(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152847
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】液体食器手洗い用洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/29 20060101AFI20231005BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20231005BHJP
C11D 1/18 20060101ALI20231005BHJP
C11D 1/94 20060101ALI20231005BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20231005BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20231005BHJP
C11D 1/92 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C11D1/29
C11D17/08
C11D1/18
C11D1/94
C11D1/75
C11D1/90
C11D1/92
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023045429
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】22165731.5
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22215756.2
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ジュリアン・マリー-ルイーズ・ビリオー
(72)【発明者】
【氏名】マーテ・デブレクゼニ
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・アン・ランジュヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア・ステルジョプル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・カイル・ヴィンソン
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB23
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC15
4H003BA12
4H003DA17
4H003DB02
4H003EA19
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB28
4H003EB34
4H003ED02
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA12
4H003FA16
4H003FA17
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粘度プロファイルを実質的に変化させることなく、天然源、再生可能源に由来する高分率の成分を含み、理想的には生分解性も改善しており、良好な起泡性、油脂除去及び低温での安定性も有する、液体食器手洗い用洗剤組成物を提供する。
【解決手段】アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とアシルタウレートアニオン性界面活性剤との組み合わせを含むアニオン性界面活性剤を含む界面活性剤系を含むように液体食器手洗い用洗剤組成物を配合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体食器手洗い用洗剤組成物の5.0重量%~50重量%の界面活性剤系を含む液体食器手洗い用洗剤組成物であって、前記界面活性剤系は、
a.アニオン性界面活性剤であって、
i.アルキルサルフェートの平均エトキシ化度が0.5未満であるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、及び
ii.アシルタウレートアニオン性界面活性剤であって、
式(I):
【化1】
(式中、
親油性尾部基R(CO)-において、Rは7~13の数平均を含むアルキル鎖であり、
Xは、H又は1~3個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、
M
+は対イオンである)を有する、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を含む、アニオン性界面活性剤を含み、
前記組成物が、20℃の脱塩水中の10%水溶液として測定した場合、pHが7.0以上である、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記組成物全体の、6.0重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%の前記界面活性剤系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の少なくとも40重量%、好ましくは60重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アシルタウレートアニオン性界面活性剤が、式(I):
(式中、親油性尾部基R(CO)-において、Rは数平均で9~13個、好ましくは11~13個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、より好ましくは、RはC11~C13アルキル鎖のブレンドであり、
XはH又はメチルであり、好ましくはメチルであり、
M+はアルカリ金属対イオンである対イオンであり、より好ましくはNa+又はK+、最も好ましくはNa+である)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アシルタウレートアニオン性界面活性剤中、前記アルキル鎖Rが少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の、総アルキル鎖に対するC11~C13鎖のモル分率を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の数平均アルキル鎖長が8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の平均アルコキシル化度が0.25未満、好ましくは0.1未満であり、好ましくは前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤がアルコキシル化されていない、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の平均分岐度が、少なくとも15%、好ましくは20%~60%、より好ましくは30%~50%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも25重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及び前記アシルタウレートアニオン性界面活性剤が10:1~1:2、好ましくは7:1~1:1、及び最も好ましくは5:1~2:1の重量比で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤系が、両性補助界面活性剤、双性イオン性補助界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アニオン性界面活性剤及び前記補助界面活性剤が、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1の重量比で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記補助界面活性剤が両性界面活性剤であり、好ましくはアミンオキシド界面活性剤であり、より好ましくは前記アミンオキシド界面活性剤が、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはアルキルジメチルアミンオキシドである、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
前記補助界面活性剤が双性イオン性界面活性剤であり、好ましくはベタイン界面活性剤であり、より好ましくはアルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルテイン)、ホスホベタイン及びそれらの混合物からなる群から選択されたベタイン界面活性剤であり、最も好ましくはココアミドプロピルベタインである、請求項12又は13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な起泡性、粘性及び安定性を提供しながらも高い生分解性と高濃度の再生可能成分を依然として有する、液体食器手洗い用洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄液を形成するため、洗剤組成物を希釈する水で満たされたシンクでの食器手洗い中、更にはスポンジなどの器具を使用する直接適用中、ユーザは、希釈された洗剤組成物の残存する洗浄効果を示す起泡度に典型的に依拠している。大きな泡体積及び/又は安定した長持ちする泡持続性(すなわち、マイレージ)は、所望の洗浄を行うために十分な活性成分(例えば、界面活性剤)が残っていることをユーザに示す。泡寿命が不十分であると、典型的には、洗浄効果が残っている場合であってもユーザが追加の洗浄組成物を投入することにつながる。
【0003】
食器手洗い用洗浄組成物は典型的には、主要なアニオン性界面活性剤としてアルキルエーテルサルフェート界面活性剤を使用して配合されている。しかしながら、改善された生分解性を有し、再生可能な供給源に由来する洗剤組成物に対する要望が増加している。結果として、エトキシ化がわずかに低レベルである、又は全くエトキシ化されていないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用することがより望ましい。こうした低エトキシ化又は非エトキシ化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤以外のものも、高エトキシ化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と比較した場合に、一般には油脂洗浄性能を改善させることが分かっている。しかしながら、かかるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤との配合で低温での安定性は典型的には不十分となり、油脂汚れの存在下では泡の持続時間が短くなる可能性がある。
【0004】
例えばパーム油又はココナツ油由来のものといった、天然由来のアルキル鎖を使用した非アルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を形成することができる。非アルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤は、土壌中又は天然水中の微生物によって容易に生分解可能であることもまた見出されている。しかしながら、こうした天然由来のアルキル鎖は典型的には完全に直鎖であり、完全直鎖状の非アルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が生じる。直鎖状アルキルサルフェートを含む液体洗剤組成物は典型的には、低温相で所望の安定性を提供し、かつユーザが使いやすい所望の粘度プロファイルを得るためにより多くの溶媒を必要とする。溶媒を増加することでも、環境的に持続可能ではない組成物が生じる。
【0005】
最初に水で満たされたシンクに追加するか、洗浄する皿に直接追加するか、洗浄器具に追加するかに関わらず、ユーザは手動の食器洗い中に一貫した使用量と製品性能の経験を期待する。製品の粘度はユーザの投入実感に直接、影響を及ぼすので、上記には製品の粘度が含まれ、例えば、粘度の低い製品は、粘度の高い製品よりも洗剤容器から速く流れ出る。したがって、より一貫したユーザ経験を提供するために、ニュートン粘度プロファイルが望まれる。ニュートン粘度を有する製品では、ボトルに加えられる圧力が変化しても、より一定のボトルからの液体流が得られる。油脂洗浄及び起泡性などの性能を改善させるために、成分を追加することも望ましい。しかしながら、こうした成分により、多くの場合粘性にとって実質的な変化が生じる。こうした変化により、望ましいプロファイル以下の注入プロファイル、及び使用時の望ましい溶解性が低下する可能性がある。
【0006】
したがって、低温での望ましい安定性及び特に油脂汚れの存在下での望ましい起泡性プロファイルを依然として提供し、油脂洗浄もまた改善しつつも、エトキシ化度が低く、又はエトキシ化していない、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む食器手洗い用洗剤組成物が必要とされている。加えて、油脂を除去する際に非常に有効であり、油汚れがある条件下でも泡が長続きし、実質的にはその粘性も変化しない手洗い組成物が依然として必要とされている。
【0007】
米国特許第2673842号は界面活性剤に関し、より詳細には油性物質の有無に関わらず非常に良好な泡立ち特性を有する組成物を扱っている。米国特許第2673842号は、2-ブチルオクタノール-1ポリグリコールエーテルのアルカリ金属又は硫酸アンモニウムと、12個の炭素原子を有するN-アルキルタウリンのアルキル基又はアンモニウム塩とを様々な割合で混合した場合、得られた混合物はこれらの単独で使用した場合のいずれかの成分よりも非常に優れた泡立ち特性を呈することを教示している。特開平08302390号は、低刺激性であり、泡特性、経時的な安定性及び有用性が優れたアシルアルキルタウレート型のアニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物に関する。日本特許第2956268号は、ヘアシャンプー、ボディシャンプー、洗顔料、食器洗浄用洗剤など、アシルメチルタウリン塩を含む弱酸性洗剤組成物に関する。米国特許第4554098号は、肌に接触させた場合、洗浄剤による刺激の影響が少ない高発泡性液体洗剤組成物に関する。この組成物は、油汚れの存在下でも良好な発泡性を呈するが、肌への刺激は少なく、食器手洗い用洗剤、シャンプー、液体石鹸及び発泡性入浴剤として使用するのに特に好適である。液体洗剤組成物は、C8~C18アシルタウレート界面活性剤を含み得る。国際公開第200238714号は、油の存在下であっても高い発泡性を呈し、肌への刺激が低く、経時的に良好な安定性を有する洗剤組成物に関する。この組成物は、(a)高級脂肪酸塩(a1)、アミドエーテルサルフェートアニオン性界面活性剤(a2)及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤(a3)から選択される少なくとも1種のメンバー、並びにウンデシレンアミド酢酸のベタイン型両性界面活性剤(b)を含み、(a)及び(b)の含有量は、それぞれ5~35重量%と0.5~20重量%であり、a/bの重量比は3/4~10/1であることを特徴としている。日本特許第3178085号は、低刺激性であり、高発泡性であって、弾性があり泡がクリーム状であり、適切な粘性と経時的に安定している洗剤組成物に関する。この組成物は、アシルアルキルタウリン塩型のアニオン性界面活性剤を含む。特開平05222395号は、アシルアルキルタウリンのアンモニウム塩を含む、低刺激性であり低温での安定性及び優れた有用性を有する、弱酸性洗剤組成物に関する。日本特許第3114370号は、刺激が少なく、泡特性及び経時的な安定性があり、有用性に優れた、アシルアルキルタウレート型アニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物に関する。米国特許第6013616号は、モノグリセリド(エーテル)サルフェートと選択された脂肪酸縮合物とを含有する、皮膚適合性が改善した洗剤組成物、これらの混合物を含有する界面活性剤、及び界面活性剤を製造するためのこの混合物の使用に関し、この組成物は脂肪酸タウレートを含む。米国特許第3649543号は、水溶性タウリン塩と界面活性有機硫酸塩又はスルホン酸塩洗剤との相乗的組み合わせから本質的になる、刺激の少ない乳化剤に関する。米国特許第2880219A号は、アミド型アニオン性界面活性スルホン酸塩の製造に関し、より詳細にはN-高級アシルタウリン塩の製造に関する。米国特許第5496959A号は、カルボン酸とタウレート(置換2-アミノアルカンスルホン酸及びそれらのアルカリ金属塩)誘導体との直接縮合によるN-アシルタウレートの調製に関する。中国特許出願公開第107083287A号は、オレオイルメチルタウロコール酸ナトリウムを含む機械加工洗浄剤及びその製造技術に関する。特に米国特許第5231224A号は、アルキルエーテルカルボン酸タウリド、それらを調製するためのプロセス及び界面活性物質として、特に美容目的での刺激の少ない洗浄剤としてのこれらの使用に関する。米国特許出願公開第2020/332232A号は、安定した食器用無水石鹸製剤に関する。米国特許出願公開第20220081645A1号は、油脂を除去するためのものではあるが一方で良好な泡持続性も有し、物理的な安定性に関する悪影響を回避するための食器手洗い用組成物に関する。特に低温では、規定の分子量のポリプロピレングリコールと組み合わせた、分岐がほとんど存在しない、又は全くなく、アルコキシル化度が低い、又は全くないアルキルサルファートアニオン性界面活性剤と補助界面活性剤を含む界面活性剤系を含むように食器手洗い用組成物を配合することでこの条件を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2673842号
【特許文献2】特開平08302390号
【特許文献3】日本特許第2956268号
【特許文献4】米国特許第4554098号
【特許文献5】国際公開第200238714号
【特許文献6】日本特許第3178085号
【特許文献7】特開平05222395号
【特許文献8】日本特許第3114370号
【特許文献9】米国特許第6013616号
【特許文献10】米国特許第3649543号
【特許文献11】米国特許第2880219A号
【特許文献12】米国特許第5496959A号
【特許文献13】中国特許出願公開第107083287A号
【特許文献14】米国特許第5231224A号
【特許文献15】米国特許出願公開第2020/332232A号
【特許文献16】米国特許出願公開第20220081645A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体食器手洗い用洗剤組成物の5.0重量%~50重量%の界面活性剤系を含む液体食器手洗い用洗剤組成物に関し、界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤であって、請求項1に記載されるように、アルキルサルフェートの平均エトキシ化度が0.5未満であるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤を含み、組成物は、20℃の脱塩水中の10%水溶液として測定した場合、pHが7.0以上の組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の液体洗浄組成物を配合することで、低温での安定性が良好であり、油脂汚れの存在下で望ましい起泡性プロファイルを有し、油脂洗浄も改善しつつも、組成物の粘度プロファイルを実質的に変化させることがない、食器手洗い用洗剤組成物が得られる。
【0011】
本明細書で使用される場合、特許請求項において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「含む」とは、特に言及したもの以外の工程、及び成分を付加できることを意味する。この用語は、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「食器類」は、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木材から製造された調理器具及び食卓用食器類を含む。
【0014】
本明細書で使用する場合、「油脂」又は「油脂性の」という用語は、物質が、少なくとも部分的に(すなわち、物質中の少なくとも0.5重量%の油脂)、飽和及び不飽和の脂肪及び油、好ましくは、牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉等の動物性原料に由来する油及び脂肪を含んでいることを意味する。
【0015】
用語「含む(include/includes/including)」は、非限定的であることを意味する。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「粒子状汚れ」は、無機及びとりわけ有機の固体汚れ粒子、とりわけ食品粒子、非限定的な例としては、超微粒子状元素状炭素、焼成された油脂粒子、及び肉粒子を意味する。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「泡立ちプロファイル」とは、食器洗浄プロセスの間の泡の性質に関する洗浄組成物の特性のことを指す。洗浄組成物の「起泡プロファイル」という用語は、水性洗浄溶液中の洗浄組成物の溶解及び撹拌、典型的には手動撹拌の際に生成される初期起泡体積、並びに食器洗いプロセス中の起泡の保持を含む。好ましくは、「良好な起泡プロファイル」を有することを特徴とする食器手洗い用洗浄組成物は、特に食器手洗いプロセスのかなりの部分又は全体にわたって、大きな初期起泡体積及び/又は持続性の起泡体積を有する傾向がある。これは、十分な洗浄組成物が投入されたことの指標として消費者が起泡の大きさを使用するので、重要である。更に、消費者はまた、食器洗いプロセスの終盤に向かっていても、起泡体積が持続していることを、十分な活性洗浄成分(例えば、界面活性剤)が存在していることの指標として使用する。消費者は、通常、起泡が少なくなったときに洗浄溶液を新しくする。したがって、低起泡洗浄組成物は、起泡レベルが低いことから、消費者によって必要以上に頻繁に補給される傾向がある。
【0018】
本明細書に記載され、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を判定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0019】
特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、文脈より明らかであるように、全ての割合は、組成物全体の重量に基づくものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0020】
液体洗浄組成物
洗浄組成物は、液体洗浄組成物、好ましくは液体食器手洗い用洗浄組成物であり、したがって液体形態にある。本液体洗浄組成物は、好ましくは、水性洗浄組成物である。したがって、本組成物は、本組成物全体の50重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%の水を含むことができる。
【0021】
20℃の脱塩水中の10%水溶液として測定した場合、液体洗浄組成物のpHは、7.0以上、又は7.0~12.0、好ましくは7.5~11.0、より好ましくは8.0~10.0である。
【0022】
本発明の液体洗浄組成物は、ニュートン流体であっても非ニュートン流体であってもよいが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、本組成物は、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組み合わせの粘度を有する。
【0023】
本発明の組成物は、再生可能な構成要素を含み得、洗浄及び起泡持続性等の良好な性能を示し得る。本明細書に開示される組成物は、組成物の20重量%又は40重量%又は50重量%から、60重量%又は80重量%まで、又は更には100重量%までの再生可能成分を含み得る。本明細書に開示される組成物は、少なくとも部分的に、又は完全にバイオベースの組成物である。したがって、該組成物は、組成物の50重量%~100重量%、好ましくは75重量%~100重量%、最も好ましくは80重量%~100重量%、最も好ましくは約90重量%~約100重量%のバイオベースの炭素含有量を含み得る。バイオベースとは、例えば石炭由来又は石油由来ではなく、養殖植物等の生物に由来する物質に由来する材料を意味する。バイオベース炭素含有量パーセントは、ASTM D6866-16の方法論を使用して導出される「percent Modern Carbon(pMC)」として計算することができる。本開示の組成物は、石油由来溶媒を実質的に含まなくてもよい。本開示の組成物は、界面活性剤又は更に石油由来アルコールに由来するポリマーを実質的に含まなくてもよい。
【0024】
界面活性剤系
液体洗浄組成物は、組成物全体の重量に基づいて、5.0重量%~50重量%、好ましくは6.0重量%~40重量%、最も好ましくは15重量%~35重量%の界面活性剤系を含む。
【0025】
アニオン性界面活性剤
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤は、ほとんどアルコキシル化されていない、又はアルコキシル化が全くないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤を含む。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤は、10:1~1:2、好ましくは7:1~1:1、最も好ましくは5:1~2:1の重量比で存在し得る。理論に束縛されることを望むものではないが、混合物によって、特に油脂汚れの存在下での油脂洗浄と泡持続能との均衡がとれており、低温での安定性があり、かつ目標とする最終製品の粘性への影響が最小限であることを示す界面活性剤充填がもたらされると考えられている。
【0026】
界面活性剤系は、界面活性剤系の、少なくとも40重量%、好ましくは60重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%のアニオン性界面活性剤を含み得る。このような脂肪酸は起泡の生成を妨げるため、界面活性剤系は、好ましくは脂肪酸又はその塩を含まない。
【0027】
アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0028】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも25重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0029】
改善された油脂除去と向上された洗浄速度との組み合わせを提供するために、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均アルキル鎖長は、8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子であり得る。
【0030】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖のC12及びC13鎖のモル分率は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を有し得る。アルキル鎖のC13/C12モル比が少なくとも57/43、好ましくは60/40~90/10、より好ましくは60/40~80/20、最も好ましくは60/40~70/30であるとき、特に油脂汚れの存在下において、起泡持続性が特に改善されると同時に、粒子状汚れの存在における起泡持続性が損なわれることはない。
【0031】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のC13及びC12アルキル鎖の相対モル量は、アニオン性界面活性剤の炭素鎖長分布から導き出すことができる。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖の炭素鎖長分布は、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの供給元の技術データシートから入手することができる。代替的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される脂肪族アルコールの鎖長分布及び平均分子量は、当該技術分野において既知の方法によって決定することもできる。このような方法としては、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリーカラム上での水素炎イオン化型検出器を備えたキャピラリーガスクロマトグラフィーが挙げられる。鎖長分布は、出発アルコール及びアルコキシル化アルコールに基づく。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、例えば塩酸を使用して、分析する前に加水分解して対応するアルキルアルコール及びアルキルアルコキシル化アルコールに戻さなければならない。
【0032】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、少なくとも15%、好ましくは20%~60%、より好ましくは30%~50%の重量平均分岐度を有し得る。こうした分岐アルキルサルフェート界面活性剤を含む組成物は典型的には、粘度制御及び低温での安定性が改善している。より好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、15%未満、より好ましくは10%未満の平均分岐度を有し、最も好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は直鎖状である。直鎖アルキル鎖は典型的には、再生可能源に由来している。
【0033】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%のC2位における分岐を含み得る(非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のサルフェート基から炭素原子をカウントし、アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のサルフェート基から最も遠いアルコキシ基からカウントして測定したとき)。より好ましくは、分岐鎖アルキル全量の75重量%超、更により好ましくは90重量%超が、C1~C5アルキル部分、好ましくはC1~C2アルキル部分からなる。前述の分岐度を有するアルキルサルフェート界面活性剤を使用して本発明の組成物を配合した結果、低温安定性が改善されることが判明している。このような組成物は、低温における良好な物理的安定性を達成するために必要な溶媒がより少ない。したがって、組成物は、依然として改善された低温安定性を有しながら、液体洗浄組成物の重量に基づいて、5.0重量%未満という、低濃度の有機溶媒を含み得る。界面活性剤の分岐がより多いことによっても、初期起泡生成がより速くなるが、典型的には、起泡持続性が低くなる。本明細書に記載される重量平均分岐は、改善された低温安定性、初期泡生成、及び起泡持続性を提供することが判明している。
【0034】
アニオン性界面活性剤混合物の重量平均分岐度は、以下の式を使用して計算することができる:
重量平均分岐度(%)=[(x1*アルコール1中の分岐鎖アルコール1の重量%+x2*アルコール2中の分岐鎖アルコール2の重量%+....)/(x1+x2+....)]*100
(式中、x1、x2...は、アルキル(アルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために(アルコキシル化及び)硫酸化の前に出発物質として用いたアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールの重量(グラム)である)。重量平均分岐度の計算では、分岐していないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を形成するために使用されたアルキルアルコールの重量が含まれる。
【0035】
重量平均分岐度及び分岐分布は、通常、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの技術データシートから得ることができる。代替的に、分岐は、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリーカラム上での水素炎イオン化型検出器を備えたキャピラリーガスクロマトグラフィーを含む、当該技術分野において既知の分析方法を通して判定することもできる。重量平均分岐度及び分岐分布は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために使用した出発アルコールに基づく。
【0036】
アルキルサルフェート界面活性剤は、アルコキシル化又はアルコキシル化されていなくてもよい。
【0037】
アルコキシル化されている場合には、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の平均アルコキシル化度は、0.5未満、好ましくは0.25未満、より好ましくは0.1未満であり、アルコキシル化されていないことが特に好ましい。アルコキシル化された場合、エトキシ化が好ましい。
【0038】
したがって、アルキルサルフェート界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の10重量%未満、好ましくは5重量%未満のアルコキシル化されたアルキルサルフェート界面活性剤を含み、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化されたアルキルサルフェート界面活性剤を含まないことがより好ましい。
【0039】
平均アルコキシル化度は、全てのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化度のモル平均(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。したがって、モル平均アルコキシル化度を計算するとき、非アルコキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤のモルが含まれる。
モル平均アルコキシル化度=(x1*界面活性剤1のアルコキシル化度+x2*界面活性剤2のアルコキシル化度+....)/(x1+x2+....)
(式中、x1、x2...は、混合物の各アルキル(又はアルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である)。
【0040】
好ましいアルキルアルコキシサルフェートは、アルキルエトキシサルフェートである。
【0041】
好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム又はアンモニウム又は置換アンモニウムが挙げられるが、アルカノールアンモニウム又はアンモニウム又は置換アンモニウムの使用は組成物の変色を引き起こす可能性があることから、好ましくはナトリウムである。
【0042】
市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによって商品名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによって商品名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter & Gamble Chemicals社によって生産された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。供給元からの技術データシートから又は当該技術分野において既知の方法を使用した分析から得られた、出発アルコール内のC13及びC12の相対分率に基づいて、C12及びC13鎖の所望のモル分率及び所望のC13/C12比を実現するためにアルコールをブレンドすることができる。
【0043】
最終製品の油脂洗浄、起泡、低温安定性、及び粘度を含む性能は、アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化分布の幅によって影響され得る。アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するときの触媒及びプロセス条件の選択を通して、アルコキシル化分布を、その幅の広さを含めて変化させることができる。
【0044】
理論によって拘束されることを望まないが、エトキシ化アルキルサルフェートが存在する場合、アルコキシル化、とりわけエトキシ化工程及び硫酸化工程の両方の間に、処理条件及び原料物質の組成を厳密に管理することにより、アルコキシル化、とりわけエトキシ化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生物の量を低減させることができる。近年の技術進歩に基づいて、1,4-ジオキサン副生物の更なる低減は、その後のストリッピング、蒸留、溶媒蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるいがけ、又は接触分解工程若しくは酵素分解酵素工程により実現することができる。アルコキシル化/エトキシ化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン含量を管理するプロセスは、当該技術分野において広く記載されている。代替として、5,6-ジヒドロ-3-(4-モルホリニル)-1-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)-フェニル]-2-(1-H)-ピリドン、コラン酸の3-アルファ-ヒドロキシ-7-オキソ立体異性体混合物、3-(N-メチルアミノ)-L-アラニン及びこれらの混合物等の1,4-ジオキサン阻害剤を、1,4-ジオキサンを含む配合物に添加することによる、洗剤配合物内の1,4-ジオキサンレベルの管理もまた、当該技術分野において記載されている。
【0045】
アニオン性界面活性剤は、アルキル(ベンゼン)スルホネート界面活性剤、アルキルスルホスクシネート及びジアルキルスルホスクシネートエステル界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択されるもののように追加のアニオン性界面活性剤を含み得る。しかしながら、好ましい組成物では、アニオン性界面活性剤はアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤からなる。
【0046】
アシルタウレートアニオン性界面活性剤
好適なアシルタウレート(又はタウリド)は、親油性尾部基とN-タウリン(2-アミノエタンスルホン酸若しくはその塩)又は2-アミノエタンスルホン酸基の窒素に結合された1~3個の炭素原子を含むアルキル基を有するN-アルキルタウリンからなる親水性頭部基から構成されているアニオン性界面活性剤である。頭部基は、N-タウリン(2-アミノエタンスルホン酸又はその塩)である。親油性残基はアシル鎖からなる。好ましくは、親油性尾部基は、アミド結合を形成するためにアルキルカルボン酸(脂肪酸)とタウリン基とを反応させることで形成されたアシル基からなる。
【0047】
本発明で使用するアシルタウレート界面活性剤は、ヒドロキシ基を含まない。このようなヒドロキシ基によって親水性が増加した界面活性剤がもたらされると考えられる。したがって、これらはアルキルサルフェート界面活性剤と混合ミセルを形成するにはあまり有効ではない。
【0048】
好適な親油性尾部基はアシル鎖を有する。アシル鎖の数平均アルキル鎖長は、8~14個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個の炭素原子である。かかるアシル鎖については、酸素原子に結合された炭素原子は炭素数で計算される。アシルタウレートアニオン性界面活性剤のアシル鎖及びアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖が同様の長さを有する場合、界面活性剤充填が改善すると考えられる。加えて、アシルタウレートアニオン性界面活性剤が12~14個の炭素原子のアシル鎖長のブレンドを有する場合、低温での安定性は単一アシル鎖長よりも改善している。したがって、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される親油性鎖は、例えば12個、13個及び14個の炭素原子、又は12個及び14個の炭素原子のアシル鎖長の分布を有し、12個及び14個の炭素原子のブレンドが特に好ましい。成分の親油性鎖中のC14及びC12アシル鎖の相対モル量は、使用される出発脂肪酸の炭素鎖長分布から導き出すことができる。出発脂肪酸のアルキル鎖の炭素鎖長分布は、脂肪酸に関する供給元からの技術データシートから取得することができる。代替的には、出発脂肪酸の鎖長分布及び平均分子量は、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される、当該技術分野で公知の方法で決定することもできる。このような方法としては、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリーカラム上での水素炎イオン化型検出器を備えたキャピラリーガスクロマトグラフィーが挙げられる。鎖長分布は出発脂肪酸に基づいている。アシルタウレートは、C16~C18アシル鎖の小部分、より詳細には2%~20%のC16~C18鎖のモル分率を含み得る。ここで、C18鎖は飽和、不飽和又はそれらの混合物であり得る。しかしながら、成分の親油性鎖のアシル鎖のモル分率は少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%のC12~C14であることが好ましい。好ましくは、C12鎖とC14鎖との間のモル比は1:1~6:1であり、好ましくは2:1~5:1である。アシル鎖については、酸素に結合された炭素は炭素原子数に含まれる。
【0049】
したがって、アシルタウレートアニオン性界面活性剤は式(I):
【0050】
【化1】
(式中、
親油性尾部基R(CO)-において、Rは数平均で7~13個、好ましくは9~13個、より好ましくは11~13個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、最も好ましくは、RはC11~C13アルキル基のブレンドであり、
Xは、H又は1~3個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、好ましくはH又はメチルであり、より好ましくはメチルである。
M
+は対イオン、好ましくはナトリウムイオン又はカリウムイオンなどのアルカリ金属対イオン、より好ましくはNa
+である)を有する。
【0051】
親油性鎖のアシル鎖の平均分岐度は、15%未満、好ましくは10%未満であり得、より好ましくは、アシル鎖は直鎖である。アシル鎖は、好ましくはココナツ油又はパーム核油などの再生可能原料からの天然由来のものであることが好ましく、ココナツ油が好ましい。
【0052】
代替的には、あまり好ましくはないが、アシルタウレートアニオン性界面活性剤は分岐し、少なくとも15%、好ましくは20%~60%、より好ましくは30%~50%の重量平均分岐度を有し得る。
【0053】
アシルタウレートアニオン性界面活性剤の重量平均分岐度は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤に関して既に記載したものと同様の方法を使用して計算される。
【0054】
重量平均分岐度及び分岐分布は、典型的にはアシルタウレートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される成分の脂肪酸についての技術データシートから取得することができる。代替的には、分岐の種類は、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリーカラム上での水素炎イオン化型検出器を備えたキャピラリーガスクロマトグラフィーを含む当該技術分野で公知の分析方法によっても決定することができる。
【0055】
アシルタウレートアニオン性界面活性剤を作製するための好適な出発脂肪酸としては、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)及びそれらの混合物が挙げられる。したがって、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)及び特にそれらの混合物が好ましい。
【0056】
好適なアシルタウレートアニオン性界面活性剤は、Aquanate及びPureactの商標名でInnospec社から、Hostaponの商標名でClariant社から市販されている。最も好ましいのは、Clariant社からのHostapon LT及びHostapon CT材料である。
【0057】
式(I)の好適なアシルタウレートは、対応する脂肪酸を用いてN-タウリン(2-アミノエタンスルホン酸若しくはその塩)又は1~3個の炭素原子を含むアルキル基を有するN-アルキルタウリンを、必要に応じて水素化ホウ素ナトリウム、ホウ酸又は酸化亜鉛などの好適な触媒の存在下にて、窒素下で10時間220℃、直接アミド化することで形成され得る。
【0058】
アシルタウレート界面活性剤を調製するための方法は、米国特許第2880219号、同5496959号及び「Reaction of Fatty Acids with N-Methyl Taurine」、(L.W.Burnette,M.E.Chiddix)J.Amer.Oil Chem.,39(11),1962,477-478に開示されている。
【0059】
追加のアニオン性界面活性剤
本明細書での使用に好適なアニオン性アルキルスルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエステルスルホネート、一級及び二級アルカンスルホネート(パラフィンスルホネートなど)、アルファ又は内部オレフィンスルホネート、アルキルスルホン化(ポリ)カルボン酸、並びにそれらの混合物が挙げられる。好適なアニオン性スルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、C5~C20アルキルベンゼンスルホネート、より好ましくはC10~C16アルキルベンゼンスルホネート、より好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネート、C5~C20アルキルエステルスルホネート、特にC5~C20メチルエステルスルホネート、C6~C22一級若しくは二級アルカンスルホネート、C5~C20スルホン化(ポリ)カルボン酸、及びそれらの任意の混合物を含むが、好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。上記界面活性剤は、その2-フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。αオレフィンのスルホン化と比較すると、内部オレフィンのスルホン化は二重結合がランダムに位置づけられるためにどの位置でも起こる可能性があり、これによってIOSの親水性スルホネート及びヒドロキシ基の位置がアルキル鎖中央になり、これによって様々な二重尾部の分岐構造が生じる。アルカンスルホネートとしては、パラフィンスルホネート及び他の二級アルカンスルホネート(Clariant社からのHostapur SAS60など)が挙げられる。
【0060】
アルキルスルホスクシネート及びジアルキルスルホスクシネートエステルは、式MO3SCH(CO2R’)CH2CO2R(式中、R及びR’はH又はアルキル基であり得、Mはナトリウム(Na)などの対イオンである)を有する有機化合物である。アルキルスルホスクシネート及びジアルキルスルホスクシネートエステル界面活性剤は、アルコキシル化、又は非アルコキシル化状態であり得、好ましくは非アルコキシル化状態であり得る。この界面活性剤系は、更なるアニオン性界面活性剤を含み得る。しかしながら、本組成物は、好ましくは、界面活性剤系の30重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満の更なるアニオン性界面活性剤を含む。最も好ましくは、界面活性剤系は、更なるアニオン性界面活性剤を含まず、好ましくはアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤以外の他のアニオン性界面活性剤を何ら含まない。
【0061】
補助界面活性剤
希釈後の界面活性剤の充填を改善し、ひいては起泡持続性を改善するために、界面活性剤系は、補助界面活性剤を含み得る。補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0062】
アニオン性界面活性剤対補助界面活性剤の重量比は、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1であり得る。
【0063】
組成物は、好ましくは、洗浄組成物の0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含む。
【0064】
本発明の洗浄組成物の界面活性剤系は、好ましくは、界面活性剤系の最大50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは15重量%~35重量%の補助界面活性剤を含む。
【0065】
補助界面活性剤は、好ましくは両性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤である。
【0066】
アミンオキシド界面活性剤は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖が好ましい。好適な直鎖アミンオキシドは、典型的には水溶性であり、式R1-N(R2)(R3)Oを特徴とする。R1は、C8~18アルキルであり、R1は、好ましくは直鎖アルキル鎖であり、より好ましくはココナツ又はパーム核等の天然の再生可能供給源に由来し、特にココナツが好ましい。R2及びR3部分は、C1~3アルキル基、C1~3ヒドロキシアルキル基、及びそれらの混合物からなる群から選択される。例えば、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピル、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができるが、R2及びR3の一方又は両方がメチルであることが好ましい。直鎖アミンオキシド界面活性剤としては、特に、直鎖状C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖状C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。
【0067】
好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。C8~18アルキルジメチルアミンオキシド、又はC10~16アルキルジメチルアミンオキシド(ココジメチルアミンオキシドなど)などのアルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。好適なアルキルジメチルアミンオキシドとしては、C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C10~12アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。
【0068】
代替的な好適なアミンオキシド界面活性剤としては、中分岐鎖アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用する場合、「中分岐鎖状」とは、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、アルキル部分における1つのアルキル分岐は、n2個の炭素原子を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分上の窒素からアルファ炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分岐は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても既知である。n1とn2との合計は、10~24個、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個の炭素原子であってもよい。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、好ましくは、1つのアルキル分岐(n2)と炭素原子数が同じか又は類似しており、それによりその1つのアルキル部分とその1つのアルキル分岐とが対称となるようになっている。本明細書で使用する場合、「対称」とは、本明細書で使用される中分岐鎖状アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、|n1-n2|が5個以下、好ましくは4個、最も好ましくは0~4個の炭素原子であることを意味する。アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均約1~約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、それらの2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくは、いずれもがC1アルキルとして選択される。
【0069】
代替的に、アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカットアミンオキシドの混合物を含む、アミンオキシドの混合物であってもよい。それゆえ、本発明の組成物のアミンオキシドは、
a)アミンオキシドの重量に基づいて、約10重量%~約45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は、独立して、水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合物から選択され、R3は、C10アルキル及びこれらの混合物から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)アミンオキシドの55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は、独立して、水素、C1~C4のアルキル、又はこれらの混合物から選択され、R6は、C12~C16のアルキル又はこれらの混合物から選択される)であるミッドカットアミンオキシドと、を含むことができる。
【0070】
本明細書での使用に好ましいローカットアミンオキシドでは、R3はn-デシルであり、好ましくはR1及びR2の両方がメチルである。式R4R5R6AOのミッドカットアミンオキシドでは、好ましくはR4及びR5の両方がメチルである。
【0071】
好ましくは、アミンオキシドは、アミンオキシドの重量に基づいて、約5重量%未満、より好ましくは3重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを含む。式R7R8R9AOのアミンオキシドの量を制限することにより、物理的安定性及び起泡持続性の両方が改善される。
【0072】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤が挙げられる。このようなベタイン界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルテイン)、ホスホベタイン及びそれらの混合物が挙げられ、好ましくは式(I):
R1-[CO-X(CH2)n]x-N+(R2)(R3)-(CH2)m-[CH(OH)-CH2]y-Y-
(式(I)中、
R1は、飽和又は不飽和のC6~22アルキル残基、好ましくは、C8~18アルキル残基、より好ましくは、飽和C10~16アルキル残基、最も好ましくは、飽和C12~14アルキル残基からなる群から選択され、R1は、好ましくは、直鎖アルキル鎖であり、好ましくは、ココナツ又はパーム核等の天然再生可能供給源、好ましくはココナツに由来する。
Xは、NH、NR4(式中、R4は、C1~4アルキル残基である)、O、及びSからなる群から選択され、
nは、1~10、好ましくは2~5、より好ましくは3の整数であり、
xは、0又は1、好ましくは1であり、
R2及びR3は、独立して、C1~4アルキル残基、ヒドロキシエチルなどの置換されているヒドロキシ、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、R2及びR3の両方がメチルであり、
mは、1~4の整数、好ましくは1、2、又は3の整数であり、
yは、0又は1であり、
Yは、COO、SO3、OPO(OR5)O、又はP(O)(OR5)O(式中、R5は、H又はC1~4アルキル残基である)からなる群から選択される)を満たす。)
【0073】
好ましいベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインであり、
R1-N+(CH3)2-CH2COO- (IIa)
R1-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2COO- (IIb)
R1-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3
- (IIc)
R1-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3
- (IId)
式中、R1は、式(I)中と同じ意味を有する。特に好ましいのは、式(Ia)及び(Ib)のカルボベタイン[すなわち、式(I)中、Y-はCOO-である]であり、より好ましいのは、式(Ib)のアルキルアミドベタインである。
【0074】
好適なベタインは、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、セチルベタイン、セチルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、デシルベタイン、デシルアミドプロピルベタイン、水素添加タローベタイン/アミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアドプロピルベタイン、オレイルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、ウンデシルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができるか、又は[INCIに従って命名される]。好ましいベタインは、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。コカミドプロピルベタイン及び/又はラウリルアミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0075】
非イオン性界面活性剤:
この界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を更に含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。非イオン性界面活性剤がアルキルポリグルコシドとアルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤とのブレンドを含む場合、非イオン性界面活性剤は、10:90~90:10、好ましくは30:70~70:30、より好ましくは40:60~60:40の質量比でアルキルポリグルコシド及びアルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0076】
本発明の組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の1.0重量%~50重量%、好ましくは1.25重量%~25重量%、より好ましくは1.5重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を更に含むことができる。
【0077】
アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤
好ましくは、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤は、好ましくは、そのアルキル鎖において平均で9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子、及びアルコール1モル当たり平均で5~12、好ましくは6~10、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含む、直鎖又は分岐状の一級又は二級のアルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキルエトキシ化非イオン性界面活性剤である。アルキル鎖は、好ましくは直鎖状である。
【0078】
市販のアルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによって商標名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによって商標名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter&Gamble Chemicals社によって生産された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。その性能は、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤のアルコキシル化分布の幅に影響を受け得る。アルコキシル化分布は、その幅広さも含めて、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤を作製する場合の触媒及びプロセス条件の選択によって変化することがある。
【0079】
アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤:
アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤は、通常、アルキルエトキシ化アルコールなどの他の非イオン性界面活性剤よりも泡立ちが多い。
【0080】
アルキルポリグルコシド及び特にアルキルサルフェートとアシルタウレートアニオン性界面活性剤との混合物といったアニオン性界面活性剤の組み合わせは、重合化した油脂の除去、泡持続能、界面活性剤及び/又は系中の変化による粘度変化の減少並びにより持続的なニュートン性レオロジーを改善させると見出されている。
【0081】
アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C6~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤から選択することができる。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、0.1~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.2~1.6の数平均重合度を有することができる。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、10個以下の炭素原子を含むアルキル鎖を有する短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と、10個超の炭素原子~18個の炭素原子、好ましくは12~14個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する中鎖から長鎖のアルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドを含むことができる。アルキル鎖は、好ましくは直鎖状である。
【0082】
短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C8~C10の単モーダル鎖長分布を有し、中鎖から長鎖のアルキルポリグルコシド界面活性剤は、C10~C18の単モーダル鎖長分布を有する一方、中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C12~C14の単モーダル鎖長分布を有する。対照的に、C8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤は、通常、C8~C16などのような、C8~C18のアルキル鎖の単モーダル分布を有する。したがって、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と中鎖から長鎖又は中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との組み合わせは、ブレンドされていないC8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤よりも、幅広い鎖長分布を有するか、又は更にはバイモーダル分布を有する。好ましくは、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との重量比は、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~5:1、より好ましくは2:1~4:1である。このような短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドは、起泡安定性の改善と組み合わされた、水中での洗剤溶液の一層迅速な溶解及び初期起泡の改善をもたらす。
【0083】
C8~C16アルキルポリグルコシドは、いくつかの供給元から市販されている(例えば、Seppic CorporationからのSimusol(登録商標)界面活性剤;及びBASF CorporationからのGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、並びにGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。Glucopon(登録商標)215UPは、好ましい短鎖APG界面活性剤である。Glucopon(登録商標)600CSUPは、好ましい中鎖から長鎖のAPG界面活性剤である。
【0084】
好ましい組成物では、界面活性剤系は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、平均分岐度が10%未満のアシルタウレートアニオン性界面活性剤と、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤とを含み得る。
【0085】
更なる成分:
本洗浄組成物は、場合により、ビルダー(好ましくはシトレート)、キレート剤、コンディショニングポリマー、他の洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢粒子、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩などの炭酸塩など)などの多くの他の補助成分を含み得る。
【0086】
好ましい更なる成分としては、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、環状ポリアミン、トリブロックコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースポリマー、塩、ヒドロトロープ、有機溶媒、及びそれらの混合物から選択されるものが挙げられる。
【0087】
両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン:
本発明の組成物は、組成物全体の0.05重量%~2重量%、好ましくは0.07重量%~1重量%の両親媒性ポリマーを更に含むことができる。好適な両親媒性ポリマーは、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、その液体組成物を洗浄前に洗浄用具(スポンジなど)に直接添加し、その後、ひどく油脂で汚れた表面と接触するとき、とりわけ、洗浄用具が少量~ゼロの水を含むとき、例えば、予め軽く湿らせたスポンジを使用するときに、洗浄される硬質表面上におけるゲル形成を低減することが判明している。
【0088】
好ましい両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構造を有する:
【0089】
【化2】
(式中、ポリエチレンイミン主鎖は、重量平均分子量600を有しており、式(I)のnは平均10であり、式(I)のmは平均7であり、式(I)のRは、水素、C
1~C
4アルキル、及びこれらの混合物、好ましくは水素から選択される)。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン骨格の窒素原子の0%~22%であってもよい。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは、10,000~15,000Daである。
【0090】
より好ましくは、両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構造を有しているが、ポリエチレンイミン骨格は、重量平均分子量600Daを有しており、式(I)のnは平均24であり、式(I)のmは平均16であり、式(I)のRは、水素、C1~C4アルキル、及びこれらの混合物、好ましくは水素から選択される。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン骨格の窒素原子の0%~22%であってもよく、好ましくは0%である。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは25,000~30,000、最も好ましくは28,000Daである。
【0091】
両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、国際公開第2007/135645号により詳細に記載されている方法によって作製することができる。
【0092】
代替的に、組成物は、両親媒性ポリマーを含まなくてもよい。
【0093】
環状ポリアミン
本組成物は、洗浄の一助となるアミン官能基を有する環状ポリアミンを含むことができる。本発明の組成物は、好ましくは、組成物全体の0.1重量%~3重量%、より好ましくは0.2重量%~2重量%、とりわけ0.5重量%~1重量%の環状ポリアミンを含む。
【0094】
環状ポリアミンは、少なくとも2つの一級アミン官能基を有する。一級アミンは、環状アミン内の任意の位置に存在してもよいが、油脂洗浄の観点から、一級アミンが1、3位に存在するときにより良好な性能が得られることが分かっている。置換基のうちの1個が-CH3であり、残りがHである環状アミンが、改善された油脂洗浄性能を提供することも判明している。
【0095】
したがって、本発明の洗浄組成物で使用するのに最も好ましい環状ポリアミンは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ポリアミンである。これら特定の環状ポリアミンは、本発明の組成物の界面活性剤系と共に配合されたとき、食器洗いプロセス全体を通して起泡及び油脂洗浄プロファイルを改善する機能を有する。
【0096】
好適な環状ポリアミンは、Baxxodurという商標名で、BASFにより供給され得、Baxxodur ECX-210が特に好ましい。
【0097】
環状ポリアミン及び硫酸マグネシウムの組み合わせが特に好ましい。したがって、本組成物は、当該組成物の0.001重量%~2.0重量%、好ましくは0.005重量%~1.0重量%、より好ましくは0.01重量%~0.5重量%のレベルの硫酸マグネシウムを更に含むことができる。
【0098】
トリブロックコポリマー
本発明の組成物は、トリブロックコポリマーを含むことができる。トリブロックコポリマーは、組成物全体の1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%、より好ましくは5重量%~12重量%のレベルで存在することができる。好適なトリブロックコポリマーは、式(I):(EO)x(PO)y(EO)xによるアルキレンオキシド部分を有するトリブロックコポリマーとして定義される、アルキレンオキシドトリブロックコポリマーを含み、EOは、エチレンオキシドを表し、xはそれぞれ、EOブロック内のEO単位の数を表す。xはそれぞれ、独立して、平均で5~50、好ましくは10~40、より好ましくは10~30とすることができる。好ましくは、xは、両EOブロックについて同じであり、「同じ」とは、2つのEOブロック間でxの差が最大2単位以内、好ましくは最大1単位以内であり、より好ましくは、両xが同じ単位数であることを意味する。POは、プロピレンオキシドを表し、yは、POブロック中のPO単位の数を表す。yはそれぞれ、平均で28~60、好ましくは30~55、より好ましくは30~48とすることができる。
【0099】
好ましくは、トリブロックコポリマーの、yの各xに対する比は、3:1~2:1である。トリブロックコポリマーの、yの2つのEOブロックの平均xに対する比は、好ましくは3:1~2:1である。好ましくは、トリブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーの30重量%~50重量%となる全E-Oの平均重量割合を有する。好ましくは、トリブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーの50重量%~70重量%となる全POの平均重量割合を有する。トリブロックコポリマーの場合のEO及びPOの平均総重量%は合計100%になることが理解される。トリブロックコポリマーは、2060~7880、好ましくは2620~6710、より好ましくは2620~5430、最も好ましくは2800~4700の平均分子量を有することができる。平均分子量は、1H NMR分光法(Thermo scientific application note No.AN52907を参照)を用いて求められる。
【0100】
トリブロックコポリマーは、基本構造ABAを有し、A及びBは異なるホモポリマー及び/又はモノマーの単位である。この場合、Aはエチレンオキシド(EO)であり、Bはプロピレンオキシド(PO)である。当業者は、語句「ブロックコポリマー」が「ブロックポリマー」のこの定義と同義であることを認識するであろう。
【0101】
特定のEO/PO/EO配置及びそれぞれのホモポリマーの長さを有する式(I)によるトリブロックコポリマーは、脂性汚れの存在下における液体食器手洗い用洗剤組成物の起泡持続性能及び/又は洗浄プロセスにおける希釈全体にわたる起泡の稠度を増強することが見出されている。
【0102】
好適なEO-PO-EOトリブロックコポリマーは、例えばPluronic(登録商標)PEシリーズとしてBASFから、また、例えばTergitol(商標)LシリーズとしてDow Chemical Companyから市販されている。BASF製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Pluronic(登録商標)PE6400(MW約2900、約40重量%EO)及びPluronic(登録商標)PE9400(MW約4600、40重量%EO)で販売されている。Dow Chemical Company製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Tergitol(商標)L64(MW約2700、約40重量%EO)で販売されている。
【0103】
好ましいトリブロックコポリマーは、好気条件下で容易に生分解する。
【0104】
塩:
本発明の組成物は、組成物全体の約0.05重量%~約2重量%、好ましくは約0.1重量%~約1.5重量%、又はより好ましくは約0.5重量%~約1重量%の塩、好ましくは一価若しくは二価の無機塩、又はこれらの混合物、より好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される塩を含み得る。塩化ナトリウムが最も好ましい。
【0105】
ヒドロトロープ:
本発明の組成物は、組成物全体の約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約10重量%のヒドロトロープ又はその混合物、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを含み得る。
【0106】
有機溶媒:
組成物は、組成物全体の重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約10重量%の有機溶媒を含み得る。好適な有機溶媒としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、及びこれらの混合物、好ましくはアルコール、グリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒が挙げられる。エタノールが好ましいアルコールである。ポリアルキレングリコール、特にポリプロピレングリコールは、好ましいグリコールであり、750Da~1,400Daの重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールが特に好ましい。
【0107】
パッケージ製品
食器手洗い用洗剤組成物は、容器、典型的には、プラスチック容器に包装することができる。好適な容器は、オリフィスを含む。典型的には、容器は、キャップを備え、オリフィスは、典型的には、キャップ上に備えられる。キャップは、注入口を備えることができ、オリフィスは、注入口の出口にある。注入口は、0.5mm~10mmの長さを有することができる。
【0108】
オリフィスは、出口で3mm2~20mm2、好ましくは3.8mm2~12mm2、より好ましくは5mm2~10mm2の開放断面積を有することができ、容器は、本発明による組成物を更に含む。断面積は、容器からの液体出口に垂直(すなわち、分配中に液体流に垂直)に測定される。
【0109】
容器は、典型的には、200mL~5,000mL、好ましくは350mL~2000mL、より好ましくは400mL~1,000mLの液体食器手洗い用洗剤組成物を含むことができる。
【0110】
代替的には、食器手洗い用洗剤組成物は反転式容器に包装することができる。このような反転式容器は、典型的には容器の底にキャップを備え、キャップはふた若しくは自己封止弁のいずれか、又はそれらの組み合わせを含む。キャップは自己封止弁を備えることが好ましい。好適な自己封止弁としてはスリット弁が挙げられる。自己封止弁は、弁内部にかかる圧力が弁外部にかかる圧力を超えたときに反動で開かれるオリフィスを画定する。底形状注出容器は、国際公開第2019108293A1号に記載されたもののような耐衝撃システムを備え得る。
【0111】
洗浄方法
本発明は、更に、本発明の組成物で食器類を手作業で洗う方法を対象とする。本方法は、本発明の組成物を所定の体積の水に供給して洗浄溶液を形成する工程と、溶液中に食器類を浸漬する工程と、を含む。食器類は、水の存在下において組成物で洗浄される。
【0112】
所望により、食器類をすすいでもよい。本明細書では、「すすぐ」とは、本発明によるプロセスで洗浄された食器類を、かなりの量の適切な溶媒、典型的には水と接触させることを意味する。「かなりの量」とは、通常、約1~約20L又は流水下を意味する。
【0113】
本明細書の組成物は、その希釈形態で塗布され得る。汚れた食器類を、有効量、典型的には(処理される食器約25個当たり)約0.5mL~約20mL、好ましくは約3mL~約10mLの、水で希釈した本発明の洗剤組成物と、好ましくは液体形態で接触させる。使用される洗浄組成物の実際の量はユーザの判断に基づき、典型的には、洗浄組成物中の有効成分の濃度などを含む洗浄組成物の特定の製品配合、洗浄される汚れた食器の数、食器の汚れの度合などの要因に依存する。一般に、約0.01mL~約150mL、好ましくは約3mL~約40mLの本発明の洗浄組成物を、シンク内の約2,000mL~約20,000mL、より典型的には約5,000mL~約15,000mLの水と組み合わせる。このように得られた希釈された洗浄組成物の入ったシンク内に汚れた食器類を浸漬した後、当該食器類の汚れた表面を布、スポンジ、又は類似の洗浄用具と接触させる。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を、食器類と接触させる前に洗浄組成物と水との混合物に浸漬してもよく、典型的には、約1~約10秒間の範囲の時間にわたって食器類と接触させるが、実際の時間は各用途及びユーザによって異なる。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を食器類と接触させることは、同時に食器類をこすることを伴う。
【0114】
代替的に、処理される食器に、その未希釈形態の本明細書における組成物を施用することができる。「その未希釈形態にある」とは、本明細書において、当該組成物が、施用前(直前)にユーザによる何ら有意な希釈を受けることなく、処理される表面に直接、あるいはブラシ、スポンジ、不織材料若しくは織布材料などの洗浄装置又は用具に施用されることを意味する。「その未希釈形態で」はまた、例えば、洗浄用装置表面の水の存在に起因するわずかな希釈、又は瓶から組成物の残存量を除去するための消費者による水の添加を含む。したがって、未希釈形態の組成物は、ユーザの習慣及び洗浄作業に応じて、50:50~100:0、好ましくは70:30~100:0、より好ましくは80:20~100:0、更により好ましくは90:10~100:0の範囲の比で、組成物と水とを有する混合物を含む。
【0115】
本発明の別の態様は、高いバイオ由来の界面活性剤含有量及び生分解性プロファイルにおいて良好な低温安定性を提供しながら、油脂汚れの存在下での泡安定化を含む起泡プロファイル、及び良好な浄化を提供するための、本明細書に記載の液体食器手洗い用洗浄組成物の使用に関する。
【0116】
方法:
A)粘度測定
粘度は、20℃で60mmの1°コーン及び52マイクロメートルのギャップサイズを使用して、制御された応力レオメーター(Thermo ScientificのHAAKE MARS又は等価物など)を使用して測定される。2分間温度平衡化した後、試料を10秒-1の剪断速度で30秒間剪断する。液体食器手洗い用洗剤組成物の報告された粘度は、15秒~30秒の剪断の平均剪断応力を、20℃で10秒-1の加えられた剪断速度で割ったものとして定義される。
【0117】
B)泡持続性
泡持続性試験の目的は、指定の水の硬度、溶液温度及び製剤濃度の異なる試験剤について、断続的に汚れを注入して、その影響下にある間の発生した起泡体積の経時的変化を比較することである。データを比較し、参照組成物に対する泡持続性指数として表す(参照組成物は泡持続性指数100を有する)。方法の工程は、以下のとおりである。
1.Caの2.67mmol/L当量(7.28gpg)の水の硬度、水温42℃の水流に、0.67mL/秒の流速にてプラスチック製のピペットを使い、シンク(寸法:直径300mm、高さ288mm)の底面から37cm上方の高さで0.12重量%の試験組成物を分注し、4barの一定圧力で4Lになるまでこれをシンクに満たす。
2.発生した初期起泡体積(シンクの液体上方の平均泡体積Xとして測定(cm3で表す)を充填終了直後に記録する。
3.シンク中央に、固定量の汚れ(6mL)と以下にある所定の組成物のうちの1つとを直ちに注入する。
4.85RPMにて20回回転し、シンク中央で気液界面に対して角度45°に位置づけられている金属ブレード(10cm×5cm)を使用し、生じた溶液を混合する。
5.合計起泡体積の別の測定値を、ブレードの回転終了直後に記録する。
6.測定された合計の起泡体積が400cm3以下のレベルに達するまで工程3~5を繰り返す。400cm3のレベルに達するのに必要な汚れの添加量を、試験組成物の泡持続性とみなす。
7.各試験組成物を、試験条件(すなわち、水温、組成物濃度、水硬度、汚れの種類)につき4回試験する。
8.規定の試験条件につきサンプル毎に4回繰り返した平均として、平均泡持続性を計算する。
9.参照とする組成物サンプルに対する試験組成物サンプルの平均持続性を比較し、泡持続性指数を計算する。計算は、以下のとおりである。
【0118】
【0119】
表1に記載の成分を標準的に混合することにより、試験に使用される油脂汚れ組成物を生成する。
【0120】
【0121】
C)加速低温安定性試験
動的低温安定性試験の目的は、低下した温度での洗剤組成物の総合的な物理的安定性プロファイルの読取りを加速させることである。マグネチックスターラーバー(Neodymium又はSamarium-Cobalt型)を取り付けた30mLのガラスバイアル(Supelco(USA)により供給されるものといった血清型反応バイアル)に各製品を入れ、気密状態になるように密封し、続いて0℃に設定されている制御温度チャンバのマグネチックスターラー上に置く。撹拌速度を60RPMに設定する。72時間にわたって15分毎に写真を撮るようにカメラを設定する。試験結果は、視覚的に評価される破壊までの時間である。24時間以内に破壊がないということは、低温で製品が不安定となるリスクがないことを示している。4~24時間での不透明さ及び/又は結晶化及び/又は相分離は、低温で製品が不安定となるリスクが少ないことを示している。上述したように、4時間未満で生じる破壊は、低温で製品が不安定となるリスクが高いことを示している。
【実施例0122】
本発明の組成物及び比較組成物について、泡持続能、粘度感度及び低温での安定性を評価した。
【0123】
1)分岐状アルキル(エトキシ化)サルフェートアニオン性界面活性剤を含む本発明の組成物及び比較組成物の泡持続能及び粘性:
以下の本発明の比較液体食器手洗い用洗剤組成物は、バッチ式プロセスを使用して、室温で個々の原材料を一緒に混合することによって調製された。
【0124】
本発明の実施例1の組成物は、分岐状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及び直鎖状アシルタウレートアニオン性界面活性剤を含んでいた。比較例Aの組成物のアニオン性界面活性剤の合計量は同じであったが、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を全く含んでいなかった。
【0125】
比較例Bの組成物は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の代わりにアルキルエトキシ化EO2.0サルフェートアニオン性界面活性剤を含むことを除き、本発明の実施例1と同様であった。アルキルサルフェート(EO0)アニオン性界面活性剤とアルキルエトキシ化EO3.0サルフェートアニオン性界面活性剤とを適切な比率でブレンドすることで、アルキルエトキシ化EO2.0サルフェートアニオン性界面活性剤を調製した。比較例Cは、2.0重量%のアシルタウレートアニオン性界面活性剤をアルキルエトキシ化EO2.0サルフェートアニオン性界面活性剤と置き換えたことを除き、比較例Bと同様であった。
【0126】
比較例Dの組成物は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の代わりにアルキルエトキシ化EO3.0サルフェートアニオン性界面活性剤を含むことを除き、本発明の実施例1と同様であった。比較例Eは、2.0重量%のアシルタウレートアニオン性界面活性剤をアルキルエトキシ化EO3.0サルフェートアニオン性界面活性剤と置き換えたことを除き、比較例Dと同様であった。
【0127】
同様のアルキル(エトキシ化)サルフェート界面活性剤を含むアシルタウレートを含まない比較組成物の泡持続性(参照100)と、アシルタウレートを含む組成物の泡持続性とを比較した。油脂汚れの存在下での本発明の実施例1の泡持続性と比較例Aの泡持続性とを比較したところ、少量であってもアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤をアシルタウレートアニオン性界面活性剤に置き換えることで、アニオン性界面活性剤の合計量は同じであるがアシルタウレート界面活性剤を全く含まない比較組成物と比較して泡持続性が改善したことを確認することができる。
【0128】
表2で確認することができるように、比較組成物Bの泡持続性と比較組成物Cの泡持続性、及び比較組成物Dの泡持続性と比較組成物Eの泡持続性とを比較すると、アシルタウレートアニオン性界面活性剤による泡持続性の改善は、(エトキシ化度が0.5未満のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の代わりに)エトキシ化度が0.5超であるアルキルエトキシ化サルフェートを組成物に使用した場合には明らかではない。
【0129】
加えて、EOが0.5未満であるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む組成物については、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を添加しても粘性はわずかに低下するのみである。対照的に、0.5超のEOの程度にエトキシ化されたアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む組成物については、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を添加することで粘性は更に実質的に低下する。
【0130】
【表2】
* 比較例
1 Procter&Gambleにより供給され、Sasolにより供給されたLial(登録商標)123アルキルアルコール由来の、C12~C13分岐状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤(54%分岐)
2 C12~C13分岐状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤(54%分岐、上記ラインで使用)とC12~C13AE3.0S、分岐状エトキシ化(EO3.0)アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤(54%分岐、以下のラインで使用)とをブレンドすることで作製
3 Procter&Gambleにより供給され、Sasolにより供給されたLialet(登録商標)123-3エトキシ化アルキルアルコール由来の、C12~C13AE3.0S、分岐状エトキシ化(EO3.0)アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤(54%分岐)
4 Procter&Gambleにより供給
5 Clariantにより供給され、Hostapon(登録商標)LTの名称で販売されている直鎖状C12~14 N-メチル-タウレート
6 BASFにより供給される、PEI骨格のMWが600であり、アルコキシル化鎖毎に24EO及び16PO単位を有するポリエチレンイミン
7 香料、染料、防腐剤
【0131】
2)直鎖状アルキル(エトキシ化)サルフェートアニオン性界面活性剤を含む、本発明の組成物及び比較組成物の粘度:
以下の本発明の比較液体食器手洗い用洗剤組成物は、バッチ式プロセスを使用して、室温で個々の原材料を一緒に混合することによって調製された。
【0132】
本発明の実施例2の組成物は、直鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤を含んでいた。比較例Fの組成物のアニオン性界面活性剤の合計量は同じであったが、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を全く含んでいなかった。
【0133】
比較例Gの組成物は、直鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の代わりに直鎖状アルキルエトキシ化EO2.0サルフェートアニオン性界面活性剤を含むことを除き、本発明の実施例2と同様であった。直鎖状アルキルサルフェート(EO0)アニオン性界面活性剤と直鎖状アルキルエトキシ化EO3.0サルフェートアニオン性界面活性剤とを適切な比率でブレンドすることで、アルキルエトキシ化EO2.0サルフェートアニオン性界面活性剤を調製した。比較例Hは、2.0重量%のアシルタウレートアニオン性界面活性剤をアルキルエトキシ化EO2.0サルフェートアニオン性界面活性剤と置き換えたことを除き、比較例Gと同様であった。
【0134】
比較例Iの組成物は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の代わりにアルキルエトキシ化EO3.0サルフェートアニオン性界面活性剤を含むことを除き、本発明の実施例2と同様であった。比較例Jは、2.0重量%のアシルタウレートアニオン性界面活性剤をアルキルエトキシ化EO3.0サルフェートアニオン性界面活性剤と置き換えたことを除き、比較例Iと同様であった。
【0135】
以下の表からも確認できるように、0.5未満のEOを有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む組成物については、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を添加しても粘性はわずかに上昇するのみである。対照的に、0.5超のEO度にエトキシ化されたアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む組成物については、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を添加することで粘性は更に実質的に上昇する。
【0136】
【表3】
** 表4では、単変量比較を可能にするため、溶媒系は段階全てで一定に保たれたことに留意されたい。液体食器手洗い用製剤に関しては実施例2及び実施例Fの粘度は高いものの、例えばエタノールなどの有機溶媒の添加などによって当業者には周知されている技術による粘度調整で従来の粘度範囲に戻すことができる。例えば、実施例Fに4%のエタノールを添加することで2731mPa・sの粘度が生じた。
8 Procter&Gambleにより供給され、Procter&Gambleにより供給されたアルキルアルコールから由来の、C12~C14直鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤
9 C12~C14直鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とC12~C14AE3.0S、エトキシ化(EO3.0)アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とをブレンドすることで作製され、両方ともがProcter&Gambleにより供給されたもの、及びProcter&Gambleにより供給されたアルキルアルコール由来のものである
10 Procter&Gambleにより供給され、Procter&Gambleにより供給されたアルキルアルコール由来の、C12~C14AE3.0S、直鎖状エトキシ化(EO3.0)アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤
【0137】
3)加速低温安定性性能
以下の本発明の比較液体食器手洗い用洗剤組成物は、バッチ式プロセスを使用して、室温で個々の原材料を一緒に混合することによって調製された。
【0138】
比較組成物Kは、アミンオキシド界面活性剤に加え、23.6%の分岐状アルキルサルフェート界面活性剤と直鎖状アルキルサルフェート界面活性剤とを含んでいた。本発明の組成物3は、本質的には同量のアニオン性界面活性剤を含んでいたが、当量の直鎖状アルキルサルフェート界面活性剤及び分岐状アルキルサルフェート界面活性剤をココ由来アシルタウレート界面活性剤に置き換えた。本発明の組成物4は、アルキル鎖分布がより狭い、ラウリル由来のアシルタウレート界面活性剤を使用することを除き、本発明の組成物3と同様であった(表5を参照されたい)。
【0139】
表4から確認することができるように、アシルタウレートアニオン性界面活性剤を含む組成物は低温での安定性が改善したことを示し、アシルタウレートアニオン性界面活性剤がより大きなアルキル鎖分布を有する場合には、低温での安定性の改善はより顕著である。以下の表4では、ラウロイル由来のC12~C14N-メチル-タウレートの出発脂肪酸は本質的には、ココイル由来C12~C14N-メチル-タウレートに使用される脂肪酸の分留された一部分である。したがって、この鎖長分布はより狭かった。
【0140】
【表4】
11 BASFにより供給される、PEI骨格のMWが600であり、アルコキシル化鎖毎に24EO及び16PO単位を有するポリエチレンイミン
12 Sasolにより供給される、Safol(登録商標)23
13 Shellにより供給される、Neodol(登録商標)3
14 Clariantにより供給され、Hostapon(登録商標)CTの名称で販売されている直鎖状C12~14 N-メチル-タウレート
【0141】
【0142】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の少なくとも40重量%、好ましくは60重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアシルタウレートアニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
前記アシルタウレートアニオン性界面活性剤中、前記アルキル鎖Rが少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の、総アルキル鎖に対するC11~C13鎖のモル分率を有する、請求項1に記載の組成物。
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の数平均アルキル鎖長が8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子である、請求項1に記載の組成物。
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の平均アルコキシル化度が0.25未満、好ましくは0.1未満であり、好ましくは前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤がアルコキシル化されていない、請求項1に記載の組成物。
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも25重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及び前記アシルタウレートアニオン性界面活性剤が10:1~1:2、好ましくは7:1~1:1、及び最も好ましくは5:1~2:1の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
前記補助界面活性剤が両性界面活性剤であり、好ましくはアミンオキシド界面活性剤であり、より好ましくは前記アミンオキシド界面活性剤が、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはアルキルジメチルアミンオキシドである、請求項12又は13に記載の組成物。
前記補助界面活性剤が双性イオン性界面活性剤であり、好ましくはベタイン界面活性剤であり、より好ましくはアルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルテイン)、ホスホベタイン及びそれらの混合物からなる群から選択されたベタイン界面活性剤であり、最も好ましくはココアミドプロピルベタインである、請求項12又は13に記載の組成物。