(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153108
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ホップ及び陳皮の混合抽出物を有効成分として含む女性の更年期障害の改善用の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20231010BHJP
A61P 15/12 20060101ALI20231010BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20231010BHJP
A61K 36/488 20060101ALI20231010BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231010BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20231010BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20231010BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61K36/185
A61P15/12
A61K36/752
A61K36/488
A61P9/00
A61P19/00
A61K31/7048
A61K31/353
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060843
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041720
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ドン-ジュン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ミ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ホン-グ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ソン・チョ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086EA11
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZC75
4C088AB12
4C088AB59
4C088AB62
4C088AC03
4C088AC04
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA07
4C088MA08
4C088NA05
4C088ZA36
4C088ZA81
4C088ZA96
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明は、女性の更年期症状を治療、予防または改善するための新規な組成物を提供する。また、本発明は、女性の更年期症状を治療、予防または改善するための混合抽出物の新規な用途を提供する。
【解決手段】本発明は、ホップ及び陳皮の混合抽出物を有効成分として含む女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物に関する。本発明の組成物は、女性の更年期症状の改善効果、特に、心血管系疾患及び/又は骨多孔症の改善、予防、または治療効果が抜群である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップ及び陳皮の混合抽出物を有効成分として含む女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項2】
前記混合抽出物は、葛花の抽出物をさらに含む、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項3】
前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び陳皮抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものである、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項4】
前記混合抽出物のホップ、陳皮、及び葛花の含量比は、1:0.1~10:0.1~10の重量比である、請求項2に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、組成物の全重量に基づいて、5~20重量%のホップ抽出物を含み、組成物の全重量に基づいて、5~20重量%の陳皮抽出物を含む、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項6】
前記女性の更年期症状は、更年期性心血管系疾患、または骨多孔症を含む、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、8-プレニルナリンゲニン及びヘスペリジンを含み、前記組成物は、0.1~8mg/gの8-プレニルナリンゲニンを含み、80~170mg/gのヘスペリジンを含む、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、エストロゲン受容体βの活性、骨芽細胞の分化促進効能、骨成分の生成促進効能、コレステロール合成酵素の活性抑制効能、及び酸化窒素の生成促進効能を有する、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の更年期障害の改善用の組成物に関し、さらに詳しくは、様々な女性の更年期障害の症状を改善することのできる植物の混合抽出物(混合エキス)を含む組成物、前記抽出物の用途、前記混合抽出物の女性の更年期障害の改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
更年期とは、女性の生殖機能が次第に減少して消えていく過程を意味する。女性は、閉経を迎えることにつれて、女性ホルモンの分泌の不釣り合い及び減少が起こることから、血管系、筋骨格系、泌尿生殖器系及び脳神経など身体の全般にわたって変化が起こる。すなわち、血管運動性症状と心理的な症状であるのぼせやほてりなどのいわゆるホットフラッシュ、夜間発汗、睡眠障害、疲労感、憂うつ症、イライラや不安感、集中力障害、並びに記憶障害と泌尿生殖系の委縮による性交痛、頻尿、コラーゲンの減少による皮膚の弾力の消失、乳房の垂れ、並びに認知症などの多種多様な疾患などが伴われる。更年期症状は、個人ごとに違いがあるものの、更年期症状を多く経験すれば経験するほど、度合いが激しくなれば激しくなるほど、しかも、期間が長引けば長引くほど、女性のライフの質が低下することが報告されているのみならず、更年期症状は、身体的な老化とともに、症状が進んで慢性疾患に至る可能性が高い。
【0003】
また、更年期には、冷や汗、疲労感、神経敏感症、頭痛、睡眠障害(不眠症、朝早起き)、不眠症、イライラや不安感、冷痰、意欲の低下、気分の落ち込み、憂うつ症、筋肉関節痛、めまいなどの症状が現れることがある。このような症状の中で、特に、憂うつ症及びイライラや不安感は、現代人が経験する最も頻繁でありながらも、ライフの質に最も大きな影響を及ぼす症状であって、更年期の時期にこのような憂うつ症及びイライラや不安感を上手く管理することが重要である。なお、エストロゲンの血中脂質に関する効果、すなわち、コレステロールの含量の調節に問題が起きて血栓栓塞症と高血圧が生じることが報告されており、酷い場合には動脈硬化性心血管疾患も引き起こす可能性がある。
【0004】
更年期には、エストロゲンのレベルが減少することになるが、これは、骨多孔症の発症のリスクを増加させる要因の一つである。エストロゲンは、骨を形成する細胞を促進し、骨密度を保持する役割を果たす。しかしながら、更年期によってエストロゲンのレベルが減少すれば、骨組織を保持するための神経成長因子の分泌量が減ってしまい、これにより、骨の組織強度が弱くなって骨多孔症のリスクが高まってしまう。なお、更年期中には体重の増加、身体活動の減少などといった要因により骨密度の減少がどんどん促される虞がある。
【0005】
次第にライフの質が高くなるにつれて、更年期時に発症する症状を管理し、健やかな更年期を送りたいという欲求が高まりつつある。既存の医薬品において多用されるホルモン製剤は、即刻的な効果は認められるものの、副作用があることから、女性の更年期症状の改善効能がある天然素材への関心が高まりつつあり、様々な生物種の新たな生理学的機能についての研究を進める必要性が益々高まりつつある。これに関し、多種多様な先行研究が行われているが、人間が安全に摂取可能な成分を有効成分として含み、更年期時期のライフの質を高められる女性の更年期症状の改善のための天然素材に関する研究は未だ十分に行われていないのが現状である。
【0006】
更年期症状の治療には、ホルモン療法、薬物療法、運動療法、食事療法が適用可能であるが、医学的に広く利用されている女性ホルモン治療は、乳房がんなどのリスクを高める虞があり、長期にわたって使用するときには、子宮がん、血栓血管疾患、胆嚢疾患、高血圧の割合を増加させる虞がある。このため、近頃には、エストロゲン療法とその他の薬物療法などの代替のためにエストロゲンと類似の機能をすると報告されているフィトエストロゲン(phytoestrogen)に関する研究が盛んに行われている。
【0007】
更年期症状の改善効果があると言われている成分は、更年期症状のうちの1つの症状(例えば、のぼせやほてりなどのいわゆるホットフラッシュ、骨多孔症など)のみにしか効かない場合が多い。しかしながら、更年期症状は、1種類の症状しか発現することはほとんどないため、様々な更年期症状に対して複合的な効果を示すことが重要である。
【0008】
一方、ホップの機能成分として知られている8-プレニルナリンゲニンは、更年期障害のホルモン補充療法に用いられている。しかしながら、動物に高容量にて投与する場合、子宮の重さの増加、ホルモンの異常変化が観察され、したがって、ホップを過剰に用いることは副作用の懸念があることが知られている。
【0009】
したがって、更年期の治療、改善効果がありながらも、副作用が少なく、しかも、安全に体内に投与可能な方案について多種多様な研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような問題を解決するために、本発明は、女性の更年期症状を治療、予防または改善するための新規な組成物を提供することを目的としている。また、本発明は、女性の更年期症状を治療、予防または改善するための混合抽出物の新規な用途を提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ある一つの実施形態は、ホップ及び陳皮の混合抽出物を有効成分として含む女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物を提供する。
前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び陳皮抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合して提供し得る。
【0012】
他の実施形態は、前記組成物に葛花の抽出物をさらに含み得る。
前記混合抽出物のホップ、陳皮、及び葛花の含量比は、1:0.1~10:0.1~10の重量比を有し得る。
【0013】
前記組成物は、組成物の全重量に基づいて、0.005~30重量%のホップ抽出物を含み得、好ましくは、0.01~28重量%、0.05~25重量%、0.1~23重量%、0.5~22重量%、1~21重量%、5~20重量%のホップ抽出物を含み得る。前記組成物は、組成物の全重量に基づいて、0.005~30重量%の陳皮抽出物を含み得、好ましくは、0.01~28重量%、0.05~25重量%、0.1~23重量%、0.5~22重量%、1~21重量%、5~20重量%の陳皮抽出物を含み得る。上記の含量の範囲を有するとき、本発明の目的を成し遂げる上で有利になる。
【0014】
前記女性の更年期症状は、更年期性心血管系疾患、または骨多孔症を含み得る。前記組成物は、薬学組成物、食品組成物、好ましくは、健康機能食品組成物として提供され得る。
【0015】
前記組成物は、8-プレニルナリンゲニン及びヘスペリジンを含み、前記組成物は、0.1~8mg/gの8-プレニルナリンゲニンを含み、80~170mg/gのヘスペリジンを含み得る。
【0016】
前記組成物は、エストロゲン受容体β活性、骨芽細胞の分化促進効能、骨成分の生成促進効能、コレステロール合成酵素の活性抑制効能、及び酸化窒素の生成促進効能を有する女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物として提供され得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る混合抽出物を含む組成物は、女性の更年期症状の改善効果がある。特に、女性の更年期症状のうち、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の予防または改善に効果があることから、従来更年期症状の予防または改善に用いられていたホルモン補充療法(Hormone replacement therapy;HRT)に用いて好適である。
【0018】
また、本発明に係る混合抽出物を含む組成物は、女性の更年期症状に対する従来の治療剤とは異なり、食品として使える程度に副作用が少なく、しかも、安全であることから、女性の更年期症状のうち、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の治療剤としての活用度が高い。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態は、ホップ及び陳皮の混合抽出物を有効成分として含む女性の更年期症状の治療、予防、または改善用の組成物を提供する。本発明の他の実施形態は、前記女性の更年期症状の治療、予防、または改善のための前記混合抽出物、または組成物の使用を提供する。さらに他の実施形態は、ホップ抽出物及び陳皮抽出物の混合抽出物をこれを必要とする個体に有効量投与する女性の更年期症状の治療、予防、または改善方法を提供する。
【0020】
本発明の発明者らは、更年期症状の改善効果があると知られているホップ抽出物を単独にて用いるときよりも、ホップを少なく用いつつも、優れた更年期症状の改善効果を奏し得る混合抽出物について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。特に、ホップ抽出物の単独使用に比べて、陳皮を併用したときに優れた更年期症状の改善効果を奏することができ、具体的に、骨生成の促進、血中脂質の改善効果を奏することができる。特に、前記組成物は、更年期性心血管系疾患及び/又は骨多孔症の改善効果を奏することができる。また、ホップと陳皮の混合抽出物、及び/又はホップ、陳皮及び葛花(好ましくは、粉葛花)の混合抽出物は、ホップの単独使用時や、症状の改善のために多くの量のホップを用いるときに生じ得る子宮肥大症状などを避けることができる。さらに、少ない量のホップを用いて嗜好度を向上させることができる。
【0021】
他の実施形態において、前記組成物は、他の植物抽出物をさらに含み得、好ましくは、葛花、及び/又は白首烏抽出物をさらに含み得る。さらに他の実施形態は、前記混合抽出物は、粉葛花及び/又は白首烏をさらに含む抽出物であり得る。
【0022】
この開示における前記ホップ及び陳皮の混合抽出物は、ホップ及び陳皮を一緒に適用したときに女性の更年期症状の改善効果がより一層抜群であり、副作用が少なく現れることが可能である。特に、エストロゲン受容体βの活性に優れており、心血管系疾患の減少効果、骨多孔症の改善効果を発揮することができる。のみならず、本発明の混合抽出物は、葛花及び/又は白首烏をさらに含んで、前記効果をさらに向上させることができる。
【0023】
ホップ(Hops)(学名:Humuluslupulus)は、ヨーロッパ、オーストラリア及び北米等の地域において自生するつる性のつる植物であって、ホップ抽出物に存在する色々な化合物は、抗がん、抗酸化、美白など様々な生理活性を示すことが知られている。好ましくは、本発明の混合抽出物は、ホップの旬、花、つぼみまたは実から得た抽出物を含み得、より好ましくは、ホップの花またはつぼみから得た抽出物を含み得る。ホップ抽出物は、8-プレニルナリンゲニン(8-prenylnaringenin)をはじめとするイソキサントフモール(isoxanthohumol)などの化合物が有効成分として知られている。但し、前記ホップは、動物安全性試験において過剰に摂取するときにネズミの子宮の重さが増加して、服用量に限界があるという問題があり、官能上特有の異臭が強く、渋い味(渋み)が非常に強いと言われている。
【0024】
陳皮は、ウンシュウミカン(Citrus unshiu Markovich)または同属の近縁植物、ポンカン(Citrus reticulata Blanco)及びその栽培変種の成熟した果実の果皮を意味する。
【0025】
葛花は、クズの花を意味し、好ましくは、粉葛(Pueraria thomsonii)の花を意味する。
白首烏は、白何首烏とも呼ばれ、コイケマ(Cynanchum wilfordii)の塊根を意味すると知られている。
【0026】
本発明者らは、ホップ及び陳皮の混合抽出物が優れたエストロゲン受容体βの活性促進能、コレステロールの合成の抑制、血管の弛緩のためのNOの生成の増加、骨芽細胞の分化の促進効果、骨組織成分の生成の増加効果を示して女性の更年期症状、中でも、更年期性心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の改善、予防、及び/又は治療効果を示すことができるという知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0027】
本発明において、「更年期症状」とは、卵巣の老化などによりエストロゲンの分泌が減少することにつれて、閉経を前後に女性に現れる症状及び疾患をまとめて称する。「更年期症候群」または「閉経期症状」とも呼ばれる。更年期または閉経期の症状は、例えば、のぼせやほてりなどのいわゆるホットフラッシュ、発汗、神経質、睡眠障害などといったようにライフの質を低下させる症状から深刻な副作用を招き得る心血管系疾患、骨多孔症などといったような症状までをまとめて呼び得る。特に、この開示における混合抽出物は、心血管系疾患、骨多孔症などといったような症状の改善に有利に作用可能である。
【0028】
この開示において使われた用語「更年期性心血管系疾患」とは、女性の卵巣機能の低下による生体内の循環系の異常、機能障害、損傷などの様々な原因により発病する直接的な疾患のみならず、このような直接的な疾患により派生される2次的な疾患を網羅するものと理解されたい。このような更年期性心血管系疾患は、高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、腦卒中、不整脈などを含み得るが、これらに何ら制限されるものではない。
【0029】
本発明において、骨多孔症とは、骨の強度が弱くなって骨折が起こる可能性が高い状態を意味するものであって、遺伝的な要因、早期閉経、薬剤または喫煙などが原因となる。女性の閉経などによってホルモン生産の減少により更年期の骨多孔症が発症することがある。更年期の骨多孔症とは、閉経期の女性に見られる、ホルモン生産の減少によって骨の形成に与る骨芽細胞と組織の破壊と吸収に与る破骨細胞との不釣り合いにより発症する骨多孔症状を意味する。
【0030】
本発明において、「予防」とは、本発明の混合抽出物及び/又は組成物を投与して目的とする症状を抑制または遅延させるあらゆる行為を意味する。
本発明において、「治療」とは、本発明の混合抽出物及び/又は組成物を投与して、目的とする症状または疾病を好転させたり消去させたりするあらゆる行為を意味する。
本発明において、「改善」とは、本発明の混合抽出物及び/又は組成物を投与して、目的とする症状や症勢を投与前よりも好転または有利に変更するあらゆる行為を意味する。
【0031】
本発明の組成物に含まれる抽出物の含量は、有効量として含まれ得る。上記の用語「有効量」は、更年期症状、特に、心血管系疾患、及び/又は女性の骨多孔症を抑制または遅延させたり、既に現れた症状を好転させたりできる抽出物の量を意味する。
【0032】
この開示における「混合抽出物」は、2種以上の植物抽出物の混合物を意味するものであって、2種、3種、または4種以上の植物抽出物の混合物を含み得る。前記混合抽出物は、2種以上の植物抽出物を抽出物の状態で混合してもよいし、2種以上の植物を混合した後に抽出してもよい。
前記混合抽出物は、摂取可能な様々な形態で提供可能であり、好ましくは、乾燥粉末として提供可能である。
【0033】
前記組成物に含まれる混合抽出物の含量は、特に制限されず、更年期症状または心血管系疾患、及び/又は骨多孔症を予防、改善または治療できるものであれば、様々な重量%にて含まれ得る。例えば、全体の組成物に対して、ホップ及び陳皮の混合抽出物、またはホップ、陳皮、及び粉葛花の混合抽出物は、0.01~65重量%、0.1~60重量%、1~55重量%、10~52重量%、15~51重量%、20~50重量%含まれ得る。
【0034】
他の態様において、前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び陳皮抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものを含み、好ましくは、1:0.15~8重量比、より好ましくは、1:0.5~5重量比にて、さらに好ましくは、1:1~3の重量比にて混合したものを含み得る。さらに他の実施形態において、前記混合抽出物は、ホップ抽出物、陳皮抽出物、及び葛花抽出物を1:0.1~10:0.1~10の重量比にて混合したものを含み、好ましくは、1:0.15~8:0.15~8重量比、より好ましくは、1:0.5~5:0.5~5重量比にて、さらに好ましくは、1:1~3:1~3の重量比にて混合したものを含み得る。上記の含量の範囲において混合したとき、本発明の心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の改善効果が抜群になる。なお、摂取の際に現れ得るホップの渋い味を減少させ、嗜好度を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の一実施形態に従い、前記抽出物は、組成物1gに対して、1mg~1000mgにて含み得、好ましくは、5mg~500mgにて含み得る。本発明に記載のすべての成分は、好ましくは、韓国、中国、米国、ヨーロッパ、日本国などの関連法規、規範(例えば、化粧品安全基準などに関する定め(韓国)、化粧品安全技術規範(中国)、食品公典(韓国)、食品添加物公典(韓国)、健康機能食品公典(韓国)、衛生規範(中国))などにおいて定めた最大の使用値を超えない。すなわち、好ましくは、本発明に係る化粧料、食品、またはパーソナルケア用の組成物は、各国の関連法規、規範において許容される含量の限度にて本発明に係る成分を含む。
【0036】
本発明において、「抽出物」は、植物体などを抽出溶媒にて抽出したり、抽出溶媒にて抽出したりして製造した抽出物に分画溶媒を加えて分画して製造することができる。前記抽出物は、熱水抽出、蒸留抽出、溶媒抽出、圧着抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出、超音波抽出、電気分解抽出、または超臨界抽出などの多種多様な方法を用いて抽出されたものであり得、前記抽出方法を2種以上用いて抽出され得る。この開示における混合抽出物を分画した分画物も本発明の範囲に含まれ得る。
【0037】
抽出物または分画物は、前記抽出物の希釈や濃縮、前記抽出物を乾燥させて得られる乾燥物、前記抽出物の粗精製物や精製物またはこれらの混合物など抽出物それ自体と抽出物を用いて形成可能なあらゆる剤形の抽出物を含む。具体的に、本発明の抽出物は、抽出後に乾燥粉末の形状に製造されて使用可能である。また、抽出または分画の過程を行った後、減圧ろ過の過程を行ったり、さらに濃縮及び/又は凍結乾燥を行ったりして濃縮したり溶媒を取り除いたりし得る。前記得た抽出物は、使用に供されるまで急速冷凍冷蔵庫(deep freezer)に保管可能である。
【0038】
前記抽出溶媒の種類は、特に制限されるものではなく、本発明の目的とする効果を有する抽出物が得られる限り、当該技術分野において公知の任意の溶媒が使用可能である。具体的に、水及び有機溶媒からなる群から選択されたいずれか1種以上であり得る。前記有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどの炭素数1~5のアルコール、エチルアセテート、アセトン及びクロロホルムからなる群から選択されたいずれか一種以上の溶媒が使用可能である。好ましくは、水、エタノール、またはこれらの混合物が使用可能である。好ましくは、前記エタノールとしては、35%~95%のエタノールが使用可能であり、さらに好ましくは、60~90%のエタノールが使用可能である。
【0039】
また、本明細書中において使われる用語「抽出物」は、上述したように、当業界において粗抽出物(crude extract)として通用される意味を有するものの、広義的には、抽出物をさらに分画(fractionation)した分画物も含む。すなわち、原物を搾汁して、または上述した抽出溶媒を用いて得た抽出物のみならず、ここに精製の過程をさらに適用して得たものも含む。例えば、前記抽出物を一定の分子量カット-オフ値を有する限外ろ過膜に通させて得た分画、多種多様なクロマトグラフィー(大きさ、電荷、疎水性または親和性に応じた分離のために作製されたもの)による分離など、さらに実施された多種多様な精製方法を用いて得られた分画も本発明の抽出物に含まれるものである。
【0040】
さらに、本発明の混合抽出物は、以降に追加の過程、例えば、ろ過したり濃縮または乾燥の過程を行ったりして溶媒を取り除いたもの、またはろ過、濃縮及び乾燥をいずれも行ったものであり得る。ろ過は、例えば、ろ紙を用いて行ってもよいし、減圧ろ過器を用いて行ってもよい。濃縮は、減圧濃縮器を用いて行ってもよいし、乾燥は、噴霧乾燥したり凍結乾燥法などを行ったりして粉末の状態の混合抽出物を得てもよい。
【0041】
本発明の混合抽出物において、ホップ抽出物は、ホップを超臨界抽出した後、エタノール溶媒を用いて抽出して粉末化して得られ、陳皮抽出物は、陳皮を熱水抽出した後、粉末化して得られる。例えば、ホップ抽出物は、二酸化炭素を用いて超臨界抽出した後、50~80%のエタノールを用いて溶媒抽出して得られ、他の例として、ホップ抽出物は、Naturex(フランス)から購入して使用し得る。好ましくは、本発明の一実施形態に係る混合抽出物を得る方法において、ホップ抽出物内の8-プレニルナリンゲニン(8-prenylnaringenin)が抽出物1gあたりに0.1~8mg、好ましくは、0.5~5mg、さらに好ましくは、1~4mg含まれ得る限り、抽出方法は特に制限されない。また、陳皮抽出物内のヘスペリジン(Hesperidin)が抽出物1gあたりに80~170mg、好ましくは、85~160mg、さらに好ましくは、90~150mg含まれ得る限り、抽出方法は特に制限されない。上記の抽出方法を用いて抽出するとき、混合抽出物が優れた更年期症状の改善効果、特に、骨多孔症及び/又は心血管系疾患の治療効果を示すことができる。
【0042】
具体的な実施形態において、前記混合抽出物を用いて更年期症状の改善の度合いを確認したところ、前記混合抽出物により処理された細胞においてエストロゲン受容体の活性度が向上し、人体への適用試験においてこの開示における混合抽出物を摂取した実験群の更年期症状が改善されるということを確認した。
【0043】
他の実施形態において、前記分画溶媒は、水、ブタノール、エチルアセテート、クロロホルム、ヘキサンまたはこれらの混合物であり得る。前記分画物は、前記抽出法を用いて製造した抽出物、具体的に、粗抽出液に分画の過程をさらに実施した分画物であり得る。前記分画溶媒は、エチルアセテート、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン、メチレンクロリド及びこれらの混合溶媒からなる群から選択された溶媒であり得、好ましくは、ヘキサンであり得る。前記分画の過程は、具体的に、前記粗抽出液にヘキサン、クロロホルム、エチルアセテート、ブタノール及び水をこの順に加えた後に、層分離を行ったヘキサン分画物、クロロホルム分画物、エチルアセテート分画物、ブタノール分画物及び水分画物を順次に得る方法により行い得る。
【0044】
本発明において、抽出物または混合抽出物の製造方法は、特に制限されるものではなく、当該技術分野において通常的に用いる方法に従い抽出することができる。前記抽出方法の非制限的な例としては、熱水抽出法、超音波抽出法、ろ過法、還流抽出法などが挙げられ、これらを単独にて行ってもよいし、2種以上の方法を組み合わせて行ってもよい。なお、高純度の抽出物を得るために、抽出液を同様の方法を用いて1回以上ずつさらに抽出し得る。
【0045】
本発明は、前記混合抽出物を有効成分として含む、女性の更年期症状の予防または改善用の組成物を提供することができる。好ましくは、前記組成物は、化粧品、医薬品、食品または医薬外品の形態で提供され得る。特に好ましくは、健康機能食品、または医薬品として提供され得る。
【0046】
本発明に係る薬学的組成物は、薬学的に有効な量の混合抽出物を単独にて含んだり、一種以上の薬学的に許容可能な担体または添加剤をさらに含んだりし得る。前記「薬学的に許容可能な」とは、生理的に許容され、ヒトに投与されるときに、活性成分の作用を阻害せず、通常、胃腸障害、めまいなどのようなアレルギー反応またはこれと類似の反応を引き起こさない非毒性の組成物のことをいう。本発明に使用可能な前記担体の種類は、特に制限されるものではなく、当該技術分野において通常的に用いられ、薬学的に許容される担体であれば、いずれも使用可能である。前記担体の非制限的な例としては、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。これらは、単独にて用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。前記添加剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などが含まれ得る。なお、前記薬学的組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤または防腐剤などをさらに含み得る。
【0047】
前記「薬学的に有効な量」とは、陰性対照に比べてそれ以上の反応を示す量のことをいい、好ましくは、更年期障害の予防、改善及び/又は治療の効果を示すのに十分な量のことをいう。
【0048】
また、本発明の薬学的組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、遅速または遅延放出を提供できるように当業界における公知の方法を用いて剤形化され得る。剤形は、粉末、顆粒、錠剤、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、軟質もしくは硬質のゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末の形態であり得る。
【0049】
本発明の薬学的組成物の投与経路としては、これらに何ら限定されるものではないが、経口的もしくは非経口的な投与経路が挙げられる。非経口的な投与経路には、例えば、経皮、鼻腔、腹腔、筋肉、皮下または静脈などの色々な経路が含まれ得る。
【0050】
さらに、本発明の薬学的組成物は、更年期障害の予防、改善及び/又は治療効果を有する公知の化合物と並行して投与可能である。
【0051】
さらに他の態様として、本発明は、食品組成物を提供する。
本発明の食品組成物は、食品、機能性食品(functional food)、栄養補助食品(nutritional supplement)、健康食品(health feed)及び食品添加剤(food additives)などのあらゆる天然素材の加工形態を含む。前記類型の食品組成物は、当業界における公知の通常の方法に従って多種多様な形態に製造可能である。例えば、健康食品としては、本発明の組成物それ自体をティー(茶)、ジュース及びドリンクの形態に製造して飲用するようにしたり、顆粒化、カプセル化または粉末化して摂取するようにしたりするものが挙げられる。
【0052】
前記食品の種類は、特に制限されるものではなく、通常の意味での食品を網羅し得る。前記物質を添加し得る食品の非制限的な例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類をはじめとする酪農製品、各種のスープ、飲み物、ティー(茶)、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などが挙げられる。前記組成物を食品添加物として用いる場合、前記組成物をそのまま添加してもよいし、他の食品もしくは食品成分と併用したてもよく、通常の方法に従って適宜に使用され得る。また、本発明の食品組成物は、さらに当業界において食品組成物に一般に含まれ得る他の薬効成分及び/又は添加剤をさらに含み得る。前記食品組成物は、食品学的に許容可能な担体を含み得る。例えば、本発明に係る食品組成物は、水溶性ビタミンとして、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン、アスコルビン酸、ニアシン、及びビタミンB6を含み得、脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸などを含み得、弱酸性成分としては、グリコール酸及び酢酸を含み得、アミノ酸として、トレオニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びリシンの必須アミノ酸8種をはじめとして、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アルギニンなどを含み得る。
【0053】
好ましい本発明の食品組成物は、前記混合抽出物を結晶セルロース、乳糖、海藻粉末、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムなどと混合して得られる。
【0054】
さらに他の態様として、本発明は、前記組成物のうちのいずれか一種の組成物を含む化粧料組成物を提供する。
【0055】
本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、本発明の有効成分の他に、化粧料組成物に通常的に用いられる成分を含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料などといったように、通常の補助剤、並びに担体を含む。
【0056】
本発明に係る化粧料は、当業界において通常的に製造されるいかなる剤形にも製造され得る。例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどに剤形化され得るが、これらに何ら限定されるものではない。
【0057】
より詳細には、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレーまたはパウダーの剤形に製造され得る。
【0058】
本発明の剤形が溶液もしくは乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0059】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールなどの液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラカントなどが使用可能である。
【0060】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として、脂肪族アルコールサルファート、脂肪族アルコールエーテルサルファート、スルホスクシン酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルファート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが使用可能である。
【0061】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、またはポリアミドパウダーが使用可能であり、特に、スプレーである場合には、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどの推進剤を含み得る。
【0062】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使用可能である。
【0063】
さらに他の実施形態の一つとして、本発明の前記混合抽出物、または前記混合抽出物を含む組成物を、女性の更年期症状があるか、あるいは、骨多孔症及び/又は心血管系疾患が発病しているか、あるいは、発病する可能性がある個体に有効量投与するステップを含む女性の更年期症状の予防または治療方法、骨多孔症及び/又は心血管系疾患の予防または治療方法を提供する。本発明において用いられる用語「個体」とは、女性の更年期症状、さらに具体的に、骨多孔症及び/又は更年期性心血管系疾患が発病しているか、あるいは、発病する可能性があるヒトをはじめとするネズミ、ラット、家畜などのあらゆる動物を意味する。具体例として、ヒトを含めた哺乳動物であり得る。本発明の組成物は、固形分を基準として1日当たりに0.0001~100mg/体重(kg)にて、さらに具体的に、0.001~100mg/体重(kg)にて投与し得る。投与は、前記推奨投与量を一日につき一回投与してもよいし、数回にわたって投与してもよい。
【0064】
さらに他の実施形態の一つとして、本発明の前記混合抽出物を更年期症状の改善、治療、予防または緩和のための食品、治療剤を製造するのに用いる、前記混合抽出物を含む組成物の用途を提供する。
【0065】
以下、本発明の理解を深めるため、実施例などを示して本発明についてさらに詳しく説明する。しかし、本発明に係る実施例は色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものであると解釈されてはいけない。本発明の実施例は、本発明が属している分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。本明細書中の%は、特に断りのない限り、重量%を意味するものと理解されたい。
【0066】
<混合抽出物の製造>
1.ホップ抽出物の製造
ホップは、ホップ(Humulus lupulus L)の花を用いて超臨界及びエタノール抽出を行った。次いで、濃縮及びアルカリ化、中和、分離、乾燥の過程を経た後に粉砕した。
8-プレニルナリンゲニンが2~3mg/g含まれているホップ抽出物を製造した。
【0067】
2.陳皮抽出物の製造
陳皮は、ウンシュウミカン(Citrus unshiu S.markov)またはポンカン(Citrus reticulata Blanco)の実の皮を用いて熱水抽出した後、酵素処理を施した。次いで、冷却及びろ過、遠心分離、殺菌の過程を経た後、噴霧乾燥した。
ヘスペリジンが95~143mg/g含まれている陳皮抽出物を製造した。
【0068】
3.粉葛花抽出物の製造
粉葛花は、シナクズ(Pueraria thomsonii Benth)の花を用いて酒精抽出した後、ろ過、濃縮、殺菌の過程を経た後に、噴霧乾燥した。
【0069】
<実験例1.エストロゲン受容体βの活性評価>
Human ERβ Reporter Assay system(Indigo biosciences社製、IB00411-32)を用いて行った。製造社から提示する実験手順に従って実験を行った。各濃度ごとの試料とエストロゲン受容体βが取り込まれている細胞を96ウェルプレートに一緒に分注して24時間処理した後、溶液を取り除き、ルシフェラーゼ探知溶液(キットに同封)100μlを入れ、5分間室温に放置した後、発光度を測定した。発光度は、マイクロプレートリーダー(Biotek社製、Synergy H1MF(商品名)、ルミネセンスモード)にて測定し、測定時間は500msに設定した。結果は、表1の通りである。ホップ抽出物と陳皮抽出物との混合抽出物の処理に際して、さらにまた、粉葛花抽出物をさらに含めて処理するとき、ホップの使用量が減ったにも拘わらず、受容体の活性の促進能が増加した。
【0070】
<実験例2.骨芽細胞の分化促進の効能評価>
骨芽細胞分化の促進効果を確認するために、ヒト骨芽細胞様Saos-2細胞(human osteoblast-like Saos-2 cell)において骨芽細胞分化マーカーであるアルカリホスファターゼ(ALP:Alkaline Phosphatase)の活性を測定した。均一な数のSaos-2細胞を10% FBS(ウシ胎児血清)入りRPMI1640培地を用いて24ウェルプレートにおいて培養した。24時間培養した後、2%の活性炭処理済みFBS含有フェノールレッド不含RPMI1640培地に交換し、各濃度ごとに処理し、3日間さらに培養した。次いで、Alkaline Phosphatase Assay Kit(商標名)(Abcam社製、ab83369)にてALPの活性を測定した。具体的に、細胞培養液を200μl採取した後、1000rpmにて3分間遠心分離して上澄みの培地20μlとpNPP基質(substrate)50μlを96ウェルプレートに入れて30分間反応させた後、405nmにて吸光度を測定した。その結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、さらにまた、粉葛花抽出物をさらに含めて用いたとき、ホップの単独使用に比べて、骨芽細胞への分化の度合いがさらに向上するということが分かる。
【0071】
<実験例3.骨成分(osteocalcin)の生成促進の効能評価>
骨生成の促進効果を確認するために均一な数のSaos-2細胞を10%のFBS入りRPMI1640培地を用いて24ウェルプレートにおいて培養した。24時間培養した後、β-グリセロホスフェート10mM、デキサメタゾン10nM、2%の活性炭処理済みFBS入りフェノールレッド不含RPMI1640培地に交換し、各濃度ごとに試料を処理した後、3日間培養した。次いで、この方法と同様にして培地を交換し、試料を処理した後、4日間さらに培養した。合計で7日間培養した後、細胞培養液を200μl採取した後、1000rpmにて3分間遠心分離して得た上澄みの培地において、Human Osteocalcin DuoSet ELISA(R&D Systems社製、DY1419)を用いて、定められたプロトコール通りにオステオカルシンを定量した。結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、さらにまた、粉葛花抽出物をさらに含めて用いたとき、ホップの単独使用に比べて、骨成分の生成能により一層優れているということが分かる。
【0072】
<実験例4.コレステロール合成酵素HMG-CoA還元酵素の活性抑制評価>
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の活性抑制効能を評価するために、Abcam社製のHMG-CoA reductase activity assay(Abcam社製、AB204701)を用いた。アッセイキットにおいて定められたプロトコール通りにHMG-CoA還元酵素の活性を測定した。結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、さらにまた、粉葛花抽出物をさらに含めて用いたとき、ホップの単独使用に比べて、コレステロール合成酵素の活性がさらに抑えられるということが分かる。このことから、混合抽出物の場合、血中脂質の改善効果に優れているということが分かる。
【0073】
<実験例5.血管弛緩物質である酸化窒素(NO:Nitric Oxide)の生成促進評価>
酸化窒素(NO)は、一種のシグナル伝達物質であって、免疫作用、血管拡張及びシグナル伝達などの多種多様な生理活性に与る。特に、身体の多種多様な活動を引き起こしかつ刺激するが、環状グアノシン一リン酸(cGMP:cyclic guanosine monophosphate)の生成を引き起こして血管を拡張させて血圧を正常レベルの範囲に達するように下げ、臓器に供給される血流の流れを改善する。なお、心血管系において血栓が血管に癒着されることを防いで、腦卒中を予防したり、特に、心筋梗塞などの心臓発作を予防したりするという効果がある。
【0074】
試料のNOの生成促進効能を確認するために、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を適量のウシ胎児血清(FBS:Fetal Bovine Serum)、p/s抗生剤(ペニシリン-ストレプトマイシン)が含有されているEGM-2培地(Lonza社製、CC-3162)において24ウェルプレート(Falcon社製、353047)に1ウェル当たりに1×105個にて接種した後、5% CO2、37℃の条件下で細胞がウェルの底面に約80%以上付着するまで24時間培養した。次いで、各濃度ごとの試料を処理し、24時間さらに培養した。培養が終わった後、グリース試薬(Sigma社製、G4410)を用いて培地中のNOの濃度を測定した。具体的に、培地100μlとグリース試薬100μlとを混ぜ合わせたUV分光光度器(Biotek社製、Synergy H1MF(商品名))を用いて、540nmの波長にて測定した。結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、さらにまた、粉葛花抽出物をさらに含めて用いたとき、ホップの単独使用に比べて、NOの生成が増加するということが分かる。このことから、混合抽出物の場合、血管を拡張させて血流の流れを改善し、心血管系において血栓を防いで腦卒中の予防、特に、心筋梗塞などの心臓の発作の予防をする効果が抜群であるということが分かる。
【0075】
上記の実験例1~5の結果は、下記の表に示す。下記の結果は、非処理コントロールに比べて向上した割合を%にて示す。
【0076】
【0077】
<官能評価>
官能検査方法は、官能訓練がなされている被験者20名を対象として行った。各実施例は、下記の表2に記載の配合割合を基準として粉末状に製造して、1回の摂取の際に500mgを摂取できるように提示した。評価項目は、合計で4種類であって、1)摂取直後に感じられる渋味、2)摂取から5分が経った後に感じられる渋味後味の度合い、3)摂取の際に感じられた香りに対する好み度、4)全般的な好み度から構成されている。各項目は、9点尺度法にて評価した。渋味及び渋味後味の度合いは、点数が高ければ高いほど渋味が強く、香り及び全般的な好み度は、点数が高ければ高いほど好み度が高いということを意味する。結果は、下記の表3の通りである。
【0078】
【0079】
【0080】
ホップを単独にて用いたとき、渋味が強く、好み度が低かった。
ホップと陳皮との混合抽出物を用いる場合、ホップの単独使用の際に期待可能な度合い以上の更年期症状の改善効果を有しながらも、風味と香りの嗜好度が上昇したということが分かる。
【外国語明細書】