(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152882
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】液化ガスを収容するための船舶のタンクの積込みおよび/または積下ろし支柱上に少なくとも1つの構成要素を保持する装置
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20231005BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20231005BHJP
F17C 9/00 20060101ALI20231005BHJP
F17C 6/00 20060101ALI20231005BHJP
B63B 25/08 20060101ALI20231005BHJP
B63B 27/24 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B63B25/16 A
F17C13/00 302Z
F17C9/00 A
F17C6/00
B63B25/08 B
B63B27/24 B
B63B25/16 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023048744
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】2202915
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン、バルダン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172DA01
3E172EA03
3E172EB03
3E172EB10
3E172KA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積下ろしおよび/または積込み支柱およびその上に固定された構成要素の取付けおよび/または取外しの作業を容易にする。
【解決手段】液化ガスを収容するための船舶のタンクの積込みおよび/または積下ろし支柱上に少なくとも1つの構成要素を保持するための保持装置(9)に関し、保持装置は、構成要素を通過させる少なくとも1つのリング(91)と、リングを支持する少なくとも1つの第1の部分(924)と、保持装置を積込みおよび/または積下ろし支柱上に固定するための固定接合部(923)を支持する1つの第2の部分(925)とを備える少なくとも1つのアーム(92)とを備え、第1の部分および第2の部分は、同じ平面(400)内にある少なくとも2つの方向に互いに対して変位するように構成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを収容するための船舶(1)のタンク(2)用の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)であって、前記タンク(2)内に延びるための少なくとも1本のマスト(52)が設けられた積込みおよび/または積下ろし支柱(5)と、前記積込みおよび/または積下ろし支柱とは異なる少なくとも1つの積下ろし装置(6)と、前記積下ろし装置(6)の少なくとも一部を前記積込みおよび/または積下ろし支柱(5)上に保持し、好ましくは前記マスト(52)上に前記積下ろし装置(6)の少なくとも一部を保持する少なくとも1つの保持装置(9)とを備え、
前記保持装置(9)が、前記積下ろし装置(6)の少なくとも一部を通過させる少なくとも1つのリング(91)と、少なくとも1つのアーム(92)とを備え、前記アーム(92)が、前記リング(91)を支持する少なくとも1つの第1の部分(921、924)と、前記保持装置(9)を前記積込みおよび/または積下ろし支柱(5)上に固定するための固定接合部(923)を支持する1つの第2の部分(922、925)とを備え、前記第1の部分(921、924)および前記第2の部分(922、925)が、同じ平面(100、400)内にある少なくとも2つの方向に互いに対して変位するように構成される、積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項2】
前記平面(100、400)が、前記アーム(92)の前記第1の部分(921、924)および/または前記第2の部分(922、925)に対して平行である、請求項1に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項3】
前記リング(91)が、前記保持装置(9)の延長軸線(900)を中心とし、前記延長軸線(900)が、前記平面(400)に対して平行に延びる、請求項1または2に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項4】
前記リング(91)が、前記保持装置(9)の延長軸線(900)を中心とし、前記延長軸線(900)が、前記平面(100)に対して直交して延び、好ましくは、前記延長軸線(900)は、前記平面(100)に対して直角に延びる、請求項1または2に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項5】
前記リング(91)が、少なくとも1つの第1のハーフシェル(911、9111)および1つの第2のハーフシェル(911、9112)で構成され、前記第1のハーフシェル(911、9111)および/または前記第2のハーフシェル(911、9112)が、前記第1の部分(921、924)によって支持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項6】
前記保持装置(9)が、前記第1の部分(921、924)、前記リング(91)および/または前記第2の部分(922、925)、および前記固定接合部(923)に固着された少なくとも1つの補強材(93)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項7】
前記第1の部分(924)および前記第2の部分(925)は、各々が、互いに離れて延びる2つの翼部(9241、9242、9251、9252)をそれぞれ備え、前記第1の部分の各翼部と前記第1の部分の前記各翼部に対向して位置する前記第2の部分の翼部との間の重なりを可能にするように、前記第1の部分(924)の前記翼部(9241、9242)間の離隔距離が、前記第2の部分(925)の前記翼部(9251、9252)間の離隔距離とは異なる、請求項1から6のいずれか一項に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項8】
前記第1の部分(924)の前記翼部(9241、9242)間の前記離隔距離が、前記第2の部分(925)に対する前記翼部(9251、9252)間の前記離隔距離よりも大きい、請求項7に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項9】
前記第1および第2の部分(924、925)の前記翼部(9241、9242、9251、9252)は、各々が、部分の一方の翼部の内面が前記部分の他方の翼部の内面に対向して配置されるように配置された内面と、前記内面の反対側の外面とを備え、前記第1の部分(924)の翼部の各内面が、好ましくは前記第2の部分(925)の翼部の外面に対向して配置される、請求項7または8に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項10】
少なくとも1つの連結アセンブリ(926)が、一方の部分の翼部の内面と、それに対向して配置された他方の部分の翼部の外面との間に配置される、請求項9に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項11】
前記第1の部分(921、924)および前記第2の部分(922、925)が、アセンブリ手段(94)によって互いに固着され、前記アセンブリ手段(94)が、好ましくは取り外し可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項12】
前記アセンブリ手段(94)が、前記第1の部分(921、924)を前記第2の部分(922、925)上に固定するための少なくとも1つの固定部材(945)を備え、前記第1の部分(921、924)および/または前記第2の部分(922、925)が、前記固定部材(945)を受け入れる少なくとも1つの長孔部(941、942、9255)を備える、請求項11に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項13】
前記第1の部分(921)および前記第2の部分(922)は、各々が、少なくとも部分的に互いに対向して配置された少なくとも1つの長孔部(941、942)を備え、部分の前記長孔部(941、942)が、他方の部分の前記長孔部の延びる主方向に対してほぼ直角の方向に延びる、請求項12に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項14】
前記積下ろし装置(6)が、前記タンク(2)内に配置された少なくとも1つの吸引要素(64)と、前記タンク(2)の外側に配置された前記吸引要素(64)を駆動する駆動アセンブリ(62)とを備え、前記吸引要素(64)および前記駆動アセンブリ(62)が、積下ろしダクト(61)によって互いに連結され、前記保持装置(9)の前記リング(91)が、前記積下ろしダクト(61)を少なくとも部分的に取り囲む、請求項1から13のいずれか一項に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の積込みおよび/または積下ろしアセンブリを備える、液化ガスを収容するための船舶(1)のタンク(2)。
【請求項16】
請求項5と組み合わせて解釈される請求項1から14のいずれか一項に記載の液化ガスを収容するための船舶(1)のタンク(2)用の積込みおよび/または積下ろしアセンブリ(4)を取り付けるための方法であって、前記方法が、前記固定接合部(923)を介して前記第2の部分(922、925)を前記積込みおよび/または積下ろし支柱(5)上に固定するステップを含み、前記方法が、
第1の部分(921、924)および第1の部分によって支持された第2のハーフシェル(911、9112)を、第1の部分が積込みおよび/または積下ろし支柱(5)に可能な限り近接して位置決めされる第1の、いわゆる調整位置で第2の部分(922、925)上に固定する第1のステップと、
前記タンク内の前記積下ろし装置(6)の少なくとも1つの要素を最終的に位置決めする第2のステップと、
第1の部分(921、924)および第2のハーフシェル(911、9112)を、第2のハーフシェル(911、9112)が積下ろし装置(6)の要素に可能な限り近接して位置決めされる第2の、いわゆる最終位置まで変位させる第3のステップと、
第1のハーフシェル(911、9111)と第2のハーフシェル(911、9112)との間で積下ろし装置(6)の前記要素を取り囲むように、第1のハーフシェル(911、9111)を組み立てて第2のハーフシェル(911、9112)上に固定する第4のステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記積下ろし装置(6)の前記要素が積下ろしダクト(61)である、請求項16に記載の積下ろし装置(6)を取り付けるための方法。
【請求項18】
二重船殻(11)と、前記二重船殻内に配置された請求項15に記載のタンク(2)とを備える、低温液体製品を輸送するための船舶(1)。
【請求項19】
低温液体製品の移送システムであって、請求項18に記載の船舶(1)と、前記船舶の二重船殻内に設置された前記タンク(2)を浮体式もしくは陸上の貯蔵設備(15)に連結するように配置された断熱パイプライン(12、13、18、24)と、前記断熱パイプラインを介して前記流体を前記浮体式もしくは陸上の貯蔵設備から前記船舶の前記タンクへ、または前記船舶の前記タンクから前記浮体式もしくは陸上の貯蔵設備へ運ぶためのポンプとを備える、移送システム。
【請求項20】
断熱パイプライン(12、13、18、24)を介して流体が浮体式もしくは陸上の貯蔵設備(15)から前記船舶(2)の前記タンクへ、または前記船舶(2)の前記タンクから前記浮体式もしくは陸上の貯蔵設備(15)へ搬送される、請求項18に記載の船舶(1)への積込みまたは船舶(1)からの積下ろしをするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス、エタン、アンモニアさらには液化石油ガスなどの液化ガスの貨物の貯蔵および/または輸送の分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、この液化ガスを収容するための船舶の密閉断熱タンク用の積込みおよび/または積下ろし支柱を備える積込みおよび/または積下ろしアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
頭字語「LNG」として一般に知られている液化天然ガスは、約95%のメタンからなる主要なエネルギー源である。より具体的には、LNGは-160℃に近い温度の断熱タンク内で液体状態で貯蔵され、次いで、LNGはガス状態でそれが占める体積の1/600を占め、したがって、第1の場所から第2の場所への輸送を容易にすることを可能にする。
【0004】
こうして、LNGを、メタンタンカーと呼ばれる船舶を使用して一方の場所から他方の場所に海上輸送することができ、次いで、LNGはメタンタンカーの密閉断熱タンクに貯蔵される。
【0005】
LNGはまた、コンテナ船などの貨物輸送船などの船舶の燃料として使用することもできる。環境学的および経済的理由から、燃料としてLNGを使用することは、特に石油由来の従来の燃料を超える利点を提供する。
【0006】
従来、LNG貯蔵タンクは、タンクを閉じることを可能にするカバーから吊り下げられた積込みおよび/または積下ろし支柱を備える。タンクの積込みおよび/または積下ろし支柱は、三脚型の構造を含むことができ、すなわち、格子構造を形成する交差部材によって互いに連結された3本の垂直マストを含むことができる。
【0007】
積込みおよび/または積下ろし支柱は、タンクからのまたはタンクへのLNGの積下ろしおよび/または積込みなどの様々な用途を意図した複数のポンプを備えることができる。特定の種類の構成では、特に、駆動モータの誤動作の場合のメンテナンス作業および/または介入を容易にするために、駆動モータとポンプの吸引要素とを分離することは既知の実施である。
【0008】
このような場合、駆動モータを貯蔵タンクの外側、例えばカバー上に配置することができる一方で、吸引要素はこの同じタンクに浸されたままであり、このような構成は「ディープウェルポンプ」という用語に含まれる。駆動モータおよび同じポンプの吸引要素はタンクの対向する位置にこうして配置され、その高さに実質的に等しい距離、好ましくは約10メートルから30メートルの距離だけ離れている。
【0009】
駆動モータは、ポンプのチューブ内に収容された駆動シャフトを介して吸引要素に機械的に連結されている。駆動モータの回転運動は吸引要素にこうして伝達され、チューブは、タンクからの液化ガスの抽出を駆動するように液化ガスを導く。
【0010】
ポンプの様々な構成要素を積込みおよび/または積下ろし支柱上に確実に固着することが不可欠である。この目的のために、支柱には、ポンプの様々な構成要素を支柱上に確実に固定する複数の支持体が備えられる。それにもかかわらず、このような支持体の設置は、特に支柱上の異なるポンプの構成要素の正確な位置合わせを必要とするため、結果として冗長かつ複雑となる可能性があり、これは、特に船舶の停止時間の経過に伴って、著しい運転コストの間接費が生じる。
【0011】
本発明はこの文脈に含まれ、積下ろしおよび/または積込み支柱およびその上に固定された構成要素の取付けおよび/または取外しの作業を容易にすることを目的とする。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、液化ガスを収容するための船舶のタンクの積込みおよび/または積下ろし支柱上に少なくとも1つの構成要素を保持するための保持装置を提案し、保持装置が、構成要素を通過させる少なくとも1つのリングと、少なくとも1つのアームとを備え、アームが、リングを支持する少なくとも1つの第1の部分と、保持装置を積込みおよび/または積下ろし支柱上に固定するための固定接合部を支持する1つの第2の部分とを備え、第1の部分および第2の部分が、同じ平面内にある少なくとも2つの方向に互いに対して変位するように構成されることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、構成要素は積込みおよび/または積下ろし支柱とは異なる要素であり、したがって、積込みおよび/または積下ろし支柱に属さない。
【0014】
リング、したがって構成要素を支持する第1の部分の位置の、支柱に固着された第2の部分に対する調整を可能にする保持装置の構造を介して、前記保持装置の使用は、タンク内の積下ろしおよび/または積込み支柱、ならびにそれに取り付けられた構成要素の設置を単純化することに寄与する。
【0015】
本発明の特徴によれば、前記平面は、アームの第1の部分および/または第2の部分に対して平行である。あるいは、前記平面は、第1の部分および/または第2の部分に対して横方向に延びることができる。
【0016】
アームは、第1の部分と、第2の部分と、固定接合部とを備える。第1の部分および第2の部分は、アームの強度を確保するために厚さが少なくとも5mmの、例えば鋼板製の平坦な部品からなる。
【0017】
リングは、保持装置の延長軸線を中心とした円筒構造を有し、構成要素を通過させる。換言すれば、リングは構成要素に係合し、少なくとも部分的にそれを取り囲む。
【0018】
保持装置の第1の部分および第2の部分は、最初に互いに分離され、第1の部分はリングを支持し、第2の部分は固定接合部を支持する。このようにして、第2の部分および接合部が支柱上に配置されている間に、第1の部分およびリングをポンプの構成要素上に設置することができ、次いで、第1の部分および第2の部分の互いに対する位置は、それらの固着を行う前に調整される。
【0019】
あるいは、第1の部分および第2の部分を第1のステップの間に組み立てることができ、その後のステップの間に、構成要素を第1の部分によって支持されるリングに固定することができる。
【0020】
任意選択的に、固定接合部は、積込みおよび/または積下ろし支柱上の保持装置の位置を調整するための少なくとも1つの調整手段を備えることができる。調整手段は、固定接合部に含まれる少なくとも1つの横長の開口部または1つの円形開口部からなることができ、これは、積込みおよび/または積下ろし支柱と協働するように構成され、例えば支柱の少なくとも1つの円形開口部または1つの横長の開口部と協働するように構成される。
【0021】
したがって、本発明による保持装置は容易に取り付けられ、分離可能なアームならびに第1の部分および第2の部分の調整可能な位置決めにより、ポンプの支柱への取付けに伴う精度の制約に対処することが可能になる。
【0022】
本発明の特徴によれば、リングは、保持装置の延長軸線を中心としており、延長軸線は、第1の部分および第2の部分が互いに対して変位することができる平面に対して平行に延びる。
【0023】
本発明の特徴によれば、リングは、保持装置の延長軸線上を中心としており、延長軸線は、第1の部分および第2の部分が互いに対して変位することができる平面に直交して延び、好ましくは、延長軸線は前記平面に対して直角に延びる。
【0024】
本発明の特徴によれば、リングは、少なくとも1つの第1のハーフシェルおよび1つの第2のハーフシェルで構成され、第1のハーフシェルおよび/または第2のハーフシェルは、第1の部分によって支持される。
【0025】
各ハーフシェルは、例えば、組み立てられると一緒にリングを再構成する相補的な形態の半円筒の形態をとる。有利には、第1のハーフシェルおよび第2のハーフシェルは、実質的に同一の構造を有することができ、したがって保持装置の製造コストを低減する。
【0026】
好ましくは、リングの内壁は、保持装置のリングに対する構成要素の変位を可能にする少なくとも1つのスキッドを備える。
【0027】
本発明の特徴によれば、保持装置は、第1の部分、リングおよび/または第2の部分、および固定接合部に固着された少なくとも1つの補強材を備える。
【0028】
補強材は、例えば、第1の部分および/または第2の部分に対して直角に延びるブラケットの形態をとることができる。特に、保持装置は、その固定を強化するために、例えばリングのハーフシェルの1つの外壁と第1の部分との間に規則的に配置された複数の補強材を備えることができる。
【0029】
実際、液化ガスの貨物は輸送されるときに「スロッシング」現象を受けるため、積込みおよび/または積下ろし支柱ならびにそれが含む1つまたは複数のポンプに少なからず機械的歪みが加わる。このような歪みは、支柱に対するポンプの構成要素の位置の変化をもたらす可能性があるが、ポンプの構成要素の変形ももたらす可能性がある。したがって、保持装置がこのような歪みに耐えるのに十分強い構造を有することが極めて重要である。
【0030】
このような保持装置の目的は、タンクの底壁の周りのそれらの配置によってこのような歪みを受ける可能性が高い、支柱上の構成要素、例えば吸引要素の最適な保持を確実にすることである。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、第1の部分および第2の部分は、各々が、互いに離れて延びる2つの翼部をそれぞれ備え、第1の部分の各翼部とそれに対向して位置する第2の部分の翼部との間の重なりを可能にするように、第1の部分の翼部間の離隔距離は第2の部分の翼部間の離隔距離とは異なる。いくつかの翼部の使用は、支柱上の固定点の数を増やすことを可能にし、機械的歪みに対する耐性を促進する。
【0032】
本発明の特徴によれば、第1の部分の翼部間の離隔距離は、第2の部分の翼部間の離隔距離よりも大きい。
【0033】
本発明の特徴によれば、第1の部分および第2の部分の翼部は、各々が、部分の一方の翼部の内面が前記部分の他方の翼部の内面に対向して配置されるように配置された内面と、前記内面と反対側の外面とを備え、第1の部分の翼部の各内面は、好ましくは第2の部分の翼部の外面に対向して配置される。
【0034】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの連結アセンブリが、一方の部分の翼部の内面と、それに対向して配置された他方の部分の翼部の外面との間に配置される。
【0035】
連結アセンブリの存在は、第1の部分および第2の部分の互いに対する位置決めの可能性を高める。
【0036】
本発明の特徴によれば、第1の部分および第2の部分はアセンブリ手段によって互いに固着され、前記アセンブリ手段は、好ましくは取り外し可能である。
【0037】
本発明の特徴によれば、アセンブリ手段は、第1の部分を第2の部分上に固定するための少なくとも1つの固定部材を備え、第1の部分および/または第2の部分は、固定部材を受け入れる少なくとも1つの長孔部を備える。一例として、固定部材は、ねじナット機構とすることができる。
【0038】
第1の部分が一方のハーフシェルの外壁を支持する実施形態では、第1の部分は、その組み込みを容易にするために、このハーフシェルの外壁を補完する形態の切欠き部を含むことができる。このような構成では、第1の部分は一対の長孔部を含むことができ、長孔部は切欠き部の両側に配置される。特に、少なくとも長孔部は、第1の部分および第2の部分が互いに対して変位することができる平面内にある2つの調整方向のうちの一方に対して平行に延びることができる。
【0039】
本発明の特徴によれば、第1の部分および第2の部分は、各々が、少なくとも部分的に互いに対向して配置された少なくとも1つの長孔部を備え、一方の部分の長孔部は、他方の部分の長孔部の延びる主方向に対してほぼ直角の方向に延伸する。
【0040】
本発明はまた、液化ガスを収容するための船舶のタンク用の積込みおよび/または積下ろしアセンブリに関し、積込みおよび/または積下ろしアセンブリは、タンク内に延びるための少なくとも1本のマストが設けられた積込みおよび/または積下ろし支柱と、少なくとも1つの積下ろし装置と、積下ろし装置の少なくとも一部を積込みおよび/または積下ろし支柱上に保持する上述の少なくとも1つの保持装置とを備え、保持装置は、好ましくは、積下ろし装置の少なくとも一部をマスト上に保持する。
【0041】
好ましくは、積下ろし装置は別個の要素であり、積込みおよび/または積下ろし支柱に属さない。
【0042】
積込みおよび/または積下ろし支柱は、タンクの高さの全部または一部にわたって、すなわちタンクの上壁と底壁との間に延びる少なくとも1本のマストで構成され、マストはタンクに対して固定されている。有利には、積込みおよび/または積下ろし支柱は、2本または3本のマストを含むことができる。さらに、前記積込みおよび/または積下ろしアセンブリは、タンクを密閉し断熱するように上壁の開口部を閉じるためのカバーを備えることができ、カバーは、タンク内に吊り下げられた積込みおよび/または積下ろし支柱を保持し、カバーは、少なくともマストに固着される。
【0043】
より詳細には、複数の保持装置は、同じ構成要素を支柱へ確実に取り付けることができ、換言すれば、同じ構成要素は複数の保持装置のそれぞれのリングを通過する。
【0044】
本発明の特徴によれば、積下ろし装置は、タンク内に配置された少なくとも1つの吸引要素と、タンクの外側に配置された吸引要素を駆動するための駆動アセンブリとを備え、吸引要素および駆動アセンブリは積下ろしダクトによって互いに連結され、保持装置のリングは、積下ろしダクトを少なくとも部分的に取り囲む。
【0045】
好ましくは、積下ろし装置はまた、駆動アセンブリの回転運動を吸引要素に伝達するために、吸引要素と駆動アセンブリとを機械的に連結する駆動シャフトを備える。また、積下ろし装置は、タンク内に少なくとも部分的に延び、かつ駆動シャフトを収容するチューブを備える。
【0046】
好ましくは、積下ろし装置はポンプである。
【0047】
本発明はまた、前述のような積込みおよび/または積下ろしアセンブリを備える、液化ガスを収容するための船舶のタンクを提案する。
【0048】
本発明はまた、固定接合部を介して第2の部分を積込みおよび/または積下ろし支柱に固定するステップを含む、前述の少なくとも1つの保持装置を使用して積下ろし装置を積込みおよび/または積下ろし支柱に取り付けるための方法を提案し、前記方法は、
第1の部分および第1の部分によって支持された第2のハーフシェルを、第1の部分が積込みおよび/または積下ろし支柱に可能な限り近接して位置決めされる第1の、いわゆる調整位置で第2の部分上に固定する第1のステップと、
タンク内の積下ろし装置の少なくとも1つの要素を最終的に位置決めする第2のステップと、
第1の部分および第2のハーフシェルを、第2のハーフシェルが積下ろし装置の要素に可能な限り近接して位置決めされる第2の、いわゆる最終位置まで変位させる第3のステップと、
第1のハーフシェルと第2のハーフシェルとの間で積下ろし装置の前記要素を取り囲むように、第1のハーフシェルを組み立てて第2のハーフシェル上に固定する第4のステップと
を含む。
【0049】
本発明の特徴によれば、積下ろし装置の要素は積下ろしダクトである。
【0050】
本発明はまた、低温液体製品を輸送するための船舶を提案し、船舶は、二重船殻と、二重船殻内に配置された前述のタンクとを備える。
【0051】
あるいは、本発明は、前述のように少なくとも1つのタンクを備える陸上構造に関することができる。
【0052】
本発明はまた、低温液体製品の移送システムを提案し、このシステムは、前述の船舶と、船舶の二重船殻内に設置されたタンクを浮体式もしくは陸上の貯蔵設備に連結するように配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを介して流体を浮体式もしくは陸上の貯蔵設備から船舶のタンクへ、または船舶のタンクから浮体式または陸上の貯蔵設備へ運ぶためのポンプとを備える。
【0053】
本発明はまた、前述のように船舶への積込みまたは船舶からの積下ろしをするための方法であって、流体が断熱パイプラインを介して浮体式もしくは陸上の貯蔵設備から船舶のタンクへ、または船舶のタンクから浮体式もしくは陸上の貯蔵設備へ搬送される方法を提案する。
【0054】
本発明はよりよく理解され、他の目的、詳細、特徴および利点は、添付の図面を参照して、完全に例示的かつ非限定的な態様で提供される本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明からより分かりやすく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明による積込みおよび/または積下ろしアセンブリを組み込んだ液化ガス貯蔵タンクを備える船舶の概略図である。
【
図2】
図1の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの概略斜視図である。
【
図3】
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの基部の概略斜視図である。
【
図4a】
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの一部の異なる向きからの拡大側面図である。
【
図4b】
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの一部の異なる向きからの拡大側面図である。
【
図5】第1の実施形態に従って製造された、
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリに属する本発明による保持装置の斜視図である。
【
図7】第2の実施形態に従って製造された、本発明による保持装置の斜視図である。
【
図9a】第2の実施形態に従って
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの要素に実行される保持装置を取り付ける異なるステップを表す図である。
【
図9b】第2の実施形態に従って
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの要素に実行される保持装置を取り付ける異なるステップを表す図である。
【
図9c】第2の実施形態に従って
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの要素に実行される保持装置を取り付ける異なるステップを表す図である。
【
図9d】第2の実施形態に従って
図2の積込みおよび/または積下ろしアセンブリの要素に実行される保持装置を取り付ける異なるステップを表す図である。
【
図10】液化天然ガス貯蔵タンクと、このタンクを積込み/積下ろしするためのターミナルとを備える船舶の概略破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の特徴、変形および様々な実施形態は、相互に矛盾しないかまたは排他的でない限り、様々な組合せに従って互いに関連付けることができる。以下に記載される特徴の選択のみを含む本発明の変形を、記載される他の特徴から分離される方法で考案することも特に可能である。
【0057】
図1は、液化ガスを輸送するための船舶1を表す。船舶は、液体状態のガス、特に液化天然ガス(「LNG」)、液化石油ガス(LPG)、またはアンモニアなどの任意の他の液化ガスを貯蔵するための少なくとも1つのタンク2を備える。好ましくは、輸送されるガスは極低温で液体である。
【0058】
船舶1は、タンク2の壁を受け入れるための支持構造3を備える。支持構造3は、特に船舶1の二重船殻によって形成される。支持構造3は、略多面体の形態を有する。支持構造3は、船舶1の長手方向に対して横方向に延びる、船舶のコファダム壁と呼ばれる前方横壁および後方横壁31を備える。支持構造3はまた、船舶の長手方向に延び、かつ前方横壁および後方横壁31を連結する上壁32および底壁33を備える。
【0059】
したがって、上壁32、底壁33および横壁31は、支持構造の支持壁を形成する。これらの支持壁は、タンク2が収容される内部空間を画定する表面積を有する。タンク2は複数のタンク壁を備え、各タンク壁は、支持構造3のそれぞれの支持壁上に固定される。従来、後方横壁が船舶のブリッジに向けられたものである一方で、前方横壁は船首に向けられたものである。
【0060】
好ましくは、タンク2は、多層構造を有する膜を含むタンクである。タンクは、タンクの外側から内側への厚さ方向において、二次断熱障壁と、二次断熱障壁上に載置された二次密閉膜と、二次密閉膜上に載置された一次断熱障壁と、一次断熱障壁上に載置され、かつタンク2内に含まれる液化ガスと接触するように意図された一次密閉膜とを備える。したがって、気体を液体状態に保つために、タンクは密閉され、かつ断熱される。
【0061】
タンク2には、所望の使用モードに応じて、液化ガスをタンクから抽出するだけでなく、液化ガスをタンクに供給することも可能にする、本発明による積込みおよび/または積下ろしアセンブリ4が備えられる。
【0062】
積込みおよび/または積下ろしアセンブリ4は、少なくとも1つの積込みおよび/または積下ろし支柱5と、積下ろし装置6と、タンク2の貯蔵容積を閉じるためのカバー7とを備える。以下の説明では、簡略化のために、積込みおよび/または積下ろし支柱を支柱と呼ぶ。
【0063】
より具体的には、タンク2は、タンクの上壁23に形成された開口部21を備え、特に、例えば設置されているときに、タンク2のチャンバ内への支柱5の通過を可能にするように意図されている。開口部21は、支柱5がタンク内に設置されたときにタンク2の上壁23に対して平行に延び、かつタンクを密閉して断熱状態にするように開口部21を閉じる、積込みおよび/または積下ろしアセンブリ4のカバー7と協働するように構成される。
【0064】
カバー7は、溶接によって、および/またはねじ/ナット機構などの固定部材によってタンクの上壁23に固着された平板からなる。カバー7は、機械的強度を与え、かつ断熱材も備えることができる一組の金属部品で構成される。カバー7は、支柱5がタンク内に吊り下げられた状態を保つように構成される。
【0065】
図2に見られるように、支柱5および積下ろし装置6は、カバー7を少なくとも部分的に通過する。
【0066】
支柱5は、少なくとも3本のマスト52を備える、垂直方向Vの主伸長方向Pに延びる構造51を備える。より具体的には、支柱5の構造51はまた、マスト52を剛性化するために支柱5の様々なマスト52を互いに連結するための格子構造53を含む。格子構造53は、その高さの全部または一部にわたって支柱の少なくとも2本のマスト52の間に延びる複数の交差する円筒形の小梁で構成される。
【0067】
好ましくは、3本のマスト52の各々はタンクのカバー7を通過する。前方マスト52aおよび2本の後方マスト52bはこうして、通常の航行状態において、
図1に見られる船舶の進行方向Aに画定され、前方マスト52aは、タンク2内の構造51の最前のマストである。したがって、後方マスト52bが支持構造3の後方横壁に近接して位置する一方で、前方マスト52aについては、前方横壁に向かって配向される。換言すれば、船舶の長手方向において、後方マスト52bは、支持構造3の後方横壁と前方マスト52aとの間に介在している。
【0068】
図2に見られるように、投影図において、構造51は実質的に三角形の形態を有し、そのマスト52の各々は、この三角形の頂点のうちの1つを形成する。したがって、構造51によって形成された三角形は、2本の後方マスト52bを通る直線によって画定された少なくとも1つの底辺部と、他の形態では前方頂点と呼ばれる前方マスト52aによって画定された頂点とを含む。
【0069】
したがって、支柱5は、開口部21に沿って、タンク2のカバー7から底壁22まで延びる複数のマスト52を備える。
【0070】
支柱5の各マスト52は、断面が円形の中空ロッドからなり、例えばステンレス鋼で作ることができる。マスト52は、互いに溶接された複数の円筒状部分で構成される。マストの第1の端部はタンクの上壁23の周りに延び、マストの第1の端部の反対側の第2の端部は、タンクの底壁22の周りに延びる。したがって、マスト52は、各々が例えば少なくとも1つのポンプ要素を収容することができるダクトを画定する。
【0071】
支柱5のマスト52は、それぞれの第2の端部の周りで、タンク2の底壁22を少なくとも部分的に通過する基部補強材54によって固着された状態が保持される。より具体的には、基部補強材54は、支柱5の構造51のマスト52の各々に固着された少なくとも1つのプラットフォーム541と、プラットフォーム541から延び、かつタンク2の底壁33を通過することによって支持構造3の底壁22に固着される足部542とを備える。
【0072】
図2および
図3に示す例では、支柱5の後方マスト52bの一方には、マスト52bの中空ロッドに少なくとも部分的に収容された積下ろしポンプ55が備えられる。他方の後方マスト52bおよび前方マスト52aは、支柱および積下ろし装置6を支持する構造マストである。
【0073】
これらの構造マストはまた、図示されていない液化ガス積込みダクトを支持する役割を果たすことができ、その機能は、タンクに液化ガスを充填することを可能にすることであるが、船舶の図示されていないエンジンに液化ガスを供給するための供給ポンプでもある。
【0074】
図2に見られるように、支柱5の後方マスト52bの一方に収容された積下ろしポンプ55とは異なる積下ろし装置6は、積下ろしダクト61と、積下ろしダクト61の第1の端部61aに配置された吸引要素64と、積下ろしダクト61の第2の端部61bに配置された駆動アセンブリ62とを備える。カバー7は、
図4aおよび
図4bに見られる吸引要素64と駆動アセンブリ62との間に配置される。より具体的には、吸引要素64がタンク2の貯蔵容積内に配置される一方で、駆動アセンブリ62はタンク2の貯蔵容積の外側に配置され、好ましくはカバー7の外面によって支持される。
図3および
図4bに部分的に見られ、点線で表されている少なくとも1つの駆動シャフト63は、吸引要素64を駆動アセンブリ62に連結する。より具体的には、駆動シャフト63は、積下ろしダクト61の内部容積内に延び、液化ガスをタンクから汲み上げて抽出することを可能にするために、駆動要素62の作用下で吸引要素64を作動させることを可能にする。
【0075】
図2および
図3に示すように、積下ろしダクト61は、積込みおよび/または積下ろし支柱5とは異なる構成要素である。換言すれば、積下ろしダクト61は構造51とは異なる構成要素である。
【0076】
好ましい実施形態によれば、積下ろしダクト61は、タンク2の長手方向Lにおいて前方マスト52aの前方に位置している。したがって、積下ろしダクト61は、マスト52の各々によって画定された三角形の形態に含まれない。図示の例では、積下ろしダクト61は、それを支持する前方マスト52aに対して平行に延びている。したがって、積下ろしダクト61および前方マスト52aは、垂直方向Vに延びている。
【0077】
図3および
図4に示すように、積下ろし装置6はまた、前記装置の逆止弁を制御するために使用される少なくとも1つ、好ましくは2つのロッド611を備える。ロッド611は、積下ろしダクト61から独立しており、積下ろしダクトに沿って延びている。
【0078】
積下ろし装置6を構成する異なる要素は、タンク2の底壁22に対して直角に、垂直方向Vの主伸長方向Pに沿って延びている。
【0079】
駆動アセンブリ62は、特に、モータと、吸引要素64の速度を低下させるための装置とを備えるギアモータアセンブリとすることができる。
【0080】
特にメンテナンス作業が予定されている場合に、タンク2から積み下ろされるときの液化ガスの吸引を改善するために、タンクの底壁22には、
図2~
図4に見られるサンプ8が備えられる。サンプ8は、タンク2の底壁22内に延び、かつここでは回転軸線Xを中心とする円筒形のサンプ壁81によって画定される容積に対応する。サンプ8は、特に、タンク2の貯蔵容積と比較して減少したこの容積内に前記液化ガスを濃縮することによって、積下ろし装置6の吸引要素64による液化ガスの収集を容易にするための容積を減少させることを可能にする。したがって、積下ろし装置6の吸引要素64は、少なくとも部分的にサンプ8の容積内に延びていることが理解される。
【0081】
図4aおよび
図4bに見られるように、サンプ8は、図ではその回転軸線X上に位置するその中心が、基部補強材54の足部542の中心Fから少なくとも2mを超える距離Dにあるように、タンク2の底壁22内に形成される。この距離は、前記回転軸線Xと、その中心軸線F上で取られた基部補強材54の足部542の中心Fとの間で、回転軸線Xに対して直角の直線に沿って取られることが理解される。
【0082】
したがって、積下ろし装置6の吸引要素64は、支柱5のマスト52とは異なる。積下ろし装置6は、マスト52の各々によって画定された三角形の外側に位置している。
【0083】
本発明によれば、少なくとも1つの保持装置9が、積下ろしダクト61と構造51のマスト52の一方との間に延びている。保持装置9は、積下ろしダクト61を垂直方向Vに保持することを可能にし、かつ、特にタンク2に積み込むとき、または液化ガスを輸送するときにも保持されることを確実にする。本発明の例によれば、複数の保持装置9は、構造51のマスト52のうちの一方と積下ろしダクト61との間に、積下ろしダクト61に沿って、すなわちその第1の端部61aとカバー7との間に延びている。図示の例によれば、少なくとも1つの保持装置9は、積下ろしダクト61と構造51の前方マスト52aとの間に延び、すなわち、マスト52は、構造51を画定する三角形の前方頂点を形成する。
【0084】
したがって、保持装置9は、両方ともタンクの底壁22とは異なる、積下ろし装置6と支柱5との間の連結を形成することを可能にする。したがって、保持装置9はタンクの底壁22から離れて位置する。
【0085】
このような保持装置9を、以下に説明する異なる実施形態に従って製造することができ、支柱5上の異なる位置に形成することができる。
【0086】
好ましくは、
図2に示されるように、本発明による保持装置9は、格子構造53を前方マスト52a上に固定する固定点で前方マスト52a上に固定される。より具体的には、保持装置9は、前方マスト52a上の格子構造53を形成するいくつかの円筒形の小梁の交点に固定される。したがって、保持装置9は、支柱5の剛性が最大となる点に位置決めされる。
【0087】
加えて、保持装置9はまた、基部補強材54のプラットフォーム541も固定される前方マスト52aの底端部に位置決めされることができる。
【0088】
保持装置9には、積下ろし装置6の積下ろしダクト61が通過する少なくとも1つのリング91と、保持装置9を前方マスト52a上に固定するための固定接合部923を備えた少なくとも1つのアーム92とが備えられる。
【0089】
この点から、
図5および
図6に見られる保持装置9の第1の実施形態を説明する。
【0090】
リング91は、実質的に同一の形態の第1のハーフシェル9111および第2のハーフシェル9112と呼ばれる2つのハーフシェル911で構成される。それらが組み立てられると、ハーフシェル911は、積下ろしダクト61を取り囲むための円筒形のリング91を形成する。あるいは、リング91は、リング91を形成するように組み立てられた相補的な形態の3つ以上の部分を含むことができる。別の代替形態によれば、リング91は単一の円筒形部品を備えることができる。
【0091】
ハーフシェル911の各々は2つのフィン912を備え、ハーフシェル911の一方のフィン912は、リング91を組み立てるために、相補的なハーフシェル911のフィン912と接触して配置され、次いでボルト締めによって固着される。なお、図示の例では、リング91は、垂直方向Vに延びる保持装置9の延長軸線900を中心としている。
【0092】
さらに、シム916は、互いに対向して配置されかつ互いに固定されることが意図された2つのフィン912の間に配置される。このシム916の目的は、より具体的には、積下ろしダクト61上のロッド611の保持を確実にすることである。各ロッド611はリング91内に保持される。好ましくは、各ロッド611は、組み立てられた2つのフィン912の間に延びる。したがって、組立て位置では、各ロッド611はシム916と積下ろしダクト61との間に延びる。
【0093】
リング91の内壁913には、特に積下ろしダクト61の熱膨張の結果として見られる、延長軸線900に沿った積下ろしダクト61の変位を可能にする複数のスキッド914が備えられる。スキッド914は、(ポリテトラフルオロエチレンの場合)PTFEまたは(「高密度ポリエチレン」の場合)HDPEなどの材料で製造され、延長軸線900に沿って測定されたリング91の高さにわたって、この延長軸線に対して平行に延びることができる。あるいは、スキッド914はリング91の高さの一部のみにわたって延びることができる。
【0094】
保持装置9のアーム92は、第1の部分921と、第2の部分922と、固定接合部923とを備える。第1の部分921および第2の部分922は、各々が平板状である。例えば各部分921、922は、少なくとも5mmの厚さの金属薄板片からなることができる。第1の部分921および第2の部分922は、最初は互いに分離されており、その固着は、それらが支柱5に取り付けられたときに行われる。
【0095】
好ましくは、第2の部分922はリング91の直径よりも大きい長さを有する。
【0096】
第1の部分921は、リング91のハーフシェル911の一方に固着されている。第1の部分921は、第1の部分921がリング91の外壁915と接触し、かつそれに取り付けられたハーフシェル911を少なくとも部分的に取り囲むために、ハーフシェル911の外壁915を補完する形態の切欠き部9211を備える。したがって、保持装置9が組み立てられると、第1の部分921はリング91を支持する。
【0097】
同様に、第2の部分922は固定接合部923を支持し、固定接合部は、前記第2の部分922が主に内接する平面に対して横方向に、例えば直角に延びる。
【0098】
保持装置9が組み立てられると、第1の部分921および第2の部分922は、部分的に互いに対向して延びる。図示されているように、第1の部分921および第2の部分922は、保持装置9の延長軸線900および/または支柱5のマスト52の少なくとも一方の主軸線500と直交する保持装置9の第1の平面100に対して平行に延びる。
【0099】
第1の部分921および第2の部分922は、各々が、アーム92を構成するためにこれらの2つの要素が互いに固着されることを可能にするアセンブリ手段94を有する。
【0100】
第1の部分921および第2の部分922は、第1の平面100に含まれる第1の方向200および第2の方向300において互いに対して変位するように特に構成されている。好ましくは、第1の方向200と第2の方向300とは互いに直角である。
【0101】
アセンブリ手段94は、第1の部分921に形成された第1の対の長孔部941を備え、これらの長孔部のうちの1つのみが
図5および
図6に見られ、各長孔部は、少なくとも1つの固定部材945を受け入れるように構成されている。長孔部941は互いに平行に延び、長孔部941の各々の最長寸法は、第1の方向200に対して平行に、かつ保持装置の延長軸線900に対して直角に延びる。各長孔部941は、好ましくは第1の部分921の側端部に延びている。
【0102】
アセンブリ手段94はまた、第2の部分922に形成された少なくとも1つの第2の対の長孔部942、例えば2つの第2の対の長孔部942を備える。第2の部分922の各長孔部942は、保持装置9が組み立てられたときに、第1の部分921の長孔部941の一方と対向して少なくとも部分的に延びる。特に、第2の部分922の長孔部942の最長寸法は、第2の方向300に対して平行に延び、したがって第1の部分921の長孔部941の少なくとも1つの第1の方向200に対して実質的に直角に延びている。
【0103】
第1の部分921および第2の部分922の長孔部941、942はまた、異なる部分921、922の相互の位置決めの調整を可能にする調整手段943を構成する。したがって、第1の部分921および第2の部分922のそれぞれの長孔部内の固定部材の位置に応じて、異なる部分921、922の位置を変えることが可能である。
【0104】
第1の部分921および第2の部分922を固着するために使用される固定部材945は、ねじナット機構または任意の他の適切な手段で構成することができ、固定部材945は、積下ろし装置6の取付け中またはその後の取外し中の部分921、922の相互変位を提供するように設計されなければならない。
【0105】
したがって、第1の部分921の面は、第2の部分922の面と固着される。第1の部分921が、支柱5のカバー7に向かって回動する第1の面9212と、タンクの底壁22に向かって回動する第2の面9213とを備える一方で、第2の部分922は、カバー7に向かって回動する第1の面9221と、タンクの底壁22に向かって回動する反対側の第2の面9222とを備える。なお、図示の保持装置9では、第1の部分921の第2の面9213は、第2の部分922の第1の面9221に固着されている。こうして、リング91、したがって積下ろしダクト61を支持する第1の部分921は、第2の部分922によって支持される。
【0106】
固定接合部923は、保持装置9を支柱5上に固着することを可能にする。好ましくは、固定接合部923は支柱の前方マスト52a上に固定される。このような接合部は、図示のように、積下ろしダクト61をその高さに応じて異なる点で支柱5上に保持することを可能にすることができ、積下ろしダクト61はリング91を通過するように延びる。
【0107】
固定接合部923は、断面が円弧の形態であるシェルの形態をとる。固定接合部923は、第2の部分922によって支持され、例えば溶接によって支柱5上に固定されるようになっている。
【0108】
非常に明確に、他の形態の固定接合部を想定することができる。
【0109】
保持装置9は、第1の部分921と第1の部分921が取り付けられているハーフシェル911との連結、および第2の部分922と固定接合部923との連結をそれぞれ強固にする複数の補強材93を備える。したがって、補強材93は、第1の部分921の第1の面9212とリング91の外壁915との間、または第2の部分922の第1の面9221と固定接合部923の第1の側面9231との間に延びる。また、補強材93は、第2の部分922の第2の面9222と固定接合部923の第1の側面9231との間に延びることができる。
【0110】
図示の例では、異なる要素の互いの組立てを妨げないために、第1の部分921の第2の面9213とリング91の外壁915との間に補強剤は存在しない。しかし、変形実施形態によれば、このような補強材の存在は、特にこれらの異なる要素を再度寸法取りする場合に想定することができる。
【0111】
固定接合部923に固着された第2の部分922は、第2の切欠き部9223を備える。第2の切欠き部9223は、例えば積下ろしダクト61を保持するフランジを通過させることによって、保持装置9の取付け/取外しを容易にするために特に構成される。好ましくは、第2の切欠き部9223は、第1の部分921の切欠き部9211よりも大きな窪みを有し、保持装置が組み立てられると、第1の部分921は、第2の切欠き部9223を少なくとも部分的に覆う。
【0112】
本発明による保持装置9は、積下ろし装置6がタンク内で十分に保持されることを保証し、特にタンク内の液化ガスの貨物によって発生する可能性があるスロッシングに対して、必要な機械的強度を積下ろし装置6に提供する。保持装置の使用は、吸引要素64の動きを制限することに寄与するが、その歪みの危険性にも寄与する。
【0113】
この点から、
図7および
図8に見られる保持装置9の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と共通する要素は同じ参照符号を使用し、再度説明しない。
【0114】
したがって、第2の実施形態による保持装置9は、第1の実施形態と同様に、積下ろし装置6の積下ろしダクト61が通過するリング91を支持する第1の部分924と、固定接合部923を支持する第2の部分925とを備えるアーム92を備える。この保持装置9はまた、以下に説明するように、第1の部分924および第2の部分925を互いに対して確実に固定するための連結アセンブリ926を備える。連結アセンブリ926は、より詳細には、各々が互いに対向して配置された第1の部分924および第2の部分925の固定領域の間に介在するための2つのプレート9261および9262で構成される。
【0115】
好ましくは、第2の部分925はリング91の直径よりも短い長さを有する。
【0116】
連結アセンブリ926のプレート9261、9262は、好ましくは同一の形態である。各プレート9261、9262は長円形の形態を含み、開口部9263が設けられている。図示の例では、各プレート9261、9262は円形の形態の3つの開口部9263を備える。
【0117】
第1の部分924は、互いに離れるように延び、かつ保持装置の延長軸線900および/または支柱5の少なくとも一方のマスト52の主軸線500に対して直角に延びる第1の方向600において離間した2つの翼部9241および9242を備える。
【0118】
好ましくは、2つの翼部9241、9242は互いに平行に延び、各々は、保持装置9の延長軸線900および/または支柱5の少なくとも一方のマスト52の主軸線500に対して平行な第1の平面400に対して平行な平面において延びる。各翼部9241、9242は、内面9243および外面9244を備える。内面9243が互いに対向し、互いに反対側に位置する一方で、外面9244は内面の反対側にあり、タンクの壁に向かって回動する。
【0119】
同様に、第2の部分925は、互いに離れるように延び、かつ保持装置の延長軸線900および/または支柱5の少なくとも一方のマスト52の主軸線500に対して直角に延びる第1の方向600において離間した2つの翼部9251および9252を備える。
【0120】
好ましくは、2つの翼部9251、9252は互いに平行に延び、各々は、保持装置9の延長軸線900および/または支柱5の少なくとも一方のマスト52の主軸線500に対して平行な第1の平面400に対して平行な平面において延びる。各翼部9251、9252は内面9253および外面9254を備える。内面9253が互いに対向し、互いに反対側に位置する一方で、外面9254は内面の反対側にあり、タンクの壁に向かって回動する。
【0121】
第1の実施形態と同様に、保持装置9は、第1の部分924と第1の部分924が取り付けられているハーフシェル911との連結、および第2の部分925と固定接合部923との連結をそれぞれ強固にする複数の補強材93を備える。したがって、補強材93は、第1の部分924の各翼部9241、9242の各外面9244とリング91の外壁915との間に延びる。図示のように、補強材93はまた、第2の部分925の各翼部9251、9252の各外面9254と固定接合部923の第1の側面9231との間に延びることができる。
【0122】
このような実施形態では、補強材93は、第1の平面400に直交する平面内に延びる。
【0123】
第2の部分925はまた、各翼部9251、9252の各内面9253を実質的にそれらの中間に連結するための少なくとも1つの内部補強材95を備える。
【0124】
図示の例では、第2の部分925の翼部9251、9252間の離隔距離は、第1の部分924の翼部9241、9242間の離隔距離よりも小さく、それにより、アーム92の組立て中に、第1の部分の各翼部と、反対側に位置する第2の部分の翼部との固着を可能にする。より具体的には、離隔距離は、以下に説明するように、連結アセンブリ926の各プレート9261、9262の挿入を可能にするように適合される。
【0125】
第1の部分924、第2の部分925および連結アセンブリ926は、各々が、アーム92を構成するためにこれらの3つの要素を固着することを可能にするアセンブリ手段94を有する。
【0126】
連結アセンブリ926のアセンブリ手段94は、プレート9261、9262の開口部9263からなる。
【0127】
アセンブリ手段94はまた、第1の部分924の各翼部9241、9242内に形成された円形孔部9245を備える。円形孔部9245は、翼部9241、9242の各自由端部に規則的に分布しており、いわゆる自由端部は、リング91に固定された端部の反対側にある。例えば、翼部9241、9242ごとに3つの円形孔部9245が存在することができる。
【0128】
アセンブリ手段94はまた、第2の部分925の各翼部9251、9252内に形成された長孔部9255を備える。長孔部9255は、翼部9251、9252の各自由端部に規則的に分布しており、いわゆる自由端部は、固定接合部923に固定された端部の反対側にある。例えば、翼部9251、9252ごとに3つの長孔部9255が存在することができる。
【0129】
長孔部9255は互いに平行に延び、長孔部9255の各々の最長寸法は、第1の方向600に対して直角に、かつ保持装置の延長軸線900に対して直角に延びる。
【0130】
アセンブリ手段94は、連結アセンブリ926の円形孔部および第1の部分924の円形孔部を第2の部分925の長孔部と連結するためのねじナットアセンブリなどの固定部材945をさらに備える。
【0131】
したがって、アーム92の組立て位置において、第2の部分925の各翼部9251、9252の外面9254は、第1の部分924の翼部9241、9242の内面9243に対向して配置される。外面9254と内面9243との間にはプレート9261、9262が介在している。これらの異なる部品は、それらのそれぞれの開口部が、固定部材945が通過することができるように互いに対向して位置するように位置決めされる。
【0132】
第1の部分924および第2の部分925ならびに連結アセンブリ926の異なる孔部または開口部もまた、異なる部分924、925の相互の位置決めの調整を可能にする調整手段943を構成する。したがって、孔部または開口部内の固定部材の位置に応じて、異なる部分924、925の位置を変えることができる。
【0133】
図示されていない変形例によれば、第2の部分925の翼部9251、9252間の離隔距離は、第1の部分924の翼部9241、9242間の離隔距離よりも大きくてもよい。同様に、長孔部および円形開口部の位置決めを変えることができる。
【0134】
この点から、第2の実施形態に従って実行され、かつ近接して配置された積下ろし装置6の前方マスト52aおよび積下ろしダクト61を固着することを目的とした保持装置9の様々な取付けステップを、
図9a~
図9dに関連して説明する。理解を容易にするために、連結アセンブリ926はこれらの図には表されていない。
【0135】
図示されていない先行ステップの間、以下では第1のサブアセンブリと呼ばれる、固定接合部923および第2の部分925からなるサブアセンブリ96は、好ましくは溶接によって前方マスト52aに固着される。
【0136】
図9aに示される第1のステップの間、以下では第2のサブアセンブリと呼ばれる、第1の部分924および第2のハーフシェル9112からなるサブアセンブリ97は、第1のサブアセンブリ96に固定される。この第1のステップの間、第1の部分924、第2の部分925および連結アセンブリ926は、第1の位置を画定するように固定部材945を介して固着される。この第1の位置では、第1のサブアセンブリ96および第2のサブアセンブリ97は、矢印98によって示されるように、互いの重なりが最大になるように互いに向けられる。この位置では、第2のサブアセンブリ97はマスト52aに最も近い位置にある。
【0137】
図9bに示される第2のステップの間、積下ろし装置6の積下ろしダクト61は、第2のサブアセンブリ97に近づけられる。したがって、積下ろしダクト61は、マスト52aに沿って降下され、かつ第2のサブアセンブリ97と並んで、そこから離れた位置に留まりながら延びる。積下ろしダクト61の位置は、積下ろし装置6を構成する異なる要素、より具体的には吸引要素64および駆動アセンブリ62によって画定され、駆動アセンブリ62は、積下ろし装置6のねじれを回避するために積下ろしダクト61と位置合わせされなければならない。積下ろし装置6の取付けの間、吸引要素64はサンプ壁81の回転軸線Xを中心とする。
図9bが示すように、第2のステップの終わりに、積下ろしダクト61は、第2のハーフシェル9112の内壁913から離れて位置する。
【0138】
積下ろしダクト61の最終位置に到達すると、第2のサブアセンブリ97は第1のサブアセンブリ96に対して変位する。より具体的には、第2のサブアセンブリ97は、第2のサブアセンブリ97、より具体的には第2のハーフシェル9112の内壁913と積下ろしダクト61との結合を可能にするように変位する。矢印99によって示されるこの変位は、
図9cに表される第3の取付けステップに対応する。
【0139】
第1のサブアセンブリ96と第2のサブアセンブリ97との間の位置決めは、第1の平面400内の第1の部分924および第2の部分925の変位、より具体的にはこの同じ第1の平面400内にある2つの方向における変位を可能にする調整手段943を用いて行われる。次いで、固定部材945を、第1のサブアセンブリ96および第2のサブアセンブリ97の新たな位置を固定するように再配置することができる。
【0140】
適切な位置が得られると、
図9dに示される最終ステップ中に、第1のハーフシェル9111は、第2のハーフシェル9112に近づけられ、それらのフィン912の固着によって第2のハーフシェル9112に固定される。
【0141】
これらのステップは、支柱5に沿って位置決めされる保持装置9の数に応じて必要な回数だけ繰り返される。
【0142】
本発明による保持装置9の使用は、要素の取出しを伴うメンテナンス作業中の支柱5の分解を単純化するという利点も提供する。実際、第2の部分925および固定接合部923は、第1の部分924が第2の部分925から分離されている間、支柱5に固着されて留まることができる。したがって、積下ろし装置6へのアクセスが容易になる。したがって、メンテナンス作業の場合、本発明による保持装置9を完全に取り外して、積下ろし装置6またはその構成要素の1つを取り出す必要はない。これはまた、固定接合部923および第2の部分925を再配置して固定する必要がないため、これらの要素の全ての再組立てを単純化することになる。
【0143】
第2の実施形態に関連して本明細書で説明した取付け方法は、第1の実施形態にも当然適用される。
【0144】
しかし、本発明を、本明細書に記載され図示された手段および構成に限定することはできず、本発明は、任意の同等の手段または構成、およびこのような手段を動作させる任意の技術的組合せにも及ぶ。特に、固定接合部の種類、アームの寸法または形態、およびアームの異なる部分を固着するために使用されるアセンブリ手段は、調整装置が最終的に本明細書に記載されたものと同じ機能を果たす限り、本発明を損なうことなく修正することができる。
【0145】
さらに、説明した保持装置を、支柱5の要素のうちの1つと協働することを目的とした構成要素のための任意の他の固定目的にも適用することができる。
【0146】
図10を参照すると、メタンタンカー船1の破断図は、船舶の二重船殻11内に取り付けられた略角柱形状の密閉断熱タンク2を示す。
【0147】
それ自体知られているように、船舶の上部デッキに配置された積込み/積下ろしパイプライン12は、適切な接続手段によって海上または港湾のターミナルに接続されて、LNGの貨物をタンク2からまたはタンク2へ移送することができる。
【0148】
図10はまた、積込みおよび積下ろしステーション13と、海底ダクト14と、陸上設備15とを備える海上ターミナルの一例を表す。積込みおよび積下ろしステーション13は、可動アーム16と、可動アーム16を支持するライザ17とを備える固定された沖合施設である。可動アーム16は、積込み/積下ろしパイプライン12に接続することができる可撓性絶縁パイプ18の束を支持する。配向可能な可動アーム16は、全てのメタンタンカーの型板に適合する。ライザ17の内部には、図示されない連結ダクトが延びている。積込みおよび積下ろしステーション13は、メタンタンカー1の陸上設備15からまたは陸上設備15への積込みおよび積下ろしを可能にする。陸上設備15は、液化ガス貯蔵タンク19と、海底ダクト14によって積込みまたは積下ろしステーション13に連結された連結ダクト24とを備える。海底ダクト14は、積込みまたは積下ろしステーション13と陸上設備15との間で液化ガスを長距離にわたって、例えば5kmにわたって移送することを可能にし、これにより、積込みおよび積下ろしの作業中にメタンタンカー船1を海岸から長距離に保つことが可能になる。
【0149】
液化ガスの移送に必要な圧力を発生させるために、船舶2に組み込まれたポンプおよび/または陸上設備15に備えられたポンプおよび/または積込みおよび積下ろしステーション13に備えられたポンプが実装される。
【0150】
本発明をいくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は決してそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義されるように、記載された手段の全ての技術的等価物およびそれらの組合せが本発明の文脈内に入る場合、それらを包含することは極めて明白である。
【0151】
動詞「備える(comprise)」または「含む(include)」およびその活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。
【0152】
特許請求の範囲において、括弧の間のいかなる参照符号も、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【外国語明細書】