(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152878
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20231005BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231005BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65H35/07 K
H01L21/60 311T
H05K3/32 B
B65H35/07 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048583
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2022057402
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023047129
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一哉
【テーマコード(参考)】
3F062
5E319
5F044
【Fターム(参考)】
3F062AA05
3F062AA12
3F062AB04
3F062BA08
3F062BF11
3F062BG04
3F062FA08
3F062FA23
5E319AC01
5E319BB16
5E319CC12
5E319CD26
5E319CD36
5E319GG15
5F044LL09
5F044NN19
5F044PP11
5F044PP15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メンテナンスの際にオペレータの安全を確保しつつ、装置全体の大型化を抑制し、さらに生産性を向上させることが出来る基板処理装置を提供する。
【解決手段】隣接して設けられ、基板Wをそれぞれ保持する複数のステージ10A、10Bと、ステージ10A、10Bに対向してそれぞれ設けられ、基板Wに対して移動するユニット20B、20Cであって、基板Wの端子に対して処理をするユニット20B、20Cと、ステージ10A(10B)に対向して設けられるユニット20B(20C)に追従して移動し、隣接するステージ10B(10A)に対向して設けられるユニット20C(20B)を遮蔽する第1の遮蔽板30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接して設けられ、基板をそれぞれ保持する複数のステージと、
前記ステージのそれぞれに対応して設けられ、前記ステージに保持された前記基板に対して移動するユニットであって、前記基板の端子に対して処理をする複数のユニットと、
前記ユニットに追従して移動し、隣接するステージに対応して設けられるユニットを遮蔽する第1の遮蔽板と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記ユニットは、前記基板の端子に粘着テープを貼着する貼着ユニットである、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1の遮蔽板は、隣接する前記ステージに対応して設けられた前記ユニット同士が対向する箇所にそれぞれに設けられる、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記貼着ユニットは、
前記基板に対して、離型テープに貼着された前記粘着テープを供給する供給リールと、
前記離型テープを回収する回収リールと、
を備え、
前記供給リールは、前記貼着ユニットから前記供給リールを着脱する側に当該供給リールの取り付け面を向けるように、前記第1の遮蔽板に対して傾けて設けられ、
前記回収リールは、前記第1の遮蔽板に対して、前記供給リールとは逆に傾けて設けられる、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記貼着ユニットは、
前記基板に対して、離型テープに貼着された前記粘着テープを供給する供給リールと、
前記離型テープを回収する回収リールと、
を備え、
前記回収リールは、前記貼着ユニットから前記回収リールを着脱する側に当該回収リールの取り付け面を向けるように、前記第1の遮蔽板に対して傾けて設けられる、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ユニットは、
前記基板に対して、端子を清掃する清掃ユニットと、
端子を清掃する清掃テープを供給する清掃用供給リールと、
前記清掃テープを回収する清掃用回収リールと、
を備え、
前記清掃用供給リールは、前記ユニットから前記清掃用供給リールを着脱する側に当該清掃用供給リールの取り付け面を向けるように、前記第1の遮蔽板に対して傾けて設けられる、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ユニットは、
前記基板に対して、端子を清掃する清掃ユニットと、
端子を清掃する清掃テープを供給する清掃用供給リールと、
前記清掃テープを回収する清掃用回収リールと、
を備え、
前記清掃用回収リールは、前記ユニットから前記清掃用回収リールを着脱する側に当該清掃用回収リールの取り付け面を向けるように、前記第1の遮蔽板に対して傾けて設けられる、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ステージと前記ユニット間に第2の遮蔽板を備え、
前記第2の遮蔽板は、前記第1の遮蔽板と直交する方向に沿っており、前記第2の遮蔽板の下端と前記基板が干渉しない位置に設けられる、
請求項4乃至7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第2の遮蔽板は、
前記基板に干渉しない高さに設けられた固定カバーと、
前記固定カバーより下に設けられたシャッタと、
を備え、
前記シャッタは、固定カバーの下端と前記シャッタの上端の間を調整する上下昇降機構を有し、
前記基板を保持した前記ステージは、前記固定カバーと前記シャッタの間を前後する、
請求項8に記載の基板処理装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネルの製造工程においては、表示パネルの基板に、基板を駆動するためのドライバICなどのチップ状電子部品や、ドライバICを実装したCOF(Chip On Film)と称されるフィルム状電子部品を実装する工程が存在する。この工程に先んじて、基板の端子には、基板の端子と電子部品の端子とを接合するために、ACF(Anisotropic Conductive Film)と称される異方性導電部材が貼着される。すなわち、ACFを介して、基板にドライバICまたはCOFが実装される。
【0003】
ACFは、基材となる熱硬化性樹脂の中に小さな導電粒子が多数入ったフィルム状の部材であり、離型テープに貼付されたテープ状部材(以下、ACFテープともいう。)として供給され、基板の端子に貼着される。このようなACFは、ドライバICまたはCOFの寸法に合わせて予め切れ目が入れられ、基板の端子に貼着後、基板から離型テープを引き離す際に、この切れ目で基板の端子に貼着されたACFとACFテープが分離される。
【0004】
基板の端子にACFを貼着する基板処理装置としては、例えば特許文献1に開示されているようなものが知られている。特許文献1に開示されている基板処理装置は、1枚の基板に対してACFを貼着するユニットを隣接配置し、1枚の基板の異なる端子に対して同時並行的にACFの貼着を行うことにより、生産性の向上を図っている。また、特許文献1においては、このような基板処理装置を隣接配置してなる大型の基板処理装置により、複数枚の基板に対して同時並行的にACFの貼着を行うことも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような大型の基板処理装置は、個別に基板処理装置を2台配置した時と比べると、装置の共通の部分等を省くことにより、コンパクトでフットプリントを縮小した装置にすることが出来る。しかしながら、装置内で各々のユニットが接近する構成になるので、ACFテープの交換作業やメンテナンス作業をする際、オペレータが安全に作業するために、装置全体を停止せざるを得なくなり、その分、生産性を下げてしまうという問題があった。また、このような問題は、基板の端子にACFを貼着するユニットを備える基板処理装置だけに限られるものではなく、例えば、基板の端子を清掃するユニットを備える基板処理装置にも存在していた。
【0007】
本発明は、メンテナンスの際にオペレータの安全を確保しつつ、装置全体の大型化を抑制し、さらに生産性を向上させることが出来る基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板処理装置は、隣接して設けられ、基板をそれぞれ保持する複数のステージと、前記ステージのそれぞれに対応して設けられ、前記ステージに保持された前記基板に対して移動するユニットであって、前記基板の端子に対して処理をする複数のユニットと、前記ユニットに追従して移動し、隣接するステージに対応して設けられるユニットを遮蔽する第1の遮蔽板と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、メンテナンスの際にオペレータの安全を確保しつつ、装置全体の大型化を抑制し、さらに生産性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の基板処理装置を示す平面図である。
【
図2】実施形態の基板とその端子を示す平面図である。
【
図6】実施形態のユニットを示す左側面図(A)、実施形態のユニットを示す右側面図(B)である。
【
図7】実施形態のユニット全体と作業者を示す側面図である。
【
図8】実施形態のユニットのはみ出しを示す左端の正面図(A)、実施形態のユニットのはみ出しを示す右端の正面図(B)である。
【
図9】実施形態のユニットの移動を示す平面図である。
【
図10】実施形態のユニットの移動を示す平面図である。
【
図11】実施形態の制御部を示す機能ブロック図である。
【
図12】実施形態の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態のユニットの退避を示す平面図である。
【
図14】変形例の基板処理装置を示す平面図である。
【
図15】変形例の基板処理装置を示す平面図である。
【
図16】変形例の基板処理装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態(以下、本実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、図面は、各部材、各構成部を模式的に示したものであり、その寸法や間隔等を正確に示したものではない。
【0012】
[構成]
本実施形態の基板処理装置1の構成を、
図1乃至
図11を参照して説明する。基板処理装置1は、
図1に示すように、隣接して設けられ、複数の基板Wをそれぞれ保持する複数のステージ10と、ステージ10に対向してそれぞれ設けられ、基板Wの端子Pを処理する複数のユニット20と、一部のユニット20に設けられる第1の遮蔽板30と、ステージ10とユニット20との間に設けられる第2の遮蔽板40と、を備える。また、基板処理装置1は、
図11に示すように、これらの構成を制御する制御部80を備える。
【0013】
基板Wは、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネルの基板であり、概略長方形形状である。基板Wの一辺には、複数の端子からなる端子群である端子Pが、複数並べて設けられる。本実施形態では、端子Pは、等間隔に4つ並べて設けられ、この端子Pに対して、
図2に示すように、後述するユニット20によりACF100が貼着される。ACF100は、基材となる樹脂の中に、小さな導電粒子が多数入ったテープ状の部材であり、端子Pに貼着される。すなわち、各基板Wの一辺には、端子Pが4つ並べて設けられ、各端子Pに対して、ユニット20によりACF100が貼着される。
【0014】
ステージ10は、基板Wを保持する概略直方体形状の台である。本実施形態のステージ10は、隣接するように2台並べて設けられ、各ステージ10は、2枚の基板Wを並べて保持する。2台のステージ10が並ぶ方向と2枚の基板Wが並ぶ方向は同じであり、以下ではこの方向をX方向という。したがって、基板Wの端子PがX方向に並ぶように基板Wはステージ10に保持される。また、ステージ10に基板Wが載置される平面において、X方向に垂直な方向をY方向、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向という。これは、
図1において、図視方向で、左右方向がX方向であり、上下方向がY方向であり、紙面前後方向がZ方向であることを示している。なお、
図1において、図視下側(ステージ10の側)が「前」、図視上側(ユニット20の側)を「後ろ」ともいう。また、
図1において、左側のステージ10をステージ10A、右側のステージ10をステージ10Bという。さらに、ステージ10は、図示しない移動機構を有し、XY方向に移動可能となっており、後述する貼着作業の際には、ユニット20の下方に進出する。
【0015】
ユニット20は、ステージ10に対してY方向に、対向して設けられ、基板Wの端子Pを処理する装置である。本実施形態のユニット20は、処理として基板Wの端子PにACF100を貼着する貼着ユニットである。本実施形態のユニット20は、各ステージ10に対して2台ずつ、各ステージ10が保持する基板WにY方向に対向して、X方向に並べて設けられる。具体的には、各ユニット20は、基板Wの端子Pが並べて設けられる一辺に対向して設けられる。
【0016】
ステージ10Aに対向して設けられるユニット20を、
図1における左側から順にユニット20A、ユニット20Bという。また、ステージ10Bに対向して設けられるユニット20を、
図1における左側から順にユニット20C、ユニット20Dという。すなわち、本実施形態においては、ユニット20Bとユニット20Cとが、ステージ10Aとステージ10Bが隣接する位置に対応して、隣接して設けられる。
【0017】
このように、本実施形態では、一つのステージ10に対して二つのユニット20が配置され、この二つのユニット20で、当該ステージ10に保持された基板Wに対して処理を行う。この同じ基板Wに処理を行うステージ10とユニット20が互いに対応するという。すなわち、上記においては、ユニット20A、ユニット20Bは、ステージ10Aに対応している。また、ユニット20C、ユニット20Dは、ステージ10Bに対応している。
【0018】
本実施形態のユニット20は、
図3乃至
図5に示すように、供給部21と、切断部22と、貼着部23と、剥離部24と、搬送部25と、回収部26と、を備え、図示しない、例えば、モータを駆動源として対象物を移動可能とするガイド機構等の移動機構によって、各々が独立してX方向に移動可能に設けられている。そして、貼着部23を挟んで、供給部21、切断部22と、剥離部24、搬送部25、回収部26とが配置される。このようなユニット20は、後述するテープ状部材Tとして供給部21から供給されるACF100を、切断部22で切断し、貼着部23によって基板Wの端子Pに貼着する。このとき、後述する離型テープRを剥離部24によってACF100から剥離し、ACF100貼着後の離型テープRを回収部26に回収する。なお、テープ状部材Tは、搬送部25によって搬送する。また、ユニット20は、
図3、
図8乃至
図10に示すように、基板Wに設定された端子Pの位置によっては、基板WのX方向の幅を越えてしまう。端子Pが基板Wの左端の場合、
図8(A)に示すユニット20の領域Aの部分が基板Wの左端からはみ出してしまう。すなわち、
図9のユニット20Cのように、ユニット20の領域Aが隣接するステージ10Aの領域にはみ出してしまうことになる。
図8(B)においては、端子Pが基板Wの右端の場合にはみ出すユニット20の領域をBで示している。すなわち、
図10のユニット20Bのように、ユニット20の領域Bが隣接するステージ10Bの領域にはみ出してしまうことになる。
【0019】
貼着部23は、ユニット20の前側部分で、ステージ10の側に設けられる。ユニット20の後ろ側部分で、貼着部23が無いステージ側とは反対側(
図4及び
図5の領域M側)は、貼着部23において使用するテープ状部材Tの供給、使用済みのテープ状部材Tである離型テープRの回収や、各種メンテナンスが可能となっている(以下、ユニット20の後ろ側であって、
図4及び
図5の領域M側を、着脱する側、ともいう)。
【0020】
テープ状部材Tは、ACF100からなる粘着テープSが、離型テープRに貼着されたものである。離型テープRは、粘着テープSから剥離可能なテープであり、例えば、ポリイミド等の樹脂フィルムによって形成されている。なお、本実施形態のテープ状部材Tの幅は、0.5~3.5mm程度である。
【0021】
供給部21は、貼着部23にテープ状部材Tを供給する。供給部21は、供給リール211、テンション機構212、経路ローラ213を有する。
【0022】
供給リール211は、テープ状部材Tを巻装し、回動によりテープ状部材Tを送り出すリールである。
図4に示すように、供給リール211は、ユニット20の内部後ろ側に設置され、ステージ側から着脱する側に向かって、Y方向に、貼着部23、供給リール211の順になるように設置される。供給リール211の中心には、ユニット20が有する図示しない支持部材の軸が嵌合され、回動可能となっている。そして、その軸は、ユニット20のX方向側に軸が向くように設置される。したがって、供給リール211は、供給リール211の回転面がX方向側に向くように取り付けられる。つまり、供給リール211は、その回転面が上下方向(Z方向)に沿うように立てられた状態で、回動可能に、かつ着脱可能にユニット20に取り付けできるようになっている。そして、テープ状部材Tの交換などのメンテナンスの際には、供給リール211は、着脱する側(
図4の領域M側)から取り外される。
【0023】
供給リール211は、
図4に示すユニット20Bにおいて、供給リール211を着脱する側(
図4の領域M側)から、供給リール211の支持部材を認識し易い様、また、供給リール211を着脱しやすい様、供給リール211の取り付け面(供給リール211の円形の面、回転面)を、供給リール211を着脱する側に傾けて、例えば、Y方向に対して15°回転面をユニット20Bの後ろ側に傾けて取り付けられる。基板処理装置1をコンパクトにするためには、供給リール211の取り付け面をY方向に対して0°にするのが最も好ましいが、そうしてしまうと、供給リール211を着脱する側から、供給リール211の取り付け位置を認識し辛くなって、供給リール211が着脱し難くなってしまう。さらには、
図5に示すユニット20Cの様に、後述する第1の遮蔽板30を供給リール211側に設けることによって、X方向のスペースが少なくなるので、尚更、供給リール211の取り付け位置を認識し辛くなり、着脱し難くなってしまう。よって、供給リール211の取り付け面を、供給リール211を着脱する側に傾けることで、後述する第1の遮蔽板30を設けても、供給リール211を着脱しやすい構造になっている。
【0024】
テンション機構212は、テープ状部材Tに張力を与える。
図3に示すように、テンション機構212は、供給リール211から引き出されるテープ状部材Tの移動を案内するように、上下に距離を空けて配置された一対のローラである。一方のローラは上下動しない固定ローラ212aであり、他方のローラが上下動可能な可動ローラ212bである。可動ローラ212bは、図示しない昇降機構によって上下に移動する。つまり、図中、黒塗りの矢印方向に移動する。経路ローラ213は、テンション機構212からのテープ状部材Tの移動方向を変えて、貼着部23に向けて送り出すローラである。
【0025】
切断部22は、テープ状部材Tにおける粘着テープSを切断する。以下では、このように粘着テープSだけを切断することをハーフカットと呼び、切断部22の切断により粘着テープSに形成された切れ目をハーフカットラインHCと呼ぶ。このハーフカットラインHCは、端子Pの寸法に対応する間隔で形成される。したがって、粘着テープS(ACF100)は、端子Pの寸法に対応する長さに切断される。
【0026】
切断部22は、テンション機構212と経路ローラ213との間に設けられ、カッター221、バックアップ部材222を有する。カッター221は、粘着テープSを幅方向に切断する部材である。すなわち、カッター221の先端の刃は、テープ状部材Tの幅方向に延びている。また、カッター221は、図示しない移動機構により、その先端の刃が粘着テープSに接離する。カッター221は、上述のように、供給部21によって供給されたテープ状部材Tの粘着テープS上に、端子Pの寸法に合わせてハーフカットラインHCを形成する。バックアップ部材222は、略直方体形状のブロックである。このバックアップ部材222は、カッター221との間でテープ状部材Tを挟み、離型テープRに接する平坦面222aを有する。
【0027】
貼着部23は、経路ローラ213の下流側に設けられ、ステージ10に保持された基板Wに設けられる端子Pに対して、テープ状部材Tにおける粘着テープSを貼着する。基板Wは、貼着部23の下方に進出するステージ10により、貼着部23の下方に位置付けられる。貼着部23は、加圧ヘッド231を有する。加圧ヘッド231は、図示しない昇降装置により上下に移動することによりテープ状部材Tを押し下げ、基板Wに設けられた端子Pに対して、粘着テープSを貼着する。加圧ヘッド231には、図示しないヒータが設けられ、テープ状部材Tとの接触面が、所定の温度に加熱されている。さらに、加圧ヘッド231におけるテープ状部材Tとの接触面には、緩衝部材231aが図示しない供給機構により供給されている。この緩衝部材231aは、例えば、弾性体により形成されたシートであり、加熱によって軟化した粘着テープSが加圧ヘッド231に付着することを防止する。
【0028】
剥離部24は、貼着部23の下流側に設けられ、基板Wの端子Pに貼着された粘着テープSから離型テープRを剥離する。剥離部24は、剥離棒241、242を有する。剥離棒241、242は、例えばY方向に延びるように設置した丸棒であり、離型テープRと接する部材である。剥離棒241は、離型テープRの表面、すなわち、粘着テープS側の面と接し、剥離棒242は、離型テープRの裏面と接する。剥離棒241、242は、図示しない移動機構によって、離型テープRを挟んだ状態でテープ状部材Tの上流側(点線の矢印方向)に水平移動することにより、基板Wの端子Pに貼着された粘着テープSから離型テープRを剥離する。
【0029】
搬送部25は、供給部21から貼着部23を介して、回収部26の回収リール261にテープ状部材Tを送り出す。搬送部25は、送りローラ251、図示しない送り用モータを有する。送りローラ251は、一対のローラで離型テープRを挟み、ローラの回動によってテープ状部材Tを供給部21側から回収部26側へ移動させる。送り用モータは、送りローラ251を回動させる駆動源である。送り用モータは、その回転軸が送りローラ251と連結されており、当該モータの駆動により回転軸が当該軸周りに回転することにより、送りローラ251を回転軸周りに回動させる。
【0030】
回収部26は、剥離部24の下流側に設けられ、基板Wの端子Pに貼着された粘着テープSから剥離された離型テープRを回収する。回収部26は、回収リール261、経路ローラ262を有する。
【0031】
回収リール261は、離型テープRを巻き取って回収するリールである。
図4に示すように、ユニット20の内部後ろ側に設置され、ステージ側から着脱する側に向かって、Y方向に、貼着部23、回収リール261の順になるように設置される。回収リール261の中心には、ユニット20が有する図示しない支持部材の軸が嵌合され、回動可能となっている。そして、その軸は、ユニット20のX方向側に軸が向くように設置される。したがって、回収リール261は、回収リール261の回転面がX方向側に向くように取り付けられる。つまり、回収リール261は、その回転面が上下方向(Z方向)に沿うように立てられた状態で、回動可能に、かつ着脱可能にユニット20に取り付けできるようになっている。そして、テープ状部材Tの交換などのメンテナンスの際には、回収リール261は、着脱する側(
図4の領域M側)から取り外される。
【0032】
回収リール261は、
図4に示すユニット20Bにおいて、供給リール211と同様に、回収リール261を着脱する側(
図4の領域M側)から、回収リール261の支持部材を認識し易い様、また、回収リール261を着脱しやすい様、回収リール261の取り付け面(回収リール261の円形の面、回転面)を、回収リール261を着脱する側に傾けて、例えば、Y方向に対して15°回転面をユニット20Bの後ろ側に傾けて取り付けられる。基板処理装置1をコンパクトにするためには、回収リール261の取り付け面をY方向に対して0°にするのが最も好ましいが、そうしてしまうと、回収リール261を着脱する側から、回収リール261の取り付け位置を認識し辛くなって、回収リール261が着脱し難くなってしまう。さらには、
図4の様に、後述する第1の遮蔽板30を回収リール261側に設けることによって、X方向のスペースが少なくなるので、尚更、回収リール261の取り付け位置を認識し辛くなり、着脱し難くなってしまう。よって、回収リール261の取り付け面を、回収リール261を着脱する側に傾けることで、後述する第1の遮蔽板30を設けても、回収リール261を着脱しやすい構造になっている。
【0033】
経路ローラ262は、貼着部23側からの離型テープRの移動方向を変えて、回収リール261に向けて送り出すローラである。なお、経路ローラ262は、剥離部24と搬送部25との間に設けられる。
【0034】
また、
図4、
図5に示すように、ユニット20の供給リール211及び回収リール261を着脱する側には、メンテナンス用の領域Mが設けられる。つまり、領域Mは、ユニット20の後方に設けられ、ユニット20に対して供給リール211及び回収リール261の着脱を行うなど、オペレータがユニット20に対してメンテナンス作業を行うための領域である。
【0035】
第1の遮蔽板30は、ユニット20の移動方向(X方向)と直交するYZ平面に平行な方向に延びてなる板状部材である。本実施形態の第1の遮蔽板30は、例えばアクリル板やポリカーボネート板などの透明な部材からなる。第1の遮蔽板30は、メンテナンス作業時に、隣接するユニット20を遮蔽し、メンテナンス作業中のオペレータの安全を確保する。そのため、第1の遮蔽板30は、稼働中のユニット20がオペレータに接触するなどの干渉を防ぐのに十分な大きさと強度を有する。具体的には、少なくともユニット20の側面を覆う大きさとする(
図7参照)。
【0036】
第1の遮蔽板30は、
図4、
図5に示すように、ユニット20の側方に設けられた遮蔽板保持部27に取り付けられる。例えば、
図6に示すように、遮蔽板保持部27によって第1の遮蔽板30の下方が保持される。したがって、第1の遮蔽板30は、ユニット20に追従して移動する。
【0037】
第1の遮蔽板30が取り付けられるユニット20の側方とは、各ステージ10に対応する複数のユニット20のうち、各ステージ10の隣接する側に設けられるユニット20の、各ユニット20の隣接する側である。例えば、ユニット20B及び20Cのそれぞれ隣接する側である。具体的には、第1の遮蔽板30の一方は、ステージ10Aに対応するユニット20Aとユニット20Bのうち、ユニット20BのX方向右側(ユニット20Bのステージ10B側)に設けられ、第1の遮蔽板30の他方は、ステージ10Bに対応するユニット20Cとユニット20Dのうち、ユニット20CのX方向左側(ユニット20Cのステージ10A側)に設けられる。つまり、ユニット20Aとユニット20Bの対抗する箇所にそれぞれ設けられる。
【0038】
第2の遮蔽板40は、
図1に示すように、ユニット20の移動方向(X方向)と平行なXZ平面に平行な方向に延びてなる板状部材である。本実施形態の第2の遮蔽板40は、例えばアクリル板やポリカーボネート板などの透明な部材からなる。第2の遮蔽板40は、ステージ10とユニット20との間に設けられる。ここで言うステージ10とユニット20との間とは、本実施形態の場合、ステージ10に保持される基板Wが、処理のためにユニット20の貼着部の直下に進入する前の状態で、ステージ10とユニット20とが、互いに離間している状態(初期状態)において、平面視でその間であるということを示す。したがって、処理のために平面視においてステージ10とユニット20とが重なっている場合でも、初期状態のステージ10とユニット20との間に第2の遮蔽板40が設けられるということである。
【0039】
第2の遮蔽板40は、例えばZ方向に開閉する遮蔽板である。第2の遮蔽板40は、ユニット20がステージ10に保持される基板Wに対してACFの貼着を行っているときは、開かれていて、基板Wがユニット20の貼着部まで進入することができる。第2の遮蔽板40は、オペレータがユニット20に対してメンテナンス作業を行うときは、オペレータの安全を確保するために、閉じられている。したがって、この場合には、ステージ10とユニット20とは初期状態に位置する。オペレータの安全を確保するために、第2の遮蔽板40は、ステージ10がオペレータに接触するなどの干渉を防ぐのに十分な大きさと強度を有する。後述する防塵効果も考慮すると、ステージ10のX方向長さを覆う大きさとするのが好ましい(
図1参照)。また、ステージまたはステージに保持された基板が貼着領域まで進入できないようにするために、第2の遮蔽板40は、閉じた時にステージ10の可動部分を遮蔽する大きさとする。
【0040】
第2の遮蔽板40は、上記のように基板処理装置1のX方向に沿って設けられる。したがって、第1の遮蔽板30とは直交するカバーであり、ユニット20および第1の遮蔽板30のX方向の移動を妨げないように、Y方向に所定の間隔を有して設けられている。第2の遮蔽板40は、固定カバー410とシャッタ420の2つからなる。
【0041】
固定カバー410は、ステージ10とユニット20の間に設置され、ステージ10と直交し、装置の天井からXZ方向に延びた(ステージの長さ分)板状のものである。固定カバー410は、ユニット20の稼働を妨げないように、Y方向にユニット20と隙間をもって設置される。また、固定カバー410とステージ10のZ方向の隙間は、ステージ10が移動時、ACFを貼着時であってもステージ10上にある基板Wに干渉しないように設けられる。つまり、基板Wが加圧ヘッドの直下に入る際に干渉しない高さにすればよい。また、固定カバー410の下端は、ユニット20側に向かって所定の長さだけ延びる折部を有している。
【0042】
シャッタ420は、固定カバー410と同様に、ステージ10とユニット20との間であって、固定カバー410よりもユニット20側に位置し、固定カバー410と対応するようにXZ方向に延びて板状のものである。シャッタ420は、ステージ10及びユニット20を載置する架台側に設けられた昇降駆動部(図示しない)により支持され、Z方向に昇降が可能である。なお、シャッタ420の昇降を手動としてもよいが、メンテナンスモードとの連動できるものが望ましい。シャッタ420のX方向の長さは、ステージに対応する長さである。また、シャッタ420は、
図6(A)及び(B)に示すように、下降することで、加圧ヘッド231の下にステージ10及び基板Wが進入することができる。逆に、
図7に示すように、シャッタ420を上昇することで、加圧ヘッド231の下にステージ10を侵入することを阻止する。なお、シャッタ420の上下昇降範囲は、例えば、シャッタ420の最上端が、固定カバー410の下端と接触する高さを上限とし、ステージ10に干渉しない高さを下限となるようにしてもよいし、それ以外の昇降範囲にしてもよい。なお、本実施形態では、シャッタ420と固定カバー410Y方向にずれて設置される。この場合、シャッタ420の最上端が、固定カバー410の下端と接触する高さを上限とする必要はなく、正面から見て重なるようにしてもよい。また、そのY方向のズレによる隙間をなくすために固定カバー410には固定カバー410の下端(折部)が設けられてもよいし、シャッタ420の上端も折部がステージ側に向かって所定の長さに延長するようにしてもよいし、どちらか一方だけでなく、固定カバーとシャッタの両方に折部を設けても良い。
【0043】
制御部80は、ユニット20を制御する装置である。この制御部80は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって構成される。制御部80は、各部の制御内容がプログラムされており、PLCやCPUなどの処理装置によりそのプログラムが実行される。
【0044】
制御部80は、
図11に示すように、機構制御部81、記憶部82、入出力制御部83を有する。機構制御部81は、ステージ10、ユニット20の動作を制御する。特に、本実施形態においては、ユニット20A、20B、20C、20Dが接触しない様、制御される。記憶部82は、ステージ10、ユニット20の動作を実現するためのプログラム、データ等、本実施形態の制御に必要な情報を記憶する。入出力制御部83は、制御対象となる各部との間での信号の変換や入出力を制御するインタフェースである。
【0045】
さらに、制御部80には、入力装置91、出力装置92が接続されている。入力装置91は、オペレータが、制御部80を介して電子部品実装装置を操作するためのスイッチ、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力手段である。出力装置92は、電子部品実装装置の状態を確認するための情報を、オペレータが視認可能な状態とする表示装置等の出力手段である。
【0046】
[作用]
以上のような基板処理装置1の作用を、
図12のフローチャートを参照して説明する。前提として、
図1に示すように、ステージ10A、10Bのそれぞれに基板Wが2枚ずつ保持され、ステージ10Aに対応し、ステージ10Aに保持される各基板Wに対向する位置にユニット20A、20Bが設けられており、ステージ10Bに対応し、ステージ10Bに保持される各基板Wに対向する位置にユニット20C、20Dが、それぞれ設けられている。
【0047】
まず、各ユニット20は、対応する基板Wに設けられた端子Pのうち、一番端の端子P、例えば、
図2における一番左端の端子Pに位置づけられる(ステップS01)。具体的には、各ユニット20の貼着部23が、一番左端の端子Pの上方に位置付けられる。すなわち、ユニット20A、20B、20C、20Dのそれぞれの貼着部23が、対応する基板Wの一番左端の端子Pの上方に位置付けられる。なお、この位置付けは、例えば、基板Wを保持したステージ10がユニット20の貼着部23の下方へ進出することや、ユニット20がX方向に移動することにより実現される。
【0048】
このとき、貼着部23において、テープ状部材Tは、
図3に示すように、粘着テープSに設けられたハーフカットラインHCを端子Pの両端に合わせるように位置決めされている。この状態で、貼着部23の加圧ヘッド231が下降することにより、テープ状部材Tを離型テープR側から押し下げ、基板Wに設けられた端子Pにハーフカットされた粘着テープSを貼着させる(ステップS02)。
【0049】
粘着テープSを貼着させた後、加圧ヘッド231を上昇させ、剥離棒241、242をテープ状部材Tの上流側に水平移動させることにより、端子Pに貼着された粘着テープSから離型テープRを剥離する(ステップS03)。このように、基板Wに設けられた端子Pに粘着テープS、すなわちACF100が貼着される。
【0050】
基板Wの一番左端の端子PにACF100が貼着された後、各ユニット20は、X方向に移動し、隣の端子Pに位置付けられる(ステップS04)。この後、基板Wに設けられた全ての端子PにACF100が貼着されるまで(ステップS05のNO)、上述のステップS02乃至S04が繰り返される。そして、基板Wの一番右端の端子PにACF100が貼着された後、すなわち、基板Wに設けられた全ての端子PにACF100が貼着された後(ステップS05のYES)、各ステージ10はY方向に移動して、貼着部23の下方から基板Wの回収位置に後退すると共に、各ユニット20はX方向に移動して、基板Wに設けられた一番左端の端子Pに位置づけられる。各ステージ10からACF100が貼着された基板Wが回収され、各ステージ10には、新たにACF100が貼着されていない基板Wが2枚ずつ保持される。すなわち、各ステージ10において、基板Wの入れ替えが行われる(ステップS06)。以下、各ユニット20のいずれかにおいて、供給リール211に巻装されたテープ状部材Tが無くなるまで(ステップS07のNO)、上述のステップS01乃至S06が繰り返される。
【0051】
各ユニット20のいずれかにおいて、供給リール211に巻装されたテープ状部材Tが無くなる等のメンテナンス作業が必要になると(ステップS07のYES)、当該ユニット20と、同じステージ10に対応しているユニット20の貼着動作を停止させる(ステップS08)。ここでは、ユニット20Bにおいてテープ状部材Tが無くなったものとし、ユニット20Bの貼着動作と、ユニット20Bと同じくステージ10Aに対応しているユニット20Aの貼着動作とを停止させる。このとき、ユニット20C、20Dは、貼着動作を継続しているものとする。
【0052】
次に、貼着動作を停止したユニット20A、20Bは、ステージ10Bから離間するようにX方向に退避すると共に(ステップS09)、ステージ10AはY方向に移動して、貼着部23の下方から基板Wを後退させる。例えば、ユニット20A、20Bは、
図13に示すように、移動可能なX方向の最左に移動して退避する。
【0053】
このように、ユニット20A、20Bは、ユニット20C、20Dの貼着動作を妨げないように、基板処理装置1の最左に寄せて退避させられる。なお、ユニット20C、20Dのメンテナンス作業を行う場合、ユニット20C、20Dは、ユニット20A、20Bの貼着動作を妨げないように、基板処理装置1の最右に寄せて退避させられる。この退避する位置は、メンテナンス位置であり、メンテナンス位置は、装置の最右もしくは最左である。例えばユニット20A及び20Bは、基板処理装置1の最左側面側となり、ユニット20C及び20Dは、基板処理装置1の最右側面側となる。
【0054】
基板処理装置1の最左に寄せられたユニット20A、20Bは、オペレータによるメンテナンス作業が行われる(ステップS10)。メンテナンスモードに切り替えると連動してシャッタ420が自動で昇降し、固定カバー410とシャッタ420によりユニット20は、ステージ10と仕切られる。このようにユニット20がメンテナンス位置に来ることにより、作業者は、装置の側面、第1の遮蔽板30、第2の遮蔽板40によりユニットが囲まれた状態で作業することができる。
【0055】
以下、メンテナンス作業の具体的な例として、新しい供給リールの交換作業で説明する。オペレータは、ユニット20Bからテープ状部材Tが無くなった供給リール211と離型テープRを回収した回収リール261とを取り外す。さらに、オペレータは、テープ状部材Tが巻装された供給リール211と、空の回収リール261とをユニット20Bに取り付ける。そして、オペレータは、供給リール211から引き出したテープ状部材Tを、テンション機構212、経路ローラ213、切断部22、貼着部23、剥離部24、搬送部25、経路ローラ262に架け渡して、回収リール261に取り付ける。これにより、ユニット20Bのメンテナンス作業が終了する。なお、ユニット20Bのメンテナンス作業と並行して、ユニット20Aのメンテナンス作業を行っても良い。メンテナンス作業の終了後は、例えば上述するステップS01に戻ることにより、ユニット20A、20Bの貼着作業を再開させることが出来る。
【0056】
[効果]
(1)本実施形態の基板処理装置1は、隣接して設けられ、基板Wをそれぞれ保持する複数のステージ10A、10Bと、ステージ10A、10Bにそれぞれ対応して設けられ、保持された基板Wに対して移動して、基板Wの端子Pに対して処理をする複数のユニット20と、ステージ10A(10B)に対応して設けられるユニット20B(20C)に追従して移動し、隣接するステージ10B(10A)に対応して設けられるユニット20C(20B)を遮蔽する第1の遮蔽板30と、を備える。また、ユニット20B、20Cは、基板Wの端子PにACF100を貼着する貼着ユニットである。
【0057】
従来の基板処理装置においては、ACFテープの交換作業やメンテナンス作業をする際、オペレータの安全を確保するために装置全体を停止させる必要があった。一方で、装置全体の停止により、生産性が下がるという問題であった。そこで、生産性を下げないために、隣接配置される基板処理装置の一方だけを停止させ、他方は稼働を継続させることが考えられる。この場合、オペレータの安全のために基板処理装置において両者の区域を遮蔽する遮蔽板を設けることが考えられる。
【0058】
したがって、隣接配置する基板処理装置の間に、遮蔽板を設けようとすると、遮蔽板の周辺に各々のユニットが支障なく移動するためのスペースが必要となり、このスペースが装置全体の大型化を招くことになる。このように、生産性を向上させつつオペレータの安全を確保するために遮蔽板を設けるとすると、装置全体が大型化するという問題が生じてしまう。
【0059】
そこで、本実施形態の基板処理装置1においては、ユニット20に設けられた第1の遮蔽板30が、接近してくる隣接するユニット20を遮蔽するので、隣接するユニット20の移動に影響を受けずに、メンテナンス対象のユニット20のメンテナンス作業を安全に行うことが出来る。さらに、第1の遮蔽板30は、ユニット20に追従して移動するので、隣接するステージ10の間にユニット20Bとユニット20Cとの間に遮蔽板を固定して設ける場合に比して、遮蔽板を設けるためのスペースを省くことが出来る。
【0060】
(2)貼着ユニットは、基板Wに対して、離型テープに貼着された前記ACFを供給する供給リール211と、離型テープRを回収する回収リール261と、を備え、供給リール211は、貼着ユニットから供給リール211を着脱する側に当該供給リール211の取り付け面を向けるように、第1の遮蔽板30に対して傾けて設けられる。これにより、供給リール211を着脱する側において供給リール211の取り付け位置が露出し、また、供給リール211と第1の遮蔽板30との間にX方向のスペースを確保することが出来るので、オペレータは、供給リール211を容易に取り外し、また容易に取り付けることが出来る。
【0061】
(3)貼着ユニットは、基板Wに対して、離型テープに貼着された前記ACFを供給する供給リール211と、離型テープRを回収する回収リール261と、を備え、回収リール261は、貼着ユニットから回収リール261を着脱する側に当該回収リール261の取り付け面を向けるように、第1の遮蔽板30に対して傾けて設けられる。これにより、回収リール261を着脱する側において回収リール261の取り付け位置が露出し、また、回収リール261と第1の遮蔽板30との間にX方向のスペースを確保することが出来るので、オペレータは、回収リール261を容易に取り外し、また容易に取り付けることが出来る。
【0062】
(4)本実施形態の第1の遮蔽板30は、ユニット20B、20Cに設けられる。これにより、ユニット20B、20Cに追従して第1の遮蔽板30を移動させるための移動機構を別途設ける必要が無いので、基板処理装置1の構成を簡略化することが出来る。
【0063】
(5)本実施形態の第1の遮蔽板30、第2の遮蔽板40は、透明な部材からなる。これにより、基板処理装置1周辺からの照明等を遮らないので、メンテナンス作業用の新たな照明を設けなくても良い。また、ユニット20やステージ10の状態を把握しやすいので、より安全に作業を行うことが出来る。
【0064】
(6)第2の遮蔽板40が、固定カバー410とシャッタ420によって構成されることで、装置動作中は、埃、テープ屑、微細なダスト(以下、ゴミといいます)が出やすいユニット側とステージ側を仕切ることで、基板Wにゴミの付着を防止するとともに、メンテナンス中であっても、ユニット20側からステージ10側にゴミが入るのを防止及び軽減することが可能となる。またユニット20とステージ10側の気圧に差を利用して、空気の流れを作ることで、さらにゴミの防止及び軽減を図ることも可能である。さらに、メンテナンス中に誤動作などで、ステージがユニット20側に移動するのを阻止するための防護シャッタの役割があり、作業者の安全性を確保が可能となる。
【0065】
[変形例]
上記実施形態のステージ10A、10Bは、それぞれ2枚の基板Wを保持するものとしたが、それぞれ1枚の基板Wを保持しても良い。この場合、ユニット20は、各基板Wに対して1台ずつ計2台設けられても良いし、各基板Wに対して2台ずつ計4台設けられても良い。1枚の基板Wに対して2台のユニット20が設けられる場合、例えば一方のユニット20が基板Wの左半分に設けられた端子PにACF100を貼着し、他方のユニット20が基板Wの右半分に設けられた端子PにACF100を貼着しても良い。
【0066】
上記実施形態のステージ10は、ステージ10A、10Bの2台設けられたが、これに限られない。例えば、
図14に示すように、ステージ10A、10B、10Cの3台設けられても良い。
図14において、基板処理装置1と同様の構成を備える基板処理装置2においては、上記実施形態の構成の2台のステージ10の間にステージ10Cを設け、ステージ10Cに対応して設けられるユニット20E、ユニット20Fに、第1の遮蔽板30が設けられている。この場合、ステージ10Aに対応するユニット20A、ユニット20Bのメンテナンス作業を行う場合、ステージ10B、ステージ10Cが稼働しているので、上記実施形態同様、ユニット20A、ユニット20Bは、基板処理装置2の移動可能なX方向の最左に移動して退避する。また、ステージ10Bに対応するユニット20C、ユニット20Dのメンテナンス作業を行う場合、ステージ10A、ステージ10Cが稼働しているので、上記実施形態同様、ユニット20C、ユニット20Dは、基板処理装置2の移動可能なX方向の最右に移動して退避する。ステージ10Cに対応するユニット20E、ユニット20Fのメンテナンス作業を行う場合は、ステージ10A、ステージ10Bが稼働しているので、ユニット20E、ユニット20Fは、ステージ10Cの中央に移動する。この時、ユニット20Eに設けられている第1の遮蔽板30は稼働しているステージ10A側に、ユニット20Fに設けられている第1の遮蔽板30は稼働しているステージ10B側に設けられているので、ユニット20E、ユニット20Fのメンテナンス作業を安全に行うことができる。なお、
図14においては、基板Wについては、説明を容易にするために図示を省略している。このように、ステージ10A、ステージ10Bの間に、ステージ10Cに相当するステージを複数設けることもできる。
【0067】
さらには、例えば、
図15に示すように、基板処理装置1と同様の構成を備える基板処理装置3においては、ステージ10が1台だけ設けられても良い。この場合、1台のステージを2つの領域AA、BBに分けることにより、1台のステージ10を仮想的に2台のステージ10A、10Bとして機能させることが出来る。
【0068】
基板処理装置1~3に示した以外にも、複数のステージ10と複数のユニット20、ステージ10に保持される基板数は、さまざまに組み合わせることができる。どのような場合においても、稼働を停止しメンテナンスを行うユニット20に対して隣接して稼働を続けるユニット20から遮蔽できるように、メンテナンスするユニット20に第1の遮蔽板30が設けられていればよい。
【0069】
上記実施形態の第1の遮蔽板30や第2の遮蔽板40は、透明な部材からなるものとしたが、不透明な部材からなっても良い。これにより、オペレータの視界に可動するユニットが入らないため、ステージ10やユニット20の正常な動作に驚いてしまうことがなく、安心して作業を行うことができる。
【0070】
また、第1の遮蔽板30や第2の遮蔽板40は、アクリルやポリカーボネートなどの樹脂部材に限らず、アルミニウムやステンレス等の金属部材でもよい。オペレータを防護できる強度があれば良い。また、網やパンチングボードなどの開口を有する部材であってもよい。このような開口を有する部材は軽量にでき、ユニット20に追従して移動するのに適している。さらに、通気性を有するので、遮蔽板の移動に伴い巻き起こる風を抑制し、パーティクルの発散を抑制することが出来る。また、移動の負荷となる空気抵抗を減じることも出来る。
【0071】
上記実施形態の第2の遮蔽板40は、必ずしも設置する必要はない。リール交換などのメンテナンスを行う場合、当該ユニット20と組みとなっているユニット20も停止する。また、当該ユニット20が対応するステージ10も停止する。さらに、オペレータが位置する領域Mは、当該ステージ10に対して、ユニット20を挟んでいるため、当該ステージがオペレータに直接接触するようなことはない。したがって、第2の遮蔽板40が無くてもよい。
【0072】
ただし、上記実施形態の第2の遮蔽板40を設けることにより、メンテナンスによって生じるパーティクルが基板Wへ飛散することを防止できる。
【0073】
また、第2の遮蔽板40は、開閉しない固定の1枚の板であってもよい。構造が簡素とできる。また、この場合、第2の遮蔽板40は、基板処理装置1に固定配置するのではなく、ユニット20の前面に搭載することもできる。これによっても、メンテナンスによって生じるパーティクルが基板Wへ飛散することを防止できる。なお、第2の遮蔽板40を基板処理装置1に固定すれば、ユニット20の移動駆動すべき質量が軽くできるので、処理時の移動の精度や速度を確保しやすくなる。
【0074】
上記実施形態の第2の遮蔽板40は、固定カバー410とシャッタ420の2つからなり、シャッタ420は架台側に設けられたが、固定カバー側にシャッタ420を設けることもできる。いずれにおいても、安全性の確保、防震の効果を同様に得ることが出来る。シャッタ420を上部に配置される固定カバーに搭載することで、シャッタ420自体のメンテナンス模様となるし、特に手動で開閉させることが容易とできる。
【0075】
上記実施形態の第2の遮蔽板40は、固定カバー410とシャッタ420の2つからなるとしたが、これに限られない。ステージ10の作業している領域への進入を妨げることが出来ればよく、例えば、シャッタ420のみでもよい。したがって、シャッタ420は、架台側でなく天井側に設けることもできる。なお、架台側に設けることで、シャッタの開閉動作にともなうパーティクルは基板Wの表面に到達しにくくなる。シャッタ420を天井側に設けることで、例えば、隣合う複数のステージ10で共有することが出来る。これによりシャッタ420の台数を減らすことが出来るので、装置のコストを下げることが出来る。ここで、共有とは、シャッタ420が、天井をスライダによってステージ10間を移動することができることをいい、メンテナンスを行っているステージ10側に移動して、メンテナンスに伴う危険の回避や防塵を行うことが出来る。
【0076】
上記実施形態の第2の遮蔽板40は、手動で開閉しても良いし、図示しない制御機構により開閉しても良い。また、第2の遮蔽板40は、ユニット20がステージ10に保持される基板Wの端子Pに対してACF100の貼着を行うための領域を開口したものでも良く、オペレータの安全を確保するだけでなく、ユニット20から発生する塵等が基板Wに付着するのを防止する。
【0077】
第2の遮蔽板40の制御機構は、例えばオペレータが装置を、メンテナンスモードの設定した場合、自動的に、第2の遮蔽板40のシャッタ420が閉じられ、メンテナンスモードを解除したとき、第2の遮蔽板40のシャッタ420が開く。メンテナンスモードへの設定変更は、装置にメンテナンスモードへの切替ボタンやスイッチ設けてもよいし、装置に接続された入力装置から設定変更できるようにしてもよい。また、オペレータが装置のメンテナンス扉(領域M側の扉)の開閉を検知し、それに連動して、第2の遮蔽板40のシャッタ420の開閉動作を行うようにしてもよい。
【0078】
上記実施形態の第1の遮蔽板30は、ユニット20に設けられるものとしたが、これに限られない。例えば、
図16に示すように、ユニット20に追従して移動する移動機構Nを第1の遮蔽板30に設け、この移動機構により第1の遮蔽板30を移動させても良い。この場合、移動機構Nを基板処理装置1の天井側に設けることが出来る。そうすることで、複数あるユニット20の移動機構の配置に制限されずに移動機構Nを設けることが出来る。
【0079】
また、第1の遮蔽板30を、オペレータにより手動で設置しても良い。この場合、上記実施形態で、ユニット20A、20Bが基板処理装置1の最左に寄せて退避させられた時と、ユニット20C、20Dが基板処理装置1の最右に寄せて退避させられた時の2か所の位置に、第1の遮蔽板30を、オペレータが選択的に設置できる様にする。そうすることで、上記実施形態同様、オペレータは安全にメンテナンス作業をすることが出来る。なお、第1の遮蔽板30の設置は、上述の実施形態と同様に、ユニット20の遮蔽板保持部27に行なうこともできるし、基板処理装置自体に設置するようにもできる。
【0080】
上記実施形態のユニット20は、供給部21、切断部22、貼着部23、剥離部24、搬送部25及び回収部26を備えるものとしたが、これに限られない。ユニット20は、少なくとも貼着部23を備えればよく、他の構成、すなわち供給部21、切断部22、剥離部24、搬送部25及び回収部26については、ユニット20とは異なる構成としてもよい。
【0081】
上記実施形態の粘着テープSには、切断部22により切れ目となるハーフカットラインHCが形成されたが、これに限られない。粘着テープSは、予め端子Pの寸法に合わせて切れ目が形成されたものを用いても良い。また、粘着テープSには必ずしも切れ目が形成されている必要はなく、例えば粘着テープSの全面に亘って微細な穴が無数に開けられており、剥離部24によって基板Wの端部を境目にして引き裂かれるようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態の基板処理装置1は、基板Wの端子PにACF100を貼着する装置として説明したが、同様な構成で、例えば、基板Wの端子Pを清掃する装置とすることもできる。基板Wの端子PにACF100を貼着する前には、基板Wの端子Pを清掃することもある。この場合、基板Wの端子Pを処理するユニット20は、基板Wの端子Pを清掃する清掃ユニットである。清掃ユニットには、テープ状部材TとしてのACF100の代わりに、図示しない清掃テープがテープ状部材Tとして巻装される。また清掃テープには、洗浄液を供給し清掃力を向上させてもよい。これにより、清掃ユニットは、基板Wの端子Pを清掃することができる。もちろん、
図4、
図5に示すのと同様に、清掃テープの清掃用供給リールや清掃用回収リールを着脱する側に傾けて、例えば、Y方向に対して15°傾けて取り付けることもできる。したがって、基板処理装置1は、貼着を行うステージに加えて、清掃を行うためのステージを設けることもできる。また、清掃を行うための基板処理装置1であっても良い。
【0083】
上記実施形態のユニット20に設けられるリール(供給リール、回収リール)を、ユニット20の後ろ側に傾斜させている。この傾斜は15°である例示を示した。ただし、この傾斜の角度は、例えば、ユニット20と遮蔽板との間隔や、リールの直径、幅などの寸法、オペレータが位置する領域Mまでの距離などによって最適となるよう適宜決定することが出来る。
【0084】
また、必ずしもすべてのリールを傾斜させる必要はない。遮蔽板と対向するリールに対しては、傾斜させることが好ましい。しかし、遮蔽板と対向しないリールは、Y方向に沿う(0°)ようにしてもよい。この場合、上述のように、リールを交換するための十分なスペースがあり、リールの交換に支障がない状態で、基板処理装置1をコンパクトにすることが出来る。
【0085】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1、2、3 基板処理装置
10、10A、10B ステージ
20、20A、20B、20C、20D ユニット
21 供給部
211 供給リール
212 テンション機構
213 経路ローラ
22 切断部
221 カッター
222 バックアップ部材
23 貼着部
231 加圧ヘッド
24 剥離部
241、242 剥離棒
25 搬送部
251 送りローラ
26 回収部
261 回収リール
262 経路ローラ
27 遮蔽板保持部
30 第1の遮蔽板
40 第2の遮蔽板
410 固定カバー
420 シャッタ
80 制御部
81 機構制御部
82 記憶部
83 入出力制御部
91 入力装置
92 出力装置
100 ACF
A、B、AA、BB 領域
HC ハーフカットライン
M 領域
N 移動機構
P 端子
R 離型テープ
S 粘着テープ
T テープ状部材
W 基板