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特開2023-152862光活性化合物、それを含むフォトレジスト組成物及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152862
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】光活性化合物、それを含むフォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 255/23 20060101AFI20231005BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231005BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20231005BHJP
   C07D 333/24 20060101ALI20231005BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231005BHJP
   C07C 381/12 20060101ALI20231005BHJP
   C07C 25/18 20060101ALI20231005BHJP
   C07C 57/42 20060101ALI20231005BHJP
   C07C 57/26 20060101ALI20231005BHJP
   C07C 63/06 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C07C255/23
G03F7/004 501
G03F7/039 601
G03F7/004 503A
C07D333/24 CSP
G03F7/20 521
G03F7/20 501
C07C381/12
C07C25/18
C07C57/42
C07C57/26
C07C63/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023046501
(22)【出願日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/710,126
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エマド アカド
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン グン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン インジェ
(72)【発明者】
【氏名】イ チョン-ボン
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4H006
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H197JA22
2H225AF11P
2H225AF16P
2H225AF24P
2H225AF53P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AF73P
2H225AF99P
2H225AH14
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ48
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB08
2H225CC03
2H225CC15
4H006AA01
4H006AB90
(57)【要約】
【課題】 光活性化合物、それを含むフォトレジスト組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 式(1a)又は(1b):
【化1】

(式中、Rは、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールであり;R及びRは、本明細書で提供される通りであり;Rは、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールであり;及びMは、有機カチオンである)
の光活性化合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1a)又は(1b):
【化1】

(式中、
は、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C2~30アルケニル、置換若しくは非置換C2~30アルキニル、置換若しくは非置換C~C30アルコキシ基、置換若しくは非置換C~C30アルキルチオ基、置換若しくは非置換C~C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換C~C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは非置換C7~30アルキルアリール又は置換若しくは非置換C~C30アリールオキシ基であり;
は、水素又は非水素置換基であり;
は、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールであり;
、R及びRのそれぞれは、それらの構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含み、前記1つ以上の二価連結基のそれぞれは、独立して、置換又は非置換であり;
及びRは、一緒に、環であって、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含む環を形成し、前記1つ以上の二価連結基のそれぞれは、置換又は非置換であり、前記環は、置換又は非置換であり;及び
は、有機カチオンである)
の光活性化合物。
【請求項2】
は、置換又は非置換C1~20有機基である、請求項1に記載の光活性化合物。
【請求項3】
は、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-又はそれらの組合せを更に含み、及び
は、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである、請求項2に記載の光活性化合物。
【請求項4】
は、ハロゲン原子、シアノ基又はC1~5ハロアルキルである、請求項1に記載の光活性化合物。
【請求項5】
は、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は窒素若しくは酸素から選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである、請求項1に記載の光活性化合物。
【請求項6】
は、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである、請求項1に記載の光活性化合物。
【請求項7】
は、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである、請求項1に記載の光活性化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の光活性化合物と;
溶媒と
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項9】
塩基における又は酸の作用下での有機溶媒における溶解性を切り替える材料を更に含み、前記材料は、前記光活性化合物と異なる、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記光活性化合物と異なる光酸発生剤を更に含む、請求項9に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
パターンを形成する方法であって、
(a)請求項8に記載のフォトレジスト組成物からのフォトレジスト層を基板上に形成することと;
(b)前記フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと;
(c)前記露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を提供することと
を含む方法。
【請求項12】
は、置換又は非置換C1~20有機基である、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
は、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-又はそれらの組合せを更に含み、及び
は、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
は、ハロゲン原子、シアノ基又はC1~5ハロアルキルである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項15】
は、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は窒素若しくは酸素から選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項16】
は、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項17】
は、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項18】
は、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項19】
は、置換又は非置換C1~20有機基である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
は、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-又はそれらの組合せを更に含み、及び
は、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物のための光活性化合物及びそのようなフォトレジスト組成物を使用するパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィ用途に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、基板上に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下位層に画像を転写するために典型的に使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高め、且つナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像能力を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィ処理ツールが開発されてきた。
【0003】
従来、化学増幅フォトレジストが高解像度処理のために使用されている。そのようなレジストは、典型的には、酸不安定基を有するポリマー、光酸発生剤及び酸失活材料を使用する。フォトマスクを通した活性化放射線へのパターン様露光は、酸発生剤に酸を形成させ、それは、露光後ベーキング中、ポリマーの露光領域において酸不安定基の開裂を引き起こす。非露光領域への酸の拡散を制御してコントラストを改善するために、多くの場合、酸失活材料がフォトレジスト組成物に添加される。リソグラフィプロセスの結果は、現像液へのレジストの露光領域と非露光領域との間の溶解度特性の差の生成である。ポジ型現像(PTD)プロセスにおいて、フォトレジスト層の露光領域は、現像液に可溶性になり、基板表面から除去されるが、現像液に不溶性である非露光領域は、現像後に残ってポジ画像を形成する。結果として生じたレリーフ像は、基板の選択的な処理を可能にする。
【0004】
化学増幅レジストで一般に使用される非光活性酸失活材料には、線状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、線状及び環状アミド並びにそれらの誘導体が含まれる。別のタイプの一般に使用される酸失活材料クラスは、光分解可能な失活剤又は光分解性失活剤として知られる光活性失活剤である。光活性失活剤は、化学増幅レジスト組成物にも使用されている。光分解可能な失活剤は、典型的には、光活オニウムカチオンとアニオンとを含む塩であって、アニオンが弱酸の共役塩基である、塩である。この塩は、露光前に塩基又は酸失活剤として機能する。露光時、光分解性失活剤のアニオン部分がプロトン化されることになり、したがってより酸性になる。そのため、光分解可能な失活剤を含む化学増幅レジストの照射時、露光部分における酸失活剤の濃度は、劇的に低下した。一方で、非露光部における無傷の光分解可能な失活剤は、リソグラフ処理中に露光部から拡散する酸分子を捕捉し、それによりリソグラフィ性能を高め得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,431,325号明細書
【特許文献2】米国特許第4,189,323号明細書
【特許文献3】米国特許第8,936,000 B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光分解可能な失活剤を含むフォトレジスト組成物及びその使用は、当技術分野において記載されている。しかしながら、多くの他の適用に関して、優れた線エッジ粗さ(LWR)及びより幅広い焦点深度(DOF)を高分解行間特徴に提供することができる新規なフォトレジストが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
式(1a)又は(1b):
【化1】

(式中、Rは、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールであり;Rは、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C2~30アルケニル、置換若しくは非置換C2~30アルキニル、置換若しくは非置換C~C30アルコキシ基、置換若しくは非置換C~C30アルキルチオ基、置換若しくは非置換C~C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換C~C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは非置換C7~30アルキルアリール又は置換若しくは非置換C~C30アリールオキシ基であり;Rは、水素又は非水素置換基であり;Rは、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールであり;R、R及びRのそれぞれは、それらの構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含み、1つ以上の二価連結基のそれぞれは、独立して、置換又は非置換であり;R及びRは、一緒に、環であって、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含む環を任意選択的に形成し、1つ以上の連結基のそれぞれは、置換又は非置換であり、環は、置換又は非置換であり;及びMは、有機カチオンである)
の光活性化合物が提供される。
【0008】
別の態様は、光活性化合物と溶媒とを含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0009】
更に別の態様は、パターンを形成する方法であって、(a)フォトレジスト組成物からのフォトレジスト層を形成することと;(b)フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと;(c)露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を提供することとを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、例示的な実施形態が詳細に言及され、それらの例が本説明で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本説明の態様を記載するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組合せを包含する。「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0011】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表明値を含み、前後関係によって決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限及び/又は特徴は、様々な態様では任意の好適な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0012】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0013】
本明細書で用いる場合、「化学線」又は「放射線」は、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線等を意味する。更に、本発明において、「光」は、化学線又は放射線を意味する。
【0014】
フッ化アルゴンレーザー(ArFレーザー)は、特定タイプのエキシマレーザーであり、それは、エキシプレックスレーザーと言われる場合がある。「エキシマ」は、「励起二量体」の略であり、一方、「エキシプレックス」は、「励起錯合体」の略である。エキシマレーザーは、希ガス(アルゴン、クリプトン又はキセノン)と、ハロゲンガス(フッ素又は塩素)との混合物を使用し、それは、電気刺激及び高圧の好適な条件下で、干渉性の刺激放射線(レーザー光)を紫外範囲で放出する。
【0015】
更に、本明細書における「露光」には、特に明記しない限り、水銀ランプ、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)等による露光のみならず、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線による書き込みも含まれる。
【0016】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素」は、少なくとも1個の炭素原子及び少なくとも1個の水素原子を有する有機化合物又は基を指し;「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖若しくは分岐鎖の飽和炭化水素基を指し;「アルキレン」は、2の価数を有するアルキル基を指し;「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し;「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を指し;「カルボキシル」及び「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し;「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を指し;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を指し;「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖若しくは分岐鎖の、一価炭化水素基を指し;「アルケノキシ」は、「アルケニル-O-」を指し;「アルケニレン」は、2の価数を有するアルケニル基を指し;「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族環状一価炭化水素基を指し;「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を指し;用語「芳香族基」は、Huckel則を満たし、環中に炭素を含み、及び環中の炭素原子の代わりに、N、O及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式若しくは多環式環系を指し;「アリール」は、あらゆる環員が炭素である一価の芳香族単環式若しくは多環式環系を指し、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含み得;「アリーレン」は、2の価数を有するアリール基を指し;「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を指し;「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基を指し;「アリールオキシ」は、「アリール-O-」を指し;「アリールチオ」は、「アリール-S-」を指す。
【0017】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つのメンバー(例えば、1、2、3又は4個以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基を指し;「ヘテロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1個のヘテロ原子を有するアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1個のヘテロ原子を環員として有するシクロアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキレン」は、2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指す。
【0018】
用語「ヘテロアリール」は、N、O、S、Si又はPからそれぞれ独立して選択される、1~4個のヘテロ原子(単環式の場合)、1~6個のヘテロ原子(二環式の場合)又は1~9個のヘテロ原子(三環式の場合)(例えば、それぞれ単環式、二環式又は三環式の場合、炭素原子及び1~3、1~6又は1~9つのN、O又はSのヘテロ原子)を有する芳香族4~8員単環式、8~12員二環式又は11~14員三環式環系を意味する。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル(フリル若しくはフラニル)、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニル又はチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル等が挙げられる。
【0019】
明白に特に規定されない限り、前述の置換基のそれぞれは、任意選択的に置換され得る。用語「任意選択的に置換される」は、置換又は非置換であることを指す。「置換」は、指定された原子の正常な原子価を越えないことを条件として、化学構造の少なくとも1個の水素原子が典型的には一価である別の末端置換基で置換されていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2個のジェミナル水素原子が末端オキソ基で置換される。置換基又は変数の組合せが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な置換基には、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-若しくはジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそれのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)及びC7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む);アミド(-C(=O)NR(式中、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CHC(=O)NR(式中、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C2~18ヘテロシクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環を有するC6~12アリール(例えば、各環が置換芳香族若しくは非置換芳香族のいずれかのフェニル、ビフェニル、ナフチル等)、1~3つの別個の環又は縮合環と、6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3つの別個の環又は縮合環と、6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C3~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル、(-S(=O)-アリール)又はトシル(CHSO-)が含まれるが、それらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基中の炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ置換Cアルキル基である。
【0020】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基の1つ以上を含む基を意味する。ハロ基(例えば、ブロモ及びフルオロ)の組合せ又はフルオロ基のみが存在し得る。例えば、用語「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル基を指す。本明細書で用いる場合、「置換C1~8ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンで置換されたC1~8アルキル基を指し、ハロゲンではない1つ以上の他の置換基で更に置換される。ハロゲン原子は、炭素原子に取って代わらないため、ハロゲン原子での基の置換は、ヘテロ原子含有基と考えられないことが理解されるべきである。
【0021】
本明細書で用いる場合、「酸不安定基」は、任意選択的に及び典型的に熱処理を伴って、酸の触媒的作用により、結合が開裂し、ポリマー上に形成される、カルボン酸基又はアルコール基など、極性基の形成をもたらす基を指し、任意選択的に及び典型的に、開裂した結合に結び付いた部分は、ポリマーから切断される。他の系では、非ポリマー化合物は、酸の触媒作用によって開裂し、非ポリマー化合物の開裂部分上にカルボン酸基又はアルコール基など、極性基の形成をもたらし得る酸不安定基を含み得る。そのような酸は、典型的には、露光後ベーキング中に結合開裂が起こる光発生酸であるが、しかしながら、実施形態は、これに限定されず、例えば、そのような酸は、熱的に発生され得る。好適な酸不安定基には、例えば、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」及び「酸感受性基」とも一般に言われる。
【0022】
本明細書で用いる場合、定義が特に規定されない限り、「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは非置換C1~30アルキレン、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~30アリーレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリーレン又はそれらの組合せの1つ以上を含む二価基を指し、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールである。典型的には、二価連結基には、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは非置換C1~30アルキレン、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~30アリーレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリーレン又はそれらの組合せの1つ以上が含まれ、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価連結基には、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、置換若しくは非置換C1~10アルキレン、置換若しくは非置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは非置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~10アリーレン、置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリーレン又はそれらの組合せの少なくとも1つが含まれ、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである。
【0023】
本発明は、光活性化合物、例えば、光分解可能な失活剤(PDQ)化合物に関する。具体的には、本発明の光活性化合物は、被印刷特徴の改善された粗さ及びより幅広いDOFを達成するために、フォトレジスト組成物中に使用することができるα,β-不飽和カルボキシレートを含む塩である。
【0024】
光活性化合物は、式(1a)又は(1b)のものである。
【化2】
【0025】
式(1a)において、Rは、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールである。好ましくは、Rは、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり得、典型的には、Rは、置換若しくは非置換C6~20アリール又は窒素若しくは酸素から選択される芳香環ヘテロ原子を含む置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり得、置換C6~20アリール及び置換C3~20ヘテロアリールは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル基、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C~C20アリール、置換若しくは非置換C~C20アリールオキシ、置換若しくは非置換C~C20ヘテロアリール又は式-C(O)OR(式中、Rは、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールであり得る)の基の少なくとも1つで置換され得る。
【0026】
式(1a)において、Rは、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C2~30アルケニル、置換若しくは非置換C2~30アルキニル、置換若しくは非置換C~C30アルコキシ基、置換若しくは非置換C~C30アルキルチオ基、置換若しくは非置換C~C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換C~C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは非置換C7~30アルキルアリール又は置換若しくは非置換C~C30アリールオキシ基である。好ましくは、Rは、水素、ハロゲン又は置換若しくは非置換C1~10アルキルであり得、典型的には、Rは、水素であり得る。
【0027】
式(1a)において、R及びRのそれぞれは、それらの構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含み、1つ以上の二価連結基のそれぞれは、独立して、置換又は非置換である。
【0028】
式(1a)において、R2及びRは、一緒に、環であって、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含む環を任意選択的に形成し、1つ以上の二価連結基のそれぞれは、置換又は非置換であり、環は、置換又は非置換である。
【0029】
式(1a)において、Rは、水素又は非水素置換基である。例えば、Rは、水素又は置換若しくは非置換C1~20有機基であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-又はそれらの組合せを更に含むC1~20有機基であり得、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである。他の実施形態では、Rは、ハロゲン原子、シアノ基又は置換若しくは非置換C1~5ハロアルキルであり得る。いくつかの態様では、Rが置換若しくは非置換C6~30アリールである場合、Rは、水素又はハロゲンではない。
【0030】
式(1b)において、Rは、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールである。好ましくは、Rは、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり得る。例えば、Rは、置換若しくは非置換C6~18アリール又は置換若しくは非置換C3~18ヘテロアリールであり得、置換C6~18アリール及び置換C3~18ヘテロアリールは、ハロゲン、アミノ(-NH)、モノ-若しくはジ-(C1~6)アルキルアミノ、置換若しくは非置換C1~6アルキル、置換若しくは非置換C1~6ハロアルキル、置換若しくは非置換C1~9アルコキシ、置換若しくは非置換C2~6アルケニル、置換若しくは非置換C6~12アリール、置換若しくは非置換C3~12ヘテロアリール又はそれらの組合せの少なくとも1つでそれぞれ置換されている。Rは、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を任意選択的に更に含み、1つ以上の二価連結基のそれぞれは、独立して、置換又は非置換である。
【0031】
式(1a)及び(1b)において、Mは、有機カチオンである。例えば、Mは、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであり得る。いくつかの実施形態では、Mは、式(2a)のスルホニウムカチオン又は式(2b)のヨードニウムカチオンであり得る。
【化3】
【0032】
式(2a)及び(2b)において、R10、R20及びR30は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C6~30ヨードアリール、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルであり得る。R10、R20及びR30のそれぞれは、別個であり得るか、又は単結合若しくは二価連結基を介してR10、R20又はR30の別の基に結合して環を形成し得るかのいずれかであり得る。R10、R20及びR30のそれぞれは、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に含み得る。R10、R20及びR30のそれぞれは、独立して、例えば三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。R10、R20及び/又はR30基の連結のための好適な二価連結基には、例えば、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-C(S)-、-C(Te)-若しくは-C(Se)-、置換若しくは非置換C1~5アルキレン又はそれらの組合せが含まれる。
【0033】
式(2a)の例示的なスルホニウムカチオンには、以下が含まれる。
【化4】
【0034】
式(2b)の例示的なヨードニウムカチオンには、以下が含まれる。
【化5】
【0035】
いくつかの態様では、式(1a)の光活性化合物は、式(3a)で表され得る。
【化6】
【0036】
式(3a)において、環CY1は、C3~30炭素環式基又はC3~30複素環式基であり得る。好ましくは、環CY1は、C3~8シクロアルキル、C6~14アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含むC3~12ヘテロアリールである。
【0037】
式(3a)において、各Lは、独立して、単結合又は二価連結基であり得る。
【0038】
式(3a)において、各Rは、独立して、ヒドロキシル、-F、-I、-CF、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールであり得る。
【0039】
式(3a)において、aは、0~10の整数である。好ましくは、aは、0~5の整数であり、典型的には、aは、0~3の整数である。
【0040】
式(3a)において、Lは、単結合、-C(O)-、-C(O)O-又は-C(O)N(R5a)-(式中、R5aは、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである)である。
【0041】
式(3a)において、Rは、水素、シアノ、ヒドロキシル、-F、-I、-CF、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールであり得る。いくつかの実施形態では、Rが置換C1~10アルキル、置換C3~20シクロアルキル、置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換C6~10アリール又は置換C3~10ヘテロアリールである場合、置換R基の少なくとも1つの置換基は、ヒドロキシ、-I又はそれらの組合せであり得る。
【0042】
式(3a)において、Mは、式(1a)において定義されたものと同じものである。
【0043】
いくつかの態様では、式(1b)の光活性化合物は、式(3b)で表され得る。
【化7】
【0044】
式(3b)において、環CY2は、C3~30炭素環式基又はC3~30複素環式基であり得る。好ましくは、環CY2は、C3~8シクロアルキル、C6~14アリール又は窒素、酸素若しくはそれらの組合せから選択される芳香環ヘテロ原子を含むC3~12ヘテロアリールである。
【0045】
式(3b)において、bは、0~10の整数である。好ましくは、bは、0~5の整数であり、典型的には、bは、0~3の整数である。
【0046】
式(3b)において、Lは、単結合、-C(O)-、-C(O)O-又は-C(O)N(R5b)-(式中、R5bは、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールである)である。
【0047】
式(3b)において、R11は、水素、シアノ、ヒドロキシル、-F、-I、-CF、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~10アリール又は置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリールであり得る。いくつかの実施形態では、Rが置換C1~10アルキル、置換C3~20シクロアルキル、置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換C6~10アリール又は置換C3~10ヘテロアリールである場合、置換R基の少なくとも1つの置換基は、ヒドロキシ、-I又はそれらの組合せであり得る。
【0048】
式(3b)において、Mは、式(1b)において定義されたものと同じものである。
【0049】
式(1a)の光活性化合物のアニオン部分の非限定的な例としては、以下の化合物の1つ以上が挙げられ得る。
【化8】

【化9】

【化10】
【0050】
式(1b)の光活性化合物のアニオン部分の非限定的な例としては、以下の化合物の1つ以上が挙げられ得る。
【化11】
【0051】
本発明は、光活性化合物と溶媒とを含み、追加の任意選択的な成分を含有し得るフォトレジスト組成物に更に関する。典型的には、フォトレジスト組成物は、ポリマー、光酸発生剤(PAG)又はそれらの組合せを更に含むであろう。
【0052】
ある態様によれば、フォトレジスト組成物は、塩基における又は酸の作用下での有機溶媒における溶解性を切り替える材料であって、光活性化合物と異なる材料を更に含む。例えば、この材料は、ポリマー又は分子性ガラスであり得る。
【0053】
ポリマーは、1種以上の繰り返し単位を含み得る。繰り返し単位は、例えば、エッチ速度及び溶解性など、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の単位であり得る。例示的な繰り返し単位には、(メタ)アクリレート、ビニル芳香族、ビニルエーテル、ビニルケトン及び/又はビニルエステルモノマーの1つ以上に由来するものが含まれ得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、酸不安定基を含む繰り返し単位は、式(4)、(5)又は(6)の1つ以上のモノマーに由来し得る。
【化12】
【0055】
式(4)、(5)及び(6)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは非置換C1~10アルキルであり得る。好ましくは、R~Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素又は置換若しくは非置換C1~5アルキル、典型的にはメチルであり得る。
【0056】
式(4)において、Lは、二価連結基である。例えば、Lは、1~10個の炭素原子と、少なくとも1個のヘテロ原子とを含み得る。典型的な例では、Lは、-OCH-、-OCHCHO-又は-N(R5c)(式中-、R5cは、水素又はC1~6アルキルである)であり得る。
【0057】
式(4)及び(5)において、R21~R26は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであるが、但し、R21~R23の1つ以下が水素であり得ること及びR24~R26の1つ以下が水素であり得ることを条件とし、及びR21~R23の1つが水素である場合、R21~R23以外の少なくとも1つは、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり、R24~R26の1つが水素である場合、24~R26以外の少なくとも1つは、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであることを条件とする。好ましくは、R21~R26は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1~6アルキル又は置換若しくは非置換のC3~10シクロアルキルである。R21~R26のそれぞれは、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含み得る。
【0058】
式(4)において、R21~R23のいずれか2つは、一緒に、単結合又は二価連結基を介して環を任意選択的に形成し得、この環は、置換又は非置換であり得る。式(5)において、R24~R26のいずれか2つは、一緒に、単結合又は二価連結基を介して環を任意選択的に形成し得、この環は、置換又は非置換であり得る。
【0059】
例えば、R21~R26のいずれか1つ以上は、独立して、式-CHC(=O)CH(3-n)(式中、各Yは、独立して、置換若しくは非置換C2~10ヘテロシクロアルキルであり、nは、1又は2である)の基であり得る。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-(式中、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは非置換アルキルであり、Ca1及びCa2は、一緒に、環を任意選択的に形成する)の基を含む置換若しくは非置換C2~10ヘテロシクロアルキルであり得る。
【0060】
式(6)及び(8)において、R27、R28、R34及びR35は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり得;R16及びR22は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。好ましくは、R27、R28、R34及びR35は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキルである得る。R27、R28、R34及びR35のそれぞれは、それらの構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含み得る。
【0061】
式(7)において、R31~R33は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり得るが、但し、R31~R33の1つ以下が水素であり得ることを条件とし、及びR31~R33の1つが水素である場合、R31~R33以外の少なくとも1つが置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであることを条件とする。R31~R33のそれぞれは、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含み得る。
【0062】
式(7)において、R31~R33のいずれか2つは、一緒に、環であって、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含み得る環を形成し、環基は、置換又は非置換であり得る。
【0063】
式(7)及び(8)において、X及びXは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C20アルケニル又は置換若しくは非置換ノルボルニル、好ましくは(メタ)アクリレート又はCアルケニルなど、エチレン性不飽和二重結合を含む重合性基である。
【0064】
式(7)及び(8)において、L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は二価連結基であるが、但し、Lは、XがCアルケニルである場合に単結合ではないこと及びLは、XがCアルケニルである場合に単結合ではないことを条件とする。好ましくは、L及びLは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C6~30アリーレン又は置換若しくは非置換C6~30シクロアルキレンである。式(7)及び(8)において、n1は、0又は1であり、n2は、0又は1である。n1が0である場合、L基は、酸素原子に直接結合していることが理解されるべきである。n2が0である場合、L基は、酸素原子に直接結合していることが理解されるべきである。
【0065】
式(8)において、R34~R36のいずれか2つは、一緒に、環であって、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含み得る環を形成し得、この環は、置換又は非置換であり得る。
【0066】
いくつかの態様では、R21~R29及びR31~R36のそれぞれは、それらの構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-又は-C(O)N(R’)-(式中、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキルであり得る)から選択される1つ以上の二環連結基を任意選択的に更に含み得る。
【0067】
いくつかの態様では、酸不安定基を含む繰り返し単位において、酸不安定基は、三級アルキルエステルであり得る。例えば、三級アルキルエステル基を含む繰り返し単位は、式(4)、(5)又は(7)の1種以上のモノマーに由来し得、R21~R26又はR34~R36のいずれも水素ではなく、n1は、1である。
【0068】
式(4)の例示的なモノマーには、以下の1つ以上が含まれる。
【化13】
【0069】
式(5)の例示的なモノマーには、以下:
【化14】

【化15】

(式中、Rは、式(3)においてRに関して定義された通りであり;R及びR’’は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは非置換C6~20アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである)
の1つ以上が含まれる。
【0070】
式(6)の例示的なモノマーには、以下:
【化16】

(式中、Rは、Rに関して上で定義された通りである)
の1つ以上が含まれる。
【0071】
式(7)の例示的なモノマーには、以下の1つ以上が含まれる。
【化17】
【0072】
式(8)の例示的なモノマーには、以下の1つ以上が含まれる。
【化18】
【0073】
いくつかの態様では、ポリマーは、環状アセタール基又は環状ケタール基を有する、例えば以下の構造:
【化19】

(式中、Rは、Rに関して上で定義された通りである)
の1つ以上を有する1種以上のモノマーに由来する酸不安定な繰り返し単位を有し得る。
【0074】
いくつかの態様では、ポリマーは、三級アルコキシ基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位、例えば以下の1種以上のモノマーを有し得る。
【化20】
【0075】
存在する場合、酸不安定基を含む繰り返し単位は、典型的には、ポリマー中の全繰り返し単位を基準として5~95モル%、より典型的には20~80モル%、更により典型的には30~50モル%の量でポリマー中に含まれる。
【0076】
いくつかの態様では、ポリマーは、極性基を含む繰り返し単位を更に含み得、この極性基は、ポリマーの主鎖へのペンダント基である。例えば、極性基は、ラクトン基、ヒドロキシアリール基、フルオロアルコール基又はそれらの組合せであり得る。
【0077】
1つ以上の実施形態では、ポリマーは、式(9)の1種以上のラクトン含有モノマーに由来する第3の繰り返し単位を更に含み得る。
【化21】
【0078】
式(9)において、Rは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは非置換C1~10アルキルである。
【0079】
式(9)において、Lは、単結合又は二価連結基である。好ましくは、Lは、単結合又は置換若しくは非置換C1~30アルキレン、置換若しくは非置換C1~30ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~30アリーレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-又は-C(O)N(R’’)-(式中、R及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキルであり得る)から選択される1つ以上の基である。Lが単結合の場合、部分-R37は、カルボニル基に隣接している酸素原子に直接結合している(すなわち-C(O)O-R37)。
【0080】
式(9)において、R37は、置換若しくは非置換C4~20ラクトン含有基又は置換若しくは非置換C4~20スルトン含有基である。C4~20ラクトン含有基及びC4~20スルトン含有基は、単環式、多環式又は縮合多環式であり得る。
【0081】
式(9)の例示的なモノマーには、以下:
【化22】

(式中、Rは、式(9)に関して定義された通りである)
の1つ以上が含まれ得る。
【0082】
ポリマーは、塩基可溶性であり、且つ/又は12以下のpKaを有する繰り返し単位を含み得る。例えば、ポリマーの主鎖にペンダントする極性基を含む繰り返し単位は、式(10)、(11)又は(12)の1種以上のモノマーに由来し得る。
【化23】
【0083】
式(10)、(11)又は(12)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは非置換C1~10アルキルであり得る。好ましくは、R~Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素又は置換若しくは非置換C1~5アルキル、典型的にはメチルであり得る。
【0084】
式(10)において、R38は、置換若しくは非置換C1~100若しくはC1~20アルキル、典型的にはC1~12アルキル;置換若しくは非置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル;又は置換若しくは非置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)であり得る。好ましくは、置換C1~100若しくはC1~20アルキル、置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル及び置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)は、ハロゲン、C1~4フルオロアルキル基、典型的にはフルオロメチルなどのフルオロアルキル基、スルホンアミド基-NH-S(O)-Y(式中、Yは、F若しくはC1~4ペフルオロアルキルである)(例えば、-NHSOCF)又はフルオロアルコール基(例えば、-C(CFOH)の1つ以上で置換されている。
【0085】
式(11)において、Lは、単結合又は任意選択的に-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-NR102-若しくは-C(O)N(R102)-(式中、R102は、水素及び任意選択的に置換されたC1~10アルキルから選択される)から選択される1つ以上の連結部分とともに、例えばC1~6アルキレン又はC3~20シクロアルキレンなど、任意選択的に置換された脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素並びにそれらの組合せから選択される多価連結基を表す。例えば、ポリマーは、式(10)(式中、Lは、単結合又は置換若しくは非置換C1~20アルキレン、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキレン及び置換若しくは非置換C6~24アリーレン、典型的には置換若しくは非置換C1~6アルキレン、置換若しくは非置換C3~10シクロアルキレン又は置換若しくは非置換C6~24アリーレンから選択される多価連結基である)の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を更に含み得る。
【0086】
式(11)において、n3は、1~5の整数であり、典型的には1である。n3が1である場合、基Lは、二価連結基であることが理解されるべきである。n3が2である場合、基Lは、三価連結基であることが理解されるべきである。同様に、n3が3である場合、基Lは、四価連結基であり;n3が4である場合、基Lは、五価連結基であり;及びn3が5である場合、基Lは、六価連結基であることが理解されるべきである。したがって、式(10)に関連して、用語「多価連結基」は、二価、三価、四価、五価及び/又は六価連結基のいずれかを指す。いくつかの態様では、nが2以上である場合、カルボン酸基(-C(O)OH)は、連結基Lの同じ原子に結合し得る。他の態様では、nが2以上である場合、カルボン酸基(-C(O)OH)は、連結基Lの異なる原子に結合し得る。
【0087】
式(12)において、Lは、単結合又は二価連結基を表す。好ましくは、Lは、単結合、置換若しくは非置換C6~30アリーレン又は置換若しくは非置換C6~30シクロアルキレンであり得る。
【0088】
式(12)において、n4は、0又は1である。n4が0である場合、-OC(O)-で表される部分は、Lがアルケニル(ビニル)炭素原子に直接結合するように単結合であることが理解されるべきである。
【0089】
式(12)において、Arは、N、O、S又はそれらの組合せから選択される1つ以上の芳香環ヘテロ原子を任意選択的に含み得る置換C5~60芳香族基であり、芳香族基は、単環式、非縮合多環式又は縮合多環式であり得る。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合(ナフチル等など)、非縮合又はそれらの組合せであり得る。多環式C5~60芳香族基が非縮合である場合、環又は環基は、直接連結され得る(ビアリール、ビフェニル等など)か、又はヘテロ原子によって架橋され得る(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)。いくつかの態様では、多環式C5~60芳香族基は、縮合環と直接結合した環(ビナフチルなど)との組合せを含み得る。
【0090】
式(12)において、yは、1~12、好ましくは1~6、典型的には1~3の整数であり得る。各Rは、独立して、水素又はメチルであり得る。
【0091】
式(10)、(11)又は(12)のモノマーの非限定的な例としては、以下:
【化24】

【化25】

(式中、Yは、上で記載された通りであり、Rは、式(10)~(12)において定義された通りである)
の1つ以上が挙げられる。
【0092】
存在する場合、ポリマーは、典型的には、ポリマー中の全繰り返し単位を基準として1~60モル%、典型的には5~50モル%、より典型的には5~40モル%の量で極性基(ポリマーの主鎖へのペンダント基)を含む繰り返し単位を含む。
【0093】
本発明の非限定的な例示的なポリマーには、以下:
【化26】

【化27】

【化28】

(式中、x、y及びzのそれぞれは、関連繰り返し単位のモル分率であり、各ポリマーに関するモル分率の合計は、1になる)
の1つ以上が含まれる。
【0094】
ポリマーは、当技術分野における任意の好適な方法を用いて調製され得る。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーが好適な溶媒及び開始剤を使用して組み合わされるか、又は別々に供給され、反応器中で重合され得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長の化学線での照射又はそれらの組合せなど、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。
【0095】
フォトレジスト組成物は、光酸発生剤(PAG)を更に含む。好適なPAGは、露光後ベーク(PEB)中、フォトレジスト組成物のポリマー上に存在する酸不安定基の開裂を引き起こす酸を生成することができる。PAGは、非ポリマー形態又はポリマー形態であり得、例えば上で記載されたようなポリマーの重合した繰り返し単位中において又は異なるポリマーの一部として存在し得る。好適な非ポリマーPAG化合物は、式G(式中、Gは、2つのアルキル基、2つのアリール基又はアルキル基とアリール基との組合せで置換されたヨードニウムカチオン;3つのアルキル基、3つのアリール基又はアルキル基とアリール基との組合せで置換されたスルホニウムカチオンから選択される有機カチオンであり、Aは、非重合性有機アニオンである)を有し得る。いくつかの実施形態では、PAGは、非重合PAG化合物、重合性PAGモノマーに由来するPAG部分を有するポリマーの繰り返し単位又はそれらの組合せとして含まれ得る。
【0096】
特に好適な非ポリマー有機アニオンには、それらの共役酸が-15~1のpKaを有するものが含まれる。特に好ましいアニオンは、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドである。
【0097】
有用な非ポリマーPAG化合物は、化学増幅フォトレジストの技術分野で公知であり、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートを含む。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンも光酸発生剤として機能することが知られている。好適な非重合型酸発生剤は、Hashimotoらの(特許文献1)、37列、11~47行及び41~91列に更に記載されている。他の好適なスルホネートPAGには、(特許文献2)及び(特許文献1)に記載されているようなスルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセテート並びにt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセテートが含まれる。
【0098】
典型的には、フォトレジスト組成物が非ポリマー光酸発生剤を含む場合、それは、フォトレジストの全固形分を基準として1~65重量%、より典型的には2~20重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0099】
いくつかの実施形態では、Gは、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであり得る。例えば、Gは、Mに関して本明細書で記載されたようなスルホニウムカチオンであり得るか、又はGは、Mに関して本明細書で記載されたようなヨードニウムカチオンであり得る。フォトレジスト組成物がPAGを更に含む場合、カチオンGは、Mと同じであり得るか、又はカチオンGは、Mと異なり得る。
【0100】
オニウム塩であるPAGは、典型的には、スルホネート基又はスルホンアミデート、スルホンイミデート、メチド若しくはボレートなど、非スルホネート型基を有する有機アニオンを含む。
【0101】
スルホネート基を有する例示的な有機アニオンには、以下が含まれる。
【化29】
【0102】
例示的な非スルホネート化アニオンには、以下が含まれる。
【化30】
【0103】
フォトレジスト組成物は、複数のPAGを任意選択的に含み得る。複数のPAGは、ポリマー、非ポリマーであり得るか、又はポリマーPAG及び非ポリマーPAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれのPAGは、非重合体型である。
【0104】
1つ以上の態様では、フォトレジスト組成物は、アニオン上にスルホネート基を含む第1の光酸発生剤を含み得、フォトレジスト組成物は、非ポリマーである第2の光酸発生剤を含み得、第2の光酸発生剤は、スルホネート基を含まないアニオンを含み得る。
【0105】
いくつかの態様では、ポリマーは、PAG含有部分を含む繰り返し単位、例えば式(13)の1つ以上のモノマーに由来する繰り返し単位を任意選択的に更に含み得る。
【化31】
【0106】
式(13)において、Rは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは非置換C1~10アルキルであり得る。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは非置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。Qは、単結合又は二価連結基であり得る。好ましくは、Qは、1~10の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子、より好ましくは-C(O)-O-を含み得る。
【0107】
式(13)において、Aは、置換若しくは非置換C1~30アルキレン、置換若しくは非置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは非置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~30アリーレン又は置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリーレンの1つ以上であり得る。好ましくは、Aは、任意選択的に置換されている二価のC1~30ペルフルオロアルキレン基であり得る。
【0108】
式(13)において、Zは、アニオン部分であり、その共役酸は、典型的には、-15~1のpKaを有する。Zは、スルホネート、カルボキシレート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン又はメチドアニオンであり得る。特に好ましいアニオン部分は、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドである。Gは、上で定義されたような有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Gは、2つのアルキル基、2つのアリール基若しくはアルキル基とアリール基との組合せで置換されたヨードニウムカチオン;又は3つのアルキル基、3つのアリール基若しくアルキル基とアリール基との組合せで置換されたスルホニウムカチオンである。
【0109】
式(13)の例示的なモノマーには、以下:
【化32】

(式中、Gは、有機カチオンである)
が含まれ得る。
【0110】
含まれる場合、ポリマーは、PAG部分を含む繰り返し単位を、ポリマー中の全繰り返し単位を基準として1~15モル%、典型的には1~8モル%、より典型的には2~6モル%の量で含み得る。
【0111】
フォトレジスト組成物は、分子性ガラス化合物を含み得る。分子性ガラス化合物は、(特許文献3)に提供されているような、塩基に安定であるが酸開裂性の芳香族保護基を含むためにアセタール化学を用いて変性される遊離ヒドロキシ基を有する四量体カリックス[4]アレーンである。フォトレジスト組成物は、固形分の総重量を基準として50~99重量%、好ましくは55~95重量%、より好ましくは60~90重量%、更により好ましくは65~90重量%の量で分子性ガラス化合物を含み得る。フォトレジスト中の成分とのこの関連において使用される「分子性ガラス化合物」は、分子性ガラス化合物のみ又は分子性化合物と別の分子性化合物若しくはフォトレジストに有用なポリマーとの組合せを意味し得ることが理解されるであろう。
【0112】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解させ、且つ基板上でのそのコーティングを容易にするための溶媒を更に含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。好適な溶媒には、例えば、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)などのアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME);ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソールなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ-ブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)などのケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソブチレートメチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチルなどのエステル;ガンマ-ブチロラクトン(GBL)及びイプシロン-カプロラクトンなどのラクトン;N-メチルピロリドンなどのラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル;炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン及び炭酸ジフェニルなどの環状又は非環状炭酸エステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒;水;並びにそれらの組合せが含まれる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO及びそれらの組合せである。
【0113】
フォトレジスト組成物中の総溶媒含有量(すなわち全ての溶媒に関する累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として典型的には40~99重量%、例えば70~99重量%又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされるフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0114】
ポリマーは、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には50~95重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在し得る。「全固形分」には、光活性化合物、ポリマー、PAG及び他の非溶媒成分が含まれることが理解されるであろう。
【0115】
いくつかの態様では、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基を含む材料(「塩基不安定材料」)を更に含み得る。本明細書で言及する場合、塩基不安定基は、露光ステップ及び露光後ベーキングステップ後に水性アルカリ性現像液の存在下で、開裂反応を受けてヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸等などの極性基を提供することができる官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像ステップの前に有意に反応しないであろう(例えば、結合切断反応を受けないであろう)。したがって、例えば、塩基不安定基は、露光前ソフトベーク、露光及び露光後ベークステップ中に実質的に不活性であろう。「実質的に不活性な」とは、塩基不安定基(又は部分)の5%以下、典型的には1%以下が露光前ソフトベーク、露光及び露光後ベークステップ中に分解する、開裂する又は反応することを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液などの水性のアルカリ性フォトレジスト現像液を使用する典型的なフォトレジスト現像条件下で反応性が高い。例えば、TMAHの0.26N水溶液は、例えば、0.26NのTMAH現像液が10~120秒(s)などの好適な時間、画像化フォトレジスト層上へ分配される、シングルパドル現像又は動的現像のために使用され得る。例示的な塩基不安定基は、エステル基、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定材料は、フォトレジスト組成物のポリマー及び他の固形成分と実質的に混和せず、それらよりも低い表面エネルギーを有する。基板上にコーティングされたとき、塩基不安定材料は、それによってレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面へ分離することができる。
【0116】
いくつかの態様では、塩基不安定材料は、本明細書では塩基不安定ポリマーとも言われる、ポリマー材料であり得、それは、1つ以上の塩基不安定基を含む1つ以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同じもの若しくは異なる2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む少なくとも1つの繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0117】
塩基不安定ポリマーは、式(14a):
【化33】

(式中、Xは、置換若しくは非置換C20アルケニル又は置換若しくは非置換(メタ)アクリロイルから選択される重合性基であり、L10は、例えば、置換若しくは非置換C1~20アルキレン、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含み得る二価連結基であり;Rは、置換若しくは非置換C1~20フルオロアルキルであるが、但し、式(14a)中のカルボニル(C=O)に結合した炭素原子は、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていることを条件とする)
の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーであり得る。
【0118】
式(14a)の例示的なモノマーには、以下が含まれ得る。
【化34】
【0119】
塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(14b):
【化35】

(式中、X及びRは、それぞれ式(14a)においてX及びRに関して定義された通りであり;L11は、置換若しくは非置換C1~20アルキレン、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含む多価連結基であり;n4は、2以上の整数、例えば2又は3である)
の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0120】
式(14b)の例示的なモノマーには、以下が含まれる。
【化36】
【0121】
塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(14c):
【化37】

(式中、X及びRは、それぞれ式(14a)においてX及びRに関して定義された通りであり;L12は二価連結基であり;L13は、置換若しくは非置換C1~20フルオロアルキレンであり、式(14c)中のカルボニル(C=O)に結合した炭素原子は、少なくとも1個のフッ素原子で置換されている)
の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0122】
式(14c)の例示的なモノマーには、以下が含まれ得る。
【化38】
【0123】
本発明の更に好ましい態様では、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基と、1つ以上の酸不安定エステル部分(例えば、t-ブチルエステル)又は酸不安定アセタール基などの1つ以上の酸不安定基とを含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基及び酸不安定基を含む繰り返し単位を含み得、すなわち、塩基不安定基及び酸不安定基の両方は、同じ繰り返し単位上に存在する。別の例では、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基を含む第1の繰り返し単位と、酸不安定基を含む第2の繰り返し単位とを含み得る。本発明の好ましいフォトレジストは、フォトレジスト組成物から形成されたレジストレリーフ像に関連する欠陥の減少を示すことができる。
【0124】
塩基不安定ポリマーは、第1及び第2のポリマーに関して本明細書で記載されたものを含めて、当技術分野における任意の好適な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線での照射又はそれらの組合せによるなど、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。加えて又は代わりに、1つ以上の塩基不安定基は、好適な方法を用いてポリマーの主鎖上へグラフトされ得る。
【0125】
いくつかの態様では、塩基不安定材料は、1つ以上の塩基不安定エステル基、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基を含む単一の分子である。単一分子である塩基不安定材料は、典型的には、50~1,500Daの範囲のMを有する。例示的な塩基不安定材料には、以下が含まれる。
【化39】
【0126】
存在する場合、塩基不安定材料は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として0.01~10重量%又は1~5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0127】
塩基不安定ポリマーに加えて又は代わりに、フォトレジスト組成物は、上で記載されたフォトレジストポリマーに加えて且つそれと異なる1種以上のポリマーを更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上で記載された通りであるが、組成が異なる追加のポリマー又は上で記載されたものと類似しているが、必須繰り返し単位のそれぞれを含まないポリマーを含み得る。加えて又は代わりに、1つ以上の追加のポリマーには、フォトレジスト技術において周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール又はそれらの組合せから選択されるものが含まれ得る。
【0128】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意選択的な添加剤には、化学線染料及び造影剤、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性失活剤(PDQ)(光分解性塩基としても知られる)、塩基性失活剤、熱酸発生剤、界面活性剤等、又はそれらの組合せが含まれ得る。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0129】
PDQは、照射されると弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成する酸は、レジストマトリックス中に存在する酸不安定基と迅速に反応するほど十分に強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは、例えば、C1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸のアニオンなどの弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった、強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なスルホン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好ましい実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレートなどの光分解性有機双性イオン化合物である。
【0130】
光分解性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であり得る。ポリマー形態の場合、光分解性失活剤は、第1のポリマー又は第2のポリマー上の重合単位内に存在する。光分解性失活剤を含有する重合単位は、典型的には、ポリマーの全繰り返し単位を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0131】
例示的な塩基性失活剤には、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン:n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの線状脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバル酸アミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N,N,N-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの線状及び環状アミド並びにそれらの誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート及びホスホネートの第四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;一級及び二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドンなどの任意選択的に置換されたピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンが含まれる。
【0132】
塩基性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であり得る。ポリマー形態である場合、失活剤は、ポリマーの繰り返し単位内に存在し得る。失活剤を含有する繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの全繰り返し単位を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0133】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であり得、非イオン界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能な、FC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC界面活性剤;並びにOmnova製のPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが挙げられる。ある態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0134】
本発明のフォトレジスト組成物を使用するパターン形成方法がこれから述べられる。フォトレジスト組成物をその上にコーティングすることができる好適な基板には、電子デバイス基板が含まれる。多種多様の電子デバイス基板、例えば、半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)のための基板等などが本発明において使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。好適な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態であり得る。そのような基板は、任意の好適なサイズであり得る。典型的なウェハー基板直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーが本発明に従って好適に用いられ得る。基板は、形成されるデバイスのアクティブな又は操作可能な部分を任意選択的に含み得る1つ以上の層又は構造を含み得る。
【0135】
典型的には、ハードマスク層、例えばスピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層又はそれらの組合せなどの1つ以上のリソグラフィ層は、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。そのような層は、オーバーコーティングされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィ材料スタックを形成する。
【0136】
任意選択的に、接着促進剤の層は、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的には、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン又はガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカプラーなど、ポリマーフィルムのための任意の好適な接着促進剤が使用され得る。特に好適な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能な、AP 3000、AP 8000及びAP 9000S名称で販売されているものが挙げられる。
【0137】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング等など、任意の好適な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、基板上にフォトレジスト組成物の層を得るために、典型的には最大4,000回転/分(rpm)、例えば200~3,000rpmの速度で15~120秒の期間回転される。コーティングされる層の厚さは、スピン速度及び/又は組成物の全固形分を変えることによって調節され得ることは、当業者によって十分理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト層は、典型的には、10~500ナノメートル(nm)、好ましくは15~200nm、より好ましくは20~120nmの乾燥層厚さを有する。
【0138】
フォトレジスト組成物は、典型的には次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行われ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えば、フォトレジスト組成物及び厚さに依存するであろう。ソフトベーク温度は、典型的には、80~170℃、より典型的には90~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、より典型的には1分~10分、更により典型的には1分~2分である。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者によって容易に決定することができる。
【0139】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いをもたらすために活性化放射線にパターン様露光される。組成物を活性化する放射線へのフォトレジスト組成物の露光への本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。露光は、典型的には、それぞれレジスト層の露光領域及び非露光領域に対応する光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有するパターン化フォトマスクを通して行われる。そのような露光は、代わりに、電子ビームリソグラフィのために典型的に用いられる、直接描画法においてフォトマスクなしで行われ得る。活性化放射線は、典型的には、400nm未満、300nm未満若しくは200nm未満の波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)、13.5nm(EUV)波長又は電子ビームリソグラフィが好ましい。好ましくは、活性化放射線は、193nm放射線又はEUV放射線である。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィ技術において利用される。露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には1平方センチメートル当たり1~200ミリジュール(mJ/cm)、好ましくは10~100mJ/cm、より好ましくは20~50mJ/cmである。
【0140】
フォトレジスト層の露光後に、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBに関する条件は、例えば、フォトレジスト組成物及び層厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、70~150℃、好ましくは75~120℃の温度において及び30~120秒間にわたって行われる。極性切り替え領域(露光領域)と、非切り替え領域(非露光領域)とによって画定される潜像がフォトレジストに形成される。
【0141】
露光されたフォトレジスト層は、次いで、現像液に可溶性である層の領域を選択的に除去するために好適な現像液で現像され、一方、残った不溶性領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上で記載されたような任意の好適な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶性領域を除去するのに有効な期間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0142】
PTDプロセスのための好適な現像液には、水性塩基現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、好ましくは0.26規定(N)のTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの水酸化第四級アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセスのための好適な現像液は、現像液中の有機溶媒の累積含有量が現像液の総重量を基準として50重量%以上、典型的には95重量%以上、98重量%以上又は100重量%であることを意味する、有機溶媒系である。NTD現像液のための好適な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素及びそれらの混合物から選択されるものが含まれる。NTD現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0143】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面上にパターン化される1つ以上の層を有する基板と;(b)パターン化される1つ以上の層一面のフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0144】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され、それによって公知のエッチング技術、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、順繰りに、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチングマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写中に消費されない場合、それは、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスにおいて使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックスチップ、オプトエレクトロニックチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス及び他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0145】
本発明は、以下の実施例によって更に例示される。
【実施例0146】
合成実施例。合成反応は、通常の大気条件下で行った。全ての化学物質は、商業供給業者から受け取ったまま使用し、更なる精製なしに使用した。
【0147】
トリフェニルスルホニウムα-シアノシンナメート(PAC1)の合成
【化40】

5グラム(g)のα-シアノ桂皮酸(28.87ミリモル(mmol))とテトラヒドロフラン(75mL、THF)とを組み合わせて溶液を調製し、15ミリリットル(mL)の脱イオン(DI)水中の1gのLiOHを溶液に添加し、結果として生じた混合物を室温(約25℃)で1時間撹拌した。次いで、THFを減圧下で除去してリチウムα-シアノシンナメート塩をもたらした。リチウムα-シアノシンナメート塩に、50mLのDI水、75mLのジクロロメタン(DCM)及び9.9gのトリフェニルスルホニウムブロミド(28.87mmol)を添加し、混合物を室温(約25℃)で4時間撹拌した。次いで、有機相をDI水で洗浄した(5×50mL)。有機相を水相から分離し、溶媒を減圧下で除去して粗光活性化合物PAC1をもたらした。粗生成物を20mLのアセトンに溶解させ、溶液を150mLのヘプタンに注ぎ込んでPAC1を無色沈殿物としてもたらし、それを濾過によって単離し、乾燥させて無色固体を得た。PAC1の収量は3.4g(35%)であった。プロトン核磁気共鳴分光法(H-NMR)(アセトン中-d),化学シフト(δ,パーツパーミリオン(ppm)):8.10(m,7H),7.80(m,11H,ArH),7.40(m,3H).超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)純度は、210nmでの紫外(UV)吸光度によって検出されるように99.21%であった。
【0148】
ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムα-シアノシンナメート(PAC2)の合成
10.0gのα-シアノ桂皮酸(57.74mmol)と150mLのTHFとを組み合わせて溶液を調製し、25mLのDI水中の2gのLiOHを溶液に添加し、結果として生じた混合物を室温(約25℃)で1時間撹拌した。次いで、THFを減圧下で除去してリチウムα-シアノシンナメート塩をもたらした。リチウムα-シアノシンナメート塩に、100mLのDI水、150mLのDCM及び24.8gのビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムアセテート(54.82mmol)を添加し、混合物を室温(約25℃)で4時間撹拌した。次いで、有機相をDI水で洗浄した(5×100mL)。有機相を水相から分離し、溶媒を減圧下で除去して粗光活性化合物PAC2をもたらした。粗生成物を40mLのアセトンに溶解させ、この溶液を300mLのヘプタンに注ぎ込んでPAC2を無色沈殿物としてもたらし、それを濾過によって単離し、乾燥させて無色固体を得た。PAC2の収量は21.7g(66.5%)であった。H NMR(アセトン中-d6),δ(ppm):7.89(m,4H,ArH),7.78(m,3H,ArH),7.38(m,7H),1.21(s,18H,6(CH)).UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.30%であった。
【0149】
ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウム4-トリフルオロメチルシンナメート(PAC3)の合成
5.0gの4-トリフルオロメチル桂皮酸(23.13mmol)と150mLのTHFとを組み合わせて溶液を調製し、25mLのDI水中の0.8gのLiOHを溶液に添加し、結果として生じた混合物を室温(約25℃)で1時間撹拌した。次いで、THFを減圧下で除去してリチウム4-トリフルオロメチルシンナメート塩をもたらした。リチウム4-トリフルオロメチルシンナメート塩に、100mLのDI水、150mLのDCM及び10.4gのビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムアセテート(23.0mmol)を添加し、混合物を室温(約25℃)で4時間撹拌した。次いで、有機相をDI水で洗浄した(5×50mL)。有機相を水相から分離し、溶媒を減圧下で除去して粗光活性化合物PAC3をもたらした。粗生成物を20mLのアセトンに溶解させ、この溶液を150mLのヘプタンに注ぎ込んでPAC3を無色沈殿物としてもたらし、それを濾過によって単離し、乾燥させて無色固体を得た。PAC3の収量は8.9g(63.5%)であった。H NMR(アセトン中-d6),δ(ppm):7.90(d,4H,ArH),7.53(d,2H,ArH),7.49(d,2H,ArH),7.38(d,4H,ArH),7.22(d,1H,CH=CH),6.42(d,1H,CH=CH),1.19(s,18H,6(CH)).UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.30%であった。
【0150】
ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウム(Z)-3-フルオロ-3-フェニルアクリレート(PAC4)の合成
1.0gのα-フルオロ桂皮酸(6.0mmol)と10mLのTHFとを組み合わせて溶液を調製し、5mLのDI水中の0.2gのLiOHを溶液に添加し、結果として生じた混合物を室温(約25℃)で1時間撹拌した。次いで、THFを減圧下で除去してリチウムα-フルオロシンナメート塩をもたらした。リチウムα-フルオロシンナメート塩に、10mLのDI水、10mLのDCM及び2.0gのビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムアセテート(4.42mmol)を添加し、混合物を室温(約25℃)で4時間撹拌した。次いで、有機相をDI水で洗浄した(5×15mL)。有機相を水相から分離し、溶媒を減圧下で除去して粗光活性化合物PAC4を白色固体としてもたらした。粗生成物を25mLのヘプタン中に懸濁させ、生成物を濾過によって単離し、乾燥させて白色固体を得た。PAC4の収量は2.2g(65.5%)であった。H NMR(アセトン中-d6),δ(ppm):8.12(d,4H,ArH),7.50(m,6H,ArH),7.33-7.26(m,3H,ArH),6.50(d,1H,CH=CF),1.20(s,18H,6(CH)).UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.92%であった。
【0151】
ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウム(E)-3-シクロヘキシルアクリレート(PAC5)の合成
1.0gの(E)-3-シクロヘキシルアクリル酸(6.48mmol)と10mLのTHFとを組み合わせて溶液を調製し、5mLのDI水中の0.15gのLiOHを溶液に添加し、結果として生じた混合物を室温(約25℃)で1時間撹拌した。次いで、THFを減圧下で除去してリチウム3-シクロヘキシルアクリレート塩をもたらした。リチウム3-シクロヘキシルアクリレート塩に、10mLのDI水、10mLのDCM及び2.0gのビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムアセテート(4.42mmol)を添加し、混合物を室温(約25℃)で4時間撹拌した。次いで、有機相をDI水で洗浄した(5×15mL)。有機相を水相から分離し、溶媒を減圧下で除去して粗光活性化合物PAC5を白色固体としてもたらした。粗生成物を25mLのヘプタン中に懸濁させ、生成物を濾過によって単離し、乾燥させて白色固体を得た。PAC5の収量は1.7g(47.9%)であった。H NMR(アセトン中-d6),δ(ppm):7.83(d,4H,ArH),7.39(d,4H,ArH),6.51(2H,CH=CH),5.75(d,1H,CH=CH),2-1.75(6H,脂肪族-H),1.19(s,18H,6(CH)),1.18-1.08(m.5H脂肪族-H).UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.66%であった。
【0152】
ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウム(E)-3-(4-ヨードフェニル)アクリレート(PAC6)の合成
1.0gの(E)-3-(4-ヨードフェニル)アクリル酸(3.65mmol)と10mLのTHFとを組み合わせて溶液を調製し、5mLのDI水中の0.15gのLiOHを溶液に添加し、結果として生じた混合物を室温(約25℃)で1時間撹拌した。次いで、THFを減圧下で除去してリチウム3-シクロヘキシルアクリレート塩をもたらした。リチウム3-シクロヘキシルアクリレート塩に、10mLのDI水、10mLのDCM及び1.5gのビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムアセテート(3.32mmol)を添加し、混合物を室温(約25℃)で4時間撹拌した。次いで、有機相をDI水で洗浄した(5×15mL)。有機相を水相から分離し、溶媒を減圧下で除去して粗光活性化合物PAC6を白色固体としてもたらした。粗生成物を25mLのヘプタン中に懸濁させ、生成物を濾過によって単離し、乾燥させて白色固体を得た。PAC6の収量は1.7g(70.8%)であった。H NMR(アセトン中-d6),δ(ppm):8.06(d,4H,ArH),7.67(d,2H,ArH)7.46(d,4H,ArH),7.26(d,2H,ArH),6.93(2H,CH=CH),6.33(d,1H,CH=CH),1.21(s,18H,6(CH)).UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.88%であった。
【0153】
トリフェニルスルホニウムシンナメート(PAC7)の合成
【化41】

10.0gの桂皮酸(67.49mmol)と、200mLのアセトンと、200mLのDI水とを組み合わせて溶液を調製し、次いで7.0g(30.2mmol)の酸化銀を溶液に少量ずつ添加した。結果として生じた混合物を室温(約25℃)で48時間撹拌した。沈殿物を濾過によって単離し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。シンナメート銀塩の収量は13.5gであった。
【0154】
5.0gのシンナメート銀塩(5.0g、19.6mmol)を、150mLのメタノール及び30mLのDI水に溶解させて溶液を形成し、次いで6.0gのトリフェニルスルホニウムブロミド(17.47mmol)を溶液に添加した。反応混合物を室温(約25℃)で12時間撹拌した。反応混合物のH NMRは、1:1のカチオン対アニオン比の予想された生成物を示した。混合物を濾過して不溶塩を除去し、溶媒を減圧下で除去した。結果として生じた残渣をアセトンに溶解させ、珪藻土のプラグを通して濾過した。溶媒を濾液から減圧下で除去してPAC7を無色油としてもたらした。PAC7の収量は1.7g(70.8%)であった。H-NMR(アセトン中-d6),δ(ppm):8.08(m,6H,ArH),7.88-7.78(m,9H,ArH),7.41(m,2H),7.27(m,2H,ArH),7.20(m,2H,ArH),6.50(d,1H,CH=CH).UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.75%であった。
【0155】
トリフェニルスルホニウムベンゾエート(CPAC8)の合成
5.0gの安息香酸(18.42mmol)と、100mLのアセトンと、100mLのDI水とを組み合わせて溶液を調製し、次いで4.27g(18.42mmol)の酸化銀を溶液に少量ずつ添加した。結果として生じた混合物を室温(約25℃)で48時間撹拌した。沈殿物を濾過によって単離し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。ベンゾエート銀塩の収量は7.3gであった。
【0156】
2.5gのベンゾエート銀塩(10.9mmol)を、100mLのメタノール及び20mLのDI水に溶解させて溶液を形成し、次いで2.5gのトリフェニルスルホニウムブロミド(7.28mmol)を溶液に添加した。反応混合物を室温(約25℃)で12時間撹拌した。反応混合物のH-NMRは、1:1のカチオン対アニオン比の予想された生成物を示した。混合物を濾過して不溶塩を除去し、濾液溶媒を減圧下で除去した。結果として生じた残渣をアセトンに溶解させ、珪藻土のプラグを通して濾過した。溶媒を濾液から減圧下で除去してCPAC8を無色油としてもたらした。UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.63%であった。
【0157】
トリフェニルスルホニウム(E)-3-(チオフェン-3-イル)アクリレート(CPAC9)の合成
2.55gの(E)-3-(チオフェン-3-イル)アクリル酸(16.2mmol)と、50mLのアセトンと、50mLのDI水とを組み合わせて溶液を調製し、次いで1.80g(7.76mmol)の酸化銀を溶液に少量ずつ添加した。結果として生じた混合物を室温(約25℃)で48時間撹拌した。沈殿物を濾過によって単離し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。(E)-3-(チオフェン-3-イル)アクリレート銀塩の収量は3.30gであった。
【0158】
3.30gの(E)-3-(チオフェン-3-イル)アクリレート銀塩(10.9mmol)を、100mLのメタノール及び20mLのDI水に溶解させて溶液を形成し、次いで3.48gのトリフェニルスルホニウムブロミド(10.0mmol)を溶液に添加した。反応混合物を室温(約25℃)で12時間撹拌した。反応混合物のH-NMRは、1:1のカチオン対アニオン比の予想された生成物を示した。混合物を濾過して不溶塩を除去し、次いで溶媒を減圧下で除去した。結果として生じた残渣をアセトンに溶解させ、珪藻土のプラグを通して濾過した。溶媒を濾液から減圧下で除去してCPAC9を無色油としてもたらした。UPLC純度は、210nmでのUV吸光度によって検出されるように99.64%であった。
【化42】
【0159】
フォトレジスト配合物1。2.6重量%の全固形分まで、表1に示される材料及び量を使用して固形成分を溶媒に溶解させることによってフォトレジスト組成物を調製した。メカニカルシェーカーを使用して各混合物を振盪し、0.2μmの細孔径を有するPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。ポリマー、PAG及び光活性化合物の量は、フォトレジスト組成物の全固形分を基準とする重量%として報告する。溶媒系は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(50重量%)と2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(50重量%)とを含有した。
【0160】
リソグラフィ評価1。CLEAN TRACK ACT8(TEL,Tokyo Electron Co.)ウェハートラックを使用してリソグラフィを行った。フォトリソグラフィ試験のための200nmウェハーをAR(商標)3 BARC(DuPont Electronics&Industrial)でコーティングし、205℃で60秒間ソフトベークして60nm薄膜を得た。次いで、AR(商標)40 BARC(DuPont Electronics&Industrial)のコーティングをAR(商標)3層上に配置し、205℃で60秒間ソフトベークして80nmの厚さを有する第2のBARC層を形成した。次いで、フォトレジスト組成物をデュアルBARCスタック上へコーティングし、110℃で60秒間ソフトベークして70nmの厚さを有するフォトレジスト薄膜層を得た。1:1のライン-スペース(L/S)パターン(120nm線幅)を有するマスクを使用してCanon FPA-5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)でウェハーを248nm放射線に露光した。露光ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークにかけ、0.26NのTMAH溶液で60秒間現像し、次いでDI水ですすぎ洗いし、スピン乾燥させてフォトレジストパターンを形成した。形成されたパターンの限界寸法(CD)線幅測定は、HITACHI S-9380 CD-SEMを使用して行った。線幅粗さ(LWR)を、所定の長さにわたって測定された線幅の偏差から決定し、合計100の任意の線幅測定点の分布からの幅の3シグマ(3σ)偏差を使用して評価した。LWRデータを表1に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
フォトレジスト配合物2。4.2重量%の全固形分まで、表2に示される材料及び量を使用して固形成分を溶媒に溶解させることによってフォトレジスト組成物を調製した。メカニカルシェーカーを使用して各混合物を振盪し、次いで0.2μmの細孔径を有するPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。ポリマー、PAG及び光活性化合物の量は、フォトレジスト組成物の全固形分を基準とする重量%として報告する。溶媒系は、PGMEA(50重量%)と2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(50重量%)とを含有した。
【0163】
リソグラフィ評価2。CLEAN TRACK ACT8(TEL,Tokyo Electron Co.)ウェハートラックを使用してリソグラフィを行った。フォトリソグラフィ試験のための200nmウェハーをAR(商標)3 BARC(DuPont Electronics&Industrial)でコーティングし、205℃で60秒間ソフトベークして60nm薄膜を得た。次いで、AR(商標)40A BARC(DuPont Electronics&Industrial)のコーティングをAR(商標)3層上に配置し、205℃で60秒間ソフトベークして80nmの厚さを有する第2のBARC層を形成した。次いで、フォトレジスト組成物をデュアルBARCスタック上へコーティングし、110℃で60秒間ソフトベークして120nmの厚さを有するフォトレジスト薄膜層を得た。
【0164】
1:1のL/Sパターン(120nm線幅)を有するマスクを用いてCANON FPA-5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)を使用してウェハーを248nm放射線に露光した。露光ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークにかけ、0.26NのTMAH溶液で60秒間現像し、次いでDI水ですすぎ洗いし、スピン乾燥させてフォトレジストパターンを形成した。形成されたパターンのCD線幅測定は、HITACHI S-9380 CD-SEMを使用して行った。LWRは、所定の長さにわたって測定された線幅の偏差から決定し、合計100の任意の線幅測定点の分布からの幅の3σ偏差を使用して評価した。LWRデータを表2に示す。
【0165】
【表2】
【0166】
フォトレジスト配合物3。1.55重量%の全固形分まで、表3に示される材料及び量を使用して固形成分を溶媒に溶解させることによってフォトレジスト組成物を調製した。メカニカルシェーカーを使用して各混合物を振盪し、0.2μmの細孔径を有するPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。ポリマー、PAG及び光活性化合物の量は、フォトレジスト組成物の全固形分を基準とする重量%として報告する。溶媒系は、PGMEA(50重量%)と2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(50重量%)とを含有した。
【0167】
リソグラフィ評価3。CLEAN TRACK ACT8(TEL,Tokyo Electron Co.)ウェハートラックを使用してリソグラフィを行った。フォトリソグラフィ試験のための300nmウェハーを有機BARC薄膜層でコーティングして60nm薄膜を得、次いでシリコン含有反射防止コーティング(SiARC)薄膜層を有機BARK薄膜層上に配置して20nmの厚さを有する第2の層を形成した。次いで、フォトレジスト組成物を、BARC/SiARCの二層スタック上へスピンにコーティングし、110℃で60秒間ソフトベークして40nmの厚さを有するフォトレジスト薄膜層を得た。
【0168】
20.25nmのCDと36ピッチを有する溝パターンとを有するマスクを用いてASML NXE3400Bスキャナーを使用してウェハーを13.5nm放射線に露光した。露光ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークにかけ、0.26NのTMAH溶液で60秒間現像し、DI水ですすぎ洗いし、スピン乾燥させてレジスト溝パターンを形成した。形成された溝パターンのCD線幅測定は、HITACHI CG5000 CD-SEMを使用して行った。
【0169】
表3は、溝パターンが18nmまで解像された及び1平方センチメートル当たりのミリジュール(mJ/cm)単位で報告される照射エネルギーであった、実施例に関して測定されたEUVサイジングエネルギー(Esize)を示す。表3は、いかなる印刷不良もなしに印刷特徴を保つ焦点の総距離範囲である、実施例に関する焦点深度(DOF)も示す。
【0170】
【表3】
【0171】
表1、2及び3の結果を比較することによって実証されるように、本発明の光活性化合物は、予期外のリソグラフィ性能を有するフォトレジスト組成物をもたらし、最大で20%までのLWRの低下が達成された。LWRの改善は、フォトスピードへの影響なしに及びDCOFの改善ありで観察された。
【0172】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。
【外国語明細書】