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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152912
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】車両用シートの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20231010BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231010BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B60K1/04 Z
B62D25/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052396
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】63/327027
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB06
3D203BB12
3D203BB20
3D203BB22
3D203CA52
3D203DA52
3D203DA53
3D203DB05
3D235AA02
3D235CC15
3D235DD35
3D235FF07
3D235FF09
3D235FF12
(57)【要約】
【課題】車両用シートの取付構造において、車両用シートの移動を滑らかにする。
【解決手段】バッテリ2を備えた車両4における車両用シート1の取付構造は、左右1対のサイドシル8と、左右のサイドシルに結合されたフロア9と、フロアの下方に配置され、左右のサイドシルに結合されたバッテリユニット13と、フロアにスライドレール装置20を介して設けられた複数のシート1とを有する。フロアは、互いに対面する上側フロアパネル10及び下側フロアパネル11と、上側フロアパネルと下側フロアパネルとの間に設けられた複数のビーム12とを有する。スライドレール装置は、上側フロアパネルに設けられたレール21と、レールに移動可能に支持され、且つシートのそれぞれに結合された複数のスライダ22とを有する。レールは、上方から見て複数のビームに跨って配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを備えた車両における車両用シートの取付構造であって、
左右1対のサイドシルと、
左右の前記サイドシルに結合されたフロアと、
前記フロアの下方に配置され、左右の前記サイドシルに結合されたバッテリユニットと、
前記フロアにスライドレール装置を介して設けられた複数のシートとを有し、
前記フロアは、
互いに対面する上側フロアパネル及び下側フロアパネルと、
前記上側フロアパネルと前記下側フロアパネルとの間に設けられた複数のビームとを有し、
前記スライドレール装置は、
前記上側フロアパネルに設けられたレールと、
前記レールに移動可能に支持され、且つ前記シートのそれぞれに結合された複数のスライダとを有し、
前記レールは、上方から見て複数の前記ビームに跨って配置される車両用シートの取付構造。
【請求項2】
複数の前記ビームのそれぞれの離間長さは、複数の前記スライダのそれぞれの長さよりも短い請求項1に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項3】
互いに隣接する前記スライダにおいて、
側面視で一方の前記スライダの前端から他方の前記スライダの後端に至る区間内に少なくとも1つの前記ビームが配置される請求項2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項4】
互いに隣接する前記スライダにおいて、
側面視で一方の前記スライダの後端から他方の前記スライダの後端に至る区間内に少なくとも1つの前記ビームが配置される請求項2又は請求項3に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項5】
互いに隣接する前記ビームにおいて、
前記フロアには、一方の前記ビームと他方の前記ビームとを連結する複数の連結部材が設けられる、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項6】
前記ビームは、前後方向に延びる第1ビームと、前記第1ビームから左方及び右方に延びる複数の第2ビームとを有する請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項7】
前記スライドレール装置は左右に互いに離間して設けられ、
前記第1ビームは、上方から見て左側の前記スライドレール装置と右側の前記スライドレール装置との間に重なる位置に設けられる請求項6に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項8】
互いに隣接する第2ビームにおいて、
前記フロアには一方の第2ビームと他方の第2ビームとを連結する複数の連結部材が設けられる請求項7に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項9】
バッテリを備えた車両における車両用シートの取付構造であって、
左右1対のサイドシルと、
左右の前記サイドシルに結合されたフロアと、
前記フロアの下方に配置され、左右の前記サイドシルに結合されたバッテリユニットと、
前記フロアにスライドレール装置を介して設けられた複数のシートとを有し、
前記フロアは、
左右の前記サイドシルのそれぞれに結合されたパネル材と、
前記パネル材の上に設けられた補強材とを有し、
前記スライドレール装置は、
レールと、
前記レールに移動可能に支持され、且つ前記シートのそれぞれに結合された複数のスライダとを有し、
前記レールは、前記補強材に配置される車両用シートの取付構造。
【請求項10】
前記補強材には複数の肉抜部が設けられる請求項9に記載の車両用シートの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のバッテリを含む車両では、バッテリを受容するためのバッテリパックはフロアパネルの下方に設けられている。フロアパネルの上面側にはフロアクロスメンバを介してドライバシート及びパッセンジャシートが設けられている。
【0003】
特許文献2に記載の車両は、1対のサイドシルに接合されたフロアパネルとフロアパネルの上面に設けられた1対のクロスメンバとを有する。またクロスメンバの上面には車両の前後方向に延びるように1対のスライドレールが固定されている。更にスライドレールには、車両用シートに固定されたスライドスライダが設けられている。これらにより、車両用シートは車両の前後方向にスライド可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-202744号公報
【特許文献2】特開2010-18226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フロアパネルの下方にバッテリが配置され、フロアパネルの上に各種レールを含む車両用シートが配置されたとき、バッテリの荷重によりフロアパネルが撓み、延いては各種レールが撓む虞がある。これにより車両用シートの移動が滑らかではなくなる。
【0006】
そこで、本発明は以上の背景に鑑み、車両用シートの取付構造において、車両用シートの移動を滑らかにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、バッテリ(2)を備えた車両(4)における車両用シート(1)の取付構造であって、左右1対のサイドシル(8)と、左右の前記サイドシルに結合されたフロア(9)と、前記フロアの下方に配置され、左右の前記サイドシルに結合されたバッテリユニット(13)と、前記フロアにスライドレール装置(20)を介して設けられた複数のシート(1)とを有し、前記フロアは、互いに対面する上側フロアパネル(10)及び下側フロアパネル(11)と、前記上側フロアパネルと前記下側フロアパネルとの間に設けられた複数のビーム(12)とを有し、前記スライドレール装置は、前記上側フロアパネルに設けられたレール(21)と、前記レールに移動可能に支持され、且つ前記シートのそれぞれに結合された複数のスライダ(22)とを有し、前記レールは、上方から見て複数の前記ビームに跨って配置される。
【0008】
この態様によれば、上側フロアパネルは複数のビームを介して下側フロアパネルに結合している。これによりフロアは下方に撓み難くなる。即ちバッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルは下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0009】
上記の態様において、複数の前記ビームのそれぞれの離間長さ(L1)は、複数の前記スライダのそれぞれの長さ(L2)よりも短くてもよい。
【0010】
この態様によれば、シートがどの位置にあっても、スライダの一部は上方から見て少なくとも1つのビームに重なる。これによりシートの荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシートを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはスライダと重なるビームによって下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0011】
上記の態様において、互いに隣接する前記スライダにおいて、側面視で一方の前記スライダの前端から他方の前記スライダの後端に至る区間内に少なくとも1つの前記ビームが配置されてもよい。
【0012】
この態様によれば、シートがどの位置にあっても、スライダの一部は上方から見て少なくとも1つのビームに重なる。これによりシートの荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシートを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはスライダと重なるビームによって下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0013】
上記の態様において、互いに隣接する前記スライダにおいて、側面視で一方の前記スライダの後端から他方の前記スライダの後端に至る区間内に少なくとも1つの前記ビームが配置されてもよい。
【0014】
この態様によれば、シートがどの位置にあっても、スライダの一部は上方から見て少なくとも1つのビームに重なる。これによりシートの荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシートを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはスライダと重なるビームによって下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0015】
上記の態様において、互いに隣接する前記ビームにおいて、前記フロアには、一方の前記ビームと他方の前記ビームとを連結する複数の連結部材(32)が設けられてもよい。
【0016】
この態様によれば、複数の連結部材により、対応するビームの剛性が向上する。これにより、これにより、バッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはより効果的に下方に撓み難くなる。これによりレールの撓みが抑制される。したがってシートの移動が滑らかになる。
【0017】
上記の態様において、前記ビームは、前後方向に延びる第1ビーム(12A)と、前記第1ビームから左方及び右方に延びる複数の第2ビーム(12B)とを有してもよい。
【0018】
この態様によれば、第1ビームは前後方向のロードパスをなす。これにより前後方向への曲げ剛性が向上する。したがって車両の衝突によるフロアの損傷が抑制される。上側フロアパネルは複数の第2ビームにも支持されているため、下方に撓み難くなる。即ちバッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルは下方に撓み難くなる。これによりレールの撓みが抑制される。したがってシートの移動が滑らかになる。
【0019】
上記の態様において、前記スライドレール装置は左右に互いに離間して設けられ、前記第1ビームは、上方から見て左側の前記スライドレール装置と右側の前記スライドレール装置との間に重なる位置に設けられてもよい。
【0020】
この態様によれば、第1ビームは、前後方向のロードパスをなす。これにより前後方向への曲げ剛性がより効果的に向上する。
【0021】
上記の態様において、互いに隣接する第2ビームにおいて、前記フロアには一方の第2ビームと他方の第2ビームとを連結する複数の連結部材(32)が設けられてもよい。
【0022】
この態様によれば、複数の連結部材により、対応する第2ビームの剛性が確保される。これにより、上側フロアパネルに作用するバッテリユニットの荷重が抑制され、延いては上側フロアパネルの撓みがより効果的に抑制される。したがってシートの移動が滑らかになる。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明は、バッテリ(2)を備えた車両(4)における車両用シートの取付構造であって、左右1対のサイドシル(8)と、左右の前記サイドシルに結合されたフロア(9)と、前記フロアの下方に配置され、左右の前記サイドシルに結合されたバッテリユニット(13)と、前記フロアにスライドレール装置(20)を介して設けられた複数のシート(1)とを有し、前記フロアは、左右の前記サイドシルのそれぞれに結合されたパネル材(40)と、前記パネル材の上に設けられた補強材(42)とを有し、前記スライドレール装置は、レール(21)と、前記レールに移動可能に支持され、且つ前記シートのそれぞれに結合された複数のスライダ(22)とを有し、前記レールは、前記補強材に配置される。
【0024】
この態様によれば、バッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、補強材は下方に撓み難くなる。したがってレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0025】
上記の態様において、前記補強材には複数の肉抜部(47)が設けられてもよい。
【0026】
この態様によれば、補強材が軽量化される。
【発明の効果】
【0027】
上記課題を解決するために、本発明は、バッテリ(2)を備えた車両(4)における車両用シート(1)の取付構造であって、左右1対のサイドシル(8)と、左右の前記サイドシルに結合されたフロア(9)と、前記フロアの下方に配置され、左右の前記サイドシルに結合されたバッテリユニット(13)と、前記フロアにスライドレール装置(20)を介して設けられた複数のシート(1)とを有し、前記フロアは、互いに対面する上側フロアパネル(10)及び下側フロアパネル(11)と、前記上側フロアパネルと前記下側フロアパネルとの間に設けられた複数のビーム(12)とを有し、前記スライドレール装置は、前記上側フロアパネルに設けられたレール(21)と、前記レールに移動可能に支持され、且つ前記シートのそれぞれに結合された複数のスライダ(22)とを有し、前記レールは、上方から見て複数の前記ビームに跨って配置される。
【0028】
この態様によれば、上側フロアパネルは複数のビームを介して下側フロアパネルに結合している。これによりフロアは下方に撓み難くなる。即ちバッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルは下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0029】
上記の態様において、複数の前記ビームのそれぞれの離間長さ(L1)は、複数の前記スライダのそれぞれの長さ(L2)よりも短くてもよい。
【0030】
この態様によれば、シートがどの位置にあっても、スライダの一部は上方から見て少なくとも1つのビームに重なる。これによりシートの荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシートを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはスライダと重なるビームによって下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0031】
上記の態様において、互いに隣接する前記スライダにおいて、側面視で一方の前記スライダの前端から他方の前記スライダの後端に至る区間内に少なくとも1つの前記ビームが配置されてもよい。
【0032】
この態様によれば、シートがどの位置にあっても、スライダの一部は上方から見て少なくとも1つのビームに重なる。これによりシートの荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシートを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはスライダと重なるビームによって下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0033】
上記の態様において、互いに隣接する前記スライダにおいて、側面視で一方の前記スライダの後端から他方の前記スライダの後端に至る区間内に少なくとも1つの前記ビームが配置されてもよい。
【0034】
この態様によれば、シートがどの位置にあっても、スライダの一部は上方から見て少なくとも1つのビームに重なる。これによりシートの荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシートを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはスライダと重なるビームによって下方に撓み難くなる。これによりレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0035】
上記の態様において、互いに隣接する前記ビームにおいて、前記フロアには、一方の前記ビームと他方の前記ビームとを連結する複数の連結部材(32)が設けられてもよい。
【0036】
この態様によれば、複数の連結部材により、対応するビームの剛性が向上する。これにより、これにより、バッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルはより効果的に下方に撓み難くなる。これによりレールの撓みが抑制される。したがってシートの移動が滑らかになる。
【0037】
上記の態様において、前記ビームは、前後方向に延びる第1ビーム(12A)と、前記第1ビームから左方及び右方に延びる複数の第2ビーム(12B)とを有してもよい。
【0038】
この態様によれば、第1ビームは前後方向のロードパスをなす。これにより前後方向への曲げ剛性が向上する。したがって車両の衝突によるフロアの損傷が抑制される。上側フロアパネルは複数の第2ビームにも支持されているため、下方に撓み難くなる。即ちバッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、上側フロアパネルは下方に撓み難くなる。これによりレールの撓みが抑制される。したがってシートの移動が滑らかになる。
【0039】
上記の態様において、前記スライドレール装置は左右に互いに離間して設けられ、前記第1ビームは、上方から見て左側の前記スライドレール装置と右側の前記スライドレール装置との間に重なる位置に設けられてもよい。
【0040】
この態様によれば、第1ビームは、前後方向のロードパスをなす。これにより前後方向への曲げ剛性がより効果的に向上する。
【0041】
上記の態様において、互いに隣接する第2ビームにおいて、前記フロアには一方の第2ビームと他方の第2ビームとを連結する複数の連結部材(32)が設けられてもよい。
【0042】
この態様によれば、複数の連結部材により、対応する第2ビームの剛性が確保される。これにより、上側フロアパネルに作用するバッテリユニットの荷重が抑制され、延いては上側フロアパネルの撓みがより効果的に抑制される。したがってシートの移動が滑らかになる。
【0043】
上記課題を解決するために、本発明は、バッテリ(2)を備えた車両(4)における車両用シートの取付構造であって、左右1対のサイドシル(8)と、左右の前記サイドシルに結合されたフロア(9)と、前記フロアの下方に配置され、左右の前記サイドシルに結合されたバッテリユニット(13)と、前記フロアにスライドレール装置(20)を介して設けられた複数のシート(1)とを有し、前記フロアは、左右の前記サイドシルのそれぞれに結合されたパネル材(40)と、前記パネル材の上に設けられた補強材(42)とを有し、前記スライドレール装置は、レール(21)と、前記レールに移動可能に支持され、且つ前記シートのそれぞれに結合された複数のスライダ(22)とを有し、前記レールは、前記補強材に配置される。
【0044】
この態様によれば、バッテリユニットの荷重が左右のサイドシルを介してフロアに作用しても、補強材は下方に撓み難くなる。したがってレールも撓み難くなり、シートの移動が滑らかになる。
【0045】
上記の態様において、前記補強材には複数の肉抜部(47)が設けられてもよい。
【0046】
この態様によれば、補強材が軽量化される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】第1実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
図2】第1実施形態に係るシートのレールに対する移動を示す側面図
図3】第2実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
図4】第3実施形態に係るシートの取付構造を示す側面図
図5】第4実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
図6】第5実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
図7】第6実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
図8】第7実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
図9】第8実施形態に係るシートの取付構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の車両用シート1の取付構造について、図面を参照して説明する。図1に示すように、複数の車両用シート1はバッテリ2から供給される電力によって駆動する電動の車両4の車室4Aに設けられている。車両用シート1は、乗員の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部から上方に延び、乗員の背部を支持するシートバック6とを有する。本実施形態では車両4はミニバン等であって、いわゆる3列シートを有する。
【0049】
以下、車両用シート1を単にシート1と称する。また車両4の進行方向を前後方向と規定して、左右及び、上下の各方向を定めて説明する。
【0050】
(第1実施形態)
車両4は、車両4の骨格をなす金属製の車両フレーム7を有する。車両フレーム7は、左右1対のサイドシル8と、左右のサイドシル8の上に設けられたフロア9とを有する。左右のサイドシル8のそれぞれは、前後方向に延び、左右に互いに離間して配置されている。左右のサイドシル8のそれぞれは、車両4の下部をなす。
【0051】
フロア9は左右のサイドシル8のそれぞれに結合されている。フロア9は、互いに対面する上側フロアパネル10及び下側フロアパネル11と、上側フロアパネル10と下側フロアパネル11との間に設けられた複数のビーム12とを有する。
【0052】
上側フロアパネル10及び下側フロアパネル11のそれぞれは金属製の板状をなし、面が上下方向を向くように且つ互いに離間して配置されている。下側フロアパネル11が左右のサイドシル8の上側に溶接等により結合されるとよい。
【0053】
なお他の実施形態では下側フロアパネル11の下方には、左右のサイドシル8に接続された図示しない複数のクロスメンバが設けられてもよい。各クロスメンバは金属製の板状をなし、面が上下方向を向くように左右方向に延び、且つ互いに前後に離間して配置されている。クロスメンバによりサイドシル8の剛性が向上する。下側フロアパネル11の下面は複数のクロスメンバの上面のそれぞれに当接してもよい。
【0054】
複数のビーム12のそれぞれは、断面視で台形状をなし、左右方向に延び、且つ前後に互いに間隔を空けて配置されている。複数のビーム12の下面のそれぞれは、下側フロアパネル11の上面と当接して結合されるとよい。複数のビーム12の上面のそれぞれは、上側フロアパネル10の下面と当接して結合されるとよい。これにより上側フロアパネル10は複数のビーム12のそれぞれに支持される。
【0055】
なお複数のビーム12のそれぞれの形状は特に限定されない。例えば複数のビーム12のそれぞれは、中空を有する断面視で矩形状をなしてもよい。或いは複数のビーム12のそれぞれは、断面視で凹状をなすチャネル材であってもよい。
【0056】
車両4には複数のバッテリ2を含むバッテリユニット13が左右のサイドシル8のそれぞれに結合されている。具体的には、バッテリユニット13はフロア9の下方に設けられている。複数のバッテリ2のそれぞれは直方体をなし、面が上下方向を向くように車両4に設けられている。バッテリユニット13はバッテリ2を支持するためのバッテリ支持部14を有する。
【0057】
バッテリ支持部14は、上下1対の板状部材15により形成されている。各板状部材15は面が上下方向を向くように設けられている。下側の板状部材15は、左右のサイドシル8の左右内方の側部の下部のそれぞれに結合されている。上側の板状部材15は左右のサイドシル8の左右内方の側部の上部のそれぞれに結合されている。これにより下側の板状部材15と上側の板状部材15との間には空間が画定される。この空間に複数のバッテリ2が配置される。本実施形態では3つのバッテリ2がバッテリ支持部14に支持されている。このときは、バッテリ支持部14の上側の板状部材15の上面は、下側フロアパネル11の下面に当接してもよい。
【0058】
なお他の実施形態では各板状部材15は、その中央部が凹んだ断面視でハット状をなしてもよい。上下の板状部材15の凹んだ部分のそれぞれが互いに対向して配置されることにより、中央部に空間を有するバッテリ支持部14材が形成されてもよい。この場合、各板状部材15の左端部は互いに当接している。同様に各板状部材15の右端部は互いに当接している。当接した左端部及び右端部は、対応する左右のサイドシル8の下側に図示しないボルト等により結合されるとよい。
【0059】
複数のシート1のそれぞれは、スライドレール装置20を介してフロア9に設けられている。スライドレール装置20は複数のシート1のそれぞれを前後方向に移動させるための装置である。本実施形態ではスライドレール装置20は左右に設けられている。左右のスライドレール装置20のそれぞれは、前後に並ぶ3つのシート1を支持している。これにより車両4は3列シートをなす。
【0060】
スライドレール装置20は、上側フロアパネル10に設けられたレール21と、レール21に移動可能に支持された複数のスライダ22とを有する。レール21は金属板をプレス成形することによって形成され、溝形の断面を有するとよい。レール21は溝の開口が上方を向くように前後方向に延びている。また左右のレール21のそれぞれはロングレールであって、各レール21には3つのスライダ22が設けられている。
【0061】
複数のスライダ22のそれぞれは、プレス成形又はロール成形された複数の金属板を互いに締結することによって形成されている。他の実施形態では、スライダ22はプレス成形又はロール成形された1枚の金属板から形成されてもよい。スライダ22の前後の長さは、レール21の前後の長さに対して短く設定されている。スライダ22には図示しない複数の車輪が回転可能に設けられている。
【0062】
複数のスライダ22のそれぞれは、対応するレール21の溝に受容されることにより接続されている。このとき複数のスライダ22のそれぞれの上部は、対応するレール21の溝の開口から上方に突出している。また複数のスライダ22のそれぞれが対応するレール21の溝に受容されたとき、スライダ22に設けられた複数の車輪のそれぞれはレール21の底部に当接する。これにより複数のスライダ22のそれぞれは、対応するレール21に対して前後方向に移動可能となる。
【0063】
複数のスライダ22のそれぞれは、対応するシート1に結合されている。これにより、スライダ22がレール21に対して前後方向に移動すると共に、スライダ22に結合されたシート1も前後方向に移動する。
【0064】
シート1にはシート1をフロア9に対して回転させる回転装置26が設けられている。回転装置26は、スライダ22に結合する下メンバ27と、下メンバ27に回転軸線Aを中心として回転可能に支持された上メンバ28と、下メンバ27に対して上メンバ28を回転させる回転駆動機構29とを有する公知のものであってよい。下メンバ27は面が上下方向を向く板状をなす。
【0065】
図2に示すようにレール21は、上方から見て複数のビーム12に跨って配置されている。複数のビーム12のそれぞれの離間長さL1は、複数のスライダ22のそれぞれの長さL2よりも短い。
【0066】
互いに前後に隣接するスライダ22において、側面視で前側のスライダ22の前端から後側のスライダ22の後端に至る区間内に少なくとも1つのビーム12が配置される。換言すれば、互いに前後に隣接するスライダ22において、側面視で前側のスライダ22の後端から後側のスライダ22の後端に至る区間内に少なくとも1つのビーム12が配置される。これらにより、シート1がどの位置にあっても、対応するスライダ22は、上方から見て複数のビーム12のうちの1つと重なる。
【0067】
またシート1が前後に移動するとき、対応するスライダ22の一部は上方から見て少なくとも1つのビーム12に重なる。例えば図2(A)に示すように、シート1が前方に移動しているとき、対応するスライダ22は上方から見て2つのビーム12が重なる。図2(B)に示すように、シート1が後方に移動しているとき、対応するスライダ22は上方から見て1つのビーム12が重なる。したがって、シート1が移動中にあっても、対応するスライダ22は、上方から見て複数のビーム12のうちの1つと重なる。
【0068】
図1に戻り、シート1の取付構造は、スライドレール装置20を介してフロア9に結合された複数のシート1と、フロア9を支持するサイドシル8と、サイドシル8に設けられたバッテリユニット13とによって構成されている。
【0069】
レール21はフロア9の一部をなす上側フロアパネル10に接続されている。上側フロアパネル10は複数のビーム12を介して下側フロアパネル11に接続されている。このときレール21は上方から見て複数のビーム12に跨って配置されている。下側フロアパネル11は左右のサイドシル8の上側に結合されている。左右のサイドシル8の下側にはバッテリユニット13が結合されている。これらにより、バッテリユニット13の荷重は、左右のサイドシル8、下側フロアパネル11、複数のビーム12を介して上側フロアパネル10に作用する。上側フロアパネル10は複数のビーム12を介して下側フロアパネル11に結合している。これによりフロア9は下方に撓み難くなる。即ちバッテリユニット13の荷重が左右のサイドシル8を介してフロア9に作用しても、上側フロアパネル10は下方に撓み難くなる。これによりレール21の撓みが抑制される。したがってシート1の移動が滑らかになる。
【0070】
図2及び図3に示すようにシート1がどの位置にあっても、対応するスライダ22は、上方から見て複数のビーム12のうちの1つと重なる。加えてシート1が移動中にあっても、対応するスライダ22は、上方から見て複数のビーム12のうちの1つと重なる。これらによりシート1の荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシート1を介してフロア9に作用しても、上側フロアパネル10はスライダ22と重なるビーム12によって下方に撓み難くなる。これによりレール21も撓み難くなり、シート1の移動が滑らかになる。
【0071】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るシート1の取付構造は、第1実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、バッテリユニット13の構成のみが異なる。第1実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
図3に示すように、バッテリユニット13には複数の仕切壁30が設けられている。複数の仕切壁30のそれぞれは、板状をなし、面が前後方向を向くように前後に間隔を空けて配置されている。複数の仕切壁30のそれぞれは、バッテリ支持部14の1対の板状部材15によって画定された空間を区画するように設けられている。本実施形態では2つの仕切壁30が3つのバッテリ2のそれぞれの間に配置されている。仕切壁30により、車両4の振動等による各バッテリ2同士の接触が抑制される。したがってバッテリ2の損傷が抑制される。
【0073】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るシート1の取付構造は、第2実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、スライドレール装置20の構成のみが異なる。第2実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図4に示すようにスライドレール装置20は、バッテリ2から供給される電力によって複数のスライダ22を移動させる電動スライドレール装置である。例えばスライドレール装置20は、ねじ係合部が形成されたレール21と、ねじ係合部に係合するねじ部材及びねじ部材を回転させる電動モータ31を含む複数のスライダ22とを有する公知の電動スライドレール装置であってよい。
【0075】
電動スライドレール装置は電動モータ31を含むため、第2実施形態のスライドレール装置20と比較して重い。即ち電動スライドレール装置を有するシート1の荷重が大きくなる。シート1がどの位置にあっても、対応するスライダ22は、上方から見て複数のビーム12のうちの1つと重なる。加えてシート1が移動中にあっても、対応するスライダ22は、上方から見て複数のビーム12のうちの1つと重なる。これらによりシート1の荷重又は乗員の荷重等の下方に向かう力がシート1を介してフロア9に作用しても、上側フロアパネル10はスライダ22と重なるビーム12によって下方に撓み難くなる。これによりレール21も撓み難くなり、シート1の移動が滑らかになる。
【0076】
(第4実施形態)
第4実施形態に係るシート1の取付構造は、第2実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、フロア9の構成のみが異なる。第2実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
図5に示すようにフロア9には、互いに前後に隣接するビーム12において、前側のビーム12と後側のビーム12とを連結する複数の連結部材32が設けられている。複数の連結部材32のそれぞれの形状は特に限定されないが、各ビーム12と同一の材質、且つ同一の形状であるとよい。即ち、複数の連結部材32の上面のそれぞれは、上側フロアパネル10の下面と当接している。これにより上側フロアパネル10は複数の連結部材32のそれぞれにも支持される。或いは複数の連結部材32のそれぞれは各ビーム12の厚さよりも小さい厚さを有する板状をなし、各ビーム12の下部同士を連結してもよい。
【0078】
複数の連結部材32は、複数の中央部連結部33と、複数の第1連結部34と、複数の第2連結部35と、複数の第3連結部36とを有する。複数の中央部連結部33のそれぞれは前後方向に延び、各ビーム12の中央部同士を連結する。より具体的には複数の中央部連結部33のそれぞれは、上方から見て左側のスライドレール装置20と右側のスライドレール装置20との間に重なる位置に設けられている。
【0079】
複数の第1連結部34のそれぞれは、互いに隣接する前後のビーム12において前側のビーム12の端部と後側のビーム12の中央部とを接続する。また複数の第2連結部35のそれぞれは、互いに隣接する前後のビーム12において前側のビーム12の中央部と後側のビーム12の端部とを接続する。互いに隣接する前後の同じビーム12を連結するために配置される第1連結部34と第2連結部35とは、互いに交差するように配置される。複数の第3連結部36のそれぞれは、互いに隣接する前後のビーム12において前側のビーム12と後側のビーム12とを連結するように前後方向に延びている。
【0080】
第1連結部34、第2連結部35及び第3連結部36は適宜選択されて設けられてよい。本実施形態では、上方から見て前から1列目のシート1の下方に重なる前後のビーム12の間には第1連結部34が設けられている。また上方から見て前から2列目のシート1の下方に重なる前後のビーム12の間には第1連結部34及び第2連結部35が設けられている。更に上方から見て前から3列目のシート1の下方に重なる前後のビーム12の間には第3連結部36が設けられている。
【0081】
なお他の実施形態では、上方から見て各シート1の下方に重なる前後のビーム12の間には第1連結部34のみが設けられてもよい。また、上方から見て各シート1の下方に重なる前後のビーム12の間には第2連結部35のみが設けられてもよい。更に上方から見て各シート1の下方に重なる前後のビーム12の間には第3連結部36のみが設けられてもよい。或いは、第1連結部34、第2連結部35及び第3連結部36を組み合わせて適宜設けられてもよい。
【0082】
複数の連結部材32により、対応するビーム12の剛性が向上する。これにより、バッテリユニット13の荷重が左右のサイドシル8を介してフロア9に作用しても、上側フロアパネル10はより効果的に下方に撓み難くなる。これによりレール21の撓みが抑制される。したがってシート1の移動が滑らかになる。
【0083】
複数の中央部連結部33のそれぞれは、前後方向のロードパスをなす。これにより前後方向への曲げ剛性が向上する。したがって車両4の衝突によるフロア9の損傷が抑制される。
【0084】
(第5実施形態)
第5実施形態に係るシート1の取付構造は、第2実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、フロア9の構成のみが異なる。第2実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
図6に示すようにビーム12は、前後方向に延びる第1ビーム12Aと、第1ビーム12Aから左方及び右方に延びる複数の第2ビーム12Bとを有する。第1ビーム12Aの形状及び、複数の第2ビーム12Bのそれぞれの形状は特に限定されないが、第1ビーム12A及び、複数の第2ビーム12Bのそれぞれは少なくとも上側フロアパネル10の下面と当接する上面を有するとよい。第1ビーム12Aの上面と複数の第2ビーム12Bの上面のそれぞれが上側フロアパネル10の下面に当接することにより、上側フロアパネル10は第1ビーム12A及び第2ビーム12Bのそれぞれに支持されている。第1ビーム12Aは上方から見て左側のスライドレール装置20と右側のスライドレール装置20との間に重なる位置に設けられている。具体的には第1ビーム12Aは、下側フロアパネル11の左右の中央部に設けられるとよい。複数の第2ビーム12Bのそれぞれは前後方向に互いに離間して配置されている。
【0086】
フロア9には、左右の同じ側にあって且つ互いに前後に隣接する第2ビーム12Bにおいて、前側の第2ビーム12Bと後側の第2ビーム12Bとを連結する複数の連結部材32が設けられている。複数の連結部材32のそれぞれの形状は特に限定されないが、第1ビーム12A及び、複数の第2ビーム12Bのそれぞれと同一の材質、且つ同一の形状であるとよい。即ち、複数の連結部材32の上面のそれぞれは、上側フロアパネル10の下面と当接している。これにより上側フロアパネル10は複数の連結部材32のそれぞれにも支持される。或いは複数の連結部材32のそれぞれは第1ビーム12Aの厚さ及び、複数の第2ビーム12Bそれぞれの厚さよりも小さい厚さを有する板状をなし、各第2ビーム12Bの下部同士を連結してもよい。
【0087】
複数の連結部材32は、複数の第1連結部34と、複数の第2連結部35と、複数の第3連結部36とを有する。複数の第1連結部34のそれぞれは、左右の同じ側にあって且つ互いに前後に隣接する第2ビーム12Bにおいて前側の第2ビーム12Bの右端部と後側の第2ビーム12Bの左端部とを接続する。また複数の第2連結部35のそれぞれは、左右の同じ側にあって且つ互いに前後に隣接する前側の第2ビーム12Bの左端部と後側の第2ビーム12Bの右端部とを接続する。同じ側にあって且つ互いに隣接する前後の同じ第2ビーム12Bを連結するために配置される第1連結部34と第2連結部35とは、互いに交差するように配置される。複数の第3連結部36のそれぞれは、左右の同じ側にあって且つ互いに前後に隣接する前側の第2ビーム12Bの中央部と後側の第2ビーム12Bの中央部とを連結するように前後方向に延びている。
【0088】
第1連結部34、第2連結部35及び第3連結部36は適宜選択されて配置されてよい。本実施形態では、上方から見て前から1列目のシート1の下方に重なる左右の同じ側の前後の第2ビーム12Bの間には第1連結部34が設けられている。また上方から見て前から2列目のシート1の下方に重なる左右の同じ側の前後の第2ビーム12Bの間には第1連結部34及び第2連結部35が設けられている。更に上方から見て前から3列目のシート1の下方に重なる左右の同じ側の前後の第2ビーム12Bの間には第3連結部36が設けられている。
【0089】
なお他の実施形態では、上方から見て各シート1の下方に重なる左右の同じ側の前後の第2ビーム12Bの間には第1連結部34のみが設けられてもよい。また、上方から見て各シート1の下方に重なる左右の同じ側の前後の第2ビーム12Bの間には第2連結部35のみが設けられてもよい。更に上方から見て各シート1の下方に重なる左右の同じ側の前後の第2ビーム12Bの間には第3連結部36のみが設けられてもよい。或いは、第1連結部34、第2連結部35及び第3連結部36を組み合わせて適宜設けられてもよい。
【0090】
第1ビーム12Aは、前後方向のロードパスをなす。これにより前後方向への曲げ剛性が向上する。また第1ビーム12Aが下側フロアパネル11の左右の中央部に設けられることにより、前後方向への曲げ剛性がより向上する。したがって車両4の衝突によるフロア9の損傷が抑制される。
【0091】
複数の連結部材32により、対応する第2ビーム12Bの剛性が向上する。これにより、バッテリユニット13の荷重が左右のサイドシル8を介してフロア9に作用しても、上側フロアパネル10は下方に撓み難くなる。これによりレール21の撓みが抑制される。したがってシート1の移動が滑らかになる。
【0092】
(第6実施形態)
第6実施形態に係るシート1の取付構造は、第2実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、フロア9の構成のみが異なる。第2実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0093】
図7に示すようにフロア9は、左右のサイドシル8のそれぞれに結合されたパネル材40と、パネル材40の上に設けられた補強材42とを有する。パネル材40は金属製の板状をなし、面が上下方向を向くように配置されている。
【0094】
補強材42は、前後方向に延びる複数の第1補強材45と、第1補強材45に交差するように左右方向に延びる複数の第2補強材46とを有する。各補強材45、46は金属製からなる中空を有する断面視で矩形状をなしてもよい。或いは、各補強材45、46は断面視で凹状をなすチャネル材であってもよい。各補強材45、46は上下方向を向く面を有する。
【0095】
本実施形態では2つの第1補強材45が設けられている。2つの第1補強材45のそれぞれは左右に互いに離間して配置されている。右側の第1補強材45には、右側の3つのシート1を支持するスライドレール装置20が設けられている。左側の第1補強材45には、左側の3つのシート1を支持するスライドレール装置20が設けられている。
【0096】
複数の第2補強材46のそれぞれは、パネル材40の左右のそれぞれの端部の上に設けられた対応する第2補強材端部46Aと、2つの第1補強材45の間に配置された第2補強材中央部46Bとを有する。左右の第2補強材端部46Aのそれぞれは、対応する第1補強材45の左右外側の側縁に結合している。第2補強材中央部46Bは2つの第1補強材45のそれぞれの左右内側の側縁同士を連結するように結合している。
【0097】
左右の第2補強材端部46Aのそれぞれと第2補強材中央部46Bとが左右方向に同一直線状に配置されることにより、補強材42は上方から見て2つの第1補強材45のそれぞれと複数の第2補強材46のそれぞれとが互いに交差した格子状をなす。
【0098】
本実施形態では、2つの第1補強材45のそれぞれの上下の高さと、複数の第2補強材46のそれぞれの上下の高さとが等しく設けられ、複数の第2補強材46のそれぞれの上面が2つの第1補強材45のそれぞれの上面と同一平面上に配置されているが、これに限定されない。複数の第2補強材46のそれぞれの厚さが2つの第1補強材45のそれぞれの厚さよりも小さく設けられてもよい。この場合、左右の第2補強材端部46Aのそれぞれ及び第2補強材中央部46Bは、2つの第1補強材45の対応する側縁の上部又は下部に結合されるとよい。
【0099】
複数のシート1を支持する左右のスライドレール装置20のそれぞれは、フロア9の補強材42に設けられている。これによりバッテリユニット13の荷重が左右のサイドシル8を介してフロア9に作用しても、補強材42は下方に撓み難くなる。したがってレール21も撓み難くなり、シート1の移動が滑らかになる。
【0100】
(第7実施形態)
第7実施形態に係るシート1の取付構造は、第6実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、補強材42の構成のみが異なる。第6実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
図8に示すように2つの第1補強材45のそれぞれには複数の肉抜部47が設けられている。複数の肉抜部47のそれぞれは、対応する第1補強材45を上下に貫通し、前後方向に互いに離間して設けられている。肉抜部47により、2つの第1補強材45のそれぞれが軽量化される。
【0102】
なお他の実施形態では第2補強材46にも肉抜部47が設けられてもよい。これにより補強材42がより軽量化される。また肉抜部47の周囲には図示しない補強ビードが配置されてもよい。これにより肉抜部47の周囲の耐久性が向上する。
【0103】
(第8実施形態)
第8実施形態に係るシート1の取付構造は、第7実施形態に係るシート1の取付構造と比較して、スライドレール装置20及びシート1の構成のみが異なる。第7実施形態に係るシート1の取付構造と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
図9に示すようにレール21は、前から1列目のシート1のみを支持するように対応する第1補強材45に設けられている。前から2列目及び3列目のシート1のそれぞれに設けられた下メンバ27は、図示しない取付部を介して対応する第1補強材45に設けられている。取付部の形状は特に限定されないが、前から2列目及び3列目のシート1の高さを前から1列目のシート1の高さと等しくする等の好適な条件に応じて形成されるとよい。
【0105】
これにより第1補強材45の上には、スライドレール装置20が設けられたシート1(前から1列目のシート1)と、スライドレール装置20が設けられないシート1(前から2列目及び3列目のシート1)とが取り付けられている。フロア9の補強材42は、左右のサイドシル8を介して作用するバッテリユニット13の荷重に加え、スライドレール装置20が設けられないシート1(前から2列目及び3列目のシート1)の荷重に対しても下方に撓み難くなる。これによりレール21も撓み難くなり、前から1列目のシート1の移動が滑らかになる。
【0106】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。各実施形態では各シート1には、シート1を回転させるための回転装置26が設けられているが、設けられなくてもよい。例えば第6実施形態~第8実施形態では第1補強材45は左右に2つ配置されているが、配置される数は限定されず、左右に3つ配置されてもよい。この場合、中央に配置される第1補強材45にはコンソールボックス又は中央シートが設けられてもよい。各実施形態を組み合わせて上側フロアパネル10に肉抜部47が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 :車両用シート、シート
2 :バッテリ
8 :サイドシル
9 :フロア
10 :上側フロアパネル
10A :第1上側フロアパネル
10B :第2上側フロアパネル
11 :下側フロアパネル
12 :ビーム
12A :第1ビーム
12B :第2ビーム
13 :バッテリユニット
20 :スライドレール装置
21 :レール
22 :スライダ
32 :連結部材
40 :パネル材
42 :補強材
L1 :各ビーム間の離間長さ
L2 :スライダの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9