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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152889
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】動物収容ケージ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/03 20060101AFI20231005BHJP
   A01K 15/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A01K1/03 A
A01K15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050033
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2022057539
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591122956
【氏名又は名称】株式会社LSIメディエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 宏之
(72)【発明者】
【氏名】比毛 則夫
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA11
2B101AA20
2B101FA04
(57)【要約】
【課題】収容されている動物をより効率的に且つより安全に捕獲することができる動物収容ケージを、より簡略な構成で且つより安価に提供する。
【解決手段】本発明の動物収容ケージは、動物を収容する直方体形状の収容部と、収容部と外部とを連通させる開口部と、開口部を開閉する開閉扉と、収容部に設置される可動フェンスと、を備える。可動フェンスは、収容部を画成する第1の面部材に重なる第1の位置と、収容部を画成する面部材のうちの第1の面部材に連接する第2の面部材と平行になる第2の位置と、の間を、第1の面部材と第2の面部材との境界と平行な枢軸周りに枢動するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を収容する収容部と、
前記収容部と外部とを連通させる開口部と、
前記開口部を開閉する開閉扉と、
を備える動物収容ケージであって、
前記収容部に枢動自在に設置される可動フェンスであって、当該可動フェンスと前記収容部を画成する面部材との間に前記動物を囲い込むように枢動する可動フェンスを、更に備える、
動物収容ケージ。
【請求項2】
前記収容部は、直方体形状を有し、
前記可動フェンスは、前記収容部を画成する複数の面部材のうちの第1の面部材に重なる第1の位置と、前記収容部を画成する複数の面部材のうちの前記第1の面部材に連接する第2の面部材と平行になる第2の位置との間を、前記第1の面部材と前記第2の面部材との境界と平行な枢軸周りに枢動するように、前記収容部に設置される、
請求項1に記載の動物収容ケージ。
【請求項3】
前記第1の面部材は、前記収容部の第1の側面を画成する壁面であり、
前記第2の面部材は、前記収容部の前記第1の側面に隣接する第2の側面を画成する壁面である、
請求項2に記載の動物収容ケージ。
【請求項4】
前記第1の面部材は、前記収容部の天面を画成する天井面であり、
前記第2の面部材は、前記収容部の第3の側面を画成する壁面である、
請求項2に記載の動物収容ケージ。
【請求項5】
前記可動フェンスにおける前記枢軸と反対側の部位に、前記枢軸と平行な軸周りに枢動自在に取り付けられる延長部と、
前記可動フェンスが前記第1の位置にあるときは、断面視で、可動フェンスと延長部とが同一直線状に直列に並び、且つ、前記可動フェンスが前記第2の位置にあるときは、断面視で、前記可動フェンスと前記延長部とが略L字型をなすように、前記延長部を案内する案内部と、
を更に備える、
請求項2から4の何れか1項に記載の動物収容ケージ。
【請求項6】
前記可動フェンスは、矩形の外枠と、前記外枠の内部に架設される格子状の内枠と、を備える、
請求項1に記載の動物収容ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動物を収容するケージに関する。
【背景技術】
【0002】
動物収容ケージは、保護された野生動物の収容、観賞用動物の収容、家畜の収容、又は、医学用若しくは薬学用の試験に利用される動物の収容等に用いられる。斯様な動物収容ケージとしては、動物愛護の観点から、複数の動物を収容する形態の集合ケージが主流になってきている。
【0003】
複数の動物を収容する集合ケージは、広い収容空間を備える必要がある。そのため、集合ケージに収容されている動物に対して医学用又は薬学用の試験を実施する場合等には、作業者が集合ケージに入って動物を捕獲する必要がある。その際、麻酔等を用いて動物の動きを制限する方法が考えられる。しかしながら、麻酔が試験結果に影響を及ぼす可能性があるため、麻酔等を用いずに動物を捕獲することが望まれる。
【0004】
ところで、集合ケージのように収容空間が広い場合、無麻酔下で自由に動き回る動物の捕獲には、熟練の作業者であっても時間がかかる可能性がある。動物の捕獲に時間がかかると、動物のストレスが大きくなる可能性がある。また、作業者が集合ケージに入って動物を捕獲する場合には、作業者及び動物が負傷する可能性もある。よって、動物収容ケージに収容されている動物をより効率的に且つより安全に捕獲することができる技術が望まれている。
【0005】
上記したような要求に対し、直方体状に形成されたケージ本体の一面に開口部を形成するとともに、この開口部の四隅部内側に前後方向(ケージ本体の奥行方向)に延在する4本のガイドレールを互いに平行となるように配設し、当該ガイドレールに沿って前後方向に滑動する回転ローラが四隅部外側に配設された移動枠を開口部に嵌め込む動物収容ケージが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。このように構成される動物収容ケージによれば、収容動物を捕獲する際に、移動枠を奥行方向に移動させることで、動物の移動可能範囲を狭めていくことができるため、捕獲にかかる時間を短くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-305059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来技術を集合ケージに適用する場合、移動枠のサイズが大きくなり、それに伴って移動枠の重量も大きくなるため、手動により移動枠を移動させることが難しくなる。これに対し、電動又は油圧等により移動枠を移動させる駆動装置を付加することも考えられる。しかしながら、駆動装置を収容するスペースが必要になるとともに、ケージを導入するコストが増大する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容されている動物をより効率的に且つより安全に捕獲することができる動物収容ケージを、より簡略な構成で且つより安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る動物収容ケージは、上記した課題を解決するために、動物を収容する収容部に、枢動自在な可動フェンスを設置するようにした。
【0010】
詳細には、本発明に係る動物収容ケージは、動物を収容する収容部と、収容部と外部とを連通させる開口部と、開口部を開閉する開閉扉と、収容部に設置される可動フェンスと、を備える。可動フェンスは、収容部に枢動自在に設置されるフェンスであって、当該可動フェンスと収容部を画成する面部材との間に動物を囲い込むように枢動可能に構成される。
【0011】
上記したように構成される動物収容ケージによれば、収容部に収容されている動物を捕獲する必要があるときは、可動フェンスを枢動させることで、当該可動フェンスと収容部を画成する面部材との間に動物を囲い込むことができる。これにより、動物の移動範囲を制限することができるため、動物を効率的且つ安全に捕獲することが可能になる。特に、本発明を集合ケージに適用した場合には、麻酔等を用いることなく、速やかに動物を捕獲することが可能になる。その結果、医学用又は薬学用の試験等を精度良く実施することも可能になる。また、可動フェンスが枢動する構成を採用したことにより、本発明が集合ケージに適用される場合(すなわち、可動フェンスが大型化した場合)においても、手動により可動フェンスを動かすことが可能になる。
【0012】
本発明に係る動物収容ケージは、収容部が直方体形状を有するように構成されてもよい。その場合、可動フェンスは、収容部を画成する複数の面部材のうちの第1の面部材に重なる第1の位置と、収容部を画成する複数の面部材のうちの第1の面部材に連接する第2の面部材と平行になる第2の位置と、の間を、第1の面部材と第2の面部材との境界と平行な枢軸周りに枢動するように、収容部に設置されてもよい。
【0013】
上記したように構成される動物収容ケージによれば、収容部に収容されている動物を捕獲する必要がないときは、可動フェンスを第1の位置にしておくことで、可動フェンスを第1の面部材に重ねておくことができる。これにより、可動フェンスが第1の面部材に沿って収納された状態になる。その結果、可動フェンスの設置に起因して収容部が狭められることを抑制することができる。また、上記したように構成される動物収容ケージによれば、収容部に収容されている動物を捕獲する必要があるときは、可動フェンスを第1の位置から第2の位置へ向かって枢動(展開)させることで、可動フェンスと第2の面部材との間に動物を囲い込むことが可能になる。
【0014】
なお、上記したように構成される動物収容ケージにおいて、可動フェンスが第2の位置にあるとき(可動フェンスが第2の面部材と平行になるとき)に、可動フェンスと第2の面部材との間に隙間が生じるように可動フェンスが設置されてもよく、又は、可動フェンスと第2の面部材との間に隙間が生じない(可動フェンスが第2の面部材に重なる)ように可動フェンスが設置されてもよい。第2の位置において可動フェンスと第2の面部材との間に隙間を生じさせるか否か、及び、隙間を生じさせる場合の当該隙間の大きさ等は、本発明に係る動物収容ケージに収容される動物の習性及び体格等に応じて決定されてもよい。
【0015】
また、収容部が直方体形状を有するように構成される動物収容ケージにおいて、囲い込まれた動物を動物収容ケージの外から捕獲及び取り出すための開口部及び開閉扉が第2の面部材に設けられてもよい。
【0016】
収容部が直方体形状を有するように動物収容ケージが構成される場合において、収容部の第1の側面を画成する壁面が第1の面部材となり、且つ、収容部の第1の側面に隣接す
る第2の側面を画成する壁面が第2の面部材となるように、可動フェンスが収容部に設置されてもよい。このように構成される動物収容ケージにおいては、可動フェンスが、収納部の第1の側面と第2の側面との境界と平行な枢軸周りに枢動する。すなわち、可動フェンスは、収容部の底面に対して垂直な軸周りに枢動する。斯様な構成は、飛行能力を持たない陸生動物、特に、収容部の角部に逃避する習性を持つ陸生動物等を収容する場合に適している。
【0017】
収容部が直方体形状を有するように動物収容ケージが構成される場合において、収容部の天面を画成する天井面が第1の面部材となり、且つ、収容部の第3の側面を画成する壁面が第2の面部材となるように、可動フェンスが収容部に設置されてもよい。このように構成される動物収容ケージにおいては、可動フェンスが、収納部の天面と第3の側面との境界と平行な軸周りに枢動する。すなわち、可動フェンスは、収容部の底面に対して平行な軸周りに枢動する。斯様な構成は、飛行能力を持つ陸生動物、低所から高所へ向かって逃避する習性を持つ陸生動物、又は、水生動物を収容する場合に適している。
【0018】
なお、上記した第3の側面を画成する壁面が第1の面部材となり、且つ、上記した天面を画成する天井面が第2の面部材となるように、可動フェンスが収容部に設置されてもよい。すなわち、第1の位置においては可動フェンスが収容部の第3の側面を画成する壁面に重なる状態となり、且つ、第2の位置においては可動フェンスが収容部の天面を画成する天井面と平行な状態となるように、可動フェンスが収容部に設置されてもよい。動物収容ケージに収容されている動物を捕獲する際に、可動フェンスを収容部の天面側から第3の側面側へ枢動させるか、又は、可動フェンスを収容部の第3の側面側から天面側へ枢動させるかは、収容動物の習性等に応じて決定されてもよい。その際、直方体形状を有する収容部の大きさは、当業者が適宜調整して設計することが可能であるが、天井面の大きさと第3の側面を画成する壁面の大きさとの差が小さくなるように設計されてもよい。これにより、可動フェンスを収容部の天面側から第3の側面側へ枢動させる場合、及び、可動フェンスを収容部の第3の側面側から天面側へ枢動させる場合の何れにおいても、効率よく動物を囲い込むことが可能となる。
【0019】
本発明に係る可動フェンスは、枢軸と反対側の部位に、枢軸と平行な軸周りに枢動自在に取り付けられる延長部を備えるようにしてもよい。その場合、可動フェンスが第1の位置にあるときは、断面視で、可動フェンスと延長部とが同一直線状に直列に並び、且つ、可動フェンスが第2の位置にあるときは、断面視で、可動フェンスと延長部とが略L字型をなすように、延長部を案内する案内部が、動物収容ケージに設けられるようにしてもよい。このような構成によれば、収容部に収容されている動物を捕獲するときに、可動フェンスを第1の位置から第2の位置へ向かって枢動させることで、延長部と第1の面部材との間に形成される間隙に動物を囲い込むことが可能になる。
【0020】
なお、上記した延長部及び案内部を備える動物収容ケージにおいては、囲い込まれた動物を動物収容ケージの外から捕獲及び取り出すための開口部及び開閉扉が第1の面部材に設けられてもよい。
【0021】
本発明に係る可動フェンスは、矩形の外枠と、外枠の内部に架設される格子状の内枠と、を備えるようにしてもよい。これにより、可動フェンスと収容部を画成する面部材との間に囲い込まれた動物に対し、格子の隙間を通じて首輪などを装着することも可能になる。また、本発明に係る動物収容ケージが水中で使用される場合(例えば、水生動物の収容に使用される場合)等に、可動フェンスを枢動させる際の抵抗を小さく抑えることもできる。さらに、可動フェンスの軽量化を図ることも可能である。なお、可動フェンスに延長部が連結される場合においては、延長部も、可動フェンスと同様に構成されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、収容されている動物をより効率的に且つより安全に捕獲することができる動物収容ケージを、より簡略な構成で且つより安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態における動物収容ケージの概略構成を示す斜視透視図である。
図2】第1の実施形態における動物収容ケージの平面図である。
図3】第1の位置にある可動フェンスを、Y軸方向の正面壁部側から背壁部側へ向かって見た図である。
図4】第1の実施形態において動物収容ケージに収容されているサルを捕獲する手順を説明するための第1の図である。
図5】第1の実施形態において動物収容ケージに収容されているサルを捕獲する手順を説明するための第2の図である。
図6】第1の実施形態において動物収容ケージに収容されているサルを捕獲する手順を説明するための第3の図である。
図7】第1の実施形態において動物収容ケージに収容されているサルを捕獲する手順を説明するための第4の図である。
図8】第1の実施形態の変形例1における動物収容ケージの概略構成を示す斜視透視図である。
図9】第1の実施形態の変形例1における動物収容ケージの平面図である。
図10】第1の実施形態の変形例1における動物収容ケージを複数連結して使用する例を示す図である。
図11】第1の実施形態の変形例2における動物収容ケージの平面図である。
図12】第1の実施形態の変形例3における動物収容ケージの垂直断面図である。
図13】第1の実施形態の変形例4における動物収容ケージの平面図である。
図14】第1の実施形態の変形例5における動物収容ケージの平面図である。
図15】第2の実施形態における動物収容ケージの平面図である。
図16】第2の実施形態における第2のフェンスとガイドレールとの連結部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。以下の実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り本発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0025】
<実施形態1>
本発明に係る動物収容ケージの第1の実施形態について、図1から図7に基づいて説明する。第1の実施形態では、本発明に係る動物収容ケージを、医学用又は薬学用の試験等に利用されるサルの収容に適用される例について述べる。
【0026】
(全体構成)
本実施形態における動物収容ケージ1の全体構成について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本実施形態における動物収容ケージ1の概略構成を示す斜視透視図である。図2は、本実施形態における動物収容ケージ1の平面図である。
【0027】
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を定義し、このXYZ直交座標系を参照しつつ動物収容ケージ1の構成要素の配置等を説明する。本実施形態では、平面視で動物収容ケージ1の長手方向と平行な水平方向(図2中の上下方向)をX軸方向とし、平面視で動物収容ケージ1の短手方向(図2中の左右方向)をY軸方向とし、動物収容ケージ
1の載置面と垂直な方向(図2中の奥行方向)をZ軸方向と定義する。
【0028】
動物収容ケージ1は、4つの壁部10-13と、天井部20と、底面部21と、を有する直方体形状に形成される。その場合、動物収容ケージ1の内部には、4つの壁部10-13と天井部20と底面部21とにより画成された直方体形状の空間Saが形成される。空間Saは、医学用又は薬学用の試験に利用されるサルを収容するための空間である。以下では、空間Saを収容部Saと称する。また、平面視でX軸方向に延在する一対の壁部10、12のうち、一方の壁部10を背面壁部10と称し、他方の壁部12を正面壁部12と称する。さらに、平面視でY軸方向に延在する一対の壁部11、13のうち、一方の壁部11を右側壁部11と称し、他方の壁部13を左側壁部13と称する。
【0029】
背面壁部10及び右側壁部11は、図1に示すように、矩形の外枠の内部に複数の棒状部材を格子状に架設して構成される。なお、図1においては、正面壁部12及び左側壁部13の壁面が透過されているが、正面壁部12及び左側壁部13も、背面壁部10及び右側壁部11と同様に構成される。天井部20は、正面壁部12及び左側壁部13と同様に構成されてもよく、又は、隙間を有しない板状の部材により構成されてもよい。底面部21は、動物収容ケージ1の載置面が露出しないように閉塞されてもよく、又は、動物収容ケージ1の載置面が露出するように開口されてもよい。
【0030】
なお、壁部10-13の構成は、図1に示す例に限定されず、収容部Saに収容される動物の大きさ等に応じて適宜変更することができる。例えば、壁部10-13は、矩形の外枠の内部に複数の棒状部材を連子状に架設して構成されてもよく、矩形の外枠の内部に金網を架設して構成されてもよく、又は、矩形の外枠の内部に棒状部材と金網との双方を架設して構成されてもよい。また、4つの壁部10-13について、互いに異なる構成が採用されてもよい。例えば、背面壁部10と右側壁部11と左側壁部13は、隙間を有しない板状に構成されてもよい。
【0031】
正面壁部12には、開口部120と開閉扉121とが設けられる。開口部120は、作業員が収容部Saに出入りしたり、又は、収容部Saにサルを出し入れしたりするための出入口である。本実施形態における開口部120は、正面壁部12のうち、X軸方向における左側壁部13の近傍の部位に設けられる。すなわち、正面壁部12のうち、該正面壁部12の内壁面と左側壁部13の内壁面との境界となる角部に近接した部位に、開口部120が設けられる。
【0032】
開閉扉121は、開口部120を開閉するための扉である。本実施形態における開閉扉121は、図2に示すように、平面視で、収容部Saへ向けて時計回りに内開きする開き戸で構成される。なお、開閉扉121の構成は、図2に示す例に限定されず、収容部Saに収容される動物の習性等に応じて適宜変更することができる。例えば、開閉扉121は、平面視で、収容部Saへ向けて反時計回りに内開きする開き戸で構成されてもよい。また、開閉扉121は、平面視で、収容部Saの外部へ向かって時計回り若しくは反時計回りに外開きする開き戸で構成されてもよい。また、開閉扉121は、X軸方向又はZ軸方向にスライドすることで、開口部120を開閉する、引き戸で構成されてもよい。
【0033】
動物収容ケージ1の収容部Saには、可動フェンス40が設置される。可動フェンス40は、収容部Saに収容されているサルを捕獲する際に、サルを囲い込むための可動式のフェンスである。本実施形態における可動フェンス40は、収容部Saに収容されているサルを捕獲する必要がないときに収納され、収容部Saに収容されているサルを捕獲する必要があるときに展開されるように構成される。なお、可動フェンス40の詳細については後述する。
【0034】
上記したように構成される動物収容ケージ1の寸法は、複数頭のサルを収容可能であって且つ成人が移動可能な収容部Saを形成することができるように、決定される。なお、動物収容ケージ1の収容対象となる動物がサル以外である場合には、収容対象の動物の体格及び習性等に応じて、動物収容ケージ1の寸法が変更されてもよい。
【0035】
(可動フェンスの構成)
ここで、可動フェンス40の構成について、図1から図3に基づいて説明する。図3は、第1の位置にある可動フェンス40を、Y軸方向の正面壁部12側から背面壁部10側へ向かって見た図である。
【0036】
本実施形態における可動フェンス40は、図2に示すような平面視で、背面壁部10の内壁面(収容部Saの背面を画成する壁面)に重なる位置(図2中の一点鎖線で示す第1の位置)と、右側壁部11の内壁面(収容部Saの右側面を画成する壁面)と重なる位置(図2中の二点鎖線で示す第2の位置)と、の間を枢動自在に構成される。
【0037】
本実施形態における可動フェンス40は、図2及び図3に示すように、薄板状に形成される。具体的には、可動フェンス40は、図3に示すように、矩形の外枠41と、外枠41の内部に架設される格子状の内枠42と、内枠42に取り付けられた金網43と、を含んで構成される。なお、内枠42の格子の隙間が、サルが通り抜け出来ない程度に小さい場合には、金網43が内枠42に取り付けられなくてもよい。
【0038】
可動フェンス40の幅(図3中のX軸方向の長さW1)は、右側壁部11の内壁面のY軸方向の長さと同等、若しくは、同等よりも若干短くなるように設定される。なお、可動フェンス40が第1の位置から第2の位置まで枢動する際に動物収容ケージ1の他の構成要素と干渉しない範囲内において、可動フェンス40の幅W1が変更され得る。
【0039】
可動フェンス40の高さ(図3中のZ軸方向の長さH1)は、天井部20の天井面(天井部20の内側の面であって、収容部Saの天面を画成する面)と底面部21の床面(底面部21の内側の面であって、収容部Saの底面を画成する面)との間隔と同等、若しくは、同等よりも若干短くなるように設定される。なお、可動フェンス40の上端と天井部20の天井面との隙間、及び可動フェンス40の下端と底面部21の床面との隙間が、サルが通り抜け出来ない程度に小さくなる範囲内において、可動フェンス40の高さH1が変更され得る。
【0040】
上記したように構成される可動フェンス40は、図2及び図3に示すように、複数のヒンジ50を介して、支柱110に枢支される。本実施形態では、支柱110は、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部に設置される。その場合、図3に示すように、可動フェンス40の両側端部のうち、第1の位置において右側壁部11側(支柱110側)に位置する側端部(図3中の右側の側端部)が、ヒンジ50を介して、支柱110に取り付けられる。これにより、可動フェンス40が、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能になる。
【0041】
なお、支柱110は、動物収容ケージ1の骨格を担う部材でもよく、又は、可動フェンス40の支持を専任する部材でもよい。例えば、動物収容ケージ1のサイズが比較的大きく、それに伴って可動フェンス40も比較的大きくなる場合には、可動フェンス40の支持を専任する支柱110を、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部に設置してもよい。これにより、動物収容ケージ1の強度及び耐久性等を低下させることなく、可動フェンス40を設置することが可能になる。また、ヒンジ50の構成は特定の構成に限定されず、周知のものを採用することができる。例えば、ヒンジ50は、可動フェンス40の重量及び動物収容ケージ1の使用環境等に適した構成を有するもので
あればよい。
【0042】
本実施形態に係る動物収容ケージ1においては、背面壁部10の内壁面が本発明に係る第1の面部材に相当し、右側壁部11の内壁面が本発明に係る第2の面部材に相当する。
【0043】
(実施形態1の作用効果)
本実施形態における動物収容ケージ1の作用効果について、図4から図7に基づいて説明する。図4から図7は、本実施形態に係る動物収容ケージ1の収容部Saに収容されているサルを捕獲する手順を説明するための図である。図4から図7中におけるPaは、サルの捕獲作業を行う作業員を示す。また、図4から図7中におけるAmは、収容部Saに収容されているサルを示す。なお、動物収容ケージ1の収容部Saに収容されているサルを捕獲する必要がないときは、可動フェンス40が第1の位置に収納されているものとする。
【0044】
動物収容ケージ1の収容部Saに収容されているサルAmを捕獲する場合は、先ず、作業員Paが、開閉扉121を開いて、動物収容ケージ1の収容部Saに入る。本実施形態では、正面壁部12における左側壁部13に近接した位置に開口部120が設けられ、且つ、開閉扉121が平面視で時計回りに内開きするように構成されるため、収容部Saに入った直後の作業員Paの位置は、図4に示すように、正面壁部12の内壁面と左側壁部13の内壁面との境界となる角部に近い位置となる。ここで、収容部Saに収容されているサルAmは、作業員Paの位置に対して対角方向に逃げる傾向がある。よって、作業員Paが収容部Saに入った直後は、図4に示すように、サルAmが背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部の近傍(支柱110の近傍)に逃げる。
【0045】
収容部Saに入った作業員Paは、開閉扉121を閉じて、第1の位置にある可動フェンス40に近づく。作業員Paが可動フェンス40に近づいていくと、サルAmは、図5に示すように、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部の近傍から正面壁部12の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部の近傍へ逃げる可能性がある。しかしながら、作業員Paが可動フェンス40を第1の位置から第2の位置へ向かって枢動させていくと、それに伴って作業員Paが正面壁部12の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部へ近づいていくことになる。これにより、図6に示すように、サルAmは、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部の近傍へ再び逃げる。
【0046】
その後、作業員Paが可動フェンス40を第2の位置に更に近付けていくと、サルAmが可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に囲み込まれる。その際、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間にサルAmを軽く挟み込むようにすれば、サルAmの移動を止めることができる。そして、可動フェンス40の内枠42の隙間を通じて、サルAmに首輪等を装着することで、サルAmを捕獲することができる。
【0047】
以上述べた手順によれば、収容部Saに収容されているサルAmを捕獲する際に、サルAmが可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に誘導される。これにより、収容部Saに収容されているサルAmを、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に囲い込むことができる。その結果、麻酔等を使用することなく、速やかに捕獲することが可能となる。また、サルAmが過大なストレスを受けることを抑制することができる。さらに、サルAmの捕獲作業中に作業員PaおよびまたはサルAmが負傷するリスクを低減することもできる。よって、捕獲されたサルAmを医学用又は薬学用の試験等を利用する場合には、精度の高い試験結果を得ることが可能になる。
【0048】
また、本実施形態に係る動物収容ケージ1によれば、収容部Saに収容されているサル
Amを捕獲する必要がないときは、可動フェンス40を第1の位置にしておくことで、可動フェンス40を背面壁部10の内壁面に重ねた状態で収納することができる。これにより、可動フェンス40の設置に起因して、収容部Saが狭くなることを抑制することもできる。
【0049】
さらに、本実施形態では、開き戸式に枢動することで収納及び展開が自在な可動フェンス40を採用することにより、手動により可動フェンス40を収納及び展開させることが容易になる。これにより、動物収容ケージ1の大型化に伴って可動フェンス40が大型化した場合であっても、手動により可動フェンス40を収納及び展開させることが可能になる。その結果、可動フェンス40が大型化した場合であっても、可動フェンス40を機械的に収納及び展開させるための駆動装置を追加する必要がない。なお、可動フェンス40の下端にキャスタを取り付けるようにしてもよく、およびまたは、可動フェンス40に操作用の取手を取り付けるようにしてもよい。これにより、手動による可動フェンス40の収納及び展開を、より一層容易に行うことが可能になる。
【0050】
また、本実施形態に係る可動フェンス40は、矩形の外枠41と格子状の内枠42とにより構成されるため、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に囲い込まれたサルAmに対し、内枠42の隙間を通じて首輪等を装着することができる。さらに、可動フェンス40に隙間が形成されることで、可動フェンス40の軽量化を図ることもできる。
【0051】
なお、本実施形態では、収容部Saに収容される動物がサルである例について述べたが、収容部Saに収容される動物はサルに限定されない。例えば、飛行能力を持たない陸生動物、特に、作業員が開口部120から収容部Saへ入ったときに、開口部120の略対角の位置へ逃げる習性を持つ動物であれば、サルと同様の手順で捕獲することが可能である。
【0052】
また、本実施形態では、収容部Saに収容される動物の習性を利用して、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に動物を誘導する例について述べたが、可動フェンス40を動かす作業員とは別の作業員が、当該動物が興味を持つ物、食べ物、音、又は光等を利用して、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に当該動物を誘導してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、作業員が収容部Saに入って可動フェンス40を収納及び展開させる例について述べたが、可動フェンス40に接続されたロープ又はチェーン等を、作業員が収容部Saの外部から操作することで、可動フェンス40の収納及び展開が行われてもよい。
【0054】
(実施形態1の変形例1)
前述した第1の実施形態では、動物収容ケージ1に開口部及び開閉扉が一組のみ設けられる例について述べた。本変形例では、動物収容ケージ1に開口部及び開閉扉が複数組設けられる例について述べる。
【0055】
図8は、本変形例における動物収容ケージ1の概略構成を示す斜視透視図である。図9は、本実施形態における動物収容ケージ1の平面図である。本変形例における動物収容ケージ1は、正面壁部12に設けられる開口部120及び開閉扉121に加え、右側壁部11に設けられる開口部111及び開閉扉112を備えて構成される。
【0056】
図8及び図9に示す例では、開口部111は、右側壁部11のうち、Y軸方向における背面壁部10の近傍の部位に設けられる。すなわち、右側壁部11のうち、該右側壁部11の内壁面と背面壁部10の内壁面との境界となる角部(支柱110)に近接した部位に
、開口部111が設けられる。開口部111の大きさは、収容部Saに収容される動物の通り抜けが可能であれば任意に決定されてよい。一例では、開口部111の大きさは、収容対象とする動物の大きさや習性等に応じて適宜決定されてよい。
【0057】
開閉扉112は、開口部111を開閉するための扉である。一例では、開閉扉112は、図9に示すように、平面視で、収容部Saの外部へ向けて時計回りに外開きする開き戸で構成される。なお、開閉扉112の構成は、図9に例示した構成に限定されず、収容部Saに収容される動物の習性等に応じて適宜変更することができる。例えば、開閉扉112は、平面視で、収容部Saの外部へ向けて反時計回りに外開きする開き戸で構成されてもよい。また、開閉扉112は、Y軸方向又はZ軸方向にスライドすることで、開口部111を開閉する、引き戸で構成されてもよい。
【0058】
本変形例によれば、収容部Saに収容されている動物を可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に囲い込んだ後に、収容部Saの外部(動物収容ケージ1の外部)にいる作業員が、開閉扉112を開いて、囲い込まれた動物を捕獲することができる。つまり、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に囲い込まれた動物を、動物収容ケージ1の外部から容易に捕獲及び取り出すことが可能になる。
【0059】
また、上記した開口部111及び開閉扉112を備える動物収容ケージ1によれば、該動物収容ケージ1を複数連結して使用する際の利便性を向上させることもできる。図11は、動物収容ケージ1を複数連結して使用する例を示す図である。
【0060】
図11に示す例では、隣接する2つの動物収容ケージ1が長手方向(X軸方向)に連結される。その場合、一方の動物収容ケージ1(図11中の上側に位置する動物収容ケージ1)の右側壁部11が、他方の動物収容ケージ1(図11中の下側に位置する動物収容ケージ1)の左側壁部を兼ねるように、複数の動物収容ケージ1が連結されてもよい。すなわち、他方の動物収容ケージ1が、左側側面が開口するように構成されてもよい。なお、他方の動物収容ケージ1に左側壁部13を設けたまま連結する場合は、当該左側壁部13のうち、一方の動物収容ケージ1の開口部111に対応する部位に開口部が設けられてもよい。
【0061】
図11に示す態様で複数の動物収容ケージ1を連結した場合、隣接する2つの動物収容ケージ1間において、開口部111を通じて、動物を移動させることも可能になる。これにより、試験内容に応じた動物の移動がし易くなったり、動物収容ケージ1内の収容部Saを清潔に保ち易くなったり等の効果を得ることができる。
【0062】
(実施形態1の変形例2)
前述した第1の実施形態では、正面壁部12における左側壁部13に近接した部位に、開口部120及び開閉扉121が設けられる例について述べた。本変形例では、正面壁部12における右側壁部11に近接した部位に、開口部120及び開閉扉121が設けられる例について述べる。
【0063】
図11は、本変形例における動物収容ケージ1の平面図である。本変形例における開口部120及び開閉扉121は、図11に示すように、正面壁部12のうち、X軸方向における右側壁部11に近接した部位に設けられる。すなわち、正面壁部12のうち、該正面壁部12の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部に近接した位置に、開口部120が設けられる。この場合、開閉扉121は、図11に示すように、平面視で、収容部Saへ向けて反時計回りに内開きするように構成される。
【0064】
本変形例における可動フェンス40は、背面壁部10の内壁面と左側壁部13の内壁面
との境界となる角部に設置される支柱130に、枢支される。なお、支柱130は、動物収容ケージ1の骨格を担う部材でもよく、又は、可動フェンス40の支持を専任する部材でもよい。支柱130に対する可動フェンス40の取付けは、前述した第1の実施形態と同様に、複数のヒンジを介して行われる。これにより、本変形例の可動フェンス40は、背面壁部10の内壁面に重なる位置(図11中の一点鎖線で示す第1の位置)と左側壁部13の内壁面(収容部Saの左側面を画成する壁面)と重なる位置(図11中の二点鎖線で示す第2の位置)との間を枢動自在となる。なお、本変形例においては、背面壁部10の内壁面が本発明に係る第1の面部材に相当し、左側壁部13の内壁面が本発明に係る第2の面部材に相当する。
【0065】
本変形例によれば、正面壁部12における右側壁部11に近接した位置に開口部120及び開閉扉121が配置される場合であっても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、収容部Saに収容されている動物を、可動フェンス40と左側壁部13の内壁面との間に囲い込んで捕獲することができる。よって、本変形例における動物収容ケージ1は、前述した第1の実施形態と同様に、飛行能力を持たない陸生動物、特に、作業員が開口部120から収容部Saへ入ったときに、開口部120の略対角の位置へ逃げる習性を持つ動物の収容に適している。
【0066】
なお、前述の第1の実施形態で述べた構成と本変形例で述べた構成との何れを採用するかは、動物収容ケージ1が載置される環境等に応じて決定されてもよい。
【0067】
また、本変形例における動物収容ケージ1の左側壁部13には、前述した第1の実施形態の変形例1で説明した右側壁部11と同様の開口部及び開閉扉が設けられてもよい。
【0068】
(実施形態1の変形例3)
前述した第1の実施形態では、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界に平行な枢軸(支柱110)周りに可動フェンス40が枢動する例について述べた。本変形例では、天井部20の天井面(収容部Saの天面を画成する面)と右側壁部11の内壁面(収容部Saの右側面を画成する壁面)との境界に平行な枢軸周りに可動フェンス40が枢動する例について述べる。
【0069】
図12は、本変形例における動物収容ケージ1の垂直断面を、Y軸方向の正面壁部12側から背面壁部10側へ向かって見た図である。本変形例における動物収容ケージ1では、可動フェンス40が、支柱210に枢支される。支柱210は、天井部20の天井面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部に設置される。支柱210は、動物収容ケージ1の骨格を担う部材でもよく、又は、動物収容ケージ1の支持を専任する部材でもよい。支柱210に対する可動フェンス40の取付けは、前述した第1の実施形態と同様に、複数のヒンジを介して行われる。また、本変形例における天井部20には、可動フェンス40を第1の位置に固定するためのロック機構が設置されてもよい。ロック機構は、作業者が手動でロック及びロック解除を行うことができるものであれば、特定の構成に限定されない。
【0070】
図12に示したように構成される動物収容ケージ1においては、可動フェンス40が、天井部20の天井面に重なる位置(図12中の一点鎖線で示す第1の位置)と右側壁部11の内壁面と重なる位置(図12中の二点鎖線で示す第2の位置)との間を枢動する。なお、本変形例においては、天井部20の天井面が本発明に係る第1の面部材に相当し、右側壁部11の内壁面が本発明に係る第2の面部材に相当する。
【0071】
本変形例に係る動物収容ケージ1の収容部Saに収容されている動物を捕獲する場合は、作業員が、可動フェンス40を第1の位置から第2の位置へ向けて枢動させればよい。
これにより、収容部Saに収容されている動物を、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に囲い込んで捕獲することができる。よって、本変形例に係る動物収容ケージ1は、飛行能力を持つ陸生動物、低所から高所へ向かって逃避する習性を持つ陸生動物、又は、水生動物を収容する場合に適している。
【0072】
また、水生動物が収容部Saに収容される場合には、動物収容ケージ1を水中に載置することになるが、可動フェンス40に隙間が形成されていることで、可動フェンス40を枢動させる際の抵抗を小さく抑えることもできる。なお、動物収容ケージ1を水中に載置する場合には、可動フェンス40に接続されたロープ又はチェーン等を、作業員が収容部Saの外部から操作することで、可動フェンス40の収納及び展開が行われてもよい。
【0073】
また、天井部20の天井面に重なる位置と右側壁部11の内壁面と重なる位置との間を枢動可能な可動フェンス40については、右側壁部11の内壁面と重なる位置を第1の位置とし、且つ、天井部20の天井面と重なる位置を第2の位置とすることもできる。すなわち、収容部Saに収容されている動物を捕獲する場合に、作業員が、右側壁部11の内壁面と重なる位置から天井部20の天井面と重なる位置へ向けて可動フェンス40を枢動させることもできる。収容部Saに収容されている動物を捕獲する際に、可動フェンス40を天井部20側から右側壁部11側へ向けて枢動させるか、又は、可動フェンス40を右側壁部11側から天井部20側へ枢動させるかは、収容部Saに収容される動物の習性等に応じて適宜変更されればよい。なお、直方体形状を有する収容部Saの大きさは、当業者が適宜調整して設計することが可能であるが、天井部20の大きさと右側壁部11の大きさとの差が小さくなるように設計されてもよい。これにより、可動フェンス40を天井部20側から右側壁部11側へ枢動させる場合、及び、可動フェンスを右側壁部11側から天井部20側へ枢動させる場合の何れにおいても、効率よく動物を囲い込むことが可能となる。
【0074】
また、本変形例では、開口部120及び開閉扉121が、前述の第1の実施形態と同様に、正面壁部12における左側壁部13に近接した位置に配置される場合の構成を例示した。これに対し、開口部120及び開閉扉121が、前述した第1の実施形態の変形例2と同様に、正面壁部12における右側壁部11に近接した位置に配置される場合にも適用可能である。その場合には、可動フェンス40が、天井部20の天井面と左側壁部13の内壁面との境界に平行な枢軸周りに枢動するように、設置されればよい。
【0075】
また、本変形例における動物収容ケージ1の天井部20又は右側壁部11には、前述した第1の実施形態の変形例1で説明した右側壁部11と同様の開口部及び開閉扉が設けられてもよい。
【0076】
(実施形態1の変形例4)
前述した第1の実施形態では、可動フェンス40の枢軸(支柱110)が、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部に配置される例について述べた。本変形例では、可動フェンス40が、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部からオフセットした位置に枢支される例について述べる。
【0077】
図13は、本変形例における動物収容ケージ1の平面図である。本変形例における動物収容ケージ1では、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部からX軸方向における左側壁部13側へオフセットした位置に、Z軸方向に延在する支柱300が設置される。本変形例における可動フェンス40は、支柱300に枢支される。支柱300に対する可動フェンス40の取付けは、前述した第1の実施形態における支柱110に対する可動フェンス40の取付けと同様に、複数のヒンジを介して行われる。なお、支柱300は、動物収容ケージ1の骨格を担う部材でもよく、又は、可動フェンス40
の支持を専任する部材でもよい。
【0078】
図13に示すように構成される動物収容ケージ1においては、可動フェンス40が、背面壁部10の内壁面に重なる位置(図13中の一点鎖線で示す第1の位置)と右側壁部11の内壁面と平行になる位置(図13中の二点鎖線で示す第2の位置)との間を枢動する。これにより、可動フェンス40が第2の位置にあるときには、可動フェンス40と右側壁部11の内壁面との間に、間隙(図13中のG1)が形成されることになる。
【0079】
本変形例に係る動物収容ケージ1の収容部Saに収容されている動物を捕獲する場合に、作業員が、可動フェンス40を第1の位置から第2の位置へ向けて枢動させればよい。これにより、収容部Saに収容されている動物を、上記の間隙G1に囲い込んで捕獲することができる。よって、本変形例に係る動物収容ケージ1は、比較的大きな体格を有する動物を収容する場合に適している。
【0080】
なお、背面壁部10の内壁面と右側壁部11の内壁面との境界となる角部から支柱300までのオフセット量は、収容部Saに収容される動物の体格の大きさ等に応じて設定されればよい。
【0081】
また、本変形例における動物収容ケージ1の右側壁部11には、前述した第1の実施形態の変形例1で説明した右側壁部11と同様の開口部及び開閉扉が設けられてもよい。
【0082】
(実施形態1の変形例5)
前述した第1の実施形態及び変形例1-4では、本発明に係る第1の面部材と第2の面部材とが互い異なる面部材となる例について述べた。本変形例では、本発明に係る第1の面部材と第2の面部材とが同一の面部材となる例について述べる。
【0083】
図14は、本変形例における動物収容ケージ1の平面図である。本変形例における動物収容ケージ1では、平面視で、X軸方向における背面壁部10の中間部分に、可動フェンス40が枢支される。具体的には、平面視で、X軸方向における背面壁部10の中間部分に設置される支柱310に枢支される。その際、背面壁部10の内壁面における左側壁部13側の部分に重なる位置(図14中の一点鎖線で示す第1の位置)と、背面壁部10の内壁面における右側壁部11側の部分に重なる位置(図14中の二点鎖線で示す第2の位置)と、の間を可動フェンス40が枢動自在となるように、可動フェンス40が支柱310に取り付けられる。支柱310に対する可動フェンス40の取付け方法は、特に限定されず、第1の位置と第2の位置との間の180°CAの範囲を可動フェンス40が枢動することができる方法であればよい。なお、支柱310は、動物収容ケージ1の骨格を担う部材でもよく、又は、可動フェンス40の支持を専任する部材でもよい。
【0084】
図14に示すように構成される動物収容ケージ1において、収容部Saに収容されている動物を捕獲する場合には、作業員が、可動フェンス40を第1の位置から第2の位置へ向けて枢動させればよい。その際、作業員は、可動フェンス40の先端部が描く軌道に沿って移動すればよい。これにより、収容部Saに収容されている動物を、可動フェンス40と背面壁部10の内壁面における右側壁部11側の部分との間に誘導することができる。その結果、収容部Saに収容されている動物が、可動フェンス40と背面壁部10の内壁面における右側壁部11側の部分との間に囲い込まれる。よって、本変形例における動物収容ケージ1は、前述した第1の実施形態と同様に、飛行能力を持たない陸生動物、特に、作業員が開口部120から収容部Saへ入ったときに、開口部120の略対角の位置へ逃げる習性を持つ動物の収容に適している。
【0085】
なお、本変形例においては、背面壁部10の内壁面が、本発明に係る第1の面部材及び
第2の面部材に相当する。詳細には、背面壁部10の内壁面のうち、左側壁部13側の部分が本発明に係る第1の面部材に相当し、右側壁部11側の部分が本発明に係る第2の面部材に相当する。
【0086】
また、本変形例における動物収容ケージ1の背面壁部10には、前述した第1の実施形態の変形例1で説明した右側壁部11と同様の開口部及び開閉扉が設けられてもよい。
【0087】
<実施形態2>
次に、本発明に係る動物収容ケージの第2の実施形態について、図15図16に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0088】
前述した第1の実施形態では、可動フェンス40が、一枚の薄板状に形成される例について述べた。これに対し、本実施形態では、可動フェンス40が、2枚に分割された薄板状に形成される例について述べる。
【0089】
図15は、本実施形態における動物収容ケージ1の平面図である。本実施形態における可動フェンス40は、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とを含んで構成される。第1の可動フェンス44の一方の側端部は、支柱110周りに枢動自在な態様で、支柱110に取り付けられる。本実施形態では、第1の可動フェンス44は、背面壁部10の内壁面に重なる位置(図15中の一点鎖線で示す第1の位置)と右側壁部11の内壁面と重なる位置(図15中の二点鎖線で示す第2の位置)との間を枢動自在な態様で、支柱110に取り付けられる。支柱110に対する第1の可動フェンス44の取付けは、前述した第1の実施形態における可動フェンス40と同様に、ヒンジを介して行われる。
【0090】
第1の可動フェンス44の他方の側端部は、第2の可動フェンス45の一方の側端部と連結される。その際、第2の可動フェンス45が、第1の可動フェンス44に対して、支柱110と平行な枢軸周りに枢動する態様で、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが連結される。本実施形態では、平面視において、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが同一直線状に直列に並ぶ状態から、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが直角に屈曲した状態(第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが略L字型をなす状態)まで、第1の可動フェンス44に対して第2の可動フェンス45が枢動するように、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが連結される。例えば、第1の可動フェンス44の他方の側端と第2の可動フェンス45の一方の側端部とは、ヒンジを介して連結されてもよい。
【0091】
本実施形態における動物収容ケージ1の天井部20の天井面には、一対のガイドレール61-62が設けられる。ガイドレール61-62は、図15に示すように、平面視で、背面壁部10の直近から、Y軸方向における正面壁部12側へ向かって、X軸方向における右側壁部11側へ湾曲しつつ延在する円弧状に形成される。図15に示す例では、Y軸方向におけるガイドレール61-62の終端の位置は、背面壁部10と正面壁部12との中間よりも背面壁部10寄りに設定される。
【0092】
図16は、ガイドレール61-62の断面図である。本実施形態におけるガイドレール61-62は、図15に示すように、可動フェンス40の上端に取り付けられた吊り車420を案内するように構成される。また、本実施形態におけるガイドレール61-62の基端から終端までの長さ及び形状は、以下の「条件1」及び「条件2」を満たすように設定される。
条件1:第1の可動フェンス44が第1の位置にあるときに、平面視で、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが同一線上に直列に並ぶ。
条件2:第1の可動フェンス44が第2の位置にあるときに、平面視で、第1の可動フェンス44と第2の可動フェンス45とが略L字型をなす(第2の可動フェンス45が第1の可動フェンス44に対して略直角に屈曲する)。
【0093】
上記したように構成される動物収容ケージ1において、第1の可動フェンス44が第2の位置にあるときには、平面視で略L字型をなす可動フェンス40と背面壁部10の内壁面との間に間隙が形成される。よって、収容部Saに収容されている動物を捕獲する場合には、作業員が、第1の可動フェンス44を第1の位置から第2の位置へ向けて枢動させることで、収容部Saに収容されている動物を、上記の間隙に囲い込むことができる。このような動物収容ケージ1は、例えば、作業員が近づいたときに、狭いところへ逃げ込む習性を持つ動物の収容に適している。
【0094】
なお、本実施形態においては、第1の可動フェンス44が本発明に係る可動フェンスに相当し、第2の可動フェンス45が本発明に係る延長部に相当する。また、本実施形態においては、ガイドレール61-62と吊り車420との組合せが、本発明に係る案内部に相当する。
【0095】
また、本変形例における動物収容ケージ1の背面壁部10には、前述した第1の実施形態の変形例1で説明した右側壁部11と同様の開口部及び開閉扉が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1・・・動物収容ケージ、10・・・背面壁部、11・・・右側壁部、12・・・正面壁部、13・・・左側壁部、20・・・天井部、21・・・底面部、40・・・可動フェンス、41・・・外枠、42・・・内枠、43・・・金網、44・・・第1の可動フェンス、45・・・第2の可動フェンス、50・・・ヒンジ、61・・・ガイドレール、62・・・ガイドレール、110・・・支柱、111・・・開口部、112・・・開閉扉、120・・・開口部、121・・・開閉扉、130・・・支柱、210・・・支柱、300・・・支柱、310・・・支柱、420・・・吊り車、Sa・・・収容部
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