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特開2023-153109ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む心血管系疾患または骨多孔症の改善用の組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153109
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む心血管系疾患または骨多孔症の改善用の組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20231010BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/27 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 31/57 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 5/30 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/185
A61K36/27
A61P9/00
A61P19/10
A61P9/12
A61P9/10
A61P9/06
A61P3/06
A61P43/00 105
A61K31/353
A61K31/57
A61P5/30
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060844
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041720
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ドン-ジュン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ミ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ホン-グ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ソン・チョ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD03
4B018MD05
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD35
4B018MD61
4B018ME04
4B018ME05
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
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4C088BA11
4C088CA05
4C088CA06
4C088CA10
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4C088ZC11
4C088ZC33
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(57)【要約】
【課題】本発明は、ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の症状の治療、予防、または改善用の組成物に関する。本発明の組成物は、少ない量のホップを用いつつ、優れた心血管系疾患及び/又は骨多孔症の改善、予防、または治療効果を奏する。
【解決手段】本発明の課題は、ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む、心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物によって解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む、心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物。
【請求項2】
前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び白首烏抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものである、請求項1に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物。
【請求項3】
前記組成物は、組成物の全重量に基づいて、8~15重量%のホップ抽出物を含み、組成物の全重量に基づいて、20~30重量%の白首烏抽出物を含む、請求項1に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物。
【請求項4】
前記心血管系疾患は、高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、及び不整脈からなる群から選択されたいずれか一種以上である、請求項1に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物。
【請求項5】
前記組成物は、血中コレステロール濃度の減少能及び破骨細胞の分化抑制能を有する、請求項1に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物。
【請求項6】
前記組成物は、8-プレニルナリンゲニン及びカウタチンを含み、前記組成物は、0.1~5mg/gの8-プレニルナリンゲニンを含み、0.05~1.5mg/gのカウタチンを含む、請求項1に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物。
【請求項7】
ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む、心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物。
【請求項8】
前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び白首烏抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものである、請求項7に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物。
【請求項9】
前記組成物は、組成物の全重量に基づいて、8~15重量%のホップ抽出物を含み、組成物の全重量に基づいて、20~30重量%の白首烏抽出物を含む、請求項7に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物。
【請求項10】
前記心血管系疾患は、高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、及び不整脈からなる群から選択されたいずれか一種以上である、請求項7に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物。
【請求項11】
前記組成物は、血中コレステロール濃度の減少能及び破骨細胞の分化抑制能を有する、請求項7に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物。
【請求項12】
前記組成物は、8-プレニルナリンゲニン及びカウタチンを含み、前記組成物は、0.1~5mg/gの8-プレニルナリンゲニンを含み、0.05~1.5mg/gのカウタチンを含む、請求項7に記載の心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心血管系疾患または骨多孔症の改善用の組成物に係り、さらに詳しくは、植物の混合抽出物を含む心血管系疾患または骨多孔症の改善用の組成物、前記抽出物の用途、前記混合抽出物の心血管系疾患または骨多孔症の改善、予防、または治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨組織は、コラーゲン、糖たんぱく質などの細胞基質と骨芽細胞、破骨細胞及び骨細胞など多種類の細胞からなる。骨髄内間質細胞(bone marrow stromal cell)に由来の骨芽細胞は、骨の形成に主な役割を担当する。
【0003】
骨疾患の代表例としての骨多孔症は、度合いの違いはあるものの、老年層、特に、閉経期以降の女性においては避けられない症状であって、先進国においては人口の老齢化が進むことに伴い、骨多孔症及びその治療剤への関心がますます高まりつつある。現在のところ、世界中の各研究機関と製薬会社においては、骨疾患の治療剤の開発に膨大な投資を惜しまないのが実情である。
【0004】
これまで色々な物質が骨多孔症の治療剤として開発されてきた。中でも、骨多孔症の治療剤として最も多用されるエストロゲンは、その実際的な効能が未だ検証されていない状態であり、生涯服用し続けなければならないという欠点があり、長期にわたって投与する場合に乳房がんや子宮がんが増加するという副作用がある。アレンドロネート(alrendronate)もその効能が明らかではなく、消化管における吸収が遅い他、胃腸と食道粘膜に炎症を引き起こすという問題がある。カルシウム製剤は、副作用が少ないながらも、卓越した効果を有すると言われているものの、治療剤であるよりは、予防剤にあたる。その他に、カルシトニンのようなビタミンD製剤が知られているが、未だに効能及び副作用に関する研究が十分に行われていないのが現状である。
【0005】
心血管系疾患(cardiovascular disease)は、心臓、血管など循環系疾患をまとめて呼ぶものである。高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞症、アテローム動脈硬化症(動脈硬化症)、不整脈、脳卒中などを網羅する。過去には、女性ホルモンの減少が動脈硬化症の発症と関係していると知られていた。過去には、動脈硬化症の予防を目指して女性ホルモンの服用を推奨したりもしたが、最近の研究においては、閉経期における女性ホルモンの服用が心臓病の発病を減らすことができず、心臓疾患に悩んでいる患者においても疾病の進行を遅らせることができないと判明しており、むしろ心臓病を増加させる可能性があることが提示されている。したがって、ホルモン療法に用いられる素材が心血管系疾患の治療、改善に必ずしも効果的であるとは認められない。
【0006】
一方、ホップは、強力な植物性エストロゲン活性を示す8-プレニルナリンゲニン(8-prenylnaringenin)を含んでいると言われている。ホップは、のぼせやほてりなどのいわゆるホットフラッシュの症状、骨多孔症など色々な更年期症状を緩和させるのに役立てるものであると言われており、消化不良、便秘、腹部膨満など消化器官に役立て、精神的には熟眠、不眠症の治癒、ストレスの緩和、イライラや不安感の打ち消しに役立て、更年期障害のホルモン補充療法に用いられている。しかしながら、渋味(渋み)とともに、過剰に摂取したときに生じ得る副作用によって、使用に制限があった。
【0007】
したがって、副作用が少なく、しかも、安全に体内に投与可能な素材を設けるために研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような問題を解決するために、本発明は、心血管系疾患及び/又は骨多孔症を治療、予防または改善するための新規な組成物、好ましくは、食品または薬学組成物を提供することをその目的とする。また、本発明は、心血管系疾患及び/又は骨多孔症を治療、予防または改善するための混合抽出物の新規な用途を提供することをその他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む、心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物を提供する。
【0010】
前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び白首烏抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものであることを特徴とする心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物を提供する。
【0011】
この開示の一態様において、ホップ抽出物を組成物の全重量に基づいて、0.005~30重量%、0.01~28重量%、0.05~25重量%、0.1~23重量%、0.5~22重量%、1~20重量%、5~18重量%、8~15重量%含み得、組成物は、白首烏抽出物を組成物の全重量に基づいて、0.005~50重量%、0.01~45重量%、0.05~40重量%、0.5~38重量%、1~35重量%、5~33重量%、10~32重量%、15~31重量%、20~30重量%含み得る。上記の含量範囲において本発明の目的を成し遂げる上で有利になる。
【0012】
前記心血管系疾患は、高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、及び不整脈からなる群から選択されたいずれか一種以上を含み得る。
【0013】
前記組成物は、8-プレニルナリンゲニン及びカウタチンを含む心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の食品組成物を提供する。前記組成物は、0.1~5mg/gの8-プレニルナリンゲニンを含み、0.05~1.5mg/gのカウタチンを含み得る。
【0014】
前記組成物は、血中コレステロール濃度の減少能及び破骨細胞の分化抑制能を有し得る。
【0015】
本発明の他の実施形態は、ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物を提供する。
【0016】
前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び白首烏抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものであることを特徴とする心血管系疾患または骨多孔症の予防、治療、または改善用の薬学組成物を提供する。
【0017】
この開示の一態様は、組成物の全重量に基づいて、8~15重量%のホップ抽出物を含み、組成物の全重量に基づいて、20~30重量%の白首烏抽出物を含む心血管系または骨多孔症疾患予防、治療、または改善用の薬学組成物を提供し得る。
【0018】
前記心血管系疾患は、高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、及び不整脈からなる群から選択されたいずれか一種以上を含み得る。
【0019】
前記薬学組成物は、血中コレステロール濃度の減少能及び破骨細胞の分化抑制能を有し得る。
【0020】
前記薬学組成物は、8-プレニルナリンゲニン及びカウタチンを含む心血管系疾患または骨多孔症の予防、または改善用の薬学組成物を提供する。前記組成物は、0.1~5mg/gの8-プレニルナリンゲニンを含み、0.05~1.5mg/gのカウタチンを含み得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る混合抽出物を含む組成物は、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の予防または改善に効果がある。
【0022】
また、本発明に係る混合抽出物、これを含む組成物は、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の治療剤としての活用度が高い。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態は、ホップ及び白首烏の混合抽出物を有効成分として含む心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の治療、予防、または改善用の組成物、例えば、食品または薬学組成物を提供する。本発明の他の実施形態は、前記心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の治療、予防、または改善のための前記混合抽出物、または組成物の使用を提供する。さらに他の実施形態は、ホップ抽出物及び白首烏抽出物の混合抽出物をこれを必要とする個体に有効量投与する心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の治療、予防、または改善方法を提供する。具体的に、骨生成の促進及び/又は血中脂質の改善のための組成物、前記組成物の使用、前記組成物の使用方法を提供し得る。なお、ホップと白首烏の混合抽出物は、ホップの単独使用時や、症状の改善のために多くの量のホップを用いるときに生じ得る子宮肥大症状などを避けることができる。さらに、少ない量のホップを用いて嗜好度を向上させることができる。
【0024】
他の実施形態において、前記組成物は、他の植物抽出物をさらに含み得、好ましくは、本発明の目的を損なわない範囲内において、葛花(好ましくは、粉葛花)、白首烏などの植物抽出物をさらに含み得る。
【0025】
この開示の前記ホップ及び白首烏の混合抽出物は、ホップ及び白首烏を一緒に適用したとき、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の改善、予防または治療効果がさらに抜群であり、副作用が少なく現れることができる。
【0026】
ホップ(Hops)(学名:Humuluslupulus)は、ヨーロッパ、オーストラリア及び北米等の地域において自生するつる性つる植物であって、ホップ抽出物に存在する色々な化合物は、抗がん、抗酸化、美白など様々な生理活性を示すことが知られている。好ましくは、本発明の混合抽出物は、ホップの旬、花、つぼみまたは実から得た抽出物を含み得、より好ましくは、ホップの花またはつぼみから得た抽出物を含み得る。ホップ抽出物は、8-プレニルナリンゲニン(8-prenylnaringenin)をはじめとするイソキサントフモール(isoxanthohumol)などの化合物が有効成分として知られている。但し、前記ホップは、動物安全性試験において過量摂取するときにネズミの子宮の重さが増加して、服用量に限界があるという問題があり、官能上に特有の異臭が強く、渋い味が非常に強いと言われている。
【0027】
白首烏は、白何首烏とも呼ばれ、コイケマ(Cynanchum wilfordii)の塊根を意味すると知られている。漢方においては、白首烏の根を薬材として用いてきており、滋養強壮、補血などの作用をすると言われている。苦くて甘くて渋い味がする。本発明において、白首烏抽出物は、白首烏の根の抽出物を意味する。
【0028】
本発明者らは、ホップ及び白首烏の混合抽出物が、コレステロールの合成の抑制、血管の弛緩のためのNOの生成の増加、骨芽細胞の分化の促進効果、または骨組織成分の生成の増加効果を示して心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の改善、予防、及び/又は治療効果を示すことができるという知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0029】
この開示において使われた用語「心血管系疾患」は、高血圧、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、不整脈などを含み得るが、これらに何ら制限されるものではない。
【0030】
本発明において、骨多孔症とは、骨の強度が弱くなって骨折が起こる可能性が高い状態を意味するものであって、遺伝的な要因、早期閉経、薬剤または喫煙などが原因となる。特に、骨多孔症のうち、女性の閉経などによってホルモン生産の減少により発症する更年期の骨多孔症も本発明の組成物により効果的に治療、予防または改善することができる。更年期の骨多孔症とは、閉経期の女性に見られる、ホルモン生産の減少によって骨の形成に与る骨芽細胞と組織の破壊と吸収による破骨細胞との不釣り合いにより発症する骨多孔症の症状を意味する。
【0031】
本発明において、「予防」とは、本発明の混合抽出物及び/又は組成物を投与して目的とする症状を抑制または遅延させるあらゆる行為を意味する。
【0032】
本発明において、「治療」とは、本発明の混合抽出物及び/又は組成物を投与して、目的とする症状または疾病を好転させたり消去させたりするあらゆる行為を意味する。
【0033】
本発明において、「改善」とは、本発明の混合抽出物及び/又は組成物を投与して、目的とする症状や症勢を投与前よりも好転または有利に変更するあらゆる行為を意味する。
【0034】
本発明の組成物に含まれる抽出物の含量は、有効量として含まれ得る。上記の用語「有効量」は、心血管系疾患、及び/又は女性の骨多孔症を抑制または遅延させたり、既に現れた症状を好転させたりできる抽出物の量を意味する。
【0035】
この開示における「混合抽出物」は、2種以上の植物抽出物の混合物を意味するものであって、2種、3種、または4種以上の植物抽出物の混合物を含み得る。前記混合抽出物は、2種以上の植物抽出物を抽出物の状態で混合してもよいし、2種以上の植物を混合した後に抽出してもよい。前記混合抽出物は、摂取可能な様々な形態で提供可能であり、好ましくは、乾燥粉末として提供可能である。
【0036】
前記組成物に含まれる混合抽出物の含量は、特に制限されず、この開示における心血管系疾患、及び/又は骨多孔症を予防、改善または治療できるものであれば、様々な重量%にて含まれ得る。例えば、全体の組成物に対して、ホップ及び白首烏の混合抽出物は、0.01~65重量%、0.1~60重量%、1~55重量%、10~52重量%、15~51重量%、20~50重量%含まれ得る。他の態様において、前記混合抽出物は、ホップ抽出物及び白首烏抽出物を1:0.1~10の重量比にて混合したものを含み、好ましくは、1:0.15~8重量比、より好ましくは、1:0.5~5重量比にて、さらに好ましくは、1:1~3の重量比にて混合したものを含み得る。上記の含量の範囲において混合したとき、本発明の心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の改善効果が抜群になる。なお、摂取の際に現れ得るホップの苦い味を減少させ、嗜好度を向上させることができる。
【0037】
また、本発明の一実施形態に従い、前記抽出物は、組成物1gに対して、1mg~1000mgにて含み得、好ましくは、5mg~500mgにて含み得る。本発明に記載のすべての成分は、好ましくは、韓国、中国、米国、ヨーロッパ、日本国などの関連法規、規範(例えば、食品公典(韓国)、食品添加物公典(韓国)、健康機能食品公典(韓国)、衛生規範(中国))などにおいて定めた最大の使用値を超えない。すなわち、好ましくは、本発明に係る医薬品、または食品組成物は、各国の関連法規、規範において許容される含量の限度にて本発明に係る成分を含む。
【0038】
本発明において、「抽出物」は、植物体などを抽出溶媒にて抽出したり、抽出溶媒にて抽出したりして製造した抽出物に分画溶媒を加えて分画して製造することができる。前記抽出物は、熱水抽出、蒸留抽出、溶媒抽出、圧着抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出、超音波抽出、電気分解抽出、または超臨界抽出などの多種多様な方法を用いて抽出されたものであり得、前記抽出方法を2種以上用いて抽出され得る。この開示における混合抽出物を分画した分画物も本発明の範囲に含まれ得る。
【0039】
抽出物または分画物は、前記抽出物の希釈や濃縮、前記抽出物を乾燥させて得られる乾燥物、前記抽出物の粗精製物や精製物またはこれらの混合物など抽出物それ自体と抽出物を用いて形成可能なあらゆる剤形の抽出物を含む。具体的に、本発明の抽出物は、抽出後に乾燥粉末の形状に製造されて使用可能である。また、抽出または分画の過程を行った後、減圧ろ過の過程を行ったり、さらに濃縮及び/又は凍結乾燥を行ったりして濃縮したり溶媒を取り除いたりし得る。前記得た抽出物は、使用に供されるまで急速冷凍冷蔵庫(deep freezer)に保管可能である。
【0040】
前記抽出溶媒の種類は、特に制限されるものではなく、本発明の目的とする効果を有する抽出物が得られる限り、当該技術分野において公知の任意の溶媒が使用可能である。具体的に、水及び有機溶媒からなる群から選択されたいずれか1種以上であり得る。前記有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどの炭素数1~5のアルコール、エチルアセテート、アセトン及びクロロホルムからなる群から選択されたいずれか一種以上の溶媒が使用可能である。好ましくは、水、エタノール、またはこれらの混合物が使用可能である。好ましくは、前記エタノールとしては、35%~95%のエタノールが使用可能であり、さらに好ましくは、60~90%のエタノールが使用可能である。
【0041】
また、本明細書中において使われる用語「抽出物」は、上述したように、当業界において粗抽出物(crude extract)として通用される意味を有するものの、広義的には、抽出物をさらに分画(fractionation)した分画物も含む。すなわち、原物を搾汁して、または上述した抽出溶媒を用いて得た抽出物のみならず、ここに精製の過程をさらに適用して得たものも含む。例えば、前記抽出物を一定の分子量カット-オフ値を有する限外ろ過膜に通させて得た分画、多種多様なクロマトグラフィー(大きさ、電荷、疎水性または親和性に応じた分離のために作製されたもの)による分離など、さらに実施された多種多様な精製方法を用いて得られた分画も本発明の抽出物に含まれるものである。
【0042】
さらに、本発明の混合抽出物は、以降に追加の過程、例えば、ろ過したり濃縮または乾燥の過程を行ったりして溶媒を取り除いたもの、またはろ過、濃縮及び乾燥をいずれも行ったものであり得る。ろ過は、例えば、ろ紙を用いて行ってもよいし、減圧ろ過器を用いて行ってもよい。濃縮は、減圧濃縮器を用いて行ってもよいし、乾燥は、噴霧乾燥したり凍結乾燥法などを行ったりして粉末の状態の混合抽出物を得てもよい。
【0043】
本発明の混合抽出物において、ホップ抽出物は、ホップを超臨界抽出した後、エタノール溶媒を用いて抽出して粉末化して得られ、例えば、Naturex(フランス)を購買して使用し得る。白首烏抽出物は、白首烏を熱水抽出した後、粉末化して得られる。好ましくは、本発明の一実施形態に係る混合抽出物を得る方法において、ホップ抽出物内の8-プレニルナリンゲニン(8-prenylnaringenin)が抽出物1gあたりに0.1~8mg、好ましくは、0.5~5mg、さらに好ましくは、1~4mg含まれ得る限り、抽出方法は特に制限されない。なお、白首烏抽出物内のカウタチン(Caudatin)が抽出物1gあたりに0.1~3mg、好ましくは、0.15~1mg、さらに好ましくは、0.2~0.5mg含まれ得る限り、抽出方法は特に制限されない。
【0044】
前記抽出方法を用いて抽出するとき、混合抽出物が優れた骨多孔症または心血管系疾患の治療効果を示すことができる。
【0045】
本発明の一態様に係る組成物は、ホップ抽出物のインデックス成分である8-プレニルナリンゲニン(8-prenylnaringenin)を、混合抽出物を含む組成物1gあたりに0.1~5mg、好ましくは、0.5~3mg、さらに好ましくは、0.6~1.50mg含み得る。また、前記混合抽出物は、白首烏抽出物のインデックス成分であるカウタチン(Caudatin)を、混合抽出物を含む組成物1gあたりに0.05~1.5mg、好ましくは、0.1~1mg、より好ましくは、0.15~0.5mg、さらに好ましくは、0.16~0.3mg含み得る。上記の含量範囲を有するとき、本発明の目的を成し遂げる上で有利になる。
【0046】
具体的な実施形態において、前記混合抽出物を用いて心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の改善の度合いを確認したところ、この開示における混合抽出物を摂取した実験群のコレステロール合成酵素が抑えられ、骨組織成分の生成能力が抜群であるということを確認した。特に、本発明の組成物は、優れた血中コレステロール濃度の減少能及び破骨細胞の分化抑制能を有することができる。
【0047】
他の実施形態において、前記分画溶媒は、水、ブタノール、エチルアセテート、クロロホルム、ヘキサンまたはこれらの混合物であり得る。前記分画物は、前記抽出法を用いて製造した抽出物、具体的に、粗抽出液に分画の過程をさらに実施した分画物であり得る。前記分画溶媒は、エチルアセテート、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン、メチレンクロリド及びこれらの混合溶媒からなる群から選択された溶媒であり得、好ましくは、ヘキサンであり得る。前記分画の過程は、具体的に、前記粗抽出液にヘキサン、クロロホルム、エチルアセテート、ブタノール及び水をこの順に加えた後に、層分離を行ったヘキサン分画物、クロロホルム分画物、エチルアセテート分画物、ブタノール分画物及び水分画物を順次に得る方法により行い得る。
【0048】
本発明において、抽出物または混合抽出物の製造方法は、特に制限されるものではなく、当該技術分野において通常的に用いる方法に従い抽出することができる。前記抽出方法の非制限的な例としては、熱水抽出法、超音波抽出法、ろ過法、還流抽出法などが挙げられ、これらを単独にて行ってもよいし、2種以上の方法を組み合わせて行ってもよい。なお、高純度の抽出物を得るために、抽出液を同様の方法を用いて1回以上ずつさらに抽出し得る。
【0049】
本発明は、前記混合抽出物を有効成分として含む、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の予防または改善用の組成物を提供することができる。好ましくは、前記組成物は、医薬品、食品または医薬外品の形態で提供され得る。特に好ましくは、健康機能食品、または医薬品として提供され得る。
【0050】
本発明に係る薬学的組成物は、薬学的に有効な量の混合抽出物を単独にて含んだり、一種以上の薬学的に許容可能な担体または添加剤をさらに含んだりし得る。前記「薬学的に許容可能な」とは、生理的に許容され、ヒトに投与されるときに、活性成分の作用を阻害せず、通常、胃腸障害、めまいなどのようなアレルギー反応またはこれと類似の反応を引き起こさない非毒性の組成物のことをいう。本発明に使用可能な前記担体の種類は、特に制限されるものではなく、当該技術分野において通常的に用いられ、薬学的に許容される担体であれば、いずれも使用可能である。前記担体の非制限的な例としては、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。これらは、単独にて用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。前記添加剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などが含まれ得る。なお、前記薬学的組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤または防腐剤などをさらに含み得る。
【0051】
前記「薬学的に有効な量」とは、陰性対照に比べてそれ以上の反応を示す量のことをいい、好ましくは、心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の症状の予防、改善及び/又は治療の効果を示すのに十分な量のことをいう。
【0052】
また、本発明の薬学的組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、遅速または遅延放出を提供できるように当業界における公知の方法を用いて剤形化され得る。剤形は、粉末、顆粒、錠剤、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、軟質もしくは硬質のゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末の形態であり得る。
【0053】
本発明の薬学的組成物の投与経路としては、これらに何ら限定されるものではないが、経口的もしくは非経口的な投与経路が挙げられる。非経口的な投与経路には、例えば、経皮、鼻腔、腹腔、筋肉、皮下または静脈などの色々な経路が含まれ得る。
【0054】
さらに、本発明の薬学的組成物は、心血管系の疾患、及び/又は骨多孔症の症状の予防、改善及び/又は治療効果を有する公知の化合物と並行して投与可能である。
【0055】
さらに他の態様として、本発明は、食品組成物を提供する。
【0056】
本発明の食品組成物は、食品、機能性食品(functional food)、栄養補助食品(nutritional supplement)、健康食品(health feed)及び食品添加剤(food additives)などのあらゆる天然素材の加工形態を含む。前記類型の食品組成物は、当業界における公知の通常の方法に従って多種多様な形態に製造可能である。例えば、健康食品としては、本発明の組成物それ自体をティー(茶)、ジュース及びドリンクの形態に製造して飲用するようにしたり、顆粒化、カプセル化または粉末化して摂取するようにしたりするものが挙げられる。
【0057】
前記食品の種類は、特に制限されるものではなく、通常の意味での食品を網羅し得る。前記物質を添加し得る食品の非制限的な例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類をはじめとする酪農製品、各種のスープ、飲み物、ティー(茶)、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などが挙げられる。前記組成物を食品添加物として用いる場合、前記組成物をそのまま添加してもよいし、他の食品もしくは食品成分と併用したてもよく、通常の方法に従って適宜に使用され得る。また、本発明の食品組成物は、さらに当業界において食品組成物に一般に含まれ得る他の薬効成分及び/又は添加剤をさらに含み得る。前記食品組成物は、食品学的に許容可能な担体を含み得る。例えば、本発明に係る食品組成物は、水溶性ビタミンとして、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン、アスコルビン酸、ナイアシン、及びビタミンB6を含み得、脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸などを含み得、弱酸性成分としては、グリコール酸及び酢酸を含み得、アミノ酸として、トレオニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びリシンの必須アミノ酸8種をはじめとして、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アルギニンなどを含み得る。
【0058】
好ましい本発明の食品組成物は、前記混合抽出物を結晶セルロース、乳糖、海藻粉末、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムなどと混合して得られる。
【0059】
さらに他の実施形態の一つとして、本発明の前記混合抽出物、または前記混合抽出物を含む組成物を、骨多孔症及び/又は心血管系疾患が発病しているか、あるいは、発病する可能性がある個体に有効量投与するステップを含む骨多孔症及び/又は心血管系疾患の予防または治療方法を提供する。本発明において用いられる用語「個体」とは、骨多孔症及び/又は心血管系疾患が発病しているか、あるいは、発病する可能性があるヒトをはじめとするネズミ、ラット、家畜などのあらゆる動物のことを意味する。具体例として、ヒトを含めた哺乳動物であり得る。本発明の組成物は、固形分を基準として1日当たりに0.0001~100mg/体重(kg)にて、さらに具体的に、0.001~100mg/体重(kg)にて投与し得る。投与は、前記推奨投与量を一日につき一回投与してもよいし、数回にわたって投与してもよい。
【0060】
さらに他の実施形態の一つとして、本発明の前記混合抽出物を心血管系疾患、及び/又は骨多孔症の症状の改善、治療、予防または緩和のための食品、治療剤を製造するのに用いる、前記混合抽出物を含む組成物の用途を提供する。
【0061】
以下、本発明の理解を深めるため、実施例などを示して本発明についてさらに詳しく説明する。しかし、本発明に係る実施例は色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものであると解釈されてはいけない。本発明の実施例は、本発明が属している分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。本明細書中の%は、特に断りのない限り、重量%を意味するものと理解されたい。
【実施例0062】
<混合抽出物の製造>
1.ホップ抽出物の製造
ホップは、ホップ(Humulus lupulus L)の花を用いて超臨界及びエタノール抽出を行った。次いで、濃縮及びアルカリ化、中和、分離、乾燥の過程を経た後に粉砕した。
【0063】
8-プレニルナリンゲニンが2~3mg/g含まれているホップ抽出物を製造した。
【0064】
2.白首烏抽出物の製造
白首烏は、コイケマ(Cynanchum wilfordii)の塊根を用いて熱水抽出した後、ろ過、濃縮を経た後、乾燥の過程を経て粉末化した。
【0065】
カウタチンが0.26~0.39mg/g含まれている白首烏抽出物を製造した。
【0066】
3.混合抽出物の製造
前記天然抽出物を混合して混合抽出物を製造した。
【0067】
<相乗効果の確認>
ホップ抽出物または白首烏抽出物を単独にて処理したものに比べて、ホップ及び白首烏の混合抽出物を処理した場合、コレステロール合成酵素の抑制能、NOの生成促進能、骨芽細胞の分化促進能、及び骨組織成分の生成能が統計的に有意に相乗効果(synergistic effect)があるということを確認した。両抽出物間の相互作用は、大韓民国食品医薬品安全処の機能性原料標準化ガイドラインの複合物の相乗効果の検証方法の一つである、コルビーの式((COLBY S. R., Calculating synergistic and antagonistic response of herbicide combinations, Weeds 15, 20-22, 1967)を用いて比較した。混合抽出物の処理により現れた実際の測定値(observed value)が期待値(expected value、数式1により確認された値)よりも大きい場合には相乗作用があると認める。上記の数式1は、下記の式のように示す。
[数式1]
E=(X+Y)-XY/100 …1
【0068】
Xは、活性化合物A(または、抽出物A)の適用時の非処理コントロールについての効率であり、
Yは、活性化合物A(または、抽出物B)の適用時の非処理コントロールについての効率であり、
Eは、活性化合物A及びB(抽出物A及び抽出物B)を適用した場合、非処理コントロールについての効率(%)を意味する。前記E値を超える場合、相乗効果を認めることができる。
【0069】
下記の実験例の測定値は、期待値を超えて、混合抽出物は、単独抽出物よりも相乗効果があるということが分かる。
【0070】
<実験例1.骨芽細胞の分化促進の効能評価>
骨芽細胞分化の促進効果を確認するために、ヒト骨芽細胞様Saos-2細胞(human osteoblast-like Saos-2 cell)において骨芽細胞分化マーカーであるアルカリホスファターゼ(ALP:Alkaline Phosphatase)の活性を測定した。均一な数のSaos-2細胞を10% FBS(ウシ胎児血清)入りRPMI1640培地を用いて24ウェルプレートにおいて培養した。24時間培養した後、2%の活性炭処理済みFBS含有フェノールレッド不含RPMI1640培地に交換し、各濃度ごとの試料を処理し、3日間さらに培養した。次いで、Alkaline Phosphatase Assay Kit(商標名)(Abcam社製、ab83369)にてALPの活性を測定した。具体的に、細胞培養液を200μL採取した後、1000rpmにて3分間遠心分離して上澄みの培地20μLとpNPP基質(substrate)50μLを96ウェルプレートに入れて30分間反応させた後、405nmにて吸光度を測定した。その結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、ホップの単独使用に比べて、骨芽細胞への分化の度合いがさらに向上するということが分かる。
【0071】
<実験例2.骨成分(osteocalcin)の生成促進の効能評価>
骨生成の促進効果を確認するために均一な数のSaos-2細胞を10%のFBS入りRPMI1640培地を用いて24ウェルプレートにおいて培養した。24時間培養した後、β-グリセロホスフェート10mM、デキサメタゾン10nM、2%の活性炭処理済みFBS入りフェノールレッド不含RPMI1640培地に交換し、各濃度ごとに試料を処理した後、3日間培養した。次いで、この方法と同様にして培地を交換し、試料を処理した後、4日間さらに培養した。合計で7日間培養した後、細胞培養液を200μL採取した後、1000rpmにて3分間遠心分離して得た上澄みの培地において、Human Osteocalcin DuoSet ELISA(R&D Systems社製、DY1419)を用いて、定められたプロトコール通りにオステオカルシンを定量した。結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、ホップの単独使用に比べて、骨成分の生成能により一層優れているということが分かる。
【0072】
<実験例3.コレステロール合成酵素HMG-CoA還元酵素の活性抑制評価>
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の活性抑制効能を評価するために、Abcam社製のHMG-CoA reductase activity assay(Abcam社製、AB204701)を用いた。アッセイキットにおいて定められたプロトコール通りにHMG-CoA還元酵素の活性を測定した。結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、ホップの単独使用に比べて、コレステロール合成酵素の活性がさらに抑えられるということが分かる。このことから、混合抽出物の場合、血中脂質の改善効果に優れているということが分かる。
【0073】
<実験例4.血管弛緩物質である酸化窒素(NO:Nitric Oxide)の生成促進評価>
酸化窒素(NO)は、一種のシグナル伝達物質であって、免疫作用、血管拡張及びシグナル伝達などの多種多様な生理活性に与る。特に、身体の多種多様な活動を引き起こしかつ刺激するが、環状グアノシン一リン酸(cGMP:cyclic guanosine monophosphate)の生成を引き起こして血管を拡張させて血圧を正常レベルの範囲に達するように下げ、臓器に供給される血流の流れを改善する。なお、心血管系において血栓が血管に癒着されることを防いで、脳卒中を予防したり、特に、心筋梗塞などの心臓発作を予防したりするという効果がある。
【0074】
各試料のNOの生成促進効能を確認するために、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を適量のウシ胎児血清(FBS:Fetal Bovine Serum)、p/s抗生剤(ペニシリン-ストレプトマイシン)が含有されているEGM-2培地(Lonza社製、CC-3162)において24ウェルプレート(Falcon社製、353047)に1ウェル当たりに1×105個にて接種した後、5% CO2、37℃の条件下で細胞がウェルの底面に約80%以上付着するまで24時間培養した。次いで、各濃度ごとの試料を処理し、24時間さらに培養した。培養が終わった後、グリース試薬(Sigma社製、G4410)を用いて培地中のNOの濃度を測定した。具体的に、培地100μLとグリース試薬100μLとを混ぜ合わせたUV分光光度器(Biotek社製、Synergy H1MF(商品名))を用いて、540nmの波長にて測定した。結果は、表1の通りである。混合抽出物を用いたとき、さらにまた、粉葛花抽出物をさらに含めて用いたとき、ホップの単独使用に比べて、NOの生成が増加するということが分かる。このことから、混合抽出物の場合、血管を拡張させて血流の流れを改善し、心血管系において血栓を防いで脳卒中の予防、特に、心筋梗塞などの心臓の発作の予防をする効果が抜群であるということが分かる。
【0075】
前記実験例1~4の結果は、下記の表に示す。下記の結果は、非処理コントロールに比べて向上した割合を%にて示す。下記の表に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
<生体内(in-vivo)での実験>
血中コレステロールの改善効果及び破骨細胞の分化抑制効果を確認するために、下記のような実験をさらに行った。
【0078】
-血中コレステロールの改善効果の生体内(in-vivo)での実験方法
7週齢のICRマウスを(株)大韓バイオリンク(忠清北道陰城、韓国)から購入して1週間馴化させ、馴化したマウスに対して卵巣切除術を施行した後、一週間から卵巣切除動物に当該摂取量を群ごとに7週間経口投与した。摂取前、7週後に個体ごとに血液を採取した後、血中総コレステロールの量をDRI-CHEM NX-500i(富士フィルム社製)を用いて測定した。
【0079】
-破骨細胞の分化抑制効果の生体内(in-vivo)での実験方法
7週齢のICRマウスを(株)大韓バイオリンク(忠清北道陰城、韓国)から購入して1週間馴化させ、馴化したマウスに対して卵巣切除術を施行した後、一週間から卵巣切除動物に当該摂取量を群ごとに7週間経口投与した。摂取前後に個体ごとに血清を収集した後、血清内の酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRACP)の量をTRACP ELISA Kit(MyBioSource社製)を用いて製造社から提供する実験法の通りに実験を行った。
【0080】
【表2】
【0081】
白首烏とホップとの混合抽出物は、さらに少ない量を摂取したにも拘わらず、さらに高い改善率を示している。特に、ホップの量を減らしたにも拘わらず、心血管系疾患及び骨多孔症の改善に顕著に優れた効果を示しているということが分かる。したがって、副作用なしに安全に摂取可能な組成物を提供することができる。
【0082】
<官能評価>
官能検査方法は、官能訓練がなされている被験者20名を対象として行った。各実施例は、下記の表3に記載の配合割合を基準として粉末状に製造して、1回の摂取の際に500mgを摂取できるように提示した。評価項目は、合計で4種類であって、1)摂取直後に感じられる渋味、2)摂取から5分が経った後に感じられる渋味後味の度合い、3)摂取の際に感じられた香りに対する好み度、4)全般的な好み度から構成されている。各項目は、9点尺度法にて評価した。渋味及び渋味後味の度合いは、点数が高ければ高いほど渋味が強く、香り及び全般的な好み度は、点数が高ければ高いほど好み度が高いということを意味する。結果は、下記の表4の通りである。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例は、ホップ抽出物の粉末と白首烏抽出物の粉末とを混合し、前記食品添加剤を混合して製造した。
【0085】
【表4】
【0086】
ホップを単独にて用いたとき、渋味が強く、好み度が低かった。
【0087】
ホップと白首烏との混合抽出物を用いる場合、ホップの単独使用時と比べて効果が抜群でありながら、風味と香りの嗜好度が上昇したということが分かる。
【外国語明細書】