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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153218
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】基板上に粒子を凝集なく並べる技術
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20231006BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
G01N33/543 525W
C12M1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129620
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2023512227の分割
【原出願日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2021139398
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「癌・ウイルス等の簡便、迅速、超高感度な検査・分析プラットフォームテクノロジーの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 俊文
(72)【発明者】
【氏名】砂山 博文
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 恵里
(72)【発明者】
【氏名】堀川 諒
(57)【要約】
【課題】本開示は、分析用センサを作製する際に有利な基材を提供するための新規技術を提供する。
【解決手段】一つの実施形態では、本開示で提供される分析用センサ作製用基材は、特定の特徴(例えば、単分散、単層または特定密度)を有することにより、安定し、高精度の分析を可能とする分析用センサを作製することができる。本開示は、過剰に微粒子を基材上に乗せてから、余分なものを除くことを必要とせず、基材上に固定化される微粒子の密度の再現性が改善され、単分散性および単層性も改善される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定技術に使用される基板上に粒子を凝集なく並べる技術およびその応用に関する。より具体的には、本開示は、足場が配置される、検出対象の分析用センサ作製用基材およびその製造方法、検出対象の分析用センサおよびその製造方法、ならびに検出対象の分析法に関する。
【背景技術】
【0002】
エクソソーム等の小型細胞外小胞(Small Extracellular Vesicles;sEVs)は細胞から放出される小胞体の一つであり、直径20~200nmの脂質二重膜小胞である。小型細胞外小胞は、その内部にタンパク質、及びmiRNA、mRNAなどの核酸を内包するとともに、その表面にもタンパク質を有している。小型細胞外小胞はこのような物質に特徴づけられているため、小型細胞外小胞の特徴を解析することで、分泌した細胞がどのような細胞であるかを推測できると考えられている。また、小型細胞外小胞は様々な体液中で存在が確認されており、比較的容易に採取することができる。
【0003】
癌細胞から分泌される小型細胞外小胞は腫瘍由来の物質を含んでいる。したがって、体液中の小型細胞外小胞に含まれる物質を解析することで癌の診断を行うことができると期待されている。さらに、小型細胞外小胞は細胞によって能動的に分泌されるものであることから、がんの早期段階であっても何らかの特徴を呈していることが予想されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、分析用センサを作製する際に有利な基材を提供するための新規技術を提供する。より特定すると、本開示で提供される分析用センサ作製用基材は、特定の特徴(例えば、単分散、単層または特定密度)を有することにより、安定し、高精度の分析を可能とする分析用センサを作製することができる。本開示は、過剰に微粒子を基材上に乗せてから、余分なものを除くことを必要とせず、基材上に固定化される微粒子の密度の再現性が改善され、単分散性および単層性も改善される。本開示は、一つの好ましい実施形態では、基材と粒子の静電的相互作用を利用して固定化することと、単分散および/または単層で粒子を基材上に配置することで、再現的に単分散微粒子固定化基材および/または単層微粒子固定化基材を得ることができる。
【0005】
本開示は、例えば、以下の項目を提供する。
【0006】
(項目A1)
A)基材本体と、
B)該基材本体に単分散で配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材。
(項目A2-1)
A)基材本体と、
B)粒子を、1×10個/mm~1×10個/mmの密度で該基材本体に配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材。
(項目A2-2)
A)基材本体と、
B)粒子を、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で該基材本体に配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材。
(項目A2-3)
前記粒子は、分析用センサに使用される物質を含む、前記項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目A3)
前記粒子は、修飾物質が一体化した粒子を含む、前記項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目A4)
前記基材は、さらにC)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象に少なくとも一部適合する凹部を有する、ポリマーマトリックスを含み、前記粒子は、該凹部に配置される、前記項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目B1A)
A)基材本体と、
B)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象に少なくとも一部適合する凹部を有し、該粒子は、該凹部に配置される、ポリマーマトリックスと、
C)該粒子に配置されたシグナル物質の結合用基と
D)該粒子に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含み、ここで、該粒子部は、1×10個/mm~1×10個/mmの密度で該基材本体に配置される、凸型分析用センサ。
(項目B1B)
A)基材本体と、
B)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象に少なくとも一部適合する凹部を有し、該粒子は、該凹部に配置される、ポリマーマトリックスと、
C)該粒子に配置されたシグナル物質の結合用基と
D)該粒子に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含み、ここで、該粒子部は、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で該基材本体に配置される、凸型分析用センサ。
(項目B1C)
A)基材本体と、
B)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する凹部を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該凹部に配置されたシグナル物質の結合用基と
D)該凹部に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含み、ここで、該凹部は、1×10個/mm~1×10個/mmの密度で該基材本体に配置される、分析用センサ。
(項目B1D)
A)基材本体と、
B)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する凹部を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該凹部に配置されたシグナル物質の結合用基と
D)該凹部に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含み、ここで、該凹部は、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で該基材本体に配置される、分析用センサ。
(項目B2)
前記凹部が1×10個/mm~1×10個/mmの密度で存在する、前記項目のいずれか一項に記載に記載の分析用センサ。
(項目C1A)
凸型分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に粒子が単分散で基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程とを
包含する、方法。
(項目C1)
分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に、粒子が単分散で基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより凹部を形成する工程とを
包含する、方法。
(項目C1-1)
前記単分散で配置されるように加える工程は、粒子を基材1平方mm当たり1.0×10個/μLから2.5×10個/μLの濃度で、または1.0×10個から2.5×10個の量を加えることを包含する、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目C1-2)
前記単分散で配置されるように加える工程は、粒子を基材1平方mm当たり1.0×10個/μLから1.0×1010個/μLの濃度で、または1.0×10個から1.0×1010個の量を加えることを包含する、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目C2A)
凸型分析用センサを製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に粒子が単分散で基材本体に配置されるように加える工程と、C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
F)分析用に必要な物質を前記粒子に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目C2)
分析用センサを製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に粒子が単分散で基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより、凹部を形成する工程
F)分析用に必要な物質を前記凹部に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目C3A-1)
2.0×10個/mm以下の密度の凹部を形成することによって、変動係数が20%以下の前記分析用センサを80%以上の割合で作製する、前記項目のいずれか一項に記載の分析用センサを製造するための方法。
(項目C3A-2)
1.0×1010個/mm以下の密度の凹部を形成することによって、変動係数が20%以下の前記分析用センサを80%以上の割合で作製する、前記項目のいずれか一項に記載の分析用センサを製造するための方法。
(項目C3B)
基材上の面積占有率が最密充填以下である凹部を形成することによって、変動係数が20%以下の前記分析用センサを80%以上の割合で作製する、前記項目のいずれか一項に記載の分析用センサを製造するための方法。
(項目C4A)
前記単分散で配置する工程は、基材上に1×10個/mm~1×10個/mmの密度で前記粒子を配置する工程を含む、前記項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目C4B)
前記単分散で配置する工程は、基材上に1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で前記粒子を配置する工程を含む、前記項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目C5A)
前記凹部を形成する工程において、前記単分散した凹部が、1×10個/mm~1×10個/mmの密度で存在する、前記項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目C5B)
前記凹部を形成する工程において、前記単分散した凹部が、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で存在する、前記項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目C6)
前記粒子を配置する工程は、スピンコート法、粒子を基材上に滴下する方法、粒子分散液中に基材を浸漬させる方法、粒子分散液中から基材を引き上げる方法、または粒子分散液をスプレーする方法を含む、前記項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目1)
A)基材本体と、
B)該基材本体に単層(Single Layer)の状態で配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材。
(項目2)
前記粒子が、凝集することなく配置されている、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目1A)
A)基材本体と、
B)該基材本体に凝集することなく配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材。
(項目2A)
前記粒子が、単層(Single Layer)の状態である、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目3)
前記粒子は、修飾物質が一体化した粒子を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目4)
前記基材は、さらにC)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは前記対象に少なくとも一部、好ましくは分析用センサとして機能するという意味で適合する、凹部を有する、ポリマーマトリックスを含み、前記粒子は、該凹部に配置される、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材。
(項目5)
A)基材本体と、
B)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは検出対象に少なくとも一部適合する、凹部を有し、該粒子は、該凹部に凝集することなく配置される、ポリマーマトリックスと、
C)該粒子に配置されたシグナル物質の結合用基と
D)該粒子に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含み、ここで、該粒子は、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で該基材本体に配置される、凸型分析用センサ。
(項目6)
A)基材本体と、
B)該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは検出対象に少なくとも一部適合する凹部を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該凹部に配置されたシグナル物質の結合用基と
D)該凹部に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含み、ここで、該凹部は、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で該基材本体に凝集することなく配置される、分析用センサ。
(項目7)
前記凹部が1×10個/mm~1×10個/mmの密度で凝集することなく存在する、先行する項目のいずれか一項に記載に記載の分析用センサ。
(項目8)
凸型分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に粒子が、凝集することなく基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程とを
包含する、方法。
(項目9)
分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に、粒子が、凝集することなく基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより凹部を形成する工程とを
包含する、方法。
(項目10)
前記凝集することなく配置されるように加える工程は、粒子を基材に1.0×10個/μLから1.0×1010個/μLの濃度で、または基材の表面積当たり1.0×10個/mmから1.0×1010個/mmの量を加えることを包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
凸型分析用センサを製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に粒子が、凝集することなく基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)分析用に必要な物質を前記粒子に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目12)
分析用センサを製造するための方法であって、
A)粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に粒子が、凝集することなく基材本体に配置されるように加える工程と、
C)該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、
D)該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより、凹部を形成する工程
F)分析用に必要な物質を前記凹部に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目13)
1.0×1010個/mm以下の密度の凹部を形成することによって、標的物質検出における相対的蛍光強度変化の変動係数が20%以下の前記分析用センサを80%以上の割合で作製する、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサを製造するための方法。
(項目14)
基材上の面積占有率が最密充填以下である凹部を形成することによって、標的物質検出における相対的蛍光強度変化の変動係数が20%以下の前記分析用センサを80%以上の割合で作製する、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサを製造するための方法。
(項目15)
前記凝集することなく配置する工程は、基材上に1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で前記粒子を配置する工程を含む、先行する項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目16)
前記粒子が、単層(Single Layer)の状態である、先行する項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目17)
前記凹部を形成する工程において、前記凹部が、1×10個/mm~1×1010個/mmの密度で存在する、先行する項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
(項目18)
前記粒子を配置する工程は、スピンコート法、粒子を基材上に滴下する方法、粒子分散液中に基材を浸漬させる方法、粒子分散液中から基材を引き上げる方法、または粒子分散液をスプレーする方法を含む、先行する項目のいずれか一項に記載に記載の方法。
【0007】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に関する技術を利用することで、分子インプリンティング技術を用いた標的分子の空孔を粒子で作製する技術において、単分散または単層な空孔が基材上に形成可能となり、空孔形成の再現性を上昇することができる。本開示の手法は、均一なセンサ基材を作製するために重要な基盤技術と位置付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1-1】図1-1はポリマーE2のNMRチャートを示す。
図1-2】図1-2はポリマーE3のNMRチャートを示す。
図1-3】図1-3はポリマーE4のNMRチャートを示す。
図1-4】図1-4は、シリカ粒子と各ポリマーE2からE4とが一体化した粒子のDLS測定結果を示す。
図1-5】図1-5は、シリカ粒子と各ポリマーE2からE4とが一体化した粒子のZ-potential測定結果を示す。
図1-6】図1-6は、シリカ粒子とポリマー(E2-0)とが一体化した粒子のDLS測定結果およびZ-potential測定結果を示す。
図2-1】図2-1は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。
図2-2】図2-2は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡でのハイブリッドセルカウント解析結果を示す。
図3-1】図3-1は、シリカ粒子と各ポリマーE4とが一体化した粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。
図3-2】図3-2は、シリカ粒子と各ポリマーE3とが一体化した粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。
図4図4は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。(ガラス基材)
図5-1】図5-1は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。(ポリスチレン粒子)
図5-2】図5-2は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。(ポリスチレン粒子)
図5-3】図5-3は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。(ポリスチレン粒子)
図5-4】図5-4は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡でのハイブリッドセルカウント解析結果を示す。(ポリスチレン粒子)
図6-1】図6-1は、実施例6の粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。
図6-2】図6-2は、実施例6の基材上へのポリマー層重合後の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。
図6-3】図6-3は、実施例6の基材のシリカナノ粒子除去後の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。
図6-4】図6―4は、粒子固定化基材の蛍光顕微鏡でのハイブリッドセルカウント解析結果を示す。
図7図7は、His-Tagポリマーとシリカナノ粒子の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像を示す。
図8図8は、カチオンシリカナノ粒子とアニオンポリマーEx8の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。
図9図9は、生分解性ナノ粒子を用いた粒子を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。
図10-1】図10-1は、シリカナノ粒子と芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。
図10-2】図10-2は、ポリスチレンナノ粒子と芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像を示す。
図11図11は、His-tagとチオール基を導入したシリカナノ粒子の固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。
図12図12は、粒子を用いずに作製したセンサの基材表面の蛍光強度変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示をさらに詳細に説明する。
【0011】
本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」等)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0012】
(定義)
最初に本開示において使用される用語および一般的な技術を説明する。
【0013】
本明細書において「基材」とは、分析用センサの土台となる物質をいう。基材の材料は、例えば、金属、金属酸化物、ガラス、紙(セルロース)、布、二酸化ケイ素、シリコンおよび樹脂ならびにこれらの組合せからなる群から選択される材料であってよい。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、およびモリブデン等が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、および塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書において「単分散」とは、分散系のなかで,分散相が均一な大きさになっているものをいい、分析用センサ作製用基材等の基材についていう場合、基材上に粒子が、実質的な均一に配置されていることをいう。単分散で配置されている場合、凝集することなく配置されており、有利である。単分散を実現するための密度としては、最終的な分析用センサにおいて意図される標的に依拠して変動することができ、好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。密度の上限としては、例えば、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×約10個/mmなどを挙げることができるか、または好ましくは約10個/mm~約1010個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。密度の上限としては、例えば、約1×1010個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×約10個/mmなどを挙げることができる。
【0015】
本明細書において「単層」とは、粒子が重ならず一層になっているものをいう。単層で配置されている場合、凝集することなく配置されており、有利である。単層を実現するための密度としては、最終的な分析用センサにおいて意図される標的に依拠して変動することができ、好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。密度の上限としては、例えば、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×約10個/mmなどを挙げることができるか、または好ましくは約10個/mm~約1010個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。密度の上限としては、例えば、約1×1010個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×約10個/mmなどを挙げることができる。
【0016】
本明細書において「凝集」とは、粒子についていうとき、複数の粒子が互いの引力によって集合することをいい、「凝集」が「ない」あるいは「凝集無」とは、そのような凝集状態が実質的に(すなわち、検出限界以下で)存在しない状態で粒子が存在することをいう。凝集がないことは、代表的にはSEMで測定したときに任意の方向に、重なって固定されている部分が、実質的にないことをいい、好ましくは、全体の10%以下であり、より好ましくは5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下であることをいう。SEMでの測定方法は以下の通りである:測定対象を真空乾燥後、金スパッタを施し、2000倍以上の倍率となるように条件設定する。SEMで判断がつかない場合は、原子間力顕微鏡で観察することができる。本開示の技術を用いると、凝集なしに、粒子を基板に配置することができる。
【0017】
本明細書において「単層(Single Layer)」とは、代表的にはSEMで測定したときに3次元的に重なって固定されている部分が、実質的にないことをいい、好ましくは、全体の10%以下であり、より好ましくは5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下であることをいう。単層かどうかは、好ましくは、複数地点を対象に行い、好ましくは、n=5,より好ましくはn=10またはそれ以上の地点を対象に測定し、それらの平均を計算することで判定する。単層の判断も、測定対象を真空乾燥後、金スパッタを施し、2000倍以上の倍率となるように条件設定することができ、単層の判断についても、SEMで判断がつかない場合は、原子間力顕微鏡で観察することができる。本開示の技術を用いると、単層で、粒子を基板に配置することができる。
【0018】
本明細書において「粒子」とは、分析用センサにおいて基材に設けられる凹部の形成のための鋳型となる構造を持つ基本的な物質をいい、生体分子を含む物質であってもよいし、粒子コアを含む物質(例えば、粒子コアと修飾物質を含む物質)であってもよい。個々で粒子は、通常、分析用センサに使用される物質を含む。粒子コアは、分子インプリントにおける鋳型として用いることができる限度において特に限定されず、人工的に製造された無機粒子及び有機粒子が含まれる。サイズがnmの範囲にある場合は、粒子コアということがあるが、本開示においては厳密には区別されず、粒子コアといった場合も、特にサイズを限定することを意図して論じることでない限り、より大きなあるいはより小さなコア構造をもつものも除外しないことが理解される。例えば、無機粒子としては、金属、金属の酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物、ホウ化物、及びそれらの複合化合物、ならびに、ハイドロキシアパタイト等が挙げられ、好ましくは、二酸化珪素(シリカ)が挙げられる。また、有機粒子としては、ラテックス硬化物、デキストラン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスチレン、ポリエチレンイミン等が挙げられるが、これらに限定されない。また生体分子または粒子コアの表面に結合性官能基が結合した粒子であってもよい。粒子のサイズとしては、最終的な分析用センサにおいて意図される標的に依拠して変動することができ、約1nm~約100μm、約1nm~約20nm、約20nm~約500nm、約50nm~約200nm、約100nm~約500nm、約1μm~約10μm、約10μm~約100μmなどを挙げることができるが、これに限定されない。本開示で用いられる粒子は、修飾物質が粒子コアに一体化した粒子でもよい。
【0019】
本明細書において「修飾物質」とは、分析用センサまたは分析用センサ製造用基材において、意図される機能を直接または間接的に付与するための持つ物質であり、そのような機能付与のため、種々の官能基を含みうるか、あるいは構造内に様々な官能基を含むことができるような構造をしている。本開示において、修飾物質は、有利には、粒子コアと相互作用可能な物質であり、好ましくは、基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で粒子コアと一体化することができるか、および/または粒子コアを損傷しない条件で分離可能な相互作用で粒子コアと一体化することができる物質である。修飾物質としては、以下が代表的であり、より詳細には、本明細書の他の場所において詳述されているポリイソプロピルアクリルアミド共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド共重合体、ポリ乳酸誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ポリヒドトキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、キトサン誘導体、およびポリリジン誘導体ならびにこれらの組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。また1種または複数種の修飾物質が、粒子コアと一体化してもよい。
【0020】
本明細書において「一体化」とは、一般に、物質同士がひとまとまとまりになっていることをいい、修飾物質と粒子コアについて言及するとき、分析用センサまたは分析用センサ製造用基材の製造における環境において、「粒子コアを損傷しない条件で分離可能」および/または「基材を損傷しない条件で分離可能」な条件に供する場合以外に解離しない状態にあればどのような作用によって一体化してもよい。そのような作用として、共有結合または非共有結合を挙げることができる。
【0021】
本明細書において「分析用センサに使用される物質」としては、分析用センサまたはそれを作製する過程において直接または間接に使用される物質であって、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基を含む物質、可逆的連結基を含む物質、シグナル物質の結合用基などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0022】
本明細書において「分析用センサ作製用基材」とは、分析用センサの作製をするための任意の基材を言い、形状および材質は分析用センサに適切な限り任意のものを使用することができる。好ましくは、分析用センサ作製用基は、凹部を有する基材であり、ここで、凹部に特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基を修飾することによって、ユーザが、検出対象をより一層感度高く検出可能なセンサへ簡便にカスタマイズできるように構成されていることが有利である。本明細書において「分析用センサ作製用基材」は「測定基材」ともいう。
【0023】
本明細書において「密度」とは、単位面積あたりに存在する物質の個数をいう。例えば、個/mmは、1mm当たりに存在する物質の個数をいう。密度の測定方法は任意であるが、例えば、蛍光顕微鏡や電子顕微鏡で表面を観察した結果から測定装置付随の解析ソフトやImage J(https://imagej.nih.gov/ij/)といったフリー画像解析ソフトの粒子数計測機能を用いて、密度を測定することができる。
【0024】
本明細書において「修飾物質一体化粒子」とは、修飾物質が粒子コアに一体化している粒子を言い、分子インプリント凹部内に結合用基を配置するための基を有する物質が、粒子と一体化している粒子をいう。
【0025】
本明細書において「基」とは、別途指定されない限り、一価基を意味する。一価基でない例としては、アルキレン基(2価)等が挙げられる。また、本明細書において使用される場合、「基」なる用語を省略する場合もある。
【0026】
本明細書において「可逆的連結基」とは、切断(開裂)および結合が可逆的である直接結合又は二価以上の基をいう。具体例としては、下記表1Aの1-3に示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
【表1A-1】
【0028】
【表1A-2】
【0029】
【表1A-3】
【0030】
本明細書において「ポリマーマトリックス」とは、マトリクスを形成するポリマーを言い、通常モノマーが重合してできた物質をいう。有利には、マトリクスは、本開示の分析用センサまたは分析用センサ用基材において配置されるとき、センサに適している形状および構造を有していればどのような形状または構造であってもよい。マトリクスの形状または構造は、例えば薄膜状または球状(粒子状)である。マトリックスの好ましい構成としては、標的以外のものの吸着をできるだけ抑制するため、生体適合性の高いものが主成分である。
【0031】
本明細書において「分子インプリントポリマー」とは、分子インプリント技術に用いられる任意のポリマーを言い(Takeuchi T. et.al. Chromatography, 2016, 37 (2),43-64.を参照)、好ましくは、標的物質またはその誘導体と機能性モノマーの複合体を共有結合および/または非共有結合にて形成し,架橋剤とともに重合した後,標的物質を除去することで得られる標的物質に対する結合空間を持つ物質認識材料をいう。
【0032】
本明細書において「対象に…少なくとも一部適合する」とは、分析用センサにおいて用いられる場合に、対象となる分子の検出または分析を実質的に可能とするような形状および/または構造を有することをいい、本開示の分析用センサにおいて用いられる場合、凹部内に対象となる分子が相互作用することができる形状をいう。理論に束縛されることを望まないが、ポリマーマトリックスが形成されているとすれば、理論的には粒子コアの高さの半分以下に対応する膜厚の中に最適なものがあり得る。
【0033】
本明細書において「凹部」とは、本開示の分析用センサにおいて用いられる場合、標的を捕捉するように形成される空隙または空孔を言い、好ましくは、分析用センサにおいて形成されるポリマーマトリックス上に形成される空孔部をいう。
【0034】
本明細書において「結合用基」とは、物質と結合することができる基をいう。例えば、本明細書において、シグナル物質の結合用基および特異的結合性分子の結合用基等が用いられる。
【0035】
本明細書において「シグナル物質の結合用基」とは、シグナル物質を修飾することができる基をいう。シグナル物質としては、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質等が挙げられる。検出容易性等の観点から、シグナル物質としては蛍光物質であることが好ましい。シグナル物質の結合用基は、例えば、表2Aの2-1に挙げられる結合性官能基があげられる。
【0036】
【表2A-1】
【0037】
【表2A-2】
【0038】
本明細書において「特異的結合性分子の結合用基」とは、標的物質に対して特異的に結合することができる特異的結合性分子を結合することができる基をいう。標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基は、例えば、表3Aの2-1に挙げられる結合性官能基があげられる。
【0039】
【表3A-1】
【0040】
【表3A-2】
【0041】
本明細書において「ポリマーマトリクスの原料」とは、反応させることによってポリマーマトリックスを形成することができる原料をいう。一般に、ポリマーマトリクスを形成するためには、少なくとも1種のモノマーと少なくとも1種の適切な重合開始剤とを含むことで十分であるが、これら以外にも、例えば、追加のモノマー(一部重合していてもよい)、追加の重合開始剤、架橋剤、RAFT剤、触媒、還元剤または溶媒等を含むことができる。モノマーとしては、スチレン、N-イソプロピルアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられるが、これらに限定されない。重合開始剤としては、2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、α-ブロモイソ酪酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤は、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、および(トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。RAFT剤としては、ベンゾジチオ酸ベンジル、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒としては、CuBr等が挙げられるが、これらに限定されない。還元剤としては、アスコルビン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒としては、一般的に溶媒として知られているものから特に制限なく選択され、例えば純水、緩衝液、MeOH、EtOH、DMAおよびDMF等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において「ポリマーマトリクス(の原料)が重合する」とは、ポリマーマトリクスの原料が存在する場合、ポリマーマトリックス(の原料)を重合することをいう。
【0043】
本明細書において「粒子が解離する条件」とは、基材上に配置されていた粒子を基材と粒子との相互作用を切断することにより、基材と粒子を剥離することができる条件をいう。例えば、加温、冷却、pHの調製(酸処理、アルカリ処理)、界面活性剤含有溶液での洗浄、超音波照射、光照射、振盪、および還元処理を挙げることができる。
【0044】
本明細書において「分析用に必要な物質」とは、標的物質を捕捉し、検出することができる物質をいう。例えば、捕捉剤、標識等があげられる。捕捉剤とは、測定対象を捕捉するための任意の薬剤を言い、例えば、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、核酸アプタマー(DNA、RNA、ペプチド核酸、人工核酸含む)、リン脂質認識タンパク質、およびレクチン挙げることができる。
【0045】
本明細書において「標識」とは、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(例えば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RI(ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。本開示において、マーカーまたはそれを捕捉する因子または手段を複数(2以上)、蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。リガンドを標識する場合、機能に影響を与えないものならば何れも用いることができるが、蛍光物質としては、AlexaTMFluor 、BODIPY、ATTO、量子ドット(QDot)および蛍光タンパク質(GFP, YFP, mCherryなど)が例示される。AlexaTMFluorは、クマリン、ローダミン、フルオレセイン、シアニンなどを修飾して得られた水溶性の蛍光色素であり、広範囲の蛍光波長に対応したシリーズであり、他の該当波長の蛍光色素に比べ、非常に安定で、明るく、またpH感受性が低い。蛍光極大波長が10nm以上ある蛍光色素の組み合わせとしては、AlexaTM555とAlexaTM633の組み合わせ、AlexaTM488とAlexaTM555の組み合わせ等を挙げることができる。核酸を標識する場合は、その塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、2-アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。本開示では、このような標識を利用して、使用される検出手段に検出され得るように目的とする対象を改変することができる。そのような改変は、当該分野において公知であり、当業者は標識におよび目的とする対象に応じて適宜そのような方法を実施することができる。
【0046】
本明細書において「変動係数がXX以下」とは、本開示の分析用センサの標的物質検出における変動係数が一定の値であることをいう。変動係数は、標準偏差/平均値で測定することができる。本開示では、変動係数が50%以下、40%以下、30%以下、20%以下あるいは10%以下であり得、20%以下が一つの好ましい実施形態であり得る。変動係数は、基板内および/または基板間のものであり得、両方を満たしていてもよい。
【0047】
本明細書において「YY以上の割合で」とは、ある数値以上の性能を有する本開示の分析用センサが、YY以上の割合で作製できることをいう。本明細書において性能は、例えば、蛍光検出器付き自動分注装置(システムインスツルメンツ株式会社製)を用いて測定するか、または標的物質検出における変動係数を用いて測定することができる。本開示では、80%以上の割合で作製できることが好ましい。
【0048】
本明細書において「基材上(の)XXからYY個/mmの密度」とは、基材上に配置されている粒子または凹部の密度が、XXからYY個/mmの範囲にあることをいう。本明細書において、密度は、蛍光顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて測定する。
【0049】
本明細書において「スピンコート法」とは、平滑な基材を高速回転させる事により遠心力で薄膜を構成する装置を用いて、粒子を溶媒に分散させた粒子分散液を基板上に添加後、基材ごと回転することにより、粒子を基材上に塗布する方法をいう。
【0050】
本明細書において「粒子を基材上に滴下する方法」とは、粒子を溶媒に分散させた粒子分散液を基板上に滴下することにより、粒子を基材上塗布する方法をいう。
【0051】
本明細書において「粒子分散液中に基材を浸漬させる方法」とは、粒子を溶媒に分散させた粒子分散液に基板上を浸潤させることにより、粒子を基材上塗布する方法をいう。
【0052】
本明細書において「粒子分散液中から基材を引き上げる方法」とは、粒子を溶媒に分散させた粒子分散液から基材を垂直に引き上げることにより、粒子を基材上塗布する方法をいう。
【0053】
本明細書において「粒子分散液をスプレーする方法」とは、粒子を溶媒に分散させた粒子分散液を基材にスプレーすることにより、粒子を基材上塗布する方法をいう。
【0054】
本明細書において「シグナル物質」とは、標的物質を検出することができる物質をいい、「標識」と同義で用いられる。例えば、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質等が挙げられる。検出容易性等の観点から、シグナル物質としては蛍光物質であることが好ましい。
【0055】
本明細書において「特異的」とは、親和性についていう場合、標的分子に対して、それ以外の物質より、高い親和性で、相互作用することを言い、好ましくは、それ以外の物質とは相互作用をしないことをいい、後者は狭義の特異的あるいは選択的に特異的などともいう。特異性は、各種分子間相互作用解析装置を用いて判定することができる。例えば表面プラズモン共鳴(SPR)や等温滴定カロリメトリー(ITC)、水晶振動子マクロバランス法(QCM)を用いた各種分析装置で測定が可能である。
【0056】
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
【0057】
<分析用センサ作製用基材>
一つの局面において、本開示は、A)基材と、B)該基材に単分散で配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材を提供する。この基材は、単分散で配置された粒子を備えた形で基材が製造されることで、安定性、効率、性能、再現性などで優れた性質を示す。
【0058】
一つの局面において、本開示は、A)基材と、B)該基材に凝集することなく配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材を提供する。この基材は、凝集することなく配置された粒子を備えた形で基材が製造されることで、安定性、効率、性能、再現性などで優れた性質を示す。
【0059】
一つの局面において、本開示は、A)基材と、B)該基材に単層(Single Layer)の状態で配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材を提供する。この基材は、単層(Single Layer)の状態で配置された粒子を備えた形で基材が製造されることで、安定性、効率、性能、再現性などで優れた性質を示す。
【0060】
別の局面において、本開示は、A)基材と、B)粒子を、1×10個/mm~1×10個/mmの密度で該基材に配置された粒子とを含む、分析用センサ作製用基材を提供する。この基材は、特定の密度で配置された粒子を備えた形で基材が製造されることで、安定性、効率、性能、再現性などで優れた性質を示す。
【0061】
本開示において使用される基材の材料は、例えば、金属、金属酸化物、ガラス、紙(セルロース)、布、二酸化ケイ素、シリコンおよび樹脂ならびにこれらの組合せからなる群から選択される材料であってよい。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデン等が挙げられる。樹脂としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
【0062】
本開示において使用される基材は、上述の材料から選ばれる複数の材料が組み合わされて形成されたものであってもよい。例えば、基材は、ガラスまたは樹脂の表面に、金属膜が設けられたものであってもよい。また、基材の形状としては、板状及び粒子状を問わない。好ましい例としては、金基材、ガラス基材、金ナノ粒子、二酸化珪素粒子(シリカ粒子、ガラスビーズ等)等が挙げられる。
【0063】
本開示において使用される粒子としては、生体分子であってもよいし、粒子コアであってもよい。粒子コアは、分子インプリントにおける鋳型として用いることができる限度において特に限定されず、人工的に製造された無機粒子及び有機粒子が挙げられる。無機粒子としては、金属(金、銀、プラチナ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)など)、金属の酸化物(酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルトなど)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、窒化物、フッ化物、硫化物、ホウ化物、およびそれらの複合化合物、ならびに、ハイドロキシアパタイト等が挙げられ、好ましくは、二酸化珪素(シリカ)が挙げられる。また、有機粒子としては、ラテックス硬化物、デキストラン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid)ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、ポリスチレン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。また生体分子または粒子コアの表面に結合性官能基が結合した粒子であってもよい。
【0064】
本開示の基材表面上に存在する粒子密度は、粒子を配置する際の、配置する手法、粒子を分散させる溶媒、粒子濃度、粒子分散液の量および粒子分散液の温度等を適宜調製することにより制御可能である。基材表面上に存在する粒子密度を制御することにより、分析センサの凹部の密度も制御することが可能になり、安定性、効率、性能などで優れた性質を示す分析用センサを作製することができる。
【0065】
一つの実施形態において、本開示の粒子は、修飾物質一体化粒子が、好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmの密度で配置される。密度の上限としては、例えば、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができるか、または好ましくは約10個/mm~約1010個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmの密度で配置される。密度の上限としては、例えば、約1×1010個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができる。
【0066】
1つの実施形態では、本開示に用いられる粒子は、分析用センサに使用される物質を含む。分析用センサに使用される物質は、測定用に必要な物質であることができ、検出することができる物質をいう。例えば、捕捉剤、標識等があげられる。捕捉剤とは、測定対象を捕捉するための任意の薬剤を言い、例えば、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、核酸アプタマー(DNA、RNA、ペプチド核酸、人工核酸含む)、リン脂質認識タンパク質、およびレクチンを挙げることができる。
【0067】
好ましい実施形態では、粒子は、修飾物質が一体化した粒子を含む。
【0068】
別の局面において、本開示は、前記粒子および基材の他、C)必要に応じて、該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象に少なくとも一部適合する凹部を有する、ポリマーマトリックスを含み、前記粒子は、該凹部に配置される。この分析用センサ作製用基材は、本明細書における他の個所、例えば<分析用センサ><分析用センサ作製用基材製造法>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
【0069】
<分析用センサ>
別の局面において、本開示は、A)基材本体と、B)必要に応じて、該基材本体上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象に少なくとも一部適合する凹部を有し、該粒子は、該凹部に配置される、ポリマーマトリックスと、C)該粒子に配置されたシグナル物質の結合用基とD)該粒子に配置された、検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを含む分析用センサを提供する。このセンサは、本明細書における他の個所、例えば分析用センサ作製用基材などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
【0070】
一つの実施形態では、本開示において使用される粒子は、10個/mm~10個/mmの密度で該基材本体に配置されることが好ましい。好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。密度の上限としては、例えば、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができるか、または1010個/mmの密度で該基材本体に配置されることが好ましい。好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mm、さらに好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。密度の上限としては、例えば、約1×1010個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができる。密度が範囲より小さい場合、検出対象を検出するのに十分な感度で測定することができず、密度が範囲より大きい場合、粒子が凝集してしまい、再現性良くセンサを作製することができない場合がある。単分散した、または凝集していない凹部の好ましい密度としては10個/mm~10個/mmを挙げることができる。
【0071】
<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造法>
別の局面において、本開示は、分析用センサ作製用基材を製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に粒子が単分散で基材本体に配置されるように加える工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより凹部を形成する工程とを包含する。
【0072】
別の局面において、本開示は、分析用センサ作製用基材を製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に粒子が凝集することなく基材本体に配置されるように加える工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより凹部を形成する工程とを包含する。
【0073】
別の局面において、本開示は、分析用センサ作製用基材を製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に粒子が単層で基材本体に配置されるように加える工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより凹部を形成する工程とを包含する。
【0074】
本開示において、単分散で、および/または、凝集することなく、および/または単層で配置されるように加える工程は、単分散で、および/または、凝集することなく、および/または単層で配置された粒子が、ポリマーマトリクスを重合した後もなおその状態を保っているように加えられることが好ましい。適切な修飾物質を提供し、および/または適切な条件を設定することで、分散性が適切に維持ないし改変されることによって、ポリマーマトリクスを重合した後もなおその状態を保つことができ、当業者は、本明細書中の実施例などに記載される内容に基づいて、適宜実施することができる。
【0075】
具体的には、本開示において、単分散で、および/または、凝集することなく、および/または単層で配置されるように加える工程は、粒子を基材に10×10個/μLから2.5×1010個/μLの濃度で、または基材の表面積当たり1.0×10個/mmから2.5×1010個/mmの量を加えることを包含する。濃度の上限としては、例えば、約1×1010個/μL、約9×10個/μL、約8×10個/μL、約7×10個/μL、約6×10個/μL、約5×10個/μL、約4×10個/μL、約3×10個/μL、約2×10個/μL、約1×10個/μL、約9×10個/μL、約8×10個/μL、約7×10個/μL、約6×10個/μL、約5×10個/μL、約4×10個/μL、約3×10個/μL、約2×10個/μL、約1×10個/μL、約1×10個/μL、約9×10個/μL、約8×10個/μL、約7×10個/μL、約6×10個/μL、約5×10個/μL、約4×10個/μL、約3×10個/μL、約2×10個/μL、約1×10個/μL、約9×10個/μL、約8×10個/μL、約7×10個/μL、約6×10個/μL、約5×10個/μL、約4×10個/μL、約3×10個/μL、約2×10個/μL、約1×10個/μL、約9×10個/μL、約8×10個/μL、約7×10個/μL、約6×10個/μL、約5×10個/μL、約4×10個/μL、約3×10個/μL、約2×10個/μL、約1×10個/μLなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/μL、約2×10個/μL、約3×10個/μL、約4×10個/μL、約5×10個/μL、約6×10個/μL、約7×10個/μL、約8×10個/μL、約9×10個/μL、約1×10個/μL、約2×10個/μL、約3×10個/μL、約4×10個/μL、約5×10個/μL、約6×10個/μL、約7×10個/μL、約8×10個/μL、約9×10個/μL、約1×10個/μL、約2×10個/μL、約3×10個/μL、約4×10個/μL、約5×10個/μL、約6×10個/μL、約7×10個/μL、約8×10個/μL、約9×10個/μL、約1×10個/μL、約2×10個/μL、約3×10個/μL、約4×10個/μL、約5×10個/μL、約6×10個/μL、約7×10個/μL、約8×10個/μL、約9×10個/μL、約1×10個/μL、約2×10個/μL、約3×10個/μL、約4×10個/μL、約5×10個/μL、約6×10個/μL、約7×10個/μL、約8×10個/μL、約9×10個/μL、約1×10個/μLなどを挙げることができる。単位mmの表面積の基材当たりの量の上限としては、例えば、約1×1010個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mm、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mm、約9×10個/mm、約8×10個/mm、約7×10個/mm、約6×10個/mm、約5×10個/mm、約4×10個/mm、約3×10個/mm、約2×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができ、下限としては、例えば、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mm、約2×10個/mm、約3×10個/mm、約4×10個/mm、約5×10個/mm、約6×10個/mm、約7×10個/mm、約8×10個/mm、約9×10個/mm、約1×10個/mmなどを挙げることができる。一つの実施形態としては、上限:1.0×1010個/(μL・mm)~1.0×10個/(μL・mm)であり、下限:1.0×10個/(μL・mm)~1.0×10個/(μL・mm)であり得る。
【0076】
本開示において、粒子を基材に配置する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、本開示の粒子を溶液中に分散し、基材上に滴下して、静置またはスピンコートすることにより配置する。
【0077】
本開示において、粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、重合性モノマーを加え、粒子または機能性モノマー由来の重合性官能基および重合性モノマーを基質として提供することによって実施することができる。
【0078】
本開示において、ポリマーマトリクスの原料は、意図する分析に適切な材料であれば、どのような物質を使用してもよい。ポリマーマトリクスの原料は、一般に、ポリマーマトリクスを形成するためには、少なくとも1種のモノマーと少なくとも1種の適切な重合開始剤とを含むことで十分であるが、これら以外にも、例えば、追加のモノマー(一部重合していてもよい)、追加の重合開始剤、架橋剤、RAFT剤、触媒、還元剤または溶媒等を含むことができる。モノマーとしては、スチレン、N-イソプロピルアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられるが、これらに限定されない。重合開始剤としては、2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、α-ブロモイソ酪酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤は、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、および(トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。RAFT剤としては、ベンゾジチオ酸ベンジル、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒としては、CuBr等が挙げられるが、これらに限定されない。還元剤としては、アスコルビン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒としては、一般的に溶媒として知られているものから特に制限なく選択され、例えば純水、緩衝液、MeOH、EtOH、DMAおよびDMF等が挙げられるが、これらに限定されない。粒子および粒子を基材に単分散で、および/または凝集することなく、および/または単層で配置する工程については、本明細書における他の個所、例えば<分析用センサ><分析用センサ作製用基材製造法>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
【0079】
本開示において、ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、重合性モノマーを加え、粒子または機能性モノマー由来の重合性官能基および重合性モノマーを基質とし、重合開始性基を重合性開始剤として、本開示の粒子の表面の一部に対する分子インプリントポリマーを合成する。これによって、基材表面に、凹部を有するポリマーマトリクスを形成することができる。
【0080】
本開示において、基材から該粒子が解離する条件に供することにより凹部を形成する工程は、任意の工程によって実施することができ、例えば、可逆的連結基を開裂させて、本開示の粒子を除去することができる。
本開示の実施例では、以下の表に示される例の数多くの例が実証されている。
【表11A-1】
【0081】
【表11A-2】
【0082】
【表11A-3】
【0083】
別の局面において、本開示は、分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法はA)粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に粒子が単分散で基材本体に配置されるように加える工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより、凹部を形成する工程と、F)分析用に必要な物質を前記凹部に結合させる工程とを包含する。粒子、粒子を基材に単分散で配置する工程、ポリマーマトリクスが重合する条件、および粒子が解離する条件については、本明細書における他の個所、例えば<分析用センサ><分析用センサ作製用基材>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
【0084】
別の局面において、本開示は、分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法はA)粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に粒子が凝集することなく基材本体に配置されるように加える工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより、凹部を形成する工程と、F)分析用に必要な物質を前記凹部に結合させる工程とを包含する。粒子、粒子を基材に凝集することなく配置する工程、ポリマーマトリクスが重合する条件、および粒子が解離する条件については、本明細書における他の個所、例えば<分析用センサ><分析用センサ作製用基材>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
【0085】
別の局面において、本開示は、分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法はA)粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に粒子が単層で基材本体に配置されるように加える工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリクスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリクスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより、凹部を形成する工程と、F)分析用に必要な物質を前記凹部に結合させる工程とを包含する。粒子、粒子を基材に単層で配置する工程、ポリマーマトリクスが重合する条件、および粒子が解離する条件については、本明細書における他の個所、例えば<分析用センサ><分析用センサ作製用基材>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
【0086】
一つの実施形態では、分析用に必要な物質を前記凹部に結合させる工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、還元により凹部内に生成させた開裂した可逆的連結基に対して、特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基を修飾することにより実施することができる。
【0087】
一つの実施形態では、本開示は、2.0×10個/mm以下の密度の凹部を形成することによって、変動係数が一定の基準値(例えば、20%)以下の前記分析用センサを作製する、本開示の分析用センサを製造するための方法を提供する。変動係数は、基板内および基板間のものがあるが、少なくともいずれかが20%以下であればよく、その両方がが20%以下で作製することが好ましい。
【0088】
単分散で、凝集することなく、および/または単層配置する工程における粒子の密度としては、約10個/mm~約10個/mmであり得、好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mmであるか、または約10個/mm~約1010個/mmであり得、好ましくは約10個/mm~約10個/mm、より好ましくは約10個/mm~約10個/mmである。。一つの実施形態では、単分散で、および/または凝集することなく、および/または単層で配置する工程は、基材上に10個/mm~1010個/mmの密度で本開示の粒子を配置する工程を含む。基材上に配置される粒子の好ましい密度としては、10個/mm~10個/mmを挙げることができる。ここでの密度は蛍光顕微鏡や走査型電子顕微鏡による表面観察から密度を確認することができる。
【0089】
一つの実施形態では、凹部を形成する工程において、本開示の単分散したまたは凝集していない凹部が、10個/mm~1010個/mmの密度で存在する方法を提供する。基材上に配置される凹部の好ましい密度としては、10個/mm~10個/mmを挙げることができる。また、ここでの密度は蛍光顕微鏡や走査型電子顕微鏡による表面観察から密度を確認することができる。
【0090】
一つの実施形態では、単分散で、および/または凝集することなく、および/または単層で配置する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、スピンコート法、基材上に滴下する方法、粒子分散液中に浸漬させる方法、粒子分散液中から基材を引き上げる方法、スプレーで散布(塗布)する方法、またはインクジェットプリンターで印刷する方法で粒子を配置する工程を含む。
【0091】
(分析用センサの製造例)
分析用センサを製造するための工程は、以下のように実施することができる。本開示の粒子を溶液中に分散し、基材上に滴下して、静置またはスピンコートすることにより配置する。重合性モノマーを加え、粒子または機能性モノマー由来の重合性官能基および重合性モノマーを基質として提供する。重合開始性基を重合性開始剤として用い、本開示の粒子の表面の一部に対する分子インプリントポリマーを合成する。これによって、基材表面に、凹部を有するポリマーマトリクスを形成する。粒子コアと修飾物質間の相互作用を弱める(または解離する)ことで、本開示の粒子を除去する。凹部内に存在(または露出)する、可逆的連結基に対して、特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基を修飾する。
【0092】
(用途)
本開示の分析用センサは、検出対象のセンシングに用いられる。より具体的な用途としては、特異的結合性基の種類に応じて決定されるが、例えば、腎機能、肝機能、炎症の有無又は程度;腫瘍の有無又は程度等に基づく診断目的又は治療モニタリング等の目的で用いることができる。
【0093】
本開示の分析用センサは、以下の用途で用いることができる。
【0094】
測定対象のin vivo/in vitroイメージングや、治療への応用
人体または環境中のウイルスセンサおよび
食品、農作物、家畜等の分析に利用することができる。
【0095】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0096】
本実施例では、本開示の化合物の製造、用途に関する実施例を説明する。
なお、細胞の顕微鏡観察にはCKX31 (OLYMPUS, Tokyo, Japan)、遠心分離器にはKUBOTA2800 (KUBOTA, Tokyo, Japan)、インキュベーターにはCO2 WATER JACKETED INCUBATOR (Thermo Fisher Scientific Inc, Massachusetts, USA)、オートクレーブにはKS-243 (TOMY SEIKO Co,Ltd., Tokyo, Japan)、クリーンベンチにはバイオクリーンベンチ(ORIENTAL GIKEN INC, Tokyo, Japan)をそれぞれ使用した。エクソソーム濃度測定にはqNano Gold (Izon Science Ltd., Christchurch, New Zealand)を使用した。また、金基材のUVオゾン処理にはUV Ozone Cleaner (BioForce Nanosciences, Inc.)、蛍光測定にはSIC自動分注装置(SYSTEM INSTRUMENTS Co.,Ltd., Tokyo, Japan) つき蛍光顕微鏡(Olympus Corporation, Tokyo, Japan) および分光学ソフトウェアとしてAndor SOLIS (Andor Technology Ltd, Belfast, Northern Ireland)を用いた。
【0097】
また、MALDI-TOF-MS にはMALDI-TOF/MS (MALDI-7090、島津製作所)を、解析ソフトは(MALDI Solutions、島津製作所)、キャリブレーションはprotein calibration standardI (ブルカー)を用いた。マトリックスにはシナピン酸を用いた。CD スペクトルにはJ- 725 型円二色性分散計(日本分光, Tokyo, Japan) を用いた。Buffer調製のために卓上pH メーターF-52(HORIBA, Kyoto, JAPAN)によりpH を測定した。蛍光スペクトル測定は、日立ハイテクノロジー製の蛍光分光光度計(Fluorescence spectrophotometer)F-2500 (Tokyo,Japan)を使用して行った。限外濾過に使用した限外濾過膜はアミコンウルトラ-4(10kDa)を使用した。吸収スペクトル測定にはThermo ScientificTM Nano drop TM One 超微量紫外可視分光光度計(Thermo Fisher)を用いた。作製した粒子の平均粒子径および多分散指数(PDI)はZETASIZER NANO-ZS MAL500735 (Malvern, UK)にて動的光散乱法(Dynamic Light Scattering, DLS)により測定し、解析ソフトとしてZetasizer software を用いた。TEM解析には透過型電子顕微鏡(JEM-1230、日本電子製) を用いた。
【0098】
(実施例1:修飾物質の合成)
1.実験操作
1-1.ポリマーの合成
【0099】
【化1】
【0100】
1-1-1.ポリマーE2の合成
【0101】
【化2】


【0102】
表1-1に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75 ℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマー(E2-0)を得た。(収量:100 mg)
得られたポリマーの100 mgをジクロロメタン/ジオキサン=1/1 (v/v)溶液(10mL)に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル92 mg (0.5 mmol)、トリエチルアミン (TEA) 140μL(1.0mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶媒をエバポレーターで減圧留去し、残渣に少量のジクロロメタンを添加し、さらに過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでポリマーE2を得た。(収量:101 mg)
得られたポリマーE2についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。(図1-1)
【0103】
【表1-1】
【0104】
1-1-2. ポリマーE3の合成
【0105】
【化3】


【0106】
表1―2に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75 ℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマーを得た。(収量:105 mg)
このポリマーをジクロロメタン(10 mL)中に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル110 mg (0.6 mmol)、トリエチルアミン(TEA) 140 μL (1.0 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶液に過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでポリマーE3を得た。(収量:115 mg)得られたポリマーをジクロロメタン(6 mL)中に分散させ、そこにジオキサン中4 N HCl 1.0 mLを添加し氷冷下で2時間撹拌した。その後室温でさらに一晩撹拌した。反応後溶液にヘキサンを添加し生じた沈殿を回収した。回収した沈殿に少量のジクロロメタンを添加し、さらに過剰量のヘキサンを添加し、沈殿を洗浄した。回収した沈殿を真空乾燥させた。(収量:105 mg)
得られたポリマーE3についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。(図1-2)
【0107】
【表1-2】
【0108】
1-1-3. ポリマーE4の合成
【0109】
【化4】


【0110】
表1-3に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75 ℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマーを得た。(収量:70 mg)
【0111】
得られたポリマーをジクロロメタン(10 mL)中に分散させ、そこに4N HCl in dioxane 1.0 mLを添加し氷冷下で2時間撹拌した。その後室温でさらに一晩撹拌した。反応後溶液にヘキサンを添加し生じた沈殿を回収した。回収した沈殿に少量のジクロロメタンを添加し、さらに過剰量のヘキサンを添加し、沈殿を洗浄した。回収した沈殿を真空乾燥させた。その後、このポリマーをジクロロメタン(10mL)中に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル73mg(0.4mmol)、トリエチルアミン(TEA) 84 μL(0.6 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶液に過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでE4を得た。(収量:62mg)
得られたE4についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。(図1-3)
【0112】
【表1-3】
【0113】
1-2-1ポリマーF1の合成
表1-4に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマーを得た。(収量:105.7mg)
得られたポリマーをジクロロメタン(5 mL)中に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル34.1 mg (0.19 mmol)、トリエチルアミン(TEA) 38.9 μL (0.28 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶液に過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでF1を得た。(収量:19.1mg)
得られたF1についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。
【0114】
【表1-4】
【0115】
ポリマー(AN1)の合成
Boc-cystamine metacrylamide 64mg、t-butyl acrylate 29 μL、NIPAm 68mgをDMF 1.8mLに溶解させ、最後にRAFT剤(2-Cyano-2-[(dodecylsulfanylthiocarbonyl)sulfanyl]propane)8.6mg、開始剤(AIBN)2.1mgが溶解したDMF 0.2mLを添加し、脱気アルゴン置換を行って溶存酸素を取り除いた。この後75℃に設定したオイルバス中で重合反応を行った(24h)。反応後、反応液を過剰量のジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を回収した。(収量:51mg)
得られたポリマーをジクロロメタン(5mL)に溶解させ氷冷下で撹拌した。そこにトリフルオロ酢酸1.5 mLを添加し遮光下で一晩撹拌させた。反応後、ジエチルエーテルを添加し生じた沈殿を回収し、得られた沈殿をジエチルエーテルで洗浄した。(収量: 22 mg)
得られたポリマーをジクロロメタンに分散させそこにN-succucinimydyl methacrylate 15mg(0.08mmol)、トリエチルアミン 17 μL(0.12 mmol)を加え、一晩室温撹拌させた。反応液にジエチルエーテルを添加し、生じた沈殿を回収した。この沈殿を少量のジクロロメタンに溶解させ、そこに過剰量のヘキサンを添加することで沈殿させた。この操作を2回繰り返し、真空乾燥させることで目的のポリマー(AN1)を得た。(収量:16mg)
【0116】
1-1. ポリマー(E101)合成
【化5】

ポリマーレシピ:
【表A-1】
【0117】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0118】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL(1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E101)を得る。
【0119】
1-2. ポリマー(E101)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E101)水溶液(2 mg/mL)と表面に塩基性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0120】
2-1. ポリマー(E102)合成
【化6】

ポリマーレシピ:
【表A-2】
【0121】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0122】
前項で作製したポリマー、TEA 140μL(1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E102)を得る。
【0123】
2-2. ポリマー(E102)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E102)水溶液(2 mg/mL)と表面にベンゼン環等疎水性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールのみ、またはウンデカンチオールとの混合SAMで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0124】
3-1. ポリマー(E103)合成
【化7】

ポリマーレシピ:
【表A-3】
【0125】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0126】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL(1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E103)を得る。
【0127】
3-2. ポリマー(E103)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E103)水溶液(2mg/mL)と表面にベンゼン環やアルキル鎖など疎水性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールのみ、またはウンデカンチオールとの混合SAMで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0128】
4-1. ポリマー(E104)合成
【化8】

ポリマーレシピ:
【表A-4】
【0129】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0130】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg(0.3mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E104)を得る。
【0131】
4-2. ポリマー(E104)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E104)水溶液(2 mg/mL)と表面にHis-tag等配位結合可能な基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M NHSが溶解したCHClに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をCHClで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E104)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0132】
5-1. ポリマー(E105)合成
【化9】

ポリマー(E101) 100 mg、TEA 140 μL (1.0mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E101)-NHS(E112)を得る。
前項で作製したポリマー10 mg、TEA 28 μLをDMF(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここに合成ペプチド(N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したものにおいてC末端のカルボキシル基がアミド化された構造をしているものである。) 3 mg を加え更に一晩撹拌する。反応後少量のCHClを添加し、その後過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせる。沈殿を回収し、そこに少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させ、ポリマー(E105)を得る。
【0133】
5-2. ポリマー(E105)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E105)水溶液(2 mg/mL)と表面にNTA基など配位結合可能な基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を1 mM N-[5-(4-Isothiocyanatobenzyl)amido-1-carboxypentyl]iminodiacetic acidが溶解したDMSOに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をDMSO、EtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E105)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0134】
6-1. ポリマー(E106)合成
【化10】
【0135】
ポリマー(E101) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E101)-NHS(E112)を得る。
【0136】
前項で作製したポリマー10 mgを50 mM 炭酸緩衝液(pH 8.5)(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここにAvidin 3 mgを加え更に一晩撹拌する。反応液を100 kDa対応の透析膜に入れリン酸緩衝液(pH 7.4)中で透析を行う。透析後、限外ろ過で濃縮を行い目的とするポリマー(E106)の溶液を得る。
【0137】
6-2. ポリマー(E106)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E106)水溶液(2 mg/mL)と表面にビオチンまたはその誘導体を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をリン酸緩衝液で適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 Mビオチンが溶解したDMSOに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をDMSO、EtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E105)-粒子コア混合溶液40 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をリン酸緩衝液で洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0138】
7-1. ポリマー(E107)合成
【化11】

ポリマーレシピ:
【表A-5】

【0139】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0140】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E107)を得る。
【0141】
7-2. ポリマー(E107)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E107)水溶液(2 mg/mL)と表面にAvidinを修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をPBSで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M NHSが溶解したCHClに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をCHClで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上に1 mg/mLのAvidin溶液を滴下し、1時間静置する。反応後リン酸緩衝液で基板を洗浄する。この基板上にポリマー(E107)-粒子コア混合溶液を滴下し、1時間静置する。その後基板をリン酸緩衝液で洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0142】
8-1. ポリマー(E108)合成
【化12】

ポリマー(E3) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、3-mercaptopropionic acid 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E108)を得る。
【0143】
8-2. ポリマー(E106)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E108)水溶液(2 mg/mL)と表面にマレイミド基、ピリジルジスルフィド基等チオール反応活性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M 3-maleimidopropionic acid または3-(2-pyridyldithio)propionic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E108)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0144】
9-1. ポリマー(E109)合成
【化13】

ポリマー(E3) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、3-maleimidopropionic acid 34 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E108)を得る。
【0145】
9-2. ポリマー(E109)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E109)水溶液(2 mg/mL)と表面にチオール基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M 3-mercaptopropionic acid が溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E109)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0146】
10-1. ポリマー(E110)合成
【化14】

ポリマーレシピ:
【表A-6】
【0147】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0148】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E110)を得る。
【0149】
10-2. ポリマー(E110)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E110)水溶液(2 mg/mL)と表面にアミノ基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上にポリマー(E110)-粒子コア混合溶液を滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0150】
11-1. ポリマー(E111)合成
【化15】

ポリマーレシピ:
【表A-7】
【0151】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0152】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
【0153】
得られたポリマーをCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4 N HCl in dioxaneを1 mL添加しさらに一晩撹拌する。反応液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿に少量のCHClを加え、さらに過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を洗浄し、その後真空乾燥させ、ポリマー(E111)を得る。
【0154】
11-2. ポリマー(E111)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E111)水溶液(2 mg/mL)と表面にアルデヒド基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上を0.1 M EDC、0.05 M 4-formylbenzoic acid が溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E111)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0155】
12-1. ポリマー(E112)合成
【化16】

ポリマー(E101) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E112)を得る。
【0156】
12-2. ポリマー(E112)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E112)水溶液(2 mg/mL)と表面にアミノ基有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液一晩静置した後DMFで80倍に希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールと1-Decanaminium, 10-mercapto-N,N,N-trimethyl-, chlorideで修飾された金基板上にポリマー(E112)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0157】
13-1. ポリマー(E113)合成
【化17】

ポリマーレシピ:
【表A-8】
【0158】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0159】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E113)を得る。
【0160】
13-2. ポリマー(E111)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E113)水溶液(2 mg/mL)と表面にフェニルボロン酸基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M 4-carboxyphenylboronic acid (または3-fluoro-4-carboxyphneyl boronic acid)が溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E113)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0161】
14-1. ポリマー(E114)合成
【化18】


ポリマーレシピ:
【表A-9】
【0162】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0163】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E114)を得る。
【0164】
14-2. ポリマー(E114)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E114)水溶液(2 mg/mL)と表面にcis-ジオール構造を有する基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をTEA、α-D-マンノピラノシルフェニルイソチオシアネートが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E114)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0165】
15-1. ポリマー(E115)合成
【化19】

ポリマーレシピ:
【表A-10】
【0166】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0167】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E115)を得る。
【0168】
15-2. ポリマー(E115)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E114)水溶液(2 mg/mL)と表面にアミノ基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をEDC、3-(2-pyridyldithio)propionic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E115)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0169】
16-1. ポリマー(E116)合成
【化20】

ポリマーレシピ:
【表A-11】
【0170】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E116)を得る。
【0171】
16-2. ポリマー(E116)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E116)水溶液(2 mg/mL)と表面にアルキン基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。そこに硫酸銅、アスコルビン酸ナトリウムを加え1時間撹拌する。反応後、遠心分離で溶液を純水に置換する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をEDC、4-(3-Butyn-1-yldithio)butanoic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E116)-粒子コア混合溶液(硫酸銅およびアスコルビン酸含有) 4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0172】
17-1. ポリマー(E116)合成
【化21】

ポリマー(E112)、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにプロパルギルアミン11 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E117)を得る。
【0173】
17-2. ポリマー(E117)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E117)水溶液(2 mg/mL)と表面にアジド基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。そこに硫酸銅、アスコルビン酸ナトリウムを加え1時間撹拌する。反応後、遠心分離で溶液を純水に置換する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をEDC、3-[(2-Azidoethyl)dithio]propanoic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E117)-粒子コア混合溶液(硫酸銅およびアスコルビン酸含有) 4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0174】
18-1. ポリマー(E201)合成
【化22】

ポリマーレシピ:
【表A-12】
【0175】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0176】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-(2-Aminoethyl)methacrylamide 25 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E201)を得る。
【0177】
18-2. ポリマー(E201)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E201)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0178】
19-1. ポリマー(E202)合成
【化23】

ポリマーレシピ:
【表A-13】
【0179】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0180】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
【0181】
前項で作製したポリマー10 mg、TEA 28 μLをDMF(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここに合成ペプチド(N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したものにおいてC末端のカルボキシル基がアミド化された構造をしているものである。)3 mg を加え更に一晩撹拌する。反応後少量のCHClを添加し、その後過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせる。沈殿を回収し、そこに少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0182】
前項で作製したポリマーをMeOHに溶解させ、そこにNi錯体化したL-Lysine, N2,N2-bis(carboxymethyl)-N6-(2-methyl-1-oxo-2-propen-1-yl)-を加え撹拌する。CHClを添加し析出した沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E202)を得る。
【0183】
19-2. ポリマー(E202)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E202)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0184】
20-1. ポリマー(E203)合成
【化24】

ポリマーレシピ:
【表A-14】
【0185】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0186】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4-Methacryloyloxybenzoic acid 40 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E203)を得る。
【0187】
20-2. ポリマー(E203)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E203)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0188】
21-1. ポリマー(E204)合成
【化25】

ポリマーレシピ:
【表A-15】
【0189】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4-(2-Methacrylamidoethylcarbamoyl)-3-fluorophenylboronic acid 59 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E204)を得る。
【0190】
21-2. ポリマー(E204)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E204)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0191】
22-1. ポリマー(E205)合成
【化26】

ポリマーレシピ:
【表A-16】
【0192】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0193】
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
【0194】
前項で作製したポリマー10 mgを50 mM 炭酸緩衝液(pH 8.5)(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここにAvidin 3 mgを加え更に一晩撹拌する。反応液を100 kDa対応の透析膜に入れリン酸緩衝液(pH 7.4)中で透析を行う。透析後、限外ろ過で濃縮を行う。その後、biotin monomer ((3aS,4S,6aR)-Hexahydro-2-oxo-N-[3-[(1-oxo-2-propen-1-yl)amino]propyl]-1H-thieno[3,4-d]imidazole-4-pentanamide)を結合させることで目的とするポリマー(E205)を得る。
【0195】
22-2. ポリマー(E205)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E205)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0196】
23-1. ポリマー(E206)合成
【化27】

ポリマーレシピ:
【表A-17】
【0197】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 38 mg (0.2 mmol)、4-[4-[1-(Methacryloyloxy)ethyl]-2-methoxy-5-nitrophenoxy]butanoic acid 73 mg (0.2 mmol)を添加し一晩遮光下で撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E206)を得る。
【0198】
23-2. ポリマー(E206)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E206)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、遮光下で1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0199】
24-1. ポリマー(E207)合成
【化28】

ポリマーレシピ:
【表A-18】
【0200】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 38 mg (0.2 mmol)、化合物A (下図参照) 92 mg (0.2 mmol)を添加し一晩遮光下で撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E207)を得る。
【化29】
【0201】
24-2. ポリマー(E207)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E207)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、遮光下で1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0202】
25-1. ポリマー(E301-E312)合成
【化30】

ポリマーレシピ:
【表A-19】
【0203】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
【0204】
作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 36 mg (0.2 mmol)を添加し一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
【0205】
ポリマーをCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4 N HCl in dioxaneを1 mL添加しさらに一晩撹拌する。反応液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿に少量のCH2Cl2を加え、さらに過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を洗浄し、その後真空乾燥させる。
【0206】
ポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに右の表の化合物のいずれか0.25 mmol、*EDC 20 mg (0.1 mmol)を加え一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、目的のポリマー(E301-E312)を得る。
*E304-E309, E311-E312合成時に使用
【表A-20】
【0207】
25-2. ポリマー(E301)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E301)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
【0208】
(実施例1-2:粒子へのポリマーの結合(非共有結合))
1-2-1. E3 conjugated silica NPsの合成
【0209】
【化31】
【0210】
シリカナノ粒子分散液(2.0×1012 個/mL) 100 μL、ポリマーE3水溶液(2.0 mg/mL)500 μL、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)水溶液(12.5 mM) 400 μLを混合しサーモシェーカーで25 ℃、1000rpmで12時間撹拌した。反応後、遠心分離(25 ℃, 10,000 g, 15 min)×5にて溶液中の反応物を除去した。各上澄み液はUV-vis測定(NanoDrop)で確認した。
【0211】
同様の手順に従い、ポリマーE2、ポリマーE4をシリカ粒子と一体化させた。
【0212】
(結果)
1-2-2. DLSおよびZ-potential測定
シリカナノ粒子分散液(2.0×1012 個/mL) 20 μL、各種カチオン性ポリマー水溶液(2.0 mg/mL) 100 μL、純水 80 μLを混合しvortexでよく撹拌した。この溶液を純水で100倍に希釈し、DLSおよびZ-potential測定サンプルとした。測定機器にはZetasizer pro (Marvern Panalytical, UK)を用いた。
【0213】
DLSによる粒径測定の結果(図1―4および表1-5)とZ-poteintial測定の結果(図1-5及び表1-5)から作製したカチオン性ポリマーはシリカナノ粒子状に吸着しその表面特性を負に帯電している状態から正に帯電している状態へ変化させることができることが示された。またこのシリカナノ粒子にポリマーを吸着させる前後で粒径の大きな変化は観察されなかったことから、ポリマー吸着後もシリカナノ粒子破綻分散性を維持していることが示された。
【0214】
【表1-5】
【0215】
(実施例1-3:粒子へのポリマーの結合)
ポリマー(E2-0)-シリカナノ粒子複合体(RM)の合成
【化32】

純水(500 μL)中にシリカナノ粒子(200 nm, 末端COOH) 4.0×1011 particles/mL、E2-0 2.0 mg/mL、DMT-MM 10 mMとなるように混合し、サーモシェーカーで25 ℃、1,000 rpm、15時間振盪した。反応後、純水500 μLを加え、遠心分離(25 ℃、1,000 rpm、15 min)で粒子を沈殿させ、上澄み900 μLを除去した。この操作を計5回行い、粒子の精製を行った。得られた粒子の粒径、表面電荷についてDLS測定を行った結果を図1-6に示す。
平均粒径(Z-Average)は232 nm (pdi:0.022)、表面電荷(Z-potential)は+55.3 mVであったことから、粒子の単分散性を維持しつつ、表面電荷が大きく正に変化したことからポリマーが修飾されたことを確認した。
【0216】
(実施例2:測定基材の作製)
【0217】
【化33】


【0218】
2-1.実験
2-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
2-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーE2(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させた。
【0219】
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表2-2に示した個数になるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
【0220】
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表2-1に示す。
【0221】
【表2-1】
【0222】
2-1-3. 粒子固定化基材上でのシリカナノ粒子インプリントポリマーの合成
表2-2に示す組成にてプレポリマー溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて25℃で18時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
【0223】
前述の基材を100mMトリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩溶液(メタノール:純水=1:1)に浸漬し、超音波処理を5min行うことでシリカナノ粒子を除去し、ポリマー薄膜表層に空孔を形成させた。
【0224】
【表2-2】
【0225】
2-2.結果
2-2-1.粒子固定化基材の作製
蛍光顕微鏡での観察結果を図2-1に示す。いずれの条件でも基材上にシリカナノ粒子由来の蛍光を確認できたことから、基材上にシリカナノ粒子(ポリマー複合体)が固定化されていることを確認できた。
また60倍対物レンズでの蛍光観察とハイブリッドセルカウントを用いて解析を行った結果を図2-2に示す。図2-2より、滴下個数の増大と共に基材上のシリカナノ粒子個数が増加する傾向にあることが分かった。また画像から明らかに単分散で、凝集しておらず、単層であると判断できる図No.4・No.5において、輝点の面積が2μmを上回るものはほとんど存在しなかったため
、これを超える輝点面積を有するものは凝集体であると判断できる。この数値を境界値とすることで、境界値2μmを超える輝点が発生するNo.4(3×10個/4μL)以上で凝集が発生し、No.5(1×10個/4μL)以下では凝集が発生していないということを数値で客観的に表現可能であり、また基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態を制御可能であった。
【0226】
(実施例3:測定基材の作製(カチオンポリマー))
3.シリカ粒子を用いた検討(カチオンポリマー組成の影響)
【化34】


【0227】
3-1.実験
3-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
【0228】
EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
3-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーE4、E3(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中でそれぞれ混合し複合体を形成させた。
【0229】
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表3-1または表3-2となるように基材に溶液を滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
【0230】
DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
【0231】
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表3-1と表3-2に示す。
【0232】
【表3-1】
【0233】
【表3-2】

【0234】
3-2.結果
3-2-1.粒子固定化基材の作製
蛍光顕微鏡での観察結果を図3-1と図3-2に示す。この結果より、異なるポリマー組成であっても基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態を制御可能であることが分かった。
【0235】
(実施例4:測定基材の作製(ガラス基材))
4.シリカ粒子を用いた検討(基材の影響)
【0236】
【化35】
【0237】
4-1-1.ガラス基材の表面修飾
ガラス基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
【0238】
EtOH溶媒(1%純水)中で3-アミノプロピルトリエトキシシラン(ATPES)と3-(トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエートを1 vol%ずつ混合し、この溶液に前述のガラス基材を浸漬させた。25℃、1時間静置した後にEtOHで洗浄し、オーブンにて90℃で2時間乾燥させることで、ガラス基材表面にアミノ基とATRP開始基を導入した。
【0239】
5mg/mL 無水コハク酸溶液(溶媒=THF:TEA=95:5)を調製し、前述の基材を浸漬させた。25℃、4時間静置した後に純水で洗浄し、ガラス基材表面のアミノ基の位置をカルボキシル基とした。
【0240】
1 mM 2-ブロモイソブタン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル溶液(溶媒=DMF)に基材を浸漬し、25℃で1時間反応させた後にEtOHで洗浄した。これにより表面にATRP開始基とカルボキシル基を有するガラス基材を得た。
4-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーE2(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中でそれぞれ混合し複合体を形成させた。
【0241】
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表4-1となるように基材に溶液を滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
【0242】
DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
【0243】
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表4-1に示す。
【表4-1】
【0244】
4-2.結果
4-2-1.粒子固定化基材の作製
蛍光顕微鏡での観察結果を図4に示す。この結果より、異なる基材であっても基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態を制御可能であることが分かった。
【0245】
(実施例5:測定基材の作製(ポリスチレン粒子))
5.ポリスチレン粒子を用いた検討
5-1.実験
5-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
【0246】
EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
5-1-2.粒子固定化基材の作製
ポリスチレン粒子分散液(粒径250nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーE2(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させた。
【0247】
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表5-1となるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
【0248】
DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
【0249】
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表5-1に示す。
【0250】
【表5-1】
【0251】
5-2.結果
5-2-1.粒子固定化基材の作製
蛍光顕微鏡での観察結果を図5-1と図5-2に示す。いずれの条件でも基材上にポリスチレン粒子由来の蛍光を確認できたことから、基材上にポリスチレン粒子(ポリマー複合体)が固定化されていることを確認できた。
また得られた蛍光顕微鏡画像をソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いて解析を行った結果を表5-2に示す。解析の結果、滴下する粒子個数の増加と共に基材上のポリスチレン粒子個数が増加する傾向にあり、特に滴下個数が多い条件(No.1、No.2)では輝点数がNo.3に比べて減少したことから、凝集体の個数が増加したことが分かった。
さらに、No.1(1×10個/4μL)とNo.2(3×10個/4μL)においては基材上で粒子の凝集度合いが大きく、均一性に乏しい一方でNo.8(3×10個/4μL)とNo.9(1×10個/4μL)ではポリスチレン粒子の固定化量が極めて少ない。そのため、No.3(1×10個/4μL)~No.7(1×10個/4μL)にて詳細な検討を行うべく、60倍対物レンズでの蛍光観察とハイブリッドセルカウントを用いて解析を行った結果をそれぞれ図5-3と図5-4に示す。
図5-3より、滴下個数の増大と共に最大輝点面積が増大しており、凝集の規模が大きくなっていることが分かった。また画像から明らかに単分散で、凝集しておらず、単層であると判断できるNo.6・No.7において、輝点の面積は2μm程度であったため、これを超える輝点面積を有するものは凝集体であると判断できる。この数値を境界値とし、2μm・4μm・10μmと定めた際の境界値以上の輝点数を図5-4に示した。この結果より、境界値2μmを超える輝点が発生するNo.4(3×10個/4μL)以上で凝集が発生し、No.5(1×10個/4μL)以下では凝集が発生しておらず、基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態を制御可能であった。
【0252】
【表5-2】
【0253】
(実施例6:性能試験(基材上の粒子密度評価))
6A基材上の凹部密度
蛍光性カチオンポリマーを用いた検討
【0254】
【化36】


【0255】
6-1.実験
6-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
【0256】
EtOH溶媒中で2-(2ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
6-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーF1(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させた。
【0257】
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表6-1となるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
【0258】
DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
【0259】
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表6-1に示す。
【0260】
【表6-1】
【0261】
6-1-3. 粒子固定化基材上でのシリカナノ粒子インプリントポリマーの合成
表6-2に示す組成にてプレポリマー溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて25℃で18時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
【0262】
前述の基材をメタノール:純水=1:1の溶液に浸漬し、超音波処理を0.5 min行うことでシリカナノ粒子を除去し、ポリマー薄膜表層に空孔を形成させた。
【0263】
【表6-2】
【0264】
6-2.結果
6-2-1.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子と蛍光性カチオンポリマーF1の複合体について、Zeta Sizerによる粒径
・表面Z電位測定を実施した結果を表.6-3に示す。複合体の形成前後において表面Z電位がネガティブからポジティブになっていることから、シリカナノ粒子と蛍光性カチオンポリマーF1が複合体を形成していることが確認でき、また粒径とPDIから粒子は凝集しておらず、分散性を損なっていないことが確認できた。
【0265】
【表6-3】
【0266】
また蛍光顕微鏡での観察結果を図6-1に示す。いずれのサンプルでもシリカナノ粒子由来の緑色蛍光と蛍光性カチオンポリマー由来の赤色蛍光が確認できたことから、シリカナノ粒子-蛍光性カチオンポリマー複合体が基材上に固定化されたことを確認できた。
【0267】
6-2-2.シリカナノ粒子除去後の蛍光性カチオンポリマーF1確認
シリカナノ粒子-蛍光性カチオンポリマー複合体の固定化後の基材上へのポリマー層重合後の蛍光顕微鏡での観察結果と重合後のシリカナノ粒子除去後の蛍光顕微鏡での観察結果をそれぞれ図6-2と図6-3に示す。
図6-2より、重合後も基材上にシリカナノ粒子と蛍光性カチオンポリマー由来の蛍光を確認できていたが、シリカナノ粒子除去後の図6-3からはシリカナノ粒子由来の緑色蛍光が確認できなくなった一方で蛍光性カチオンポリマー由来の赤色蛍光が確認できた。このことから、実験操作によってシリカナノ粒子を除去した後も蛍光性カチオンポリマーが基材上に作製したポリマー層(シリカナノ粒子除去後の空孔内)に残存していることが確認できた。
【0268】
またシリカ粒子除去後に基板上に残存する赤色蛍光はシリカ粒子除去後の空孔内に存在するカチオンポリマーに由来することから、この赤色蛍光の輝点数=空孔数として基板上の空孔密度を算出した。この結果、本実験条件において基板上に形成された空孔密度は基材に滴下するシリカ粒子の個数と相関し、10~10個/mmの範囲となった。このことから、基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態に加えて、シリカ粒子除去後の空孔密も制御可能であることが分かった。
【0269】
6.B基材上の粒子密度
実施例2,3および5で得られた測定基材上の粒子を60倍対物レンズでの蛍光観察とハイブリッドセルカウントを用いて解析を行った結果である図3-1、図3-2および図5-1より、滴下個数の増大と共に基材上のシリカナノ粒子個数が増加する傾向にあることが分かった。また画像から明らかに単分散で、凝集することなく、単層であると判断できるNo.4・No.5において、輝点の面積が2μmを上回るものはほとんど存在しなかったため、これを超える輝点面積を有するものは凝集体であると判断できる。この数値を境界値とすることで、境界値2μmを超える輝点が発生するNo.4(3×10個/4μL)以上で凝集が発生し、No.5(1×10個/4μL)以下では凝集が発生していないということを数値で客観的に表現可能であり、また基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態を制御可能であった。測定基材上に存在する粒子を解析した結果を図6-4にまとめた。凝集が発生しないNo.5(1×10個/4μL)以下の濃度で粒子をまいた場合、基材上に1×10個/mm以下の粒子密度で存在する場合、基材上に単分散で、凝集しておらず、単層で粒子が配置されていた。
【0270】
(実施例7:His-Tagポリマーとシリカナノ粒子の複合化)
【化37】

【表B】
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加した。撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:70 ℃)で重合を行った(17 h)。(撹拌速度は300 rpm)
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させた。反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収した。沈殿をdiethyl etherで洗浄し真空乾燥させた。
得られたポリマー 5 mg、His-tag (N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したものにおいてC末端のカルボキシル基がアミド化された構造をしているものである。)
4 mg、pyridyldithioethyl-PEG3-methacrylamide 3.5 mg、TEA 2.8 μLをDMF (0.3 mL)に溶解させ9時間撹拌した。反応液にCHCl、n-hexaneを加え生じた沈殿を回収し、真空乾燥させポリマー(E11His)を得た。
iii) E11His
2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとNTA-SAM formation regentで修飾された金基板上に、4mM NiCl水溶液を滴下し静置(室温,15min)後、基板を純水で洗浄した。シリカナノ粒子(200 nm, COOH末端)とE11His水溶液との混合溶液(シリカ濃度2.0×1011 particles/mL、ポリマー濃度 1 mg/mL)をDMFで4、400倍に希釈した。これらの溶液4 μLをNiClと反応後の金基板上に滴下し、1時間静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した。結果を図7に示す。
【0271】
(実施例8:カチオンシリカナノ粒子+アニオンポリマーEx8)
1.アニオンポリマーEx8の合成方法
【化38】

表のレシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させた(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:70 ℃)で重合を行った。(16 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収した。回収した沈殿をdiethyl etherで洗浄した後、真空乾燥させポリマーを得た。
得られたポリマー、TEA 70 μL (0.5 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌し、そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩撹拌した。その後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収した。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ目的のポリマー(Ex8)を得た。
収量:120 mg
【表C】

2.シリカナノ粒子とポリマーの複合
シリカ(Red-plane、200 nm、50 mg/mL) 1.98 mg (39.6μL)と純水 60.4μL (total 100 uL)を混合し、1.5 mLエッペンに入れておいたEtOH 800 uL中に添加後、さらに2M HCl 100 uL 、APTES 15 uL を入れ、25℃ サーモシェーカー 1000rpm 20hで反応させた。反応後、エタノールにて遠心洗浄(5000rpm 10 min×3)した。
作製したシリカナノ粒子分散液(NH末端, 200nm、4.0×1011particles/mL、50mM炭酸バッファー(pH8.0))20μLと、Ex8炭酸バッファー溶液(2 mg/mL) 20μLを混合し、25℃で15分静置した。
3.DLS測定
2の複合体を純水で100倍希釈し、DLSを用いて粒子径およびZ-potentialを測定した。
4.基板への固定化
2の複合体をDMFで80倍に希釈した。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール:アミノ-EG6ウンデカンチオール(1:1vol)で修飾した金基板上に4μL滴下し、25℃で1h静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡およびSEMで表面を観察した(図8)。
【化39】

DLSによる粒子径測定の結果と、Z-potential測定の結果から、アニオン性ポリマーがシリカナノ粒子に吸着し、表面が正に帯電している状態から負に帯電している状態へと変化したことが示唆された。また、粒子径に大きな変化がないことから、ポリマー吸着後も分散性を保っていることが示された。
【表D】
【0272】
(結果)
図8の観察結果より、シリカナノ粒子に由来する蛍光輝点が単分散で、凝集しておらず、単層に分布していることが観察された。このことからアニオンポリマーEx8とカチオンシリカナノ粒子を複合しても、カチオンポリマーEx8とアニオンシリカナノ粒子の場合と同様、単分散で、凝集しておらず、単層に基板へ粒子を固定できることが示された。
【0273】
(実施例9:カチオン性ナノ粒子+アニオンポリマー)
【化40】

【0274】
(使用したシリカナノ粒子)
・ E2-0 conju red-COOH silica (RM) 200 nm
4.0x1011 個/ml
【0275】
(ポリマー溶液)
・ポリマー終濃度 0.87 mg/mL (10mM PB, pH7.47)
【0276】
(アニオンシリカ)
・シリカナノ粒子分散液とポリマーAN-1を混合し複合体を形成させた。(シリカ終濃度1.0x1011個/ml、ポリマー終濃度0.435mg/mL(5mM PB))
DMFにて上記の複合体溶液を4,40,400,4000倍希釈し、複合体を固定化する基材に対して4μL滴下し、25℃で1時間静置した。エタノールで基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
【0277】
(ポリマーマトリックス合成)
ATRPによって薄膜を形成(25℃, 20 h)
【0278】
(粒子コアの除去元)
50% 酢酸/MeOHを1.5mLチューブに300μL入れ、基板1枚ずつ浸漬させ、超音波処理を8分行った後、純水で洗浄した。
【0279】
(S-S還元切断)
50 mMトリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩 50% MeOH水溶液中に入れ40℃ 、1h反応させた。反応後の基材は純水で洗浄した。
【0280】
(蛍光色素の導入)
50 μM Alexa647-C2-Maleimide 、50 μM Maleimido-C3-NTA (5% DMSO 10mM PB(7.4))溶液を基板に30 μL滴下25℃、1h静置して反応後、純水で洗浄した。
深江化成製の扁平型ピペットチップ内に装着し、蛍光顕微鏡付き自動分注装置にて基材表面の蛍光強度変化を測定した。
シーケンス
1. チップ取付/ PBS吸引(150μL)し、抗体固定化前の画像取得
2. Ni錯体形成
4 mM NiCl (水溶液)吸引100μL , 反応5 min(25℃)
Wash 純水 x4回 150 μLを吸引して吐出
3. proteinG固定化
1μM His-proteinG (PBS, abcam)吸引100μL , 反応10 min(25℃)
Wash
0.01% tween(登録商標)20 PBS x2回、 PBS x2回
150 μLを吸引して吐出
4. 抗体固定化
100 nM Anti-CD9 (市販品)(PBS)吸引100μL , 反応10 min(25℃)
Wash
0.01% tween(登録商標)20 PBS x2回、 PBS x2回
150 μLを吸引して吐出
5.バックグラウンド(F0: 0.1% BSA, 100mM PB(pH7.0), 0.15M NaCl) 5回測定
6. Exosome吸着
0, 3, 30, 300, 1000 fMに調整したSKBR3培養上清エクソソーム (0.1% BSA, 100mM PB(pH7.0), 0.15M NaCl)
サンプル(SKBR3由来エクソソーム)吸引100μL、反応5 min(25℃)
画像取得
蛍光顕微鏡
カメラ: Zyla4.2
フィルタ: Cy5
(励起波長604-644 nm, 蛍光波長672-712 nm)
対物レンズ: ×5
露光時間: 0.5 sec
光量: 12%
光源: 水銀ランプ
0.01% tween(登録商標)20 PBS 150 μLを吸引して吐出
1~6繰り返し
【0281】
(結果)
カチオン表面の基材にアニオンポリマー修飾シリカ粒子を用いて作製したセンシングチップについても、 10fMのSK-BR3細胞株由来のエクソソーム添加により、約5%の相対蛍光強度変化が確認できた。
【0282】
(実施例10:生分解性ナノ粒子:ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(PGLA))
【化41】
【0283】
(基板上にSAM形成)
0.5 mM 2-(2-bromoisobutyryloxy) undecyl thiol, 0.5 mM Carboxy-EG6 undecane thiol EtOH溶液に金基板を浸漬しSAMを形成する (30℃, 20 h)
【0284】
(粒子の調製)
蛍光性カルボキシ化PGLA ナノ粒子(200 nm) 水懸濁液を超音波(Lv2)1min後、ナノ粒子とE2ポリマー水溶液の終濃度が2×1011 particles/mLと1 mg/mLになるように混合し、EtOHで80倍希釈した溶液4 μLを基板に滴下(1.0×10 particles/4 μL) (25℃, 1h) 静置後EtOHで3回洗浄した。
【0285】
(SEM観察・蛍光観察)
E2ポリマー水溶液が1 mg/mLになるように混合した後、EtOHで希釈し4 μLを基板に滴下(1.0×10 particles/4 μL) (25℃, 1h) 静置後EtOHで3回洗浄。
EtOH中で基板上の蛍光観察を行った(キーエンスBZ-X800、励起波長470±20 nm/蛍光波長525±25 nm)。その後、真空乾燥して、金スパッタ後、走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察した。(図9
【0286】
(結果)
シリカナノ粒子やポリスチレンナノ粒子と遜色ない様態を示し、この方法が、あらゆるコア粒子に適用可能であることが分かった。
【0287】
(実施例11:シリカナノ粒子+芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20)
1. E2P20合成方法
【化42】

芳香族成分(フェニル基)を含むカチオンポリマーE2P20は、以下のように合成した。
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:2 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加した。撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行った(24 h)。(撹拌速度は300 rpm)
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させた。反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収した。沈殿をdiethyl etherで洗浄し真空乾燥させた。
前項で作製したポリマー, TEA 42 μLをCHClに溶解(または分散)させ、撹拌した。そこにN-succinimidyl methacrylate 37 mg を添加し一晩撹拌した。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収した。沈殿にMeOH、CHCl、n-hexaneを加え生じた沈殿を回収し、真空乾燥させ目的のポリマー(E2P20)を得た。
収量:110 mg
【表E】
【0288】
2.シリカナノ粒子とポリマーの複合
シリカナノ粒子水分散液(COOH末端, 200nm, Lot.0921940-03、4.0×1011particles/mL) 40μLと 、
E2P20水溶液(2 mg/mL) 40μLを混合し、25℃で15分静置して、シリカナノ粒子とE2P20 の複合体を形成した。
【0289】
3.DLS測定
シリカナノ粒子とE2P20 の複合体を純水で100倍希釈し、DLSを用いて粒子径およびZ-potentialを測定した。
【0290】
4.基板への固定化
シリカナノ粒子とE2P20 の複合体をDMFで80倍に希釈し、 2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール:カルボキシ-EG6ウンデカンチオール(1:1)で修飾した金基板上に4μL滴下し、25℃で1h静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡およびSEMで表面を観察した。
DLSによる粒子径測定の結果と、Z-potential測定の結果から、カチオン性ポリマーがシリカナノ粒子に吸着し、表面が負に帯電している状態から正に帯電している状態へと変化したことが示唆された。また、粒子径に大きな変化がないことから、ポリマー吸着後も分散性を保っていることが示された。
【表F】
【0291】
(結果)
図10-1に示す観察結果より、シリカナノ粒子に由来する蛍光輝点が単分散で、凝集しておらず、単層に分布していることが観察された。このことからE2に芳香族成分(フェニル基)を導入したE2P20は、E2の場合と同様、シリカナノ粒子と複合化して基板上に固定化した際、単分散で、凝集しておらず、単層に基板へ固定できることが示された。
【0292】
(実施例12:ポリスチレンナノ粒子+芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20)
実施例11におけるシリカナノ粒子の代わりにポリスチレンナノ粒子を用いて芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20を複合化した。
【化43】

ポリスチレン(PS)ナノ粒子(250 nm, COOH末端, 2.0×1012 particles/mL) 20 μLとE2P20水溶液(2 mg/mL) 20 μLと混合し、この溶液をDMFで40、400、4000、40000倍に希釈した。これらの溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EGウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した。(図10-2)
【0293】
(結果)
シリカナノ粒子の場合と同様、ポリスチレンナノ粒子をもちいても、滴下する粒子数に依らず、蛍光輝点が単分散で、凝集しておらず、単層に分布していることが観察された。このことからカチオンポリマーに芳香族成分を導入しても単分散で、凝集しておらず、単層に粒子を固定できることが示された。
【0294】
(実施例13:性能試験(センサ感度)、再現性の確認)
13-1.実験
13-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOH洗浄後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面の洗浄を行う。
EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EGウンデカンチオールを1:1で混合した1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させる。30 ℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させる。
13-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子水中分散液(末端官能基:COOH、粒径200nm、粒子濃度:4.0×1011個/mL)とポリマーE2水溶液(2.0 mg/mL)を1/1 (v/v)で混合し複合体を形成させる。
【0295】
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材に対して1×10、1×10、1×10、1×10個になるように滴下(4 μL)し、25 ℃で1時間静置する。DMF、EtOHの順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得る。各添加条件について各10枚ずつ基材を作製する。
13-1-3. 粒子固定化基材上でのポリマーマトリックス及び分析センサの合成
表7に示す組成にてプレポリマー溶液を調製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、Arガス置換したグローブボックス内にて25 ℃で20時間重合を行う。重合後の基材を大量の純水で洗浄を行う。
【0296】
重合後の基材をAcOH/MeOH (1/1, v/v)液中に浸漬させ超音波照射を行う(5 min)。その後基材をMeOH、純水で洗浄しシリカナノ粒子を除去しポリマー薄膜に凹部を形成させる。
その後基材を50 mM Tris(2-carboxyethyl)phosphine hydrochloride)溶液(メタノール/純水=1/1, v/v)に浸漬し、超音波処理を5 min行うことでE2ポリマーを除去し、チオール基を露出させる。
【0297】
【表7】
【0298】
前述の基材上に50 μM AlexaFluor(R)647 C2 maleimideおよび50 μM maleimide C3 NTA PBS溶液(30 μL)を滴下し、25 ℃で1時間静置し、凹部内に蛍光分子及びNTA基を導入する。反応後の基材をMeOH、純水で洗浄する。
【0299】
前述の基材上に4 mM NiCl水溶液(30 μL)を滴下し、25 ℃で30分静置しNi-NTA錯体を形成させる。反応後の基材を純水で洗浄する。その後1 μM Hisタグ修飾プロテインG PBS溶液(30 μL)を滴下し25 ℃で1時間静置して、Ni-NTAとHisタグの複合体形成を利用してプロテインGを導入する。最後に0.3 μM anti-CD9抗体PBS溶液(30 μL)を滴下し、25 ℃で1時間静置し、分析センサを構築する。
13-1.4.吸着実験
自動分注装置つき蛍光顕微鏡(システムインスツルメンツ株式会社製)を用いて前立線がん細胞(PC-3)エクソソーム捕捉実験を行う。PC-3エクソソームPBS(10 mM phosphate,140 mM NaCl,pH7.4)溶液の濃度は0、1.0 fMとする。蛍光顕微鏡の測定条件は、フィルタはCy5(励起波長604-644 nm,蛍光波長672-712 nm)、対物レンズは5倍、露光時間は0.2 sec、光量は12 %、光源は水銀ランプである。基材中心部の範囲で測定する。自動分注装置のシーケンスは、1.チップ取り付け、2.サンプル吸引(100 μL)、3.反応(1 min,25℃)、4.全吐出、5.10 mM PBS(140 mM NaCl,pH7.4)吸引 150μL、6.測定位置keep(以降 2→6 の繰り返し)である。
固定化した粒子の数が1×10、1×10、1×10、1×10個である基材を用いて作製した分析センサ各10枚の初期蛍光強度(F)及びエクソソーム添加時の相対的蛍光強度変化を測定する。各分析センサの相対的蛍光強度変化の平均値と標準偏差から変動係数(=標準偏差/平均値 [%])を算出し、固定化した粒子の数と作製された分析センサの変動係数の間の相関をみることで、固定化した粒子の数が再現性に及ぼす影響を検討する。
【0300】
(比較例1:国際公開第2018/221271号およびToshifumi Takeuchi et al., J. Am. Chem. Soc.,2020年03月10日,Vol.142,Page.6617-6624の条件でのシリカナノ粒子凝集固定化)
1.シリカナノ粒子へのHis-tagとチオール基の導入
蛍光性シリカナノ粒子(red-COOH, 200nm, Lot.0442240-01)を25mg/mL(3.0×1012part./mL)になるよう水で調整した。シリカナノ粒子水懸濁液1mLへ、50mM His-tag (N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したものにおいてC末端のカルボキシル基がアミド化された構造をしているものである。)水溶液10μLと 50mM 2-aminoethanthiol-HCl水溶液10μL, 50mM DMT-MM水溶液10μLを添加し、サーモシェーカーを用いて25℃において1000rpmで19時間反応させて、シリカナノ粒子にHis-tagとチオール基を導入した。
2. 基板の作製
0.5 mM 2-(2-bromoisobutyryloxy) undecyl thiol, 0.5 mM Amino-EG6 undecane thiolのEtOH溶液に金基板を浸漬し、基板表面にアミノ基とブロモ基を導入する (30℃, 20 h)
3.基板上にNTAを導入し、ニッケル錯体を形成
アミノ基とブロモ基を導入した基板へ5mM Isothiocyanobenzyl-NTAのDMSO溶液を80μLを滴下し、25℃、2時間静置した。DMSOで2回、純水で2回ずつ洗浄し、Nドライした。4mM NiCl水溶液30μLを滴下し、25℃で15分静置し、純水で3回洗浄してNTAのNi錯体を形成した。
4. His-tagとチオール基を導入したシリカナノ粒子の固定化
His-tagとチオール基を導入したシリカナノ粒子を、溶媒をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)として、表の通りの濃度で,上記基板に50 μL滴下し、25℃で1時間静置した。PBSで3回ずつ基板を洗浄し、蛍光顕微鏡(Keyence BZ-800)およびSEMで基板表面を観察した。(図11
【表G】

図11の観察結果より、部分的に単体のシリカ粒子もみられるが、大部分が凝集している様子が観察された。このことからシリカナノ粒子へHistagを修飾し基板へ固定化すると、単分散で、凝集しておらず、単層に固定化できないことが示された。
【0301】
(比較例2:粒子を用いずに作製したセンサの感度)
【化44】

(基板上にSAM形成)
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をUV-O3処理20min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOHで基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。 ポリマーE2水溶液(1mg/mL)をDMFにて80倍希釈し、SAMを形成させた基材に対して4μL滴下し、25℃で1時間静置した。エタノールで基材を洗浄した。
【0302】
(ポリマーマトリックス合成)
プレポリマー溶液とアスコルビン酸溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて混合し、25℃で20時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
【表H】
【0303】
(酢酸処理)
50% MeOH, 50% 酢酸溶液中に入れ、超音波処理を5 min行った後、純水で洗浄した。
【0304】
(S-S還元切断)
0.5 mMトリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩)水溶液をサーモシェーカー中に入れ40℃ 、5min予熱後、酢酸処理後の基材をいれ40℃ 、 1min反応させた。反応後の基材は純水で洗浄した。
【0305】
(蛍光、NTA導入)
50μM Maleimido-C3-NTA, 50μM Alexa 647-C2-maleimide の20%DMSO含有10mMPB(pH7.4) 溶液を30μL滴下し25℃、1h静置して反応後、DMSOと純水で洗浄した。
【0306】
(His-tagプロテインG、抗体導入)
4 mM NiCl水溶液30 μLを基材上に滴下し静置(25℃,15min)した。反応後の基材は純水で洗浄した。1 μM His-taggedプロテイン G (His-Protein G) のPBS溶液を30 μL滴下し25℃で1時間静置することでHis-Protein Gを固定化した 。 His-Protein G固定化後の基材はPBS洗浄した。
0.1 μM Anti-CD9のPBS溶液を30 μL滴下し25℃で1時間静置することで基材に抗体を導入した。抗体導入後の基材はPBS洗浄した。
深江化成製の扁平型ピペットチップ内に装着し、蛍光顕微鏡付き自動分注装置にて基材表面の蛍光強度変化を測定した。
PC3エクソソーム粒子PBS溶液の濃度は0.03、0.3、3、30 fMとした。
1. チップ取付
2. 150 μL PBSを吸引してF0測定x5
3. サンプル(PC3由来エクソソーム)吸引100μL
4. 反応5 min(25℃)
5. 全吐出
6. 10 mM PBS(140 mM NaCl, pH7.4)吸引 150μL
7. 自動測定
蛍光顕微鏡
カメラ: Zyla4.2
フィルタ: Cy5
(励起波長604-644 nm, 蛍光波長672-712 nm)
対物レンズ: ×5
露光時間: 0.5 sec
光量: 12%
光源: 水銀ランプ
8. 3~7の繰り返し
【0307】
(結果)
結果を図12に示す。シリカ粒子コアを用いない空孔未形成の基材において、エクソソームに対する応答はなかった。
【0308】
(実施例14:動物実験)
本実施例では、動物実験による実証例を示す。
犬や猫の血液中のエクソソームを測定する。これは、獣医が確定診断したがんや内臓疾患の犬や猫の血液を採取して、エクソソームを測定する。完治後に、再度エクソソームを測定して、その違いを観察することで、犬や猫のがんや内臓疾患が検出可能か検討する。
【0309】
そのほか以下の使用が想定され得る。
人以外の使用
1.愛玩動物(ネコ、イヌ、鳥類など)の動物のがんを含む疾病の検査
2.家畜(ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリなど)の保有する感染症原因ウイルスや感染性タ
ンパク質(プリオンなど)、その他の病原性/感染性因子の検出
3.有害動物(鳥類、コウモリ、キツネ、マングース、アライグマ等)の保有する感染症
原因ウイルスや感染性タンパク質(プリオンなど)、その他の病原性/感染性因子の検出
4.水産物の品質や鮮度チェック
5.農産物の品質や鮮度チェック
6.植物や樹木などの病原菌・ウイルスチェック
(実施例15:臨床応用)
本実施例では、以下のようにがんの診断での応用を実証する。
【0310】
臨床実験実施病院の臨床研究審査委員会の承認を得た臨床研究にて、患者様の同意に下、がん検出の有無は全摘手術前後のセンサの応答の違いを観察することで、本センサにより、がんの検出が可能かどうか検討する。継続的に観察して、がんの転移や再発のチェックが可能かどうか検討する。薬物療法の治療効果は、投薬前後でのセンサ応答の違いで評価できるかどうか検討する。生活習慣病は、摂取食物とセンサ応答の関係から診断可能かどうか検討する。また、センサ応答から、がん細胞表面抗原の存在を推定し、コンパニオン診断が可能かどうか検討する。さらに、細胞を用いる治療における細胞の品質管理をセンサ応答から可能かどうか検討する。
【0311】
上記の他、本開示の技術は以下の応用が想定される。
がんの検査
がんの手術の際の摘出残しチェック
がんの転移や再発のチェック
薬物療法の治療効果
生活習慣病の検査
投薬のためのコンパニオン診断
細胞工学における細胞の品質管理
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0312】
本開示で提供される技術は、検査分析技術を利用するあらゆる分野(診断を含む)において利用することができる。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12