(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152913
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】スピントランスファートルクおよびスピン軌道トルクランダムアクセスメモリのための磁気抵抗メモリ要素
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20231005BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20231005BHJP
H01F 10/32 20060101ALN20231005BHJP
H01F 1/40 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
H10N50/10 M
H01F10/32
H01F1/40 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052399
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】17/710438
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
2.コンパクトフラッシュ
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】510215639
【氏名又は名称】インターナショナル ビジネス マシーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】鄭 在佑
(72)【発明者】
【氏名】サマント,マヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,パナギオティス カリラオス
(72)【発明者】
【氏名】ファリーヴ,サーゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ガルグ,チラグ
(72)【発明者】
【氏名】フェランテ,ヤリ
【テーマコード(参考)】
4M119
5E040
5E049
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA03
4M119AA11
4M119AA17
4M119BB01
4M119DD05
4M119DD06
4M119DD07
4M119DD17
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4M119DD44
4M119EE23
4M119EE27
4M119JJ04
5E040AA11
5E040AA14
5E040CA11
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5E049AA01
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5E049HC01
5F092AA04
5F092AB08
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5F092BB53
5F092BC03
5F092BC04
5F092BC07
5F092BE12
5F092CA03
5F092EA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正方晶系半金属性ホイスラー化合物を使用する磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)セル及びMRAMアレイを提供する。
【解決手段】NRAMセルは、テンプレート層1203を含む。テンプレート層は、交互層格子構造を有する2元合金を含む。NRAMセルはさらに、正方晶系格子構造を有する半金属性ホイスラー材料を含む半金属性ホイスラー層1205を含む。半金属性ホイスラー層は、テンプレート層の外側に位置して、半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なるホイスラー面内格子定数を有する。トンネルバリア1209は、半金属性ホイスラー層の外側に位置し、磁性層1211は、トンネルバリアの外側に位置する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互層格子構造を有する2元合金を含むテンプレート層と、
正方晶系格子構造を有する半金属性ホイスラー材料を含む半金属性ホイスラー層であり、前記テンプレート層の外側に位置して、半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なるホイスラー面内格子定数を有する、半金属性ホイスラー層と、
前記半金属性ホイスラー層の外側のトンネルバリアと、
前記トンネルバリアの外側の磁性層と、
を含む、磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項2】
前記半金属性ホイスラー層は、保存層を含み、
前記磁性層は、基準層を含む、
請求項1に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項3】
前記半金属性ホイスラー材料は、半金属性ホイスラー化合物を含み、
前記半金属性ホイスラー化合物は、Mn2FeSb、Mn2CoAl、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Co2CrAl、Co2CrSi、Co2MnSb、およびCo2MnSiからなる群より選ばれる、
請求項2に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項4】
前記半金属性ホイスラー層は、0nmを超え、5nm未満の厚さを有する、
請求項3に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項5】
前記半金属性ホイスラー化合物は、Mn2FeSbを含む、
請求項3に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項6】
前記半金属性ホイスラー層は、0nmを超え、5nm未満の厚さを有する、
請求項5に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項7】
前記トンネルバリアは、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムマグネシウムからなる群より選ばれる、
請求項2に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項8】
前記2元合金は、A1-xExで表され、
Aは、遷移金属元素であり、
Eは、アルミニウムおよびガリウムの少なくとも1つを含む主族元素であり、 xの範囲は、0.42~0.55である、
請求項2に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項9】
前記半金属性ホイスラー層は、基準層を含み、
磁性層は、保存層を含む、
請求項1に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項10】
前記半金属性ホイスラー材料は、半金属性ホイスラー化合物を含み、
前記半金属性ホイスラー化合物は、Mn2FeSb、Mn2CoAl、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Co2CrAl、Co2CrSi、Co2MnSb、およびCo2MnSiからなる群より選ばれる、
請求項9に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項11】
前記半金属性ホイスラー層は、0nmを超え、5nm未満の厚さを有する、
請求項10に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項12】
前記半金属性ホイスラー化合物は、Mn2FeSbを含む、
請求項10に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項13】
前記半金属性ホイスラー層は、0nmを超え、5nm未満の厚さを有する、
請求項12に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項14】
テンプレート層の交互層格子構造は、塩化セシウム構造を含む、
請求項1に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項15】
前記テンプレート層は、室温で非磁性である、
請求項1に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項16】
前記テンプレート層は、テンプレート層の面内格子定数を有し、
前記ホイスラー面内格子定数は、前記テンプレート層の面内格子定数と実質的にマッチする、
請求項1に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項17】
前記半金属性ホイスラー材料は、半金属性ホイスラー材料に実質的に垂直な磁化を有する、
請求項16に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル。
【請求項18】
複数のビット線-相補ビット線対を形成する複数のビット線および複数の相補ビット線と、
複数のセル位置で前記複数のビット線-相補ビット線対と交差する複数のワード線と、 前記複数のセル位置それぞれに位置する複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルであり、
前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルそれぞれは、相応するビット線に電気的に接続され、
前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルそれぞれは、前記ワード線のうち相応する一つの制御下に前記相補ビット線のうち相応する一つに選択的に相互接続される複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルを含み、
前記複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルそれぞれは、 交互層格子構造を有する2元合金を含むテンプレート層と、
正方晶系格子構造を有する半金属性ホイスラー材料を含む半金属性ホイスラー層であり、
前記半金属性ホイスラー層は前記テンプレート層の外側に位置して、半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なるホイスラー面内格子定数を有する、
半金属性ホイスラー層と、
前記半金属性ホイスラー層の外側のトンネルバリアと、
前記トンネルバリアの外側の磁性層と、
を含む、磁気抵抗ランダムアクセスメモリアレイ。
【請求項19】
前記半金属性ホイスラー層は、保存層を含み、
前記磁性層は、基準層を含む、
請求項18に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリアレイ。
【請求項20】
前記半金属性ホイスラー材料は、半金属性ホイスラー化合物を含み、
前記半金属性ホイスラー化合物は、Mn2FeSb、Mn2CoAl、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Co2CrAl、Co2CrSi、Co2MnSb、およびCo2MnSiからなる群より選ばれる、
請求項19に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気、電子およびコンピュータ技術に関し、より詳細には、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、MRAMは、磁気トンネル接合(MTJ)を用いる3層装置である。これらは、通常、基準層磁石、トンネルバリア、および、保存または自由磁性層を含む。磁性層は、強磁性体またはフェリ磁性体であり得る。電流が装置を通過し、抵抗が測定される。抵抗は、二つの磁性層の磁気配向に応じて変化し、相対的な抵抗変化をトンネル磁気抵抗(TMR;Tunnel MagnetoResistance)といい、これはスピン分極と関連がある(すなわち、高いスピン分極は高いTMRを意味する)。高いスピン分極化、したがって、高いTMRが好ましい(TMRが高いほどON/OFF比率が高くなる)。低いスイッチング電流も好ましい。平行な配列で、磁性層は、磁化が互いに整列しており、この状態で抵抗は、通常、逆並列配列に比べて低い。逆並列状態で磁性層は、磁化が互いに整列しておらず、この状態で、抵抗は、通常、平行な配列に比べてより高い。MTJの磁性状態は、電流を通過させて変更する。電流は、スピン角運動量を伝達するので、閾値電流を超過すると、メモリ層のモーメントの方向がスイッチングされる。このようなMRAM装置は、スピントランスファートルク(STT)を用いてスイッチングされるのでSTT-MRAMという。必要なスイッチング電流の大きさは、電極の磁化が層に垂直に配向されるときに、より少ない。
【0003】
現在の装置は、磁性層にコバルト、鉄、および、ほう素合金を使用し、このような層は、強磁性体である。ホイスラー化合物は、面心立方(FCC)結晶構造とX2YZ(フル-ホイスラー(full-Heuslers)または単に「ホイスラー(Heuslers)」)組成を有する磁性金属間化合物であり、ここで、XとYは遷移金属であり、Zは周期表のp-ブロック(または主族)にある。ハーフホイスラー(half Heuslers)は組成がXYZである。「ハーフ(half)」という用語のないホイスラー(Heusler)またはホイスラー(Heuslers)に係る本願の参照はフル-ホイスラー(full-Heuslers)を参照することを意図する。ホイスラー化合物には4個の相互侵入FCC副格子(sublattice)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、MRAMなどに正方晶系半金属性ホイスラー(half metallic Heusler)化合物を使用する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様で、例示的な磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルそれぞれは、交互層格子構造を有する2元合金(binary alloy)を含むテンプレート層;正方晶系格子構造(tetragonal lattice structure)を有する半金属性ホイスラー材料(half metallic Heusler material)を含む半金属性ホイスラー層であって、テンプレート層の外側に位置して、半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数(in-plane lattice constant in cubic form)と異なるホイスラー面内格子定数(in-plane lattice constant)を有する半金属性ホイスラー層;半金属性ホイスラー層の外側のトンネルバリア層外側のトンネルバリア;および、トンネルバリアの外側の磁性層を含む。
【0006】
また他の態様で、このような磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルの磁気抵抗ランダムアクセスメモリアレイは、複数のビット線-相補的ビット線対を形成する複数のビット線および複数の相補ビット線;複数のセル位置で複数のビット線対と交差する複数のワード線;および、それぞれの複数のセル位置に位置するそれぞれの複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルを含む。それぞれの磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルは、相応するビット線に電気的に接続され、ワード線のうち相応するものの制御下に相応する相補ビット線に選択的に相互接続される。
【0007】
また、他の態様で、そのようなアレイの動作方法は、アレイを提供する段階、セルの第1サブセットがロジック1を保存し、セルの第2サブセットがロジック0を保存するようにワード線に信号を印加する段階;および、ビット線および相補ビット線を介して保存されたロジック1および0を判読する段階を含む。
【0008】
さらなる態様で、磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルを形成する方法は、交互層格子構造を有する2元合金を含み、テンプレート層の面内格子定数を有するテンプレート層を提供する段階;テンプレート層上に半金属性ホイスラー層をエピタキシャル成長させる段階であって、半金属性ホイスラー層は半金属性ホイスラー材料を含み、半金属性ホイスラー層はテンプレート層上で成長され、ホイスラー材料は正方晶系格子構造および半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なり、テンプレート層の面内格子定数と実質的に一致するホイスラー面内格子定数を有する段階;半金属性ホイスラー層の外側のトンネルバリアを形成する段階;および、トンネルバリア外側に磁性層を形成する段階を含む。
【0009】
また、他の態様で、ハードウェア記述言語(HDL)の設計構造は、機械可読データ保存媒体にエンコードされる。HDL設計構造は、説明したようにコンピュータ支援設計システムで処理されるとき、磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルおよび/またはアレイの機械実行可能表現を生成する要素を含む。
【0010】
本明細書で使用される、動作を「促進する(facilitating)」とは、動作を実行すること、動作をより容易にすること、動作を実行するのを助けること、または、動作を実行させることを含む。したがって、限定ではなく例としては、一つの工程で実行される命令は動作が行われるようにするか、補助するために適切なデータまたは命令を送ることによって半導体処理装備により行われる動作を容易にすることができる。行為者が行為を行うことの他に行為を容易にする場合にも、行為は、一部の独立体または独立体の組み合わせにより行われる。
【0011】
本明細書に開示された技術は実質的に有利な技術的効果を提供することができる。一部の実施形態は、このような潜在的な利点を有さなくてもよく、このような潜在的な利点は、すべての実施形態で必ずしも必要とされるわけではない。限定ではなく、一例として、一つ以上の実施形態は、次のうち一つ以上を提供することができる:
●セルが高いスピン分極(スピン分極が1である半金属を使用して)、したがって、高いTMRおよび高いON/OFF比率を示すMRAM装置。
●セルが低い磁化を示して、低いスイッチング電流を示すMRAM装置。
●セルの磁性層が体積垂直磁気異方性(PMA)を示して、正方晶系半金属性ホイスラー化合物(正方晶系がPMAに寄与する)を使用して、小さい大きさでスケーリングできるMRAM装置。
●正方晶系半金属性ホイスラー化合物のエピタキシャル成長を許容するために、下地層(例えば、CoAl)を使用する製造技術。
【0012】
これらおよび他の特徴および長所は、添付の図面に関連して読まれる、例示的な実施形態の次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次の図面は、例としてのみ提示され、限定されるものではなく、類似の符号(使用された場合)は、複数の図面にわたって対応する要素を示す。
【
図1】本発明の態様で、使用されるホイスラー化合物を示す。
【
図2】本発明の態様による、テンプレート層上のホイスラー化合物の成長を示す。
【
図3】本発明の態様により、MRAMで正方晶系の形態で使用できる半金属性ホイスラー化合物の表を示す。
【
図4】それぞれ本発明の態様により、MRAMで正方晶系の形態で使用できる半金属性ホイスラー化合物の立方体および正方晶系の形態を示して、比較する。
【
図5】それぞれ本発明の態様により、MRAMで正方晶系の形態で使用できる半金属性ホイスラー化合物の立方体および正方晶系の形態を示して、比較する。
【
図6】それぞれ本発明の態様により、MRAMで正方晶系の形態で使用できる半金属性ホイスラー化合物の立方体および正方晶系の形態を示して、比較する。
【
図7a】面内格子定数に対する一つ以上の実施形態で使用された、Mn
2FeSb特性の依存性を示す。
【
図7b】面内格子定数に対する一つ以上の実施形態で使用された、Mn
2FeSb特性の依存性を示す。
【
図7c】面内格子定数に対する一つ以上の実施形態で使用されたMn
2FeSb特性の依存性を示す。
【
図7d】面内格子定数に対する一つ以上の実施形態で使用されたMn
2FeSb特性の依存性を示す。
【
図7e】面内格子定数に対する一つ以上の実施形態で使用されたMn
2FeSb特性の依存性を示す。
【
図7f】面内格子定数に対する一つ以上の実施形態で使用されたMn
2FeSb特性の依存性を示す。
【
図8】本発明の態様により、高い垂直磁気異方性(PMA)に対する最適な面内格子定数を有する半金属性ホイスラー化合物を示す。
【
図9】一つ以上の実施形態で有用な、化学的テンプレート層の非制限的な例を示す。
【
図10】本発明の態様による、第1の例示的なMRAMセルを示す。
【
図11】本発明の態様による、第2の例示的なMRAMセルを示す。
【
図12】本発明の態様による、MRAMセルのアレイを示す。
【
図13】本発明の態様による、製造方法の流れ図を示す。
【
図14】本発明の一つ以上の態様および/または要素を実現するのに有用であり得るコンピュータシステムを示す。
【
図15】半導体の設計、製造、および/またはテストに用いられる設計工程の流れ図である。
【0014】
図面の要素は、単純化と明確化のために例示されていることを理解されたい。商業的に実現可能な実施形態で、有用であるか、または、必要であり得る共通的であるがよく理解されている要素は、例示した実施形態の表示の妨げを少なくするために図示されない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載された発明の原理は、例示的な実施形態のコンテキストにある。また、請求項の範囲内で図示された実施形態に対して多様な修正が加えられ得るのは、本明細書の教示により、当業者には明らかであろう。すなわち、本明細書に示され、記載された実施形態に係るいかなる制限も意図されるか、または、類推されるべきではない。
【0016】
正方晶系ホイスラー化合物がMRAM応用分野で重要であることを見出した。現在のMRAM装置は、磁気トンネル接合(MTJ)を保存要素として使用する。シンプルなMTJは、トンネルバリア層で分離された二つの磁性層を含む3層構造である。コバルト鉄ホウ素(Co/Fe/B)を使用する現在のMTJは、フィルム表面に垂直な磁化を有する磁性層を提供できる(すなわち、好ましい垂直磁気異方性(PMA)を示す)。Co-Fe-B層の垂直磁気異方性(PMA)は、このような層と、トンネルバリアおよび/またはCo-Fe-B層が蒸着される下地層の間の界面から発生する。したがって、これらの層は、界面PMAが磁気体積から発生し、Co-Fe-B層の磁気体積に比例して増加する磁気消去エネルギを克服するように、十分に薄くしなければならない。しかし、高いモーメントには高いスイッチング電流が必要である。一つ以上の実施形態は、有利には、PMAを提供するが、従来技術の装置に比べて、より低いモーメント、および、それに伴い減少したスイッチング電流を有する。
【0017】
磁性材料は、表面(界面)PMAより体積PMAを有することが好ましいが、これは、装置をより小さなサイズ(一般的には、より小さい直径)にスケーリングすることができるからである。装置の大きさが小さくなると、装置の熱安定性が低下する。しかし、体積異方性がある素子の場合、厚さを増加させて熱安定性の低下を補完できる長所がある。スイッチング電流は、積(Ms V Hk)に比例し、ここで、Msは飽和磁化、Vは体積、Hkは異方性フィールドである。低いモーメント(すなわち、低いMs)ホイスラー化合物は、Hkの増加が低いMsを圧倒しない限りより低いスイッチング電流が必要である。
【0018】
したがって、MRAM適用の場合、すべての磁性元素が、層自体に垂直なモーメントを有することが好ましい(すなわち、フィルム平面に垂直な磁化-結晶構造で発生するPMA)。低い磁化および低いスイッチング電流が好ましい。本発明者らは、PMAを達成する一つ方法は、ホイスラー化合物の使用によるものであることを見出した。通常、ホイスラー化合物は、立方体である傾向がある。したがって、薄膜が成長し、磁気モーメントは、層の平面にある。MRAM適用のためのMTJの場合、磁性層の磁気モーメントが、層に垂直であることが非常に好ましい。ホイスラー化合物のモーメントを垂直にする一つ方法は、Mn
3Z(ここでZ=Ga、Ge、SnまたはSb)のように、本質的に正方晶系であるホイスラー化合物の小さいサブセットを選択することである。ホイスラー層からPMAを誘導する他の方法は、化合物を立方体から正方晶系に修正することである。3個の単位セル軸がすべて同じ長さになるようにする代わりに、軸の一つが少し長い(またはより短い)場合、結晶対称性が破れるから、磁化が垂直になることができる。
図4および
図5に関して、本明細書の他の箇所で説明したホイスラー材料の単位セルが、単一元素のみを有する単純な結晶ではないので、本明細書の他の箇所で説明した媒介変数c’が適切であることは注目に値する(c=aが立方体という単純な関係は、複数の要素があるセルに適しない)。正方晶系の場合、軸の一つが、立方体の場合に比べて長くなる(または、短くなる)。
【0019】
図1は、体積PMAを示す正方晶系ホイスラー化合物の態様を示す。
【0020】
体積PMAは、表面(界面)PMAを小型セルに拡張するのは難しいので好ましく、本発明者らの計算は、体積PMAが、有利に、より小さなサイズに拡張され得ることを示す。Mn3Geフェリ磁性ホイスラー化合物に注目して多、様な原子の磁気モーメントを考慮する。本明細書の他の箇所で説明したように、正方晶系の場合に、Z(垂直)軸は、立方体の場合に比べて「延伸する」(代案的な接近法では縮小も可能である)。バルク濃度のため、磁化は、フィルムに垂直になる傾向がある(すなわち、z軸に沿って)。ホイスラー層が適切なテンプレート層で(x-y)平面に垂直なz軸に成長する場合、フィルムの(x-y)平面に垂直なモーメントを有するようになる。
【0021】
ハーフメタリック(HM)磁性材料は、一つのスピンチャネルにおいてフェルミエネルギEFでバンドギャップを有する材料であるから、DOS(スピン1,EF)=0であり、他のスピンチャネルでは、正常な金属DOSであるDOS(スピン2,EF)>0(DOS=状態密度)である。理論的には、このような材料は、MRAM装置の電極として使用される場合は、無限のTMRを提供する。残念ながら知られているすべての半金属性ホイスラー化合物は、体積異方性が0の立方体であり(対称により)、このため、実際のSTT-MRAM装置には適しない。適切なテンプレート層を使用して、ホイスラー化合物に正方性を誘導できる面内方向にホイスラー化合物を変形させることができる。正方性はPMAの存在を意味し、垂直MTJでの使用に適することを示唆する。ホイスラー化合物の半金属性が、面内変形に対して堅固にすることができれば、このような垂直MTJのTMRが高くなり得るため、非常に好ましい。
【0022】
また、半金属性に関して、すべての材料にはアップスピンとダウンスピンがある。スピンチャネルのうち一つにバンドギャップがある場合、フェルミ準位で電流が流れると一つのスピンのみ動く。半金属は、高いTMRを達成するのに非常に有用である。一つ以上の実施形態は、エピタキシーにより立方体化合物を正方晶系にする。面内格子定数が面外格子定数と異なるものに強制する、テンプレート層(非制限的な例で、化学的テンプレート層)に材料を蒸着する。これにより、正方性が生じる。一つ以上の実施形態は、半金属性(すなわち、スピンチャネルのうち一つにバンドギャップを有する)が依然として維持されることを保障する。半金属であるホイスラー化合物が多くあることを見出した。約3千個のホイスラー化合物がある。100個未満は、半金属である。垂直磁気異方性を有するように、すなわち、磁化がフィルムに垂直になるように半金属特性を維持しながら、これらのうち少数のみを正方晶系にすることができる。これらの少数は、MRAMに有利に使用され、高いTMRを有する可能性が高い。
【0023】
一つ以上の実施形態の適切な態様は、異なるテンプレート層を使用することによって、公知にされた半金属立方体ホイスラー化合物の面内格子定数の変化である。したがって、このようなホイスラー化合物は、0でない体積異方性を有する正方晶になる。テンプレート層は、例えば、非磁性2元化合物(例えば、面内格子定数a=4.03Åを有するCoAl)であり得る。半金属磁性ホイスラー化合物は、例えば、公知の3元化合物(例えば、a=3.98Åを有するCo2MnSi)である。Co2MnSiは、CoAl層でエピタキシャル成長するときに変形される。面内格子定数の変化が大きくない場合(例えば、平衡立方格子定数から5%以内)、計算によれば、少なくとも一部のホイスラー化合物の場合、半金属性がそのまま維持される可能性がある。したがって、DFT(密度-関数理論)計算を用いて、体積異方性が0でない依然として半金属である、正方晶系ホイスラー化合物を決定した。また、これに関して、半金属性ホイスラー化合物自体は良く知られている。しかし、これまで知られているすべての半金属性ホイスラー化合物は立方晶格子構造を示し、PMAを示さなかった。本発明者らは、正方晶系結晶格子構造を有する半金属性ホイスラー化合物が、テンプレート層での成長によりPMAが得られることを見出した。本発明者らは、テンプレート層での成長が、半金属特性を維持しながら(例えば、xおよびyで「スクイーズ(squeezes)」しながらzで「ストレッチ(stretches)」)所望の正方晶系結晶格子構造を得るために、一方向に格子定数を「スクイーズ」するか「ストレッチ」することを見出した。エピタキシャル成長のためのベースとして使用されるテンプレート層を用いる計算に基づいて、このような化合物には高いTMRが予想される。
【0024】
一つ以上の実施形態は、(立方体形状と比較して)異なる面内格子定数を有する下地層(例えば、CoAl)を使用することによって、0でない異方性を有する正方晶系の半金属性ホイスラー化合物を有利にして、界面異方性に反対になる体積異方性を得る。一つ以上の実施形態は、ホイスラー半金属化合物を使用する。一つ以上の実施形態で、ホイスラー半金属化合物は、例えば、非磁性金属(例えば、CoAl)または磁性金属(例えば、また、半金属性ホイスラーである立方体Co
2MnSi)であり得る一般的な基板上で成長するので、正方晶系半金属性ホイスラーは、MRAMセルの下部電極になる。一方、一つ以上の実施形態で、ホイスラー半金属化合物は、半導体バリア(例えば、MgO)上で成長して、したがって、正方晶系半金属性ホイスラーは、MRAMセルの上部電極になる。
図3を参照する。媒介変数a_cubは、立方体形状の半金属に適用される面内立方格子定数(ここでは、a
cubともいう)である。このa_cub値が、例えば+/-0.3Åまたは+/-10%に変更されることができ、化合物が依然として半金属性を維持する場合、化合物は強力な半金属性を示すと見なされ、半金属性を失うことなく、正方晶を達成するためにテンプレート層で成長することができる。
【0025】
半金属は、あるスピン配向の電子に対しては、伝導体の役割をするが、反対配向の電子に対しては、絶縁体または半導体の役割をする物質であるという点が、注目に値する。知られている半金属は、強磁性(または、フェリ磁性)である。半金属で、あるスピン配向に対する価電子帯は、部分的に満たされる一方で、他のスピン配向に対する状態密度にはギャップがある。これにより最初のスピン配向の電子に対してのみ伝導挙動が発生する。一部の半金属では、大部分のスピンチャネルが伝導チャネルであり、他の半金属では、少数チャネルが伝導チャネルである。
【0026】
本発明者らは、面内格子定数が平衡立方値付近で0.20Å(または5%)内で変化する場合に、半金属性を維持する13個の半金属性ホイスラー(Mn2CoAl、Mn2CoAs、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Mn2FeSb、Co2CrAl、Co2CrGe、Co2CrSi、Co2MnGe、Co2MnSb、Co2MnSi、Fe2MnSi)を確認した。
【0027】
再び
図1を参照すると、ここで、化学的テンプレート層の態様を考察する。Mn
3Geのようなホイスラー化合物は、Mn-MnおよびMn-Ge原子の交互層を含む。
図1で、陰影301を有する原子は、Ge原子(主族)を示し、陰影303を有する原子は、X
2YZ(Zにより四面体配位される)のX-位置のMn原子を示し、陰影305を有する原子は、X
2YZ(Zにより八面体配位される)のY-位置の元素Mn原子を示す。Mnは遷移金属であり、Geは周期表の主族である。交互層の一つは、遷移金属原子303のみを含み、他の層は、遷移金属原子305とともに主族元素原子301を含む。したがって、面内格子定数と格子整合する単一元素を含むシード層は、室温のような低温で整列したホイスラー化合物の成長を促進しない。理想的なシード層は、遷移元素と主族元素の2元化合物を含む。また、この理想的なシード層は、この二つの要素を含む交互層構造を有している。一層には、遷移金属のみがある。他の層には、主族金属のみがある(X
2YZの「Z」も主族金属である)。この2元化合物は、CsCl類似(塩化セシウム類似)構造を有している(ここで、各セシウムイオンは8個の塩化物イオンにより配位される)。例示的なテンプレート層は、CoAl、CoGaなどを含む。
【0028】
ここで、
図2を参照すると、一つ以上の実施形態は、CsCl-型化学的テンプレート層(CTL)401(CoAlは優れたCsCl-型CTLの例である)を用いて、さらに、超薄膜の厚さおよび室温でも整列したホイスラー化合物の成長を促進する。「E」は例えばAlに該当し、「A」は例えばCoに該当する。
図2で、ビュー421は概略図であり、ビュー423は透過電子顕微鏡(TEM)イメージである。Mn
3Ge、またはMn
3Sn、またはMn
3Sb(403)のようなホイスラー化合物は、CoAl層401の上部でエピタキシャル成長する。超薄型(<~25Å)ホイスラー化合物の面内格子定数は、CoAl CTLと類似する。適切なCTLを選択して、ホイスラーを他の程度に変形させることができる。3元ホイスラー化合物もCTLにより整列できることを見出した。図示のように、Mn(一般的には、X)は、Al上で成長し、Ge(一般的には、Z)は、Co上で成長する。原子的段階405に注目する。ホイスラー材料は変形され得るので、テンプレート材料の面内格子定数を採択する。一つ以上の実施形態は、テンプレート層の格子定数をホイスラー層に課す。ビュー423で、CoAl(401)は、Al層409およびCo層411を含み、MnSbは、MnMn層413およびMnSb層415を含むことに留意する。MgOトンネルバリア407に注目する。最も著しい正方晶系化合物3種は、Mn
3Ge、Mn
3Sn、およびMn
3Sbであり、Mn
3Sbは、MnとSbのZの差が大きいため、TEMイメージ423でよく見える。
【0029】
文献で(理論的に)ハーフメタリック(HM)と主張する90個の立方体ホイスラー化合物を調べた。本発明者らは、DFT/GGA(Generalized Gradient Approximation)およびDFT/LDA(Local Density Approximation)方法を適宜計算に用い、このような化合物の一部は実際にHMであり、一部はHMではないが、スピン分極が大きく、一部はHMでなく、相対的に小さいスピン分極を有することを見出した。特に、研究された90個の化合物のうち、
図3に示すように、スピン分極>99%である30個の化合物、スピン分極=100%(真の半金属)の22個の化合物、および半金属状態を維持する17個の化合物に注目し、この時、面内格子定数aは、該当立方格子定数a
cub付近で0.16Åだけ変化する。規則(「reg」)フルホイスラー合金は、X
2YZ結晶構造を有するが、逆(「inv」)ホイスラー合金は、(XY)XZ結晶構造を有することは注目に値する。これは、
図3の第2列に表示されている(第1列は関連する化合物を羅列する)。化合物が逆であるか規則であるかは、それが強磁性あろうとフェリ磁性であろうと変わらない。Mn
2またはMn
3化合物は、フェリ磁性である傾向があるが、Co
2化合物は、強磁性である傾向がある。第3列には、上で定義したa_cub媒介変数が羅列される。第4列は、総モーメントm_totを示す。第5列は、2次元表面ブリユアンゾーン(Brillouin zone)のГ地点で、フェルミエネルギでの伝導スピンチャネルにおけるΔ1対称状態の存在または不在を示すmajのうちパラメータΔ1 symを示す。MgOトンネルバリアがあるMTJで、Г地点のΔ1対称電子が、最も高い伝導を有すると知られている。ホイスラー/MgO/Fe MTJで、Δ1対称を有するホイスラー(第5列に「はい」で表示)はTMRをさらに向上させる。したがって、第2列から第5列は立方体構造に係る適切なデータを示す。
【0030】
最も大きいKvを生成する半金属の範囲で最適な格子定数aと関連するデータを示す第7列から第13列を参照する。Kmcは、結晶磁気異方性、Kshは、形状異方性、Kv=Kmc-Kshである。Kvは、PMAを示し、PMAがある材料の場合>0でなければならない。媒介変数c’、m_tot、およびSPは、本明細書の他の箇所で定義されている。
【0031】
SP>0.99であるaの範囲に好適なデータを示す第16列ないし第18列を参照すると、このコンテキストにおける媒介変数a_minおよびa_maxは、スピン分極(SP)>0.99であり、幅は、a_max-a_minである。SP=1であるaの範囲に適切なデータを示す第20列ないし第22列を参照すると、このコンテキストにおける媒介変数a_minおよびa_maxは、SP=1であり、幅は再びa_max-a_minである。
【0032】
本発明者らは、acub付近でaが0.30Åだけ変化するとき半金属性を維持する、Mn2FeSb、Mn2CoAl、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Co2CrAl、Co2CrSi、Co2MnSb、およびCo2MnSiの9個の化合物を識別した(これらのすべての化合物は列1に強調表示されている)。また、Mn2MnAlは、幅が狭いがPMAが強い点で強調されている。これらの化合物は、acub付近で4%以内の格子定数の変化(各方向に)により破壊されにくい非常に安定した半金属性を有している。計算は、MRAM装置の電極に対する最も有力な候補が、100%スピン分極とa=4.03Åでの異方性定数Kv=1.15MJ/m3を有するMn2FeSbであることを示す。Kvが0より大きいのが適切であり、値が高いほど、より良いことは理解されるであろう。したがって、表は、SP=1であるときa=4.03Åで>0.2MJ/m3であるすべてのKv値を強調表示する。一つ以上の実施形態では、スピン分極SP=1である。第18列で、表は少なくとも0.2Åであるすべての幅を強調表示する。
【0033】
また、MgOバリアと共に、計算の結果、上で確認したHM化合物の一部(Mn2FeSbを含む)がフェルミエネルギを交差する、このスピンチャネルでГ-Zライン(k||=ブリルアンゾーンの0ライン)に沿ってΔ1対称バンドの存在により伝導性スピンチャネルで向上した伝送を示している。
【0034】
ここで
図4、5、および6を参照する。
図4は、立方体Mn
2FeSbを示す。
図5は、正方晶系Mn
2FeSbを示す。Mn
2FeSbは、低いモーメントと大きい異方性定数を有する正方晶系半金属性ホイスラーである。
図6は、立方体および正方晶系の形態に対するDOSを比較する。
【0035】
aが4.23Åから4.03Åに減少すると、E
Fは少数バンドギャップ内に滞留するが、大多数の状態バンドは、より高いエネルギに移動することを見ることができる。また、a=4.09Å付近で相転移により磁気モーメントが3.0μ
Bから1.0μ
Bに変化する(
図7a、7b、7c、7d、7eおよび7fを参照)。
図4で、立方体Mn
2FeSb、a
cub=4.23Åに対して、c’=c/(2a)=0.707の場合、総モーメントは、Mn原子601で-1.0μ
B、Mn原子603で+2.8μ
B、およびFe原子605で+1.2μ
Bを含んで3.0μ
Bである。
図5で、正方晶系Mn
2FeSb、a
cub=4.03Å,c’=c/(2a)=0.858の場合、総モーメントは、Mn原子601で-2.5μ
B、Mn原子603で+2.8μ
B、および、Fe原子605で+0.7μ
Bを含んで1.0μ
Bである。また、
図4および5で、Sb原子604に注目する。
図6は、立方体および正方晶系の場合についての電子ボルトでE-E
Fに対する電子ボルト当たりの状態のDOSを示す。
【0036】
図7a、7b、7c、7d、7eおよび7fは、面内格子定数aに対するMn
2FeSb特性の依存性を示している。4.09Å未満の面内格子定数で、Mn
2FeSbが低モーメント正方晶系システムに相変換することに注目する。特に、ビュー901は、スピン分極およびc’を示し、ビュー903は、モーメントを示し、ビュー905は、c’を示し、ビュー907は、Ry当たりの状態で二つのスピンチャネルの両方に対するDOSを示し、ビュー909は、電子ボルトで総エネルギE
totを示し、ビュー911は、ミリ電子ボルト単位の単結晶異方性定数Kmcを示す。
【0037】
引き続き、
図4ないし7を参照すると、格子定数aは、x軸に沿っており、格子定数cは、z軸に沿っている。無次元媒介変数c’=c/(2a)を定義する。立方体の場合、c’=1/(Sqrt(2))=0.707;c’>0.707またはc’<0.707である場合、結晶構造は、これ以上立方体ではない。
図5に示す正方晶系の形態においてaは、xおよびy方向の両方で同一であるが、立方体形状のaより小さいと(
図4)、正方晶系の場合の媒介変数cは、立方体の場合よりも大きい。
【0038】
上述したように、正方晶系の場合は適切なテンプレート層上での成長により生成されることができる。検討すると、テンプレート概念では、テンプレート層が成長し、他の層(例えば、ホイスラー化合物)がその上に成長する。テンプレートは、本質的にテンプレート層から成長する層が下地層/シード層の格子定数aまで成長することを意味する。ポアソン(Poisson)比と同様に、aを変更すると、cも変更され、aが縮小されると、cが増加する(逆に、aが増加すると、cが縮小される)。ホイスラー層の格子定数aは、テンプレート層(a
TL)の格子定数より大きいので、テンプレート層は、ホイスラー層の格子一致のために45゜回転する。
図9を参照して、次の議論のためにa
TL’をSqrt(2)*a
TLと定義する。aは、
図4の立方体形状の4.23Åから
図5の正方晶系の形態の4.03Åに減少するので、cは増加する。材料は単位セル体積を維持しようとする。再び
図2を参照すると、CoAlは層状構造である。ホイスラー化合物403で、すべてのMn層は遷移金属のみを含むので、テンプレート層のAlで成長することを好むが、また、主族元素を有しており、Coで成長することを好むので、材料403で整列が得られる。原子的段階405は、テンプレート層401に内在しているが、ホイスラー材料403の順序を妨げない。
【0039】
図8は、本発明の態様により高いPMAに対して最適な面内格子定数を有する半金属性ホイスラー化合物を示し、ホイスラー化合物Mn
2FeSb、Co
2CrAl、Mn
2MnAl、Mn
2CoSi、Mn
2CuSi、Co
2CrGe、Mn
2CoGe、Mn
2CoAl、Co
2TiSi、およびMn
2CoSbは強力なPMA(有意味にKv>0)を有し、半金属(SPは1)である。Mn
2MnAl(すなわち、Mn
3Al)は、計算によれば、相当なTMR向上を提供しなければならないMn
3Geのような半金属でないPMAホイスラー化合物と共に分極向上層として使用できる。面内格子定数aは、適切なCTLの選択によって変化し得る。列は各化合物について面内格子定数a、c’、総モーメント、異方性定数、およびスピン分極を示す。
【0040】
図9は、候補CTL物質を示す。いくつかのCTL材料に対する面内格子定数であるa
TLは、広い範囲の値で調整することができる。このような「a
TL」値は、基底のシード層で誘導された変形率および/または公称1:1値で組成変更によりさらに調整することもできる。一つ以上の実施形態で異なる格子定数は「混合および一致」し得る。例えば「混合および一致」と関連して、CoAlの格子定数は2.86Åであり、RuAlの格子定数は2.95Åである。原則として、ホイスラー化合物がRuAlで成長する場合、ホイスラー化合物は、RuAl格子定数に従おうと試みるのでCoAlで成長する場合とは異なって延伸する。すなわち、正方晶系の延伸程度は、正方晶系ホイスラー材料がいかなる基板で成長するかによって変わる。
【0041】
図10は、保存層1205として半金属性ホイスラー化合物を有する実施形態を示す。
【0042】
シード層1203は、典型的にはCTLを含み、基板1201上に位置する。基板1201は、一般的に個別装置の選択を許容するトランジスタおよびアクセスラインのようなCMOS回路を有するシリコンである。本明細書に記載された新規のセルの他に、従来のトランジスタ、アクセスライン、周辺回路などを使用することができる(以下の
図12の説明を参照)。CTLまたは多層CTLまでも、可能な場合、基板の真上、または、より一般的には、基板上に蒸着されたシード層のような適切な表面で成長することができる。シード層の非制限的な例は、タンタル、タンタル-ルテニウム、クロム、マンガン、窒化マンガンなどを含む。半金属性ホイスラー層1205は、CTL上に位置し、例えば、CTL上のエピタキシャル成長により形成されることができる。分極向上層1207は、選択的に層1205の外側に位置し、存在する場合、層1207は、例えば、コバルトのような磁性材料の薄層を含むことができる。トンネルバリア1209は、層1207(存在する場合)の外側に位置し、そうでなければ、層1205の外側に位置し、バリア1209は、例えば、MgO、MgAl
2O
4などを含むことができる。磁性層1211は、従来のコバルト、鉄、ニッケル、または合金を含むか、また、ホイスラーまたはハーフ-ホイスラー材料を含むことができる。存在する場合、合成反強磁性体(SAF)層1213は、層1211の外側に位置する。一般的に、合成反強磁性体(SAF)層は、必要な性能を達成するために基底磁性層に磁気的にカップリングされたCo/Pt多層(図示せず)を含む。Ta、またはIr、またはRu(数Å程度)の薄層(図示せず)は、一般的に、磁性層とSAF層の間に介在し得る。キャップ層1215は、層1213(存在する場合)の外側に位置し、そうでなければ、層1211の外側に位置する。キャップ層は、Mo、W、Ta、Pt、Ru、または、これらの組み合わせを含むことができる。
図10で、両矢印1221は、磁化が変化できる保存層を示し、片矢印1223は、磁化が一定/固定された基準層を示す。
【0043】
図11は、基準層として半金属性ホイスラー化合物を使用した実施形態を示す。
【0044】
シード層1303は、典型的には、CTLを含み、基板1301上に位置する。半金属性ホイスラー層1305は、CTL上に位置し、例えば、CTL上のエピタキシャル成長により形成されることができる。分極向上層1307は、選択的に、層1305の外側に位置する。トンネルバリア1309は、層1307(存在する場合)の外側に位置し、そうでなければ、層1305の外側に位置する。磁性層1311は、従来のコバルト、鉄、ニッケル、または合金を含むか、また、ホイスラーまたはハーフ-ホイスラー材料を含むことができる。キャップ層1313は、層1311の外側に位置する。
図11で、両矢印1323は、磁化が変化できる保存層を示し、片矢印1321は、磁化が一定/固定された基準層を示す。
図10の材料に関する説明は、
図11にも一般的に適用可能である。
【0045】
図10および
図11の両方において、製造工程でのエピタキシャル成長により、ホイスラー層は、典型的には、テンプレート層の最上部に位置する。
【0046】
したがって、ほぼ~4%の相当な面内格子変形率を適用しても半金属性を維持する、9個の半金属性ホイスラー化合物を確認した(変形率は、acub付近で0.30Ådだけ多様である)。これらの化合物は、Mn2FeSb、Mn2CoAl、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Co2CrAl、Co2CrSi、Co2MnSb、およびCo2MnSiである。これらの化合物は、格子定数の変化(各方向に)により破壊されにくい、非常に安定した半金属性を有している。実験的に、このような変形は、CoAlのようなCTLでこのような化合物のエピタキシャル成長により達成することができる。
【0047】
計算は、MRAM装置の電極に対する有力な候補が、100%スピン分極とa=4.03Åで異方性定数Kv=1.15MJ/m3を有するMn2FeSbであることを示す。Mn2FeSbはMn3Geと同等の低いモーメントを有する。また、MgOバリアと共に、計算の結果、上で確認した9個の化合物のうち8個(Mn2CoAlを除く)が、フェルミエネルギを交差するこのスピンチャネルで、Г-Zライン(k||=ブリルアンゾーンの0ライン)に沿ってΔ1対称バンドの存在により、伝導性スピンチャネルで向上した伝送を示す。
【0048】
計算によれば、MRAM装置に対する有力な候補分極向上層は、Mn2MnAl(Mn3Al)であり、これは、100%スピン分極とa=4.03Åで大きな異方性定数Kv=0.775MJ/m3(すなわち、Mn3AlはPMAを示す)を有する。Mn2MnAlは、ゼロモーメントを有し、自由層磁気モーメントを増加させることなく、自由層のスピン分極を向上させるためにMn3Geの最上部で成長することができる-計算はこの界面層で低いスイッチング電流が維持できることを示す。
【0049】
したがって、一つ以上の実施形態は装置を含み、装置は再び多層構造を含む(例えば、
図10および11)。多層構造は、標的の面内格子定数(例えば、1203,1303のCTL)を有するCsCl構造を有する2元合金を含む、室温で非磁性である第1層を含む。また、磁化が層に実質的に垂直な半金属性ホイスラー化合物を有する第2層1205,1305が含まれる。当業者には理解されるように、典型的には、磁化は固定されず、かえって、磁化は0でない温度で、こまのように歳差運動する。これは、温度によって変化し得る。このような歳差運動の観点から、本明細書で使用される直角度は、磁化経路の時間積分/平均の直角度を意味する。磁化経路の時間積分/平均は、例えば、「正確に」垂直、=/-5%以内の垂直、または、+/-10%以内の垂直であり得る。
【0050】
一部の場合に、半金属性ホイスラー化合物にはMn2FeSbが含まれ、一部のそのような場合に、半金属性ホイスラー層は、例えば、5nm未満の厚さを有する。一部のそのような場合に、2元合金であるテンプレート層または化学的テンプレート層は、A1-xExで表され、ここで、Aは遷移金属元素であり、Eは主族元素である。例えば、AはCoを含み、Eは少なくともアルミニウムまたはガリウムを含み、できる限り微量の他の元素(例えば、AlまたはGa、またはGa、Ge、Sn、またはこれらの任意の組み合わせとのAl合金、例えばAlSn、AlGe、AlGaGe、AlGaSn、AlGeSn、およびAlGaGeSn)を含み、xは0.42~0.55の範囲である。一部のそのような場合に、トンネルバリア1209,1309は、半金属性ホイスラー層と接触して位置し、トンネルバリアは、例えば、MgOを含むことができる(マグネシウムアルミニウム酸化物は、Mg1-zAl2+(2/3)zO4形態を有するマグネシウムアルミニウム酸化物を有するMgOに対する適切な代案であり、ここで-0.5<z<0.5である)。
【0051】
一つ以上の実施形態で、半金属性ホイスラー化合物は、Mn2FeSb、Mn2CoAl、Mn2CoGe、Mn2CoSi、Mn2CuSi、Co2CrAl、Co2CrSi、Co2MnSb、およびCo2MnSiからなる群より選択され、半金属性ホイスラー層は、例えば、5nm未満の厚さを有し、一部のそのような場合に、2元合金であるテンプレート層または化学的テンプレート層は、A1-xExで表され、ここで、Aは遷移金属元素であり、Eは主族元素である。例えば、AはCoを含み、Eは少なくともアルミニウムまたはガリウムを含み、できる限り微量の他の元素を含み、前述の通り、xは0.42から0.55の範囲にある。一部のそのような場合に、トンネルバリア1209,1309は、半金属性ホイスラー層と接触して位置し、トンネルバリアは、例えば、MgOを含むことができる(マグネシウムアルミニウム酸化物は、MgOに対する適切な代案である)。
【0052】
半金属性ホイスラー化合物は、化学量論式で示され、これは、公称値から最大数%までの小さい変動を排除しないことに注目しなければならない。テンプレート層は、
図9に列挙した任意の材料を含むことができるが、これらの材料に制限されない。
【0053】
ここで、
図12を参照すると、MRAM装置1202のアレイが示されている。
【0054】
それぞれのセル1202(例えば、
図10または
図11の実施形態)は、読み書きを制御するそれぞれのトランジスタ1204に連結される。ワード線1206は、セル1202に記録するためのデータを提供し、ビット線1210およびビット線補体1208は、セル1202からデータを判読する。このような方式で、単一チップに大きなアレイのメモリ素子アレイを実装することができる。製造工程および設計仕様の制限内で、任意の多数のセル1202を使用することができる。
【0055】
セル1202にデータを記録することは、セルを介して電流を通過させることを含む。この電流により、磁化方向が並列または逆並列状態の間で転換されて、低抵抗と高抵抗の間を転換する効果がある。この効果は、デジタル情報の1と0を示すために使用できるので、セル1202は、不揮発性メモリとして使用できる。セル1202を介して一方向に電流を通過させれば、自由層1205,1311の磁化が基準層1211,1305の磁化と平行することになるが、セル1202を介して他の方向に電流を通過させれば、自由層1205,1311の磁化が基準層1211,1305と逆平行になる。セル1202に保存されたビットを判読することは、セル1202に電圧(情報記録に使用されることより低い)を印加して、セルが電流に対して高い抵抗(「1」)または低い抵抗(「0」)を提供するかを発見することを含む。
【0056】
半導体素子の製造には、装置パターニング工程の多様な段階が含まれる。例えば、半導体チップの製造は、例えば、複数のCAD(computer aided design)生成装置パターンから開始することができ、その後、このような装置パターンを基板に複製しようとする努力が続く。複製工程には、多様な露出技術と多様なサブトラクティブ(エッチング)および/または追加(蒸着)材料処理プロセスの使用が含まれ得る。例えば、フォトリソグラフィ工程で、フォトレジスト材料の層が先に基板の上部に塗布されることができ、その後、所定のデバイスパターンまたはパターンによって、選択的に露出することができる。光やその他イオン化放射線(例えば、紫外線、電子ビーム、X線など)に露出したフォトレジスト部分は、特定の溶液に対する溶解度に若干の変化が発生し得る。その次に、フォトレジストを現像液で現像して、フォトレジストパターンまたはフォトマスクを生成するためにレジスト層の照射されていない部分(ネガ型レジストで)または照射された部分(ポジ型レジストで)を除去することができる。フォトレジストパターンまたはフォトマスクは、その後、フォトレジストパターンの下の基板にコピーまたは転写することができる。
【0057】
半導体構造を生成する多様な段階で材料を除去するために、当業者によって使用される数多くの技術がある。本明細書では、これらの工程を総称して「エッチング」と呼ぶ。例えば、エッチングは、湿式エッチング、乾式エッチング、化学的酸化物除去(COR)エッチング、イオンミリング、および反応性イオンエッチング(RIE)の技術を含み、これらは、いずれも半導体構造を形成するときに選択材料を除去する既知の技術である。標準洗浄液1(SC1)は、強塩基、一般的に水酸化アンモニウムおよび過酸化水素を含む。SC2には、塩酸および過酸化水素のような強酸が含まれている。エッチングの技術および適用は当業者にはよく理解されているので、そのような工程に係るより詳細な説明は、本明細書では提供されない。
【0058】
テンプレート層上の半金属性ホイスラー材料のエピタキシャル成長を含む全体的な製造方法およびそれによって形成される構造は、新規であるが、方法を具現するために必要な特定の個別の処理段階は、従来の半導体製造技術および既存の半導体製造ツーリングを活用することができる。これらの技術およびツーリングは、本明細書で教示された関連技術分野の当業者にはすでによく知られている。また、半導体素子を製造するために使用される一つ以上の処理段階およびツーリングは、例えば、次を含んで容易に入手可能な多数の刊行物に説明されている:文献[James D. Plummer et al., Silicon VLSI Technology: Fundamentals, Practice, and Modeling 1st Edition, Prentice Hall, 2001 and P.H. Holloway et al., Handbook of Compound Semiconductors: Growth, Processing, Characterization, and Devices, Cambridge University Press, 2008]、これらは両方とも、本願に参照により含まれる。一部の個別の処理段階が本明細書に記載されているが、このような段階は、単に例示的なものであり、当業者は、適用できるいくつかの同等に適した代案に精通している可能性があることを強調する。
【0059】
添付の図面に示す多様な層および/または領域は、縮尺どおりに描かれていない場合があることを理解しなければならない。また、このような集積回路装置に一般的に使用されるタイプの一つ以上の半導体層は、説明の便宜上、所与の図面に明示的に図示されない場合もある。これは、明示的に示されていない半導体層が、実際の集積回路装置で省略されていることを意味するものではない。
【0060】
これまでの議論を勘案すると、一般的に、例示的な磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルは、交互層格子構造を有する2元合金(例えば、401)を含むテンプレート層(例えば、1203または1303の一部)を含むことが理解されるであろう。また、正方晶系格子構造を有する半金属性ホイスラー材料(例えば、403)を含む半金属性ホイスラー層1205,1305が含まれる。半金属性ホイスラー層は、テンプレート層の外側に位置し、半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なるホイスラー面内格子定数を有する。
図4および5の説明を参照する。セルは、半金属性ホイスラー層の外側のトンネルバリア1209,1309およびトンネルバリア外側の磁性層1211,1311をさらに含む。磁性層は、例えば、従来の材料またはホイスラーまたはハーフ-ホイスラー材料であり得る。
【0061】
具体的に
図10を参照すると、一部の場合、半金属性ホイスラー層1205は、保存層を含み、磁性層1211は、基準層を含む。一方、具体的に
図11を参照すると、一部の場合、半金属性ホイスラー層1305は、基準層を含み、磁性層1311は、保存層を含む。
【0062】
半金属性ホイスラー化合物は、Mn
2FeSb、Mn
2CoAl、Mn
2CoGe、Mn
2CoSi、Mn
2CuSi、Co
2CrAl、Co
2CrSi、Co
2MnSb、およびCo
2MnSiで構成されたグループより選択されることができる。一部の場合、半金属性ホイスラー層の厚さは5nm未満である。
図10の例示的な材料スタックは、Si基板/50ÅTa/3ÅCo20Fe60B20/200ÅMn3N/300ÅCoAl/14ÅMn
2FeSb/12ÅMgO/11ÅCo20Fe60B20/3ÅTa/[2.5ÅCo/5ÅPt]2/5ÅCo/9ÅRu/5ÅCo/5ÅPt/[2.5ÅCo/5ÅPt]4/5ÅPt/100ÅRuであり得る。
図11の例示的な材料スタックは、Si基板/50ÅTa/3ÅCo20Fe60B20/200ÅMn3N/300ÅCoAl/25ÅMn
2FeSb/12ÅMgO/11ÅCo20Fe60B20/100ÅRuであり得る。
【0063】
一部の場合、半金属性ホイスラー化合物はMn2FeSbを含み、ここでまた、一部の場合、半金属性ホイスラー層の厚さは5nm未満である。
【0064】
一つ以上の実施形態で、トンネルバリア1209,1309は、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムマグネシウムからなる群より選ばれる。
【0065】
一つ以上の実施形態で、テンプレート層の2元合金は、式A1-xExで表され、ここで、Aは遷移金属元素であり、Eはアルミニウムおよびガリウムの少なくとも一つを含む主族元素であり、xはその範囲が0.42~0.55である。
【0066】
一部の場合、テンプレート層の交互層格子構造は塩化セシウム構造を含む。
【0067】
一部の場合、テンプレート層が室温(すなわち、20℃)で非磁性である。
【0068】
一つ以上の実施形態で、テンプレート層は、テンプレート層の面内格子定数を有し、ホイスラー面内格子定数は、テンプレート層の面内格子定数と実質的に一致する。本明細書で使用されるように、ホイスラー面内格子定数は、テンプレート層の面内格子定数と一致するとき、または、正方晶系ホイスラー材料の面内格子定数が立方体ホイスラー材料の面内格子定数からテンプレート材料の面内格子定数に向かって移動するとき、テンプレート層の面内格子定数と「実質的に一致」する。一部の場合、ホイスラー面内格子定数は、+/-10%内でテンプレート層の面内格子定数と一致する。一部の場合、ホイスラー面内格子定数は、+/-5%内でテンプレート層の面内格子定数と一致する。半金属性ホイスラー材料は、例えば、半金属性ホイスラー層に実質的に垂直な磁化を有する。
【0069】
他の態様で、
図12を参照すると、磁気抵抗ランダムアクセスメモリアレイは、複数のビット線-相補ビット線対を形成する、複数のビット線1210および複数の相補ビット線1208を含む。複数のワード線1206は、複数のセル位置で複数のビット線対と交差する。複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル1202は、複数のセル位置それぞれに位置する。それぞれの磁気抵抗ランダムアクセスメモリセル1202は、相応するビット線1210に電気的に接続され、ワード線1206のうち相応するものの制御下に、相補ビット線1208のうち相応するものに選択的に相互接続される(例えば、それぞれのトランジスタ1204は、ゲートに印加されたワード線1206からの信号により、ターンオフまたはオンされる電界効果であり、これは、読み書きを制御し、セルが相補ビット線にカップリングされるかどうかを制御する)。
【0070】
複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルそれぞれは、
図10または
図11に示すように、交互層格子構造を有する2元合金を含むテンプレート層、正方晶系格子構造を有する半金属性ホイスラー材料を含む半金属性ホイスラー層であって、テンプレート層の外側に位置し、半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なるホイスラー面内格子定数を有する半金属性ホイスラー層、半金属性ホイスラー層の外側のトンネルバリア、および、トンネルバリアの外側の磁性層を含み、これらすべては、本明細書の他の箇所に記載されている。典型的には、
図10および
図11に示す装置のキャッピング層(1215または1313)は、ビット線1210に連結されるが、層(1203または1303)は、アクセスFETを介してビット線補体1208に連結される。
【0071】
また他の態様で、例示的な動作方法は、前述のようなアレイを提供する段階、セル1202の第1サブセットがロジック1を保存し、セル1202の第2サブセットがロジック0を保存するようにワード線1206に信号を印加する段階、および、ビット線1210および相補ビット線1208を介して保存されたロジック1および0を判読する段階、を含む。
【0072】
また、他の態様で、
図13を参照すると、(
図10または11のような)磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルを形成する例示的な方法は、段階1301によりテンプレート層(例えば、1203または1303の一部、
図2の層401を参照)を提供する段階、を含む。テンプレート層は、交互層格子構造を有する2元合金を含み、テンプレート層の面内格子定数を有する。追加段階は、テンプレート層上に半金属性ホイスラー層(例えば、1205または1305、
図2の層403を参照)をエピタキシャル成長させることを含む。半金属性ホイスラー層は、半金属性ホイスラー素材を含む。半金属性ホイスラー層は、テンプレート層上に成長され、ホイスラー材料は、正方晶系格子構造および半金属性ホイスラー材料の立方体形状の面内格子定数と異なるホイスラー面内格子定数を有する。ホイスラー面内格子定数は、テンプレート層の面内格子定数と実質的に一致する。追加段階は、半金属性ホイスラー層の外側にトンネルバリア(例えば、1209または1309、
図2の層407を参照)を形成する段階、および、トンネルバリアの外側に磁性層1211,1311を形成する段階を含む。方法は、また、本明細書の教示で、当業者に明らかな技術を使用して、
図10および11に示す他の要素を提供および/または形成することを含むことができる。セルは、同時に複数のセルを形成し、本明細書の教示により、当業者に自明な方式で、これらをワイヤ、トランジスタ、および周辺回路と相互連結することにより、アレイに組み込まれ得る。
【0073】
当業者は、上述の例示的な構造が加工されていない形態(すなわち、多数のパッケージングされていないチップを有する単一のウエハ)、ベアダイ、パッケージ形態で分配されるか、MRAMなどで正方晶系半金属性ホイスラー化合物から利益を得る中間製品または最終製品の一部として統合され得ること、を認識するであろう。
【0074】
本発明の態様による集積回路は、本質的に、MRAMなどの正方晶系半金属性ホイスラー化合物が有益な、任意の応用および/または電子システムに用いられる。本明細書に提供された本開示の内容の教示が与えられれば、当業者は、本明細書に開示された実施形態の他の実現および適用を考慮することができるであろう。
【0075】
本発明のいくつかの態様またはその要素は、メモリおよびメモリにカップリングされ、例示的な方法段階を行うように動作する少なくとも一つのプロセッサを含む、装置の形態で実現することができる。
図14は、本発明の一つ以上の態様および/または要素を実装する際に有用なコンピュータシステムを示し、ここで、クラウドコンピューティングノードと呼ばれるが、クラウドまたはローカルとして提供され得るサーバ、汎用コンピュータなどを代表したりもする。このようなコンピュータは、半導体の設計および/または製造を制御することができ、または、例えば、本明細書に記載されたメモリセル/アレイを使用できることに留意する。
【0076】
クラウドコンピューティングノード10には、数多くの他の汎用または専用コンピューティングシステム環境または構成で動作するコンピュータシステム/サーバ12が存在する。コンピュータシステム/サーバ12とともに使用するのに好適な周知のコンピューティングシステム、環境、および/または、構成の例は、パーソナルコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、シンクライアント(thin client)、シッククライアント(thick client)、ハンドヘルドまたはラップトップ装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラマブル家電製品、ネットワークPC、ミニコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、および、前記システムまたは装置を含む分散型クラウドコンピューティング環境、などを含むが、これに制限されない。
【0077】
コンピュータシステム/サーバ12は、コンピュータシステムによって実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータシステム実行可能命令の一般的なコンテキストで説明することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定の作業を実行するか、または、特定の抽象データタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、ロジック、データ構造などが含まれ得る。コンピュータシステム/サーバ12は、通信ネットワークを通じて連結された遠隔処理装置により作業が行われる分散型クラウドコンピューティング環境で実施することができる。分散型クラウドコンピューティング環境で、プログラムモジュールは、メモリストレージデバイスを含む、ローカルおよび遠隔コンピュータシステム保存媒体の両方に位置することができる。
【0078】
図14に示すように、クラウドコンピューティングノード10のコンピュータシステム/サーバ12は、汎用コンピューティング装置の形で示されている。コンピュータシステム/サーバ12の構成要素は、一つ以上のプロセッサまたは処理装置16、システムメモリ28、およびシステムメモリ28を含む多様なシステム構成要素をプロセッサ16に連結するバス18を含むことができるが、これに制限されない。
【0079】
バス18は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺装置バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、多様なバスアーキテクチャを使用するプロセッサまたはローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造の一つ以上を示す。限定ではなく、例としては、このようなアーキテクチャは、ISA(Industry Standard Architecture)バス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、EISA(Enhanced ISA)バス、VESA(Video Electronics Standards Association)ローカルバス、および、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを含む。
【0080】
コンピュータシステム/サーバ12は、一般的には、様々なコンピュータシステム可読媒体を含む。このような媒体は、コンピュータシステム/サーバ12によりアクセス可能な任意の使用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性媒体、取り外し可能媒体、及び取り外し不能媒体をすべて含む。
【0081】
システムメモリ28は、ランダムアクセスメモリ(RAM、30)、および/または、キャッシュメモリ32のような揮発性メモリ形態のコンピュータシステム可読媒体を含むことができる。コンピュータシステム/サーバ12は、他の取り外し可能/取り外し不能、揮発性/不揮発性のコンピュータシステム保存媒体をさらに含むことができる。単なる例として、ストレージシステム34は、取り外し不能の不揮発性磁気媒体(図示せず、一般的には「ハードドライブ」という)を読み書きのために提供され得る。図面に示していないが、取り外し可能な不揮発性磁気ディスク(例えば、「フロッピー(登録商標)ディスク」)を読み書きのための磁気ディスクドライブおよび取り外し可能な不揮発性光学ディスク、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、または他の光学媒体で読み書きのための光ディスクドライブが提供され得る。そのような場合に、それぞれは、一つ以上のデータ媒体インターフェースによってバス18に接続さ得る。以下でさらに示され説明されるように、メモリ28は、本発明の実施形態の機能を実行するように構成されたプログラムモジュールのセットを(例えば、少なくとも一つ)有する少なくとも一つのプログラム製品を含むことができる。
【0082】
プログラムモジュール42のセットを(少なくとも一つ)有するプログラム/ユーティリティ40は、限定ではなく、例として、メモリ28のみならず、オペレーティングシステム、一つ以上のアプリケーションプログラム、その他プログラムモジュール、および、プログラムデータに保存することができる。それぞれのオペレーティングシステム、一つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、および、プログラムデータ、または、一部のこれらの組み合わせは、ネットワーキング環境の実現を含むことができる。プログラムモジュール42は、一般に、本明細書に記載された本発明の実施形態の機能および/または方法論を実行する。
【0083】
コンピュータシステム/サーバ12は、また、キーボード、ポインティング装置、ディスプレイ24などのような一つ以上の外部装置14、ユーザがコンピュータシステム/サーバ12と相互作用できるようにする一つ以上の装置、および/または、コンピュータシステム/サーバ12が一つ以上の他のコンピューティング装置と通信できるようにする任意の装置(例えば、ネットワークカード、モデムなど)と通信することができる。このような通信は、入力/出力(I/O)インターフェース22を介して行うことができる。依然として、コンピュータシステム/サーバ12は、ネットワークアダプタ20を介して一つ以上のネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、汎用広域ネットワーク(WAN)、および/または、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)と通信することができる。図示のように、ネットワークアダプタ20は、バス18を介して、コンピュータシステム/サーバ12の他の構成要素と通信する。図面に示していないが、他のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素が、コンピュータシステム/サーバ12とともに使用できること、を理解しなければならない。例としては、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、データアーカイブストレージシステムなどを含むが、これに制限されない。
【0084】
したがって、一つ以上の実施形態は、汎用コンピュータまたはワークステーションで実行されるソフトウェア(例えば、半導体の設計および/または製造用)を使用することができる。
図14を参照すると、そのような実装は、例えば、プロセッサ16、メモリ28、およびディスプレイ24に対する入力/出力インターフェース22、および外部装置14、例えば、キーボード、ポインティング装置など、を用いることができる。本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、例えば、CPU(中央処理装置)および/または他の形態のプロセッシング回路を含むものなど任意の処理装置を含むことを意図している。また「プロセッサ」という用語は、一つより多くの個別のプロセッサを意味する。「メモリ」という用語は、プロセッサまたはCPUに関連するメモリ、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)30、ROM(リードオンリーメモリ)、固定されたメモリ素子(例えば、ハードドライブ34)、取り外し可能なメモリ素子(例えば、ディスケット)、フラッシュメモリなどを含むためである。また、本明細書で使用される「入力/出力インターフェース」という語句は、例えば、処理ユニット(例えば、マウス)にデータを入力するための一つ以上のメカニズムおよび処理装置(例えば、プリンタ)と関連する結果を提供するための一つ以上のメカニズムに対するインターフェースを考慮することを意図している。プロセッサ16、メモリ28、および入力/出力インターフェース22は、例えば、データ処理装置12の一部として、バス18を介して相互連結され得る。例えば、バス18を介した適切な相互接続は、また、コンピュータネットワークとインターフェースするために提供され得るネットワークカードのようなネットワークインターフェース20および適切な媒体とインターフェースするために提供され得る、ディスケットまたはCD-ROMドライブのような媒体インターフェースで提供することができる。
【0085】
したがって、本明細書に記載されたように、本発明の方法論を実行するための命令またはコードを含むコンピュータソフトウェアは、関連するメモリ素子(例えば、ROM、固定またはリムーバブルメモリ)の一つ以上に保存てよく、利用する準備ができた場合、一部または全体が(例えば、RAMに)ロードされ、CPUによって実現される。このようなソフトウェアは、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むことができるが、これに制限されない。
【0086】
プログラムコードの保存および/または実行に適したデータ処理システムは、システムバス18を介してメモリ要素28に直接的または間接的にカップリングされた少なくとも一つのプロセッサ16を含む。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実装中に使用されるローカルメモリ、バルクストレージ、および実装中のバルクストレージからコードを検索しなければならない回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的なストレージを提供するキャッシュメモリ32を含むことができる。
【0087】
入力/出力またはI/O装置(キーボード、ディスプレイ、ポインティング装置などを含むが、これに制限されない)は、直接または介在するI/Oコントローラを介して、システムに連結され得る。
【0088】
ネットワークアダプタ20は、また、データ処理システムが介在するプライベートネットワークまたは公衆ネットワークを介して、他のデータ処理システムやリモートプリンタまたはストレージデバイスに連結されるようにシステムに連結され得る。モデム、ケーブルモデム、およびイーサネットカードは、現在利用可能なネットワークアダプタタイプのうち一部に過ぎない。
【0089】
請求範囲を含んで本明細書で使用されるように、「サーバ」は、サーバプログラムを実行する物理的なデータ処理システム(例えば、
図14に示すシステム12)を含む。このような物理的なサーバは、ディスプレイおよびキーボードを含んでも含まなくてもよいことを理解しなければならない。
【0090】
本明細書に記載された任意の方法は、コンピュータ可読保存媒体に実装された個々のソフトウェアモジュールを含むシステムを提供する追加の段階を含むことができ、モジュールは、例えば、
図15に示す適切な要素の一部または全体を含むことができる。次いで、方法段階は、上述したように、一つ以上のハードウェアプロセッサ(
図14の16)で実行される本明細書に記載されたようなシステムの個々のソフトウェアモジュールおよび/またはサブモジュールを使用して実行することができる。また、コンピュータプログラム製品は、個々のソフトウェアモジュールを有するシステムの提供を含む、本明細書に記載の一つ以上の方法段階を実行するように、実装されるように適合されたコードを有するコンピュータ可読保存媒体を含むことができる。一つ以上の実施形態で、コードおよび/または設計構造を実施するコンピュータ可読保存媒体は、非一時的なものである。
【0091】
いくつかの場合に用いることができるユーザインターフェースの一例は、サーバなどによって、ユーザのコンピューティング装置のブラウザに提供されるHTML(hypertext markup language)コードである。HTMLは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成するためにユーザコンピューティング装置のブラウザによって解析される。
【0092】
半導体の設計、製造、および/またはテストに用いられる例示的な設計工程
一つ以上の実施形態は、コンピュータ支援半導体集積回路設計シミュレーション、テスト、レイアウト、および/または製造を用いる。これと関連して、
図15は、例えば、半導体ICロジック設計、シミュレーション、テスト、レイアウト、および製造において使用される例示的な設計フロー700のブロック図を示す。設計フロー700は、本明細書などに開示された技術を用いて分析できるものなどの設計構造および/または装置の論理的または機能的に同等な表現を生成するために設計構造または装置を処理するための工程、機械、および/またはメカニズムを含む。設計フロー700によって処理および/または生成された設計構造は、データ処理システムで実行または処理されるとき、論理的に、構造的に、機械的に、または機能的に、ハードウェア構成要素、回路、装置、またはシステムの等価表現を生成するデータおよび/または命令を含むために機械可読保存媒体上にエンコードすることができる。機械には、回路、部品、装置、またはシステムの設計、製造、またはシミュレーションのようなIC設計工程に使用されるすべての機械が含まれるが、これに制限されない。例えば、機械は、次のものを含むことができる。リソグラフィ機械、マスク生成用機械および/または装備(例えば、e-ビームライタ)、設計構造をシミュレーションするためのコンピュータまたは装備、製造またはテスト過程で使用される任意の装置または設計構造の機能的に同等な表現を媒体にプログラミングするための機械(例えば、プログラマブルゲートアレイをプログラミングする機械)。
【0093】
設計フロー700は、設計される表現のタイプによって変わり得る。例えば、特定用途向けIC(ASIC)を構築するための設計フロー700は、標準構成要素を設計するための設計フロー700または設計をプログラム可能なアレイ、例えば、Altera(登録商標)Inc.またはXilinx(登録商標)Inc.が提供したプログラマブルゲートアレイ(PGA)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)にインスタンス化するための設計フロー700と異なってよい。
【0094】
図15は、設計工程710により好ましく処理される入力設計構造720を含む、多数のこのような設計構造を示す。設計構造720は、ハードウェア装置の論理的に等価な機能的表現を生成するために設計工程710により生成されて処理される、論理的シミュレーション設計構造であり得る。設計構造720は、追加または代案として、設計工程710により処理されるとき、ハードウェア装置の物理的構造の機能的表現を生成する、データおよび/またはプログラム命令を含むことができる。機能的および/または構造的設計特徴を示すかどうかにかかわらず、設計構造720は、コア開発者/設計者により実装されるような、電子コンピュータ支援設計(ECAD)を使用して生成され得る。ゲートアレイまたは保存媒体などにエンコードされるとき、設計構造720は、電子部品、回路、電子、またはロジックモジュール、装置、装置またはシステムをシミュレーションするかまたは機能的に示すために設計工程710内の一つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールによりアクセスおよび処理され得る。このように、設計構造720は、設計またはシミュレーションデータ処理システムにより処理されるとき、回路または他の水準のハードウェアロジックの設計を機能的にシミュレートするか、または、その他の方法で示す人間および/または機械可読ソースコード、コンパイルされた構造およびコンピュータ実行可能コード構造を含む、ファイルまたはその他データ構造を含むことができる。そのようなデータ構造は、ハードウェア記述言語(HDL)設計エンティティまたはVerilogおよびVHDLのような下位水準HDL設計言語、および/またはCまたはC++のような上位水準設計言語に適合および/または互換性のある他のデータ構造を含むことができる。
【0095】
設計工程710は、好ましくは、設計構造720のような設計構造を含み得るネットリスト780を生成するために構成要素、回路、装置、またはロジック構造の設計/シミュレーション機能等価物を合成、変換、また、はその他の方法で処理するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールを使用し、組み込む。ネットリスト780は、例えば、集積回路設計で他の要素および回路への連結を説明するワイヤ、個々の構成要素、ロジックゲート、制御回路、I/O装置、モデルなどのリストを表す、コンパイルまたは処理されたデータ構造を含むことができる。ネットリスト780は、ネットリスト780がデバイスの設計仕様およびパラメータに応じて1回以上再合成される、繰り返し工程を用いて合成することができる。本明細書に記載された他の設計構造タイプと同様に、ネットリスト780は、機械可読データ保存媒体に記録されるか、または、プログラマブルゲートアレイにプログラムすることができる。媒体は、磁性または光学ディスクドライブ、プログラマブルゲートアレイ、コンパクトフラッシュ、または、その他フラッシュメモリのような不揮発性保存媒体であり得る。追加的または代案として、媒体は、システムまたはキャッシュメモリ、バッファ領域またはその他適したメモリであり得る。
【0096】
設計工程710は、ネットリスト780を含む多様な入力データ構造タイプを処理するためのハードウェアおよびソフトウェアモジュールを含むことができる。このようなデータ構造タイプは、例えば、ライブラリ要素730内に常駐し、所与の製造技術(例えば、多様な技術ノード、32nm、45nm、90nmなど)についての、モデル、レイアウト、および符号表現を含む、一般に用いられる一連の要素、回路、および装置を含む。データ構造タイプは、設計仕様740、特性化データ750、検証データ760、設計規則770、入力テストパターン、出力テスト結果、および、その他テスト情報を含み得るテストデータファイル785を、さらに含むことができる。設計工程710は、例えば、応力分析、熱分析、機械イベントシミュレーション、鋳造、成形、およびダイプレス成形などのような作業のための工程シミュレーションのような、標準的な機械設計工程をさらに含むことができる。機械設計分野の当業者であれば、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、設計工程710に用いられる機械設計ツールおよび適用の程度を理解することができる。設計工程710は、また、タイミング分析、検証、設計ルール検証、配置、およびルートのオペレーションなどのような、標準回路設計工程を行うためのモジュールを含むことができる。
【0097】
設計工程710は、第2設計構造790を作成するために、任意の追加的な機械設計またはデータ(適用可能な場合)とともに図示された支持データ構造の一部またはすべてとともに設計構造720を処理するためにHDLコンパイラおよびシミュレーションモデル構築ツールのような、ロジックおよび物理的設計ツールを採択して組み込む。設計構造790は、機械装置および構造のデータ交換に用いられるデータ形式で保存媒体またはプログラマブルゲートアレイ(例えば、IGES、DXF、Parasolid XT、JT、DRG、または、このような機械設計構造を保存またはレンダリングするのに適したその他の形式に保存された情報)に常駐する。設計構造720と同様に、設計構造790は、好ましくは一つ以上のファイル、データ構造、または、他のコンピュータ-エンコードされたデータまたは命令を含み、これは、データ保存媒体に常駐してECADシステムにより処理されるとき、一つ以上のIC設計などの論理的またはその他の方法で、機能的に同等な形態を生成する。一実施形態で、設計構造790は、分析される装置を機能的にシミュレーションする、コンパイルされて実行可能なHDLシミュレーションモデルを含むことができる。
【0098】
設計構造790は、また、集積回路のレイアウトデータおよび/または記号データ形式(例えば、GDSII(GDS2)、GL1、OASIS、マップファイル、または、このような設計データ構造を保存するためのその他適切な形式に保存された情報)の交換に用いられるデータ形式を採用することができる。設計構造790は、例えば、記号データ、マップファイル、テストデータファイル、設計コンテンツファイル、製造データ、レイアウト媒介変数、ワイヤ、金属のレベル、ビア、形状、製造ラインを通じた経路選択データ、および、本明細書に記載されたような装置または構造を製造するために製造者またはその他の設計者/開発者が必要とする任意の他のデータを含むことができる(例えば、.libファイル)。設計構造790は、次に、例えば、設計構造790が、テープアウトに進み、製造のためにリリースされ、マスク会社にリリースされ、別の設計会社に送られ、顧客に返送される段階795に進むことができる。
【0099】
本明細書に記載された実施形態の例示は、多様な実施形態の一般的な理解を提供するためのものであり、本明細書に記載された回路および技術を使用できる装置およびシステムのすべての要素および特徴の完全な説明を提供することを意図していない。多くの他の実施形態が本明細書の教示によって当業者に明白になり、本開示内容の範囲を逸脱することなく、構造的および論理的な代替および変更を行うことができるように、他の実施形態は、用いられ、そこから派生する。いくつかの代案的な実施形態で、例示的な方法の段階のうち一部は、図面に示す順序から外れて発生し得ることにも留意しなければならない。例えば、連続して示す二つの段階は、実際に実質的には同時に実行されるか、関連する機能に応じて、特定の段階が逆の順序で実行される場合がある。図面は、単なる表現であり、縮尺どおりに描かれているわけではない。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味でない例示的であると見なされるべきである。
【0100】
実施形態は、本明細書で個別的および/または集合的に「実施形態」という用語によって、単に便宜のために、そして、実際に一つ以上が図示された場合に、本出願の範囲を任意の単一実施形態または発明的な概念に制限しようとすることを意図せず言及される。したがって、特定の実施形態が本明細書で図示されて説明されたが、同じ目的を達成する配列が、図示された特定の実施形態の代わりとなることを理解しなければならない。すなわち、本開示内容は、多様な実施形態の任意およびあらゆる適応または変形をカバーすることを意図している。前記実施形態およびここに具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、本明細書の教示により、当業者に明白であろう。
【0101】
本願で使用された用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、限定することを意図するものではい。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、コンテキストが明らかに別に指示しない限り、複数形も含むものとする。本明細書で使用されるとき、「含む(comprise)」または「含む(comprising)」という用語は、言及された特徴、段階、動作、要素、および/または構成要素、または、これらの組み合わせの存在を指定するが、一つ以上の他の特徴、段階、動作、要素、および/または構成要素、または、これらの組み合わせの存在または追加を排除しないものとして理解されるであろう。「下部(bottom)」、「上部(top)」、「上方(above)」、「上(over)」、「下(under)」、および「下方(below)」のような用語は、相対的な高さでない要素または構造の相対的な位置を示すために使用される。構造の層が、本明細書で他の層の「上(over)」と記載される場合、2個の特定層の間に中間要素または層が介在してもよく、または、介在しなくてもよいことが理解されるであろう。ある層が他の層の「直接上にある」と記載されている場合、二つの層が、直接接触していることを示す。本明細書および添付された特許請求の範囲で使用された用語の「約」は、プラスまたはマイナス10%以内を意味する。
【0102】
以下の請求範囲の該当構造、材料、動作、および、すべての手段または段階的機能要素の等価物は、特に請求された他の請求された要素と組み合わせて、機能を実行するためのすべての構造、材料または動作を含むことを意図している。多様な実施形態の説明は、例示および説明の目的で提供されたが、開示された形態に制限されず、または、排他的でない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が、当業者に明らかであろう。実施形態は、原理および実際の適用を最もよく説明し、当業者が意図する特定の用途に適した多様な修正を有する多様な実施形態を理解できるように選択および説明された。
【0103】
抄録は、37C.F.R.§1.76(b)を遵守するように提供され、これは、読者が技術的開示内容の性質を迅速に確認できるようにする要約を必要とする。請求範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことの理解とともに提出されている。また、前述した詳細な説明では、開示を簡素化する目的で、多様な特徴が、単一実施形態で、ともにグループ化されていることがわかる。この開示方法は、請求された実施形態が各請求範囲に明示的に引用されているものよりも多くの特徴を要求するという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するように、請求された主題は、単一の実施形態のすべての特徴よりも少ないこともある。したがって、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、それぞれの請求範囲は、別に請求された主題として独立している。
【0104】
本明細書に提供された教示が与えられると、当業者は、技術および開示された実施形態の他の具現および応用を考慮することができる。本明細書では、添付する図面を参照して、例示的な実施形態を説明したが、例示的な実施形態は、このような正確な実施例に制限されず、添付する特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者によって、多様な異なる変更および修正が行われることを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0105】
301 主族元素原子
303、305 遷移金属原子
401 CoAl層
403 ホイスラー化合物
405 原子的段階
421、423 ビュー
601、603 Mn原子
604 Sb原子
605 Fe原子