(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152819
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】チューブ、それを含むポンプ、及び薬液供給装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20231005BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20231005BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20231005BHJP
F16L 11/127 20060101ALI20231005BHJP
F04B 43/12 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B05C11/10
B32B1/08 B
B05C11/00
F16L11/127
F04B43/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040482
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041223
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジュン,ソン
(72)【発明者】
【氏名】ソンフン,オム
【テーマコード(参考)】
3H077
3H111
4F042
4F100
【Fターム(参考)】
3H077AA08
3H077CC04
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4F100GB41
4F100JB01B
4F100JK17A
4F100JK17B
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チューブ状態の変形程度を把握し、ウェーハに供給される薬液の量を一定に保持するチューブ、それを含むポンプ、及び薬液供給装置を提供する。
【解決手段】チューブ310は、可撓性を有する第1物質を含む外層311;可撓性及び耐薬品性を有する第2物質を含む内層315;及び前記外層311と前記内層315との間に介在され、導電性物質を含む中間層313からなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する第1物質を含む外層と、
可撓性及び耐薬品性を有する第2物質を含む内層と、
前記外層と前記内層との間に介在され、導電性物質を含む中間層と、を含む、チューブ。
【請求項2】
前記第1物質及び前記第2物質は、それぞれパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうちから選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
前記第1物質と前記第2物質は、互いに同じ物質である、請求項1に記載のチューブ。
【請求項4】
前記中間層は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項5】
前記炭素系導電性物質は、グラフェン、グラフェンオキシド、及び炭素ナノチューブのうち、選択される少なくとも1つの物質である、請求項4に記載のチューブ。
【請求項6】
前記金属ナノ構造体は、金、銀、白金のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む金属性ナノワイヤである、請求項4に記載のチューブ。
【請求項7】
前記中間層は、複数層からなり、前記複数層それぞれは、導電性物質を含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項8】
n型半導体、p型半導体、及び第1伝導性層をさらに含み、前記n型半導体及び前記p型半導体は、互いに離隔されて前記中間層上に配置され、前記第1伝導性層は、前記n型半導体及び前記p型半導体上に配置される、請求項1に記載のチューブ。
【請求項9】
前記第1伝導性層は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項8に記載のチューブ。
【請求項10】
前記第1伝導性層は、前記中間層と同じ物質を含む、請求項8に記載のチューブ。
【請求項11】
チューブと、
前記チューブを収容し、前記チューブの外側に気体室を有するポンプケースと、
前記気体室に空気を供給するか、排出するように構成された供給排出部と、を含み、
前記チューブは、外層、内層、及び前記外層と前記内層との間に介在され、導電性物質を含む中間層を含み、
前記外層と前記内層は、それぞれパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうちから選択される少なくとも1つの物質を含む、ポンプ。
【請求項12】
前記中間層は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
前記中間層は、複数層からなり、前記複数層それぞれは、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項11に記載のポンプ。
【請求項14】
前記チューブは、n型半導体、p型半導体、及び第1伝導性層をさらに含み、前記n型半導体及び前記p型半導体は、互いに離隔されて前記中間層上に配置され、前記第1伝導性層は、前記n型半導体及び前記p型半導体上に配置される、請求項11に記載のポンプ。
【請求項15】
前記中間層に流れる電流を測定する電流計をさらに含む、請求項11に記載のポンプ。
【請求項16】
前記中間層と連結される接地電極をさらに含む、請求項11に記載のポンプ。
【請求項17】
前記中間層に電源を印加するように構成される電源をさらに含む、請求項11に記載のポンプ。
【請求項18】
薬液供給部と、
前記薬液供給部から薬液を供給されて薬液を吐出するように構成されるポンプと、
前記薬液供給部から前記ポンプで薬液を移送するように構成された移送ラインと、
前記ポンプから薬液が吐出されるように構成された吐出ラインと、を含み、
前記ポンプは、チューブと、前記チューブを収容し、前記チューブの外側に気体室を有するポンプケースと、電流計と、前記気体室に空気を供給するか、排出するように構成された供給排出部と、を含み、
前記チューブは、外層、内層、及び前記外層と前記内層との間に介在され、導電性物質を含む中間層を含み、
前記外層と前記内層は、それぞれパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうちから選択される少なくとも1つの物質を含む、薬液供給装置。
【請求項19】
前記中間層は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項18に記載の薬液供給装置。
【請求項20】
前記中間層と連結される接地電極及び前記中間層に電源を供給するように構成された電源をさらに含む、請求項18に記載の薬液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ、それを含むポンプ、及び薬液供給装置に係り、さらに具体的には、状態変形による電流変化を測定して状態変形を把握することができるチューブ、それを含むポンプ、及び薬液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において、ウェーハなどにフォトレジスト組成物などの薬液を供給するために薬液供給装置が用いられる。この際、薬液供給装置には、多様な種類のポンプが薬液をウェーハなどに吐出させるために用いられる。多種のポンプのうちでも、チューブポンプは、加圧手段によって可撓性及び弾性を有するチューブを反復的に収縮及び膨脹させながら、薬液を吐出させる。一方、チューブを反復的に収縮及び膨脹させる過程でチューブの状態が変形され、チューブポンプを介した薬液の吐出量が一定していない場合が発生する。これにより、ウェーハなどに供給される薬液の量が一定にならなければ、薬液を用いて製造される半導体の機能的信頼性が低下してしまう問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、チューブに含まれた中間層の電流変化を測定し、それを介してチューブ状態の変形程度を把握し、チューブからウェーハに供給される薬液の量を一定に保持し、供給された薬液を用いて製造される半導体の機能的信頼性を確保することである。
【0004】
本発明が解決しようとする他の課題は、チューブに含まれた中間層を介してチューブ外部から薬液に流入されるパーティクルなどの異物を遮断し、薬液の品質を改善し、それを用いて製造される半導体の機能的信頼性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するための本発明の技術的思想は、可撓性を有する第1物質を含む外層;可撓性及び耐薬品性を有する第2物質を含む内層;及び前記外層と前記内層との間に介在され、導電性物質を含む中間層;を含むチューブを提供する。
【0006】
例示的な一実施例において、前記第1物質及び前記第2物質は、それぞれパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうち、選択される少なくとも1つであることを特徴とする。
【0007】
例示的な一実施例において、前記第1物質と前記第2物質は、互いに同じ物質であることを特徴とする。
【0008】
例示的な一実施例において、前記中間層は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする。
【0009】
例示的な一実施例において、前記炭素系導電性物質は、グラフェン、グラフェンオキシド、及び炭素ナノチューブのうち、選択される少なくとも1つの物質であることを特徴とする。
【0010】
例示的な一実施例において、金属ナノ構造体は、金、銀、白金のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む金属性ナノワイヤであることを特徴とする。
【0011】
例示的な実施例において、中間層は、複数層からなり、前記複数層それぞれは、導電性物質を含むことを特徴とする。
【0012】
例示的な実施例において、n型半導体、p型半導体、及び第1伝導性層をさらに含み、前記n型半導体及び前記p型半導体は、互いに離隔されて前記中間層上に配置され、前記第1伝導性層は、前記n型半導体及び前記p型半導体上に配置されることを特徴とする。
【0013】
例示的な実施例において、前記第1伝導性層は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする。
【0014】
例示的な実施例において、前記第1伝導性層は、前記中間層と同じ物質を含むことを特徴とする。
【0015】
上述した課題を解決するためで本発明の技術的思想は、チューブ;前記チューブを収容し、前記チューブの外側に気体室を有するポンプケース;及び前記気体室に空気を供給するか、排出するように構成された供給排出部;を含み、前記チューブは、外層、内層、及び前記外層と前記内層との間に介在され、導電性物質を含む中間層を含み、前記外層と前記内層は、それぞれパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうちから選択される少なくとも1つの物質を含むポンプを提供する。
【0016】
例示的な実施例において、前記中間層に流れる電流を測定する電流計をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
例示的な実施例において、前記中間層と連結される接地電極をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
例示的な実施例において、前記中間層に電源を印加するように構成される電源をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
上述した課題を解決するための本発明の技術的思想は、薬液供給部;前記薬液供給部から薬液を供給されて薬液を吐出するように構成されるポンプ;前記薬液供給部から前記ポンプに薬液を移送するように構成された移送ライン;及び前記ポンプから薬液が吐出されるように構成された吐出ライン;を含み、前記ポンプは、チューブ;前記チューブを収容し、前記チューブの外側に気体室を有するポンプケース;電流計;前記気体室に空気を供給するか、排出するように構成された供給排出部;を含み、前記チューブは、外層、内層、及び前記外層と前記内層との間に介在され、導電性物質を含む中間層を含み、前記外層と前記内層は、それぞれパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうちから選択される少なくとも1つの物質を含む薬液供給装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の例示的な実施例による薬液供給装置を示すブロック図である。
【
図2A】本発明の例示的な実施例によるポンプを示す断面図である。
【
図2B】本発明の一実施例によるポンプを示す断面図である。
【
図3】本発明の例示的な実施例によるチューブを示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施例によるチューブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。図面上の同じ構成要素については、同じ参照符号を使用し、それらについての重複説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の例示的な実施例による薬液供給装置1000を示すブロック図である。
【0023】
図1を参照すれば、薬液供給装置1000は、薬液供給部100、フィルタ200、ポンプ300、制御部400、及びノズル500を含む。
【0024】
薬液供給部100は、薬液を収容する。薬液供給部100は、例えば、密閉型でもあるが、それに限定されるものではない。例示的な実施例において、薬液供給部100は、チューブ構造を有することができる。すなわち、薬液供給部100は、一側から供給された薬液を他側に排出させるように、薬液を一側から他側に流すチューブ構造を有することができる。
【0025】
図1には図示されていないが、薬液供給部100は、窒素ガスなどの不活性ガスを薬液供給部100内に供給するガス供給源(図示せず)と連結されうる。前記ガス供給源は、薬液供給部100内に前記不活性ガスを供給することができる。前記ガス供給源の不活性ガス供給が調節されながら、薬液供給部100からの薬液吐出も調節されうる。例えば、前記不活性ガスが薬液供給部100内に供給されて薬液を加圧すれば、前記薬液は、移送ラインP1を介して薬液供給部100からポンプ300に吐出されうる。前記ガス供給源と薬液供給部100との間には弁(図示せず)が配置されうる。前記弁は、電気的信号または空圧によって開閉されうる。前記弁の開閉によって薬液供給部100への不活性ガスの供給が調節されうる。例示的な実施例において、前記薬液の種類によって空気による薬液の酸化が発生しない場合、前記ガス供給源は、薬液供給部100内に圧縮空気を供給することもできる。
【0026】
例示的な実施例において、薬液供給部100は、多数のホールが形成されている構造物(図示せず)をさらに含みうる。この際、前記構造物は、プレート構造でもあるが、それに限定されるものではない。前記多数のホールは、前記構造物の全体領域に分布されうる。例えば、前記多数のホールは、互いに一定間隔で離隔されて前記構造物の全体領域に分布されうる。前記構造物が多数のホールを含んでおり、薬液は、前記多数のホールを通過するが、多数のホールサイズよりもさらに大きいサイズを有するバブルは、それを通過することができない。これにより、薬液内に含まれたバブルを除去し、前記薬液を用いて製造された半導体の機能的信頼性を改善しうる。
【0027】
例示的な実施例において、薬液供給部100は、前記構造物に電圧を印加する電源(図示せず)をさらに含みうる。その場合、前記構造物は、導電性物質を含みうる。前記電源が前記構造物に電圧を印加し、前記多数のホールを通過したバブルを捕集することができる。これにより、前記薬液を用いて製造された半導体の機能的信頼性を改善させうる。
【0028】
例示的な実施例において、前記構造物は、複数個でもある。例えば、薬液供給部100は、第1構造物(図示せず)、及び第2構造物(図示せず)を含み、前記第1構造物及び前記第2構造物には、それぞれ多数のホールが形成されうる。その場合、薬液供給部100は、前記第1構造物に電圧を印加する第1電源(図示せず)、及び前記第2構造物に電圧を印加する第2電源(図示せず)をさらに含みうる。前記第1電源は、前記第1構造物に第1極性を有する電圧を印加し、前記第2電源は、前記第2構造物に第2極性を有する電圧を印加し、第1極性を有するバブル及び第2極性を有するバブルがいずれも捕集されうる。これにより、前記薬液を用いて製造された半導体の機能的信頼性を改善させうる。前記第1極性は、例えば、正極であり、前記第2極性は、例えば、負極でもあるが、それに限定されるものではない。
【0029】
前記薬液は、半導体素子の製造工程に使用される薬液でもある。前記薬液は、例えば、フォトレジスト組成物でもあるが、それに限定されるものではない。
【0030】
フィルタ200は、移送ラインP1上に配置され、薬液供給部100とポンプ300との間に位置しうる。フィルタ200は、移送ラインP1を介してポンプ300に供給される薬液に含まれたパーティクルなどの異物を除去しうる。これにより、薬液の品質を改善させうる。フィルタ200によって処理された薬液は、移送ラインP1を介してポンプ300に供給されうる。
【0031】
移送ラインP1は、例えば、チューブ構造を有する。その場合、移送ラインP1の一側は、薬液供給部100が有するチューブ構造と連結されうる。また、移送ラインP1の他側は、ポンプ300が有するチューブ構造と連結されうる。
【0032】
図1には図示されていないが、移送ラインP1上には、弁(図示せず)が配置されうる。前記弁は、電気的信号または空圧によって開閉されうるが、それに限定されるものではない。前記弁は、複数個でもある。例えば、前記弁は、2個であり、1つの弁は、薬液供給部100とフィルタ200との間に位置し、他の1つの弁は、フィルタ200とポンプ300との間に位置しうる。その場合、前記1つの弁は、電気的信号によって開閉され、前記他の1つの弁は、空圧によって開閉されうるが、それに限定されるものではない。前記弁の開閉によって移送ラインP1を介した薬液の供給が調節されうる。前記弁の動作は、制御部400によって制御されうる。その場合、前記弁は、制御部400と電気的信号を送受信可能なように構成されうる。
【0033】
図2Aは、本発明の例示的な実施例によるポンプ300を示す断面図である。
図2Bは、本発明の一実施例によるポンプ300を示す断面図である。
【0034】
図1及び
図2Aを参照すれば、ポンプ300は、チューブ310、ポンプケース320、及び供給排出部330を含みうる。
【0035】
薬液は、移送ラインP1を介してチューブ310に供給されうる。チューブ310は、内部の空き空間であるポンプ室D(
図3を参照)を有し、ポンプ室Dは、所定時間、薬液を収容する。後述するように、チューブ310が収縮及び膨脹を繰り返し、ポンプ室Dに収容された薬液が吐出ラインP2に吐出されるか、ポンプ室Dに薬液が移送ラインP1を介して供給されうる。チューブ310は、ポンプケース320に組み込まれて固定されうる。チューブ310は、円筒状の形状を有することができる。チューブ310の構成に係わる具体的な説明は、
図3及び
図4を参照して後述する。
【0036】
ポンプケース320は、チューブ310の少なくとも一部を収容することができる。ポンプケース320は、ポンプケース320の内表面と、ポンプケース320の内部に収容されたチューブ310との間の空き空間である気体室Vを有しうる。後述するように気体室Vには、供給排出部330によって空気が供給されるか、排出されうる。ポンプケース320は、ポンプケース320の外部からポンプケース320の内部に外部物質が流入され得ない密閉型構造でもある。ポンプケース320は、例えば、金属で構成されうるが、それに限定されるものではない。
【0037】
供給排出部330は、供給排出ラインP3を介して気体室Vと連結されうる。供給排出部330は、気体室Vに空気を供給するか、気体室Vから空気を排出させうる。気体室Vに供給または排出される空気によって、気体室V内の圧力は、増加するか、減少しうる。これにより、チューブ310は、収縮するか、膨脹してチューブ310内の薬液が吐出されるか、チューブ310内に薬液が供給されうる。具体的に、供給排出部330から気体室Vに空気が供給されれば、気体室Vの圧力が増加する。これにより、チューブ310が収縮してチューブ310内のポンプ室Dに収容された薬液が吐出ラインP2に吐出されうる。一方、気体室Vから供給排出部330に空気が排出されれば、気体室Vの圧力が減少する。これにより、チューブ310が膨脹して移送ラインP1を介してチューブ310内のポンプ室Dに薬液が供給されうる。
【0038】
例示的な実施例において、供給排出部330は、気体室Vを真空状態にすることもできる。これを通じて、中間層313(
図3参照)に吸着された気体分子などを脱着させ、脱着された気体分子などを除去しうる。
【0039】
供給排出部330の動作は、制御部400によって制御されうる。例えば、供給排出部330は、制御部400によって制御されて気体室Vに空気を供給するか、気体室Vから空気を排出しうる。その場合、供給排出部330は、制御部400と電気的信号を送受信するように構成されうる。
【0040】
図2Bを参照すれば、例示的な実施例において、ポンプ300は、電流計341をさらに含みうる。電流計341は、チューブ310に含まれた中間層313と電気回路を介して連結され、導電性物質を含む中間層313に流れる電流を測定することができる。
【0041】
チューブ310が収縮及び膨脹を繰り返して薬液を供給する過程で、チューブ310の状態変形が発生しうる。具体的に、気体室Vに空気が供給されてチューブ310が収縮した状態でチューブ310の状態変形が発生した場合、気体室Vから空気が排出されても、チューブ310は、元の状態に完全に復元されなくなる。その場合、チューブ310が内部に収容する薬液量が減少するので、その次の収縮過程において、ノズル500に供給される薬液量が減少する。これにより、ノズル500を介してウェーハWに供給される薬液量が一定しておらず、薬液を用いて製造された半導体の機能的信頼性が確保され得ない。
【0042】
そのようなチューブ310の状態変形が発生する場合、中間層313の抵抗が変化して中間層313を流れる電流も変化する。例えば、歪みのようなチューブ310の状態変形が発生する場合、これにより、中間層313の抵抗が増加し、その結果、中間層313に流れる電流が減少する。電流計341は、そのような電流の変化を測定し、チューブ310の状態変形を把握することができる。チューブ310の状態変形を把握して対処することで、ウェーハWに供給される薬液量を一定に保持し、薬液を用いて製造される半導体の機能的信頼性を改善することができる。
【0043】
例示的な実施例において、ポンプ300は、電源343をさらに含みうる。電源343は、中間層313と電気回路を介して連結され、中間層313に電源を印加することができる。電源343によって中間層313に電源が印加されることで、中間層313が加熱され、それを通じて、外部から中間層313を加熱し、中間層313に吸着された気体分子などを脱着させ、それを除去することができる。
【0044】
例示的な実施例において、ポンプ300は、接地電極345をさらに含む。接地電極345は、中間層313と連結されうる。これにより、チューブ310の帯電現象が防止されることにより、チューブ310内のポンプ室Dに収容された薬液が帯電されることを防止しうる。
【0045】
例示的な実施例において、ポンプ300は、内部フィルタ(図示せず)をさらに含みうる。前記内部フィルタは、ポンプ300に供給された薬液に含まれたパーティクルなどの異物を除去しうる。これを通じて、薬液の品質を改善しうる。
【0046】
再び
図1を参照すれば、制御部400は、供給排出部330の動作を制御しうる。例えば、制御部400は、供給排出部330と電気的信号を送受信するように構成され、それを通じて、供給排出部330の動作を制御することができる。
【0047】
制御部400は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合わせによって具現されうる。例えば、制御部400は、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなどのコンピューティング装置でもある。例えば、制御部400は、ROM(Read Only Memory), RAM(Random Access Memory)などのメモリ装置や、所定の演算及びアルゴリズムを遂行するように構成されたプロセッサ、例えば、マイクロプロセッサ、CPU(Central Processing Unit), GPU(Graphics Processing Unit)などを含む。また、制御部400は、電気的信号を受信及び送信するための受信機及び伝送機を含む。
【0048】
薬液は、ポンプ300から吐出ラインP2を介してノズル500に供給されうる。供給された薬液は、ノズル500を介してウェーハW上に供給されうる。ノズル500は、ウェーハW上に位置し、ウェーハW上に薬液を供給するための吐出口(図示せず)を有しうる。前記吐出口は、例えば、スリット状を有する吐出口、一定間隔で互いに離隔されて配置される複数の吐出口、または単一吐出口など多様な形態を有することができる。
【0049】
図1には図示されていないが、吐出ラインP2上には、弁(図示せず)が配置されうる。前記弁は、電気的信号または空圧によって開閉されうるが、それらに限定されるものではない。前記弁は、複数個でもある。例えば、前記弁は、2個でもある。前記弁の開閉によって吐出ラインP2を介した薬液の供給が調節されうる。前記弁の動作は、制御部400によって制御されうる。その場合、前記弁は、制御部400と電気的信号を送受信するように構成されうる。
【0050】
図3は、本発明の例示的な実施例によるチューブ310を示す断面図である。
【0051】
図3を参照すれば、チューブ310は、外層311、内層315、及び外層311と内層315との間に介在される中間層313を含む。
外層311は、可撓性及び弾性を有する第1物質を含む。例示的な実施例において、前記第1物質は、パーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes, PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene, FEP)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene, ETFE)のうちから選択される少なくとも1つの物質でもある。外層311の一面は、中間層313の一面と接し、外層311の他面は、気体室V(
図2A参照)と接することができる。
【0052】
内層315は、可撓性、弾性、及び耐薬品性を有する第2物質を含む。例示的な実施例において、第2物質は、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、及びエチレンテトラフルオロエチレンのうち、選択される少なくとも1つの物質でもある。内層315の一面は、中間層313の他面と接し、内層315の他面は、ポンプ室Dと接することができる。
【0053】
外層311に含まれた第1物質及び内層315に含まれた第2物質が可撓性及び弾性を有し、それを含むチューブ310は、気体室V(
図2A参照)の圧力変化によって収縮または膨脹しうる。これにより、ポンプ室D内の収容された薬液が吐出されるか、ポンプ室D内に薬液が供給されうる。また前記第2物質は、耐薬品性を有し、ポンプ室D内に所定時間薬液が収容される場合にも、内層315が腐食されることが防止されうる。
【0054】
例示的な実施例において、前記第1物質と前記第2物質は、同一物質でもある。例えば、前記第1物質と前記第2物質は、いずれもパーフルオロアルコキシアルカンでもある。
【0055】
中間層313は、導電性物質を含む。例示的な実施例において、前記導電性物質は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質でもある。前記炭素系導電性物質は、例えば、グラフェン、グラフェンオキシド、炭素ナノチューブなどでもあるが、それらに限定されるものではない。前記金属ナノ構造体は、例えば、金、銀、白金のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む金属性ナノワイヤでもあるが、それに限定されるものではない。
【0056】
中間層313が導電性物質を含み、それを含むチューブ310の状態変形が発生する場合、中間層313の電流変化を測定することで、チューブ310の状態変形を把握することができる。これを通じて、チューブ310の状態変形に対して対処し、チューブ310によって吐出される薬液量が一定に保持されうる。また、中間層313が外層311と内層315との間に介在され、チューブ310の外部から流入される気体分子などが中間層313に吸着されうる。これにより、前記気体分子などの薬液の流入が防止され、薬液の品質低下を防止しうる。さらに、中間層313は、前記気体分子などに対するセンサーとしても作用する。具体的に、前記気体分子などが中間層313に吸着される場合、中間層313の抵抗が変化し、これにより、中間層313に流れる電流も変化する。そのような電流変化を測定することで、外部から流入される気体分子の存在を確認しうる。
【0057】
例示的な実施例において、中間層313は、複数層からなり、前記複数層それぞれは、導電性物質を含みうる。例示的な実施例において、前記複数層それぞれに含まれた導電性物質は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質でもある。前記炭素系導電性物質は、例えば、グラフェン、グラフェンオキシド、炭素ナノチューブなどでもあるが、それらに限定されるものではない。前記金属ナノ構造体は、例えば、金、銀、白金のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む金属性ナノワイヤでもあるが、それに限定されるものではない。
【0058】
例示的な実施例において、前記複数層それぞれに含まれた導電性物質は、互いに異なってもいる。例えば、前記複数層は、2層であり、1層に含まれた導電性物質は、グラフェンであり、残り1層に含まれた導電性物質は、グラフェンオキシドでもある。
【0059】
図4は、本発明の一実施例によるチューブ310を示す断面図である。
図4に図示された外層311、内層315、及び中間層313それぞれは、
図3を参照して説明した外層311、内層315、及び中間層313と類似していないので、以下では、相違点を中心に説明する。
【0060】
図4を参照すれば、例示的な実施例において、チューブ310は、n型半導体319a、p型半導体319b、及び第1伝導性層317をさらに含みうる。
【0061】
n型半導体319a及びp型半導体319bは、中間層313上に互いに離隔されるように配置され、n型半導体319a及びp型半導体319bの下面は、中間層313の上面のうち、一部と接しうる。n型半導体319a及びp型半導体319bの両側面は、外層311によってカバーされうる。n型半導体319a及びp型半導体319bは、例えば、ビスマステルライド(Bi2Te3)、またはテルル化鉛(PbTe)を含みうる。しかし、本発明がそれらに限定されるものではない。
【0062】
例示的な実施例において、n型半導体319a及びp型半導体319bは、それぞれ複数個であり、複数個のn型半導体319a及び複数個のp型半導体319bは、それぞれ互いに一定の間隔を有するように離隔されて中間層313上に配置されうる。
【0063】
第1伝導性層317は、n型半導体319a及びp型半導体319b上に配置されうる。第1伝導性層317の上面は、気体室V(
図2参照)に露出されうる。第1伝導性層317の両側面は、外層311によってカバーされうる。第1伝導性層317の下面のうち、一部領域は、n型半導体319aの上面及びp型半導体319bの上面と接し、第1伝導性層317の下面のうち、残り領域は、外層311によってカバーされうる。
【0064】
例示的な実施例において、第1伝導性層317は、炭素系導電性物質及び金属ナノ構造体のうち、選択される少なくとも1つの物質からなる。前記炭素系導電性物質は、例えば、グラフェン、グラフェンオキシド、炭素ナノチューブなどでもあるが、それらに限定されるものではない。前記金属ナノ構造体は、例えば、金、銀、白金のうち、選択される少なくとも1つの物質を含む金属性ナノワイヤでもあるが、それに限定されるものではない。
【0065】
例示的な実施例において、第1伝導性層317は、中間層313と同じ物質を含む。例えば、第1伝導性層317と中間層313は、いずれもグラフェンを含む。
【0066】
中間層313は、離隔部Oによって第1中間層313aと第2中間層313bとに分離されうる。例えば、中間層313は、n型半導体319aが配置された領域及びp型半導体319bが配置された領域の間で、n型半導体319aとp型半導体319bのX方向離隔距離d2よりさらに短いX方向長さd1を有する離隔部Oによって第1中間層313aと第2中間層313bとに分離されうる。この際、離隔部OのZ方向寸法は、中間層313のZ方向寸法と同一である。その場合、第1中間層313a上には、n型半導体319aが配置され、第2中間層313b上には、p型半導体が配置されうる。
【0067】
図4には図示されていないが、第1中間層313a及び第2中間層313bそれぞれには、電源を印加する電源(図示せず)が連結されうる。
【0068】
前記電源が直流電流を流せば、中間層313、n型半導体319a、p型半導体319b、及び第1伝導性層317の全体が1つのペルチェ素子として機能しうる。
【0069】
ペルチェ素子は、熱の移動を誘発するペルチェ効果を用いた熱電素子の一種であり、ペルチェ効果とは、2つの異なる物質に電流を供給すれば、一側に熱が移動し、他側には熱が抜け出る現象を言う。
【0070】
また
図4を参照すれば、前記電源によってn型半導体319a及びp型半導体319bにp型半導体319bからn型半導体319aに向かう方向に電流が供給されれば、n型半導体319aでは、電子が内層315及びポンプ室Dの熱を中間層313を経て外層311に移動させ、p型半導体319bでは、正孔が内層315及びポンプ室Dの熱を中間層313を経て外層311に移動させうる。すなわち、内層315及びポンプ室Dの熱が中間層313を介して吸収され、吸収された熱は、外層311に放出され、内層315及びポンプ室Dの温度が低くもなる。逆に、前記電源によってn型半導体319a及びp型半導体319bにn型半導体319aからp型半導体319bに向かう方向に電流が供給されれば、n型半導体319aでは、電子が外層311の熱を中間層313に移動させ、p型半導体319bでは、正孔が外層311の熱を中間層313に移動させうる。すなわち、外層311の熱が中間層313を介して放出されて内層315及びポンプ室Dの温度が高くなりうる。
【0071】
チューブ310が薬液を供給する過程でチューブ310の反復的な収縮及び膨脹によって熱が発生しうる。その場合、p型半導体319bからn型半導体319aに向かう方向に電流を供給することで、前記熱を外層311を介して放出し、チューブ310の温度を低めることができる。
また、薬液の種類によって温度調節が必要である場合、p型半導体319bからn型半導体319aに向かう方向に電流を供給するか、n型半導体319aからp型半導体319bに向かう方向に電流が供給されることで、チューブ310の温度を薬液に適当な温度に調節しうる。これにより、チューブ310を介して供給される薬液の品質が改善されうる。
【0072】
以上、図面と明細書において例示的な実施例が開示された。本明細書で特定の用語を使用して実施例を説明されたが、これは、単に本開示の技術的思想を説明するための目的で使用されたものであって、意味限定や請求範囲に記載の本開示の範囲を制限するために使用されたものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、それにより、多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。したがって、本開示の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【符号の説明】
【0073】
100 薬液供給部、
200 フィルタ、
300 ポンプ、
310 チューブ、
311 外層、
313 中間層、
315 内層、
320 ポンプケース、
330 供給排出部、
341 電流計、
343 電源、
345 接地電極、
400 制御部、
500 ノズル、
1000 薬液供給装置、
P1 移送ライン、
P2 吐出ライン、
D ポンプ室、
V 気体室、
W ウェーハ。