(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153092
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】サリチル酸を含有する共融混合物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/368 20060101AFI20231005BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231005BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/368
A61Q19/10
A61K8/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023058660
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041028
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ノ・ジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ヨン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ユン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ボム・ジュン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC641
4C083AC642
4C083BB11
4C083BB51
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE14
4C083FF01
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】本発明は、皮膚に対するサリチル酸の吸着率及び皮膚透過度を高め、皮膚に刺激的ではない組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、下記化学式1のアルキルアミドアミン及びサリチル酸を含有する共融混合物(eutectic mixture)、これを含む洗浄用組成物、及びその製造方法に関するもので、サリチル酸と化学式1のアルキルアミドアミンを共融混合物の形態で含むとき、安定的で且つ低刺激性を示すことができ、サリチル酸の皮膚吸着率を高めてアクネの改善のための適切な洗浄用組成物を提供することができる。
[化1]
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1のアルキルアミドアミン及びサリチル酸を含有することを特徴とする、共融混合物。
【化1】
前記化学式1で、
R
1は、水素、又は炭素数1~50の線形又は分枝形の炭化水素基であり、ヒドロキシ基、アミン基、チオール基及びハロゲン基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されるか非置換であり、
R
2は、直接結合又は炭素数1~5の線形又は分枝形の2価炭化水素基であり、
R
3は、それぞれ独立的に、水素又は炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基である。
【請求項2】
前記化学式1でR2は、エチレン又はプロピレンであり、R3は、炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の共融混合物。
【請求項3】
前記化学式1のアルキルアミドアミンは、ミリスタミドプロピルジメチルアミン, ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(Brassicamidopropyl Dimethylamine)、 オレアミドプロピルジメチルアミン(Oleamidopropyl Dimethylamine)、イソステアラミドプロピルジメチルアミン(Isostearamidopropyl Dimethylamine)、パルミタミドプロピルジメチルアミン(Palmitamidopropyl Dimethylamine)、ヒマウリ種子アミドプロピルジメチルアミン(Sunflowerseedamidopropyl Dimethylamine)、ウィートジャームアミドプロピルジメチルアミン(Wheat Germamidopropyl Dimethylamine)、ベヘンアミドエチルジエチルアミノ(Behenamidoethyl Diethylamine)、ステアラミドエチルジエチルアミノ(Stearamidoethyl Diethylamine)及びコカミドプロピルジメチルアミンからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の共融混合物。
【請求項4】
前記化学式1のアルキルアミドアミン及びサリチル酸のモル比が15:85~60:40であることを特徴とする、請求項1に記載の共融混合物。
【請求項5】
請求項1に記載の共融混合物を含むことを特徴とする、洗浄用組成物。
【請求項6】
前記共融混合物は、組成物の全体重量に対して0.0001~20重量%で含まれることを特徴とする、請求項5に記載の洗浄用組成物。
【請求項7】
洗浄用組成物は、ワックス及びオイルのうち1種以上を追加で含むことを特徴とする、請求項5に記載の洗浄用組成物。
【請求項8】
前記オイルは、共融混合物100重量部に対して30~200重量部で含まれることを特徴とする、請求項7に記載の洗浄用組成物。
【請求項9】
前記ワックスは、共融混合物100重量部に対して30~200重量部で含まれることを特徴とする、請求項7に記載の洗浄用組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の共融混合物;を含むことを特徴とする、皮膚ターンオーバー促進用組成物。
【請求項11】
サリチル酸及び下記化学式1のアルキルアミドアミンを混合して共融混合物(eutectic mixture)を製造する段階;を含むことを特徴とする、共融混合物の製造方法。
【化2】
前記化学式1で、
R
1は、水素、又は炭素数1~50の線形又は分枝形の炭化水素基であり、ヒドロキシ基、アミン基、チオール基及びハロゲン基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されるか非置換であり、
R
2は、直接結合又は炭素数1~5の線形又は分枝形の2価炭化水素基であり、
R
3は、それぞれ独立的に、水素又は炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基である。
【請求項12】
共融混合物の製造段階は、サリチル酸及び化学式1のアルキルアミドアミンを常温で混合する段階、混合物を加熱する段階及び混合物を冷却する段階を含むことを特徴とする、請求項11に記載の共融混合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サリチル酸を含有する共融混合物(eutectic mixture)、これを含む洗浄用組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の重要な機能のうち一つは、外部の多様な刺激から人体を保護することであり、これによって、多様な器官が集まっている。このうち、皮脂を分泌する皮脂腺は、毛穴を通じて抗菌及び水分蒸発を抑制する皮脂を分泌して皮膚の恒常性を維持するのを助けている。しかし、毛穴を通じて皮脂を分泌する過程で毛穴が拡大されて皮脂がアクネに進行し得ることが知られている。
【0003】
アクネ(Acne)は、毛皮脂腺の腺単位の慢性炎症疾患であって、主に思春期の青少年に発生するが、大人にも観察される疾患である。一般的に、アクネは、皮脂腺が集まっている顔、首、胸、などに好発し、毛嚢の中に皮脂が溜まって硬くなる面皰、1cm未満サイズの皮膚が隆起した形態の丘疹、膿疱、結節などのような皮膚変化を示すことが知られており、当該部位だけでなく拡張されて瘢痕を残すこともある。通常、アクネは、その原因として多様な因子が複合的に作用し、代表的な発生要因として皮脂分泌の増加、過多角質化、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)の増殖、炎症反応などが知られており、その外にも遺伝的又は環境的要因により発生することが知られている。
【0004】
このようなアクネは、皮脂分泌の調節、角質管理、抗菌成分を用いて原因菌の除去及び炎症反応の抑制などの方法で治療しており、そのうち、抗菌効果を有する洗顔剤を用いる方法と皮膚の酸性度を高める方法が代表的である。その外にもサリチル酸を用いた治療が知られており、これは皮膚のターンオーバーの促進及び炎症反応の抑制などによりアクネを改善し得る。
【0005】
一方、サリチル酸は、強酸の一種類であって、その酸性度により皮膚に刺激的で且つ高い結晶性により皮膚改善組成物の剤形を不安定にする問題がある。また、クレンジング製品に当該有効成分を含む場合、水による洗浄過程で皮膚に塗布された多量のサリチル酸が離脱することによって、実際皮膚に残って効果を発揮する成分は極めて少なくなるという問題が発生した。
【0006】
これによって、アクネの改善に効果的なサリチル酸を含有すると共に皮膚に低刺激的であるだけでなく、剤形が安定し、クレンジング過程で多量が皮膚に残るようにする皮膚改善組成物に対する開発が要求されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、皮膚に対するサリチル酸の吸着率及び皮膚透過度を高め、皮膚に刺激的ではない組成物を提供しようとする。
【0008】
また、本発明は、サリチル酸を含むことによってアクネを治療して改善する組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、サリチル酸にアルキルアミドアミンを一緒に用いて共融混合物を形成するとき、サリチル酸の結晶性を低め、このような共融混合物が皮膚上のサリチル酸の吸着率を高めることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明は、下記化学式1のアルキルアミドアミン及びサリチル酸を含有する共融混合物(eutectic mixture)を提供する。
【0011】
【0012】
前記化学式1で、
【0013】
R1は、水素、又は炭素数1~50の線形又は分枝形の炭化水素基であり、ヒドロキシ基、アミン基、チオール基及びハロゲン基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されるか非置換であり、
【0014】
R2は、直接結合又は炭素数1~5の線形又は分枝形の2価炭化水素基であり、
【0015】
R3は、それぞれ独立的に、水素又は炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基である。
【0016】
また、本発明は、前記共融混合物を含む洗浄用組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、サリチル酸及び下記化学式1のアルキルアミドアミンを混合して共融混合物(eutectic mixture)を製造する段階;を含む共融混合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、サリチル酸及び化学式1のアルキルアミドアミンを共融混合物の形態で含むことによって、サリチル酸の結晶性を低めることができ、安定的な共融混合物を得ることができる。また、このような共融混合物は、アクネの改善に効果的なサリチル酸を含むと共に酸性度を低めて低刺激性を示し、洗浄時にサリチル酸が水により離脱せず高い皮膚ターンオーバー効果、皮膚吸着率及び透過度を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実験例1による実施例2の一般顕微鏡及び偏光顕微鏡イメージを示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の実験例1による比較例1の一般顕微鏡及び偏光顕微鏡イメージを示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の比較例1、2及び実施例6を肉眼で確認したイメージを示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実験例5による剤形別日平均剥離率を示したグラフである。
【
図5】
図5は、本発明の実験例5による剤形別ターンオーバー促進効果を確認したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
本発明は、多様な変更を加えることができ、さまざまな形態を有することができるところ、以下で特定の実施例を例示して詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0022】
本発明は、下記化学式1のアルキルアミドアミン及びサリチル酸を含有する共融混合物(eutectic mixture)を提供する。
【0023】
【0024】
前記化学式1で、
R1は、水素、又は炭素数1~50の線形又は分枝形の炭化水素基であり、ヒドロキシ基、アミン基、チオール基及びハロゲン基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されるか非置換であり、
R2は、直接結合又は炭素数1~5の線形又は分枝形の2価炭化水素基であり、
R3は、それぞれ独立的に、水素又は炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基である。
【0025】
常温で固体であると共に結晶性粒子を有するサリチル酸をアルキルアミドアミンと混合して加熱する場合、共融混合物を形成することができる。このように形成された共融混合物は、常温に温度を低めても固体化しない液状製剤を提供することができる。
【0026】
本発明で「共融混合物」は、二つ以上の固体あるいは液体物質の混合物を意味し、高い融点を有する二つの成分が混合されて極性分子間双極子-双極子引力、双極子-誘発双極子引力、分子間水素結合又はバンデルバルス相互作用により二つの成分が複合体を形成することになる。前記のように形成された複合体は、各成分が結晶化しようとする能力、すなわち、固体状態に帰ろうとする能力を妨害して各成分のうち最低融点を有する成分よりさらに低い融点を有することになって、常温で液体状態を示すことができる。
【0027】
化学式1のアルキルアミドアミンにおいて、「炭化水素基」は、炭素と水素からなる置換基であり、飽和炭化水素基、又は二重結合又は三重結合を1個以上含む不飽和炭化水素基であってもよい。
【0028】
前記化学式1で、R1は、炭素数3~45の線形又は分枝形の炭化水素基であってもよく、ヒドロキシ基に置換されるか非置換でもよい。
【0029】
前記化学式1で、R2は、炭素数1~4の線形の2価炭化水素基であってもよく、好ましくは、エチレン又はプロピレンであってもよい。
【0030】
前記化学式1で、R3は、水素、又は炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基であって、互いに同一であってもよく、相異なっていてもよいが、好ましくは、R3は、互いに同一であってもよい。
【0031】
本発明の一具体実施様態において、前記化学式1で、R2は、エチレン又はプロピレンで、R3は、炭素数1~5の線形又は分枝形の炭化水素基であってもよい。
【0032】
前記化学式1のアルキルアミドアミンは、アビシニアン/メドウフォームアミドプロピルジメチルアミン(Abyssinian/Meadowfoamamidopropyl Dimethylamine)、アーモンドアミドプロピルジメチルアミン(Almondamidopropyl Dimethylamine)、アボカドアミドプロピルジメチルアミン(Avocadamidopropyl Dimethylamine)、ババスアミドプロピルジメチルアミン(Babassuamidopropyl Dimethylamine)、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン(Behenamidopropyl Dimethylamine)、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(Brassicamidopropyl Dimethylamine)、カンナビサミドプロピルジメチルアミン(Cannabisamidopropyl Dimethylamine)、コカミドプロピルジメチルアミン(Cocamidopropyl Dimethylamine)、ジベヘンアミドプロピルジメチルアミン(Dibehenamidopropyl Dimethylamine)、ジリノーレンアミドプロピルジメチルアミン(Dilinoleamidopropyl Dimethylamine)、イソステアラミドプロピルジメチルアミン(Isostearamidopropyl Dimethylamine)、ラウラミドプロピルジメチルアミン(Lauramidopropyl Dimethylamine)、リノールアミドプロピルジメチルアミン(Linoleamidopropyl Dimethylamine)、ミンクアミドプロピルジメチルアミン(Minkamidopropyl Dimethylamine)、ミリスタミドプロピルジメチルアミン(Myristamidopropyl Dimethylamine)、オートアミドプロピルジメチルアミン(Oatamidopropyl Dimethylamine)、オレアミドプロピルジメチルアミン(Oleamidopropyl Dimethylamine)、オリーブアミドプロピルジメチルアミン(Olivamidopropyl Dimethylamine)、パルミタミドプロピルジメチルアミン(Palmitamidopropyl Dimethylamine)、ペンタクレスラミドプロピルジメチルアミン(Pentaclethramidopropyl Dimethylamine)、ポリヒドロキシステアラミドプロピルジメチルアミン(Polyhydroxystearamidopropyl Dimethylamine)、リシノレアミドプロピルジメチルアミン(Ricinoleamidopropyl Dimethylamine)、セサミドプロピルジメチルアミン(Sesamidopropyl Dimethylamine)、シアバター三度プロピルジメチルアミン(Sheabutteramidopropyl Dimethylamine)、ソイアミドプロピルジメチルアミン(Soyamidopropyl Dimethylamine)、ステアラミドプロピルジメチルアミン(Stearamidopropyl Dimethylamine)、ヒマウリ種子アミドプロピルジメチルアミン(Sunflowerseedamidopropyl Dimethylamine)、タラミドプロピルジメチルアミン(Tallamidopropyl Dimethylamine)、タロウアミドプロピルジメチルアミン(Tallowamidopropyl Dimethylamine)、ウィートジャームアミドプロピルジメチルアミン(Wheat Germamidopropyl Dimethylamine)、ベヘンアミドエチルジエチルアミノ(Behenamidoethyl Diethylamine)、パルミタミドプロピルジエチルアミノ(Palmitamidopropyl Diethylamine)及びステアラミドエチルジエチルアミノ(Stearamidoethyl Diethylamine)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
具体的に、前記化学式1のアルキルアミドアミンは、ミリスタミドプロピルジメチルアミン, ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(Brassicamidopropyl Dimethylamine)、 オレアミドプロピルジメチルアミン(Oleamidopropyl Dimethylamine)、イソステアラミドプロピルジメチルアミン(Isostearamidopropyl Dimethylamine)、パルミタミドプロピルジメチルアミン(Palmitamidopropyl Dimethylamine)、ヒマウリ種子アミドプロピルジメチルアミン(Sunflowerseedamidopropyl Dimethylamine)、ウィートジャームアミドプロピルジメチルアミン(Wheat Germamidopropyl Dimethylamine)、ベヘンアミドエチルジエチルアミノ(Behenamidoethyl Diethylamine)、ステアラミドエチルジエチルアミノ(Stearamidoethyl Diethylamine)及びコカミドプロピルジメチルアミン からなる群より選択された1種以上であってもよい。
具体的に、前記化学式1のアルキルアミドアミンは、ミリスタミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン及びコカミドプロピルジメチルアミンからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0033】
本発明の一実施様態で、化学式1のアルキルアミドアミン及びサリチル酸のモル比は、15:85~60:40であってもよい。好ましくは、前記モル比は、18:82~60:40、15:85~50:50、20:80~50:50、20:80~45:55又は、25:75~40:60であってもよい。アルキルアミドアミン及びサリチル酸のモル比が15:85未満である場合、共融混合物の製造時に、溶融混合した後に冷却するときにサリチル酸が析出され得、60:40を超過する場合、共融混合物の製造時にアルキルアミドアミンが析出され得る。
【0034】
また、本発明は、本発明による共融混合物;を含む洗浄用組成物を提供することができる。
【0035】
本発明の一実施様態で、共融混合物は、組成物の全体重量に対して0.0001~20重量%で含まれ得る。具体的に、0.2~20重量%、0.2~15重量%、1~10重量%又は2~8重量%で含まれ得る。
【0036】
本発明の一実施様態で、前記化学式1のアルキルアミドアミンは、組成物の全体重量に対して0.00005~10重量%で含まれ得る。具体的に、0.001~8重量%、1~6重量%又は1~4重量%であってもよい。
【0037】
本発明の一実施様態で、前記サリチル酸は、組成物の全体重量に対して0.00005~5重量%で含まれ得る。具体的に、0.01~5重量%、0.1~4重量%又は1~3重量%であってもよい。
【0038】
本発明の組成物は、ワックス及びオイルのうち1種以上を追加で含むことができる。ワックス及びオイルは、表面エネルギーを低めて展延性を高めることによってサリチル酸の皮膚上の吸着率を高めることができる。ワックス及びオイルは、組成物の製造において加温混合時に添加され得、その投入順序は制限されない。
【0039】
本発明の一実施様態で、前記ワックスは、常温で固体であり、融点が40℃以上であるワックスであってもよいが、これに制限されない。
【0040】
本発明の一実施様態で、前記ワックスは、2種以上の成分が混合された物質であってもよく、このような混合物質は、単一物質に比べて低い結晶性により共融混合物と高温で混合した後に常温に冷却するとき、物質間の分離現象が発生しないようにすることができる。
【0041】
本発明の一実施様態で、ワックスの表面エネルギーは、38~57mJ/m2の表面エネルギーを有する皮膚と類似する値である15~80mJ/m2、好ましくは、17~75mJ/m2、より好ましくは、20~70mJ/m2であってもよい。
【0042】
前記表面エネルギーは、水の接触角を用いて測定が可能であり、下記式により定義され得る。
【0043】
【0044】
本発明の一実施様態で、ワックスは、エステル系ワックス、アルコール系ワックス、カルボン酸系ワックス又は線形アルキル基のような構造を分子内に1個以上含むワックスであってもよい。
【0045】
具体的に、前記ワックスとしては、ヨーロッパモミ葉ロウ(Abies Alba Leaf Wax)、ミモザアカシア花ロウ(Acacia Dealbata Flower Wax)、フサアカシア花ロウ(Acacia Decurrens Flower Wax)、フサアカシアロウ/ホホバ/ヒマワリ種子ロウポリグリセリル-3エステルズ(Acacia Decurrens/Jojoba/Sunflower Seed Wax Polyglyceryl-3 Esters)、スイートアカシア花ロウ(Acacia Farnesiana Flower Wax)、ツミロウ(Beeswax)、ツミロウ酸(Beeswax Acid)、Beeswax Polyglyceryl-3 Esters、ベヘニルツミロウ(Behenyl Beeswax)、ベヘニル/イソステアリルツミロウ(Behenyl/Isostearyl Beeswax)、Bis-Hydroxyethoxypropyl Dimethicone Beeswax Esters、ビス-PEG-12ジメチコンツミロウ(Bis-PEG-12 Dimethicone Beeswax)、ブチルオクチルツミロウ(Butyloctyl Beeswax)、C14-30アルキルツミロウ(C14-30 Alkyl Beeswax)、C18-38アルキルツミロウ(C18-38 Alkyl Beeswax)、C30-50アルキルツミロウ(C30-50 Alkyl Beeswax)、ツバギ葉ロウ(Camellia Japonica Leaf Wax)、チャ葉ロウ(Camellia Sinensis Leaf Wax)、イランイラン花ワックス(Cananga Odorata Flower Wax)、キャンデリラロウエステルズ(Candelilla Wax Esters)、キャンデリラロウ炭化水素(Candelilla Wax Hydrocarbons)、カルナウバ脂肪酸ロウ(Carnauba Acid Wax)、カルナウバ脂肪酸ロウブチレングリコールエステルズ(Carnauba Acid Wax Butylene Glycol Esters)、カルナウバ脂肪酸ロウグリコールエステルズ(Carnauba Acid Wax Glycol Esters)、(イソステアリン酸/ツミロウ/コハク酸)ヒマシ油(Castor Isostearate Beeswax Succinate)、キスツス・ラダニフェル花ロウ(Cistus Ladaniferus Flower Wax)、ダイダイ花ロウ(Citrus Aurantium Amara(Bitter Orange)Flower Wax)、オレンジ花ロウ(Citrus Aurantium Dulcis(Orange)Flower Wax)、オレンジ果皮ロウ(Citrus Aurantium Dulcis(Orange)Peel Wax)、レモン果皮ロウ(Citrus Limon(Lemon)Peel Wax)、カルナウバロウ(Copernicia Cerifera(Carnauba)Wax)、カルナウバロウエキス(Copernicia Cerifera(Carnauba)Wax Extract)、エニシダ花ロウ(Cytisus Scoparius Flower Wax)、コカミドMEA(Cocamide MEA)、ジメチコンPEG-8ミツロウ(Dimethicone PEG-8 Beeswax)、ジメチコノールミツロウ(Dimethiconol Beeswax)、タカサブロウ(Eclipta Prostrata Wax)、イボタロウカタカイガラムシロウ(Ericerus Pela Wax)、キャンデリラロウ(Euphorbia Cerifera(Candelilla)Wax)、キャンデリラロウエキス(Euphorbia Cerifera(Candelilla)Wax Extract)、ヒマワリ種子ロウ(Helianthus Annuus(Sunflower)Seed Wax)、ヘリクリスムアングスチホリウムロウ(Helichrysum Angustifolium Wax)、ヘキサンジオールミツロウ(Hexanediol Beeswax)、ヘキサントリオールミツロウ(Hexanetriol Beeswax)、加水分解ミツロウ(Hydrolyzed Beeswax)、加水分解キャンデリラロウ(Hydrolyzed Candelilla Wax)、加水分解カルナウバロウ(Hydrolyzed Carnauba Wax)、加水分解ヒマワリ種子ロウ(Hydrolyzed Sunflower Seed Wax)、イリス花ロウ(Iris Florentina Flower Wax)、オオバナソケイ花ロウ(Jasminum Grandiflorum(Jasmine)Flower Wax)、ジャスミン花ロウ(Jasminum Officinale(Jasmine)Flower Wax)、アツリカ花ロウ(Jasminum Sambac(Jasmine)Flower Wax)、(ホホバ油/ワックス)ポリグリセリルー3エステルズ(Jojoba Oil/Wax Polyglyceryl-3 Esters)、ホホバワックスPEG-80エステルズ(Jojoba Wax PEG-80 Esters)、ホホバワックスPEG-120エステルズ(Jojoba Wax PEG-120 Esters)、ラノリンロウ(Lanolin Wax)、ラベンダー花ロウ(Laandula Angustifolia(Laender)Flower Wax)、ヘンナロウ(Lawsonia Inermis(Henna)Wax)、ユリノキ葉ロウ(Liriodendron Tulipifera Leaf Wax)、マイクロクリスタリンワックス(Microcrystalline Wax)、ミンクロウ(Mink Wax)、モンタン酸ワックス(Montan Acid Wax)、モンタンロウ(Montan Wax)、シロヤマモモ果実ロウ(Myrica Cerifera(Bayberry)Fruit Wax)、ミリカプべセンス果実ロウ(Myrica Pubescens Fruit Wax)、クチベニスイセン花ロウ(Narcissus Poeticus Flower Wax)、ハス花ロウ(Nelumbo Nucifera Flower Wax)、ナツメグカーネルオイル/花ロウグリセリド(Nutmeg Kernel Oil/Flower Wax Glycerides)、オクチルドデシルミツロウ(Octyldodecyl Beeswax)、オルメニスムルチカウリス花ロウ(Ormenis Multicaulis Flower Wax)、コメヌカロウ(Oryza Sativa(Rice)Bran Wax)、オーリクリーロウ(Ouricury Wax)、酸化ミツロウ(Oxidized Beeswax)、酸化マイクロクリスタリンワックス(Oxidized Microcrystalline Wax)、酸化コメヌカロウ(Oxidized Rice Bran Wax)、パーム核ロウ(Palm Kernel Wax)、PEG-6ミツロウ(PEG-6 Beeswax)、PEG-8ミツロウ(PEG-8 Beeswax)、PEG-12ミツロウ(PEG-12 Beeswax)、PEG-20ミツロウ(PEG-20 Beeswax)、PEG-75ラノリンロウ(PEG-75 Lanolin Wax)、センテッドゼラニウムワックス(Pelargonium Graveolens Wax)、アボカドワックス(Persea Gratissima(Aocado)Wax)、マスティクス葉ロウ(Pistacia Lentiscus(Mastic)Leaf Wax)、チューベロース花ロウ(Polianthes Tuberosa Flower Wax)、ポリグリセリルー3ミツロウ(Polyglyceryl-3 Beeswax)、酸化カリウムマイクロクリスタリンワックス(Potassium Oxidized Microcrystalline Wax)、PPG-5ラノリンロウ(PPG-5 Lanolin Wax)、PPG-5ラノリンロウグリセリド(PPG-5 Lanolin Wax Glyceride)、プロポリスワックス(Propolis Wax)、アプリコット核ロウ(Prunus Armeniaca(Apricot)Kernel Wax)、パイラスシドニア果皮/果物ワックス(Pyrus Cydonia Peel/Fruit Wax)、リンゴ果皮ロウ(Pyrus Malus(Apple)Peel Wax)、モクロウ(Rhus Succedanea Fruit Wax)、ウルシ果皮ロウ(Rhus Verniciflua Peel Wax)、クロフサスグリツボミロウ(Ribes Nigrum(Black Currant)Bud Wax)、コメヌカロウエチルエステル(Rice Bran Wax Ethyl Esters)、センチフォリアバラ花ロウ(Rosa Centifolia Flower Wax)、ダマスクバラ花ロウ(Rosa Damascena Flower 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TDI Oxidized Microcrystalline Wax)、ニオイスミレ葉ロウ(Viola Odorata Leaf Wax)、ブドウ葉ロウ(Vitis vinifera(Grape)Leaf Wax)、水添バオバブ種子油(Hydrogenated Adansonia Digitata Seed Oil)、水添アンズ核油(Hydrogenated Apricot Kernel Oil)、水添アルガニアスピノサ核油(Hydrogenated Argania Spinosa Kernel Oil)、水添アボカド油(Hydrogenated Avocado Oil)、水添ブラックカラント種子油(Hydrogenated Black Currant Seed Oil)、水添テリハボク種子油(Hydrogenated Calophyllum Inophyllum Seed Oil)、水添アマナズナ種子油(Hydrogenated Camelina Sativa Seed Oil)、水添ツバキ油(Hydrogenated Camellia Japonica Seed Oil)、水添ユチャ種子油(Hydrogenated Camellia Oleifera Seed Oil)、水添カノーラ油(Hydrogenated Canola Oil)、水添ヒマシ油(Hydrogenated Castor Oil)、水添ヤシ脂肪酸(Hydrogenated Coconut Acid)、水添ヤシ油(Hydrogenated Coconut Oil)、水添コーン油(Hydrogenated Corn Oil)、水添綿実油(Hydrogenated Cottonseed Oil)、水添クランベアビシニカ種子油(Hydrogenated Crambe Abyssinica Seed Oil)、水添クランベリー種子油(Hydrogenated Cranberry Seed Oil)、水添トリ脂肪酸(C12-18)グリセリル(Hydrogenated C112-18 Triglycerides)、水添ジデセン(Hydrogenated Didecene)、水添ジドデカン(Hydrogenated Didodecene)、水添卵黄油(Hydrogenated Egg Oil)、水添月見草油(Hydrogenated Evening Primrose Oil)、水添魚油(Hydrogenated Fish Oil)、水添グレープフルーツ種子油(Hydrogenated Grapefruit Seed Oil)、水添ブドウ種子油(Hydrogenated Grapeseed Oil)、水添ヘーゼルナッツ油(Hydrogenated Hazelnut Oil)、水添麻の実油(Hydrogenated Hemp Seed Oil)水添ホホバ油(Hydrogenated Jojoba Oil)、水添ククイナッツ油(Hydrogenated Kukui Nut Oil)、水添ライム種子油(Hydrogenated Lime Seed Oil)、水添マカデミア種子油(Hydrogenated Macadamia Seed Oil)、水添メドウフォーム種子油(Hydrogenated Meadowfoam Seed Oil)、水添メンヘーデン油(Hydrogenated Menhaden Oil)、水添マイクロクリスタリンワックス(Hydrogenated Microcrystalline Wax)、水添乳脂(Hydrogenated Milk Lipids)、水添鉱油(Hydrogenated Mineral Oil)、水添ミンク油(Hydrogenated Mink Oil)、水添ワサビノキ種子油(Hydrogenated Moringa Oleifera Seed Oil)、水添イヌハッカ油(Hydrogenated Nepeta Cataria Oil)、水添カラスムギ穀粒油(Hydrogenated Oat Kernel Oil)、水添オリーブ油(Hydrogenated Olive Oil)、水添オレンジラフィー油(Hydrogenated Orange Roughy Oil)、水添オレンジ種子油(Hydrogenated Orange Seed Oil)、水添ダチョウ油(Hydrogenated Ostrich Oil)、水添パーム核油(Hydrogenated Palm Kernel Oil)、水添パーム油(Hydrogenated Palm Oil)、水添紅参油(Hydrogenated Panax Ginseng Root Oil)、水添クダモノトケイソウ種子油(Hydrogenated Passiflora Edulis Seed Oil)、水添モモ核油(Hydrogenated Peach Kernel Oil)、水添ピーナッツ油(Hydrogenated Peanut Oil)、水添ホスファチジルコリン(Hydrogenated Phosphatidylcholine)、水添フランスカイガンショウ種子油(Hydrogenated Pinus Pinaster Seed Oil)、水添ピスタチオ種子油(Hydrogenated Pistachio Seed Oil)、水添ピスタシオ種子油(Hydrogenated Pistacia Vera Seed Oil)、水添プルケネチアボルビリス種子油(Hydrogenated Plukenetia Volubilis Seed Oil)、水添ポリイソブテン(Hydrogenated Polybutene)、水添プルーン種子油(Hydrogenated Prunus Domestica Seed Oil)、水添ペポカボチャ種子油(Hydrogenated Pumpkin Seed Oil)、水添ザクロ種子油(Hydrogenated Punica Granatum Seed Oil)、水添アブラナ種子油(Hydrogenated Rapeseed Oil)、水添ラズベリー種子油(Hydrogenated Raspberry Seed Oil)、水添ウルシ果皮ロウ(Hydrogenated Rhus Verniciflua Peel Wax)、水添コメヌカ油(Hydrogenated Rice Bran Oil)、水添コメヌカロウ(Hydrogenated Rice Bran Wax)、水添ローズヒップ油(Hydrogenated Rosa Canina Fruit Oil)、水添ロジン(Hydrogenated Rosin)、水添サフラワー油(Hydrogenated Safflower Seed Oil)、水添ゴマ油(Hydrogenated Sesame Seed Oil)、水添サメ肝油(Hydrogenated Shark Liver Oil)、水添シア脂(Hydrogenated Shea Butter)、水添シア油(Hydrogenated Shea Oil)、水添ダイズ油(Hydrogenated Soybean Oil)、水添ヒマワリ種子油(Hydrogenated Sunflower Seed Oil)、水添スイートアーモンド油(Hydrogenated Sweet Almond Oil)、水添カヤ種子油(Hydrogenated Torreya Nucifera Seed Oil)、水添野菜油(Hydrogenated Vegetable Oil)、水添クルミ油(Hydrogenated Walnut Seed Oil)及び水添小麦胚芽油(Hydrogenated Wheat Germ Oil)からなる群より選択された1種以上が用いられ得る。
【0046】
より具体的に、前記ワックスは、ミツロウ(Bees Wax)、カルナウバロウ(Carnauba Wax)、コカミドMEA(Cocamide MEA)、オリーブ油脂肪酸セテアリル(Cetearyl Olivate)、オリーブ油脂肪酸ソルビタン(Sorbitan Olivate)、コメヌカロウ(Rice Bran Wax)、水添ヒマシ油(Hydrogenated Castor Oil)、水添ヤシ油(Hydrogenated Coconut Oil)、マイクロクリスタリンワックス(Microcrystalline Wax)及び水添ホホバ油(Hydrogenated Jojoba Oil)からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0047】
本発明の一実施様態で、ワックスは、共融混合物100重量部に対して30~200重量部で含まれ得る。好ましくは、共融混合物100重量部に対して40~180重量部、より好ましくは、50~160重量部で含まれ得る。ワックスが前記範囲で含まれる場合、共融混合物内のサリチル酸の皮膚吸着率をより向上させ得、共融混合物と均質に混合され得る。
【0048】
一方、オイルもワックスと同様に、共融混合物と高温で混合した後に常温に冷却しても物質間分離現象が発生せず、製剤の展延性を高めて皮膚上のサリチル酸の吸着率を高めることができる。
【0049】
本発明の一実施様態で、前記オイルは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソドデカン又はドデカンのような線形又非線形構造の炭化水素系オイル、エチルエーテル、ブチルエーテル又はメチル-t-ブチルエーテルなどのエーテル基を含むエーテル系オイル、酢酸エチル、酢酸ブチル又は酪酸エチルなどのエステル基を含むエステル系オイル、メチルエチルケトンなどのケトン系オイル、ベンゼン、トルエン又はキシレンなどの芳香族オイル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム又はカーボンテトラクロリドなどのハロアルカン系オイル、ジメチコン又はシクロメチコンなどのシリコーン系オイルからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0050】
より具体的に、前記オイルは、エチルヘキサン酸セチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソステアリル、スクワラン及びドデカンからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0051】
本発明の一実施様態で、前記オイルは、共融混合物100重量部に対して30~200重量部で含まれ得る。好ましくは、共融混合物100重量部に対して40~180重量部、より好ましくは、50~160重量部で含まれ得る。オイルが前記範囲に含まれる場合、共融混合物内のサリチル酸の皮膚吸着率をより向上させ得、共融混合物と均質に混合され得る。
【0052】
本発明の洗浄用組成物は、保湿剤、水、酸化剤、防腐剤、増粘剤、粘度調節剤、紫外線吸収剤、pH調節剤、香料、染料、コンディショニング剤などを追加で含むことができるが、通常的に洗浄用組成物に配合され得る成分であれば、制限されない。
【0053】
本発明の洗浄用組成物は、人体洗浄用途であって、皮膚、頭皮、顔、身体又は手足などの洗浄に用いられ得、使用部位が特に制限されない。
【0054】
本発明の組成物は、クリーム状、液状、乳液状、ジェル状、オイル状などの多様な剤形に適用することができる。本発明の組成物は、化粧石鹸、ボディーウォッシュ、洗顔フォーム、ハンドウォッシュ、入浴剤、液体洗浄料、クレンジングオイル、シャンプー、リンス又はコンディショナーなどの顔、皮膚又は毛髪を洗浄するための製品に含有され得るが、これに制限されない。
【0055】
また、本発明は、本発明による共融混合物を含む皮膚ターンオーバー促進用組成物を提供する。
【0056】
本発明で「ターンオーバー(turnover)」は、新たに生成された皮膚細胞が既存の皮膚細胞を徐徐に角質層に押し上げながら離れるようにして新しい細胞層を形成させる過程を意味し、皮膚細胞の剥離機能が向上することによってターンオーバーが促進され得る。
【0057】
また、本発明は、前記共融混合物の製造方法を提供する。
【0058】
本発明による製造方法は、サリチル酸及び化学式1のアルキルアミドアミンを混合して共融混合物を製造する段階;を含む。
【0059】
前記製造方法において、
【0060】
共融混合物の製造段階は、サリチル酸及び化学式1のアルキルアミドアミンを常温で混合する段階、混合物を加熱する段階及び混合物を冷却する段階を経て共融混合物を製造することができる。
【0061】
本発明で「常温」は、人為的に熱を加えたり温度を低めたりしない室温であって、季節及び/又は地域によって変わることができるが、通常、15~40℃、又は20~35℃の温度範囲を意味することができる。
【0062】
各段階別撹拌速度は、互いに相異なっていてもよい。例えば、常温混合段階は、常温で低速で混合することができ、具体的に、5rpm~100rpm、好ましくは、10rpm~80rpm、より好ましくは、25rpm~70rpmの撹拌速度で混合することができる。
【0063】
混合物を加熱する段階は、25~100℃で30分~10時間の間行うことができ、好ましくは、30~95℃で40分~8時間の間、より好ましくは、40~90℃で50分~4時間の間行うことができる。又は混合物を加熱する段階は、化学式1のアルキルアミドアミンの融点より5~20℃高い温度で加熱する段階であってもよい。このような加熱段階で混合物は、液状化又は粘性を有するゲル形態の制剤に変わることができる。
【0064】
前記加熱段階で撹拌速度は、100rpm~800rpm、好ましくは、200rpm~700rpm、より好ましくは、300rpm~600rpmであってもよい。
【0065】
前記加熱段階以後、冷却段階を経ることができる。冷却段階は、常温に冷却する段階であってもよく、加熱した混合物の温度を低めるために進行され、このとき、脱泡工程の容易性のために低速撹拌を行うことができる。ここで、撹拌速度は、5rpm~100rpm、好ましくは、10rpm~80rpm、より好ましくは、25rpm~70rpmであってもよい。
【0066】
また、本発明は、前記共融混合物の製造段階;及び共融混合物を含む洗浄用組成物を製造する段階;を含む洗浄用組成物の製造方法を提供することができる。
【0067】
洗浄用組成物を製造する段階は、洗浄用剤形を製造するための成分と混合する段階を含むことができる。前記成分は、洗浄用剤形に通常添加される成分であれば、制限されない。
【0068】
洗浄用組成物を製造する段階で、共融混合物をクレンジング剤形に添加することができる。クレンジング剤形は、通常的に知られている洗浄用成分を含む剤形であれば、制限されない。また、共融混合物をクレンジング剤形に添加して200~800rpm、好ましくは、400~800rpmの撹拌速度で5分~1時間、好ましくは、5分~30分間撹拌してもよい。
【0069】
洗浄用組成物がワックス及びオイルのうち1種以上を含む場合、共融混合物を製造した後にワックス及びオイルのうち1種以上を追加して洗浄用組成物を製造することができる。その外、アルキルアミドアミン及びサリチル酸を混合する段階、冷却する段階及び洗浄用組成物を製造する段階の内容は、上述した内容と同一に適用できる。
【0070】
前記製造方法において、化学式1のアルキルアミドアミン、サリチル酸、共融混合物、ワックス、オイル、洗浄用組成物の内容は、上述した内容をそのまま適用できる。
【0071】
以下、本発明を下記実験例により詳しく説明する。ただし、下記実験例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実験例によって制限されるものではない。また、これら実験例は、本発明に対する理解を助けるためのものであって、どのような意味であっても本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0072】
<実施例>
【0073】
実験例1.アルキルアミドアミンとサリチル酸の結晶形成有無の確認
【0074】
下記のように多様なアルキルアミドアミンとサリチル酸で共融混合物を製造し、-24℃で冷凍した後に常温条件(F/T)で、そして25℃及び50℃で1日間保管した後、2時間以上常温に露出させて結晶形成有無を確認した。結晶形成有無は、肉眼で粒子形成及び偏光顕微鏡を用いて微細結晶粒子が形成されるかを確認し、その結果を表1及び
図1及び2に示した。
【0075】
<比較例1及び2の製造>
【0076】
容器にサリチル酸及び表1による該当混合原料を該当モル%で混合した後、混合原料の融点(MP)より約10℃高く加熱して溶融するまで待った。溶融された混合物をオーバーヘッドスターラー(IKA)を用いて約400RPMで15分間撹拌した後、常温に冷却した。
【0077】
<比較例3の製造>
【0078】
容器にサリチル酸及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを表1によるモル%で混合した後、混合原料を約70℃で加熱した。その後、オーバーヘッドスターラー(IKA)を用いて約400RPMで15分間撹拌した後、常温に冷却した。
【0079】
<実施例1~4の製造>
【0080】
容器にサリチル酸及び表1によるアルキルアミドアミンを表1によるモル%に混合した後、混合原料の融点(MP)より約10℃高く加熱して溶融するまで待った。溶融された混合物をオーバーヘッドスターラー(IKA)を用いて約400RPMで15分間撹拌した後、常温に冷却した。
【0081】
【0082】
前記表1と
図1及び2に示したように、比較例1~3は、加熱混合後に冷却過程でサリチル酸の結晶化が進行されたが、実施例1~4は、加熱混合後に冷却するとき、サリチル酸の結晶化が進行されず、全ての温度条件で安定性を示した。
【0083】
実験例2.アルキルアミドアミンとサリチル酸のモル割合による結晶形成有無の確認
【0084】
下記実施例5~8のように、アルキルアミドアミンとサリチル酸の混合比を相異するようにして共融混合物を製造し、-24℃で冷凍した後に常温条件(F/T)で、そして25℃及び50℃で1日間保管した後、2時間以上常温に露出させて結晶形成有無を確認した。結晶形成有無は、肉眼で粒子形成及び偏光顕微鏡を用いて微細結晶粒子が形成されるかを確認した。
【0085】
<実施例5~8の製造>
【0086】
容器にサリチル酸及びステアラミドプロピルジメチルアミンを表2によるモル%で混合した後、ステアラミドプロピルジメチルアミンの融点より約10℃高く加熱して溶融するまで待った。溶融されると、オーバーヘッドスターラー(IKA)を用いて約400RPMで15分間混合した後、常温に冷却して実施例5~8の混合物を製造した。
【0087】
【0088】
実験結果、実施例5は、共融混合物の製造直後、サリチル酸の結晶化が多少進行され、実施例8の場合、再結晶化はされなかったが、共融混合物の特徴である常温液状特徴が示されず固体化されることを確認することができる。一方、実施例6及び7の場合、実施例4と同一に多様な条件で安定性を示した。
【0089】
一方、
図3には、前記実験例1で製造した比較例1及び2と実験例2で製造した実施例6の結晶化有無を肉眼で確認したイメージを示した。
図3の比較例1及び2は、製造過程のうち加熱混合した後に冷却する過程でサリチル酸の結晶化が進行されることが確認できるが、実施例6は、加熱混合後に冷却してもサリチル酸の結晶化が進行されないことが確認できる。
【0090】
実験例3.共融混合物の有無によるサリチル酸の吸着量評価
【0091】
本実験では、サリチル酸及びアルキルアミドアミンの共融混合物である場合、サリチル酸の吸着量の増減有無を評価するために、ブタ皮膚表面に各剤形を塗布した後、洗浄した後に残っているサリチル酸の皮膚透過度を測定してその効果を評価した。
【0092】
<比較例4及び実施例9~12の製造>
【0093】
前記製造された実施例1~4の共融混合物とクレンジングフォーム剤形を混合容器に入れ、常温でオーバーヘッドスターラーを用いて600RPMで約30分間混合して実施例9~12のクレンジング組成物を製造した。
【0094】
比較例4としては、前記と同一な方式で2重量%のサリチル酸を含むクレンジング組成物を製造し、これによって製造された比較例4及び実施例9~12の組成物の組成を下記表3に示した。
【0095】
<比較例4及び実施例9~12のサリチル酸の透過量確認>
【0096】
滅菌処理されたブタ皮膚(厚さ:1.7~2.0mm、2X2cm2)をFranz cell(Labfine社FCDV-15)のDonor chamberとReceptor chamberの間に位置させ、Receptor chamber内にPBS溶液とエタノールの1:1混合溶液5mlを入れた。
【0097】
評価方法は、濡れた皮膚を模写するために、該当ブタ皮膚の上に20μL水を塗布した後、比較例4及び実施例9~12のクレンジング剤形((株)LG生活健康のベルマンマイクロバイオームカプセルクレンジングフォーム)40μLを塗布した。その後、30秒間ポリエチレン素材のステッキで30回ローリングした後、30秒間常温で維持させた。その後、流速が約1L/minである水で30秒間該当表面を洗浄した後、30分間37.5℃相対湿度50%である恒温恒湿チャンバに入れて透過を進行させた。その後、ブタ皮膚及びReceptor chamber内に残っているサリチル酸の含量を測定した。ここで、サリチル酸は、蛍光スペクトラム測定(Ex:300nm、測定区間:340~510nm)を通じて濃度を求め、400nmで測定された蛍光強度を用いてCalibration Curve作成した後、該当濃度を求め、濃度と抽出溶媒の体積を用いてサリチル酸の透過量を測定した。
【0098】
【0099】
前記表3に示したように、サリチル酸のみ含む比較例4よりサリチル酸及びアルキルアミドアミンの共融混合物を含む実施例9~12のクレンジング組成物が洗浄後に最小1.8倍から2.38倍以上サリチル酸を透過させ得ることを確認した。
【0100】
実験例4.ワックス及びオイルの添加によるサリチル酸の吸着量評価
【0101】
本実験では、サリチル酸及びアルキルアミドアミンの共融混合物にワックス及びオイルのうち1種以上を添加する場合、サリチル酸の吸着量の増減有無を評価するために、ブタ皮膚表面に各剤形を塗布した後、洗浄した後に残っているサリチル酸の皮膚透過度を測定し、その効果を評価した。
【0102】
<実施例13~18の製造>
【0103】
容器にサリチル酸及びステアラミドプロピルジメチルアミンをそれぞれ2質量%で混合した後、約80~90℃に加熱して溶融するまで待った。溶融された混合物をオーバーヘッドスターラー(IKA)を用いて約400RPMで15分間混合した後、95℃で前記表4の組成によるワックス及びオイルのうち1種以上を添加した。約600RPMで15分間混合した後、常温に冷却した。
【0104】
<実施例13~18のクレンジングフォーム制剤の製造>
【0105】
前記<実施例13~18の製造>で製造された各実施例の製剤6.67重量%をクレンジングフォーム剤形93.33重量%に添加した後、常温でオーバーヘッドスターラーを用いて600RPMで約30分間混合した。
【0106】
<皮膚透過度の評価>
【0107】
Franz Cellを用いて皮膚吸着量の測定を進行した。使用されたFranz cellは、Labfine社のFCDV-15を用い、滅菌処理されたブタ皮膚(厚さ:1.7~2.0mm、2X2cm2)を用い、Donor chamberとReceptor chamberの間に位置させ、Receptor chamber内にPBS SolutionとEthanolの1:1混合溶液5mlを入れた。
【0108】
評価方法は、濡れた皮膚を模写するために、該当ブタ皮膚の上に20μLの水を塗布した後、前記製造された実施例13~18のクレンジングフォーム製剤((株)LG生活健康のベルマンマイクロバイオームカプセルクレンジングフォーム)40μLを塗布した。その後、30秒間ポリエチレン素材のステッキで30回ローリングした後、30秒間常温に維持させた。その後、流速が約1L/minである水で30秒間該当表面を洗浄した後、30分間37.5℃相対湿度50%である恒温恒湿チャンバに入れて透過を進行させた。その後、ブタ皮膚及びReceptor chamber内の残っているサリチル酸の含量を測定した。サリチル酸は、Fluorescence Spectrum測定(Ex:300nm、測定区間:340~510nm)を通じて濃度を求め、400nmで測定された蛍光強度を用いてCalibration Curveを作成した後に該当濃度を求め、濃度と抽出溶媒の体積を用いてサリチル酸の透過量を測定した。その結果を表4に示した。
【0109】
【0110】
評価結果、ワックスを添加した実施例13~17がワックスを添加しない実施例10に比べてサリチル酸の透過度が1.11倍~3.08倍程度増加した。また、ワックスに追加でオイルを添加した実施例18の場合、実施例10に比べてサリチル酸の透過度が4.7倍程度増加し、ワックス及びオイルを全て添加した実施例18がワックスのみ添加した実施例13~17より透過度がさらに高いことも確認した。
【0111】
実験例5.ターンオーバー促進効果の確認
【0112】
サリチル酸とアルキルアミドアミンの共融混合物を含む実施例10及びこのような共融混合物とワックス及びオイルを含む実施例18を用いて実使用条件でターンオーバー促進効果を評価した。比較群として無塗布剤形及びサリチル酸2重量%を含む剤形である比較例4を使用した。
【0113】
ヘンナで染色した部位(直径2cm円形部位)に各剤形をシャワー時に塗布し、週2回色差計で明るさ変化を測定した(参加人員5人、3週間評価)。このとき、各時点別に評価したL値は、次のような式により日平均剥離率で計算した。
【0114】
【0115】
Lmax:着色直後L値、Ld:日付別L値、L0:初期L値
【0116】
評価結果は、
図4及び5に示し、実使用条件でもターンオーバー促進効果が共融混合物を含む剤形である実施例10が比較例4に比べて高く確認され、共融混合物にワックス及びオイルを全て含む実施例18が最も高く示された。
【外国語明細書】