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特開2023-152967呼吸を可能とするマスク及びその本体構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152967
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】呼吸を可能とするマスク及びその本体構造
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/16 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B63C11/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023054516
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/326,418
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/480,348
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508126022
【氏名又は名称】誠加興業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】薛志誠
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フルフェイスマスクに関し、特に、シュノーケリング用の呼吸を可能とするマスクを提供する。
【解決手段】呼吸を可能とするマスクは、本体が、メインフレーム、レンズ及び防水密封スカートを含む。防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有する。ブリッジ部材は、前記下室に横たわって、下室を鼻室と当該鼻室の下方に位置する口室とに区画する。前記使用者が前記マスクを装着すると、当該使用者の鼻は前記鼻室内に収容され、且つ、当該使用者の口は前記口室内に収容される。前記鼻室と前記口室の間は、前記ブリッジ部材を介して適切に流体を通過させられるようになっている。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸を可能とするマスクであって、
本体及び少なくとも1つのシュノーケルを含み、前記少なくとも1つのシュノーケルは前記本体の内部との間で流体を通過可能とし、前記少なくとも1つのシュノーケルは、吸気管及び前記吸気管とは独立した排気管を含み、前記本体は、
メインフレームと、
前記メインフレーム内に嵌合されるレンズと、
前記メインフレーム及び前記レンズに少なくとも部分的に嵌合され、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカートであって、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が緊締装置によって前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻及び口は前記下室内に収容される防水密封スカートと、
前記吸気管から前記下室まで形成される吸気通路と、
前記下室から前記排気管まで形成される排気通路、を含む呼吸を可能とするマスクにおいて、
前記防水密封スカートは、更に、前記下室に横たわって前記下室を鼻室と前記鼻室の下方に位置する口室とに区画するブリッジ部材を含み、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着すると、前記使用者の鼻は前記鼻室内に収容され、且つ、前記使用者の口は前記口室内に収容され、前記吸気通路は前記鼻室との間で流体を通過させるようになっており、前記排気通路は前記口室又は前記鼻室との間で流体を通過させるようになっており、前記鼻室と前記口室の間は前記ブリッジ部材を介して適切に流体を通過させられるようになっていることを特徴とする、呼吸を可能とするマスク。
【請求項2】
前記呼吸を可能とするマスクはシュノーケルを含み、前記シュノーケル内に前記吸気管及び前記排気管が備わっている、請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項3】
前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室から一方向に前記鼻室に進入させる第1逆止弁が設けられている、請求項2に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項4】
前記第1逆止弁は前記スペーサーに設けられる、請求項3に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項5】
前記排気通路には、吐き出された空気を前記下室から前記排気通路に沿って外部に排出する第2逆止弁が設けられている、請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項6】
前記排気通路は前記口室と連通しており、且つ、前記ブリッジ部材には少なくとも1つの開口が設けられ、前記鼻室と前記口室の間は開口を通じて適切に流体を通過させられるようになっている、請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項7】
前記ブリッジ部材は、更に、前記少なくとも1つの開口に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室から一方向に前記口室に進入させる第3逆止弁を含む、請求項6に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項8】
前記排気通路は前記鼻室と連通している、請求項3に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項9】
前記排気通路には、吐き出された空気を前記鼻室から前記排気通路に沿って外部に排出する第2逆止弁が設けられている、請求項8に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項10】
前記ブリッジ部材には少なくとも1つの開口が設けられ、且つ、更に、前記少なくとも1つの開口に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室から一方向に前記口室に進入させる第3逆止弁を含む、請求項8に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項11】
前記排気通路は前記口室と連通しており、前記第1逆止弁は前記スペーサーの下方外側に横たわっている、請求項3に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項12】
前記排気通路には、吐き出された空気を前記口室から前記排気通路に沿って外部に排出する第2逆止弁が設けられている、請求項11に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項13】
前記排気通路の入口領域には、前記口室から吐き出された空気と前記鼻室に進入する吸い込まれた空気を更に隔離するよう、前記スペーサー及び前記ブリッジ部材と統合されて一体的に成形される仕切りが設けられる、請求項11に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項14】
前記ブリッジ部材には少なくとも1つの開口が設けられ、且つ、更に、前記少なくとも1つの開口に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室から一方向に前記口室に進入させる第3逆止弁を含む、請求項13に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項15】
前記呼吸を可能とするマスクは2つのシュノーケルを含み、前記2つのシュノーケルの一方が前記吸気管を規定し、他方が前記排気管を規定し、前記排気管は、前記本体の外輪郭に沿って延伸するとともに、前記吸気管と隣接しており、且つ下端が口室内に防水状に挿入されて口室と連通している、請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項16】
前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室から一方向に前記鼻室に進入させる第1逆止弁が設けられている、請求項15に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項17】
前記第1逆止弁は、前記スペーサーの下方外側に横向きに設けられる、請求項16に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項18】
前記排気管は、前記メインフレームの一方の側辺と前記防水密封スカートの間に挟設される、請求項15に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項19】
前記排気管の上端には、吐き出された空気を前記口室から前記排気管に沿って外部に排出する第2逆止弁が設けられている、請求項15に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項20】
呼吸を可能とするマスクの本体構造であって、
メインフレームと、
前記メインフレーム内に嵌合されるレンズと、
前記メインフレーム及び前記レンズに少なくとも部分的に嵌合され、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカートであって、本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻及び口は前記下室内に収容される防水密封スカート、を含む本体構造において、
前記防水密封スカートは、更に、前記下室に横たわって前記下室を鼻室と前記鼻室の下方に位置する口室とに区画するブリッジ部材を含み、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着すると、前記使用者の鼻は前記鼻室内に収容され、且つ、前記使用者の口は前記口室内に収容され、前記鼻室と前記口室の間は前記ブリッジ部材を介して適切に流体を通過させられるようになっていることを特徴とする本体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルフェイスマスクに関し、特に、シュノーケリング用の呼吸を可能とするマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
口及び鼻で自在に呼吸可能であり、且つ、使用者が可能な限り清潔な空気を吸い込むことができ、吐き出される汚れた空気に可能な限り清潔な空気を混合させないようにしたあと、再び次の吸気サイクルに進めるよう、現在のフルフェイスシュノーケルマスク(即ち、いわゆるFull Face Snorkel Mask,FFSM)の多くは、マスク本体内を、目を覆う上室と、口及び鼻を覆う下室に区分している。これにより、吸い込まれた清潔な空気は、上室を経由して一方向に下室へと進入可能となり、吐き出された汚れた空気は、大部分が独立した排気通路を経由して排出される。例えば、特許文献1及び特許文献2等に示されるように、上記の排気通路の一部は、上室の周縁に独立して装着されるとともに、シュノーケルと連通している。これにより、排出される空気は、上室に滞ることなく、シュノーケルを直接経由して外部に到達可能となるため、次の吸気時に再び下室に進入して吸い込まれ、新鮮な空気中に二酸化炭素を含有させることがない。
【0003】
しかし、吸気と呼気のサイクルのたびに、排気通路及び下室内には、自ずと二酸化炭素を多く含んだ一定量の汚れた空気が残留し、次の吸気サイクルにおいて清潔な空気とともに吸い込まれてしまう。そのため、むろん吸排気用に分離構造は設けられているが、各呼吸サイクルで吸い込まれる空気は依然として十分に清潔ではなく、シュノーケリング時間が長くなると、やはり相当量の二酸化炭素がマスク内に蓄積されてしまう。また、実際にマスクを水中で使用していると、どうしても下室に水が溜まることになる。口と鼻は1つの空間を同時に共用しているため、使用者が力強く口から息を吐き、溜まった水を排水弁から吐出しようとすると、水沫が鼻孔に跳ね返ることで、使用者は非常に不快に感じ、ひいてはむせたような感覚を覚える。よって、このようなマスクには、依然として大幅な改良の余地がある。
【0004】
そのほか、従来のFFSMは、水中では排水弁を通じて排水せねばならないが、強大な水圧に抗する必要があるため、これはほぼ不可能である。そこで、マスク内に溜まった水を排出したければ、使用者が水中で力強く息を吐くしかないが、それでも不可能な場合には、往々にして、頭を上げるか身体を起こし、マスクを水面から離して、溜まった水を下向きに排水弁(あごの位置に対応)から排出せねばならない。これは極めて不便であり、体力も消耗するほか、楽しみも損なわれる。
【0005】
以上に鑑みて、上記の課題を同時又は部分的に解決することで、清潔な空気の進入と汚れた空気の排出との分流をより確実にするとともに、更に、製造及び組み立てのコストをいずれも有効に制御可能とし、且つ全体的なマスクの強度を強化可能とすることが、業界の一致した目標となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10556654号明細書
【特許文献2】米国特許第11358012号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一つは、呼吸を可能とするマスクを提供することである。当該呼吸を可能とするマスクは、口及び鼻を収容する下室にブリッジ部材を増設し、下室を鼻室と口室とに更に区画して、吸気気流を鼻室に案内する一方、排気気流については鼻室又は口室から導出する。また、鼻室と口室の間を条件付きで連通させる。例えば、開口を設けるか、流体が鼻室から口室に到達することのみを許容する逆止弁を当該開口に設置する。且つ、そもそも下室は独立した空間であるが、ブリッジ部材の設置によって下室の全体強度が大幅に強化される。よって、マスクの正面について、レンズ面下方の口・鼻領域に、例えば、レンズフレームと排水弁を覆う口フレームとを接続するホルダのような硬質部品を過剰に設置することを特に考慮しなくともよい。この場合でも、全体的なマスクの強度は十分であるため、使用時に軟質の鼻マスク部が水圧を受けて陥没することはない。
【0008】
吸気気流の経路については、鼻で息を吸う際に、新鮮な空気は、吸気管から鼻室に進入して使用者の鼻腔に直接進入可能である。また、口で息を吸う際には、新鮮な空気は、吸気管から鼻室に進入したあと、口室に進入して使用者の口腔に進入可能である。排気気流の経路については、排気通路が鼻室と連通している場合、鼻から息を吐く際に、一部の汚れた空気は排気通路を通じて外部に排出され、別の一部の汚れた空気は口室に進入したあと、排水弁から水中に排出される。また、口から息を吐く際、汚れた空気は排水弁を経由して水中に排出され、鼻室内に戻ることはない。一方、排気通路が口室と連通している場合、鼻から息を吐く際に、汚れた空気はまず口室に進入し、大部分が排気通路を通じて外部に排出されるとともに、別のわずかな部分が排水弁から水中に排出される。また、口から息を吐く際には、一部の汚れた空気が排気通路を経由して排出され、一部が排水弁を通じて水中に排出されて、やはり鼻室内に戻ることはない。そのため、このような設計は、いずれも使用者が鼻又は口で自在に吸排気することを妨げない。使用者が鼻で息を吸うことを選択した場合には、吸気気流が排気気流と完全に独立するため、使用者はほぼ100パーセントの新鮮な空気を吸い込むことができる。一方、使用者が口で息を吸うことを選択した場合には、口室の体積が大変小さいため、口室内に溜まる汚れた空気の比率も大幅に低下する。よって、汚れた空気が、鼻室からブリッジ部材を経由して来た大量の新鮮な空気に取って代わることはない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的に基づき、本発明は、具体的に、本体及び少なくとも1つのシュノーケルを含む呼吸を可能とするマスクを提供する。前記シュノーケルは前記本体の内部との間で流体を通過可能とする。前記少なくとも1つのシュノーケルは、吸気管及び当該吸気管とは独立した排気管を含む。前記本体は、メインフレームと、前記メインフレーム内に嵌合されるレンズと、前記メインフレーム及び前記レンズに少なくとも部分的に嵌合され、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカートであって、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が緊締装置によって前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは当該使用者の鼻に位置し、当該使用者の目は前記上室内に収容され、当該使用者の鼻及び口は前記下室内に収容される防水密封スカートと、前記シュノーケルの吸気管から前記下室まで形成される吸気通路と、前記下室から前記シュノーケルの排気管まで形成される排気通路、を含む。当該呼吸を可能とするマスクの特徴は次の通りである。前記防水密封スカートは、更に、前記下室に横たわって当該下室を鼻室と当該鼻室の下方に位置する口室とに区画するブリッジ部材を含む。前記使用者が前記マスクを装着すると、当該使用者の鼻は前記鼻室内に収容され、且つ、当該使用者の口は前記口室内に収容される。前記吸気通路は前記鼻室との間で流体を通過させるようになっており、前記排気通路は前記口室又は鼻室との間で流体を通過させるようになっている。前記鼻室と前記口室の間は前記ブリッジ部材を介して適切に流体を通過させられるようになっている。
【0010】
また、上記の目的に基づいて、本発明は、具体的に、呼吸を可能とするマスクの本体構造を更に提供する。当該本体構造は、メインフレームと、前記メインフレーム内に嵌合されるレンズと、前記メインフレーム及び前記レンズに少なくとも部分的に嵌合され、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカートであって、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは当該使用者の鼻に位置し、当該使用者の目は前記上室内に収容され、当該使用者の鼻及び口は前記下室内に収容される防水密封スカート、を含む。当該本体構造の特徴は次の通りである。前記防水密封スカートは、更に、前記下室に横たわって当該下室を鼻室と当該鼻室の下方に位置する口室とに区画するブリッジ部材を含む。前記使用者が前記マスクを装着すると、当該使用者の鼻は前記鼻室内に収容され、且つ、当該使用者の口は前記口室内に収容される。前記鼻室と前記口室の間は前記ブリッジ部材を介して適切に流体を通過させられるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施例における気流の概略図である。
図2図2は、本発明の第2実施例における気流の概略図である。
図3A図3Aは、本発明の第3実施例の概略斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aの3B-3B線で得られる冠状断面図であり、吸排気流を示している。
図4A図4Aは、本発明の第4実施例の概略斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの4B-4B線で得られる冠状断面図であり、吸排気流を示している。
図5A図5Aは、本発明の第5実施例の概略斜視図である。
図5B図5Bは、本発明の第5実施例における正面視の分解斜視図であり、排水弁は図示していない。
図5C図5Cは、図5Aにおける5C-5C線で得られる冠状断面図であり、吸排気流を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、各種実施例に共通の構造であるため、各図に対応する構成要素の符号を系統化して同列に説明する。第1、第2、第3、第4及び第5実施例では、明瞭簡潔とするために、それぞれ、構成要素の符号を先頭の数字が1、2、3、4、5で始まる数字で命名している。
【0013】
図1図5Cに示すように、呼吸を可能とするマスク10、20、30、40、50は、本体11、21、31、41、51と、当該本体11、21、31、41、51の内部との間で流体を通過可能とする少なくとも1つのシュノーケル12、22、32、42、52を含む。当該少なくとも1つのシュノーケル12、22、32、42、52は、吸気管121、221、321、421、521と、当該吸気管121、221、321、421、521とは独立した排気管122、222、322、422、522を含む。前記本体11、21、31、41、51は、メインフレーム13、23、33、43、53と、当該メインフレーム13、23、33、43、53内に嵌合されるレンズ14、24、34、44、54と、当該メインフレーム13、23、33、43、53及び当該レンズ14、24、34、44、54に少なくとも部分的に嵌合される防水密封スカート15、25、35、45、55、を含む。当該防水密封スカート15、25、35、45、55は、使用者の顔部(図示しない)に適切に密着可能である。当該防水密封スカート15、25、35、45、55は、前記本体11、21、31、41、51の内部を上室17、27、37、47、57と下室18、28、38、48、58に分割するスペーサー16、26、36、46、56を有する。前記使用者が、緊締装置(通常は、メインフレーム13、23、33、43、53の両側に接続される弾性ヘアバンド。図示しない)によって前記呼吸を可能とするマスク10、20、30、40、50を装着した場合、前記スペーサー16、26、36、46、56は当該使用者の鼻に位置する。また、当該使用者の目は、前記上室17、27、37、47、57内に収容され、当該使用者の鼻及び口は、前記下室18、28、38、48、58内に収容される。また、吸気通路が、前記吸気管121、221、321、421、521から前記下室18、28、38、48、58の間に形成され、排気通路が、前記下室18、28、38、48、58から前記排気管122、222、322、422、522まで形成される。上記のレンズ、吸気管、排気管、吸気通路及び排気通路については択一的に説明するが、これらの数は限定しない。好ましくは、レンズは左右の目が一体型となっている。また、吸気管、排気管、吸気通路及び排気通路は2つずつとし、且つ左右対称に設計する。
【0014】
防水密封スカート15、25、35、45、55は、更に、前記下室18、28、38、48、58に横たわって、当該下室18、28、38、48、58を、鼻室181、281、381、481、581と、当該鼻室の下方に位置する口室182、282、382、482、582とに区画するブリッジ部材151、251、351、451、551を含む。前記使用者が前記マスク10、20、30、40、50を装着すると、当該使用者の鼻は、前記鼻室181、281、381、481、581内に収容され、且つ、当該使用者の口は、前記口室182、282、382、482、582内に収容される。前記吸気通路は、前記鼻室181、281、381、481、581との間で流体を通過させるようになっており、前記排気通路は、前記口室182、282、382、482、582、又は、鼻室181、281、381、481、581との間で流体を通過させるようになっている。且つ、前記鼻室181、281、381、481、581と前記口室182、282、382、482、582の間は、前記ブリッジ部材151、251、351、451、551を介して適切に流体を通過させられるようになっている。
【0015】
第1実施例の個別の概略説明図である図1を参照する。マスク10は、1つのシュノーケル12を含む。当該シュノーケル12内には、前記吸気管121及び前記排気管122が備わっている。前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室17から一方向に前記鼻室181に進入させる第1逆止弁161が設けられている。好ましくは、当該第1逆止弁161は前記スペーサー16に設けられる。より好ましくは、前記排気通路には、吐き出された空気が前記下室18から当該排気通路に沿って一方向に外部へ排出されるよう確実に保証する第2逆止弁(図示しない)を設けてもよい。これにより、更に、排気通路に蓄積された汚れた空気が口室182に戻るという事態を阻止することも可能となる。
【0016】
本実施例において、排気通路は口室182と連通している。また、ブリッジ部材151には、少なくとも1つの開口152が設けられる(開口の数、形状はいずれも限定しない)。前記使用者が前記マスク10を装着すると、鼻室181と口室182の間は、当該開口152を通じてのみ流体の通過が可能となる。図1の白抜きの気流線で示すように、鼻で息を吸った場合、新鮮な空気は、シュノーケル12の吸気管121から進入し、上室17を通過して、第1逆止弁161経由で鼻室181に進入することで、鼻から体内に吸い込まれる。また、口で息を吸った場合には、鼻室181の新鮮な空気が、ブリッジ部材151に設けられた開口152を通じて口室182に進入し、口から体内に吸い込まれる。一方、図1の中実の気流線で示すように、鼻から息を吐いた場合、汚れた空気は、まず開口152を経由して口室182に進入したあと、上室17の周縁に独立して設けられる排気トンネル153から、シュノーケル12内に設けられた排気管122を経由して外部に排出される。排気トンネル153は、例えば、防水密封スカート15とレンズ14の周縁によって共同で規定可能である。また、口から息を吐いた場合、汚れた空気は、上記の排気トンネル153に沿って、シュノーケル12内に設けられた排気管122を経由して外部に排出される。一方、口から大きく息を吐いた場合には、ブリッジ部材151で遮断されていることから、口室182に溜まった水は、鼻室181に大量に跳ね返ることなく、排水弁19を経由して排出される。これにより、鼻領域を相対的に乾燥させて快適にすることができる。従って、使用者は、鼻又は口を任意に使用して吸排気を行うことができる。且つ、口室182の空間は大変小さくなっており、より好ましくは、排水弁19の設計位置がちょうど使用者の口に対向可能となっている。そのため、当該設計によれば、使用者は、水中で水圧に抗して楽に排水可能となり、水面に浮かぶ必要がなくなるため、体力をいっそう節約できる。
【0017】
第2実施例の個別の概略説明図である図2を参照する。第1実施例と類似して、マスク20は1つのシュノーケル22を含む。当該シュノーケル22内には、前記吸気管221及び前記排気管222が備わっている。前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室27から一方向に前記鼻室281に進入させる第1逆止弁261が設けられている。好ましくは、当該第1逆止弁261は前記スペーサー26に設けられる。より好ましくは、前記排気通路には、吐き出された空気が前記下室28から当該排気通路に沿って一方向に外部へ排出されるよう確実に保証する第2逆止弁(図示しない)を設けてもよい。これにより、更に、排気通路に蓄積された汚れた空気が口室282に戻るという事態を阻止することも可能となる。
【0018】
本実施例において、排気通路は口室282と連通している。また、ブリッジ部材251には、少なくとも1つの開口252が設けられる(開口の数、形状はいずれも限定しない)。前記ブリッジ部材251は、更に、前記開口252に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室281から一方向に前記口室282に進入させる第3逆止弁255を含む。つまり、前記使用者が前記マスク20を装着すると、流体は、鼻室281から第3逆止弁255を通じて口室282に流動することのみが許容される。図2の白抜きの気流線で示すように、鼻で息を吸った場合、新鮮な空気は、シュノーケル22の吸気管221から進入し、上室27を通過して、第1逆止弁261経由で鼻室281に進入することで、鼻から体内に吸い込まれる。また、口で息を吸った場合には、鼻室281の新鮮な空気が、第3逆止弁255を通じて口室282に進入し、口から体内に吸い込まれる。一方、図2の中実の気流線で示すように、鼻から息を吐いた場合、汚れた空気は、まず第3逆止弁255を経由して口室282に進入したあと、上室27の周縁に独立して設けられる排気トンネル253から、シュノーケル22内に設けられた排気管222を経由して外部に排出される。排気トンネル253は、例えば、防水密封スカート25とレンズ24の周縁によって共同で規定可能である。また、口から息を吐いた場合、汚れた空気は、上記の排気トンネル253に沿って、シュノーケル22内に設けられた排気管222を経由して外部に排出される。一方、口から大きく息を吐いた場合には、ブリッジ部材251及び第3逆止弁255で遮断されていることから、口室282に溜まった水は、鼻室281に跳ね返ることなく、排水弁29を経由して排出される。これにより、鼻領域を乾燥させて快適にすることができる。従って、使用者は、鼻又は口を任意に使用して吸排気を行うことができる。且つ、口室282の空間は大変小さくなっており、より好ましくは、排水弁29の設計位置がちょうど使用者の口に対向可能となっている。そのため、当該設計によれば、使用者は、水中で水圧に抗して楽に排水可能となり、水面に浮かぶ必要がなくなるため、体力をいっそう節約できる。
【0019】
第3実施例の個別の概略説明図である図3A及び図3Bを参照する。第2実施例と類似して、マスク30は1つのシュノーケル32を含む。当該シュノーケル32内には、前記吸気管321及び前記排気管322が備わっている。前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室37から一方向に前記鼻室381に進入させる第1逆止弁361が設けられている。好ましくは、当該第1逆止弁361は前記スペーサー36に設けられる。より好ましくは、前記排気通路には、吐き出された空気が前記下室38から当該排気通路に沿って一方向に外部へ排出されるよう確実に保証する第2逆止弁362を設けてもよい。これにより、更に、排気通路に蓄積された汚れた空気が鼻室381に戻るという事態を阻止することも可能となる。
【0020】
本実施例において、排気通路は鼻室381と連通している。また、ブリッジ部材351には、少なくとも1つの開口352が設けられる(開口の数、形状はいずれも限定しない)。前記ブリッジ部材351は、更に、前記開口352に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室381から一方向に前記口室382に進入させる第3逆止弁355を含む。つまり、前記使用者が前記マスク30を装着すると、流体は、鼻室381から第3逆止弁355を通じて口室382に流動することのみが許容される。図3Bの白抜きの気流線で示すように、鼻で息を吸った場合、新鮮な空気は、シュノーケル32の吸気管321から進入し、上室37を通過して、第1逆止弁361経由で鼻室381に進入することで、鼻から体内に吸い込まれる。また、口で息を吸った場合には、鼻室381の新鮮な空気が、第3逆止弁355を通じて口室382に進入し、口から体内に吸い込まれる。一方、図3Bの中実の気流線で示すように、鼻から息を吐いた場合、汚れた空気は、上室37の周縁に独立して設けられる排気トンネル353から、シュノーケル32内に設けられた排気管322を経由して外部に排出される。排気トンネル353は、例えば、防水密封スカート35とレンズ34の周縁によって共同で規定される。また、口から息を吐いた場合、汚れた空気は第3逆止弁355によって遮断されるため、鼻室381に戻ることがない。一方、口から大きく息を吐いた場合には、同様に、ブリッジ部材351及び第3逆止弁355で遮断されていることから、口室382に溜まった水は、鼻室381に跳ね返ることなく、排水弁39を経由して排出される。これにより、鼻領域を乾燥させて快適にすることができる。従って、本実施例において、使用者は、鼻による吸排気と、口による吸気を任意に行うことができる。本実施例では、口から吐き出された汚れた空気が、鼻室381に戻って鼻からの次の吸気サイクルに出現することがない。また、水中では、水圧及び第3逆止弁355で阻止されるため、口は有効に排気に関わることができない。よって、使用者は、無意識のうちに自然と鼻で呼吸するようになり、一段ときれいで新鮮な空気を吸い込むことになる。これにより、シュノーケリングアクティビティにおける耐久性及び安全性が自ずと向上する。そのほか、口室382の空間は大変小さくなっており、より好ましくは、排水弁39の設計位置がちょうど使用者の口に対向可能となっている。そのため、本実施例の設計によれば、使用者は、水中で水圧に抗して楽に排水可能となり、水面に浮かぶ必要がなくなるため、体力をいっそう節約できる。
【0021】
第4実施例の個別の概略説明図である図4A及び図4Bを参照する。第2実施例と類似して、マスク40は1つのシュノーケル42を含む。当該シュノーケル42内には、前記吸気管421及び前記排気管422が備わっている。前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室47から一方向に前記下室48に進入させる第1逆止弁461が設けられている。本実施例において、前記第1逆止弁461は、前記スペーサー46の下方外側に横たわっている。より好ましくは、前記排気通路には、吐き出された空気が前記下室48から当該排気通路に沿って一方向に外部へ排出されるよう確実に保証する第2逆止弁(図示しない)を設けてもよい。これにより、更に、排気通路に蓄積された汚れた空気が口室482に戻るという事態を阻止することも可能となる。
【0022】
本実施例において、排気通路は口室482と連通している。また、ブリッジ部材451には、少なくとも1つの開口452が設けられる(開口の数、形状はいずれも限定しない)。前記ブリッジ部材451は、更に、前記開口452に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室481から一方向に前記口室482に進入させる第3逆止弁455を含む。つまり、前記使用者が前記マスク40を装着すると、流体は、鼻室481から第3逆止弁455を通じて口室482に流動することのみが許容される。図4Bの白抜きの気流線で示すように、鼻で息を吸った場合、新鮮な空気は、シュノーケル42の吸気管421から進入し、上室47を通過して、第1逆止弁461経由で鼻室481に進入することで、鼻から体内に吸い込まれる。また、口で息を吸った場合には、鼻室481の新鮮な空気が、第3逆止弁455を通じて口室482に進入し、口から体内に吸い込まれる。一方、図4Bの中実の気流線で示すように、鼻から息を吐いた場合、汚れた空気は、まず第3逆止弁455を経由して口室482に進入したあと、上室47の周縁に独立して設けられる排気トンネル453から、シュノーケル42内に設けられた排気管422を経由して外部に排出される。排気トンネル453は、例えば、防水密封スカート45とレンズ44の周縁によって共同で規定される。また、口から息を吐いた場合、汚れた空気は、上記の排気トンネル453に沿って、シュノーケル42内に設けられた排気管422を経由して外部に排出される。一方、口から大きく息を吐いた場合には、ブリッジ部材451及び第3逆止弁455で遮断されていることから、口室482に溜まった水は、鼻室481に跳ね返って鼻に不快感を与えることなく、排水弁49を経由して排出される。従って、使用者は、鼻又は口を任意に使用して吸排気を行うことができる。且つ、口室482の空間は大変小さくなっており、より好ましくは、排水弁49の設計位置がちょうど使用者の口に対向可能となっている。そのため、当該設計によれば、使用者は、水中で水圧に抗して楽に排水可能となり、水面に浮かぶ必要がなくなるため、体力をいっそう節約できる。
【0023】
更に、口室482から吐き出された汚れた空気を次の吸気サイクルに混入させないよう、本実施例では、吸気通路と排気通路を更に断絶可能とする。具体的には、前記排気通路の入口領域、つまり、第1逆止弁461の外側に、前記スペーサー46及び前記ブリッジ部材451と統合されて一体的に成形される仕切り454を設ける。これにより、前記口室482から吐き出された空気と前記鼻室481に進入する吸い込まれた空気が更に隔離される。
【0024】
第5実施例の個別の概略説明図である図5A図5B及び図5Cを参照する。上記いくつかの実施例におけるシュノーケルとは異なり、本実施例において、マスク50は2つのシュノーケル52、52aを含む。当該2つのシュノーケルの一方は前記吸気管521を規定し、他方は前記排気管522を規定する。前記排気管522は、前記本体51の外輪郭に沿って延伸するとともに、前記吸気管521と隣接しており、且つ下端が口室582内に防水状に挿入されて、口室582と連通している。より好ましくは、いっそう良好な位置決め効果が得られるよう、前記排気管522は、前記メインフレーム53の一方の側辺と前記防水スカート部55の間に挟設される。前記吸気通路には、吸い込まれた空気を前記上室57から一方向に前記鼻室581に進入させる第1逆止弁561が設けられている。本実施例において、前記第1逆止弁561は前記スペーサー56の下方外側に横たわっている。より好ましくは、前記排気通路には、前記排気管522の上端に設けられるとともに、上蓋523が固定される第2逆止弁562が設けられている。これにより、吐き出された汚れた空気は、前記口室582から、当該排気管522に沿って一方向に外部に排出される。当然ながら、排気通路と口室582との連通箇所に排気逆止弁を増設してもよい(例えば、第3実施例の第2逆止弁362。本実施例では図示しない)。これにより、更に、排気通路に蓄積された汚れた空気が口室582に戻るという事態を阻止することも可能となる。
【0025】
本実施例において、排気通路は口室582と連通している。また、ブリッジ部材551には、少なくとも1つの開口552が設けられる(開口の数、形状はいずれも限定しない)。前記ブリッジ部材551は、更に、前記開口552に設けられて、前記吸い込まれた空気を前記鼻室581から一方向に前記口室582に進入させる第3逆止弁555を含む。つまり、前記使用者が前記マスク50を装着すると、流体は、鼻室581から第3逆止弁555を通じて口室582に流動することのみが許容される。図5Cの白抜きの気流線で示すように、鼻で息を吸った場合、新鮮な空気は、シュノーケル52の吸気管521から進入し、上室57を通過して、第1逆止弁561経由で鼻室581に進入することで、鼻から体内に吸い込まれる。また、口で息を吸った場合には、鼻室581の新鮮な空気が、第3逆止弁555を通じて口室582に進入し、口から体内に吸い込まれる。一方、図5Cの中実の気流線で示すように、鼻から息を吐いた場合、汚れた空気は、まず第3逆止弁555を経由して口室582に進入したあと、本体51の外輪郭に沿って独立して延伸する排気管522から、第2逆止弁562を経由して外部に排出される。また、口から息を吐いた場合、汚れた空気は、上記排気管522に沿って外部に直接排出されるため、吸気管521と干渉することがない。一方、口から大きく息を吐いた場合には、ブリッジ部材551及び第3逆止弁555で遮断されていることから、口室582に溜まった水は、鼻室581に跳ね返ることなく、排水弁59を経由して排出される。これにより、鼻を絶対的に乾燥させて快適に感じさせられる。従って、使用者は、鼻又は口を任意に使用して吸排気を行うことができる。且つ、口室582の空間は大変小さくなっており、より好ましくは、排水弁59の設計位置がちょうど使用者の口に対向可能となっている。そのため、当該設計によれば、使用者は、水中で水圧に抗して楽に排水可能となり、水面に浮かぶ必要がなくなるため、体力をいっそう節約できる。本実施例において、吸気通路はマスク本体51内に位置し、排気通路はマスク本体51の外部に位置するため、吸排気を互いに断絶する効果がいっそう良好となる。且つ、シュノーケル52内の吸気管521は、排気管522と1つの管を共用する必要がない。よって、上記いくつかの実施例と比較して、本実施例の吸気管521は管径を大きくすることができ、新鮮な空気の吸気量が大きくなるため、吸気がいっそう楽になる。
【0026】
上記各実施例を総合することで明らかなように、実際のところ、本発明の要点は次の通りである。即ち、呼吸を可能とするマスク10、20、30、40、50の本体11、21、31、41、51の構造は、メインフレーム13、23、33、43、53と、当該メインフレーム内に嵌合されるレンズ14、24、34、44、54と、当該メインフレーム13、23、33、43、53及び当該レンズ14、24、34、44、54に少なくとも部分的に嵌合される防水密封スカート15、25、35、45、55、を含む。当該防水密封スカート15、25、35、45、55は、使用者の顔部に適切に密着可能である。当該防水密封スカート15、25、35、45、55は、前記本体11、21、31、41、51の内部を上室17、27、37、47、57と下室18、28、38、48、58に分割するスペーサー16、26、36、46、56を有する。前記使用者が前記呼吸を可能とするマスク10、20、30、40、50を装着した場合、前記スペーサー16、26、36、46、56は当該使用者の鼻に位置する。また、当該使用者の目は、前記上室17、27、37、47、57内に収容され、当該使用者の鼻及び口は、前記下室18、28、38、48、58内に収容される。より重要な点として、前記防水密封スカート15、25、35、45、55は、更に、前記下室18、28、38、48、58に横たわって、当該下室18、28、38、48、58を、鼻室181、281、381、481、581と、当該鼻室の下方に位置する口室182、282、382、482、582とに区画するブリッジ部材151、251、351、451、551を含む。前記使用者が前記マスクを装着すると、当該使用者の鼻は、前記鼻室181、281、381、481、581内に収容され、且つ、当該使用者の口は、前記口室182、282、382、482、582内に収容される。また、前記鼻室181、281、381、481、581と前記口室182、282、382、482、582の間は、前記ブリッジ部材151、251、351、451、551を介して適切に流体を通過させられるようになっており、好ましくは、鼻室から口室へ一方向に流体が通過するようになっている。
【0027】
人体の生理学的構造には既定の自然なメカニズムがいくつか存在し、自動的に空気のきれいな環境を目指し、空気の汚れた環境は避けるようにできている。そのため、水面下において、鼻で自在に呼吸できず、口でのみ呼吸可能となった場合、生理学的メカニズムでは、生命を維持するために、トレーニングしなくても自動的に軟口蓋を持ち上げて鼻呼吸を遮断し、口呼吸に変更する。従来のシュノーケリング装備は、1つのダイビングマスクで目と鼻を遮蔽し、鼻呼吸を禁止する一方、1つの独立したシュノーケルを使用することで、使用者にシュノーケルを通じて口からのみ呼吸させるというメカニズムで成り立っている。当然ながら、鼻と口の双方で平均的に呼吸できれば、使用者は鼻又は口を任意に使用して呼吸可能となる。しかし、鼻と口を使用して呼吸する場合には、通常はどちらか一方を主要な方法として選択するしかなく、同時に双方を使用することはできない。これもまた、生理学的構造の別の自然な傾向である。更には、口よりも鼻の方が新鮮な空気を吸い込みやすい環境の場合、人間の大脳は、自身が鼻で呼吸するよう無意識下で自然と命令を発することで(このとき、軟口蓋は下降する)、自ずと酸素含有量の高い快適な呼吸方式を取る。つまり、鼻で息を吸うようになる。逆の場合も同様である。つまり、上記設計のいずれかの実施例では、口呼吸と鼻呼吸をいずれも実行可能であるが、鼻室が新鮮な空気をマスクに進入させて人体に吸い込ませる第1の空間であり、且つ、前回口から息を吐き出したあとの汚れた空気はほとんど存在しないため、鼻で息を吸うことが自ずと使用者にとって最も快適な選択となる。この点が、本発明の優位性をいっそう際立たせている。第4、第5実施例の場合を例示すると、使用者が鼻で息を吸った場合には、口又は鼻のいずれから息を吐いたとしても、排出しきれなかった汚れた空気が口室及び排気通路内に保持されることはない。また、前記排気通路と吸気通路は全く連通又は共用されないことから、外部から進入する新鮮な空気は、100パーセントの純度で使用者に提供されて吸入される。これは、従来技術では達成不可能な効果である。
【0028】
上記の各実施例で言及した排気管、排気トンネル又は排気通路は、いずれも両側対称の設計とするのが最適である。よって、明瞭簡潔にするとの観点から、一方のみを選択して説明及び主張したが、これらの数を限定したわけではない。そのほか、本発明におけるブリッジ部材によって下室を鼻室と口室に分割する技術思想はあらゆる形式のフルフェイスマスクに適用可能であるが、本発明では、それらのうちの1つのタイプである呼吸を可能とするマスク(特に、図5Bに示したものを参照すればよい)に適用した。つまり、メインフレーム53及びレンズ54が使用者の目のみを遮蔽し、使用者の鼻と口は主に防水密封スカート55によって覆うものに適用した。そのほか、メインフレーム53及びレンズ54とは独立した口フレーム531を増設するとともに、排水弁59を口フレーム531に配置したあと、軟質の鼻マスク部553をメインフレーム53と口フレーム531の間から外側に突出させた構成を説明例とした。例えば、吸気管、排気管、排気通路、第1又は第2逆止弁の数、タイプ、位置や、レンズの数及び形態(1枚式又は左右分離式)、或いは、排気通路と鼻室又は口室との連通など、本発明の概念に基づき変換される任意の形態についてはいずれも制限せず、吸排気を分流する構成であれば、マスクのタイプに関わらず、いずれも本発明の範囲に属するものとし、且つ、末尾の特許請求の範囲での主張を制限するものと誤解すべきではない。
【符号の説明】
【0029】
10、20、30、40、50 呼吸を可能とするマスク
11、21、31、41、51 本体
12、22、32、42、52、52a シュノーケル
121、221、321、421、521 吸気管
122、222、322、422、522 排気管
13、23、33、43、53 メインフレーム
14、24、34、44、54 レンズ
15、25、35、45、55 防水密封スカート
151、251、351、451、551 ブリッジ部材
16、26、36、46、56 スペーサー
17、27、37、47、57 上室
18、28、38、48、58 下室
181、281、381、481、581 鼻室
182、282、382、482、582 口室
161、261、361、461、561 第1逆止弁
362、562 第2逆止弁
255、355、455、555 第3逆止弁
152、252、352、452、552 開口
153、253、353、453 排気トンネル
19、29、39、49、59 排水弁
454 仕切り
523 上蓋
531 口フレーム
553 鼻マスク部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
【外国語明細書】