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特開2023-153029ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153029
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20231005BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20231005BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231005BHJP
   C08G 73/12 20060101ALI20231005BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20231005BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 21/768 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
G03F7/027 514
G03F7/031
G03F7/004 501
C08G73/12
C08F299/02
C08F290/14
H01L21/90 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055358
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2022062051
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】村上 航平
(72)【発明者】
【氏名】渋井 智史
【テーマコード(参考)】
2H225
4J043
4J127
5F033
【Fターム(参考)】
2H225AC38
2H225AC63
2H225AC64
2H225AC65
2H225AC66
2H225AD06
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5F033RR21
5F033RR22
5F033RR26
5F033RR27
5F033XX03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)前駆体樹脂;(B)光重合開始剤;及び(C)溶媒を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、(A)前駆体樹脂は、特定の一般式(1)の繰り返し単位、及び下記一般式(3)の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂であり、前記(A)前駆体樹脂における前記一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)前駆体樹脂は、
下記一般式(1):
【化1】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化2】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基である。}の繰り返し単位、及び
下記一般式(3):
【化3】
{式中、X及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂であり、
前記(A)前駆体樹脂における前記一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記R、及びRの少なくとも一つが前記一般式(2)で表される1価の有機基である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)前駆体樹脂は、
下記一般式(1):
【化4】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化5】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基である。}の繰り返し単位、及び
下記一般式(3):
【化6】
{式中、X及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂であり、
前記(A)前駆体樹脂において、その前駆体樹脂の繰り返し単位当たりの、前記一般式(2)で表される成分の分子量割合が1%以上30%未満である、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記Xが下記一般式(4):
【化7】
{式中、Rxは、それぞれ独立に、アルキル基、又はCFであり、そしてaは0~4の整数である。}で表される構造を有する2価の有機基である、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記Xが、-NH-CO-で表される構造を有さない2価の有機基である、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記Xは、下記一般式(5)~(8):
【化8】
から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記Y、及びYは、下記一般式(9)~(12):
【化9】
{式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の有機基であり、bは、それぞれ独立に0~4の整数であり、Aは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、Bは、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子であり、Cは、下記式:
【化10】
からなる群から選択される少なくとも1種である。}
からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記Xが、下記一般式(13)~(15):
【化11】
{式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の有機基であり、cは、それぞれ独立に0~4の整数であり、Dは、メチレン基、カルボニル基、又は酸素原子である。}
からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(A)前駆体樹脂が、前記一般式(1)の繰り返し単位、及び前記一般式(3)の繰り返し単位のランダム共重合体である、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(B)光重合開始剤は、下記一般式(16):
【化12】
{式中、R6、R、及びRは、1価の有機基であり、R、及びRは、互いに連結して環構造を形成してよい。}
で表される構造を有する、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(B)光重合開始剤は、下記一般式(17):
【化13】
(式中、R、R、及びRは、炭素数1~10の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であり、そしてaは0~2の整数であり、Rは、炭素数1~4の1価の有機基を表し、Rで環を形成してよい。)、下記一般式(18):
【化14】
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~10の有機基である。)、及び下記一般式(19):
【化15】
(式中、R、及びRは、炭素数1~10の1価の有機基である。)
から成る群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項12】
(D)重合性モノマーを更に含有する、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項13】
(E)可塑剤を更に含有する、請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項14】
(A)230℃で2時間保持した時の熱重量減少率が25%未満であるポリイミド前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記(A)前駆体樹脂が、下記一般式(1):
【化16】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化17】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一つは前記一般式(2)で表される基である。}
の繰り返し単位を含む、請求項14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記(A)ポリイミド前駆体樹脂が、ポリアミド-ポリイミド前駆体樹脂である、請求項14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてポリアミド-イミドを形成する工程を有する、ポリアミド-イミドの製造方法。
【請求項18】
以下の工程:
(1)請求項1又は3に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
【請求項19】
下記一般式(20):
【化18】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、mは、正の整数である。}の繰り返し単位と、下記一般式(3):
【化19】
{式中、X、及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位と、を含むポリアミド-イミド硬化物であり、
前記一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である、ポリアミド-イミド硬化物。
【請求項20】
以下の工程:
感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と;
得られた前記感光性樹脂層を乾燥する工程と;
乾燥後の前記感光性樹脂層を露光する工程と;
露光後の前記感光性樹脂層を現像する工程と;
現像後の前記感光性樹脂層を加熱処理して、請求項19に記載のポリアミド-イミド硬化物を形成する工程と;
を有する、ポリアミド-イミド硬化物の製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載のポリアミド-イミド硬化物を、配線の周りに配される絶縁層として有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の絶縁材料、及び半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜並びに、層間絶縁膜等には、優れた耐熱性、電気特性、及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノール樹脂等が用いられている。これらの樹脂の中でも、感光性樹脂組成物の形態で提供されるものは、該組成物の塗布、露光、現像、及び硬化による熱イミド化処理によって、耐熱性のレリーフパターン皮膜を容易に形成することができる。このような感光性樹脂組成物は、従来の非感光型材料に比べて、大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有している。
【0003】
半導体装置における半導体パッケージ手法には、様々な方法がある。半導体パッケージ手法としては、例えば、半導体チップを封止構造で覆って、更に、半導体チップと電気的に接続する再配線層を形成するというパッケージング手法がある。半導体パッケージ手法の中でも、近年、ファンナウト(Fan-Out)という半導体パッケージ手法が主流となっている。
【0004】
ファンナウト型の半導体パッケージの一態様では、半導体チップを封止構造で覆うことにより半導体チップのチップサイズよりも大きいチップ封止体を形成する。更に、半導体チップ及び封止構造の領域にまで及ぶ再配線層を形成する。再配線層は、薄い膜厚で形成される。また、再配線層は、封止構造の領域まで形成できるため、外部接続端子の数を多くすることができる。例えば、ファンナウト型の半導体装置として、下記の特許文献1の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-167191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ファンナウト型の半導体装置では、集積度及び機能の向上と、チップサイズ矮小化と、に伴い、再配線層は多層に積層された構造をしており、各層上に銅配線を良好に形成するため、再配線層における絶縁層(「層間絶縁膜」とも称される。)には高い平坦性が求められている。
【0007】
ここで、再配線層における絶縁層として、ポリイミド前駆体樹脂(一般に、ポリアミック酸エステル構造のみから形成されるポリイミド前駆体樹脂)を硬化させて得られる、ネガ型感光性樹脂が用いられていた。しかしながら、本発明者らは、この場合、硬化時に膜中成分、特にポリイミド前駆体の側鎖部分がイミド環化に伴い揮発すること、ひいては、これにより膜体積が減少し、下地の凹凸形状に膜が追従することで平坦な層を得ることが困難になることを見出した。
【0008】
また、再配線層における銅配線の微細化を実現するために、絶縁層には高解像性能が求められている背景があった。このとき、パターンの微細化にあたって、絶縁層の薄膜化が図られる場合が多かった。しかしながら、感光性樹脂組成物を薄く塗工すると、現像の際に現像時間が極度に短くなるため、面内において現像液との接液時間の差が生じ、その結果、現像不良を引き起こす問題があった。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて考案されたものである。すなわち、本発明は、高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物(本願明細書において単に「感光性樹脂組成物」とも称する。)を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、該ネガ型感光性樹脂組成物を用いて実現される、硬化レリーフパターンの製造方法、ポリイミドの製造方法、ポリアミド-イミド硬化物、ポリアミド-イミド硬化物の製造方法、及び半導体装置を提供することも目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、アミド構造とイミド前駆体構造とを主鎖に有するポリアミド-イミド前駆体樹脂を用い、ネガ型の感光性樹脂組成物を構成することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
(A)前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)前駆体樹脂は、
下記一般式(1):
【化1】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化2】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基である。}の繰り返し単位、及び
下記一般式(3):
【化3】
{式中、X及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂であり、
前記(A)前駆体樹脂における前記一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である、ネガ型感光性樹脂組成物。
[2]
前記R、及びRの少なくとも一つが前記一般式(2)で表される1価の有機基である、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]
(A)前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)前駆体樹脂は、
下記一般式(1):
【化4】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化5】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基である。}の繰り返し単位、及び
下記一般式(3):
【化6】
{式中、X及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂であり、
前記(A)前駆体樹脂において、その前駆体樹脂の繰り返し単位当たりの、前記一般式(2)で表される成分の分子量割合が1%以上30%未満である、ネガ型感光性樹脂組成物。
[4]
前記Xが下記一般式(4):
【化7】
{式中、Rxは、それぞれ独立に、アルキル基、又はCFであり、そしてaは0~4の整数である。}で表される構造を有する2価の有機基である、項目1~3のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[5]
前記Xが、-NH-CO-で表される構造を有さない2価の有機基である、及び
前記Xが、含窒素複素環構造を有さない2価の有機基である、項目1~4のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[6]
前記Xは、下記一般式(5)~(8):
【化8】
から成る群から選択される少なくとも1種である、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7]
前記Y、及びYは、下記一般式(9)~(12):
【化9】
{式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の有機基であり、bは、それぞれ独立に0~4の整数であり、Aは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、Bは、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子であり、Cは、下記式:
【化10】
からなる群から選択される少なくとも1種である。}
からなる群から選択される少なくとも1種である、項目1~6のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[8]
前記Xが、下記一般式(13)~(15):
【化11】
{式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の有機基であり、cは、それぞれ独立に0~4の整数であり、Dは、メチレン基、カルボニル基、又は酸素原子である。}
からなる群から選択される少なくとも1種である、項目1~7のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[9]
前記(A)前駆体樹脂が、前記一般式(1)の繰り返し単位、及び前記一般式(3)の繰り返し単位のランダム共重合体である、項目1~8のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[10]
前記(B)光重合開始剤は、下記一般式(16):
【化12】
{式中、R6、R、及びRは、1価の有機基であり、R、及びRは、互いに連結して環構造を形成してよい。}
で表される構造を有する、項目1~9のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[11]
前記(B)光重合開始剤は、下記一般式(17):
【化13】
(式中、R、R、及びRは、炭素数1~10の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であり、そしてaは0~2の整数であり、Rは、炭素数1~4の1価の有機基を表し、Rで環を形成してよい。)、下記一般式(18):
【化14】
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~10の有機基である。)、及び下記一般式(19):
【化15】
(式中、R、及びRは、炭素数1~10の1価の有機基である。)
から成る群から選択される少なくとも1種を含む、項目1~10のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[12]
(D)重合性モノマーを更に含有する、項目1~11のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[13]
(E)可塑剤を更に含有する、項目1~12のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[14]
(A)230℃で2時間保持した時の熱重量減少率が25%未満であるポリイミド前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
[15]
前記(A)前駆体樹脂が、下記一般式(1):
【化16】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化17】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一つは前記一般式(2)で表される基である。}
の繰り返し単位を含む、項目14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[16]
前記(A)ポリイミド前駆体樹脂が、ポリアミド-ポリイミド前駆体樹脂である、項目14又は15に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[17]
項目1~16のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてポリアミド-イミドを形成する工程を有する、ポリアミド-イミドの製造方法。
[18]
以下の工程:
(1)項目1~16のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[19]
下記一般式(20):
【化18】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、mは、正の整数である。}の繰り返し単位と、下記一般式(3):
【化19】
{式中、X、及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位と、を含むポリアミド-イミド硬化物であり、
前記一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である、ポリアミド-イミド硬化物。
[20]
以下の工程:
感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と;
得られた前記感光性樹脂層を乾燥する工程と;
乾燥後の前記感光性樹脂層を露光する工程と;
露光後の前記感光性樹脂層を現像する工程と;
現像後の前記感光性樹脂層を加熱処理して、項目19に記載のポリアミド-イミド硬化物を形成する工程と;
を有する、ポリアミド-イミド硬化物の製造方法。
[21]
項目19に記載のポリアミド-イミド硬化物を、配線の周りに配される絶縁層として有する、半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく(すなわち、熱硬化後の残膜率が大きく)、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、該ネガ型感光性樹脂組成物を用いて実現される、硬化レリーフパターンの製造方法、ポリイミドの製造方法、ポリアミド-イミド硬化物、ポリアミド-イミド硬化物の製造方法、及び半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている部分の構造は、分子中に複数存在する場合には、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「メタクリル」及び「アクリル」を意味する。
【0013】
《ネガ型感光性樹脂組成物》
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、
(A)前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
(A)前駆体樹脂は、
下記一般式(1):
【化20】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化21】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基である。}の繰り返し単位、及び
下記一般式(3):
【化22】
{式中、X及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂である。ここで、ネガ型感光性樹脂組成物は、(A)前駆体樹脂における一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である。
上記構成によれば、高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0014】
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物の別の態様は、
(A)前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
(A)前駆体樹脂は、
下記一般式(1):
【化23】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは、正の整数であり、R及びRは、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
【化24】
〔式中、R、R、及びRは、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は2~10から選ばれる整数である。〕で表される1価の有機基である。}の繰り返し単位、及び
下記一般式(3):
【化25】
{式中、X及びYは、2価の有機基であり、nは、正の整数である。}の繰り返し単位を含むポリアミド-イミド前駆体樹脂である。ここで、(A)前駆体樹脂において、その前駆体樹脂の繰り返し単位当たりの、一般式(2)で表される成分の分子量割合が1%以上30%未満である。
上記構成によっても、高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0015】
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物の別の態様は、
(A)230℃で2時間保持した時の熱重量減少率が25%未満であるポリイミド前駆体樹脂;
(B)光重合開始剤;及び
(C)溶媒
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物である。
上記構成によっても、高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0016】
本明細書において、「有機基」は、炭素及び水素から成る炭化水素基、及びその誘導体を意味する。該誘導体は、炭素及び水素以外の原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ケイ素)を含んでよい。
【0017】
ネガ型感光性樹脂組成物は、高感度及び高解像性を得る観点から、(A)ポリアミド-イミド前駆体100質量部を基準として0.1~20質量部の(B)光重合開始剤を含むことが好ましい。
【0018】
(A)ポリアミド-イミド前駆体
(A)ポリアミド-イミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれ、上記式(1)及び(3)で表される成分である。(A)ポリアミド-イミド前駆体は、加熱による環化処理を施すことによってポリアミド-イミドに変換される。
【0019】
式(1)のR及びRが水素原子である割合は、R及びR全体のモル数を基準として0%以上でよく、また、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。
【0020】
式(1)のR及びRの少なくとも一つが一般式(2)で表される1価の有機基であることが好ましく、また、R及びRが一般式(2)で表される1価の有機基であることも好ましい。
式(1)のR及びRが上記式(2)で表される1価の有機基である割合は、R及びR全体のモル数を基準として100%以下でよく、また、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。水素原子の割合、及び式(2)の有機基の割合が上記範囲にあることは、感光特性と保存安定性の観点から好ましい。
【0021】
式(1)のm、及び式(3)のnは、1~150の整数であればよく、ネガ型感光性樹脂組成物の感光特性の観点から、1~100の整数が好ましく、1~70の整数がより好ましい。
【0022】
(A)ポリアミド-イミド前駆体において、式(3)の繰り返し単位のモル分率は、25%~75%が好ましく、50%~75%がより好ましい。具体的に、式(1)の繰り返し単位におけるXを与える成分と、式(3)の繰り返し単位におけるXを与える成分と、のモル比(X:X)は、2.5:7.5~7.5:2.5であることが好ましく、2.5:7.5~5.0:5.0であることがより好ましい。上記モル分率、及び/又はモル比が上記範囲内にあることで、熱硬化時の膜厚変化量が小さくなり易く、また、高い平坦性を有する膜を得易い。解像性能に関しては、上記モル分率が上記範囲内にあることで、アミド構造由来の水素結合によりポリマー間のパッキングが促進され、現像液への溶解性が低下する。これにより、現像時の膜の膨潤が抑制され、その結果、高解像性能が達成され易い。更に、薄膜で塗工した場合においても、適度な現像時間を保ち易い。式(3)の構造単位がポリマー全体の繰り返し単位に対して75%以下であることで、露光時の架橋密度を維持でき、これにより、良好なパターンを得易くなる。
【0023】
(A)ポリアミド-イミド前駆体において、その前駆体樹脂の繰り返し単位分子量当たりの、上記式(2)で表される成分(側鎖成分)の分子量割合は、5%以上25%未満が好ましく、9%以上23%未満がより好ましい。側鎖成分の割合が上記範囲内にあることで、良好な解像性能を得易くなるとともに、熱硬化時の側鎖の揮発量が抑制されることで硬化に伴う膜厚変化量が小さくなり易い。なお、共重合ポリマーの繰り返し単位の分子量については、各繰り返し単位の分子量とその含有割合(質量比)を掛け合わせ、それらの総和をとることにより算出することができる。
【0024】
(A)ポリアミド-イミド前駆体は、(ポリ)アミド部分がポリマー間で強く水素結合を形成し易い。これにより、塗工膜の膜密度がポリイミド前駆体に比べて高くなる傾向にある。結果、ポリイミド前駆体と比較して、熱硬化工程において同等の揮発量を有する系においても、硬化前後の膜密度、及び膜厚の変化率が小さくなる傾向にある。
【0025】
(A)ポリアミド-イミド前駆体において、上記式(1)及び(3)の繰り返し単位の配列は、溶媒への相溶性の観点から、ランダム的であることが好ましい。すなわち、(A)ポリアミド-イミド前駆体は、上記式(1)及び(3)の繰り返し単位を含む、ランダム共重合体であることが好ましい。ただし、(A)ポリアミド-イミド前駆体は、上記式(1)及び(3)の繰り返し単位を含む、ブロック共重合体でもよい。
【0026】
式(1)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立する観点から、好ましくは炭素数6~40の有機基、より好ましくは、-COOR基及び-COOR基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある、芳香族基又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基としては、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基、例えば、下記一般式(I):
【化26】
{式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、及び炭素数1~10の1価の含フッ素炭化水素基から成る群から選択される少なくとも1つであり、lは、それぞれ独立に0~2から選ばれる整数であり、mは、それぞれ独立に0~3から選ばれる整数であり、そしてnは、それぞれ独立に0~4から選ばれる整数である。}
からなる群から選択される構造を有する基が挙げられる。Xの構造は、上記のうち、1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(I)で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立する観点から特に好ましい。
【0027】
基としては、上記式(I)で表される構造のなかでも、特に、下記一般式:
【化27】
{式中、R6、l、及びmは、上記式(I)中のR6、l、及びmと同じである。}のそれぞれで表される構造は、機械特性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から好ましい。
【0028】
より具体的に、機械物性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から、Xは、下記一般式(5)~(8):
【化28】
からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0029】
上記式(3)中、Xで表される2価の有機基は、例えば、下記一般式(II)及び(II-1):
【化29】
【化30】
{式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、及び炭素数1~10の1価の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる少なくとも1つであり、nは、それぞれ独立に0~4から選ばれる整数であり、pは、1~20から選ばれる整数である。}で表される構造が挙げられる。
【0030】
は、-NH-CO-結合を含まないことが好ましく、特に-NH-COO―、―NH-CO-NH-を含まないことが好ましい。ウレタン結合、及びウレア結合は熱分解温度が低い。このため、このような結合を有しないことで、熱硬化工程において該結合が分解、及び揮発すること、ひいては、膜厚変化率が大きくなること、を防止し易い。
「-NH-CO-結合を含まない」とは、公知の分析手法を用いた場合において検出限界以下であることを含む。
【0031】
としては、上記式(II)及び式(II-1)で表される構造のなかでも、耐熱性と耐薬品性の観点から、炭素数6~40の芳香族基であることが好ましい。Xとしては、特に、下記一般式(13)~(15):
【化31】
{式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の有機基であり、cは、それぞれ独立に0~4の整数であり、Dは、メチレン基、カルボニル基、又は酸素原子である。}
からなる群から選択される少なくとも1種である2価の基が、耐熱性、耐薬品性、解像性の観点から好ましい。
【0032】
例えば、Xとしては、上記と同様の観点から、下記一般式(4):
【化32】
{式中、Rxは、それぞれ独立に、アルキル基、又はCFであり、そしてaは0~4の整数である。}で表される構造を有する2価の有機基であることが好ましい。
【0033】
より具体的に、Xは、下記一般式:
【化33】
{式中、R、a、及びAは、上記式(13)~(15)におけるR、c、及びDと同じである。}で表される2価の基が、耐熱性、耐薬品性、解像性の観点から好ましい。
【0034】
上記式(1)におけるY、及び式(3)におけるYで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立する観点から、好ましくは炭素数6~40の芳香族基であり、例えば、上記式(II)で表される構造が挙げられる。
【0035】
及びYは互いに同一でも異なっていてもよく、Y及びYのそれぞれは、上記構造を含む2種以上の組み合わせでもよい。上記式(II)で表される構造を有するY及びYは、耐熱性及び感光特性を両立する観点から特に好ましい。
【0036】
及びYとしては、下記一般式:(9)~(12):
【化34】
{式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の有機基であり、bは、それぞれ独立に0~4の整数であり、Aは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、Bは、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子であり、Cは、下記式:
【化35】
からなる群から選択される少なくとも1種である。}
からなる群から選択される少なくとも1種である
ことが、耐熱性、耐薬品性、解像性の観点から好ましい。
【0037】
より具体的に、Y及びYは、下記一般式:
【化36】
{式中、R、及びnは、上記式(9)~(12)におけるR、及びbと同じである。}で表される2価の基が、耐熱性、耐薬品性、解像性の観点からより好ましい。
【0038】
より具体的に、機械物性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から、Y及びYは、下記一般式:
【化37】
{式中、Rは、水素原子、炭素数1~5の1価の炭化水素基であり、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1~5の1価の炭化水素基、及び炭素数1~5の1価の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる少なくとも1つである。}で表される2価の基が、耐熱性、耐薬品性、解像性の観点から更に好ましい。
【0039】
(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂の調製方法
ポリアミド-イミド前駆体樹脂は、まず前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類、及び任意に他のアルコール類(例えば、不飽和二重結合を有さないアルコール類)と、を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、「アシッド/エステル体」とも称する。)を調製する。光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類を上記反応に用いることにより、得られるアシッド/エステル体の側鎖、ひいては得られるポリアミド-イミド前駆体樹脂の側鎖に、感光性基(例えば、エチレン性二重結合基)が導入される。
【0040】
その後、部分的にエステル化したテトラカルボン酸と、前述の2価の有機基Xを含むジカルボン酸と、前述の2価の有機基Yを含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得ることができる。
【0041】
(アシッド/エステル体の調製)
ポリアミド-イミド前駆体樹脂を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記式(I)に示される構造を有するテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
ポリアミド-イミド前駆体樹脂を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアルコール、1-(メタ)アクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-(メタ)アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピル(メタ)アクリレート挙げられる。
【0043】
上記光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類に、他のアルコール類(例えば、不飽和二重結合を有さないアルコール類)を混合して用いることもできる。他のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコールが挙げられる。
【0044】
ポリアミド-イミド前駆体樹脂として、上記不飽和二重結合を有さないアルコール類のみで調製された非感光性ポリアミド-イミド前駆体樹脂を、感光性ポリアミド-イミド前駆体樹脂と混合して用いてもよい。解像性の観点から、非感光性ポリアミド-イミド前駆体樹脂は、感光性ポリアミド-イミド前駆体100質量部を基準として、200質量部以下であることが好ましい。
【0045】
テトラカルボン酸二無水物とアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶媒中、撹拌溶解及び混合することにより、酸無水物のエステル化反応を進行させ、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。撹拌溶解及び混合は、例えば、温度20~50℃で、4~24時間に亘って行うことが好ましい。
【0046】
(ポリアミド-イミド前駆体樹脂の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には、後述する溶媒中の溶液として存在する。)に、2価の有機基Xを含むジカルボン酸類を投入し、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体及びジカルボン酸をポリ酸無水物に変換することができる。得られたポリ酸無水物に、2価の有機基Y及びYを含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、ポリアミド-イミド前駆体樹脂を得ることができる。代替的には、上記アシッド/エステル体及びジカルボン酸を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分及びジカルボン酸部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下、ジアミン化合物と反応させることにより、ポリアミド-イミド前駆体樹脂を得ることができる。
【0047】
2価の有機基Xを含むジカルボン酸類としては、上記一般式(II)に示される構造を有するジカルボン酸をはじめ、例えば、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、テレフタル酸、アゼライン酸、イソフタル酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、ヘキサデカン二酸、セバシン酸、グルタル酸、1,9-ノナンジカルボン酸、アジピン酸、テトラデカン二酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、フタル酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン-1,1-ジカルボン酸、ジフェン酸、コハク酸、及びその混合物が挙げられる。
【0048】
2価の有機基Y及びYを含むジアミン類としては、上記一般式(II)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、及び9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、並びにこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、及びその混合物等が挙げられる。
【0049】
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別する。その後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させる。更に、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリアミド-イミド前駆体樹脂を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
【0050】
ポリアミド-イミド前駆体樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000~150,000が好ましく、9,000~50,000がより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合、機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN-メチル-2-ピロリドンが好ましい。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが好ましい。
【0051】
(B)光重合開始剤
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましく、
ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;
1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;
N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類;
ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;
芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類;
α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類;
が好ましく挙げられる。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
【0052】
オキシム類光重合開始剤は、光感度の観点から、下記一般式(16):
【化38】
{式中、R、R、及びRは、1価の有機基であり、R、及びRは、互いに連結して環構造を形成してよい。}
で表される構造(オキシムエステル構造)を有することが好ましい。
【0053】
上記式(16)のオキシムエステル構造を有する化合物の中でも、光感度の観点から、オキシム類光重合開始剤は、下記一般式(17)、(18)及び(19):
【化39】
(式中、R、R、及びRは、炭素数1~10の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であり、そしてaは0~2の整数であり、Rは、炭素数1~4の1価の有機基を表し、Rで環を形成してよい。)、下記一般式(18):
【化40】
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であり、Rは、炭素数1~10の有機基である。)、及び下記一般式(19):
【化41】
(式中、R、及びRは、炭素数1~10の1価の有機基である。)
から成る群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0054】
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物において、(B)光重合開始剤の使用量は、ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは1~5質量部である。
【0055】
(C)溶媒
溶媒としては、例えば、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類が挙げられる。
【0056】
溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、こはく酸ジメチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ε-カプロラクトン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、マロン酸ジメチル、ジクロロメタン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンが挙げられる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、こはく酸ジメチル、ε-カプロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、ベンジルアルコール、マロン酸ジメチル、フェニルグリコール、アセト酢酸エチル、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
【0057】
このような溶媒の中で、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール, アセト酢酸エチル、こはく酸ジメチル、マロン酸ジメチル、及びε-カプロラクトンが特に好ましく、これらの有機溶媒を含むことにより、熱硬化時の膜厚変化量を小さくすることができる。これらの有機溶媒を含むことで熱硬化時の膜厚変化量が小さくなる理由は定かではないが、本発明者らは下記のように推定している。従来、ポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物を溶解させる有機溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が用いられてきた。これらの溶媒は、ポリイミド前駆体の溶解能は極めて高いものの、溶媒のアミド構造とポリマーのアミド構造、特に上記式(3)中のアミド構造が強力な水素結合を形成することにより、プリベーク後の膜中に多量に残存する傾向がある。そのため、熱硬化時に揮発し膜厚変化量が大きくなる。他方、γ-ブチロラクトンを初めとする上記の溶媒を含むことにより、プリベーク後の膜中の溶媒量を低減することが可能であり、結果として熱硬化時の膜厚変化量の小さな膜を得ることができる。
【0058】
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物において、溶媒の使用量は、ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対して、好ましくは100~1000質量部であり、より好ましくは120~700質量部であり、更に好ましくは125~500質量部である。
【0059】
(D)光重合性化合物(重合性モノマー)
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、光重合性化合物を更に含むことが好ましい。光重合性化合物とは、光重合性の不飽和結合を有し、露光によりポリアミド-イミド前駆体樹脂の架橋形成を補助することができるモノマーである。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。光重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
すなわち、光重合性化合物としては、例えば、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールのジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート、ベンゼントリ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0060】
上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーをポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、1~80質量部が好ましい。配合量が1質量部以上であれば露光時に良好な感度が得られ、80質量部以下であれば塗膜の面内均一性に優れる。更に、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、20~80質量部であることが、熱硬化時の膜厚変化抑制の観点から、より好ましい。
【0061】
これらの光重合性化合物の中では、解像性能の観点から、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、硬化収縮の抑制、及び耐薬品性の観点から、ラジカル重合性官能基を複数(例えば、3つ以上)有する化合物を含むことが好ましい。ラジカル重合性化合物は、単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。ラジカル重合性官能基を複数有する化合物における、ラジカル重合性官能基の数は、例えば、3つ以上6つ以下でよい。
【0062】
(E)可塑剤
可塑剤は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂の流動性を向上させる化合物である。可塑剤を含むことで、硬化時の膜厚変化量を抑制し易い。
【0063】
可塑剤としては、例えば、多価カルボン酸エステル系可塑剤、スルホンアミド系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤が挙げられる。
【0064】
多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、例えば、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ペンチル、安息香酸へプチル、安息香酸ノルマルオクチル、安息香酸ノニル、安息香酸イソノニル、安息香酸イソデシル、安息香酸2-エチルヘキシル、安息香酸イソデシル、安息香酸ブチルベンジル、安息香酸シクロプロピル、安息香酸シクロブチル、安息香酸シクロペンチチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸シクロヘプチル、安息香酸アリル、安息香酸ブチルベンジル、安息香酸フェニル等の安息香酸エステル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジへプチル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロプロピル、フタル酸ジシクロブチル、フタル酸ジシクロペンチチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジシクロヘプチル、フタル酸ジアリル、フタル酸ビスブチルベンジル、フタル酸ジフェニル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリプロピル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリペンチル、トリメリット酸トリへプチル、トリメリット酸トリノルマルオクチル、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリスブチルベンジル、トリメリット酸トリシクロプロピル、トリメリット酸トリシクロブチル、トリメリット酸トリシクロペンチチル、トリメリット酸トリシクロヘキシル、トリメリット酸トリシクロヘプチル、トリメリット酸トリアリル、トリメリット酸トリスブチルベンジル、トリメリット酸トリフェニル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジへプチル、アジピン酸ジノルマルオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ブチルベンジル、アジピン酸ジシクロプロピル、アジピン酸ジシクロブチル、アジピン酸ジシクロペンチチル、アジピン酸ジシクロヘキシル、アジピン酸ジシクロヘプチル、アジピン酸ジアリル、アジピン酸ビスブチルベンジル、アジピン酸ジフェニル等のアジピン酸エステル、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリプロピル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリペンチル、トリメリット酸トリへプチル、トリメリット酸トリノルマルオクチル、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリスブチルベンジル、トリメリット酸トリシクロプロピル、トリメリット酸トリシクロブチル、トリメリット酸トリシクロペンチチル、トリメリット酸トリシクロヘキシル、トリメリット酸トリシクロヘプチル、トリメリット酸トリアリル、トリメリット酸トリスブチルベンジル、トリメリット酸トリフェニル等のトリメリット酸エステル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジペンチル、セバシン酸ジへプチル、セバシン酸ジノルマルオクチル、セバシン酸ジノニル、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ブチルベンジル、セバシン酸ジシクロプロピル、セバシン酸ジシクロブチル、セバシン酸ジシクロペンチチル、セバシン酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジシクロヘプチル、セバシン酸ジアリル、セバシン酸ビスブチルベンジル、セバシン酸ジフェニル等のセバシン酸エステル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジペンチル、コハク酸ジへプチル、コハク酸ジノルマルオクチル、コハク酸ジノニル、コハク酸ジイソノニル、コハク酸ジイソデシル、コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)、コハク酸ジイソデシル、コハク酸ブチルベンジル、コハク酸ジシクロプロピル、コハク酸ジシクロブチル、コハク酸ジシクロペンチチル、コハク酸ジシクロヘキシル、コハク酸ジシクロヘプチル、コハク酸ジアリル、コハク酸ビスブチルベンジル、コハク酸ジフェニルが挙げられる。
【0065】
スルホンアミド系可塑剤の具体例としては、例えば、芳香族スルホンアミド系可塑剤が挙げられ、具体的には、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、N-エチル-o-トルエンスルホンアミド、N-n-ブチルベンゼンスルホンアミド、N-シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミドが挙げられる。好ましくは、N-ブチルベンゼンスルホンアミドである。
【0066】
リン酸エステル系可塑剤の具体例としては、例えば、トリメチルホスフェートやトリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジスホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェートが挙げられる。
【0067】
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、例えば、
アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分からなるポリエステル;
ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル;
が挙げられる。これらのポリエステルは、単官能カルボン酸又は単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物等で末端封鎖されていてもよい。
【0068】
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、例えば、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体等のポリアルキレングリコール;
上記の末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等の末端封鎖化合物;
が挙げられる。
【0069】
その他の可塑剤の具体例としては、例えば、
グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル;ペンタエリスリトール;各種ソルビトール;
が挙げられる。
【0070】
熱塩基発生剤
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、塩基発生剤を含有してよい。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物のイミド化を更に促進することができる。
【0071】
熱塩基発生剤としては、tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物、又は国際公開第2017/038598号に開示された熱塩基発生剤等が挙げられる。しかしながら、その他にも公知の熱塩基発生剤を用いることができる。
【0072】
tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物としては、例えば、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-1-ブタノール、1-アミノ-2-ブタノール、3-アミノ-2,2-ジメチル-1-プロパノール、4-アミノ-2-メチル-1-ブタノール、バリノール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、チラミン、ノルエフェドリン、2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、2-アミノシクロヘキサノール、4-アミノシクロヘキサノール、4-アミノシクロヘキサンエタノール、4-(2-アミノエチル)シクロヘキサノール、N-メチルエタノールアミン、3-(メチルアミノ)-1-プロパノール、3-(イソプロピルアミノ)プロパノール、N-シクロヘキシルエタノールアミン、α-[2-(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3-ピロリジノール、2-ピロリジンメタノール、4-ヒドロキシピペリジン、3-ヒドロキシピペリジン、4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジン、4-(3-ヒドロキシフェニル)ピペリジン、4-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジンエタノール、2-(4-ピペリジル)-2-プロパノール、1,4-ブタノールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、1,14-ジアミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、1-アザ-15-クラウン5-エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、又は、アミノ酸及びその誘導体のアミノ基をtert-ブトキシカルボニル基によって保護した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
熱塩基発生剤の配合量は、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。上記配合量は、イミド化促進効果の観点で0.1質量部以上であり、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
【0074】
含窒素複素環化合物
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物を用いて、銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合、銅上の変色を抑制するために、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、含窒素複素環化合物を任意に含んでよい。含窒素複素環化合物としては、例えば、アゾール化合物、プリン誘導体が挙げられる。
【0075】
アゾール化合物としては、例えば、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾールが挙げられる。
【0076】
中でも、好ましくは、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-アミノ-1H-テトラゾールが挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
【0077】
プリン誘導体の具体例としては、例えば、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6-ジアミノプリン、9-メチルアデニン、2-ヒドロキシアデニン、2-メチルアデニン、1-メチルアデニン、N-メチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、2-フルオロアデニン、9-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、8-アミノアデニン、6-アミノ‐8-フェニル‐9H-プリン、1-エチルアデニン、6-エチルアミノプリン、1-ベンジルアデニン、N-メチルグアニン、7-(2-ヒドロキシエチル)グアニン、N-(3-クロロフェニル)グアニン、N-(3-エチルフェニル)グアニン、2-アザアデニン、5-アザアデニン、8-アザアデニン、8-アザグアニン、8-アザプリン、8-アザキサンチン、8-アザヒポキサンチン、及びその誘導体が挙げられる。
【0078】
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物が上記アゾール化合物又はプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、0.1~20質量部が好ましく、光感度特性の観点から0.5~5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
【0079】
(F)ヒンダードフェノール化合物
銅表面上の変色を抑制するために、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、(F)ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでよい。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンが挙げられる。
【0080】
また、ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられる。中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオンが特に好ましい。
【0081】
(F)ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、0.1~20質量部が好ましく、光感度特性の観点から0.5~10質量部がより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上にポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、他方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
【0082】
有機チタン化合物
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してよい。有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
【0083】
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。有機チタン化合物の具体的例を以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートがより好ましい。具体的な例は、例えば、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイドである。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイドである。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネートである。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネートである。
中でも、有機チタン化合物は、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏する観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、及びビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
【0084】
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、0.05~10質量部が好ましく、より好ましくは0.1~2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
【0085】
接着助剤
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでよい。接着助剤としては、例えば、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
【0086】
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、0.5~25質量部の範囲が好ましい。
【0087】
シランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3-メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2-メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリプロポキシシランが挙げられる。
【0088】
また、シランカップリング剤としては、例えば、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N-(3-ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリエトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)が挙げられる。
【0089】
また、シランカップリング剤としては、例えば、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2-(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2-(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2-(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3-トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカルバメート、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ-n-プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ-t-ブトキシジアセトキシシラン、ジ-i-ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n-プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n-ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert-ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n-プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n-ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert-ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn-プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n-ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert-ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n-プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n-ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert-ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノールが挙げられる。
【0090】
上記で列挙されたシランカップリング剤は、単独でも複数組み合わせて用いてもよい。上記で列挙したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記式:
【化42】
で表される構造を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0091】
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
【0092】
増感剤
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでよい。増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレンが挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
【0093】
光感度を向上させるための増感剤をポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂100質量部に対し、0.1~25質量部であることが好ましい。
【0094】
(G)重合禁止剤
ポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物は、特に溶媒を含む溶液の状態での保存時のポリアミド-イミド前駆体樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、重合禁止剤を任意に含んでよい。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩が挙げられる。
【0095】
《硬化レリーフパターンの製造方法》
本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法は、
(1)上述した本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程(樹脂層形成工程)と、
(2)上記感光性樹脂層を露光する工程(露光工程)と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程(レリーフパターン形成工程)と、
(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程(硬化レリーフパターン形成工程)と
を有する。
【0096】
(1)樹脂層形成工程
本工程では、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法が挙げられる。
【0097】
必要に応じて、感光性樹脂組成物を含む塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、例えば、風乾;オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥;真空乾燥が挙げられる。具体的に、風乾又は加熱乾燥の場合、20℃~150℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上のとおりにして、基板上に感光性樹脂層を形成できる。
【0098】
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。この露光により、ネガ型感光性樹脂組成物に含有される(A)ポリアミド-イミド前駆体が有する重合性基が、(B)光重合開始剤の作用によって架橋する。この架橋によって、露光部後述の現像液に不溶となるため、レリーフパターンの形成が可能となる。
【0099】
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)若しくは現像前ベーク又はこれらの双方を施してもよい。ベーク条件は、温度は40℃~120℃であり、そして時間は10秒~240秒であることが好ましいが、本実施形態の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限られない。
【0100】
(3)レリーフパターン形成工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
【0101】
現像に使用される現像液としては、例えば、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。溶媒は、2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
【0102】
(4)硬化レリーフパターン形成工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱処理して、感光成分を希散させるとともに、(A)ポリアミド-イミド前駆体のイミド前駆体部分をイミド化させることによって、ポリアミド-イミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱処理は、例えば、150℃~350℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、150℃~250℃、好ましくは150℃~230℃、より好ましくは170℃~230℃である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
【0103】
《ポリアミド-イミド》
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を硬化して、ポリアミド-イミド(ポリアミド-イミド硬化物)を形成することができる。本実施形態の感光性樹脂組成物から形成されるポリアミド-イミドは、下記一般式(20):
下記一般式(20):
【化43】
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、mは正の整数である。}の繰り返し単位と、下記一般式(3):
【化44】
{式中、X、及びYは、2価の有機基であり、nは正の整数である。}の繰り返し単位を含み、ポリアミド-イミドにおける一般式(3)の繰り返し単位のモル分率が25%以上100%未満である、
【0104】
式(1)及び(3)中の好ましいX、X、Y及びYは、同じ理由により、上記式で表される構造のポリイミドにおいても好ましい。上記式において、ポリイミド構造とポリアミド構造とはランダム共重合を形成していることが好ましく、上記式(20)及び(3)における繰り返し単位数は、2~150の整数であることが好ましい。
【0105】
《ポリアミド-イミド硬化物の製造方法》
本実施形態のポリアミド-イミド硬化物の製造方法は、
上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程と;
得られた感光性樹脂層を乾燥する工程と;
乾燥後の感光性樹脂層を露光する工程と;
露光後の感光性樹脂層を現像する工程と;
現像後の感光性樹脂層を加熱処理して、本実施形態のポリアミド-イミド硬化物を形成する工程と;
を有する。上記《硬化レリーフパターンの製造方法》で挙げた例示、及び好ましい態様は、ポリアミド-イミド硬化物の製造方法においても、同様に適用可能である。
【0106】
《半導体装置》
本開示によれば、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。例えば、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリアミド-イミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置を提供することができる。また、基材として半導体素子を用い、上述した本開示の硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法を提供することもできる。半導体装置は、本開示の硬化レリーフパターンの製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
【0107】
上記ポリアミド-イミド硬化物(ポリアミド-イミド硬化膜)は、半導体装置において、例えば、絶縁層(「再配線用絶縁膜」「層間絶縁膜」とも称される。)として用いられる。半導体装置において、半導体チップと外部接続端子とを電気的に接続する配線の周りに、該絶縁層が配される。半導体装置において、絶縁層は、1層又は2層以上配されてよい。
【0108】
《表示体装置》
本開示は、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである表示体装置を提供することができる。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁が挙げられる。
【0109】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途にも有用である。
【実施例0110】
以下、実施例により本実施形態を具体的に説明する。ポリアミド-イミド前駆体又はネガ型感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
【0111】
<測定及び評価方法>
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件下で測定した。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:昭和電工(株)製Shodex KD-805/KD-804/KD-803直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105
移動相:0.1mol/L LiBr/N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
流速:1mL/min.
【0112】
<最短現像時間の導出>
後述の方法により調製した各感光性樹脂組成物を、6インチシリコンウエハ上にスピンコーター(D-SPIN60A型、SOKUDO社製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上100℃で240秒の乾燥を行い、厚さ7.5μm±0.2μmの塗膜を作製した。得られた塗膜を、現像機(D-SPIN636型、大日本スクリーン社製)を用いてシクロペンタノンでスプレー現像した。このとき、塗膜が完全に現像除去される最短時間(現像が完了する最短時間)を最短現像時間と定義し、以下の基準に従って評価した。
A:最短現像時間が10秒以上20秒未満
B:最短現像時間が5秒以上10秒未満
C:最短現像時間が5秒未満
【0113】
<レリーフパターン膜の製造及び評価>
6インチウエハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタし、スパッタCuウエハ基板を準備した。感光性樹脂組成物をスピンコーター(D-SPIN60A型、SOKUDO社製)を用いて、上記スパッタCuウエハ基板にスピンコートし、ホットプレート上100℃で240秒の乾燥を行い、厚さ7.5μm±0.2μmの塗膜を作製した。このスピンコート膜に、丸抜き凹型5μm径パターンを有するテストパターン付レチクルを用いて等倍投影露光装置PrismaGHI S/N5503(ウルトラテック社製)により、gh線カットフィルターを取り付け、30mJ/cmから270mJ/cmまで20mJ/cm刻みで露光量を変えて露光した。次いで、スパッタCuウエハ上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D-SPIN636型、大日本スクリーン社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして、ポリアミド酸エステルのパターンを得た。なお、スプレー現像の現像時間は、上記で求めた最短現像時間の1.4倍の時間とした。
【0114】
<最高解像度の評価>
上記より丸抜き凹型の径を変更し、得られた丸抜き凹型レリーフパターンのマスク寸法の最小値を最高解像度(μm)と定義し、以下の基準に従って評価した。なお、丸抜き凹型レリーフパターンの開口可否は、以下の基準(I)及び(II)をいずれも満たすものを合格と判断した。
(I)パターン開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上である。
(II)パターン断面が裾引きしておらず、アンダーカットや膨潤、ブリッジングが起こっていない。
A:最高解像度が5um以下である
B:最高解像度が5umより大きく6um以下である
C:最高解像度が6umより大きく7um以下である
D:最高解像度が7umより大きい
【0115】
<硬化後の残膜率>
6インチシリコンウエハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウエハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約7.5μm厚の塗膜を形成した。このスピンコート膜に、gh線カットフィルターを取り付け等倍投影露光装置PrismaGHI S/N5503(ウルトラテック社製)により、上記<最高解像度の評価>において最高解像度を与えた露光量にて全面露光した。次いで、得られた露光膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D-SPIN636型、大日本スクリーン社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして、Cu上の現像膜を得た。なお、スプレー現像の現像時間は、上記で求めた最短現像時間の1.4倍の時間とした。得られた現像膜の膜厚を測定し、現像後膜厚と定義した。
【0116】
得られた現像後膜を、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、230℃で2時間加熱処理することにより(すなわち、230℃で2時間保持することにより)、硬化レリーフパターンを得た。得られた硬化膜の膜厚を測定し、硬化後膜厚と定義した。
硬化後の残膜率を以下の式に従って定義し、以下A~Eの基準に従って評価した。
硬化後の残膜率=(硬化後の膜厚/現像後の膜厚)×100(%)
A:硬化後の残膜率が90%以上
B:硬化後の残膜率が88%以上90%未満
C:硬化後の残膜率が86%以上88%未満
D:硬化後の残膜率が84%以上86%未満
E:硬化後の残膜率が84%未満
【0117】
<熱重量減少率の算出>
各樹脂の熱重量減少率を示差熱・熱重量(TG/DTA)同時測定装置(DTG-60A 株式会社 島津製作所)を用い、以下の条件下で測定した。
測定雰囲気:窒素
ガス流量:50(ml/min)
温度プロファイル:
スタート温度を23℃とし、5℃/minで230℃まで昇温後、230℃で2時間ホールドした。
230℃における重量減少率は以下の式に従って定義した。
230℃における重量減少率=(1-(測定後の試料重量/測定前の試料重量))×100(%)
【0118】
<信頼性試験後の破断伸度>
6インチシリコンウエハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物を、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布した。その後、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約10.0μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により、1000mJ/cmの露光量で全面露光した。得られた露光後膜を、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、230℃で2時間加熱処理することにより、硬化膜(ポリイミド膜)を得た。得られた硬化膜を、高加速寿命試験装置(PC-R8D、平山製作所製)を用いて、空気中、温度130℃、湿度85%RHの条件で168時間加熱した。続いて、ダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウエハから剥がした。これにより、ポリイミドテープを得た。得られたポリイミドテープを温度23℃、湿度50%の雰囲気下に24時間以上静置した。静置したポリイミドテープの破断伸度(%)を、引張試験機(UTM-II-20型、オリエンテック社製)を用いて、試験速度40mm/min、初期加重0.5fsの条件にて測定し、以下の基準に基づき評価した。
「A」: 60%以上
「B」: 50%以上60%未満
「C」: 40%以上50%未満
「D」: 30%以上40%未満
「E」: 30%未満
なお、ポリイミドテープの上記破断伸度(%)は、下記式:
伸度(%)=100×(L-L0)/L0
L :引張試験によって破断する直前のポリイミドテープの長さ
L0:試験前のポリイミドテープの長さ
によって算出される。
【0119】
《(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂の実施例》
〈合成例1〉ポリマーA-1の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gを5L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)67.7gとγ-ブチロラクトン200mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン40.0gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0120】
次に、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル64.6gを添加し、攪拌後、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203.3gをγ-ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら30分かけて反応混合物に加え、続いて2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gをγ-ブチロラクトン500mLに溶解した溶液を攪拌しながら60分かけて加えた。γ-ブチロラクトン2000mLを混合後、反応混合物を更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール50mLを加えて30分攪拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0121】
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、γ-ブチロラクトン2Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して、粉末状のポリアミド-イミド前駆体樹脂A-1を得た。真空乾燥はポリアミド-イミド前駆体樹脂A-1中の水分含有率が1.0%未満になるまで行った。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
【0122】
〈合成例2〉ポリマーA-2の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)38.8gを5L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)33.8gとγ-ブチロラクトン200mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン40.0gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0123】
次に、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル96.8gを添加し、攪拌後、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203.3gをγ-ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら30分かけて反応混合物に加え、続いて2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gをγ-ブチロラクトン500mLに溶解した溶液を攪拌しながら60分かけて加えた。γ-ブチロラクトン2000mLを混合後、反応混合物を更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール50mLを加えて30分攪拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0124】
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、γ-ブチロラクトン2Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して、粉末状のポリアミド-イミド前駆体樹脂A-2を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
【0125】
〈合成例3〉ポリマーA-3の合成
合成例1の2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gに代えて、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン88.5gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-3を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-3の重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
【0126】
〈合成例4〉ポリマーA-4の合成
合成例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)73.6gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-4を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-4の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
【0127】
〈合成例5〉ポリマーA-5の合成
合成例1の2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gに代えて、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)83.4gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-6を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-5の重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
【0128】
〈合成例6〉ポリマーA-6の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)116.3gを5L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)101.5gとγ-ブチロラクトン200mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン59.3gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0129】
次に、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル32.3gを添加し、攪拌後、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203.3gをγ-ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら30分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)83.4gをγ-ブチロラクトン500mLに溶解した溶液を攪拌しながら60分かけて加えた。γ-ブチロラクトン2000mLを混合後、反応混合物を更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール50mLを加えて30分攪拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0130】
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、γ-ブチロラクトン2Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して、粉末状のポリアミド-イミド前駆体樹脂A-6を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-6の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
【0131】
〈合成例7〉ポリマーA-7の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)38.8gを5L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)33.8gとγ-ブチロラクトン200mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン19.8gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0132】
次に、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル96.8gを添加し、攪拌後、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203.3gをγ-ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら30分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)83.4gをγ-ブチロラクトン500mLに溶解した溶液を攪拌しながら60分かけて加えた。γ-ブチロラクトン2000mLを混合後、反応混合物を更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール50mLを加えて30分攪拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0133】
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、γ-ブチロラクトン2Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して、粉末状のポリアミド-イミド前駆体樹脂A-7を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-7の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
【0134】
〈合成例8〉ポリマーA-8の合成
合成例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)73.6gを用い、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gに代えて、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)83.4gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-8を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-8の重量平均分子量(Mw)は22,500であった。
【0135】
〈合成例9〉ポリマーA-9の合成
合成例1の2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gに代えて、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)129.4gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-9を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-9の重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
【0136】
〈合成例10〉ポリマーA-10の合成
合成例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gに代えて、ピロメリット酸無水物(PMDA)54.5gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-10を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-10の重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
【0137】
〈合成例11〉ポリマーA-11の合成
合成例1の4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル64.6gに代えて、4,4’-ビフェニルジカルボン酸60.6gを用い、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン171.1gに代えて、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)83.4gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-11を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-11の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
【0138】
〈合成例12〉ポリマーA-12の合成
合成例1の4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル64.6gに代えて、4,4’-ビフェニルジカルボン酸60.6gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-12を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-12の重量平均分子量(Mw)は20,500であった。
【0139】
〈合成例13〉ポリマーA-13の合成
合成例1の4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル64.6gに代えて、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸67.6gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-13を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-13の重量平均分子量(Mw)は21,500であった。
【0140】
〈合成例14〉ポリマーA-14の合成
合成例1の4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル64.6gに代えて、テレフタル酸41.5gを用いた以外は、前述の合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-13を得た。ポリアミド-イミド前駆体樹脂A-14の重量平均分子量(Mw)は19,500であった。
【0141】
〈合成例15〉ポリマーA’-1の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを5L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)135.4gとγ-ブチロラクトン300mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0142】
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203.3gをγ-ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら30分かけて反応混合物に加え、続いて2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン179.6gをγ-ブチロラクトン500mLに溶解した溶液を攪拌しながら60分かけて加えた。γ-ブチロラクトン800mLを混合後、反応混合物を更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール50mLを加えて30分攪拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、γ-ブチロラクトン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して、粉末状のポリアミド酸エステルであるPI前駆体樹脂A’-1を得た。PI前駆体樹脂A’-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
【0143】
〈合成例16〉ポリマーA’-2の合成
合成例15の2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン179.6gに代えて、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン92.9gを用いた以外は、前述の合成例15に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂A’-2を得た。ポリイミド前駆体樹脂A’-2の重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
【0144】
〈合成例17〉ポリマーA’-3の合成
合成例15の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の合成例15に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂A’-3を得た。ポリイミド前駆体樹脂A’-3の重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
【0145】
〈合成例18〉ポリマーA’-4の合成
合成例15の2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン179.6gに代えて、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル87.6gを用いた以外は、前述の合成例15に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂A’-4を得た。ポリイミド前駆体樹脂A’-4の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
【0146】
〈合成例19〉ポリマーA’-5の合成
合成例15の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用い、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン179.6gに代えて、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル87.6gを用いた以外は、前述の合成例15に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂A’-5を得た。ポリイミド前駆体樹脂A’-5の重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
【0147】
〈合成例20〉ポリマーA’-6の合成
合成例15の2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン179.6gに代えて、4,4'-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)135.8gを用いた以外は、前述の合成例15に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂A’-6を得た。ポリイミド前駆体樹脂A’-6の重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
【0148】
〈合成例21〉ポリマーA’-7の合成
合成例15の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、ピロメリット酸無水物109.1gを用いた以外は、前述の合成例15に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂A’-7を得た。ポリイミド前駆体樹脂A’-7の重量平均分子量(Mw)は21,500であった。
【0149】
〈合成例22〉ポリマーA’-8の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)124.1gを5L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)108.3gとγ-ブチロラクトン200mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン63.3gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0150】
次に、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル25.8gを添加し、攪拌後、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203.3gをγ-ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら30分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)83.4gをγ-ブチロラクトン500mLに溶解した溶液を攪拌しながら60分かけて加えた。γ-ブチロラクトン2000mLを混合後、反応混合物を更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール50mLを加えて30分攪拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0151】
合成例1~22について、下表にまとめる。
【表1】
【表2】
【0152】
《前駆体樹脂組成物の調整》
〈実施例1~22及び比較例1~8〉
下表に示す配合量にて、(A)前駆体樹脂、(B)光重合開始剤、(C)溶媒、(D)光重合性化合物、(E)可塑剤、(F)ヒンダードフェノール化合物、及び(G)重合禁止剤を、実施例1~22及び比較例1~8の前駆体樹脂組成物を調整した。下表の配合量は、(A)成分を100質量部とした際の、各成分の質量部である。得られた溶液を、細孔が0.2μmのポリエチレン製フィルターで濾過して樹脂組成物とした。表中の記号は、それぞれ以下の成分を意味する。該組成物を、前述の方法に従って評価した、評結果を下表に示す。
【0153】
(A)ポリアミド-イミド前駆体樹脂として、上記(A-1)~(A-14)を用い、(A’)ポリイミド前駆体樹脂として、上記(A’-1)~(A’-8)を用いた。
【0154】
(B)光重合開始剤として、下記(B-1)を用いた。
(B-1):1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-アセチルオキシム)(商品名:PBG-3057、常州強力電子社製)
【0155】
(C)光重合性化合物として、下記(C-1)~(C-3)を用いた。
(C-1):γ-ブチロラクトン
(C-2):ジメチルスルホオキシド
(C-3):N-メチル-2-ピロリドン
【0156】
(D)光重合性化合物として、下記(D-1)及び(D-2)を用いた。
(D-1):トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(A-9300 新中村化学工業株式会社製)
(D-2):テトラエチレングリコールジメタクリレート (東京化成工業株式会社製)
【0157】
(E)可塑剤として、下記(E-1)~(E-3)を用いた。
(E-1): N-ブチルベンゼンスルホンアミド(東京化成工業株式会社製)
(E-2): ジフェニルフタレート(東京化成工業株式会社製)
(E-3): N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルエンスルホンアミド(東京化成工業株式会社製)
【0158】
その他、以下の成分を用いた。
(F-1)1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン
(G-1)2-ニトロソ-1-ナフト-ル
【表3】
【表4】
【表5】
【0159】
上記表で示されるとおり、実施例1~22によれば、高解像性能を有し、熱硬化時の膜厚変化量が小さく、薄膜塗工時においても適度な現像時間を有する、ネガ型感光性樹脂組成物を提供できることが確かめられた。
【0160】
《ポリアミド-イミド硬化膜の作製、及び硬化レリーフパターンの作製》
上記<レリーフパターン膜の製造>及び<硬化前後の膜厚変化>の項目で示されるとおり、実施例1~22のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、ポリアミド-イミド硬化膜(実施例1-1~22-1)を好適に得ることができ、また、硬化レリーフパターン(実施例1-2~22-2)も好適に得ることができた。
【0161】
《半導体装置の作製》
実施例1-1~22-1のポリアミド-イミド硬化膜を絶縁層とする、半導体装置(実施例1-3~22-3)を常法により作製したところ、問題無く動作した。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明による感光性樹脂組成物を用いることで、高解像性能を有し、硬化時の膜厚変化量が小さく、適度な現像時間を有する硬化レリーフパターンを得ることができる。本発明は、例えば半導体装置、多層配線基板等の電気・電子材料の製造に有用な感光性材料の分野で好適に利用できる。