気などの作動流体は、入口セクション12を通って圧縮機セクション14に流入し、そこで空気が徐々に圧縮され、したがって加圧空気27を燃焼器セクション16の燃焼器に供給する。加圧空気27は、燃料と混合され、燃焼ガス34を生成するために各燃焼器内で燃焼される。燃焼ガス34は、高温ガス経路32を通って燃焼器セクション16からタービンセクション18に流入し、エネルギー(運動及び/又は熱)が燃焼ガス34からロータブレード30に伝達され、シャフト22を回転させる。次いで、機械的回転エネルギーを使用して、圧縮機セクション14に動力を供給し、かつ/または電気を生成することができる。次いで、タービンセクション18を出る燃焼ガス34は、排気セクション20を介してガスタービン10から排気することができる。
【0025】
図2に示すように、燃焼器17は、圧縮機吐出ケーシングと呼ぶことができる外側ケーシング31によって少なくとも部分的に取り囲むことができる。外側ケーシング31は、燃焼器17の様々な構成要素を少なくとも部分的に取り囲む高圧プレナム35を少なくとも部分的に画定することができる。高圧プレナム35は、そこから圧縮空気27を受け取るために、圧縮機14(図1)と流体連通していてもよい。端部カバー36は、外側ケーシング31に結合されてもよい。特定の実施形態では、外側ケーシング31及び端部カバー36は、燃焼器17のヘッドエンド容積又は部分38を少なくとも部分的に規定することができる。
【0026】
特定の実施形態では、ヘッドエンド部分38は、高圧プレナム35および/または圧縮機14と流体連通している。燃焼ライナ40は、燃料-空気混合物を燃焼させるための燃焼室42を画定することができ、かつ/または燃焼ガス34をタービンセクション18の入口に向かって方向付けるために、矢印43によって示されるように燃焼器を通る高温ガス経路を少なくとも部分的に画定することができる。
【0027】
様々な実施形態では、燃焼器17は、ヘッド端部38に少なくとも1つの燃料ノズル61を含む。図2に示されるように、燃料ノズル61は、燃焼器17の端部カバー36の下流及び/又はそこから間隔を空けて、燃焼室42の上流の外側ケーシング31内に配置することができる。特定の実施形態では、燃料ノズル61は、1以上の流体導管50を介して燃料供給源48と流体連通することができる。多くの実施形態では、流体導管50は、一端で端部カバー36に流体結合及び/又は接続することができる。
【0028】
図3は本開示の実施形態による燃焼器17の概略図を示す。図示のように、燃焼器17は、前方端部52と後方端部54の間の軸方向中心線53に沿って延びる燃焼ライナ40を含むことができる。燃焼ライナ40は、前方端部52の入口41と後方端部54の出口45の間に延びる燃焼室42を画定することができる。燃焼室42の入口41は、燃料100と酸化剤または空気102の第1の部分との混合物を受け取ることができる(例えば、図2に示す少なくとも1つの燃料ノズル61から)。例示的な実施形態では、後述するように、混合物中の燃料100は、大部分がアンモニア(約95%アンモニアなどであり、残りは水素および/または他の燃料である。)であってもよい。燃料100と酸化剤102の第1の部分との混合物は、燃焼室42内で点火して、燃焼ガス34を生成することができる。次いで、燃焼ガス34は、燃焼室42を通って移動し、出口45でタービンセクション18内に排出することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、燃料100は、100%アンモニア(例えば、他の燃料と混合されない「純粋なアンモニア」。)であってもよい。そのような実施形態では、アンモニアの一部が水素および窒素に分解される。アンモニアの分解は、アンモニア分解反応器(外部のもの)に送ることによって行うことができる。例えば、分解反応器は、アンモニアから水素及び窒素を生成することができる。アンモニアを分解することはまた、火炎ゾーン熱(高温燃焼副生成物(hot combustion byproducts)およびアンモニア入口流(ammonia inlet stream)による熱交換)の一部を受け取ることによってガスタービン燃焼器内のアンモニアを熱的に解離(thermally dissociating)させることによって達成することができる。生成された水素は、燃料流全体の燃焼を安定させるために使用される。
【0030】
図示のように、燃焼室42は、直列流れ順序(例えば、燃焼室42を通る流れの方向に沿って、入口41から出口45に向かう流れの方向に軸方向中心線53に沿ってなどである。)で第1のゾーン56、第2のゾーン58、及び第3のゾーン60を含むことができる。第1のゾーン56は、入口41と第2のゾーン58の間に延びることができ、第1のゾーン56は、軸方向中心線53に沿って第1の長さ62を画定することができる。第2のゾーン58は第1のゾーン56と第3のゾーン60の間に延びることができ、第2のゾーン58は軸方向中心線53に沿って第2の長さ64を画定することができる。第3のゾーン60は第2のゾーン58と出口45の間に延びることができ、第3のゾーン60は軸方向中心線53に沿って第3の長さ66を画定することができる。例示的な実施形態において、図10に示されるように、第2の長さ64は第1の長さ62及び第2の長さ64より長くてもよい。特に、第2の長さ64は第1の長さ62より約20%~約80%長くてもよく、第1の長さ62より約30%~約70%長くてもよく、第1の長さ62より約40%~約60%長くてもよい。同様に、第2の長さ64は、第3の長さ66より約20%~約80%長く、例えば、第3の長さ66より約30%~約70%長く、または第3の長さ66より約40%~約60%長くてもよい。より長い第2の長さ64は、有利には、NOx還元及びアンモニア分解の増加を可能にし、これは、ガスタービン10全体のよりクリーンでより効率的な運転をもたらす。他の実施形態では、第3の長さ66は、第2の長さ64より長くてもよく、例えば、第2の長さ64より約10%~約80%長くてもよく、または第2の長さ64より約20%~約70%長くてもよく、または第2の長さ64より約30%~約60%長くてもよい。
【0031】
第1のゾーン56は、燃料100と酸化剤102の第1の部分との混合物が最初に点火される領域であるため、「火炎ゾーン」と呼ぶことができる。しかしながら、混合物中の燃料100の全てが第1のゾーン56で燃焼されるわけではないことに留意されたい。例えば、後述するように、燃料100の一部のみが第1のゾーン56内で点火し、窒素酸化物(NOx)を含む燃焼ガスを生成し、未燃焼燃料101の一部を残す。燃焼ガス(NOxを含む)及び未燃燃料101は、一緒に第1のゾーン56を通って第2のゾーン58に移動する。
【0032】
特に、燃料100と酸化剤102の第1の部分との混合物は、リッチ混合物として第1のゾーン56(例えば、燃料ノズル61によって。)に注入することができる。本明細書で使用される場合、「リッチ混合物」は1より大きい当量比(Φ)を有する燃料/空気または燃料/酸化剤混合物を指すことができ、「リーン混合物」は1より小さい当量比(Φ)を有する燃料/空気混合物を指すことができる。リッチ混合物は、完全燃焼を形成するのに不十分な酸化剤(例えば、空気)を有することがあり、リーン混合物は、過剰な酸化剤(例えば、空気)を有することがある。ここで、当量比(Φ:equivalence ratio)は、燃料対空気比(または実比率)と理論燃料対空気比(または理論比率)との比率として定義される。数学的に、当量比は以下のように計算することができる。
【数1】
【0033】
ここで、mは質量を表し、添え字stは化学量論的条件(stoichiometric conditions)を表す。
【0034】
第2のゾーン58では、酸化剤の第2の部分を導入することによってNOxの制御された枯渇(controlled depletion of NOx)を達成することができ、または空気104(例えば、全酸化剤の約5%~-15%である。)を長い距離および期間(例えば、約6ms~約12msである。)にわたって導入することができる。例えば、酸化剤104の第2の部分は、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段(at least two zone-two oxidant injection stages)106において第2のゾーン58に導入することができる。少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106は、互いに軸方向に離間され得る。特定の実施形態では、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106を第2のゾーン58に半径方向に注入することができる。例えば、これは、燃焼ライナ40(図2参照)の複数のビアホール108であってもよく、その結果、空気は、燃焼ライナ40と、燃焼ライナ40から離間され、それを取り囲む流れスリーブ39の間に画定された環状部(アニュラス)109から引き出される。これに代えて又はこれに加えて、1以上の空気ノズル110は、流れスリーブ39、環状部109、及び燃焼ライナ40を通って延在し、第2のゾーン58と高圧プレナム35の間の直接的な流体連通を提供することができる。図3は第2のゾーン酸化剤注入段106を示しているが、燃焼器は、任意の数のゾーン第2のゾーン酸化剤注入段106を含むことができ、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、任意の特定の数の第2のゾーン酸化剤注入段106に限定されるべきではない。
【0035】
様々な実施形態では、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106は、燃焼室42の出口45よりも燃焼室42の入口41の近く(例えば、軸方向により近い。)に配置することができる。例えば、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106は、(例えば、第3のゾーン60よりも第1のゾーン56に近い。)第2のゾーン58の出口よりも第2のゾーン58の入口の近くに配置することができる。少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106は第1の酸化剤注入段(first oxidant injection stage)118及び第2の酸化剤注入段120を含むことができる。第1の酸化剤注入段118は第2のゾーン58の入口に(またはその近傍に)配置することができ、第2の酸化剤注入段(second oxidant injection stage)120は燃焼ガス34の流れに対して第1の酸化剤注入段118の下流に配置することができる。
【0036】
「クエンチングゾーン:quenching zone」または「希釈ゾーン:dilution zone」と呼ばれることがある第3のゾーン60では、燃焼ガス34は、酸化剤または空気122の第3の部分を導入することによってクエンチまたは希釈され、燃焼ガス34の温度を低下させ、残りの燃料を完全に燃焼させ、それによってNOxの形成を低減することができる。例えば、酸化剤122の第3の部分は、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124において第3のゾーン60に導入することができる。少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124は、互いに軸方向に離間することができる。特定の実施形態では、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段(at least two zone-three oxidant injection stages)124を第2のゾーン58に半径方向に注入することができる。図3は第3のゾーン酸化剤注入段124を示しているが、燃焼器は、任意の数の第3のゾーン酸化剤注入段124を含むことができ、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、任意の特定の数の第3のゾーン酸化剤注入段124に限定されるべきではない。
【0037】
様々な実施形態では、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124は、燃焼室42の入口41よりも燃焼室42の出口45の近くに配置することができる。特に、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124は、(例えば、燃焼室42の出口45よりも第2のゾーン58に近い。)第3のゾーン60の出口よりも第3のゾーン60の入口の近くに配置することができる。少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124は第1の酸化剤注入段(first oxidant injection stage)126及び第2の酸化剤注入段(second oxidant injection stage)128を含むことができる。第1の酸化剤注入段126は第3のゾーン60の入口に(またはその近傍に)配置することができ、第2の酸化剤注入段128は燃焼ガス34の流れに対して第1の酸化剤注入段126の下流に配置することができる。
【0038】
図3に示されるように、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106および少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124のための空気または酸化剤は、酸化剤供給源または空気供給源116に流体結合される1つ以上の酸化剤ラインまたは空気ライン114(例えば、ホース、パイプ、または他の流体導管など)を介して供給され得る。1つ以上のバルブ105は、各噴射段に流体連通して配置することができる。1つ以上のバルブ105は、酸化剤が燃焼室42に注入されるときを制御するために、開位置と閉位置の間で選択的に作動され得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「全空気」または「全酸化剤」は、特定の期間にわたって燃焼器17の燃焼室42に注入される空気または酸化剤の全てを意味する。例えば、全空気は、指定された期間にわたって(または特定の瞬間に)燃焼室42に注入または導入される空気の全て(空気の100%など)である。例えば、様々な量の空気が、期間(又は特定の時間)中に様々な位置で燃焼器17の燃焼室42内に噴射されてよく、総空気は、期間(又は特定の時間)中に燃焼器17の燃焼室42内に噴射された全ての空気の合計であってよい。
【0040】
本明細書で使用する場合、「滞留時間」は、粒子(または粒子群:group of particles)が燃焼室42(または第1のゾーン/第2のゾーン/第3のゾーンなどの燃焼室42の特定の部分)内に存在する期間を指す場合がある。燃焼室42内の粒子は燃焼室42の入口41から出口45まで移動するので、「滞留時間」は、粒子が燃焼室42(または第1のゾーン/第2のゾーン/第3のゾーンなどの燃焼室の特定の部分)を移動するのに要する期間であってもよい。
【0041】
図4は、本開示の例示的な態様による、アンモニア(NH3)燃焼機構経路の図400を示す。換言すれば、図400は、存在する酸化剤(すなわち、空気)の量に応じて、アンモニア(NH3)が燃焼プロセスにおいてどのように分解するかを示す。燃焼プロセス中のアンモニア(NH3)の還元(reduction)は、酸化剤の量に依存し得る。例えば、アンモニア(NH3)の還元は、酸化剤が不十分な燃焼環境(例えば、1より大きい当量比を有するリッチ混合物中で)にある場合、実線の矢印402に従うことができ、アンモニア(NH3)の還元は、酸化剤が豊富な燃焼環境(例えば、1未満の当量比を有する希薄混合物中で)にある場合、破線の矢印404に従うことができる。
【0042】
特に、以下の矢印404によって示されるように、多量の酸化剤を有する燃焼環境では、アンモニア(NH3)はNOxに還元され得る。対照的に、以下の矢印402によって示されるように、不十分な酸化剤(すなわち、リッチ混合物である。)を有する燃焼環境では、アンモニア(NH3)はNOxの消費を介して二原子窒素(N2)に還元され得る。再び図3を簡単に参照すると、アンモニア(NH3)を燃料として第1のゾーン56に注入して、安定した火炎を生成することができる。特に、燃焼室の第1のゾーン56内のアンモニアは、意図的かつ有利には、リッチな混合条件下で、例えば、安定した火炎を維持しながら最少量のアンモニアを燃焼させるのに十分にリッチな条件下で燃焼させることができる。このように、第1のゾーン56を出るアンモニアの一部は未燃焼であり、第2のゾーン58に入る。
【0043】
第2のゾーン58において、未燃焼アンモニアは、矢印402に従ってアンモニアを分解させることができる少量の酸化剤(例えば、酸化剤104の第2の部分)に導入することができる。これは、副生成物である水素を同時に生成しながら、第2のゾーン58におけるNOxの消費を有利に促進する。
【0044】
全てのアンモニアが消費されると開始することができる第3のゾーン60では、矢印404に従って反応が起こるリスクが有利にはないように、豊富な酸化剤又は空気を添加して反応をクエンチし、温度を制御し、残留燃料(通常、第2のゾーン58に豊富なアンモニアを燃焼させる副産物として形成される水素)を燃焼させることができる。さらに、第3のゾーン60内の温度生成物は、空気の豊富さのために低下するので、水素燃焼中のNOx形成は、熱NOx形成温度未満の温度で燃焼が起こるので、著しく最小化される。
【0045】
例示的な実施形態では、アンモニアは第3のゾーン60に入ると完全に消費され得る。さらに、酸化剤122の第3の部分は第3のゾーン60内の燃焼ガスの温度を熱NOx形成温度未満に低下させることができる。換言すれば、第2のゾーン58の出口または第3のゾーン60の入口において、全てのアンモニアは、酸化によって、または水素への分解によって消費される。例えば、第1のゾーン56では、燃料/空気混合気がまずリッチに燃焼し、安定した火炎を有する。燃料/空気混合物は、可能な限りリッチに燃焼されるが、火炎安定性を超えてリッチになりすぎないことによって制限される。第2のゾーン58では、少量の酸化剤または空気が段階的に導入され、消費されるNOxの存在下でアンモニアを分解する。アンモニアが酸化によって、またはアンモニアを水素に分解することによって完全に消費されると、大量の空気が第3のゾーン60に導入され、これはまた、残りの水素を燃焼させながら、熱NOx形成を下回る全混合物を得るのに役立つ。
【0046】
図5を参照すると、本主題の態様による、ガスタービンの燃焼器を動作させる方法500の一実施形態のフロー図が示されている。一般に、方法500は、本明細書では、ガスタービン10、燃焼器17、及び図1から図3を参照して上述した燃焼室42を参照して説明される。しかしながら、開示された方法500は、一般に、任意の適切なターボ機械と共に利用することができ、及び/又は任意の他の適切なシステム構成を有するシステムに関連して利用することができることが、当業者には理解されよう。加えて、図5は例示および説明の目的で特定の順序で実行されるステップを示しているが、本明細書で説明する方法は、特許請求の範囲で別段の指定がない限り、いかなる特定の順序または構成にも限定されない。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本明細書で開示される方法の様々なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で省略、再配置、組み合わせ、および/または適合され得ることを理解するであろう。
【0047】
方法500による燃焼器17は、燃焼室42を画定する燃焼ライナ40を含むことができる。燃焼室42は、一連の流れの順序で第1のゾーン56、第2のゾーン58、及び第3のゾーン60を含むことができる。方法500は、燃焼器17の前方端部52に配置された1つ以上の燃料ノズル61を用いて、燃料100及び酸化剤102の第1の部分をリッチ混合物として燃焼室42の第1のゾーン56に送給する第1のステップ502を含む。
【0048】
例示的な実施形態では、燃料100は、アンモニア(NH3)を含むことができる。特に、燃料100は、水素と混合されたアンモニア(NH3)を含む燃料混合物であってもよい。様々な実施形態では、燃料混合物は、ほとんどが少量の水素と混合されたアンモニア(NH3)であってもよい。例えば、燃料混合物は、体積で約80%~約99%のアンモニア(NH3)、または例えば、体積で約90%~約99%のアンモニア(NH3)、または例えば、体積で約93%~約98%のアンモニア(NH3)、または例えば、体積で約95%のアンモニア(NH3)を含有することができる。混合物の残りは水素であってもよい。例えば、燃料混合物は、約1%~約20%の水素、または例えば約1%~約10%の水素、または例えば約3%~約8%の水素、または例えば約5%の水素を含むことができる。アンモニア(NH3)は従来の燃料源(天然ガスなど)と比較して低い火炎速度を有し、水素は従来の燃料源と比較して非常に高い火炎速度を有するので、少量の水素をアンモニア(NH3)と混合することにより、火炎速度を有利に増加させることができ、これにより、潜在的な保炎問題を引き起こすことなくアンモニア(NH3)をガスタービン燃焼器内で使用することが可能になる。
【0049】
例示的な実装形態では、燃料100と酸化剤102の第1部分とのリッチ混合物は、約1.05と約2の間、または約1.1と約1.9の間など、または約1.2と約1.8の間など、または約1.3と約1.7の間など、または約1.35と約1.65の間など、または約1.4と約1.6の間など、または約1.45と約1.55の間など、または約1.5などの当量比を有し得る。
【0050】
さらに、様々な実施態様では、酸化剤102の第1の部分は、酸素で富化(enrich:付加)された空気であってもよい。例えば、酸化剤102の第1の部分は、通常大気中にあるよりも多量の酸素を含む空気(これは、通常、体積で約21%の酸素、体積で約78%の窒素、および体積で約1%の他のガスを含有する。)であってもよい。このように、酸化剤102の第1の部分は、空気中の酸素の体積パーセントが21%より大きくなるように酸素が富化された空気であってもよい。特に、酸化剤102の第1の部分は、酸素の体積パーセントが約21%~約30%、または例えば約22%~30%、または例えば約26%~約29%、または例えば約27%であるように、酸素で空気を富化することができる。残りの空気は窒素を含むことができる。
【0051】
方法500は、リッチ混合物を第1のゾーン56で燃焼させるステップ504をさらに含むことができる。その結果、窒素酸化物(NOx)を含む燃焼ガス34が第1のゾーン56内で生成される。特に、リッチ混合物から生じる燃焼ガス34は、燃焼したアンモニア(NH3)からの窒素酸化物(NOx)を含み、第1のゾーン56内の酸化剤の欠如に起因して未燃焼燃料101またはアンモニア(NH3)を含み、その結果、第1のゾーン56を出る(または第2のゾーン58に入る)燃焼ガス34は、未燃焼燃料101(すなわち、未燃焼アンモニア)を依然として含む。
【0052】
図5に示すように、方法500は、酸化剤または空気の第2の部分を第2のゾーン58に供給して、未燃焼アンモニア(NH3)を第2のゾーン58内のアンモニア中間体に分解するステップ506をさらに含むことができる。その結果、第2のゾーン58において、窒素酸化物(NOx)はアンモニア中間体と反応することによって消費され得る。中間体は、反応物から形成され、さらに反応して、化学反応の直接観察される生成物を与える分子実体である。別の言い方をすれば、中間体は、最終反応生成物を最終的に生成するために、先行ステップで生成され、後続ステップで消費される、多ステップ反応機構内の過渡種である。図4に示すように、不十分な酸化剤を有する燃焼反応におけるアンモニア(NH3)の中間体は、NH2、NNH、NH、N2OおよびNである。第2のゾーン58を通って移動する燃焼ガス34および未燃焼アンモニア(NH3)は、意図的にかつ有利には不十分な量の酸化剤と混合され、それによって、未燃焼アンモニア(NH3)を図4に示す実線の矢印402の経路に従わせ、その結果、NOxがアンモニア中間体によって消費されることを理解されたい。
【0053】
方法500は、ステップ508において、酸化剤または空気122の第3の部分を第3のゾーン60に供給することをさらに含むことができる。図3に示すように、酸化剤102の第1の部分は、燃料ノズル61によって第1のゾーン56に注入することができ、酸化剤104の第2の部分は、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106によって第2のゾーン58に注入することができ、酸化剤122の第3の部分は、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124によって第3のゾーン60に注入することができる。例示的な実施形態では、方法500は、酸化剤の第3の部分を用いて第3のゾーン内の副生成物水素(byproduct hydrogen)を燃焼させるステップ510をさらに含むことができる。
【0054】
例示的な実装形態では、酸化剤122の第3の部分は、酸化剤102の第1の部分および酸化剤104の第2の部分のそれぞれより大きくてもよい。例えば、酸化剤122の第3の部分は、燃焼室42に注入される全酸化剤に対する酸化剤102の第1の部分及び酸化剤104の第2の部分の合計よりも大きくてもよい(又は等しくてもよい)。このように、全酸化剤の大部分(例えば、いくつかの実装形態では50%超、または60%超、または他の実装形態では70%超、または特定の実装形態では80%超などである。)を第3のゾーン60に注入することができる。様々な実施形態では、ステップ502で酸化剤の第1の部分を送達することは、燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達すること(例えば、約8%~約14%、または約9%~約13%である。)をさらに含むことができる。加えて、ステップ506において酸化剤の第2の部分を送達することは、燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達すること(例えば、約8%~約14%、または約9%~約13%である。)を含むことができる。最後に、ステップ508で酸化剤の第3の部分を送達することは、添加される全酸化剤の残りを第3のゾーンに送達することを含むことができる。
【0055】
多くの実装形態では、酸化剤102の第1の部分は、燃料100(例えば、燃料ノズル61内である。)と混合され、燃料ノズル61によって燃焼室42の入口41に噴射され得る。いくつかの実装形態では、酸化剤102の第1の部分は、燃焼器17の燃焼室42に加えられる全酸化剤の約7%~約15%であってもよい。他の実施態様では、酸化剤102の第1の部分は、燃焼器17の燃焼室42に加えられる全酸化剤の約9%~約13%であってもよい。特定の実施態様では、酸化剤102の第1の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約10%~約12%であってもよい。特定の実施態様では、酸化剤102の第1の部分は、燃焼器17の燃焼室42に加えられる全酸化剤の約11%であってもよい。
【0056】
多くの実施態様では、酸化剤104の第2の部分は、少なくとも2つの第2のゾーン酸化剤注入段106を介して燃焼室42の第2のゾーン58に注入することができる。このように、第2のゾーン酸化剤注入段106の数に応じて、以下の範囲を分割してもよい。いくつかの実施態様では、酸化剤104の第2の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約7%~約15%であってもよい。例えば、そのような実施形態では、酸化剤注入段118は、全酸化剤の約3%~約7%を燃焼室42に注入することができ、第2の酸化剤注入段120は、全酸化剤の約3%~約7%を燃焼室42に注入することができる。他の実施態様では、酸化剤104の第2の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約9%~約13%であってもよい。例えば、そのような実施形態では、酸化剤注入段118は、全酸化剤の約4.5%~約6.5%を燃焼室42に注入することができ、酸化剤注入段120は、全酸化剤の約4.5%~約6.5%を燃焼室42に注入することができる。特定の実施態様では、酸化剤104の第2の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約11%であってもよい。例えば、そのような実施形態では、酸化剤注入段118は、全酸化剤の約5%を燃焼室42に注入することができ、酸化剤注入段120は、全酸化剤の約6%を燃焼室42に注入することができる。すなわち、第2の酸化剤注入段120は、第1の酸化剤注入段118よりも全酸化剤のわずかに多い(例えば、1%または2%多い)酸化剤を注入することができる。
【0057】
多くの実施態様では、酸化剤122の第3の部分は、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124を介して燃焼室42の第3のゾーン60に注入することができる。このように、第3のゾーン酸化剤注入段124の数に応じて、以下の範囲を分割してもよい。例示的な実施態様では、合計酸化剤の残りは、少なくとも2つの第3のゾーン酸化剤注入段124によって第3のゾーンに注入することができる。例えば、全空気の20%が燃料ノズル及び第2のゾーン酸化剤注入段106によって燃焼室42に噴射される場合、全空気の80%が第3のゾーン酸化剤注入段124によって燃焼室42に噴射され得る。
【0058】
いくつかの実施態様では、酸化剤122の第3の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約70%~約95%であってもよい。例えば、そのような実施形態では、酸化剤注入段126は、全酸化剤の約45%~約60%を燃焼室42に注入することができ、酸化剤注入段128は、全酸化剤の約25%~約35%を燃焼室42に注入することができる。他の実施態様では、酸化剤122の第3の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約70%~約90%であってもよい。例えば、そのような実施形態では、酸化剤注入段126は、全酸化剤の約45%~約55%を燃焼室42に注入することができ、酸化剤注入段128は、全酸化剤の約25%~約35%を燃焼室42に注入することができる。特定の実施態様では、酸化剤122の第3の部分は、燃焼器17の燃焼室42に添加される全酸化剤の約78%であってもよい。例えば、そのような実施形態では、酸化剤注入段126は、全酸化剤の約50%を燃焼室42に注入することができ、酸化剤注入段128は、全酸化剤の約28%を燃焼室42に注入することができる。すなわち、第1の酸化剤注入段126は第2の酸化剤注入段128よりも多くの(例えば、約25%多い。)全酸化剤を注入することができる。
【0059】
酸化剤102の第1の部分、酸化剤104の第2の部分、及び酸化剤122の第3の部分の上記に開示された範囲は、その他の範囲及びパーセンテージと比較した場合に、燃焼室42を出る燃焼ガス中のNOxの量を減少させることが証明されている。例えば、燃焼室42を通って移動するアンモニア(燃料)は、有利には、不十分な酸素が第1のゾーン56及び第2のゾーン58を通って供給されることがあり、これは、NOxの消費を有利に促進し、それによって、ガスタービン10の全体的な排出を低減する。
【0060】
多くの実施形態において、第2のゾーン58は第1のゾーン56及び第3のゾーン60よりも長くてもよい。例えば、第2のゾーン58は第1のゾーン56及び第3のゾーン60の両方よりも軸方向に長くてもよく、その結果、燃焼室42を通って移動する燃焼ガス34は第2のゾーン58で最も多くの時間を費やす。いくつかの実施形態において、第2のゾーン58の軸方向長さは燃焼室42の全軸方向長さの25%より大きく(または30%より大きく、または40%より大きく、または50%より大きく、または60%より大きくてもよく、第2のゾーン58の軸方向長さは第1のゾーン56の軸方向長さと第3のゾーン60の軸方向長さの合計より大きい。いくつかの実装形態では、方法500は、約6ミリ秒~約12ミリ秒、または約7ミリ秒~約11ミリ秒など、または約8ミリ秒~約10ミリ秒などの滞留時間で第2のゾーン58を通して燃焼ガス34を搬送することをさらに含むことができる。このように、燃焼ガス34、未燃焼アンモニア、及び第1のゾーン56から生成されたNOxは、不十分な酸化剤で長期間にわたって第2のゾーン58を通って一緒に移動することができ、これは、NOxの消費を有利に促進し、それによって排出を低減する。
【0061】
いくつかの実施形態において、第2のゾーン58の長さ寸法は第3のゾーン60の長さ寸法と等しくてもよい。特定の実施形態において、第2のゾーン58は、第3のゾーン60よりもわずかに長くてもよい。例示的な実施形態において、第3のゾーン60は第2のゾーン58よりも長くてもよく、例えば約20%~約60%長くてもよい。
【0062】
図6を参照すると、本主題の態様による、ガスタービンの燃焼器を動作させる方法600の一実施形態のフロー図が示されている。一般に、方法600は、本明細書では、ガスタービン10、燃焼器17、及び図1から図3を参照して上述した燃焼室42を参照して説明される。しかしながら、開示された方法600は、一般に、任意の適切なターボ機械と共に利用することができ、及び/又は任意の他の適切なシステム構成を有するシステムに関連して利用することができることが、当業者には理解されよう。加えて、図6は例示および説明の目的で特定の順序で実行されるステップを示しているが、本明細書で説明する方法は、特許請求の範囲で別段の指定がない限り、いかなる特定の順序または構成にも限定されない。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本明細書で開示される方法の様々なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で省略、再配置、組み合わせ、および/または適合され得ることを理解するであろう。
【0063】
方法600による燃焼器17は、燃焼室42を画定する燃焼ライナ40を含むことができる。燃焼室42は、一連の流れの順序で第1のゾーン56、第2のゾーン58、及び第3のゾーン60を含むことができる。方法500は、燃焼器の前方端部52に配置される1つ以上の燃料ノズル61を用いて、燃料100及び酸化剤102の第1の部分をリッチ混合物として燃焼室42の第1のゾーン56に送給する第1のステップ602を含むことができる。上述のように、燃料はアンモニア(NH3)を含むことができる。
【0064】
さらに、方法600は、リッチ混合物の少なくとも一部を第1のゾーン56で燃焼させるステップ604をさらに含むことができる。ステップ604の結果、窒素酸化物(NOx)を含む燃焼ガス34が生成され、第1の期間にわたって第1のゾーン56を通って搬送される。方法600は、燃焼ガス34及び未燃焼アンモニアを第2の期間にわたって第2のゾーン58を通して搬送し、一方、(例えば、同時に)酸化剤104の第2の部分を第2のゾーン58内に送達して、未燃焼アンモニア(NH3)を第2のゾーン58内でアンモニア中間体に分解するステップ606を更に含むことができる。ステップ606の結果、第2のゾーン58において、燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)がアンモニア中間体と反応することによって消費される。さらに、未燃焼アンモニアをアンモニア中間体に分解する結果、副生成物水素が第2のゾーン58において生成され得る。特に、未燃焼アンモニアの分解は、燃焼ガスが第3のゾーン60に入る際に未燃焼アンモニアが完全に消費され、燃焼ガスおよび副生水素のみが第3のゾーン60に入るような結果をもたらす可能性を高める。
【0065】
例示的な実装形態では、方法600は、さらに、第3の期間にわたって第3のゾーン60を通して燃焼ガス34を(例えば、同時に)搬送しながら、酸化剤122の第3の部分を第3のゾーン60に供給するステップ608を含むことができる。例示的な実施形態では、方法600は、酸化剤の第3の部分を用いて第3のゾーン内の副生成物水素を燃焼させるステップ610をさらに含むことができる。例えば、第3のゾーンに入ると、燃焼ガス中に残された燃料は、未燃焼アンモニアを第2のゾーン内のアンモニア中間体に分解した結果として生成された副生成物水素のみであり得る。すべてのアンモニアが消費されると開始することができる第3のゾーン60では、多量の酸化剤または空気を加えて、残りの副生成物水素を燃焼させることができる。さらに、第3のゾーン60内の温度は、空気の豊富さに起因して低下するので(NOx形成温度未満の温度で燃焼が起こるので)、水素燃焼中のNOx形成は、著しく最小化される。例示的な実施形態では、全てのアンモニアが第2のゾーン58で消費され、その結果、第3のゾーンに入る唯一の生成物は、燃焼生成物34及び任意の残りの燃料(主に第2のゾーン58でアンモニアを分解する副産物として生成される水素である)である。別の言い方をすれば、第2のゾーン58内でアンモニアを分解することの副産物として生成された水素は、燃焼ガス34と共に第3のゾーン60内に搬送することができ、その間に酸化剤122の第3の部分を第3のゾーン60内に注入することができ、それによって第3のゾーン60内の残りの水素を燃焼させるための酸化剤を提供する。さらに、酸化剤122の第3の部分は、有利には、残りの水素の燃焼の結果として熱によるNOxが生成されないように第3のゾーン60内の燃焼ガス34の温度を低下させるのに十分な大きさとすることができる。燃焼ガス34が第3のゾーン60に到達すると、アンモニア(NH3)の全てが消費され、残りの燃料(主に水素)のみが第3のゾーンに残され、燃焼ガス34が第3のゾーン60に残される。換言すれば、燃焼ガス34が第3のゾーン60に入る時までに、全てのアンモニア(NH3)が消費され(例えば、第2のゾーン58でNOxと反応させることによって。)、残りの燃料(主に水素及び/又はその他の未消費燃料)が第3のゾーン60で消費される。
【0066】
多くの実装形態では、酸化剤の第3の部分は、酸化剤の第1の部分および酸化剤の第2の部分よりも大きくてもよい(および/または酸化剤の第1の部分および酸化剤の第2の部分の合計よりも大きくてもよい)。加えて、第2の期間は、第1の期間及び第3の期間よりも大きくてもよい(すなわち、より長くてよい)。
【0067】
本明細書は、最良の形態を含む例を用いて本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0068】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
[実施形態1]
ガスタービンの燃焼器を動作させる方法であって、前記燃焼器は、燃焼室を画定する燃焼ライナを備え、前記燃焼室は、直列流れ順序で第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンを含む。前記方法は、前記燃焼器の前方端部に配置される1つまたは複数の燃料ノズルを用いて、燃料および酸化剤の第1部分をリッチ混合物として前記燃焼室の前記第1のゾーンに送達するステップを含む。前記燃料は、アンモニア(NH3)を含む。前記第1のゾーンにおいて前記リッチ混合物を燃焼させ、それによって、窒素酸化物(NOx)を含有する燃焼ガスが生成されるステップを前記方法は含む。前記第2のゾーンにおいて未燃焼アンモニアを分解してアンモニア中間体にするために、前記第2のゾーンに酸化剤の第2部分を送達するステップであって、それによって、前記窒素酸化物(NOx)は、前記第2のゾーンにおいて前記アンモニア中間体と反応することによって消費される、ステップを前記方法は含む。前記窒素酸化物(NOx)は、前記第2のゾーンにおいて前記アンモニア中間体と反応することによって消費される。副生成物水素は、未燃焼アンモニアをアンモニア中間体に分解する。酸化剤の第3部分を第3のゾーンに送達するステップであって、酸化剤の第3部分は、酸化剤の第1部分および酸化剤の第2部分のそれぞれよりも大きい、送達するステップを前記方法は含む。酸化剤の第3部分を用いて第3のゾーン内の副生成物水素を燃焼させる。
[実施形態2]
未燃焼アンモニアの分解は、未燃焼アンモニアが第3のゾーンに入ると完全に消費されることをもたらし、酸化剤の第3部分を送達することは、熱NOx形成温度未満に第3のゾーン内の燃焼ガスの温度を低下させる、実施形態1の方法。
[実施形態3]
酸化剤の前記第1の部分を送達することは、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達することを含み、酸化剤の前記第2の部分を送達することは、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達することを含み、酸化剤の前記第3の部分を送達することは、前記燃焼器に添加される全酸化剤の残りを送達することを含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態4]
リッチ混合物が約1.05~約2の当量比を含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態5]
酸化剤の前記第1の部分を送達することが、酸素で富化された空気を送達することを含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態6]
約6ミリ秒~約12ミリ秒の滞留時間で第2のゾーンを通して燃焼ガスを搬送することをさらに含む、前記の実施形態の1つ以上に記載の方法。
[実施形態7]
燃料が、純粋なアンモニア、または水素と混合されたアンモニアを含む燃料混合物のいずれかである、前記の実施形態の1つまたは複数に記載の方法。
[実施形態8]
酸化剤の前記第2の部分を送達することが、前記第2のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段で酸化剤の前記第2の部分を送達することを含み、酸化剤の前記第3の部分を送達することが、前記第3のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段で酸化剤の前記第3の部分を送達することを含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態9]
第2のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段は、前記第1酸化剤注入段から軸方向に離間している第1酸化剤注入段及び第2酸化剤注入段を含み、前記第1酸化剤注入段及び前記第2酸化剤注入段は、それぞれ、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約3.5%~約7%を含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態10]
第3のゾーンにおける少なくとも2つの酸化剤注入段が第1酸化剤注入段および第2酸化剤注入段を含む、前記の実施形態のうちの1つまたは複数に記載の方法。
[実施形態11]
ガスタービンの燃焼器を動作させる方法が提供される。前記燃焼器は、燃焼室を画定する燃焼ライナを備え、前記燃焼室は、直列流れ順序で第1のゾーン、第2のゾーン、及び第3のゾーンを含む。前記方法は、前記燃焼器の前方端部に配置される1つ以上の燃料ノズルを用いて、燃料及び酸化剤の第1部分をリッチ混合物として前記燃焼室の前記第1のゾーンに供給するステップであって、前記燃料は、アンモニア(NH3)を含む、ステップと、前記第1のゾーンにおいて前記リッチ混合物の少なくとも一部を燃焼させ、それにより、窒素酸化物(NOx)を含有する燃焼ガスが生成され、前記第1のゾーンを通って第1時間期間にわたって搬送される、ステップと、前記第2のゾーンに酸化剤の第2部分を供給しながら、前記第2時間期間にわたって前記燃焼ガス及び未燃焼アンモニアを前記第2のゾーンを通って搬送し、前記第2のゾーンにおいて前記未燃焼アンモニアをアンモニア中間体に分解するステップと、を含み、前記方法は、前記第1のゾーンは、これにより、燃焼ガス中の窒素酸化物が第2のゾーン内のアンモニア中間体と反応することによって消費され、それにより、未燃焼アンモニアがアンモニア中間体に分解された結果として副生成物水素が生成され、燃焼ガス及び副生成物水素を第3のゾーンを通して第3時間にわたって搬送しながら第3のゾーン内に酸化剤の第3部分を送達し、酸化剤の第3部分は酸化剤の第1部分及び酸化剤の第2部分のそれぞれよりも大きく、第2時間は第1時間及び第3時間よりも大きい。
[実施形態12]
前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法であって、未燃焼アンモニアの分解は、未燃焼アンモニアが第3のゾーンに入ると完全に消費されることをもたらし、酸化剤の第3部分を送達することは、熱NOx形成温度未満に第3のゾーン内の燃焼ガスの温度を低下させる、方法。
[実施形態13]
酸化剤の前記第1の部分を送達することは、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達することを含み、酸化剤の前記第2の部分を送達することは、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%を送達することを含み、酸化剤の前記第3の部分を送達することは、前記燃焼器に添加される全酸化剤の残りを送達することを含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態14]
リッチ混合物が約1.05~約2の当量比を含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態15]
酸化剤の前記第1の部分を送達することが、酸素で富化された空気を送達することを含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態16]
約6ミリ秒~約12ミリ秒の滞留時間で第2のゾーンを通して燃焼ガスを搬送することをさらに含む、前記の実施形態の1つ以上に記載の方法。
[実施形態17]
燃料が、純粋なアンモニア、または水素と混合されたアンモニアを含む燃料混合物のいずれかである、前記の実施形態の1つまたは複数に記載の方法。
[実施形態18]
酸化剤の前記第2の部分を送達することが、前記第2のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段で酸化剤の前記第2の部分を送達することを含み、酸化剤の前記第3の部分を送達することが、前記第3のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段で酸化剤の前記第3の部分を送達することを含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態19]
第2のゾーン内の少なくとも2つの酸化剤注入段は、前記第1酸化剤注入段から軸方向に離間している第1酸化剤注入段及び第2酸化剤注入段を含み、前記第1酸化剤注入段及び前記第2酸化剤注入段は、それぞれ、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約3.5%~約7%を含む、前記の実施形態のうちの1つ以上に記載の方法。
[実施形態20]
燃焼器が提供される。前記燃焼器は、入口と出口の間に延びる燃焼室を画定するライナを備え、前記燃焼室が、直列流れ順序で第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンを含む。前記燃焼器は、前記第1のゾーンにおいて燃料と酸化剤の第1部分との混合物を噴射するように構成された少なくとも1つの燃料ノズルを含む。前記燃料がアンモニア(NH3)を含み、前記酸化剤の前記第1部分が、前記燃焼器に添加される全酸化剤の約7%~約15%である。前記燃焼器は、前記第2のゾーンにおける少なくとも2つの酸化剤噴射段であって、前記第2のゾーンにおける前記少なくとも2つの酸化剤噴射段が、前記燃焼器に添加される前記全酸化剤の約7%~約15%を含む酸化剤の第2部分を噴射するように構成されている、少なくとも2つの酸化剤噴射段を含む。前記燃焼器は、前記第3のゾーンにおける少なくとも2つの酸化剤噴射段を含み、前記ライナは、直列流れ順序で、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、および前記第3のゾーン燃焼器に添加される全酸化剤の約70%~約95%を含む酸化剤の第3部分を噴射するように構成される。
【符号の説明】
【0069】
10:ガスタービン 12:入口セクション 14:圧縮機セクション 16:燃焼器セクション 17:燃焼器 18:タービンセクション 20:排気セクション 22:シャフト 24:ロータディスク 26:ロータブレード 27:加圧空気 28:ロータディスク 30:ロータブレード 31:外側ケーシング 32:高温ガス経路 34:燃焼ガス 35:高圧プレナム 36:端部カバー 38:ヘッドエンド容積(部分) 39:流れスリーブ 40:燃焼ライナ 41:入口 42:燃焼室 45:出口 48:燃料供給源 50:流体導管 52:前方端部 53:軸方向中心線 54:後方端部 56:第1のゾーン 58:第2のゾーン 60:第3のゾーン 61:燃料ノズル 62:第1の長さ 64:第2の長さ 66:第3の長さ 100:燃料 101:未燃焼燃料 102:空気 104:酸化剤 105:バルブ 106:第2のゾーン酸化剤注入段 109:環状部 110:空気ノズル 114:酸化剤ライン 116:酸化剤 118:第1の酸化剤注入段 120:第2の酸化剤注入段 122:酸化剤 124:第3のゾーン酸化剤注入段 126:第1の酸化剤注入段 128:第2の酸化剤注入段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】