(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153237
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/12 20230101AFI20231005BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231005BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20231005BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231005BHJP
H10K 59/123 20230101ALI20231005BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20231005BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20231005BHJP
H05B 33/14 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
H10K59/12
H01L29/78 612C
H01L29/78 618C
H10K50/00
H10K50/10
H10K59/123
H10K59/35
H10K59/90
H05B33/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130890
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2023024014の分割
【原出願日】2004-06-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2003171366
(32)【優先日】2003-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2003183796
(32)【優先日】2003-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】宮入 里築子
(72)【発明者】
【氏名】中村 康男
(57)【要約】
【課題】発光装置の高精細化が進んでも、対向電極の電位降下に起因する輝度の勾配が視
認されてしまうのを防ぐことが出来、なおかつ工程数を増やさずに補助電極を形成する。
【解決手段】基板上に第1の絶縁膜を形成し、前記第1の絶縁膜上に第1の電極及び補助
電極をそれぞれ形成し、前記第1の電極の端部及び前記補助電極の端部を覆うように第2
の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜において、前記第1の電極を露出させる第1の開口
部、及び前記補助電極を露出させる第2の開口部を形成し、前記第1の開口部において前
記第1の電極と電気的に接続される電界発光層を形成し、前記電界発光層と重なり、かつ
前記第2の開口部において前記補助電極と電気的に接続される第2の電極を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタのL/W(Lはチャネル長、Wはチャネル幅)は、前記第2のトランジスタのL/Wよりも大きい発光装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1の導電層と重なる第1の領域、前記第2の導電層と重なる第2の領域、第3の領域及び第4の領域を有する半導体層と、を有し、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも大きく、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第2の領域とをこの順に介して前記第4の領域と繋がっており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第3の領域を介して繋がっており、
前記第3の領域と前記第4の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
前記第4の領域は、電源線と接する部分を有し、
前記第1の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第3の領域は、前記電源線との重なりを有する、発光装置。
【請求項2】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタのL/W(Lはチャネル長、Wはチャネル幅)は、前記第2のトランジスタのL/Wよりも大きい発光装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1の導電層と重なる第1の領域、前記第2の導電層と重なる第2の領域、第3の領域及び第4の領域を有する半導体層と、を有し、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも大きく、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第2の領域とをこの順に介して前記第4の領域と繋がっており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第3の領域を介して繋がっており、
前記第3の領域と前記第4の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
前記第4の領域は、電源線と接する部分を有し、
前記第1の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第3の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第2のトランジスタは、チャネル長方向が前記電源線の延伸方向と平行な方向である領域を有する、発光装置。
【請求項3】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有する発光装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1の導電層と重なる第1の領域、前記第2の導電層と重なる第2の領域、第3の領域及び第4の領域を有する半導体層と、を有し、
平面視において、前記第1の領域は、曲がった形状を有し、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも大きく、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第2の領域とをこの順に介して前記第4の領域と繋がっており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第3の領域を介して繋がっており、
前記第3の領域と前記第4の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
前記第4の領域は、電源線と接する部分を有し、
前記第1の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第3の領域は、前記電源線との重なりを有する、発光装置。
【請求項4】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有する発光装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1の導電層と重なる第1の領域、前記第2の導電層と重なる第2の領域、第3の領域及び第4の領域を有する半導体層と、を有し、
平面視において、前記第1の領域は、曲がった形状を有し、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも大きく、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第2の領域とをこの順に介して前記第4の領域と繋がっており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第3の領域を介して繋がっており、
前記第3の領域と前記第4の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
前記第4の領域は、電源線と接する部分を有し、
前記第1の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第3の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第2のトランジスタは、チャネル長方向が前記電源線の延伸方向と平行な方向である領域を有する、発光装置。
【請求項5】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタのL/W(Lはチャネル長、Wはチャネル幅)は、前記第2のトランジスタのL/Wよりも大きい発光装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1の導電層と重なる第1の領域、前記第2の導電層と重なる第2の領域、第3の領域及び第4の領域を有する半導体層と、を有し、
平面視において、前記第1の領域は、曲がった形状を有し、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも大きく、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第2の領域とをこの順に介して前記第4の領域と繋がっており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第3の領域を介して繋がっており、
前記第3の領域と前記第4の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
前記第4の領域は、電源線と接する部分を有し、
前記第1の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第3の領域は、前記電源線との重なりを有する、発光装置。
【請求項6】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタのL/W(Lはチャネル長、Wはチャネル幅)は、前記第2のトランジスタのL/Wよりも大きい発光装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1の導電層と重なる第1の領域、前記第2の導電層と重なる第2の領域、第3の領域及び第4の領域を有する半導体層と、を有し、
平面視において、前記第1の領域は、曲がった形状を有し、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも大きく、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第2の領域とをこの順に介して前記第4の領域と繋がっており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第3の領域を介して繋がっており、
前記第3の領域と前記第4の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
前記第4の領域は、電源線と接する部分を有し、
前記第1の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第3の領域は、前記電源線との重なりを有し、
前記第2のトランジスタは、チャネル長方向が前記電源線の延伸方向と平行な方向である領域を有する、発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記第1の導電層は、前記電源線との重なりを有し、
前記第2の導電層は、前記電源線との重なりを有する、発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一において、
前記複数の画素の少なくとも一は、さらに発光素子を有し、
前記電源線と、前記発光素子とが少なくとも前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを介して導通したときに、前記電源線から少なくとも前記第2のトランジスタ及び前記第1のトランジスタを介して前記発光素子に電流が供給される、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子と、前記発光素子に電流を供給するための手段とが複数の各画素に
設けられた発光装置及び該発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックラ
イトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため発光素子を用
いた発光装置は、CRTやLCDに代わる表示装置として注目されており、近年では携帯
電話やデジタルスチルカメラ等の電子機器に搭載されるなど、実用化されつつある。
【0003】
発光素子は、陽極と、陰極と、これら2つの電極間に挟まれた電界発光層とを有してい
ており、これら2つの電極のうち、ビデオ信号に従って電位が制御される一方の電極(以
下、画素電極と呼ぶ)は、画素ごとに互いに分離している。また、共通の電位が与えられ
ている他方の電極(以下、対向電極と呼ぶ)は、画素電極のように画素ごとに分離させる
のは現実的ではないため、通常は、全ての画素で共通するようにベタ状となっているか、
もしくはRGB毎に共通となっている。そして対向電極への電位の供給は、パネルの端部
に設けられた接続端子を介して行なわれている。具体的には、対向電極と引き回しのため
の配線(以下、引き回し配線と呼ぶ)とのコンタクトを形成し、該引き回し配線を介して
対向電極と接続端子を電気的に接続する。そして該コンタクトは、画素部の電界発光層が
成膜されている領域を避け、該領域とは異なる領域において形成される。
【0004】
ところで大画面化に伴い画素部の面積が広くなると、対向電極の抵抗に起因する電位降
下は著しくなる傾向にある。対向電極における電位降下が著しい画素ほど、発光素子の電
極間に印加される電圧Velの絶対値が小さくなるため、画素部全体で見たときに、輝度
の勾配が視認されるという事態が生じうる。そこで上記問題を回避するために、下記特許
文献1には、発光素子を形成した後、対向電極の面内における電位の均一化を行なうため
に、抵抗率の低い材料で形成された補助としての電極(補助電極)を、対向電極と接続す
るように形成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、補助電極を形成することは、対向電極を形成している材料の抵抗率が
高い場合や、画素部の面積を広くすることで対向電極の抵抗が高くならざるを得ない場合
において、対向電極の面内における電位の均一化を行なうのに、非常に有効な手段である
。しかし、透光性を有する対向電極を用いて電界発光層から発せられる光を対向電極側か
ら取り出すタイプ(上面発光型)の発光装置の場合、発光素子からの光をなるべく遮らな
いように、補助電極をレイアウトする必要がある。とは言え、画素部と重ならない領域に
のみ補助電極を形成しても、対向電極の面内における電位の均一化の効果がいまいち得ら
れにくい。そこで、隣接する画素の発光素子と発光素子の間など、実際に発光が得られな
い領域において、対向電極上に補助電極が形成される。
【0007】
ところが、大画面化に加えて画素の高精細化が進み、画素のサイズが縮小化されると、
隣接する画素の発光素子と発光素子の間の幅が20μmを切ってしまう。このため補助電
極を上記幅に納まるようにレイアウトする必要があり、さほど精密なパターンを形成する
ことができないメタルマスクを用いた蒸着法では、補助電極を対向電極上に形成するのが
困難となりつつある。またフォトリソグラフィ法を用いて対向電極上に補助電極を形成す
る場合、μm以下の精度でパターンを形成することが出来るが、フォトレジストの露光、
現像、除去などの一連の工程において、光や水分の影響により発光素子の劣化が促進され
てしまう恐れがあり、好ましくない。またインクジェット法などに代表される印刷法で補
助電極を形成することも可能であるが、補助電極形成のために工程数が増えてしまい、望
ましくない。これは蒸着法、リソグラフィ法などにも言えることである。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み、発光装置の高精細化が進んでも、対向電極の電位降下に起因
する輝度の勾配が視認されてしまうのを防ぐことが出来、なおかつ工程数を増やさずに補
助電極を形成することが出来る、発光装置の作製方法及び発光装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、発光素子を形成した後に補助電極を形成するのではなく、発光素子の電界発
光層を形成する前に補助電極を形成する。電界発光層を形成する前に補助電極を形成する
ことで、フォトリソグラフィ法を用いて補助電極を形成することができる。そして、フォ
トリソグラフィ法を用いることで精密なパターンを形成することができ、したがって、高
精細化により発光素子と発光素子の間の幅が20μmを切るほど狭まっても、該幅に納ま
るように補助電極を形成することができる。また本発明では、導電性を有する膜で形成さ
れた画素部の配線やゲート電極などと共に、フォトリソグラフィ法を用いて補助電極を形
成することで、工程数を増やさずとも補助電極を形成することができる。
【0010】
そして補助電極により、対向電極の電位降下を抑えることができ、画素部に輝度の勾配
が視認されるのを防ぐことができる。本発明は、補助電極を対向電極上にベタで形成する
ことが困難な上面発光型の発光装置において、特に有効である。
【0011】
なお本発明において補助電極は、画素部において発光素子の対向電極とコンタクトを形
成するが、通常、画素部には対向電極と画素電極の間に電界発光層が成膜されている。電
界発光層は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層等を含んで
おり、特に発光層は、補助電極や対向電極に比べて抵抗が著しく高い。そこで、本発明で
は、補助電極の膜厚が発光層の膜厚に比べて厚いために、補助電極の端部において発光層
のステップカバレッジ(段差被覆性)が劣っていることを逆手にとって、コンタクトの形
成を行なう。すなわち、ステップカバレッジが劣っているために発光層で覆われていない
領域を介して、補助電極と対向電極とを電気的に接続する。なお、発光層に比べて比較的
抵抗の低い材料で形成されたホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等は
、補助電極と対向電極とを電気的に接続するために、補助電極と対向電極の間に設けてお
いても良い。また、電界発光層全体の膜厚に対して補助電極の膜厚を厚くして、補助電極
の端部における電界発光層のカバレッジ性を落とし、対向電極と補助電極とを直接接続す
るようにしても良い。
【0012】
また本発明において補助電極と対向電極の接続は、上述したステップカバレッジを利用
する方法に限られない。本発明では、メタルマスクを用いて発光層を蒸着法で成膜する際
に、発光層が成膜されない領域を形成し、該領域において補助電極と対向電極とを電気的
に接続しても良い。三原色の各色に対応する発光層を、メタルマスクを用いて塗り分ける
ことで作製されるフルカラー表示の発光装置の場合、該メタルマスクを用いて発光層が成
膜されない領域を形成することができるので、上記方法を用いることで、コンタクトを形
成しても工程数を増やさずに済む。
【0013】
なお本明細書において発光装置は、発光素子が封止された状態にあるパネルと、該パネ
ルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0014】
また電界発光層が有する単層または複数の層は、無機化合物を含んでいる場合もある。
電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(
蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、発光素子を形成する前に補助電極を形成することで、フォトリソグラフィ法
を用いて補助電極を形成することができる。そして、フォトリソグラフィ法を用いること
で精密なパターンを形成することができ、したがって、高精細化により発光素子と発光素
子の間の幅が20μmを切るほど狭まっても、該幅に納まるように補助電極を形成するこ
とができる。また本発明では、導電性を有する膜で形成された画素部の配線やゲート電極
などと共に、フォトリソグラフィ法を用いて補助電極を形成することで、工程数を増やさ
ずとも補助電極を形成することができる。そして、補助電極によって対向電極の電位降下
を抑えることができ、画素部に輝度の勾配が視認されるのを防ぐことができる。本発明は
、補助電極を対向電極上にベタで形成することが困難な上面発光型の発光装置において、
特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の発光装置における、画素部の構成を示す図。
【
図3】本発明の発光装置における、画素部の構成を示す図。
【
図4】本発明の発光装置における、画素部の断面図。
【
図5】本発明の発光装置における、画素部の断面図。
【
図6】本発明の発光装置における、画素部の断面図。
【
図7】本発明の発光装置における、画素部の断面図。
【
図8】本発明の発光装置における、画素部の断面図。
【
図9】本発明の発光装置における、画素部の構成を示す図。
【
図11】本発明の発光装置における、補助配線と対向電極の接続部の構成を示す図。
【
図13】本発明の発光装置における、画素部の回路図。
【
図14】本発明の発光装置における、画素部の回路図。
【
図15】本発明の発光装置における、引き回し配線と接続配線のレイアウトを示す図。
【
図16】本発明の発光装置における、画素の回路図。
【
図17】本発明の発光装置における、画素の回路図。
【
図18】本発明の発光装置における、画素の上面図。
【
図19】本発明の発光装置における、画素の断面図。
【
図20】本発明の発光装置における、画素の断面図。
【
図21】本発明の発光装置における、画素の断面図。
【
図22】本発明の発光装置における、画素の断面図。
【
図23】本発明の発光装置における、画素の断面図。
【
図24】本発明の発光装置における、画素の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多く
の異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱すること
なくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従っ
て、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1を用いて、本実施の形態の発光装置が有する画素部の構成について説明する。
図1
は、画素部の上面図と、引き回し配線の上面図を示している。301は接続端子、302
a、302b、302cは引き回し配線に相当する。また画素部に形成されている電極3
03は補助電極に相当し、引き回し配線302a、302b、302cを介して接続端子
301と接続されている。なお
図1では、接続端子301と補助電極303とを、3つの
引き回し配線302a、302b、302cを用いて電気的に接続しているが、引き回し
配線の形態は
図1に示した構成に限定されず、接続端子301と補助電極303とを電気
的に接続することができるのならば、どのような形態であっても良い。接続端子と、引き
回し配線と、補助電極とが全て1つの導電膜で形成されていても良い。
【0019】
画素部には複数の配線がレイアウトされており、具体的に本実施の形態では、画素を選
択するための走査線306と、選択された画素にビデオ信号を供給するための信号線30
4と、発光素子に電流を供給するための電源線305とを有している。なお本発明の画素
部に設ける配線はこれら3つの配線に限定されない。画素の構成によっては、上記配線の
他に別の配線を設ける場合もある。
【0020】
そして、本実施の形態では、1つの導電膜をパターニングして信号線304及び電源線
305を形成する工程において、補助電極303も形成する。上記構成により、補助電極
303の形成のために工程数を増やさなくとも良い。なお、補助電極303は、必ずしも
信号線304及び電源線305と同じ導電膜をパターニングして形成する必要はない。信
号線304及び電源線305以外の配線、例えば走査線306を形成する工程において、
形成しても良い。
【0021】
なお本実施の形態のように、信号線304、電源線305が引き回し配線302cと同
じ導電膜で成膜されている場合、引き回し配線302cの下を潜るように、信号線304
及び電源線305を別の層に形成された配線315と接続することで、信号線304及び
電源線305を引き回し配線302cと接触させないように交差させることができる。
【0022】
また
図1において307は画素電極(第1の電極)に相当し、画素ごとに分離している
。そして破線309に示す複数の各領域に、各色に対応する電界発光層が形成されている
。さらに破線310に示す領域に対向電極(第2の電極)が形成されており、画素電極3
07と対向電極310との間に電界発光層309が挟まれている。なお本実施の形態では
、陽極を画素電極として用い、陰極を対向電極として用いる例を示しているが、本発明は
この構成に限定されない。陰極を画素電極として、陽極を対向電極として用いても良い。
【0023】
なお
図1では、引き回し配線302aと、半導体膜で形成された抵抗334の一端と
が接続されており、また抵抗334の他の一端が配線331を介して接続端子330と電
気的に接続されている。抵抗334を設けることで、接続端子301に入力された信号の
ノイズを低減したり、静電気などによって後段の回路素子が破壊されてしまうのを防いだ
りすることができる。
【0024】
図1のA-A’における断面図を
図2(A)に、
図1のB-B’における断面図を
図2
(B)に、
図1のC-C’における断面図を
図2(C)に示す。
図2(A)に示すように
、画素に入力されたビデオ信号に従って画素電極307に電位を与えるための配線(以下
、接続配線)311が、信号線304、電源線305、補助電極303と共に第1の層間
絶縁膜(第1の絶縁膜)312上に設けられており、画素電極307は、接続配線311
上に接するように形成されている。また、対向電極310は透光性を有する電極で形成さ
れており、電界発光層309において生じる光は、接続配線311において反射するので
、対向電極310側から取り出すことができる。
【0025】
そして本実施の形態のように、上面発光型の発光装置の場合、対向電極310として透
光性を有する陰極を用いる。具体的には、電界発光層で生じた光を取り出すことが可能な
程度に薄い膜厚を有する電極を用いる。好ましくは、5nm~30nm程度の膜厚とする
。また、本実施の形態では、対向電極310を覆うように、透光性を有する透明導電膜3
16を成膜する。透明導電膜316は必ずしも設ける必要はないが、膜厚を薄くすること
によって対向電極310自体の抵抗が高まっても、電位降下を抑えることができる。
【0026】
なお本実施の形態では、電界発光層から発せられる光を対向電極側から取り出す構成に
ついて説明したが、本発明はこの構成に限定されない。画素電極側から光を取り出すタイ
プ(下面発光型)であっても良いし、対向電極と画素電極の両方から光を取り出すタイプ
(両面発光型)であっても良い。
【0027】
そして第2の層間絶縁膜(第2の絶縁膜)313が、画素電極307の端部と、信号線
304と、電源線305と、引き回し配線302cの端部と、補助電極303の端部とを
覆うように、第1の層間絶縁膜312上に形成されている。第2の層間絶縁膜313は開
口部308a、308bを有しており、該開口部308a、308bにおいて、画素電極
307の一部と、引き回し配線302cの一部と、補助電極303の一部とが露出してい
る。開口部308aでは、画素電極307と、電界発光層309と対向電極310とが重
なり合い、発光素子314が形成されている。
【0028】
なお本実施の形態では、メタルマスクを用いて三原色の各色に対応する電界発光層を蒸
着法で成膜する際に、電界発光層が成膜されない領域を形成し、該領域において補助電極
と対向電極とを電気的に接続する。具体的には、開口部308bと、電界発光層309が
成膜されている領域とを、完全にもしくは部分的に重ねないようにする。つまり、開口部
308bにおいて補助電極303が完全にまたは部分的に露出した状態で、対向電極31
0が形成されることとなる。上記構成により、開口部308bにおいて補助電極303を
対向電極310と接続することができる。さらに本実施の形態のように、対向電極310
を覆うように透明導電膜316を成膜することで、対向電極310と補助電極303との
電気的な接続をより確かなものとすることができる。上記構成により、画素部において補
助電極303と対向電極310を電気的に接続することができる。
【0029】
一方、引き回し配線302cと対向電極310は、間に電界発光層309が成膜されて
いない。よって
図2(B)に示すように、開口部308bにおいて、引き回し配線302
cと対向電極310は接続される。そして、接続端子301から供給される電源電位が、
引き回し配線302cを介して、補助電極303と対向電極310に供給される。補助電
極303を用いることで、対向電極310の電位降下を抑えることができ、画素部に輝度
の勾配が視認されるのを防ぐことができる。本発明は、補助電極を対向電極上にベタで形
成することが困難な上面発光型の発光装置において、特に有効である。
【0030】
また本発明は、発光素子を形成する前に補助電極を形成することで、フォトリソグラフ
ィ法を用いて補助電極を形成することができる。そして、フォトリソグラフィ法を用いる
ことで精密なパターンを形成することができ、したがって、高精細化により発光素子と発
光素子の間の幅が20μmを切るほど狭まっても、該幅に納まるように補助電極を形成す
ることができる。また本発明では、導電性を有する膜で形成された画素部の配線やゲート
電極などと共に、フォトリソグラフィ法を用いて補助電極を形成することで、工程数を増
やさずとも補助電極を形成することができる。
【0031】
なお本実施の形態では、引き回し配線302cと補助電極303とが、1つの開口部
308bにおいて対向電極310と接続しているが、開口部の形状は本実施の形態に限定
されない。引き回し配線302a、302b、302cを露出させる開口部と補助電極3
03を露出させる開口部とが分離していても良いし、補助電極303を露出させる開口部
を複数設けるようにしても良い。
【0032】
また本実施の形態では、電界発光層を色ごとに分離させた場合について説明したが、少
なくとも発光層を分離していれば良く、発光層に比べて比較的抵抗の低い材料で形成され
たホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等は敢えて分離しなくとも良い
。この場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入層または電子輸送層を介して、補助
電極と対向電極とを電気的に接続することができる。
【0033】
本実施の形態のように、発光層をメタルマスクで塗り分けることで作製されるフルカラ
ー表示の発光装置の場合、該メタルマスクを用いて発光層が成膜されない領域を形成する
ことができるので、上記方法を用いることで、コンタクトを形成しても工程数を増やさず
に済む。なお、開口部に形成された電界発光層を、Ar、H、F、またはOから選ばれた
一種または複数種のガスをエッチングガスとし、メタルマスクを用いたプラズマエッチン
グで選択的に除去するようにしても良い。
【0034】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる、開口部の形状の一形態について説明する
。
【0035】
図3に、本実施の形態における画素部の上面図を示す。403は開口部に相当し、該開
口部403において対向電極404と補助電極401とが電気的に接続されている。本実
施の形態では、補助電極401が開口部403において対向電極404と直接または電気
的に接続するように、電界発光層405を形成する際に、メタルマスクを用いて電界発光
層405が開口部403を完全に覆わないようにする。この場合、補助電極の端部は、開
口部において露出されていても良いし、第2の層間絶縁膜で覆われていても良い。
【0036】
なお、開口部403において補助電極401の端部を露出させ、該端部に、カバレッジ
性を利用して電界発光層405に被覆されていない部分を意図的に作り、対向電極404
と補助電極401を接続するようにしても良い。
【0037】
また引き回し配線406は、開口部402において部分的に露出している。開口部40
2は電界発光層405と重なっていないので、引き回し配線406と対向電極404は開
口部402において接続される。
【0038】
また、407は各画素に設けられた画素電極に相当する。そして、開口部408におい
て、画素電極407と、電界発光層405と、対向電極404とが重なり、発光素子が形
成されている。
【0039】
なお
図3に示すように、開口部403を、発光素子が形成されている開口部408の四
隅に配置することで、開口部403、408を形成する際のマスクのずれに伴い、開口部
408が隣接する他の配線とショートするのを抑えることができる。
【0040】
(実施の形態3)
本実施の形態では、補助電極と対向電極の接続部分の構造が、実施の形態1とは異なる
形態について説明する。
【0041】
図9を用いて、本実施の形態の発光装置が有する画素部の構成について説明する。
図9
は、画素部の上面図と、引き回し配線の上面図を示している。101は接続端子、102
a、102b、102cは引き回し配線、103は補助電極に相当する。
図1と同様に、
補助電極103は、引き回し配線102a、102b、102cを介して接続端子101
と電気的に接続されている。
【0042】
そして実施の形態1と同様に、画素部には走査線106と、信号線104と、電源線1
05とが設けられている。本発明の画素部に設ける配線はこれら3つの配線に限定されな
い。画素の構成によっては、上記配線の他に別の配線を設ける場合もある。そして、実施
の形態1と同様に、本実施の形態においても、1つの導電膜をパターニングして信号線1
04及び電源線105を形成する工程において、補助電極103が形成されている。上記
構成により、補助電極103の形成のために工程数を増やさなくとも良い。なお、補助電
極103は、必ずしも信号線104及び電源線105と同じ導電膜をパターニングして形
成する必要はない。信号線104及び電源線105以外の配線、例えば走査線を形成する
工程において、形成しても良い。
【0043】
また
図9において107は画素電極に相当する。そして本実施の形態では、破線109
に示す領域に電界発光層が形成されている。さらに破線110に示す領域に対向電極が形
成されており、画素電極107と対向電極110との間に電界発光層109が挟まれてい
る。
【0044】
なお
図9では、引き回し配線102aと、半導体膜で形成された抵抗134の一端と
が接続されており、また抵抗134の他の一端が配線131を介して接続端子130と電
気的に接続されている。抵抗134を設けることで、接続端子101に入力された信号の
ノイズを低減したり、静電気などによって後段の回路素子が破壊されてしまうのを防いだ
りすることができる。
【0045】
図9のA-A’における断面図を
図10(A)に、
図9のB-B’における断面図を図
10(B)に示す。
図10(A)に示すように、実施の形態1と同様に、接続配線111
が、信号線104、電源線105、補助電極103と共に第1の層間絶縁膜112上に設
けられており、画素電極107は、接続配線111上に接するように形成されている。ま
た、対向電極110は透光性を有する電極で形成されており、電界発光層109において
生じる光は、接続配線111において反射するので、対向電極110側から取り出すこと
ができる。
【0046】
そして第2の層間絶縁膜113が、画素電極107の端部と、信号線104と、電源線
105とを覆うように、第1の層間絶縁膜112上に形成されている。第2の層間絶縁膜
113は開口部108a、108bを有しており、該開口部108a、108bにおいて
、画素電極107の一部と、引き回し配線102の一部と、補助電極103が露出してい
る。開口部108aでは、画素電極107と、電界発光層109と対向電極110とが重
なり合い、発光素子114が形成されている。なお
図9では、開口部108bにおいて補
助電極103の端部が露出せずに、第2の層間絶縁膜113に覆われているが、本実施の
形態はこの構成に限定されない。補助電極103の端部が露出していても良い。
【0047】
開口部108bでは、補助電極103の端部が第2の層間絶縁膜113に覆われずに露
出した状態で、電界発光層109が形成される。そのため、電界発光層109を蒸着法で
形成した場合、補助電極103が該電界発光層109によって完全にではなく部分的に被
覆され、被覆されなかった部分が対向電極110と接続する。
【0048】
図11に、補助電極103と対向電極110の接続している部分の拡大図を示す。
図1
1に示すように本実施の形態では、蒸着法を用いて電界発光層109を形成する際に、補
助電極103全体を完全ではなく部分的に被覆するように形成する。続いて対向電極11
0を形成することで、破線で囲んだ部分120に示すように、補助電極103の露出した
端部と対向電極110が接続される。さらに本実施の形態のように、対向電極110を覆
うように透明導電膜116を成膜することで、対向電極110と補助電極103との電気
的な接続をより確かなものとすることができる。上記構成により、画素部において補助電
極103と対向電極110を電気的に接続することができる。
【0049】
なお本実施の形態では、陽極を画素電極として用い、陰極を対向電極として用いる例を
示しているが、本発明はこの構成に限定されない。陰極を画素電極として、陽極を対向電
極として用いても良い。また本実施の形態では上面発光型の発光装置とし、実施の形態1
と同様に、対向電極110として透光性を有する電極を用い、対向電極110を覆うよう
に、透光性を有する透明導電膜116を成膜する。透明導電膜116は必ずしも設ける必
要はないが、膜厚を薄くすることによって対向電極110自体の抵抗が高まっても、電位
降下を抑えることができる。
【0050】
本実施の形態では、電界発光層から発せられる光を対向電極側から取り出す構成につい
て説明したが、本発明はこの構成に限定されない。画素電極側から光を取り出すタイプ(
下面発光型)であっても良いし、対向電極と画素電極の両方から光を取り出すタイプ(両
面発光型)であっても良い。
【0051】
一方、引き回し配線102と対向電極110は、間に電界発光層109が成膜されてい
ない。よって
図10(B)に示すように、開口部108bにおいて、引き回し配線102
と対向電極110は接続される。そして、接続端子101から供給される電源電位が、引
き回し配線102を介して、補助電極103と対向電極110に供給される。補助電極1
03を用いることで、対向電極110の電位降下を抑えることができ、画素部に輝度の勾
配が視認されるのを防ぐことができる。本発明は、補助電極を対向電極上にベタで形成す
ることが困難な上面発光型の発光装置において、特に有効である。
【0052】
また本実施の形態では、電界発光層のカバレッジ特性を逆手にとって、補助電極を一部
露出させ、補助電極と対向電極とを接続させているが、本発明はこれに限定されない。画
素部に電界発光層が部分的に成膜されない領域を形成し、該領域において補助電極と対向
電極とのコンタクトを形成するようにしても良い。また本実施の形態では、電界発光層を
全て蒸着法で形成した場合について説明したが、少なくとも発光層を蒸着法で形成してい
れば良く、発光層に比べて比較的抵抗の低い材料で形成されたホール注入層、ホール輸送
層、電子注入層、電子輸送層等は、蒸着法に限らず塗布法により形成しても良い。この場
合、補助電極の端部の発光層が形成されていない領域において、ホール注入層、ホール輸
送層、電子注入層または電子輸送層を介して、補助電極と対向電極とを電気的に接続する
ことができる。
【0053】
また本発明は、発光素子を形成する前に補助電極を形成することで、フォトリソグラフ
ィ法を用いて補助電極を形成することができる。そして、フォトリソグラフィ法を用いる
ことで精密なパターンを形成することができ、したがって、高精細化により発光素子と発
光素子の間の幅が20μmを切るほど狭まっても、該幅に納まるように補助電極を形成す
ることができる。また本発明では、導電性を有する膜で形成された画素部の配線やゲート
電極などと共に、フォトリソグラフィ法を用いて補助電極を形成することで、工程数を増
やさずとも補助電極を形成することができる。
【0054】
なお本実施の形態では、引き回し配線102と補助電極103とが、1つの開口部10
8bにおいて対向電極110と接続しているが、開口部の形状は本実施の形態に限定され
ない。引き回し配線102を露出させる開口部と補助電極を露出させる開口部とが分離し
ていても良いし、補助電極を露出させる開口部を複数設けるようにしても良い。
【0055】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の発光装置が有する発光素子の一形態について説明する。図
4(A)に、本実施の形態の、画素の断面図を示す。また
図4(A)の、破線570で囲
んだ部分の拡大図を
図4(B)に、破線571で囲んだ部分の拡大図を
図4(C)に示す
。
【0056】
図4(A)において、基板500に、下地膜501が形成されており、該下地膜501
上に、発光素子への電流の供給を制御するトランジスタ(駆動用トランジスタ)502が
形成されている。駆動用トランジスタ502は、活性層503と、ゲート電極505と、
活性層503とゲート電極505の間に挟まれたゲート絶縁膜504とを有している。
【0057】
活性層503は多結晶半導体膜を用いるのが好ましく、該多結晶半導体膜は、公知の技
術により非晶質珪素膜を結晶化することで形成することができる。公知の結晶化方法とし
ては、電熱炉を使用した熱結晶化方法、レーザー光を用いたレーザーアニール結晶化法、
赤外光を用いたランプアニール結晶化法がある。本実施の形態では、XeClガスを用い
たエキシマレーザー光を用いて結晶化する。また線状に加工したパルス発振型のエキシマ
レーザー光を用いるが、矩形であっても良いし、連続発振型のアルゴンレーザー光や連続
発振型のエキシマレーザー光を用いることもできる。或いは特開平7-130652号公
報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法で多結晶半導体膜を形成するこ
ともできる。また、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成した多結晶半
導体膜を用いていても良い。
【0058】
なお、活性層は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。シ
リコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01~4.5atomic%程度
であることが好ましい。また窒化炭素が添加された珪素を用いていても良い。
【0059】
またゲート絶縁膜504は、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素を用いることがで
きる。またそれらを積層した膜、例えばSiO2上にSiNを積層した膜を、ゲート絶縁
膜として用いても良い。またSiO2は、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orth
osilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300~400℃とし、高周
波(13.56MHz)、電力密度0.5~0.8W/cm2で放電させて、酸化シリコ
ン膜を形成した。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400~500℃
の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。また窒化アルミ
ニウムをゲート絶縁膜として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的
高く、TFTで発生した熱を効果的に拡散させることができる。またアルミニウムの含ま
れない酸化珪素や酸化窒化珪素等を形成した後、窒化アルミニウムを積層したものをゲー
ト絶縁膜として用いても良い。また、SiをターゲットとしたRFスパッタ法を用いて形
成されたSiO2をゲート絶縁膜として用いても良い。
【0060】
またゲート電極505として、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、
または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の
不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。ま
た単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
【0061】
例えば、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組
み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をTiとする
組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をAlとす
る組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をCuと
する組み合わせで形成することが好ましい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜として
リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgP
dCu合金を用いてもよい。
【0062】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合
金(Al-Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構
造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウム
とシリコンの合金(Al-Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al-Ti
)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。なお、導電膜の材
料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要
である。
【0063】
また駆動用トランジスタ502は、第1の層間絶縁膜507で覆われており、第1の層
間絶縁膜507上には、パッシベーション膜508とが積層されている。
【0064】
第1の層間絶縁膜507は、非感光性のアクリルや、酸化膜、窒化酸化珪素膜などを用
いることができる。パッシベーション膜508は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促
進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的に
は、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるの
が望ましい。またパッシベーション膜508により、電子注入層513に含まれるアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属がパネルの外に漏れ出すのを防ぐことができ
る。
【0065】
パッシベーション膜508上には接続配線506が形成されており、駆動用トランジス
タ502はコンタクトホールを介して接続配線506と接続されている。またパッシベー
ション膜508上には、接続配線506と共通の導電膜をパターニングすることで得られ
る補助電極520が形成されている。
【0066】
また510は画素電極、511は正孔注入層、512は発光層、513は電子注入層に
相当する。画素電極510は接続配線506上に接するように形成されており、パッシベ
ーション膜508上には、画素電極510の一部と、補助電極520の一部とを露出させ
るための開口部521、522を有する、第2の層間絶縁膜523が形成されている。そ
して、パッシベーション膜508と開口部521を覆うように、正孔注入層511と、発
光層512と、電子注入層513とが順に形成されている。
【0067】
本実施の形態では、開口部521において、画素電極510と、正孔注入層511と、
発光層512と、電子注入層513とが重なっており、該重なっている部分が発光素子5
14に相当する。なお発光層512は、開口部522を完全に覆わず、補助電極520を
一部露出させるようにメタルマスク572を用いて成膜する。よって開口部522におい
ては、補助電極520上に、正孔注入層511と、電子注入層513とが順に積層されて
いる。画素電極510と、正孔注入層511と、発光層512と、電子注入層513とが
重なっている部分が発光素子514に相当する。
【0068】
なお本実施の形態では、正孔注入層511として、例えばポリエチレンジオキシチオフ
ェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)薄膜を塗布法で成膜することが
できる。
【0069】
また本実施の形態では電子注入層として、電子輸送性の材料であるベンゾオキサゾール
誘導体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一(例えばLi
、Mg、Cs等)とを0.1~10(モル比)で含有する電子注入性組成物を用いる。そ
して上記構成を有する電子注入層513を、対向電極の代わりに用いる。なお、本実施の
形態では、下記構造式(1)で示されるベンゾオキサゾール誘導体とアルカリ金属である
Liとのモル比が2となるようにして、20nmの膜厚で共蒸着法により形成する。
【0070】
【0071】
そして電子注入層513上に、保護膜524が成膜されている。保護膜524はパッシ
ベーション膜508と同様に、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる
物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜
、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。また上
述した水分や酸素などの物質を透過させにくい膜と、該膜に比べて水分や酸素などの物質
を透過させやすい膜とを積層させて、保護膜として用いることも可能である。
【0072】
なお第2の層間絶縁膜523は、正孔注入層511と、発光層512と、電子注入層5
13とが成膜される前に、吸着した水分や酸素等を除去するために真空雰囲気下で加熱し
ておく。具体的には、100℃~200℃、0.5~1時間程度、真空雰囲気下で加熱処
理を行なう。望ましくは3×10-7Torr以下とし、可能であるならば3×10-8To
rr以下とするのが最も望ましい。そして、第2の層間絶縁膜523に真空雰囲気下で加
熱処理を施した後に正孔注入層511と、発光層512と、電子注入層513とを成膜す
る場合、成膜直前まで真空雰囲気下に保つことで、信頼性をより高めることができる。
【0073】
また第2の層間絶縁膜523の開口部521における端部は、第2の層間絶縁膜523
上に一部重なって形成されている発光層512に、該端部において穴があかないように、
丸みを帯びさせることが望ましい。具体的には、開口部における第2の層間絶縁膜の断面
が描いている曲線の曲率半径が、0.2~2μm程度であることが望ましい。
【0074】
上記構成により、後に形成される正孔注入層511と、発光層512と、電子注入層5
13のカバレッジ性を高めることができ、画素電極510と電子注入層513が発光層5
12に形成された穴においてショートするのを防ぐことができる。また発光層512の応
力を緩和させることで、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させること
ができ、信頼性を高めることができる。
【0075】
なお
図4では、第2の層間絶縁膜523として、ポジ型の感光性のアクリル樹脂を用い
た例を示している。感光性の有機樹脂には、光、電子、イオンなどのエネルギー線が露光
された箇所が除去されるポジ型と、露光された箇所が残るネガ型とがある。本発明ではネ
ガ型の有機樹脂膜を用いても良い。また感光性のポリイミドを用いて第2の層間絶縁膜5
23を形成しても良い。ネガ型のアクリルを用いて第2の層間絶縁膜523を形成した場
合、開口部521における端部が、S字状の断面形状となる。このとき開口部の上端部及
び下端部における曲率半径は、0.2~2μmとすることが望ましい。
【0076】
なお、第1の層間絶縁膜507または第2の層間絶縁膜523を、フォトレジストに用
いられる感光性有機樹脂で形成しても良い。この場合、例えば感光性有機樹脂の1つであ
るクレゾール樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
に溶かすことで得られる溶液を、基板上に塗布し、焼成する。次にクレゾール樹脂はポジ
型の感光性有機樹脂なので、開口部を形成したい部分を、フォトマスクを用いて露光する
。そして現像液で現像した後、基板を乾燥させ、120℃~250℃(例えば125℃)
で1時間程度の焼成を行なうことで、開口部を形成することができる。なお現像後の焼成
の前に、プリベークとして焼成の温度よりもやや低い温度(例えば100℃程度)で焼成
しても良い。第1の層間絶縁膜507として感光性有機樹脂を用いることで、接続配線5
06を形成する際に設けるコンタクトホールの口径が深さに対して小さくなるようにアス
ペクト比を高めることができる。また上記クレゾール樹脂を第1の層間絶縁膜507とし
て用いた場合、第1の層間絶縁膜507から水分が放出されるのを抑えることができるの
で、発光素子514の劣化を抑える目的でパッシベーション膜508を設ける必要がない
。したがって、パッシベーション膜508として用いた窒化珪素膜から、塵埃が生じ、該
塵埃によって画素電極と対向電極とがショートするのを防ぐことができる。
【0077】
なお、第2の層間絶縁膜は上述した有機樹脂膜に限定されず、酸化珪素等の無機絶縁膜
であっても良い。
【0078】
画素電極510はITO、IZO、ITSOの他、酸化インジウムに2~20%の酸化
亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いることができる。画素電極510として上記
透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。
図4では画素電極51
0としてITOを用いている。画素電極510は、その表面が平坦化されるように、CM
P法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用
いた研磨後に、画素電極510の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよ
い。
【0079】
なお
図4では、発光素子から発せられる光が基板500側に照射される構成を示してい
るが、光が基板とは反対側に向かうような構造の発光素子としても良い。
【0080】
なお、実際には
図4まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱
ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性
のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、カバー材の内部を不
活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりするとOL
EDの信頼性が向上する。
【0081】
なお、本発明は上述した作製方法に限定されず、公知の方法を用いて作製することが可
能である。
【0082】
なお
図4に示した発光装置において、保護膜524が、無機絶縁膜と有機樹脂膜の積層
構造を有していても良い。
図4(B)において、保護膜524が積層構造を有している場
合の構成を
図22(A)に、
図4(C)において、保護膜524が積層構造を有している
場合の構成を
図22(B)に示す。
図22(A)、
図22(B)では、電子注入層513
上に接するように、無機絶縁膜524aが形成されており、該無機絶縁膜524a上に有
機樹脂膜524b、無機絶縁膜524cが順に積層されている。無機絶縁膜524a、5
24cとして、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸
化アルミニウムまたは窒化酸化珪化アルミニウムを用いることで、発光素子514への水
分や酸素などの劣化を促進させる物質の侵入を防ぐことができる。また無機絶縁膜524
a、524cの間に、無機絶縁膜524a、524cよりも内部応力が小さい有機樹脂膜
524bを設けることで、保護膜524が応力によって剥離するのを防ぐことができる。
有機樹脂膜524bとしては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、
ベンゾシクロブテンまたはエポキシ樹脂を用いることができる。
【0083】
また本実施の形態では、
図4に示すように電子注入層513を保護膜524で覆ってい
るが、本発明はこれに限定されない。
図4に示した発光装置において、電子注入層513
と保護膜524との間に、透明導電膜を形成した例を、
図5に示す。なお
図5では、
図4
において既に示したものに同じ符号を付して示す。580は透明導電膜に相当する。電子
注入層513に接するように透明導電膜580を形成することで、対向電極として機能す
る電子注入層513自体の抵抗が高まっても、電位降下を抑えることができる。
【0084】
また
図4、
図5、
図22、
図23に示した発光装置において、電子注入層を複数の層で
構成し、最も上層の電子注入層に、最も高濃度のアルカリ金属、アルカリ土類金属、また
は遷移金属のいずれか一を添加する。
図4に示した発光装置において、電子注入層を2層
設けた場合の、補助電極と正孔輸送層との接続構成を、
図24に示す。
図24において、
659は補助電極660と正孔輸送層654とを接続するための開口部に相当する。そし
て2層の電子注入層657、658が順に積層するように、正孔輸送層654上に形成さ
れている。また663は保護膜に相当する。
図24では、最も上層に形成されている電子
注入層658に、電子注入層657よりも高い濃度でアルカリ金属、アルカリ土類金属、
または遷移金属のいずれか一を添加する。なお、各電子注入層657、658が有する電
子輸送性の材料は、同じであっても異なっていてもどちらでも良い。
【0085】
(実施の形態5)
本実施の形態では、
図4で示した発光装置において、正孔注入層をプラズマエッチング
で部分的に除去する例について説明する。
図6(A)に、本実施の形態の、画素の断面図
を示す。また
図6(A)の、破線601で囲んだ部分の拡大図を
図6(B)に、破線60
2で囲んだ部分の拡大図を
図6(C)に示す。
【0086】
本実施の形態では、発光素子の構成自体は、
図4で示した構成と同じである。具体的に
は、第2の層間絶縁膜604に形成された開口部605において、画素電極603の一部
が露出しており、開口部605を覆うように、画素電極603上に正孔注入層606、発
光層607、電子注入層608、保護膜613が順に積層されている。なお保護膜613
は必ずしも設ける必要はないが、設けることで発光素子の劣化を抑えることができる。開
口部605において、画素電極603と、正孔注入層606と、発光層607と、電子注
入層608とが重なっている部分が、発光素子611に相当する。
【0087】
そして第2の層間絶縁膜604には、開口部605の他に、補助電極610の一部を露
出するための開口部609が形成されている。本実施の形態では、正孔注入層606及び
発光層607が開口部609を完全に覆わないように、少なくとも補助電極610の一部
を露出させておく。具体的には、正孔注入層606及び発光層607を成膜した後に、メ
タルマスク612を用いたプラズマエッチングで選択的にエッチングすることで、補助電
極610を露出させることができる。なお、発光層607を蒸着法で選択的に成膜して、
正孔注入層606をプラズマエッチングにより選択的にエッチングするようにしても良い
。
【0088】
上記構成により、開口部609において、補助電極610と対向電極として機能する電
子注入層608とを接続することができる。
【0089】
なお
図6に示した発光装置において、保護膜613が、無機絶縁膜と有機樹脂膜の積層
構造を有していても良い。
図6(B)において、保護膜613が積層構造を有している場
合の構成を
図23(A)に、
図6(C)において、保護膜613が積層構造を有している
場合の構成を
図23(B)に示す。
図23(A)、
図23(B)では、電子注入層608
上に接するように、無機絶縁膜613aが形成されており、該無機絶縁膜613a上に有
機樹脂膜613b、無機絶縁膜613cが順に積層されている。無機絶縁膜613a、6
13cとして、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸
化アルミニウムまたは窒化酸化珪化アルミニウムを用いることで、発光素子611への水
分や酸素などの劣化を促進させる物質の侵入を防ぐことができる。また無機絶縁膜613
a、613cの間に、無機絶縁膜613a、613cよりも内部応力が小さい有機樹脂膜
613bを設けることで、パッシベーション膜613が応力によって剥離するのを防ぐこ
とができる。有機樹脂膜613bとしては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイ
ミドアミド、ベンゾシクロブテンまたはエポキシ樹脂を用いることができる。
【0090】
また本実施の形態では、
図6に示すように電子注入層608を保護膜613で覆ってい
るが、本発明はこれに限定されない。
図6に示した発光装置において、電子注入層608
と保護膜613との間に、透明導電膜を形成した例を、
図7に示す。なお
図7では、
図6
において既に示したものに同じ符号を付して示す。614は透明導電膜に相当する。電子
注入層608に接するように透明導電膜614を形成することで、対向電極として機能す
る電子注入層608自体の抵抗が高まっても、電位降下を抑えることができる。
【0091】
また
図7に示した発光装置において、開口部609は必ずしも電子注入層608に覆わ
れている必要はない。
図7に示した発光装置において、補助電極610と保護膜613と
の間に透明導電膜を形成した例を、
図8に示す。なお
図8では、
図7において既に示した
ものに同じ符号を付して示す。
図8に示すように、開口部609を電子注入層608で覆
わないようにすることで、開口部609において透明導電膜614と補助電極610とを
直接接続される。
【0092】
なお、
図6、
図7、
図8に示した発光装置において、
図24に示した発光装置のように
、電子注入層を複数の層で構成し、最も上層の電子注入層に、最も高濃度のアルカリ金属
、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一を添加しても良い。
【0093】
(実施の形態6)
本実施の形態では、画素内に設けられた各素子と、補助電極との接続関係について説明
する。
【0094】
図12に、本発明の発光装置が有するパネルの上面図を示す。
図12において700は
基板であり、基板700上に、信号線駆動回路701、走査線駆動回路702、画素部7
03が設けられている。画素部703には、補助電極705、信号線706、走査線70
7、電源線708が設けられている。信号線706には、信号線駆動回路701からビデ
オ信号が与えられており、走査線707の電位は、走査線駆動回路702によって制御さ
れている。
【0095】
また基板700の端部に複数の接続端子704が設けられており、該接続端子704を
介してパネルに各種信号や電位が供給される。補助電極705と電源線708のそれぞれ
に与えられる電位も、接続端子704から引き回し配線709を介して与えられる。
【0096】
次に
図13(A)に、画素部703に設けられた1画素の回路図を示す。また
図13(
B)に、
図13(A)に示した画素がマトリクス状に設けられた画素部703の一部を示
す。
【0097】
図13(A)に示す画素は、2つのトランジスタ801、802と、発光素子803と
、容量素子804とを有する。さらに、信号線Sと、走査線Gと、電源線Vと、補助電極
Wとを有する。801は画素へのビデオ信号の入力を制御するためのトランジスタ(スイ
ッチング用トランジスタ)に相当し、802は発光素子803に供給される電流を制御す
るためのトランジスタ(駆動用トランジスタ)に相当する。なお容量素子804はスイッ
チング用トランジスタ801がオフのときに、駆動用トランジスタ802のゲート電極の
電位を保持する機能を有しており、必ずしも設ける必要はない。
【0098】
具体的に、スイッチング用トランジスタ801は、ゲート電極が走査線Gに、ソースと
ドレインが、一方は信号線Sに、他方が駆動用トランジスタ802のゲート電極に接続さ
れている。駆動用トランジスタ802はソースが電源線Vに、ドレインが発光素子803
の画素電極に接続されている。また発光素子803の対向電極は補助電極Wに接続されて
いる。容量素子804が有する2つの電極は、一方が駆動用トランジスタ802のゲート
に、他方が電源線Vに接続されている。
【0099】
そして
図13(B)では、信号線Sと電源線Vを共有している画素において補助電極W
を共有する例を示す。
図13(B)の場合、補助電極Wを信号線S及び電源線Vと同じ導
電膜から形成することができる。
【0100】
また
図14に、走査線Gを共有している画素において、補助電極Wを共有する例を示す
。
図14の場合、補助電極Wを走査線Gと同じ導電膜から形成することができる。
【0101】
なお
図13(A)に示す画素は、本発明の発光装置が有する画素の一実施形態を示して
いるに過ぎず、本発明の発光装置は本実施の形態で示した画素に限定されない。
【実施例0102】
本実施例では、引き回し配線と、補助電極と、信号線と、電源線のレイアウトについて
説明する。
【0103】
図15に、引き回し配線と補助電極の接続部分の上面図を示す。1201は接続端子で
あり、配線1202を介して配線1203と接続されている。また配線1203は、配線
1204を介して配線1205と接続されている。配線1205は、補助電極1206と
接続されており、より具体的には、補助電極1206と連続した1つの導電膜で形成され
ている。したがって、
図15の場合、接続端子1201と補助電極1206とを接続して
いる引き回し配線は、配線1202、1203、1204、1205に相当する。
【0104】
また1207は信号線駆動回路に相当し、配線1208を介して、信号線1209にビ
デオ信号を供給している。そして各色に対応する電源線1210r、1210g、121
0bは、それぞれ配線1211r、1211g、1211bを介して、配線1212r、
1212g、1212bと接続されている。なお配線1212bはさらに配線1213を
介して配線1214に接続されている。そして配線1212r、1212g、1214は
、それぞれ接続端子1215r、1215g、1215bに接続されている。
【0105】
そして、1216は第2層間絶縁膜に形成された開口部に相当し、開口部1216にお
いて、配線1205と対向電極(図示せず)が直接または電気的に接続される。