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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152849
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】機能性薄ガラスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 17/10 20060101AFI20231005BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20231005BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231005BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231005BHJP
   C03C 17/30 20060101ALI20231005BHJP
   C03C 17/245 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B32B17/10
B32B7/06
C09J7/38
C09J201/00
C03C17/30 Z
C03C17/245 A
C03C17/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045493
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2022055869
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】北岸 直也
【テーマコード(参考)】
4F100
4G059
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AG00C
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA23B
4F100CA30
4F100CB05B
4F100CC00D
4F100DD23B
4F100DE04B
4F100EJ65D
4F100GB41
4F100HB31D
4F100JG03D
4F100JK12D
4F100JL07D
4F100JL14B
4F100JM02C
4F100JN02D
4F100JN06D
4F100YY00C
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC04
4G059AC07
4G059AC16
4G059AC21
4G059AC22
4G059AC30
4G059EA01
4G059EA04
4G059EA05
4G059EA10
4G059EA13
4G059EA16
4G059EB03
4G059FA05
4G059FA15
4G059FA17
4G059FA19
4G059FA22
4G059FA28
4G059FA29
4G059FB04
4G059FB05
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004BA03
4J004CB03
4J004EA05
4J004FA08
4J040DF03
4J040DF031
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA03
4J040KA05
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA05
(57)【要約】
【課題】薄ガラスを加工するにあたり、該薄ガラスの割れや欠けの発生を抑制することができる機能性薄ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の機能性薄ガラスの製造方法は、支持体と、剥離型粘着テープと、厚み1μm~200μmの薄ガラスとがこの順で積層された積層体Aを準備する工程aと、前記積層体Aの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る工程bと、前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する工程cと、を含み、前記剥離型粘着テープは、前記薄ガラス側の面に粘着性樹脂層(A)を、前記支持体側の面に粘着性樹脂層(B)を備える複数層からなり、当該複数層の少なくとも1つの層に熱膨張性微小球を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、剥離型粘着テープと、厚み1μm~200μmの薄ガラスとがこの順で積層された積層体Aを準備する工程aと、
前記積層体Aの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る工程bと、
前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する工程cと、
を含み、
前記剥離型粘着テープは、前記薄ガラス側の面に粘着性樹脂層(A)を、前記支持体側の面に粘着性樹脂層(B)を備える複数層からなり、当該複数層の少なくとも1つの層に熱膨張性微小球を含む、
機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項2】
前記工程bにおける前記加工処理が、前記薄ガラス表面に機能層を形成する工程である、請求項1に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項3】
前記機能層は、ハードコート層、反射防止層、防曇層、防汚染層、撥水層、紫外線吸収層、帯電防止層、遮光性印刷層、およびプライマー層から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項4】
前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスは複数枚から構成され、
前記工程cは、複数枚の前記機能性薄ガラスを前記積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する工程である、請求項1に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項5】
工程aと工程bとの間に、
前記積層体A全体を積層方向に切断して、個片化された複数個の積層体A-1を得る工程を含み、
工程bは、個片化された複数個の前記積層体A-1の少なくとも1つの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体B-1を得る工程であり、
積層体B-1は、支持体と、剥離型粘着テープと、機能性薄ガラスとがこの順で積層された構造を備える、請求項4に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項6】
工程bと工程cとの間に、
前記機能性薄ガラスを備える前記積層体B全体を積層方向に切断して、個片化された複数個の積層体B-1を得る工程を含み、
積層体B-1は、支持体と、剥離型粘着テープと、機能性薄ガラスとがこの順で積層された構造を備える、請求項4に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項7】
工程aと工程bとの間に、
積層体Aの前記薄ガラスを積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ上に個片化された複数個の薄ガラスが接合された積層体A’を得る工程を含む、請求項4に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項8】
工程bと工程cとの間に、
積層体Bの前記機能性薄ガラスを積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ上に個片化された複数個の機能性薄ガラスが接合された積層体B’を得る工程を含む、請求項4に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項9】
前記薄ガラスは複数枚から構成され、
工程aは、
前記支持体上に前記剥離型粘着テープを貼り付ける工程a-1と、
前記剥離型粘着テープ上に、複数枚の前記薄ガラスをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-2を得る工程a-2と、
を含む、請求項4に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項10】
工程a-2の前に、複数枚の前記薄ガラスに予め表面研磨またはエッジ処理を施す工程を含む、請求項9に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項11】
工程aは、
前記剥離型粘着テープの一方の面に、前記薄ガラスを貼り付けて、薄ガラス付き粘着テープを得る工程a-1’と、
前記薄ガラス付き粘着テープを積層方向に切断して、個片化された複数枚の薄ガラス付き粘着テープを得る工程a-2’と、
前記支持体上に、個片化された複数枚の前記薄ガラス付き粘着テープをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-3を得る工程a-3’と
を含む、請求項4に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項12】
剥離型粘着テープは、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた、熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)と、前記基材層の他方の面に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備え、
前記機能性薄ガラスは粘着性樹脂層(A)上に貼り付けられており、
工程cは、粘着性樹脂層(A)を加熱することにより、前記機能性薄ガラスを前記剥離型粘着テープから剥離する工程である、請求項1~11のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項13】
工程cにおける、前記熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)の加熱温度Tは、前記工程bの前記加工処理における加熱温度Tよりも高い、請求項12に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項14】
前記機能層が前記遮光性印刷層であり、
が130℃以上220℃以下であり、
が(T+5)℃以上である、請求項13に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項15】
前記機能層が前記プライマー層であり、
が160℃以上250℃以下であり、
が(T+5)℃以上である、請求項13に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項16】
剥離型粘着テープは、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた粘着性樹脂層(A)と、前記基材層の他方の面に設けられた熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)と、を備え、
前記薄ガラスは粘着性樹脂層(A)上に貼り付けられており、
工程cは、
粘着性樹脂層(B)を加熱することにより、前記支持体から前記機能性薄ガラスと前記剥離型粘着テープとの積層体を剥離する工程c-1と、
前記積層体の粘着性樹脂層(A)から前記機能性薄ガラスを剥離する工程c-2と、
を含む、請求項1~11のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項17】
工程c-1における、前記熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)の加熱温度TC-1は、前記工程bの前記加工処理における加熱温度Tよりも高い、請求項16に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項18】
前記機能層が前記遮光性印刷層であり、
が130℃以上220℃以下であり、
C-1が(T+5)℃以上である、請求項17に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項19】
前記機能層が前記プライマー層であり、
が160℃以上250℃以下であり、
C-1が(T+5)℃以上である、請求項17に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項20】
前記熱膨張性微小球は、ガス化して膨張する物質を殻内に内包させた微小球を含む、請求項12に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
【請求項21】
請求項1から11のいずれか1項に記載の機能性薄ガラスの製造方法に用いられる剥離型粘着テープであって、粘着性樹脂層(A)と粘着性樹脂層(B)を備え、少なくとも層(A)ないし層(B)のいずれかに熱膨張性微小球を含む、剥離型粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性薄ガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末や車載ディスプレイ用途にカバーガラスが広く用いられている。カバーガラスは、耐スクラッチ層やAR(反射防止)層、指紋防止層のような機能層を形成したり、研磨・面取り・カッティングといった機械加工を施して用いられている。
【0003】
特許文献1には、厚さ10~150μmの薄ガラス基板を、基材層の少なくとも一方の側に真空蒸着温度より高い温度で膨張及び/又は発泡を開始する熱膨張性微小球を含有する熱剥離型粘着剤層を有する両面粘着テープを介して支持板に仮固定し、薄ガラス基板上に電極を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/004703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法で示されているように、薄ガラス基板は非常に脆いため、薄ガラス基板単体で搬送を行うと、搬送中に薄ガラス基板に「割れ」や「欠け」が発生して歩留まりが低下することがあった。
【0006】
また、近年では該薄ガラス基板上に、所望の機能を付与するために種々の加工が実施されることが増えてきている。しかしながら、このような加工工程においても、薄ガラス基板に「割れ」や「欠け」が発生することがあった。
【0007】
本発明は、薄ガラスを加工するにあたり、該薄ガラスの割れや欠けの発生を抑制する機能性薄ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は以下に示すことができる。
[1] 支持体と、剥離型粘着テープと、厚み1μm~200μmの薄ガラスとがこの順で積層された積層体Aを準備する工程aと、
前記積層体Aの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る工程bと、
前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する工程cと、
を含み、
前記剥離型粘着テープは、前記薄ガラス側の面に粘着性樹脂層(A)を、前記支持体側の面に粘着性樹脂層(B)を備える複数層からなり、当該複数層の少なくとも1つの層に熱膨張性微小球を含む、
機能性薄ガラスの製造方法。
[2] 前記工程bにおける前記加工処理が、前記薄ガラス表面に機能層を形成する工程である、[1]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[3] 前記機能層は、ハードコート層、反射防止層、防曇層、防汚染層、撥水層、紫外線吸収層、帯電防止層、遮光性印刷層、およびプライマー層から選択される少なくとも1種である、[2]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[4] 前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスは複数枚から構成され、
前記工程cは、複数枚の前記機能性薄ガラスを前記積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する工程である、[1]~[3]のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[5] 工程aと工程bとの間に、
前記積層体A全体を積層方向に切断して、個片化された複数個の積層体A-1を得る工程を含み、
工程bは、個片化された複数個の前記積層体A-1の少なくとも1つの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体B-1を得る工程であり、
積層体B-1は、支持体と、剥離型粘着テープと、機能性薄ガラスとがこの順で積層された構造を備える、[4]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[6] 工程bと工程cとの間に、
前記機能性薄ガラスを備える前記積層体B全体を積層方向に切断して、個片化された複数個の積層体B-1を得る工程を含み、
積層体B-1は、支持体と、剥離型粘着テープと、機能性薄ガラスとがこの順で積層された構造を備える、[4]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[7] 工程aと工程bとの間に、
積層体Aの前記薄ガラスを積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ上に個片化された複数個の薄ガラスが接合された積層体A’を得る工程を含む、[4]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[8] 工程bと工程cとの間に、
積層体Bの前記機能性薄ガラスを積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ上に個片化された複数個の機能性薄ガラスが接合された積層体B’を得る工程を含む、[4]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[9] 前記薄ガラスは複数枚から構成され、
工程aは、
前記支持体上に前記剥離型粘着テープを貼り付ける工程a-1と、
前記剥離型粘着テープ上に、複数枚の前記薄ガラスをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-2を得る工程a-2と、
を含む、[4]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[10] 工程a-2の前に、複数枚の前記薄ガラスに予め表面研磨またはエッジ処理を施す工程を含む、[9]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[11] 工程aは、
前記剥離型粘着テープの一方の面に、前記薄ガラスを貼り付けて、薄ガラス付き粘着テープを得る工程a-1’と、
前記薄ガラス付き粘着テープを積層方向に切断して、個片化された複数枚の薄ガラス付き粘着テープを得る工程a-2’と、
前記支持体上に、個片化された複数枚の前記薄ガラス付き粘着テープをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-3を得る工程a-3’と
を含む、[4]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[12] 剥離型粘着テープは、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた、熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)と、前記基材層の他方の面に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備え、
前記機能性薄ガラスは粘着性樹脂層(A)上に貼り付けられており、
工程cは、粘着性樹脂層(A)を加熱することにより、前記機能性薄ガラスを前記剥離型粘着テープから剥離する工程である、[1]~[11]のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[13] 工程cにおける、前記熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)の加熱温度Tは、前記工程bの前記加工処理における加熱温度Tよりも高い、[12]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[14] 前記機能層が前記遮光性印刷層であり、Tが130℃以上220℃以下であり、Tが(T+5)℃以上である、[13]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[15] 前記機能層が前記プライマー層であり、Tが160℃以上250℃以下であり、Tが(T+5)℃以上である、[13]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[16] 剥離型粘着テープは、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた粘着性樹脂層(A)と、前記基材層の他方の面に設けられた熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)と、を備え、前記薄ガラスは粘着性樹脂層(A)上に貼り付けられており、工程cは、粘着性樹脂層(B)を加熱することにより、前記支持体から前記機能性薄ガラスと前記剥離型粘着テープとの積層体を剥離する工程c-1と、前記積層体の粘着性樹脂層(A)から前記機能性薄ガラスを剥離する工程c-2と、を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[17] 工程c-1における、前記熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)の加熱温度TC-1は、前記工程bの前記加工処理における加熱温度Tよりも高い、[16]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[18] 前記機能層が前記遮光性印刷層であり、Tが130℃以上220℃以下であり、TC-1が(T+5)℃以上である、[17]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[19] 前記機能層が前記プライマー層であり、Tが160℃以上250℃以下であり、TC-1が(T+5)℃以上である、[17]に記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[20] 前記熱膨張性微小球は、ガス化して膨張する物質を殻内に内包させた微小球を含む、[12]~[19]のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法。
[21] [1]~[20]のいずれかに記載の機能性薄ガラスの製造方法に用いられる剥離型粘着テープであって、粘着性樹脂層(A)と粘着性樹脂層(B)を備え、少なくとも層(A)ないし層(B)のいずれかに熱膨張性微小球を含む、剥離型粘着テープ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の機能性薄ガラスの製造方法によれば、薄ガラスを加工するにあたり、該薄ガラスの割れや欠けの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】支持体と、剥離型粘着テープと、薄ガラスとが積層されてなる積層体の概略側面図である。
図2】剥離型粘着テープの代表的な例の概略断面図である。
図3】機能性薄ガラスの剥離工程を示す概略工程図である。
図4】機能性薄ガラスの剥離工程を示す概略工程図である。
図5】複数枚の機能性薄ガラスが得られる、第1実施形態の機能性薄ガラスの製造方法を示す概略工程図である。
図6】複数枚の機能性薄ガラスが得られる、第2実施形態の機能性薄ガラスの製造方法を示す概略工程図である。
図7】複数枚の機能性薄ガラスが得られる、第3実施形態の機能性薄ガラスの製造方法を示す概略工程図である。
図8】複数枚の機能性薄ガラスが得られる、第4実施形態の機能性薄ガラスの製造方法を示す概略工程図である。
図9】複数枚の機能性薄ガラスが得られる、第5実施形態の機能性薄ガラスの製造方法を示す概略工程図である。
図10】複数枚の機能性薄ガラスが得られる、第6実施形態の機能性薄ガラスの製造方法を示す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、例えば「1~10」は特に断りがなければ「1以上」から「10以下」を表す。
【0012】
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:支持体と、剥離型粘着テープと、厚み1μm~200μmの薄ガラスとがこの順で積層された積層体Aを準備する。
工程b:前記積層体Aの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する。
【0013】
[工程a]
当該工程においては、図1に示すような、支持体10と、剥離型粘着テープ20と、厚み1μm~200μmの薄ガラス30とが積層された積層体Aを準備する。
前記剥離型粘着テープ20は、前記薄ガラス側の面に粘着性樹脂層(A)を、前記支持体側の面に粘着性樹脂層(B)を備える複数層からなり、当該複数層の少なくとも1つの層に熱膨張性微小球を含む。
【0014】
本実施形態においては、支持体10上に剥離型粘着テープ20を貼り付けた後、当剥離型粘着テープ20の他方の面に薄ガラス30を貼り付けて積層体Aを得ることができる。
【0015】
具体的には、まず、支持体10上に、粘着性フィルム20を、粘着性樹脂層(B)が支持体10側となるように貼着する。粘着性樹脂層(B)上にはセパレータと称する保護フィルムが貼付けられていてもよく、当該保護フィルムを剥がし、粘着性樹脂層(B)の露出面を支持体10表面に貼着することができる。次いで、粘着性フィルム20の粘着性樹脂層(A)上の保護フィルムを剥がし、粘着性樹脂層(A)の露出面を薄ガラス30表面に貼着することができる。
【0016】
別の態様として、剥離型粘着テープ20と薄ガラス30とを積層した後、当該剥離型粘着テープ20の他方の面上に支持体10を貼り付けて積層体Aを得ることができる。
【0017】
具体的には、まず、粘着性フィルム20の粘着性樹脂層(A)上の保護フィルムを剥がし、粘着性樹脂層(A)の露出面に薄ガラス30を貼着する。次いで、粘着性フィルム20の粘着性樹脂層(B)上の保護フィルムを剥がし、支持体10上に、粘着性フィルム20を、粘着性樹脂層(B)が支持体10側となるように貼着する。
【0018】
薄ガラス30を粘着性樹脂層(A)の表面に貼り付ける方法としては、例えば、薄ガラス30の巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層(A)の表面に載置して仮固定する方法等を挙げることができる。
【0019】
複数個に個片化された薄ガラスを粘着性樹脂層14の表面に貼り付ける方法としては、例えば、複数個に個片化された薄ガラスが保護フィルムに貼り付いた積層体を巻回体とし、当該積層体の巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層(A)の表面に載置し、次いで保護フィルムを剥がして一括で仮固定する方法、薄ガラスの巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層14の表面に載置し、次いで薄ガラスを個片化する方法等が挙げられる。
【0020】
支持体10としては、例えば、石英基板、ガラス基板、SUS基板等を使用することができる。
薄ガラス30は、通常厚み1μm~200μmのものを言う。好ましくは厚み1μm~150μm、さらに好ましくは厚み1μm~100μm、とりわけ厚み1μm~80μmの薄ガラスに対し、好適に用いられる。
【0021】
剥離型粘着テープ20は、基材層と、基材層の一方の面に設けられた、熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)と、基材層の他方の面に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備えることが好ましい。
別の態様として、一方の表面に設けられた粘着性樹脂層(A)と、他方の表面に設けられた粘着性樹脂層(B)と、粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の間に中間層を備え、当該中間層が熱膨張性微小球を含むこともできる。このような中間層は、光硬化性樹脂を硬化させてなり、熱膨張性微小球を膨張させて剥離する温度で軟化すると熱膨張性微小球が膨張する際に変形できるため好ましい。
【0022】
さらに他の態様として、何れかに微小球を含む、粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)をドライラミネート等により直接積層し、粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の何れかに微小球を含む2層構造の剥離型粘着テープとすることもできる。
【0023】
前記剥離型粘着テープ20は、具体的に以下の層構成を採用することができる。剥離型粘着テープ20は、粘着性樹脂層(B)を介して支持体10上に貼り付けられ、粘着性樹脂層(A)上に薄ガラス30が積層される。
(1)熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)/粘着性樹脂層(B)
(2)粘着性樹脂層(A)/熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)
(3)熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)/基材層/粘着性樹脂層(B)
(4)粘着性樹脂層(A)/基材層/熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)
(5)粘着性樹脂層(A)/熱膨張性微小球を含む中間層/粘着性樹脂層(B)
(6)熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)/中間層/基材層/粘着性樹脂層(B)
(7)熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)/基材層/中間層/粘着性樹脂層(B)
(8)粘着性樹脂層(A)/中間層/基材層/熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)
(9)粘着性樹脂層(A)/基材層/中間層/熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(B)
【0024】
図2に、剥離型粘着テープ20の代表的な層構成である前記層構成(6)および(7)を示す。
層構成(6)は、図2に示すように、基材層22と、基材層22の第1面22a側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(A)と、基材層22の第2面22b側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、粘着性樹脂層(B)と基材層22との間に設けられた中間層28と、を備える。
層構成(7)は、図2に示すように、基材層22と、基材層22の第1面22a側に設けられた、粘着性樹脂層(A)と、基材層22の第2面22b側に設けられた熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(B)と、粘着性樹脂層(B)と基材層22との間に設けられた中間層28と、を備える
【0025】
剥離型粘着テープ20を構成する各層および熱膨張性微小球aについては後述する。
【0026】
[工程b]
工程bにおいては、工程aで得られた積層体Aの前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る。本実施形態においては、前記加工処理が、前記薄ガラス表面に機能層を形成する工程であることが好ましい。
【0027】
前記機能層としては、ハードコート層、反射防止層、防曇層、防汚染層、撥水層、紫外線吸収層、帯電防止層、遮光性印刷層、およびプライマー層が挙げられ、当該機能層は単層または複数層から形成することができる。
【0028】
これらの機能層は、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、金属蒸着法、CVD法、真空蒸着法、印刷法等に依ってコーティングすることができる。またガラス膜上で前駆体を反応させて形成体しても良い。
【0029】
ハードコート層は、薄ガラス表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In及びTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
【0030】
ハードコート組成物には上記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物には薄ガラスに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよいし、無溶剤で用いてもよい。
【0031】
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。
ハードコート層の層厚は、0.1μm~50μmとすることができる。
【0032】
反射防止層は、薄ガラス表面の光の反射を抑制することを目的としたコーティング層である。反射防止層としては、例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物等からなる層が挙げられる。当該層は金属蒸着などによって形成することができる。
反射防止層の層厚は、50nm~5μmとすることができる。
【0033】
防曇層は、水蒸気等による薄ガラス表面の曇りを抑制することを目的としたコーティング層である。防曇層は、例えば、防曇剤を含む水性塗工液を塗布、乾燥することにより形成する。水性塗工液を塗布する方法は、公知の方法が適用できる。
前記防曇剤は、無機質コロイドゾルとバインダーからなる。無機質コロイドゾルとしては、例えば、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を水または水性媒体中に分散させた水性ゾルが挙げられる。
防曇層の層厚は、0.1μm~5μmとすることができる。
【0034】
防汚染層は、薄ガラス表面の指紋等の種々の汚れの付着を抑制することを目的としたコーティング層である。防汚染層は、表面エネルギーの小さい樹脂を含むことができる。たとえばシリコーン樹脂が好ましく、メチルポリシロキサンやフェニルメチルポリシロキサンを主成分としたものが特に好ましい。防汚染層には、指紋防止層等が含まれる。
防汚染層の層厚は、5nm~100nmとすることができる。
【0035】
撥水層は、薄ガラス表面の水滴の付着を抑制することを目的としたコーティング層である。撥水層は、フッ素を含有するシラン化合物等を含むことが好ましい。撥水層は、フッ素含有アルコキシシランの加水分解縮合物を含むことがより好ましい。
撥水層の層厚は、5nm~100nmとすることができる。
【0036】
紫外線吸収層は、紫外線を吸収し、機能薄ガラスが搭載される機器の紫外線の影響を抑制することを目的としたコーティング層である。紫外線吸収層は、例えば、紫外線吸収剤、および粘着剤等を含む。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系、サリチル酸エステル系等が挙げられる。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を挙げることができる。
紫外線吸収層の層厚は、1μm~20μmとすることができる。
【0037】
帯電防止層は、薄ガラスの静電気等の帯電を抑制することを目的としたコーティング層である。帯電防止層は、帯電防止剤を含む水性塗工液を塗布、乾燥することにより形成することができる。水性塗工液を塗布する方法は、公知の方法が適用できる。
帯電防止剤としては、例えば、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、ベタイン型、第4級アンモニウム塩基を有するアクリルポリマー、イオネンポリマー、リン酸塩化合物、リン酸エステル化合物等のイオン伝導性のもの、酸化スズ、酸化アンチモン等の金属酸化物、アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体、コーテッドカーボン、コーテッドシリカ等より選ばれる1種もしくは複数を組み合わせて用いることができる。
帯電防止層の層厚は、1nm~10μmとすることができる。
【0038】
遮光性印刷層とは、特定の波長の光線を吸収し、機能薄ガラスが搭載される機器の特定の波長の光線の影響を抑制することを目的としたコーティング層である。本実施形態において、遮光性印刷層は紫外線吸収層を含まない。
遮光性印刷層は、黒、白、グレー、オレンジ、赤、黄、銀および茶などの遮光性インキを含む。遮光性インキの色は、遮光する波長の光線を吸収する色とすることができる。遮光性印刷層は、薄ガラスの透明性に影響を及ぼさない範囲で設けることが好ましい。
【0039】
遮光性インキに含まれる遮光性顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒煙、鉄黒、アニリンブラック、酸化チタン及び酸化亜鉛等が挙げられる。
遮光性インキは溶剤及び分散剤等をさらに含んでもよい。遮光性インキに含まれる溶媒は特に限定されず、従来公知の溶剤を用いることができる。遮光性インキに含まれる溶剤の沸点は、例えば150℃未満である。遮光性インキに含まれる分散剤は特に限定されず、従来公知の分散剤を用いることができる。
遮光性インキの市販品としては、例えば、東レ株式会社製「フォトブラック」を挙げることができる。
遮光性印刷層は多層構造を有していてもよい。
遮光性印刷層は、例えば、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの従来公知の印刷法で形成することができる。印刷時の加熱温度は、インキ中の溶媒を十分に揮発させる観点から、あるいは印刷層の熱硬化を促進させる観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、剥離型粘着テープを工程bで剥離させない観点から、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。
遮光性印刷層の層厚は、0.1μm~10μmとすることができる。
【0040】
プライマー層は、薄ガラスと他の層との密着性を改良するために形成される層であり、通常、他の層とともに用いられる。
プライマー層には薄ガラスに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂を主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的で薄ガラスに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよく、無溶剤で使用してもよい。溶媒を用いる場合、大気圧下の沸点が150℃以上250℃以下の溶剤と、150℃未満の溶剤と、を併用することが好ましい。これにより、塗布時に適度に有機溶媒が揮発して塗膜の乾燥が進行するため、塗布ムラを抑制し、膜厚均一性を向上させることができる。
【0041】
プライマー層は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成することができる。
塗布法を用いる場合、プライマー組成物を、スピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法でレンズに塗布した後、固化することによりプライマー層が形成される。固化の際の加熱温度は、インキ中の溶媒を十分に揮発させる観点、特に大気圧下の沸点が150℃以上250℃以下の溶剤を十分に揮発させる観点から、あるいはプライマー層の熱硬化を促進させる観点から、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上、さらに好ましくは230℃以上であり、そして、剥離型粘着テープを工程bで剥離させない観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。
乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。
プライマー層の層厚は、0.5μm~20μmとすることができる。
【0042】
本実施形態においては工程bの前に、薄ガラスの表面を機能層との接着性を改良するために、薄ガラスの表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等を行ってもよい。
【0043】
[工程c]
当該工程においては、工程bで得られた積層体Bの前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する。
前記剥離型粘着テープは、前記薄ガラス側の面に粘着性樹脂層(A)を、前記支持体側の面に粘着性樹脂層(B)を備える複数層からなり、当該複数層の少なくとも1つの層に熱膨張性微小球aを含むことから機能性薄ガラスを前記剥離型粘着テープから容易に剥離することができる。当該観点から、粘着性樹脂層(A)または粘着性樹脂層(B)に熱膨張性微小球aを含むことが好ましい。
【0044】
具体的には、剥離型粘着テープ20が、図2の層構成(6)である場合、すなわち、基材層22と、前記基材層22の一方の面に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(A)と、前記基材層22の他方の面に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える場合、工程cは、図3(a)(b)に示すように、粘着性樹脂層(A)を加熱することにより、機能性薄ガラス30’を剥離型粘着テープ20から剥離することができる。機能性薄ガラス30’は図示しない機能層が薄ガラス上に設けられていてもよい。
本実施形態においては、機能性薄ガラスに熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(A)が貼り付けられているため、機能性薄ガラスから粘着性フィルムを容易に剥離することができる。
工程cにおける、前記熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層(A)の加熱温度Tは、前記工程bの前記加工処理における加熱温度Tよりも高い。これにより、工程bの加工時においては薄ガラスが剥離せず、加工処理を進めることができる。
は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。
は、剥離型粘着テープを工程bでは剥離させずに工程cで剥離させる観点から、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上である。
【0045】
前記機能層が前記遮光性印刷層である場合、Tは、インキ中の溶媒を十分に揮発させる観点から、あるいは機能層を熱硬化させる観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、剥離型粘着テープを工程bで剥離させない観点から、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下であり、Tは、剥離型粘着テープを工程bでは剥離させずに工程cで剥離させる観点から、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上である。
【0046】
前記機能層が前記プライマー層である場合、Tは、インキ中の溶媒を十分に揮発させる観点、特に大気圧下の沸点が150℃以上250℃以下の溶剤を十分に揮発させる観点から、あるいは機能層を熱硬化させる観点から、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上、さらに好ましくは230℃以上であり、そして、剥離型粘着テープを工程bで剥離させない観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、Tは、剥離型粘着テープを工程bでは剥離させずに工程cで剥離させる観点から、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上である。
【0047】
また、剥離型粘着テープ20が、図2の層構成(7)である場合、すなわち、基材層22と、前記基材層22の一方の面に設けられた粘着性樹脂層(A)と、前記基材層22の他方の面に設けられた熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(B)と、を備える場合、工程cは、粘着性樹脂層(B)を加熱することにより、支持体10から機能性薄ガラス30’と剥離型粘着テープ20との積層体を剥離する工程c-1(図4(a)(b))と、前記積層体の粘着性樹脂層(A)から機能性薄ガラス30’を剥離する工程c-2(図4(c)と、を含むことができる。
【0048】
本実施形態においては、支持体10上に熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(B)が貼り付けられているため、支持体10から薄ガラス付き粘着性フィルムを容易に剥離することができる。
工程c-1における、熱膨張性微小球a含む粘着性樹脂層(B)の加熱温度TC-1は、前記工程bの前記加工処理における加熱温度Tよりも高い。これにより、工程bの加工時においては薄ガラスが剥離せず、加工処理を進めることができる。
は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。
C-1は、剥離型粘着テープを工程bでは剥離させずに工程c-1で剥離させる観点から、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上である。
【0049】
前記機能層が前記遮光性印刷層である場合、Tは、インキ中の溶媒を十分に揮発させる観点から、あるいは機能層を熱硬化させる観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、剥離型粘着テープを工程bで剥離させない観点から、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下であり、TC-1は、剥離型粘着テープを工程bでは剥離させずに工程c-1で剥離させる観点から、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上である。
【0050】
前記機能層が前記プライマー層である場合、Tは、インキ中の溶媒を十分に揮発させる観点、特に大気圧下の沸点が150℃以上250℃以下の溶剤を十分に揮発させる観点から、あるいは機能層を熱硬化させる観点から、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上、さらに好ましくは230℃以上であり、そして、剥離型粘着テープを工程bで剥離させない観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、TC-1は、剥離型粘着テープを工程bでは剥離させずに工程c-1で剥離させる観点から、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上である。
【0051】
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスは複数枚から構成されていることが好ましく、前記工程cは、複数枚の前記機能性薄ガラスを前記積層体Bの前記剥離型粘着テープから剥離する工程を含むことが好ましい。
以下、薄ガラスまたは機能性薄ガラスが複数枚から構成されている態様について、第1実施形態~第6実施形態により説明する。なお、前記工程と同様の工程については説明を省略する。
【0052】
[第1実施形態]
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:支持体10と、剥離型粘着テープ20と、厚み1μm~200μmの薄ガラス30とが積層された積層体Aを準備する。
工程a’:前記積層体A全体を積層方向に切断して、個片化された複数個の積層体A-1を得る(図5(a))。
工程b:前記積層体A-1の前記薄ガラスに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体B-1を得る(図5(b))。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体B-1の前記剥離型粘着テープから剥離する。
【0053】
工程a’においては、図5(a)に示すように、前記積層体A全体を積層方向に切断する。切断するには、ダイヤモンドカッター等の切削手段を用いることができる。
当該切断により、個片化された複数個の積層体A-1が得られる。積層体A-1の形状は上面視において短冊状、正方形、長方形等であってもよく、用途に応じて決定することができる。
【0054】
次いで、前述の工程bと同様にして、図5(b)に示すように、複数個の積層体A-1の薄ガラス30aに機能層40aを形成して、機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)を備える積層体B-1を得る。複数個の積層体B-1は、支持体10aと、剥離型粘着テープ20aと、薄ガラス30aと、機能層40aとが積層された構造を備える。
そして、前述の工程cと同様にして、機能性薄ガラスを、積層体B-1の剥離型粘着テープ20aから剥離し、機能性薄ガラスを得ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:支持体10と、剥離型粘着テープ20と、厚み1μm~200μmの薄ガラス30とが積層された積層体Aを準備する。
工程b:前記積層体Aの前記薄ガラス30に加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る。
工程b’:前記機能性薄ガラスを備える前記積層体B全体を積層方向に切断して、個片化された複数個の積層体B-1を得る(図6(a))。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体B-1の前記剥離型粘着テープから剥離する(図6(b))。
【0056】
工程bにおいては、前述の工程bと同様にして、複数個の積層体Aの薄ガラス30に機能層40を形成して、機能性薄ガラス(機能層40付き薄ガラス30)を備える積層体Bを得る。
工程b’においては、図6(a)に示すように、工程aおよび工程bにより得られた機能性薄ガラス(機能層40付き薄ガラス30)を備える積層体B全体を積層方向に切断し、複数個の積層体B-1を得る。切断するには、ダイヤモンドカッター等の切削手段を用いることができる。
【0057】
当該切断により、個片化された複数個の積層体B-1が得られる。積層体B-1の形状は上面視において短冊状、正方形、長方形等であってもよく、用途に応じて決定することができる。
工程b’で得られた、個片化された複数個の積層体B-1は、支持体10aと、剥離型粘着テープ20aと、薄ガラス30aと、機能層40aとが積層された構造を備える。
そして、前述の工程cと同様にして、機能性薄ガラスを、積層体B-1の前記剥離型粘着テープ20aから剥離し、機能性薄ガラスを得ることができる。
【0058】
[第3実施形態]
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:支持体10と、剥離型粘着テープ20と、厚み1μm~200μmの薄ガラス30とが積層された積層体Aを準備する。
工程a’: 積層体Aの薄ガラス30を積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ20上に個片化された複数個の薄ガラス30aが接合された積層体A’を得る(図7(a))。
工程b:前記積層体A’の前記薄ガラス30aに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体B’を得る(図7(b))。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラス30aを、積層体B’の剥離型粘着テープ20から剥離する。
【0059】
工程a’は、薄ガラス30に加工処理を施す前に、工程aで準備された積層体Aの薄ガラス30を積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ20上に個片化された複数個の薄ガラス30aを備える積層体A’を得る(図7(a))。薄ガラス30を切断するには、ダイヤモンドカッター等の切削手段を用いることができる。当該切断により、剥離型粘着テープ20上に、個片化された複数個の薄ガラス30aが得られる。複数個の薄ガラス30aの形状は上面視において短冊状、正方形、長方形等であってもよく、用途に応じて決定することができる。
【0060】
次いで、前述の工程bと同様にして、図7(b)に示すように、積層体A’の前記薄ガラス30aに機能層40を形成して、機能性薄ガラス(機能層40付き薄ガラス30a)を備える積層体B’を得る。積層体B’は、支持体10と、剥離型粘着テープ20と、個片化された複数個の薄ガラス30aと、機能層40とが積層された構造を備える。機能層40は薄ガラス30aの表面を覆うように適宜切断することができる。
【0061】
工程cにおいて、前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体B’の前記剥離型粘着テープ20から剥離して次工程に搬送される。この際、真空吸着や治具など公知の方法を用いて搬送することができる。
【0062】
[第4実施形態]
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:支持体10と、剥離型粘着テープ20と、厚み1μm~200μmの薄ガラス30とが積層された積層体Aを準備する。
工程b:前記積層体Aの前記薄ガラス30に加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体Bを得る。
工程b’:積層体Bの前記機能性薄ガラスを積層方向に切断し、剥離型粘着テープ20上に個片化された複数個の機能性薄ガラスが接合された積層体B’を得る(図8(a))。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体B’の剥離型粘着テープ20から剥離する(図8(b))。
【0063】
工程b’は、第3実施形態とは異なり、工程aおよび工程bにより得られた積層体Bの機能性薄ガラス(機能層40付き薄ガラス30)を前記剥離型粘着テープ20上で積層方向に切断し、前記剥離型粘着テープ20上に個片化された複数個の機能性薄ガラスを設ける(図8(a))。
切断するには、ダイヤモンドカッター等の切削手段を用いることができる。
当該切断により、個片化された複数個の機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)が得られる。機能性薄ガラスの形状は上面視において短冊状、正方形、長方形等であってもよく、用途に応じて決定することができる。
【0064】
次いで、工程cにおいて、個片化された複数個の機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)を、積層体B’の前記剥離型粘着テープから剥離して次工程に搬送される。この際、真空吸着や治具など公知の方法を用いて搬送することができる。
【0065】
[第5実施形態]
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a-1:前記支持体10上に前記剥離型粘着テープ20を貼り付ける。
工程a-2:前記剥離型粘着テープ20上に、複数枚の薄ガラス30aをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-2を得る(図9(a))。
工程b:前記積層体A-2の複数枚の前記薄ガラス30aに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体B-2を得る(図9(b))。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体B-2の剥離型粘着テープ20から剥離する(図9(c))。
【0066】
工程a-1においては、前述の工程aに記載のように、支持体10上に、剥離型粘着テープ20を貼り付ける。
【0067】
工程a-2は、具体的には、複数個に個片化された薄ガラス30aが貼り付けられた樹脂フィルム付き薄ガラスの巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層(A)の表面に薄ガラス30aが対向するように載置し、次いで樹脂フィルム付き薄ガラスから樹脂フィルムを剥離して、剥離型粘着テープ20上に、複数枚の前記薄ガラス30aをマトリックス状に貼り付ける方法や、または個片化された複数の薄ガラス30aを順次載置する方法が挙げられる。複数個に個片化された薄ガラス30aの形状は上面視において短冊状、正方形、長方形等であってもよく、用途に応じて決定することができる。
工程a-2の前に、複数枚の薄ガラス30aに予め表面研磨またはエッジ処理を施す工程を含むことも好ましい。
【0068】
次いで、前述の工程bと同様にして、図9(b)に示すように、積層体A-2の複数枚の前記薄ガラス30aに加工処理を施して、機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)を備える積層体B-2を得る。積層体B-2は、支持体10と、剥離型粘着テープ20と、個片化された複数個の薄ガラス30aと、機能層40aとが積層された構造を備える。
【0069】
次いで、工程cにおいて、個片化された複数個の機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)を、積層体B-2の前記剥離型粘着テープ20から剥離し(図9(c))、次工程に搬送される。この際、真空吸着や治具など公知の方法を用いて搬送することができる。
【0070】
[第6実施形態]
本実施形態の機能性薄ガラスの製造方法は、以下の工程を含む。
工程a-1’:前記剥離型粘着テープ20の一方の面に、前記薄ガラス30を貼り付けて、薄ガラス付き粘着テープを得る。
工程a-2’:前記薄ガラス30付き粘着テープ20を積層方向に切断して、個片化された複数枚の薄ガラス30a付き粘着テープ20aを得る工程a-2’と、
工程a-3’:前記支持体10上に、個片化された複数枚の前記薄ガラス30a付き粘着テープ20aをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-3を得る(図10(a))。
工程b:前記積層体A-3の前記薄ガラス30aに加工処理を施して、機能性薄ガラスを備える積層体B-3を得る(図10(b))。
工程c:前記加工処理の施された前記機能性薄ガラスを、積層体B-3の前記剥離型粘着テープ20aから剥離する(図10(c))。
【0071】
工程a-1’においては、前述の工程aに記載のように、剥離型粘着テープ20の一方の面に、前記薄ガラス30を貼り付けて、薄ガラス付き粘着テープを得る。
【0072】
工程a-2’は、工程a-1’で得られた薄ガラス付き粘着テープを、薄ガラス面を樹脂フィルム上に貼り付けて仮固定して、当該薄ガラス付き粘着テープを粘着テープ側から積層方向に切断することができる。これにより、複数個に個片化された薄ガラス付き粘着テープが樹脂フィルム貼り付けられた積層体を得ることができる。
切断するには、ダイヤモンドカッター等の切削手段を用いることができる。
当該切断により、個片化された複数個の薄ガラス付き粘着テープが得られる。薄ガラス付き粘着テープの形状は上面視において短冊状、正方形、長方形等であってもよく、用途に応じて決定することができる。
【0073】
工程a-3’は、支持体上に、個片化された複数枚の薄ガラス付き30a粘着テープ20aをマトリックス状に貼り付けて、積層体A-3を得る(図10(a))。
具体的には、複数個に個片化された薄ガラス付き30a粘着テープ20aが貼り付けられた樹脂フィルムの巻回体から順次巻き出して、支持体10の表面に薄ガラス30a付き粘着テープ20aを載置し、次いで薄ガラス30a付き粘着テープ20aから樹脂フィルムを剥離して、基材10上に、複数枚の薄ガラス30a付き粘着テープ20aをマトリックス状に貼り付ける方法や、または個片化された複数の薄ガラス付き30a粘着テープ20aを順次載置する方法が挙げられる。
【0074】
次いで、前述の工程bと同様にして、図10(b)に示すように、積層体A-3の複数枚の前記薄ガラス30aに機能層40aを形成して、粘着テープ20a上に機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)を備える積層体B-3を得る。積層体B-2は、支持体10と、剥離型粘着テープ20aと、個片化された複数個の薄ガラス30aと、機能層40aとが積層された構造を備える。
【0075】
次いで、工程cにおいて、複数個の機能性薄ガラス(機能層40a付き薄ガラス30a)を、積層体B-3の前記剥離型粘着テープ20aから剥離し(図10(c))、次工程に搬送される。この際、真空吸着や治具など公知の方法を用いて搬送することができる。
【0076】
以下、剥離型粘着テープ20を構成する層および熱膨張性微小球aについて説明する。
【0077】
(基材層22)
剥離型粘着テープ20を構成する基材層22は、剥離型粘着テープ20の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層22は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
【0078】
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンエーテル等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
【0079】
これらの中でも、透明性や機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
【0080】
基材層22は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層22を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、基材層22の機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
【0081】
基材層22の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは1μm以上500μm以下、より好ましくは5μm以上300μm以下、さらに好ましくは10μm以上250μm以下である。
基材層22は、他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0082】
[熱膨張性微小球a]
粘着性樹脂層(A)、粘着性樹脂層(B)または中間層28は、熱膨張性微小球aを含むことができ加熱剥離型の粘着性樹脂層である。これにより、加熱により剥離型粘着テープ20から薄ガラス30または支持体10を容易に剥離することができる。
【0083】
熱膨張性微小球aとしては、例えば、マイクロカプセル化されている発泡剤を用いることができる。このような熱膨張性の微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等の加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球等が挙げられる。上記殻を構成する材料として、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。熱膨張性の微小球は、例えば、コアセルベーション法や、界面重合法等により製造することができる。
【0084】
熱膨張性微小球aの含有量は、粘着性樹脂層(A)、粘着性樹脂層(B)または中間層28の膨張倍率や粘着力の低下性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、これらの層を構成する樹脂100質量部に対して、例えば1質量部以上150質量部以下、好ましくは10質量部以上130質量部以下、さらに好ましくは12質量部以上100質量部以下である。
熱膨張性の微小球から気体が発生する温度または熱膨張性の微小球が熱膨張する温度は、好ましくは150℃超、より好ましくは170℃超、さらに好ましくは190℃超、さらに好ましくは210℃超、さらに好ましくは230℃超、さらに好ましくは235℃超、さらに好ましくは240℃超、さらに好ましくは245℃超となるように設計することが好ましい。
また、熱膨張性の微小球から気体が発生する温度または熱膨張性の微小球が熱膨張する温度は、工程bでの加熱温度Tに対して、好ましくは(T+5)℃以上、より好ましくは(T+10)℃以上、さらに好ましくは(T+15)℃以上となるように設計することが好ましい。
前述の通り、機能層が遮光性印刷層である場合、Tが160℃以上であることが好ましいため、熱膨張性の微小球から気体が発生する温度または熱膨張性の微小球が熱膨張する温度は、好ましくは165℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは175℃以上となる。このような温度域で膨張する熱膨張性微小球の市販品としては、松本油脂製薬株式会社製「マツモトマイクロスフェアー(登録商標)F、FNシリーズ」の高温膨張型グレードを挙げることができる。
前述の通り、機能層がプライマー層である場合、Tが230℃以上であることが好ましいため、熱膨張性の微小球から気体が発生する温度または熱膨張性の微小球が熱膨張する温度は、好ましくは235℃以上、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは245℃以上となる。このような温度域で膨張する熱膨張性微小球の市販品としては、松本油脂製薬株式会社製「マツモトマイクロスフェアー(登録商標)F、FNシリーズ」の超高温膨張型グレードを挙げることができる。
【0085】
熱膨張性微小球aの平均粒子径D50は、例えば、1μm以上47μm以下であることが好ましく、5μm以上27μm以下であることがより好ましい。さらに、熱膨張性微小球aの粒子径D99.9は20μm以上300μm以下であることが好ましく、30μm以上180μm以下であることがより好ましい。
熱膨張性微小球aの平均粒子径は一般的な粒子形状・粒子径分析装置で測定することができ、例えばマイクロトラックMT3000IIやFPIA-3000、マスターサイザー3000Eなどが挙げられる。
【0086】
(粘着性樹脂層(A))
本粘着性樹脂層(A)は、例えば、薄ガラス30の加工工程において薄ガラス30の表面に接触して薄ガラスを仮固定するための層である。
【0087】
粘着性樹脂層(A)を構成する粘着性樹脂(A1)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(a)、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン-ジエンブロック共重合体系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリル系樹脂(a)が好ましい。
【0088】
粘着性樹脂層(A)に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(a2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0089】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(a2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0090】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)を形成するモノマー(a1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0091】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、10質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0092】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(a2)を形成するモノマー(a2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、モノマー単位(a2)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0093】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、モノマー単位(a1)、モノマー単位(a2)以外に、2官能性モノマー単位(a3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(a1)、モノマー(a2)およびモノマー(a3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0094】
2官能性モノマー単位(a3)を形成するモノマー(a3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0095】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、モノマー単位(a3)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
【0096】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
【0097】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、重合性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
【0098】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性2重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0099】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0100】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物が特に好ましい。
【0101】
本実施形態に係る粘着性樹脂層(A)は、粘着性樹脂(A1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)をさらに含むことが好ましい。
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)は、粘着性樹脂(A1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いる。
このような架橋剤(A2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0102】
架橋剤(A2)の含有量は、通常、架橋剤(A2)中の官能基数が粘着性樹脂(A1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層(A)中の架橋剤(A2)の含有量は、粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0103】
本実施形態に係る粘着性樹脂層(A)は、支持基板への密着性を向上させる観点から、粘着性樹脂(A1)に加えて、粘着付与樹脂を含むことが好ましい。粘着性樹脂層(A)に粘着付与樹脂を含有させることが、常温付近における支持基板との密着性の調整が容易となるために好ましい。粘着付与樹脂としては、その軟化点が100℃以上であるものが好ましい。粘着付与樹脂の具体例としては、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂;α-ピネン系、β-ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン;これらの天然系ロジンに水素化、不均化、重合、マレイン化、石油樹脂;クマロン-インデン樹脂等を挙げることができる。
【0104】
これらのなかでも、軟化点が100~160℃の範囲内であるものがより好ましく、120~150℃の範囲であるものが特に好ましい。軟化点が上記範囲内である粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下における支持基板との密着性をさらに向上させることが可能となる。さらに、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル系の粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりか、80~130℃の環境下での支持基板との粘着性が向上するとともに、熱膨張性の微小球を含む加熱膨張型粘着剤の場合には、熱膨張性微小球aの膨張後は、支持基板からさらに容易に剥離可能となる。
【0105】
粘着付与樹脂の配合割合は、粘着性樹脂層(A)の弾性率を所望とする所定の数値範囲内に調整することができるように適宜選択すればよく、特に制限はない。ただし、粘着性樹脂層(A)の弾性率と初期剥離力の面から、粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、1~100質量部とすることが好ましい。粘着付与樹脂の配合割合が、粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、上記下限値以上であると、作業時の支持基板との密着性が良好になる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、常温における支持基板との貼り付け性が良好になる傾向にある。支持基板との密着性、及び常温における貼り付け性の面から、粘着付与樹脂の配合割合を、粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、2~50質量部とすることがさらに好ましい。また、粘着付与樹脂の酸価は、30以下であることが好ましい。粘着付与樹脂の酸価が上記上限値以下であると剥離時に支持基板に糊残りが生じ難くなる傾向にある。
【0106】
粘着性樹脂層(A)は、その他の成分として、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(A)中の粘着性樹脂(A1)、架橋剤(A2)および粘着付与樹脂の含有量の合計は粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。さらに粘着性樹脂層(A)が加熱膨張型粘着剤により構成されている場合は、粘着性樹脂層(A)中の粘着性樹脂(A1)、架橋剤(A2)、粘着付与樹脂、気体発生成分および熱膨張性の微小球の含有量の合計は、粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0107】
粘着性樹脂層(A)は単層であっても多層であってもよい。例えば、加熱による膨張の程度が異なる2層以上を積層して粘着性樹脂層(A)とすることで、粘着性樹脂層(A)の一方の面と他方の面とで、粘着性/熱剥離性を変えることもできる。
粘着性樹脂層(A)の厚さは、例えば、5μm以上300μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましい。
【0108】
粘着性樹脂層(A)は、図2の層構成(6)のように、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(A1)の一層から構成されていてもよく、図2の層構成(7)のように、熱膨張性微小球aを含まない以外は層(A1)と同様な組成の粘着性樹脂層(A2)の一層から構成されていてもよい。または、粘着性樹脂層(A)は、粘着性樹脂層(A1)と粘着性樹脂層(A2)との複数層から構成されていてもよい。
【0109】
粘着性樹脂層(A)は、例えば、基材層22や中間層28上に粘着剤塗布液を塗布する方法や、セパレータ上に形成した粘着性樹脂層(A)を基材層22や中間層28上に移着する方法等により形成することができる。
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0110】
また、基材層22と粘着性樹脂層(A)とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層22とフィルム状の粘着性樹脂層(A)とをラミネート(積層)して形成してもよい。
基材層22と中間層28と粘着性樹脂層(A)は共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層22とフィルム状の中間層28とフィルム状の粘着性樹脂層(A)とをラミネート(積層)して形成してもよい。
【0111】
(粘着性樹脂層(B))
粘着性樹脂層(B)は、例えば、機能性薄ガラスの製造方法において、支持体10の表面に接触して、「薄ガラス付き剥離型粘着テープ」を仮固定するための層である。
【0112】
粘着性樹脂層(B)は、通常、粘着性樹脂(B1)を含む。
粘着性樹脂(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、粘着力の調整を容易にする観点等から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)が好ましい。
【0113】
粘着性樹脂層(B)は、放射線により粘着力を低下させることができる放射線架橋型粘着性樹脂層であることもできる。放射線架橋型粘着性樹脂層に放射線を照射すると、架橋して粘着力が著しく減少するため、薄ガラスから剥離型粘着テープを剥離しやすくなる。放射線としては、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。
放射線架橋型粘着性樹脂層としては、紫外線架橋型粘着性樹脂層が好ましい。
【0114】
粘着性樹脂層(B)に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(b2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0115】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(b1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(b2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0116】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)を形成するモノマー(b1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0117】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、10質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0118】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(b2)を形成するモノマー(b2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、モノマー単位(b2)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0119】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、モノマー単位(b1)、モノマー単位(b2)以外に、2官能性モノマー単位(b3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(b1)、モノマー(b2)およびモノマー(b3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0120】
2官能性モノマー単位(b3)を形成するモノマー(b3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製、商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0121】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、モノマー単位(b3)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0122】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、重合性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0123】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0124】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0125】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持
ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル
基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックア
シッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物が特に好ましい。
【0126】
本実施形態に係る粘着性樹脂層(B)は、粘着性樹脂(B1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)をさらに含むことが好ましい。
【0127】
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)は、粘着性樹脂(B1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いることができる。
このような架橋剤(B2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0128】
架橋剤(B2)の含有量は、通常、架橋剤(B2)中の官能基数が粘着性樹脂(B1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層(B)中の架橋剤(B2)の含有量は、粘着性樹脂層(B)の耐熱性や密着力とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(B1)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0129】
粘着性樹脂層(B)は、その他の成分として、可塑剤、粘着付与樹脂等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(B)が放射線架橋型粘着性樹脂層の場合は放射線架橋のための各種添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(B)中の粘着性樹脂(B1)および架橋剤(B2)の含有量の合計は、粘着性樹脂層(B)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、支持体から剥離型粘着テープを剥離する際の支持体側の糊残りをより一層抑制することができる。
【0130】
粘着性樹脂層(B)は、図2の層構成(7)に示すように、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層(B1)の一層から構成されていてもよく、図2の層構成(6)に示すように、熱膨張性微小球aを含まない以外は層(B1)と同様な組成の粘着性樹脂層(B2)の一層から構成されていてもよい。または、粘着性樹脂層(B)は、粘着性樹脂層(B1)と粘着性樹脂層(B2)との複数層から構成されていてもよい。
粘着性樹脂層(B)の厚さは特に制限されないが、例えば、1μm以上100μm以下が好ましく、3μm以上50μm以下がより好ましい。
【0131】
粘着性樹脂層(B)は、例えば、基材層22または中間層28上に粘着剤を塗布することにより形成することができる。粘着剤は溶剤に溶解して塗布液として塗布してもよいし、水系エマルジョンとして塗布してもよいし、液状の粘着剤を直に塗布してもよい。
中でも水系エマルジョン塗布液が好ましい。水系エマルジョン塗布液としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等を水に分散させた塗布液が挙げられる。
【0132】
有機溶剤に溶解した粘着剤塗布液を用いてもよい。有機溶剤は特に限定されず、溶解性や乾燥時間を鑑みて公知の中から適宜選択すればよい。有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系;アセトン、MEK等のケトン系;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の直鎖ないし環状脂肪族系;イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系を例示することができる。有機溶剤として酢酸エチル、トルエンが好ましい。これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0133】
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0134】
また、基材層22と粘着性樹脂層(A)や中間層28とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層22とフィルム状の粘着性樹脂層(A)とをラミネート(積層)して形成してもよい。後述の実施例においては、まず、セパレータ(剥離フィルム)の表面に粘着性樹脂層(A)を形成し、その後、その粘着性樹脂層(A)を、他の層と貼り合わせることで、剥離型粘着テープ20を製造している。
【0135】
(中間層28)
中間層28は、熱膨張性微小球aにより生じる粘着性樹脂層表面の凹凸を吸収し、支持体と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができることから、当該薄ガラス30を加工する際に薄ガラス30を均一に仮固定することができ、さらに、薄ガラス30の汚染を防止することができる。またさらに、中間層28が存在することで、薄ガラス30を支持体10に対して位置決めでき、薄ガラス30の加工性に優れる。
さらに、中間層28は外部刺激によって架橋硬化することで、中間層28の弾性率を高めることができる。これによって、薄ガラス30の加工において、薄ガラス30を支持体10に対してより正確に位置決めすることができ、薄ガラス30の加工性にさらに優れる。
外部刺激としては、例えば、熱または光が挙げられる。
中間層28は、その作用から、凹凸吸収性樹脂層と記載することもできる。
【0136】
中間層28を構成する樹脂は、凹凸吸収性を示すものであれば特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上がより好ましい。別観点として、ASTM D-2240のD型ショアーによるショアーD型硬度が、好ましくは50以下、より好ましくは40以下の樹脂が好ましい。
中間層28を構成する樹脂が熱可塑性樹脂でない場合でも、上記と同等の凹凸吸収性を有することが好ましい。
【0137】
中間層28は、樹脂と、架橋剤と、外部刺激により活性化学種を発生する開始剤とを含むことが好ましい。中間層28がこれら成分を含むことにより、外部刺激により中間層28をより効果的に架橋させることができ、中間層28の弾性率をより一層向上させることが可能となる。これにより、封止材により電子部品を封止する工程において、熱により中間層28が軟化するのを抑制でき、その結果、封止材の圧力により電子部品が剥離型粘着テープに沈みこむことをより一層抑制することができる。
なお、樹脂や架橋剤の化学構造や反応性によっては、中間層28は、必ずしも開始剤を含まずとも、外部刺激により架橋(硬化)する場合がある。
【0138】
中間層28の形成に使用可能な樹脂は、特に限定されないが、例えば、前述の粘着性樹脂層における粘着性樹脂(A1)として説明した樹脂などを好ましく挙げることができる。
【0139】
その他、中間層28の形成に使用可能な樹脂は、特に限定されず、例えば、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンとを含むエチレン・α-オレフィン共重合体、高密度エチレン系樹脂、低密度エチレン系樹脂、中密度エチレン系樹脂、超低密度エチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂、プロピレン(共)重合体、1-ブテン(共)重合体、4-メチルペンテン-1(共)重合体、エチレン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン共重合体、エチレン・芳香族ビニル共重合体、エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・α-オレフィン・不飽和無水カルボン酸共重合体等のエチレン・無水カルボン酸系共重合体;エチレン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・α-オレフィン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体等のエチレン・エポキシ系共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・マレイン酸共重合体、エチレン・フマル酸共重合体、エチレン・クロトン酸共重合体等のエチレン・エチレン性不飽和酸共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体;エチレン・スチレン共重合体等;(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等の不飽和カルボン酸エステル(共)重合体;エチレン・アクリル酸金属塩共重合体、エチレン・メタアクリル酸金属塩共重合体等のアイオノマー樹脂;ウレタン系樹脂;シリコーン系樹脂;アクリル酸系樹脂;メタアクリル酸系樹脂;環状オレフィン(共)重合体;α-オレフィン・芳香族ビニル化合物・芳香族ポリエン共重合体;エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル化合物;芳香族ポリエン共重合体;エチレン・芳香族ビニル化合物・芳香族ポリエン共重合体;スチレン系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体;スチレン・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・スチレン共重合体;アクリロニトリル・エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン・スチレン共重合体;アクリロニトリル・エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン・スチレン共重合体;メタアクリル酸・スチレン共重合体;エチレンテレフタレート樹脂;フッ素樹脂;ポリエステルカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー;塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー;液晶性ポリエステル;ポリ乳酸等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
中間層28は、1のみの樹脂を含んでもよいし、2以上の樹脂を含んでもよい。
【0140】
中間層28が含むことができる架橋剤としては、開始剤から発生する化学種により架橋反応するものを特に制限なく挙げることができる。
好ましい架橋剤としは、多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0141】
また、架橋剤としては、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等、種々のモノマーまたはオリゴマーも挙げられる。
架橋剤の量は、(メタ)アクリル系重合体等の樹脂(ベースポリマー)100質量部に対して、例えば5質量部以上500質量部以下、好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
【0142】
別観点として、中間層28は、前述の粘着性樹脂層(A)が含むことができる架橋剤(A2)を1または2以上含んでもよい。具体的には、中間層28は、イソシアネート系化合物を含んでもよい。このような架橋材を用いる場合、その量は、樹脂(ベースポリマー)100質量部に対して、例えば0.01質量部以上5質量部以下、好ましくは0.01質量部以上3質量部以下である。
【0143】
中間層28が含むことができる開始剤(外部刺激により活性化学種を発生する開始剤)は、熱または光により、中間層28中の樹脂および/または架橋剤を架橋させることが可能なものであれば、特に限定されない。他の層の光透過性が高くない場合があり得ることや、電子部品により光がさえぎられる可能性があることを考慮すると、開始剤は、熱により活性化学種を発生する開始剤であることが好ましい。
開始剤から発生する化学種は、樹脂および/または架橋剤が有する官能基に基づき適宜選択すればよい。開始剤から発生する化学種は、典型的には、ラジカルまたはカチオンである。
【0144】
開始剤の例としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、入手容易性、取扱性、などの点で、アゾ系化合物または有機過酸化物が好ましく、有機過酸化物がより好ましい。
【0145】
開始剤の市販品としては、V-70、V-65、V-601、V-59、V-40、VF-096、V-30、VAm-110、VAm-111(以上、富士フイルム和光純薬社製)、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーロイルTCP、パーロイルL、パーロイル355、パーロイルSA、パーヘキサHC、パーブチル355、パーブチルD、パーブチルL、パーブチルND、パーオクタO、パーヘキシルD、パーヘキシルO、パーヘキシルPV(以上、日油製)、トリゴノックス36-C75、ラウロックス、パーカドックスL-W75、パーカドックスCH-50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH-70、パーカドックスBC-FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、パーカドックス12-XL25、トリゴノックス22-N70(22-70E)、トリゴノックスD-T50、トリゴノックス423-C70、カヤエステルCND-C70、トリゴノックス23-C70、トリゴノックス257-C70、カヤエステルP-70、カヤエステルTMPO-70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP-65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF-C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH、カヤカルボンI-20、カヤカルボンBIC-75、トリゴノックス117、カヤレン6-70(以上、化薬アクゾ社製)などが挙げられる
【0146】
中間層28が開始剤を含む場合、その量は、(メタ)アクリル系重合体等の樹脂(ベースポリマー)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、保存安定性向の点から、15質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0147】
本実施形態の剥離型粘着テープ20において、架橋前の中間層28の60℃における貯蔵弾性率E'の下限は、電子部品の封止工程における電子部品の粘着性フィルムへの沈みこみをより一層抑制することができる点から、1.0×10Pa以上が好ましく、5.0×103Pa以上がより好ましい。
また、本実施形態の剥離型粘着テープ20において、架橋前の中間層28の60℃における貯蔵弾性率E'の上限は、チップ表面の凹凸を効果的に吸収し、更に樹脂のスプリングバックによって経時で凹凸吸収が悪化することを防止できる点から、1.0×10Pa以下が好ましく、5.0×10Pa以下がより好ましい。
架橋前の中間層28の60℃における貯蔵弾性率E'は、例えば、中間層28を構成する各成分の種類や配合割合を制御することにより上記範囲内に制御することができる。
【0148】
本実施形態の剥離型粘着テープ20において、中間層28を架橋して得られる中間層28(C')の125℃における貯蔵弾性率E'の下限は、電子部品の封止工程における電子部品の剥離型粘着テープへの沈みこみをより一層抑制することができる点から、1.0×10Pa以上が好ましく、5.0×10Pa以上がより好ましい。
また、本実施形態の剥離型粘着テープ20において、中間層28(C')の1
25℃における貯蔵弾性率E'の上限は、封止工程における電子部品の位置ずれをより一
層抑制することができる点から、1.0×10Pa以下が好ましく、1.0×10Pa以下がより好ましい。
中間層28(C')の125℃における貯蔵弾性率E'は、例えば、中間層28を構成する各成分の種類や配合割合を制御することにより上記範囲内に制御することができる。
ここで、中間層28の架橋処理が完了しているか否かは、例えば、架橋処理をおこなっても中間層28の貯蔵弾性率E'の増加が起きなくなった点を架橋完了点と判断することができる。
【0149】
本実施形態において、中間層28は熱膨張性微小球aを含むこともできる。このような中間層28は、光硬化性樹脂を硬化させて得られる。
【0150】
中間層28の厚さは、粘着性樹脂層表面の凹凸を吸収することができる厚さであれば、特に制限されないが、例えば、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上900μm以下であることがより好ましく、30μm以上800μm以下であることがさらに好ましく、50μm以上700μm以下であることが特に好ましい。
【0151】
中間層28の形成方法は、特に限定されず、粘着性樹脂層(A)や粘着性樹脂層(B)と同様の方法を採用することができる。
【0152】
本実施形態の剥離型粘着テープ20は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、各層の間に、例えば、易接着層等がさらに設けられていてもよい。
【0153】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0154】
10 支持体
20 剥離型粘着テープ
30 薄ガラス
A 積層体
(A) 粘着性樹脂層
(B) 粘着性樹脂層
22 基材層
22a 第1面
a 熱膨張性微小球
22b 第2面
28 中間層
30’ 機能性薄ガラス
A-1 積層体
10a 支持体
20a 剥離型粘着テープ
30a 薄ガラス
40a 機能層
B-1 積層体
A’ 積層体
B’ 積層体
A-2 積層体
B-2 積層体
A-3 積層体
B-3 積層体
図1
図2
図3
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図10