(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153079
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】貼付体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20231005BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231005BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20231005BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
A61F13/02 355
A61F13/02 310D
A61F13/02 310T
A61F13/02 380
A61F13/02 310J
A61K9/70 401
C09J7/29
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057625
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022059979
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野村 彩英子
(72)【発明者】
【氏名】宮内 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】田辺 淳也
【テーマコード(参考)】
4C076
4J004
【Fターム(参考)】
4C076AA73
4C076BB31
4C076FF01
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC03
4J004CC06
4J004CE03
4J004DB02
4J004FA09
(57)【要約】
【課題】キャリアシートを引き裂き、これによってキャリアシートを基材から剥がすことを可能とした貼付体を提供する。
【解決手段】貼付テープ13は、キャリアシート11に接し、キャリアシート11および剥離シート12よりも高い引張破断伸度を有する基材13Aと、剥離シート12に接する粘着層13Bであって、剥離シート12が粘着層13Bから剥がされた後に生体表面に貼り付けられる粘着層13Bとを備える。キャリアシート11の面積は、貼付テープ13の面積よりも大きく、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13はキャリアシート11内に位置する。キャリアシート11は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート11の外縁のなかで貼付テープ13と重ならない部分から貼付テープ13に向けて延び、かつ、貼付テープ13の外縁まで達しない長さを有した切れ目11Aを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアシートと、
剥離シートと、
前記キャリアシートと前記剥離シートとの間に位置する貼付テープと、を備え、
前記貼付テープは、前記キャリアシートに接し、かつ、前記キャリアシートおよび前記剥離シートよりも高い引張破断伸度を有する基材と、前記剥離シートに接する粘着層であって、前記剥離シートが前記粘着層から剥がされた後に生体表面に貼り付けられる前記粘着層と、を備え、
前記キャリアシートの面積は、前記貼付テープの面積よりも大きく、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは前記キャリアシート内に位置し、
前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した切れ目を備える
貼付体。
【請求項2】
前記キャリアシートにおいて、JIS K 7128-1:1998に準拠したトラウザー引裂強さが10N/mm以下である
請求項1に記載の貼付体。
【請求項3】
前記キャリアシートにおいて、
前記キャリアシートが、幅が15mmであり、かつ、長さが150mmである長方形状を有し、前記キャリアシートによって形成したループの円周が85mmであり、かつ、圧縮距離が20mmに設定された場合のループステフネス曲げ剛性が、50mN/15mm以下である
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項4】
前記基材は、ポリウレタン樹脂を含み、
前記基材において、JIS K 7161-1:2014に準拠した引張破断強度が、10MPa以上である
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項5】
前記キャリアシートと前記基材との間における、JIS Z 0237:2009に準拠した180°剥離強度が、550mN/25mm以下である
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項6】
前記粘着層において、JIS Z 0237:2009に準拠した剥離強度が、1N/25mm以上である
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項7】
前記切れ目は、第1切れ目であり、
前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した第2切れ目をさらに備え、
前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記第1切れ目と前記第2切れ目とは、前記貼付テープを挟んで互いに対向している
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項8】
前記切れ目は、第1切れ目であり、
前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した第2切れ目をさらに備え、
前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記第1切れ目と前記第2切れ目とは、第1方向に沿って間隔を空けて並び、かつ、各切れ目は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延び、
前記第1切れ目および前記第2切れ目は、前記第1切れ目と前記第2切れ目とに挟まれ、かつ、前記第2方向に沿って延びる摘まみ部を前記キャリアシート内に画定する
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項9】
前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは、四角形状または円形状を有する
請求項1または2に記載の貼付体。
【請求項10】
前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは、台形状を有し、
前記貼付テープにおいて、幅方向に沿う長さが、前記幅方向に直交する延在方向での第1端部から第2端部に向けて単調減少し、
前記キャリアシートにおいて、前記幅方向に沿う長さが、前記延在方向での第1端部から第2端部に向けて単調減少し、
前記切れ目が、前記キャリアシートの前記延在方向における前記キャリアシートの中央よりも前記キャリアシートの前記第2端部までの距離が短い位置に配置される
請求項1または2に記載の貼付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付体に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に対する貼付体は、皮膚が有する患部を外部から保護すること、あるいは、皮膚の一部を外部から隠すことなどを目的として、広く用いられている。貼付体は、キャリアシートと剥離シートとの間に挟まれる貼付テープとを備えている。貼付テープは、キャリアシートに接する基材と、剥離シートに接する粘着層とを備えている。貼付体が使用される際には、まず、粘着層から剥離シートが剥がされる。そして、貼付テープとキャリアシートとの積層体が、粘着層によって皮膚に貼り付けられる。続いて、基材からキャリアシートが剥がされる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、皮膚に貼り付けられる基材には、皮膚に対する追従性を得ることを目的として、ポリウレタンのように高い引張破断伸度が要求される。一方、こうした基材は、ポリオレフィン系やポリエステル系のキャリアシートに対する高い密着性も備えるため、皮膚に貼り付けられた基材からキャリアシートを剥がすことを困難にしている。なお、こうした事項は、貼付テープの貼付対象がヒトの皮膚である場合に限らず、ヒト以外の動物、例えば哺乳動物の体表面を含む生体表面である場合にも生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための貼付体は、キャリアシートと、剥離シートと、前記キャリアシートと前記剥離シートとの間に位置する貼付テープと、を備える。前記貼付テープは、前記キャリアシートに接し、かつ、前記キャリアシートおよび前記剥離シートよりも高い引張破断伸度を有する基材と、前記剥離シートに接し、かつ、生体表面に貼り付けられる前記粘着層と、を備える。前記キャリアシートの面積は、前記貼付テープの面積よりも大きく、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは前記キャリアシート内に位置する。前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した切れ目を備える。
【0006】
上記貼付体によれば、キャリアシートが切れ目を有するから、キャリアシートが切れ目を有しない場合に比べて、キャリアシートを引き裂き、これによってキャリアシートを基材から剥がしやすくすることが可能である。
【0007】
上記貼付体において、前記キャリアシートにおいて、JIS K 7128-1:1998に準拠したトラウザー引裂強さが10N/mm以下であってよい。この貼付体によれば、トラウザー引裂強さが10N/mmを超える場合に比べて、キャリアシートがより引き裂かれやすい。そのため、使用者がキャリアシートを引き裂く際に抵抗を感じにくくなる。また、切れ目が延びる方向に沿って、キャリアシートの外縁のうち、切れ目の先端から先端と対向する位置までキャリアシートを引き裂き、これによって、キャリアシートを二分することが可能である。
【0008】
上記貼付体では、前記キャリアシートにおいて、前記キャリアシートが、幅が15mmであり、かつ、長さが150mmである長方形状を有し、前記キャリアシートによって形成したループの円周が85mmであり、かつ、圧縮距離が20mmに設定された場合のループステフネス曲げ剛性が、50mN/15mm以下であってよい。
【0009】
上記貼付体によれば、ループステフネス曲げ剛性が50mN/15mmを超える場合に比べて、貼付テープを貼付対象に貼り付ける際に、貼付テープが貼付対象の形状に追従して変形することが、キャリアシートによって妨げられにくくなる。そのため、貼付テープとキャリアシートとの積層体を貼付対象に貼り付けることが容易である。
【0010】
上記貼付体において、前記基材は、ポリウレタン樹脂を含み、前記基材において、JIS K 7161-1:2014に準拠した引張破断強度が、10MPa以上であってよい。
【0011】
上記貼付体によれば、基材の引張破断強度が10MPa未満である場合に比べて、貼付テープからキャリアシートを剥がす際に、キャリアシートとともに貼付テープの基材が引き裂かれることが抑えられる。
【0012】
上記貼付体において、前記キャリアシートと前記基材との間における、JIS Z 0237:2009に準拠した180°剥離強度が、550mN/25mm以下であってよい。
【0013】
上記貼付体によれば、基材からキャリアシートを剥がす際に、基材からキャリアシートが剥がれやすくなる。これにより、キャリアシートとともに基材が貼付対象から剥がれることが抑えられる。
【0014】
上記貼付体では、前記粘着層において、JIS Z 0237:2009に準拠した剥離強度が、1N/25mm以上であってよい。この貼付体によれば、粘着層の剥離強度が1N/25mm未満である場合に比べて、貼付テープからキャリアシートを剥がす際に、貼付テープがキャリアシートとともに貼付対象から浮き上がることが抑えられる。これにより、貼付テープからキャリアシートが剥がされた後でも、貼付テープが貼付対象に貼り付けられた状態が維持されやすい。
【0015】
上記貼付体において、前記切れ目は、第1切れ目であり、前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した第2切れ目をさらに備え、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記第1切れ目と前記第2切れ目とは、前記貼付テープを挟んで互いに対向していてもよい。
【0016】
上記貼付体によれば、例えば、第1切れ目からキャリアシートが引き裂かれた場合に、キャリアシートの引き裂きが第2切れ目に達することによって、キャリアシートが2分される。そのため、第2切れ目が第1切れ目と対向する位置に配置されていない場合に比べて、キャリアシートが引き裂かれやすくなる。
【0017】
上記貼付体において、前記切れ目は、第1切れ目であり、前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した第2切れ目をさらに備え、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記第1切れ目と前記第2切れ目とは、第1方向に沿って間隔を空けて並び、かつ、各切れ目は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延び、前記第1切れ目および前記第2切れ目は、前記第1切れ目と前記第2切れ目とに挟まれ、かつ、前記第2方向に沿って延びる摘まみ部を前記キャリアシート内に画定してもよい。
【0018】
上記貼付体によれば、第1切れ目と第2切れ目とに挟まれた摘まみ部を摘まんでキャリアシートを引き裂くための力をキャリアシートに作用させることができるから、キャリアシートを引き裂くことがより容易である。
【0019】
上記貼付体において、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは、四角形状または円形状を有してよい。
上記貼付体において、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは、台形状を有し、前記貼付テープにおいて、幅方向に沿う長さが、前記幅方向に直交する延在方向での第1端部から第2端部に向けて単調減少し、前記キャリアシートにおいて、前記幅方向に沿う長さが、前記延在方向での第1端部から第2端部に向けて単調減少し、前記切れ目が、前記キャリアシートの前記延在方向における前記キャリアシートの中央よりも前記キャリアシートの前記第2端部までの距離が短い位置に配置されてもよい。この貼付体によれば、貼付テープによって貼付対象を覆う面積を確保しつつ、キャリアシートを引き裂かれやすくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャリアシートを引き裂き、これによってキャリアシートを基材から剥がしやすくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、一実施形態における貼付体の構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図4】
図4は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図5】
図5は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図6】
図6は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図7】
図7は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図8】
図8は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図9】
図9は、円形状を有した貼付テープを備える貼付体の構造を示す平面図である。
【
図10】
図10は、貼付テープの第1の他の例を備える貼付体の構造を示す平面図である。
【
図11】
図11は、貼付テープ第2の他の例を備える貼付体の構造を示す平面図である。
【
図15】
図15は、複数の貼付テープを備える貼付体の第1例における構造を示す断面図である。
【
図17】
図17は、複数の貼付テープを備える貼付体の第2例における構造を示す断面図である。
【
図18】
図18は、複数の貼付テープを備える貼付体の第3例における構造を示す断面図である。
【
図19】
図19は、複数の貼付テープを備える貼付体の第4例における構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および
図2を参照して、貼付体の一実施形態を説明する。
[構造]
図1は、貼付体が広がる平面に対して直交する断面における貼付体の構造を示している。
【0023】
図1が示すように、貼付体10は、キャリアシート11と、剥離シート12と、貼付テープ13とを備えている。貼付テープ13は、キャリアシート11と剥離シート12との間に位置している。貼付テープ13は、基材13Aと粘着層13Bとを備えている。基材13Aは、キャリアシート11に接している。基材13Aは、キャリアシート11および剥離シート12よりも高い引張破断伸度を有する。粘着層13Bは、剥離シート12に接している。粘着層13Bは剥離シート12が粘着層13Bから剥がされた後に生体表面に貼り付けられる。本実施形態では、粘着層13Bが、基材13Aに積層されている。
【0024】
なお、粘着層13Bの貼付対象である生体表面は、例えばヒトの皮膚であるが、ヒト以外の動物、例えばヒト以外の哺乳動物の体表面であってもよい。本実施形態では、粘着層13Bの貼付対象がヒトの皮膚である場合について例示する。
【0025】
図2は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見た貼付体10の構造を示している。
図2が示すように、キャリアシート11の面積は、貼付テープ13の面積よりも大きい。キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13はキャリアシート11内に位置している。本実施形態では、キャリアシート11の面積が、貼付テープ13の面積および剥離シート12の面積よりも大きい。貼付テープ13において、基材13Aの大きさと粘着層13Bの大きさとが等しい。すなわち、基材13Aの面積が粘着層13Bの面積と等しく、かつ、基材13Aの形状と粘着層13Bの形状とが等しい。
【0026】
貼付テープ13の大きさと剥離シート12の大きさとが等しい。すなわち、貼付テープ13の面積と剥離シート12の面積とが等しく、かつ、貼付テープ13の形状と剥離シート12の形状とが等しい。なお、剥離シート12の面積が貼付テープ13の面積よりも大きく、かつ、貼付テープ13が剥離シート12内に位置してもよい。すなわち、剥離シート12の大きさは、貼付テープ13の大きさ以上であってよい。
【0027】
キャリアシート11は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート11の外縁11Eのなかで貼付テープ13と重ならない部分から貼付テープ13に向けて延び、かつ、貼付テープ13の外縁13Eまで達しない長さを有した切れ目11Aを備える。すなわち、切れ目11Aは、キャリアシート11において、外縁11Eから外縁11Eよりも内側に向けて延びる形状を有している。切れ目11Aは、キャリアシート11の厚さ方向において、キャリアシート11を貫通している。本実施形態では、切れ目11Aは、直線状を有したIノッチである。
【0028】
切れ目11Aにおいて、外縁11Eに位置する端部が基端であり、基端とは反対側の端部が先端である。キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目11Aの先端は、キャリアシート11の外縁11Eと、基材13Aの外縁13AEとの間に位置している。このように、切れ目11Aが貼付テープ13の基材13Aの外縁13AEまで達しない長さを有するから、基材13Aからキャリアシート11が剥離されるまで、基材13Aの全体がキャリアシート11によって覆われている。これにより、貼付体10の使用前に、基材13Aの埃などが付着することが抑えられる。
【0029】
キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13は、四角形状を有している。
図2が示す例では、貼付テープ13は長方形状を有しているが、貼付テープ13は正方形状を有してもよい。キャリアシート11は、貼付テープ13と同様に長方形状を有しているが、キャリアシート11の形状は、貼付テープ13の形状と異なっていてもよい。
【0030】
貼付体10は、以下に記載の条件1から条件5の少なくとも1つを満たすことが好ましい。すなわち、貼付体10は条件1から条件5のうち、1つのみを満たしてもよいし、任意の2つのみを満たしてもよいし、任意の3つのみを満たしてもよい。あるいは、貼付体10は、任意の4つを満たしてもよいし、条件1から条件5の全てを満たしてもよい。
【0031】
(条件1)キャリアシート11において、JIS K 7128-1:1998に準拠したトラウザー引裂強さが10N/mm以下である。
(条件2)キャリアシート11において、ループステフネス曲げ剛性が、50mN/15mm以下である。ループステフネス曲げ剛性の測定において、キャリアシート11が、幅が15mmであり、かつ、長さが150mmである長方形状を有し、キャリアシート11によって形成したループの円周が85mmであり、かつ、圧縮距離が20mmに設定される。
【0032】
(条件3)基材13Aは、ポリウレタン樹脂を含み、基材13Aにおいて、JIS K
7161-1:2014に準拠した引張破断強度が、10MPa以上である。
(条件4)キャリアシート11と基材13Aとの間における、JIS Z 0237:2009に準拠した180°剥離強度が、550mN/25mm以下である。
(条件5)粘着層13Bにおいて、JIS Z 0237:2009に準拠した剥離強度が、1N/25mm以上である。
【0033】
キャリアシート11は、合成樹脂から形成されている。キャリアシート11は、例えば、基材シートと離型層とから形成されている。離型層は、基材シート上に積層されている。キャリアシート11が基材シートと離型層とを備える場合には、離型層が貼付テープ13の基材13Aに接している。基材シートは、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから形成されてよい。基材シートは、一軸延伸シート、二軸延伸シート、および、無延伸シートのいずれかであってよい。離型層は、例えばシリコーン樹脂から形成されてよい。
【0034】
キャリアシート11は、上述した基材シートのみから構成されてもよい。この場合には、基材シートのうちで、基材13Aと接する接触面に、基材13Aを基材シートから剥離しやすくするための加工が施されていてもよい。基材シートの接触面に対する加工は、例えばエンボス加工などであってよい。
【0035】
キャリアシート11の厚さは、例えば30μm以上400μm以下であってよい。
剥離シート12は、剥離シート12と粘着層13Bとの間の剥離強度が、キャリアシート11と基材13Aとの間の剥離強度よりも小さくなるように構成されている。剥離シート12は、合成樹脂から形成されている。剥離シート12は、例えば、基材シートと離型層とから形成されている。離型層は、基材シート上に積層されている。剥離シート12が基材シートと離型層とを備える場合には、離型層が貼付テープ13の粘着層13Bに接している。基材シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから形成されてよい。基材シートは、一軸延伸シート、二軸延伸シート、および、無延伸シートのいずれかであってよい。離型層は、例えばシリコーン樹脂から形成されてよい。
【0036】
剥離シート12は、上述した基材シートのみから構成されてもよい。この場合には、基材シートのうちで、粘着層13Bと接する接触面に、粘着層13Bを基材シートから剥離しやすくするための加工が施されていてもよい。基材シートの接触面に対する加工は、例えばエンボス加工などであってよい。
【0037】
剥離シート12の厚さは、例えば12μm以上350μm以下であってよい。
基材13Aは、合成樹脂から形成されている。基材13Aを形成するための合成樹脂は、例えばポリウレタン樹脂であってよい。これにより、貼付適性が高い基材13Aを得ることが可能である。基材13Aの厚さは、例えば5μm以上30μm以下であってよい。ポリウレタン樹脂製であり、かつ、薄い基材13Aは、基材13Aを引き延ばすために基材13Aに加えられる外力が小さくともよく延びる。そのため、基材13Aは、貼付テープ13が貼り付けられる貼付対象の形状に対する高い追従性を有し、かつ、貼付対象に対する高い密着性を有することが可能である。
【0038】
一方で、貼付対象の形状に対する高い追従性を有した基材13Aは、基材13Aを覆うキャリアシート11に対しても高い追従性を有する。そのため、基材13Aからキャリアシート11を剥がすための力がキャリアシート11に作用した場合に、基材13Aが、キャリアシート11の変形に追従して変形しやすい。
【0039】
基材13Aの引張破断伸度は、例えば130%以上であってよい。引張破断伸度は、JIS K 7161‐1:2014(ISO 527‐1)「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」、および、JIS K 7127:1999(ISO 527‐3)「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して求めることができる。測定対象物が降伏点を有しない場合には引張破壊ひずみを測定し、降伏点を有する場合には引張破壊時呼びひずみを測定し、これらの測定値を用いて引張破断伸度を求めることができる。
【0040】
基材13Aの100%伸び引張強度は、例えば4N/cm以下であってよい。100%伸び引張強度は、JIS K 7161‐1:2014(ISO 527‐1)「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」に定義されたひずみが規定の値(100%)に達したときに測定された力の大きさを試験片の幅によって除算した値である。100%伸び引張強度(T)(N/cm)は、以下の式によって求めることができる。
T = F/W
なお、上記式において、Fは測定された力の大きさ(N)であり、Wは試験片の幅(cm)である。
【0041】
なお、基材13Aは、ポリウレタン樹脂以外の合成樹脂から形成されてもよい。ポリウレタン樹脂以外の合成樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、ポリエチレンテレフタレート樹脂などであってよい。
【0042】
粘着層13Bは、基材13Aと同様に、合成樹脂から形成される。粘着層13Bを形成するための合成樹脂は、例えばポリウレタン樹脂であってよい。粘着層13Bの厚さは、例えば5μm以上25μm以下であってよい。
【0043】
基材13Aおよび粘着層13Bの少なくとも一方は、皮膚に対する有効成分を含んでもよい。すなわち、基材13Aのみが有効成分を含んでもよいし、粘着層13Bのみが有効成分を含んでもよいし、基材13Aと粘着層13Bとの両方が有効成分を含んでもよい。有効成分は、例えば化粧成分、美容成分、薬剤成分などであってよい。
【0044】
[作用]
貼付体10の使用者は、まず、貼付テープ13の粘着層13Bから剥離シート12を剥がす。次いで、使用者は、粘着層13Bを貼付テープ13の貼付対象に貼り付ける。なお、貼付テープ13の貼付対象は、上述したように例えばヒトの皮膚である。次いで、使用者は、貼付テープ13の基材13Aからキャリアシート11を剥がす。
【0045】
ヒトの皮膚のうち、例えば手のひらなどの比較的平らな面に沿って貼付テープ13を貼り付けた場合には、キャリアシート11が切れ目11Aを有するから、使用者は、キャリアシート11の切れ目11Aを目印として、キャリアシート11のうち、切れ目11Aを画定する部分を親指と人差し指とで挟む。次いで、使用者は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目11Aが延びる方向に沿う力をキャリアシート11に作用させる。キャリアシート11が切れ目11Aを有するから、キャリアシート11が切れ目11Aを有しない場合に比べて、キャリアシート11を引き裂き、これによってキャリアシート11を基材13Aから剥がしやすくすることができる。
【0046】
このように、キャリアシート11が有する切れ目11Aはキャリアシート11の引き裂きを促すから、キャリアシート11の引き裂きが少なくとも基材13Aの外縁13AEを超えることが容易である。これにより、キャリアシート11のうち引き裂かされた部位を通じて、キャリアシート11と基材13Aとの間に空気が導入される。そのため、基材13Aがキャリアシート11の変形に追従しやすくとも、キャリアシート11が基材13Aから剥がれやすくなる。
【0047】
また、貼付テープ13の貼付対象は、ヒトの指であってもよい。この場合には、貼付テープ13を指に乗せた後に、キャリアシート11を貼付テープ13とともに引っ張ることによって、切れ目11Aを起点としてキャリアシート11を引き裂く。なお、指に貼付テープ13を貼り付ける場合であっても、平らな面に沿って貼付テープ13を貼り付ける場合と同様の方法で、キャリアシート11を引き裂いてもよい。すなわち、貼付テープ13を指に乗せた後に、切れ目11Aを画定する部分を親指と人差し指とで挟む。次いで、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目11Aが延びる方向に沿う力をキャリアシート11に作用させる。
【0048】
いずれの場合にも、切れ目11Aが延びる方向に沿う力をキャリアシート11に作用させることが可能である。キャリアシート11が切れ目11Aを有するから、キャリアシート11が切れ目11Aを有しない場合に比べて、キャリアシート11を引き裂き、これによってキャリアシート11を基材13Aから剥がしやすくすることができる。
【0049】
貼付体10が条件1を満たす場合には、トラウザー引裂強さが10N/mmを超える場合に比べて、キャリアシート11がより引き裂かれやすい。そのため、使用者がキャリアシート11を引き裂く際に抵抗を感じにくくなる。また、切れ目11Aが延びる方向に沿って、キャリアシート11の外縁11Eのうち、切れ目11Aの先端から先端と対向する位置までキャリアシート11を引き裂き、これによって、キャリアシート11を二分することが可能である。
【0050】
貼付体10が条件2を満たす場合には、ループステフネス曲げ剛性が50mN/15mmを超える場合に比べて、貼付テープ13を貼付対象に貼り付ける際に、貼付テープ13が貼付対象の形状に追従して変形することが、キャリアシート11によって妨げられにくくなる。そのため、貼付テープ13とキャリアシート11との積層体を貼付対象に貼り付けることが容易である。
【0051】
貼付体10が条件3を満たす場合には、基材13Aの引張破断強度が10MPa未満である場合に比べて、貼付テープ13からキャリアシート11を剥がす際に、キャリアシート11とともに貼付テープ13の基材13Aが引き裂かれることが抑えられる。
【0052】
貼付体10が条件4を満たす場合には、基材13Aからキャリアシート11を剥がす際に、基材13Aからキャリアシート11が剥がれやすくなる。これにより、キャリアシート11とともに基材13Aが貼付対象から剥がれることが抑えられる。
【0053】
貼付体10が条件5を満たす場合には、粘着層13Bの剥離強度が1N/25mm未満である場合に比べて、貼付テープ13からキャリアシート11を剥がす際に、貼付テープ13がキャリアシート11とともに貼付対象から浮き上がることが抑えられる。これにより、貼付テープ13からキャリアシート11が剥がされた後でも、貼付テープ13が貼付対象に貼り付けられた状態が維持されやすい。
【0054】
[試験例]
表1を参照して、試験例を説明する。
[試験例1]
互いに対向する一対の面のうち、一方の面がマット面である二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学(株)製、FOR-MP、厚さ40μm)をキャリアシートとして準備した。そして、OPPフィルムのマット面に、エーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(製)、タケラックWS-6021)(タケラックは登録商標)を塗工した後、水性ポリウレタンを乾燥させることによって前駆層を形成した。次いで、前駆層を常温においてエージングさせることによって、15μmの厚さを有した基材を得た。
【0055】
PETフィルムと、シリコーン樹脂から形成された離型層とから構成される離型フィルム(東レフィルム加工(株)、セラピールWZ、厚さ75μm)(セラピールは登録商標)を剥離シートとして準備した。次に、主剤であるウレタン系粘着剤(トーヨーケム(株)製、SP-205)と、硬化剤(トーヨーケム(株)製、T-501B)とを準備した。主剤に硬化剤を添加した後、主剤および硬化剤を攪拌することによって、粘着層を形成するための塗液を得た。離型フィルムに対して塗液を塗工し、次いで、塗液を乾燥させることによって、15μmの厚さを有した粘着層を得た。
【0056】
そして、基材と粘着層とを貼り合わせることによって、OPPフィルムと、貼付テープと、離型フィルムとが記載の順に積層された積層体を得た。次いで、積層体に対して、離型フィルムおよび貼付テープのみを貫通し、かつ、長方形状を有する領域を切り出すようにハーフカット加工を施した。続いて、離型フィルムと貼付テープとにおいて、ハーフカット加工が施された部位よりも外側の部分をOPPフィルムから取り除き、これによって、離型フィルムの大きさと貼付テープの大きさとを、OPPフィルムの大きさよりも小さくした。そして、OPPフィルムのうち、貼付テープが積層された部位よりも外側に位置する部分に直線状を有する切り込みを形成した。これによって、試験例1の貼付体を得た。
【0057】
[試験例2]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムを離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック(株)製、6501処方、厚さ50μm)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例2の貼付体を得た。
【0058】
[試験例3]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、S10、厚さ50μm)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例3の貼付体を得た。
【0059】
[試験例4]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムを離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック(株)製、6050処方、厚さ50μm)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例4の貼付体を得た。
【0060】
[試験例5]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、S10、厚さ75μm)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例5の貼付体を得た。
【0061】
[試験例6]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)(アルケマ(株)製、Kynar FLEX2500)(Kynarは登録商標)を用いた押出成形によって形成した50μmの厚さを有したPVDFフィルムに変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例6の貼付体を得た。
【0062】
[試験例7]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリプロピレン(PP)ラミネート離型紙(リンテック(株)製、EV130TPD)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例7の貼付体を得た。
【0063】
[評価方法]
[トラウザー引裂強さ]
JIS K 7128-1:1998「プラスチックフィルム及びシートの引裂強さ試験方法第1部:トラウザー引裂法」に準拠する方法によって、キャリアシートの引裂強さを測定した。この際に、各試験例のキャリアシートから、50mmの幅を有し、かつ、150mmの長さを有する試験片を準備した。次いで、試験片の長さ方向における一方の端部において、幅方向の中央を起点とし、かつ、長さ方向に沿って延びる切れ込みを試験片に形成し、これによって切れ込みによって分離された第1片部分と第2片部分とを試験片に形成した。この際に、切れ込みの長さを75mmに設定した。
【0064】
そして、引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-X ロードセル1kN)(オートグラフは登録商標)を用いて、第1片部分と第2片部分とを互いに逆方向に引っ張り、引裂き開始の20mmと引裂き終了前の5mmを除外し、残り50mmの引裂強度の近似の平均値を求めた。この部分の曲線が波状のプラトーである場合には、横座標に平行に波状曲線の中心を引き、この線に対応する強さを読み取った。この際に、引裂速度を200mm/minに設定した。なお、引裂強さは、試験片の引裂力(N)を試験片の厚さで除算した値である。
【0065】
なお、各試験例について5つの試験片を準備し、各試験片について引裂強さを測定した。そして、5つの試験片における引裂強さの平均値を算出し、当該平均値を各試験例の引裂強さに設定した。
【0066】
[ループステフネス曲げ剛性]
各試験例のキャリアシートについて、ループステフネステスター((株)東洋精機製作所、No.581ループステフネステスタ)(ループステフネステスタは登録商標)を用いてループステフネス曲げ剛性を測定した。
【0067】
ループステフネス曲げ剛性を測定する際には、まず、試験片をループ状に曲げた状態で、試験片における長さ方向の両端を重ねた。次いで、重ねた両端をループステフネステスターのチャックによって把持した。ループステフネステスターの圧子がループ状の試験片と接触した時点から、所定の押し込み量分だけ試験片を押し込んだときにロードセルに検出される負荷荷重値を求めることにより、曲げ剛性を測定した。測定条件を以下のように設定した。
【0068】
ループ(試験片)形状:幅15mm、長さ85mm
圧子の押し込み速度:3.3mm/sec
圧子の押し込み量:圧子とチャックとの間の距離が20mmとなる量
なお、各試験例について5つの試験片を準備し、各試験片についてループステフネス曲げ剛性を測定した。そして、5つの試験片におけるループステフネス曲げ剛性の平均値を算出し、当該平均値を各試験例のループステフネス曲げ剛性に設定した。
【0069】
[引張破断強度]
各試験例の基材の引張破断強度を測定する際には、まず、JIS K 7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠する方法によって、基材をダンベル形状(試験片タイプ5)に裁断し、これによって試験片を作成した。次いで、各試験片について、JIS K 7161-1:2014「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」に準拠する方法によって、引張破断強度を測定した。引張破断強度の測定には、万能試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-X ロードセル5kN)を用いた。また、引張速度を300mm/minに設定し、かつ、標線間距離を25mmに設定した。
【0070】
なお、各試験例について5つの試験片を準備し、各試験片について引張破断強度を測定した。そして、5つの試験片における引張破断強度の平均値を算出し、当該平均値を各試験例の引張破断強度に設定した。
【0071】
[180°剥離強度]
JIS Z 0237:2009「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠する方法によって、キャリアシートに対する基材の剥離強度を測定した。剥離強度の測定には、万能試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-X ロードセル5kN)を用いた。剥離強度を測定する際には、各試験例の貼付体を準備し、かつ、貼付体から25mmの幅を有した試験片を切り出した。そして、万能試験機に基材を固定し、キャリアシートを基材に対して180°剥離するときの強度を算出した。
【0072】
なお、各試験例について5つの試験片を準備し、各試験片について180°剥離強度を測定した。そして、5つの試験片における180°剥離強度の平均値を算出し、当該平均値を各試験例の180°剥離強度に設定した。
【0073】
[剥離強度]
JIS Z 0237:2009「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠する方法によって、粘着層の剥離強度を測定した。剥離強度の測定には、万能試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-X ロードセル5kN)を用いた。剥離強度を測定する際には、表面仕上げがBAであり、かつ、SUS304から形成されたSUS板を準備した。また、各試験例の粘着層から、25mmの幅を有した試験片を作成した。そして、粘着層をSUS板に 接触させた後、2kgのゴムローラーを用いて、粘着層をSUS板に圧着させた。次いで、万能試験機を用いて、SUS板から試験片を180°剥離するときの強度を算出した。この際に、万能試験機の試験速度を300mm/minに設定した。
【0074】
なお、各試験例について5つの試験片を準備し、各試験片について剥離強度を測定した。そして、5つの試験片における剥離強度の平均値を算出し、当該平均値を各試験例の剥離強度に設定した。
【0075】
[皮膚への貼付およびキャリアシートの剥離]
各試験例において、貼付テープの大きさを10cm角に設定し、かつ、キャリアシートの大きさを12cm角に設定した。そして、キャリアシートの外縁から1cmの長さを有した直線状の切れ目を1つのみキャリアシートに形成した。そして、各試験例の貼付体を人体における腕の皮膚に貼り付けたときの皮膚への貼付と、貼付テープを皮膚に貼り付けた後のキャリアシートの剥離とを評価した。各試験例について、5つの貼付体の評価を行った。
【0076】
[評価結果]
表1を参照して、評価結果を説明する。
【0077】
【0078】
表1が示すように、キャリアシートの引裂強さは、試験例1において4.3N/mmであり、試験例2において7.6N/mmであり、試験例3において7.8N/mmであり、試験例4において7.6N/mmであることが認められた。また、キャリアシートの引裂強さは、試験例5において9.7N/mmであり、試験例6において28.3N/mmであり、試験例7において41.9N/mmであることが認められた。
【0079】
キャリアシートの曲げ剛性は、試験例1において7.0mN/15mmであり、試験例2において43.1mN/15mmであり、試験例3において36.8mN/15mmであり、試験例4において42.5mN/mmであることが認められた。また、キャリアシートの曲げ剛性は、試験例5において115.4mN/mmであり、試験例6において11.0mN/mmであり、試験例7において731.0mN/15mmであることが認められた。
【0080】
基材の引張破断強度は、試験例1において32.8MPaであり、試験例2において25.6MPaであり、試験例3において28.3MPaであり、試験例4において26.1MPaであることが認められた。基材13Aの引張破断強度は、試験例5において31.5MPaであり、試験例6において31.1MPaであり、試験例7において32.6MPaであることが認められた。
【0081】
キャリアシートと基材との間における180°剥離強度は、試験例1において85.1mN/25mmであり、試験例2において81.0mN/25mmであり、試験例3において492.0mN/25mmであることが認められた。キャリアシートと基材との間における180°剥離強度は、試験例4において579.0mN/25mmであり、試験例5において507.6mN/25mmであることが認められた。キャリアシートと基材との間における180°剥離強度は、試験例6において716.9mN/25mmであり、試験例7において121.0mN/25mmであることが認められた。
【0082】
粘着層の剥離強度は、試験例1において3.5N/25mmであり、試験例2において3.6N/25mmであり、試験例3において4.1N/25mmであり、試験例4において3.6N/25mmであることが認められた。粘着層の剥離強度は、試験例5において3.8N/25mmであり、試験例6において3.5N/25mmであり、試験例7において3.4N/25mmであることが認められた。
【0083】
各試験例の貼付テープを腕の皮膚に貼り付けた際には、試験例1から試験例4の貼付体、および、試験例6の貼付体において、5つの貼付体のいずれにおいても、貼付テープにしわを生じさせることなく貼付テープを貼り付けることが可能であることが認められた。すなわち、試験例1から試験例4、および、試験例6の貼付体において、貼付の評価結果が「○」であることが認められた。
【0084】
これに対して、試験例5および試験例7の貼付体では、少なくとも1つの貼付体において、貼付テープを貼り付けた際に、貼付テープにしわが生じることが認められた。すなわち、試験例5および試験例7の貼付体において、貼付の評価結果が「△」であることが認められた。こうした結果から、キャリアシートのループステフネス曲げ剛性が、43.1mN/15mm以下である場合には、皮膚の形状に対するキャリアシートの追従性が高められ、これによって貼付テープにしわが生じることが抑えられるといえる。
【0085】
また、試験例1から試験例3、および、試験例5の貼付体では、貼付テープの基材からキャリアシートを剥がす際に、切れ目に沿ってキャリアシートを引き裂き、これによってキャリアシートを2分することが可能であることが認められた。すなわち、試験例1から試験例3、および、試験例5の貼付体では、剥離の評価結果が「○」であることが認められた。
【0086】
これに対して、試験例4の貼付体では、貼付テープの基材からキャリアシートを剥がす際に、キャリアシートの引き裂きを進められるが、少なくとも1つの貼付体において、キャリアシートと基材の密着が強いために、キャリアシートが引き裂かれた位置から、キャリアシートと基材との間に空気が導入されにくいことが認められた。そして、基材からキャリアシートを剥がす際に、キャリアシートとともに貼付テープが浮き上がり、これによって貼付テープの少なくとも一部が皮膚から剥がれることが認められた。すなわち、試験例4の貼付体では、剥離の評価結果が「△」であることが認められた。
【0087】
試験例1から試験例3、および、試験例5の貼付体と、試験例4の貼付体との比較から、キャリアシートと基材との間における180°剥離強度が、507.6mN/25mm以下である場合には、基材からキャリアシートが剥がれやすくなるといえる。
【0088】
また、試験例7の貼付体では、貼付テープの基材からキャリアシートを剥がす際に、キャリアシートの全体を引き裂くことはできない、あるいは、キャリアシートを引き裂く際の抵抗が大きいことが認められた。すなわち、試験例7の貼付体では、評価結果が「△」であることが認められた。ただし、試験例7の貼付体では、キャリアシートが切れ目を有することによって、基材の外縁よりも内側の位置までキャリアシートを引き裂くことは可能であることが認められた。そして、キャリアシートにおいて引き裂かれた位置から、キャリアシートと基材との間に空気を導入することによって、基材からキャリアシートを剥がしやすくすることは可能であることが認められた。
【0089】
試験例1から試験例3、および、試験例5の貼付体と、試験例7の貼付体との比較から、キャリアシートの引裂強さが9.7N/mm以下である場合には、キャリアシートが引き裂かれやすくなるといえる。
【0090】
なお、試験例6の貼付体では、貼付テープの基材からキャリアシートを剥がす際に、キャリアシートの全体を引き裂くことはできない、あるいは、キャリアシートを引き裂く際の抵抗が大きいことが認められた。すなわち、試験例6の貼付体では、評価結果が「△」であることが認められた。
【0091】
試験例6の貼付体では、キャリアシートが切れ目を有することによって、基材の外縁よりも内側の位置までキャリアシートを引き裂くことは可能であることが認められた。一方で、試験例6の貼付体では、試験例4の貼付体と同様に、少なくとも1つの貼付体において、キャリアシートと基材の密着が強いために、キャリアシートが引き裂かれた位置から、キャリアシートと基材との間に空気が導入されにくいことが認められた。そして、基材からキャリアシートを剥がす際に、キャリアシートとともに貼付テープが浮き上がり、これによって貼付テープの少なくとも一部が皮膚から剥がれることが認められた。
【0092】
以上説明したように、貼付体の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)キャリアシート11が切れ目11Aを有するから、キャリアシート11が切れ目11Aを有しない場合に比べて、キャリアシート11を引き裂き、これによってキャリアシート11を基材13Aから剥がすことがより容易である。
【0093】
(2)キャリアシート11のトラウザー引裂強さが10N/mm以下である場合には、キャリアシートがより引き裂かれやすい。
(3)キャリアシート11のループステフネス曲げ剛性が50mN/15mm以下である場合には、貼付テープ13が貼付対象の形状に追従して変形することが、キャリアシート11によって妨げられにくくなる。
【0094】
(4)基材13Aの引張破断強度が10MPa以上である場合には、貼付テープ13からキャリアシート11を剥がす際に、キャリアシート11とともに貼付テープ13の基材13Aが引き裂かれることが抑えられる。
【0095】
(5)キャリアシート11と基材13Aとの間の180°剥離強度が550mN/25mm以下である場合には、基材13Aからキャリアシート11を剥がす際に、基材13Aからキャリアシート11が剥がれやすくなる。
【0096】
(6)粘着層13Bの剥離強度が1N/25mm以上である場合には、貼付テープ13からキャリアシート11を剥がす際に、貼付テープ13がキャリアシート11とともに貼付対象から浮き上がることが抑えられる。
【0097】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[切れ目]
・
図3が示すように、貼付体10は、2つ以上の切れ目を備えてもよい。
図3が示す例では、貼付体10は、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とを備えている。第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、互いに対向するようにキャリアシート11の外縁11Eに配置されている。第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13を挟んで互いに対向している。第1切れ目11A1の先端と、第2切れ目11A2の先端とが、貼付テープ13を挟んで互いに対向している。
【0098】
こうした貼付体10によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)例えば、第1切れ目11A1からキャリアシート11が引き裂かれた場合に、キャリアシート11の引き裂きが第2切れ目11A2に達することによって、キャリアシート11が2分される。そのため、第2切れ目11A2が第1切れ目11A1と対向する位置に配置されていない場合に比べて、キャリアシート11が引き裂かれやすくなる。
【0099】
なお、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、互いに対向するように配置されていなくてもよい。この場合であっても、キャリアシート11が2つ以上の切れ目を備えることによって、キャリアシート11が切れ目を1つのみ備える場合に比べて、キャリアシート11の引き裂きを開始する位置を2つ以上の位置から選択することが可能である。
【0100】
・切れ目は、Iノッチに限らない。例えば、
図3に示される切れ目11A1,11A2のように、切れ目はVノッチであってもよい。あるいは、切れ目は、Uノッチでもよいし、UVノッチでもよい。なお、キャリアシート11が2つ以上の切れ目を有する場合には、2つ以上の切れ目には、第1の形状を有した切れ目と、第1の形状とは異なる第2の形状を有した切れ目とが含まれてもよい。
【0101】
・第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、
図4から
図8が示すように配置されてもよい。なお、
図4から
図8では、キャリアシート11の形状と貼付テープ13の形状との差異を明確にする目的で、貼付テープ13に網点が付されている。
【0102】
図4が示す貼付体10は、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とを備えている。第1切れ目11A1および第2切れ目11A2は、配列方向に沿って間隔を空けて並び、かつ、各切れ目11A1,11A2は配列方向に交差する延在方向に沿って延びている。配列方向は第1方向の一例であり、かつ、延在方向は第2方向の一例である。各切れ目11A1,11A2は、延在方向に沿って延びる直線状を有している。延在方向における各切れ目11A1,11A2の長さLは、例えば5mm以上であってよい。キャリアシート11のうち、2つの切れ目11A1,11A2に挟まれる部分を摘まみやすくする観点では、配列方向に沿う切れ目11A1,11A2間の間隔Dは、例えば、配列方向に沿うキャリアシート11の長さに対する50%未満であってよい。キャリアシート11のうち、2つの切れ目11A1,11A2に挟まれる部分を摘まみやすくする観点では、配列方向に沿う切れ目11A1,11A2間の間隔Dは、例えば、2mm以上1cm以下であってよい。
【0103】
第1切れ目11A1および第2切れ目11A2は、キャリアシート11内における貼付テープ13の端に対して、同じ側に位置している。貼付テープ13は、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とに挟まれていない。第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とに挟まれ、かつ、延在方向に沿って延びる摘まみ部11Cをキャリアシート11内に画定している。
【0104】
図4が示す例では、キャリアシート11が長方形状を有し、かつ、貼付テープ13が長方形状を有している。配列方向において、貼付テープ13は、キャリアシート11と同一の長さを有している。一方で、延在方向において、貼付テープ13の長さは、キャリアシート11の長さよりも短い。
図4が示す例では、第1切れ目11A1の基端と第2切れ目11A2の基端とは、同一の辺に位置している。
【0105】
図5が示すように、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、各切れ目11A1,11A2の基端から先端に向けて、切れ目11A1,11A2間の間隔Dが長くなるように構成されてもよい。各切れ目11A1,11A2は、基端からの距離が長くなるほど互いから離れるように構成されている。各切れ目11A1,11A2は、直線状を有している。
図5が示す例では、キャリアシート11が長方形状を有するから、各切れ目11A1,11A2は、各切れ目11A1,11A2の基端が位置する辺に対して直角よりも小さい角度で交差する方向に沿って延びている。
【0106】
図6が示す貼付体10では、
図5が示す貼付体10と同様に、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、各切れ目11A1,11A2の基端から先端に向けて、切れ目11A1,11A2間の間隔Dが長くなるように構成されている。各切れ目11A1,11A2は、基端からの距離が長くなるほど互いから離れるように構成されている。各切れ目11A1,11A2は、弧状を有している。
図6が示す例では、キャリアシート11が長方形状を有するから、各切れ目11A1,11A2は、各切れ目11A1,11A2の基端が位置する辺に対して直角よりも小さい角度で交差する方向に延びている。
【0107】
図7が示すように、第1切れ目11A1の形状は、第2切れ目11A2の形状と異なっていてもよい。
図7が示す例では、配列方向において、第1切れ目11A1の幅が第2切れ目11A2の幅よりも大きい。なお、第1切れ目11A1の形状が第2切れ目11A2の形状と異なっていればよいから、第1切れ目11A1がIノッチ、Vノッチ、Uノッチ、UVノッチから構成される群から選択される1つであり、第2切れ目11A2が同一の群から選択され、かつ、第1切れ目11A1とは異なる形状であってもよい。
【0108】
図8が示すように、キャリアシート11は、本体部11Dと摘まみ部11Cとを備え、かつ、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とが摘まみ部11Cを本体部11Dから区切っている。延在方向において、各切れ目11A1,11A2の長さよりも摘まみ部11Cの長さが長い。摘まみ部11Cのうち、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とに挟まれていない部分が、延在方向において本体部11Dの外縁から飛び出している。
【0109】
このように、貼付体10が、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とに挟まれた摘まみ部11Cを備える場合には、以下に記載の効果を得ることができる。
(8)第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とに挟まれた摘まみ部11Cを摘まんでキャリアシート11を引き裂くための力をキャリアシート11に作用させることができるから、キャリアシート11を引き裂くことがより容易である。
【0110】
[貼付テープ]
・
図9が示すように、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13は円形状を有してもよい。
図9が示す例では、キャリアシート11も貼付テープ13と同様に、円形状を有している。キャリアシート11と貼付テープ13とは、互いに同心の円形状を有している。なお、貼付テープ13が円形状を有する場合であっても、キャリアシート11が四角形状を有してもよい。
【0111】
なお、
図9が示す例では、キャリアシート11は切れ目11AとしてVノッチを有しているが、切れ目11Aは、Iノッチ、Uノッチ、および、UVノッチのいずれかであってもよい。
【0112】
・
図1から
図3が示すように貼付テープ13が四角形状を有する場合には、キャリアシート11が円形状を有してもよい。この場合であっても、キャリアシート11が切れ目を有することによって、上述した(1)に準じた効果を得ることは可能である。
【0113】
・
図10が示すように、貼付テープ13は以下に説明する形状を有してもよい。なお、
図5では、キャリアシート11の形状と貼付テープ13の形状との差意を明確にする目的で、貼付テープ13に網点が付されている。
【0114】
図10が示すように、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13は、第1部分13P1と第2部分13P2とを備えている。第1部分13P1と第2部分13P2とは1つの方向である延在方向に沿って並んでいる。第1部分13P1は、略四角形状を有し、かつ、第2部分13P2と接続する端部において、第2部分13P2に向けて先細る形状を有している。言い換えれば、第1部分13P1は、長方形が有する4つの角部のうち、第2部分13P2が接続する辺によって区画される角部が切り欠かれた形状を有している。
【0115】
第2部分13P2は、長方形状を有している。第2部分13P2の面積は、第1部分13P1の面積よりも小さい。第2部分13P2は、延在方向と直交する幅方向において、第1部分13P1の中央を含む部分に接続されている。
【0116】
なお、貼付テープ13が備える基材13Aおよび粘着層13Bは、平面視における貼付テープ13の形状と同一の形状を有している。また、剥離シート12は、貼付テープ13と同一の形状を有している。
【0117】
キャリアシート11は、貼付テープ13の第1部分13P1と第2部分13P2との全体を覆うことが可能な大きさおよび形状を有している。キャリアシート11は、略長方形状を有し、かつ、長方形状において、幅方向に沿って並ぶ2つの角部のうち、一方の角部が貼付テープ13の外縁に沿って切り欠かれた形状を有している。キャリアシート11は、貼付テープ13と重ならない部分である非重畳部11Bを備えている。キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、非重畳部11Bは、幅方向において貼付テープ13の第2部分13P2と隣り合っている。非重畳部11Bには、キャリアシート11の縁から貼付テープ13に向けて延びる切れ目11Aが形成されている。
【0118】
以下、貼付体10の使用方法を説明する。なお、貼付体10は、突起部に貼り付ける上で好ましい形状を有している。突起部の一例は、例えばヒトの指先である。以下では、貼付対象がヒトの指先である場合の使用方法を例示する。
【0119】
貼付体10を使用する際には、まず、粘着層13Bから剥離シート12を剥離する。次いで、延在方向に沿って指が延び、かつ、指先が第1部分13P1のうち、第2部分13P2に接続される端部に位置するように、貼付テープ13の粘着層13Bに指を配置する。次いで、切れ目11Aから幅方向に沿ってキャリアシート11を引き裂くとともに、キャリアシート11が引き裂かれた部分において貼付テープ13の第2部分13P2を引き延ばす。そして、引き延ばされた第2部分13P2によって、指先を覆う。
【0120】
次いで、貼付テープ13の第1部分13P1のうち、幅方向において指の両側に位置する部分をそれぞれ指に対して巻き付ける。これにより、指を覆うように指に対して貼付テープ13を貼り付けることが可能である。
【0121】
・
図11が示すように、貼付テープ13は、以下に説明する形状を有してもよい。
図11が示すように、貼付テープ13は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て台形状を有している。貼付テープ13において、延在方向に沿う長さが、幅方向に沿う長さよりも長い。延在方向は、幅方向に直交する方向である。幅方向に沿う貼付テープ13の長さは、延在方向における第1端部13E1から第2端部13E2に向けて単調減少する。
【0122】
貼付テープ13において、延在方向に沿って延びる一対の辺のうち、キャリアシート11のうちで貼付テープ13が位置しない部分と、貼付テープ13との境界である第1辺は、幅方向における位置が変わらない。これに対して、延在方向に沿って延びる一対の辺のうち、第1辺とは異なる第2辺は、延在方向における第1端部から第2端部に向けて幅方向での位置が変わる。
【0123】
キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート11は、貼付テープ13と同様に台形状を有している。キャリアシート11において、延在方向に沿う長さが、幅方向に沿う長さよりも長い。幅方向に沿うキャリアシート11の長さは、延在方向における第1端部11E1から第2端部11E2に向けて単調減少する。キャリアシート11における延在方向の第1端部11E1は、貼付テープ13における延在方向の第1端部13E1に重なり、かつ、キャリアシート11における延在方向の第2端部11E2は、貼付テープ13における延在方向の第2端部13E2に重なっている。
【0124】
キャリアシート11において、延在方向に沿って延びる一対の辺のうち、キャリアシート11のうちで貼付テープ13が位置しない部分におけるキャリアシート11の縁である第1辺は、幅方向における位置が変わらない。キャリアシート11の第1辺は、貼付テープ13の第1辺と平行である。これに対して、延在方向に沿って延びる一対の辺のうち、第1辺とは異なる第2辺は、延在方向における第1端部から第2端部に向けて幅方向での位置が変わる。キャリアシート11の第2辺は、貼付テープ13の第2辺に重なっている。
【0125】
切れ目11Aは、キャリアシート11の延在方向における中央よりも第2端部11E2までの距離が短い位置に配置されている。言い換えれば、延在方向において、切れ目11Aからキャリアシート11の第2端部11E2までの距離が、キャリアシート11の中央からキャリアシート11の第2端部11E2までの距離よりも短い。
図11が示す例では、切れ目11Aは、延在方向におけるキャリアシート11の第2端部11E2の近傍に位置している。
【0126】
図12から
図14を参照して、貼付体10が備える貼付テープ13を貼付対象に貼り付ける工程を説明する。貼付テープ13は、1つの方向に沿って延びる棒状を有した貼付対象に適用されることが好適な形状を有している。
【0127】
貼付テープ13を貼付対象Sに貼り付ける際には、まず、貼付体10の使用者が、貼付テープ13の粘着層13Bから剥離シート12を剥がす。
次いで、
図12が示すように、粘着層13Bが貼付対象Sに向き合う状態で、貼付テープ13の幅方向に貼付対象Sが延びる方向を沿わせる。そして、貼付テープ13の長手方向における略中央に位置するように、貼付対象Sを移動させる。
【0128】
続いて、
図13が示すように、粘着層13Bの一部を貼付対象Sに仮止めした状態で、貼付テープ13の長手方向における第1端部13E1と第2端部13E2とが向かい合うように、貼付体10を折り曲げる。
【0129】
そして、
図14が示すように、貼付テープ13の第2端部13E2を把持し、これによって切れ目11Aを起点としてキャリアシート11を引き裂く力をキャリアシート11に作用させることによって、キャリアシート11の幅方向に沿ってキャリアシート11を引き裂く。切れ目11Aが第2端部11E2寄りに位置するから、第1端部11E1寄りに位置する場合に比べて、キャリアシート11が引き裂かれやすい。続いて、貼付テープ13の第1端部13E1を貼付対象Sから引き離す方向に引っ張ることによって貼付テープ13を引き延ばし、かつ、キャリアシート11を基材13Aから剥がしながら、貼付テープ13のうち、第2端部13E2から貼付対象Sに仮止めされた部分までを貼付対象Sに貼り付ける。その後、貼付テープ13のうち、第1端部13E1から貼付対象Sまでの部分を、貼付テープ13のうちで既に貼付対象Sに貼り付けられた部分を覆うように、貼付対象Sに貼り付ける。第1端部13E1の幅が第2端部13E2の幅よりも太いから、貼付テープ13の幅が単調減少しても、貼付対象Sを覆う面積が減ることが抑えられる。
【0130】
こうした貼付体10によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(9)貼付テープ13によって貼付対象Sを覆う面積を確保しつつ、キャリアシート11を引き裂かれやすくすることができる。
なお、上述した貼付体10では、貼付テープ13およびキャリアシート11が長方形状を有してもよい。
【0131】
[貼付テープの数量]
・
図15から
図19が示すように、貼付体は、2つ以上の貼付テープを備えてもよい。
例えば、
図15が示すように、貼付体20は、1つのキャリアシート21と2つの貼付テープ13と、2つの剥離シート12とを備えている。すなわち、貼付体20では、1つのキャリアシート21に対して2つの貼付テープ13が取り付けられている。各貼付テープ13の粘着層13Bは、1つの剥離シート12によって覆われ、かつ、一方の粘着層13Bを覆う剥離シート12は、他方の粘着層13Bを覆う剥離シート12とは異なっている。
【0132】
図16が示すように、キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見て、2つの貼付テープ13は、互いから離れている。キャリアシート21は、1つの切れ目21Aを備えている。
図16が示す例では、一方の貼付テープ13と切れ目21Aとの間の距離が、他方の貼付テープ13と切れ目21Aとの間の距離よりも小さい。キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目21Aの先端は、一方の貼付テープ13の近傍に位置している。
図16が示す例では、貼付体20は、2つ以上の切れ目21Aを有してもよい。なお、
図16が示す例では、切れ目21AはIノッチであるが、切れ目21AはVノッチ、Uノッチ、および、UVノッチのいずれかであってもよい。
【0133】
・
図17が示すように、貼付体20は、1つのキャリアシート21と、2つの貼付テープ13と、1つの剥離シート22を備えてもよい。すなわち、貼付体20は、2つの貼付テープ13に共通する1つの剥離シート22を備えてもよい。これにより、1つの剥離シート22を剥がすことによって、2つの粘着層13Bを同時に露出させることが可能である。なお、キャリアシート21は、2つ以上の切れ目21Aを備えてもよい。
【0134】
・
図18が示すように、貼付体20は、2つのキャリアシート11と、2つの貼付テープ13と、1つの剥離シート22を備えてもよい。すなわち、貼付体20が、2つの貼付テープ13に共通する1つの剥離シート22を備える一方で、各貼付テープ13の基材13Aは1つのキャリアシート11によって覆われ、かつ、一方の基材13Aを覆うキャリアシート11は、他方の基材13Aを覆うキャリアシート11とは異なっている。各キャリアシート11は、1つの切れ目11Aを備えている。なお、各キャリアシート11は2つ以上の切れ目11Aを備えてもよい。
【0135】
・
図19は、1つのキャリアシート21に対して複数の貼付テープ13が取り付けられた貼付体20を、キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見た平面図である。なお、
図19では、キャリアシート11と貼付テープ13との区別を明確にする目的で、貼付テープ13に網点が付されている。
【0136】
図19が示すように、貼付体20は、1つのキャリアシート21に対して取り付けられた複数の貼付テープ13を備えている。なお、
図15を参照して説明した貼付体20と同様に、各貼付テープ13の粘着層13Bは、1つの剥離シート12によって覆われている。キャリアシート21は、切れ目21Aを備えている。切れ目21Aは、キャリアシート21の縁のうち、貼付テープ13と重ならない部分から貼付テープ13に向けて延び、かつ、貼付テープ13の外縁に達しない長さを有している。
【0137】
キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート21のうち、貼付テープ13と重ならない部分と貼付テープ13とが、第1方向に沿って並んでいる。各貼付テープ13は、第1方向に直交する第2方向に沿って延びる形状を有している。
【0138】
キャリアシート21は、複数のミシン目21Bを備えている。各ミシン目21Bは、キャリアシート21の一部と1つの貼付テープ13とを貼付体20から切り離すことが可能に構成されている。言い換えれば、各ミシン目21Bは、キャリアシート21のうち、貼付テープ13と重ならない部分と、貼付テープ13と重なる部分との組である単位キャリアをキャリアシート21における他の部分から切り離すことが可能に構成されている。そのため、ミシン目21Bは、1つの単位キャリアと、その単位キャリアに隣り合う他の単位キャリアとの境界に位置している。各ミシン目21Bは、第2方向に沿って並ぶ複数の貫通孔によって構成されている。各貫通孔は、キャリアシート21の厚さ方向に沿ってキャリアシート21を貫通している。
【0139】
キャリアシート21は、貫通部21Cを備えている。各貫通部21Cは、キャリアシート21の厚さ方向に沿ってキャリアシート21を貫通している。各貫通部21Cは、第2方向において1つのミシン目21Bを分断するように、1つの単位キャリアとその単位キャリアに隣り合う他の単位キャリアとの境界に位置している。各貫通部21Cは、ミシン目21Bから、キャリアシート21のうち、貼付テープ13と重ならない部分に向けて先細る形状を有している。
【0140】
各貫通部21Cは、その貫通部21Cが分断するミシン目21Bが破断された場合に、破断後のキャリアシート21における縁に位置する。すなわち、ミシン目21Bの破断によって、貫通部21Cから切り欠きが形成される。そのため、貼付体20の使用者は、1つの貼付テープ13から単位キャリアを取り外す際に、貫通部21Cから形成された切り欠きを用いて単位キャリアを引き裂くことが可能である。
【符号の説明】
【0141】
10,20…貼付体
11,21…キャリアシート
11A,21A…切れ目
12,22…剥離シート
13…貼付テープ
13A…基材
13B…粘着層