(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153194
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20231006BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20231006BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20231006BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231006BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231006BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20231006BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20231006BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G03B5/00 J
G03B30/00
G03B15/00 V
H04N23/50
H04N23/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127722
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2021138403の分割
【原出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 真弘
(72)【発明者】
【氏名】大坂 智彦
(57)【要約】
【課題】電気的特性は変えずに、インダクタを搭載して、小型化が可能であること。
【解決手段】光学素子駆動装置は、光学素子を保持可能な可動部と、圧電素子を振動させることにより可動部を駆動する駆動部と、圧電素子に入力される入力電圧を昇圧させる昇圧部と、を備え、昇圧部は、圧電素子に直列に接続されるインダクタと、圧電素子に並列に接続されるコンデンサとを有する。カメラモジュールは、光学素子駆動装置と、光学素子により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える。カメラ搭載装置は、カメラモジュールと、カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持可能な可動部と、
圧電素子を振動させることにより前記可動部を駆動する駆動部と、
前記圧電素子に入力される入力電圧を昇圧させる昇圧部と、
を備え、
前記昇圧部は、前記圧電素子に直列に接続されるインダクタと、前記圧電素子に並列に接続されるコンデンサとを有する、
光学素子駆動装置。
【請求項2】
前記可動部は、磁石を有し、
前記昇圧部は、前記磁石と対向するように配置されて前記可動部の位置を磁気的に検出する位置検出部を有する基板に配置される、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項3】
前記インダクタは、前記基板において、前記磁石と対向しない位置に配置される、
請求項2に記載の光学素子駆動装置。
【請求項4】
前記位置検出部は、前記基板において、前記磁石と対向する側の面に配置され、
前記インダクタ及び前記コンデンサは、前記基板において、前記磁石と対向しない側の面に配置される、
請求項2又は3に記載の光学素子駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子により結像された被写体像を撮像する撮像部と、
を備える、
カメラモジュール。
【請求項6】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項5に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を駆動する光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォン等の薄型のカメラ搭載装置には、カメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、光学素子を駆動する光学素子駆動装置が使用されている。
【0003】
光学素子駆動装置は、オートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)を有している。光学素子駆動装置は、AF機能により、レンズ(光学素子)を駆動して、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行っている。
【0004】
例えば、特許文献1には、レンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動部と、レンズ駆動部のアクチュエーターへの印加電圧を制御する回路とを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、レンズ駆動装置の小型化等の観点から、レンズの駆動源として圧電素子を含む超音波モーターを用いることが検討されている。超音波モーターを駆動するためには、比較的大きな駆動電圧が必要となる。薄型のカメラ搭載装置において、電源からの入力電圧は比較的小さいので、インダクタを用いて当該入力電圧を昇圧させて超音波モーターに供給する必要がある。
【0007】
しかしながら、入力電圧を所望の電圧に昇圧するためには、大きなサイズのインダクタが必要であり、大きなサイズのインダクタをレンズ駆動装置に搭載する場合には、レンズ駆動装置の小型化を妨げる可能性がある。小さなサイズのインダクタをレンズ駆動装置に搭載する場合には、小さなサイズのインダクタにより、電気的特性、例えば、周波数が所望の共振周波数の値から変化するため、超音波モーターの制御性に影響を与える可能性がある。そのため、電気的特性は変えずに、インダクタをレンズ駆動装置に搭載することが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、電気的特性は変えずに、インダクタを搭載して、小型化が可能な光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な可動部と、
圧電素子を振動させることにより前記可動部を駆動する駆動部と、
前記圧電素子に入力される入力電圧を昇圧させる昇圧部と、
を備え、
前記昇圧部は、前記圧電素子に直列に接続されるインダクタと、前記圧電素子に並列に接続されるコンデンサとを有する。
【0010】
本発明に係るカメラモジュールは、
前記光学素子駆動装置と、
前記光学素子により結像された被写体像を撮像する撮像部と、
を備える。
【0011】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
前記カメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学素子駆動装置において、電気的特性は変えずに、インダクタを搭載して、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す正面図である。
【
図2】カメラモジュール及び撮像部を示す斜視図である。
【
図3】カメラモジュールの光学素子駆動装置が有する光学素子駆動装置本体の斜視図である。
【
図4】
図3に示す光学素子駆動装置本体の異なる方向からの斜視図である。
【
図5】
図3及び
図4に示す光学素子駆動装置本体の分解斜視図である。
【
図6】
図5に示すOIS可動部の分解斜視図である。
【
図7】
図3及び
図4に示す光学素子駆動装置本体の平面図である。
【
図8】OIS固定部とAF可動部との位置関係を示す平面図である。
【
図13】AF可動部及び第1ステージの底面図である。
【
図15】インダクタとコンデンサとを有する本発明の実施の形態に係る駆動回路を示す回路図である。
【
図16】インダクタを有する比較例の駆動回路を示す回路図である。
【
図17】
図10に示すOIS固定部のA-A線矢示断面図である。
【
図18A】車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
[スマートフォン]
図1A及び
図1Bは、本実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
【0017】
カメラモジュールAは、AF機能及び振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を備える。カメラモジュールAは、AF機能により、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うと共に、OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して、像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0018】
[カメラモジュール]
図2は、カメラモジュールA及び撮像部5を示す斜視図である。
図3及び
図4は、
図2に示すカメラモジュールAの光学素子駆動装置1が有する光学素子駆動装置本体4の斜視図である。
図4は、
図3に示した光学素子駆動装置本体4をZ軸周りに180°回転した図である。
図2~
図4に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても、共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。
【0019】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで撮影が行われる場合、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、
図2~
図4において、図中上側(+Z側)が光軸方向受光側、下側(-Z側)が光軸方向結像側である。また、以降において、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称し、XY面を「光軸直交面」と称する。また、光軸に直交する方向を「径方向」と称する。
【0020】
図2に示すように、カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されて構成されるレンズ部2及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部5等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆる、レンズ駆動装置である。
【0021】
[カバー]
光学素子駆動装置1において、光学素子駆動装置本体4は、外側をカバー3で覆われている。カバー3は、光軸方向から見た平面視で矩形状の有蓋四角筒体である。本実施の形態では、カバー3は、平面視で正方形状を有している。カバー3は、上面に略円形の開口301を有する。レンズ部2は、光学素子駆動装置本体4の開口401に収容され、カバー3の開口301から外部に臨み、例えば、光軸方向における移動に伴い、カバー3の開口面よりも光軸方向受光側に突出するように構成されている。カバー3の内壁は、光学素子駆動装置本体4のOIS固定部20のベース21(後述の
図5を参照)に、例えば、接着により固定され、ベース21と共に内部にOIS可動部10等(
図5を参照)を収容する。
【0022】
カバー3は、光学素子駆動装置1の外部からの電磁波を遮断する部材、例えば、磁性体からなるシールド部材を有している。
【0023】
[撮像部]
撮像部5は、光学素子駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像部5は、例えば、イメージセンサー基板501、イメージセンサー基板501に実装される撮像素子502及び制御部503を有する。撮像素子502は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0024】
制御部503は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板501に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。なお、制御部503は、イメージセンサー基板501に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0025】
[光学素子駆動装置本体]
図5は、光学素子駆動装置本体4の分解斜視図である。
図6は、OIS可動部10の分解斜視図である。
図7は、光学素子駆動装置本体4の平面図である。光学素子駆動装置本体4について、
図5~
図7も参照して説明する。
【0026】
光学素子駆動装置本体4は、
図5に示すように、OIS可動部10、OIS固定部20、OIS駆動部30、OIS支持部40及びOIS用付勢部材50を備える。
【0027】
OIS可動部10は、レンズ部2を保持可能であり、振れ補正時に光軸直交面内で揺動する部分である。詳細は後述するが、OIS可動部10は、AF部11、第2ステージ14及びOIS支持部40(Y方向基準ボール42)を有する(
図6を参照)。同じく、詳細は後述するが、AF部11は、AF可動部12、第1ステージ13、AF駆動部15及びAF支持部16A、16Bを有する(
図5、
図6を参照)。
【0028】
OIS固定部20は、
図5に示すように、ベース21、OIS支持部40(X方向基準ボール41)を有する。OIS固定部20は、OIS可動部10に対して光軸方向に離間した位置にOIS支持部40を介して配置され、OIS支持部40によりOIS可動部10を光軸直交方向に揺動可能に支持する部分である。言い換えると、OIS可動部10は、X方向基準ボール41を介して、ベース21に対して光軸方向に離間して配置され、ベース21は、X方向基準ボール41を介して、OIS可動部10を揺動可能に支持する。
【0029】
また、OIS可動部10とOIS固定部20とは、互いに近づく方向に付勢されるように、言い換えると、OIS支持部40を挟む状態を保持するように、OIS用付勢部材50によって弾性接続されている(
図3~
図5を参照)。このOIS用付勢部材50は、導電性材料からなる。詳細は後述するが、OIS用付勢部材50は、レンズ部2等を駆動するための回路とOIS固定部20側の回路との間の導電経路を形成する接続部材としても機能する。本実施の形態では、OIS用付勢部材50は、光学素子駆動装置本体4の平面視における四隅部分(角部分)に配置されている(
図3、
図4を参照)。
【0030】
詳細は後述するが、OIS駆動部30は、OIS可動部10をX方向に駆動する第1OIS駆動部30Xと、OIS可動部10をY方向に駆動する第2OIS駆動部30Yとを有する。
【0031】
本実施の形態では、X方向の移動に関しては、AF部11を含むOIS可動部10の全体が可動体として移動する。つまり、X方向の移動に関しては、OIS固定部20のベース21が固定体を構成し、X方向基準ボール41は、OIS可動部10をX方向に揺動可能に支持するOIS支持部40として機能する。
【0032】
一方、詳細は
図6を参照して後述するが、Y方向の移動に関しては、AF部11が可動体として移動する。つまり、Y方向の移動に関しては、第2ステージ14は、ベース21と共に固定体を構成し、Y方向基準ボール42は、AF部11をY方向に揺動可能に支持するOIS支持部40として機能する。
【0033】
[OIS固定部]
図9は、OIS固定部20の平面図である。また、
図10は、OIS固定部20の底面図である。OIS固定部20について、
図9及び
図10も参照して説明する。
【0034】
OIS固定部20は、ベース21、基板22、第1OIS駆動部30X、OIS支持部40(X方向基準ボール41)を有する(
図5を参照)。
【0035】
[ベース、OIS支持部]
ベース21は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ(例えば、PAR/PC)、又は、液晶ポリマーからなる成形材料で形成される。ベース21は、平面視で矩形状の部材であり、中央に円形の開口211を有する。
【0036】
ベース21は、第1OIS駆動部30Xが配置されるOISモーター固定部217を有する。OISモーター固定部217は、例えば、ベース21の1つの隅部の近傍に設けられ、ベース21から光軸方向受光側に向けて突出して形成され、第1OIS駆動部30Xを保持可能な形状を有している(
図5を参照)。
【0037】
また、ベース21は、OIS支持部40を構成するX方向基準ボール41を保持するX方向基準ボール保持部218を有する。X方向基準ボール41は、X方向基準ボール保持部218と、Z方向において互いに対向する第2ステージ14のX方向基準ボール保持部144(後述の
図12を参照)との間に挟持される。
【0038】
X方向基準ボール保持部218及びX方向基準ボール保持部144は、X方向に延びる矩形状の開口を有する凹部である。X方向基準ボール保持部218及びX方向基準ボール保持部144は、凹部の底面に向かって溝幅が狭くなるように、例えば、断面形状が略V字状(テーパー形状)や略U字状となるように形成される。
【0039】
上述した断面形状を有する凹部が形成する溝は、X方向に平行に形成されており、そのため、X方向基準ボール保持部218とX方向基準ボール保持部144との間に挟持されるX方向基準ボール41は、凹部内において、X方向に転動可能である。つまり、ベース21は、X方向基準ボール41を介して、OIS可動部10(第2ステージ14)をX方向に移動可能に支持している。
【0040】
X方向基準ボール保持部218及びX方向基準ボール保持部144は、矩形状のベース21及び第2ステージ14の四隅の部分に配置され、OIS可動部10(第2ステージ14)は、4個のX方向基準ボール41で、つまり、4点でベース21に支持されている。このように、X方向基準ボール41は、多点接触で挟持されるので、安定してY方向に転動する。
【0041】
なお、OIS可動部10(第2ステージ14)は、少なくとも3点以上でベース21に支持されればよい。例えば、3点で支持する場合には、ベース21及び第2ステージ14の1つの辺側の2箇所と当該辺に対向する辺側の1箇所の合計3箇所にX方向基準ボール保持部218及びX方向基準ボール保持部144を配置すればよい。
【0042】
ベース21の外縁部分には、複数の端子23及び給電配線25Xa、25Xb、25Ya、25Yb、25Za、25Zb、25Zc、25Zdが配置されている(
図9、
図10を参照)。
【0043】
端子23は、例えば、インサート成形により、ベース21に埋設されており、各端子の一端がベース21の上面から露出され(
図9を参照)、他端がベース21の底面から露出されるよう形成されている(
図10を参照)。端子23は、第1OIS駆動部30X、第2OIS駆動部30Y、AF駆動部15を各々駆動する後述のドライバーIC221X、221Y、221Zへの給電及び信号用の端子である。
【0044】
また、給電配線25Xa、25Xbは、ベース21の外縁部分において、内側の端部から外側の端部に渡って、ベース21の上面に露出するよう形成されている(
図9を参照)。また、給電配線25Ya、25Ybは、ベース21の外縁部分である隅部において、内側の端部がベース21の上面に露出し(
図9を参照)、外側の端部がベース21の底面に露出するよう形成されている(
図10を参照)。また、給電配線25Za、25Zb、25Zc、25Zdは、ベース21の外縁部分である隅部において、内側の端部がベース21の上面に露出し(
図9を参照)、外側の端部がベース21の底面に露出するよう形成されている(
図10を参照)。
【0045】
給電配線25Xa、25Xbの内側の端部は、基板22と接続され、後述する昇圧部60を介して、ドライバーIC221Xと接続される。給電配線25Xa、25Xbの外側の端部は、第1OIS駆動部30Xと接続される。また、給電配線25Ya、25Ybの内側の端部は、基板22と接続され、後述する昇圧部60を介して、ドライバーIC221Yと接続される。給電配線25Ya、25Ybの外側の端部は、OIS用付勢部材50、給電配線18Ya、18Ybを介して、第2OIS駆動部30Yと接続される。また、給電配線25Za、25Zb、25Zc、25Zdの内側の端部は、基板22と接続され、後述する昇圧部60を介して、ドライバーIC221Zと接続される。給電配線25Za、25Zb、25Zc、25Zdの外側の端部は、OIS用付勢部材50、給電配線18Za、18Zb、18Zc、18Zdを介して、2つのAF駆動部15と接続される。
【0046】
ここでは、一例として、ドライバーIC221Xは、1つの駆動部の駆動を制御する1チャンネルのドライバーICであり、ドライバーIC221Yも同様の1チャンネルのドライバーICである。また、ドライバーIC221Zは、2つの駆動部の駆動を制御する2チャンネルのドライバーICである。ドライバーIC221X、221Y、221Zにおけるチャンネル数は、駆動対象の駆動部の数に応じて適宜に変更可能である。
【0047】
[基板]
図11は、基板22の底面図である。
図11も参照して、基板22を説明する。
【0048】
基板22は、ベース21の光軸方向受光側に配置されている。基板22は、ベース21の上面に露出された端子23と電気的に接続されており、端子23は、基板22に形成された配線(図示省略)を介して、ドライバーIC221X、221Y、221Z等に接続される。また、ドライバーIC221X、221Y、221Zは、基板22に形成された配線(図示省略)を介して、給電配線25Xa、25Xb、25Ya、25Yb、25Za、25Zb、25Zc、25Zdと接続される。給電配線25Xa、25Xb、25Ya、25Yb、25Za、25Zb、25Zc、25Zdは、上述したように、第1OIS駆動部30X、第2OIS駆動部30Y、AF駆動部15と接続される。
【0049】
ドライバーIC221X、221Y、221Zは、基板22の光軸方向受光側に配置され、各々、磁気センサー(図示省略)を有している。これらの磁気センサーは、例えば、ホール素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)センサー等で構成され、後述するマグネット17X、17Y、17Z(磁石)が発生する磁界を検出して、検出対象のX、Y、Z方向における位置を磁気的に検出する。
【0050】
基板22において、ドライバーIC221X、221Y、221Zは、AF駆動部15、AF支持部16A、16B、第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Yが配置されていない領域に設けられている(
図5を参照)。即ち、平面視で矩形状のベース21における1つの隅部近傍の領域に設けられている(
図9を参照)。これにより、ドライバーIC221X、221Y、221Zを1つの領域に集約して、光学素子駆動装置本体4内のスペースを有効活用することができる。
【0051】
X方向に移動する第2ステージ14の底面側には、後述の
図12に示すように、マグネット17Xが配置されており、ドライバーIC221Xとマグネット17Xとは、互いに対向するように配置されている。ドライバーIC221X及びマグネット17XからなるX方向位置検出部により、第2ステージ14のX方向の位置、すなわち、OIS可動部10のX方向の位置が検出される。
【0052】
また、Y方向に移動する第1ステージ13の底面側には、
図12に示すように、マグネット17Yが配置されており、ドライバーIC221Yとマグネット17Yとは、互いに対向するように配置されている。ドライバーIC221Y及びマグネット17YからなるY方向位置検出部により、第1ステージ13のY方向の位置、すなわち、OIS可動部10のY方向の位置が検出される。
【0053】
また、Z方向に移動するAF可動部12の底面側には、
図12に示すように、マグネット17Zが配置されており、ドライバーIC221Zとマグネット17Zとは、互いに対抗するように配置されている。ドライバーIC221Z及びマグネット17ZからなるZ方向位置検出部により、AF可動部12のZ方向の位置が検出される。
【0054】
なお、上述したマグネット17X、17Y、17ZとドライバーIC221X、221Y、221Zの磁気センサーとの組み合わせに代えて、他の方法により、位置検出を行うようにしてもよい。例えば、フォトリフレクター等の光センサーにより、OIS可動部10のX方向及びY方向の位置及びAF可動部12のZ方向の位置を検出するようにしてもよい。
【0055】
[駆動回路]
光学素子駆動装置1においては、小型化等の観点から、AF駆動部15、第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Yとして、圧電素子を含む超音波モーターを用いている。超音波モーターを駆動するためには、比較的大きな駆動電圧が必要となるが、入力電圧を所望の電圧に昇圧するためには、大きなサイズのインダクタが必要であり、大きなサイズのインダクタを用いる場合には、光学素子駆動装置1の小型化を妨げる可能性がある。一方、小さなサイズのインダクタを用いる場合には、電気的特性、例えば、周波数が所望の共振周波数の値から変化するため、超音波モーターの制御性に影響を与える可能性がある。
【0056】
そこで、本実施の形態においては、
図15に示すように、ドライバーIC221ZとAF駆動部15との間に、インダクタL0とコンデンサCaとを有する昇圧部60を接続する駆動回路の構成としている。
図15は、インダクタL0とコンデンサCaとを有する本実施の形態の駆動回路を示す回路図である。
【0057】
図15及び後述の
図16におけるドライバーIC221Zについて、以下に簡単に説明する。ドライバーIC221Zは、磁気センサーとしてのホール素子を有するものである。端子VDDは入力電源からの入力電圧Vddを入力する端子であり、ホール素子に入力電圧Vddを与えると共に、AF駆動部15の駆動時に駆動電圧を供給する。端子VSSは、駆動回路のグランドに接続される。端子SDAは、デジタルデータ信号の出力及び入力を行う端子である。端子SCLは、クロックデジタル信号を入力する端子である。端子OUT1及びOUT2は、AF駆動部15の駆動に必要な駆動電流を出力する端子である。
図15に示す駆動回路においては、端子OUT1及びOUT2からの電圧を昇圧部60で昇圧して、AF駆動部15へ供給し、AF駆動部15を駆動して、オートフォーカスを行う。
【0058】
また、
図15及び
図16において、AF駆動部15として示される回路は、AF駆動部15の等価回路であり、抵抗R1~R3、インダクタL1~L3、コンデンサC1~C3、Cdを有する。
【0059】
昇圧部60において、インダクタL0はAF駆動部15に直列に接続され、コンデンサCaはAF駆動部15に並列に接続される。昇圧部60をこのような構成にすることにより、電気的特性は変えずに、つまり、端子OUT1及びOUT2からの電圧に対する昇圧電圧や周波数特性は変えずに、
図16に示す比較例と比較して、インダクタL0のインダクタンスを小さくすることができる。
【0060】
図16は、インダクタL1を有する比較例の駆動回路を示す回路図である。
図16に示す駆動回路においては、
図15に示す駆動回路と同じ電気的特性となるように、インダクタL1のインダクタンスが選択されている。
【0061】
図15及び
図16に示す駆動回路においては、当該駆動回路内のインダクタンスと静電容量の組み合わせにより、電気的特性が定まる。
図16に示す駆動回路において、AF駆動部15に対して、所望の昇圧電圧を得るためには、インダクタL1のインダクタンスを大きくする必要がある。インダクタは、一般的に、コイル素子であり、断面積が大きくなると、インダクタンスが大きくなり、また、巻き数が多くなると、インダクタンスが大きくなる。つまり、インダクタンスが大きいと、インダクタのサイズは大きくなり、インダクタンスが小さいと、インダクタのサイズは小さくなる。このように、
図16に示す駆動回路において、インダクタL1のインダクタンスを大きくするので、インダクタL1のサイズは大きくなる。もし、
図16に示す駆動回路において、インダクタL1のサイズを小さくする場合には、インダクタL1のインダクタンスは小さくなり、電気的特性、特に、周波数特性(周波数帯)が変化し、AF駆動部15の制御に影響がある。
【0062】
図15に示す本実施の形態の駆動回路においては、インダクタL1よりインダクタンスの小さいインダクタL0とコンデンサCaとを有する昇圧部60を用いる。
図15に示す駆動回路においては、インダクタL0とコンデンサCaとが寄与するインダクタンスと静電容量との組み合わせにより、インダクタL0よりインダクタンスが大きいインダクタL1を用いる
図16に示す駆動回路と同等の電気的特性を得ることができる。つまり、
図15に示す駆動回路においては、インダクタL1よりインダクタンスの小さいインダクタL0を用いていても、コンデンサCaも用いることにより、所望の周波数特性(周波数帯)を得ることができる。言い換えると、
図15に示す駆動回路において、コンデンサCaも用いることにより、インダクタL0のインダクタンスをインダクタL1より小さくでき、インダクタL0のサイズを小さくすることができる。このように、インダクタL0のサイズを小さくすることができるので、光学素子駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0063】
なお、
図15及び
図16では、一例として、ドライバーIC221ZとAF駆動部15とを有する駆動回路を図示している。本実施の形態では、ドライバーIC221Xと第1OIS駆動部30Xとを有する駆動回路及びドライバーIC221Yと第2OIS駆動部30Yとを有する駆動回路においても、
図15に示す駆動回路と同様に、上述した昇圧部60が接続される。
【0064】
本実施の形態において、光学素子駆動装置1は、2つのAF駆動部15と第1OIS駆動部30Xと第2OIS駆動部30Yとを有しているので、4組のインダクタL0及びコンデンサCaが必要である。このように、インダクタL0の数が多くなっても、上述したように、インダクタL0のサイズは大きくないので、コンデンサCaと共にインダクタL0を基板22に設けることができる(
図10、
図11を参照)。つまり、光学素子駆動装置1の内部に複数組のインダクタL0及びコンデンサCaを配置することができる。
【0065】
また、インダクタL0のサイズは大きくないので、基板22におけるインダクタL0の配置の自由度は高く、光学素子駆動装置1を大きくすることなく、インダクタL0及びコンデンサCaを光学素子駆動装置1の内部に配置することができる。
【0066】
インダクタL0は、磁気性能を有するため、例えば、マグネット17X、17Y、17Zに磁束が流れると、ドライバーIC221X、221Y、221Zの磁気センサーの検出性に影響を与える可能性がある。しかしながら、上述したように、インダクタL0のサイズが大きくないので、磁束が影響する範囲が狭く、インダクタL0からの影響を抑制することができる。この結果、磁気センサーの検出性への影響を抑制することができる。
【0067】
また、上述したように、基板22におけるインダクタL0の配置の自由度は高いため、本実施の形態では、マグネット17X、17Y、17ZやドライバーIC221X、221Y、221Zから離れた位置にインダクタL0を配置することができる。このような配置により、インダクタL0からの磁気的な影響を抑制することができる。
【0068】
例えば、
図10において、ベース21の光軸方向受光側に配置されるマグネット17X、17Y、17Zを図示すると、マグネット17X、17Y、17Zは、図中の左下側に配置されている。インダクタL0は、マグネット17X、17Y、17Zから離れた位置、少なくとも、マグネット17X、17Y、17Zとは対向しない位置に配置されている。このような配置により、インダクタL0とマグネット17X、17Y、17Zとの距離(X、Y方向の距離)を確保することができ、インダクタL0からの磁気的な影響を抑制することができる。この結果、磁気センサーの検出性への影響を抑制することができる。
【0069】
また、インダクタL0は、
図11に示すように、基板22において、マグネット17X、17Y、17Zとは対向しない面である底面側に配置する。この場合、
図10に示すように、ベース21を貫通する開口部219を設け、ベース21の上面に基板22を配置したとき、基板22の底面側に設けたインダクタL0が開口部219内に位置するようにする。また、この場合、製造の容易性を考慮して、インダクタL0と共にコンデンサCaも基板22の底面側に設け、コンデンサCaも開口部219内に位置するようにする。このような構成とすることで、基板22の底面側に設けたインダクタL0の設置スペースを確保する必要は無く、光学素子駆動装置1の低背化を図ることができる。
【0070】
図17は、
図10のA-A線矢示断面図である。ベース21の開口部219内に配置するインダクタL0の下方側の位置P2は、ベース21の底面21aの位置P1から下方側に出ないようにすることが望ましい。例えば、Z方向において、位置P2が位置P1と同じ位置か又は位置P1より光軸方向受光側の位置となるように、インダクタL0のサイズを設定する。また、光学素子駆動装置1の低背化に影響がない場合には、ベース21に対する基板22の位置を光軸方向受光側に調整することで、位置P2が位置P1から下方側に出ないようにしてもよい。例えば、ベース21の上面側に突出部を設け、突出部上に基板22を配置したり、ベース21の上面と基板22の間にスペーサーを介在させたりすることで、位置P2が位置P1から下方側に出ないように調整可能である。
【0071】
このように、インダクタL0を基板22の底面側に配置することで、インダクタL0とマグネット17X、17Y、17Zとの距離(Z方向の距離)を確保することができ、インダクタL0からの磁気的な影響を抑制することができる。この結果、磁気センサーの検出性への影響を抑制することができる。
【0072】
なお、光学素子駆動装置を有するカメラ搭載装置において、光学素子駆動装置とは別にインダクタを配置する構成も考えられる。このような構成において、インダクタの特性にバラツキ(設計値からのズレ)があった場合には、光学素子駆動装置を使用するユーザーが調整を行うことになり、調整作業がユーザーの負担となり、使い勝手の悪化を招く可能性がある。
【0073】
これに対し、本実施の形態においては、光学素子駆動装置1の内部にインダクタL0を設けているので、インダクタL0の特性のバラツキにより調整が必要となることがあっても、光学素子駆動装置1の製品出荷前に調整を実施可能である。このため、光学素子駆動装置1を使用するユーザーが調整を行う必要は無く、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。また、上述したように、本実施の形態においては、光学素子駆動装置1の内部にドライバーIC221X、221Y、221Zも設けている。そのため、光学素子駆動装置1とは別にドライバーIC221X、221Y、221Zを用意する必要は無く、これもユーザーの使い勝手の向上に寄与する。
【0074】
[OIS駆動部]
OIS駆動部30は、OIS可動部10をX方向及びY方向に移動させるアクチュエーターである。具体的には、OIS駆動部30は、OIS可動部10全体をX方向に移動させる第1OIS駆動部30Xと、OIS可動部10の一部(AF部11)をY方向に移動させる第2OIS駆動部30Yとを有する。
【0075】
第1OIS駆動部30Xと第2OIS駆動部30Yとは、配置する方向に違いはあるが、同等の構成要素を有しているので、同等の構成要素には同じ符号を付し、
図5を参照して説明する。
【0076】
第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Yは、OIS可動部10を移動させる駆動源となる超音波モーターを有する。第1OIS駆動部30Xは、ベース21のX方向に沿うOISモーター固定部217に固定される。また、第2OIS駆動部30Yは、第1ステージ13のY方向に沿うOISモーター固定部134に固定される。すなわち、第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Yは、OIS可動部10において、互いに直交する辺(側面)に沿ってそれぞれ配置されている。
【0077】
第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Yは、共振部であるOIS共振部31、圧電素子であるOIS圧電素子32及び動力伝達部であるOIS動力伝達部34を有する。OIS駆動部30の駆動力は、OIS動力伝達部34を介して、他の部材に伝達される。具体的には、第1OIS駆動部30Xは、OIS動力伝達部34を介して、第2ステージ14に接続され、その駆動力が伝達される。また、第2OIS駆動部30Yは、OIS動力伝達部34を介して、第2ステージ14に接続され、その駆動力が伝達される。OIS駆動部30において、OIS共振部31が能動要素を構成し、OIS動力伝達部34が受動要素を構成する。
【0078】
OIS共振部31は、導電性材料で形成され、後述するOIS圧電素子32に挟持され、OIS圧電素子32の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。OIS共振部31は、例えば、金属板のレーザー加工、エッチング加工又はプレス加工等により形成される。
【0079】
第1OIS駆動部30XのOIS共振部31は、例えば、リベットや接着剤等により、OISモーター固定部217(ベース21側)に固定される。第2OIS駆動部30YのOIS共振部31は、例えば、リベットや接着剤等により、OISモーター固定部134(第1ステージ13側)に固定される。
【0080】
OIS圧電素子32は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。2枚のOIS圧電素子32は、OIS共振部31を挟み込むように、貼り合わされて配置されている。
【0081】
第1OIS駆動部30XのOIS圧電素子32は、例えば、電極部材(図示省略)等により、上述した給電配線25Xa、25Xb部と電気的に接続される。第2OIS駆動部30YのOIS圧電素子32は、例えば、電極部材(図示省略)等により、上述した給電配線18Ya、18Ybと電気的に接続される。このような接続により、OIS圧電素子32には電圧を印加可能であり、電圧を印加することにより、OIS圧電素子32には振動が発生する。
【0082】
上述したOIS共振部31は、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、OIS共振部31は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するよう構成されている。異なる挙動とは、OIS動力伝達部34をX方向又はY方向に前進させる挙動と、後退させる挙動である。従って、OIS圧電素子32を所望の共振周波数で振動させることにより、OIS動力伝達部34をX方向又はY方向に前進又は後退させることができる。
【0083】
OIS動力伝達部34は、X方向又はY方向に延在するチャッキングガイドであり、その一端がOIS共振部31に当接され、OIS共振部31からの駆動力が伝達される。OIS動力伝達部34の他端であるステージ固定部35は、第2ステージ14に接続される。具体的には、第1OIS駆動部30Xのステージ固定部35は、第2ステージ14のOISチャッキングガイド固定部145Xに固定される。また、第2OIS駆動部30Yのステージ固定部35は、第2ステージ14のOISチャッキングガイド固定部145Yに固定される。
【0084】
このように、第2OIS駆動部30Yは、OISモーター固定部134を介して、第1ステージ13(OIS可動部10側)に固定され、OIS動力伝達部34を介して、第2ステージ14と接続されている。第2OIS駆動部30Yは、Y方向の振れ補正時に駆動され、第2ステージ14に対して、第1ステージ13がY方向に移動するよう駆動する。なお、第2OIS駆動部30Yは、第1OIS駆動部30XによるX方向の振れ補正時には、第1ステージ13(OIS可動部10)と共に移動する。
【0085】
また、第1OIS駆動部30Xは、OISモーター固定部217を介して、ベース21(OIS固定部20側)に固定され、OIS動力伝達部34を介して、第2ステージ14と接続されている。第1OIS駆動部30Xは、X方向の振れ補正時に駆動され、ベース21(OIS固定部20)に対して、第2ステージ14がX方向に移動するよう駆動する。第1OIS駆動部30Xは、ベース21(OIS固定部20)に対して、第2ステージ14をX方向に移動させるので、第2OIS駆動部30YによるY方向の振れ補正に影響を受けない。
【0086】
すなわち、一方のOIS駆動部30による移動は、他方のOIS駆動部30の構造によって妨げられない。従って、OIS可動部10のZ軸周りの回転を防止することができ、OIS可動部10をXY平面内で精度よく揺動させることができる。
【0087】
[OIS支持部]
OIS支持部40は、OIS固定部20に対して、OIS可動部10を光軸方向に離間した状態で光軸直交方向に揺動可能に支持する。本実施の形態では、OIS支持部40は、OIS可動部10(第2ステージ14)とベース21の間に介在する4個のX方向基準ボール41を有する(
図5を参照)。また、OIS支持部40は、OIS可動部10において、第1ステージ13と第2ステージ14の間に介在する4個のY方向基準ボール42を有する(
図6を参照)。
【0088】
本実施の形態では、4個のX方向基準ボール41は、上述したように、X方向に転動可能であり、転動可能な方向がX方向に規制されている。また、4個のY方向基準ボール42は、後述するように、Y方向に転動可能であり、転動可能な方向がY方向に規制されている。このように、X方向基準ボール41及びY方向基準ボール42の転動可能な方向を規制することにより、OIS可動部10をXY面内で精度よく揺動できるようになっている。なお、OIS支持部40を構成するX方向基準ボール41及びY方向基準ボール42の数は、適宜変更することができる。
【0089】
[OIS用付勢部材]
矩形状のOIS可動部10及びOIS固定部20の四隅部分(角部分)には、それぞれOIS用付勢部材50が配置されている。OIS用付勢部材50は、例えば、引張コイルばねで構成され、OIS可動部10とOIS固定部20とを連結する。
【0090】
OIS用付勢部材50の光軸方向結像側の端部は、ベース21の底面の隅部から露出される給電配線25Ya、25Yb、25Za、25Zb、25Zc、25Zdと接続されている(
図10を参照)。一方、光軸方向受光側の端部は、第1ステージ13の給電配線18Ya、18Yb、18Za、18Zb、18Zc、18Zdと接続されている(
図3、
図4を参照)。
【0091】
OIS用付勢部材50は、OIS可動部10とOIS固定部20とを連結したときの引張荷重を受けて、OIS可動部10とOIS固定部20が互いに近接するように作用する。すなわち、OIS可動部10は、OIS用付勢部材50によって、光軸方向結像側に付勢された状態(ベース21に押し付けられた状態)で、XY面内で揺動可能に保持されている。これにより、OIS可動部10をがたつきのない安定した状態で保持することができる。ここでは、2つAF駆動部15の径方向外側に2つのOIS用付勢部材50を配置しており、AF駆動部15を安定した状態で駆動できるようにしている。
【0092】
また、OIS用付勢部材50は、導電性材料からなり、AF駆動部15及び第2OIS駆動部30Yへの給電ライン(導電経路)として機能する。
【0093】
また、OIS用付勢部材50は、第1ステージ13及び第2ステージ14においては、これらの四隅(角部分)を切り欠いた切欠部(符号省略)に配置されている(
図3、
図4を参照)。第1ステージ13及び第2ステージ14に切欠部を形成しているので、ベース21を大きくすることなく、OIS用付勢部材50を配置することができ、装置サイズの増大を抑制すること、つまり、光学素子駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0094】
[OIS可動部]
図12は、OIS可動部10の底面図である。
図12も参照して、OIS可動部10を説明する。
【0095】
OIS可動部10は、レンズ部2(
図2を参照)を保持可能に構成されており、
図5、
図6に示すように、AF部11、第2ステージ14等を有する。また、AF部11は、AF可動部12、第1ステージ13、AF駆動部15及びAF支持部16A、16B等を有する。OIS可動部10は、OIS機能としては、OIS固定部20のベース21上に第1ステージ13と第2ステージ14とを積層して構成されている。
【0096】
また、OIS可動部10は、OIS駆動部30(第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Y)によりAF可動部12と共に光軸直交方向に移動可能に構成されている。X方向の移動に関しては、第1ステージ13及び第2ステージ14を含むOIS可動部10全体が可動体となる。一方、Y方向の移動に関しては、第2ステージ14はOIS固定部20と共に固定体として機能し、AF部11(AF可動部12及び第1ステージ13)だけが可動体として機能する。また、第1ステージ13は、AF可動部12を支持するAF固定部として機能する。
【0097】
[AF可動部]
図8は、OIS固定部20とAF可動部12との位置関係を示す平面図である。また、
図14は、AF可動部12の底面図である。
図8及び
図13も参照して、AF可動部12を説明する。なお、
図8では、OIS固定部20とAF可動部12との位置関係を示すため、OIS固定部20とAF可動部12とを図示しており、第1ステージ13及び第2ステージ14は図示していない。
【0098】
AF可動部12は、レンズ部2(
図2を参照)を保持可能なレンズホルダーであり、レンズ部2を保持した状態でAF駆動部15により光軸方向(Z方向)に移動可能に構成されている。AF可動部12は、例えば、AF機能のピント合わせ時に光軸方向に移動される。AF可動部12は、第1ステージ13(AF固定部)に対して径方向内側(レンズ部2側)に離間して配置され、AF支持部16A、16Bを介して、第1ステージ13に支持される(
図5を参照)。
【0099】
AF可動部12は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ、液晶ポリマー等で形成される。
【0100】
AF可動部12は、内側が筒状に開口するレンズ収容部121を有する。レンズ収容部121の内周面121aには、レンズ部2が、例えば、接着等により固定される。
【0101】
AF可動部12は、レンズ収容部121の外周面121bの一部から径方向外側に突出すると共に、光軸方向結像側に延在する突出部123を有する。突出部123の内部には、Z位置検出用のマグネット17Zが設けられている。マグネット17Zは、上述したように、光軸方向において、基板22のZ位置用のドライバーIC221Z(磁気センサー)と対向する位置に配置されている(
図8等を参照)。突出部123は、後述する第1ステージ13の挿入孔132に挿入され、AF可動部12がZ方向に移動する際に、挿入孔132に沿って移動する。
【0102】
また、レンズ収容部121の外周面121bには、AF支持部16A、16Bを構成する第1レール部材161が取り付けられている。ここでは、一例として、レンズ収容部121の外周面121bの3箇所に第1レール部材161が取り付けられている。AF可動部12は、第1レール部材161等を有するAF支持部16A、16Bにより、Z方向に移動可能に支持される。第1レール部材161を有するAF支持部16A、16Bについては後述する。
【0103】
また、レンズ収容部121は、図示省略したAF接続部材によりAF駆動部15と接続されている。AF可動部12は、レンズ収容部121に接続されたAF接続部材を介して、AF駆動部15に駆動されて、Z方向に移動する。
【0104】
[AF駆動部]
AF駆動部15は、AF可動部12をZ方向に移動させるアクチュエーターである。AF駆動部15は、OIS駆動部30と同様に、AF可動部12を移動させる駆動源となる超音波モーターを有する。
【0105】
AF駆動部15は、大きさや形状等には相違があるが、基本的には、OIS駆動部30と同様の構成であり、共振部であるAF共振部、圧電素子であるAF圧電素子及び動力伝達部であるAF動力伝達部を有する。そのため、AF駆動部15については、その構成要素の図示を省略すると共に、重複する説明も省略する。
【0106】
AF駆動部15は、例えば、リベットや接着剤等により、第1ステージ13の開口131の内周面131aに固定される。内周面131aに固定されたAF駆動部15の駆動力は、AF動力伝達部、AF接続部材を介して、AF可動部12に伝達される。AF駆動部15においても、AF共振部が能動要素を構成し、AF動力伝達部が受動要素を構成する。
【0107】
本実施の形態では、一対のAF駆動部15が設けられている。一対のAF駆動部15は、内周面131aにおいて、AF支持部16A、16Bが配置された箇所とは異なる箇所に配置され、互いに対向する箇所(OIS可動部10の対角位置)に分散して配置されている(
図7を参照)。
【0108】
[第1ステージ]
図13は、AF可動部12及び第1ステージ13の底面図である。
図13も参照して、第1ステージ13を説明する。
【0109】
第1ステージ13は、AF支持部16A、16Bを介して、AF可動部12を支持する。第1ステージ13の光軸方向結像側には、Y方向基準ボール42を介して、第2ステージ14が配置される。第1ステージ13は、振れ補正時にX方向及びY方向に移動し、第2ステージ14は、振れ補正時にX方向のみに移動する。
【0110】
第1ステージ13は、光軸方向から見た平面視において略矩形状を有する部材であり、例えば、液晶ポリマーで形成される。第1ステージ13は、AF可動部12に対応する部分に略円形状の開口131を有する。第1ステージ13には、AF可動部12の突出部123に対応する挿入孔132が形成されている(
図6を参照)。
【0111】
第1ステージ13は、下面に、OIS支持部40を構成するY方向基準ボール42を保持するY方向基準ボール保持部133を有する(
図13を参照)。Y方向基準ボール42は、Y方向基準ボール保持部133と、Z方向において対向する第2ステージ14のY方向基準ボール保持部143との間に挟持される(
図6を参照)。
【0112】
Y方向基準ボール保持部133及びY方向基準ボール保持部143は、Y方向に延びる矩形状の開口を有する凹部である。Y方向基準ボール保持部133及びY方向基準ボール保持部143は、凹部の底面に向かって溝幅が狭くなるように、例えば、断面形状が略V字状(テーパー形状)や略U字状となるように形成される。
【0113】
上述した断面形状を有する凹部が形成する溝は、Y方向に平行に形成されており、そのため、Y方向基準ボール保持部133とY方向基準ボール保持部143との間に挟持されるY方向基準ボール42は、凹部内において、Y方向に転動可能である。つまり、OIS可動部10において、第2ステージ14は、Y方向基準ボール42を介して、第1ステージ13をY方向に移動可能に支持している。
【0114】
Y方向基準ボール保持部133及びY方向基準ボール保持部143は、矩形状の第1ステージ13及び第2ステージ14の四隅の部分に配置され、第1ステージ13は、4個のY方向基準ボール42で、つまり、4点で第2ステージ14に支持されている。このように、Y方向基準ボール42は、多点接触で挟持されるので、安定してY方向に転動する。
【0115】
なお、第1ステージ13は、少なくとも3点以上で第2ステージ14に支持されればよい。例えば、3点で支持する場合には、第1ステージ13及び第2ステージ14の1つの辺側の2箇所と当該辺に対向する辺側の1箇所の合計3箇所にY方向基準ボール保持部133及びY方向基準ボール保持部143を配置すればよい。
【0116】
第1ステージ13において、第2OIS駆動部30Yが配置されるOISモーター固定部134は、径方向外側にはみ出すことなく、第2OIS駆動部30Yを配置できるよう、径方向内側に凹んで形成されている(
図6を参照)。同様に、第1ステージ13において、第1OIS駆動部30Xが配置される凹部137も、径方向内側に凹んで形成されている。
【0117】
第1ステージ13において、開口131の内周面131aには、開口131の中心に対して点対称となる位置の2箇所にAFモーター固定部(符号省略)が設けられており、2箇所のAFモーター固定部にAF駆動部15が各々配置されて固定されている。
【0118】
また、開口131の内周面131aには、AF支持部16A、16Bを構成する第2レール部材164、165が取り付けられている。ここでは、一例として、開口131の内周面131aの3箇所に第2レール部材164、165が取り付けられている。第2レール部材164、165を有するAF支持部16A、16Bについては後述する。
【0119】
また、第1ステージ13において、X方向に沿う一方の枠部分の底面には、Y位置検出用のマグネット17Yが配置される(
図13を参照)。例えば、マグネット17YはY方向に着磁される。上述したように、基板22においては、マグネット17Yと光軸方向に対向する位置に、Y位置検出用の磁気センサーを有するドライバーIC221Yが配置される(
図8、
図9等を参照)。
【0120】
また、第1ステージ13には、例えば、インサート成形により、給電配線18Ya、18Yb、18Za、18Zb、18Zc、18Zdが埋設されている(
図6を参照)。給電配線18Ya、18Yb、18Za、18Zb、18Zc、18Zdは、第1ステージ13の四隅の角部分を切り欠いた切欠部(符号省略)から露出しており、この部分に、OIS用付勢部材50の一端が接続される。
【0121】
給電配線18Ya、18Ybは、第1ステージ13の内部において、四隅の切欠部から給電対象の第2OIS駆動部30Yの近傍まで延在するよう形成され、第2OIS駆動部30Yと接続されている。また、給電配線18Za、18Zbは、第1ステージ13の内部において、四隅の切欠部から給電対象の1つのAF駆動部15の近傍まで延在するよう形成され、当該AF駆動部15と接続されている。また、給電配線18Zc、18Zdは、第1ステージ13の内部において、四隅の切欠部から給電対象の他の1つのAF駆動部15の近傍まで延在するよう形成され、当該AF駆動部15と接続されている。
【0122】
以上のような構成により、給電配線18Ya、18Ybを介して、第1ステージ13をY方向に移動させる第2OIS駆動部30Yへの給電が行われる。また、給電配線18Za、18Zb、18Zc、18Zdを介して、AF可動部12をZ方向に移動させるAF駆動部15への給電が行われる。
【0123】
[第2ステージ]
第2ステージ14は、光軸方向から見た平面視において略矩形状を有する部材であり、例えば、液晶ポリマーで形成される。第2ステージ14の開口141は、略矩形状に形成されている(
図6を参照)。第2ステージ14において、第2OIS駆動部30Yが配置される凹部146は、第1ステージ13と同様に、径方向内側に凹んで形成されている。第1OIS駆動部30Xが配置される切欠部147は、隅部分を切り欠いた部分と一体に形成されている。
【0124】
第2ステージ14は、上面に、OIS支持部40を構成するY方向基準ボール42を保持するY方向基準ボール保持部143を有する。Y方向基準ボール保持部143については、Y方向基準ボール保持部143に対向して配置される上記のY方向基準ボール保持部133と同様の構成でよいので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0125】
また、第2ステージ14は、下面に、OIS支持部40を構成するX方向基準ボール41を保持するX方向基準ボール保持部144を有する(
図12を参照)。X方向基準ボール保持部144については、X方向基準ボール保持部144に対向して配置される上記のX方向基準ボール保持部218と同様の構成でよいので、ここでも、重複する説明は省略する。
【0126】
また、第2ステージ14において、Y方向に沿う一方の枠部分の底面には、X位置検出用のマグネット17Xが配置される(
図12を参照)。例えば、マグネット17XはX方向に着磁される。上述したように、基板22においては、マグネット17Xと光軸方向に対向する位置に、X位置検出用の磁気センサーを有するドライバーIC221Xが配置される(
図8、
図9等を参照)。
【0127】
上述したように、本実施の形態では、X方向に移動する第2ステージ14にマグネット17Xを配置し、Y方向に移動する第1ステージ13にマグネット17Yを配置している(
図12、
図13を参照)。そして、Y方向のみに移動するときは、第1ステージ13は移動するが、第2ステージ14は移動せず、第2ステージ14に配置したマグネット17Xも移動しない。そのため、マグネット17XによるX方向の位置検出の際に、マグネット17Yの影響がなくなり、検出精度を向上させることができる。
【0128】
[AF支持部]
上述したように、AF可動部12のレンズ収容部121の外周面121bには第1レール部材161が取り付けられており、第1ステージ13の開口131の内周面131aには第2レール部材164、165が取り付けられている(
図6を参照)。
【0129】
第1レール部材161と第2レール部材164との間に、リテーナー163に保持されたZ方向基準ボール162が挟持されて、AF支持部16Aが構成されている。また、第1レール部材161と第2レール部材165との間に、リテーナー163に保持されたZ方向基準ボール162が挟持されて、AF支持部16Bが構成されている。つまり、AF支持部16Aは、第1レール部材161、Z方向基準ボール162、リテーナー163及び第2レール部材164を有している。また、AF支持部16Bは、第1レール部材161、Z方向基準ボール162、リテーナー163及び第2レール部材165を有している。
【0130】
第1レール部材161は、AF可動部12と共に自身がZ方向に移動する際にZ方向基準ボール162を回転可能に挟持する挟持面(符号省略)と、レンズ収容部121の外周面121bに取り付ける爪部(符号省略)とを有している。当該挟持面は、光軸方向に延在する湾曲面であり、平面視において、その中央部がレンズ収容部121の内側に凹むよう湾曲している。爪部は、レンズ収容部121の内側に向かって延在し、挟持面を挟む2箇所に配置されている。
【0131】
レンズ収容部121の外周面121bには、爪部を挿入する挿入溝(符号省略)が形成されている。挿入溝に爪部を挿入し、固定することで、第1レール部材161はレンズ収容部121の外周面121bに取り付けられる。
【0132】
第2レール部材164も、Z方向基準ボール162を回転可能に挟持する挟持面(符号省略)を有している。当該挟持面は、光軸方向に延在する湾曲面であり、平面視において、その中央部がレンズ収容部121の外周面121bに対して外側に凹むよう湾曲している。
【0133】
第2レール部材164は、開口131の内周面131aに形成された溝部(符号省略)に配置されて、例えば、接着剤等の接合法により、溝部に固定されている。
【0134】
第2レール部材165は、開口131の内周面131aに形成された凹部(符号省略)に固定される固定部(符号省略)と、付勢力を付与するようZ方向基準ボール162に接触する付与部(符号省略)とを有する。
【0135】
付与部の内側(第1レール部材161側)は、Z方向基準ボール162を回転可能に挟持する挟持面(符号省略)となっている。当該挟持面は、光軸方向に延在する湾曲面であり、平面視において、その中央部がレンズ収容部121の外周面121bに対して外側に凹むよう湾曲している。
【0136】
付与部は、付与部を挟むように2箇所に配置された変形部に接続される。平面視において、変形部は、蛇行形状に形成されており、2箇所に配置された変形部は、付与部を挟んで、線対称となるように配置されている。このように形成された変形部は弾性変形可能であり、弾性変形で生じる復元力を付勢力として、付与部に伝達する。つまり、第2レール部材165は、弾性部材として機能する。
【0137】
3つの支持部を設ける場合、2つのAF支持部16Aと1つのAF支持部16Bとの組み合わせとすると、スペースを要するAF支持部16Bを1つ設ければよいので、省スペースを図ることができ、装置全体の小型化を図ることができる。また、複雑な形状の第2レール部材165を1つ設ければよいので、これを複数設ける場合と比較して、コストダウンを図ることができる。
【0138】
リテーナー163は、一例として、2つのZ方向基準ボール162を保持している。リテーナー163により、2つのZ方向基準ボール162は、光軸方向に沿って並ぶよう配置されて、光軸方向における位置決めがなされると共に、互いの距離が一定に保たれるよう保持される。リテーナー163は、3つ以上のZ方向基準ボール162(ボール)を有するものでもよいが、2つボールを有する場合は、3つ以上のボールを有する場合と比較して、ボールの直径を大きくすることができ、ボールの転がり抵抗を小さくすることができる。
【0139】
ここでは、一例として、2つのAF支持部16Aと1つのAF支持部16Bが配置されており、AF支持部16A、16Bにより、AF可動部12は、第1ステージ13に対して、Z方向に移動可能に支持されている。AF支持部16A、16Bは、第1ステージ13の開口131の内周面131aにおいて、周方向の少なくとも3箇所に分散した位置に各々配置されている。
【0140】
AF支持部16A、16Bを3箇所に分散して配置する場合、AF支持部16A、16Bの間の角度は、120°間隔で配置することが望ましいが、この角度は適宜に変更可能である。
【0141】
また、AF支持部16A、16Bは、開口131の内周面131aの4箇所以上に分散して配置されてもよいが、対象を安定して支持可能な3点支持を基本として、3点支持の間を更に支持するよう、6箇所や9箇所等の3の倍数箇所に配置されることが望ましい。
【0142】
AF支持部16A、16Bにおいて、Z方向基準ボール162は、第2レール部材164、165により、第1レール部材161に向かって押圧、付勢するよう構成されている。つまり、Z方向基準ボール162は、第1レール部材161に当接して、開口131の内側に向かう方向に押圧、付勢するよう構成されている。このとき、Z方向基準ボール162が第1レール部材161を押圧する押圧力は、光軸方向から見て、開口131の内側に位置する一点に、例えば、開口131の中心(光軸の位置)に向かう方向であることが望ましい。
【0143】
開口131の内周面131aにおいて、AF支持部16A、16BとAF駆動部15とは、互いに異なる箇所に配置されている。ここでは、一例として、合計3つのAF支持部16A、16Bと合計2つのAF駆動部15とが配置されている。更に具体的には、一方のAF支持部16AとAF支持部16Bとの間に一方のAF駆動部15が配置され、他方のAF支持部16AとAF支持部16Bとの間に他方のAF駆動部15が配置されている。この場合、AF駆動部15は、AF支持部16A、16Bと同様に、開口131の内周面131aにおいて、周方向に分散して各々配置される。ここでは、AF駆動部15は、AF支持部16A、16Bが配置された箇所とは異なる箇所であって、開口131の中心に対して点対称となる位置の2箇所に配置する。
【0144】
AF支持部16A、16Bは、開口131の内周面131aの少なくとも3箇所に分散して配置されているので、第1ステージ13は、AF支持部16A、16Bを介して、AF可動部12を安定して支持することができる。加えて、AF支持部16A、16BのZ方向基準ボール162が第1レール部材161に当接して、レンズ収容部121の内側に向かう方向に押圧、付勢するよう構成されている。このため、AF可動部12をレンズ収容部121の内側に向かう方向に押圧、付勢しながら、AF可動部12を光軸方向に移動可能に支持することになり、レンズ部2の傾き(チルト)を抑制することができる。この結果、第1ステージ13は、AF支持部16A、16Bを介して、AF可動部12及びレンズ部2を安定して移動可能に支持することができる。
【0145】
なお、AF支持部16A、16Bは、Z方向基準ボール162を用いる構成であるが、Z方向基準ボール162に代えて、ローラー部材を用いてもよい。その場合、ローラー部材の形状や配置等に応じて、第1レール部材161や第2レール部材164、165の形状等を変更すればよい。また、Z方向基準ボール162、リテーナー163に代えて、光軸方向に延在するシャフト部材やレンズ収容部121の外周面121bから外側に突出する突出部又は開口131の内周面131aから内側に突出する突出部でもよい。その場合、シャフト部材や突出部が光軸方向に摺動可能に支持されるよう、第1レール部材161や第2レール部材164、165の形状等を変更すればよい。
【0146】
[光学素子駆動装置の動作]
光学素子駆動装置1において、AF駆動部15に電圧を印加すると、AF圧電素子が振動し、AF共振部が周波数に応じた挙動で共振して変形する。AF共振部の変形により、AF動力伝達部はZ方向に移動する。これに伴い、AF可動部12がZ方向に移動し、ピント合わせが行われる。AF支持部16A、16Bがボール(Z方向基準ボール162)を有しているので、AF可動部12はZ方向にスムーズに移動することができる。また、AF駆動部15において、AF動力伝達部は、付勢された状態でAF共振部と当接しているので、当接部分をZ方向に長くするだけで、光学素子駆動装置1の低背化を損なうことなく、AF可動部12の移動ストロークを容易に長くすることができる。
【0147】
また、光学素子駆動装置1において、OIS駆動部30に電圧を印加すると、OIS圧電素子32が振動し、OIS共振部31が周波数に応じた挙動で共振して変形する。OIS共振部31の変形により、OIS動力伝達部34はX方向、Y方向に移動する。これに伴い、OIS可動部10がX方向、Y方向に移動し、振れ補正が行われる。OIS支持部40がボール(X方向基準ボール41、Y方向基準ボール42)を有しているので、OIS可動部10はX方向、Y方向にスムーズに移動することができる。
【0148】
具体的には、第2OIS駆動部30Yが駆動され、そのOIS動力伝達部34がY方向に移動する場合、第2OIS駆動部30Yが配置されている第1ステージ13から第2ステージ14に動力が伝達される。このとき、第2ステージ14とベース21とで挟持されているX方向基準ボール41は、Y方向に転動できないので、ベース21に対する第2ステージ14のY方向の位置は維持される。一方、第1ステージ13と第2ステージ14とで挟持されているY方向基準ボール42は、Y方向に転動できるので、第2ステージ14に対して第1ステージ13がY方向に移動する。つまり、ベース21及び第2ステージ14がOIS機能の固定体となり、AF部11(AF可動部12及び第1ステージ13)がOIS機能の可動体となる。
【0149】
また、第1OIS駆動部30Xが駆動され、そのOIS動力伝達部34がX方向に移動する場合、第1OIS駆動部30Xが配置されているベース21から第2ステージ14に動力が伝達される。このとき、第1ステージ13と第2ステージ14とで挟持されているY方向基準ボール42は、X方向に転動できないので、第2ステージに対する第1ステージ13のX方向の位置は維持される。一方、第2ステージ14とベース21とで挟持されているX方向基準ボール41は、X方向に転動できるので、ベース21に対して第2ステージ14がX方向に移動する。第1ステージ13も第2ステージ14に追従してX方向に移動することになる。つまり、ベース21がOIS機能の固定体となり、AF部11(AF可動部12及び第1ステージ13)及び第2ステージ14がOIS機能の可動体となる。
【0150】
このようにして、OIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。具体的には、カメラモジュールAの角度振れが相殺されるように、振れ検出部(例えば、ジャイロセンサー)からの角度振れを示す検出信号に基づいて、第1OIS駆動部30X、第2OIS駆動部30Yへの通電電圧が制御される。このとき、マグネット17X、17Y及びドライバーIC221X、221Yの磁気センサーで構成されるX、Y位置検出部の検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の並進移動を正確に制御することができる。
【0151】
[効果]
本実施の形態の光学素子駆動装置1では、AF駆動部15、第1OIS駆動部30X及び第2OIS駆動部30Yに対する駆動電圧の昇圧部として、インダクタL0とコンデンサCaとを有する昇圧部60を用いる。そのため、電気的特性、例えば、昇圧電圧や周波数特性は変えずに、インダクタL0のインダクタンスを小さくすることができる。そして、インダクタL0のインダクタンスを小さくすることができるので、インダクタL0のサイズを小さくすることができ、光学素子駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0152】
また、本実施の形態の光学素子駆動装置1では、インダクタL0のサイズを小さくすることができるので、インダクタL0の磁束が影響する範囲が狭く、ドライバーIC221X、221Y、221Zの磁気センサーの検出性への影響を抑制することができる。
【0153】
また、本実施の形態の光学素子駆動装置1では、インダクタL0は、そのサイズが小さいので、マグネット17X、17Y、17Zと対向しない位置に配置可能である。そのため、インダクタL0とマグネット17X、17Y、17Zとの距離(X、Y方向の距離)を確保することができ、インダクタL0からの磁気的な影響を抑制することができる。この結果、ドライバーIC221X、221Y、221Zの磁気センサーの検出性への影響を抑制することができる。
【0154】
また、本実施の形態の光学素子駆動装置1では、インダクタL0は、そのサイズが小さいので、基板22において、マグネット17X、17Y、17Zと対向しない側の面(基板22の底面)に配置可能である。そのため、インダクタL0とマグネット17X、17Y、17Zとの距離(Z方向の距離)を確保することができ、インダクタL0からの磁気的な影響を抑制することができる。この結果、ドライバーIC221X、221Y、221Zの磁気センサーの検出性への影響を抑制することができる。
【0155】
また、本実施の形態の光学素子駆動装置1によれば、OIS駆動部30と共に、AF駆動部15が超音波モーターで構成されているので、外部磁気の影響を低減できると共に、上述した構成により、小型化及び低背化を図ることができる。
【0156】
また、
図1Bに示すスマートフォンMのように、光学素子駆動装置1を有するカメラモジュールAを互いに近接して配置しても、磁気的な影響はないので、デュアルカメラ用として極めて好適である。
【0157】
また、AF可動部12は、上述したAF支持部16A、16Bに支持されているので、AF可動部12の移動動作が安定して、光学素子駆動装置1の駆動性能が格段に向上する。
【0158】
[他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0159】
例えば、上記実施の形態では、スマートフォンMを例に挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部とを有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、例えば、自動車を含む。
【0160】
図18A、
図18Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。
図18Aは自動車Vの正面図であり、
図18Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、上記実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図18A、
図18Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0161】
また、上記実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズム等のレンズ以外の光学素子であってもよい。また、オートフォーカスだけでなく、ズーム等、AF可動部12を光軸方向に移動させる場合に適用することができる。
【0162】
以上、本発明の実施の形態、変形例について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明に係る光学素子駆動装置及びカメラモジュールは、例えば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラ等のカメラ搭載装置に搭載して、有用なものである。
【符号の説明】
【0164】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部
3 カバー
4 光学素子駆動装置本体
5 撮像部
10 OIS可動部(可動部の一例)
11 AF部
12 AF可動部(可動部の一例)
13 第1ステージ
14 第2ステージ
15 AF駆動部(駆動部の一例)
16A、16B AF支持部
17X、17Y、17Z マグネット
18Ya、18Yb、18Za、18Zb、18Zc、18Zd 給電配線
20 OIS固定部
21 ベース
21a 底面
22 基板
23 端子
25Xa、25Xb 給電配線
25Ya、25Yb、25Za、25Zb、25Zc、25Zd 給電配線
30 OIS駆動部(駆動部の一例)
30X 第1OIS駆動部
30Y 第2OIS駆動部
31 OIS共振部
32 OIS圧電素子
34 OIS動力伝達部
35 ステージ固定部
40 OIS支持部
41 X方向基準ボール
42 Y方向基準ボール
50 OIS用付勢部材
60 昇圧部(昇圧部の一例)
121 レンズ収容部
121a、131a 内周面
121b 外周面
123 突出部
131、141、211、301、401 開口
132 挿入孔
133 Y方向基準ボール保持部
134 OISモーター固定部
137 凹部
143 Y方向基準ボール保持部
144 X方向基準ボール保持部
145X、145Y OISチャッキングガイド固定部
147 切欠部
161 第1レール部材
162 Z方向基準ボール
163 リテーナー
164、165 第2レール部材
217 OISモーター固定部
218 X方向基準ボール保持部
219 開口部
501 イメージセンサー基板
502 撮像素子
503 制御部