IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通ゼネラルの特許一覧

<>
  • 特開-温調装置 図1
  • 特開-温調装置 図2
  • 特開-温調装置 図3
  • 特開-温調装置 図4
  • 特開-温調装置 図5
  • 特開-温調装置 図6
  • 特開-温調装置 図7
  • 特開-温調装置 図8
  • 特開-温調装置 図9
  • 特開-温調装置 図10
  • 特開-温調装置 図11
  • 特開-温調装置 図12
  • 特開-温調装置 図13
  • 特開-温調装置 図14
  • 特開-温調装置 図15
  • 特開-温調装置 図16
  • 特開-温調装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152937
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】温調装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20231005BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20231005BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A41D13/005 103
F25D9/00 B
A41D13/002
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052994
(22)【出願日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2022055702
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 佑
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】島野 太貴
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 達郎
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 弘彬
【テーマコード(参考)】
3B211
3L044
【Fターム(参考)】
3B211AA00
3B211AB01
3B211AC01
3L044AA04
3L044BA09
3L044DB02
3L044DC04
3L044KA01
3L044KA02
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】熱源部材の交換を容易に行うことができる温調装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る温調装置は、熱源部と、循環ポンプと、熱源部材と、熱交換部とを備える。熱源部は、筐体内で液体を温調する。循環ポンプは、温調された液体を温調対象物に流す。熱源部材は、筐体に対して着脱可能に収容される。熱交換部は、熱源部に設けられ熱源部材に接触する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内で液体を温調する熱源部と、
温調された前記液体を温調対象物に流す循環ポンプと、
前記筐体に対して着脱可能に収容される熱源部材と、
前記熱源部に設けられ前記熱源部材に接触する熱交換部と
を備える温調装置。
【請求項2】
前記熱源部材は、
主面と側面とを有する扁平形状をなしており、
前記熱源部は、
前記熱源部材が収容されたとき、前記熱源部材の前記主面と向かい合う位置に熱交換部が配置される
請求項1に記載の温調装置。
【請求項3】
前記熱交換部は、
前記熱源部材から遠い側に配置される第1板状部材と、前記熱源部材に近い側に配置される第2板状部材との間に、前記液体を流す流路が形成される
請求項2に記載の温調装置。
【請求項4】
前記熱交換部は、
前記液体が鉛直方向における下側から上側へ向かって前記流路を流れる
請求項3に記載の温調装置。
【請求項5】
前記熱交換部の前記流路は、
少なくとも一部が蛇行形状である
請求項4に記載の温調装置。
【請求項6】
前記熱交換部は、
正面視で矩形形状であり、
前記流路の入口および出口は、
前記矩形形状の4辺のうち、前記循環ポンプに近い側の1辺に並べて配置される
請求項3に記載の温調装置。
【請求項7】
前記循環ポンプに近い側の1辺において、前記入口の位置と前記出口の位置の間から前記流路の内部に向かって突出する壁部が設けられる
請求項6に記載の温調装置。
【請求項8】
前記壁部は、
前記第1板状部材に設けられる
請求項7に記載の温調装置。
【請求項9】
前記第1板状部材は、樹脂材料であり、
前記第2板状部材は、金属部材である
請求項3に記載の温調装置。
【請求項10】
前記循環ポンプは、
前記熱源部材の前記側面に向かい合う位置に配置される
請求項2に記載の温調装置。
【請求項11】
前記循環ポンプおよび前記熱源部材の間には断熱部材が設けられる
請求項10に記載の温調装置。
【請求項12】
前記温調対象物は、
前記液体が循環する閉回路を有するとともに、前記液体が循環するチューブ部材を介して温調装置に対して着脱可能になっている
請求項1に記載の温調装置。
【請求項13】
前記循環ポンプは、
前記液体の循環量が調整可能である
請求項1に記載の温調装置。
【請求項14】
前記熱交換部は、
前記熱源部材の形状に合わせて移動可能である
請求項1に記載の温調装置。
【請求項15】
前記熱交換部と前記筐体との間に設けられ、前記熱交換部を前記熱源部材に向けて押圧する弾性部材をさらに備える
請求項14に記載の温調装置。
【請求項16】
前記弾性部材は、発泡材である
請求項15に記載の温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源部材の熱源を用いて利用者の身体を冷却または加温する技術が提案されている。この種の技術として、例えば、保冷剤を収容した冷却ベルトにより利用者の身体を冷却する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-128603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、保冷剤等の熱源部材を交換するために冷却ベルトを着脱する必要があるため、利用者が煩わしさを感じるおそれがあった。このように、従来は、熱源部材を容易に交換する点で改善の余地があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、熱源部材の交換を容易に行うことができる温調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の温調装置は、熱源部と、循環ポンプと、熱源部材と、熱交換部とを備える。前記熱源部は、筐体内で液体を温調する。前記循環ポンプは、温調された前記液体を温調対象物に流す。前記熱源部材は、前記筐体に対して着脱可能に収容される。前記熱交換部は、前記熱源部に設けられ前記熱源部材に接触する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する温調装置の一態様によれば、熱源部材の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例の身体温冷装置を利用者が装着した状態を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る温調装置の斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る温調装置の分解斜視図である。
図4図4は、筐体の一部を除いた温調装置の斜視図である。
図5図5は、温調装置の断面図である。
図6図6は、第1板状部材の斜視図である。
図7図7は、チューブ部材の接続例その1を示す図である。
図8図8は、チューブ部材の接続例その2を示す図である。
図9図9は、冷却モードの一例を示す図である。
図10図10は、ゆらぎモードの制御例を示す図である。
図11図11は、弾性部材を備えた温調装置の構成例を示す図である。
図12図12は、弾性部材を備えた温調装置の構成例を示す図である。
図13図13は、弾性部材を備えた温調装置の構成例を示す図である。
図14図14は、熱交換部の移動機構を説明するための図である。
図15図15は、熱交換部の移動機構を説明するための図である。
図16図16は、変形例に係る液体の流れ方向を示す図である。
図17図17は、変形例に係る液体の流れ方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する温調装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する温調装置が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を用いて、実施形態に係る温調装置を備えた身体温冷装置について説明する。図1は、実施例の身体温冷装置を利用者が装着した状態を示す図である。
【0011】
図1に示すように、身体温冷装置1は、温調装置10と、温調パッド100とを備える。温調装置10および温調パッド100は、チューブ部材50によって着脱可能に連結される。つまり、温調パッド100は、チューブ部材50を介して温調装置10に対して着脱可能に構成される。
【0012】
温調装置10は、カバン200の内部に収容され、利用者が持ち運び可能に構成される。温調装置10は、後述する熱源部材との熱交換により液体を温調(冷却)し、温調した液体をチューブ部材50を介して温調パッド100へ送る。また、温調装置10は、温調パッド100を流れた液体をチューブ部材50を介して受け取り、再度温調する。
【0013】
温調パッド100は、温調対象物の一例であり、利用者に温度的に接する位置に配置される。図1に示す例では、温調パッド100は、利用者の背中に近接するように配置される。具体的には、温調パッド100は、利用者が背負ったカバンに着脱可能に取り付けられることで、カバンの背中に接する面を介して利用者の背中に接するように配置される。温調パッド100は、温調装置10で後述する熱源部材20と熱交換(冷却)された液体を温調パッド100の内部に流すことで、利用者の背中を冷却する。つまり、温調パッド100の内部は、液体が循環する回路が設けられている。なお、液体は、例えば、水(冷水)である。
【0014】
次に、図2を用いて、実施形態に係る温調装置10の外観について説明する。図2は、実施形態に係る温調装置10の斜視図である。
【0015】
図2に示すように、温調装置10は、直方体形状の筐体12を備える。温調装置10は、筐体12の内部に、後述する熱交換部13、制御基板17、循環ポンプ18および熱源部材20を収容する。
【0016】
また、温調装置10は、蓋部材11と、接続口30とを備える。蓋部材11および接続口30は、4つの側面のうち1つの側面101にまとめて配置される。なお、蓋部材11および接続口30は、別々の側面に分かれて配置されてもよい。
【0017】
蓋部材11は、開閉することで筐体12内における熱源部材20の収容空間を開放および閉塞する蓋として機能する。これにより、蓋部材11を開くことで、熱源部材20の交換が可能となる。また、蓋部材11を閉じることで、熱源部材20が筐体12から脱落することを回避できるとともに、筐体12の内部に塵や水滴等が侵入することを回避できる。
【0018】
接続口30は、上記したチューブ部材50が接続される。図2に示すように、接続口30は、2つ設けられる。2つの接続口30のうち、一方の接続口30は、温調装置10から温調パッド100へ液体を送るチューブ部材50が接続され、他方の接続口30は、温調パッド100から温調装置10へ液体を送るチューブ部材50が接続される。
【0019】
次に、図3および図4を用いて、温調装置10の内部構成例について説明する。図3は、実施形態に係る温調装置10の分解斜視図である。図4は、筐体12の一部を除いた温調装置10の斜視図である。
【0020】
図3および図4に示すように、温調装置10は、筐体12と、熱交換部13と、断熱部材14と、蓋部筐体15と、断熱蓋部材16と、制御基板17と、循環ポンプ18と、熱源部材20とを備える。これら構成のうち、筐体12と、熱交換部13と、断熱部材14と、蓋部筐体15と、断熱蓋部材16と、熱源部材20とは、筐体12内で液体を温調する熱源部として構成される。
【0021】
図3に示す例では、熱源部材20は、2つの主面と、4つの側面とを有する扁平な直方体形状である。扁平な直方体の広い面を主面と称し、主面以外の面を側面と称することとする。
【0022】
筐体12は、例えば、樹脂材料で構成される。図3に示すように、筐体12は、2枚の板状部材12a、12bを有し、それらで熱源部材20を挟み込むことで筐体12の内部に熱源部材20を収容する。このように、熱源部材20を筐体12に収容することで、熱源部材20が外気と触れにくくすることができる。これにより、熱源から液体以外へ放熱することを抑制できる。
【0023】
熱交換部13は、上記した熱源部に設けられ熱源部材20に接触して配置される。具体的には、熱交換部13は、熱源部材20が収容されたとき、熱源部材20の主面と向かい合う位置に配置される。より具体的には、熱交換部13は、2つ設けられ、熱源部材20の2つの主面それぞれに向かい合う位置に配置される。つまり、2つの熱交換部13は、熱源部材20を主面側から挟み込むように配置される。
【0024】
図3に示す例では、各熱交換部13は、第1板状部材13aおよび第2板状部材13bを有する。第1板状部材13aは、熱源部材20から遠い側に配置される。第2板状部材13bは、熱源部材20に近い側に配置される。つまり、熱交換部13のうち、第2板状部材13bが熱源部材20と接触する。
【0025】
また、第1板状部材13aおよび第2板状部材13bの間には、液体を循環させる流路が形成される。具体的には、第1板状部材13aおよび第2板状部材13bの間に形成される間隙が流路として機能する。これにより、第2板状部材13bを介して、流路を流れる液体と熱源部材20との間で熱交換が行われる。なお、かかる流路の詳細については後述する。
【0026】
また、第1板状部材13aは、樹脂材料で形成され、第2板状部材13bは、金属材料で形成される。このように、熱源部材20と液体の間の隔壁となる第2板状部材13bを金属材料で形成することで、熱交換能力を高めることができる。さらに、筐体12側に配置される第1板状部材13aを樹脂材料で形成することで、液体の熱が第1板状部材13aを介して筐体12側へ放熱されることを抑制できる。すなわち、第1板状部材13aからの放熱抑制により、熱交換能力の低下を抑えることができる。
【0027】
なお、第1板状部材13aおよび第2板状部材13b共に、金属材料で形成してもよい。このように、板状部材を金属材料で形成することで溶接による接合が可能となり、熱交換部から外部への液体漏れの対策を容易に行うことができる。
【0028】
断熱部材14は、熱源部材20が収容された場合に、熱源部材20の側面に向かい合う位置に配置される。具体的には、断熱部材14は、熱源部材20の側面のうち、蓋部筐体15側の側面以外の側面に向かい合う位置に配置される。断熱部材14は、例えば、樹脂材料で構成される。
【0029】
つまり、断熱部材14は、熱源部材20の側面と外気とを断熱する。これにより、熱源部材20の側面から放熱することを抑制することができるため、熱源部材20と液体との熱交換量が低下することを抑えることができる。
【0030】
蓋部筐体15は、筐体12の蓋部として機能する。具体的には、蓋部筐体15は、熱源部材20が収容された場合に、熱源部材20の側面に向かい合う位置に配置される。より具体的には、蓋部筐体15は、熱源部材20の側面のうち、断熱部材14によって囲まれていない側面に向かい合う位置に配置される。
【0031】
また、蓋部筐体15は、開口部151を有する。開口部151は、熱源部材20を筐体12の内部に出し入れする出入口として機能する。つまり、熱源部材20は、筐体12に対して開口部151を介して着脱可能に収容される。これにより、熱源部材20の交換を容易に行うことができる。なお、図4に示すように、開口部151は、蓋部材11により開閉される。
【0032】
断熱蓋部材16は、蓋部筐体15の開口部151に嵌ることで、蓋部筐体15と断熱部材14との隙間を封止する。これにより、蓋部筐体15と断熱部材14との隙間に塵や水滴等が侵入することを回避できる。
【0033】
制御基板17は、循環ポンプ18を制御する電子部品が実装された基板である。図4に示すように、制御基板17は、熱源部材20の側面に向かい合う位置に配置される。また、制御基板17と熱源部材20との間には、断熱部材14が配置される。これにより、制御基板17の発熱が熱源部材20に伝わることを回避できるとともに、熱源部材20の結露水が制御基板17に侵入することを抑制できる。
【0034】
循環ポンプ18は、熱交換部13によって温調された液体を温調対象物である温調パッド100に循環させるポンプである。図4に示すように、循環ポンプ18は、熱源部材20の側面に向かい合う位置に配置される。また、循環ポンプ18と熱源部材20との間には、断熱部材14が配置される。これにより、循環ポンプ18の発熱が熱源部材20に伝わることを回避できる。
【0035】
また、循環ポンプ18は、制御基板17と上下に並べて配置される。このように、熱源部材20の側面に向かい合う位置に制御基板17および循環ポンプ18を並べて配置することで、温調装置10の厚さを薄くできる。
【0036】
なお、循環ポンプ18は、チューブ部材50を介して液体を循環させるが、チューブ部材50と循環ポンプ18との接続例については、後述する。
【0037】
熱源部材20は、例えば、中空成形(ブロー成形)された合成樹脂材料で構成され、保冷剤が充填された保冷容器であれば良い。熱源部材20は、例えば、主面と側面とを有する扁平形状をなしている。これにより、筐体12を薄くできるため、温調装置10の厚みを薄くできる。
【0038】
また、図3に示すように、熱源部材20は、主面に凹凸形状を設けても良い。これにより、筐体12に収容した際に、空気の逃げ道を作れるため着脱をスムーズに行うことができる。また、熱交換部13との接触面積が凹凸形状に応じて変わるため、熱伝達量を熱源部材20の形状に応じて変えることが可能となる。なお、熱源部材20は、着脱を容易にするために、側面に持ち手が設けられてもよい。
【0039】
次に、図5および図6を用いて、熱交換部13に形成される流路について説明する。図5は、温調装置10の断面図である。図6は、第1板状部材13aの斜視図である。図5では、温調装置10における側面方向から見た断面を示している。
【0040】
図5および図6に示すように、熱交換部13は、熱源部材20の主面側から見た投影形状は矩形形状であり、第1板状部材13aと第2板状部材13bが重ねられて配置される。また、第1板状部材13aと第2板状部材13bの間の空間は、液体が流れる流路131として機能する。
【0041】
また、図6に示すように、流路131は、第1板状部材13aに形成される壁部133,134,135によって流れる方向が規定される。具体的には、図6に示すように、第1板状部材13aは、第1壁部133と、第2壁部134と、第3壁部135とによって流路131を形成する。
【0042】
また、図6に示すように、第1板状部材13aは、流路131の出入口132(入口および出口)が形成される。かかる出入口132は、チューブ部材50の接続口131aにそれぞれ繋がる。具体的には、流路131の出入口132(接続口131a)は、矩形状の第1板状部材13aの4辺のうち、循環ポンプ18に近い側の1辺に並べて配置される(図4参照)。
【0043】
このように、循環ポンプ18に近い位置に出入口132(接続口131a)が設けられることで、循環ポンプ18および接続口131aを繋ぐチューブ部材50(特に後述する第3チューブ部材50c)を短くできる。これにより、チューブ部材50を通過することによる放熱ロスを抑えることができる。
【0044】
第1壁部133は、流路131の外周を構成する壁部である。これにより、流路131を流れる液体が流路131から漏れることを防止できる。
【0045】
第2壁部134は、流路131の出入口132に近い側に設けられ、出入口を仕切る壁部である。つまり、第2壁部134は、流路131の入口および出口を仕切る壁部である。すなわち、第2壁部134は、矩形形状の4辺のうち、出入口132が設けられた1辺(循環ポンプ18に近い側の1辺)において、入口の一と出口の位置の間から流路131の内部に向かって突出する壁部である。このように、出入口132付近に流路131の入口および出口を仕切る第2壁部134を設けることで、入口から流入した液体が温調されずにすぐに出口から流出することを回避できる。
【0046】
第3壁部135は、第2壁部134に連結するとともに、第1壁部133に沿うように設けられる。つまり、第3壁部135は、出入口132付近の流路131が第1壁部133付近を通る狭い流路となるように形成される。これにより、出入口132付近では、液体が第1壁部133の近くを流れて熱交換部13の上部に達し、そこから熱交換部13の下部に向けて幅広く形成された流路を流れ、再び狭い流路に流れ込むように流路131が形成されるため、液体が流路131を流れる経路を長く確保できる。
【0047】
また、図6に示すように、第1板状部材13aは、第1壁部133の外周側に凹部136が形成される。凹部136は、弾性部材等のシール部材が嵌る部位である。つまり、凹部136にシール部材が設けられることで、第1板状部材13aと第2板状部材13bとの間を埋めることができるため、流路131から液体が漏れることを防止することができる。
【0048】
また、図5および図6に示すように、第1板状部材13aおよび第2板状部材13bの間の空間を流路131とする、言い換えれば、板状の熱交換部13の内部の空間に液体を薄く延ばして流すことで、流路131における単位面積当たり液体量を抑えることができる。これにより、液体の温度を変化させやすくすることができる。
【0049】
次に、図7および図8を用いて、チューブ部材50の接続例について説明する。図7は、チューブ部材50の接続例その1を示す図である。図8は、チューブ部材50の接続例その2を示す図である。
【0050】
まず、図7を用いて、接続例その1について説明する。図7に示す接続例その1では、第1チューブ部材50aは、温調パッド100と熱交換部13とを接続し、温調パッド100で利用後の液体を熱交換部13へ送る。第2チューブ部材50bは、熱交換部13と循環ポンプ18とを接続し、熱交換により温調された液体を熱交換部13から循環ポンプ18へ送る。第3チューブ部材50cは、温調された液体を循環ポンプ18から温調パッド100へ送る。ここで温調パッド100は、液体が流通する流路を持つ袋状の容器であれば良い。
【0051】
接続例その1では、循環ポンプ18の吐出側に温調パッド100を接続する。これにより、温調パッド100側が正圧となるため、温調パッド100の内部が膨れることで流路がつぶれないため液体を万遍なく行きわたらせることができる。
【0052】
次に、図8を用いて、接続例その2について説明する。図8に示す接続例その2では、第1チューブ部材50aは、温調パッド100と循環ポンプ18とを接続し、温調パッド100で利用後の液体を循環ポンプ18へ送る。第2チューブ部材50bは、熱交換部13と循環ポンプ18とを接続し、循環ポンプ18から熱交換部13へ液体を送る。第3チューブ部材50cは、熱交換により温調された液体を熱交換部13から温調パッド100へ送る。
【0053】
つまり、接続例その2では、循環ポンプ18の吸込み側に温調パッド100を接続する。これにより、熱交換された液体を循環ポンプ18を介さずに温調パッド100に流入させられるため、液体から循環ポンプ18に熱が伝達するロスを抑えることができる。
【0054】
次に、図9および図10を用いて、温調装置10の制御例について説明する。図9は、冷却モードの一例を示す図である。図10は、ゆらぎモードの制御例を示す図である。
【0055】
図9に示すように、温調装置10は、例えば、4つの冷却モードを有する。冷却モードは、例えば、利用者の操作(例えば、温調装置10に設けられた図示しないボタンの操作)によって選択される。温調装置10の制御基板17は、冷却モードに応じたDutyのPMW信号を循環ポンプ18へ送信することで、循環ポンプ18を制御する。つまり、循環ポンプ18は、制御基板17の制御に従って液体の循環量を調整可能となっている。
【0056】
例えば、冷却モード「強」は、Duty100%のPMW信号を循環ポンプ18へ送信する。つまり、冷却モード「強」では、循環ポンプ18を常時オンさせる。
【0057】
例えば、冷却モード「中」は、Duty80%のPMW信号を循環ポンプ18へ送信する。つまり、冷却モード「中」では、循環ポンプ18を断続運転させることで冷却モード「強」の80%の期間オンさせ、20%の期間オフさせる。
【0058】
例えば、冷却モード「弱」は、Duty60%のPMW信号を循環ポンプ18へ送信する。つまり、冷却モード「弱」では、循環ポンプ18を60%の期間オンさせ、40%の期間オフさせる。
【0059】
例えば、冷却モード「ゆらぎ」は、Duty100%のPMW信号を1分間循環ポンプ18へ送信し、その後Duty0%のPMW信号を1分間循環ポンプ18へ送信する。つまり、冷却モード「ゆらぎ」では、循環ポンプ18を1分間100%でオンし、2分間オフする工程を繰り返し行う。
【0060】
このように、循環ポンプ18は、制御基板17の制御に従って液体の循環量を調整可能となっているため、利用者が冷感の調整を容易に行うことができる。
【0061】
図10では、冷却モード「ゆらぎ」(ゆらぎモード)の制御例を示している。図10に示すように、ゆらぎモードでは、まず、最初の5分間100%でオンする。これは、液体をある程度の温度まで冷却するためである。
【0062】
そして、5分間の冷却後、2分間オフし、その後、1分間100%でオンする。以降は、2分間のオフと1分間100%のオンを繰り返し行う。これにより、図10に示すように、液体の温度を一定の温度幅でゆらぐようにすることができる。
【0063】
また、液体の温度幅は、例えば、15℃から25℃の範囲であることが好ましい。温度を変化させることにより、一定の温度を維持した場合よりも利用者が冷感を得ることができる。また、液体によるチューブ部材50等の結露を抑制することができる。
【0064】
上述してきたように、実施形態に係る温調装置10は、熱源部(筐体12、熱交換部13、断熱部材14、蓋部筐体15、断熱蓋部材16および熱源部材20)と、循環ポンプ18と、熱源部材20と、熱交換部13とを備える。熱源部は、筐体12内で液体を温調する。循環ポンプ18は、温調された液体を温調対象物(温調パッド100)に流す。熱源部材20は、筐体12に対して着脱可能に収容される。熱交換部13は、熱源部に設けられ熱源部材20に接触する。これにより、熱源部材20の交換を容易に行うことができる。
【0065】
次に、変形例に係る温調装置10について説明する。以下で説明する変形例では、温調装置10は、弾性部材60をさらに備える。図11図13は、弾性部材60を備えた温調装置10の構成例を示す図である。
【0066】
図11図13に示すように、弾性部材60は、熱交換部13と筐体12との間に設けられ、熱交換部13および筐体12それぞれに密着して配置される。具体的には、弾性部材60は、筐体12の板状部材12a(または板状部材12b、図3参照)と、熱交換部13の第1板状部材13aそれぞれに密着して配置される。
【0067】
また、図13に示すように、弾性部材60は、熱交換部13および筐体12それぞれに密着して挟まれることによって反発力が生じ、かかる反発力によって熱交換部13を押圧する(実際には、筐体12も押圧される)。すなわち、弾性部材60は、熱交換部13を熱源部材20に向けて押圧する。また、詳細は後述するが、熱交換部13は、弾性部材60と熱源部材20との間で移動可能に構成されるため、弾性部材60の押圧によって熱源部材20に押し付けられて密着した状態となる。
【0068】
これにより、冷凍によって変形した熱源部材20が温調装置10を使用中に解凍されて元の形状に戻る場合であっても、熱交換部13を熱源部材20に常に密着させることができるため、熱源部材20と熱交換部13との熱交換の効率を高めることができる。
【0069】
なお、本開示では、2つの熱交換部13のうち、一方の熱交換部13側にのみ弾性部材60が配置される例を示しているが、両方の熱交換部13に弾性部材60が配置されてもよい。これにより、熱源部材20と熱交換部13との熱交換の効率をさらに高めることができる。
【0070】
また、弾性部材60は、例えば、発泡材である。具体的には、弾性部材60は、例えば、発泡ポリエチレンや、発泡ゴム等の発泡材によって構成される。これにより、熱交換部13と筐体12との間での空気の対流を抑制して断熱性を高めることができるため、熱交換部13を流れる液体の熱損失を減らすことができる。
【0071】
また、弾性部材60を発泡材で構成することで、筐体12に外部から衝撃が加わった際に、かかる衝撃の力を弾性部材60によって吸収できるため、筐体12や筐体12の内部(熱交換部13等)が破損することを抑えることができる。
【0072】
次に、熱交換部13の移動機構について説明する。図13に示すように、熱交換部13は、貫通孔131を有する。また、断熱部材14は、貫通孔131に挿入される突出部14aと、突出部14aが設けられる段差部14bとを有する。具体的には、突出部14aは、熱交換部13における弾性部材60とは反対側(第2板状部材13b側)に設けられた段差部14bから熱交換部13へ向かって突出する。
【0073】
ここで、図14および図15を用いて、熱交換部13の移動機構について詳細に説明する。図14および図15は、熱交換部13の移動機構を説明するための図である。
【0074】
図14に示すように、貫通孔131は、平面視で矩形状の熱交換部13における4つの角部それぞれに設けられるとともに、突出部14aが挿入される。なお、本開示では、4つの貫通孔131を例に挙げたが、貫通孔131の数は、3つ未満であってもよく、5つ以上であってもよいが、複数(2つ以上)であることが好ましい。このように、複数の貫通孔131それぞれに突出部14aが挿入されることで、熱交換部13と熱源部材20との接触面の位置ずれが生じることを防止できる。
【0075】
そして、図15に示すように、熱交換部13は、熱源部材20の形状に合わせて移動可能となっている。具体的には、熱交換部13は、板状の熱源部材20の厚みに応じて移動する。より具体的には、図15の右図に示すように、熱交換部13は、貫通孔131が突出部14aに挿入されているため、熱源部材20が冷凍により変形して部分的に厚みが厚くなった場合には、突出部14aの突出方向において段差部14bから離れるように移動する。すなわち、熱源部材20の厚みが厚い場合には、2つの熱交換部13の間の距離が広くなるように、一方の熱交換部13が移動する。また、図15の左図に示すように、変形した熱源部材20が解凍されて元の形状に戻る(厚みが正常に戻る)に従って、弾性部材60の押圧により2つの熱交換部13の間の距離が狭くなるように、一方の熱交換部13が移動する。すなわち、熱交換部13は、突出部14aの突出方向において段差部14bに当接するまで移動する。言い換えれば、段差部14bは、2つの熱交換部13の間の距離が必要以上(熱源部材20を挿入できないほど)に狭くならないように熱交換部13の移動を規制するストッパとして機能する。このように、熱源部材20の形状に合わせて熱交換部13を移動可能とすることで、熱交換部13と熱源部材20とを常に密着させた状態にできるため、熱源部材20と熱交換部13との熱交換の効率を高めることができる。
【0076】
次に、図16および図17を用いて、熱交換用の液体における流れ方向の変形例について説明する。図16および図17は、変形例に係る液体の流れ方向を示す図である。なお、図16および図17では、紙面上側が鉛直方向における上側であり、紙面下側が鉛直方向における下側であることとする。つまり、熱交換部13は、流路131を形成する面が重力方向に対して垂直方向を向いて配置される。
【0077】
図16に示すように、変形例では、熱交換部13は、液体が鉛直方向における下側から上側へ向かって流路131を流れる。つまり、液体は、重力方向に逆らう方向に流路131を流れる。具体的には、2つの出入口132のうち、鉛直方向における下側の出入口132から液体が熱交換部13の内部に入った後、流路131における鉛直方向の最下端まで移動した後に、最下端から最上端へ向かって流路131を流れる。また、図17には、液体Lの流れのシミュレーション結果を示している。図17に示すように、液体Lを鉛直方向における下側から上側へ向かって流すことで、外部から混入した空気Aは、流路131の途中に留まることなく、最上端にまとめて溜まっている。これは、液体Lが鉛直方向における下側から上側へ向かって流れることで、空気Aも一緒に押し出さながら上昇するためである。なお、最上端に溜まった空気Aは、一定量以上となった場合には、鉛直方向における上側の出入口132から抜けて排出される。このように、液体Lを鉛直方向における下側から上側へ向かって流すことで、流路131の途中で空気Aが留まる(空気抜きが困難となる)ことを低減できる。これにより、空気Aが熱交換部13の内部に留まることで、熱源部材20と熱交換できる液体の量が減ることを回避できる。
【0078】
また、図16に示すように、流路131は、最下端から最上端へ向かう経路が蛇行形状となっている。具体的には、蛇行形状の流路131は、鉛直方向に対して垂直な方向である左右方向に蛇行した形状となっている。このように、流路131の少なくとも一部を蛇行形状とすることで、流路131が長くなるため、熱交換部13の内部における液体の滞留時間を長くできる。すなわち、熱源部材20と液体との熱交換を効率良く行うことができる。
【0079】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 身体温冷装置
10 温調装置
11 蓋部材
12 筐体
13 熱交換部
13a 第1板状部材
13b 第2板状部材
14 断熱部材
15 蓋部筐体
16 断熱蓋部材
17 制御基板
18 循環ポンプ
20 熱源部材
30 接続口
50 チューブ部材
50a 第1チューブ部材
50b 第2チューブ部材
50c 第3チューブ部材
100 温調パッド
131 流路
131a 接続口
132 出入口
133 第1壁部
134 第2壁部
135 第3壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17