(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153073
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物およびそれを用いた再生製品
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20231005BHJP
H01M 10/54 20060101ALI20231005BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20231005BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20231005BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20231005BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20231005BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20231005BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08L23/00
H01M10/54 ZAB
H01M50/417
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/451
H01M50/446
B29B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057023
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0040303
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0059228
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0040492
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】キム ユン ボン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン サン
(72)【発明者】
【氏名】チョ キュ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン シ ウク
【テーマコード(参考)】
4F401
4J002
5H021
5H031
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401AC20
4F401AD02
4F401BA13
4F401CA39
4F401DC04
4F401FA07Z
4J002BB00W
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4J002GG01
4J002GK01
5H021BB00
5H021BB12
5H021CC03
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5H021EE21
5H021EE23
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH06
5H031BB01
5H031HH03
5H031RR01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れた物理的、化学的物性を確保した、廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】新材ポリオレフィン樹脂と廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂とを含み、ASTM D256規格に準じて測定されたIzod衝撃強度が15kJ/m2以上である、混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、組成物の総重量に対して、新材ポリオレフィン樹脂40~90重量%および廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂10~60重量%を含んでいても良い。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新材ポリオレフィン樹脂と廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂とを含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物であって、
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D256規格に準じて測定されたIzod衝撃強度が15kJ/m2以上である、混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項2】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、
組成物の総重量に対して、前記新材ポリオレフィン樹脂40~90重量%、および前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂10~60重量%を含む、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項3】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、組成物の総重量に対して、無機粒子を5.00重量%以下含む、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項4】
前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、
無機粒子コーティング層を含む廃セパレータからコーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂を含む、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項5】
前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、
無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂をさらに含む、請求項4に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記無機粒子コーティング層が90~99.9%のコーティング脱離率で脱離して得られるものである、請求項4に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項7】
前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、
前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂20~600重量部を含む、請求項5に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項8】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、190℃における溶融流動率比(MI21.6/MI5)が5~22である、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項9】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D638規格に準じて測定された引張強度が200kgf/cm2以上である、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項10】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D638規格に準じて測定された引張伸びが250%以上である、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項11】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D790規格に準じて測定された曲げ弾性率が9,500kgf/cm2以上である、請求項1に記載の混合再生ポリオレフィン樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物およびそれを用いた再生製品に関する。具体的に、本開示は、廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂と新材ポリオレフィン樹脂とを含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物およびそれを用いた再生製品に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、使い捨ての一次電池とは異なって充電して再使用可能な電池であり、主に4つの物質である正極材、負極材、電解質、およびセパレータからなる。
【0003】
そのうちセパレータは、正極と負極との間に位置した微細多孔性構造を有する5~100μm、好適には5~30μmの厚さのフィルム状基材であり、正極と負極との間でリチウムイオンが移動できる通路を提供するイオン伝導性膜の役割をし、正極と負極との接触を遮断して電極間の電気接触を防止することで安定性を高める機能を行う。
【0004】
電池に異常が発生して内部の温度が過度に上昇すると、一般的に用いられるセパレータは溶けるため、電極と電極との接触を十分に防止することができず、ショート(short)により電池が爆発し得る危険性を有する。このような安定性問題を解決するために、従来のセパレータの片面や両面に無機粒子を用いて無機粒子層を形成したセラミックコーティングセパレータ(Ceramic Coated Separator、CCS)が開発されている。
【0005】
近年、セパレータの再活用のために多様な研究および再活用製品化が進められているが、セラミックコーティングセパレータ表面の無機粒子層によりチッピング(chipping)および/またはペレット化(pelletizing)が難しく、押出が可能であるとしても樹脂混合物の高粘度性により押出機内に高負荷が発生するという問題がある。これを解決するために、加工性を改善するための添加剤を投入する方策が提案されているが、この場合、樹脂組成物の物性が大幅に低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、多様な応用製品の開発に利用できるように優れた物理的、化学的物性を確保した、廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
他の本開示の目的は、ブロー成形用として使用できるように、廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するための一手段として、本開示は、新材ポリオレフィン樹脂と廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂とを含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D256規格に準じて測定されたIzod衝撃強度が15kJ/m2以上である、混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を提供することができる。
【0009】
また、本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、組成物の総重量に対して、前記新材ポリオレフィン樹脂40~90重量%、および前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂10~60重量%を含んでもよい。
【0010】
また、本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、組成物の総重量に対して、無機粒子を5重量%以下含んでもよい。
【0011】
また、本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、無機粒子コーティング層を含む廃セパレータからコーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂を含んでもよい。
【0012】
また、本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂をさらに含んでもよい。
【0013】
また、本開示の一実施形態によると、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記無機粒子コーティング層が90~99.9%のコーティング脱離率で脱離して得られるものであってもよい。
【0014】
また、本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂20~600重量部を含んでもよい。
【0015】
また、本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、190℃における溶融流動率比(MI21.6/MI5)が5~22であってもよい。
【0016】
また、本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D638規格に準じて測定された引張強度が200kgf/cm2以上であってもよい。
【0017】
また、本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D638規格に準じて測定された引張伸びが250%以上であってもよい。
【0018】
また、本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D790規格に準じて測定された曲げ弾性率が9,500kgf/cm2以上であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一実施形態に係る新材ポリオレフィン樹脂と廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂とを含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、優れた物理的、化学的物性を有するため、種々の産業分野の応用製品の開発に活用可能であるため、産業上の利点に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。ただし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲により定義されるだけである。
【0021】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。
【0022】
明細書の全体にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。また、単数形は、語句において特に言及しない限り、複数形も含む。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合または共重合を意味し得る。
【0023】
本明細書において、「セパレータ(separator)」は、ポリオレフィン系多孔性セパレータ基材上に表面の少なくとも一部が無機粒子を含むコーティング層でコーティングされたセラミックコーティングセパレータ(Ceramic Coated Separator、CCS)、または表面の全部が無機粒子を含むコーティング層でコーティングされていないセパレータを指し得る。表面の少なくとも一部がコーティング層でコーティングされるとは、片面または両面の一部または全体がコーティング層でコーティングされていることを意味し得る。前記「コーティング層」は、当該技術分野で公知のセパレータコーティング層の全ての組成物を含んでもよく、その構成に特に制限されない。
【0024】
本明細書において、「廃セパレータ(waste separator)」とは、セパレータの製造工程中に発生するオフスペック(off-spec)のセパレータを意味するか、または廃電池(waste battery)または多様な廃電気化学素子(waste electrochemical device)の回収後に再活用または分解過程で得られるセパレータを意味し得る。
【0025】
本明細書において、「新材ポリオレフィン樹脂」は、ポリオレフィン樹脂から製造されたペレットや粉末として、他の成形品に加工していないポリオレフィン樹脂を意味し得る。
【0026】
本開示は、新材ポリオレフィン樹脂と廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂とを含む混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を提供することができる。
【0027】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、組成物の総重量に対して、前記新材ポリオレフィン樹脂を、下限として40重量%以上、50重量%以上、または60重量%以上含んでもよく、上限として90重量%以下、80重量%以下、または70重量%以下含んでもよい。例えば、40~90重量%、50~80重量%、または60~70重量%を含んでもよい。また、組成物の総重量に対して、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を、下限として10重量%以上、20重量%以上、または30重量%以上含んでもよく、上限として60重量%以下、50重量%以下、または40重量%以下含んでもよい。例えば、10~60重量%、20~50重量%、または30~40重量%を含んでもよい。
【0028】
前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物が上記範囲を満たす場合、組成物の溶融指数、衝撃強度、伸び率などの機械的物性に優れるため、ブロー成形による再生製品の作製時に再生製品の耐環境応力亀裂抵抗性、耐久性などが良く、フローマークおよびゲル化が発生しないため、再生製品の表面にラベルの付着時に不良が発生しないなどの効果があるのでより好ましい。
【0029】
本開示の一実施形態によると、前記新材ポリオレフィン系樹脂は、高密度、中密度、低密度、直鎖状低密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、非晶質ポリプロピレン、またはポリブチレンであってもよいが、これに限定されない。
【0030】
本開示の一実施形態によると、前記新材ポリオレフィン樹脂の密度は、下限として0.930kg/m3以上、または0.950kg/m3以上であってもよく、上限として0.990kg/m3以下、または0.980kg/m3以下であってもよい。例えば、0.930~0.990kg/m3、または0.950~0.980kg/m3であってもよい。上記範囲を満たす場合、組成物の機械的物性に優れるため、それを用いた再生製品の作製が容易であるので好ましいが、これに限定されない。
【0031】
本開示の一実施形態によると、前記新材ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、下限として80,000g/mol以上、100,000g/mol以上、または130,000g/mol以上であってもよく、上限として非限定的に500,000g/mol以下、300,000g/mol以下、または170,000g/mol以下であってもよい。例えば、80,000~500,000g/mol、100,000~300,000g/mol、または130,000~170,000g/molであってもよい。上記範囲を満たす場合、再生製品の強度などのような物理的性質が向上し、成形性および生産量の増大を達成することができるので好ましい。
【0032】
本開示の一実施形態によると、前記新材ポリオレフィン樹脂の分子量分布(MWD、Mw/Mn)は5~20、10~19、または13~17であってもよく、上記範囲にて、耐環境応力亀裂抵抗性に優れ、廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂と混合されて十分な加工性、物性が確保され、製品成形時に不良が容易に発生しないのでより好ましいが、本発明の物性を満たす限りは制限されない。
【0033】
本開示の一実施形態によると、前記新材ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準じて、190℃で21.6kgの荷重で測定された溶融指数(MI21.6)が、下限として20g/10min以上、50g/10min以上、または70g/10min以上であってもよく、上限として非限定的に200g/10min以下、150g/10min以下、または100g/10min以下であってもよい。例えば、20~200g/10min、50~150g/10min、または70~100g/10minであってもよい。また、ASTM D1238に準じて、190℃で5kgの荷重で測定された溶融指数(MI5)が、下限として0.5g/10min以上、2.0g/10min以上、または3.5g/10min以上であってもよく、上限として10g/10min以下、7.5g/10min以下、または5.0g/10min以下であってもよい。上記範囲を満たす場合、流動性に優れ、加工および発泡が容易であり、引張強度のような機械的物性に優れるので好ましい。
【0034】
一般的に、新材ポリオレフィン樹脂の物性の補強および無機物含有能の向上などのためにポリオレフィン系エラストマーを添加するが、ポリオレフィン系エラストマーが高価であるため、工程費用が全体的に増加し、一部の新材ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン系エラストマーの添加により密度が低くなるため、耐熱性およびリジッド(rigid)な特性が低下する問題が発生し得る。しかし、前記物性を満たす新材ポリオレフィン樹脂を用いる場合、ポリオレフィン系エラストマーを添加しなくても本発明が目的とするものを達成できるという長所がある。
【0035】
本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記新材ポリオレフィン樹脂と前記組成比で混合され、溶融流動率比(MFRR)が、下限として5以上、8以上、10以上、12以上、または15以上であってもよく、上限として22以下、20以下、または19以下であってもよい。例えば、5~22、8~20、10~19、12~19、または15~19であってもよい。上記範囲に調整される再生ポリオレフィン樹脂を用いた際に、本開示が目的とする物性を示す成形品を優れた加工性を満たして製造可能な混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を提供することができるので好ましい。
【0036】
一方、前記溶融流動率比は、ASTM D1238に準じて、190℃および21.6kgの荷重下で測定された溶融指数(MI21.6)を、190℃および5kgの荷重下で測定された溶融指数(MI5)で割った値である。
【0037】
上記範囲を満たす廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を用いる場合、Izod衝撃強度が15kJ/m2以上であり、かつ、引張伸びにおいても一開示が達成しようとする300%、好適には400%以上の効果が著しく達成されるのでより好ましいが、本発明が目的とする物性を満たす場合には、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0038】
本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量が100,000~1,000,000g/mol、または300,000~500,000g/molであってもよく、分子量分布(MWD、Mw/Mn)が6~20または8~15であってもよいが、新材ポリオレフィン樹脂と混合された際に前記溶融流動率比を有するのであれば、特に限定されない。
【0039】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、組成物の総重量に対して、前記無機粒子が、上限として5.00重量%以下、3.00重量%以下、1.00重量%以下、または0.30重量%以下の含量で含まれてよく、下限として特に制限されるものではないが、0.01重量%以上、0.05重量%以上、または0.10重量%以上の含量で含まれてもよい。例えば、0.01~5.00重量%、0.05~3.00重量%、0.05~1.00重量%、または0.10~0.30重量%を含んでもよい。上記範囲を満たす場合、本発明が目的とする物性をさらに満たすことができるので好ましいが、これは、前記微量の無機物が存在する場合、無機粒子とマトリックス樹脂との間の補完的な相乗効果によりさらに優れた物性が得られると見られるが、明らかなものではない。
【0040】
本開示の一実施形態によると、前記無機粒子としては、当該技術分野で公知の無機粒子のいずれを用いてもよいが、非限定的な例によると、前記無機粒子は、アルミナ(alumina)、水酸化アルミニウム(aluminum hydroxide)、シリカ(silica)、酸化バリウム(barium oxide)、酸化チタン(titanium oxide)、酸化マグネシウム(magnesium oxide)、水酸化マグネシウム(magnesium hydroxide)、粘土(clay)、ガラス粉末(glass powder)、ベーマイト(boehmite)、擬ベーマイト(psuedo-boehmite)、またはこれらの混合物からなってもよい。擬ベーマイトは、化学式AlO(OH)で表され、水分含量が高く、微細結晶のベーマイト類似構造を有する物質を意味する。
【0041】
本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂、無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。この際、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂は、無機粒子コーティング層が除去された廃セパレータ基材から回収されたものであってもよい。
【0042】
前記廃セパレータ基材の成分は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0043】
本開示の一実施形態によると、前記脱離は、無機粒子コーティング層を有する廃セパレータを水槽に含浸させた後に表面研磨処理することで行われてもよい。
【0044】
本開示の一実施形態によると、廃セパレータを十分に濡らすために必要な含浸時間は10秒~5分であってもよい。含浸時間が過度に短い場合には、廃セパレータが十分に濡れないため、コーティング層が円滑に脱離しない恐れがあり、その逆に含浸時間が過度に長い場合には、工程効率が低下する恐れがある。上述した観点を考慮して、含浸時間は10秒~3分、10秒~2分、30秒~5分、30秒~3分、または30秒~2分であってもよい。前記廃セパレータが含浸される含浸時間は、廃セパレータが含浸される水槽が別個に構成される場合であれば、含浸される水槽内で廃セパレータが滞留する時間を意味し得、同一の水槽内で含浸処理-表面研磨処理が行われる場合であれば、表面研磨処理が行われる前まで水槽内で廃セパレータが滞留する時間を意味し得る。
【0045】
廃セパレータを水槽に含浸させた後、本開示の一実施形態によると、その次に、前記廃セパレータを表面研磨処理してもよい。前記表面研磨処理は、多様な装置または器具を活用して表面を摩擦させ、廃セパレータの表面にコーティングされた無機粒子を脱離可能であれば十分であり、表面研磨処理手段は、特に制限されない。前記表面研磨処理手段の非限定的な例としては、(a)織布、不織布、カレンダー不織布(calendered non-woven fabric)、重合体フィルム、ステッチボンド布(stitchbonded fabric)、連続気泡発泡体(open cell foam)、または独立気泡発泡体(close cell foam)を表面に備えた基材(substrate);および(b)有機重合体繊維または無機繊維をブラシ毛として備えたブラシ(brush);のうち1つ以上を含む多様な装置または器具が挙げられる。
【0046】
前記有機重合体繊維としては、ブラシを活用する技術分野で公知の有機重合体材質の繊維であれば、いずれを用いてもよい。有機重合体繊維の非限定的な例として、エステル系繊維、ナイロン系繊維、セルロース系繊維、アクリル系繊維、オレフィン系繊維、天然繊維、およびポリ塩化ビニル系繊維のうち1つまたは2つ以上が混合された繊維を用いてもよい。
【0047】
前記無機繊維としては、ブラシを活用する技術分野で公知の無機繊維であれば、いずれを用いてもよい。無機繊維の非限定的な例として、シリコンカーバイド系繊維、炭素繊維、金属酸化物繊維、金属窒化物繊維、金属炭窒化物繊維のうち1つまたは2つ以上が混合された繊維を用いてもよい。
【0048】
一方、硬度が過度に大きい表面研磨処理手段を用いて廃セパレータを表面研磨処理すると、廃セパレータが破れ得、前記廃セパレータの破れた空間に無機粒子が混入する恐れがある。それを考慮して、前記表面研磨処理手段の硬度を適宜調節することが必要である。特に制限されるものではないが、表面研磨処理手段のうちブラシにおいて、ブラシ毛は、ASTM D786に準じて測定されたR-スケール(R-scale)ロックウェル硬さが80~140または90~130であってもよい。
【0049】
本開示の一実施形態によると、前記表面研磨処理は、前記(a)基材および(b)ブラシのうち1つ以上が表面の少なくとも一部に備えられた1つまたは2つ以上のロール(roll)を用いて廃セパレータの表面を擦る工程(scrubbing process)を含んでもよい。
【0050】
本開示によると、前記廃セパレータを表面研磨処理して表面にコーティングされたコーティング層を脱離してもよいが、本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータの表面にコーティングされたコーティング層を脱離する工程において、超音波処理をさらに含んでもよい。
【0051】
本開示の一実施形態によると、前記超音波処理は、前記表面研磨処理の以前、同時、または以後に行われてもよく、行われる時点に対しては特に制限されない。本発明によると、水槽内で超音波処理を行うことで、前記超音波処理を行う器具と被処理対象である廃セパレータとの間に介在する水槽内の水分子に超音波振動と回転を与えることができ、前記水分子の振動と回転により廃セパレータの表面を極微細加工することができる。前記極微細加工により廃セパレータとコーティング層との結合力を低くすることができる。
【0052】
本開示の一実施形態によると、前記超音波処理を行った後に前記表面研磨処理を行ってもよい。本発明によると、前処理として超音波処理を先に行うと、廃セパレータとコーティング層との結合力を低くすることができ、これは、後処理である表面研磨処理を行う際に、前記廃セパレータからコーティング層がさらに円滑に脱離できるようにすることができる。
前記超音波処理を行う器具としては、特に制限されないが、非限定的な例として、超音波発振器、振動子、ホーンを含む超音波研磨装置を用いてもよい。
【0053】
本開示の一実施形態によると、前記超音波処理は、周波数10~50kHz、10~40kHz、または10~30kHzの条件で行われてもよい。
本開示の一実施形態によると、前記超音波処理は、出力300~1500W、300~1200W、300~1000W、500~1500W、500~1200W、または500~1000Wの条件で行われてもよい。
【0054】
本開示の一実施形態によると、前記超音波処理時間は10秒~5分であってもよい。超音波処理時間が過度に短い場合には、廃セパレータとコーティング層との結合力を十分に低くすることができない恐れがあり、その逆に超音波処理時間が過度に長い場合には、廃セパレータとコーティング層との結合力を低くする効果が飽和するだけでなく、工程効率が低下する恐れがある。上述した観点を考慮して、本開示の一実施形態によると、前記超音波処理時間は10秒~3分、10秒~2分、30秒~5分、30秒~3分、または30秒~2分であってもよい。
【0055】
本開示の一実施形態によると、前記無機粒子コーティング層が含む無機粒子の含量は、コーティング層の総重量に対して、下限として10重量%以上、20重量%以上、または30重量%以上であってもよく、上限として90重量%以下、80重量%以下、または75重量%以下であってもよい。例えば、10~90重量%、20~80重量%、または30~75重量%であってもよいが、これに限定されない。
【0056】
前記脱離により、前記無機粒子コーティング層を有する廃セパレータの無機粒子コーティング層の全部または一部が脱離することができる。具体的に、前記無機粒子コーティング層は、下記の式により計算された「コーティング脱離率(%)」が90%以上、95%以上、または98%以上であってもよく、非限定的には99.9%以下であってもよい。上記範囲を満たす場合、廃セパレータの再活用が容易であり、再生樹脂組成物が目的とする物性値を達成可能な無機粒子量が含まれることができるので好ましいが、これに限定されない。
【0057】
コーティング脱離率(%)=(初期セパレータの重量-最終セパレータの重量)/(脱離前コーティング層の重量)*100
この際、前記「初期セパレータの重量」は、コーティング層の脱離工程を行う前のセパレータの重量であり、前記「最終セパレータの重量」は、コーティング層の脱離工程を行った後のセパレータの重量である。前記「脱離前コーティング層の重量」は、初期セパレータの重量からコーティング前セパレータの重量を引いた重量である。
【0058】
前記無機粒子コーティング層を有するセパレータから無機粒子コーティング層を脱離する際に、無機粒子の含量が前記全組成物中で、上限として5.00重量%以下、3.00重量%以下、1.00重量%以下、または0.30重量%以下であってもよく、下限として特に制限されるものではないが、0.01重量%以上、0.05重量%以上、または0.10重量%以上になり得るように無機粒子が除去されたものがより好ましい。
【0059】
上記過程で無機粒子コーティング層を含む廃セパレータからコーティング層を脱離した後、その次に、前記コーティング層が脱離した廃セパレータを洗浄(washing)する工程を行ってもよい。洗浄工程は、蒸留水を用いて行われてもよい。
【0060】
その次に、前記洗浄された廃セパレータを乾燥する工程を行ってもよい。一実施形態によると、乾燥温度は50~150℃、50~120℃、または50~100℃であってもよい。乾燥時間は、特に制限されないが、一実施形態によると、30分~6時間、30分~3時間、または30分~2時間であってもよい。
【0061】
前記コーティング層の脱離工程後、前記コーティング層が脱離した廃セパレータを洗浄および乾燥する工程を経て、前記無機粒子コーティング層を有するセパレータから無機粒子コーティング層を脱離して再生ポリオレフィン樹脂を回収することができる。
【0062】
本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータからコーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂を含んでもよい。
【0063】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータからコーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂を、混合再生ポリオレフィン樹脂組成物の総重量に対して、下限として1重量%以上、5重量%以上、または10重量%以上含んでもよく、上限として非限定的に50重量%以下、30重量%以下、または20重量%以下含んでもよい。例えば、1~50重量%、5~30重量%、または10~20重量%を含んでもよい。
【0064】
また、本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂をさらに含んでもよい。
【0065】
本開示の一実施形態によると、前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂は、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂を、下限として20重量部以上、50重量部以上、または100重量部以上含んでもよく、上限として600重量部以下、300重量部以下、または200重量部以下含んでもよい。例えば、20~600重量部、50~300重量部、または100~200重量部を含んでもよいが、本開示に係る混合再生ポリオレフィン樹脂組成物が達成しようとする物性を満たすことができるのであれば、これに限定されない。
【0066】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、前記新材ポリオレフィン樹脂と前記廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂とを1軸押出機(single-screw extruder)または2軸押出機(twin-screw extruder)に投入した後、170~250℃、180~230℃、または190~220℃の温度で溶融混合(melt blending)して製造されてもよい。
【0067】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D256に準じて、常温(23℃)で測定されたIzod衝撃強度が、下限として15kJ/m2以上、18kJ/m2以上, 20kJ/m2以上、 22kJ/m2以上, 24kJ/m2、または25kJ/m2以上であってもよく、上限として特に制限されるものではないが、35kJ/m2以下、または30kJ/m2以下であってもよい。例えば、15~35kJ/m2、20~30kJ/m2、24~30kJ/m2、または25~30kJ/m2であってもよい。上記範囲を満たす場合、それを用いた製品の耐衝撃性、耐薬品性、加工性、および耐熱性に優れるという長所がある。
【0068】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D792に準じて測定された密度が、下限として0.940kg/m3以上、または0.955kg/m3以上であってもよく、上限として0.990kg/m3以下、または0.975kg/m3以下であってもよい。例えば、0.940~0.990kg/m3、または0.955~0.975kg/m3であってもよい。
【0069】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D638に準じて測定された引張強度が、下限として200kgf/cm2以上、230kgf/cm2以上、または270kgf/cm2以上であってもよく、上限として特に制限されるものではないが、非限定的に500kgf/cm2以下であってもよい。また、ASTM D638に準じて測定された引張伸び(Tensile Elongation)が、下限として250%以上、300%以上、または400%以上であってもよく、上限として特に制限されるものではないが、非限定的に500%以下である物性を同時に満たしてもよい。前記引張強度および引張伸びの範囲を同時に満たす場合、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物から製造された再生製品を用いる際に破れまたは曲がりなどが発生しないため、前記再生製品が持続的な性能を維持することができるので好ましいが、必ずしも前記2つの物性を同時に満たさなければならないものではないことはいうまでもない。
【0070】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ASTM D790に準じて測定された曲げ弾性率が、下限として9,500kgf/cm2以上、好適には9,700kgf/cm2以上、より好適には9,900kgf/cm2以上であってもよく、上限として特に制限されるものではないが、非限定的に15,000kgf/cm2以下であってもよい。上記範囲を満たす場合、それを用いた製品の耐衝撃性、耐薬品性、加工性、および耐熱性に優れるという長所がある。
【0071】
本開示の一実施形態によると、前記混合再生ポリオレフィン樹脂組成物は、ブロー成形により再生製品を製造する際に用いられることができる。
前記ブロー成形は、ポット(Pot)内の温度が150~250℃、160~230℃、または170~220℃の条件で行われてもよい。
【0072】
前記再生製品の非限定的な例としては、各種産業分野のケース類、フィルム類、シート類、履き物、衣服などの衣類、またはプラスチック製品類などの成形品が挙げられる。
前記再生製品は、厚さが0.5~5mm、1~4mm、または2~3mmであってもよい。
【0073】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0074】
[物性の測定方法]
下記の実施例および比較例で製造された混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を射出成形機(WIZ170E、LS)に注入した後、200℃で射出成形した後、常温で射出物を結晶化させて試験片を形成した。この際、試験片の大きさは、下記の各測定項目の規格に準じて作製した。
【0075】
(1)密度(kg/m3)
ASTM D1505規格に準じて測定した。
【0076】
(2)Izod衝撃強度の評価
ASTM D256方法に準じて、1/8インチ厚さの試験片に切り欠き後、常温(23℃)で切り欠きIzod(Notched Izod)衝撃強度を測定した。
【0077】
(3)溶融流動率比の評価
ASTM D1238に準じて、190℃および21.6kgの荷重下で測定された溶融指数(MI21.6)を、190℃および5kgの荷重下で測定された溶融指数(MI5)で割って溶融流動率比を計算した。
【0078】
(4)引張強度および引張伸びの評価
ASTM D638に準じて、試験速度50mm/minで常温で測定した。
【0079】
(5)曲げ弾性率の評価
ASTM D790に準じて、2.8mm/minの速度で3.2mm厚さの試験片の曲げ強度を測定した。
【0080】
[実施例1]
先ず、密度が0.965g/cm3であり、重量平均分子量が150,000g/molであり、分子量分布が15.4であり、MI21.6が約82.29dg/minであり、MI5が4.02dg/minである新材ポリエチレン樹脂を準備した。
【0081】
その次に、コーティング層の総重量を基準として約94重量%の無機粒子を含む無機粒子コーティング層でコーティングされた廃セパレータ(Ceramic Coated Separator、CCS)を水槽内で60秒間含浸させた後、スクラブ(scrubbing)布(KM社製のポリエステルワイパーWW-3012)で廃セパレータの全表面を時計方向に2回擦って「表面研磨処理」を行った後、前記水槽内で20kHz、750Wの条件で超音波工具(sonication horn)により60秒間超音波処理して無機粒子コーティング層を脱離し、再生ポリオレフィン樹脂を回収した。この際、前記無機粒子コーティング層は、約98.6%のコーティング脱離率で脱離し、前記回収した再生ポリオレフィン樹脂は、無機粒子である平均粒径0.7umのベーマイトを前記樹脂の1重量%で含んでいた。
【0082】
その次に、無機粒子コーティング層を含まないポリオレフィン微細多孔膜の製造工程で発生する不良スクラップから再生ポリオレフィン樹脂を回収した。
その次に、組成物の全重量に対して、前記新材ポリエチレン樹脂70重量%、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂10重量%、および前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂(Recycled Lithium-ion Battery Separator、r-LiBS)20重量%を2軸押出機に投入した後、200℃で溶融混合して混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0083】
[実施例2]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂60重量%、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂20重量%、および前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂20重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0084】
[実施例3]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂70重量%、および前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂30重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0085】
[実施例4]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂50重量%、および前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂50重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0086】
[比較例1]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂70重量%、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離せずに回収した再生ポリオレフィン樹脂10重量%、および前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂20重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0087】
[比較例2]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂70重量%、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離せずに回収した再生ポリオレフィン樹脂20重量%、および前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂10重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0088】
[比較例3]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂70重量%、前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離せずに回収した再生ポリオレフィン樹脂25重量%、および前記無機粒子コーティング層を含まない廃セパレータから回収した再生ポリオレフィン樹脂5重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0089】
[比較例4]
前記実施例1において、前記新材ポリエチレン樹脂70重量%、および前記無機粒子コーティング層を含む廃セパレータから無機粒子コーティング層を脱離せずに回収した再生ポリオレフィン樹脂30重量%を溶融混合することを除いては、同様の条件で混合再生ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、組成および無機粒子の含量を下記表1に示した。また、前記物性の測定方法により前記組成物の機械的物性を測定したものを表2に示した。
【0090】
【0091】
【0092】
前記表2を参照すると、比較例1~4は、無機粒子を過度に多く含むため、Izod衝撃強度、引張伸びなどの物性が劣り、溶融流動率比が過度に高いため、加工性が低下するなど、ブロー成形に好適ではないことが分かる。
【0093】
しかしながら、本開示に係る混合再生ポリオレフィン樹脂組成物である実施例1~4は、無機粒子コーティング層を脱離して回収した再生ポリオレフィン樹脂を含むことで加工性が良く、ブロー成形工程に使用時に優れた成形効率を示すことが分かり、このことから廃セパレータを効率的に再活用可能であることを確認した。
【0094】
以上、本発明の例示的な実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する請求範囲の概念と範囲から逸脱しない範囲内で多様な変更および変形が可能であることを理解することができる。