IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シナプティクス インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-152892入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法
<>
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図1A
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図1B
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図2A
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図2B
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図3
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図4
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図5
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図6A
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図6B
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図7
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図8
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図9
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図10
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図11
  • 特開-入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152892
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】入力表示装置における近接検知を制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20231010BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231010BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231010BHJP
   G06F 3/041 20060101ALN20231010BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 611A
G09G3/20 632A
G09G3/20 650J
G09G3/20 691D
G06F3/044 120
G06F3/041 580
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023050220
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】17/712,936
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】竹内 誠
(72)【発明者】
【氏名】畑山 博一
(72)【発明者】
【氏名】塩村 正明
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大亮
(72)【発明者】
【氏名】能登 隆行
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA07
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD12
5C080DD26
5C080EE21
5C080EE28
5C080GG10
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK50
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB28
5C380BA03
5C380BA08
5C380BA21
5C380BB01
5C380BB11
5C380CA12
5C380CE20
5C380CF62
5C380CF66
5C380DA23
5C380DA58
5C380EA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像表示の設定に依存して近接検知を動的に制御することによって、近接検知性能を向上する。
【解決手段】表示ドライバが、ドライバ回路と検知コントローラとを備えている。ドライバ回路は、表示情報に従って表示パネルを駆動するように構成されている。表示パネルは、検知領域を規定する。検知コントローラインターフェース回路は、出力垂直同期信号を近接検知コントローラに送信するように構成されている。近接検知コントローラは、検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成されている。出力垂直同期信号は、出力垂直同期信号に表示情報をエンコードすることを含んでいる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域を規定する表示パネルを表示情報に従って駆動するように構成されたドライバ回路と、
前記検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成された近接検知コントローラに、出力垂直同期信号を送信するように構成された検知コントローラインターフェース回路と、
を備え、
前記出力垂直同期信号が、エンコードされた表示情報を含んでいる、
表示ドライバ。
【請求項2】
前記表示情報が、
前記表示パネルに表示されるべき画像に対応する画像データ、
表示フレームレート、
水平同期信号の周波数、及び、
前記表示ドライバの表示モード
からなる群から選択された少なくとも一に基づいている
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項3】
前記表示情報が、前記表示ドライバの表示モードを含んでおり、
前記表示ドライバが、更に、前記表示モードに少なくとも部分的に基づいて、前記表示パネルの第1表示エリアの第1表示フレームレートと前記表示パネルの第2表示エリアの第2表示フレームレートとを制御するように構成された制御回路を備える、
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項4】
前記エンコードされた表示情報が、前記出力垂直同期信号のパルス幅の形態にある、
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項5】
前記検知コントローラインターフェース回路が、更に、前記近接検知コントローラに出力水平同期信号を供給するように構成された
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項6】
前記出力垂直同期信号と前記出力水平同期信号とが、前記エンコードされた表示情報を含んでいる
請求項5に記載の表示ドライバ。
【請求項7】
検知領域を規定する表示パネルを表示情報に従って駆動するように構成された表示ドライバから出力垂直同期信号を受け取り、
前記出力垂直同期信号にエンコードされた前記表示情報を取り出すように構成された表示ドライバインターフェース回路と
前記検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成された近接検知回路と、
前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて前記近接検知回路の動作を制御するように構成された制御回路と、
を備える
近接検知コントローラ。
【請求項8】
前記近接検知回路の前記動作を制御することが、前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知報告レートを制御することを含む、
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項9】
前記近接検知回路の前記動作を制御することが、前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知周波数を制御することを含む、
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項10】
前記近接検知回路の前記動作を制御することが、前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて前記結果信号にノイズフィルタリングを適用することを含む、
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項11】
前記表示ドライバインターフェース回路が、更に、前記表示ドライバから出力水平同期信号を受け取るように構成されており、
前記出力垂直同期信号にエンコードされた前記表示情報を取り出すことが、前記出力垂直同期信号にエンコードされた前記表示情報のデータ桁を前記出力水平同期信号に同期してラッチすることを含む、
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項12】
前記出力垂直同期信号にエンコードされた前記表示情報を取り出すことが、
前記出力垂直同期信号のパルスの幅を特定することと、
前記出力垂直同期信号の前記パルスの前記幅に基づいて前記表示情報を取り出すことと、
を含む、
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項13】
前記表示情報が、
前記表示パネルに表示されるべき画像に対応する画像データ、
表示フレームレート、
水平同期信号の周波数、及び、
前記表示ドライバの表示モード
からなる群から選択された少なくとも一に基づいている
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項14】
前記近接検知回路の前記動作を制御することが、
前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて、前記表示パネルの、第1表示フレームレートを有する第1表示エリアを第1近接検知報告レートに調整することと、
前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて、前記表示パネルの第2表示エリアを第2近接検知報告レートに調整することと、
を含み、
前記第1表示エリアの第1表示リフレッシュレートが前記第2表示エリアの第2表示リフレッシュレートよりも高く、
前記第1近接検知報告レートが、前記第2近接検知報告レートよりも低い、
請求項7に記載の近接検知コントローラ。
【請求項15】
表示ドライバにより、検知領域を規定する表示パネルを表示情報に従って駆動することと、
出力垂直同期信号に前記表示情報をエンコードすることと、
前記検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成された近接検知コントローラに前記表示ドライバから前記出力垂直同期信号を送信することと、
前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて前記近接検知コントローラの動作を制御することと、
を含む
方法。
【請求項16】
前記表示情報が、
前記表示パネルに表示されるべき画像に対応する画像データ、
表示フレームレート、
水平同期信号の周波数、及び、
前記表示ドライバの表示モード
からなる群から選択された少なくとも一に基づいている
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記近接検知コントローラの前記動作を制御することが、
前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知報告レートを制御することを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記近接検知コントローラの前記動作を制御することが、
前記表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知周波数を制御することを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記表示ドライバから前記近接検知コントローラに出力水平同期信号を送信することを更に含み、
前記近接検知コントローラの前記動作を制御することが、前記出力水平同期信号に同期して前記出力垂直同期信号にエンコードされた前記表示情報のデータをラッチすることを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記近接検知コントローラの前記動作を制御することが、
前記出力垂直同期信号のパルスの幅を特定することと、
前記出力垂直同期信号の前記パルスの前記幅に基づいて前記表示情報を取り出すことと、
を含む、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された技術は、全体として近接検知に関しており、より具体的には、入力表示装置における近接検知の制御又は調整に関している。
【背景技術】
【0002】
画像表示と近接検知との両方に対応した入力表示装置は、電子システムのユーザインターフェースとして広く用いられている。入力表示装置は、表示パネルと、該表示パネルの近くに設けられた、又は、表示パネルに集積化されたセンサー電極のアレイとを備えることがある。入力表示装置は、更に、画像データに基づいて表示パネルを更新するように構成された表示ドライバと、センサー電極から受け取った結果信号に基づいて表示パネル上に又は表示パネルに近接して位置する一以上の入力物体を検知するように構成された近接検知コントローラとを備えることがある。
【0003】
近接検知性能を向上するためには、状況に依存して近接検知を動的に制御又は調整すれば有利であろう。近接検知の制御は、限定されないが、近接検知周波数、近接検知報告レート、及び/又は、アナログ/デジタル信号処理(例えば、フィルタリング及びベースライン設定)の調整を含むことがある。近接検知を動的に制御するための向上されたアーキテクチャを提供するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本要約は、発明を実施するための形態において下記に更に説明する概念の選択を簡潔な形態で紹介するために提供されている。本要約は、請求された主題の主要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図しておらず、請求された主題の技術的範囲を限定することも意図していない。
【0005】
一以上の実施形態において、表示ドライバが提供される。表示ドライバは、ドライバ回路と検知コントローラとを備えている。ドライバ回路は、表示情報に従って表示パネルを駆動するように構成されている。表示パネルは検知領域を規定する。検知コントローラインターフェース回路は、近接検知コントローラに出力垂直同期信号を送信するように構成されている。近接検知コントローラは、検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成されている。出力垂直同期信号は、その内部にエンコードされた表示情報を含んでいる。
【0006】
一以上の実施形態において、近接検知コントローラが提供される。近接検知コントローラは、表示ドライバインターフェース回路と近接検知回路と制御回路とを備えている。表示ドライバインターフェース回路は、表示情報に従って表示パネルを駆動するように構成された表示ドライバから出力垂直同期信号を受け取るように構成されている。表示パネルは検知領域を規定している。表示ドライバインターフェース回路は、更に、出力垂直同期信号にエンコードされた表示情報を取り出すように構成されている。近接検知回路は、検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成されている。制御回路は、表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知回路の動作を制御するように構成されている。
【0007】
一以上の実施形態において、入力表示装置を動作させるための方法が提供される。該方法は、表示ドライバにより、表示情報に従って表示パネルを駆動することを含んでいる。表示パネルは検知領域を規定する。該方法は、更に、表示情報を出力垂直同期信号にエンコードすることを含んでいる。該方法は、更に、表示ドライバから近接検知コントローラに該出力垂直同期信号を送信することを含んでいる。近接検知コントローラは、検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成されている。該方法は、更に、表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知コントローラの動作を制御することを含んでいる。
【0008】
実施形態の他の態様は、下記の記載及び添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の上記された特徴が詳細に理解可能なように、上記に簡潔に要約されている本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照してなされることがある。実施形態のうちのいくつかは添付図面に図示されている。しかしながら、添付図面は、例示的な実施形態を図示しているにすぎず、本開示は他の同様に有効な実施形態を認めているのであるから、発明の範囲を限定していると考えるべきでないことに留意すべきである。
【0010】
図1A図1Aは、一以上の実施形態による、入力表示装置の例示的な構成を図示している。
【0011】
図1B図1Bは、一以上の実施形態による、表示パネルと近接検知パネルの例示的な側面図を図示している。
【0012】
図2A図2Aは、一以上の実施形態による、表示パネルと表示ドライバの例示的な構成を図示している。
【0013】
図2B図2Bは、一以上の実施形態による、例示的な「水平ストライプパターン」を図示している。
【0014】
図3図3は、一以上の実施形態による、近接検知パネルと近接検知コントローラの例示的な構成を図示している。
【0015】
図4図4は、一以上の実施形態による、表示情報の出力垂直同期信号への例示的なエンコードを図示している。
【0016】
図5図5は、一以上の実施形態による、出力垂直同期信号の例示的なパルス列を図示している。
【0017】
図6A図6Aは、一以上の実施形態による、表示情報の出力垂直同期信号への例示的なエンコードを図示している。
図6B図6Bは、一以上の実施形態による、表示情報の出力垂直同期信号への例示的なエンコードを図示している。
【0018】
図7図7は、一以上の実施形態による、表示パネルの例示的な構成を図示している。
【0019】
図8図8は、一以上の実施形態による、2エリアモードにおける表示パネル上での例示的な画像表示を図示している。
【0020】
図9図9は、一以上の実施形態による、表示ドライバと近接検知コントローラの例示的な動作を図示している。
【0021】
図10図10は、一以上の実施形態による、表示ドライバと近接検知コントローラの例示的な動作を図示している。
【0022】
図11図11は、一以上の実施形態による、表示ドライバと近接検知コントローラの例示的な動作を図示している。
【0023】
図12図12は、一以上の実施形態による、入力表示装置を動作させる例示的なステップを図示している。
【0024】
理解を容易にするために、可能であれば、図面に共通の同一の要素を指し示すために同一の参照符号が用いられている。一の実施形態に開示された要素は、特に記載しなくとも他の実施形態に有益に使用され得ることが予期されている。同一の要素を互いに区別するために、参照符号に添字が付されることがある。本明細書で参照する図面は、特に言及がない限り、寸法通りに描かれていると理解されるべきではない。また、提示及び説明の明確性のために、図面は、しばしば、詳細又は構成部品が省略されて簡単化される。図面及び議論は、以下に議論する原理を説明するために役立つものであり、類似の符号は類似の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記の発明を実施するための形態は、本質的に、単に例示的なものであり、本開示及び本開示の用途及び使用法について限定する意図はない。更に、前述した背景、要約又は下記の発明の詳細な説明において提示されている明示的な又は暗示的な理論によって拘束される意図もない。
【0026】
出願全体を通じ、序数(例えば、第1、第2、第3、等)は、要素(即ち、出願中の任意の名詞)の形容詞として使用されることがある。序数の使用は、例えば「前」、「後」、「単一の」その他の類似の用語の使用によって明記して開示されない限り、如何なる要素の特定の順序付けを暗喩し、又は生成するためのものではなく、如何なる要素も単一の要素しかないと限定するためのものでもない。むしろ、序数の使用は、要素を区別するためのものである。例えば、第1要素は第2要素と別のものであり、第1要素は、1つより多い要素を包含し得るものであるし、要素の順序付けにおいて第2要素の後に続く(又は先行する)こともある。
【0027】
画像表示と近接検知の両方に対応する入力表示装置は、しばしば、電子システムのユーザインターフェースとして使用される。電子システムという用語は、広く、電子的に情報を処理可能な任意のシステムをいう。電子システムの非限定的な例としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータのような全てのサイズ及び形状のパーソナルコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子図書リーダ及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)が挙げられる。他の例としては、ドライバーにユーザインターフェース能力を与えるように構成された車載ユーザインターフェースが挙げられる。
【0028】
入力表示装置は、該入力表示装置の検知領域における一以上の入力物体を検知する一方で表示パネルに画像を表示するように構成されることがある。表示パネルは、検知領域の少なくとも一の決定要素となることにより、検知領域を規定することがある。例えば、検知領域は、表示パネル上に、又は、表示パネルの近くに規定されることがある。検知領域の他の決定要素も存在し得る。入力表示装置は、画像データに基づいて表示パネルを駆動又は更新するように構成された表示ドライバと、表示パネルの近くに設けられ、又は、表示パネルに集積化されたセンサー電極のアレイを用いて一以上の入力物体を検出するように構成された近接検知コントローラとを備えることがある。近接検知コントローラは、センサー電極のアレイから受け取った結果信号に基づいて一以上の入力物体を検出するように構成されることがある。
【0029】
近接検知性能を向上するためには、状況に応じて近接検知が動的に制御又は調整されれば有利であろう。近接検知の調整は、限定されないが、近接検知報告レートの調整及び近接検知周波数の調整を含むことがある。近接検知報告レートは、近接検知の結果の報告(例えば、検知された入力物体の位置情報の報告)の単位時間当たりの回数に対応していることがある。近接検知周波数は、近接検知のために使用される電極に印加される検知信号の周波数に対応していることがある。センサー電極を変調してセンサー電極の絶対容量(又は自己容量)における変化を検出するように構成された絶対容量検知によって近接検知が実現される実施形態では、近接検知周波数が、センサー電極の変調周波数である場合がある。トランスミッタ電極を変調し、トランスミッタ電極とセンサー電極(「レシーバ電極」ともいう)の間のトランス容量(又は相互容量)における変化を検出するように構成されたトランス容量検知によって近接検知が実現される実施形態では、近接検知周波数は、トランスミッタ電極の変調周波数である場合がある。近接検知性能は、検知の正確性、線形性、ジッタ、レイテンシー、誤検知等の一以上として測定され得る。
【0030】
近接検知性能は、画像表示の設定に依存して近接検知を動的に制御することによって有効に向上され得る。画像表示の設定は、限定されないが、表示フレームレート、垂直/水平同期信号周波数、部分画像更新、及び、表示されるべき画像の内容を含むことがある。例えば、表示フレームレートに基づいて近接検知報告レートを制御することは、電力消費を向上し、及び/又は近接検知レイテンシーを最適化することがある。本開示は、一以上の画像表示の設定に依存して動的に近接検知を制御するための向上されたアーキテクチャを提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、入力表示装置が、表示ドライバと近接検知コントローラとを備えている。表示ドライバは、表示情報に従って表示パネルを駆動するように構成されている。表示パネルは、検知領域を規定している。表示ドライバは、更に、出力垂直同期信号を近接検知コントローラに送信するように構成されている。出力垂直同期信号は、エンコードされた表示情報を含んでいる。近接検知コントローラは、表示ドライバインターフェース回路と、近接検知回路と、制御回路とを備えている。近接検知コントローラは、表示ドライバから出力垂直同期信号を受け取り、出力垂直同期信号にエンコードされた表示情報を取り出すように構成されている。近接検知コントローラは、検知領域に設けられたセンサー電極から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成された近接検知回路を備えている。近接検知コントローラは、更に、表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知回路の動作を制御するように構成されている。近接検知コントローラに送信される出力垂直同期信号に表示情報をエンコードすることにより、近接検知コントローラは、表示ドライバと近接検知回路との間に設けられる信号線の数の増加を避けながら表示情報に基づいて近接検知回路の動作を動的に制御することができる。表示情報の出力垂直同期信号へのエンコードに基づくアーキテクチャは、低減されたハードウェアで近接検知の動的な調整を有効に可能にすることがある。以下では、本開示の様々な実施形態について詳細に説明する。
【0032】
図1Aは、一以上の実施形態による入力表示装置1000の例示的な構成を図示している。入力表示装置1000は、ユーザが電子システム(図示されない)と相互作用するためにユーザインターフェースを提供するように構成されることがある。図示された実施形態では、入力表示装置1000が、表示パネル100と表示ドライバ200と近接検知パネル300と近接検知コントローラ400とを備えている。いくつかの実施形態では、表示ドライバ200と近接検知コントローラ400とが、2つの別々の集積回路として実装され得る。他の実施形態では、表示ドライバ200と近接検知コントローラ400とが、一の集積回路(例えば、タッチ及び表示ドライバ集積(TDDI)回路)に集積化されることがある。表示ドライバ200は、ホスト500から画像データを受け取り、画像データに基づいて表示パネル100を駆動して画像データに対応する画像を表示するように構成されている。ホスト500の例としては、アプリケーションプロセッサ、中央演算装置(CPU)、特殊用途プロセッサ、及び他の種類のプロセッサが挙げられる。近接検知コントローラ400は、近接検知を実行し、近接検知パネル300から受け取った結果信号に基づいて一以上の入力物体を検出するように構成されている。本明細書において、近接検知は、接触検知(例えば、近接検知パネル300及び/又は表示パネル100への接触)を含む。入力物体の例としては、ユーザの指及びスタイラスが挙げられる。近接検知コントローラ400は、更に、検知した一以上の入力物体の位置情報を生成してホスト500に提供するように構成されている。
【0033】
一以上の実施形態において、表示ドライバ200による画像表示と近接検知コントローラ400による近接検知とを同期させるために、表示ドライバ200が、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTとを近接検知コントローラ400に送信するように構成される。出力垂直同期信号VSOUTは、表示ドライバ200の内部で生成されて表示フレーム期間(又は垂直同期期間)を規定する垂直同期信号に同期している。同様に、出力水平同期信号HSOUTは、表示ドライバ200の内部で生成されてライン期間(又は水平同期期間)を規定する水平同期信号に同期している。近接検知コントローラ400は、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTとを用いて近接検知のタイミングを制御するように構成されている。
【0034】
図1Bは、一以上の実施形態による、表示パネル100と近接検知パネル300との例示的な側面図を図示している。図示された実施形態では、表示パネル100が、近接検知コントローラ400が一以上の入力物体を検出するように構成された検知領域350を規定している。図示された実施形態では、検知領域350は、表示パネル100の近くに位置している。近接検知パネル300は、表示パネル100の上に又は近くに設けられ、検知領域350において一以上の入力物体を検知できるように表示パネル100に少なくとも部分的に重なっている。
【0035】
図2Aは、一以上の実施形態による、表示パネル100と表示ドライバ200の例示的な構成を図示している。表示パネル100は、ユーザに視覚的インターフェースを表示可能な如何なる種類の動的ディスプレイであってもよい。表示パネル100の例としては、有機発光ダイオード(OLED)表示パネル、マイクロ発光ダイオード(μLED)表示パネル及び液晶表示(LCD)パネルが挙げられる。図示された実施形態では、表示パネル100が、表示素子110、ゲート線120(スキャン線とも呼ばれる)、ソース線130(データ線とも呼ばれる)及びゲートスキャンドライバ140を備えている。各表示素子110は、OLED画素、μLED画素、LCD画素又は他の種類の画素を含んでいてもよい。各表示素子110は、対応するゲート線120及びソース線130に結合されている。ソース線130は垂直方向において表示パネル100を殆ど横断しているため、ソース線130が、相当な容量をそれぞれ有していることに留意されたい。表示パネル100の各表示素子110は、該表示素子110に結合されたゲート線120がアサートされたときに対応するソース線130に生成されているデータ電圧で更新又はプログラムされるように構成されている。
【0036】
ゲートスキャンドライバ140は、ゲート線120をスキャンして更新されるべき表示素子110の行を選択するように構成されている。選択された行の表示素子110が更新されるとき、ゲートスキャンドライバ140は、該選択された行の表示素子110に結合されたゲート線120をアサートする。図示された実施形態では、ゲートスキャンドライバ140は、表示ドライバ200から受け取ったゲート制御信号GOUTに応じてゲート線120をスキャンするように構成されている。ゲート制御信号GOUTは、限定されないが、ゲートスキャンスタートパルス信号とゲートスキャンクロックとを含むことがある。ゲート制御信号GOUTは、ゲート線120のスキャンの周波数(これは表示フレームレートに対応することがある)を制御するために使用されることがある。ゲート制御信号GOUTは、更に、スキャンされるべきゲート線120を選択するために使用されることがある。いくつかの実装では、表示パネル100の一部しかリフレッシュ又は更新されない。このような場合、ゲート制御信号GOUTは、スキャンされるべきゲート線120を指定するように生成されることがある。
【0037】
表示パネル100は、更に、表示技術に依存して他の構成要素及び信号線を含むことがある。例えば、OLED表示パネルが表示パネル100に用いられる実施形態では、表示パネル100が、表示素子110の発光を制御するエミッション線、エミッション線を駆動するエミッションスキャンドライバ、及び/又は、各表示素子110に電源電圧を分配する電源線を更に備えることがある。
【0038】
表示ドライバ200は、ホスト500から受け取った画像データに基づいて表示パネル100のソース線130を駆動するように構成されている。画像データは、表示パネル100に表示されるべき画像に対応している。画像データは、表示パネル100の各表示素子110の階調を含むことがある。表示ドライバ200は、ホスト500から受け取った画像データに基づいて各表示素子110のためのデータ電圧を生成し、生成したデータ電圧をソース線130を介して各表示素子110に供給するように構成される。
【0039】
図示された実施形態では、表示ドライバ200が、データインターフェース回路(I/F)210、画像処理回路220、ドライバ回路230、パネルインターフェース回路240、制御(CTRL)回路250及び検知コントローラインターフェース260を備えている。データインターフェース回路210は、ホスト500から画像データを受け取り、受け取った画像データを画像処理回路220に送るように構成されている。画像処理回路220は、画像データを処理し、処理後の画像データをドライバ回路230に供給するように構成されている。画像データの処理は、限定されないが、色調整、ムラ補正、画像拡大縮小、サブピクセルレンダリング、オーバーシュート駆動、ガンマ変換及び他の画像処理を含むことがある。ドライバ回路230は、処理後の画像データに少なくとも部分的に基づいて表示パネル100を駆動するように構成されている。パネルインターフェース(I/F)回路240は、制御回路250の制御の下、ゲートスキャンドライバ140を制御するゲート制御信号GOUTを生成するように構成されている。パネルインターフェース回路240は、更に、表示パネル100の他の構成要素(例えば、エミッション線及びエミッションスキャンドライバ)を制御する制御信号を生成するように構成されることがある。
【0040】
制御回路250は、表示ドライバ200の全体制御を行うように構成される。例えば、制御回路250は、画像処理回路220、ドライバ回路230及び表示ドライバ200内の(図示されない)他の回路のタイミング制御を提供するために垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync及びドットクロックDCLKを生成するように構成されることがある。垂直同期信号Vsyncが表示ドライバ200内で表示フレーム期間(又は垂直同期期間)を規定する一方で、水平同期信号Hsyncがライン期間(又は水平同期期間)を規定する。実装によっては、垂直同期信号Vsyncが各表示フレーム期間の開始時にアサートされ、水平同期信号Hsyncが各ライン期間の開始時にアサートされることがある。
【0041】
制御回路250は、更に、表示フレームレートを制御するように構成されることがある。表示フレームレートは、単位時間当たりに表示されるフレーム画像の数であることがあり、単位時間当たりに表示パネルをリフレッシュ又は更新する頻度に対応することがある。様々な実装において、制御回路250は、ゲート制御信号GOUTを生成するパネルインターフェース回路240を介してゲート線120のスキャンの頻度を調整することによって表示フレームレートを調整するように構成されることがある。制御回路250は、複数の表示フレームレート(例えば、24Hz、30Hz、60Hz及び120Hz)のうちから表示フレームレートを選択するように構成されることがある。表示フレームレートの調整は、ホスト500から受け取った指示に応じたものである場合がある。
【0042】
制御回路250は、更に、垂直同期信号Vsyncの周波数及び/又は水平同期信号Hsyncの周波数を制御するように構成されることがある。垂直同期信号Vsyncは、表示フレームレートに応じて調整されることがある。垂直同期信号Vsyncが水平同期信号Hsyncのアサートをカウントすることで生成される実施形態では、制御回路250は、水平同期信号Hsyncの周波数を調整することによって制御される垂直同期信号Vsyncの周波数を調整するように構成されることがある。
【0043】
制御回路250は、更に、表示ドライバ200の表示モードを制御するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、表示ドライバ200は、ゲームモード、通常モード、低電力表示モード、映画モードを含むがこれに限定されない、複数の表示モードを有するように構成される。一以上の実施形態では、表示フレームレートが表示モードに依存して変化し得る。例えば、制御回路250は、通常モードにおいて表示フレームレートを公称表示フレームレート(例えば、60Hz)に調整する一方で、ゲームモードでは表示フレームレートをより高い表示フレームモード(例えば、120Hz)に調整するように構成されることがある。制御回路250は、低電力表示モードにおいて表示フレームレートをより低い表示フレームレート(例えば、30Hz)に調整し、映画モードにおいては更に低い表示フレームレート(例えば、24Hz)に調整するように構成されることがある。
【0044】
様々な実施形態において、制御回路250は、表示パネル100がどのように駆動又は更新されるかを示す表示情報を生成するように構成される。ドライバ回路230が、表示情報に従って表示パネル100を駆動するように構成される一方で、パネルインターフェース回路240は、表示情報に従ってゲート制御信号GOUTを生成するように構成される。表示情報は、表示フレームレート(又は表示リフレッシュレート)、水平同期信号Hsyncの周波数、及び、表示モードのうちの少なくとも一つに基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、表示情報は、表示フレームレート、水平同期信号Hsyncの周波数、及び、表示モードのうちの少なくとも一つを示すように生成されることがある。
【0045】
制御回路250は、ホスト500から受け取った画像データに少なくとも部分的に基づいて表示情報を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、画像処理回路220は、画像データに基づいて表示パネル100に表示される画像における一以上の所定のパターンを検出し、制御回路250に該一以上の所定のパターンの検出を通知するように構成されることがある。制御回路250は、該一以上の所定のパターンの検出を示すように表示情報を生成するように構成されることがある。
【0046】
いくつかの実施形態では、検出されるべき一以上の所定のパターンが、「水平ストライプパターン」を含むことがある。図2Bは一以上の実施形態による、例示的な「水平ストライプパターン」を図示している。図示された実施形態では、ここでいう水平ストライプパターンが、両方が「水平」方向(即ち、ゲート線120が延伸する方向)に延伸し、「垂直」方向(即ち、ソース線130が延伸する方向)に交互に配置された一以上の明るいストライプ122と一以上の暗いストライプ124とを備えることがある。表示画像における水平ストライプパターンは、ソース線130における電圧レベルに大きな変化を生成することがあり、ソース線130と近接検知パネル300に設けられたセンサー電極の間の容量カップリングにより近接検知パネル300上への電磁干渉を不所望に増大させることがある。図2Bにおいては、関連するゲート線120及びソース線130も破線で図示されているが、ゲート線120及びソース線130に結合されている表示素子は、簡素化のために図示されていない。図示された実施形態では、各明るいストライプ122が、第1階調が指定された表示素子の行に対応しており、各暗いストライプ124が、第1階調よりも低い第2階調が指定された表示素子の行に対応している。ここでいう表示素子の「行」とは、同一のゲート線120に結合された表示素子である。いくつかの実施形態では、第1階調が最高階調であってもよく、第2階調が最低階調であってもよい。各明るいストライプ122が最高階調の表示素子の行に対応しており、各暗いストライプ124が最低階調の表示素子の行に対応している実施形態では、ソース線130に生成されるデータ電圧において発生し得る最大の変化が生じる。
【0047】
図2Aに戻り、検知コントローラインターフェース260は、出力垂直同期信号VSOUT及び出力水平同期信号HSOUTを生成して近接検知コントローラ400に供給するように構成されている。出力垂直同期信号VSOUTは、近接検知コントローラ400に各表示フレーム期間(又は各垂直同期期間)の開始を通知するように垂直同期信号Vsyncに同期している。出力垂直同期信号VSOUTは、垂直同期信号Vsyncのアサートに応じてアサートされてもよい。同様に、出力水平同期信号HSOUTは、近接検知コントローラ400に各ライン期間(又は各水平同期期間)の開始を通知するように水平同期信号Hsyncに同期している。出力水平同期信号HSOUTは、水平同期信号Hsyncのアサートに応じてアサートされてもよい。
【0048】
検知コントローラインターフェース260は、更に、制御回路250から表示情報を受け取り、近接検知コントローラ400に送信されるべき出力垂直同期信号VSOUTに該表示情報をエンコードするように構成されている。近接検知コントローラ400は、出力垂直同期信号VSOUTから表示情報を取り出し、取り出した表示情報に基づいて近接検知を調整して入力物体を検出するように構成されている。例えば、近接検知コントローラ400は、取り出した表示情報に基づいて近接検知周波数及び/又は近接検知報告レートを調整するように構成されてもよい。表示情報の出力垂直同期信号VSOUTへのエンコードと近接検知の調整の詳細については後に詳細に説明する。
【0049】
図3は、一以上の実施形態による、近接検知パネル300と近接検知コントローラ400の例示的な構成を図示している。図示された実施形態では、近接検知パネル300は、(図1Bに図示されているように)表示パネル100によって規定された検知領域350に設けられたセンサー電極310のアレイを含んでいる。センサー電極310は、検知領域350において一以上の入力物体を検出する近接検知のために使用される。図3には9つのセンサー電極310が図示されているが、当業者は、近接検知パネル300が、9つより多い又は少ないセンサー電極310を含み得ると理解するであろう。図3は、センサー電極310が矩形であることを図示しているが、センサー電極310は、例えば三角形、四角形、ひし形、六角形、又は他の適切な形状に形成されてもよい。
【0050】
他の実施形態では、近接検知のためのセンサー電極が、表示パネル100に集積化されてもよい。一の実装では、センサー電極は、表示パネル100の封止層の上に設けられてもよい。表示パネル100が(しばしばVCOMとして参照される)共通電圧が生成される共通電極(又は対向電極)のアレイを備えるLCDパネルである実施形態では、該共通電極がセンサー電極として使用されてもよい。
【0051】
近接検知コントローラ400は、近接検知回路410と表示ドライバインターフェース(I/F)420と制御回路430とを備えている。近接検知回路410は、センサー電極310から受け取った結果信号に基づいて一以上の入力物体を検知し、検知された一以上の入力物体の位置情報を生成するように構成されている。本明細書でいう「位置情報」は、絶対位置、相対位置、速度、加速度、及び、他の種類の空間情報を広く包含する。例示的な「0次元」位置情報としては、近い/遠い、又は、接触/非接触情報が挙げられる。例示的な「1次元」位置情報としては、ある軸に沿った位置が挙げられる。例示的な「2次元」位置情報としては、平面内の動きが挙げられる。例示的な「3次元」位置情報としては、空間における瞬間又は平均速度が挙げられる。更なる例としては、空間的情報の他の表現が挙げられる。例えば、位置、動き又は瞬時速度を時間に渡って追跡する履歴データを含む、一以上の種類の位置情報に関する履歴データも決定され、及び/又は、格納されてもよい。生成された位置情報は、ホスト500に送られる。
【0052】
一以上の実施形態において、近接検知回路410が、容量近接検知によって一以上の入力物体を検知するように構成される。容量近接検知の実装の中には、センサー電極310と入力物体の間の容量カップリングの変化に基づく「絶対容量」(しばしば、「自己容量」とも呼ばれる)検知法を用いるものがある。様々な実施形態において、センサー電極310の近くの入力物体は、センサー電極310の近くの電界を変化させ、これにより、容量カップリングを変化させる。センサー電極310から得られる結果信号は、容量カップリングの変化の効果を含んでいる。実装によっては、センサー電極310を参照電圧、例えば、システム接地に対して変調し、センサー電極310と入力物体の間の容量カップリングを検出することによって絶対容量検知法が作動するものがある。このような実装では、近接検知周波数がセンサー電極310の変調周波数に対応することがある。
【0053】
容量近接検知の実装の中には、(図示されない)トランスミッタ電極とレシーバ電極として使用されるセンサー電極310との間の容量カップリングにおける変化に基づく「トランス容量」(しばしば、「相互容量」ともいう)検知法を用いるものがある。様々な実施形態において、センサー電極310の近くの入力物体は、トランスミッタ電極とセンサー電極310の間の電界を変化させ、これにより、容量カップリングを変化させる。一の実装では、一以上のトランスミッタ電極と一以上のセンサー電極310との間の容量カップリングを検出することによってトランス容量検知法が作動する。カップリングは、システム接地に結合された入力物体がセンサー電極310に近づくと減少されることがある。トランスミッタ電極は、参照電圧、例えば、システム接地に対して変調されることがある。このような実施形態では、近接検知周波数がトランスミッタ電極の変調周波数に対応することがある。センサー電極310は、参照電圧に対して実質的に一定に保持されることがあり、また、結果信号の受信を容易にするためにトランスミッタ電極に対して変調されることがある。
【0054】
図示された実施形態では、近接検知回路410が、アナログフロントエンド(AFE)440とプロセッサ450とを備えている。AFE440は、センサー電極310から結果信号を受け取り、該結果信号を処理してデジタル容量データを生成するように構成されている。デジタル容量データは、センサー電極310の容量の情報を含んでいる。結果信号の処理は、アナログ信号フィルタリング及びアナログ-デジタル変換を含むことがある。絶対容量検知法が近接検知に使用される実施形態では、AFE440が、検知信号をセンサー電極310に供給するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、検知信号が定電圧信号であってもよい。他の実施形態では、検知信号が、システム接地に対して変調される電圧信号であってもよい。検知電圧は、正弦波電圧、三角波電圧及び台形波電圧のような周期的な電圧信号であってもよい。トランス容量検知法が近接検知に使用される実施形態では、AFE440が、更に、検知信号をトランスミッタ電極に供給するように構成されてもよい。
【0055】
プロセッサ450は、デジタル容量データを処理して、検知された該一以上の入力物体の位置情報を生成するように構成される。プロセッサ450の例としては、マイクロコントローラ装置(MCU)、中央演算装置(CPU)及びデジタル容量データを処理して位置情報を生成するように構成された他のプロセッサが挙げられる。プロセッサ450は、更に、位置情報をホスト500に供給するように構成される。ホスト500は、入力物体の位置情報に基づいて、表示パネル100に表示されるべきユーザインターフェース画像に対応する画像データを生成するように構成されることがある。
【0056】
デジタル容量データの処理は、センサー電極310への電磁干渉によるノイズを緩和し、又は、フィルタリングで除くように構成されたノイズフィルタリングを含んでいてもよい。ソース線130とセンサー電極310との間の容量カップリングは、表示パネル100の更新の間に表示ドライバ200がソース線130を駆動するときにセンサー電極310に電磁干渉を生じさせることがある。電磁干渉は、画像データ、即ち、表示パネル100に表示される画像に依存することがある。図2Bと関連して説明したように、水平ストライプパターンは、ソース線130上の電圧レベルに大きな変化を生じさせるので、電磁干渉は、表示される画像が水平ストライプパターンを含むときに特に厳しくなる場合がある。プロセッサ450は、水平ストライプパターンの検知に応じてセンサー電極310への電磁干渉の効果を緩和するためにデジタル容量データにノイズフィルタリングを動的に適用するように構成されてもよい。該デジタルフィルタリングは、プロセッサ450にファームウェア432に含まれるコードを実行させることによって実現されるファームウェア(FW)ベースのフィルタリングであってもよい。
【0057】
表示ドライバインターフェース回路420は、出力垂直同期信号VSOUT及び出力水平同期信号HSOUTを受け取り、出力垂直同期信号VSOUT及び出力水平同期信号HSOUTからそれぞれ、垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsyncを再生するように構成される。表示ドライバインターフェース回路420は、更に、再生された垂直同期信号Vsync及び再生された水平同期信号Hsyncを制御回路430に供給するように構成される。表示ドライバインターフェース回路420は、更に、出力垂直同期信号VSOUTにエンコードされた表示情報を取り出し、取り出した表示情報を制御回路430に供給するように構成される。制御回路430は、該表示情報をレジスタ回路434に格納するように構成されてもよい。
【0058】
制御回路430は、更に、表示情報に少なくとも部分的に基づいて近接検知回路410の動作を制御して近接検知回路410によって実行される近接検知を調整するように構成される。近接検知回路410の動作の制御の例としては、近接検知報告レートの調整、近接検知周波数の調整、及び/又は、デジタル容量データへのノイズフィルタリングの適用の指示が挙げられ得る。絶対容量検知法が使用される実施形態では、近接検知周波数は、センサー電極310に印加される検知信号の周波数に対応することがある。トランス容量検知法が使用される実施形態では、近接検知周波数は、トランスミッタ電極(図示されない)に印加されるトランスミッタ信号の周波数に対応することがある。
【0059】
本開示は、表示情報を出力垂直同期信号VSOUTへのエンコードすることが、一以上の画像表示設定に依存して近接検知を調整するために使用されるハードウェアを有効に低減することを認識している。ここでいう一以上の画像表示設定は、表示フレームレート、水平同期信号Hsyncの周波数、表示モード、表示されるべき画像における所定パターン(例えば、水平ストライプパターン)の包含を含むことがある。表示情報を出力垂直同期信号VSOUTにエンコードするアーキテクチャは、表示情報を表示ドライバ200から近接検知コントローラ400に送信するために追加の信号線を設ける必要を無くし、ハードウェアを低減する。
【0060】
図4は、一以上の実施形態による、表示情報の出力垂直同期信号VSOUTへの例示的なエンコードを図示している。図示された実施形態では、表示情報が、各表示フレーム期間の開始時に出力垂直同期信号VSOUTに現れるパルス列600の形態でエンコードされる。図4では、表示フレーム期間#1及び#2の開始を示す2つのパルス列600が図示されている。パルス列600が現れるタイミングは、表示ドライバ200において生成される垂直同期信号Vsyncのアサートと同期している。
【0061】
図5は、一以上の実施形態による、出力垂直同期信号VSOUTの例示的なパルス列600を図示している。出力垂直同期信号VSOUTは、まず、対応する表示フレーム期間の開始を指示するためにアサート(図5では、ハイレベルにプルアップ)され、その後、パルス列600の形態で表示情報をエンコードするように変調される。パルス列600は、表示情報の一以上のデータ桁を包含している。図5の実施形態では、パルス列600が、16のデータ桁#0~#15を包含している。パルス列600におけるデータ桁の数は16より少なくても多くてもよいことに留意されたい。各データ桁は、出力垂直同期信号VSOUTの電圧レベルによって表現され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、(図2Aに図示されている)表示ドライバ200の検知コントローラインターフェース260が、表示情報のデータ桁が出力水平同期信号HSOUTに同期して出力垂直同期信号VSOUTに現れるように出力垂直同期信号VSOUTを生成するように構成されている。図示された実施形態では、各データ桁が、出力水平同期信号HSOUTの前縁又は後縁パルスエッジに同期している。このような実施形態では、(図3に図示されている)近接検知コントローラ400の表示ドライバインターフェース回路420が、出力水平同期信号HSOUTをラッチクロック信号として用いて出力水平同期信号HSOUTに同期してデータ桁をラッチするように構成されてもよい。一の実装では、表示ドライバインターフェース回路420が、出力水平同期信号HSOUTの前縁及び後縁パルスエッジに同期してデータ桁をラッチするように構成される。
【0063】
図6A及び6Bは、他の実施形態による、表示情報の出力垂直同期信号VSOUTへの例示的なエンコードを図示している。図示された実施形態では、表示情報が、出力垂直同期信号VSOUT上に現れるパルスのパルス幅の形態でエンコードされる。図6Aは、パルス幅Wのパルスを図示しており、図6Bは、パルス幅Wのパルスを図示している。(図2Aに図示されている)表示ドライバ200の検知コントローラインターフェース260は、エンコードされるべき表示情報に基づいて出力垂直同期信号VSOUTのパルスのパルス幅を調整するように構成されてもよく、一方で、(図3に図示されている)近接検知コントローラ400の表示ドライバインターフェース回路420は、パルス幅を特定し、特定されたパルス幅に基づいて表示情報を取り出すように構成される。
【0064】
以下では、出力垂直同期信号VSOUTにエンコードされた表示情報に基づく近接検知の制御又は調整の詳細について説明する。
【0065】
一以上の実施形態では、表示情報が、表示されるべき画像における所定のパターンの検出を示すように生成され得る。検出されるべき所定のパターンの一つの例が、図2Bに関連して説明した「水平ストライプパターン」であってもよい。このような実施形態では、制御回路430が、所定パターンの検出に応じて近接検知周波数を調整するように構成されてもよい。絶対容量検知法が使用される実施形態では、近接検知周波数は、センサー電極310に印加される検知信号の周波数に対応することがある。トランス容量検知法が使用される実施形態では、近接検知周波数が、(図示されない)トランスミッタ電極に印加されるトランスミッタ信号の周波数に対応することがある。
【0066】
近接検知周波数は、表示パネル100を更新する間におけるセンサー電極310への電磁干渉の効果を緩和するように調整されることがある。該所定のパターン(例えば、図2Bに図示されている水平ストライプパターン)で画像を表示すると、ある周波数又はある周波数帯における電磁干渉が発生する場合がある。一の実装では、近接検知周波数が、電磁干渉が発生する周波数と異なる周波数、又は、電磁干渉が発生する周波数帯を外れた周波数に調整されることがある。
【0067】
加えて、又はそれに代えて、制御回路430は、所定のパターンの検知に応じてデジタル容量データにノイズフィルタリングを適用するようにプロセッサ450を指示するように構成されてもよい。ノイズフィルタリングは、センサー電極310への電磁干渉によって生じるノイズを緩和し、又はフィルタリングで除去するように行われてもよい。ノイズフィルタリングは、ファームウェア432に含まれるコードを実行することによって達成されることがあるファームウェアベースのノイズフィルタリングであってもよい。
【0068】
他の実施形態では、制御回路430が、近接検知周波数を調整することによって電磁干渉を十分に低減可能かを判断するように構成されてもよい。制御回路430は、近接検知周波数の調整によって電磁干渉を十分に低減可能であると判断した場合に近接検知周波数を調整するように更に構成されてもよい。制御回路430は、近接検知周波数の調整によっては電磁干渉を十分に低減できないと判断した場合、デジタル容量データにノイズフィルタリングを適用するようにプロセッサ450に指示するように更に構成されてもよい。
【0069】
一以上の実施形態では、表示情報が、水平同期信号Hsyncの周波数を示すように生成されてもよい。このような実施形態では、制御回路430が、水平同期信号Hsyncの周波数に基づいて近接検知周波数を調整するように構成されてもよい。表示パネル100の更新は、水平同期信号Hsyncの周波数における、又は、水平同期信号Hsyncの周波数の周辺の周波数帯におけるセンサー電極310への電磁干渉を発生させることがある。一の実装では、近接検知周波数が、水平同期信号Hsyncと十分に大きく異なる周波数に調整されてもよい。
【0070】
加えて、又は、それに代えて、制御回路430が、水平同期信号Hsyncの周波数に基づいてデジタル容量データにノイズフィルタリングを適用するようにプロセッサ450に指示するように構成されてもよい。ノイズフィルタリングは、センサー電極310への電磁干渉によって生じるノイズを緩和し、又は、フィルタリングによって除去するように実行されてもよい。ノイズフィルタリングは、ファームウェア432に含まれるコードを実行することによって達成されることがあるファームウェアベースのノイズフィルタリングであってもよい。
【0071】
他の実施形態では、制御回路430が、水平同期信号Hsyncの周波数における、又は、水平同期信号Hsyncの周波数の周辺の周波数帯における電磁干渉が、近接検知周波数を調整することで十分に低減可能かを判断するように構成されることがある。制御回路430は、更に、近接検知周波数の調整によって電磁干渉が十分に低減可能であると判断した場合に近接検知周波数を調整するように構成されてもよい。制御回路430は、更に、近接検知周波数を調整することによっては電磁干渉を十分に低減できないと判断した場合、デジタル容量データにノイズフィルタリングを適用するようにプロセッサ450に指示するように構成されてもよい。
【0072】
一以上の実施形態では、表示情報が、表示フレームレートを示すように生成されてもよい。このような実施形態では、制御回路430が、表示フレームレートに基づいて近接検知報告レートを調整するように構成されてもよい。表示フレームレートに基づいて近接検知報告レートを調整することにより、電力消費及び/又は近接検知レイテンシーの最適化が可能になる場合がある。いくつかの実施形態では、表示フレームレートが増大すると共に近接検知報告レートが増大するように近接検知報告レートが調整されてもよい。一の実装では、近接検知報告レートが、120Hzの表示フレームレート(これは、ゲームに適していることがある)については240Hzに調整され、60Hzの表示フレームレート(これは、公称の表示フレームレートである場合がある)については120Hzに調整され、30Hzの表示フレームレート(これは、低電力動作に使用されることがある)については60Hzに調整され、24Hzの表示フレームレート(これは、映画を再生するのに適している場合がある)については48Hzに調整されることがある。
【0073】
一以上の実施形態では、表示情報が、表示ドライバ200の表示モードを示すように生成されてもよい。このような実施形態では、制御回路430が、表示モードに基づいて近接検知報告レートを調整するように構成されてもよい。表示モードに基づいて近接検知報告レートを調整することにより、電力消費及び/又は近接検知レイテンシーの最適化が可能になる場合がある。いくつかの実施形態では、表示ドライバ200の表示モードが、ゲームモード、通常モード、低電力モード及び映画モードのうちの少なくとも2つを含むことがある。通常モードは、表示フレームレートが公称の表示フレームレート(例えば、60Hz)である表示モードである場合がある。ゲームモードは、ゲームをするのに適した表示モードである場合がある。ゲームモードでは、表示フレームレートが、公称の表示フレームレートよりも高く(例えば、120Hzに)設定されることがある。低電力モードは、電力消費が低減された表示モードである場合がある。低電力モードでは、表示フレームレートが、公称の表示フレームレートよりも低く(例えば、30Hzに)設定されることがある。映画モードは、映画を再生するために適した表示モードである場合がある。映画モードでは、表示フレームレートが映画を再生するために適するように(例えば、24Hzに)設定されることがある。いくつかの実施形態では、表示フレームレートが増大すると共に近接検知報告レートが増大するように近接検知報告レートが調整されてもよい。一の実装では、近接検知報告レートが、ゲームモードでは240Hzに、通常モードでは120Hzに、低電力モードでは60Hzに、そして、映画モードでは48Hzに調整されてもよい。
【0074】
図7は、一以上の実施形態による、符号100Aで示された表示パネルの他の例示的な構成を図示している。図示された実施形態では、表示パネル100Aが、上側表示エリア(又は第1表示エリア)150と下側表示エリア(又は第2表示エリア)160とを含んでいる。表示パネル100Aは、上側表示エリア150と下側表示エリア160との間の境界170において折り畳み可能であるように構成されている。いくつかの実施形態では、上側表示エリア150と下側表示エリア160との間の角度が調節可能であってもよい。
【0075】
図7に図示されている表示パネル100Aが使用される実施形態では、表示ドライバ200の表示モードが、上側表示エリア150と下側表示エリア160とが異なる態様で制御される2エリアモードを含んでいてもよい。2エリアモードでは、上側表示エリア150が、主コンテンツ(例えば、動画)をユーザに提示するために主に使用されてもよく、一方で、下側表示エリア160が、ユーザ入力を受け付けるためのユーザインターフェース画像を表示するために主に使用されてもよい。図7に図示されている実施形態では、上側表示エリア150にゲーム画像152が表示される一方で、十字キーアイコン162及びボタン164、166を含むことがあるユーザインターフェースアイコンが下側表示エリア160に表示される。表示ドライバ200は、2エリアモードにおいて、上側表示エリア150と下側表示エリア160とを異なる表示リフレッシュレートで更新するように構成されてもよい。ここでいう表示リフレッシュレートは、単位時間当たりの、対象の表示エリアにおける画像のリフレッシュ(又は更新)の回数に対応していることがある。ユーザ体験を向上するために、いくつかの実施形態では、主コンテンツが表示されることがある上側表示エリア150における表示リフレッシュレートが、ユーザインターフェース画像を表示するために使用されることがある下側表示エリア160における表示リフレッシュレートよりも高いことがある。
【0076】
図8は、図7の実施形態による、2エリアモードにおける表示パネル100Aへの例示的な画像表示を図示している。図示されている実施形態では、上側表示エリア150が各フレーム期間でリフレッシュ又は更新される一方で、下側表示エリア160は4フレーム期間毎にリフレッシュされる。いくつかの実施形態では、上側表示エリア150と下側表示エリア160の両方(即ち、表示パネル100Aの全体)が、「全リフレッシュフレーム期間」においてリフレッシュされる。全リフレッシュフレーム期間の後、上側表示エリア150のみがリフレッシュされる3つの「部分リフレッシュフレーム期間」が続く。全リフレッシュフレーム期間とそれに続く3つの部分リフレッシュフレーム期間のシーケンスが、以後、繰り返される。従って、上側表示エリア150の表示リフレッシュレートは、下側表示エリア160の表示リフレッシュレートの4倍である。全リフレッシュフレーム期間に続く部分リフレッシュフレーム期間の数は、3より多くても少なくともよいことに留意されたい。
【0077】
いくつかの実施形態では、近接検知コントローラ400が、2エリアモードにおいて、表示エリアに依存して近接検知報告レートを調整するように構成されることがある。アプリケーションの中には、上側表示エリア150が主コンテンツ(例えば、ゲーム画像)を表示するのに適した増大された表示リフレッシュレートでリフレッシュ(又は更新)される一方で、下側表示エリア160がユーザインターフェース画像を表示するのに適した低減された表示リフレッシュレートでリフレッシュ(又は更新)されるものがある。この場合、ユーザは上側表示エリア150に触れると考えにくいので、近接検知コントローラ400は、電力消費を低減するために、上側表示エリア150について低減された近接検知報告レートで近接検知を行うように構成されることがある。ユーザは下側表示エリア160を頻繁に触れることが期待されるので、近接検知コントローラ400は、更に、下側表示エリア160について、(上側表示エリア150の近接検知報告レートよりも高い)増大された近接検知報告レートで近接検知を行うように構成されてもよい。
【0078】
図9は、一以上の実施形態による、全リフレッシュフレーム期間と部分リフレッシュフレーム期間の間の表示ドライバ200と近接検知コントローラ400の例示的な動作を図示している。上側表示エリア150と下側表示エリア160の両方が、全リフレッシュフレーム期間の間にリフレッシュされる。一方、部分リフレッシュフレーム期間の間には、上側表示エリア150のみがリフレッシュされる。
【0079】
図示されている実施形態では、表示ドライバ200が、対象の表示エリアを示す表示情報を生成し、該表示情報を出力垂直同期信号VSOUTにエンコードするように構成される。図9の実施形態では、表示情報が、出力垂直同期信号VSOUTのパルス幅の形態でエンコードされる。一の実装では、パルス幅Wが上側表示エリア150が対象になることを示し、パルス幅Wが下側表示エリア160が対象になることを示す。近接検知コントローラ400は、出力垂直同期信号VSOUTに現れる各パルスのパルス幅を特定し、特定したパルス幅、即ち、対象の表示エリアを示す表示情報に基づいて近接検知報告レートを調整する。
【0080】
図示された実施形態では、各フレーム期間の間に、2つのパルス172、174が出力垂直同期信号VSOUTに現れる。パルス172は、各フレームの開始時に現れる。パルス172は、上側表示エリア150が対象になることを示すパルス幅Wを有している。表示ドライバ200は、パルス172が出力垂直同期信号VSOUTに現れた後に上側表示エリア150をリフレッシュ又は更新する。その間、近接検知コントローラ400は、パルス幅がWであると特定されたことに応じて、上側表示エリア150の近接検知報告レートを「低」レートに調整する。その後、パルス174が出力垂直同期信号VSOUTに現れる。パルス174は、下側表示エリア160が対象になることを示すパルス幅Wを有している。表示ドライバ200は、全リフレッシュフレーム期間において下側表示エリア160をリフレッシュし、部分リフレッシュフレーム期間において下側表示エリア160をリフレッシュしない。その間、近接検知コントローラ400は、パルス幅がWと特定されたことに応じて、下側表示エリア160の近接検知報告レートを「通常」レートに調整する。「低」レートは、「通常」レートよりも低い。上側表示エリア150の近接検知報告レートを「低」レートに調整することは、ユーザ体験を劣化させることなく電力消費を有効に低減させる。
【0081】
図10は、他の実施形態における、全リフレッシュフレーム期間及び部分リフレッシュフレーム期間の間の表示ドライバ200及び近接検知コントローラ400の例示的な動作を図示している。図示された実施形態では、出力垂直同期信号VSOUTにエンコードされた表示情報が対象の表示エリアを示し、更に、該対象の表示エリアがリフレッシュされるべきか否かを示している。図9の場合と同様に、表示情報がパルス幅の形態でエンコードされていることに留意されたい。一の実装では、パルス幅Wが、上側表示エリア150が対象になったことを示しており、パルス幅W及びWが、下側表示エリア160が対象になったことを示している。パルス幅Wは、更に、下側表示エリア160が現フレーム期間においてリフレッシュされるべきであることを示しており、パルス幅Wは、更に、下側表示エリア160が現フレーム期間においてリフレッシュされるべきでないことを示している。
【0082】
図示された実施形態では、2つのパルス176及び178が全リフレッシュフレーム期間の間に出力垂直同期信号VSOUTに現れる。パルス176は、全リフレッシュフレーム期間の開始時に現れる。パルス176は、上側表示エリア150が対象になったことを示すパルス幅Wを有している。表示ドライバ200は、パルス172が出力垂直同期信号VSOUTに現れた後に上側表示エリア150をリフレッシュ又は更新する。その一方で、近接検知コントローラ400は、パルス幅がWであると特定されたことに応じて上側表示エリア150の近接検知報告レートを「低」レートに調整する。その後、パルス178が出力垂直同期信号VSOUTに現れる。パルス178は、下側表示エリア160が現フレーム期間、即ち、全リフレッシュフレーム期間の間にリフレッシュされるべきであることを示すパルス幅Wを有している。表示ドライバ200は、パルス178が現れた後に下側表示エリア160をリフレッシュする。その一方で、近接検知コントローラ400は、パルス幅がWであると特定されたことに応じて下側表示エリア160の近接検知報告レートを「通常」レートに調整する。
【0083】
部分リフレッシュフレーム期間には、2つのパルス180及び182が出力垂直同期信号VSOUTに現れる。パルス180は、部分リフレッシュフレーム期間の開始時に現れる。パルス180は、上側表示エリア150が対象になったことを示すパルス幅Wを有している。表示ドライバ200は、パルス180が出力垂直同期信号VSOUTに現れた後に上側表示エリア150をリフレッシュ又は更新する。その一方で、近接検知コントローラ400は、パルス幅がWであると特定されたことに応じて上側表示エリア150の近接検知報告レートを「低」レートに調整する。その後、パルス182が出力垂直同期信号VSOUTに現れる。パルス182は、下側表示エリア160が対象となったが現フレーム期間(即ち、部分リフレッシュフレーム期間)の間にリフレッシュされるべきではないことを示すパルス幅Wを有している。近接検知コントローラ400は、パルス幅がWであると特定されたことに応じて下側表示エリア160の近接検知報告レートを「通常」レートに調整する。図10の動作は、追加的に、各フレーム期間について下側表示エリア160のリフレッシュの実行/不実行を制御することを可能にする。
【0084】
図11は、更に他の実施形態による、全リフレッシュフレーム期間及び部分リフレッシュフレーム期間の間の表示ドライバ200及び近接検知コントローラ400の例示的な動作を図示している。いくつかの実施形態では、表示情報が、出力垂直同期信号VSOUT及び出力水平同期信号HSOUTにエンコードされ得る。図示された実施形態では、表示情報が、出力垂直同期信号VSOUT及び出力水平同期信号HSOUTの電圧レベル(又は値)の組み合わせの形態でエンコードされる。ハイレベル(又は値“1”)の出力垂直同期信号VSOUTとハイレベルの出力水平同期信号HSOUTの組み合わせは、上側表示エリア150が対象になったことを示す。ハイレベルの出力垂直同期信号VSOUTとローレベルの出力水平同期信号HSOUTの組み合わせは、下側表示エリア160が対象であり、リフレッシュされるべきであるようになったことを示している。ローレベル(又は値“0”)の出力垂直同期信号VSOUTとハイレベルの出力水平同期信号HSOUTの組み合わせは、下側表示エリア160が対象であるが、リフレッシュされるべきでないようになったことを示している。
【0085】
図示された実施形態では、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTとが、全リフレッシュフレーム期間の開始時に所定の継続時間の間、ハイレベルにプルアップされる。出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTのプルアップは、上側表示エリア150が対象になったことを示しているので、表示ドライバ200は、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTのプルアップに応じて上側表示エリア150をリフレッシュ又は更新する。その一方で、近接検知コントローラ400は、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTとがハイレベルにプルアップされたことに応じて上側表示エリア150の近接検知報告レートを「低」レートに調整する。
【0086】
上側表示エリア150のリフレッシュの完了の前に、出力水平同期信号HSOUTがローレベルに保持された状態で出力垂直同期信号VSOUTがハイレベルにプルアップされる。表示ドライバ200は、出力垂直同期信号VSOUTのプルアップの後、下側表示エリア160をリフレッシュする。その一方で、近接検知コントローラ400は、出力水平同期信号HSOUTがローレベルに保持された状態で出力垂直同期信号VSOUTがハイレベルに設定されたことに応じて下側表示エリア160の近接検知報告レートを「通常」レートに調整する。
【0087】
全リフレッシュフレーム期間に続く部分リフレッシュフレーム期間の開始時に、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTとが、所定の継続時間の間、ハイレベルにプルアップされる。出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTのプルアップは、上側表示エリア150が対象になったことを示しているので、表示ドライバ200は、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTのプルアップに応じて上側表示エリア150をリフレッシュ又は更新する。その一方で、近接検知コントローラ400は、出力垂直同期信号VSOUTと出力水平同期信号HSOUTがハイレベルにプルアップされたことに応じて上側表示エリア150の近接検知報告レートを「低」レートに調整する。
【0088】
上側表示エリア150のリフレッシュの完了の前に、出力垂直同期信号VSOUTがローレベルに保持された状態で出力水平同期信号HSOUTがハイレベルにプルアップされる。表示ドライバ200は、出力水平同期信号HSOUTのプルアップの後では下側表示エリア160をリフレッシュしない。その一方で、近接検知コントローラ400は、出力垂直同期信号VSOUTがローレベルに保持された状態で出力水平同期信号HSOUTがハイレベルに設定されたことに応じて下側表示エリア160の近接検知報告レートを「通常」レートに調整する。図11に図示されている実施形態も、近接検知コントローラ400が表示エリア及び/又はリフレッシュの実行の有無に依存して近接検知報告レートを調整することを可能にする。
【0089】
図12の方法は、一以上の実施形態による、入力表示装置(例えば、図1A図2A及び図3に図示されている入力表示装置)を動作する例示的なステップを図示している。図12に図示されている一以上のステップが、省略され、繰り返され、及び/又は、異なる順序で実行され得ることに留意されたい。更に、2以上のステップが同時に実施され得ることに留意されたい。
【0090】
方法1200は、ステップ1202において、表示ドライバ(例えば、図1A及び2Aの表示ドライバ200)により、表示パネル(例えば、図1A、1B及び2Aの表示パネル100)を表示情報に従って駆動することを含む。表示パネルは、検知領域(例えば、図1Bの検知領域350)を規定する。方法1200は、更に、ステップ1204において、出力垂直同期信号(例えば、図1A、2A及び3の出力垂直同期信号VSOUT)に表示情報をエンコードすることを含む。方法1200は、更に、ステップ1206において、出力垂直同期信号を表示ドライバから近接検知コントローラ(例えば、図1A及び3の近接検知コントローラ400)に送信することを備えている。ここで、近接検知コントローラは、検知領域に設けられたセンサー電極(例えば、図3のセンサー電極310)から受け取った結果信号に少なくとも部分的に基づいて入力物体の位置情報を生成するように構成されている。方法1200は、更に、ステップ1208において、表示情報に少なくとも部分的に基づいて、近接検知コントローラの動作を制御することを含んでいる。
【0091】
多くの実施形態を説明したが、本開示に利益がある当業者は、技術的範囲を逸脱しない他の実施形態を考案可能であると評価するであろう。従って、本発明の技術的範囲は、添付のクレームのみによってのみ限定されるべきである。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】