(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153074
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】検出器組立体と結合したカメラを使用したナビゲーション精度の向上
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231005BHJP
G01N 23/223 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/66 P
H01L21/66 N
G01N23/223
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023057303
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】17/709,451
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517006463
【氏名又は名称】ブルカー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー クロクマル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ブラント
(72)【発明者】
【氏名】ドール ペリー
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー ペレド
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ウォーミントン
【テーマコード(参考)】
2G001
4M106
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001BA29
2G001CA01
2G001DA06
2G001EA03
2G001LA11
2G001PA11
4M106AA01
4M106CA48
4M106CA50
4M106CB21
4M106DB04
4M106DB07
4M106DB18
4M106DH03
4M106DH12
4M106DH25
4M106DH34
4M106DJ04
(57)【要約】
【課題】X線測定におけるナビゲーション精度を向上させるための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、第1及び第2の撮像組立体と、プロセッサとを含む。第1の撮像組立体は、試料中の測定部位の第1の画像を生成するように構成される。第2の撮像組立体は、測定組立体と結合され、測定部位の第2の画像を生成するように構成される。プロセッサは、(i)第1の画像に基づいて、測定組立体に対する試料の第1の移動を実行し、(ii)第2の画像に基づいて、試料を測定組立体と位置合わせするための試料の第2の移動を実行し、(iii)測定組立体を制御して測定部位において測定を実行する、ように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
試料中の測定部位の第1の画像を生成するように構成された第1の撮像組立体と、
測定組立体と結合され、前記測定部位の第2の画像を生成するように構成された第2の撮像組立体と、
プロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
(i)前記第1の画像に基づいて、前記測定組立体に対する前記試料の第1の移動を実行し、
(ii)前記第2の画像に基づいて、前記試料を前記測定組立体と位置合わせするため前記試料の第2の移動を実行し、
(iii)前記測定部位にて測定を実行するように前記測定組立体を制御する、
ように構成される、
システム。
【請求項2】
前記試料は半導体基板を含み、前記測定部位は、前記半導体基板において生成された構造体を含み、前記第1の撮像組立体は光学顕微鏡を含み、前記第2の撮像組立体は光学カメラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学顕微鏡は、1又は2以上の倍率で前記第1の画像を生成するように構成され、前記光学カメラは、前記第2の画像を生成するように構成され、前記プロセッサは、前記第1の画像及び前記第2の画像において前記測定部位を識別するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記測定組立体は、1又は2以上のX線検出器組立体(XDA)を含み、各XDAは、測定位置を囲む複数のエネルギー分散型X線検出器を含み、(i)前記光学顕微鏡と前記測定位置との間の第1の距離が50mmよりも大きく、(ii)前記光学カメラと前記測定位置との間の第2の距離が25mmよりも小さい、請求項2及び3の何れかに記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも前記第2の画像に基づいて、前記プロセッサは、前記測定位置を前記測定部位と位置合わせするように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学カメラは、前記エネルギー分散型X線検出器の少なくとも1つから20mmよりも小さい第3の距離に位置決めされる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記光学カメラは、単一の倍率で前記第2の画像を生成するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー分散型X線検出器の少なくとも1つは、シリコンドリフト検出器(SDD)を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
X線ビームを前記測定位置に向けるように構成されたX線源を含み、前記X線ビームを向けることに応答して、前記エネルギー分散型X線検出器の少なくとも1つが、前記試料から放出される蛍光X線(XRF)を検出するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記測定位置が前記測定部位と位置合わせされたときに、前記プロセッサは、前記半導体基板に生成された構造体においてXRF測定を実行するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
(i)前記第1の画像に基づいて、前記プロセッサは、前記第1の移動において、前記測定部位と前記測定位置との間の第1の位置決め誤差を得るように構成され、(ii)前記第2の画像に基づいて、前記プロセッサは、前記第2の移動において、前記測定部位と前記測定位置との間の第2の位置決め誤差を得るように構成され、前記第2の位置決め誤差は、前記第1の位置決め誤差よりも小さい、請求項4に記載のシステム。
【請求項12】
前記光学カメラ及び前記エネルギー分散型X線検出器は、前記測定組立体の共通の支持構造体に結合される、請求項4に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の移動及び前記第2の移動の少なくとも一方は、複数の移動を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の移動は、前記第1の移動よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
システムであって、
(i)第1の撮像組立体からの第1の信号及び(ii)測定組立体と結合された第2の撮像組立体からの第2の信号を受け取るように構成されたインターフェースと、
プロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、(i)前記第1の信号に基づいて、試料中の測定部位を識別し、(ii)前記測定組立体に対する前記試料の第1の移動を実行し、(iii)前記第2の信号に基づいて前記測定部位を識別し、(iv)前記測定部位において測定を実行するために前記測定組立体に対する前記試料の第2の移動を実行する、ように構成される、
システム。
【請求項16】
前記試料は半導体基板を含み、前記測定部位は、前記半導体基板に生成された構造体を含み、前記第1の撮像組立体は光学顕微鏡を含み、前記第2の撮像組立体は光学カメラを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記測定組立体は、1又は2以上のX線検出器組立体(XDA)を含み、各XDAは、測定位置を囲む複数のエネルギー分散型X線検出器を含み、(i)前記光学顕微鏡と前記測定位置との間の第1の距離が50mmよりも大きく、(ii)前記光学カメラと前記測定位置との間の第2の距離が25mmよりも小さい、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
(i)前記第1の信号に基づいて、前記プロセッサは、前記第1の移動において、前記測定部位と前記測定位置との間の第1の位置決め誤差を得るように構成され、(ii)前記第2の信号に基づいて、前記プロセッサは、前記第2の移動において、前記測定部位と前記測定位置との間の、前記第1の位置決め誤差よりも小さい第2の位置決め誤差を得るように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記エネルギー分散型X線検出器の少なくとも1つは、シリコンドリフト検出器(SDD)を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記光学カメラ及び前記エネルギー分散型X線検出器は、前記測定組立体の共通の支持構造体に結合される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
方法であって、
第1の撮像組立体から第1の信号を受け取り、測定組立体に結合された第2の撮像組立体から第2の信号を受け取るステップと、
前記第1の信号に基づいて、試料中の測定部位を識別し、前記測定組立体に対する前記試料の第1の移動を実行するステップと、
前記第2の信号に基づいて前記測定部位を識別し、前記測定組立体と前記試料を位置合わせするために前記測定組立体に対する前記試料の第2の移動を実行するステップと、
前記測定部位において測定を行うステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記試料は半導体基板を含み、前記測定部位は、前記半導体基板に生成された構造体を含み、前記第1の撮像組立体は光学顕微鏡を含み、前記第2の撮像組立体は光学カメラを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記測定組立体は、1又は2以上のX線検出器組立体(XDA)を含み、各XDAは、測定位置を囲む複数のエネルギー分散型X線検出器を含み、(i)前記光学顕微鏡と前記測定位置との間の第1の距離は50mmよりも大きく、(ii)前記光学カメラと前記測定位置との間の第2の距離は25mmよりも小さい、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(i)前記第1の信号に基づいて、前記第1の移動において前記測定部位と前記測定位置との間の第1の位置決め誤差を得るステップと、
(ii)前記第2の信号に基づいて、前記第2の移動において前記測定部位と前記測定位置との間の、前記第1の位置決め誤差よりも小さい第2の位置決め誤差を得るステップと、を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記カメラ及び前記エネルギー分散型X線検出器は、前記測定組立体の共通の支持構造体に結合される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の移動を実行するステップは、前記第1の移動と比較してより小さい移動を実行するステップを含む、請求項21~25の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、X線分析に関し、特に、X線測定におけるナビゲーション精度を向上させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおけるナビゲーション精度を向上させるための様々な技術が公開されている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2007/0290703号は、導電性端子を露出させた被検試料の表面を観察するために位置付けられる高解像度顕微鏡を使用して、集積回路の被検試料上の電気試験信号でプロービングする方法及びシステムを記載している。顕微鏡に対して被検試料を支持するためのキャリアを備えたハウジングが設けられ、プローブ組立体は、被検試料との間で電気テスト信号を搬送及び取得するために被検試料の表面上に位置決め可能である。プローブ及びキャリアの少なくとも一方を所定の試験位置にシフトさせるために駆動システムが設けられる。一形態では、システムは、駆動システムの動作時に発生する熱エネルギーからプローブ組立体及びキャリアの一方を保護するための熱シールドを有し、別の形態では、システムは、被検試料から正確な測定を行うことができるようにハウジング内を所望の温度に維持するための環境制御部を有する。
【0004】
米国特許出願公開第2020/0319443号は、オートフォーカスシステムが開示されていることを記載している。システムは、照明源を含む。システムは、アパーチャを含む。システムは、投影マスクを含む。システムは、検出器組立体を含む。システムは、中継システムを含み、中継システムは、投影マスクを介して伝送される照明を撮像システムに光学的に結合するように構成される。リレーシステムはまた、投影マスクから1又は2以上のパターンを被検試料に投影し、被検試料から検出器組立体に投影マスクの画像を送るように構成される。システムは、プログラム命令のセットを実行するように構成された1又は2以上のプロセッサを含むコントローラを含む。プログラム命令は、1又は2以上のプロセッサに、検出器組立体から投影マスクの1又は2以上の画像を受信させ、投影マスクの1又は2以上の画像の品質を決定させるように構成されている。
【0005】
米国特許出願公開第2019/0310080号は、サイト毎アライメントを提供するオーバーレイ計量ツールが、テレセントリック撮像システムに結合されたコントローラを含むことを記載されている。コントローラは、撮像システムによって2又は3以上の合焦位置で取り込まれた試料上のオーバーレイターゲットの2又は3以上のアライメント画像を受信し、アライメント画像に基づいて撮像システム内のオーバーレイターゲットのアライメントを示すアライメントデータを生成し、オーバーレイターゲットのアライメントが選択したアライメント公差内にある場合にはアライメント画像を測定画像としてセットし、オーバーレイターゲットのアライメントが選択されたアライメント公差外である場合には、撮像システムにおけるオーバーレイターゲットのアライメントを調整するように撮像システムに指示して、撮像システムから1又は2以上の測定画像を更に受け取り、次いで、測定画像の少なくとも1つに基づいて試料の2又は3以上の層間のオーバーレイを判定することができる。
【0006】
米国特許出願公開第2015/0241469号は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)システム及び関連する方法を記載している。SPMシステムは、試料のナノスケール特徴と相互作用し、ターゲット領域内で走査してそのターゲット領域の3次元画像を生成するように適合されたプローブを有し、システムは、試料固有の座標系に従って試料の複数の関心特徴の位置情報を維持し、SPMシステムは、SPM座標系に従って試料に対するプローブの位置決めを調整するように構成されており、SPMシステムは更に、試料固有座標系と前記SPM座標系との間のアライメント誤差のセットを決定して、決定したアライメント誤差を相殺するために前記SPM座標系に補正を適用することによって、試料固有座標系とSPM座標系との動的関係を管理するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0290703号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0319443号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0310080号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0241469号明細書
【特許文献5】米国特許第6,108,398号明細書
【特許文献6】米国特許第9,632,043号明細書
【発明の概要】
【0008】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、第1及び第2の撮像組立体と、プロセッサとを含むシステムを提供する。
【0009】
第1の撮像組立体(first imaging assembly)は、試料中の測定部位(measurement site)の第1の画像を生成する(produce)ように構成される。第2の撮像組立体は、測定組立体(measurement assembly)と結合され、測定部位の第2の画像を生成するように構成される。プロセッサは、(i)第1の画像に基づいて、測定組立体に対する試料の第1の移動を実行し、(ii)第2の画像に基づいて、試料を測定組立体と位置合わせするため試料の第2の移動を実行し、(iii)測定部位において測定を実行するように測定組立体を制御する、ように構成される。
【0010】
幾つかの実施形態において、試料は半導体基板を含み、測定部位は、半導体基板において生成された構造体(structure)を含み、第1の撮像組立体は光学顕微鏡を含み、第2の撮像組立体は光学カメラを含む。
【0011】
他の実施形態では、光学顕微鏡は、1又は2以上の倍率で第1の画像を生成するように構成され、光学カメラは、第2の画像を生成するように構成され、プロセッサは、第1の画像及び第2の画像において測定部位を識別するように構成される。更に他の実施形態では、測定組立体は、1又は2以上のX線検出器組立体(X-ray detector assemblies)(XDA)を含み、各XDAは、測定位置を取り囲む複数のエネルギー分散型X線検出器(X-ray detector assemblies)を含み、(i)光学顕微鏡と測定位置との間の第1の距離は50mmよりも大きく、(ii)光学カメラと測定位置との間の第2の距離は25mmよりも小さい。
【0012】
幾つかの実施形態では、少なくとも第2の画像に基づいて、プロセッサは、測定位置を測定部位と位置合わせするように構成される。他の実施形態では、光学カメラは、SDDの少なくとも1つから20mmよりも小さい第3の距離に位置決めされる(positioned)。更に他の実施形態では、光学カメラは、単一の倍率で第2の画像を生成するように構成される。
【0013】
幾つかの実施形態では、エネルギー分散型X線検出器の少なくとも1つは、シリコンドリフト検出器(SDD)を含む。他の実施形態では、システムは、X線ビームを測定位置に向ける(direct)ように構成されたX線源を含み、X線ビームを向けることに応答して、エネルギー分散型X線検出器の少なくとも1つが、試料から放出される蛍光X線(X-ray fluorescence)(XRF)を検出するように構成される。更に他の実施形態では、測定位置が測定部位と位置合わせされたとき、プロセッサは、半導体基板に生成された構造体においてXRF測定を実行するように構成される。
【0014】
幾つかの実施形態では、(i)第1の画像に基づいて、プロセッサは、第1の移動において、測定部位と測定位置との間の第1の位置決め誤差を得るように構成され、(ii)第2の画像に基づいて、プロセッサは、第2の移動において、測定部位と測定位置との間の第2の位置決め誤差を得るように構成され、第2の位置決め誤差は、第1の位置決め誤差よりも小さい。他の実施形態では、光学カメラ及びSDDは、測定組立体の共通の支持構造体(common support structure)に結合される。
【0015】
実施形態において、第1の移動及び第2の移動の少なくとも一方は、複数の移動を含む。別の実施形態では、第2の移動は、第1の移動よりも小さい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、システムであって、(a)(i)第1の撮像組立体からの第1の信号及び(ii)測定組立体と結合された第2の撮像組立体からの第2の信号を受け取る(受信する)ように構成されインターフェースと、(b)プロセッサと、を備え、上記プロセッサが、(i)第1の信号に基づいて、試料中の測定部位を識別し、(ii)測定組立体に対する試料の第1の移動を実行し、(iii)第2の信号に基づいて測定部位を識別し、(iv)測定部位において測定を実行するために測定組立体に対する試料の第2の移動を実行する、ように構成される、システムが追加的に提供される。
【0017】
本発明の実施形態によれば、第1の撮像組立体から第1の信号、及び測定組立体に結合された第2の撮像組立体から第2の信号を受け取る(受信する)ステップを含む方法が、追加的に提供される。測定部位は、第2の信号に基づいて識別され、測定組立体に対する試料の第2の移動が、試料を測定組立体と位置合わせするために実行される。測定は、測定部位において実行される。
【0018】
本発明は、その実施形態に関する以下の詳細な説明を図面と共に参照することによって、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態による蛍光X線(XRF)測定のためのシステムの概略説明図である。
【
図2】本発明の実施形態による蛍光X線(XRF)測定のためのシステムの概略説明図である。
【
図3】本発明の実施形態による、上記
図2のシステムのX線検出器組立体(XDA)及び光学顕微鏡の概略説明図である。
【
図4】本発明の実施形態による、上記
図1及び
図2のシステムにおいて、X線計測を行い、ナビゲーション精度を向上させる方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(概要)
集積回路(IC)の超大規模集積回路(VLSI)製造プロセスは、通常、製造された構造体が設計要件を満たしていることを確認するために、ICデバイス内の予め定義された測定部位にてX線測定などの測定を含む。ICデバイス内の構造体の寸法が小さくなると、測定部位のサイズが小さくなり、従って、各測定部位で適切な測定を可能にするためのナビゲーション精度(navigation accuracy)の要件が高くなる。
【0021】
以下に説明する本発明の実施形態は、ICの製造中及び製造後に、IC内の特定部位でのプロセス及び/又は検査もしくは測定を実行するように構成されたシステムのナビゲーション精度を向上させる技術を提供する。本発明の実施例では、システムは、X線システムを備え、このシステムは、限定ではないが、製造中の複数のICを含む半導体基板(例えば、ウェーハ)などの試料上に定められた1又は2以上の測定部位でX線測定を実施するように構成される。
【0022】
幾つかの実施形態では、X線システムは、測定部位にX線ビームを向けるように構成されたX線源と、測定部位を囲む複数のシリコンドリフト検出器(SDD)又は他の固体エネルギー分散型検出器を含むことができる、X線検出器組立体(XDA)などの測定組立体とを備える。X線ビームを向けることに応答して、SDDの少なくとも1つ、典型的には全てのSDDは、限定ではないが、半導体ウェーハから放出される蛍光(XRF)などのX線を検出するように構成される。
【0023】
幾つかの実施形態では、X線システムは、ウェーハにおける測定部位の第1の画像を生成するように構成された第1の撮像組立体、本発明の例では光学顕微鏡(OM)を備える。OMは、本明細書において低倍率及び高倍率と呼ばれる、少なくとも2つの倍率を有することができる。低倍率(例えば、約1倍の倍率の対物レンズを有する)は、OMの視野(FOV)内の測定部位を識別するのに使用することができる。高倍率は、第1の画像を生成するのに使用することができる(例えば、約5倍と20倍の間の倍率の対物レンズを使用して)。加えて又は代替的に、低倍率の対物レンズは、測定部位の第1の画像を取得するのに使用してもよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、X線システムは、測定組立体と結合され、測定部位の第2の画像を生成するように構成された第2の撮像組立体、本発明の例では単一の倍率を有するカメラを備える。本明細書及び特許請求の範囲において、「と結合される(coupled with)」及び「に結合される(coupled to)」という用語はまた、カメラがそれぞれの測定組立体と一体化されていること又は一体化されることを指す。
【0025】
幾つかの実施形態では、X線システムは、プロセッサによって制御され、X線源、XDA及び撮像組立体に対してウェーハを相対的に移動させるように構成された可動ステージを備える。第1の画像及び第2の画像に基づいて、プロセッサは、測定部位にてX線測定を実行するように、XDAの構成によって定義された測定位置と(ウェーハ上に定義された)測定部位を位置合わせするようにステージを制御するよう構成される。留意すべきは、測定位置と測定部位との間に何らかの位置ずれ(例えば、横方向のオフセット)があると、測定部位ではない別の構造体を測定することになり、従って、プロセス制御の品質を低下させる可能性がある。
【0026】
幾つかの実施形態では、OMのFOVは、X線システムにおいて、X線源及びXDAの構成によって定義される測定位置から約50mmよりも大きい距離、典型的には約100mmの距離に配置される。更に、X線システムが、2又は3以上のX線源及びXDAを備える場合、OMと所与の測定位置との間の距離は、少なくとも100mmとすることができる。典型的には、ステージの位置決め精度は、とりわけ、測定位置に対する測定部位の移動距離によって決定される。従って、ステージの移動が短いほど、位置決め精度が向上することになり、従って、X線測定の品質に不可欠である、測定位置と測定部位との間の位置合わせ(alignment)が向上する。本明細書及び特許請求の範囲において、X線測定の「品質(quality)」という用語は、測定結果の正確さ(例えば、再現性(repeatability))及び精度を意味する。例えば、ウェーハ上に配置された同じ部位ではなく、(位置決め精度の誤差に起因して)異なる部位を測定する場合は、再現性が低下する。
【0027】
幾つかの実施形態では、上述の構成において、カメラのFOVは、約3mm×3mmのサイズを有し、FOVの中心は、測定部位から約25mmよりも小さい距離に配置される。本発明の実施例では、約10mm又は20mmの距離にある。
【0028】
幾つかの実施形態では、測定を実行する前に実施されるシステムの較正ステップにおいて、プロセッサは、可動ステージのマッピングを実行するように構成され、ステージの固有の位置決め精度が改善されるようにする。例えば、ステージのマッピングの後、ステージの位置決め誤差は、(i)約100mmの移動において約3μmと6μmの間、及び(ii)約10mmの移動において約0.3μmと0.6μmの間となる。本明細書及び特許請求の範囲において、「位置決め誤差(positioning error)」という用語は、意図された位置と、ウェーハ上の所与の位置、例えば測定部位の実際の位置との間のオフセット(距離で測定される)を意味する。
【0029】
幾つかの実施形態では、ステージマッピングの後でウェーハの処理中に、プロセッサは、複数の測定部位の座標を受け取るように構成される。各測定部位について、プロセッサは、OMの低倍率FOV内に測定部位を位置付けるためにウェーハを移動させるように構成されている。プロセッサは、第1の画像にパターン認識アルゴリズムを適用するなど、何れかの適切な技術を使用して測定部位を識別し、測定部位の第1の画像を取得及び生成するために高倍率を使用するようにOMを制御するよう構成される。
【0030】
幾つかの実施形態では、第1の画像に基づいて、プロセッサは、ウェーハの第1の移動を実行するようにステージを制御するように構成され、カメラのFOV内に測定部位が位置付けられるようにする。ステージの第1の移動は、約100mmの移動範囲(又は他の何れかの適切な移動)を有し、測定部位が典型的にはカメラのFOV内に位置するようにする点に留意されたい。
【0031】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、カメラを制御して測定部位の第2の画像を生成するように構成される。このような実施形態では、プロセッサは、第1の画像及び第2の画像の両方において測定部位を識別するためのパターン認識アルゴリズムを適用することができる。その後、プロセッサは、例えば約10mm又は20mmの第2の移動を実行するようにステージを制御するように構成され、測定部位が測定位置と位置合わせされるようにする。上述のように、ステージの移動距離を短くする、例えば約10mmにすることで、約100mmのステージ移動のときに得られる位置合わせと比較して、測定部位と測定位置との間の位置合わせが著しく改善される点に留意されたい。
【0032】
幾つかの実施形態では、第1の移動及び第2の移動の少なくとも一方は、複数の移動を含む。言い換えれば、第1の移動を行った後の1又は2以上の位置調整において、移動の一方又は両方を実施することができる。更に、第2の移動は、典型的には、第1の移動よりも小さい。
【0033】
幾つかの実施形態では、測定部位と測定位置を位置合わせした後、プロセッサは、測定組立体を制御して、測定部位にてX線測定を実行するように構成される。より具体的には、プロセッサは、X線源を制御して、X線ビームを測定部位に印加し、X線ビームの印加に応答してSDDから受け取った信号に基づいてX線測定を実行する。
【0034】
開示された技術は、集積回路の生産プロセスにおいて、予め定義された測定部位にて測定を実行するX線システム及び他のシステムのナビゲーション精度及び測定品質を向上させる。
【0035】
(システム記述)
図1は、本発明の一実施形態による、X線システム20の概略説明図である。
【0036】
幾つかの実施形態では、システム20は、試料の測定部位にてX線測定を実行するように構成される。本発明の例では、試料は、集積回路(IC)デバイスのトランジスタ、ダイオード、メモリセルなどの構造体を有する、本明細書ではウェーハ22と呼ばれる半導体基板を含む。本実施例では、システム20は、蛍光X線(XRF)システムを含み、本出願人のXRFシステムに関する実施形態は、例えば、米国特許第6,108,398号及び第9,632,043号において詳細に記載されている。
【0037】
幾つかの実施形態では、システム20は、高電圧電源ユニット(PSU)26によって駆動される、X線源24、本発明の例ではX線管を含む。X線管は、システム20のXYZ座標系においてX線源24と位置合わせされたX線光学系28に適切なエネルギー範囲及びフラックスを有するX線を放出するように構成されている。X線光学系28は、本明細書では測定位置(MP)30と呼ばれる小領域、例えば、ウェーハ22の表面上の典型的には約10μmと20μmの間であるが、幾つかの用途では約100μmの大きさとすることができる直径を有するスポット上にX線ビームを合焦するように構成される。
【0038】
本明細書及び特許請求の範囲において、何れかの数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部品又は集合体が、本明細書に記載されるような意図する目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0039】
幾つかの実施形態では、システム20は、本明細書では第1の撮像組立体又は光学顕微鏡(OM)50とも呼ばれる統合光学検査システムを備え、位置27にてウェーハ22の表面の画像を生成するように構成される。本発明の実施例では、OM50は、位置27におけるウェーハ22の表面の高倍率(例えば、約5倍と20倍の間)画像及び低倍率(例えば、約1倍)画像を生成するように構成された少なくとも2つの対物レンズを有する。本発明の実施例では、OM50の位置は、位置27とMP30との間の距離25を決定し、例えば、距離25は、約50mmよりも大きく、典型的には約100mmである。
【0040】
幾つかの実施形態では、システム20は、測定組立体35を備え、これは、MP30と位置合わせされているウェーハ22の部位で1又は2以上のX線測定を実行するように構成される。言い換えれば、X線測定は、MP30がウェーハ22の表面上に位置する場所で実施される。
【0041】
幾つかの実施形態では、測定組立体35は、限定ではないが固体エネルギー分散型X線検出器などの適切な検出器の1又は2以上のセットを含み、本発明の例では、固体エネルギー分散型X線検出器は、Bruker Corporation(マサチューセッツ州01821、米国)により供給されるSDD、又は限定ではないがAmptek Inc. (マサチューセッツ州01730、米国)、及びKETEK GmbH(ミュンヘン、81737、ドイツ)などの他の何れかの適切なSDD供給業者によるSDDなど、シリコンドリフト検出器(SDD)32を含む。SDD32の各セットは、それぞれのX線検出器組立体(XDA)31に配置される。
【0042】
ここで、測定組立体35の底面図を示す挿入
図29を参照する。本発明の実施例において、測定組立体35は、測定組立体35のXY平面(XYZ座標系によって定義される)上のMP30の位置の投影を囲む予め定められた幾何形状に配置された4つのSDD32を備えた単一のXDA31を含む。
【0043】
ここで、システム20の全体図に戻り参照する。幾つかの実施形態では、システム20は、測定組立体35と結合される第2の撮像組立体、本発明の例ではカメラ33を備える。例えば、カメラ33は、例えば、システム20の測定組立体35を製造する際に、測定組立体35と一体化される。カメラ33は、典型的には、SDD32の何れとも直接結合されていないが、カメラ33及びSDD32の両方は、測定組立体35の共通の支持構造体(例えば、プレート)に結合され、その間で信号を交換するための電気リード又はトレースを介して外部エンティティ(後述のプロセッサなど)に電気的に接続されていることに留意されたい。
【0044】
幾つかの実施形態では、カメラ33は、MP30から距離23に位置する位置21でウェーハ22の表面の画像を生成するように構成される。本発明の例では、距離23は、約25mmよりも小さく、典型的には約10mmであり、カメラ33は単倍率を有し、カメラ33によって生成された画像は、ウェーハ22の表面の約3mm×3mmの視野(FOV)を有している。
【0045】
代替の実施形態では、カメラ33は、測定組立体35と結合されることなく、(MP30から距離23に位置するウェーハ22の部位で画像を生成するための)適切な位置でシステム20に配置することができる。
【0046】
測定組立体35、XDA31、及びカメラ33の構成は、例として提供されるものである。他の実施形態では、測定組立体35は、何れかの適切な数のXDA31を含むことができ、その各々は、何れかの適切な構成で配置した何れかの適切な数のSDD32(及び/又は任意の他の適切なタイプの検出器)を有する。更に、測定組立体35は、カメラ33に加えて又はカメラ33の代わりに、何れかの適切な構成を使用して配置された、共に結合された何れかの適切な数の撮像組立体を有することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、システム20は、本明細書で説明するように、プロセッサ34を有する信号処理ユニット38と、プロセッサ34とシステム20の他のエンティティとの間で信号を交換するように構成されたインターフェース36と、を備える。システム20は、プロセッサ34によって制御され、XYZ座標系のXY方向、及び任意選択的にZ方向にもウェーハ22を移動させるように構成された可動ステージ40を備える。加えて又は代替的に、ステージ40は、XYZ座標系のZ軸を中心にウェーハを回転させるように更に構成される。
【0048】
幾つかの実施形態では、測定を行う前に実施されるシステムの較正ステップにおいて、プロセッサ34は、可動ステージ40のマッピングを行って、ステージの固有の位置決め精度を向上するように構成される。例えば、ステージマッピングの後、ステージ40の位置決め誤差は、(i)ステージ40が約100mm移動するときに約3μmと6μmとの間、及び(ii)ステージ40が約10mm移動するときに約0.3μmと0.6μmとの間となる。本明細書及び特許請求の範囲において、「位置決め誤差」という用語は、システム20の基準位置に対するウェーハ22の選択部位の意図された位置と実際の位置との間のXY平面におけるオフセット(距離単位、例えば、ミリメートルで測定)をいう。場合によっては、位置決め誤差は一定ではなく、ステージ40のXY平面にわたって変化することになる。
【0049】
幾つかの実施形態では、X線測定の実行を開始するとき、プロセッサ34は、システム20によって測定することを意図した1又は2以上の測定部位のリストを受け取るように構成される。リストから測定部位を選択すると、ウェーハ22が、選択された測定部位がZ軸に沿ってOM50と位置合わせされるように移動され、プロセッサ34はOM50を制御して、測定部位の第1の画像を生成する。プロセッサ34は、OM50から第1の画像を受け取り、第1の画像のFOV内の測定部位を識別するためにパターン認識アルゴリズムを適用するように構成される点に留意されたい。幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、第1の画像を取得するためのOM50の倍率を制御するように構成される。
【0050】
その後、プロセッサ34は、ステージ40を制御して、カメラ33のFOV内に測定部位を配置するようにウェーハ22の移動(本明細書では第1の移動とも呼ばれる)を実行する。ステージ40の第1の移動は、約100mm(例えば、約80mmと120mmの間)である距離25及び23の移動範囲を有し、測定部位は、典型的にはカメラ33のFOVの3mm×3mm内に位置するようになる。
【0051】
幾つかの実施形態では、選択された測定部位がカメラ33と位置合わせされると、プロセッサ34は、カメラ33を制御して測定部位の第2の画像を生成するように構成される。このような実施形態では、プロセッサ34は、第2の画像において測定部位を識別するためのパターン認識アルゴリズムを適用することもできる。その後、プロセッサ34は、ステージ40を制御して、測定部位をMP30に位置合わせさせるために、距離23に沿って位置21から、例えば約10mmの移動(本明細書では第2の移動と呼ぶ)を実行するように構成される。本明細書及び特許請求の範囲において、用語「位置合わせ(align)」及びその文法的変異は、XYZ座標系のXY平面において約0.5umよりも小さいオフセットを有する位置決め精度を指すことに留意されたい。
【0052】
幾つかの実施形態では、ステージ40が移動する距離を、例えば約100mmから約10mmに低減することで、ステージ40の位置決め精度が、例えば約5μmから約0.5μmにそれぞれ大幅に向上される(すなわち、位置決め誤差が低減される)。位置決め精度の向上により、ウェーハ22上の選択された測定部位とMP30との間の位置合わせが改善される。
【0053】
幾つかの実施形態では、測定部位とMP30を位置合わせした後、プロセッサ34は、X線源24及び測定組立体35を制御して、測定部位にてX線測定を実行するように構成される。
【0054】
より具体的には、幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、X線源24を制御して、X線ビームをMP30に印加する。ウェーハ22の表面に向けられて衝突するX線ビームに応答して、少なくとも1つのSDD32、典型的には各SDD32は、MP30と位置合わせされたウェーハ22上の測定部位から放出されるXRFを検出するように構成される。MP30の位置は、X線源24、X線光学系28、及びSDD32の構成及び配置、並びにウェーハ22上の部位によって決定される点に留意されたい。このような実施形態では、X線ビームの印加に応答して、プロセッサ34は、SDD32から受け取った信号に基づいてX線計測を行う。
【0055】
図1のこの特定の構成は、例として提供され、概念的に明確にするために単純化されている。他の実施形態では、ウェーハ22は、適切な固定具に取り付けられるが、X線源24、X線光学系28及び測定組立体35は、上述したX線測定を行うために移動される。
【0056】
代替の実施形態では、開示された技術は、光学ベース、XRF以外のX線ベース、電子ビームベース、イオンビームベースのシステムなど、他のタイプの適切な測定及び検査システムにおいて、変更すべきところは変更して使用することができる。更に、開示された技術は、測定以外の局所的な操作を実行するように構成された他のタイプのシステムにおいて、変更すべきところは変更して使用することができる。例えば、半導体基板に限定されない何れかの適切な試料上で実施される、プロービングプロセス、局所堆積プロセス、局所エッチング及び/又はドリルプロセス用に設計されたシステムである。
【0057】
幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、汎用コンピュータを含み、本明細書で説明する機能を実行するためにソフトウェアにてプログラムされている。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、或いは、代替的又は追加的に、磁気、光学、又は電子メモリなどの非一時的な有形の媒体に提供及び/又は格納することができる。
【0058】
(複数のチャネルを有するシステムにおけるナビゲーション精度の向上)
図2は、本発明の実施形態によるX線システム10の概略説明図である。幾つかの実施形態において、上記
図1のシステム20は、X線測定を行うための単一のチャネルを有するが、システム10は、複数のチャネルを有する。
【0059】
幾つかの実施形態では、システム10は、単一のステージ40、単一のOM50、及び共通の処理ユニット38(インターフェース36及びプロセッサ34を有する)を有し、これは、上述の
図1に記載したシステム20の構成と同様である。しかしながら、本発明の実施例では、システム10は、X線測定チャネルの2つのセットを備える。システム10の各X線測定チャネルは、PSU26と、X線源24と、測定組立体35とを備える。より具体的には、システム10は、測定組立体35a及び35bを備え、その各々が、SDD32及びそれぞれのカメラ33、例えば、上述の
図1で詳細に説明したように、測定組立体35a及び35bにそれぞれ結合されたカメラ33a及び33bを有している。このような実施形態において、システム10は、同時に、2つのナビゲーションプロセス(上述の
図1に記載されているように改善されたナビゲーション精度を有する)、及びウェーハ22の2つのそれぞれの測定部位における2つのX線測定を実施するように構成される。
【0060】
代替の実施形態では、システム10は、2つの異なるステージ40を有し、従って、上述の
図1に記載された技術に基づいて、システム10は、2つのウェーハ22上で同時にX線測定を実行するように構成される。加えて又は代替的に、システム10は、2つのOM50(すなわち、各チャネルに対して別個のOM)を備えることができ、ナビゲーションプロセスの第1のステップ(すなわち、OM50を使用して第1の画像を生成すること)が両方のウェーハ22で同時に実施できるようになる。
【0061】
システム10及び20のこれらの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される位置決め誤差などの特定の問題を例示するため、及びこのようなシステムの性能を高める際のこれらの実施形態の適用を実証するために例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なXRFシステムに限定されるものではなく、本明細書で説明する原理は、当該技術分野で知られている他の種類の測定システムにも同様に適用することができる。
【0062】
図3は、本発明の実施形態による、上記
図2のシステム10の測定組立体35a及び35bの概略説明図である。
【0063】
幾つかの実施形態では、測定組立体35aは、4つのSDD32を有するXDA31aと、上記
図1のカメラ33のようなカメラ33aとを備え、MP30の投影に対して固定位置で測定組立体35aに結合される。
【0064】
幾つかの実施形態では、測定組立体35aと比較して同様の構造体を有する測定組立体35bは、4つのSDD32を有するXDA31bと、測定組立体35aのカメラ33aのようなカメラ33bとを備える。カメラ33bは、MP30の投影に対して固定された位置で測定組立体35bと結合される。
【0065】
幾つかの実施形態では、測定組立体35a及び35bの各々は、Y軸に沿って約200mm、X軸に沿って約80mmのサイズを有する矩形形状を有する。隣接するSDD32の重心(COG)は、互いに約15mmよりも小さい距離に位置付けられ、各SDD32は、約10mmから13mmの間の直径を有し、カメラ(例えば、カメラ33a)は、(
図1及び3に示すように)隣接SDD32間又はMP30の投影から30mmもしくは20mmもしくは10mmよりも小さい距離に位置付けられた他の何れかの適切な場所に配置される。
【0066】
図3の例では、測定組立体35a及び35bは、互いから約120mmの距離に位置付けられ、その間にOM50を配置するための十分なスペースを可能にするようにする。他の実施形態では、OM50は、他の何れかの適切な位置でシステム10に取り付けることができ、従って、測定組立体35a及び35bは、他の何れかの適切な距離で互いに位置付けることができる。X線チャネル間の距離は、ウェーハ22のサイズ及びシステム10のユーザのサンプリング機構に基づいて構成可能且つ決定することができ、ウェーハ22上の(又は上述の実施形態における異なるウェーハ22上の)2つのX線測定を同時に可能にすることができる点に留意されたい。
【0067】
測定組立体35a及び35b並びにその構成要素の構成、形状、及び寸法は、例として提供される。他の実施形態では、測定組立体35a及び35bは、互いに類似していても異なっていてもよい、他の何れかの適切な構成を有することができ、
図1及び
図3に記載された構成要素に加えて又はその代わりに、同じ構成要素又は他の何れかの適切な構成要素を有することができる。
【0068】
図4は、本発明の実施形態による、X線システム20においてX線測定を行って、ナビゲーション精度を向上させるための方法を概略的に示すフローチャートである。本方法は、上記
図2のシステム10においてX線測定を行う場合にも、変更すべきところは変更して適用することができる。
【0069】
ウェーハ装填ステップ100において、プロセッサ34は、システム20上のウェーハ22の装填(何れかの適切な装填技術を使用して)及びステージ40上のウェーハ22の配置を制御し、その後、ウェーハ22をステージ40に取り付けるように構成される。
【0070】
測定部位選択ステップ102において、プロセッサ34は、測定部位のリストを受け取り、リストから測定部位を選択し、選択された測定部位をOM50と位置合わせするためにウェーハ22(ステージ40を用いて)を選択部位の座標に移動させ、上述の
図1で詳細に説明したように、測定部位がOM50のFOV内に位置付けられるようにする。
【0071】
第1の画像生成ステップ104において、プロセッサ34は、OM50から受け取った画像信号に基づいて、測定部位の第1の画像を生成し、上述の
図1で詳細に説明したように、第1の画像において測定部位を識別する。幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、識別された測定部位とOM50の視野(FOV)の中心との間の距離を計算するように構成され、これは、とりわけ、ステージ40の配置誤差を示す。
【0072】
幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、ステージ40を制御して、計算された誤差を補正するため及び測定部位をOM50のFOVの中心と位置合わせするために、ウェーハ22を移動させる。
【0073】
第1の移動ステップ106において、プロセッサ34は、ステージ40を制御して、ウェーハ22を約100mm移動させ、測定組立体35と結合されているカメラ33と位置合わせされた測定部位を位置付けるように(例えば、XYZ座標系のXY平面で)する。
【0074】
幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、ステップ104で計算された誤差を使用して、ステージ40の位置決め精度を向上させるためのステージ40のマッピング(本明細書では、ステージマッピングとも呼ばれる)を実行することができる。
【0075】
第2の画像生成ステップ108において、プロセッサ34は、上述の
図1において詳細に説明したように、カメラ33から受け取った画像信号に基づいて、測定部位の第2の画像を生成する。ステップ108は、カメラ33によって生成された第2の画像のFOV内に測定部位が位置付けられたときに終了する。
【0076】
幾つかの実施形態において、プロセッサ34は、測定部位とカメラ33から受け取った信号に基づいて生成された第2の画像のFOV中心との間の計算された距離に基づいて、ステージ40の配置誤差を計算し、配置誤差を補正するためにステージマッピングを調整するように構成されている。
【0077】
幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、ステージ40を制御して、計算された誤差を補正し、カメラ33のFOVの中心に測定部位を配置するためにウェーハ22を移動させる。他の実施形態では、カメラ33のFOVの中心に測定部位を位置決めするためのウェーハ22の移動は、方法の別のステップとみなすことができる点に留意されたい。
【0078】
第2の移動ステップ110において、プロセッサ34は、ステージ40を制御してウェーハ22を約10mm又は15mm移動させ、上述の
図1で詳細に説明したように、測定組立体35のX線源24及びXDA31と(XY平面で)位置合わせされた測定部位を位置付けるようにする。
【0079】
X線測定ステップ112において、プロセッサ34は、上述の
図1で詳細に説明したように、測定組立体35のX線源24及びXDA31を制御して、測定サイトにおいて1又は2以上のX線測定を実行する。
【0080】
決定ステップ114において、プロセッサ34は、ウェーハ22の別の測定部位にてX線測定を行うか否かをチェックする。別の測定が必要な場合、本方法はステップ102にループバックする。
【0081】
ウェーハ22上で追加の測定が必要とされない場合、本方法は、ウェーハ装填解除ステップ116に進み、ここでプロセッサ34が、システム20のロボットを制御してウェーハ22を装填解除する。
【0082】
図4の方法は、例として提供されたものであり、半導体ウェーハ上の測定又は1又は2以上の測定部位を有する他の適切な基板上の測定など、他のプロセスにおいて変更すべきところは変更して使用することができる。
【0083】
上述した実施形態は例として引用されたものであり、添付の特許請求の範囲は、本明細書で特に示され記載されたものに限定されないことは理解されるであろう。むしろ、範囲は、本明細書に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分組み合わせの両方を含み、並びに上述の記載を読んだときに当業者には想起されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正形態を含む。本発明の特許出願において引用により組み込まれた文献は、本明細書において明示的又は暗黙的になされた定義と矛盾する方法でこれらの組み込まれた文献において用語が定義されている限り、本明細書における定義のみを考慮すべきであることを除いて、本出願の不可欠な部分とみなされる。
【符号の説明】
【0084】
20 X線システム
22 ウェーハ
24 X線源
26 高電圧電源ユニット(PSU)
28 X線光学系
36 インターフェース
34 プロセッサ
【外国語明細書】