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特開2023-15316家畜の出荷判定表示装置、出荷判定表示方法、プログラム、および記録媒体
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  • 特開-家畜の出荷判定表示装置、出荷判定表示方法、プログラム、および記録媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015316
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】家畜の出荷判定表示装置、出荷判定表示方法、プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A01K29/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183833
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2018102224の分割
【原出願日】2018-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】爲安 圭介
(72)【発明者】
【氏名】中田 綾香
(57)【要約】
【課題】 技術と経験にかかわらず、ユーザが容易に出荷可能な家畜を判別し捕獲することをサポートするシステムの提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の出荷判定表示装置は、家畜を撮像する画像撮像部、撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定する体重推定部、出荷可能な体重の上限および下限と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定する出荷判定部、前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する表示部を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象家畜が撮像された対象家畜画像を取得する取得部と、
前記対象家畜画像から、画像解析により、前記対象家畜の体重を推定する推定部と、
前記対象家畜の出荷基準を示す出荷基準情報と前記推定部により推定される体重とに基づいて、前記対象家畜の出荷可否を判定する判定部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記対象家畜と同種の家畜が撮像された学習用家畜画像と前記学習用家畜画像に映る家畜の体重との関係を学習した体重推定モデルを用いて、前記対象家畜画像に基づいて、前記対象家畜の体重を推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出荷基準情報は、出荷可能な体重の上限および下限を含む
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出荷基準情報と前記推定される体重とに基づき、前記対象家畜の体重が、前記出荷基準を満たすまでに必要な必要日数を算出する必要日数算出部をさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
対象家畜が撮像された対象家畜画像を取得し、
前記対象家畜画像から、画像解析により、前記対象家畜の体重を推定し、
前記対象家畜の出荷基準を示す出荷基準情報と前記推定部により推定される体重とに基づいて、前記対象家畜の出荷可否を判定する
情報処理方法。
【請求項6】
対象家畜が撮像された対象家畜画像を取得する処理と、
前記対象家畜画像から、画像解析により、前記対象家畜の体重を推定する処理と、
前記対象家畜の出荷基準を示す出荷基準情報と前記推定部により推定される体重とに基づいて、前記対象家畜の出荷可否を判定する処理と
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の出荷判定表示装置、出荷判定表示方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜の出荷においては、体重測定が必須であり、通常、体重計に家畜を乗せて、その体重が測定されている。しかし、豚、牛等の家畜は、体重も重く、また、動きを制御しがたいため、体重計の上に乗せることが困難である。
【0003】
そこで、新たな方法として、家畜を撮像し、その画像を解析し、体重を推定する方法が提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、出荷可能か否かの出荷判定基準は、畜産農家ごとに異なっており、作業者は、推定体重が判明しても、その家畜が出荷可能か否かを、前記推定体重のみから即座に判断することが困難である。また、体重が推定されてから、人が出荷可能か否かを判断し、その後、例えば、多数の豚が収容されている豚舎から、出荷可能と判断した豚を特定し、捕獲することも困難である。また、仮に、熟練の作業者であれば、家畜の外見から出荷の可否を判断し、さらに捕獲することが可能である。しかし、高齢化・畜産業離れの問題から、これからの畜産には、技術と経験に乏しい作業者であっても、貴重な人材であり、作業への関与は必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-059300号公報
【特許文献2】特開平6-3181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、例えば、技術と経験にかかわらず、ユーザが容易に出荷可能な家畜を判別し捕獲することをサポートするシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の出荷判定表示装置は、
画像撮像部、体重推定部、出荷判定部および表示部を含み、
前記画像撮像部は、
家畜を撮像し、
前記体重推定部は、
撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定し、
前記出荷判定部は、
出荷可能な体重の上限および下限と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定し、
前記表示部は、
前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の出荷判定表示方法は、
画像撮像工程、体重推定工程、出荷判定工程および表示工程を含み、
前記画像撮像工程は、
家畜を撮像し、
前記体重推定工程は、
撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定し、
前記出荷判定工程は、
出荷可能な体重の上限および下限と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定し、
前記表示工程は、
前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のプログラムは、前記本発明の出荷判定表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
本発明の記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、出荷の可否の判定結果を、視覚情報として表示できるため、例えば、ユーザの技術や経験にかかわらず、容易に、出荷可能な家畜を判別し、捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1の出荷判定表示装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の出荷判定表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、出荷判定表示装置の表示部に表示される家畜画像の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態2の出荷判定表示装置の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態1および2の出荷判定表示方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、例えば、リアルタイムで、家畜の撮像、体重推定、および出荷可否の判定を行い、さらに、その出荷可否の判定結果を、視覚情報として表示できる。このため、例えば、作業者の経験等に関わらず、容易に出荷可否の判定結果にしたがって、その場で、出荷可能な家畜の捕獲を行うことができる。
【0013】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。下記実施形態においては、体重推定の対象として豚を例に説明するが、前述のように、本発明は、この例示には制限されない。
【0014】
[実施形態1]
本発明の出荷判定表示装置および出荷判定表示方法の一例について、図を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の出荷判定表示装置の一例を示すブロック図である。出荷判定表示装置1は、画像撮像部11、体重推定部12、出荷判定部13および表示部14を含む。出荷判定表示装置1は、例えば、さらに、記憶部15を含み、記憶部15は、例えば、出荷基準情報、体重増加率情報、出荷スケジュール情報、体重推定モデル等を記憶する。
【0016】
出荷判定表示装置1は、前記各部を含む1つの出荷判定表示装置であり、具体例としては、スマートフォン、タブレット、眼鏡型等のウェアラブルデバイス等があげられる。酪農の牧場は、一般的に、ネット環境が万全ではないことが多い。しかしながら、出荷判定表示装置1は、前述のように、この装置のみで、リアルタイムに、家畜の撮像、体重推定、出荷可否の判定、出荷可否の判定結果の視覚情報による表示が可能である。このため、例えば、ネット環境に影響を受けることなく、容易に、出荷判定を行うことができる。
【0017】
つぎに、図2に、出荷判定表示装置1のハードウエア構成のブロック図を例示する。図2に示すように、出荷判定表示装置1は、例えば、CPU(中央処理装置)101、メモリ102、入力装置103、カメラ104、ディスプレイ105、通信デバイス106、記憶装置107等を有する。出荷判定表示装置1の各部は、例えば、インターフェイス(I/F)を介して、接続されている。前記ハードウエア構成において、内部での回路間の通信は、バスによって接続される。
【0018】
CPU101は、出荷判定表示装置1の全体の制御を行う。出荷判定表示装置1において、CPU101により、例えば、本発明のプログラム等のプログラム108が実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的に、出荷判定表示装置1は、例えば、CPU101が、体重推定部12、および出荷判定部13として機能する。
【0019】
メモリ102は、例えば、メインメモリを含み、前記メインメモリは、主記憶装置ともいう。CPU101が処理を行う際には、例えば、後述する補助記憶装置に記憶されている、本発明のプログラム等の種々のプログラム108を、メモリ102が読み込み、CPU101は、メモリ102からデータを受け取って、前記プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。メモリ102は、例えば、さらに、ROM(読み出し専用メモリ)を含む。
【0020】
記憶装置107は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。記憶装置107は、例えば、記憶媒体と、前記記憶媒体に読み書きするドライブとを含む。前記記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等があげられ、前記ドライブは、特に制限されない。記憶装置107は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)も例示できる。記憶装置107は、例えば、本発明のプログラム等の動作プログラム108が格納され、前述のように、CPU101を実行させる際、メモリ102が、記憶装置107から動作プログラム108を読み込む。記憶装置107は、例えば、記憶部15であり、例えば、予め、出荷基準情報109、体重推定モデル110等を格納する。
【0021】
カメラ104は、画像撮像部11である。カメラ104の種類は、特に制限されない。ディスプレイ105は、表示部14であり、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等である。出荷判定表示装置1は、例えば、さらに、入力装置103を備えてもよく、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。
【0022】
出荷判定表示装置1は、例えば、前記I/Fに接続された通信デバイス106により、通信回線網に接続でき、前記通信回線網を介して、前記外部機器と接続することもできる。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、電話回線、LAN(Local Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)等があげられる。出荷判定表示装置1は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)でもよい。記憶装置107に予め前記各種情報を格納する場合、例えば、入力装置103により入力して記憶してもよいし、前記通信回線網を介して、外部から受信し、記憶してもよい。また、出荷判定表示装置1により得られた情報は、例えば、前記通信回線網を介して、外部機器に出力することもできる。
【0023】
画像撮像部11は、前述のように、家畜を撮像する。撮像対象は、例えば、畜舎に収容されている複数の家畜である。家畜の種類は、特に制限されず、例えば、豚、牛等があげられる。画像撮像部11による撮像は、例えば、一つの画像内に、一頭の家畜のみが写ってもよいし、二頭以上の家畜が写ってもよい。後者の場合、出荷判定表示装置1によれば、例えば、それぞれの出荷の可否を表示することもできる。
【0024】
体重推定部12は、撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定する。具体的に、体重推定部12は、例えば、まず、前記家畜画像から、前記家畜画像に含まれる一頭ごとの個体画像を抽出し、前記個体画像ごとに、体重推定を行う。前記家畜画像から、一頭ごとの個体画像を抽出する方法は、特に制限されず、公知の画像解析により行える。前記家畜画像から、前記画像解析により、一頭ごとの体重を推定する方法は、特に制限されず、例えば、体重推定モデル110を使用することができる。体重推定モデル110は、画像における一頭の家畜と、その体重との関係性(アルゴリズム)を表すモデルである。体重推定モデル110は、前述のように、例えば、記憶部15に記憶され、記憶された体重推定モデル110を用いて、体重推定部12により、画像撮像部11により得られた家畜画像から、一頭ごとの体重が推定される。体重推定モデル110は、例えば、家畜ごとに、様々な体重の家畜画像を学習データとして使用し、学習により生成される。前記学習は、いわゆる機械学習があげられ、例えば、深層学習が好ましい。体重推定モデル110は、例えば、AIエンジンということもできる。
【0025】
出荷判定部13は、出荷基準情報109と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定する。出荷基準情報109は、出荷可能な体重の上限および下限を含み、例えば、記憶部15に予め格納される。出荷基準情報109は、例えば、畜産農家等のユーザごとに、適宜設定できる。出荷判定部13は、例えば、前記推定体重が上限を超える場合および下限未満の場合、出荷不可と判定でき、より具体的には、例えば、前記推定体重が上限を超える場合、体重過多により出荷不可と判定でき、前記推定体重が下限未満の場合、体重不足により出荷不可と判定できる。また、出荷判定部13は、例えば、前記推定体重が、下限以上、上限以下の場合、出荷可能と判定できる。
【0026】
表示部14は、前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する。前記視覚情報は、例えば、出荷の可否を表す文字、記号、または色等があげられる。また、前記視覚情報は、文字、記号および色のうち少なくとも2つ以上の組合せでもよく、例えば、文字と記号の併記、文字および記号の少なくとも一方を出荷の可否に応じて異なる色で表示してもよい。判定内容を表示する視覚情報は、例えば、下記表が例示できる。
【0027】
【表1】
【0028】
前記視覚情報を、前記家畜画像内の家畜一頭ごとに紐づけて表示するとは、表示部14に表示された家畜画像において、各家畜と対応するように、前記視覚情報が表示されることを意味する。前記家畜画像に、複数の家畜が写っている場合、表示部14は、例えば、前記家畜画像において、各家畜を分離する境界線をあわせて示してもよい。また、表示部14は、例えば、さらに、前記推定体重をあわせて表示してもよい。図3に、出荷判定装置1の表示部14の一例の概略図を示す。図3は、出荷判定表示装置1がスマートフォンの例である。図3に示すように、表示部14の家畜画像において、各家畜を囲む境界線30が表記され、境界線30内には、出荷可否の判定内容を表す視覚情報(文字、記号)と推定体重とが、それぞれ表記されている。また、それぞれの前記視覚情報は、例えば、出荷OK(〇)が青色、出荷体重超過(×)が赤色、出荷体重未満(△)が黄色で表されている。
【0029】
つぎに、本実施形態の出荷判定表示方法について、説明する。本実施形態の出荷判定表示方法は、例えば、図1および図2に示す出荷判定表示装置1を用いて実施できる。なお、本発明の実施形態1による出荷判定表示方法は、出荷判定表示装置1の使用には限定されない。また、本実施形態の出荷判定表示方法における記載は、前述した出荷判定表示装置1に援用できる。
【0030】
画像撮像工程は、家畜を撮像する工程であり、出荷判定表示装置1の画像撮像部11により実施できる。
【0031】
体重推定工程は、撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定する工程であり、出荷判定表示装置1の体重推定部12により実施できる。
【0032】
出荷判定工程は、出荷可能な体重の上限および下限と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定する工程であり、出荷判定表示装置1の出荷判定部13により実施できる。
【0033】
表示工程は、前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する工程であり、出荷判定表示装置1の表示部14により実施できる。
【0034】
[実施形態2]
本発明の出荷判定表示装置および出荷判定表示方法のその他の例について、図を用いて説明する。本実施形態において、特に示さない限り、前記実施形態1の記載を援用できる。
【0035】
図4は、本実施形態の出荷判定表示装置の一例を示すブロック図である。出荷判定表示装置2は、さらに、必要日数算出部16を含む。必要日数算出部16は、前記推定体重が下限未満の場合、一日当たりの体重増加率と、前記出荷可能な体重の下限と、前記推定体重とに基づき、対象の家畜の体重が、前記下限に達するまでに必要な必要日数を算出する。そして、表示部14は、前記視覚情報として、あわせて、前記必要日数に基づく前記出荷可能な体重への到達情報を表示する。
【0036】
一日あたりの体重増加率は、例えば、体重増加率情報として、予め記憶部15に格納される。体重増加率は、例えば、家畜の種類、生育条件によって異なるため、畜産農家等のユーザごとに、適宜設定できる。一日あたりの体重増加率がXkg/日、推定体重がYkg、出荷可能な体重の下限がZkgの場合、例えば、(Z-Y)/Xの式により、必要日数を算出することができる。
【0037】
表示部14に表示される前記到達情報は、特に制限されず、例えば、前記必要日数そのものでもよいし、前記必要日数を算出した本発明の実行日から起算した、前記対象の家畜の体重が前記下限に達する到達日でもよい。前者は、例えば、10日間等の日数であり、後者は、例えば、仮に実行日が4月1日であり、必要日数が10日間の場合、4月11日等の日にちである。
【0038】
また、出荷判定表示装置2は、例えば、さらに、体重増加率算出部を含んでもよく、前記体重算出部は、例えば、飼育の環境情報および飼料情報に基づいて、一日当たりの体重増加率を算出する。前記体重増加率を算出する方法は、特に制限されず、例えば、体重増加率算出モデルを使用することができる。前記体重増加率算出モデルは、例えば、家畜の飼育に関する各種情報と、家畜の増加体重との関係性(アルゴリズム)を表すモデルである。前記体重増加率算出モデルは、例えば、記憶部15に記憶され、記憶された体重増加率算出モデルを用いて、前記体重増加率算出部により、入力装置103から入力された各種情報から、一日あたりの体重増加率が算出できる。前記体重増加率算出モデルは、例えば、家畜ごとに、様々な飼育に関する各種情報と、飼育された家畜の増加体重とを学習データとして使用し、学習により生成される。前記学習は、例えば、深層学習等の機械学習等があげられる。前記各種情報は、特に制限されず、前記飼育の環境情報は、例えば、気温、湿度、畜舎内の明るさ等であり、前記飼料情報は、例えば、飼料残量、飲水残量等である。
【0039】
出荷判定表示装置2は、例えば、さらに、出荷予定日判定部17を含んでもよい。出荷予定日判定部17は、前記推定体重が下限未満の場合、出荷スケジュールと、前記必要日数とに基づいて、対象の家畜が出荷可能になる最先の出荷日を判定する。そして、表示部14は、前記視覚情報として、あわせて最先の出荷日を表示する。
【0040】
出荷スケジュールは、例えば、出荷スケジュール情報として、予め記憶部15に格納される。前記出荷スケジュール情報は、例えば、畜産農家等のユーザごとに、適宜設定でき、例えば、入力装置103から入力し、記憶部15に記憶する。例えば、出荷判定表示装置2による判定日が、5月1日であり、5月1日以降の出荷スケジュールが、5月11日、5月21日、5月31日であり、出荷判定部13により、前記推定体重が下限未満であり、体重不足で出荷不可と判定され、さらに、出荷日数算出部16により、17日必要と算出されたとする。この場合、出荷予定日判定部17は、5月1日から17日後の5月18日が出荷可能日であることから、その後の最先の出荷日である5月21日を、出荷日として判定する。
【0041】
つぎに、本実施形態の出荷判定表示方法について、説明する。本実施形態の出荷判定表示方法は、例えば、図4に示す出荷判定表示装置2を用いて実施できる。なお、本発明の実施形態2による出荷判定表示方法は、出荷判定表示装置2の使用には限定されない。また、本実施形態の出荷判定表示方法における記載は、前述した出荷判定表示装置2に援用できる。
【0042】
本実施形態の出荷判定表示方法は、前記実施形態1の方法に対して、さらに、必要日数算出工程を含む。前記必要日数算出工程は、前記推定体重が下限未満の場合、一日当たりの体重増加率と、前記出荷可能な体重の下限と、前記推定体重とに基づき、対象の家畜の体重が、前記下限に達するまでに必要な必要日数を算出する工程であり、出荷判定表示装置2の必要日数算出部16により実施できる。この場合、前記表示工程は、例えば、前記視覚情報として、あわせて、前記必要日数に基づく前記出荷可能な体重への到達情報を表示する。
【0043】
また、本実施形態の出荷判定表示方法は、さらに、体重増加率算出工程を含んでもよい。前記体重算出工程は、飼育の環境情報および飼料情報に基づいて、一日当たりの体重増加率を算出する工程であり、出荷判定表示装置2の前記体重増加率算出部により実施できる。
【0044】
本実施形態の出荷判定表示方法は、さらに、出荷予定日判定工程を含んでもよい。前記出荷予定日判定工程は、前記推定体重が下限未満の場合、出荷スケジュールと、前記必要日数とに基づいて、対象の家畜が出荷可能になる最先の出荷日を判定する工程であり、出荷判定表示装置2の出荷予定日判定部17により実施できる。
【0045】
つぎに、前記実施形態1および前記実施形態2の出荷判定方法について、図5のフローチャートを用いて、より具体的に説明する。本発明の出荷判定方法は、この例に制限されない。前記フローチャートは、一例として、豚舎で飼育する豚の出荷をあげて説明するが、本発明は、これには何ら制限されない。
【0046】
まず、複数の豚が共存する豚舎において、豚の画像を撮像し(S101)、豚画像に含まれる豚一頭ごとに体重を、画像解析により推定する(S102)。そして、豚ごとに、推定体重が、出荷可能体重を満たすか否かを判定する(S103)。
【0047】
前記推定体重が、前記出荷可能体重の上限を超える場合(S104)、体重過多であるとして、出荷不可と判定する(S105)。以下、Aに続く。また、前記推定体重が、前記出荷可能体重の上限以下であり下限以上の場合(S106)、出荷可能と判定する(S107)。以下、Bに続く。
【0048】
前記推定体重が、前記出荷可能体重の下限未満の場合(S108)、体重不足として、出荷不可と判定する(S109)。そして、さらに、出荷不可と判断された豚が、出荷可能な体重の下限に到達するまでの必要日数を算出し(S110)、出荷スケジュールとから、前記必要日数に基づく前記下限に到達する到達予定日とから、最先の出荷予定日を、その豚の出荷予定日として判定する(S111)。以下、Cに続く。
【0049】
そして、つぎに、表示部14に豚画像を表示し、前記豚画像における豚ごとに、判定の可否を表す視覚情報を紐づけて表示する。Aの場合は、体重過多による出荷不可であることを、例えば、文字、記号および色の少なくともいずれかで示す。Bの場合は、出荷可能であることを、例えば、文字、記号および色の少なくともいずれかで示す。Cの場合、体重不足による出荷不可であることを、例えば、文字、記号および色の少なくともいずれかで示し、さらに、前記到達情報(例えば、前記必要日数、または前記下限に到達する到達日等)と前記出荷予定日も、あわせて示す。前記豚画像に複数の豚が写っている場合、例えば、それぞれについての判定を行い、一つの豚画像に、各豚の判定結果をあわせて表示する。
【0050】
[実施形態3]
本発明の実施形態3によるプログラムは、前記本発明の出荷判定表示方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。または、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、前述のような記憶媒体等があげられる。
【0051】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0052】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
画像撮像部、体重推定部、出荷判定部および表示部を含み、
前記画像撮像部は、
家畜を撮像し、
前記体重推定部は、
撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定し、
前記出荷判定部は、
出荷可能な体重の上限および下限と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定し、
前記表示部は、
前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する、
ことを特徴とする出荷判定表示装置。
(付記2)
前記出荷判定部は、前記推定体重が上限を超える場合、体重過多により出荷不可と判定し、前記推定体重が下限未満の場合、体重不足により出荷不可と判定し、
前記表示部は、前記推定体重が上限を超える場合、体重過多による出荷不可を表す視覚情報を表示し、前記推定体重が下限未満の場合、体重不足による出荷不可を表す視覚情報を表示する、付記1に記載の出荷判定表示装置。
(付記3)
前記表示部は、出荷の可否を表す文字、記号および色からなる群から選択された少なくとも一つの視覚情報を表示する、付記1または2に記載の出荷判定表示出荷判定表示装置。
(付記4)
さらに、必要日数算出部を含み、
前記必要日数算出部は、前記推定体重が下限未満の場合、一日当たりの体重増加率と、前記出荷可能な体重の下限と、前記推定体重とに基づき、対象の家畜の体重が、前記下限に達するまでに必要な必要日数を算出し、
前記表示部は、前記視覚情報として、あわせて、前記必要日数に基づく前記出荷可能な体重への到達情報を表示する、付記1から3のいずれかに記載の出荷判定表示装置。
(付記5)
さらに、出荷予定日判定部を含み、
前記出荷予定日判定部は、前記推定体重が下限未満の場合、出荷スケジュールと、前記必要日数とに基づいて、対象の家畜が出荷可能になる最先の出荷日を判定し、
前記表示部は、前記視覚情報として、あわせて、前記最先の出荷日を表示する、付記4に記載の出荷判定表示装置。
(付記6)
さらに、体重増加率算出部を含み、
前記体重算出部は、飼育の環境情報および飼料情報に基づいて、一日当たりの体重増加率を算出する、付記2から5のいずれかに記載の出荷判定表示装置。
(付記7)
画像撮像工程、体重推定工程、出荷判定工程および表示工程を含み、
前記画像撮像工程は、
家畜を撮像し、
前記体重推定工程は、
撮像した家畜画像から、画像解析により、前記家畜画像に含まれる家畜一頭ごとにその体重を推定し、
前記出荷判定工程は、
出荷可能な体重の上限および下限と、前記推定した推定体重とから、前記家畜一頭ごとに、出荷の可否を判定し、
前記表示工程は、
前記家畜画像上に、出荷の可否を表す視覚情報を、前記家畜画像内の前記家畜一頭ごとに紐付けて、表示する、
ことを特徴とする出荷判定表示方法。
(付記8)
前記出荷判定工程は、前記推定体重が上限を超える場合、体重過多により出荷不可と判定し、前記推定体重が下限未満の場合、体重不足により出荷不可と判定し、
前記表示工程は、前記推定体重が上限を超える場合、体重過多による出荷不可を表す視覚情報を表示し、前記推定体重が下限未満の場合、体重不足による出荷不可を表す視覚情報を表示する、付記7に記載の出荷判定表示方法。
(付記9)
前記表示工程は、出荷の可否を表す文字、記号および色からなる群から選択された少なくとも一つの視覚情報を表示する、付記7または8記載の出荷判定表示方法。
(付記10)
さらに、必要日数算出工程を含み、
前記必要日数算出工程は、前記推定体重が下限未満の場合、一日当たりの体重増加率と、前記出荷可能な体重の下限と、前記推定体重とに基づき、対象の家畜の体重が、前記下限に達するまでに必要な必要日数を算出し、
前記表示工程は、前記視覚情報として、あわせて、前記必要日数に基づく前記出荷可能な体重への到達情報を表示する、付記7から9のいずれかに記載の出荷判定表示方法。
(付記11)
さらに、出荷予定日判定工程を含み、
前記出荷予定日判定工程は、前記推定体重が下限未満の場合、出荷スケジュールと、前記必要日数とに基づいて、対象の家畜が出荷可能になる最先の出荷日を判定し、
前記表示部は、前記視覚情報として、あわせて、前記最先の出荷日を表示する、付記10記載の出荷判定表示方法。
(付記12)
さらに、体重増加率算出工程を含み、
前記体重算出工程は、飼育の環境情報および飼料情報に基づいて、一日当たりの体重増加率を算出する、付記7から11のいずれかに記載の出荷判定表示方法。
(付記13)
付記7から12のいずれかに記載の出荷判定表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記14)
付記13に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、出荷の可否の判定結果を、視覚情報として表示できるため、例えば、ユーザの技術や経験にかかわらず、容易に、出荷可能な家畜を決定し、その捕獲をサポートできる。
【符号の説明】
【0054】
1、2 出荷判定表示装置
11 画像撮像部
12 体重推定部
13 出荷判定部
14 表示部
15 記憶部
16 必要日数算出部
17 出荷予定日判定部

図1
図2
図3
図4
図5