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特開2023-153061ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153061
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/02 20060101AFI20231005BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20231005BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231005BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231005BHJP
   B60T 7/04 20060101ALI20231005BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20231005BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20231005BHJP
【FI】
B60T7/02 D
B60K26/02
B60R16/02 640K
G08G1/16 C
B60T7/04 Z
G05G1/30 E
G05G1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056867
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022057892
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522129535
【氏名又は名称】株式会社Soft Mobility Initiative
(71)【出願人】
【識別番号】507286611
【氏名又は名称】学校法人 千葉学園
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】弁理士法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小栗 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 洋平
(72)【発明者】
【氏名】関水 信和
(72)【発明者】
【氏名】小倉 直己
【テーマコード(参考)】
3D037
3D124
3J070
5H181
【Fターム(参考)】
3D037EA06
3D037EA08
3D037EB02
3D037EC05
3D037EC07
3D124AA32
3D124BB01
3D124CC15
3D124CC43
3D124DD42
3D124DD44
3D124DD52
3J070AA32
3J070BA41
3J070BA51
3J070CB01
3J070CB37
3J070CC22
3J070CC71
3J070DA01
5H181AA01
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】運転者がブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えをしていることを的確に該運転者に知らしめて、ブレーキペダルを正しく踏むように誘導するブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供すること。
【解決手段】ブレーキペダルBとアクセルペダルAの踏み違えを防止するために、両方のペダルの変位または足Fの位置を検知して、該運転者がどちらのペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにする装置であって、
該ブレーキペダルBの変位または足Fの位置を検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルAの変位または足Fの位置を検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ペダル変位検知ユニット30からの信号によって、どちらのペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニット50と、
を具備することを特徴とするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの変位とアクセルペダルの変位とを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの変位を検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの変位を検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項2】
自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するかを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの上に足が存在しているか否かを検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの上に足が存在しているか否かを検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項3】
前記運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、前記自動車の外部からも視覚的に確認できるようにするものであって、
ブレーキペダルが変位したか、または、アクセルペダルが変位したかを、区別して、前記表示ユニットが、自動車の外部の人にも視覚的に認知させるようになっている請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項4】
前記ブレーキペダル変位検知ユニット、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットが、それぞれ、ブレーキの駆動、および/または、アクセルの駆動のために前記自動車に設置されているものである請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項5】
前記ブレーキペダル変位検知ユニット、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットが、それぞれ、ブレーキの駆動、および/または、アクセルの駆動のために前記自動車に設置されているものではなく、別途設置されるものである、請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項6】
前記ペダル変位検知ユニットが、前記ペダルの変位を物理的に検知するものであって、
対応するペダルの可動部に、その下端に具備された固定部材によって固定できるようになっているワイヤと、
該ワイヤの上端を含んで位置し、該ワイヤを弾性的な引き出しを可能に保持するワイヤリールと、
該ワイヤリールから該ワイヤが引き出された長さの変動を検知するワイヤ変動検知手段と、
を具備する請求項1に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項7】
前記ペダル変位検知ユニットは、前記ブレーキペダルと前記アクセルペダルの上方、かつダッシュボードの下側である位置に吊り下げができるようになっており、ブレーキペダル用ワイヤとアクセルペダル用ワイヤが、たるみなく、かつ運転者の足に接しないように吊り下げができるようになっている請求項6に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項8】
前記ワイヤ変動検知手段が、前記ワイヤリールから引き出されたワイヤを巻き付けてあり、回転部分に磁石を保持するトラックプーリ、および、該磁石の動きを検知する磁気センサーを具備する請求項6または請求項7に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項9】
前記ブレーキペダル用ワイヤ、前記アクセルペダル用ワイヤ、および、前記ペダル変位検知ユニットは、運転者が運転席から見える位置に設置されることによって、ブレーキペダルとアクセルペダルの変位を検知していることを運転者に認知させるようになっている請求項7に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項10】
ブレーキ動作における前記ブレーキペダルの初期遊び以内の変位であっても、前記ブレーキペダル用ワイヤの変位を前記ペダル変位検知ユニットが検知するようになっている、および/または、アクセル動作における前記アクセルペダルの初期遊び以内の変位であっても、前記アクセルペダル用ワイヤの変位を前記ペダル変位検知ユニットが検知するようになっている請求項7に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項11】
前記ブレーキペダル変位検知ユニットによるブレーキペダルの変位、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットによるアクセルペダルの変位を、超音波距離センサーまたは光センサーで、前記ブレーキペダルの変位および/もしくは前記アクセルペダルの変位を検知する、または、前記ブレーキペダルもしくは前記アクセルペダルの上の足の存在を検知する、請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項12】
前記「ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を光センサーで行う請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項13】
前記「ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を、該ブレーキペダルの上の足までの距離を赤外線センサーで測定するブレーキペダル用赤外線センサー、および/または、該アクセルペダルの上の足までの距離を赤外線センサーで測定するアクセルペダル用赤外線センサーで行うことによって検知する請求項12に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項14】
前記表示ユニットは、前記ブレーキペダルが変位したか、前記アクセルペダルが変位したかを、ランプの色の違いによる区別、2個のランプの左右の位置の違いによる区別、および/または、文字もしくは画像による区別によって、前記運転者および/または前記自動車の外部の人に、視覚的に認知させるようになっている請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項15】
前記表示ユニットは、前記ブレーキペダルが変位したか、前記アクセルペダルが変位したかを、前記運転者に聴覚的に認知させるようになっている請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項16】
前記運転者に視覚的に認知させる表示ユニットは、運転中にフロントウィンドウからの視界を遮らないように、ダッシュボードの上であって、常に運転者の視界に入るように該運転者の前方に設置できるようになっている請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項17】
前記運転者に視覚的に認知させる前記表示ユニットは、前記自動車をバックさせているときにリアウィンドウからの視界を遮らないように、常に運転者の視界に入るように運転者の後方に設置できるようになっている請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【請求項18】
自動車に脱着可能なようになっている、請求項1または請求項2に記載のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えに起因する自動車の暴走等の事故を防止するために、該ペダルの踏下状態または該ペダルの上の足の位置を検知して該運転者に視覚的に認知させるブレーキアクセルペダル変位検知表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキとアクセルの踏み違え事故(以下、「踏み違え事故」)とは、本来ブレーキペダルを踏み、自動車を減速させなければならない局面であるにもかかわらず、運転者がアクセルペダルを踏み続けることによって自動車が暴走し、その結果として発生する交通事故のことである。踏み違え事故はマニュアル・トランスミッション(MT)型の自動車では見られず、オートマチック・トランスミッション(AT)型自動車に特有である。踏み違え事故は高い確率で、周囲の歩行者や他の車両を巻き込む重大事故に発展し、貴重な人命が失われることも少なくない。国内では踏み違え事故が1年間に5,000件以上発生しており、それによる死亡者は60人以上となっている。踏み違え事故の減少・根絶は交通安全上の重要な課題となっている。そのために既存の自動車に種々の機能を付加する技術が各種案出されている。
【0003】
特許文献1には、運転者がブレーキペダルかアクセルペダルの上に足をのせるとセンサーが感知して、ランプやブザーで運転者に知らせるペダルカバーが記載されている。
【0004】
特許文献2には、ペダルが踏み込まれたことを発光部からの光の遮蔽の有無で検知する外付け検知装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、運転者がブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違えをしないように注意喚起する、ペダル踏み間違え注意喚起シールが記載されている。
【0006】
特許文献4には、アクセル操作表示灯とブレーキ操作表示灯とが計器板またはダッシュボード上に備えられており、該操作表示灯は制御部と電気的に接続されて、該制御部には各ペダルが踏まれていることを検知するペダル操作検出部と、走行速度を検出する車速検出部が接続されており、該制御部の制御により車速が設定速度未満でペダルを踏むとアクセル操作表示灯またはブレーキ操作表示灯が明るく点灯し、設定速度以上でペダルを踏むと暗く点灯する技術が記載されている。
【0007】
特許文献5には、ブレーキペダル、アクセルペダルおよび運転者の足を撮影するカメラ、該カメラが撮影した画像を表示する液晶モニターを有する表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3167590号公報
【特許文献2】特開2014-058207号公報
【特許文献3】登録実用新案第3183672号公報
【特許文献4】登録実用新案第3203807号公報
【特許文献5】登録実用新案第3227177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、踏み違えに起因する交通事故を防止するためのブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供することにあり、詳しくは、運転者がブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えをしていることを該運転者に知らせて、ブレーキペダルへの踏み替えを促すブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、現行の自動車には、ブレーキペダルやアクセルペダルのスイッチランプ、すなわち、それらのペダルを踏んだときに点灯するランプ(オンオフランプ)が存在しないことに気が付いた。
通常、電気製品には、スイッチランプ(オンオフランプ)が具備されている。しかしながら、自動車の場合は、運転者、自動車の外部前方にいる人、自動車の外部後方にいる人の3種類の人に対し、ブレーキペダル、アクセルペダルと言った2種類のペダルの踏下に関するスイッチランプ(オンオフランプ)、計3×2=6種類のうち、唯一存在するのは、自動車の外部後方にいる人に対するブレーキペダルのスイッチランプ(所謂、「ブレーキランプ」)の1種類のみである。
【0011】
そこで、本発明者は、自動車内に表示ユニットを設置することによって、運転者(自分)が、ブレーキペダルを変位させたか、アクセルペダルを変位させたか、または、運転者(自分)が、ブレーキペダルの上に足を移動させたか、アクセルペダルの上に足を移動させたか、を区別して該運転者に視覚的に認知させれば、該運転者に自分がどちらのペダルを踏んでいるかを、明確に(疑いもなく)知らしめることができて、ペダルの踏み違えを防止できる、または、間違えて踏んでいるペダルを踏み替えさせることができ、交通事故を防げることを見出して、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの変位とアクセルペダルの変位とを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの変位を検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの変位を検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するかを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの上に足が存在しているか否かを検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの上に足が存在しているか否かを検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、前記自動車の外部からも視覚的に確認できるようにするものであって、
ブレーキペダルが変位したか、または、アクセルペダルが変位したかを、区別して、前記表示ユニットが、自動車の外部の人にも視覚的に認知させるようになっている前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記ブレーキペダル変位検知ユニット、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットが、それぞれ、ブレーキの駆動、および/または、アクセルの駆動のために前記自動車に設置されているものである前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記ブレーキペダル変位検知ユニット、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットが、それぞれ、ブレーキの駆動、および/または、アクセルの駆動のために前記自動車に設置されているものではなく、別途設置されるものである前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、前記ペダル変位検知ユニットが、前記ペダルの変位を物理的に検知するものであって、
対応するペダルの可動部に、その下端に具備された固定部材によって固定できるようになっているワイヤと、
該ワイヤの上端を含んで位置し、該ワイヤを弾性的な引き出しを可能に保持するワイヤリールと、
該ワイヤリールから該ワイヤが引き出された長さの変動を検知するワイヤ変動検知手段と、
を具備する前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0018】
ここで、「ペダル変位検知ユニット」とは、ブレーキペダル変位検知ユニットと、アクセルペダル変位検知ユニットの両方を総称して示すものとする。また、本明細書において、「検知ユニット」とは、ブレーキペダル変位検知ユニットと、アクセルペダル変位検知ユニットの両方を総称して示すものとする。
【0019】
また、本発明は、前記ブレーキペダル変位検知ユニットによるブレーキペダルの変位、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットによるアクセルペダルの変位を、超音波距離センサーまたは光センサーで、前記ブレーキペダルの変位および/もしくは前記アクセルペダルの変位を検知する、または、前記ブレーキペダルもしくは前記アクセルペダルの上の足の存在を検知する、前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記「ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を、光センサーで行う前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記「ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を、該ブレーキペダルの上の足までの距離を赤外線センサーで測定するブレーキペダル用赤外線センサー、および/または、該アクセルペダルの上の足までの距離を赤外線センサーで測定するアクセルペダル用赤外線センサーで行うことによって検知する前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記表示ユニットは、前記ブレーキペダルが変位したか、前記アクセルペダルが変位したかを、ランプの色の違いによる区別、2個のランプの左右の位置の違いによる区別、および/または、文字もしくは画像による区別によって、前記運転者および/または前記自動車の外部の人に、視覚的に認知させるようになっている前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、前記運転者に視覚的に認知させる表示ユニットは、運転中にフロントウィンドウからの視界を遮らないように、ダッシュボードの上であって、常に運転者の視界に入るように該運転者の前方に設置できるようになっている前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記問題点や課題を解決し、自動車の運転者に「ブレーキペダルとアクセルペダル」(以下、括弧内の両方のペダルを総称して単に「ペダル」と記載することがある)の踏み違えを、運転者および/または外部の人に適切に知らせ、運転者にアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えを促すことができる。また、外部の人には、例えば、自動車が自分に向かって突進してくることを予知させることができる。
その結果、ペダルの踏み違えに起因する自動車の暴走による交通事故の発生を効果的に抑制することができる。
【0025】
自動車には、通常、ストップランプスイッチが具備されており、ブレーキを踏み込むと、該スイッチに押し込まれていた突起が出てきて、該自動車の後に設置されたブレーキランプが点灯するようになっている。
しかしながら、該自動車の運転者には、該ランプの点灯は見えない。それどころか、現行の自動車には、運転者に対して知らせる(「オン」を認知させる)ブレーキペダルのスイッチランプも、アクセルペダルのスイッチランプも存在しない。すなわち、運転者向けのランプが存在しない。
【0026】
そのため、運転者は、自分がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、自分の「足」によって判断しているに過ぎない。
また、運転者は、実際に車のスピードが落ちていればブレーキペダルを踏んでいると認識し、逆にスピードが上がっていればアクセルペダルを踏んでいる、と認識している。すなわち、運転者は、自分の行動を、自分が運転している自動車に教えてもらっているに過ぎない。
このような現状にあって、ペダルの踏み間違いは、起こるべくして起こっていると言っても過言ではない。
【0027】
本発明によれば、ブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、運転者に視覚的に認識させるようになっている、言い換えれば、運転者に自分の行動を(運転している自動車の状況を)表示ユニットによって見せるようになっている。
【0028】
人は、通常、足の状態より目で見た情報を信じる傾向にある。言い換えれば、他から、例えば、他人からまたは自動車の速度と加速度から、足の状態(位置)を指摘されても自分の認識を変えず、視覚情報は信じざるを得ない傾向にある。
本発明によれば、人が最もその情報源として本能的に信じる「視覚情報」を運転者に与えることによって、運転者に踏み違いを、視覚情報で知らしめる(強く信じさせる)ことによって、自動車の暴走等の交通事故を防ぐことができる。
【0029】
特に、自動車が思い通りに減速できずに、運転者がパニックになったとき、自分の足の位置に気を回すことは困難である。
本発明によれば、踏み違いの事実を視覚に訴えかけることにより、踏み違いをしていることを、運転者に確実に認識させ、アクセルペダルをブレーキペダルに踏み替えさせて、暴走・衝突等の事故を未然に防ぐことができる。
【0030】
また、本発明における表示システムによれば、自動車の外の人にも、運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを視覚的に認識させることもできる。言い換えれば、自動車の外に、運転者の行動を(現在の自動車の状況を)、自動車に具備された表示ユニットによって見せることもできる。
そうすることによって、例えば、自動車の前にいる人が、運転者が現在アクセルを踏んでいるか否かが分かり、該自動車が自分に加速して近づいて来ることを、事前に視覚(目)によって認識することができる。その結果、危険予知が可能であり、交通事故を免れることができる。
【0031】
また、本発明によれば、身体感覚が弱い運転者にとって、自分の踏んでいるペダルが確認しやすくなる。たとえば糖尿病や脊柱管圧迫症を患ったりすると、足先の感覚や身体全体の平衡感覚が損なわれることがある。
本発明によれば、運転者は踏んでいるペダルを、身体感覚だけでなく表示ユニットの表示によっても把握することができるので、踏み違えの際、自分が踏み違えていることに早く気付くことができる。その結果、ペダルの踏み違えに起因する自動車の暴走による交通事故の発生を効果的に抑制することができる。
【0032】
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を、自動車を大改造することなく、容易に脱着することができるように作ることもできる。ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置の効果に不安を抱く運転者も多いので、ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を着脱可能にすることで、試用や導入の敷居を下げることができる。
【0033】
本発明は、ペダル変位検知ユニットが、ブレーキ自体やアクセル自体の駆動のために自動車に設置されているものである場合(図8参照)と、ペダル変位検知ユニットが、ブレーキ自体やアクセル自体の駆動のために自動車に設置されているものではなく、別途設置されるものである場合(図1~5参照)とを包含する。
【0034】
本明細書等では、前者の定義によるペダル変位検知ユニットを「駆動用ペダル変位検知ユニット」と、後者の定義によるペダル変位検知ユニットを「非駆動用ペダル変位検知ユニット」と記載する。
【0035】
上記したように、本発明の前者または後者のペダル変位検知ユニット(を具備したブレーキアクセルペダル変位検知表示装置)には、両者に共通した顕著な効果がある。
ただ、後者の「非駆動用ペダル変位検知ユニット」の発明には、更なる顕著な効果が付加されているので、該効果について以下に記載する。
【0036】
<「別途設置ペダル変位検知ユニット」が具備されたものの効果>
本発明において、踏み違えの経験者からの聞き取り等から、踏み違え中の運転者は「自分はブレーキペダルを踏んでいる」と確信してアクセルペダルを踏み続けていることが多いことがわかった。現存の自動車には、運転者がブレーキ・アクセルのどちらのペダルを踏んでいるのかを直接的に知るための手段が装備されていないことと併せて考えると、ペダル踏下状態を運転者に示す手段を付加する技術には、踏み違えを抑止する効果があると考えられる。
【0037】
これらの技術を実現するには、ペダルの踏下状態をリアルタイムに取得する手段が必要である。その手段は大きく(a)自動車そのものからペダルの踏下状態を示す信号を取得する方法と、(b)踏下状態を信号として取得するための機材をペダルに装着する方法に分類される。自動車の電子化が進んだ今日では、(a)の方法で簡単にペダルの踏下状態を取得することが可能となっている。すなわちほとんどの自動車は車載コンピュータ(ECU)を備えているので、その外部インタフェース(たとえばOBD2)に通信回路を結線すれば、ペダルの踏下状態をリアルタイムに取得することができる。
【0038】
ところが(a)の方法には、暴走中の運転者が自動車の故障を疑うと、「自分はブレーキペダルを踏んでいる」という確信を崩すことができないという問題がある。すなわち運転者が、暴走の原因として車載コンピュータ(ECU)の故障を疑ってしまうと、自動車から取得した信号をもとになされたペダル踏下状態の表示そのものを信用しなくなる場合がある。これに対して(b)の方法であれば、暴走中の運転者が自動車の故障を疑ったとしても、ペダル踏下状態の表示が信用されなくなることはない。
【0039】
特許文献1・特許文献2には、ペダルにカバーを装着してペダル踏下状態を取得する技術が記載されている。しかし運転操作の支障にならないようにペダルカバーを設計し、それを装着するのは、実際には非常に困難である。ペダルの形状が車種や年式ごとに異なる上、カバーを薄く作ろうとすると、その強度との兼ね合いも問題になるからである。すなわち(b)の方法は、アイデアとしては優れていても、実用的な製品を低価格に供給することが難しいという課題がある。なお特許文献4・特許文献5には、ペダルの踏下状態を取得する具体的な方法が記述されていない。
【0040】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、光センサー、赤外線センサー、赤外線距離センサー、PSD方式での距離測定装置、超音波距離センサー、SLスイッチ、PDSまたはカメラ、電磁的方式の検知装置、ペダル下の伸縮具、ペダル変位で移動するワイヤ等を、ペダル、ペダルアームもしくはその近傍、または、足の位置が検知できる場所に設置すれば、上記課題が解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0041】
以下、「ペダル変位で移動するワイヤ」を例にとって発明の効果を記載するが、上記他の方法・装置にも当てはまる効果については、上記他の方法・装置にも当てはまる(そのような効果を奏する)。
【0042】
充分な破断強さを持つワイヤを用意して、その一端を渦巻きバネ等の弾性力を利用したワイヤリールに巻き取ってたるみなく張り、そのワイヤリールから引き出したワイヤの他端をペダルが踏まれた時に動く部分、たとえばペダルの本体やアーム等に取り付けておけば、ペダルの変位(もとの位置からの移動量)をワイヤの動きとして検知することが可能になる。この方法であれば、ペダルの形状が異なっても本質的な仕組みを変える必要がなく、ペダルの踏下面に細工をする必要がないので、運転操作の妨げにもなりにくい。また構造が簡単なので、実用上の長寿命も期待できる。
【0043】
また、本発明によれば、「自分はブレーキペダルを踏んでいる」と確信している暴走中の運転者の心理に働きかけて、自動車の故障を疑う余地を排除し、運転者を「自分はブレーキペダルを踏んでいないかもしれない」という思考に導くことができる。運転者が「表示ユニットが、自動車自体の持つ機能に頼らず、ペダルの変位を直接的に示す」ことを知っているからである。その結果、ペダルの踏み違えに起因する自動車の暴走による交通事故の発生を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、本発明において、ペダルの遊び(ガタ、空踏み代)の範囲内であっても、その変位を、ワイヤを介した検知ユニットが検知することができれば、運転者はペダルに足を乗せただけで踏み込まなくても、どちらのペダルに足が乗ったかを知ることができる。ペダルの遊びとは、「ペダルは動くが、踏んだ効果は生じない(ブレーキまたはアクセルが実際に動作しない)」変位量のことで、運転者が「これは踏むことのできるペダルである」と知覚するのに重要な役割を果たしている。通常の自動車では、該遊びが数mmになるように調整されている。本発明によれば、運転者が正しくないペダルに足を乗せただけでも、その旨を示す表示がなされ、運転者はいち早く踏み違えに気づく。その結果、ペダルの踏み違えに起因する自動車の暴走による交通事故の発生を効果的に抑制することができる。
【0045】
さらに本発明は、運転者の踏み違えを防止するだけではなく、ECUの異常動作を証明する能力も持つ。自動車が暴走した場合、現状では暴走が運転者の踏み違えに起因して生じたものなのか、ECUの誤動作に起因して生じたものなのかを判別することは困難であるが、本発明による表示が記録されていたら、あるいは利害関係のない第三者が記憶していたら、暴走事故の発生時に運転者がどちらのペダルを踏んでいたかがわかる客観的な証拠になる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置のワイヤがペダルに固定され、検知ユニットがダッシュボードの下側に吊り下げられた状態を示す概略斜視図である。
図2】運転者が運転席から見ることができる本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置の略全体図である。
図3】検知ユニットの一例を示す概略図である。 (a)おもてから見た斜視図 (b)裏から見た斜視図 (c)おもてから見た平面図 (d)裏から見た平面図 (e)側面図
図4】検知ユニットにブレーキペダル用ワイヤとアクセルペダル用ワイヤを取り回し、また検知ユニットに信号電線を接続した状態を示す概略平面図である。 (a)おもてから見た平面図 (b)裏から見た平面図
図5】本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置における電気回路の一例を示す図である。
図6】本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置における表示ユニットの表示例を示す概略図である。 (a)2個のランプの左右の位置の違いと、文字(アルファベット)と画像(三角形)によってどちらのペダルが変位したかを区別している図 (b)互いに離れた2個のランプの点灯の有無と点灯色によってどちらのペダルが変位したかを区別している図
図7】本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置における表示ユニットの表示例を示す概略図である。 AタイプとBタイプ:左右に離れた2個のランプによって区別する図 CタイプとDタイプ:左右の2個のマスコット(人形・彫刻等)の点灯によって区別する図
図8】「駆動用ペダル変位検知ユニット」が具備されたブレーキアクセルペダル変位検知表示装置において、既存の、ブレーキの「駆動用ペダル変位検知ユニット」によって表示ユニットが作動する電気回路の例を示す概略図である。 (a)現行の自動車の場合 (b)本発明における表示ユニットが作動する場合 (c)本発明における制御ユニットを介して本発明における表示ユニットが作動する場合
図9】本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置における表示ユニットの場所と表示の具体例を示す概略図である。 (a)運転者に向かって表示する表示ユニットの例 (b)自動車の外部の人に向かって表示する表示ユニットの例 (c)本発明における表示ユニットの例
図10】「ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を、光センサー(赤外線距離センサー)で行う方法を示す概略斜視図である。
図11】光センサー(赤外線距離センサー)が設置された車内の写真である。 (a)ブレーキペダルの上の足までの距離を測定するブレーキペダル用光センサー(赤外線距離センサー)と、アクセルペダルの上の足までの距離を測定するアクセルペダル用光センサー(赤外線距離センサー)が設置された状態 (b)自動車の内部に後付けで電気配線を設置した状態 (c)表示ユニットの設置状態
図12】ブレーキペダルの上に足が存在することによって該ブレーキペダルが変位したか(するか)、ブレーキペダルの上に足が存在することで該アクセルペダルが変位したか(するか)を、表示ユニットで運転者に聴覚的に認知させていることを示す写真である。 (a)ブレーキペダルの上に足が存在してブレーキペダルが変位することを表示ユニットで運転者に認知させている様子 (b)アクセルペダルの上に足が存在してアクセルペダルが変位することを表示ユニットで運転者に認知させている様子
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明について説明する。なお、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0048】
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの変位とアクセルペダルの変位とを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの変位を検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの変位を検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とする。
【0049】
また、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するかを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの上に足が存在しているか否かを検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの上に足が存在しているか否かを検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とする。
【0050】
[ペダル変位検知ユニット]
「ペダル変位検知ユニット30」には、ブレーキペダルBの変位を検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、アクセルペダルAの変位を検知するアクセルペダル変位検知ユニットとがあり、本発明においては、両方とも具備することが必須である。
また、上記2種のペダル変位検知ユニット30は、それぞれ、「駆動用ペダル変位検知ユニット30a」を使用・具備する態様(一態様)と、「非駆動用ペダル変位検知ユニット30b」を使用・具備する態様(他の態様)とがあり、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、その何れかを具備する。
【0051】
[[駆動用ペダル変位検知ユニットを使用した装置]]
本発明の一態様は、前記ブレーキペダル変位検知ユニット、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットが、それぞれ、ブレーキ(自体、そのもの)の駆動、および/または、アクセル(自体、そのもの)の駆動のために前記自動車に設置されているものである前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置である。
上記態様において、「駆動用ペダル変位検知ユニット30a」とは、前記した通り、実際のブレーキの駆動やアクセルの駆動のために、既に自動車に設置されている、ペダルの変位を検知するユニットを利用したペダル変位検知ユニット30のことである。
【0052】
図8に、「駆動用ペダル変位検知ユニット30a」の電気回路図を示す。図8は、「ストップランプスイッチ」、「ブレーキランプ」と言うように「ブレーキ」に関しての回路図であるが、「アクセル」に関しても、対応するスイッチやランプの名称・機能が変わるだけで、内容的には図8と同様である。
【0053】
図8(a)は、現行の自動車の場合であって、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置が設置されていない、すなわち、本発明における表示ユニット50が具備されていない態様を示す回路図である。
【0054】
図8(b)は、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置が設置されている態様であって、本発明における表示ユニット50が具備されている態様を示す回路図である。
既存のブレーキ用のストップランプスイッチのオンによって、表示ユニット50の表示が、ブレーキを踏んだことを示すように、例えば点灯するようになっている。
なお、アクセルの場合も同様で、自動車に既存のアクセル用のスイッチのオンによって、表示ユニット50の表示が、アクセルを踏んだことを示すように、例えば点灯するようになっている(図示せず)。
【0055】
図8(c)は、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置が設置されている態様であって、本発明における(後述する)制御ユニットと表示ユニット50とが具備されている態様を示す回路図である。
既存のブレーキ用のストップランプスイッチのオンによって、図8(c)に記載のように、公知のリードリレーによって、本発明の制御ユニット(後述する)を介して、表示ユニット50にその信号が行くようになっている。そして、表示ユニット50の表示が、ブレーキを踏んだことを示すように、例えば点灯するようになっている。
なお、アクセルの場合も同様で、自動車に既存のアクセル用のスイッチのオンによって、表示ユニット50の表示が、アクセルを踏んだことを示すように、例えば点灯するようになっている(図示せず)。
【0056】
図8(b)と図8(c)の何れも、自動車に搭載されたECU(車載コンピュータ)を利用(経由)していない。図8(b)と図8(c)に示したように、どちらのペダルを踏んだかの信号は、自動車に搭載されたECU(車載コンピュータ)を介しては表示ユニット50に接続していない。
【0057】
ECUを経由していると、または、ECUを経由していることを運転者が知っていると、ECUの誤動作を疑って、適切な対応、すなわち、アクセルペダルAから足を離して、ブレーキペダルBを踏むという動作ができない運転者、または、該動作が遅れる運転者がいる。そのような運転者には、過去に通常の(自動車とは関係のない)コンピュータの誤動作を経験した人が多いが、経験したことのない人でも、ECU(車載コンピュータ)の誤動作を疑う傾向にある。
【0058】
表示ユニット50、および、図8(c)における制御ユニットについては、本発明における非駆動用ペダル変位検知ユニット30bと共通するので、「非駆動用ペダル変位検知ユニット30b」の項で後述する。
【0059】
[[非駆動用ペダル変位検知ユニットを使用した装置]]
本発明の他の態様は、前記ブレーキペダル変位検知ユニット、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットが、それぞれ、ブレーキ(自体、そのもの)の駆動、および/または、アクセル(自体、そのもの)の駆動のために前記自動車に設置されているものではなく、別途設置されるものである前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置である。
上記他の態様において、「非駆動用ペダル変位検知ユニット30b」とは、前記した通り、実際のブレーキの駆動やアクセルの駆動のために自動車に既に設置されているものではなく、別途設置される「ペダルの変位を検知するユニット」を利用したペダル変位検知ユニット30のことである。
【0060】
本発明の上記した他の態様は、「非駆動用ペダル変位検知ユニット30b」を使用するものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、下記するものであることが好ましい。下記の何れの装置も、自動車のECUを介していない。
【0061】
下記する態様は、正確性・信頼性、取り付け易さ、耐久性、費用、車体への侵襲性(取り外した後に車体に傷や汚れが残るか否か)、完全に非接触か否か、安全性、等を勘案して選択される。
【0062】
下記する非駆動用ペダル変位検知ユニットでは、共通して、ペダルやペダルアームやペダル用ワイヤ等にマーカーを付けておき、該マーカーの位置、変位、移動等を検知することも好ましい。
【0063】
<超音波距離センサーを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置>
本発明は、前記ブレーキペダル変位検知ユニットによるブレーキペダルの変位、および/または、前記アクセルペダル変位検知ユニットによるアクセルペダルの変位を、超音波距離センサーで検知する前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置でもある。
具体的には、例えば、ペダルまたはペダルアームに超音波発信機を設置し、該超音波発信機から離れた位置に超音波検知器を設置し、両者の距離を超音波距離センサーで検知する。この場合、運転者がブレーキペダルまたはアクセルペダルを踏むと、何れかの「両者の距離」が変化するので、該変化を検知する。
【0064】
<SLスイッチを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置>
「SLスイッチを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置」は、ペダルやペダルアームの位置、変位、移動等を、SLスイッチを使用して検知する非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置である。
【0065】
<PDSまたはカメラを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置>
「PDSまたはカメラを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置」は、ペダルやペダルアームの位置、変位、移動等をPDSまたはカメラを使用して光学的に検知する非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置である。
非接触である、ペダルに負荷をかけない、耐久性がある等の点から好ましい。
【0066】
前者の「PDS」(position detecting sensor:位置検知センサー)は、公知のものが使用可能である。
後者の「カメラ」は、好ましくは画像処理を伴って、光学的にペダル(アーム)の位置、変位、移動等を検知できるものであれば、公知のものが使用可能である。カメラとしては、通常の可視光を検知する光学カメラ、温度(分布)を検知・撮影する赤外線カメラ、距離の分布を撮影するTOFカメラ、等が挙げられる。
【0067】
<電磁的方式を利用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置>
「電磁的方式を利用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置」は、ペダルやペダルアームの位置、変位、移動等を、インピーダンス、静電容量、リアクタンス、抵抗等の電磁的値の変化で検知する非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置である。
非接触である、ペダルに負荷をかけない、耐久性がある等の点から好ましい。
【0068】
具体的には、例えば、ペダル(アーム)と電極の間の距離によって、静電容量が変化するのを検出する方法;ペダル(アーム)の近くにコイルを置いて高周波電流を流し、そのインピーダンス(抵抗)が変化するのを検出する方法;等が挙げられる。
【0069】
<ペダルの下に伸縮具を設置する非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置>
「ペダルの下に伸縮具を設置する非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置」は、ペダルやペダルアームの変位、移動等を、ペダルの下に圧縮変形が可能な伸縮具を設置して、その変形や伸縮等を検知する非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置である。
例えば、ペダルの下にパンタグラフのような機構の伸縮具・圧縮変形具を挟み、その変形を検知する装置である。該伸縮具・圧縮変形具は、ペダルと床の間に挟んで設置することが好ましい。
【0070】
<光センサーによるペダル変位検知ユニットを具備する装置>
本発明の態様として、「ブレーキペダルの上に足が存在するかアクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を、「光センサーによるペダル変位検知ユニット」で行う装置が挙げられる。該光センサーとしては、赤外線センサーが好ましく、赤外線距離センサーが特に好ましい。上記態様の詳細については、後述する。
【0071】
<ワイヤを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置>
本発明の上記した他の態様として、「ワイヤを使用した非駆動用ペダル変位検知ユニットを具備する装置」が挙げられる。
該装置は、前記ペダル変位検知ユニット30が、前記ペダルの変位を物理的に検知するものであって、対応するペダルの可動部に、その下端に具備された固定部材によって固定できるようになっているワイヤと、該ワイヤの上端を含んで位置し、該ワイヤを弾性的な引き出しを可能に保持するワイヤリールと、該ワイヤリールから該ワイヤが引き出された長さの変動を検知するワイヤ変動検知手段と、を具備する前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置である。
【0072】
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置には、ブレーキペダル用ワイヤ21とアクセルペダル用ワイヤ22が具備されている(図1図2参照)。ブレーキペダル用ワイヤ21とアクセルペダル用ワイヤ22を、単に「ペダル用ワイヤ」または「ワイヤ」と略記することがある。
各ペダル用ワイヤの下端には、ブレーキペダル用固定部材21aとアクセルペダル用固定部材22aがあって、該固定部材によって、該ペダル用ワイヤをペダルの可動部に固定できるようになっている(図1図2参照)。以下、ブレーキペダル用固定部材21aとアクセルペダル用固定部材22aを、単に「固定部材」と略記することがある。
【0073】
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置では、ブレーキペダルBやアクセルペダルAの踏下によって、それぞれのペダル用ワイヤ21、22の引き出し量や引き出しの有無が変化するのを、後記する検知ユニット30によって検知する。
【0074】
固定部材の構造は、ペダル用ワイヤをペダルの可動部に固定することができれば特定のものに限定されない。しかしペダルの踏下によってペダル用ワイヤが下に引っ張られても、ペダル用ワイヤがペダルの可動部から外れない構造になっていることが望まれる。たとえば固定部材の一部が、ペダルの可動部の下に位置する構造になっているのが好ましい。また固定部材の構造には、ペダル用ワイヤをペダルの可動部に取り付けたり、ペダルの可動部から取り外したりすることが容易にできるようになっていることや、取り外した後にペダルの可動部に傷や汚れを残さないことが望まれる。固定部材が付いたペダル用ワイヤは、さまざまな車種とペダルに対応することができる構成になっていることが好ましい。
【0075】
ペダル用ワイヤは、伸縮・破断しにくいものであれば、特定のものに限定されない。超高分子量ポリエチレンを素材とするひも等が使用可能である。またペダル用ワイヤには、その長さにわたって単一の材質を使用する必要はなく、途中から材質を変えることもできる。たとえばペダル用ワイヤの下側は、運転者の靴等が触れた時に破断しないように強度の高い材質を選び、上側は検知ユニット30のワイヤリール32やトラックプーリ33に巻き付けやすいよう、柔軟性の高い材質を選ぶことができる。
【0076】
<<検知ユニット>>
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置には、検知ユニット30が具備されている。該変位検知ユニット30は、対応するペダルの可動部に、その下端に具備された固定部材によって固定できるようになっているワイヤと、該ワイヤの上端を含んで位置し、該ワイヤを弾性的な引き出しを可能に保持するワイヤリールと、該ワイヤリールから該ワイヤが引き出された長さの変動を検知するワイヤ変動検知手段とを具備する。
【0077】
該検知ユニット30は、ブレーキペダル用ワイヤ21とアクセルペダル用ワイヤ22の、それぞれの上端を含んで位置しており、ペダル用ワイヤの変位を、それぞれ検知するようになっている。検知ユニット30の概略図を図3に示す。
【0078】
検知ユニット30は、図1図2に示したように、ブレーキペダルBとアクセルペダルAの上方、かつダッシュボードDの下側である位置に吊り下げができるようになっており、該ブレーキペダル用ワイヤ21と該アクセルペダル用ワイヤ22が、たるみなく、かつ運転者の足に接しないように吊り下げができるようになっている。ダッシュボードDの下側には通常、部材の取り付けに適した構造が多く存在するので、この設置方式であれば、検知ユニット30を、さまざまなタイプの自動車に簡便に設置することができる。
【0079】
前記ペダル用ワイヤ21、22、および、前記検知ユニット30は、運転者が運転席から見える位置に設置されることによって、ブレーキペダルBとアクセルペダルAの変位を検知していることを運転者に認知させるようになっている。
検知ユニット30が運転席から見える位置に設置されるので、運転者は本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置が、自動車の機能に頼らず、直接的にペダルの変位を検知しているものと容易に理解することができる。
【0080】
検知ユニット30を固定する(設置する)具体的な方法は、特定のものに限定されない。汎用のフックをダッシュボードDの下側に取り付け、そこに検知ユニット30に具備されている吊り下げ金具39をかける態様等が考えられる。なお自動車の構造や使用状況によっては、検知ユニット30を吊り下げるのではなく、結束材等でくくり付けたり、ネジや金具で取り付けたりする態様も考えられる。
また、ダッシュボードDの内部に固定したり(取り付けたり)、自動車自体に組み込んだりしてもよい(自動車自体に造り付けにしてもよい)。検知ユニット30は、自動車のアクセサリーでもよいし、自動車に標準装備してもよい。運転の妨げにならないか、取り外した際に傷や汚れを残さないかどうか、検知ユニット30が運転席から見えるかといったことを考慮して選ぶことが好ましい。
【0081】
前記ワイヤ変動検知手段は、下記するトラックプーリ方式でもよく、ワイヤの変動を例えば光線等を利用した非接触のセンサーで検知する方式でもよい。
すなわち、下記で詳述する「ペダル用ワイヤの変位によるトラックプーリの回転をリードスイッチで検出する方式」だけでなく、ロータリエンコーダや可変抵抗器を使用して回転を検知する方式も好ましい。
【0082】
前記ワイヤ変動検知手段は、前記ワイヤリールから引き出されたワイヤを巻き付けてあり、回転部分に磁石を保持するトラックプーリ、および、該磁石の動きを検知する磁気センサーを具備することが好ましい。
【0083】
検知ユニット30は、ペダル踏下時に生じるペダル用ワイヤの移動を検知することができれば、具体的な構造は特定のものに限定されない。本発明では、図3に示すように、検知ユニット30のベース板31にワイヤリール32とトラックプーリ33が設置され、ペダル用ワイヤは通常ワイヤリール32に巻き取られている。ペダルが踏み込まれてペダル用ワイヤが引っ張られると、その変位分だけワイヤリール32からペダル用ワイヤが引き出され、トラックプーリ33を回転させる。ペダルから足を離すと、ペダル用ワイヤは再びワイヤリール32に巻き取られる。
【0084】
トラックプーリ33の周縁には磁石33aが固定されており、ベース板31上のリードスイッチホルダ35の上部に固定されたリードスイッチ34で、トラックプーリ33の回転を検知する。すなわちペダル用ワイヤの平行移動を、トラックプーリ33の回転移動に変換することによって間接的に検知している。
【0085】
本発明の検知ユニット30では、ペダル用ワイヤがワイヤリール32に巻き取られないように押さえた状態でトラックプーリ33を回転させることで、変位を検知する感度を調節することができる。すなわちペダルが軽く踏まれただけでも検知されるように調節したり、反対に深く踏み込まれないと検知されないように調節したりすることが可能である。
実際の使用では、ブレーキ動作における前記ブレーキペダルBの初期遊び以内の変位であっても、前記ブレーキペダル用ワイヤ21の変位を前記検知ユニット30が検知するように、またアクセル動作における前記アクセルペダルAの初期遊び以内の変位であっても、前記アクセルペダル用ワイヤ22の変位を前記検知ユニット30が検知するように調整することが望ましい。ペダルに足を乗せただけでも、運転者はどちらのペダルに足が乗っているか知ることができるからである。
【0086】
すなわち、本発明は、ブレーキ動作における前記ブレーキペダルBの初期遊び以内の変位であっても、前記ブレーキペダル用ワイヤの変位を前記ペダル変位検知ユニット30が検知するようになっている、および/または、アクセル動作における前記アクセルペダルAの初期遊び以内の変位であっても、前記アクセルペダル用ワイヤの変位を前記ペダル変位検知ユニット30が検知するようになっている前記のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であることが好ましい。
【0087】
本発明の検知ユニット30は、ブレーキペダル用ワイヤ21とアクセルペダル用ワイヤ22ごとに、ワイヤが巻き付けてあるワイヤリール32、該ワイヤリール32から引き出されたワイヤを巻き付けるトラックプーリ33、および該トラックプーリ33の回転を検知するリードスイッチ34を具備している。図3に示すように、ベース板31のオモテ面にはブレーキペダル用ワイヤ21用のワイヤリール32とトラックプーリ33とリードスイッチ34が具備され、ベース板31のウラ面にはアクセルペダル用ワイヤ22用のワイヤリール32とトラックプーリ33とリードスイッチ34が具備されている。
【0088】
そして、図1図2に示すように、ベース板31のオモテ面からブレーキペダル用ワイヤ21が、ウラ面からアクセルペダル用ワイヤ22が出て、それぞれのペダルへとつながっている。この構成により、ブレーキペダルBとアクセルペダルAの踏下を同時かつ独立に検知することが可能となっている。なおブレーキペダルB用の検知手段とアクセルペダルA用の検知手段とは、ベース板31のオモテ面とウラ面に具備されておらず、並んで具備されている構成であってもよい。
【0089】
本発明では、ペダル用ワイヤの変位を検知するのにトラックプーリ33・磁石33a・リードスイッチ34を使っているが、ペダル用ワイヤの変位を検知する方法としては他にも多くのものが考えられる。たとえばペダル用ワイヤに小さなマーカーを取り付けてその動きを検知する方法、ペダル用ワイヤの一部をバネにしておいてその伸びを検知する方法等が考えられる。またトラックプーリ33を使用する方法であっても、その回転を検知するのに、ロータリエンコーダや、可変抵抗器を使用する方法が考えられる。ペダル用ワイヤの変位を検知する方法は、上記具体例と異なる方法についての詳細な記述は省略する。
【0090】
本発明の検知ユニット30は、端子台36に固定された信号端子37を具備する(図3)。該信号端子37には信号電線41が接続されている。信号電線41には、アクセル信号41aを送信する電線、ブレーキ信号41bを送信する電線、およびアース線41cがあり、後記する電気回路を介して後記する制御ユニット40へと接続されている。
【0091】
吊り下げ金具39は、検知ユニット30を自動車のダッシュボードDの下側に吊り下げるのに使われる。またワイヤガイド38は、ペダル用ワイヤがワイヤリール32から脱落するのを防ぐ働きをする。いずれも一般的なヒートンや洋灯吊り金具を使うことができる。
【0092】
<ペダル用光センサーによるペダル変位検知ユニットを具備する装置>
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、「ブレーキペダルの上に足が存在するかアクセルペダルの上に足が存在するか」の検知を、「光センサーによるペダル変位検知ユニット」で行う装置が挙げられる。該光センサーとしては、限定はされないが、赤外線センサーが好ましく、赤外線距離センサーが特に好ましい。以下、(特に)好ましい態様としては、「光センサー」を、「赤外線センサー」または「赤外線距離センサー」と読み換えるものとする。
【0093】
<<光センサーによる、何れかのペダルの上の足の存在の検知>>
本発明は、自動車の運転者によるブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違えを防止するために、ブレーキペダルの上に足が存在するか、アクセルペダルの上に足が存在するかを検知して、該運転者がブレーキペダルを踏んでいるかアクセルペダルを踏んでいるかを、該運転者が運転中は常に運転席から視覚的に確認できるようにするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置であって、
該ブレーキペダルの上に足が存在しているか否かを検知するブレーキペダル変位検知ユニットと、
該アクセルペダルの上に足が存在しているか否かを検知するアクセルペダル変位検知ユニットと、
該ブレーキペダル変位検知ユニット、および、該アクセルペダル変位検知ユニットからの信号によって、該ブレーキペダルが変位したか、または、該アクセルペダルが変位したかを、区別して該運転者に視覚的に認知させる表示ユニットと、
を具備することを特徴とするブレーキアクセルペダル変位検知表示装置でもある。
【0094】
上記「足」とは、足の爪先もしくはその近傍、または、足の甲もしくはその近傍を意味する。
また、内部に足Fが存在する「靴、靴下、足袋等の履物」をも意味し、以下、同様である。該履物が存在すれば、そこには必ず足Fが存在するからである。
下記する「光センサー61」では、通常、該光センサーから、該履物の「先端から上部までの何れかの場所」までの距離を測定する。
【0095】
上記発明は、どちらかのペダルの上に足Fが存在しているか否かを検知することによって、該ペダルが変位していること、または、該ペダルが変位しそうになっていることを検知するユニットを有する。
なお、Aペダルの上に足Fが存在すれば、それによってAペダルしか変位し得ないので、足Fの位置を検知するものであっても、「ペダル変位検知ユニット」と言える。ここで、「Aペダル」とは、ブレーキペダルまたはアクセルペダルのどちらか一方のことを言う。
【0096】
<<<光センサー>>>
上記した「ブレーキペダルの上に足Fが存在するか、アクセルペダルの上に足Fが存在するか」の検知は、光センサー61で行うことが好ましい。すなわち、検知ユニット30が、光センサー61を含むものであることが好ましい。
該「光センサー61」は、限定はされないが、赤外光の発光側と受光側が一体になったものが特に好ましい(図10図11(a)参照)。
【0097】
光センサー61では、発光側の赤外光が物体に反射して受光すると、距離に応じて出力電圧が変化する。この出力電圧でセンサーから物体までの距離を検出する。
【0098】
更に、図10に示したように、ブレーキペダルの上の足Fまでの距離を測定するブレーキペダル用光センサー、および/または、アクセルペダルの上の足Fまでの距離を測定するアクセルペダル用光センサーで行うことが好ましい。図10では、ブレーキペダルの場合のみを概略的に記載した。また、赤外線光センサーを概略的に記載した。
【0099】
該光センサー61は、ブレーキペダルの上の足Fを検知するブレーキペダル用光センサー、または、アクセルペダルの上の足Fを検知するアクセルペダル用光センサーのどちらか一方だけでもよいが、図11(a)、12(a)(b)に示したように、両方とも検知することが好ましい。
【0100】
光センサーとしては、可視光センサー、赤外線センサー等が挙げられ、また、一般光(拡散光)センサー、レーザー光センサー等が挙げられる。また、該光センサーとしては、光距離センサー等が挙げられ、該赤外線センサーとしては、赤外線距離センサー等が挙げられ、一般光(拡散光)センサーとしては、PSD方式のセンサー等が挙げられる。「PSD方式」とは、三角測量で距離を測定するものである。
【0101】
赤外線(距離)センサー等の光センサーの方式・原理としては、特に限定はないが、透過方式、回帰反射方式、反射方式等が挙げられる。反射方式としては、反射光を見込む(立体)角が途中に対象物が入ると大きくなることを検知する方式;途中に対象物が入ると反射光が大きくなることを検知する方式;途中に対象物が入ると照射光の発光時に対する反射光の受光時が遅れを検知して、該遅れ時間(に光速をかけた距離)を検知する方式;等が挙げられる。
【0102】
図10に示したように、赤外線発光窓61aから出た光が対象物である足Fに当たって戻ってきた反射光を、赤外線受光窓61bからの入射光で検出する。
対象物である足Fが近いと、光の入射角度は大きくなり、逆に遠いと、入射角度は小さくなる。該角度の違いで出力電圧が変化するので、それによって、光センサー61から対象物(足F)までの距離の測定ができる。
【0103】
<<光センサーの固定場所と固定手段(固定方法)>>
光センサー61の先端(窓)から、ペダルの上の足の甲まで、または、靴の上面までの距離は、10cm以上80cm以下が好ましく、15cm以上60cm以下がより好ましく、20cm以上40cm以下が特に好ましい。
この範囲であると、光センサー61による距離の把握(測定)ができ易い。また、該距離が短過ぎると、光センサー61と足Fが接触する場合、光センサー61が邪魔になる場合等がある。一方、該距離が長過ぎると、車内にスペースがない場合等がある。
【0104】
光センサー61の車内への固定場所は、特に限定はなく、上記した好適な距離が得られ(確保でき)、足を適切な距離(10~80cm)で認識でき、センサーと足がぶつからず、運転の邪魔にならず、センシングが好適にできる場所等が挙げられる(図11(a)、12参照)。
具体的には、ダッシュボードの下等が挙げられる。図11(a)、図12では、ダッシュボードの下にビス止めされている。
【0105】
固定手段も、特に限定はなく、ネジ止め、ビス止め、接着固定等、公知の方法(手段)が用いられる。また、光センサーとクランプを接合させ、該クランプで車体に固定することも好ましい。
また、着脱可能な構造にすることも好ましい。
【0106】
<<光センサーの具体例>>
光センサーとしては、市販品も使用可能である。該市販品としては、オムロン株式会社製、E3C、E3Z、E3JK、Z3、E3S-Aシリーズ;アズビル株式会社製、HPシリーズ;パナソニック株式会社製、NX5シリーズ;北洋電機株式会社製、FBX-25;シャープ株式会社製のGP2Y;等が挙げられる。
【0107】
<<設定・調整・使用方法>>
図10を用いて、光センサー61の動作と設置・調整方法の一例を、ブレーキペダルBの方を例にとって示す。なお、アクセルペダルAの方であっても同様である。
【0108】
光センサー61の赤外線発光窓61aから出た赤外線は、光センサー61とブレーキペダルBの間に足Fが挿入されると、該足Fで反射され、反射された赤外線は、赤外線受光窓61bから光センサー61に入る。そうすると、ブレーキ信号41bが信号電線41を通じて表示ユニット50に伝わり、表示ランプ51が点灯する。そして、好ましくは、信号電線41を通じて、運転者向けランプ51aの他に、外部者向けランプ51bをも点灯させる。
【0109】
図10において、検出ピント面の調整は、ランプが消灯のとき、例えば、次のようにする。ランプ51が消灯のとき、検出距離調整ボリュームを回し、ペダル51を検出させてランプ51を点灯させる。次に、ボリュームを逆回りに少しずつ回し、ランプを消灯させ、更に、好ましくはマージンをとるために、ボリュームを逆回りに適度に回す。
また、図10において、検出ピント面の調整は、ランプが点灯のとき、例えば、次のようにする。検出距離調整ボリュームを逆回りに少しずつ回し、ランプを消灯させ、更に、好ましくはマージンをとるために、ボリュームを逆回りに適度に回す。
こうすることで、足Fが挿入されたとき初めて、ランプ51が点灯するようになる。
【0110】
[[全てのペダル変位検知ユニットに共通事項]]
<制御ユニット>
検知ユニット30と、後記する表示ユニット50は、電気回路を内蔵した制御ユニット40によって間接的に接続されていることが好ましい。制御ユニット40は、検知ユニット30の具備するリードスイッチ34のオン・オフ状態を表示ユニット50に伝達する働きをする。電気回路の実装に特別な制約はなく、公知の方法によって実施することが可能である。
【0111】
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置が内蔵する電気回路の一例を図5に示す。この電気回路では、リードスイッチ34のオン・オフ状態を表示ユニット50に伝達するのにマイコンを使用し、ランプ51の点滅パターンによるペダル表示等を容易に実現している。
【0112】
表示ユニット50は、必ずしも検知ユニット30や表示ユニット50と物理的に独立している必要はない。電気回路を充分小型に製作し、検知ユニット30または表示ユニット50に内蔵させることも可能である。
【0113】
制御ユニットは、「非駆動用ペダル変位検知ユニット30b」を使用した装置においては必須である(図5参照)。
また、限定はされないが、前述した「駆動用ペダル変位検知ユニット30a」を使用した装置にも存在している方(あった方)が好ましい(図8(c)参照)。
【0114】
<表示ユニット>
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置には、既存のブレーキもしくはアクセル駆動用のスイッチからの信号によって、または、前記したペダル変位検知ユニット30からの信号によって、または、前記した光センサー61によるペダル変位検知ユニット30からの信号によって、ブレーキペダルBが変位したか、アクセルペダルAが変位したかを区別して、運転者に視覚的に認知させる表示ユニット50が具備されている。
上記2種類の信号は、何れも、有線で表示ユニット50に送信されてもよいし(図11(b)参照)、電波や光線等、無線で表示ユニット50に送信されてもよい。
【0115】
本発明の表示ユニット50は、ブレーキペダルBとアクセルペダルAのどちらが変位したかを、ランプ51の色、複数のランプ51の位置、ランプ51の点滅パターン、文字もしくは図形52によって区別し、前記運転者に視覚的に認知させるようになっている(図6、7、9、11(c)、12参照)。
図6(a)では、ランプ51の色、2個のランプ51の位置、およびランプに付帯して表示される文字52によって、踏下されたペダルを区別することができる。また、図6(b)では、ランプ51の色、および2個のランプ51の位置によって、踏下されたペダルを区別することができる。
また、図12では、ブレーキペダルBの上に足が存在すると、左側のランプ51が点灯し(図12(a))、アクセルペダルAの上に足が存在すると、右側のランプ51が点灯する(図12(b))ようになっている。左右のランプの色を適宜設定することも可能である。
【0116】
ランプ51の点滅を変化させる方法も可能である(図示せず)。例えば、ブレーキペダルBが踏下されている場合には連続的に点灯させ、アクセルペダルAが踏下されている場合には短い周期で点滅させるといった方法も可能である。
【0117】
表示ユニット50は車内のインテリアの一部になるので、デザイン性が求められる。図7のタイプA・タイプBのように、ランプ51を内蔵した表示板を使う場合には、表示板のデザインに工夫の余地がある。またタイプC・タイプDのように、小さな人形や彫刻の中にランプ51を入れて光らせる方法も考えられる。図7のように、制御ユニット40を共通化した作りにしておけば、表示ユニット50のみを運転者の好みに合わせて交換するようなことも可能である。
【0118】
限定はされないが、表示ユニット50のランプ51としては、明るさ、耐久性、色が豊富、電力消費等の点から、LEDが好ましい(図5図6図8(b)、図12(a)(b)、図11(c)参照)。
【0119】
すなわち、本発明における表示ユニット50は、前記ブレーキペダルBが変位したか、前記アクセルペダルAが変位したかを、ランプ51の色の違いによる区別、2個のランプ51の左右の位置の違いによる区別、および/または、文字もしくは画像による区別によって、前記運転者および/または前記自動車の外部の人に、視覚的に認知させるようになっていることが好ましい。
【0120】
本発明では、踏下されたペダルを視覚的に表示しているが、これを聴覚的に、あるいは触覚的に表示することも考えられる。具体的には音声や振動を活用する方法である。前記表示ユニット50は、前記ブレーキペダルBが変位したか、前記アクセルペダルAが変位したかを、更に、音声やブザー等の振動の区別によって、前記運転者に聴覚的に認知させるようになっていてもよい。
【0121】
表示ユニット50は、自動車の運転中にフロントウィンドウWからの視野を遮らないよう、かつ常に運転者の視界に入るよう、運転者の前方にあるダッシュボードDの上に設置することができるようになっていることが好ましい。図2には、上記の態様による設置の一例を示している。
【0122】
また、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、運転者がブレーキペダルBを踏んでいるかアクセルペダルAを踏んでいるかを、該自動車の外部からも視覚的に確認できるようにするものであって、ブレーキペダルBが変位したか、または、アクセルペダルAが変位したかを、区別して、上記表示ユニット50が、自動車の外部の人にも視覚的に認知させるようになっていることが好ましい。
すなわち、例えば、図9(a)(b)、図11(c)、図12(a)(b)に示したように、該表示ユニット50は、運転者向けのものであることは必須であるが、同時に、自動車の外部の人にも見えるようにする(外部の人向けのものでもある)ことも好ましい。
【0123】
自動車の外部の人も、運転者がブレーキペダルBを踏んでいるかアクセルペダルAを踏んでいるかを視覚的に確認できるようになっていることが好ましい。前記した通り、現行の自動車では、自動車の外部であって後の人にしか、所謂「スイッチランプ」は、「ブレーキランプ」と言う形で存在するに過ぎない。
運転者または自動車の外部であって前の人もしくは後の人と言った3種の人用の、ブレーキとアクセルのスイッチランプについては計6種類ある。本発明は、そのうちの既存の「ブレーキランプ」を除いた計5種についても具備することが特に好ましい。
【0124】
例えば、自動車の外部であって、前方にいる人や後方にいる人が、運転者がどちらのペダルを踏んでいるかを視覚的に確認できれば、その後の危険を予知できる。
【0125】
図9に、自動車の運転者のみならず外部の前方に向けても表示する表示ユニット50の例を示す。すなわち、図9(a)に運転者向けランプ51aを、図9(b)に外部者向けランプ51bを示している。
該表示ユニット50の設置位置は、特に限定はなく、自動車の内部でも外部でもよいが、図9では、ダッシュボードDの上であって、フロントウィンドウWの内側に表示ユニット50が設置してある。
【0126】
そして、アクセルペダルAが右側にあり、ブレーキペダルBが左側にあることに対応して、限定はされないが、図9(a)、図11(c)、図12では、運転者から見てアクセルペダルAを踏んでいることを示す表示ランプ51が右側に存在し、ブレーキペダルBを踏んでいることを示す表示ランプ51が左側に存在する。
【0127】
限定はされないが、分かり易いために、更に、外部の人に対しても、外部から見て左側にアクセルペダルAを踏んでいることを示す表示ランプ51が存在し、外部から見て右側にブレーキペダルBを踏んでいることを示す表示ランプ51が存在する(図9(c)参照)。
【0128】
図9(c)に表示ユニット50の一例を示す。
運転者向けの表示ランプ51aと外部の人向けの表示ランプ51bは、別々の場所に設置してあってもよいが、図9(c)では、お互いに同じ側のランプ51を見ていることが認識できるように、運転者向けの表示ランプ51aと外部の人向けの表示ランプ51bが、内向き・外向きが対応する位置に、一体化して表示ユニット50を構成している。
【0129】
図2図9図11(c)、図12に示す表示ユニット50の設置方法は、自動車を前進させている時、踏下されたペダルを運転者や自動車の外部の人に、視覚的に認知させるためのものである。これとは別に、自動車を後退させている時、リアウィンドウからの視界を遮らないように、かつ常に運転者の視界に入るように、運転者の後方に第二の表示ユニット50を設置してもよい(図示せず)。ここでいう「運転者の後方」とは、具体例にはリアウィンドウの手前、自動車の内側側面、サイドウィンドウの上部、自動車の外部等を指す。
【0130】
表示ユニット50のダッシュボードDの上部等への固定手段は、しっかり固定することができ、かつ、できれば脱着が容易であれば、特定のものに限定されない。両面テープによる接着、面ファスナ(商品名:マジックテープ(登録商標))による固定、防振マットへの載置、ネジ止め等の手段が使用可能である。
【0131】
<ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置の設置>
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、表示ユニット50が、自動車に脱着可能なようになっていることが好ましい。これは、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置のみを別売することができ、自動車の所有者や運転者が簡便に取り扱うことができるために好ましい。
【実施例0132】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
以下、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置の動作と効果を示す。
インタビュー対象者に、次の4種類(自動車A1、A2、B、C)の自動車で踏み違え暴走をした場合を想像して回答してもらった。インタビュー対象者には、以下の内容を事前に説明して理解してもらった。
【0133】
自動車A1、A2:本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を設置した自動車。
自動車B:表示ユニット50の外観は装置Aとほぼ同じであるが、自動車のECU(車載コンピュータ)を介して情報を得る方法でペダルの踏下を検知する方式のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を設置した自動車。具体的には、自動車に搭載されたECU(車載コンピュータ)から、そのインタフェースであるOBD2を介してペダル踏下の検知信号を取得し、表示ユニット50を駆動するブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を搭載している。
自動車C:ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を設置していない自動車であって、表示ユニットなし。
【0134】
自動車A1は、「駆動用ペダル変位検知ユニット30a」を具備していること、自動車A2は、「非駆動用ペダル変位検知ユニット30b」を具備していることを説明した。また、自動車A1と自動車A2の何れも、自動車に搭載されたECU(車載コンピュータ)を介していないことを説明して理解してもらった。
【0135】
インタビュー対象者5名(50歳代から70歳代の男性、うち2名は踏み違え暴走の経験者)に対し、「自動車A1」、「自動車A2」、「自動車B」および「自動車C」の上記した構成を説明し、踏み違え暴走時にどのような思考プロセスが生じると思われるかを質問した。
【0136】
その結果、インタビュー対象者5名とも「以下のような思考プロセスが生じたことがある」、あるいは「以下のような思考プロセスが生じると思う」と回答した。
【0137】
<自動車A1またはA2:本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を搭載>
1.運転者の意図しない踏み違えによって自動車が暴走を始める。自動車の不意の挙動に、運転者は原因の模索を始める。
2.表示ユニットがアクセルペダルAの踏み下げを示しているのが、運転者の目に入る。
3.運転者は、表示ユニットの表示がECUに依存していないことを知っているので、自分の踏み違えが原因であると考える。
【0138】
<自動車B:ECUから情報を得る方式のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を搭載>
1.運転者の意図しない踏み違えによって自動車が暴走を始める。自動車の不意の挙動に、運転者は原因の模索を始める。
2.表示ユニットがアクセルペダルAの踏み下げを示しているのが、運転者の目に入る。
3.運転者は、表示ユニットの表示がECUに依存していることを知っているので、ECUや、それにつながっているセンサーの誤動作が原因であると考え、「自分が踏み違えている」という思考に直ぐには向かわない。
【0139】
<自動車C:ブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を搭載していない>
1.運転者の意図しない踏み違えによって自動車が暴走を始める。自動車の不意の挙動に、運転者は原因の模索を始める。
2.運転者は自動車の故障を疑い、それを裏付ける証拠を探そうとして、「自分が踏み違えている」という思考に向かわない。
【0140】
このようなインタビューによっても、上記の自動車のうち、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置を設置した「自動車A(A1、A2)」でしか、運転者が「自分が踏み違えている」と認識しないことが分かった。
【0141】
今回のインタビュー対象者5名はコンピュータを扱う業務の経験を持ち、コンピュータが電磁ノイズ等の影響で誤動作することがあるという事実を知っているので、ECUの誤動作を第一の原因として想起したが、ECUを知らない人でも、自動車の故障を疑えば、同様の思考プロセスに陥る可能性が高い。
【0142】
すなわち、本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置によれば、最も信頼のある視覚に訴えることにより、踏み違え時の運転者を「自分が踏み違えている」という思考に導くように誘導し、運転者にペダルの踏み替えを促して、自動車の暴走・衝突を防ぐ効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明のブレーキアクセルペダル変位検知表示装置は、自動車を運転する人、自動車用機器を製造・販売する人、自動車に付属する備品の製造・販売分野等に広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0144】
21 ブレーキペダル用ワイヤ
21a ブレーキペダル用固定部材
22 アクセルペダル用ワイヤ
22a アクセルペダル用固定部材
30 (ペダル変位)検知ユニット
30a 駆動用ペダル変位検知ユニット
30b 非駆動用ペダル変位検知ユニット
31 ベース板
32 ワイヤリール
33 トラックプーリ
33a (永久)磁石
34 リードスイッチ
35 リードスイッチホルダ
36 端子台
37 信号端子
38 ワイヤガイド
39 吊り下げ金具
40 制御ユニット
41 信号電線
41a アクセル信号
41b ブレーキ信号
41c アース線
42 マイコン
50 表示ユニット
51 (表示)ランプ
51a 運転者向けランプ
51b 外部者向けランプ
52 文字または図形
61 光センサー
61a 赤外線発光窓
61b 赤外線受光窓
B ブレーキペダル
A アクセルペダル
D ダッシュボード
S ハンドル
W ウィンドウ
F 足
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12