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特開2023-152907災害時行動支援システム、災害時行動支援デバイス、災害時情報解析プログラム及び災害時情報収集プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152907
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】災害時行動支援システム、災害時行動支援デバイス、災害時情報解析プログラム及び災害時情報収集プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20231005BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G08B27/00 Z
G08B21/10
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051386
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2022060525
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513190830
【氏名又は名称】Fairy Devices株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直樹
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA11
5C086CA09
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA37
5C087BB20
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD02
5C087DD04
5C087DD27
5C087EE08
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能な災害時行動支援システム、災害時行動支援デバイス、災害時情報解析プログラム及び災害時情報収集プログラムを提供する。
【解決手段】制御部を有する災害時行動支援システムであって、前記制御部は、災害情報を取得するとともに、現場作業者が携帯するデバイスから位置情報と前記現場作業者の周囲情報とを取得し、前記災害情報、前記位置情報、前記現場作業者の周囲情報に基づき、災害対応指示を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、
災害情報を取得するとともに、現場作業者が携帯するデバイスから位置情報と前記現場作業者の周囲情報とを取得し、
前記災害情報、前記位置情報、前記現場作業者の周囲情報に基づき、災害対応指示を生成する、
災害時行動支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記現場作業者の周囲情報として取得される、音声情報及び画像情報のいずれか一方または両方に応じて、生成した前記災害対応指示を変更する、請求項1に記載の災害時行動支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、更に、
外部システムから取得される気象情報に応じて、生成した前記災害対応指示を変更する、請求項1に記載の災害時行動支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、更に、
前記デバイスから取得される前記現場作業者の生体情報に応じて、生成した前記災害対応指示を変更する、請求項1に記載の災害時行動支援システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記位置情報と、前記現場作業者の属性情報とに基づいて、前記現場作業者ごとに、前記災害対応指示を変更する、請求項1に記載の災害時行動支援システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記生成した災害対応指示を、前記位置情報と前記現場作業者の周囲情報とに基づき変更する、請求項1に記載の災害時行動支援システム。
【請求項7】
前記制御部は、更に、
前記現場作業者が携帯する前記デバイスに、前記災害対応指示を送信する、請求項1に記載の災害時行動支援システム。
【請求項8】
現場作業者が携帯する災害時行動支援デバイスであって、
前記災害時行動支援デバイスが有する制御部は、
災害情報を取得し、
前記現場作業者の位置情報と、前記現場作業者の周囲情報とを取得し、
少なくとも前記災害情報が取得された後は、取得された前記位置情報と前記周囲情報とを、サーバ装置に送信する、
災害時行動支援デバイス。
【請求項9】
前記現場作業者の周囲情報を取得することは、
画像情報を取得すること、及び、音声情報を取得することのいずれか一方または両方を含む、請求項8に記載の災害時行動支援デバイス。
【請求項10】
前記制御部は、更に、
前記災害情報が取得されたことを、前記現場作業者に通知する、または、前記サーバ装置を介して、遠隔の作業者に通知する、請求項8に記載の災害時行動支援デバイス。
【請求項11】
前記位置情報と前記周囲情報とを取得する処理は、前記災害情報が取得された場合に起動する、請求項8に記載の災害時行動支援デバイス。
【請求項12】
前記制御部は、
前記災害情報が取得された場合、災害情報が取得される前よりも短い間隔で、前記位置情報と前記周囲情報とを、前記サーバ装置に送信する、請求項8に記載の災害時行動支援デバイス。
【請求項13】
前記制御部は、更に、
現場作業の作業工程に応じた災害発生時の初動対応指示を記憶し、
前記災害情報が取得された場合に、前記初動対応指示を、前記現場作業者に報知する、請求項8に記載の災害時行動支援デバイス。
【請求項14】
前記制御部は、
近距離無線通信において受信した電波から、周辺に存在する他の災害時行動支援デバイスの有無を判断し、
判断結果を前記サーバ装置に送信する、請求項8に記載の災害時行動支援デバイス。
【請求項15】
災害時行動支援システムの制御部に、
災害情報を取得するとともに、現場作業者が携帯するデバイスから位置情報と前記現場作業者の周囲情報とを取得する工程と、
前記災害情報、前記位置情報、前記現場作業者の周囲情報に基づき、災害対応指示を生成する工程と
を実行させるための災害時情報解析プログラム。
【請求項16】
現場作業者が携帯する災害時行動支援デバイスの制御部に、
災害情報を取得する工程と、
前記現場作業者の位置情報と、前記現場作業者の周囲情報とを取得する工程と、
少なくとも前記災害情報が取得された後は、取得された前記位置情報と前記周囲情報とを、サーバ装置に送信する工程と
を実行させるための災害時情報収集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、災害時行動支援システム、災害時行動支援デバイス、災害時情報解析プログラム及び災害時情報収集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラント等の各種製造現場では、例えば、災害が検知された場合に、サーバ装置が災害内容に対応した指示(災害対応指示)を自動で選択し、現場作業者に送信する。これにより、現場作業者は、災害発生時に適切な行動をとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、災害発生後の製造現場は状況が時々刻々と変化するため、災害の発生直後は適切であった指示でも、時間の経過とともに適切でなくなることも想定される。
【0005】
本開示は、災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能な災害時行動支援システム、災害時行動支援デバイス、災害時情報解析プログラム及び災害時情報収集プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、制御部を有する災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、
災害情報を取得するとともに、現場作業者が携帯するデバイスから位置情報と前記現場作業者の周囲情報とを取得し、
前記災害情報、前記位置情報、前記現場作業者の周囲情報に基づき、災害対応指示を生成する。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能な災害時行動支援システムを提供することができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、
前記現場作業者の周囲情報として取得される、音声情報及び画像情報のいずれか一方または両方に応じて、生成した前記災害対応指示を変更する。
【0009】
また、本開示の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、更に、
外部システムから取得される気象情報に応じて、生成した前記災害対応指示を変更する。
【0010】
また、本開示の第4の態様は、第1乃至第3のいずれかの態様に記載の災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、更に、
前記デバイスから取得される前記現場作業者の生体情報に応じて、生成した前記災害対応指示を変更する。
【0011】
また、本開示の第5の態様は、第1乃至第4のいずれかの態様に記載の災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、
前記位置情報と、前記現場作業者の属性情報とに基づいて、前記現場作業者ごとに、前記災害対応指示を変更する。
【0012】
また、本開示の第6の態様は、第1乃至第5のいずれかの態様に記載の災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、
前記生成した災害対応指示を、前記位置情報と前記現場作業者の周囲情報とに基づき変更する。
【0013】
また、本開示の第7の態様は、第1乃至第6のいずれかの態様に記載の災害時行動支援システムであって、
前記制御部は、更に、
前記現場作業者が携帯する前記デバイスに、前記災害対応指示を送信する。
【0014】
また、本開示の第8の態様は、現場作業者が携帯する災害時行動支援デバイスであって、
前記災害時行動支援デバイスが有する制御部は、
災害情報を取得し、
前記現場作業者の位置情報と、前記現場作業者の周囲情報とを取得し、
少なくとも前記災害情報が取得された後は、取得された前記位置情報と前記周囲情報とを、サーバ装置に送信する。
【0015】
本開示の第8の態様によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能な災害時行動支援デバイスを提供することができる。
【0016】
また、本開示の第9の態様は、第8の態様に記載の災害時行動支援デバイスであって、
前記現場作業者の周囲情報を取得することは、
画像情報を取得すること、及び、音声情報を取得することのいずれか一方または両方を含む。
【0017】
また、本開示の第10の態様は、第8または第9の態様に記載の災害時行動支援デバイスであって、
前記制御部は、更に、
前記災害情報が取得されたことを、前記現場作業者に通知する、または、前記サーバ装置を介して、遠隔の作業者に通知する。
【0018】
また、本開示の第11の態様は、第8乃至第10のいずれかの態様に記載の災害時行動支援デバイスであって、
前記位置情報と前記周囲情報とを取得する処理は、前記災害情報が取得された場合に起動する。
【0019】
また、本開示の第12の態様は、第8乃至第10のいずれかの態様に記載の災害時行動支援デバイスであって、
前記制御部は、
前記災害情報が取得された場合、災害情報が取得される前よりも短い間隔で、前記位置情報と前記周囲情報とを、前記サーバ装置に送信する。
【0020】
また、本開示の第13の態様は、第8乃至第12のいずれかの態様に記載の災害時行動支援デバイスであって、
前記制御部は、更に、
現場作業の作業工程に応じた災害発生時の初動対応指示を記憶し、
前記災害情報が取得された場合に、前記初動対応指示を、前記現場作業者に報知する。
【0021】
また、本開示の第14の態様は、第8乃至第13のいずれかの態様に記載の災害時行動支援デバイスであって、
前記制御部は、
近距離無線通信において受信した電波から、周辺に存在する他の災害時行動支援デバイスの有無を判断し、
判断結果を前記サーバ装置に送信する。
【0022】
また、本開示の第15の態様は、災害時情報解析プログラムであって、
災害時行動支援システムの制御部に、
災害情報を取得するとともに、現場作業者が携帯するデバイスから位置情報と前記現場作業者の周囲情報とを取得する工程と、
前記災害情報、前記位置情報、前記現場作業者の周囲情報に基づき、災害対応指示を生成する工程とを実行させる。
【0023】
本開示の第15の態様によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能な災害時情報解析プログラムを提供することができる。
【0024】
また、本開示の第16の態様は、災害時情報収集プログラムであって、
現場作業者が携帯する災害時行動支援デバイスの制御部に、
災害情報を取得する工程と、
前記現場作業者の位置情報と、前記現場作業者の周囲情報とを取得する工程と、
少なくとも前記災害情報が取得された後は、取得された前記位置情報と前記周囲情報とを、サーバ装置に送信する工程とを実行させる。
【0025】
本開示の第16の態様によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能な災害時情報収集プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】災害時行動支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】ウェアラブルデバイスのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】ウェアラブルデバイスの機能構成の一例を示す図である。
図4】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】サーバ装置の生成部の機能構成の一例を示す図である。
図6】災害時行動支援システムにおける災害時行動支援処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】ウェアラブルデバイスによる災害時情報収集処理の流れを示すフローチャートである。
図8】サーバ装置による災害時情報解析処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0028】
[第1の実施形態]
<災害時行動支援システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係る災害時行動支援システムのシステム構成について説明する。図1は、災害時行動支援システムのシステム構成の一例を示す図である。災害時行動支援システム100は、例えば、化学プラント等の各種製造現場に適用される。
【0029】
図1に示すように、災害時行動支援システム100は、災害監視装置110と、ウェアラブルデバイス120_1~120_nと、情報提供システム130と、サーバ装置140とを有する。なお、災害時行動支援システム100において、災害監視装置110、ウェアラブルデバイス120_1~120_n、情報提供システム130と、サーバ装置140とは、ネットワーク150を介して通信可能に接続される。
【0030】
災害監視装置110は、災害を検知する装置である。災害監視装置110は、災害を検知すると、ネットワーク150を介して、サーバ装置140に災害情報(災害の発生場所、災害内容等)を送信する。
【0031】
なお、図1の例では、災害監視装置110を1台のみ示しているが、消防法施行令によれば、災害監視装置110は、警戒区域600平方メートル以下に1台の割合で設置することが定められている。このため、化学プラント等の各種製造現場に適用される災害時行動支援システム100においても、当該施行令に準じた台数の災害監視装置110が設置されるものとする。なお、警戒区域とは、火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域を指す。
【0032】
ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nは災害時行動支援デバイスの一例であり、製造現場にて作業を行う複数の現場作業者それぞれが装着可能なデバイスである。ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nは、少なくとも災害が検知されて(あるいは災害を検知して)以降は、自デバイスが取得した情報(「現場情報」と称す)を、ネットワーク150を介して、サーバ装置140に送信する。
【0033】
また、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nは、災害監視装置110にて災害が検知された場合にあっては、災害監視装置110からサーバ装置140へと送信された災害情報を、サーバ装置140から受信する。
【0034】
また、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nは、自デバイスにて災害を検知した場合にあっては、災害情報をサーバ装置140に送信する。
【0035】
また、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nは、災害情報を取得した場合、更に、現場作業の作業工程に応じた災害発生時の災害対応指示(初動対応指示)を取得する。
【0036】
このように、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nでは、災害情報を取得した場合、サーバ装置140から初動対応指示を取得する。これにより、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nを装着した各現場作業者は、災害発生時に、適切な行動をとることができる。
【0037】
また、災害が発生してから一定時間が経過することで、製造現場の状況が変化し、災害対応指示を変更する必要があると判定された場合、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nは、製造現場の状況に応じた災害対応指示を受信する。これにより、ウェアラブルデバイス120_1~ウェアラブルデバイス120_nを装着した各現場作業者は、災害発生後に製造現場の状況が変化した場合でも、製造現場の状況に応じた、適切な行動をとることができる。
【0038】
情報提供システム130は外部システムの一例であり、製造現場周辺の気象情報を、ネットワーク150を介してサーバ装置140に送信する。製造現場周辺の気象情報には、風向き、風速、天候(晴れ、曇り、雨)、日射量、地震、津波、台風などの情報が含まれる。
【0039】
サーバ装置140には、災害時情報解析プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、サーバ装置140は、受信部141、取得部142、生成部143、送信部144として機能する。
【0040】
受信部141は、ネットワーク150を介して、災害監視装置110、ウェアラブルデバイス120_1~120_n、情報提供システム130からそれぞれ送信される情報を受信し、受信情報として、取得部142に通知する。受信部141が通知する受信情報には、災害情報、現場情報、気象情報等が含まれる。
【0041】
取得部142は、受信部141から通知される受信情報を取得し、取得した受信情報に含まれる、災害情報と、現場情報と、気象情報とを、それぞれ生成部143に通知する。
【0042】
生成部143は、取得部142から災害情報が通知された場合、当該災害情報を送信部144に通知する。また、生成部143は、災害対応情報記憶部145を参照し、災害情報から、現場作業の作業工程に応じた災害対応指示を選択して、初動対応指示として送信部144に通知する。災害対応情報記憶部145には、現場作業の作業工程に応じた複数の災害対応指示が記憶されている。なお、生成部143では、災害情報から災害対応指示を選択する際、作業者情報記憶部146を参照し、現場作業者ごとに、属性情報に適した災害対応指示を選択する。
【0043】
また、生成部143は、取得部142から現場情報及び気象情報が通知された場合、当該現場情報及び気象情報を解析し、製造現場の状況を把握することで、現在の災害対応指示を変更する必要があるか否かを判定する。生成部143は、製造現場の状況が変化し、災害対応指示を変更する必要があると判定した場合には、災害対応情報記憶部145を参照することで、製造現場の状況に応じた災害対応指示(初動対応指示とは異なる災害対応指示)を選択して送信部144に通知する。
【0044】
送信部144は、生成部143から災害情報が通知された場合、ネットワーク150を介して、ウェアラブルデバイス120_1~120_nに送信する。なお、生成部143から通知される災害情報が、いずれかのウェアラブルデバイスにて検知された災害情報であった場合、送信部144は、当該ウェアラブルデバイス以外のウェアラブルデバイスに、災害情報を送信する。
【0045】
また、送信部144は、生成部143から災害対応指示が通知された場合、ネットワーク150を介して、ウェアラブルデバイス120_1~120_nに送信する。
【0046】
このように、災害時行動支援システム100は、
・災害発生時は、災害情報から、現場作業の作業工程に応じた災害対応指示を選択し、初動対応指示として送信し、
・災害発生後は、製造現場の状況を監視し、製造現場の状況が変化したことで現在の災害対応指示を変更する必要があると判定した場合、製造現場の状況に応じた災害対応指示を選択し、送信する。
【0047】
これにより、災害時行動支援システム100によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた指示を行うことが可能となる。
【0048】
<ウェアラブルデバイスのハードウェア構成>
次に、ウェアラブルデバイス120_1~120_nのハードウェア構成について説明する。なお、本実施形態において、複数の現場作業者がそれぞれ装着するウェアラブルデバイス120_1~120_nは、いずれも、同じハードウェア構成を有することから、ここでは、ウェアラブルデバイス120_1について説明する。
【0049】
図2は、ウェアラブルデバイスのハードウェア構成の一例を示す図である。ウェアラブルデバイス120_1は、眼鏡型の外観構成を有しており、図2に示すように、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、通信装置204、GPS(Global Positioning System)装置205を有する。また、ウェアラブルデバイス120_1は、音声入力装置206、音声出力装置207、表示装置208、撮像装置209、接続装置210、近距離無線通信装置211を有する。なお、ウェアラブルデバイス120_1を構成する各ハードウェアは、バス220を介して相互に接続される。
【0050】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラム(例えば、後述する災害時情報収集プログラム等)をメモリ202上に読み出して実行する。
【0051】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータ(「制御部」ともいう)を形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0052】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種情報(例えば、災害対応指示)を格納する。
【0053】
通信装置204は、サーバ装置140との間で各種情報(例えば、災害情報、災害対応指示、現場情報)を送受信するための通信デバイスである。GPS装置205は、ウェアラブルデバイス120_1の位置情報を検出する。
【0054】
なお、プロセッサ201~GPS装置205の各デバイスは、例えば、眼鏡の前枠部分に相当する位置に内蔵される。
【0055】
音声入力装置206は、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の音声や、製造現場における周囲の音、周囲の現場作業者の音声等の音声情報を検出する。音声入力装置206は、例えば、眼鏡のテンプル部分に相当する位置に配置される。
【0056】
音声出力装置207は、例えば、サーバ装置140から受信した各種情報を、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者に音声出力により報知するデバイスである。
【0057】
表示装置208は、例えば、サーバ装置140から受信した各種情報を、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者に画像表示により報知するデバイスである。表示装置208は、例えば、眼鏡のレンズ部分に相当する位置に配置される。
【0058】
撮像装置209は、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の周囲を撮影し、画像情報を生成する。
【0059】
接続装置210は、ウェアラブルデバイス120_1に、付属の各種センサを接続する際に用いる接続デバイスである。接続装置210を介して接続される付属の各種センサには、災害を検知し、災害情報を出力するセンサや、ウェアラブルデバイス120_1を装着する現場作業者の生体情報を検出し、出力するセンサ等が含まれる。
【0060】
近距離無線通信装置211は、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の周辺に存在する、他の現場作業者が装着するウェアラブルデバイスとの間で、近距離無線通信を行うための無線デバイスである。近距離無線通信装置211は、例えば、眼鏡の前枠部分に相当する位置に内蔵される。
【0061】
<ウェアラブルデバイスの機能構成>
次に、ウェアラブルデバイスの機能構成について説明する。なお、本実施形態において、複数の現場作業者がそれぞれ装着するウェアラブルデバイス120_1~120_nは、いずれも、同じ機能構成を有することから、ここでは、ウェアラブルデバイス120_1について説明する。
【0062】
上述したように、ウェアラブルデバイス120_1には、災害時情報収集プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、ウェアラブルデバイス120_1は、各種機能を実現する。
【0063】
図3は、ウェアラブルデバイスの機能構成の一例を示す図である。図3に示すように、ウェアラブルデバイス120_1は、災害情報取得部310、災害情報通知部320、報知部330、受信部340、現場情報取得部350、周辺デバイス判断部360、送信部370の各種機能を実現する。
【0064】
このうち、災害情報取得部310は、接続装置210を介して接続された付属の各種センサのうちのいずれかのセンサにより災害が検知された場合に、当該災害情報(災害の発生場所、災害内容等)を取得する。付属のセンサが検知する災害情報とは、例えば、所定の有害なガスを検知するセンサにより当該所定の有害なガスが検知されることで、当該センサにより出力される災害情報等が挙げられる。
【0065】
また、災害情報取得部310は、取得した災害情報を、災害情報通知部320、現場情報取得部350及び送信部370に通知する。
【0066】
災害情報通知部320は、災害情報取得部310より災害情報が通知された場合に、報知部330に通知するとともに、サーバ装置140に送信する。これにより、サーバ装置140では、災害時行動支援システム100全体を管理する作業者(ウェアラブルデバイス120_1から見て遠隔の作業者)に対して、災害が発生したことを報知することができる。また、サーバ装置140では、ウェアラブルデバイス120_1以外のウェアラブルデバイスに、災害情報を送信することで、ウェアラブルデバイス120_1を装着する現場作業者以外の現場作業者に、災害が発生したことを報知することができる。
【0067】
報知部330は、災害情報が通知された場合に、ウェアラブルデバイス120_1を装着する現場作業者に、災害が発生したことを報知する。また、報知部330は、災害情報が、災害情報通知部320より通知された場合には、災害対応情報記憶部380を参照する。これにより、報知部330は、通知された災害情報から、現場作業の作業工程に応じた災害対応指示を選択し、ウェアラブルデバイス120_1を装着する現場作業者に報知する。なお、災害対応情報記憶部380には、現場作業の作業工程に応じた複数の災害対応指示が記憶されている。
【0068】
また、報知部330は、災害情報が、受信部340より通知された場合には、続けて、該受信部340より災害対応指示を取得し、ウェアラブルデバイス120_1を装着する現場作業者に報知する。
【0069】
受信部340は、サーバ装置140から災害情報を受信すると、報知部330、現場情報取得部350及び送信部370に通知する。また、受信部340は、サーバ装置140から災害応答指示を受信すると、報知部330に通知する。なお、受信部340は、ウェアラブルデバイス120_1の外部から災害情報を取得するという点において、災害情報取得部としての機能を有しているといえる。
【0070】
現場情報取得部350は、GPS装置205により検出された位置情報を取得する。GPS装置205により検出された位置情報は、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の現在の位置情報を表している。
【0071】
また、現場情報取得部350は、音声入力装置206により検出された音声情報を取得する。上述したように、音声入力装置206により検出された音声情報には、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の音声や、製造現場における周囲の音、周囲の現場作業者の音声等が含まれる。音声情報を取得する現場情報取得部350は、第2の現場情報取得部の一例である。
【0072】
また、現場情報取得部350は、撮像装置209により撮影された画像情報を取得する。上述したように、撮像装置209により撮影された画像情報には、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の周囲の画像等が含まれる。画像情報を取得する現場情報取得部350は、第1の現場情報取得部の一例である。
【0073】
また、現場情報取得部350は、接続装置210を介して接続された付属の各種センサのうちのいずれかのセンサにより検出された生体情報であって、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の生体情報を取得する。
【0074】
また、現場情報取得部350は、周辺デバイス判断部360より周辺デバイス情報を取得する。周辺デバイス情報には、ウェアラブルデバイス120_1を装着した現場作業者の周辺に存在する、他の現場作業者によって装着されたウェアラブルデバイスについての情報が含まれる。
【0075】
周辺デバイス判断部360は判断部の一例であり、近距離無線通信装置211によって受信された近距離無線通信の電波から、周辺に存在する他のウェアラブルデバイスの有無を判断する。また、周辺デバイス判断部360は、他の現場作業者によって装着されたウェアラブルデバイスが存在すると判断した場合に、当該他のウェアラブルデバイスについての情報を含む周辺デバイス情報を、判断結果として、現場情報取得部350に通知する。
【0076】
送信部370は、現場情報取得部350より通知された現場情報を、サーバ装置140に送信する。送信部370がサーバ装置140に送信する現場情報には、位置情報、音声情報、画像情報、生体情報、周辺デバイス情報が含まれる。
【0077】
なお、送信部370による現場情報の送信は、災害の発生と無関係に開始されてもよいし、災害の発生をトリガーに開始されてもよい。災害の発生をトリガーに開始される場合、送信部370は、災害情報取得部310より災害情報が通知されたこと、または、受信部340より災害情報が通知されたことをトリガーに現場情報の送信を開始される。
【0078】
なお、災害の発生と無関係に開始される場合、送信部370は、災害の発生をトリガーに、現場情報の送信間隔を、災害の発生前よりも短くするように構成されてもよい。
【0079】
同様に、現場情報取得部350は、災害の発生と無関係に起動されてもよいし、災害の発生をトリガーに起動されてもよい。災害の発生をトリガーに起動される場合、現場情報取得部350は、災害情報取得部310より災害情報が通知されたこと、または、受信部340より災害情報が通知されたことをトリガーに起動される。
【0080】
なお、災害の発生と無関係に起動される場合、現場情報取得部350は、災害の発生をトリガーに、現場情報の取得間隔を、災害の発生前よりも短くするように構成されてもよい。
【0081】
<サーバ装置のハードウェア構成>
次に、サーバ装置140のハードウェア構成について説明する。図4は、サーバ装置140のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示すように、サーバ装置140は、プロセッサ401、メモリ402、補助記憶装置403、接続装置404、通信装置405、ドライブ装置406を有する。なお、サーバ装置140を構成する各ハードウェアは、バス407を介して相互に接続される。
【0082】
プロセッサ401は、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ401は、各種プログラム(例えば、上述した災害時情報解析プログラム等)をメモリ402上に読み出して実行する。
【0083】
メモリ402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ401とメモリ402とは、いわゆるコンピュータ(「制御部」ともいう)を形成し、プロセッサ401が、メモリ402上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0084】
補助記憶装置403は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ401によって実行される際に用いられる各種情報(例えば、災害対応指示、属性情報)を格納する。
【0085】
接続装置404は、外部装置(例えば、表示装置410、操作装置411)とサーバ装置140とを接続する接続デバイスである。
【0086】
通信装置405は、災害監視装置110、ウェアラブルデバイス120_1~120_n、情報提供システム130との間で各種情報(例えば、災害情報、現場情報、気象情報、災害対応指示等)を送受信するための通信デバイスである。
【0087】
ドライブ装置406は記録媒体430をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体430には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体430には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0088】
なお、補助記憶装置403にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体430がドライブ装置406にセットされ、該記録媒体430に記録された各種プログラムがドライブ装置406により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置403にインストールされる各種プログラムは、通信装置405を介してネットワークからダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0089】
<サーバ装置の機能構成>
次に、サーバ装置140の機能構成の詳細について説明する。上述したように、サーバ装置140は、受信部141、取得部142、生成部143、送信部144として機能するが、ここでは、そのうち、生成部143の機能構成の詳細について説明する。
【0090】
図5は、サーバ装置の生成部の機能構成の一例を示す図である。図5に示すように、生成部143は、災害情報取得部510、指示生成部520、周囲情報解析部530、生体情報解析部540、位置情報解析部550、気象情報解析部560、指示変更部570を有する。
【0091】
災害情報取得部510は、取得部142から災害情報が通知された場合に、送信部144に通知するとともに、指示生成部520に通知する。
【0092】
指示生成部520は、災害情報取得部510から災害情報が通知された場合に、災害対応情報記憶部145を参照することで、災害情報から、現場作業の作業工程に応じた災害対応指示を選択し、初動対応指示として送信部144に通知する。なお、指示生成部520では、災害対応指示を選択する際、作業者情報記憶部146を参照することで、現場作業者ごとに、属性情報に適した災害対応指示を選択する。
【0093】
周囲情報解析部530は、取得部142から現場情報が通知された場合に、現場情報に含まれる画像情報、音声情報、周辺デバイス情報を解析する。これにより、周囲情報解析部530は、ウェアラブルデバイス120_1~120_nそれぞれを装着した各現場作業者の周囲の状況を示す周囲情報を把握し、把握した周囲情報を指示変更部570に通知する。
【0094】
生体情報解析部540は、取得部142から現場情報が通知された場合に、現場情報に含まれる生体情報を解析する。これにより、生体情報解析部540は、ウェアラブルデバイス120_1~120_nそれぞれを装着した各現場作業者の身体的状況を把握し、把握した身体的状況を指示変更部570に通知する。
【0095】
位置情報解析部550は、取得部142から現場情報が通知された場合に、位置情報を解析する。これにより、位置情報解析部550は、ウェアラブルデバイス120_1~120_nそれぞれを装着した各現場作業者が、製造現場の避難経路上のいずれの場所にいるかを把握し、把握した場所を指示変更部570に通知する。
【0096】
気象情報解析部560は、取得部142から気象情報が通知された場合に、通知された気象情報を解析し、製造現場の避難経路上に危険を及ぼす要素を把握し、把握した危険要素を指示変更部570に通知する。
【0097】
指示変更部570は、周囲情報解析部530~気象情報解析部560から通知された情報(周囲情報、身体的状況、場所、危険要素)に基づいて、製造現場の状況を把握し、現在の災害対応指示を変更する必要があるか否かを判定する。指示変更部570は、製造現場の状況が変化し、現在の災害対応指示を変更する必要があると判定した場合、製造現場の状況に応じた災害対応指示を選択し、送信部144に通知する。
【0098】
なお、指示変更部570が把握する製造現場の状況には、例えば、
・各現場作業者が、現在、製造現場の避難経路上のいずれの場所にいるか、
・それぞれの場所の周囲の状況はどのようになっているか、
・各現場作業者の身体的状況に問題はないか、
・各現場作業者の製造現場の避難経路に危険が及ぶことはないか、
等が含まれ、指示変更部570では、これらの状況を総合的に勘案して、現在の災害対応指示を変更する必要があるか否かを判定する。
【0099】
例えば、指示変更部570は、周囲情報解析部530から通知された周囲情報に基づいて、現在の避難経路が安全ではないことを把握し、災害対応指示を変更する必要があると判定したとする。この場合、指示変更部570は、現在の避難経路とは異なる避難経路を含む災害対応指示を選択する。
【0100】
また、例えば、指示変更部570は、周囲情報解析部530から通知された周囲情報に基づいて、救護を求めている現場作業者がいることを把握し、災害対応指示を変更する必要があると判定したとする。この場合、指示変更部570は、特定の現場作業者に対する災害対応指示として、当該救護を求めている現場作業者に対する救護活動を含む災害対応指示を選択する。
【0101】
また、例えば、指示変更部570は、生体情報解析部540から通知された身体的状況に基づいて、特定の現場作業者について、現状の避難方法を継続することが困難であることを把握し、災害対応指示を変更する必要があると判定したとする。この場合、指示変更部570は、特定の現場作業者に対する災害対応指示として、他の現場作業者とは異なる避難方法を含む災害対応指示を選択する。
【0102】
また、例えば、指示変更部570は、気象情報解析部560から通知された危険要素に基づいて、現在の避難経路が適切でないことを把握し、災害対応指示を変更する必要があると判定したとする。この場合、指示変更部570は、現在の避難経路とは異なる避難経路を含む災害対応指示を選択する。
【0103】
なお、通知された危険要素に基づいて現在の避難経路が適切でないと判定される場合とは、例えば、災害により有害なガスが漏れている状況で、風向きが変わったことで、現在の避難経路が、有害なガスが漏れている地点の風下になった場合等が挙げられる。あるいは、災害により有害な液体が製造現場の建屋の外に流出している状況で、雨が降り始めたことで、雨水に交じって有害な液体が現在の避難経路に流入する可能性が生じた場合等が挙げられる。
【0104】
なお、指示生成部520同様、指示変更部570においても、災害対応指示を選択する際は、作業者情報記憶部146を参照し、現場作業者ごとに、属性情報に適した災害対応指示を選択するものとする。
【0105】
<災害時行動支援処理の流れ>
次に、災害時行動支援システム100における災害時行動支援処理の流れについて説明する。図6は、災害時行動支援システムにおける災害時行動支援処理の流れを示すシーケンス図である。
【0106】
図6に示すように、ステップS601において、災害監視装置110が災害を検知すると、ステップS602において、災害監視装置110は、災害情報をサーバ装置140に送信する。
【0107】
ステップS603において、サーバ装置140の災害情報取得部510は、災害情報を取得し、ステップS604において、サーバ装置140の災害情報取得部510は、指示生成部520に災害情報を通知する。また、ステップS605において、サーバ装置140の災害情報取得部510は、送信部144を介して、ウェアラブルデバイス120_1の受信部340に災害情報を送信する。
【0108】
ステップS606において、ウェアラブルデバイス120_1の受信部340は、災害情報を受信し、送信部370に通知する。
【0109】
ステップS607において、送信部370は、災害情報が通知されたことをトリガーに、現場情報の送信を開始する。
【0110】
一方、ステップS608において、サーバ装置140の指示生成部520は、災害情報に応じた災害対応指示を選択する。また、ステップS609において、サーバ装置140の指示生成部520は、選択した災害対応指示を、初動対応指示として、送信部144を介してウェアラブルデバイス120_1の受信部340に送信する。
【0111】
ステップS610において、ウェアラブルデバイス120_1の受信部340は、初動対応指示を受信すると、報知部330に通知する。
【0112】
ステップS611において、ウェアラブルデバイス120_1の報知部330は、通知された初動対応指示を、現場作業者に報知する。
【0113】
ステップS612において、ウェアラブルデバイス120_1の送信部370は、現場情報をサーバ装置140に送信する。
【0114】
ステップS613において、情報提供システム130は、気象情報をサーバ装置140に送信する。
【0115】
ステップS614において、サーバ装置140の指示変更部570は、現場情報に含まれる画像情報、音声情報、周辺デバイス情報、生体情報、位置情報と、気象情報とが解析されることで、製造現場の状況を把握する。そして、サーバ装置140の指示変更部570は、製造現場の状況が変化したことで、現在の災害対応指示を変更する必要があると判定した場合に、製造現場の状況に応じた災害対応指示を新たに選択する。
【0116】
ステップS615において、サーバ装置140の指示変更部570は、新たに選択した災害対応指示を、送信部144を介してウェアラブルデバイス120_1の受信部340に送信する。
【0117】
ステップS616において、ウェアラブルデバイス120_1の受信部340は、災害対応指示を受信し、報知部330に通知する。
【0118】
ステップS617において、ウェアラブルデバイス120_1の報知部330は、通知された災害対応指示を、現場作業者に報知する。
【0119】
<ウェアラブルデバイスによる災害時情報収集処理>
次に、ウェアラブルデバイス120_1による災害時情報収集処理の流れについて説明する。図7は、ウェアラブルデバイスによる災害時情報収集処理の流れを示すフローチャートである。
【0120】
ステップS701において、災害情報通知部320または受信部340は、災害情報を取得したか否かを判定する。ステップS701において、災害情報を取得していないと判定した場合には(ステップS701においてNOの場合には)、災害情報を取得するまで待機する。
【0121】
一方、ステップS701において、災害情報を取得したと判定した場合であって(ステップS701においてYESの場合であって)、自デバイスで災害情報を検知していた場合にあっては、ステップS702に進む。なお、自デバイスで災害情報を検知していた場合とは、つまり、災害情報通知部320が災害情報を取得したと判定した場合である。
【0122】
ステップS702において、災害情報通知部320は、取得した災害情報をサーバ装置140に送信した後、ステップS703に進む。
【0123】
なお、ステップS701において、災害情報を取得したと判定した場合であって(ステップS701においてYESの場合であって)、サーバ装置140から災害情報を受信していた場合にあっては、直接、ステップS703に進む。なお、サーバ装置140から災害情報を受信していた場合とは、つまり、受信部340が災害情報を取得した場合である。
【0124】
ステップS703において、送信部370は、現場情報の送信を開始する。なお、この時点で現場情報を既に送信している場合には、送信部370は、例えば、現場情報を送信する際の送信間隔を短くする。
【0125】
ステップS704において、報知部330は、災害対応指示を取得し、現場作業者に報知する。
【0126】
ステップS705において、報知部330は、報知中の災害対応指示とは異なる新たな災害対応指示を取得したか否かを判定する。ステップS705において、報知中の災害対応指示とは異なる新たな災害対応指示を取得したと判定した場合には(ステップS705においてYESの場合には)、ステップS706に進む。
【0127】
ステップS706において、報知部330は、取得した災害対応指示を、現場作業者に報知し、ステップS707に進む。
【0128】
一方、ステップS705において、報知中の災害対応指示とは異なる新たな災害対応指示を取得していないと判定した場合には(ステップS705においてNOの場合には)、直接、ステップS707に進む。
【0129】
ステップS707において、送信部370は、災害時情報収集処理を終了するか否かを判定する。災害対応指示に基づく行動を現場作業者が完了していない場合には、ステップS707において、災害時情報収集処理を終了しないと判定し(ステップS707においてNOと判定し)、ステップS705に戻る。
【0130】
一方、災害対応指示に基づく行動を現場作業者が完了した場合には、ステップS707において、災害時情報収集処理を終了すると判定し(ステップS707においてYESと判定し)、ステップS708に進む。
【0131】
ステップS708において、送信部370は、現場情報の送信を停止した後、災害時情報収集処理を終了する。あるいは、送信部370は、現場情報の送信を、送信間隔を長くしたうえで、災害時情報収集処理を終了する。
【0132】
<サーバ装置による災害時情報解析処理>
次に、サーバ装置140による災害時情報解析処理の流れについて説明する。図8は、サーバ装置による災害時情報解析処理の流れを示すフローチャートである。
【0133】
ステップS801において、生成部143は、災害情報を取得したか否かを判定する。ステップS801において、災害情報を取得していないと判定した場合には(ステップS801においてNOの場合には)、災害情報を取得するまで待機する。
【0134】
一方、ステップS801において、災害情報を取得したと判定した場合には(ステップS801においてYESの場合には)、ステップS802に進む。
【0135】
ステップS802において、送信部144は、災害情報をウェアラブルデバイス120_1~120_n(ただし、災害情報を検知したウェアラブルデバイスは除く)に送信する。
【0136】
ステップS803において、生成部143は、災害情報から現場作業の作業工程に応じた災害対応指示を選択し、送信部144は、選択された災害対応指示を、初動対応指示として、ウェアラブルデバイス120_1~120_nに送信する。
【0137】
ステップS804において、受信部141は、現場情報及び気象情報の受信を開始する。
【0138】
ステップS805において、生成部143は、現場情報及び気象情報に基づいて、製造現場の状況を把握し、現在の災害対応指示を変更する必要があるか否かを判定する。ステップS805において、製造現場の状況が変化したことで、現在の災害対応指示を変更する必要があると判定した場合には(ステップS805においてYESの場合には)、ステップS806に進む。
【0139】
ステップS806において、生成部143は、新たな災害対応指示を選択し、送信部144は、選択された新たな災害対応指示をウェアラブルデバイス120_1~120_nに送信し、ステップS807に進む。
【0140】
一方、ステップS805において、現在の災害対応指示を変更する必要がないと判定した場合には(ステップS805においてNOの場合には)、直接、ステップS807に進む。
【0141】
ステップS807において、受信部141は、災害時情報解析処理を終了するか否かを判定する。ここで、ウェアラブルデバイス120_1~120_nを装着した現場作業者の中に、災害対応指示に基づく行動を完了していない現場作業者がいたとする。この場合、受信部141は、ステップS807において災害時情報解析処理を終了しないと判定し(ステップS807においてNOと判定し)、ステップS805に戻る。
【0142】
一方、ウェアラブルデバイス120_1~120_nを装着した現場作業者全てが、災害対応指示に基づく行動を完了したとする。この場合、受信部141は、ステップS807において災害時情報解析処理を終了すると判定し(ステップS807においてYESと判定し)、ステップS808に進む。
【0143】
ステップS808において、受信部141は、現場情報及び気象情報の受信を終了する。
【0144】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る災害時行動支援システム100は、
・災害情報を取得した場合、取得した災害情報に基づいて災害対応指示を選択し、ウェアラブルデバイスに送信する。
・現場作業者が装着するウェアラブルデバイスとの通信により、ウェアラブルデバイスから取得される現場情報(位置情報に加えて、少なくとも周囲情報を含む)に応じて、災害対応指示を選択する。
【0145】
これにより、第1の実施形態によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた災害対応指示を行うことが可能な災害時行動支援システム、災害時情報解析プログラムを提供することができる。
【0146】
また、第1の実施形態に係る災害時行動支援デバイス(ウェアラブルデバイス)120_1~120_nは、
・災害情報を取得する。
・少なくとも現場作業者の位置情報と周囲情報とを含む現場情報を取得する。
・災害情報が取得された後は、現場情報をサーバ装置に送信する。
【0147】
これにより、第1の実施形態によれば、災害発生後の製造現場の状況に応じた災害対応指示を行うことが可能な災害時行動支援デバイス、災害時情報収集プログラムを提供することができる。
【0148】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、ウェアラブルデバイスにて取得された音声情報をサーバ装置に送信し、サーバ装置にて解析する構成とした。しかしながら、音声情報の利用方法はこれに限定されず、音声情報は、例えば、遠隔にいる作業者との通話に用いてもよい。
【0149】
また、上記第1の実施形態では、ウェアラブルデバイスが送信する現場情報として、音声情報、画像情報、周辺デバイス情報、生体情報、位置情報が含まれるものとして説明した。しかしながら、現場情報には、位置情報に加えて、少なくとも音声情報または画像情報のいずれか一方または両方が含まれていれば、他の情報は含まれていても含まれていなくてもよい。
【0150】
また、上記第1の実施形態では、サーバ装置が解析する現場情報として、音声情報、画像情報、周辺デバイス情報、生体情報、位置情報が含まれるものとして説明した。しかしながら、サーバ装置が解析する現場情報は、位置情報に加えて、少なくとも音声情報または画像情報のいずれか一方または両方が含まれていれば足りる。
【0151】
また、上記第1の実施形態では、指示変更部570が、製造現場の状況に応じた災害対応指示を、災害対応情報記憶部145に記憶された複数の災害対応指示の中から選択することで、初動対応指示から新たな災害対応指示に変更するものとして説明した。
【0152】
しかしながら、初動対応指示から新たな災害対応指示への変更方法はこれに限定されない。例えば、指示変更部570は、初動対応指示を、製造現場の状況に応じた災害対応指示に書き換えることで、初動対応指示から新たな災害対応指示に変更するように構成してもよい。あるいは、指示変更部570は、製造現場の状況に応じた災害対応指示を新たに生成することで、初動対応指示から新たな災害対応指示に変更するように構成してもよい。
【0153】
つまり、新たな災害対応指示への変更には、新たな災害対応指示の選択、初動対応指示の書き換え、新たな災害対応指示の生成、のいずれかが含まれる。
【0154】
また、上記第1の実施形態では、指示生成部520が、災害情報から、現場作業の作業工程に応じた災害対応指示を、災害対応情報記憶部145に記憶された複数の災害対応指示の中から選択することで、初動対応指示を生成するものとして説明した。しかしながら、初動対応指示の生成方法はこれに限定されない。例えば、指示生成部520は、デフォルトの災害対応指示を、災害情報に基づいて書き換えることで、初動対応指示を生成するように構成してもよい。あるいは、指示生成部520は、災害情報に応じた初動対応指示を、新たに生成するように構成してもよい。
【0155】
また、上記第1の実施形態では、予め、災害時情報収集プログラムが起動されているものとして説明したが、災害情報を受信してから、災害時情報収集プログラムを起動するように構成してもよい。ただし、この場合、災害情報を取得または受信する機能(つまり、災害情報取得部)は、災害時情報収集プログラムとは異なるプログラムにて実現されるものとする。
【0156】
また、上記第1の実施形態では、現場作業者に装着するウェアラブルデバイスを用いる場合について説明したが、ウェアラブルデバイスに代えて、現場作業者が携帯する携帯端末を用いてもよい。
【0157】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0158】
100 :災害時行動支援システム
110 :災害監視装置
120_1~120_n :ウェアラブルデバイス
130 :情報提供システム
140 :サーバ装置
141 :受信部
142 :取得部
143 :生成部
144 :送信部
310 :災害情報取得部
320 :災害情報通知部
330 :報知部
340 :受信部
350 :現場情報取得部
360 :周辺デバイス判断部
370 :送信部
510 :災害情報取得部
520 :指示生成部
530 :周囲情報解析部
540 :生体情報解析部
550 :位置情報解析部
560 :気象情報解析部
570 :指示変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8