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特開2023-15304抗微生物第4級化合物とアニオン性界面活性剤との間の相互作用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015304
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】抗微生物第4級化合物とアニオン性界面活性剤との間の相互作用
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/12 20060101AFI20230124BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20230124BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P1/00
A01P3/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183110
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2021027349の分割
【原出願日】2017-02-28
(31)【優先権主張番号】62/373,772
(32)【優先日】2016-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ビクター フク-ポン マン
(72)【発明者】
【氏名】デリック アール.アンダーソン
(57)【要約】
【課題】本発明は、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤または酸とを組み合わせた活性化または不活性化組成物を提供する。本発明はさらに、第4級アンモニウム化合物とアニオン性キレート剤またはポリマーとを組み合わせた活性化または不活性化組成物を提供する。
【解決手段】C20未満の鎖長を有する第4級アンモニウム化合物およびC6~C10鎖長を有するアニオン性カルボキシレート界面活性剤からなる活性化抗微生物組成物が開示される。本発明の活性化組成物は、約1~7のpHを有し、シラン、スルフェート、および酸化剤を実質的に含まない。C-20未満の鎖長を有する第4級アンモニウム化合物およびアニオン性スルフェートまたはスルホネート界面活性剤からなる不活性化抗微生物組成物が開示される。本発明の組成物は、10モル対1モルの比の第4級アンモニウム化合物対アニオン性界面活性剤、または約1モル対10モルの比を有する。組成物の作製および使用方法が開示される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有する、第4級アンモニウム化合物と、
C6~C18の鎖長を有するアニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー、またはアニオン性キレート剤と
を含む、抗微生物組成物であって、
前記組成物は、約1~約12のpHを有し、シランおよび酸化剤を実質的に含まない、すぐに使用できる溶液、または水に可溶性の固体もしくは液体濃縮物である、抗微生物組成物。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、カルボン酸および/またはリン酸エステルである、請求項1に記載の抗微生物組成物。
【請求項3】
前記pHが、約1~約10である、請求項1または2に記載の抗微生物組成物。
【請求項4】
前記pHが、約1~約7である、請求項1または2に記載の抗微生物組成物。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤が、アルコキシル化または非アルコキシル化の直鎖または分岐鎖カルボキシレートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項6】
前記アニオン性界面活性剤が、アルコキシル化または非アルコキシル化の直鎖界面活性剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項7】
前記アニオン性界面活性剤が、第1級直鎖カルボキシレートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤が、C6~C10の鎖長を有する中鎖界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項9】
前記アニオン性界面活性剤が、C8~C10の鎖長を有する中鎖界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項10】
前記アニオン性キレート剤またはポリマーが、アミノカルボキシレートもしくはその誘導体、ホスホン酸、またはホスホネート塩である、請求項1に記載の抗微生物組成物。
【請求項11】
アニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対第4級アンモニウムのモル比が、約10モルのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対約1モルの第4級アンモニウムから、約1モルのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対約10モルの第4級アンモニウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項12】
アニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対第4級アンモニウムの前記モル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対約1モルの第4級アンモニウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項13】
前記第4級アンモニウム化合物が、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、複素芳香族アンモニウム塩、多置換第4級アンモニウム塩、ビス-第4級アンモニウム塩、ポリマー性第4級アンモニウム塩、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項14】
前記第4級アンモニウム化合物が、ジアルキル第4級アンモニウムおよびアルキルベンジル第4級アンモニウムのうちの1つ以上からなり、前記アニオン性界面活性剤が、オクタン酸、ノナン酸、またはデカン酸のうちの1つ以上からなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項15】
前記第4級アンモニウム化合物基R1、R2、R3、およびR4が各々、C10未満の鎖長を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項16】
前記第4級アンモニウム化合物が、ジオクチル(C8)ジメチルアンモニウムクロリド、ジデシル(C10)ジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンジルアンモニウムクロリド、および/またはアルキルベンジルアンモニウムクロリドであり、前記アニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマーが、ポリアクリル酸ポリマー、ホスホスクシネート付加物/オリゴマー(PSO)、および/またはポリカルボキシレートである、請求項15に記載の抗微生物組成物。
【請求項17】
酸味料をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項18】
前記第4級アンモニウムが、8~20個の炭素原子の炭素鎖長を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項19】
前記第4級アンモニウムが、8~16個の炭素原子の炭素鎖長を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項20】
前記組成物が、使用溶液中に、約50ppm~約400ppmの第4級アンモニウム化合物、および少なくとも約10ppmのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマーを提供する、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項21】
追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、pH調整成分、芳香剤および/または染料、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の機能性成分をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項22】
微生物を死滅させる方法であって、
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗微生物組成物を基材に適用することを含み、
前記組成物が、処理された表面上で少なくとも5対数の死滅を提供し、かつ/またはスケール堆積物を減少させる、方法。
【請求項23】
前記組成物のpHが、約1~約7である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組み合わせの前記pHが、約1~約6である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
使用溶液条件が、少なくとも約500ppmの水硬度イオンの水硬度を有し、前記組成物が最大約500ppmの水硬度の水条件に耐性である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記使用溶液条件が、5グレイン/ガロン(gpg)を超える水硬度を有する、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記使用溶液条件が、約5グレイン/ガロン(gpg)~約15グレイン/ガロン(gpg)の水硬度を有する、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
脂肪酸を迅速に可溶化して抗微生物有効性を高める方法であって、前記方法は、
以下の式を有する第4級アンモニウムを脂肪酸に添加することを含み、
【化2】
式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有し、
前記可溶化が、不快な脂肪酸臭を脱臭する、方法。
【請求項29】
前記脂肪酸が、カルボン脂肪酸である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記脂肪酸と前記第4級アンモニウムとの組み合わせを水中で行う、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記可溶化脂肪酸、前記第4級アンモニウムが、成分単独または組み合わせのいずれかと比較して高い有効性として測定される相乗的抗微生物有効性を提供する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
カルボン脂肪酸対第4級アンモニウムのモル比が、約2モルのカルボン脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウムから、約1モルのカルボン脂肪酸対約10モルの第4級アンモニウムである、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
カルボン脂肪酸対第4級アンモニウムの前記モル比が、約1モルのカルボン脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウムである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
抗微生物第4級組成物を不活性化するためのアニオン性界面活性剤の使用方法であって、前記方法は、
以下の式:
【化3】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有する、第4級アンモニウム化合物を含む水源または廃水流を、少なくともC12の鎖長かつC20未満の鎖長を有するアニオン性界面活性剤で処理することを含み、
前記アニオン性界面活性剤が、約1~約12のpHを有し、
水源または廃水流が、不活性化組成物によって破壊されない細菌を含有する、方法。
【請求項35】
前記アニオン性界面活性剤が、スルフェートおよび/もしくはスルホネートアニオン性界面活性剤、または約4000を超える分子量を有するポリアクリル酸ポリマーである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記不活性化抗微生物組成物の前記アニオン性界面活性剤が、請求項1を含み、それが、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、LAS(直鎖アルキルベンジルスルホネート)、およびAOS(アルファオレフィンスルホネート)からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖または分枝鎖のアルコキシル化または非アルコキシル化スルフェートまたはスルホネートである、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖の非アルコキシル化スルフェートまたはスルホネートである、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
不活性化抗微生物組成物が硬水条件下で有効である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比が、約10モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物から、約1モルのアニオン性界面活性剤対約10モルの第4級アンモニウムであり、前記モル比が、前記第4級アンモニウム化合物の不活性化の程度を制御する、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物の前記モル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物であり、前記モル比が、前記第4級アンモニウム化合物の不活性化の程度を制御する、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第4級アンモニウム化合物が、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、複素芳香族アンモニウム塩、多置換第4級アンモニウム塩、ビス-第4級アンモニウム塩、ポリマー性第4級アンモニウム塩、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第4級アンモニウム化合物が、ジアルキル第4級アンモニウムとアルキルベンジル第4級アンモニウムとの混合物からなり、10個未満の炭素原子の鎖長を有する、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記不活性化抗微生物組成物が、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、pH調整成分(酸味料)、芳香剤および/または染料、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の機能性成分をさらに含む、請求項34~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
第4級アンモニウム化合物を含む界面活性および/または抗微生物組成物を不活性化するためのキットであって、前記キットは、
(a)少なくともC12の鎖長かつC20未満の鎖長を有するアニオン性界面活性剤と、
(b)前記アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比を決定および/または提供するための測定手段および/または投与手段と、を含み、
前記第4級アンモニウム化合物は、以下の式:
【化4】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有し、
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物である、キット。
【請求項46】
指示書をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年8月11日に出願された米国仮出願第62/373,772号に対する優先権を主張する非仮出願である。
【0002】
本発明は、活性化または不活性化抗微生物組成物を含む、抗微生物組成物に関する。いくつかの実施形態において、抗微生物第4級アンモニウム化合物は、アニオン性界面活性剤と組み合わせて提供され、高められた抗微生物特性を有する組成物を提供し、それは、高められた表面活性および/または殺菌有効性を含み得る。他の態様において、抗微生物第4級アンモニウム化合物は、アニオン性ポリマーまたはキレート剤と組み合わせて提供される。特に、この組み合わせは、アニオン性界面活性剤または第4級アンモニウム化合物のいずれか単独と比較して、高められた抗微生物活性を提供する。他の実施形態において、抗微生物第4級アンモニウム化合物は、アニオン性界面活性剤と組み合わせて提供されて、不活性化抗微生物特性を有する組成物を提供する。有利にも、本発明によると、特定の用途に応じて、活性化または不活性化組成物が提供される。
【背景技術】
【0003】
抗微生物薬は、製品、材料、および媒質(水プロセス流など)、ならびにシステムの微生物学的汚染および劣化を防止するために使用される化学組成物である。抗微生物薬および組成物は、例えば、硬質面浄化、食品調理、動物飼料、冷却水、ホスピタリティサービス、病院および医療用途、パルプおよび紙製造、織物浄化、ならびに水処理に関連する消毒剤および殺菌剤として使用される。抗微生物薬及び組成物の多様なカテゴリーの中で、第4級アンモニウム化合物は、使用される薬剤の最も大きなクラスの1つを表す。低濃度において、第4級アンモニウム型の抗微生物薬は、静菌性、静真菌性、静藻性、静胞子形成性及び結核菌抑制性である。中程度の濃度において、それらは、殺菌性、殺真菌性、殺藻性、および親油性ウイルスに対して殺ウイルス性である。第4級アンモニウム化合物は、E.coliなどのグラム陰性微生物に対して約150ppm未満の死滅有効性を保持することが困難であることが知られており、また低い温度およびpHでは非効率的である。したがって、第4級アンモニウム化合物などの化学物質の抗微生物活性を増強することが望ましい。様々な用途における使用のためにそのような化学物質の抗微生物活性を増強することは望ましい。
【0004】
したがって、特許請求された発明の一目的は、改良された抗微生物第4級アンモニウム化合物ベースの組成物を開発することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、増大した動的表面活性(動的表面張力の低下によって測定される)を提供する、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との相乗的組み合わせを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、第4級アンモニウム化合物とアニオン性ポリマーまたはキレート剤との相乗的組成物を提供して、そのような改善および相乗的表面活性を提供することである。
【0007】
本発明の一目的は、例えば、医療器具用の高レベル消毒剤、抗微生物潤滑剤、洗濯物の浄化および殺菌、高められたマイルド性および低減された刺激性を有する抗微生物剤、改良された組み合わせの製品、第3シンク用途などを含む、消毒剤および/または殺菌表面を含む使用用途を有する、高められたおよび/または相乗的な表面活性を有する活性化組成物を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤とのブレンドで高められた抗微生物活性および/または殺菌活性を提供することであり、性能有効性のための中性からアルカリ性pHの従来の必要条件、増加した濃度を必要とする硬水性能制限、および有効性のためのより高濃度の活性物質の必要性を含む、第4級アンモニウム化合物の従来の制限を克服することを含む。
【0009】
本発明のさらなる態様は、表面活性自体がそれほど高くない従来の第4級アンモニウム化合物を改善するための殺菌組成物を提供することである。一態様において、いくつかの用途において高められた湿潤を含む、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤とのブレンドで高められた抗微生物活性および/または殺菌活性は、予想外に、中性またはそれ以上のpHにおいてそのような活性を提供する(例えば、500ppmの水硬度懸濁試験などのために従来用いられる酸性pHとは対照的に)。さらなる態様において、かつ本発明のさらなる利点として、組成物は、基材表面上に残留物をあまり残すことなく、高められたマイルド性および低減された刺激性を提供する。
【0010】
本発明のさらなる目的は、組成物のためのアニオン性界面活性剤の選択によって抗微生物および/または殺菌有効性を不活性化することが可能である、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤とのブレンドを提供することである。
【0011】
本発明の一目的は、例えば、水処理、第4級アンモニウム化合物滴定キット、界面活性剤のリサイクルなどを含む使用用途を有する、中和された第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との不活性化組成物を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的、利点、および特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0013】
本発明に従った組成物は、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を高めるか、または不活性化する能力を提供する。一態様において、本明細書に開示される選択されたアニオン性界面活性剤は、抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物を提供するためのそのような選択を提供する。一実施形態によると、強いイオン結合を有するアニオン性界面活性剤が、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を失活させるのに役立つ一方で、弱いイオン結合を有するアニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物の高められた、または「活性化された」抗微生物有効性を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤と関連して第4級アンモニウム化合物を提供する。いくつかの実施形態において、20未満の炭素鎖を有する第4級アンモニウムは、本発明の組成物中に含まれる。本発明で有用な第4級アンモニウム化合物の例としては、いくつか例を挙げると、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、およびジデシルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。単一の第4級アンモニウムまたは1つより多い第4級アンモニウムの組み合わせを本発明の組成物に含むことができる。本発明で有用な第4級アンモニウム化合物のさらなる例としては、ベンゼトニウムクロリド、エチルベンジルアルコニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド(CTAB)、カルニチン、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEAB)、ドミフェンブロミド、ベンゾドデシニウムブロミド、ベンゾオキソニウムクロリド、コリン、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、およびデナトニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本発明の組成物は、第4級アンモニウム化合物に対する所望の抗微生物または不活性化抗微生物効果のために選択されるアニオン性界面活性剤をさらに含む。本発明に従って記載されるように、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との組み合わせの能力は、その表面活性に基づき選択され得る抗微生物有効性を高めるか、または失活させるかのいずれかが可能であることが分かっている。すなわち、組み合わせが別の組み合わせと比較してより高度に表面活性(低い表面張力)である場合、最も高い表面活性を有する組み合わせは、第4級アンモニウムの抗微生物有効性を高め得る。対照的に、組み合わせが別の組み合わせと比較してより低い表面活性(より高い表面張力)を有する場合、低い表面活性を有する組み合わせは、第4級アンモニウムの抗微生物有効性を中和するか、または失活させる。
【0016】
ある特定の好ましい態様において、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物とカルボキシレートベースのアニオン性界面活性剤との組み合わせは、単独で使用される成分のいずれかと比較して改善された抗微生物活性を提供する。好ましい態様において、相乗的な組み合わせは、アニオン性界面活性剤も第4級アンモニウム化合物も単独で有効ではない微生物負荷に対して、第4級アンモニウム化合物の活性を増加させる。したがって、記載される組成物は、既存の抗微生物処理剤に優る利点を有し、改善された結果を提供する。アニオン性界面活性剤と合わせた抗微生物薬の本明細書に開示される組み合わせは、個々の成分のいずれかが別々に用いられる場合よりも良好な結果をもたらす。第4級アンモニウム化合物の表面活性および抗微生物有効性を高めるための好ましいカルボキシレートアニオン性界面活性剤の例としては、C6~C10の炭素鎖を有するカルボキシレートが挙げられる。アニオン性カルボキシレート界面活性剤の例としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、およびデカン酸などの有機酸が挙げられる。分岐鎖有機酸の例としては、エチルヘキシルカルボキシレート、イソノナン酸、およびトリデシルカルボキシレートが挙げられる。市販の界面活性剤の例としては、Marlowet4539(Sasolから入手可能なC9アルコールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)が挙げられる。他の実施形態において、リン酸エステルは、第4級アンモニウム化合物の抗微生物活性を高める働きをする。
【0017】
本発明の組成物は、アニオン性ポリマーまたはキレート剤をさらに含む。一態様において、組成物は、C20未満の鎖長を有し、アニオン性ポリマーおよび/またはキレート剤と組み合わせた、シランを含まない第4級アンモニウム化合物である。いくつかの態様において、第4級アンモニウム化合物と組み合わせて使用されるアニオン性ポリマーおよび/またはキレート剤は、ポリアクリレート、アクリルアミド、カルボキシレート、ホスフィン酸もしくはホスホネート塩、またはこれらの混合物である。一態様において、組成物は、3以下のpHを有する。さらなる態様において、組成物は、実質的に酸化剤を含まない。さらなる実施形態において、本発明の組成物で使用される第4級アンモニウム化合物は、ジアルキル第4級アンモニウムとアルキルベンジル第4級アンモニウムとの混合物からなり、アニオン性ポリマーは、ポリアクリレート、アクリルアミド、カルボキシレート、ホスフィン酸もしくはホスホネート塩、またはこれらの混合物である。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明の抗微生物組成物で使用される第4級アンモニウム化合物は、ジアルキル第4級アンモニウムとアルキルベンジル第4級アンモニウムとの混合物からなり、アニオン性界面活性剤は、オクタン酸、ノナン酸、もしくはデカン酸、またはこれらの混合物である。
【0019】
他の好ましい態様において、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物とスルフェートまたはスルホネートベースのアニオン性界面活性剤との組み合わせは、第4級アンモニウム化合物の不活性化された抗微生物または表面活性を提供する。ある特定の好ましい態様において、より強いイオン結合を有する少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との組み合わせは、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を失活させる。市販のスルフェートまたはスルホン化アニオン性界面活性剤の例としては、Huntsman Chemicalから入手可能なX-AES(C12~14-(PO)16-(EO)-スルフェート)、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、およびSLES(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0020】
組成物を用いる方法もまた、本発明の実施形態に含まれる。
【0021】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のなお他の実施形態は、本発明の例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本来は例示的であり、限定的ではないものとしてみなされるべきである。本発明のこれらおよび他の特徴、目的、および利点は、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に従って評価される、第4級アンモニウム化合物:アニオン性界面活性剤の9:1の質量比で調製された組成物の動的表面張力を示すプロットである。
図2】第4級アンモニウム化合物:アニオン性スルフェート界面活性剤のモル:モル比で調製された組成物の動的表面張力を示すプロットである。
図3A】本発明の実施形態に従って評価される、Bardac 205M第4級アンモニウム化合物:アニオン性カルボキシレート界面活性剤のモル:モル比で調製された組成物の動的表面張力を示すプロットである。
図3B】実施例3に記載されるBardac 205Mおよび異なる濃度のデカン酸の動的表面張力のグラフ図である。
図4A】カルボキシレートアニオン性界面活性剤と第4級アンモニウム化合物で調製された組成物に対して、様々なスルフェートベースのアニオン性界面活性剤との第4級アンモニウム化合物の相互作用を用いて調製された組成物の動的表面張力を比較するプロットを示す。図4Aは、SLSによる評価を示す。
図4B】カルボキシレートアニオン性界面活性剤と第4級アンモニウム化合物で調製された組成物に対して、様々なスルフェートベースのアニオン性界面活性剤との第4級アンモニウム化合物の相互作用を用いて調製された組成物の動的表面張力を比較するプロットを示す。図4Bは、NAS-FALによる評価を示す。
図4C】カルボキシレートアニオン性界面活性剤と第4級アンモニウム化合物で調製された組成物に対して、様々なスルフェートベースのアニオン性界面活性剤との第4級アンモニウム化合物の相互作用を用いて調製された組成物の動的表面張力を比較するプロットを示す。図4Cは、EH-Sによる評価を示す。
図5A】本発明の一実施形態に従って評価される、モル比に基づく、第4級アンモニウム化合物およびカルボキシレートベースのアニオン性界面活性剤で調製された組成物のpHを示すプロットである。
図5B】本発明の実施形態に従って評価される、モル比に基づく、第4級アンモニウム化合物およびカルボキシレートベースのアニオン性界面活性剤で調製された組成物のpHを示すプロットを示す。
図6A】本発明の実施形態に従って評価される、異なるモル比での、Escherichia coliおよびStaphylococcus aureusに対する本発明の組成物の抗微生物有効性を示すプロットである。
図6B】本発明の実施形態に従って評価される、300ppm、150ppm、および75ppmのBardac 205Mを用いた、7.5:1の質量比の第4級アンモニウム:アニオン性界面活性剤で調製された本発明の組成物の抗微生物有効性を示すプロットである。
図7】本発明の実施形態に従って評価される、第4級アンモニウムBardac 205Mと組み合わせた異なるアニオン性界面活性剤の抗微生物有効性を示すプロットである。
図8】Staphylococcusに対する本発明の組成物の抗微生物有効性を示すプロットである。
図9A】pH4.0またはpH8.0での、Staphylococcusに対する本発明の組成物の抗微生物有効性を示すグラフである。
図9B】pH4.0またはpH8.0での、Escherichia coliに対する本発明の組成物の抗微生物有効性のグラフ図である。
図10】実施例16に記載される、Bardac LF80およびアニオン性ポリマーの平均動的表面張力のグラフ表示を示す。
図11】実施例16に記載される、pH7.0での、Bardac LF80および異なる濃度のポリマーの平均動的表面張力のグラフ図を示す。
図12】実施例16に記載される、pH11での、Bardac LF80および様々な濃度のポリマーの平均動的表面張力のグラフを示す。
図13】実施例17に記載される、Bardac 2250およびアニオン性ポリマーの平均動的表面張力のグラフ表示である。
図14】実施例17に記載される、pH7.0での、Bardac 2250および異なる濃度のポリマーの平均動的表面張力のグラフ図である。
図15】実施例17に記載される、pH11およびpH7.0での、Bardac 2250および様々な濃度のポリマーの平均動的表面張力を示すグラフである。
図16】実施例17に記載される、Bardac 205Mおよびアニオン性ポリマーの平均動的表面張力のグラフ表示を示す。
図17】実施例17に記載される、Uniquat QAC50およびアニオン性ポリマーの平均動的表面張力のグラフ図を示す。
図18】実施例18に記載される、Bardac LF80および異なる濃度でのアニオン性キレート剤HEDPの平均動的表面張力のグラフ表示である。
図19】実施例18に記載される、Bardac 2250およびアニオン性キレート剤の対の平均動的表面張力のグラフ図である。
図20】実施例18に記載される、Uniquat QAC50およびアニオン性キレート剤の対の平均動的表面張力を示すグラフである。
図21】本発明の実施形態に従って評価される、pHの関数としての、Bardac LF80およびアニオン性キレート剤Trilon Mの平均動的表面張力のグラフ表示を示す。
図22】本発明の実施形態に従って評価される、ポリプロピレン表面からのミネラル堆積物の除去およびキレート剤活性化の代表的な画像を示す。
図23】本発明の実施形態に従って評価される、ポリプロピレン表面からのミネラル堆積物の除去およびポリマー活性化の代表的な画像を示す。
【0023】
図面を参照して本発明の様々な実施形態を詳細に説明するが、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部分を表す。様々な実施形態への言及は、本発明の範囲を限定しない。本明細書において示される図は、本発明による様々な実施形態の限定ではなく、本発明の例示的説明のために示される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態は、不活性化組成物のための代替の浄化および使用と共に、活性化組成物のための抗微生物および/または殺菌用途を含む、硬質表面浄化のための特定の組成物、それを作製する方法、および/または用いる方法に限定されず、それは、異なり得、かつ当業者によって理解される。本発明をより容易に理解し得るように、特定の用語をまず定義する。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別段明らかに示されない限り、複数形の指示対象を含み得る。さらに、全ての単位、接頭辞、および記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。
【0025】
本明細書内に記載される数値範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義される範囲内の各整数を含む。本開示全体を通して、本発明の様々な態様が、範囲形式で示される。範囲形式における説明は単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲への堅固な限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の全ての可能性のある部分範囲および個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6等の範囲の説明は、その範囲内の1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲、ならびに個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず、適用される。
【0026】
本発明をより容易に理解し得るように、特定の用語をまず定義する。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明の実施形態が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それを修正したか、またはそれと同等である多くの方法および材料が、過度の実験を伴うことなく本発明の実施形態の実践に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。本発明の実施形態を説明および請求する上で、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、例えば、現実世界で濃縮物または使用溶液を作製するために使用される典型的な測定および液体取り扱い手順によって、これらの手順における不注意による誤りによって、組成物を作製するために、または方法を実施するために使用される成分の製造、供給源、または純度の差などによって発生し得る、数量の変動を指す。用語「約」はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に関する異なる平衡条件によって異なる量も包含する。用語「約」により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0028】
「活性物質」、または「活性物質のパーセント」、または「活性物質の重量パーセント」、または「活性物質濃度」という用語は、本明細書において互換的に使用され、水または塩などの不活性成分を引いた百分率として表される、浄化に関与する成分の濃度を指す。
【0029】
本明細書において使用する場合、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環式アルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル等)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0030】
別段の定めがない限り、用語「アルキル」は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書において使用する場合、用語「置換アルキル」は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の1個以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が含まれ得る。
【0031】
本明細書において使用する場合、用語「浄化」は、汚れ除去、漂白、微生物群の減少、およびそれらの任意の組み合わせを促進するか、またはそれらを助けるために使用される方法を指す。本明細書において使用する場合、用語「微生物(microorganism)」は、あらゆる非細胞生物または単細胞(群体を含む)生物を指す。微生物には、全ての原核生物が含まれる。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、菌類、原虫、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻を含む。本明細書において使用する場合、用語「微生物(microbe)」は、微生物(microorganism)と同義である。
【0032】
本特許出願の目的のため、良好な微生物低減は、微生物集団が少なくとも約50%低減されるときに達成され、またはそれを著しく超えるものは、水による洗浄によって達成される。微生物集団のより大きな低減は、より大きなレベルの保護を提供する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「消毒剤」という用語は、A.O.A.C.Use Dilution Methods,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,15th Edition,1990(EPA Guideline 91-2)の段落955.14および適用可能な節に記載される手順を使用して、最も認識されている病原微生物を含む全ての栄養細胞を死滅させる薬剤を指す。本明細書で使用されるとき、「高レベル消毒」または「高レベル消毒剤」という用語は、高レベルの細菌胞子を除き実質的に全ての有機体を死滅させ、食品医薬品局によって滅菌剤としての市販を許可されている化学的殺菌剤を用いて効果をもたらされる化合物または組成物を指す。本明細書で使用されるとき、「中間レベル消毒」または「中間レベル消毒剤」という用語は、環境保護庁(EPA)によって殺結核菌剤として登録されている化学的殺菌剤を用いてマイコバクテリウム、大部分のウイルス、および細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。本明細書で使用されるとき、「低レベル消毒」または「低レベル消毒剤」という用語は、EPAによって病院用消毒剤として登録されている化学的殺菌剤を用いて一部のウイルスおよび細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。
【0034】
本明細書において使用する場合、語句「食品加工表面」は、食品加工、調理、または保存活動の一部として使用される道具、機械、設備、構造、または建物等の表面を指す。食品加工表面の例としては、食品加工または調理設備(例えば、スライス、缶詰化、またはフルームを含む運搬設備)の表面、食品加工ウェア(例えば、調理器具、食器類、洗浄ウェア(wash ware)、およびバーのガラス)の表面、ならびに食品加工が行われる構造の床、壁、または据え付け品の表面が挙げられる。食品加工表面は、食品抗腐敗空気循環システム、無菌包装の殺菌、食品冷蔵庫およびクーラーの浄化剤および殺菌剤、ウェア洗浄の殺菌、ブランチャーの浄化および殺菌、食品包装材料、まな板の添加剤、第3シンク(third-sink)殺菌、飲料冷蔵室および加温器、肉の冷蔵庫または熱湯、自動食器サニタイザー、殺菌ゲル、冷却塔、食品加工の抗菌性衣類スプレー、ならびに非水性から低水性の食品調理潤滑剤、油、およびすすぎ添加剤に見られ、使用される。
【0035】
本明細書で使用される場合、「食品」という語句は、抗微生物薬または組成物による処理を必要とする場合があり、さらなる調製の有無にかかわらず食用である、任意の食品物質を含む。食品としては、肉(例えば、赤身肉および豚肉)、魚介類、鶏肉、農産物(例えば、果物および野菜)、卵、生存卵、調理済み食品、小麦、種子、根、塊茎、葉、茎、コーン、花、芽、調味料、またはこれらの組み合わせが挙げられる。「農産物」という用語は、典型的には未調理、かつしばしば未包装の状態で販売され、生食されることもあり得る、果物および野菜ならびに植物または植物由来物質などの食品を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「健康管理表面」という語句は、健康管理活動の一貫として用いられる、器具、デバイス、カート、ケージ、家具、構造物、建造物等の表面を指す。健康管理表面の例は、医療用器具もしくは歯科用器具の表面、医療用デバイスもしくは歯科用デバイスの表面、患者の健康状態を監視するために用いられる電子装置の表面、および医療が生じる構造物の床、壁、もしくは備品の表面を含む。医療用表面は、病院、外科手術、虚弱、出産、葬儀場、および臨床診断室内に見られる。これらの表面は、「硬質表面」(壁、床、便器など)、または布表面、例えば、編物、織布、および不織布表面(外科用衣類、カーテン、ベッドリネン、包帯など)、または患者ケア機器(人工呼吸器、診断用機器、シャント、ボディスコープ、車椅子、ベッドなど)、または外科用および診断用機器として代表されるものであり得る。医療用表面は、動物の健康管理において用いられる物品および表面を含む。
【0037】
本明細書で使用される場合、「器具」という用語は、本発明の方法に従った組成物での浄化により利益を得ることができる、様々な医療用または歯科用器具またはデバイスを指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「医療用器具」、「歯科用器具」、「医療用デバイス」、「歯科用デバイス」、「医療用機器」、もしくは「歯科用機器」という語句は、医薬もしくは歯科において使用される、器具、デバイス、ツール、電化製品、装置、および機器を指す。そのような器具、デバイス、および機器は、冷殺菌、浸漬、もしくは洗浄され得、次に熱滅菌され得るか、または別様に、本発明の組成物の浄化から利益を得ることができる。これらの様々な器具、デバイス、および機器としては、診断用器具、トレイ、パン、ホルダ、ラック、ピンセット、はさみ、せん断器、鋸(例えば、骨鋸およびそれらの刃)、止血鉗子、ナイフ、チゼル、骨鉗子、やすり、ニッパー、ドリル、ドリルビット、石目やすり、バー、スプレッダ、ブレーカ、エレベータ、クランプ、針ホルダ、キャリア、クリップ、フック、ガウジ、キュレット、リトラクタ、ストレートナ、パンチ、エクストラクタ、スクープ、角膜切開刀、スパチュラ、エクスプレッサ、トロカール、拡張器、ケージ、ガラス製品、管類、カテーテル、カニューレ、プラグ、ステント、スコープ(例えば、内視鏡、聴診器、および関節鏡)、ならびに関連する機器など、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書において使用する場合、用語「微生物(microbe)」は、微生物(microorganism)と同義である。本特許出願の目的のため、良好な微生物低減は、微生物集団が少なくとも約50%低減されるときに達成され、またはそれを著しく超えるものは、水による洗浄によって達成される。微生物数のより大きな低減は、より高いレベルの保護を提供する。抗微生物性の「殺~」または「静~」活性の区別、有効性の程度を説明する定義、およびこの有効性を測定するための公式の実験室プロトコルが、抗微生物薬および組成物の関連性を理解するための考慮点である。抗微生物組成物は、2種類の微生物細胞損傷に影響し得る。1つ目は、完全な微生物細胞の破壊または不能化をもたらす致死的な不可逆性作用である。2つ目の種類の細胞損傷は、可逆的であり、その結果、有機体がその薬剤を有さなくなると再び繁殖し得る。前者は、殺微生物性(microbiocidal)、後者は、静微生物性(microbiostatic)と呼ばれる。殺菌剤および消毒剤は、定義によると、抗微生物性または殺微生物性活性を提供する薬剤である。対照的に、防腐剤は、一般的に、阻害剤または静微生物性組成物として説明される。
【0040】
本明細書において使用する場合、用語「微生物(microorganism)」は、あらゆる非細胞生物または単細胞(群体を含む)生物を指す。微生物には、全ての原核生物が含まれる。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、菌類、原虫、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻を含む。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「殺菌剤」は、細菌性汚染物質の数を公衆衛生要件によって判定される安全なレベルにまで低減する薬剤を指す。一実施形態では、本発明における使用のための殺菌剤は、少なくとも99.999%の低減(5logオーダーの低減)を提供するであろう。これらの低減は、Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,15th Edition,1990(EPA Guideline 91-2)の段落960.09および適用可能な節に記載される手順を使用して評価され得る。この参考文献によると、殺菌剤は、いくつかの試験有機体に対して、室温、25±2℃において30秒間以内に99.999%の低減(5logオーダーの低減)を提供しなくてはならない。本発明の実施形態によると、殺菌すすぎは、使用温度において、(細菌汚染を含む)目的の生物の99.999%の低減(5logオーダーでの低減)をもたらす。抗微生物性の「殺~」または「静~」活性の区別、有効性の程度を説明する定義、およびこの有効性を測定するための公式の実験室プロトコルが、抗微生物薬および組成物の関連性を理解するための考慮点である。抗微生物組成物は、2種類の微生物細胞損傷に影響し得る。1つ目は、完全な微生物細胞の破壊または不能化をもたらす致死的な不可逆性作用である。2つ目の種類の細胞損傷は、可逆的であり、その結果、有機体がその薬剤を有さなくなると再び繁殖し得る。前者は殺微生物性(microbiocidal)、後者は静微生物性(microbistatic)と呼ばれる。殺菌剤および消毒剤は、定義によると、抗微生物性または殺微生物性活性を提供する薬剤である。対照的に、防腐剤は概して、阻害剤または静微生物性組成物として説明される。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「実質的に含まない」は、完全にその構成成分を有さない、または、その構成成分が組成物の性能に影響しない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「界面活性剤」は、親油性セグメントおよび親水性セグメントを含み、水または溶媒に添加するとき、系の表面張力を低減する化合物である。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「ウェア」は、食器道具および調理道具、食器類、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、天板、窓、鏡、運搬用車両、および床等の他の硬質表面を指す。本明細書で使用される場合、用語「ウェア洗浄」は、ウェアの洗浄、浄化、またはすすぎを指す。ウェアは、プラスチック製のアイテムも指す。本発明による組成物で浄化され得るプラスチックの種類としては、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物および組成物を使用して浄化され得る別の例示的なプラスチックには、ポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「水」という用語は、食品加工用または輸送用の水を含む。食品加工または運搬用の水は、農作物運搬用水(例えば、水路、パイプ輸送、カッター、スライサー、ブランチャー、レトルトシステム、洗浄機等において見られるもの)、食品運搬ライン用のベルトスプレー、ブーツおよびハンドウォッシュ浸漬パン、第3シンクすすぎ水等を含む。水はまた、家庭用およびレクリエーション用水、例えばプール、スパ、レクリエーション用水路およびウォータースライド、噴水等を含み得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」、およびこれらの変形は、その物質の重量を組成物の総重量で割り、100を乗じたものとしての、物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」等は、「重量パーセント」、「重量%」等と同義であることが意図されることが理解される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「水溶性」という用語は、組成物または成分が、少なくとも90%水に可溶性、少なくとも95%水に可溶性、少なくとも98%水に可溶性、少なくとも99%水に可溶性、または少なくとも99.9%水に可溶性である場合の組成物または成分を指す。
【0048】
本発明の方法および組成物は、本発明の構成成分および成分、ならびに本明細書に記載される他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなってもよい。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」とは、方法および組成物が、追加のステップ、構成成分、または成分を含んでもよいが、ただしその追加のステップ、構成成分、または成分が、特許請求される方法および組成物の基本的および新規の特徴を著しく変更しない場合に限ることを意味する。
【0049】
活性化抗微生物組成物
本発明によると、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物と少なくとも1つのアニオン性界面活性剤とを組み合わせた抗微生物組成物は、単独で使用される成分のいずれかよりも改善された抗微生物活性を提供する。いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物は、有利に相乗的な表面活性(低減された動的表面張力)を提供し、費用効果が高い。さらに、相乗的な抗微生物および/または殺菌有効性の組み合わせもまた、脂肪酸などのある特定のアニオン性界面活性剤(例えば、C6~C10カルボキシル化界面活性剤)の不快な臭いを低減するのに役立ち、本発明の組成物のさらなる一層の利点を提供することが分かっている。
【0050】
一態様において、本発明に従った抗微生物組成物は、第4級アンモニウム化合物ならびにアニオン性界面活性剤および/またはアニオン性酸を含み、それらからなり、かつ/またはそれらから本質的になる。別の態様において、本発明に従った抗微生物組成物は、C20以下の鎖長の各R基を有する第4級アンモニウム化合物、および直鎖または分岐鎖カルボキシレートに対してC10以下の鎖長を有するアニオン性界面活性剤を含み、それらからなり、かつ/またはそれらから本質的になる。一態様において、カルボキシレートは、アルコキシル化または非アルコキシル化であってもよい。別の態様において、本発明に従った抗微生物組成物は、C20以下の鎖長の各R基を有する第4級アンモニウム化合物、および直鎖状または分岐鎖カルボキシレートに対してC13以下の鎖長を有するアニオン性界面活性剤を含み、それらからなり、かつ/またはそれらから本質的になる。
【0051】
本発明に従った抗微生物組成物は、第4級アンモニウム化合物の不十分な表面活性を克服すると同時に、有効な抗微生物および/または殺菌能力を提供する。第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との組成物は、相乗的により表面活性かつ有効になり、それは、ストレス条件下で改善された性能を有利に提供する。いくつかの態様において、抗微生物組成物は、中性および/またはアルカリ性pHで有効である(水硬度懸濁試験で使用されるEPA標準に必要な約1~5のより低いpH範囲とは対照的に)。有利にも、アニオン性界面活性剤および第4級アンモニウム化合物の選択は、第4級アンモニウム化合物を活性化して(すなわち、相乗効果をもたらして)、組成物の相乗効果および改善された湿潤性の結果として、抗微生物および/または殺菌活性を含む所望の表面活性を提供する。一態様において、特定の作用機構に限定されることなく、C10以下の鎖長を有するアニオン性界面活性剤は、本発明に従った抗微生物組成物を提供するのに好適な活性化を提供する。この、第4級アンモニウム化合物と所望のアニオン性頭部基および鎖長を有するアニオン性界面活性剤の組み合わせは、第4級アンモニウム化合物複合体の表面活性および抗微生物性の有効性を予想外の様式で高める非酸化的アプローチである。さらに、提供された抗微生物組成物は、中和または部分的中和の結果として高められたマイルド性および低減された刺激性を有し、かつ基材表面上の残留物の低減をもたらす。
【0052】
いくつかの実施形態によると、本発明に従った抗微生物組成物は、モル比依存的である、第4級アンモニウム化合物の活性化および相乗効果を提供する。一態様において、組成物は、約1モル対モル比の第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、組成物は、約10までから約1までのモル比の第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、組成物は、最大で約1~約10のモル比の第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、抗微生物組成物は、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウムのモル比で提供される。別の実施形態において、抗微生物性組成物は、約1.5モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、抗微生物性組成物は、約1モルのアニオン性界面活性剤対約10モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、抗微生物性組成物は、約2モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。
【0053】
不活性化抗微生物組成物(抗微生物QACの不活性化)
さらに、不活性化組成物を提供するために、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物および少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を優先的に選択するために、本明細書に記載される抗微生物組成物の改変が行われ得ることが分かっている。本発明によると、一部のアニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物の抗微生物活性を減少させるように作用する。一態様において、硫酸化およびスルホン化アニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物の抗微生物活性を不活性化する。より強いイオン電荷を有するアニオン性界面活性剤が、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を失活させるのに役立つ一方で、より弱いイオン電荷を有するアニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を高めるか、または活性化するのに役立つと考えられる。
【0054】
一態様において、本発明に従った不活性化抗微生物組成物は、第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤を含み、それらからなり、かつ/またはそれらから本質的になる。別の態様において、本発明に従った不活性化抗微生物組成物は、C20以下の鎖長の各R基を有する第4級アンモニウム化合物、および直鎖または分岐鎖に対してC10を超えるアルキル鎖を有するスルフェートまたはスルホネートアニオン性界面活性剤を含み、それらからなり、かつ/またはそれらから本質的になる。
【0055】
本発明に従った不活性化抗微生物組成物は、望ましくは、使用の特定の用途のために、第4級アンモニウム化合物の表面活性の減少をもたらす。理論に束縛されるものではないが、本発明は、電荷中和による第4級アンモニウム塩とアニオン性界面活性剤との間の複合体またはイオン対が、両方の界面活性剤に対して親水性の断面積を効果的に低減し、界面におけるスタッキングを非常に好ましいものにすることを実証する。複合体形成は、非常に好ましいため、脂肪酸分子間の凝集力を克服することができる。本発明の一態様によると、スルフェートまたはスルホネートアニオン性界面活性剤などのある特定のアニオン性界面活性剤によるより強いイオン電荷は、抗微生物第4級アンモニウム化合物を効果的に中和(または第4級アンモニウムイオン電荷を部分的に中和)するか、または不活性化する。
【0056】
いくつかの実施形態によると、本発明に従った不活性化抗微生物組成物は、モル比依存的である、第4級アンモニウム化合物の表面活性化の減少をもたらす。一態様において、組成物は、約1モル対モル比の第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、組成物は、約10までから約1までのモル比の第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、組成物は、最大で約1~約10のモル比の第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、不活性化抗微生物組成物は、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウムのモル比で提供される。別の実施形態において、不活性化抗微生物性組成物は、約1.5モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、不活性化抗微生物性組成物は、約1モルのアニオン性界面活性剤対約10モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、不活性化抗微生物性組成物は、約2モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。
【0057】
例示的な実施形態
濃縮液体組成物中の本発明に従った活性化または不活性化抗微生物組成物の例示的な範囲は、それぞれ重量パーセントで表1に示される。
【表1】
【0058】
本発明によると、表1に記載される濃縮された抗微生物組成物および/または不活性化抗微生物組成物は、約1~約12を含む、使用の用途のための任意の好適なpHを有する。しかしながら、本発明の態様によると、希釈使用溶液は、約1~約12を含む、それらの特定の使用の用途に応じた酸性または中性からアルカリ性のpHを有し得る。
【0059】
いくつかの態様において、抗微生物組成物および/または不活性化抗微生物組成物の使用溶液の適用などは、約1~約12のpHを有し得る。他の態様において、本発明の組成物は、約1~約7のpHを有する。他の態様において、本発明の組成物は、約1~約5.5のpHを有する。さらに他の態様において、本発明の組成物は、約1~約4のpHを有する。別の実施形態において、組成物は、約2~約7、約3~約7、約4~約7、約5~約7、約6~約7のpHを有する。別の実施形態において、組成物は、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2のpHを有する。さらに他の実施形態において、組成物は、約2~約6、約3~約6、約4~約6、約5~約6のpHを有する。さらに他の実施形態において、組成物は、約1~約5、約2~約5、約3~約5、約4~約5のpHを有する。さらに他の実施形態において、組成物は、約1~約4、約2~約4、約3~約4のpHを有する。本発明の範囲を限定することなく、本明細書内に記載される数値範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0060】
第4級アンモニウム化合物
本発明に従った抗微生物組成物および不活化抗微生物組成物は、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む。ある特定の第4級アンモニウム化合物は、抗微生物活性を有することが知られている。したがって、抗微生物活性を有する様々な第4級アンモニウム化合物を本発明の組成物中で使用できる。一態様において、第4級アンモニウム化合物は、抗微生物性の「第4級アンモニウム塩(quat)」である。「第4級アンモニウム化合物」または「第4級(quat)」という用語は、一般的に、以下の式を有する任意の組成物を指し、
【化1】
式中、R1~R4は、同一であっても異なっていてもよく、置換または非置換、飽和または不飽和、分岐鎖または非分岐鎖、および環状または非環式のアルキル基であり、エーテル、エステル、またはアミド結合を有してもよく、それらは、芳香族または置換芳香族基であってもよい。一態様において、基R1、R2、R3、およびR4は、各々C20未満の鎖長を有する。X-はアニオン性対イオンである。用語「アニオン性対イオン」は、第4級アンモニウムと塩を形成することができる任意のイオンを含む。好適な対イオンの例としては、塩化物および臭化物のようなハロゲン化物、プロピオネート、メトサルフェート、サッカリネート(saccharinates)、エトサルフェート、水酸化物、酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩(例えばLonzaからCarboquat Hとして市販される)、および硝酸塩が挙げられる。好ましくは、アニオン性対イオンは塩化物である。
【0061】
本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤と関連して第4級アンモニウム化合物を提供する。いくつかの実施形態において、20未満の炭素鎖を有する第4級アンモニウムは、本発明の組成物中に含まれる。本発明で有用な第4級アンモニウム化合物の例としては、いくつか例を挙げると、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、およびジデシルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。単一の第4級アンモニウムまたは1つより多い第4級アンモニウムの組み合わせを本発明の組成物に含むことができる。本発明で有用な第4級アンモニウム化合物のさらなる例としては、ベンゼトニウムクロリド、エチルベンゼトニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド(CTAB)、カルニチン、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEAB)、ドミフェンブロミド、ベンゾドデシニウムブロミド、ベンゾオキソニウムクロリド、コリン、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、およびデナトニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態において、20未満またはC2~C20の炭素鎖を有する第4級アンモニウムは、本発明の組成物中に含まれる。いくつかの実施形態において、C6~C18、C12~C18、C12~C16、およびC6~C10の炭素鎖を有する第4級アンモニウムは、本発明の組成物中に含まれる。本発明で有用な第4級アンモニウム化合物の例としては、いくつか例を挙げると、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、およびジデシルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。単一の第4級アンモニウムまたは1つより多い第4級アンモニウムの組み合わせを本発明の組成物に含むことができる。本発明で有用な第4級アンモニウム化合物のさらなる例としては、ベンゼトニウムクロリド、エチルベンジルアルコニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド(CTAB)、カルニチン、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEAB)、ドミフェンブロミド、ベンゾドデシニウムブロミド、ベンゾオキソニウムクロリド、コリン、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、デナトニウム、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、例えば市販品のBardac 205/208Mのような、第4級アンモニウム化合物の組み合わせは、本発明の組成物において特に好ましい。
【0063】
R基の性質、アニオン、および存在する第4級窒素原子の数に依存するいくつかの実施形態において、抗微生物第4級アンモニウム化合物は、以下のカテゴリー:モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、複素芳香族アンモニウム塩、多置換第4級アンモニウム塩、ビス-第4級アンモニウム塩、およびポリマー性第4級アンモニウム塩の1つに分類され得る。各々のカテゴリーは、本明細書中で論じられるであろう。
【0064】
モノアルキルトリメチルアンモニウム塩は、長鎖アルキル基である1つのR基を含み、残余のR基は、メチルまたはエチル基のような短鎖アルキル基である。モノアルキルトリメチルアンモニウムのいくつかの非限定的な例としては、商標名Rhodaquat M242C/29およびDehyquart Aで市販されるセチルトリメチルアンモニウムブロミド;Arquad 16として市販されるアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;アルキルアリールトリメチルアンモニウムクロリド;ならびにAmmonyx DMEとして市販されるセチルジメチルエチルアンモニウムブロミドが挙げられる。
【0065】
モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、長鎖アルキル基である1つのR基、ベンジルラジカルである第2のR基を含み、2つの残余のR基は、メチルまたはエチル基のような短鎖アルキル基である。モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、非イオン性界面活性剤、洗浄剤ビルダー、香料および他の成分と一般に適合する。モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Lonza Inc.からBarquatとして市販されているアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびLonza Inc.からLonzagardとして市販されているベンゼトニウムクロリドが挙げられる。加えて、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、置換されてもよい。そのような塩の非限定的な例としては、ドデシルジメチル-3,4-ジクロロベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。最終的に、Stepan CompanyからBTC 2125Mとして市販される、およびLonza IncよりBarquat 4250として市販される、アルキルジメチルベンジルとアルキルジメチル置換ベンジル(エチルベンジル)アンモニウムクロリドの混合物が存在する。
【0066】
ジアルキルジメチルアンモニウム塩は、長鎖アルキル基である2つのR基を含み、残余のR基は、メチル基のような短鎖アルキル基である。ジアルキルジメチルアンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Lonza IncよりBardac 22として市販されるジデシルジメチルアンモニウムハライド;Lonza IncよりBardac 2250として市販されるジデシルジメチルアンモニウムクロリド;Lonza IncよりBardac LFおよびBardac LF-80として市販されるジオクチルジメチルアンモニウムクロリド;ならびにLonza IncよりBardac2050および2080として市販されるジデシルおよびジオクチルジメチルアンモニウムクロリドとの混合物として販売されるオクチルデシルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0067】
ヘテロ芳香族アンモニウム塩は、長鎖アルキル基である1つのR基を含み、残余のR基は、いくつかの芳香族系によって提供される。したがって、R基が結合する第4級窒素は、ピリジン、キノリン、またはイソキノリンのような芳香族系の部分である。ヘテロ芳香族アンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Zeeland Chemical IncよりSumquat 6060/CPCとして市販されるセチルピリジニウムハライド;The Dow Chemical CompanyよりDowicil 200として市販される1-[3-クロロアルキル]-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタン;およびアルキル-イソキノリニウムブロミドが挙げられる。
【0068】
ポリ置換第4級アンモニウム塩は、分子のアニオン部分が、大きな高分子量(MW)の有機イオンである、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、またはヘテロ芳香族アンモニウム塩である。ポリ置換第4級アンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウムサッカリネート、およびジメチルエチルベンジルアンモニウムシクロヘキシルスルファメートが挙げられる。
【0069】
ビス-第4級アンモニウム塩は、一般式:
【化2】
を有する2つの対照的な第4級アンモニウム部分を含み、式中、R基は長鎖もしくは短鎖アルキル、ベンジルラジカルであってよく、または芳香族系によって提供されてもよい。Zは、各々の第4級窒素へと結合する炭素-水素鎖である。ビス-第4級アンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、1,10-ビス(2-メチル-4-アミノキノリニウムクロリド)-デカン;1,6-ビス[1-メチル-3-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)-プロピルジメチルアンモニウムクロリド]ヘキサン、またはトリクロビソニウムクロリドが挙げられる。
【0070】
一態様において、第4級アンモニウム化合物は、8個の炭素~約20個の炭素、8個の炭素~約18個の炭素、約10~約18個の炭素、および約12~約16個の炭素などの中~長鎖のアルキルR基であり、可溶性で良好な抗微生物薬をもたらす。
【0071】
一態様において、第4級アンモニウム化合物は、2個の炭素~約12個の炭素、3個の炭素~約12個の炭素、または6個の炭素~約12個の炭素などのR基を有する短ジアルキル鎖の第4級アンモニウム化合物である。
【0072】
好ましい態様において、第4級アンモニウム化合物は、アルキルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルアンモニウムクロリドとジアルキルベンジルアンモニウムクロリドとのブレンド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリドとジオクチルジメチルアンモニウムクロリドとのブレンド、またはこれらの混合物である。好ましい実施形態において、本発明の抗微生物組成物で使用される第4級アンモニウム化合物は、ジアルキル第4級アンモニウムとアルキルベンジル第4級アンモニウムとの混合物からなる。
【0073】
いくつかの実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、シランを含まない。好ましい実施形態において、C-20未満の鎖長を有する、シランを含まない第4級アンモニウム化合物を含む、抗微生物組成物が提供される。
【0074】
好ましい実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、食品添加物としてのその配慮または分類に基づいて選択することができる。例えば、第4級アンモニウム化合物は、ベンザルコニウムクロリドを含んでもよく、したがって、食品と接触する殺菌すすぎにおける使用に好適である。
【0075】
抗微生物組成物を提供する本発明の実施形態によると、有効量の第4級アンモニウム化合物が、アニオン性界面活性剤と組み合わせて提供されて、E.coliなどのグラム陰性微生物を含む広範囲の微生物に対して相乗的な抗微生物有効性を提供する。そのような使用溶液中の第4級アンモニウム化合物の好適な濃度は、少なくとも約10ppm、少なくとも約50ppm、または少なくとも約100ppm、または少なくとも約150ppm、または少なくとも約200ppm、または少なくとも約250ppm、または少なくとも約300ppm、または約100~500ppm、または約100~300ppm、またはその中の任意の範囲を含む。いくつかの態様において、本発明に従った活性化微生物組成物は、アニオン性界面活性剤および/または酸と組み合わせた相乗効果に従って、約150ppm未満または約100ppm未満の濃度において、任意の抗微生物有効性に対する150ppmを超える第4級アンモニウム化合物のグラム陰性の従来の必要条件に対して有効性を提供する。有利にも、低い活性物質の第4級アンモニウム化合物は、アニオン性界面活性剤との有益な相乗効果の結果である。本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0076】
不活性化抗微生物組成物を提供する本発明の実施形態によると、有効量の第4級アンモニウム化合物が、アニオン性界面活性剤と組み合わせて提供されて、処理された系の抗微生物有効性に影響を与えないことが望ましくあり得るように、不活性化第4級アンモニウム組成物を提供する。そのような使用溶液中の第4級アンモニウム化合物の好適な濃度は、少なくとも約0.0001ppm、少なくとも約0.001ppm、または少なくとも約0.01ppm、またはその中の任意の範囲、または使用の特定の用途のための第4級アンモニウムに対する不活性化アニオン性の任意の好適なモル濃度を含む。本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0077】
抗微生物組成物および不活性化抗微生物組成物に対する使用溶液中の第4級アンモニウム化合物のさらなる好適な濃度は、約1ppm~約10,000ppm、1ppm~約1,000ppm、5ppm~約400ppm、10ppm~約400ppm、20ppm~約400ppm、25ppm~約400ppm、50ppm~約400ppm、75ppm~約400ppm、または100ppm~約400ppmを含む。本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0078】
本発明の実施形態によると、第4級アンモニウム化合物は、濃縮組成物において、約0.001重量%~75重量%、約0.1重量%~75重量%、約0.01重量%~75重量%、約1重量%~75重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~30重量%、約5重量%~30重量%の量で提供され得る。それに加えて、本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0079】
アニオン性界面活性剤
本発明に従った抗微生物組成物および不活化抗微生物組成物は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、本発明に従った抗微生物組成物および不活化抗微生物組成物は、少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤は、親水性物質の電荷が負であるためにアニオン性物質として、またはpHがpKaまたは中性もしくはそれ以上に上昇しない限り、分子の親水性部分が電荷を持たない界面活性剤(例えば、カルボン酸)に分類される。カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、およびホスフェートは、アニオン性界面活性剤中に見出される極性(親水性)可溶化基である。
【0080】
一態様において、アニオン性界面活性剤は直鎖または分岐鎖である。一態様において、直鎖または分岐鎖のアニオン性界面活性剤は、6~20個の炭素鎖長、または6~18個の炭素鎖長、好ましくは6~12個の炭素鎖長、より好ましくは6~10個の炭素鎖長を有する中鎖界面活性剤である。一態様において、直鎖または分岐鎖の、中鎖アニオン性界面活性剤は、アルコキシル化されている。一態様において、直鎖または分岐鎖のアニオン性界面活性剤は、6~18個の炭素鎖長、好ましくは6~13個の炭素鎖長、より好ましくは6~10個の炭素を有するアルコキシル化中鎖界面活性剤である。一態様において、アニオン性界面活性剤はカルボキシレートである。代替的な態様において、アニオン性界面活性剤は、リン酸エステルのような弱酸のアニオン性のものである。さらに一層の代替的な態様において、アニオン性界面活性剤は、スルホネートおよび/またはスルフェートである。いくつかの態様において、第4級アンモニウムと組み合わされて使用されるアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化または非アルコキシル化であり、第1級直鎖または分岐鎖カルボキシレートであってもよい。
【0081】
一態様において、第4級アンモニウム化合物の相乗効果および高められた表面活性を活性化するために、本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、カルボキシレートを含む。本組成物における使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤としては、カルボン酸(および塩)、例えば、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸、スルホン化脂肪酸、例えば、スルホン化オレイン酸などが挙げられる。好適なカルボン酸としては、例えば、デカン酸、オクタン酸、ノナン酸、エチルヘキシル酸、およびイソノナニオン酸(isononanionic acid)が挙げられる。そのようなカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物において有用な第2級カルボキシレートとしては、第2級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。第2級カルボキシレート界面活性剤は、典型的には、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは典型的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的には11~13個の全炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在してもよい。好適なカルボキシレートとしてはまた、アシルアミノ酸(および塩)、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレート、およびメチルタウリド(methyl tauride)の脂肪酸アミド)などが挙げられる。
【0082】
好適なアニオン性界面活性剤は、以下の式:R-O-(CHCHO)(CH-COXのアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートを含み、式中、Rは、C8~C22アルキル基であるか、または
【化3】
式中、R1は、C4~C16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオンか、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態では、nは、4~10の整数であり、mは、1である。いくつかの実施形態では、Rは、C8~C16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C12~C14アルキル基であり、nは、4であり、mは、1である。
【0083】
かかるアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは、市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的には酸の形態として入手可能であり、それらはアニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。
【0084】
一態様において、カルボキシレートベースのアニオン性界面活性剤は、単独で使用される成分のいずれよりも改善された抗微生物活性を提供する。好ましい活性化アニオン性界面活性剤の例としては、C6~C10の炭素鎖を有するカルボキシレートが挙げられる。アニオン性カルボキシレート界面活性剤の例としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、およびデカン酸などの有機酸が挙げられる。分岐鎖有機酸の例としては、エチルヘキシルカルボキシレートおよびトリデシルカルボキシレートが挙げられる。市販の界面活性剤の例としては、Marlowet 4539(Sasolから入手可能なC9-アルコールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)、Emulsogen CNO(Clariantから入手可能なC8-アルコール8モルポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)、およびEmulsogen DTC(Clariantから入手可能なC13-アルコール7モルポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)などが挙げられる。
【0085】
一態様において、第4級アンモニウム化合物の抗微生物相乗効果および高められた表面活性(動的表面張力の低下によって測定される)を活性化するために、本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、リン酸エステルをさらに含む。
【0086】
一態様において、第4級アンモニウム化合物の表面活性を不活性化するか、または減少させるために、本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、スルホネートおよび/またはスルフェートを含む。一態様では、本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖および分岐第1級および第2級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5~C17アシル-N--(C1~C4アルキル)および--N--(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキル多糖類のスルフェート、例えば、アルキルポリグルコシドのスルフェートなどが挙げられる。また、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェート、例えば、エチレンオキシドおよびノニルフェノール(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)のスルフェートまたは濃縮生成物も挙げられる。本組成物における使用に好適なアニオン性スルホネート界面活性剤としてはまた、アルキルスルホネート、直鎖および分岐第1級および第2級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有さない芳香族スルホネートが挙げられる。
【0087】
1つの態様において、硫酸化およびスルホン化アニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物の減少したか、または不活性化された表面活性をもたらす。硫酸化およびスルホン化アニオン性界面活性剤が、より強いイオン結合を有して、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を失活させるのに役立つ一方で、より弱いイオン結合を有するアニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を高めるか、または活性化するのに役立つ。市販のスルフェートまたはスルホン化アニオン性界面活性剤の例としては、Huntsman Chemicalから入手可能なX-AES(C12~14-(PO)16-(EO)-スルフェート)、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、LAS(直鎖アルキルベンジルスルホネート)、およびAOS(アルファオレフィンスルホネート)が挙げられる。
【0088】
本発明に従って本明細書に記載されるように、第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との組み合わせが抗微生物有効性を高めるか、または失活させるかのいずれかの能力は、その表面活性に基づき予測され得る。すなわち、組み合わせが別の組み合わせと比較して、高度に表面活性である場合(それは、第4級アンモニウム化合物が水溶性であり、したがって表面活性および抗微生物作用に利用可能であることを示す)、最も高い表面活性を有する組み合わせは、第4級アンモニウムの抗微生物有効性を高める。対照的に、組み合わせが別の組み合わせと比較してより低い表面活性を有する場合、低い表面活性を有する組み合わせは、第4級アンモニウムの抗微生物有効性を中和するか、または失活させる。
【0089】
本発明の一態様において、組成物の抗微生物有効性は、用いられるアニオン性界面活性剤に依存して、上げ下げされてもよい。本発明によると、第4級アンモニウム化合物の抗微生物活性を調整する方法が提供される。
【0090】
抗微生物組成物を提供する本発明の実施形態によると、有効量のアニオン性界面活性剤が第4級アンモニウム化合物と組み合わせて提供されて、相乗的な抗微生物有効性をもたらす。使用溶液における、アニオン性界面活性剤の好適な濃度は、約1ppm~約5,000ppm、約15ppm~約2,500ppm、約1ppm~約1,000ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約50ppm、または約1ppm~約5ppmを含む。本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0091】
不活性化抗微生物組成物を提供する本発明の他の実施形態によると、有効量のアニオン性界面活性剤が第4級アンモニウム化合物と組み合わせて提供されて、第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を不活性化するか、または減少させる。使用溶液における、アニオン性界面活性剤の好適な濃度は、約1ppm~約5,000ppm、約15ppm~約2,500ppm、約1ppm~約1,000ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約50ppm、または約1ppm~約25ppmを含む。
【0092】
本発明の実施形態によると、アニオン性界面活性剤は、濃縮組成物において、約0.0001重量%~50重量%、約0.001重量%~50重量%、約0.01重量%~50重量%、約0.1重量%~50重量%、約0.1重量%~30重量%、約1重量%~30重量%、約0.1重量%~20重量%、または約1重量%~20重量%の量で提供され得る。それに加えて、本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。当業者が本発明の開示から確認するように、第4級アンモニウム化合物と組み合わせたアニオン性界面活性剤および/または酸の濃度は、(例えば、活性化対不活性化のために選択される)アニオン性界面活性剤の種類、第4級アンモニウム化合物濃度(モル比)、および組成物の溶液中の追加の成分によって異なる。
【0093】
アニオン性ポリマーおよび/またはキレート剤
いくつかの実施形態において、本発明に従った組成物は、界面活性複合体を提供するために、第4級アンモニウム化合物と組み合わせて少なくとも1つのアニオン性ポリマーまたはキレート剤を含む。他の態様において、本発明に従った組成物は、少なくとも2つのアニオン性ポリマー、またはアニオン性ポリマーおよびアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、本発明に従った組成物は、少なくとも2つのアニオン性キレート剤、またはアニオン性ポリマーおよびアニオン性キレート剤、またはアニオン性キレート剤およびアニオン性界面活性剤を含む。アニオン性ポリマーおよびキレート剤は、疎水性物質の電荷が負であるためにアニオン性物質として、またはpHが中性またはそれ以上に上昇しない限り、分子の疎水性部分が電荷を持たない界面活性剤(例えば、カルボン酸)に分類される。カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、およびホスフェートは、アニオン性化合物中に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と会合するカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウムおよびカリウムは、水への溶解度を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水および油の両方への溶解度を提供し、カルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油への溶解度を促進する。
【0094】
リン酸エステルが第4級アンモニウム化合物の表面活性および抗微生物活性を高めることに役立ち、したがって活性化組成物における使用に好適であることが、本発明によってさらに分かった。一態様において、ホスホスクシネート付加物/オリゴマー(PSO)は、本発明に従った活性化組成物に特によく適している。
【0095】
一態様において、アニオン性ポリマーまたはキレート剤は、直鎖または分岐鎖である。一態様において、直鎖または分岐鎖のアニオン性物質は、6~18個の炭素鎖長、好ましくは6~10個の炭素鎖長、より好ましくは6~9個の炭素鎖長を有する中鎖化合物である。一態様において、直鎖または分岐鎖の、中鎖アニオン性物質は、アルコキシル化または非アルコキシル化である。一態様において、アニオン性ポリマーまたはキレート剤は、カルボキシレートである。なおさらなる代替の態様において、アニオン性ポリマーまたはキレート剤は、スルホネートおよび/またはスルフェートである。
【0096】
一態様において、本組成物における使用に好適なアニオン性ポリマーまたはキレート剤は、カルボキシレートを含む。本発明における使用に好適なアニオン性カルボキシレートとしては、カルボン酸(および塩)、例えば、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸、スルホン化脂肪酸、例えば、スルホン化オレイン酸などが挙げられる。そのようなカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、およびアルキルポリエトキシポリカルボキシレートが挙げられる。本組成物において有用な第2級カルボキシレートとしては、第2級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。第2級カルボキシレート界面活性剤は、典型的には、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは典型的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的には11~13個の全炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在してもよい。好適なカルボキシレートとしてはまた、アシルアミノ酸(および塩)、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレート、およびメチルタウリド(methyl tauride)の脂肪酸アミド)などが挙げられる。
【0097】
一態様において、本組成物における使用に好適なアニオン性ポリマーまたはキレート剤は、ポリカルボキシレートを含む。特に好適なポリカルボキシレートとしては、例えば、ポリアクリレートおよびアクリルアミドが挙げられる。さらなる好適なポリカルボキシレートとしては、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマー、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸およびイタコン酸のコポリマー、ホスフィノポリカルボキシレート、それらの酸または塩形態、それらの混合物などが挙げられる。好適な市販のマレイン酸ホモポリマーは、Aquatreat AR-801(低分子量部分中和マレイン酸ホモポリマー)である。別の態様において、これらのポリマーもしくはコポリマーの水和もしくは水溶性塩もしくは部分塩、例えば、それらのそれぞれのアルカリ金属(例えばナトリウムもしくはカリウム)、またはアンモニウム塩も使用され得る。ポリマーの重量平均分子量は、約4000~約12,000である。好適な市販のポリアクリル酸ポリマーは、Rohm&Haas LLCから入手可能なAcusol 445Nである。好ましいポリマーは、ポリアクリル酸、4000~8000の範囲内の平均分子量を有するポリアクリル酸またはポリアクリル酸ナトリウムの部分ナトリウム塩を含む。
【0098】
好適なアニオン性物質は、以下の式:R-O-(CHCHO)(CH-COXのアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートを含み、式中、Rは、C8~C22アルキル基であるか、または
【化4】
式中、R.sup.1は、C4~C16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオンか、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態では、nは、4~10の整数であり、mは、1である。いくつかの実施形態では、Rは、C8~C16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C12~C14アルキル基であり、nは、4であり、mは、1である。
【0099】
かかるアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは、市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的には酸の形態として入手可能であり、それらはアニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。
【0100】
一態様において、本組成物における使用に好適なアニオン性ポリマーまたはキレート剤は、スルホネートおよび/またはスルフェートを含む。一態様では、本組成物における使用に好適なアニオン性物質としては、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖および分岐第1級および第2級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5~C17アシル-N--(C1~C4アルキル)および--N--(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキル多糖類のスルフェート、例えば、アルキルポリグルコシドのスルフェートなどが挙げられる。また、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェート、例えば、エチレンオキシドおよびノニルフェノール(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)のスルフェートまたは濃縮生成物も挙げられる。本組成物における使用に好適なアニオン性スルホネートとしてはまた、アルキルスルホネート、直鎖および分岐第1級および第2級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有さない芳香族スルホネートが挙げられる。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、表面活性複合体を提供するために、第4級アンモニウム化合物と組み合わせて1つ以上のアニオン性キレート剤を含む。好適なキレート剤は、例えば、キレート剤または金属イオン封鎖剤を含む。好適な金属イオン封鎖剤には、溶液中の金属イオン、特に遷移金属イオンを封鎖する有機キレート化合物が含まれるが、これらに限定されない。そのような金属イオン封鎖剤には、(酸もしくは可溶性塩のいずれかの形態の)有機アミノ-もしくはヒドロキシ-ポリホスホン酸錯化剤、カルボン酸(例えば、ポリマーポリカルボキシレート)、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、もしくは複素環式カルボン酸、例えば、ピリジン-2,6-ジカルボン酸(ジピコリン酸)が含まれる。
【0102】
キレート剤は、ホスホン酸またはホスホネート塩などの金属イオン封鎖剤を含むことができる。好適なホスホン酸およびホスホネート塩には、HEDP;エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTMP);ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸(DTPMP);シクロヘキサン-1,2-テトラメチレンホスホン酸;アミノ[トリ(メチレンホスホン酸)];(エチレンジアミン[テトラメチレン-ホスホン酸)];2-ホスフェンブタン-1,2,4-トリカルボン酸;またはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、もしくはモノ、ジ、もしくはテトラ-エタノールアミン塩等のアルキロイルアミン塩;ピコリン酸、ジピコリン酸、またはそれらの混合物等の、それらの塩が含まれる。いくつかの実施形態において、有機ホスホネート、例えば、HEDPが、本発明の組成物に含まれる。市販の食物添加用キレート剤としては、例えば、DEQUEST(登録商標)2010としてMonsanto Industrial Chemicals Co.,St.Louis,MOから入手可能な1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、DEQUEST(登録商標)2000としてMonsantoから入手可能なアミノ(トリ(メチレンホスホン酸))、(N[CHPO)、DEQUEST(登録商標)2041としてMonsantoから入手可能なエチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)]を含む、DEQUEST(登録商標)の商品名で販売されているホスホネート、ならびにBayhibit AMとしてMobay Chemical Corporation,Inorganic Chemicals Division,Pittsburgh,PAから入手可能な2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸が挙げられる。
【0103】
キレート剤は、アミノカルボン酸型、またはアミノカルボキシレート、または誘導体をさらに含むことができる。好適なアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤には、酸またはそのアルカリ金属塩、例えばアミノ酢酸およびその塩が含まれる。好適なアミノカルボキシレートとしては、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸;ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA);N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);およびアラニン-N,N-二酢酸など;ならびにこれらの混合物が挙げられる。様々な生分解性アミノカルボキシレートまたはその誘導体は、例えば、BASFからTrilon M(登録商標)として入手可能なメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含むキレート剤としての使用に好適である。
【0104】
有効量のアニオン性ポリマーまたはキレート剤が第4級アンモニウム化合物と組み合わせて提供されて、相乗的な抗微生物および/または殺菌有効性をもたらす。配合物組成物中のアニオン性ポリマーまたはキレート剤の好適な濃度としては、約0.01~約50重量%または約0.1~約50重量%が挙げられる。本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。本発明のある特定の実施形態において、アニオン性ポリマーまたはキレート剤は、酸性化合物であってもよく、したがって、例えばGLDAおよびHEDPなどの酸味料および本発明のポリマーまたはキレート剤としての使用に好適である。
【0105】
使用溶液中のアニオン性ポリマーまたはキレート剤の好適な濃度としては、約1ppm~約500ppm、5ppm~約250ppm、10ppm~約100ppm、20ppm~約100ppm、25ppm~約100ppm、10ppm~約50ppm、20ppm~約50ppm、25ppm~約50ppm、または約50ppm~約100ppmが挙げられる。本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0106】
本発明の実施形態によると、アニオン性ポリマーまたはキレート剤は、濃縮組成物において、約0.0001重量%~50重量%、約0.001重量%~50重量%、約0.01重量%~50重量%、約0.1重量%~50重量%、約0.1重量%~30重量%、約1重量%~30重量%、約0.1重量%~20重量%、または約1重量%~20重量%の量で提供され得る。それに加えて、本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0107】
追加の任意の成分
組成物の構成成分は、様々な機能性構成成分とさらに組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤を含む組成物は、組成物の総重量の大部分、または実質的にその全てを構成する。例えば、いくつかの実施形態では、その中に追加の機能性成分はほとんど、または全く投入されない。他の実施形態では、追加の機能性成分が、本組成物中に含まれてもよい。機能性成分は、組成物に所望の特性および機能性を提供する。本出願の目的において、用語「機能性成分」は、水性使用溶液中に分散または溶解された場合、特定の使用において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に述べられるが、述べられている特定の材料は、単に例として与えられており、その多様な他の機能性成分が使用されてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、アルカリ性および/または酸性源を含むpH調整成分、美感増強剤(すなわち、着色料、香料、または香水)、他の浄化剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液などを含む、追加の機能性成分を含み得る。さらに、組成物は、例えばアルカリ性洗浄剤のような1つ以上の従来のキレート剤と共に使用することができる。
【0109】
本発明の実施形態によると、様々な追加の機能性成分は、組成物において、約0重量%~90重量%、約0重量%~75重量%、約0重量%~50重量%、約0.01重量%~50重量%、約0.1重量%~50重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~25重量%、または約1重量%~20重量%の量で提供され得る。それに加えて、本発明に従って限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。ある特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ある特定の追加の機能性成分を含まない。一態様において、組成物は、ハロゲン化物を含まない。一態様において、組成物は、酸化剤を含まない。
【0110】
アルカリ性および/または酸性源
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、アルカリ性源および/または酸味料を含む。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、酸味料を含む。酸味料は、所望の産生から中性のpHを有する濃縮組成物または使用溶液を形成するのに有効であり得る。酸味料は、約7、約6以下、約5以下、約4、約4以下、約3、約3以下、約2、約2以下などのpHを有する使用組成物を形成するのに有効であり得る。いくつかの実施形態において、組成物において使用されるアニオン性界面活性剤に応じて、酸味料を組成物に含ませる。一実施形態において、酸味料は、直鎖短鎖カルボキシレート(例えば、pH3~5)、および/またはより広範囲のpHを有する分岐鎖/アルコキシル化カルボキシレートと組み合わせて用いられる。
【0111】
一実施形態において、酸味料は無機酸を含む。好適な無機酸としては、硫酸、重硫酸ナトリウム、リン酸、硝酸、塩酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、酸味料は有機酸を含む。好適な有機酸は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、モノ、ジまたはトリカルボン酸(コハク酸、クエン酸)、ピコリン酸、ジピコリン酸、およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、リン系酸を含まないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態において、選択される酸味料は、安定化剤としても作用し得る。したがって、本発明の組成物は、追加の安定化剤を実質的に含まない場合がある。
【0112】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約0~約80重量%の酸味料、約0.5重量%~約80重量%の酸味料、約0.1~約50重量%、約1~約50重量%、または約5~約30重量%の酸味料を含む。これらの値および範囲の間の全ての値および範囲は、本発明の組成によって包含されることが理解される。
【0113】
安定化剤
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の安定化剤を含む。いくつかの実施形態では、酸性安定化剤が使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、追加の酸味料を実質的に含まない場合がある。好適な安定化剤は、例えばキレート剤または金属イオン封鎖剤を含む。好適な金属イオン封鎖剤には、溶液中の金属イオン、特に遷移金属イオンを封鎖する有機キレート化合物が含まれるが、これらに限定されない。そのような金属イオン封鎖剤には、(酸もしくは可溶性塩のいずれかの形態の)有機アミノ-もしくはヒドロキシ-ポリホスホン酸錯化剤、カルボン酸(例えば、ポリマーポリカルボキシレート)、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、もしくは複素環式カルボン酸、例えば、ピリジン-2,6-ジカルボン酸(ジピコリン酸)が含まれる。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、安定化剤としてジピコリン酸を含む。ジピコリン酸を含む組成物を、リンを含まないか、または実質的に含まないように配合することができる。本発明の組成物中にジピコリン酸を含むことが、他の従来の安定化剤、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(CHC(POOH)(HEDP)と比較して、組成物の相安定性の達成を補助することも認められている。
【0115】
他の実施形態では、金属イオン封鎖剤は、ホスホン酸もしくはホスホネート塩であり得るか、またはそれを含み得る。好適なホスホン酸およびホスホネート塩には、HEDP;エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTMP);ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸(DTPMP);シクロヘキサン-1,2-テトラメチレンホスホン酸;アミノ[トリ(メチレンホスホン酸)];(エチレンジアミン[テトラメチレン-ホスホン酸)];2-ホスフェンブタン-1,2,4-トリカルボン酸;またはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、もしくはモノ、ジ、もしくはテトラ-エタノールアミン塩等のアルキロイルアミン塩;ピコリン酸、ジピコリン酸、またはそれらの混合物等の、それらの塩が含まれる。いくつかの実施形態において、有機ホスホネート、例えば、HEDPが、本発明の組成物に含まれる。市販されている食物添加用キレート剤としては、例えば、DEQUEST(登録商標)2010としてMonsanto Industrial Chemicals Co.,St.Louis,MO.から入手可能な1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸;DEQUEST(登録商標)2000としてMonsantoから入手可能なアミノ(トリ(メチレンホスホン酸))、(N[CHPO);DEQUEST(登録商標)2041としてMonsantoから入手可能なエチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)]を含む、DEQUEST(登録商標)の商品名で販売されているホスホネートと、Bayhibit AMとしてMobay Chemical Corporation,Inorganic Chemicals Division,Pittsburgh,PA.から入手可能な2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸と、が挙げられる。
【0116】
金属イオン封鎖剤は、アミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤であり得るか、またはそれを含み得る。好適なアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤には、酸またはそのアルカリ金属塩、例えばアミノ酢酸およびその塩が含まれる。好適なアミノカルボキシレートとしては、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸;ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA);N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);およびアラニン-N,N-二酢酸など;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0117】
金属イオン封鎖剤は、ポリカルボキシレートであり得るか、またはそれを含み得る。好適なポリカルボキシレートとしては、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマー、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸およびイタコン酸のコポリマー、ホスフィノポリカルボキシレート、それらの酸または塩形態、それらの混合物などが挙げられる。
【0118】
特定の実施形態において、本組成物は、約0~約10重量%の安定化剤、約0.01~約10重量%の安定化剤、約0.4~約4重量%の安定化剤、約0.6~約3重量%の安定化剤、約1~約2重量%の安定化剤を含む。これらの値および範囲内の全ての値および範囲は、本発明の方法によって包含されることが理解される。
【0119】
湿潤剤または脱泡剤
湿潤剤および脱泡剤もまた、本発明の組成物中で有用である。湿潤剤は、本発明の抗菌組成物の表面接触または浸透活性を高めるように機能する。本発明の組成物中で使用できる湿潤剤は、本発明の組成物の表面活性を高めるために、当技術分野において既知の組成のいずれかを含む。本発明の態様において、配合物中にさらなる脱泡剤を使用することなく、様々な第4級アンモニウム化合物が、すすぎ助剤および殺菌すすぎ助剤用途に好適である。市販の第4級アンモニウム化合物を使用する他の実施形態において、例えば、Bardac 2250、Bardac MB50、およびBardac 205Mを使用する組成物のように、組成物中の、または組成物と組み合わせた脱泡剤が好ましい。
【0120】
一般的に、本発明によって使用できる脱泡剤は、好ましくはアルコールアルコキシレートおよびEO/POブロックコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本発明の方法の用途に与えられる食品グレード品質である消泡剤または脱泡剤を含むことができる。この目的のため、より効果的な消泡剤の1つに、シリコーンが含まれる。ジメチルシリコーン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキルシランまたはテトラアルキルシラン、疎水性シリカ脱泡剤、およびこれらの混合物等のシリコーンは全て、脱泡用途に使用することができる。一般に入手可能な市販の脱泡剤としては、有機エマルション中で結合したシリコーンである、Armour Industrial Chemical Company製のArdefoam(登録商標);シリコーンおよび非シリコーンタイプの脱泡剤およびシリコーンエステルである、Krusable Chemical Companyから入手可能であるFoam Kill(登録商標)またはKresseo(登録商標);ならびに中でも両方が食品グレードタイプシリコーンである、Dow Corning Corporation製のAnti-Foam A(登録商標)およびDC-200等のシリコーンが挙げられる。これらの脱泡剤は、約0.01重量%~20重量%、0.01重量%~20重量%、約0.01重量%~5重量%、または約0.01重量%~約1重量%の範囲の濃度で存在できる。
【0121】
増粘剤またはゲル化剤
本発明の組成物は、様々な公知の増粘剤の任意のものを含み得る。好適な増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、または植物粘液由来の他のガムのような天然ガム;アルギン酸塩、デンプン、およびセルロース系ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)のような多糖系増粘剤;ポリアクリレート増粘剤;ならびにペクチンのような親水コロイド増粘剤を含む。一実施形態において、増粘剤は、対象物の表面に汚染残留物を残さない。例えば、増粘剤またはゲル化剤は、接触領域内の食品または他の敏感な製品と適合することができる。一般的に、本組成物または方法において使用される増粘剤の濃度は、最終組成物内における所望の粘度によって決定されるであろう。しかしながら、一般的なガイドラインとして、本組成物内の粘度増強剤または増粘は、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%の範囲である。
【0122】
追加の界面活性剤
本発明に従った抗微生物組成物および不活化抗微生物組成物は、追加の界面活性剤を含んでもよい。特定の態様において、非イオン性界面活性剤は、追加の脱泡を必要とする使用の用途に特に有用である。いくつかの態様において、非イオン性界面活性剤が、本発明の組成物と組み合わせて望まれ得る(それらと組み合わせて用いられる洗浄剤配合物に含まれるように)。例えば、特定の実施形態において、食品汚染脱泡用途のように、非イオン界面活性剤が望ましく、好ましくはアルコールアルコキシレートおよびEO/POブロックコポリマーを含む。
【0123】
有用な非イオン界面活性剤は、一般的に、有機疎水性基および有機親水性基の存在を特徴とし、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物と、一般的には、エチレンオキシドまたはその多水和生成物(polyhydration product)、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキシド部分との縮合によって生成される。実際には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物が、エチレンオキシド、またはその多水和付加物、またはプロピレンオキシド等のアルコキシレンとのその混合物と縮合して、非イオン性表面活性剤を形成し得る。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間の所望の程度のバランスを有する水分散性または水溶性化合物を生成するように、容易に調節され得る。有用な非イオン性界面活性剤は、以下を含む。
開始剤反応性水素化合物としての、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミン系のブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物を含む。開始剤の連続的なプロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF Corp.製のPluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)の商品名で市販されている。Pluronic(登録商標)は、エチレンオキシドを、プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加によって形成される疎水性塩基と縮合させることによって形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、約1,000~約4,000の分子量を有する。次に、この疎水性物質を親水基の間に挟み込むようにエチレンオキシドが追加され、最終的な分子の約10重量%~約80重量%を構成するように長さが制御される。Tetronic(登録商標)化合物は、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの連続付加から得られた四官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプ(hydrotype)の分子量は、約500から約7,000の範囲であり;親水性のエチレンオキシドは、分子の約10重量%から約80重量%を構成するように付加される。
【0124】
直鎖もしくは分岐鎖構成の、または単一もしくは二重アルキル構成物質のアルキル鎖が約8~約18個の炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールの、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルキル基は、例えば、ジイソブチレン、ジ-アミル、重合プロピレン、イソ-オクチル、ノニル、およびジ-ノニルにより代表され得る。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンオキシド縮合物であり得る。この化学構造の商業的化合物の例は、Rhodiaand製のIgepal(登録商標)、Dow Chemical Company製のTriton(登録商標)の商品名で市販されている。
【0125】
約6~約24個の炭素原子を有する、1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖アルコールの、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルコール部分は、上述された炭素範囲内のアルコールの混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールからなり得る。同様の市販の界面活性剤の例は、Shell Chemical Co.製のNeodol(登録商標)、およびSasol North America Inc.製のAlfonic(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0126】
約8~約18個の炭素原子を有する、1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖カルボン酸の、約6~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸部分は、上記に定義された炭素原子範囲内の酸の混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有する酸からなり得る。
【0127】
一般にポリエチレングリコールエステルと呼ばれるエトキシル化カルボン酸に加えて、グリセリド、グリセリン、および多価(サッカリドまたはソルビタン/ソルビトール)アルコールとの反応により形成される他のアルカン酸エステルが、本発明において特別な実施形態への用途、特に間接的食品添加剤用途を有する。これらのエステル部分は全て、それらの分子上に、これらの物質の親水性を制御するためにさらなるアシル化またはエチレンオキシド(アルコキシド)追加に供され得る1つ以上の反応性水素部位を有する。これらの脂肪エステルまたはアシル化炭水化物を、アミラーゼおよび/またはリパーゼ酵素を含有する本発明の組成物に添加する場合、不適合性の可能性があるため、注意しなければならない。
【0128】
非イオン性低発泡性界面活性剤の例は:
エチレンオキシドをエチレングリコールに追加して、指定される分子量の親水性物質を提供し、次にプロピレンオキシドを追加して、分子の外側(端部)上に疎水性ブロックを得ることによって、改質され、本質的に逆にされた(1)からの化合物を含む。分子の疎水性部分は、約1,000から約3,100の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%から約80重量%を含む。これらの逆Pluronic(登録商標)は、BASF Corporationによって、Pluronic(登録商標)R界面活性剤の商品名で作製されている。同様に、Tetronic(登録商標)R界面活性剤は、BASF Corporationにより、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加によって製造されている。分子の疎水性部分は、約2,100から約6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%から約80重量%を含む。
【0129】
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、塩化ベンジル等の疎水性小分子;および1から約5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコールまたはアルキルハロゲン化物;ならびにそれらの混合物との反応により発泡を低減するために、(多官能性部分の)末端ヒドロキシ基(複数可)を「キャッピング」または「端部ブロッキング」することにより改質された、グループ(1)、(2)、(3)および(4)からの化合物。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニル等の反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基へのそのような修飾は、オールブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、またはオールヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0130】
有効な低発泡性非イオン性物質の追加の例は、以下を含む。
1959年9月8日にBrownらに対して発行された米国特許第2,903,486号のアルキルフェノキシポリエトキシアルカノールであって、
【化5】
Rが、8~9個の炭素原子のアルキル基であり、Aが、3~4個の炭素原子のアルキレン鎖であり、nが、7~16の整数であり、mが、1~10の整数である、式によって表される。
【0131】
末端疎水性鎖の分子量、中間疎水性単位の分子量、および連結親水性単位の分子量が、各々縮合物の約3分の1を表す、交互親水性オキシエチレン鎖および疎水性オキシプロピレン鎖を有する、1962年8月7日にMartinらに対して発行された米国特許第3,048,548号のポリアルキレングリコール縮合物。
【0132】
一般式Z[(OR)OH]を有する、1968年5月7日にLissantらに対して発行された米国特許第3,382,178号において開示されている消泡性非イオン性界面活性剤であって、Zは、アルコキシル化可能な材料であり、Rは、エチレンおよびプロピレンであり得るアルキレンオキシドから得られるラジカルであり、nは、例えば、10から2,000以上の整数であり、zは、反応性オキシアルキル化可能な基の数によって決定される整数である。
【0133】
式Y(CO)(CO)H(式中、Yは、約1から6個の炭素原子および1個の反応性水素原子を有する有機化合物の残基であり、nは、ヒドロキシル価により決定されるような少なくとも約6.4の平均値を有し、mは、オキシエチレン部分が分子の約10重量%から約90重量%を構成するような値を有する)に対応する、1954年5月4日にJacksonらに対して発行された米国特許第2,677,700号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物。
【0134】
式Y[(C(CO)H](式中、Yは、約2から6個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子(xは、少なくとも約2の値を有する)を含有する有機化合物の残基であり、nは、ポリオキシプロピレン疎水性塩基の分子量が少なくとも約900であるような値を有し、mは、分子のオキシエチレン含量が約10重量%から約90重量%であるような値を有する)を有する、1954年4月6日にLundsted et al.に対して発行された米国特許第2,674,619号に記載される共役ポリオキシアルキレン化合物。Yについての定義の範囲内に該当する化合物は、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン等を含む。オキシプロピレン鎖は、任意選択的であるが、有益なことに、少量のエチレンオキシドを含有し、オキシエチレン鎖もまた、任意選択的であるが、有益なことに、少量のプロピレンオキシドを含有する。
【0135】
本発明の組成物において有利に使用される追加の共役ポリオキシアルキレン表面活性剤は、式:P[(CO)(CO)H]に対応し、式中、Pは、約8から18個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子を含む有機化合物の残基であり、xは、1または2の値を有し、nは、ポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも約44であるような値を有し、mは、分子のオキシプロピレン含量が約10重量%から約90重量%であるような値を有する。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意選択的ではあるが、有益なことに、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択的ではあるが、有益なことに、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0136】
本組成物における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、構造式RCONR1Zを有するものを含み、式中、R1がH、C~Cヒドロカルビル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、エトキシ、プロポキシ基、またはそれらの混合であり;Rが直鎖であってもよいC~C31ヒドロカルビルであり;Zが鎖に直接接続された少なくとも3つのヒドロキシルを有するヒドロカルビル直鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル、またはそのアルコキシル化誘導体(好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化)である。Zは、グリシチル部分等、還元アミン化反応において還元糖から得られ得る。
【0137】
脂肪族アルコールの約0から約25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物は、本組成物における使用に好適である。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖もしくは分岐鎖、第一級もしくは第二級であり得、また一般に6~22個の炭素原子を含有する。
【0138】
エトキシル化C-C18脂肪アルコールならびにC-C18混合エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコールは、特に水溶性のものは、本組成物における使用に好適な界面活性剤である。好適なエトキシル化脂肪アルコールは、3から50のエトキシル化度を有するC~C18エトキシル化脂肪アルコールを含む。
【0139】
特に本組成物における使用に好適な非イオン性アルキルポリサッカリド界面活性剤は、1986年1月21日に発行された米国特許第4,565,647号、Llenadoに開示されているものを含む。これらの界面活性剤は、約6~約30個の炭素原子を含有する疎水基、および約1.3~約10のサッカリド単位を含有するポリサッカリド、例えばポリグリコシド親水基を含む。5または6個の炭素原子を含有する任意の還元サッカリドが使用され得、例えば、グルコース、ガラクトース、およびガラクトシル部分が、グルコシル部分と置換され得る。(任意選択的に、疎水基が、2-、3-、4-等の位置に結合し、よってグルコシドもしくはガラクトシドとは対照的に、グルコースもしくはガラクトースを生成する。)サッカリド間の結合は、例えば、追加のサッカリド単位の1つの位置と、その前のサッカリド単位上の2-、3-、4-、および/または6-の位置との間であり得る。
【0140】
本組成物における使用に好適な脂肪酸アミド界面活性剤は、式RCON(Rを有するものを含み、式中、Rは、7~21個の炭素原子を含有するアルキル基であり、各Rは独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、または--(CO)Hであり、xは、1~3の範囲内である。
【0141】
非イオン性界面活性剤の有用なクラスは、アルコキシル化アミン、または、最も具体的には、アルコールアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤として定義されるクラスを含む。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、一般式:R20--(PO)N--(EO)H、R20--(PO)N--(EO)H(EO)H、およびR20--N(EO)Hによって表され得、式中、R20は、アルキル、アルケニル、もしくは他の脂肪族基、または8~20個、好ましくは12~14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、EOは、オキシエチレンであり、POは、オキシプロピレンであり、sは、1~20、好ましくは2~5であり、tは、1~10、好ましくは2~5であり、uは、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物の範囲における他の変形例は、代替の式:R20--(PO)--N[(EO)H][(EO)H]によって表され得、式中、R20は、上で定義された通りであり、vは、1から20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzは独立して、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより表される。このクラスの好ましい化学薬品は、Surfonic(登録商標)PEA25アミンアルコキシレートを含む。本発明の組成物に好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、EO/POブロックコポリマー、アルキルフェノールアルコキシレート等を含む。
【0142】
論文「Nonionic Surfactants」、Schick,M.J.編、Surfactant Science Seriesの第1巻、Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク、1983年は、本発明の実践において一般的に用いられる広範囲の様々な非イオン性化合物に関する優れた参考文献である。非イオン性のクラス、およびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに対して発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、「Surface Active Agents and detergents」(第I巻および第II巻、Schwartz、PerryおよびBerch著)に記載されている。
【0143】
半極性非イオン性界面活性剤
半極性型の非イオン性表面活性剤は、本発明の組成物において有用な別のクラスの非イオン性界面活性剤である。一般に、半極性非イオン性物質は、高発泡物質および泡安定剤であり、これはCIPシステムにおけるそれらの適用を制限し得る。しかしながら、高発泡浄化方法用に設計された本発明の組成上の実施形態では、半極性非イオン性物質は、即時的な実用性を有する。半極性非イオン性界面活性剤は、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびそれらのアルコキシル化誘導体を含む。
【0144】
アミンオキシドは、一般式、
【化6】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表現であり;R、R、およびRは、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであってもよい。一般に、洗浄剤関連のアミンオキシドの場合、Rは、約8~24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、RおよびRは、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキルまたはこれらの混合であり、RおよびRは、例えば、酸素または窒素原子を介して互いに結合して、環構造を形成することができ、Rは、アルカリ、または2~3個の炭素原子を含有するヒドロキシアルキレン基であり、nは、0~約20の範囲である。
【0145】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、ヤシまたはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体例は、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、エトラデシル(etradecyl)ジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアイン(dimethylaine)オキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシドおよび3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0146】
有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性ホスフィンオキシドを含む。
【化7】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表現であり;Rは、10から約24個の炭素原子の鎖長範囲のアルキル、アルケニルまたはヒドロキシアルキル部分であり;RおよびRは、それぞれ、1から3個の炭素原子を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基から別個の選択されるアルキル部分である。
【0147】
有用なホスフィンオキシドの例としては、ジメチルデシルホスフィンオキシド、ジメチルテトラデシルホスフィンオキシド、メチルエチルテトラデシルホスフィンオキシド、ジメチルヘキサデシルホスフィンオキシド、ジエチル-2-ヒドロキシオクチルデシルホスフィンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルホスフィンオキシド、およびビス(ヒドロキシメチル)テトラデシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0148】
本明細書において有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性スルホキシド化合物を含む。
【化8】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表現であり;Rは、約8から約28個の炭素原子のアルキルまたはヒドロキシアルキル部分、0から約5個のエーテル連結部、および0から約2個のヒドロキシル置換基であり;Rは、1から3個の炭素原子を有するアルキルおよびヒドロキシアルキル基からなるアルキル部分である。
【0149】
これらのスルホキシドの有用な例としては、ドデシルメチルスルホキシド;3-ヒドロキシトリデシルメチルスルホキシド;3-メトキシトリデシルメチルスルホキシド;および3-ヒドロキシ-4-ドデコキシブチルメチルスルホキシドが挙げられる。
【0150】
本発明の組成物のための半極性非イオン性界面活性剤は、ジメチルアミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、それらの組み合わせ等を含む。有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ヤシまたはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソ-ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアイン(dimethylaine)オキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシドおよび3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0151】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POコポリマー、末端処理EO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、末端処理アルコールアルコキシレート、それらの混合物などが挙げられる。溶媒としての使用のための好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POブロックコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)および逆Pluronic(登録商標)界面活性剤など、アルコールアルコキシレート、例えば、Dehypon(登録商標)LS-54(R-(EO)(PO))およびDehypon(登録商標)LS-36(R-(EO)(PO))など、ならびに末端処理アルコールアルコキシレート、例えば、Plurafac(登録商標)LF221およびTegoten(登録商標)EC11など、それらの混合物などが挙げられる。
【0152】
金属イオン封鎖剤
組成物は、有機もしくは無機の金属イオン封鎖剤または金属イオン封鎖剤の混合物を含み得る。クエン酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸(NTA)のアルカリ金属塩、ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、EDTA、アルカリ金属グルコン酸塩、ポリアクリル酸のような高分子電解質などのような有機金属イオン封鎖剤を、本明細書において使用し得る。金属封鎖剤と配合物ベースとの相溶性のために、最も好ましい金属イオン封鎖剤は、グルコン酸ナトリウムのような有機金属イオン封鎖剤である。
【0153】
本発明はまた、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを含む複合体リン酸塩金属イオン封鎖剤、およびそれらの混合物のような物質を含む金属封鎖剤を混合することができる。ナトリウム縮合リン酸塩硬度金属イオン封鎖剤成分であるリン酸塩は水軟化剤、浄化剤および洗浄剤ビルダーとして作用する。アルカリ金属(M)直鎖および環状縮合リン酸塩は、約1:1~2:1およびそれ以上のMO:Pのモル比を有する。この類の典型的なポリリン酸塩は、好ましいトリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、およびこれらのリン酸塩の対応するカリウム塩、ならびにこれらの混合物である。リン酸塩の粒経は重要ではなく、任意の微粉化または顆粒状の市販の製品を使用できる。
【0154】
凝固剤または硬化剤
本発明の組成物を固体として調製することが望ましい場合、凝固剤を組成物に含み得る。いくつかの実施形態において、凝固剤は、組成物を固体すすぎ助剤組成物として形成および/または維持することができる。他の実施形態において、凝固剤は有効成分の最終的な放出を許容できないほど損なうことなく、組成物を凝固させることができる。凝固剤は、例えば、中性の不活性特性を有するか、または本組成物に機能的に、安定化の点でまたは洗浄的に寄与する有機または無機の固体化合物を含むことができる。好適な有機凝固剤は、固体ポリエチレングリコール(PEG)、固体ポリプロピレングリコール、固体EO/POブロックコポリマー、アミド、尿素(カルバミドとしても知られる)、非イオン性界面活性剤(カプラーとして用いることができる)、アニオン性界面活性剤、水溶性にされたデンプン(例えば、酸またはアルカリ処理プロセスによって)、水溶性にされたセルロース、無機剤、ポリ(無水マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリメタクリル酸、高い融点を有する他の概して官能性または不活性物質、それらの混合物などを含む。
【0155】
好適なグリコール凝固剤は、固体ポリエチレングリコールまたは固体ポリプロピレングリコールを含み、例えば、約1,400~約30,000の分子量を有し得る。特定の実施形態において、凝固剤は、例えばPEG 1500からPEG 20,000までの固体PEGを含むか、またはそれである。特定の実施形態において、PEGは、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000、PEG 20,000などを含む。好適な固体ポリエチレングリコールは、CARBOWAXの商品名でUnion Carbideから市販されている。
【0156】
好適なアミド凝固剤は、ステアリン酸モノエタノールアミド(stearic monoethanolamide)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド(stearic monoethanol amide)、ココジエチレンアミド、アルキルアミド、それらの混合物などを含む。一実施形態において、本組成物はグリコール(例えばPEG)およびアミドを含み得る。
【0157】
好適な無機凝固剤としては、リン酸塩(例えば、アルカリ金属リン酸塩)、硫酸塩(例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、または重硫酸ナトリウム)、酢酸塩(例えば、無水酢酸ナトリウム)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えば、沈殿または煙霧形態)(例えば、Degussaから入手可能なSipernat 50(登録商標))、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸塩水和物)、他の既知の水和可能な(hydratable)化合物、それらの混合物などが挙げられる。一実施形態において、無機凝固剤は、E型組成物のような有機ホスホネート化合物および炭酸塩を含み得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、必要な程度の凝固および水溶解性をもたらし、本組成物に含まれ得る、任意の剤または剤の組み合わせを含み得る。他の実施形態において、本組成物中の凝固剤の濃度を増加させることは、組成物の硬度を増加させる傾向にあり得る。さらに他の実施形態において、凝固剤の濃度を低下させることは、濃縮組成物を緩めるかまたは軟化させる傾向にあり得る。
【0159】
いくつかの実施形態において、凝固剤は、例えば水性環境に置かれるとき、本組成物に固体の特徴を付与する、および/またはその可溶性を制御する任意の有機または無機の化合物を含み得る。例えば、凝固剤は、それが組成物における他の成分と比較してより大きな水溶性を有する場合、制御された分散をもたらし得る。尿素はそのような凝固剤の1つであり得る。さらなる例として、より低い水溶性またはより遅い溶解速度から恩恵を受けることができる系に対しては、有機非イオン性またはアミド硬化剤が適切であり得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本組成物の簡便な加工または製造を提供する凝固剤を含み得る。例えば、凝固剤は、混合が停止した後約30~約50℃の周囲温度において固体形態へと硬化することができる組成物を形成するよう選択され得、混合物は、約1分~約3時間以内、または約2分~約2時間以内、または約5分~約1時間以内に混合系から分注される。
【0161】
例示的な態様において、固体すすぎ助剤は、例えば、使用中の水性媒体中の組成物の溶解性を変動させ、すすぎ助剤および/または他の活性成分が長期間にわたって固体組成物から分配することができるようにする尿素のような凝固剤または硬化剤の有効な量を含み得る。組成物は、最大約50重量%の範囲の量の硬化剤を含み得る。他の実施形態において、硬化剤は、約20重量%~約40重量%の量で、または約5~約15重量%の範囲で存在し得る。
【0162】
本発明の組成物は、任意の有効な量で凝固剤を含み得る。本組成物中に含まれる凝固剤の量は、組成物の種類、組成物の成分、組成物の使用目的、使用中に経時的に固体組成物に適用される分注溶液の量、分注溶液の温度、分注溶液の硬度、固体組成物の物理的サイズ、他の成分の濃度、組成物中の洗浄剤の濃度等の要因によって異なり得る。好適な量は、約1~約99重量%、約1.5~約85重量%、約2~約80重量%、約10~約45重量%、約15%~約40重量%、約20%~約30重量%、約30%~約70%、約40%~約60%、約50重量%まで、約40%~約50%を含み得る。
【0163】
追加の例示的な実施形態
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、および約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0164】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0165】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤からなる群から選択される少なくとも2つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0166】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤からなる群から選択される少なくとも3つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0167】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤からなる群から選択される少なくとも4つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0168】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤からなる群から選択される少なくとも5つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0169】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤からなる群から選択される少なくとも6つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0170】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、約0.1重量%~約50重量%の量の酸味料、約0.01重量%~約10重量%の量の安定化剤、約0.01重量%~約20重量%の量の脱泡剤、約0.1重量%~約5重量%の量の粘度増強剤または増粘剤、約0.01重量%~約50重量%の量の追加の界面活性剤、約0.01重量%~約50重量%の量の金属イオン封鎖剤、および約0.01重量%~約50重量%の量の凝固剤を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0171】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.01重量%~約50重量%の量の、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、アルカリ性および/または酸性源を含むpH調整成分、美感増強剤(すなわち、着色料、香料、または香水)、他の浄化剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液などからなる群から選択される少なくとも1つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0172】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.01重量%~約50重量%の量の、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、アルカリ性および/または酸性源を含むpH調整成分、美感増強剤(すなわち、着色料、香料、または香水)、他の浄化剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液などからなる群から選択される少なくとも2つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0173】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.01重量%~約50重量%の量の、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、アルカリ性および/または酸性源を含むpH調整成分、美感増強剤(すなわち、着色料、香料、または香水)、他の浄化剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液などからなる群から選択される少なくとも3つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0174】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.01重量%~約50重量%の量の、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、アルカリ性および/または酸性源を含むpH調整成分、美感増強剤(すなわち、着色料、香料、または香水)、他の浄化剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液などからなる群から選択される少なくとも4つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0175】
いくつかの態様において、本発明に従った抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、約0.001重量%~約75重量%の量の第4級アンモニウム化合物、約0.0001重量%~約50重量%の量のアニオン性界面活性剤またはアニオン性ポリマー/キレート剤、ならびに約0.01重量%~約50重量%の量の、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、アルカリ性および/または酸性源を含むpH調整成分、美感増強剤(すなわち、着色料、香料、または香水)、他の浄化剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液などからなる群から選択される少なくとも5つの追加の機能性成分を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。
【0176】
脂肪酸の可溶化
脂肪酸を可溶化する方法が含まれる。例示的な用途では、脂肪酸を可溶化することは、脂肪酸汚れの可溶化、したがって除去に特に有用である(凝集エネルギー)。方法は、カルボン脂肪酸を提供することと、それを第4級アンモニウムで可溶化することとを含む。そのような方法は、高められた抗微生物活性を有する組成物をもたらす。一実施形態において、脂肪酸を可溶化するために、脂肪酸対第4級アンモニウム化合物のモル:モル比が使用される。さらなる実施形態において、脂肪酸の可溶化は、約1モル対モル比の第4級アンモニウム化合物および脂肪酸を含む。他の態様において、組成物は、最大で約10対約1のモル比の第4級アンモニウム化合物および脂肪酸を含む。他の態様において、組成物は、最大で約1対約10のモル比の第4級アンモニウム化合物および脂肪酸、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、約1モルの脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、脂肪酸対第4級アンモニウムのモル比で提供される。別の実施形態において、組成物は、約1.5モルの脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、脂肪酸対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、組成物は、約1モルの脂肪酸対約10モルの第4級アンモニウム化合物の、脂肪酸対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、組成物は、約2モルの脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、脂肪酸対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。
【0177】
特定の作用機構に限定されるものではないが、脂肪酸が可溶化されていると言われる場合、脂肪酸を含む組み合わせが水に可溶性であることを意味する。組成物は、それが少なくとも90%水に可溶性、少なくとも95%水に可溶性、少なくとも98%水に可溶性、少なくとも99%水に可溶性、および少なくとも99.9%水に可溶性である場合に「可溶性」であると言われる。
【0178】
使用組成物
本発明の活性化抗微生物組成物および不活性化組成物は、濃縮組成物および使用組成物を含み得るか、または希釈されて使用組成物を形成し得る。例えば、濃縮組成物は、使用組成物を形成するために、例えば、水で希釈され得る。概して、濃縮物は、水などで希釈されて、処理を必要とする表面および/または製品に接触して、所望の表面活性を提供する使用溶液を提供することが意図される組成物を指す。処理を必要とする表面および/または製品に接触する抗微生物組成物または不活性化抗微生物組成物は、本発明に従った方法で用いられる配合物に依存して、濃縮物または使用組成物(もしくは使用溶液)と称され得る。組成物中の第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤の濃度は、組成物が濃縮物として用いられるか、または使用溶液として用いられるかに応じて変動するであろうことが理解されるべきである。一実施形態では、濃縮組成物は、対象物への塗布の前に使用溶液に希釈され得る。濃縮物が売られ、エンドユーザは、濃縮物を水または水性希釈剤で使用溶液に希釈することができる。
【0179】
本発明の組成物は、そのまま使用するために、または溶媒濃縮物として配合および販売され得る。必要に応じて、そのような濃縮物は、抗微生物薬としてそのままの濃度で使用され得る。しかしながら、濃縮物は典型的には流体(例えば水)によって希釈され、続いて希釈相または使用溶液を形成するであろう。好ましくは、濃縮物はそのような希釈の前に単一相を形成し、それが販売される容器中の貯蔵されたままにされる。適切な希釈レベルで水または他の望ましい希釈流体と組み合わせ、ゆるやかな撹拌(例えば組成物の撹拌またはポンプ輸送)に供されるとき、本発明のいくつかの組成物は、疑似安定な分散物を形成し、本発明の他の組成物は透明または準安定の溶液または分散物を形成する。疑似安定な組成物が形成される場合、組成物は十分に長い間疑似安定の状態にとどまり、組成物が相分離の開始前に表面に適用できるようにされる。疑似安定状態は、噴霧のような適切な迅速な適用技術が採用されるとき、または適用中の撹拌が使用されるとき、数秒間だけ続く必要がある。疑似安定状態は、望ましくは少なくとも1分以上続き、一方で、組成物は、好適な容器に貯蔵されるとき、好ましくは混合後5分以上続く。多くの場合、アプリケーターの通常の補充または再補充(例えば、アプリケーターを組成物に浸漬することによる)は、適用中に組成物の疑似安定状態を保持するのに十分な撹拌を提供する。
【0180】
使用溶液は、所望の清浄および/または他の抗微生物特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変動し得る。典型的な希釈係数は、およそ1~およそ10,000であるが、水の硬度、除去される汚れの量などの因子に依存するであろう。一実施形態では、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物対水の比で希釈される。具体的には、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物対水の比で希釈される。より具体的には、濃縮物は、約1:250~約1:2,000の濃縮物対水の比で希釈される。
【0181】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、濃縮組成物および使用組成物を含む。一実施形態では、濃縮組成物は、対象物への塗布の前に使用溶液に希釈され得る。濃縮物が売られ、エンドユーザは、濃縮物を水または水性希釈剤で使用溶液に希釈することができる。濃縮組成物中の活性成分のレベルは、意図される希釈倍率および抗微生物性組成物の所望の活性に依拠する。一般に、約1液量オンス対約10ガロンの水から、約10液量オンス対約1ガロンの水の希釈が本発明の水性組成物に使用される。いくつかの実施形態において、高温の使用温度(25℃超)または長時間の曝露時間(30秒超)が用いられ得る場合には、より高い使用希釈が用いられ得る。典型的な使用位置において、濃縮物は、一般に入手可能な水道水または上水を使用して、大部分の比率の水を用いて水100ガロン当たり約3~約40オンスの濃縮物の希釈率で希釈される。
【0182】
いくつかの実施形態において、濃縮組成物は、約0.1g/L~約100g/Lの希釈剤に対する濃縮物、約0.5g/L~約10.0g/Lの希釈剤に対する濃縮物、約1.0g/L~約4.0g/Lの希釈剤に対する濃縮物、または約1.0g/L~約2.0g/Lの希釈剤に対する濃縮物の希釈率において希釈できる。
【0183】
他の実施形態では、使用組成物は、約0.01~約10重量%の濃縮組成物および約90~約99.99重量%の希釈剤、または約0.1~約1重量%の濃縮組成物および約99~約99.9重量%の希釈剤を含み得る。
【0184】
使用組成物中の成分の量は、濃縮組成物について上記に列挙される量およびそれらの希釈倍率から計算することができる。いくつかの実施形態において、本発明の濃縮組成物は、第4級アンモニウム成分が約10ppm~約100ppm、または約50ppm~約400ppmで存在するように希釈される。他の実施形態において、本発明の濃縮組成物は、第4級アンモニウム化合物が約20ppm以上、約40ppm以上、約60ppm以上、約80ppm以上、約100ppm以上、約500ppm,約1000ppm,or約10,000~約20,000ppmで存在するようになるように希釈される。これらの値および範囲の間の全ての値および範囲は、本発明の方法によって包含されることが理解される。
【0185】
その液体形態の水;蒸気;凝縮ガスおよび他の超臨界流体(例えば、CO);ペルクロロエチレン;シリコーン油(例えば、シロキサン)、ギアオイル、トランスアクスル油、鉱油、または植物油などの油;および大豆メチルなどのカルボン酸エステルを含む様々な流体が、希釈溶媒として使用され得る。必要に応じて、希釈溶媒の混合物が使用され得る。好ましくは、希釈溶媒は、その液体形態の水から本質的になるか、またはそれからなる。本明細書の残りの部分は、水をその液体形態で希釈溶媒として使用することを主に考察するが、必要に応じて他の好適な流体がその液体形態の水に添加または置換され得ることが理解される。
【0186】
本発明の一実施形態において、濃縮組成物および使用組成物は、それらの殺菌の有効性を維持する一方で、水硬度のような水条件に耐性であるか、または水条件に依存しない。本発明の実施形態によると、組成物は、本発明の実施形態による殺菌の有効性に影響を及ぼすことなく、100万当たり約0部(ppm)~約500ppm(ガロン当たり約0~約30グレイン)の水硬度の水条件に耐性である。本明細書において言及されるとき、水硬度のppmは、カルシウム、マグネシウム、および水に見出され得、硬度レベルに寄与する、他の金属のppmを指す。
【0187】
製造方法
本発明の組成物は、材料の添加によって調製される。アニオン性界面活性剤を第4級アンモニウムに添加する。第4級アンモニウム化合物は、最小限の撹拌で、または撹拌することなく、より疎水性の有機酸を溶液に容易にカップリングさせる。
【0188】
一態様において、材料の添加は、最大で約10:約1のモル比の第4級アンモニウムおよびアニオン性界面活性剤のモル対モル比で提供される。一実施形態において、第4級アンモニウム対アニオン性界面活性剤の比は、約モル対モルである。
【0189】
いくつかの態様において、本発明による組成物は、一般的に使用可能な容器および混合装置を用いて、水性希釈剤中で成分を混合することによって作製できる。有利にも、第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤を用いる組成物の作製に特別な製造装置を必要としない。本発明の浄化組成物の好ましい製造方法は、撹拌中の生産容器に製品を導入することを含む。
【0190】
本発明にしたが抗微生物組成物および/または不活性化抗微生物組成物は、単回使用または複数回使用組成物中で提供され得る。好ましい態様において、組成物は、濃縮液体または固体組成物である。本発明によって、本発明の範囲を限定することなく、様々な固体を使用することができる。本発明を具現化する組成物および方法は、例えば、流し込み、押出、プレス、成形、または形成された固体ペレット、ブロック、錠剤等として、様々な固体組成物を調製するのに好適であることが理解されたい。いくつかの実施形態では、固体組成物は、50グラム以下の重量を有するように形成され得るが、他の実施形態では、固体組成物は、50グラム以上、500グラム以上、または1キログラム以上の重量を有するように形成され得る。
【0191】
本発明の抗微生物組成物を用いる方法
本発明は、本発明の抗微生物組成物を様々な用途に使用する方法を含む。本発明は、微生物集団を低減するための方法、皮膚上の微生物の集団を低減するための方法、および皮膚疾患を治療するための方法を含む。これらの方法は、物品、表面、身体、または流れを本発明の組成物と接触させることによって物品上、表面上、体内、または水もしくはガスの流れの中などで効果があり得る。接触は、組成物を噴霧すること、組成物中に物品を浸漬すること、物品を化合物または組成物で泡またはゲル処理すること、またはこれらの組み合わせなど、本発明の組成物を適用するための多数の方法のいずれかを含むことができる。
【0192】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Salmonella typhimurium、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Salmonella choleraesurus、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、ミコバクテリウム、酵母、およびカビが挙げられるが、これらに限定されない健康管理表面および環境と関連する病原菌のうちの1つ以上を死滅させることを含む。本発明の組成物は、グラム陽性(例えば、Listeria monocytogenesまたはStaphylococcus aureus)およびグラム陰性(例えば、Escherichia coliまたはPseudomonas aeruginosa)細菌、酵母、カビ、細菌胞子、ウイルスなどの多種多様な微生物に対して活性を有する。本発明の化合物および組成物は、上記のように、多種多様なヒト病原体に対して活性を有する。本発明の化合物および組成物は、食品加工表面上、食品の表面上、食品の洗浄もしくは加工のために使用される水中、医療管理表面上、または医療管理環境中で多種多様な微生物を死滅させることができる。
【0193】
本発明の方法は、対象または処理された対象組成物の中および/または上の微生物集団の任意の好適な低減を達成するのに使用できる。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1log10で対象または処理された対象組成物の中および/または上の微生物集団を低減するのに使用できる。他の実施形態において、本発明の方法は、少なくとも2log10で対象または処理された対象組成物の中および/または上の微生物集団を低減するのに使用できる。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、少なくとも3log10で対象または処理された対象組成物の中および/または上の微生物集団を低減するのに使用できる。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、少なくとも5log10で対象または処理された対象組成物の中および/または上の微生物集団を低減するのに使用できる。本発明の範囲を限定することなく、本明細書内に記載される数値範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0194】
本発明の組成物は、様々な家庭用または工業用の用途、例えば、表面または対象物上または体内または水流中の微生物またはウイルス集団を低減するために使用され得る。化合物は、キッチン、バスルーム、工場、病院、歯科医院、および食品工場を含む様々な領域で適用され得、滑らか、不規則、または多孔質な形態を有する硬質または軟質の様々な表面に適用され得る。好適な硬質表面としては、例えば、建築用表面(例えば、床、壁、窓、流し台、テーブル、カウンター、および標識)、食器道具、硬質表面の医療用または外科用器具およびデバイス、ならびに硬質表面の包装が挙げられる。そのような硬質表面は、例えば、セラミック、金属、ガラス、木材、または硬質プラスチックを含む様々な材料から作製され得る。好適な軟質表面としては、例えば、紙、濾過材、病院および外科用リネンおよび衣類、軟質表面の医療用または外科用器具およびデバイス、ならびに軟質表面の包装が挙げられる。そのような軟質表面は、例えば、紙、繊維、織布または不織布、軟質プラスチック、およびエラストマーを含む様々な材料から作製され得る。本発明の組成物はまた、食物および皮膚(例えば、手)などの軟質表面に適用され得る。本化合物は、発泡性または非発泡性の環境殺菌剤または消毒剤として用いられ得る。
【0195】
本発明の組成物は、滅菌剤、殺菌剤(sanitizer)、消毒剤、防腐剤(preservative)、消臭剤、防腐剤(antiseptic)、抗カビ剤、殺菌剤(germicide)、殺胞子剤、殺ウイルス剤、洗剤、漂白剤、硬質表面浄化剤、ハンドソープ、水無し手指殺菌剤、潤滑剤、すすぎ補助剤、2イン1および/または3イン1の製品、例えば、殺虫剤/浄化剤/殺菌剤、3シンク用途、手術前または手術後のスクラブなどの製品に含まれ得る。
【0196】
組成物はまた、哺乳動物の皮膚治療などの獣医学製品、または動物の囲い、檻、散水ステーション、ならびに検査台および手術室などの獣医学治療領域を殺菌または消毒するための製品で使用され得る。本発明の組成物は、家畜または人々のための抗微生物足浴で用いられ得る。
【0197】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、病原微生物、例えば、ヒト、動物などの病原体の集団を低減するために用いられ得る。化合物は、真菌、カビ、細菌、胞子、およびウイルス、例えば、S.aureus、E.coli、Streptococci、Legionella、Pseudomonas aeruginosa、ミコバクテリア、結核、ファージを含む病原体に対する活性を示す。そのような病原体は、乳腺炎または他の哺乳動物の搾乳疾患、結核などを含む、様々な疾患および障害を引き起こし得る。本発明の組成物は、皮膚または動物の他の外部もしくは粘膜表面上の微生物の集団を低減することができる。えて、本化合物は、水、空気、または表面基材による伝播を通して広がる病原性微生物を死滅させることができる。組成物は、皮膚、動物の他の外部もしくは粘膜表面、水、空気、または表面に適用されさえすればよい。
【0198】
抗微生物組成物はまた、表面微生物集団を低減するために、食物および植物種上で使用され得るか、そのような食物および植物種を取り扱う製造または加工現場で使用され得るか、またはそのような現場周辺のプロセス水を処理するために使用され得る。例えば、化合物は、食物輸送ライン(例えば、ベルトスプレー)、ブーツと手洗いディップパン、食物貯蔵施設、抗腐敗空気循環システム、冷蔵およびクーラー機器、飲料チラーおよびウォーマー、ブランチャー、カッティングボード、第3シンク領域、肉チラー、または熱湯処理デバイス上で使用され得る。本発明の組成物は、水路、パイプ輸送、カッター、スライサー、ブランシャー、レトルトシステム、ワッシャーなどに見られるような農産物輸送用水を処理するために使用され得る。本発明の化合物で処理され得る特定の食料品としては、卵、肉、種子、葉、果物、および野菜が挙げられる。特定の植物表面としては、収穫されたものおよび成長しているものの両方の葉、根、種子、皮または殻、茎、柄、塊茎、球茎、果実などが挙げられる。
【0199】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、食品サービスまたは食品加工産業における容器、加工設備、または機器の洗浄または殺菌に有用である。組成物は、食品包装材料および機器上での使用にとって、かつ特に低温または高温無菌包装にとって特に価値がある。本発明の化合物が用いられ得るプロセス設備の例としては、ミルクライン乳製品、連続的醸造システム、食品加工ライン、例えば、ポンプ輸送可能な食品システムおよび飲料ラインなどが挙げられる。食品サービスウェアは、本発明の化合物で消毒され得る。例えば、化合物はまた、ウェア洗浄機械、低温ウェア洗浄機械、食器類、ボトル洗浄機、ボトルチラー、ウォーマー、第3シンク洗浄機、カッティング領域(例えば、ウォーターナイフ、スライサー、カッター、および鋸)、ならびに卵洗浄機の上および中で使用され得る。特定の処理可能な表面としては、カートン、ボトル、フィルム、および樹脂などの包装;ガラス、皿、道具、鍋、および平鍋などの食器類;ウェア洗浄および低温ウェア洗浄機械;シンク、カウンター、テーブル、床、および壁などの露出された食品調製領域表面;タンク、大樽、ライン、ポンプ、およびホース(例えば、ミルク、チーズ、アイスクリーム、および他の乳製品を加工するための乳製品加工設備)などの加工設備が挙げられる。容器としては、ガラスボトル、PVCまたはポリオレフィンフィルム袋、缶、ポリエステル、様々な体積(100mL~2リットルなど)のPENまたはPETボトル、1ガロンミルク容器、板紙ジュースまたはミルク容器などが挙げられる。
【0200】
本発明の組成物はまた、食品加工設備を使用溶液に浸漬し、設備を殺菌するのに十分な時間浸漬し、過剰な溶液を設備から拭き取るか、または流出させることによって用いられ得る。化合物は、食品加工表面を使用溶液で噴霧するか、または拭き取り、表面を殺菌するのに十分な時間表面を湿潤状態に保ち、過剰な溶液を拭き取ること、垂直に流出させること、真空引きすることなどによって除去することによってさらに用いられ得る。
【0201】
本発明の組成物はまた、施設タイプの設備、道具、皿、健康管理設備または用具、器具、および他の硬質表面などの硬い表面を殺菌する方法で使用され得る。
【0202】
抗微生物組成物は、様々な方法を使用して、微生物または汚れた表面もしくは浄化された表面に適用され得る。これらの方法は、対象物、表面、身体、または流れを本発明の化合物と接触させることによって、対象物上、表面上、体内、または水もしくはガスの流れの中などで効果があり得る。接触は、化合物を噴霧すること、化合物中に対象物を浸漬すること、対象物を化合物で泡またはゲル処理すること、またはこれらの組み合わせなど、化合物を適用するための多数の方法のいずれかを含むことができる。
【0203】
本発明の化合物の濃縮物または使用濃度は、対象物に抗微生物または洗浄化合物を適用するための任意の従来の方法または装置によって、対象物に適用され得るか、または接触させられ得る。例えば、対象物は、化合物、または組成物から作製された使用溶液で拭き取られ得る、噴霧され得る、その上で発泡され得る、かつ/またはその中に浸漬され得る。組成物は、表面上で噴霧され得るか、発泡され得るか、もしくは拭き取られ得るか、組成物は、表面上で流動させられ得るか、または表面は、組成物中に浸漬され得る。接触は、手動であってもよく、または機械によるものであってもよい。食品加工表面、食品、食品加工または輸送用水などは、本発明に従った液体、泡、ゲル、エアロゾル、ガス、ワックス、固体、もしくは粉末安定化化合物、またはこれらの化合物を含む溶液で処理され得る。
【0204】
本発明に従った様々な処理方法は、第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤の任意の好適なレベルの使用を含むことができる。いくつかの実施形態において、処理された対象組成物は、使用のために希釈されたときに、約1ppm~約1000ppmの第4級アンモニウム化合物を含む。さらなる実施形態において、処理された対象組成物は、使用のために希釈されたときに、約1ppm~約500ppm、5ppm~約400ppm、10ppm~約100ppm、20ppm~約100ppm、25ppm~約100ppm、10ppm~約75ppm、20ppm~約75ppm、25ppm~約75ppm、または約50ppmの第4級アンモニウム化合物を含む。いくつかの実施形態において、処理された対象組成物は、使用溶液中の、約1ppm~約1000ppmのアニオン性界面活性剤を含む。さらなる実施形態において、処理された対象組成物は、使用のために希釈されたときに、約1ppm~約500ppm、5ppm~約250ppm、10ppm~約100ppm、20ppm~約100ppm、25ppm~約100ppm、10ppm~約50ppm、20ppm~約50ppm、25ppm~約50ppm、または約50ppm~約100ppmのアニオン性界面活性剤を含む。
【0205】
一態様において、本発明の方法は、本発明の濃縮固体または液体組成物から使用溶液を作製することを含む。使用溶液は、所望の清浄および/または他の抗微生物特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変動し得る。典型的な希釈率は、約1~約10,000の間である。一実施形態では、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物対水の比で希釈される。具体的には、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物対水の比で希釈される。より具体的には、濃縮物は、約1:250~約1:2,000の濃縮物対水の比で希釈される。
【0206】
一態様において、濃縮された抗微生物組成物は、約0.001%(重量/体積)~約10%(重量/体積)、または約0.001%(重量/体積)~約5%(重量/体積)、または約0.001%(重量/体積)~約2%(重量/体積)、または約0.01%(重量/体積)~約1%(重量/体積)の使用溶液濃度に希釈される。本発明の範囲を限定することなく、本明細書内に記載される数値範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0207】
本発明の組成物は、そのまま使用するために、または溶媒または固体濃縮物として配合および販売することができる。所望なら、そのような濃縮物は、殺菌すすぎ組成物としてそのままの濃度で使用できる。しかしながら、濃縮物は典型的には流体(例えば水)によって希釈され、続いて希釈相または使用溶液を形成するであろう。好ましくは、濃縮物はそのような希釈の前に単一相を形成し、それが販売される容器中の貯蔵されたままにされる。適切な希釈レベルで水または他の望ましい希釈流体と組み合わせ、ゆるやかな撹拌(例えば組成物の撹拌またはポンプ輸送)に供されるとき、本発明のいくつかの組成物は、疑似安定な分散物を形成し、本発明の他の組成物は透明または準安定の溶液または分散物を形成する。疑似安定な組成物が形成される場合、組成物は十分に長い間疑似安定の状態にとどまり、組成物が相分離の開始前に表面に適用できるようにされる。疑似安定状態は、噴霧のような適切な迅速な適用技術が採用されるとき、または適用中の撹拌が使用されるとき、数秒間だけ続く必要がある。疑似安定状態は、望ましくは少なくとも1分以上続き、一方で、組成物は、好適な容器に貯蔵されるとき、好ましくは混合後5分以上続く。多くの場合、アプリケーターの通常の補充または再補充(例えば、アプリケーターを組成物に浸漬することによる)は、適用中に組成物の疑似安定状態を保持するのに十分な撹拌を提供する。
【0208】
本明細書に記載される使用の様々な用途は、表面および/または水源に対し、第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤の組成物を提供する。有利にも、本発明の組成物は、即効性である。しかしながら、本発明の方法は、十分な抗微生物効果を生じるために組成物と処理を必要とする表面または製品との一定の最小の接触時間を必要とする。接触時間は使用組成物の濃度、使用組成物の適用方法、使用組成物の温度、使用組成物のpH、処理すべき表面または製品の量、処理すべき表面または製品の上/内の汚れまたは基材の量などによって変動し得る。接触または曝露時間は、約15秒、少なくとも約15秒、約30秒、または30秒より大きくあり得る。いくつかの実施形態において、曝露時間は、約1~5分である。他の実施形態において、曝露時間は、数分~数時間である。他の実施形態において、曝露時間は、数時間~数日である。接触時間は、本発明による組成物の活性分の使用濃度に基づいてさらに変動するであろう。
【0209】
スケール/ミネラル除去
本発明の活性化第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤(またはポリマー/キレート剤)組成物は、表面上の硬水/ミネラルスケールの制御を含む、スケーリングの処理または予防を必要とする様々な用途および方法における使用にさらに適している。好ましい実施形態において、アニオン性ポリマーまたはキレート剤は、有益なスケールミネラル除去を提供するために界面での濃縮に好適な表面活性物質を提供する。加えて、本発明の方法は、複数の表面上の水硬度の蓄積を制御するのに適している。本発明の方法は、表面の美的外観を有利に改善する、処理された基材表面上の硬度の中程度から重度の蓄積および/または汚れの再堆積着を防止する。ある特定の実施形態において、硬水スケール蓄積防止を必要とする表面としては、例えば、プラスチック、金属、および/またはガラス表面が挙げられる。
【0210】
本発明の有益な態様において、本発明の方法は、活性化組成物が接触する硬質表面上に炭酸カルシウムなどの硬水スケールの形成、沈殿、および/または堆積を低減する。一実施形態において、活性化組成物は、ガラス、皿、銀器などの物品上の硬水スケールの形成、沈殿、および/または堆積の防止のために用いられる。活性化組成物は、硬水スケール蓄積の除去および/もしくは防止、ならびに/または硬水を含む様々な水源を使用して、ウェア洗浄用途などの様々な用途における汚れの再堆積の防止に有効である。加えて、活性化組成物は、例えば、洗浄ステップ中約150°F~約165°F、およびすすぎステップ中約170°F~約185°Fを含む、工業用ウェア洗浄用途で典型的に使用される温度範囲での使用に好適である。
【0211】
加えて、本発明に従った活性化組成物の使用方法はまた、処理された表面上に硬水残留物を残すバルク洗剤の使用に取って代わるCIPおよび/またはCOPプロセスにも好適である。使用方法は、本発明の活性化組成物によって提供される硬水スケール蓄積の防止が望ましいような、工業規格が処理された表面の品質に焦点を合わせている、さらなる用途において望ましくあり得る。かかる用途には、自動車ケア、工業ケア、病院ケア、および織物材料ケアが含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
活性化組成物の使用の用途のさらなる例としては、例えば、グリルおよびオーブン浄化剤、ウェア洗浄洗剤、洗濯洗剤、洗濯予浸剤、排水管浄化剤、硬質表面浄化剤、外科用器具浄化剤、運搬用車両浄化剤、車両浄化剤、食器洗浄予浸剤、食器洗浄洗剤、飲料機浄化剤、コンクリート浄化剤、建物外部浄化剤、金属浄化剤、床材剥離剤、脱脂剤、および焦げ付き汚れ除去剤として有効なアルカリ性洗剤が挙げられる。これらの用途の多くでは、非常に高いアルカリ性を有する浄化組成物が最も望ましくかつ有効であるが、硬水スケール蓄積によって引き起こされる損傷は望ましくない。
【0213】
一般に、使用の様々な用途は、数秒から数分またはそれ以上を含む十分な時間、表面を使用溶液で浸漬するか、噴霧するか、沈めるか、または別様に接触させることによって用いられ得る。方法は、表面から過剰な溶液を拭き取るか、または流出させることをさらに含んでもよい。
【0214】
脱染
本発明の活性化第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤(またはポリマー/キレート剤)組成物は、脱染を必要とする様々な用途および方法における使用にさらに適している。一般に、組成物は、数秒から数分またはそれ以上を含む十分な時間、表面を使用溶液で浸漬するか、噴霧するか、沈めるか、または別様に接触させ、過剰な溶液を設備から拭き取るか、または流出させることによる脱染のために使用され得る。本発明の組成物は、食品加工表面を使用溶液で噴霧するか、または拭き取り、表面を殺菌するのに十分な時間表面を湿潤状態に保ち、過剰な溶液を拭き取ること、垂直に流出させること、真空引きすることなどによって除去することによってさらに用いられ得る。
【0215】
本発明に従って得られた活性化組成物はまた、施設タイプの設備、道具、皿、健康管理設備または用具、および他の硬質表面などの様々な硬い表面を脱染する方法で使用され得る。
【0216】
洗濯用途
いくつかの態様において、化合物および組成物はまた、汚染された物品、例えば、織物の殺菌で用いられ得る。さらなる態様において、化合物および組成物は、物品(例えば、織物)の洗浄および消毒で用いられ得る。物品は、物品を殺菌、消毒、および/または滅菌するのに有効な期間、約4℃~80℃の範囲内の使用温度で本発明の化合物と接触させられる。いくつかの実施形態において、約30℃~約50℃または約40℃の温度で物品を殺菌するために、本発明の組成物が使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、洗濯機の洗浄水またはすすぎ水に注入され、布を殺菌するのに十分な時間、汚染された布と接触させられ得る。いくつかの実施形態において、汚染された布は、約5~約30分間、本発明の化合物および組成物と接触させられる。次いで、過剰な溶液は、布をすすぐか、または遠心分離することによって除去され得る。
【0217】
本発明の組成物は、物品、例えば、織物を処理するために単独で使用され得るか、または処理される物品に好適な従来の洗浄剤と併用され得る。本発明の組成物は、従来の洗浄剤と共に様々な方法で使用され得、例えば、本発明の組成物は、従来の洗浄剤と共に配合され得る。他の実施形態において、物品を従来の洗浄剤とは別個の添加剤として処理するために、本発明の組成物が使用され得る。別個の添加剤として使用される場合、本発明の組成物は、処理される物品といつでも接触することができる。例えば、本発明の組成物は、選択された洗浄剤に物品を接触させる前、後、またはそれと実質的に同時に、物品と接触することができる。
【0218】
いくつかの実施形態において、洗濯用途のために殺菌/消毒剤として使用される場合、本発明の化合物は、組成物中に約5ppm~約1000ppmで存在する。他の実施形態において、洗濯用途のために殺菌/消毒剤として使用される場合、本発明の化合物または化合物の混合物は、組成物中に約25ppm~約100ppmで存在する。他の実施形態において、洗濯用途において殺菌/消毒剤として使用される場合、本発明の化合物またはその混合物は、約20、約40、約60、または約80ppmで存在する。
【0219】
本発明の不活性化抗微生物組成物を用いる方法
水処理用途
不活性化組成物は、例えば、水源の処理および水処理用途を含む様々な目的に使用され得る。様々な用途において、水源および廃水源は、第4級アンモニウム化合物を含む残留抗微生物薬を含む。
【0220】
一実施形態において、不活性化組成物は、家または事業の水道本管に接続された水処理方法のために利用され得る。不活性化組成物は、温水加熱器の前または温水加熱器の後のラインで用いられ得る。他の態様において、本発明は、浄化プロセスにおける使用のための不活性化組成物を提供する。
【0221】
他の実施形態において、いったん水が処理されると、処理された水は、装置の処理された水の供給ラインから自動洗浄機、例えば、自動食器洗浄機または食器洗い機、車両洗浄システム、器具ワッシャー、クリーンインプレイスシステム、食品加工浄化システム、ボトルワッシャー、および自動洗濯洗浄機に提供される。あるいは、処理された水は、手動洗浄システムで使用されてもよい。本発明の方法に従って処理された水の使用により利益を得る自動または手動の洗濯機が使用され得る。次いで、処理された水は、洗浄機内の洗浄組成物と組み合わされて、使用組成物を提供する。任意の洗浄組成物、例えば、浄化組成物、すすぎ剤組成物、または乾燥剤組成物が、本発明のシステムで使用され得る。次いで、浄化される物品は、自動洗浄機内の使用溶液と接触させられ、それにより物品は浄化される。
【0222】
本発明の水処理方法およびシステムは、様々な産業および家庭内の用途で使用され得る。水処理方法およびシステムは、居住環境または商業環境、例えば、レストラン、ホテル、病院で用いられ得る。例えば、本発明の水処理方法、システム、または装置は、ウェア洗浄用途、例えば、食器および調理道具、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、カウンタートップ、窓、鏡、および床などの他の硬質表面の洗浄;例えば、前処理、洗浄、酸洗い、軟化、および/またはすすぎ段階で自動織物洗浄機で使用される水を処理するための洗濯用途;例えば、車両の前すすぎ、例えば、アルカリ前浸漬および/または低pH前浸漬、洗浄、研磨、およびすすぎのために使用される水を処理するための車両ケア用途;産業用途、例えば、冷却塔、ボイラー、熱交換器を含む産業設備;例えば、コーヒーおよびティーブリュワー、エスプレッソマシン、製氷機、パスタクッカー、温水器、スチーマー、および/またはプルーファーのための送水管を処理するための食品サービス用途;健康管理器具ケア用途、例えば、手術器具の浸漬、浄化、および/またはすすぎ、オートクレーブ滅菌器への給水の処理;ならびに加湿器、温水浴槽、スイミングプールなどの様々な用途のための給水で使用され得る。
【0223】
いくつかの実施形態において、水処理方法は、使用時に適用され得る。すなわち、水処理方法、システム、または装置は、洗浄システムなどの用途の上流の水源に適用され得る。いくつかの実施形態において、水処理は、水源の所望の最終用途の直前に適用される。例えば、本発明の装置は、家庭またはレストラン機器、例えば、コーヒーメーカー、エスプレッソマシン、製氷機に接続された送水管に用いられ得る。本発明の方法を用いる装置は、洗浄システム内に配置されてもよい。例えば、本発明の装置はまた、水源を使用する機器、例えば、自動または手動洗浄システムに組み込まれた水処理システム、コーヒーメーカー、製氷機、または処理された水の使用から利益を得られ得る任意の他のシステムの一部として含まれ得る。
【0224】
種々の用途において、本発明に従って開示されたアニオン性界面活性剤は、残留第4級アンモニウム化合物を含む水源または廃水源に直接投与され得る。本発明に従ったアニオン性界面活性剤の適用は、そうでなければその中の細菌または他の化合物に負の干渉を及ぼすか、またはそれらを崩壊する可能性がある、水源または廃水流中の第4級アンモニウム化合物を不活性化するために利用され得る。したがって、抗微生物組成物の原位置不活性化を用いて、水源または廃水流中の第4級アンモニウム化合物を不活性化することが望ましくあり得る。
【0225】
使用の用途のためのキット
本発明に従った組成物の様々な用途によると、第4級アンモニウム組成物の不活性化または活性化のいずれかを含む、本発明に従った組成物を投与するためのキットが提供され得る。特定の用途において、不活性化組成物は、本発明の実施形態に従ったキットを用いることによって提供され得る。本発明に従った不活性化第4級アンモニウム組成物を投与および/または提供するためのキットは、第4級アンモニウム化合物ならびにアニオン性界面活性剤(および/またはキレート剤および/またはポリマー)を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。あるいは、キットは、使用の用途において第4級アンモニウム化合物と投与するためのアニオン性界面活性剤(および/またはキレート剤および/またはポリマー)を含み得、それらからなり得、かつ/またはそれらから本質的になり得る。キットは、測定手段および/または投与手段をさらに含んでもよい。
【0226】
一態様において、キットは、第4級アンモニウム化合物を不活性化するのに好適な量のアニオン性界面活性剤(および/またはキレート剤および/またはポリマー)の投与のために用いられる。一態様において、表面ならびに/または抗微生物不活性化量のアニオン性界面活性剤(および/もしくはキレート剤および/もしくはポリマー)を投与または提供することが望ましくあり得る。実施形態において、低表面活性が第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性を中和するか、または失活させるように、アニオン性界面活性剤(および/またはキレート剤および/またはポリマー)と第4級アンモニウム化合物との別の組み合わせと比較して、表面活性を低下させること(より高い表面張力)が望ましい。
【0227】
キットを用いるいくつかの実施形態によると、第4級アンモニウム化合物を有する組成物および/またはシステムは、アニオン性界面活性剤(および/またはキレート剤および/またはポリマー)のモル比依存量が投与される。一態様において、組成物は、約1モル対モル比の第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、組成物は、約10までから約1までのモル比の第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤を含む。他の態様において、組成物は、最大で約1~約10のモル比の第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、抗微生物組成物は、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウムのモル比で提供される。別の実施形態において、抗微生物性組成物は、約1.5モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、抗微生物性組成物は、約1モルのアニオン性界面活性剤対約10モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。別の実施形態において、抗微生物性組成物は、約2モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物の、アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比で提供される。各実施形態において、キットは、第4級アンモニウム化合物を不活性化するモル比を提供する。
【0228】
キットは、追加の要素をさらに含んでもよい。例えば、キットはまた、不活性化組成物の使用のための指示書を含んでもよい。キットに含まれる指示書は、梱包材料に貼られ得るか、または添付文書として含められ得る。指示書は、典型的には書面または印刷物であるが、これらに限定されるものではない。そのような指示書を記憶し、それらをエンドユーザに伝達することが可能な任意の媒体が、本開示によって企図される。そのような媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD、DVD)などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「指示書」という用語は、指示書を提供するインターネットサイトのアドレスを含むことができる。キットの様々な構成要素は、必要に応じて好適な容器、例えば、ボトル、瓶、またはバイアル中で任意に提供される。
【実施例0229】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として付与されることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認し得、その精神および範囲から逸脱することなく、様々な利用法および条件にそれを適合するために本発明の実施形態の様々な変更および修正を行い得る。したがって、本発明の実施形態の様々な修正は、本明細書に図示および説明されるものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0230】
本明細書の実施例で使用されるBARDAC 2250 Rおよび2280 Rは、Lonza,Inc.から入手可能であり、各双鎖ジメチルアンモニウムクロリドである。Bardac 2250 Rは、50重量%のジデシルジメチルアンモニウムクロリド、10重量%のエチルアルコール、および40重量%の水を含む。Bardac 2280 Rは、80重量%のジデシルジメチルアンモニウムクロリド、10重量%のエチルアルコール、および10重量%の水を含む。様々な他の市販の第4級アンモニウム化合物および原材料の構造が、表2に概説されている。
【表2】
【0231】
実施例1
Bardac 205Mおよびアニオン性界面活性剤の動的表面張力
SITA science line t60は、液体の動的表面張力を半静的範囲まで測定する。気泡は、既知の半径を有する毛細管から生成する。気泡の圧力は、気泡寿命時間の関数として測定され、ヤング-ラプラス方程式に従って表面張力に相関させることができる。動的表面張力は、動的条件下での界面活性剤および他の表面活性化合物の動的挙動、すなわちどれだけ迅速に界面活性剤が表面に到達することができるかについての洞察を提供する。界面活性剤の動的表面張力の挙動は、界面活性剤の迅速な応答が必要な用途、例えば自動化された食器洗いの短いすすぎサイクルにおいて特に重要である。
装置および材料:
1.SITA T60(Sita Messtechnik,Germany)
2.撹拌棒を有するオイルバス
3.加熱および撹拌プレート
4.ガラスビーカー
5.ガラスバイアル(20mL)
【0232】
DI水によってSITA science line t60を校正した。校正後の清浄水サンプルは、72.0±1.0mN/mの表面張力を有するべきである(品質および温度に依存する)。校正に続いて、所望の時間間隔(すなわち0.3、1.6、3.0、9.1秒)で測定を行うようにSITAをプログラミングした。第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤との9:1の質量比の表面活性に対する効果を測定するために、以下の組成物を調製した。
【0233】
Bardac 205Mは、20重量%の活性アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、15重量%のオクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、6重量%のジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、および9重量%のドデシルジメチルアンモニウムクロリドを有する、Lonzaから市販されている第4級アンモニウム化合物である。Bardac 205M第4級アンモニウム化合物ブレンドは、10重量%のエチルアルコールおよび40重量%の水の不活性成分をさらに含む。本実施例の試料を、100ppmのBardac205Mを使用して調製した。Bardac 205Mを、Plurafac SL-42(BASFから入手可能な比較の非イオン性界面活性剤-エトキシル化、プロポキシル化C6~C10延長鎖界面活性剤アニオン性界面活性剤)、Surfonic PEA(Huntsman Chemicalから入手可能なアミン界面活性剤(pHに応じて中性またはカチオン性)-比較のエトキシル化エーテルアミン)、X-AES(Huntsman Chemicalから入手可能なアニオン性界面活性剤C12~14-(PO)16-(EO)-スルフェート)、SLES(アニオン性界面活性剤-ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、およびMarlowet4539(Sasolから入手可能なC9-アルコールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)のそれぞれを、9:1の質量比で混合した。
【0234】
10~15mLを20mLのバイアルに移し、72℃(160F)±2℃まで加熱された油浴中に浸漬した。サンプルを10~15分間平衡化した。試料を油浴から個々に取り出し、SITAで試験した。各々のサンプルを試験した後、SITAの浄化手順を実施し、次いでSITAが適切に浄化されたことを確認するためにDI水の表面張力をチェックした。DI水測定が72.0±1.0mN/mの範囲内にない場合、浄化手順を再び実施した。75Fにおける表面張力(mN/m)対気泡寿命時間を記録し、実験データを図1に提供する。
【0235】
図1に示される結果は、試験した第4級アンモニウム-アニオン性界面活性剤ブレンドの大部分について、動的表面活性の増加が観察されることを示す。実施例全体を通して言及されるように、動的表面活性の増加は、図面に示される気泡寿命の経過中の表面張力の減少によって示される。具体的には、Bardac 205M+Marlowet4539およびBardac 205M+Colatrope INCは、Bardac 205M単独と比較して表面活性の有意な増加を示した。興味深いことに、第4級アンモニウム塩-非イオン性界面活性剤ブレンド、Bardac 205M+Plurafac SL-42、およびBardac 205M+Surfonic PEAは、軽度の相乗効果しか示さなかった。一方、X-AESまたはSLES(両方ともより長いアルキルアルコキシル化スルフェートである)のいずれかを有するBardac 205Mは、他の第4級アンモニウム塩-アニオン性界面活性剤ブレンドで観察される表面活性の相乗的な促進を示さない。
【0236】
実施例2
Bardac 205Mおよびアニオン性スルフェート界面活性剤ブレンドの動的表面張力
第4級アンモニウム化合物と異なるアニオン性スルフェート界面活性剤とのモル:モル比の表面活性をさらに検査するために、実施例1に記載される手順に従った。上記のBardac 205Mを、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、X-AES(Huntsman Chemicalから入手可能なC12~14-(PO)16-(EO)-スルフェート)、およびStepanol EH-S(Stepanから入手可能なナトリウム2-エチルヘキシルスルフェート)のそれぞれと、モル:モル比で混合した。結果は、図2に示される。
【0237】
図2に示される結果は、組み合わせが第4級アンモニウム化合物(Bardac 205M)単独(このモル比で)と比較して、鎖長依存的表面活性を示すことを実証する。例えば、EH-SまたはX-AESまたはNAS-FALと組み合わせたBardac 205Mは全て、表面活性の急速な増加を示した。一方、Bardac 205M、SLS、またはSLESブレンドは、Bardac 205M単独と比較して表面活性の全体的な増加をもたらしたが、試験した他のブレンドと比較してより遅い動態を示し、抗微生物活性の不活性化を示した。
【0238】
第4級アンモニウム化合物それ自体は、優れたマイクロ効果を有するが、それらは表面活性物質ではない。第4級アンモニウム化合物を好適なアニオン性界面活性剤と対にするとき、組み合わせは2つ個別のものよりもより表面活性である。抗微生物有効性活性化における相乗効果は、動的表面張力の相乗効果と非常によく相関する。理論に拘束されず、我々は、電荷中和に起因する第4級アンモニウム塩とアニオン性界面活性剤の間の複合体またはイオン対が、親水性と疎水性の両方に非常に類似した有効断面積を有し、それらがもはや可溶性でない限り、界面におけるスタッキングを非常に好ましいものにすると考える。複合体形成は、非常に好ましいため、脂肪酸分子間の凝集力を克服することができる。
【0239】
実施例3
Bardac 205Mとアニオン性カルボキシレート界面活性剤とのモル-モル比の動的表面張力
第4級アンモニウム化合物と異なるアニオン性カルボキシレート界面活性剤とのモル:モル比の動的表面張力を、実施例1の手順に従って試験した。以下の溶液を調製した。上記の100ppmの濃度のBardac 205Mを、48ppmのエチルヘキシル酸、52ppmのColatrope INC(Colonial Chemical Inc.から入手可能なナトリウムアルカノエート)、48ppmのオクタン酸、116ppmのMarolwet 4539 SLS(Sasolから入手可能なC9-アルコールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)、56ppmのデカン酸、および65ppmのラウリン酸のそれぞれと、モル:モル比で混合した。これらのデータは、図3に示される。
【0240】
図3Aに示される結果は、カルボキシル化アニオン性界面活性剤および第4級アンモニウム化合物の組み合わせが、第4級アンモニウム化合物(Bardac 205M)単独と比較して低減された表面活性を有することを実証する。Bardac 205Mとデカン酸との組み合わせは、Bardac 205M単独と比較して動的表面活性を増加させるのに特に好適であるように思われる。図3Aに見られるように、エチルヘキシル酸、Colatrope INC、オクタン酸、Marolwet4539 SLS、デカン酸、ラウリン酸、およびオレイン酸は全て、Bardac 205M単独と比較して、表面活性を可変範囲で増加させることが可能である。
【0241】
上記の手順を使用して、さらなる動的表面張力分析を実施した。以下の溶液を調製した。上記の100ppmの濃度のBardac 205Mを、異なる濃度(10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、および70ppm)のデカン酸と混合したか、または100ppmのデカノエート単独であった。結果は、図3Bに示される。
【0242】
これらの結果から分かるように、デカノエート単独およびBardac 205M単独は、制限された表面活性を示す。しかしながら、それぞれが組み合わされると、表面活性の劇的な増加が観察される。さらに、第4級アンモニウム塩-デカン酸ブレンドの表面活性の観察された増加は、用量依存的に生じる。すなわち、観察された相乗的な傾向は、アニオン性界面活性剤濃度の関数として生じる。
【0243】
有利にも、中鎖長カルボキシル化アニオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム塩と特に目立った相互作用を示す。本発明の好ましい態様において、デカン酸は、抗微生物組成物で用いられる。デカン酸は、極めて低い溶解性を有し、室温では固形物であるが、それにもかかわらず任意のアルカリ性を加えることなく(わずかに酸性の)第4級アンモニウム塩で自由に溶解する。また、広範囲のpHにおいて、形成された複合体は、非常に類似した強い表面活性を有し、予想外の結果をもたらす。示されるように、表面活性はpHとは無関係である。
【0244】
実施例4
Bardac 205Mおよびアニオン性スルフェート界面活性剤の組み合わせの動的表面張力
第4級アンモニウム化合物と異なるスルフェート系アニオン性界面活性剤とのモル比:モル比の表面張力を、実施例1で概説した手順に従って検査した。以下の溶液を調製した。上記の100ppmの濃度のBardac 205Mを、84ppmのSLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、NAS-FAL(ナトリウムn-オクタンスルホネート)、およびStepanol EH-S(Stepanから入手可能なナトリウム2-エチルヘキシルスルフェート)をそれぞれと、モル:モル比で混合した。これらのデータは、図4A図4B、および図4Cにそれぞれ示される。
【0245】
図4Aに示される結果は、ラウリル硫酸ナトリウムと第4級アンモニウムBardac 205Mとのモル:モルの組み合わせが、第4級アンモニウム化合物またはアニオン性界面活性剤のいずれか単独と比較して、低減された動的表面張力を示すことを実証する。興味深いことに、図4Bおよび図4Cの結果と組み合わせて見ると、Bardac 205M+SLSのブレンドは、気泡寿命の前半にわたって表面張力のより遅い減少、次いで、実験の後半にわたって表面張力の急速な減少を示す。
【0246】
図4Bに示される結果は、図4Aの結果と一致し、n-オクタンスルホン酸ナトリウムと第4級アンモニウムBardac 205Mとのモル:モルの組み合わせが、第4級アンモニウム化合物またはアニオン性界面活性剤のいずれか単独と比較して、低減された表面張力に関して相乗的な傾向を示すことを実証する。図4Aの結果とは対照的に、表面張力の急速な減少が観察される。
【0247】
図4Cに示される結果は、図4Aおよび図4Bに見られる観察と一致する。図4Cに見られるように、2-エチルヘキシル硫酸ナトリウムと第4級アンモニウムBardac 205Mとのモル:モルの組み合わせはまた、第4級アンモニウム化合物またはアニオン性界面活性剤のいずれか単独と比較して、表面張力の相乗的な低減を示す。さらに、図4Cで観察される表面張力の動的減少は、図4Bに示される動態と同様である。
【0248】
実施例5
第4級アンモニウム-アニオン性界面活性剤化合物のpH研究
モル:モル比の第4級アンモニウム化合物とカルボキシレートベースのアニオン性界面活性剤との間の界面活性で観察された相乗的な促進に対するpHの効果を判定するために、溶液を様々なpHで調製したことを除いて、実施例1に概説した手順を使用した。Bardac 205M第4級アンモニウムを、Marlowet 4539(Sasolから入手可能なC9-アルコールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸)と、モル:モルベースで混合した。4.0、6.0、9.0、および9.5における組み合わせのHClおよび表面張力を使用して、組み合わせのpHの調節し、100ppmのBardac 205Mおよび116ppmのMarlowet 4539に対する比較をプロットした。結果は、図5Aに示される。
【0249】
データは、Bardac 205MとMarlowet 4539との間で観察された相乗効果が、様々なpHで維持されることを実証する。Marlowet 4539と組み合わせたBardac 205Mの溶液の表面張力は、pHにかかわらず同等の速度で減少する。一方で、pH4.5の溶液は、pH10.0の溶液と比較してより表面活性であったため、pHは、Marlowet 4539溶液単独の表面張力に影響するように思われる。
【0250】
100ppmのBardac 205M第4級アンモニウム化合物と56ppmデカン酸とのモル:モル比の組み合わせの動的表面張力に対するpHの効果に関するさらなる検査を、上記のように行った。組み合わせのpHを調節し、組み合わせの動的表面張力をpH3.6、4.94、6、7、7.75、9、および10.2で観察した。第4級アンモニウムとデカン酸とのモル:モルの組み合わせの動的表面張力がpHとは無関係であったことを示す結果は、図5Bに提供される。したがって、pHが変化しても、動的表面張力は変化しなかった。図5Aに示されるデータと一致する観察。
【0251】
実施例6
第4級アニオン性界面活性剤組成物の抗微生物有効性
アニオン性界面活性剤と関連した第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性は、抗微生物懸濁試験を利用して図6Aに示される。組み合わせは、SLS、SLES、X-AES、NAS-FAL、エチルヘキシル-スルフェート(EH-S)、Colatrope INC、およびM4539のそれぞれと組み合わせた300ppmの活性Bardac 205Mの7.5対1の質量比を含む。同じアニオン性界面活性剤を300ppmのBardac 205Mとモル対モル比で組み合わせた。Bardac 205Mは、Lonzaから市販されており、20重量%の活性アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、15重量%のオクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、6重量%のジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、および9重量%のドデシルジメチルアンモニウムクロリドを有する。Bardac 205M第4級アンモニウム化合物ブレンドは、10重量%のエチルアルコールおよび40重量%の水の不活性成分をさらに含む。
【0252】
図6Aに示される結果は、Bardac 205M対SLS、SLES、X-AES、EH-S、およびM4539の7.5/1の質量比が、E.coliの細菌の最も高い対数減少をもたらしたことを実証する。SLS、SLES、およびX-AESと組み合わせたBardac 205Mもまた、Staphylococcusに対する良好な抗微生物有効性をもたらした。加えて、Bardac 205Mのモル:モル比を分析するデータは、Cola INCおよびM4539の組み合わせがE.coliに対して最も高い対数減少を示すことを提供する。Bardac 205MとNAS-FAL、EH-S、Colatrope INC、およびM4539との組み合わせもまた、Staphylococcusに対する良好な抗微生物有効性をもたらした。第4級アンモニウム組成物単独が、非常に良好な抗微生物薬であることが知られているが、第4級アンモニウム化合物は、あまり表面活性ではない組成物であり、殺菌剤などの表面活性剤としてのそれらの有用性を制限する。これらの結果は、第4級アンモニウム-アニオン性界面活性剤組成物において抗微生物有効性が維持されると同時に、第4級アンモニウム化合物単独と比較して、組み合わせの表面活性が大幅に高められることを示す(図1~4Cを参照されたい)。
【0253】
pH8.0のアニオン性界面活性剤と関連した第4級アンモニウム化合物の抗微生物有効性のさらなる検査を、上記のように実施した。組み合わせは、SLS、SLES、X-AES、NAS-FAL、エチルヘキシル-スルフェート(EH-S)、2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、オクタノエート、Marlowet4539、およびデカノエートのそれぞれと組み合わせた300ppm、150ppm、および75ppmの活性Bardac 205Mの7.5対1の質量比を含む。Bardac 205Mは、Lonzaから市販されており、その組成は、上記の通りである。結果は、図6Bに示される。
【0254】
結果は、Bardac 205M対SLS、SLES、X-AES、NAS-FAL、エチルヘキシル-スルフェート、2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、オクタノエート、Marlowet4539、およびデカノエートの7.5/1の質量比が、300ppmの第4級アンモニウム化合物において細菌の最も高い対数減少をもたらしたことを実証する。SLESおよびX-AES、2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、オクタノエート、Marlowet4539、およびデカノエートと組み合わせたBardac 205Mもまた、150ppmの第4級アンモニウム化合物において良好な抗微生物有効性をもたらした。
【0255】
実施例7
第4級アニオン性界面活性剤組成物の抗微生物有効性
E.coliに対する本発明の組成物の抗微生物有効性が、図7に示される。SLS、SLES、X-AES、NAS-FAL、エチルヘキシル-スルフェート(EH-S)、2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、オクタノエート、Marlowet4539、およびデカノエートのそれぞれとモル:モル比で組み合わされた300ppmのBardac第4級アンモニウム化合物の組み合わせを用いて、組成物を試験した。全ての試験組成物は、pH8であった。
【0256】
図8に示される結果は、Bardac 205Mと2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、およびオクタノエートとの組み合わせで、最も高い対数減少が生じたことを実証する。Bardac 205M第4級アンモニウムとMarlowet4539との組み合わせは、他の組み合わせよりも少ない程度の殺菌力を実証した。
【0257】
結果は、抗微生物有効性を高めるのではなくむしろ、いくつかの相互作用が第4級アンモニウムの抗微生物有効性を減少させる働きをすることをさらに実証する。特に、E.coliの死滅に関して、SLS、SLES、X-AES、NSA-FAL、エチルヘキシル-スルフェート、およびデカノエートのそれぞれと組み合わせた第4級アンモニウムは全て、第4級アンモニウム化合物の抗微生物活性を低減する働きをする。これらのアニオン性界面活性剤と第4級アンモニウム化合物との間の相互作用は、破壊的であると言われるか、または「失活」効果を実証する。
【0258】
理論に束縛されるものではないが、本発明は、電荷中和に起因する第4級アンモニウム塩とアニオン性界面活性剤との間の複合体またはイオン対が、親水性および疎水性の両方に対して非常に類似した有効断面積を有し、それらがもはや可溶性ではない限り、界面におけるスタッキングを非常に好ましいものにすることを実証する。複合体形成は、非常に好ましいため、脂肪酸分子間の凝集力を克服することができる。この試験は、スルフェートまたはスルホネートアニオン性界面活性剤に見られるより強いイオン結合が、抗微生物第4級アンモニウム化合物を中和し、溶解度を低減し、かつ/または不活性化するように働くことを実証する。また、より弱いイオン結合により、カルボキシル化アニオン性界面活性剤が、抗微生物第4級アンモニウム化合物を増強または活性化するように思われると考えられる。リン酸エステルなどの他の弱酸性アニオン性界面活性剤もまた、抗微生物活性を活性化する働きをする可能性が高い。
【0259】
実施例8
第4級アニオン性界面活性剤組成物の抗微生物有効性
pH8でのアニオン性界面活性剤と関連した第4級アンモニウム化合物のStaphylococcusに対する抗微生物有効性が、図8に示される。組み合わせは、X-AES、エチルヘキシル-スルフェート(EH-S)、2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、オクタノエート、Marlowet4539、およびデカノエートのそれぞれと組み合わせた300ppm、150ppm、および75ppmの活性Bardac 205Mの7.5対1の質量比を含む。
【0260】
図8に示される結果は、pH8でのBardac 205M対X-AES、エチルヘキシル-スルフェート(EH-S)、2-エチルヘキサノエート、Colatrope INC、オクタノエート、Marlowet4539、およびデカノエートの7.5:1の質量比が全て、第4級アンモニウム化合物の濃度に関係なく、Staphylococcusに対して優れた死滅特性を実証したことを実証する。上記のように、殺菌第4級アンモニウム化合物は、それ自体あまり表面活性ではない。本発明の例示的な組成物は、第4級アンモニウム塩-アニオン性界面活性剤の複合体が、抗微生物有効性を維持しながら、根本的により表面活性になることを示唆している。
【0261】
実施例9
第4級アンモニウム-アニオン性界面活性剤組成物の溶解度
1重量%のBardac 205M溶液と、以下の表に従ったスルフェートベースのアニオン性界面活性剤またはカルボキシレートベースのアニオン性界面活性剤のモル:モル比とを使用して、本発明の組成物を調製し、検体カップ中の外観挙動(例えば、沈殿)を観察した。得られた組み合わせの各々を観察して、単相が生じたか、組成物が透明か、または濁っているかどうか、および沈殿が生じたかを判定した。結果は、表3に提供される。
【表3】
【0262】
実施例10
抗微生物有効性-懸濁試験
Staphylococcusに対するBardac 205M-デカン酸ブレンドの抗微生物有効性を、食品接触殺菌剤試験法を使用して、pH4.0またはpH8.0で、かつ表4A~4Bで概説された条件下で評価した。以下の溶液を検査した。50ppmのBardac 205M、50ppmのBardac 205M+28ppmのデカン酸、75ppmのBardac 205M、および75ppmのBardac 205M+42ppmデカン酸。結果は、表4Cおよび図9Aに示される。
【表4A】
【表4B】
【表4C】
【0263】
上記の手順を使用して別の試験を実施して、E.coliに対するBardac 205M-デカン酸(Decanoci acid)ブレンドの抗微生物有効性を判定した。以下の溶液を検査した。50ppmのBardac 205M、50ppmのBardac 205M+28ppmのデカン酸、75ppmのBardac 205M、および75ppmのBardac 205M+42ppmのデカン酸。結果は、図9Bに示される。
【0264】
第4級アンモニウム化合物は、低水硬度条件(DI、5gpg、17gpg)と比較して硬水中の有効性が低減することが知られている。第4級アンモニウム塩/アニオン性の相乗効果は、完全なEPA有効性に対して、かつわずかに酸性の媒体(pH~5以下)下で、第4級アンモニウム濃度要件を低減する。水硬度の存在なしで、普遍的なpHおよび第4級アンモニウム塩の低濃度(50ppm未満)で作用する第4級アンモニウム塩/アニオン性の相乗効果。
【0265】
実施例11
抗微生物有効性-硬水
S.aureusおよびE.coliに対する第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤の抗微生物有効性を、表5Aに示されるように評価した。表5Bに示される水対照、1% Bardac第4級アンモニウム塩対照、および1%処方#1を、pH7.0で検査した。
【表5A】
【表5B】
【0266】
結果は、以下の表6~7に示される。
【表6】
【表7】
【0267】
上記の表6~7に示される結果は、微生物、特にE.coliが懸濁状態にあるとき、それらが、硬水および中性pH条件下で第4級アンモニウム塩または第4級アンモニウム塩/アニオン性ブレンドが死滅させることが困難であることを確認する。
【0268】
溶液のpHをpH7.0またはpH4.5で調製したことを除いて、上記の手順を使用して追加の試験を実施した。結果は、表8~9に示される。
【表8】
【表9】
【0269】
表8~9に示される結果は、懸濁試験における水硬度の問題が、pHをわずかに酸性(pH約4.5)にすることによって克服されることを示す。より低いpHは、第4級アンモニウム塩/デカン酸を第4級アンモニウム塩単独よりも補助する。500ppmの水硬度でさえも、pH7.0と比較してpH4.5で第4級アンモニウム塩/デカン酸の有効性が根本的に改善され、相乗的な第4級アンモニウム塩/デカン酸は、100ppmの第4級アンモニウム塩単独に対する5未満の対数死滅(殺菌できない)と比較して、75ppmの第4級アンモニウム塩レベルにおいて完全な死滅をもたらすことを実証する。
【0270】
実施例12
第3シンク殺菌剤
第3シンク消毒剤として使用するための第4級アンモニウム化合物およびアニオン性界面活性剤の抗微生物有効性を、表10に示されるように評価した。
【表10】
【0271】
結果は、以下の表11に示される。
【表11】
【0272】
これらの結果は、500ppmの水硬度条件下で、デカノエート(中性pHでアニオン型)が第4級アンモニウム塩を「失活」させる一方で、デカン酸(pH4.5でプロトン化型)が第4級アンモニウム塩を「相乗」させることを確認する。しかしながら、アルコールエトキシカルボキシレート(Emulsogen CNO)は、中性pH下で第4級アンモニウム塩を失活させない。理論に束縛されるものではないが、我々は、中性pHで、E.coliなどの微生物の外壁上のカルボキシル基が、第4級アンモニウム塩の主な誘引部位(反対の電荷誘引)であると考えている。しかしながら、水硬度カチオン(Ca++およびMg++)は、それらにさらに誘引され、第4級アンモニウム化合物を効果的に「遮断」する。デカノエートは、微生物の外壁に付着しているCa++およびMg++に誘引され、それらをより疎水性にし得るため(例えば、石鹸かすと同様に)、本発明に従った第4級アンモニウム塩/カルボン酸の組み合わせは、なおさらなる不活性化をもたらす。一態様において、これは、アルコールエトキシカルボキシレートが、石灰石鹸を形成しにくいため、デカノエートよりも良好な結果になる理由をさらに確認する。しかしながら、pHを約4.5に低下させると、微生物の外壁上のカルボキシル基の一部がプロトン化され、それらを第4級アンモニウム塩に対して開放し、根本的により表面活性である第4級アンモニウム塩/デカン酸に対してはなおさらそうである。
【0273】
実施例13
食品接触殺菌-硬水pH研究
様々なpH条件における第4級アンモニウム塩-アニオン性界面活性剤ブレンドの抗微生物有効性を分析するさらなる試験を行った。本発明に従った組成物(および第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤の両方を含まない対照)ならびに結果が、表12~13に示される。
【表12】
【0274】
これらのデータは、約pH5でのpHの切り捨てを明確に示す。
【表13】
【0275】
これらのデータは、より低い第4級アンモニウム塩レベルにおける酸性pHでの第4級アンモニウム塩/デカン酸の相乗効果を明らかに示された。
【0276】
実施例14
硬質表面殺菌-硬水pH研究
硬質を伴う様々なpH条件における第4級アンモニウム塩-アニオン性界面活性剤ブレンドの抗微生物有効性を分析するさらなる試験を行った。組成物(および第4級アンモニウム化合物とアニオン性界面活性剤の両方を含まない対照)、評価された条件、ならびに結果が、表14~18に示される。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0277】
表17~18に示されるように、予想外の結果は、非常に硬水の条件(1ガロン当たり15グレイン、または2565ppmの水硬度)においてさえ、第4級アンモニウム塩/デカン酸に示されるように、第4級アンモニウム塩/アニオン性組成物の組み合わせは、50ppmジ-オクチル第4級アンモニウム塩レベルほどの低さで、より困難なE.coliの5対数死滅を提供することを示す。これは、第4級アンモニウム塩/アニオン性が、非常に硬水の条件下でさえ、かつ中性以上のpHにおいて、硬質表面上に堆積する微生物に対して非常に有効であることを確認する。汚水槽からのサンプリングは、微生物が表面から除去されるだけでなく、微生物が殺滅されることを確認する。
【0278】
実施例15
高発泡非極性比研究
本発明上の組成物の非モル比を分析するさらなる試験を行った。評価した組成物、条件、および結果は、表19に示される。
【表19】
【0279】
これらの結果は、本発明の組成物に従ったモル比、すなわち、多くの非モル第4級アンモニウム塩/アニオン性の組み合わせ(アニオン性より多い第4級アンモニウム塩)が、中性および酸性pHの両方で500ppmの水硬度懸濁試験に合格することを確認する。しかしながら、組成物がモル比から遠いほど、表面活性の利点は少なくなり、所望の表面活性/湿潤に対するpH依存性のトレードオフを実証する。
【0280】
実施例16
Bardac LF80およびアニオン性ポリマーの動的表面張力
SITA science line t60は、液体の動的表面張力を半静的範囲まで測定する。気泡は、既知の半径を有する毛細管から生成する。気泡の圧力は、気泡寿命時間の関数として測定され、ヤング-ラプラス方程式に従って表面張力に相関させることができる。動的表面張力は、動的条件下での界面活性剤および他の表面活性化合物の動的挙動、すなわちどれだけ迅速に界面活性剤が表面に到達することができるかについての洞察を提供する。界面活性剤の動的表面張力の挙動は、界面活性剤の迅速な応答が必要な用途、例えば自動化された食器洗いの短いすすぎサイクルにおいて特に重要である。
装置および材料:
1.SITA T60(Sita Messtechnik, Germany)
2.撹拌棒を有するオイルバス
3.加熱および撹拌プレート
4.ガラスビーカー
5.ガラスバイアル(20mL)
【0281】
DI水によってSITA science line t60を校正した。校正後の清浄水サンプルは、72.0±1.0mN/mの表面張力を有するべきである(品質および温度に依存する)。校正に続いて、所望の時間間隔(すなわち0.3、1.6、3.0、9.1秒)で測定を行うようにSITAをプログラミングした。Bardac LF80および異なる濃度のAcusol 445の動的表面張力に対する効果を判定するために、以下の5つの溶液をpH7.0で分析した。100ppmのBardac LF80;10ppmのAcusol 445;100ppmのBardac LF80+10ppmのAcusol 445;100ppmのBardac LF80+30ppmのAcusol 445;および100ppmのBardac LF80+75ppmのAcusol 445。
【0282】
10~15mLを20mLのバイアルに移し、72℃(160°F)±2℃まで加熱された油浴中に浸漬した。サンプルを10~15分間平衡化した。試料を油浴から個々に取り出し、SITAで試験した。各々のサンプルを試験した後、SITAの浄化手順を実施し、次いでSITAが適切に浄化されたことを確認するためにDI水の表面張力をチェックした。DI水測定が72.0±1.0mN/mの範囲内にない場合、浄化手順を再び実施した。160°Fにおける気泡寿命時間に対する表面張力(mN/m)を記録し、図10に示した。
【0283】
これらの実験からのデータは、Bardac LF80自体が遅い動的表面活性を示すことを実証する。同様に、Acusol 445単独は、表面活性をほとんど示さない。しかしながら、Bardac LF80とAcusol 445との組み合わせは、個体のいずれかよりも動的に活性である。さらに、Bardac LF80と上昇レベルのAcusol 445との間の相乗効果の増大が見られるが、Acusol 445の30ppmと75ppmとの間で、相乗効果は横ばいである。
【0284】
動的表面活性のさらなる試験を実施して、他のBardac LF80とポリマーとの組み合わせの相乗効果を評価した。上に概説した手順に従って、pH7.0での以下の5つの溶液の表面活性を判定した。100ppmのBardac LF80;100ppmのBardac LF80+75ppmのPSO;100ppmのBardac LF80+75ppmのAcusol 445;および100ppmのBardac LF80+75ppmのAR-801。これらの結果は、図11に示される。
【0285】
図10に示される結果と一致して、図11のデータは、試験したBardac LF80とアニオン性ポリマー(Acusol 445、PSO、およびAR-801)との間の相乗効果を明確に示す。第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマー溶液は、第4級アンモニウム塩溶液単独と比較して動的表面活性を増加させた。試験した濃度の3つのポリマーは全て、同等の速度でBardac LF80の動的表面活性を増加させることができた。
【0286】
Bardac LF80-アニオン性ポリマー溶液中の表面活性の観察された促進がpHに依存していたかどうかを判定するために、以下の溶液をpH11.0で上の手順に従って試験した。100ppmのBardac LF80;10ppmのAcusol 445;100ppmのBardac LF80+10ppmのAcusol 445;100ppmのBardac LF80+75ppmのAcusol 445。この実験の結果は、図123に示される。
【0287】
このデータから分かるように、pH11.0への変化は、Acusol 445単独の表面活性に観察可能な影響を及ぼさない。一方、Bardac LF80単独の表面活性は、図11の結果と組み合わせて見ると、pH11.0で増加するように思われる。しかしながら、アニオン性ポリマーと第4級アンモニウム塩との間の相乗効果は依然として観察され、表面活性の相乗的な増加がpHとは無関係であることを示す。
【0288】
実施例17
第4級アンモニウム塩およびアニオン性ポリマーの動的表面張力
第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマー対の動的表面張力の調査を、以下の溶液について実施例16に記載されるようにpH7.0で継続した。100ppmのBardac 2250;100ppmのBardac 2250+75ppmのPSO;100ppmのBardac 2250+75ppmのAcusol 445;100ppmのBardac 2250+75ppmのAR-801。この実験からのデータは、図13に示される。図13の結果は、図10のデータと組み合わせて見ると、Bardac 2250に対して根本的な相違を示し、アニオン性ポリマーと組み合わせたC10第4級アンモニウム化合物とC8第4級アンモニウム化合物との間の表面活性の相違を実証する。Bardac 2250がより小さいPSOおよびAR-801によって相乗されるように思われるが、より大きいアニオン性ポリマーAcusol 445によって不活性化されることは明らかである。
【0289】
Acusol 445によるBardac 2250の不活性化をさらに試験するために、実施例16の手順をpH7.0の以下の溶液に対して使用した。100ppmのBardac 2250;10ppmのAcusol 445;100ppmのBardac 2250+10ppmのAcusol 445;100ppmのBardac 2250+20ppmのAcusol 445;および100ppmのBardac 2250+50ppmのAcusol 445。結果は、図14に示される。このデータから分かるように、Acusol 445は、動的表面活性に関してBardac 2250の用量依存的不活性化を示す。Acusol 445の濃度が増加するにつれて、Bardac 2250の表面張力が気泡寿命にわたって減少する速度が減少する。
【0290】
Bardac 2250の動的表面張力のAcusol 445媒介不活性化が溶液のpHに依存するかどうかを判定するために、pH7.0およびpH11.0の溶液を対照比較したことを除いて、実施例16に概説した手順に従ったさらなる試験を使用した。具体的には、以下の3つの溶液を分析した。100ppmのBardac 2250;pH7.0の100ppmのBardac 2250+50ppmのAcusol 445;およびpH11.0の100ppmのBardac 2250+50ppmのAcusol 445。結果は、図15に示される。データは、Acusol 445によるBardac 2250の不活性化がpH11.0で維持されることを実証する。Acusol 445と組み合わせたBardac 2250の溶液の表面張力は、pHにかかわらず同等の速度で減少する。一方、Bardac 2250単独の表面張力は、気泡寿命にわたって急速に減少する。
【0291】
第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマー対の動的表面張力を、実施例16に記載される手順を使用してさらに評価して、C8~C10第4級アンモニウム化合物の組み合わせが活性化または不活性化に及ぼす影響を評価した。これらの実験のために、以下の溶液をpH7.0で調製した。100ppmのBardac 205M;100ppmのBardac 205M+75ppmのPSO;100ppmのBardac 205M+75ppmのAcusol 445;および100ppmのBardac 205M+75ppmのAR-801(図16)または100ppmのUniquat QAC50;100ppmのUniquat QAC50+75ppmのPSO;100ppmのUniquat QAC50+75ppmのAcusol 445;および100ppmのUniquat QAC50+75ppmのAR-801(図17)。Bardac 205M-アニオン性ポリマー対を検査したデータが図16に示され、Uniquat QAC50-アニオン性ポリマー対の結果が図17に示される。
【0292】
図13の結果と一致して、Bardac 205Mの混合物もまた、より小さいアニオン性ポリマーであるPSOおよびAR-801によって相乗される。Bardac 205Mと組み合わせたPSOおよびAR-801の両方が、Bardac 205M単独と比較して動的表面張力の減少を示す。一方、より大きいアニオン性ポリマーであるAcusol 445は、図13と比較して緩やかな不活性化ではあるが、Bardac 205Mの動的表面張力に不活性化効果を有した。さらに、Uniquat QAC50溶液は同様の傾向に追随し、より小さいアニオン性ポリマーであるPSOおよびAR-801は、相乗的な表面活性を示す。しかしながら、Acusol 445およびUniquat QAC50の混合物は、穏やかに不活性化された表面活性を示す(図17)。
【0293】
実施例16および実施例17の結果を組み合わせて見ると、Bardac LF80(C8)およびアニオン性ポリマーの組み合わせが、pHまたはポリマーサイズに依存しない相乗的な表面活性促進特性を示すことを示す。一方、Bardac 2250、Bardac 205M、およびUniquat QAC50もまた、より小さいアニオン性ポリマー(PSOおよびAR-801)と混合した場合に相乗的な表面活性促進効果を示すが、より大きいアニオン性ポリマーであるAcusol 445と混合したときのポリマー濃度およびpHの関数として拮抗的な傾向(すなわち、不活性化)を示す。
【0294】
実施例18
第4級アンモニウム塩-キレート剤溶液の動的表面張力
SITA science line t60システムおよび実施例16に記載される手順を使用して、第4級アンモニウム塩-アニオン性キレート剤溶液の組み合わせを分析した。具体的には、以下の溶液をpH7.0で分析した。100ppmのBardac LF80;100ppmのBardac LF80+10ppmのHEDP;100ppmのBardac LF80+20ppmのHEDP;100ppmのBardac LF80+50ppmのHEDP;および100ppmのBardac LF80+75ppmのHEDP。これらの結果は、図18に示される。これらの結果は、HEDPと組み合わせたBardac LF80の動的表面活性の増加を示す。相乗的な傾向は、キレート剤の濃度の関数であるように思われるが、これはわずかな傾向である。
【0295】
追加の第4級アンモニウム化合物を、実施例16に概説した手順に従って、アニオン性キレート剤と組み合わせて試験した。以下の溶液を調製して試験した。100ppmのBardac 2250;100ppm Bardac 2250+75ppmのDequest 2000;および100ppmのBardac 2250+75ppmのTrilon M(図19)または100ppmのUniquat QAC50;100ppmのUniquat QAC50+75ppmのDequest 2000;および100ppmのUniquat QAC50+75ppmのTrilon M(図20)。Bardac 2250-アニオン性キレート剤の組み合わせからの結果が図19に示され、Uniquat QAC50-アニオン性キレート剤の組み合わせからの結果が図20に示される。
【0296】
この実験からのデータは、第4級アンモニウム塩-アニオン性キレート剤溶液の相乗的表面活性促進特性を示す。Bardac 2250およびUniquat QAC50の両方について、Dequest 2000またはTrilon Mと組み合わせた場合、表面活性の増加が観察された。アニオン性キレート剤の両方が試験した3つの第4級アンモニウム化合物(Bardac LF80、Bardac 2250、およびUniquat QAC50)の全ての表面張力を減少させることができた一方で、Trilon Mは、第4級アンモニウム塩-Dequest 2000の組み合わせと比較して、気泡寿命にわたって一貫してより低い表面張力を生じた。
【0297】
第4級アンモニウム塩-アニオン性キレート剤の組み合わせの観察された相乗効果が溶液のpHに依存するかを判定するために、異なるpHであったことを除いて、実施例16に概説した手順に従ってさらなる試験を使用した。以下の溶液を分析した。pH7.0の100ppmのBardac LF80;pH3.0の100ppmのBardac LF80+100ppmのTrilon M;pH9.0の100ppmのBardac LF80+100ppmのTrilon M;およびpH11.0の100ppmのBardac LF80+Trilon M。この実験からのデータは、図21に示される。これらの結果から分かるように、溶液のpHが試験した溶液の動的表面活性にほとんど影響を及ぼさなかったため、Bardac LF80とTrilon Mとの間の相乗的傾向は、pHとは無関係であるように思われる。
【0298】
実施例18の実験の結果を組み合わせて見ると、第4級アンモニウム塩(Bardac LF80、Bardac 2250、およびUniquat QAC50)ならびにアニオン性キレート剤(Dequest 2000およびTrilon M)は、図18~20に見られるように、第4級アンモニウム塩溶液単独と比較して、組み合わせた場合に相乗的な表面活性促進特性を示すことが分かる。加えて、第4級アンモニウム塩およびアニオン性キレート剤の相乗的傾向は、図18および図21にそれぞれ示されるように、キレート剤濃度の関数であり、pHに依存しないように思われる。
【0299】
実施例19
第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマー溶液の溶解度
1%第4級アンモニウム塩および100ppmのポリマーを使用した一般的な溶液挙動を分析した。結果は、表20に示される。
【表20】
【0300】
500ppmクワットを用いたさらなる溶液挙動および相変化前のポリマーの最大添加(沈殿点)を分析した。ポリマーを最大濃度(不溶性点)まで添加した。結果は、表21に示される。
【表21】
【0301】
これらの実験からの結果は、第4級アンモニウム上の鎖長がより短いことを示し、ポリマー組み込みのより高いレベルを支持した。
【0302】
実施例20
ミネラル堆積物の除去
対象物の表面から汚れを除去するための第4級アンモニウム塩-アニオン性キレート剤および第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマーの組み合わせの有効性を決定するために、以下の手順を使用した。自動ディップテスターユニットを使用して、水、50ppmのキレート剤(GLDA)、100ppmのBardac LF80+50ppmのキレート剤(GLDA)の溶液に、予め汚れたポリプロピレンクーポン(ミネラル堆積物)を浸漬した。溶液を調製し、別々のビーカー中で撹拌した。汚れたタイルを様々な浄化組成物のビーカーに10分間沈めた。その後、タイルを視覚的に分析して、タイルの清浄度、すなわちミネラル堆積物の除去を評価した。第4級アンモニウム塩-アニオン性キレート剤溶液および第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマー溶液についてのこのスケール除去の目視観察は、図22に示される。
【0303】
同じ自動ディップテスターユニットを使用して、水、25ppmのAcusol 445、100ppmのBardac LF80+25ppmのAcusol 445、および100ppmの非イオン性界面活性剤(Surfonic 12-6)+25ppmのAcusol 445の溶液に、予め汚れたポリプロピレンクーポン(ミネラル堆積物)を浸漬した。第4級アンモニウム塩-アニオン性キレート剤溶液および第4級アンモニウム塩-アニオン性ポリマー溶液についてのスケール除去の目視観察は、図23に示される。
【0304】
結果は、本発明の実施形態に従った第4級アンモニウム塩とアニオン性ポリマー/キレート剤との相乗的組み合わせを使用する利点を示す。組み合わせは、アニオン性ポリマー(100ppmの非イオン性界面活性剤(Surfonic 12-6)+25ppmのAcusol 445によって示される)と組み合わせた非相乗的非イオン性界面活性剤よりも、キレート剤およびポリマーの汚れ除去力を高める。本発明の作用または理論の特定の機構に束縛されるものではないが、第4級アンモニウム塩およびアニオン性ポリマー/キレート剤は、キレート剤またはポリマーとより多くの表面活性複合体を形成し、それは、表面過剰および/またはより少ない電荷反発機構を通して表面上のスケールを効果的に探し出す。非相乗的界面活性剤(すなわち、非イオン性界面活性剤)は湿潤を改善することができるが、キレート剤および/またはポリマーの表面過剰および/またはより少ない電荷反発は存在しない。
【0305】
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本発明の精神および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇に含まれることが意図される。上記の明細書は、開示される組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの実施形態が作られ得るため、本発明は、特許請求の範囲の中にある。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0305
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0305】
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本発明の精神および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇に含まれることが意図される。上記の明細書は、開示される組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの実施形態が作られ得るため、本発明は、特許請求の範囲の中にある。
以下の項目[1]~[46]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
以下の式:
【化1】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有する、第4級アンモニウム化合物と、
C6~C18の鎖長を有するアニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー、またはアニオン性キレート剤と
を含む、抗微生物組成物であって、
前記組成物は、約1~約12のpHを有し、シランおよび酸化剤を実質的に含まない、すぐに使用できる溶液、または水に可溶性の固体もしくは液体濃縮物である、抗微生物組成物。
[2]
前記アニオン性界面活性剤が、カルボン酸および/またはリン酸エステルである、請求項1に記載の抗微生物組成物。
[3]
前記pHが、約1~約10である、請求項1または2に記載の抗微生物組成物。
[4]
前記pHが、約1~約7である、請求項1または2に記載の抗微生物組成物。
[5]
前記アニオン性界面活性剤が、アルコキシル化または非アルコキシル化の直鎖または分岐鎖カルボキシレートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[6]
前記アニオン性界面活性剤が、アルコキシル化または非アルコキシル化の直鎖界面活性剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[7]
前記アニオン性界面活性剤が、第1級直鎖カルボキシレートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[8]
前記アニオン性界面活性剤が、C6~C10の鎖長を有する中鎖界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[9]
前記アニオン性界面活性剤が、C8~C10の鎖長を有する中鎖界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[10]
前記アニオン性キレート剤またはポリマーが、アミノカルボキシレートもしくはその誘導体、ホスホン酸、またはホスホネート塩である、請求項1に記載の抗微生物組成物。
[11]
アニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対第4級アンモニウムのモル比が、約10モルのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対約1モルの第4級アンモニウムから、約1モルのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対約10モルの第4級アンモニウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[12]
アニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対第4級アンモニウムの前記モル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマー対約1モルの第4級アンモニウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[13]
前記第4級アンモニウム化合物が、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、複素芳香族アンモニウム塩、多置換第4級アンモニウム塩、ビス-第4級アンモニウム塩、ポリマー性第4級アンモニウム塩、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[14]
前記第4級アンモニウム化合物が、ジアルキル第4級アンモニウムおよびアルキルベンジル第4級アンモニウムのうちの1つ以上からなり、前記アニオン性界面活性剤が、オクタン酸、ノナン酸、またはデカン酸のうちの1つ以上からなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[15]
前記第4級アンモニウム化合物基R1、R2、R3、およびR4が各々、C10未満の鎖長を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[16]
前記第4級アンモニウム化合物が、ジオクチル(C8)ジメチルアンモニウムクロリド、ジデシル(C10)ジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンジルアンモニウムクロリド、および/またはアルキルベンジルアンモニウムクロリドであり、前記アニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマーが、ポリアクリル酸ポリマー、ホスホスクシネート付加物/オリゴマー(PSO)、および/またはポリカルボキシレートである、請求項15に記載の抗微生物組成物。
[17]
酸味料をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[18]
前記第4級アンモニウムが、8~20個の炭素原子の炭素鎖長を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[19]
前記第4級アンモニウムが、8~16個の炭素原子の炭素鎖長を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[20]
前記組成物が、使用溶液中に、約50ppm~約400ppmの第4級アンモニウム化合物、および少なくとも約10ppmのアニオン性界面活性剤、キレート剤、またはポリマーを提供する、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[21]
追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、pH調整成分、芳香剤および/または染料、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の機能性成分をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
[22]
微生物を死滅させる方法であって、
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗微生物組成物を基材に適用することを含み、
前記組成物が、処理された表面上で少なくとも5対数の死滅を提供し、かつ/またはスケール堆積物を減少させる、方法。
[23]
前記組成物のpHが、約1~約7である、請求項22に記載の方法。
[24]
前記組み合わせの前記pHが、約1~約6である、請求項22に記載の方法。
[25]
使用溶液条件が、少なくとも約500ppmの水硬度イオンの水硬度を有し、前記組成物が最大約500ppmの水硬度の水条件に耐性である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
[26]
前記使用溶液条件が、5グレイン/ガロン(gpg)を超える水硬度を有する、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記使用溶液条件が、約5グレイン/ガロン(gpg)~約15グレイン/ガロン(gpg)の水硬度を有する、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
[28]
脂肪酸を迅速に可溶化して抗微生物有効性を高める方法であって、前記方法は、
以下の式を有する第4級アンモニウムを脂肪酸に添加することを含み、
【化2】
式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有し、
前記可溶化が、不快な脂肪酸臭を脱臭する、方法。
[29]
前記脂肪酸が、カルボン脂肪酸である、請求項28に記載の方法。
[30]
前記脂肪酸と前記第4級アンモニウムとの組み合わせを水中で行う、請求項28に記載の方法。
[31]
前記可溶化脂肪酸、前記第4級アンモニウムが、成分単独または組み合わせのいずれかと比較して高い有効性として測定される相乗的抗微生物有効性を提供する、請求項28に記載の方法。
[32]
カルボン脂肪酸対第4級アンモニウムのモル比が、約2モルのカルボン脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウムから、約1モルのカルボン脂肪酸対約10モルの第4級アンモニウムである、請求項28に記載の方法。
[33]
カルボン脂肪酸対第4級アンモニウムの前記モル比が、約1モルのカルボン脂肪酸対約1モルの第4級アンモニウムである、請求項28に記載の方法。
[34]
抗微生物第4級組成物を不活性化するためのアニオン性界面活性剤の使用方法であって、前記方法は、
以下の式:
【化3】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有する、第4級アンモニウム化合物を含む水源または廃水流を、少なくともC12の鎖長かつC20未満の鎖長を有するアニオン性界面活性剤で処理することを含み、
前記アニオン性界面活性剤が、約1~約12のpHを有し、
水源または廃水流が、不活性化組成物によって破壊されない細菌を含有する、方法。
[35]
前記アニオン性界面活性剤が、スルフェートおよび/もしくはスルホネートアニオン性界面活性剤、または約4000を超える分子量を有するポリアクリル酸ポリマーである、請求項34に記載の方法。
[36]
前記不活性化抗微生物組成物の前記アニオン性界面活性剤が、請求項1を含み、それが、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、LAS(直鎖アルキルベンジルスルホネート)、およびAOS(アルファオレフィンスルホネート)からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
[37]
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖または分枝鎖のアルコキシル化または非アルコキシル化スルフェートまたはスルホネートである、請求項34に記載の方法。
[38]
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖の非アルコキシル化スルフェートまたはスルホネートである、請求項34に記載の方法。
[39]
不活性化抗微生物組成物が硬水条件下で有効である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
[40]
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比が、約10モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物から、約1モルのアニオン性界面活性剤対約10モルの第4級アンモニウムであり、前記モル比が、前記第4級アンモニウム化合物の不活性化の程度を制御する、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
[41]
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物の前記モル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物であり、前記モル比が、前記第4級アンモニウム化合物の不活性化の程度を制御する、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記第4級アンモニウム化合物が、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、複素芳香族アンモニウム塩、多置換第4級アンモニウム塩、ビス-第4級アンモニウム塩、ポリマー性第4級アンモニウム塩、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
[43]
前記第4級アンモニウム化合物が、ジアルキル第4級アンモニウムとアルキルベンジル第4級アンモニウムとの混合物からなり、10個未満の炭素原子の鎖長を有する、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
[44]
前記不活性化抗微生物組成物が、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、pH調整成分(酸味料)、芳香剤および/または染料、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の機能性成分をさらに含む、請求項34~43のいずれか一項に記載の方法。
[45]
第4級アンモニウム化合物を含む界面活性および/または抗微生物組成物を不活性化するためのキットであって、前記キットは、
(a)少なくともC12の鎖長かつC20未満の鎖長を有するアニオン性界面活性剤と、
(b)前記アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比を決定および/または提供するための測定手段および/または投与手段と、を含み、
前記第4級アンモニウム化合物は、以下の式:
【化4】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有し、
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物である、キット。
[46]
指示書をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物第4級組成物を不活性化するためのアニオン性界面活性剤の使用方法であって、前記方法は、
以下の式:
【化3】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有する、第4級アンモニウム化合物を含む水源または廃水流を、少なくともC12の鎖長かつC20未満の鎖長を有するアニオン性界面活性剤で処理することを含み、
前記アニオン性界面活性剤が、約1~約12のpHを有し、
水源または廃水流が、不活性化組成物によって破壊されない細菌を含有する、方法。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、スルフェートおよび/もしくはスルホネートアニオン性界面活性剤、または約4000を超える分子量を有するポリアクリル酸ポリマーである、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記不活性化抗微生物組成物の前記アニオン性界面活性剤が、請求項1を含み、それが、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、LAS(直鎖アルキルベンジルスルホネート)、およびAOS(アルファオレフィンスルホネート)からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖または分枝鎖のアルコキシル化または非アルコキシル化スルフェートまたはスルホネートである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖の非アルコキシル化スルフェートまたはスルホネートである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
不活性化抗微生物組成物が硬水条件下で有効である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比が、約10モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物から、約1モルのアニオン性界面活性剤対約10モルの第4級アンモニウムであり、前記モル比が、前記第4級アンモニウム化合物の不活性化の程度を制御する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物の前記モル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物であり、前記モル比が、前記第4級アンモニウム化合物の不活性化の程度を制御する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第4級アンモニウム化合物が、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、複素芳香族アンモニウム塩、多置換第4級アンモニウム塩、ビス-第4級アンモニウム塩、ポリマー性第4級アンモニウム塩、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第4級アンモニウム化合物が、ジアルキル第4級アンモニウムとアルキルベンジル第4級アンモニウムとの混合物からなり、10個未満の炭素原子の鎖長を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記不活性化抗微生物組成物が、追加の界面活性剤、増粘剤および/または粘度調整剤、溶媒、溶解度調整剤、保湿剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、凝固剤、被覆剤、pH調整成分(酸味料)、芳香剤および/または染料、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝液、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の機能性成分をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第4級アンモニウム化合物を含む界面活性および/または抗微生物組成物を不活性化するためのキットであって、前記キットは、
(a)少なくともC12の鎖長かつC20未満の鎖長を有するアニオン性界面活性剤と、
(b)前記アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比を決定および/または提供するための測定手段および/または投与手段と、を含み、
前記第4級アンモニウム化合物は、以下の式:
【化4】
を有し、式中、基R1、R2、R3、およびR4の各々が、C20未満の鎖長を有し、
アニオン性界面活性剤対第4級アンモニウム化合物のモル比が、約1モルのアニオン性界面活性剤対約1モルの第4級アンモニウム化合物である、キット。
【請求項13】
指示書をさらに含む、請求項12に記載のキット。
【外国語明細書】