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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152868
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】投影装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 11/00 20060101AFI20231005BHJP
   E04F 10/08 20060101ALI20231005BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20231005BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
F21S11/00 310
E04F10/08
F21V7/00 350
F21V7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047421
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2022055345
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】木下 知也
(72)【発明者】
【氏名】菊田 真代
(72)【発明者】
【氏名】加藤 未佳
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA04
2E105CC01
2E105DD02
2E105DD23
2E105DD24
2E105DD32
2E105FF02
2E105FF32
2E105FF34
(57)【要約】
【課題】 空間演出効果のある投影装置の提供。
【解決手段】 光源体1と反射体2と投影体3,4とを備え、光源体1は、移動するものであり、反射体2は、上面に多数の光反射面5,5,…を有し、各光反射面5は、大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面5の向きをランダムに異ならせてあり、投影体3,4は、光源体1の光6が反射体2の光反射面5,5,…で反射することで点状に分散した光の像7,7,…が投影され、光源体1の移動に伴って光の像7,7,…が形状、位置関係を変えながら移動する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源体と反射体と投影体とを備え、光源体は、移動するものであり、反射体は、上面に多数の光反射面を有し、各光反射面は、大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面の向きをランダムに異ならせてあり、投影体は、光源体の光が反射体の光反射面で反射することで点状に分散した光の像が投影され、光源体の移動に伴って光の像が形状、位置関係を変えながら移動することを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、直射日光を遮るとともに、上面で自然光を反射させて室内に採り入れるようにした庇(ライトシェルフ)が知られている。かかる従来の庇では、反射光が室内の天井等に面状に映るだけで、面白味がなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、空間演出効果のある投影装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による投影装置は、光源体と反射体と投影体とを備え、光源体は、移動するものであり、反射体は、上面に多数の光反射面を有し、各光反射面は、大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面の向きをランダムに異ならせてあり、投影体は、光源体の光が反射体の光反射面で反射することで点状に分散した光の像が投影され、光源体の移動に伴って光の像が形状、位置関係を変えながら移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による投影装置は、光源体と反射体と投影体とを備え、光源体は、移動するものであり、反射体は、上面に多数の光反射面を有し、各光反射面は、大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面の向きをランダムに異ならせてあり、投影体は、光源体の光が反射体の光反射面で反射することで点状に分散した光の像が投影され、光源体の移動に伴って光の像が形状、位置関係を変えながら移動するので、光の変動による空間演出効果が得られ、これにより室内に居る人々に対するリフレッシュ効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の投影装置の第1実施形態を示す縦断面図である。
図2】(a)は同投影装置の反射体の平面図、(b)は同側面図、(c)はA-A断面図である。
図3】反射体の斜視図である。
図4-1】反射体に太陽光を当てたときに、時間経過に伴って投影体を光の像が移動する様子を示す写真である。
図4-2】反射体に太陽光を当てたときに、時間経過に伴って投影体を光の像が移動する様子を示す写真である(図4-1の続き)。
図4-3】反射体に太陽光を当てたときに、時間経過に伴って投影体を光の像が移動する様子を示す写真である(図4-2の続き)。
図4-4】反射体に太陽光を当てたときに、時間経過に伴って投影体を光の像が移動する様子を示す写真である(図4-3の続き)。
図5】本発明の投影装置の第2実施形態を示す縦断面図である。
図6】ボロノイ形状の説明図である。
図7】反射体の実施形態を示す平面図である。
図8】本発明の投影装置の第3実施形態を示す縦断面図である。
図9】同投影装置の室外側から見た正面図である。
図10】同投影装置のオーニングと側面シェードを連動させる機構を示す説明図である。
図11】本発明の投影装置の第4実施形態を示す縦断面図である。
図12】同投影装置の室内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の投影装置の第1実施形態を示している。本実施形態の投影装置は、オフィスビル等の建物に適用したものである。
この建物は、屋外に面した南向きの壁の開口部に窓8が設置してあり、窓8は欄間窓部8aと腰高窓部8bとが上下に設けてある。
欄間窓部8aと腰高窓部8bとの境界部には、庇2が室外側に張り出して設けてある。庇2は、直射日光を遮るとともに、上面で太陽(光源体に相当)1の光6を反射させて欄間窓部8aから室内に採り入れる反射体としての機能を有するものとなっている。
【0008】
庇2は、図2,3に示すように、上面に細かく分割された多数の光反射面5,5,…を有している。各光反射面5は、大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面5の向きをランダムに異ならせてある。各光反射面5は、光6が正反射する鏡面となっている。
このように庇2の上面に多数の光反射面5,5,…が向きをランダムに異ならせて設けてあることで、太陽の光6が光反射面5,5,…で反射することで、図4―1~4-4に示すように、室内の天井3や壁4(投影体に相当)に点状に分散した光の像7,7,…が投影されるようにしている。なお、光反射面5,5,…の多角形状の角部にはRが付いていてもよい。また、光反射面5,5,…を何種類かの色に着色することで、投影体3,4に映る光の像7,7,…に濃淡を付けたり色を付けたりすることができる。
【0009】
庇2上面の多数の光反射面5,5,…は、ボロノイ形状を成している。ボロノイ形状とは、図6に示すように、任意の位置に配置された複数個の点を母点とし、隣り合う母点間を結ぶ直線に垂直二等分線を引いて空間を分割することでできる図形である。ボロノイ形状は、葉脈、石鹸の泡、キリンの模様、クモの巣など、自然界でよく見られるものであり、光反射面5,5,…をそうした自然界で見られるボロノイにならった形状とすることもできる。
【0010】
庇2の上面には、ランダムな多角形状の光反射面5,5,…の中に混ぜて、ハート形や星形、キャラクターの形など、人が認識できる特別な形状の光の像を投影するための光反射面が設けてあってもよい。かかる特別な形状の光の像を投影するための光反射面は、例えば庇2の上面にシール等を貼り付けることで形成することができる。
これにより、天井3等に投影される多数のランダムな形状の光の像7,7,…にアクセントを与えられ、ハート形などの特別な形状の光の像を見つけ出す楽しさを付加できる。
【0011】
上述した庇2の材質、製造方法は限定されるものではないが、例えばアルミ等の金属の鋳物で形成することができる。あるいは、3Dプリンターで出力し、ミラースプレーで塗装して形成することもできる。
【0012】
図4-1~4-4は、実際に窓8の室外側に上記した庇2を設置したときに、天井3に映る光の像7,7,…を1時間おきに撮影した写真である。これらの図に示すように、天井3には太陽1の光6が庇2の光反射面5,5,…で反射することで光の像7,7,…が分散して投影される。これらの光の像7,7,…は、太陽1が東から西に移動するのに伴って概ね西から東に移動するが、光反射面5,5,…が大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面5,5,…の向きをランダムに異ならせてあることで、天井3や壁4に映る光の像7,7,…は形状が様々で且つ太陽1が移動するのに伴って形状が変化し、しかもそれぞれの光の像7,7,…の移動する方向・距離は一様ではないから、位置関係を変えながら移動する。また、時間帯により天井3や壁4に映る光の像7,7,…の数が変化する。
本投影装置は、このように天井3や壁4に複雑に変化する光の変動が投影されることで、心地よい空間を演出することができ、室内に居る人々に対するリフレッシュ効果がある。すなわち、室内に居る人々が天井3や壁4に映る光の像7,7,…の変動を見ることで、気分が安らいだり、気分転換になったり、アイデアが浮かんだりする効果が期待できる。
【0013】
図5は、本発明の投影装置の第2実施形態を示している。本実施形態は、先に説明した実施形態と同様に、窓8の室外側に反射体としての庇2が設置してあり、窓8の上端部と庇2の先端部とを結ぶ線状にオーニング9が設置してある。
本実施形態によれば、太陽1の光6が窓8から直接射し込むのをオーニング9で遮り、庇2上面で反射した反射光のみを室内に導入することができる。これにより、室内の壁4や天井3に光の像7,7,…がはっきり投影される。
【0014】
図8,9は、本発明の投影装置の第3実施形態を示している。本実施形態は、第2実施形態と同様に、窓8の欄間窓部8aと腰高窓部8bとの間の無目14の室外側に反射体としての庇2が設置してあり、欄間窓部8aの上方の外壁から斜め下向きにオーニング9が設置してあり、オーニング9の左右両側の側面に側面シェード15が設けてある。
オーニング9は、従前のものを利用しており、操作部19を操作してくの字形に屈曲したアーム21を曲げ・伸ばしすることで伸縮するものであり(図8参照)、オーニング9と側面シェード15とを連動させるために、アーム21とは別に伸縮アーム16を設けている。
伸縮アーム16は、図8,10に示すように、X字状に交差したリンクを繋げて構成してあり、伸縮アーム16の先端部16aにオーニング9の室外側の端部が連結してあり、オーニング9が伸縮するのに伴って伸縮アーム16が伸縮する。
側面シェード15は、図8,10に示すように、庇2の室内側端部の下面側に設けられた軸17を支点に扇状に開閉自在に設けられ、側面シェード15の骨18を伸縮アーム16の上側のピン16bに連結してある。したがって、オーニング9が伸縮して伸縮アーム16が伸縮すると、それに連動して側面シェード15が開閉する。
【0015】
本実施形態によれば、図8,9に示すように、太陽の光6が欄間窓部8aから直接室内に射し込むのをオーニング9と側面シェード15とで遮り、庇2上面で反射した反射光のみを室内に導入することができる。これにより、室内の壁4や天井3に光の像7,7,…がはっきり投影される。オーニング9に加えて側面シェード15を備えることで、図9に示すように、朝方や夕方に斜め前方から射し込む光6も遮ることができる。
【0016】
図11,12は、本発明の投影装置の第4実施形態を示している。本実施形態は、窓8の欄間窓部8aと腰高窓部8bとの間の無目14の室内側に反射体としての庇2が設置してある。また、欄間窓部8aの室内側には、欄間窓部8aから直接室内に射し込もうとする太陽の光6を遮るロールスクリーン20を設置してある。
本実施形態の投影装置は、庇2を室外側に設けた第1,2,3実施形態と同様に、室内の壁4や天井3に時間経過と共に刻々と変化する多数の光の像7,7,…を投影することができる(図12参照)。庇2を室内に設けたことで、庇2の汚れや劣化を防ぐことができ、庇2の清掃も容易に行える。
【0017】
図7は、反射体2の実施形態を示している。この反射体2は、左右両側の端部パネル10,10と、左右の端部パネル10,10の間に配置される複数の中間パネル11,11,…とに分割して形成した上で、接着剤等で結合したものとなっている。パネル10,11同士の結合部分は、光反射面5を構成するボロノイの形状に合わせて分割されている。左側の端部パネル10の右側の側面12aの形状は、各中間パネル11の右側の側面の形状12bと同一になっており、右側の端部パネル10の左側の側面13aの形状は、各中間パネル11の左側の側面13bの形状と同一になっている。そして左側の端部パネル10及び中間パネル11の右側の側面12a,12bの形状と、右側の端部パネル10及び中間パネル11の左側の側面13a,13bの形状とは、互いにぴったり合わさるようになっている。
上記のように反射体2を長手方向に複数に分割することで、輸送性や施工性を向上することができる。また、中間パネル11の数を変化させることで、様々な大きさの窓8に合わせて反射体2の長さを調整することができる。
【0018】
以上に述べたように本投影装置(第1,2,3,4実施形態)は、光源体(太陽)1と反射体(庇)2と投影体(天井及び壁)3,4とを備え、光源体1は、移動するものであり、反射体2は、上面に多数の光反射面5,5,…を有し、各光反射面5は、大きさと形がランダムな多角形状であると共に、光反射面5の向きをランダムに異ならせてあり、投影体3,4は、光源体1の光6が反射体2の光反射面5,5,…で反射することで点状に分散した光の像7,7,…が投影され、光源体1の移動に伴って光の像7,7,…が形状、位置関係を変えながら移動するので、光の変動による空間演出効果が得られ、これにより室内に居る人々を癒す効果がある。
また本投影装置(第1,2,3,4実施形態)は、光源体は太陽1であり、反射体は窓8の室外側又は室内側に設置した庇2であり、投影体は天井3や壁4であるため、庇2を設置するだけで、自然光を利用して室内の天井3や壁4に変動する光の像7,7,…を投影することができ、低コスト且つ省エネである。
さらに本投影装置(第2,3実施形態)は、反射体は窓8の室外側に設置した庇2であり、窓8の室外側にオーニング9や側面シェード15を設置することで、オーニング9により直射日光を遮り、反射体2で反射した光だけを室内に導入できるため、空間演出効果が向上する。
また本投影装置(第4実施形態)は、反射体は窓8の室内側に設置した庇2であるため、庇2の汚れや劣化を防ぐことができ、庇2の清掃も容易に行える。さらに、窓8の室内側にロールスクリーン20を設置することで、ロールスクリーン20により直射日光を遮り、反射体2で反射した光だけを室内に導入できるため、空間演出効果が向上する。
【0019】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。反射体の上面に設けられる光反射面の形状や配置は、適宜変更することができる。反射体の材質、製造方法は、問わない。反射体は、窓の室内側に設けることもできる。反射体よりも下方の窓(腰高窓部)は、必ずしもなくてもよい。本発明の投影装置は、反射体を窓とは無関係に任意の位置に設置し、移動する人工照明の光を反射体で反射させて天井等に光の像を投影するものであってもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 太陽(光源体)
2 庇(反射体)
3 天井(投影体)
4 壁(投影体)
5 光反射面
6 光
7 光の像
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12