(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152970
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】骨用楔状インプラント及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/42 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61F2/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023054706
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/362,221
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523014809
【氏名又は名称】メダティス アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】MEDARTIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】マット コイン
(72)【発明者】
【氏名】アダム フィンリー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン シュロッターバック
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド ボイセン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA02
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】扁平足のような足部の変形を治療するための、改善されたデバイス及び方法を提供する。
【解決手段】本発明はヒトの足部の変形を矯正するための骨切り術用インプラントデバイスであり、デバイスは、テーパ状楔状物、テーパ状楔状物の遠位側面から間隔を空けて配置された第1の円柱状ポスト、テーパ状楔状物の近位側面から間隔を空けて配置された第2の円柱状ポスト、及び第1の円柱状ポストから前記第2の円柱状ポストまでを長さ方向に架橋する中間架橋部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨切り術用インプラントデバイスであって、前記骨切り術用インプラントデバイスは、
中央部分及び側方部分を備え、側方部分は外向きの側方面を備えている、テーパ状楔状物であって、側方部分は第1の付属体及び第2の付属体を備え、第1の付属体は中央部分の第1端から側方面へと伸び、第2の付属体は中央部分の第2端から側方面へと伸び、第1の付属体、中央部分及び第2の付属体はU字型の本体を形成し、U字型の本体は、外周面、内周面、外周面と内周面との間を伸びる遠位側面、及び遠位側面の反対側であり外周面と内周面との間を伸びる近位側面を規定し、内周面は中心開口部を画成し、遠位側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸び、かつ近位外側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸びる、テーパ状楔状物;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の遠位側面から間隔を空けて配置された第1の円柱状ポスト;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の近位側面から間隔を空けて配置された第2の円柱状ポスト;並びに
前記第1の円柱状ポストから前記第2の円柱状ポストまでを長さ方向に架橋する中間架橋部であって、前記中間架橋部の第1の部分は前記テーパ状楔状物の遠位側面から第1の円柱状ポストへと伸び、かつ前記中間架橋部の第2の部分は前記テーパ状楔状物の近位側面から第2の円柱状ポストへと伸びる、中間架橋部
を具備する、骨切り術用インプラントデバイス。
【請求項2】
骨切り術用インプラントデバイスは、前記テーパ状楔状物の中央部分に着脱自在に添着された設置器具を使用して骨切り部に挿入されるように構成されている、請求項1に記載の骨切り術用インプラントデバイス。
【請求項3】
テーパ状楔状物の中央部分はテーパ状楔状物の側方部分よりも厚い、請求項1に記載の骨切り術用インプラントデバイス。
【請求項4】
第1の円柱状ポストは骨内への挿入を容易にするために丸みを帯びた端部を備えている、請求項1に記載の骨切り術用インプラントデバイス。
【請求項5】
骨切り術用インプラントシステムであって、前記骨切り術用インプラントシステムは、
骨切り術用インプラントデバイスであって、
中央部分及び側方部分を備え、側方部分は外向きの側方面を備えている、テーパ状楔状物であって、側方部分は第1の付属体及び第2の付属体を備え、第1の付属体は中央部分の第1端から側方面へと伸び、第2の付属体は中央部分の第2端から側方面へと伸び、第1の付属体、中央部分及び第2の付属体はU字型の本体を形成し、U字型の本体は、外周面、内周面、外周面と内周面との間を伸びる遠位側面、及び遠位側面の反対側であり外周面と内周面との間を伸びる近位側面を規定し、内周面は中心開口部を画成し、遠位側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸び、かつ近位外側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸びる、テーパ状楔状物;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の遠位側面から間隔を空けて配置された第1の円柱状ポスト;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の近位側面から間隔を空けて配置された第2の円柱状ポスト;
前記第1の円柱状ポストから前記第2の円柱状ポストまでを長さ方向に架橋する中間架橋部であって、前記中間架橋部の第1の部分は前記テーパ状楔状物の遠位側面から第1の円柱状ポストへと伸び、かつ前記中間架橋部の第2の部分は前記テーパ状楔状物の近位側面から第2の円柱状ポストへと伸びる、中間架橋部
を備えている骨切り術用インプラントデバイス;
設置器具であって、骨切り部への前記楔状物の挿入を容易にするために前記楔状物の中央部分に着脱自在に結合される設置器具;並びに
試行・骨準備用器具であって、ガイド本体及び試行部分を備え、試行部分は骨切り部に挿入するための前記テーパ状楔状物によく似たテーパ状楔状部分を備え、ガイド本体は、第1の穴部、第2の穴部、及び第1の穴部と第2の穴部との間を伸びるフライス加工用スロットを備え、第1の穴部、第2の穴部及びフライス加工用スロットは、前記骨切り術用インプラントデバイスのために骨切り部を準備するように構成されている、試行・骨準備用器具
を具備する骨切り術用インプラントシステム。
【請求項6】
骨切り術用インプラントデバイスであって、前記骨切り術インプラントデバイスは、
テーパ状楔状物であって、
第1端及び第2端を備えた中央部分;
中央部分の第1端から伸びる第1の付属体;
中央部分の第2端から伸びる第2の付属体
を備え、
中央部分、第1の付属体及び第2の付属体はU字型の本体を形成し、かつ中心開口部を画成し、U字型の本体は、第1の縁部及び第2の縁部を規定する第1面、第3の縁部及び第4の縁部を規定する第2面、第1面の第1の縁部と第2面の第1の縁部との間を、第1の付属体、中央部分及び第2の付属体に沿って伸びる遠位側表面、並びに第1面の第2の縁部と第2面の第2の縁部との間を、第1の付属体、中央部分及び第2の付属体に沿って伸びる近位側面
を備えている、テーパ状楔状物;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の遠位側面の一部分から間隔を空けて配置された第1の円柱状ポスト;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の近位側面から間隔を空けて配置された第2の円柱状ポスト;並びに
前記第1の円柱状ポストから前記第2の円柱状ポストまでを長さ方向に架橋する中間架橋部であって、前記中間架橋部の第1の部分は前記テーパ状楔状物のU字型の本体の中央側の遠位側面から第1の円柱状ポストへと伸び、かつ前記中間架橋部の第2の部分は前記テーパ状楔状物のU字型の本体の中央部分の近位側面から第2の円柱状ポストへと伸びる、中間架橋部
を具備する骨切り術用インプラントデバイス。
【請求項7】
足部の楔状骨切り術のための方法であって、前記方法は、
足部の骨切り部位を露出させるステップ;
骨切り術用インプラントデバイスを提供するステップであって、前記骨切り術用インプラントデバイスは、
中央部分及び側方部分を備え、側方部分は外向きの側方面を備えている、テーパ状楔状物であって、側方部分は第1の付属体及び第2の付属体を備え、第1の付属体は中央部分の第1端から側方面へと伸び、第2の付属体は中央部分の第2端から側方面へと伸び、第1の付属体、中央部分及び第2の付属体はU字型の本体を形成し、U字型の本体は、外周面、内周面、外周面と内周面との間を伸びる遠位側面、及び遠位側面の反対側であり外周面と内周面との間を伸びる近位側面を規定し、内周面は中心開口部を画成し、遠位側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸び、かつ近位外側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸びる、テーパ状楔状物;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の遠位側面から間隔を空けて配置された第1の円柱状ポスト;
前記テーパ状楔状物のU字型の本体の近位側面から間隔を空けて配置された第2の円柱状ポスト;並びに
前記第1の円柱状ポストから前記第2の円柱状ポストまでを長さ方向に架橋する中間架橋部であって、前記中間架橋部の第1の部分は前記テーパ状楔状物の遠位側面から第1の円柱状ポストへと伸び、かつ前記中間架橋部の第2の部分は前記テーパ状楔状物の近位側面から第2の円柱状ポストへと伸びる、中間架橋部
を具備している、ステップ;
骨切り部位を横断して骨切り術用インプラントデバイスを挿入するステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2022年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/362,221号(代理人整理番号第3768.126P1号)に基づく優先権を主張し、米国仮特許出願第63/362,221号は参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
<本発明の技術分野>
本出願は、デバイス、及び外科用器具に関連した方法に関し、かつより具体的にはデバイス、及び骨用インプラントのための方法に関する。
【0003】
<関連技術の説明>
足部の解剖学的構造及び足部における骨の適切な配置状態は、適切な体重負荷、平衡、及び運動性をもたらすためには重要である。一般に扁平足(flatfoot)として知られる扁平足(pes planus)は、起立時に足底弓蓋(土踏まず)が無い場合に生じ、かつ長時間の起立、長距離の歩行、及び/又は走行などの身体活動を行なう時に痛みを伴うこともある、体位に関わる変形である。様々な足部の問題、例えば不適切な骨の発達、後脛骨筋腱機能不全(PTTD)、関節炎、外傷、又は糖尿病性虚脱が、扁平足の原因となりうる。多くの場合、矯正器具、ブレース、及び/又は理学療法が扁平足の治療に使用される。しかしながら場合によっては、扁平足に関連する解剖学的異常を矯正し、かつ骨の配置状態を適切にして疼痛の軽減及び運動性の改善を行うために、追加の外科的処置が必要かもしれない。
【0004】
短縮、延長、又はそうでなければ骨アライメントの変更のために骨を切断する外科的処置である骨切り術は、扁平足の治療に使用されることが多い。扁平足を治療するための通常の外科技術にはエバンス(Evans)踵骨骨切り術又はコットン(Cotton)骨切り術が含まれ、これらは骨を開大して骨開大部の中へ自家骨(患者の体から採取した骨)、同種異型移植片(骨銀行から入手した骨)、又は合成楔状物を配置するために使用される骨切り術である。エバンス踵骨骨切り術は、外側支柱の延長を行うために、台形形状のインプラントすなわち楔状物を踵骨すなわちかかとの骨の外側部に挿入するために使用することができる。内側開大式楔状骨切り術であるコットン骨切り術は、中足部の外転を低減するために、台形形状のインプラントすなわち楔状物を中足部の内側に位置する骨である内側楔状骨に挿入するために使用することができる。
【0005】
多くの場合、外科的に挿入された楔状物に対して骨から高い圧縮力が加わる。楔状物を所望の配置状態に維持するために、既存の方法では楔状物を適所に係止するための様々なハードウェア、例えば外科用ステープル、金属製スクリュー及びプレートなどを使用する。しかしながら、患者によっては、楔状物の配置状態を維持するために使用されるステープル、スクリュー、及びプレートのようなハードウェアは、隆起するようになることもあれば近くの腱又は他の軟組織を刺激することもあり、腫脹及び炎症並びに骨の不安定性を引き起こす可能性がある。
【0006】
現行のデバイスに関する別の問題は、手術後にデバイスを除去することができないことである。例えば、ひとたびデバイスが埋植されて骨切り部を横断する骨癒合が生じたならば、使用された現行のデバイスは、該デバイスの骨からの切り出し及び骨癒合部の除去を伴わずに取り除くことができるようには設計されていない。
よって、扁平足のような足部の変形を治療するための、改善されたデバイス及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
簡潔に述べると、本発明の1以上の態様に従って構築された骨切り用インプラントデバイスは、例えば、例として扁平足のような足部の変形を治療するための改善されたデバイスを提供する。
【0008】
1つの実施形態では、本発明の1以上の態様に従って構築された骨切り術用インプラントデバイスは、テーパ状楔状物、第1の円柱状ポスト、第2の円柱状ポスト、及び中間架橋部を具備している。テーパ状楔状物は中央部分及び側方部分を備えている。側方部分は、外向きの側方面、第1の付属体及び第2の付属体を備えている。第1の付属体は、中央部分の第1端から側方面へと伸びる。第2の付属体は、中央部分の第2端から側方面へと伸びる。第1の付属体、中央部分及び第2の付属体はU字型の本体を形成する。U字型の本体は、外周面、内周面、外周面と内周面との間を伸びる遠位側面、及び遠位側面の反対側であり外周面と内周面との間を伸びる近位側面を規定する。内周面は中心開口部を画成する。遠位側面は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸び、かつ近位外側面(proximal outer side)は第1及び第2の付属体並びに中央部分に沿って伸びる。第1の円柱状ポストは、テーパ状楔状物のU字型本体の遠位側面から間隔を空けて配置されている。第2の円柱状ポストは、テーパ状楔状物のU字型本体の近位側面から間隔を空けて配置されている。中間架橋部は、第1の円柱状ポストから第2の円柱状ポストまでを長さ方向に架橋する。中間架橋部の第1の部分はテーパ状楔状物の遠位側面から第1の円柱状ポストへと伸び、中間架橋部の第2の部分はテーパ状楔状物の近位側面から第2の円柱状ポストへと伸びる。
【0009】
別の実施形態では、本発明の1以上の態様に従って構築された骨切り術用インプラントデバイスは、骨切り部へのテーパ状楔状物の挿入を容易にするために前記テーパ状楔状物の中央部分に着脱自在に添着される設置器具並びに試行・骨準備用器具をさらに備えた骨切り術用インプラントシステムの、一部であってもよい。
【0010】
1例において、試行・骨準備用器具はガイド本体及び試行部分を備えることができる。試行部分は、骨切り部に挿入するためのテーパ状楔状物によく似たテーパ状楔状部分を備えている。ガイド本体は、第1の穴部、第2の穴部、及び第1の穴部と第2の穴部との間を伸びるフライス加工用スロットを備えている。第1の穴部、第2の穴部及びフライス加工用スロットは、骨切り術用インプラントデバイスのための骨切り部を準備するように構成される。
本発明の上記及びその他の目的、特徴及び利点は、本発明の様々な態様についての以降の詳細な説明を添付図面と併せれば明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、本明細書中以下に記載の詳細な説明から、及び添付された本発明の好ましい実施形態の図面から、より十分に理解されるであろうが、詳細な説明及び図面は、本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、単に説明及び理解のためのものである。
【0012】
【
図1】本開示の態様に従って構築された骨用楔状インプラントの1つの実施形態を示す第1の斜視図。
【
図2】
図1に例証された骨用楔状インプラントの前面又は近位側の図。
【
図3】
図1に例証された骨用楔状インプラントの左側面図。
【
図4】
図1に例証された骨用楔状インプラントの後面又は遠位側の図。
【
図5】
図1に例証された骨用楔状インプラントの上面図。
【
図6】
図1に例証された骨用楔状インプラントの右側面図。
【
図7】
図1に例証された骨用楔状インプラントの底面図。
【
図8】本開示の態様に従って構築された骨用楔状インプラントの1つの実施形態を示す第1の斜視図。
【
図9】
図8に例証された骨用楔状インプラントの前面又は近位側の図。
【
図10】
図8に例証された骨用楔状インプラントの左側面図。
【
図11】
図8に例証された骨用楔状インプラントの後面又は遠位側の図。
【
図12】
図8に例証された骨用楔状インプラントの上面図。
【
図13】
図8に例証された骨用楔状インプラントの右側面図。
【
図14】
図8に例証された骨用楔状インプラントの底面図。
【
図15】本開示の1以上の態様に従って構築された設置具の1つの実施形態を示す斜視図。
【
図21】本開示の1以上の態様による
図1に例証された骨用楔状インプラントの実施形態が踵骨外側部に埋植されている患者の足を示す斜視図。
【
図22】本開示の1以上の態様による
図1に例証された骨用楔状インプラントの実施形態が内側楔状骨に埋植されている患者の足を示す斜視図。
【
図23】本開示の1以上の態様に従って構築された骨用楔状インプラントのための骨の準備を容易にする器具の1つの実施形態を示す斜視図。
【
図29】本開示の1以上の態様による
図23~28に例証された器具の実施形態が踵骨外側部に配置されている患者の足を示す斜視図。
【0013】
[実施形態の詳細な説明]
本発明について、添付図面を参照しながら本発明による様々な例示の実施形態に関して以下に詳細に議論する。以降の詳細な説明において、数多くの具体的詳細が本発明の完全な理解のために示される。しかしながら、本発明がそれらの具体的詳細を伴わずに実行されうることは当業者には明白であろう。他の実例では、周知の構造物は本発明を不必要に不明瞭とするのを回避するため詳細には示されない。
【0014】
したがって、以下に記載される実装は全て、当業者が本開示の実施形態を作製又は使用することを可能にするために提供される例示の実装であり、特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲を限定するようには意図されていない。本明細書中で使用されるように、「例示の」又は「例証の」という語は、「例、実例、又は例証としての役割を果たしている」ことを意味する。「例示の」又は「例証の」として本明細書中に記載されたいかなる実装も、必ずしも他の実装より好適又は有利であると解釈すべきではない。さらに、本項の説明において、用語「上方」、「下方」、「左」、「後」、「右」、「前」、「垂直」、「水平」、及びこれらの派生語は、
図1において配向された本発明に関するものとする。
【0015】
以下の説明は、足部又は下肢に関する整形外科手術用の切削工具のためのシステム、方法及び装置について言及する。しかしながら、当業者は、その他の体肢、関節、及び筋骨格系の器官も前述のシステム、方法及び装置と共に使用するのに適していることを認識するであろう。同様に、様々な図面、ステップ、手順、及び作業の流れは単に例として示されているにすぎず、記載されたシステム、方法又は装置が異なる時間枠又は順序でそれぞれの役割を果たし又は結果を出すことを全く制限するものではない。本発明の教示は、手部及びその他の上下肢に対するものなど任意の整形外科手術に適用可能であり、かつ同様の解剖学的な考慮事項を有する他の治療部位においても実践されることが可能である。
【0016】
更に、先述の技術分野、背景、概要、又は以降の詳細な説明において示されるどのような明示又は黙示の理論によっても拘束される意図は存在しない。また、添付図面において例証され、かつ以降の明細書中に記載される具体的なデバイス及び方法は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の概念の例示の実施形態にすぎないということも理解されるべきである。従って、本明細書中に開示された実施形態に関する具体的な寸法及びその他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に別段の定めがないかぎり、限定と見なされるべきではない。
【0017】
下記に説明するように、本発明はヒトの足部の変形を矯正するためのデバイス及び方法を含む。
図1~7に示すように、骨用楔状インプラント1000の1つの実施形態が提示される。骨用楔状インプラント1000は、概して、例えば内側楔状骨の解剖学的構造の断面に、又は機械的支持を提供するために踵骨外側部に、又は該インプラントが埋植されるその他の骨若しくは関節に対して、概ね共形となるように設計された蹄鉄又はU字型の構成として説明することができる。
【0018】
図1~7に例証された一実施例において、骨用楔状インプラント1000は、本体1200を有する楔状物1110を備えている。
図5に示された骨用楔状インプラント1000の上面図は、楔状物1100の本体1200が角丸部1230、1232を備えた略U字型すなわち蹄鉄形状であることを示している。
【0019】
図1及び4に例証されるように、楔状物1110の本体1200は中央部分1210から側方部分1220へとテーパ状をなしている。換言すれば、本体1200の厚さは、中央部分1210から側方部分1220へと連続的に減少する。例証のため、
図5は、中央側表面1212に隣接する第1の厚さT1と、T1よりも小さい、側方側表面1214に隣接する第2の厚さT2とを有する、楔状物1100の本体1200を示している。楔状物1100の本体1200がテーパ状をなすことにより、例えば、ある種の適用において内側楔状骨又は踵骨外側部の所望のアライメントが提供される。より薄い側方部分1220は、関節又は切断された骨の内部へと挿入される大きさに作られており、より幅広い中央部分1210は、関節又は切断された骨の外部に伸びる大きさに作られている。テーパ状態の程度は、具体的な変形又は所望の矯正に応じて様々であってよく、例えば、前足部のためのより中間的なテーパ状態、又は足の親指をより下向きにするためのテーパ状態である。
【0020】
中央部分1210は、角丸部1230と1232との間を伸びる本体1200の外向き中央側表面1212及び内向き中央側表面1214を備えている。楔状物1100の本体1200は、中央部分1210から伸びる2つの付属体1240、1250を備えている。付属体1240、1250は中央部分1210と共に、楔状物1100のU字型又は蹄鉄形状を形成する。中心開口部1260は、楔状物本体1200の側方部分1220に位置し、付属体1240、1252のそれぞれの内表面1244、1254と、中央部分1210の内表面1214とによって形成されうる。付属体1240は、角丸部1230から側方面1222へと伸びる外表面1242を備えている。付属体1250は、角丸部1232から側方面1222へと伸びる外表面1252を備えている。
【0021】
図3に例証された一実施例では、付属体1240は付属体1250よりも大きなテーパ状であってよい。この例では、骨の形状から、例えば患者の足の底側に配置される付属体1240については、付属体1250よりも大きなテーパ状部を有することが有益となりうる。一例において、付属体1240のテーパ状態は10度に設定され、同時に付属体1250のテーパ状態は3度に設定されてもよい。付属体1240、1250の両方がほぼ同じ幅となって共に側方面1222を終端とするためには、付属体1240は付属体1250よりも厚く作製される必要があろう(例えば
図3のT5及びT6を比較されたい)。別例の実施形態では、付属体1240、1250がいずれも同じテーパ状部を備え、その結果としていずれも同じ厚さを有して骨用楔状インプラント1000の外観が対称形となっていてもよい。
【0022】
楔状物1100の本体1200はさらに、中央面1212と側方面1222との間を伸びる遠位側表面1270及び近位側表面1280を備えている。
図5に例証されるように、遠位側表面1270は、楔状物1100の中心面1110に関して第1の鋭角A1をなして広がる第1の平面のほぼ面上で中央面1212の間を伸びる。近位側表面1280も、楔状物1100の中心面1110に関して第2の鋭角A2をなして広がる第2の平面のほぼ面上で中央面1212と側方面1222との間を伸びる。1つの実施形態では、第1の鋭角A1は中心面に対して第2の鋭角A2と同じであってもよい。別例の実施形態では、第1の鋭角A1は第2の鋭角A2とは異なっている。
【0023】
これまでの楔状物の設計は、例えば骨が楔状物本体の中を通って成長するように多孔性であるか、又は歯や山形加工(ギザギザ)付き表面を備えてこれらが骨と接触するものであった。これらの過去の設計では、骨が治癒及び癒合した時点では、鋸を用いずに、すなわち癒合した骨を分断せずに、この旧型の楔状物を除去することは不可能であった。一実施例では、本開示の1以上の態様に従って構築された骨用楔状インプラント1000は、全ての骨接触面、例えば遠位側表面1270及び近位側表面1280を、平滑で、平坦で、及び/又は、刻み目がなく多孔性でもない本体1200の表面から作られるように設計可能である。その結果、癒合が生じた後であっても、骨用楔状インプラント1000は、例えば射出成形される部品をいかにして型から取り外せるように設計するかと同じように、どの骨も除去又は破壊する必要なく骨又は関節から取り出すことができることになろう。この場合、「型」とは任意の潜在的な骨成長である。本体1200の側方面1220に形成された開口部1260はさらに、連続的で中断のない本体に囲まれた内孔を形成する旧型楔状物の設計よりも容易に骨用楔状インプラント1000を骨又は関節から除去するのに役立つ。
【0024】
例えば
図1~7に例証された骨用楔状インプラント1000を使用すると、動きは一平面内に制限されるにすぎない。しかしながら、歩行時の人の正常な歩き方では骨は多様な方向に動く。例えば
図1~7に例証された骨用楔状インプラント1000は、一定の状況において骨が楔状物本体1200から分離しないように、又は楔状物本体1200を剪断しないようにする能力を欠く場合がある。ある種の状況下では、あらゆる面の動きを抑え込むために周囲の骨をさらに安定化及び支持することが必要である。
図8~14に例証された別の実施形態において、本開示の1以上の態様に従って構築された骨用楔状インプラント8000は多平面での支持を追加するために提供される。
【0025】
図8~14に例証されるように、骨用楔状インプラント8000は、概して、例えば内側楔状骨の解剖学的構造の断面に、又は機械的支持を提供するために踵骨外側部に、又は該インプラントが埋植されるその他の骨若しくは関節に、概ね共形となるように設計された蹄鉄又はU字型の構成として説明することができる。
【0026】
図8~14に例証された一実施例において、骨用楔状インプラント8000は、本体8200を有する楔状物8100を備えている。
図12に示された骨用楔状インプラント8000の上面図は、楔状物8100の本体8200が角丸部8230、8232を備えた略U字型すなわち蹄鉄形状であることを示している。
【0027】
図8及び11に例証されるように、楔状物8100の本体8200は中央部分8210から側方部分8220へとテーパ状をなしている。換言すれば、本体8200の厚さは、中央部分8210から側方部分8220へと連続的に減少する。例証のために
図12では、楔状物8100の本体8200は、中央側表面8212に隣接する第1の厚さT3と、T3よりも小さい、側方側表面8222に隣接する第2の厚さT4とを有する。楔状物8100の本体8200がテーパ状をなすことにより、例えば、ある種の適用において内側楔状骨又は踵骨外側部の所望のアライメントが提供される。より薄い側方部分8220は、関節又は切断された骨の内部へと挿入される大きさに作られており、より幅広い中央部分8210は、関節又は切断された骨の外部に伸びる大きさに作られている。テーパ状態の程度は、具体的な変形又は所望の矯正に応じて様々であってよく、例えば、前足部のためのより中間的なテーパ状態、又は足の親指をより下向きにするためのテーパ状態である。
【0028】
中央部分8210は、角丸部8230と8232との間を伸びる本体8200の外向き中央側表面8212を備えている。楔状物8200の本体8200は、中央部分8210から側方面8222に向かって伸びる2つの付属体8240、8250を備えている。付属体8240、8250は中央部分8210と共に、楔状物8100のU字型又は蹄鉄形状を形成する。中心開口部8260は、楔状物8100の側方面8220において、付属体8240、8250のそれぞれの内表面8244、8254と、中央部分8210の内表面8214との間に位置することができる。付属体8240は、角丸部8230から側方面8222へと伸びる外表面8242を備えている。付属体8250は、角丸部8232から側方面8222へと伸びる外表面8254を備えている。付属体8250は、付属体8240より大きくても、小さくてもよいし、同じ大きさであってもよい。
【0029】
図10に例証された一実施例では、付属体8240は付属体8250よりも大きなテーパ状部であってよい。この実施例では、骨の形状から、例えば患者の足の底側に配置される付属体8240については、付属体8250よりも大きなテーパ状部を有することが有益となりうる。一実施例において、付属体8240のテーパ状態は10度に設定され、同時に付属体8250のテーパ状態は3度に設定されてもよい。付属体8240、8250の両方がほぼ同じ幅となって共に側方面8222を終端とするためには、付属体8240は付属体1250よりも厚く作製される必要があろう(例えば
図10のT7及びT8を比較されたい)。別例の実施形態では、付属体8240、8250がいずれも同じテーパ状態を備えて、その結果としていずれも同じ厚さを有して骨用楔状インプラント8000の外観が対称形となっていてもよい。
【0030】
楔状物8100の本体8200はさらに、中央面8212と側方面8222との間を伸びる遠位側表面8270及び近位側表面8270を備えている。
図12に例証されるように、遠位側表面8270は、楔状物8100の中心面8110に関して第1の鋭角A3をなして広がる第1の平面のほぼ面上で中央面8212の間を伸びる。近位側表面8280も、楔状物8100の中心面8110に関して第2の鋭角A4をなして広がる第2の平面のほぼ面上で中央面8212と側方面8222との間を伸びる。1つの実施形態では、第1の鋭角A3は中心面8110に対して第2の鋭角A4と同じであってよい。別例の実施形態では、第1の鋭角A3は中心面8110に対して第2の鋭角A4とは異なっている。
【0031】
一実施例において、骨用楔状インプラント8000は、遠位側表面8270から間隔を空けて配置された第1の円柱状ポスト8300、及び近位側表面8280から間隔を空けて配置された第2の円柱状ポスト8400を備えることができるい。第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400は、中間架橋部8500によって相互に、かつ楔状物8100の本体8200に、連結されていてよい。1つの実施形態では、第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400は中実の円柱状ポストであり、かついかなる骨固定部材(例えばスクリュー)の補助又は使用も伴うことなく骨の内部に挿入及び保持されることが可能である。別例の実施形態では、第1の円柱状ポスト8300は、例えばスクリューのような骨固定部材を受承するようになされた第1の開孔部を備えてもよく、かつ第2の円柱状ポスト8400も、例えば別のスクリューのような骨固定部材を受承するための開孔部を備えてもよい。一実施例において、第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400は、骨内への挿入を容易にするために、
図10に例証されるように端部8320、8420がテーパ状をなしているか又は丸みを帯びていてもよい。
【0032】
図8及び12に示す一実施例において例証されるように、中間架橋部8500は形状が略長方形であってよく、かつ楔状物本体8200の中心面8110に対して垂直に配向されてよい。中間架橋部8500は、本体8200の遠位側表面8270から第1の円柱状ポスト8300へ伸びる部分、本体8200の近位側表面8280から第2の円柱状ポスト8400へ伸びる部分、及び第1の円柱状ポスト8300と第2の円柱状ポスト8400との間を伸びる部分がある。
図10に例証された一実施例において、中間架橋部8500は開口部8260の中心軸8888から位置がずれていてもよい(例えば、付属体8250よりも付属体8240に近くても、又は付属体8240よりも付属体8250に近くてもよい)。この位置がずれている構成は、例えば、場所に余裕がある場合にスクリューを斜めに挿入しようとする外科医にとって、望ましいかもしれない。別例の実施形態では、中間架橋部8500は中心軸8888と合致する位置にあってもよい。
【0033】
骨用楔状インプラント8000の第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400は、例えば楔状物8000に接している骨どうしが離れるのを防止する助けとなり、同時に中間架橋部8500は、例えば骨又は関節の骨切り開口部に対して働く上下運動及び/又は屈曲力を排除する。本開示の1以上の態様に従って構築された、例えば第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400並びに中間架橋部8500を備えた骨用楔状インプラント8000は、あらゆる運動面において骨用楔状インプラント8000を抑え込むことになる。他の実施形態では、骨用楔状インプラント8000は、楔状物本体8200の遠位側8270及び/又は近位側8280のいずれかに1以上の円柱状ポストを備えていてもよい。
【0034】
図21は患者の内側楔状骨に埋植された骨用楔状インプラント8000を示し、
図22は患者の足の踵骨外側部に埋植された骨用楔状インプラント8000を示す。
図21及び22のいずれにも示されるように、骨固定部材2100が、関節又は骨に埋植された第1の円柱状ポスト8300及び第2の円柱状ポスト8400を通して提供される。
【0035】
手術の際には、例えば内側楔状骨の切断部又は踵骨外側部の中に向かって、例えば骨用楔状インプラントに対して、外科医により設置器具が使用されてもよい。
図15~20は、そのような設置器具1500の一実施例を例証したものである。楔状物1000又は8000が埋植された後、設置器具1500を回して楔状物1000又は8000から取り外すことができる。上記のように、楔状物1000、8000のテーパ状の本体1200、8200は楔状物の埋植しやすさを高めている。
【0036】
一実施例において、楔状物本体1200はさらに、設置具1500又はその他の器具を受承するような大きさ、形状又は構成を有する、中央部分1210に形成された設置開孔部1290を備えることができる(
図1を参照)。例えば、設置開孔部1290は、骨用楔状インプラントの外科的挿入の際に設置具1500が係合することができる、ねじ山付き内表面を備えることができる。
図8~14に示される別例の実施形態では、楔状物本体8200はさらに、設置具1500又はその他の器具を受承するような大きさ、形状又は構成を有する、中央部分8210に形成された設置開孔部8290を備えることができる(
図1を参照)。例えば、設置開孔部8290は、骨用楔状インプラントの外科的挿入の際に設置具1500が係合することができる、ねじ山付き内表面を備えることができる。
図17に例証された一実施例において、設置器具1500は、楔状物1000、8000それぞれのねじ山付き開口部1290、8290の中に挿入するためのねじ山付きチップ1510を該設置器具の先端部に備えることができる。一実施例において、設置器具1500のねじ山付きチップ1510は、ねじ山付きチップ1510をねじ山付き開口部1290、8290に対して摺動式に係合することと、設置器具1500の基端部のノブ1560を回転又は回旋させてねじ山付きチップ1510をねじ山付き開口部1290、8290のねじ山に係合させることとにより、ねじ山付き開口部1290、8290に係合することができる。
【0037】
図17に示されるように、器具1500はさらに、楔状物1000の本体1200の中央部分1210に形成された第1及び第2のピン開口部1292、1294に、又は楔状物8000の本体8200の中央部分8210に形成された第1及び第2のピン開口部8292、8294に結合するように構成された、先端部から伸びる1以上のピン1520、1522を備えることができる。例えば、ピン1250、1252は、楔状物1000の第1及び第2のピン開口部1292、1294、又は楔状物8000のピン開口部8292、8294に結合するように構成されて、器具及び骨用楔状インプラントを正確な配向に保つと同時に、1個の設置開孔部1290、8290のみを使用することで生じるかもしれない回転を防止するために、使用することができる。設置器具1500はさらに、例えば第1及び第2の円柱状ポスト又は楔状物本体の側面にぶつかることなく楔状物本体を横切って横断スクリュー部材を誘導するということもあり得る、主本体から伸びるアーム1550を備えることができる。
【0038】
図23~29は、例えば
図8~14に例証された骨用楔状インプラント8000が埋植される骨又は関節の骨の準備を容易にするための、試行・準備用器具2300の一実施例を例証している。
図23~28に例証された一実施例において、試行・準備用器具2300は、一方の側に試行部分2310、他方の側にガイド本体2330を備えている。一実施例において、試行部分2310は、埋植される楔状物8100の本体8200のテーパ状の外形によく似ている、又は外形に対応している。別例の実施形態では、試行部分2310は、例えば与えられた楔状物本体8200の所望のテーパ状態各々に対応する様々な大きさを用意するために、ガイド本体2330に着脱自在に添着されてもよい。試行部分2310はさらに、外科医又は臨床医が確実に適切な骨用楔状インプラントを選択することができるように、試用の役割を果たすこともできる。
【0039】
一実施例において、試行・準備用器具2300のガイド本体2330は、骨用楔状インプラント8000の第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400並びに中間架橋部8500のためのドリル及び鋸による切込みを入れるためのガイドとしての役割を果たす。
図24~25に例証されるように、ガイド本体2330は、例えばドリルの刃先を受承するための第1及び第2の穴部2332、2334、並びに第1及び第2の穴部2332、2334の間を伸びる鋸用又はフライス加工用スロット2336を具備している。第1及び第2の穴部2332、2334は、骨用楔状インプラント8000の第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400にそれぞれ接続又は対応するようにドリルで骨に穴を開けるための大きさ及び構成に作られる一方、フライス加工用スロット2336は、骨用楔状インプラント8000の中間架橋部8500に接続又は対応するように骨に溝をフライス加工するための大きさ及び構成に作られる。
【0040】
手術の際には、試行・準備用器具2300は、例えば骨切り開口部を架橋又は跨設するように配置され、ここで例えば
図29に例証されるように、第1の穴部2332は骨切り開口部の遠位側に配置構成され、第2の穴部2334は骨切り部の近位側に配置構成される。手術時、外科医又は臨床医は位置調整に納得するまで試行部分2310を骨切り部に挿入することになろう。その後、外科医又は臨床医は、ガイド本体2330の第1の穴部2332を使用して第1の骨穴を、及びガイド本体2330の第2の穴部2334を使用して第2の骨穴を、例えば規定の深さに作成するために、ドリルを使用することになろう。外科医又は臨床医はさらに鋸又はフライス加工ツールを使用して、鋸用又はフライス加工用スロット2336を通して骨を鋸引き又はフライス加工して例えば第1の骨穴及び第2の骨穴を連結する溝を形成することになろう。
【0041】
第1の骨穴、第2の骨穴及び溝が骨に切り込まれた後、試行・準備用器具2300は取り外されて適切な骨用楔状インプラント8000が埋植される。埋植される適切な骨用楔状インプラント8000は、使用された試行・準備用器具2300の試行部分2310によく似た楔状物本体テーパ状部を備えているということになろう。骨用楔状インプラント8000は、例えば、第1の円柱状ポスト8300をガイド本体2330の第1の穴部2332により形成された第1の骨穴に位置合わせし、第2の円柱状ポスト8400をガイド本体2330の第2の穴部2334により形成された第2の骨穴に位置合わせし、かつ中間架橋部8500をガイド本体2330のフライス加工用スロット2335により形成された溝に位置合わせすることにより、骨内に埋植される。骨用楔状インプラント8000はその後、例えば
図15~20に描かれたもののような設置器具1500を使用して、骨の土台中へと挿入されることになろう。ひとたび設置されると、骨用楔状インプラント8000は骨切り開口部を架橋し、かつ、周囲の骨の重量及び周囲の骨にかかる体重によりもたらされる力を、楔状物本体8200、第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400並びに中間架橋部8500を備えた楔状物の負荷分散型の構築物全体に伝達する。
【0042】
図30は、本開示の1以上の態様に従って構築された、試行・骨準備用器具2500及び設置器具1500を使用して骨用楔状インプラント8000を埋植する外科的方法の一例を示している。この外科的方法は、例えば、手術域を準備するステップ3000を含むことができる。手術域を準備するステップ3000には、例えば、患者の内側楔状骨及び/又は患者の踵骨を露出させるために患者の足の一部分を外科的に露出させること、切開を行うこと、並びに骨用楔状インプラント8000のために骨又は関節の準備を行うことが含まれうる。例えばステップ3000の一部として、外科医又は臨床医は、関節又は骨の間隙の牽引を行ってもよい。外科的方法は、牽引した骨又は関節に挿入する予定の骨用楔状インプラント8000の適切なテーパ状態を決定するためのステップ3010を含んでもよい。ステップ3020は、楔状物本体8200のテーパ状部によく似ている試行・準備用器具2300の適切な試行部分2310を選択することを含むことができる。ステップ3030は、本開示の1以上の態様に従って構築された骨用楔状インプラント8300を挿入するための骨の土台の準備を行うために、
図23~28に示された器具のような試行・準備用器具2300を使用することを含むことができる。ステップ3030はさらに、ガイド本体2330の穴部2332、2334及びフライス加工用スロット2336を使用して骨の穴及び溝を形成することを含むことができる。ステップ3040は、骨又は関節から試行・骨準備用器具を取り外すことを含むことができる。ステップ3050は、適切な骨用楔状インプラントを選択することを含むことができる。このステップは、本体8200のテーパ状態をテーパ状の部分2310と確実に一致させることを含むことができる。ステップ3060は、試行・準備用器具2300によって作成された骨切り部の準備済みの骨の土台の中への骨用楔状インプラント800の挿入を容易にするために、
図15~20に示されたもののような設置器具1500を本体8200に取り付けることを含むことができる。このステップでは、ピン1520、1522を本体8200のピン穴8292、8294に挿入し、かつ設置具1500のねじ山付きチップ1510を、ノブ1560を回すことにより前進させてねじ山付き開孔部8290に螺入することができる。ステップ3060はさらに、骨用楔状インプラント8000を骨切り部に挿入することを含むことができる。1つの実施形態では、骨用楔状インプラント8000はさらに、ステップ3070において、第1及び第2の円柱状ポスト8300、8400を通って伸びる第1及び第2の開孔部それぞれを通して骨固定部材を挿入することにより、適所に固着させることができる。最後に、ステップ3080は患者の切開部を閉止することを含むことができる。
【0043】
本発明について少なくとも1つの実施形態に関して説明してきたが、本発明は、本開示の思想及び範囲の範囲内でさらに改変されることが可能である。したがって本出願は、本発明の一般的原則を使用する本発明のあらゆる変形物、使用法、又は適応物を対象とするように意図されている。さらに、本出願は、本発明が属する分野における既知又は通常の実務の範囲内であるような本開示内容からの逸脱についても対象とするように意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
【
図1】本開示の態様に従って構築された骨用楔状インプラントの1つの実施形態を示す第1の斜視図。
【
図2】
図1に例証された骨用楔状インプラントの前面又は近位側の図。
【
図3】
図1に例証された骨用楔状インプラントの左側面図。
【
図4】
図1に例証された骨用楔状インプラントの後面又は遠位側の図。
【
図5】
図1に例証された骨用楔状インプラントの上面図。
【
図6】
図1に例証された骨用楔状インプラントの右側面図。
【
図7】
図1に例証された骨用楔状インプラントの底面図。
【
図8】本開示の態様に従って構築された骨用楔状インプラントの1つの実施形態を示す第1の斜視図。
【
図9】
図8に例証された骨用楔状インプラントの前面又は近位側の図。
【
図10】
図8に例証された骨用楔状インプラントの左側面図。
【
図11】
図8に例証された骨用楔状インプラントの後面又は遠位側の図。
【
図12】
図8に例証された骨用楔状インプラントの上面図。
【
図13】
図8に例証された骨用楔状インプラントの右側面図。
【
図14】
図8に例証された骨用楔状インプラントの底面図。
【
図15】本開示の1以上の態様に従って構築された設置具の1つの実施形態を示す斜視図。
【
図21】本開示の1以上の態様による
図1に例証された骨用楔状インプラントの実施形態が踵骨外側部に埋植されている患者の足を示す斜視図。
【
図22】本開示の1以上の態様による
図1に例証された骨用楔状インプラントの実施形態が内側楔状骨に埋植されている患者の足を示す斜視図。
【
図23】本開示の1以上の態様に従って構築された骨用楔状インプラントのための骨の準備を容易にする器具の1つの実施形態を示す斜視図。
【
図29】本開示の1以上の態様による
図23~28に例証された器具の実施形態が踵骨外側部に配置されている患者の足を示す斜視図。
【
図30】
本発明の1つ以上の態様に従って構築された骨用楔状インプラントの使用の外科的方法の1つの実施形態を示す。
【外国語明細書】