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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152865
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20231005BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20231005BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H01R11/01 501C
H05K3/32 B
H05K3/28 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046920
(22)【出願日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2022059293
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022154761
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】塚尾 怜司
(72)【発明者】
【氏名】林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 一夢
(72)【発明者】
【氏名】白岩 俊紀
【テーマコード(参考)】
5E314
5E319
【Fターム(参考)】
5E314AA24
5E314AA32
5E314AA42
5E314AA43
5E314AA45
5E314BB02
5E314BB10
5E314BB11
5E314CC03
5E314CC07
5E314CC20
5E314EE01
5E314EE02
5E314FF02
5E314FF05
5E314FF06
5E314FF21
5E314GG24
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC03
5E319AC04
5E319AC13
5E319BB16
5E319CC03
5E319CC12
5E319GG15
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】フィラー配列フィルムを用いて、μLED等の第1電子部品を基板等の第2電子部品に接続した接続構造体を低圧実装により得られるようにし、また第1電子部品の発光効率の低下を抑える。
【解決手段】第1電子部品10の電極11と第2電子部品20の電極21がフィラー2を介して接続され、第2電子部品20上の絶縁性樹脂層3に電極11が埋め込まれ、第1電子部品10の天面13が絶縁性樹脂層3から露出している接続構造体1Aが、第1電子部品10の周りに絶縁性樹脂層3の傾斜領域4を有し、傾斜領域4に隣接して絶縁性樹脂層3の平坦領域5を有する。第1電子部品10の電極面11aからの天面13の高さをA、絶縁性樹脂層3から露出している部分の第1電子部品10の高さをB、傾斜領域4の外縁部と第1電子部品10との距離をEとした場合に、0≦B/A<1、かつE≦500μmである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子部品の電極と第2電子部品の電極がフィラーを介して接続されると共に、第2電子部品上の絶縁性樹脂層に第1電子部品の電極及び電極の形成基面が埋め込まれ、第1電子部品の天面が絶縁性樹脂層から露出している接続構造体であって、
第1電子部品の周りに絶縁性樹脂層の厚みが第1電子部品との距離に応じて変化している傾斜領域を有すると共に、該傾斜領域に隣接して絶縁性樹脂層の厚みが一定の平坦領域を有し、
第1電子部品の電極面からの第1電子部品の天面の高さをA、絶縁性樹脂層から露出している部分の第1電子部品の高さをB、傾斜領域の外縁部と第1電子部品との距離をEとした場合に、
0≦B/A<1、かつE≦500μm
である接続構造体。
【請求項2】
第1電子部品の天面に隣接する側面が絶縁性樹脂層から部分的に露出している請求項1記載の接続構造体。
【請求項3】
傾斜領域において、第1電子部品との距離が大きくなるにつれて絶縁性樹脂層の厚みが小さくなっている請求項1又は2記載の接続構造体。
【請求項4】
傾斜領域において、第1電子部品との距離が大きくなるにつれて絶縁性樹脂層の厚みが大きくなっている請求項1又は2記載の接続構造体。
【請求項5】
傾斜領域の外側に平坦領域が形成されている請求項1又は2記載の接続構造体。
【請求項6】
第1電子部品の電極と第2電子部品の電極とを接続しているフィラーが、単一の絶縁性樹脂層又は複数の絶縁性樹脂層の積層体にフィラーが保持されているフィラー配列フィルムに由来するものである請求項1記載の接続構造体。
【請求項7】
第1電子部品と傾斜領域との間に絶縁性樹脂層の厚みが一定の平坦領域を有し、平坦領域における絶縁性樹脂層の厚みが傾斜領域における絶縁性樹脂層の最小厚である請求項4記載の接続構造体。
【請求項8】
第1電子部品と傾斜領域との間に絶縁性樹脂層の厚みが一定の平坦領域を有し、平坦領域における絶縁性樹脂層の厚みが傾斜領域における絶縁性樹脂層の最大厚である請求項3記載の接続構造体。
【請求項9】
該絶縁性樹脂層が個片である請求項1記載の接続構造体。
【請求項10】
絶縁性樹脂層が、ブラックマトリックス用黒色樹脂組成物から形成されている請求項3記載の接続構造体。
【請求項11】
ブラックマトリックス用黒色樹脂組成物が、チタンブラックを5質量%以上40質量%以下含有している請求項10記載の接続構造体。
【請求項12】
第1電子部品の高さ方向の側面長をLとし、絶縁性樹脂層から露出している部分の第1電子部品の高さをBとし、絶縁性樹脂層が形成するフィレットの高さを“L-B”とした時に、以下の式
【数1】
で定義されるフィレット形成率Fが60%以上100%以下である請求項10又は11記載の接続構造体。
【請求項13】
第2電子部品の電極上にフィラー配列フィルムを貼着し、そのフィラー配列フィルムと、第1電子部品とを位置合わせして貼り合わせ、加熱加圧して第1電子部品の電極と第2電子部品の電極とを接続する、接続構造体の製造方法。
【請求項14】
光透過性基板の表面に形成された第1電子部品に対し、光透過性基板側からレーザー光を照射し、第2電子部品の所定箇所に配置されたフィラー配列フィルムに第1電子部品を着弾させる、接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラー配列フィルムを用いて微小な発光素子等の第1電子部品を基板等の第2電子部品に接続して得られる接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
微小な発光素子であるμLED(micro Light-Emitting Diode)を基板上に配列してなるμLEDディスプレイは、液晶ディスプレイに必要とされるバックライトを省略できることによりディスプレイを薄膜化することができ、さらに広色域化、高精細化、省電力化も実現することのできるディスプレイまたは光源として期待されている。
【0003】
μLEDを配列したディスプレイの作製方法として、特許文献1にはキャリア基板上に形成した赤、青、緑のμLEDアレイを移送ヘッドでピックアップし、ディスプレイ基板等の転写先基板に配置し、ハンダ層の溶着によりμLEDアレイと転写先基板とを接合し、次いでその上にITO等で接触線を形成することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ウエハ上に形成されたμLEDを基板に配置し、水素添加エポキシ化合物等を用いた接着剤成分中に導電粒子を分散させた異方性導電フィルムを使用して基板と接続し、ウエハをリフトオフする方法が記載されている。特許文献2に記載の異方性導電フィルムを使用する方法によれば複数のμLEDを一括実装できるので、μLEDを用いたディスプレイを簡便に得ることができる。
【0005】
特許文献3には、平面視における導電粒子の面積占有率が35%以下の導電粒子配列層を有する異方性導電フィルムを用いてICチップとFPCを接続するにあたり、導電粒子の捕捉効率を上げるためにパルスヒータ式ボンダーを使用し、1段階目にICチップとFPCとを異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層に押し込むことで、電極を導電粒子配列層に近づける仮固定を行い、2段階目に本圧着を行うという2段階方式の接続方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2015-500562号公報
【特許文献2】特開2017-157724号公報
【特許文献3】特開2019-216097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載のように異方性導電フィルムを用いると、μLEDを一括実装することによりディスプレイを簡便に製造することが可能となるが、ディスプレイの大面積化及び高精細化に伴って実装するμLEDの数が多くなると、μLEDの実装ツールに大きな推力が必要となる。
【0008】
推力の問題に対し、低圧実装を可能とするために異方性導電フィルムの樹脂層の厚さを薄くし、導電粒子を樹脂層から露出させることが考えられるが、μLEDを異方性導電フィルムにアラインメントして搭載するときに異方性導電フィルムの樹脂層から導電粒子が露出していると、異方性導電フィルムに十分な粘着力を得られず、μLEDの搭載が不可能となることが懸念される。
【0009】
また、ディスプレイの大面積化及び高精細化に伴いμLED自体のサイズが小さくなり、それに伴って電極面積や電極高さも小さくなる。そのため、異方性導電フィルムを用いてμLEDを一括実装すると、実装後に異方性導電フィルムの樹脂がμLEDの側面で盛り上がったり、μLEDの発光部が異方性導電フィルムの樹脂に埋没したりすることにより、発光効率が低下するという問題が生じる。さらに、μLEDが樹脂に埋没すると実装のための圧力を効率よくμLEDにかけることができず、実装ツールにより大きな推力が必要とされ、使用することのできる実装ツールが制限されてしまう。
【0010】
一方、発光面が電極と反対側の天面(z面)ではなく、電極の形成基面に交叉するxy面にあるμLEDでは、発光面に隣接してリフレクター構造を設けることが、高輝度のディスプレイを得るために必要となるが、μLEDの発光部が樹脂に埋没するとμLEDの発光面に隣接してリフレクター構造を設けることが困難となる。
【0011】
このような従来技術に対し、本発明は、異方性導電フィルムを用いてμLED等の微細な発光素子を基板に低圧実装することを可能とし、しかもその発光素子が異方性導電フィルムの樹脂に埋もれた場合には、発光効率が過度に低下することを抑え、必要に応じて発光面に隣接してリフレクター構造を設けられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、導電粒子等のフィラーが絶縁性樹脂層に配列したフィラー配列フィルムを用いてμLEDの電極等の微小な第1電子部品の接続部を、大画面テレビ用基板等の第2電子部品の電極等の接続部にフィラーを介して接続した接続構造体において、μLEDの電極及び電極の形成基面は絶縁性樹脂内に埋没させるが、μLEDの天面は絶縁性樹脂層から露出させ、好ましくはμLEDの天面に隣接する側面も部分的に露出させ、さらに第1電子部品の周りで絶縁性樹脂層が傾斜するように絶縁性樹脂層の厚みを調整したものは低圧実装により製造でき、かつμLEDから出射される光が絶縁性樹脂層で遮られることが抑制されることを想到し、本発明を完成した。
【0013】
即ち、本発明は、第1電子部品の電極と第2電子部品の電極がフィラーを介して接続されると共に、第2電子部品上の絶縁性樹脂層に第1電子部品の電極及び電極の形成基面が埋め込まれ、第1電子部品の天面が絶縁性樹脂層から露出している接続構造体であって、第1電子部品の周りに絶縁性樹脂層の厚みが第1電子部品との距離に応じて変化している傾斜領域を有すると共に、該傾斜領域に隣接して絶縁性樹脂層の厚みが一定の平坦領域を有し、
第1電子部品の電極面からの第1電子部品の天面の高さをA、
絶縁性樹脂層から露出している部分の第1電子部品の高さをB、
傾斜領域の外縁部と第1電子部品との距離をEとした場合に、
0≦B/A<1、かつE≦500μm
である接続構造体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の接続構造体は第1電子部品の天面が絶縁性樹脂層から露出し、好ましくは天面に隣接する側面も絶縁性樹脂層から露出しているので、第1電子部品が発する光が絶縁性樹脂層で過度に遮られることを抑制できる。
【0015】
また、第1電子部品の電極及びその電極の形成基面は絶縁性樹脂層に埋め込まれているので、第1電子部品と第2電子部品とは確実に接続され、かつ第1電子部品の周囲には該第1電子部品との距離に応じて絶縁性樹脂層の厚みが変化している傾斜領域が形成されているので、この接続構造体は第1電子部品の実装に必要な樹脂層厚が確保されると共に、過剰な樹脂層厚が削減されたものとなる。
【0016】
また、第1電子部品がμLEDのような発光素子である場合に、必要に応じてリフレクター構造を設けることも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例の接続構造体1Aの断面図である。
図2図2は、実施例の接続構造体1Bの断面図である。
図3図3は、実施例の接続構造体1Cの断面図である。
図4図4は、実施例の接続構造体1Dの断面図である。
図5図5は、フィラー配列フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0019】
<接続構造体>
図1は本発明の一実施例の接続構造体1Aの断面図であって、異方性導電フィルムや導電フィルム等のフィラー配列フィルムを用いて、第1電子部品10を第2電子部品20に実装して得られるものであり、実装時には低圧実装を実現でき、また高い発光効率を得ることを可能とするものである。
【0020】
接続構造体1Aでは、第1電子部品10の電極11と第2電子部品20の電極21とがフィラー2を介して接続されている。フィラー2は、フィラー配列フィルムに由来する導電粒子である。また、第2電子部品20上の絶縁性樹脂層3に第1電子部品10の電極11及び電極11の形成基面12が埋め込まれ、第1電子部品10の天面13が絶縁性樹脂層3から露出している。絶縁性樹脂層3は、フィラー配列フィルムに由来する。
【0021】
ここで、第1電子部品10としては、ミニLED、μLED等の光半導体素子をあげることができる。
【0022】
第1電子部品10の外形とサイズについては、例えば、外形が矩形の場合、その長辺は200μm以下、又は150μm未満、又は50μm未満、又は20μm未満とすることができる。より具体的には、例えば10μm×20μm、7μm×14μm、5μm×5μmの矩形をあげることができる。なお、第1電子部品10の外形は矩形に限られず、例えば菱形でもよい。
【0023】
第1電子部品10の好ましい厚さは、該第1電子部品10の材質や強度、電極の高さ、接続の条件等によって変わるが、例えば、第1電子部品10の電極11の面積が1000μm2以下又は第1電子部品の最長辺の長さが300μm以上の場合、その厚さを200μm以下、さらには50μm以下とすることができ、最長辺の長さが300μm以下の場合、厚さを50μm以下とすることができ、最長辺の長さが150μm以下の場合、厚さを30μm以下とすることができ、最長辺の長さが50μm以下の場合、厚さを20μm以下、さらには15μm以下、特に10μm以下とすることができる。第1電子部品の最長辺の長さと厚みの比率が1に近くなれば、接続時の押し込みにより第1電子部品に横ズレが生じることが懸念されるためである。なお、この場合の厚さには、電極11の高さは含まれない。
【0024】
第1電子部品10は、電極11の面積が1000μm2以下、又は電子部品の最長辺の長さが600μm以下、300μm以下、150μm以下、更には50μm以下の微小な電子部品とすることができ、例えば長辺5μm~50μm、短辺3μm~40μmの矩形をあげることができる。電極11のサイズの短辺の下限は、載置工程の利便性から好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。
【0025】
第1電子部品10の電極11の高さは実質的にゼロでもよいが、加圧硬化工程を行う場合や、重ね合わせ工程後加圧硬化工程前に必要に応じて行う加圧工程において、電極以外が加圧されないようにし、加圧により導電粒子が効率よく電極に押し込まれるようにする点から、電極11の高さは導電粒子の平均粒子径の1倍より高いことが好ましい。一方、電極11の高さが過度に高いと電極間に充填される樹脂量が不用に多くなるので電極11の高さは導電粒子の平均粒子径の3倍以下が好ましく、2倍以下がより好ましい。
【0026】
一方、第1電子部品10を接続する第2電子部品20としては種々の基板を挙げることができ、ガラス基板、プラスチック基板などの透明基板でもよく、不透明な基板でもよい。また、第2電子部品20は、セラミック基板、リジットな樹脂基板、FPC等の基板であってもよい。
【0027】
(接続構造体における絶縁性樹脂層の厚みの変化)
本発明の接続構造体では、第1電子部品10の周りの絶縁性樹脂層3の厚みの変化が特徴的となっており、絶縁性樹脂層3が第1電子部品10の周囲に傾斜領域4を有する。傾斜領域4は絶縁性樹脂層3の厚みが、第1電子部品10との距離に応じて変化している領域であり、本実施例では、第1電子部品10の天面13に隣接する側面14が絶縁性樹脂層3から部分的に露出しており、側面14に隣接して傾斜領域4が形成されている。この傾斜領域4では絶縁性樹脂層3の厚みが第1電子部品10との距離が大きくなるにつれて小さくなっている。
【0028】
また、本発明の接続構造体では、絶縁性樹脂層3の厚みが一定の平坦領域5が傾斜領域4に隣接して存在し、本実施例の接続構造体1Aでは、傾斜領域4の外側に隣接して平坦領域5が形成されている。
【0029】
本発明の接続構造体では、第1電子部品10の電極面11aからの第1電子部品10の天面13の高さをA、第1電子部品10の絶縁性樹脂層3から露出している部分の高さ(即ち、電極面11aに垂直な方向の第1電子部品10の露出距離)をB、傾斜領域4の外縁部と第1電子部品10との距離をEとした場合に、“0≦B/A<1、かつE≦500μm”が満たされる。
【0030】
上記式中の「B/A=0」は、第1電子部品10の天面13と、第1電子部品10の周囲で該第1電子部品10に隣接している絶縁性樹脂層3の上面が面一であることを意味し、「B/A<0」は、第1電子部品10の天面13が、該第1電子部品10に隣接した絶縁性樹脂層3の上面よりも凹んでいることを意味する。本発明においては、第1電子部品10の天面13は該第1電子部品10に隣接した絶縁性樹脂層3の上面よりも上方に突出していることが好ましい。第1電子部品10(例えば、μLED)から光が発せられた場合には、光が絶縁性樹脂層3で遮られることを抑制することができるからである。また、「B/A<1」は、第1電子部品10が絶縁性樹脂層3に埋め込まれていることを意味する。第1電子部品10を第2電子部品に固定するためである。ところで、「B/A<1」とすることにより、第2電子部品20上の絶縁性樹脂層3に第1電子部品10の電極11及び電極11の形成基面12が埋め込まれていることになるが、この埋め込みの程度が大きくなると、第1電子部品10がμLEDである場合には光取り出し効率が小さくなり、埋め込みの程度が小さくなる(換言すれば、μLEDなどの第1電子部品10の露出の程度が小さくなる)と、多数個の第1電子部品10を第2電子部品に実装した際に、結果物である接続構造体の厚さ精度が低下する傾向がある。従って、「B/A」は、接続構造体の厚み公差を小さくする観点から、好ましくは0.1以上であり、光取り出し効率を低下させないために好ましくは0.5以下である。
【0031】
また、Eは、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。接続構造体1Aにおける絶縁性樹脂層3の厚みが第1電子部品10の天面の高さで一定の場合に比して、E≦500μmを規定することにより接続構造体1Aを構成する樹脂量を抑制し、接続構造体1Aを低圧実装により得ることを可能とする。リフローで実装する場合も、このような厚みになるよう調整すればよい。
【0032】
<接続構造体の変形態様その1>
本発明の接続構造体は種々の変形態様をとることができる。例えば、図2に示した接続構造体1Bのように、傾斜領域4における絶縁性樹脂層3の厚みを、第1電子部品10との距離が大きくなるにつれて大きくしてもよい。
【0033】
図3に示した接続構造体1Cのように、第1電子部品10と傾斜領域4との間に絶縁性樹脂層3の厚みが一定の平坦領域5aを設け、平坦領域5aにおける絶縁性樹脂層3の厚みを傾斜領域4における絶縁性樹脂層3の最小厚としてもよい。
【0034】
図4に示した接続構造体1Dのように、第1電子部品10と傾斜領域4との間に絶縁性樹脂層3の厚みが一定の平坦領域5aを設け、平坦領域5aにおける絶縁性樹脂層3の厚みを傾斜領域4における絶縁性樹脂層3の最大厚としてもよい。接続構造体1Dにおいて、第1電子部品10の絶縁性樹脂層3から露出している部分の高さBはゼロであるから、B/A=0である。この点で接続構造体1Dは上述の接続構造体1A、1B、1Cと異なるが、接続構造体の用途によりB/A=0でもよい。
【0035】
また、接続構造体1Dでは傾斜領域4の外側に隣接して平坦領域5bを設け、平坦領域5bにおける絶縁性樹脂層3の厚みを、傾斜領域4における絶縁性樹脂層3の最小厚としている。
【0036】
図1図4に示した態様の中では、第1電子部品10から傾斜領域4の外縁部までの小領域、即ち第1電子部品から距離Eまでの領域で樹脂量が最も多いのは図4に示した接続構造体1Dであり、最も少ないのは図3に示した接続構造体1Cであるが、図4に示した接続構造体1Dは、斜面領域4の外側の樹脂量が低減している。したがって、本発明の接続構造体を搭載する電子物品において、図1図4のいずれの態様の接続構造体を使用するかは、当該電子物品の用途等に応じて適宜定めることができる。
【0037】
<接続構造体の変形態様その2>
前述の<接続構造体の変形態様その1>は、接続構造体の形状的構成の観点からの変形態様を説明したが、<接続構造体の変形態様その2>では、接続構造体の形状的構成を前提として、μLEDの発光効率を過度に抑制することなく、絶縁性樹脂層をブラックマトリックスとして使用することに着目した変形態様を説明する。
【0038】
(絶縁性樹脂層をブラックマトリックスとして利用することに着目した理由)
近年、マイクロLEDディスプレイは、高発光効率且つ長寿命のマイクロLED自体を発光させているため、高輝度、低消費電力、高コントラスト、長寿命という好ましい特性を有するディスプレイとなることが期待されている。このようなマイクロLEDディスプレイでは、ディスプレイ基板上に、赤色LED、緑色LED及び青色LEDが所定の間隔を空けて設けられており、しかも自発発光するため、ブラックマトリックスで色毎に区切られたカラーフィルタを用いない場合もある。このような場合には、混色防止を目的にマイクロLED間にブラックマトリックスを形成する必要がある(特表2021-506108号公報、WO2021/060832A1公報等)。
【0039】
マイクロLEDディスプレイにブラックマトリックスを形成する手法としては、(a)マイクロLEDの実装前のディスプレイ基板の片全面に黒色転写層形成用組成物を塗布し、ディスプレイ基板の非ブラックマトリックス領域に塗布された黒色転写層形成用組成物をエッチング処理やフォトリソ処理により除去する方法、(b)スクリーン印刷によりブラックマトリックスをキャリアフィルム上に形成した黒色転写フィルムを、マイクロLEDの実装前のディスプレイ基板にアライメントして貼り付け、キャリアフィルムを引き剥がす方法、(c)マイクロLEDが実装されているディスプレイ基板に、ブラックマトリックスが形成されたカバーガラスを被せる方法、(d)マイクロLEDが実装されているディスプレイ基板のマイクロLED間に、インクジェット法によりブラックマトリックス用インク組成物を塗布する方法、等が知られている。
【0040】
しかしながら、前記(a)の方法では、ブラックマトリックスの形成に時間を要し、前記(b)、(c)の方法では、ブラックマトリックスの位置精度が十分とはいえず、前記(d)の方法では、マイクロLEDの混色を抑制するのに十分な高さでブラックマトリックスを形成することが困難であった。
【0041】
このため、マイクロLEDを用いた画像表示装置や照明装置等の発光装置を製造する際に、ブラックマトリックスの形成に時間を要さず、ブラックマトリックスの位置精度を十分なものとし、発光効率を過度に抑制することなく、マイクロLEDの混色を抑制するのに十分な高さでブラックマトリックスを形成する必要がある。この必要性があることが、絶縁性樹脂層をブラックマトリックスとして利用することに着目した理由である。
【0042】
(ブラックマトリックスとして機能する絶縁性樹脂層)
図1~4において、絶縁性樹脂層3をブラックマトリックスとして機能させるために、絶縁性樹脂層3をブラック顔料を含有した絶縁性樹脂組成物から形成する。換言すれば、異方性導電フィルムあるいはフィラー配列フィルムを構成する絶縁性樹脂層もしくは導電粒子あるいはフィラーを保持する絶縁性樹脂層をブラック顔料を含有した絶縁性樹脂組成物から形成する。図1図4では、第1電子部品10(μLED)の表面はブラックマトリックスとして機能する絶縁性樹脂層3で覆われていないので、発光効率の過度の低下を引き起こさず、しかも第1電子部品10の側面の少なくとも一部を被覆しているので、側面方向へ出射する光量を抑制することができ、μLEDの混色を抑制することができる。
【0043】
絶縁性樹脂組成物を黒色化するための黒色着色剤としては、カーボンブラックやチタンブラック等の公知のブラック顔料を使用することができる。中でも、不純物イオンの含有量が極めて低く、しかもそれ自体が絶縁性であるチタンブラックを好ましく使用することができる。ブラック顔料としてチタンブラックを使用した場合、ブラックマトリックス用黒色樹脂組成物中のチタンブラック含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。これらのブラック顔料の平均粒子径は、10~100nmである。このブラック顔料は導電粒子の平均粒子径より小さいことが望ましい。
【0044】
なお、ブラックマトリックスとして機能させる絶縁性樹脂組成物のブラック顔料以外の構成成分としては、後述する絶縁性樹脂層の成分と同様とすることができる。
【0045】
(ブラックマトリックスとして機能する絶縁性樹脂層3のフィレット形状)
ブラックマトリックスとして機能する絶縁性樹脂層3は、図1図4に示す構造の形状とすることができる。具体的には、図1に示すように、第1電子部品の高さ方向の側面長をLとし、絶縁性樹脂層から露出している部分の第1電子部品の高さをBとし、絶縁性樹脂層が形成するフィレットの高さを“L-B”とした時に、以下の式で定義されるフィレット形成率Fが、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下である。中でも、図1又は図4に示すように、傾斜領域において、第1電子部品との距離が大きくなるにつれて絶縁性樹脂層の厚みが小さくなっているフィレット形状とすることが好ましい。
【0046】
【数1】
【0047】
<接続構造体の製造方法>
図1の接続構造体1Aの製造方法としては、概略、第2電子部品20の電極21上にフィラー配列フィルムを貼着し、そのフィラー配列フィルムと、第1電子部品10とを位置合わせして貼り合わせ、加熱加圧して第1電子部品10の電極11と第2電子部品20の電極21とを接続する。この場合、第1電子部品10は、ウエハ上に配列したものであってもよい。加圧加熱方法としては、特許文献3に記載のように2段階方式で加熱加圧してもよい。また、フィラー2が半田粒子等である場合に、リフローにより接続してもよい。
【0048】
フィラー配列フィルムの仮貼りやフィルム転写及びμLEDの基板上への搭載は、スタンプ材(例えば、特開2021-141160号公報参照)やレーザーを用いた手法(レーザーリフトオフ加工法)といった公知の手法やそれを応用した手法を用いることができ(例えば、特開平9-124020号公報、特開2011-76808号公報、特許6636017号公報、特許6187665号公報等に記載の方法)、本発明の効果が発揮できる手法であれば特に限定はされない。
【0049】
<接続構造体の製造方法の変形態様>
非常に微細な第1電子部品を、配線基板等の第2電子部品に実装して接続構造体を製造する場合、前述したようなレーザーリフトオフ加工法により第1電子部品を第2電子部品に着弾させることにより実装することもできる。例えば、第1電子部品が、光透過性基板の表面に形成された膨大な数のマイクロLEDである場合、第2電子部品の所定箇所(例えば配線基板の各電極)に配置されたフィラー配列フィルムに対して、光透過性基板側から個々の第1電子部品にレーザー光を照射し、第1電子部品を着弾させ、加熱加圧することで、第1電子部品をフィラー配列フィルムに押し込むことにより接続構造体を製造することができる。レーザーリフトオフ加工条件は、第1電子部品の種類や構成材料等に応じて適宜決定することができる。
【0050】
フィラー配列フィルムは、例えば配線基板等の第2電子部品の接続部の全面に配置してもよく、また、例えばRGB1組の1ピクセル単位(1画素単位)など表示部の一部に所定単位の個片で配置してもよい。この場合、接続構造体における絶縁性樹脂層がフィラー配列フィルムに由来するものであるから、接続構造体における絶縁性樹脂層も個片で配置されていることになり、フィラー配列フィルムを個片で使用した場合と同様の効果が期待できる。
【0051】
フィラー配列フィルムを個片で配置する場合、一つの個片で複数の微細な第1電子部品、例えば、マイクロLEDを電気的に接続(以下、接続)してもよいが、一つの個片で一つのマイクロLEDを接続することが好ましく、複数の個片で一つのマイクロLEDを接続することも好ましい。一つの個片で接続すればフェレットの形成を調整し易くなり、複数の個片で一つのマイクロLEDを接続すれば、例えばP電極とN電極を別の個片で接続することになるので、より細かい調整が可能になる。複数の個片で複数のマイクロLEDを接続してもよい。例えば、複数のP電極とN電極が平行して設けられている場合、それぞれの電極の列に対応するように個片を設ければよい。また、絶縁性樹脂層の形成に黒色絶縁性樹脂組成物を利用したフィラー配列フィルムを個片で接続を行うと、マイクロLED外縁部のフェレットにおいてブラックマトリックスを形成することができ、接続とμLEDディスプレイの全体の色味の調整を行うことが可能となる。このようなフィラー配列フィルムの個片は、後述するレーザーリフトオフ法の他、スクリーン印刷法、エッチング法、インクジェット法等を利用して形成することができる。個片のサイズは、接続すべき第1電子部品の形状やサイズに応じて適宜決定することができる。
【0052】
フィラー配列フィルムの第2電子部品の表示部への配置方法としては、特に限定されるものではない。例えばフィラー配列フィルムの表示部の全面に配置する場合、ラミネートする方法などが挙げられる。また、例えばフィラー配列フィルムの個片を表示部の一部に配置する場合、レーザーリフトオフ(LLO:Laser Lift Off)装置を用いて個片を基材フィルムから第2電子部品に直接転写、配置する方法、個片を予め密着させた転写材(スタンプ材)を用いて転写材から第2電子部品に転写、配置する方法などが挙げられる。
【0053】
なお、マイクロLED等の第1電子部品を、第2電子部品の所定位置に熱圧着により配置されたフィラー配列フィルム又はレーザーリフトオフ加工法で転写されたフィラー配列フィルムの個片に、レーザーリフトオフ加工法で着弾させる場合、第1電子部品の着弾ずれ、変形、破壊、抜けなどが発生することを防止するために、フィラー配列フィルムの絶縁性樹脂層には、着弾の衝撃を和らげるクッション性を付与するゴム成分(例えばアクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ポリウレタン系エラストマー等)や、機械的強度を付与する無機フィラー(例えばシリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等)を含有させることが好ましい。
【0054】
このようなゴム成分や無機フィラーが配合された絶縁性樹脂層は、レーザー照射前においては、JIS K6253に準拠したデュロメータA硬度(JIS K6253に準拠)が好ましくは20~40、より好ましくは20~35、特に好ましくは20~30のものであり、JIS K7244に準拠した動的粘弾性試験機(温度30℃、周波数200Hz;バイブロン、株式会社エー・アンド・デイ)により得られる貯蔵弾性率が好ましくは60MPa以下、より好ましくは30MPa以下、特に好ましくは10MPa以下のものである。
【0055】
また、絶縁性樹脂層は、硬化後のJIS K7244に準拠した引張モードで測定された温度30℃における貯蔵弾性率が、100MPa以上であることが好ましく、2000MPa以上であることが更に好ましい。温度30℃における貯蔵弾性率が低すぎる場合、良好な導通性が得られず、接続信頼性も低下する傾向にある。温度30℃における貯蔵弾性率は、JIS K7244に準拠し、粘弾性試験機(バイブロン)を用いた引張モードで、例えば、周波数11Hz、昇温速度3℃/minの測定条件で測定することができる。
【0056】
なお、マイクロLED等の第1電子部品を、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーンゴム製の基板の所定位置(即ち、第1電子部品を再転写させるべき第2電子部品の所定位置に対応した位置)にレーザーリフトオフ加工法により転写(着弾)させた第1電子部品配置シートを、その第1電子部品側を第2電子部品に対向させ、位置合わせを行った後、転写させることもできる。
【0057】
<フィラー配列フィルム>
接続構造体1Aの製造において使用するフィラー配列フィルムとしては、フィラーとして導電粒子が単一又は複数の絶縁性樹脂層の積層体に保持されているものを使用することができる。導電粒子が複数の絶縁性樹脂層の積層体に保持されているものを使用する場合、図5に示すように、フィラー配列フィルム30の絶縁性樹脂層31を、導電粒子2を保持する高粘度バインダー樹脂層32と、高粘度バインダー樹脂層32よりも低粘度の接着剤層33とすることができる。
【0058】
接続構造体1Aの製造方法において、図1に示したように絶縁性樹脂層3に傾斜領域4や平坦領域5が形成され、前述した数式“0≦B/A<1、かつE≦500μm”が満たされるように形成するため、フィラー配列フィルムとしては、絶縁性樹脂層31の厚みをLa、導電粒子2の平均粒子径をDとした場合に、La/Dを好ましくは0.6以上8以下、より好ましくは1以上2以下、さらに好ましくは1.0以上1.3以下とする。
【0059】
また、絶縁性樹脂層31の厚みLaと、第1電子部品10の電極面11aから天面13までの高さAとの比La/Aを、好ましくは0.1以上1以下、より好ましくは0.5以上0.8以下とする。
【0060】
さらに、接続構造体1Aの絶縁性樹脂層3に上述の傾斜領域4や平坦領域5をもたらすため、フィルム厚みは電極高さに対して1.5倍以上が好ましく、7.5倍以下が好ましく、4.5倍以下にすることがより好ましい。また、最低溶融粘度を8000~12000Pa・sの範囲内にすることで、比較的薄いフィルムを押し込む際にμLEDの埋込状態を制御できるため好ましい。
【0061】
フィラー配列フィルム30の絶縁性樹脂層31の高粘度バインダー樹脂層32と接着剤層33を構成する樹脂は、例えば、特許文献3に記載の絶縁性樹脂層を構成するバインダーや接着剤層と同様とすることができる。異なる層に異なるフィラーを配置させて積層してもよい。
【0062】
絶縁性樹脂層31には必要に応じてゴム成分、無機フィラー、シランカップリング剤、希釈用モノマー、充填剤、軟化剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤などを添加することができる。
【0063】
ゴム成分を接続構造体の反りや歪みの防止のために配合してもよい。ゴム成分は、クッション性(衝撃吸収性)の高いエラストマーであれば特に限定されるものではなく、具体例として、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)などを挙げることができる。
【0064】
フィラー配列フィルム30における導電粒子2の配置は、ランダムとしても規則的配置としてもよいが、各電極11、21における導電粒子の捕捉性を向上させる点から、導電粒子が所定ピッチで所定方向に配置されている配列軸を1以上有する平面格子パターンが好ましく、例えば、斜方格子、六方格子、正方格子、矩形格子、平行体格子などが挙げられる。また、平面格子パターンの異なる領域があってもよい。
【0065】
フィラー配列フィルム30において、導電粒子2の平均粒子径Dは,好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上2μm以下である。
【0066】
平均粒子径は、画像型粒度分布計(一例として、FPIA-3000:マルバーン・パナリティカル社製)により測定した値とすることができる。測定の際、粒子個数は1000個以上、好ましくは2000個以上であることが好ましい。
【0067】
導電粒子2の硬度は、20%変形時の圧縮硬さ(20%K値)が好ましくは2000N/mm2以上25000N/mm2以下、より好ましくは5000N/mm2以上10000N/mm2以下である。
【0068】
フィラー配列フィルム30における導電粒子2の個数密度は、30個/mm2以上500000個/mm2以下とすることができ、好ましくは120000個/mm2以上350000個/mm2以下、より好ましくは150000個/mm2以上300000個/mm2以下とすることが好ましい。
【0069】
なお、導電粒子2の個数密度は、金属顕微鏡を用いて観察して求める他、画像解析ソフト(例えば、WinROOF(三谷商事株式会社)や、A像くん(登録商標)(旭化成エンジニアリング株式会社)等)により観察画像を計測して求めてもよい。導電粒子の個数は、フィラー配列フィルム上で観察された個数を計測する。
【0070】
また、導電粒子2の種類としては、公知の異方性導電フィルムに用いられている導電粒子の中から適宜選択することができる。例えば、導電粒子としては、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウムなどの金属粒子、ハンダなどの合金粒子、金属被覆樹脂粒子、表面に絶縁性微粒子が付着している金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。2種以上を併用することもできる。中でも、金属被覆樹脂粒子が、接続された後に樹脂粒子が反発することで端子との接触が維持され易くなり、導通性能が安定する点から好ましい。また、導電粒子の表面には公知の技術によって、導通特性に支障を来さない絶縁処理が施されていてもよい。
【0071】
なお、フィラー配列フィルムにおいてフィラーとしては、当該フィラー配列フィルムの用途に応じて、無機系フィラー(金属粒子、金属酸化物粒子、金属窒化物粒子など)、有機系フィラー(樹脂粒子、ゴム粒子など)、有機系材料と無機系材料が混在したフィラー(例えば、コアが樹脂材料で形成され、表面が金属メッキされている粒子(金属被覆樹脂粒子)、導電粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させたもの、導電粒子の表面を絶縁処理したもの等)から、硬さ、光学的性能などの用途に求められる性能に応じて適宜選択される。
【0072】
例えば、フィラー配列フィルムをμLED等の微小光学素子の発色の調整や、カラーディスプレイにおけるブラックマトリックス等の用途に使用する場合、フィラーとして公知の色素、顔料、光散乱性粒子等を含有させてもよい。
【0073】
<フィラー配列フィルムの製造方法>
フィラー配列フィルム30は、接続構造体1Aにおける絶縁性樹脂層31が図1に示した傾斜領域4と平坦領域5を有するように、最低溶融粘度と厚みを調整する以外は公知の異方性導電フィルムと同様に製造することができる。
【0074】
例えば、特許文献3に記載の異方性導電フィルムの製造方法と同様に、まず、導電粒子の配列パターンに応じた凹部が形成された型を用意し、その型に導電粒子2を充填し、その上に剥離フィルム上に形成した高粘度バインダー樹脂層32を貼り合わせて、導電粒子2を高粘度バインダー樹脂層32に押し込んで転着し、その転着面に接着剤層33を積層する。ここで、絶縁性樹脂層31の厚みを図1に示したように変化させるため、最低溶融粘度と厚みを調整し、絶縁性樹脂層を更に積層してもよい。
【0075】
<フィラー配列フィルムの使用例>
フィラー配列フィルムは、例えばRGB1組の1ピクセル単位(1画素単位)など、所定単位の個片であってもよい。マイクロLEDのそれぞれの電極に対応する基板側の電極に応じて個片を離間させて設けてもよい。即ち、フィラー配列フィルムは個片状の形態をとることができる。個片の形状は、特に限定されるものではなく、接続対象である電子部品の寸法に応じて適宜設定することができる。フィラー配列フィルムの個片をLLO装置(例えば、商品名:Invisi LUM-XTR、信越化学工業株式会社)を用いるレーザーリフトオフ加工法(特開2017-157724号公報参照)により基材フィルム上に形成する場合は、捲れや欠けの発生を抑制するため、個片の形状は、鈍角からなる多角形、角が丸い多角形、楕円、長円、及び円から選択される少なくとも1種であることが好ましい。前出の本発明の接続構造体は、このような形状の個片からなる接続用のフィラー配列フィルムとマイクロLEDの組み合わせからなってもよく、個片になるフィルムの厚みや粘度等を調整することで、マイクロLEDが個片内に埋め込まれている態様も包含する。個片の形状が、鈍角からなる多角形、角が丸い多角形、楕円、長円、及び円から選択される少なくとも1種であり、基板側の電極のみに個々に離間して載置され、マイクロLEDの電極が離間した個片でそれぞれが接続された状態であってもよい。
【0076】
フィラー配列フィルムの個片の寸法(縦×横)は、接続対象である電子部品の寸法に応じて適宜設定され、電子部品の面積に対する個片の面積の比は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。また、個片の厚みは、フィラー配列フィルムの厚みと同様、導電粒子の平均粒子径に好ましくは1~4μm、特に好ましくは1~2μmを加算したものであり、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上6μm以下、さらに好ましくは2μm以上4μm以下である。なお、このようなフィラー配列フィルムの個片は、電子部品にのみ設けられてもよく、電子部品の電極のみに設けられてもよい。適切な樹脂の埋込状態を得るために、個片を複数個転写させ所定の樹脂厚みになるようにしてもよい。本発明は、このような接続構造体の製造方法も包含する。
【0077】
また、基材フィルム上の個片間の距離は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、個片間の距離の上限は、好ましくは3000μm以下、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下である。個片間の距離が小さ過ぎる場合、個片のLLOによる転写が困難となり、個片間の距離が大きい場合、個片を貼り付ける方法が好ましくなる。個片間の距離は、顕微鏡観察(光学顕微鏡、金属顕微鏡、電子顕微鏡など)を用いて計測することができる。
【0078】
<個片状のフィラー配列フィルムの製造方法)
フィラー配列フィルムの個片は、スリットやハーフカットにより形成してもよく、LLO装置を用いて形成してもよい。LLO装置を用いて個片を形成する場合、基材フィルムは、レーザー光に対して透過性を有するものであればよく、中でも全波長に亘って高い光透過率を有する石英ガラスであることが好ましい。
【0079】
LLO装置を用いてフィラー配列フィルムの個片を形成する場合、基材フィルム上に設けられたフィラー配列フィルムに対して基材フィルム側からレーザー光を照射し、照射部分のフィラー配列フィルムを除去することにより、基材フィルム上にフィラー配列フィルムの所定形状の個片を形成することができる。
【0080】
例えば、開口の窓部が四角形状であるマスクを用い、基材フィルムからフィラー配列フィルムの不要部分を除去することにより、フィラー配列フィルムの残存部分で所定形状の個片を構成することができる。また、例えば、開口の窓部内に所定形状の遮光部が形成されたマスクを用い、基材フィルムから個片周囲のフィラー配列フィルムの不要部分を除去することにより、フィラー配列フィルムの残存部分で所定形状の個片を構成することができる。
【0081】
また、LLO装置を用いて個片を作製した場合、個片の反応率は、25%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。これにより、優れた転写性を得ることができる。なお、レーザー照射前の硬化性樹脂膜やレーザー照射後に得られた個片の反応率の測定は、例えばFT-IRを用いて反応基の減少率により求めることができる。例えば、エポキシ化合物の反応を利用した硬化性樹脂膜の場合、試料に赤外線を照射させてIRスペクトルを測定し、IRスペクトルのメチル基(2930cm-1付近)及びエポキシ基(914cm-1付近)のピーク高さを測定し、下記式のように、メチル基のピーク高さに対するエポキシ基のピーク高さの反応前後(例えばレーザー照射前後)の比率で算出することができる。
【0082】
【数2】
【0083】
上記式において、Aは反応前のエポキシ基のピーク高さ、Bは反応前のメチル基のピーク高さ、aは反応後のエポキシ基のピーク高さ、bは反応後のメチル基のピーク高さである。なお、エポキシ基のピークに他のピークが重なる場合は、完全硬化(反応率100%)させたサンプルのピーク高さを0%とすればよい。
【実施例0084】
<粒子整列黒色異方性導電フィルムの作成>
表1の黒色絶縁性樹脂組成物(i)、(ii)及び(iii)をそれぞれ混合し、得られた混合物を剥離基材に塗布し、60℃、3minの乾燥処理を施すことにより、4μm又は6μm厚の黒色絶縁性樹脂フィルムをそれぞれ得た。
【0085】
その後、特許第6187665の段落0111~0112及び図1Aに記載の導電粒子規則配列処理にて導電粒子(ミクロパールAU、積水化学工業(株))を粒子密度58000個/mmになるように規則配列させた後、黒色絶縁性樹脂フィルムに転写することにより、黒色絶縁性樹脂組成物(i)からは、粒子整列黒色異方性導電フィルムA、粒子整列黒色絶縁性樹脂組成物(ii)からは黒色異方性導電フィルムB、粒子整列黒色絶縁性樹脂組成物(iii)からは、黒色異方性導電フィルムCを得た。
【0086】
【表1】
【0087】
<実装サンプルの作成>
得られた実施例1~4の黒色異方性導電フィルムを評価用基板に仮固定した被着体に評価用LEDチップを乗せて200℃-10Mpa-30secにて圧着し実装体を得た。得られた実装体について、「混色の程度」、「フィレット形成率F」、「導通抵抗」を以下に示すように試験・評価した。得られた結果を表2に示す。
【0088】
<混色の程度>
実施例1~4では、実装体を暗室にて、評価用LEDチップを発光させ、散乱した光の輪郭を金属顕微鏡にて測長し、その最大値で混色性を評価した。
【0089】
(混色の評価)
評価ランク 基準
AA:5μm未満
A: 5μm以上15μm未満
B: 15μm以上25μm未満
C: 25μm以上
【0090】
<フィレット形成率F>
実装体のフィレット形状をレーザー顕微鏡観察により、LEDの高さ方向の側面長Lと、絶縁性樹脂層から露出している部分のLEDの高さBとを求め、下式に従ってフィレット形成率Fを求めた。実用的には、フィレット形成率Fが60%以上100%以下であることが好ましい。
【0091】
【数3】
【0092】
<導通抵抗>
この実装体の評価用LEDチップに2対の10×10μm電極を設け、基板側の導通配線を通して導通抵抗測定を実施した。計30箇所測定を行い、得られた平均導通抵抗を以下の基準に従って評価した。
【0093】
(導通抵抗評価)
評価ランク 基準
A: 50Ω以下
B: 50Ω超100Ω以下
C: 100Ω超200Ω以下
D(NG): 200Ω超
【0094】
【表2】
【0095】
<結果の考察>
混色の程度は、フィレット形成率Fが60%である実施例1~3の場合、混色評価がA評価であった。フィレット形成率Fが100%である実施例4の場合、フィレット形成率60%である実施例1~3の場合より更に混色の程度が良好であり、AA評価であった。実施例4の方が、LED側面から出射する光をよりカットできたためと考えられる。なお、実施例1~4の場合、いずれも導通抵抗評価がAであり、実用上全く問題ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の接続構造体は第1電子部品の天面が絶縁性樹脂層から露出し、好ましくは天面に隣接する側面も絶縁性樹脂層から露出しているので、第1電子部品が発する光が絶縁性樹脂層で過度に遮られることを抑制できる。また、第1電子部品の電極及びその電極の形成基面は絶縁性樹脂層に埋め込まれているので、第1電子部品と第2電子部品とは確実に接続され、かつ第1電子部品の周囲には該第1電子部品との距離に応じて絶縁性樹脂層の厚みが変化している傾斜領域が形成されているので、この接続構造体は第1電子部品の実装に必要な樹脂層厚が確保されると共に、過剰な樹脂層厚が削減されたものとなる。また、絶縁性樹脂層の形成に黒色絶縁性樹脂組成物を利用すると、LEDの接続とブラックマトリックスの形成のプロセス短縮・コストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0097】
1A、1B、1C、1D 接続構造体
2 フィラー、導電粒子
3 絶縁性樹脂層
4 傾斜領域
4a 傾斜領域の外縁部
5、5a、5b 平坦領域
10 第1電子部品、μLED
11 電極
11a 電極面
12 電極の形成基面
13 天面
14 側面
20 第2電子部品、基板
21 電極
30 フィラー配列フィルム
31 絶縁性樹脂層
32 高粘度バインダー樹脂層
33 接着剤層
A 第1電子部品の電極面からの第1電子部品の天面までの高さ
B 第1電子部品の絶縁性樹脂層から露出している部分の高さ
E 傾斜領域の外縁部と第1電子部品との距離
D 導電粒子の平均粒子径
La 絶縁性樹脂層の厚み
第1電子部品の側面長さ
図1
図2
図3
図4
図5