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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153248
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20231005BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20231005BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
G01T7/00 A
G01N23/04
G01N23/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131854
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2018053046の分割
【原出願日】2018-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慎吾
(57)【要約】
【課題】X線検出部の温度変化を抑制することができる、X線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置1は、物品Gを搬送する搬送部5と、搬送部5によって搬送される物品GにX線を照射するX線照射部6と、物品Gを透過したX線を検出するX線検出部7と、内部に前記X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられた筐体2と、熱交換により冷却された冷気を供給する冷風機40と、冷風機40から供給された冷気をX線照射部6及びX線検出部7のそれぞれに導風する流路である通風路50,61,62と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過した前記X線を検出するX線検出部と、
内部に前記X線による前記物品の検査が実施される検査領域が設けられた筐体と、
熱交換により冷却された冷気を供給する冷風機と、
前記冷風機から供給された冷気を前記X線照射部及び前記X線検出部のそれぞれに導風する流路である通風路と、を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記通風路は、前記冷風機の供給口に接続されている、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記通風路は、前記X線照射部及び前記X線検出部のそれぞれに分岐して導風する、請求項1又は2記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線検出部は、前記X線検出部を制御する制御基板を含む、請求項1~3の何れか一項記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線検出部は、前記X線検出部を制御する制御基板と共に、ユニットとして一体的に形成されている、請求項4記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線検査装置としては、例えば、特許文献1に記載されている装置が知られている。特許文献1に記載のX線検査装置は、X線照射部(X線発生器)から発生する熱を外部へ導く通風路と、通風路の一部をなすと共にX線照射部を密封する基板と、基板を貫通して設けられ、X線照射部において発生する熱を通風路に伝達する冷却フィンと、を備えている。特許文献1のX線検査装置では、X線照射部の冷却を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-318062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線検査装置は、X線照射部が照射するX線を検出するラインセンサ等のX線検出部を備えている。このようなX線検出部は、熱等の影響によってノイズが増える等の不具合が発生し、検出精度が低下するおそれがある。したがって、X線検出部の温度は、可能な限り一定に維持されることが好ましい。上記従来のX線検査装置では、X線照射部の冷却を図ることはできるものの、X線検出部の温度変化を抑制することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、X線検出部の温度変化を抑制することができる、X線検査装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るX線検査装置は、X線を照射するX線照射部と、X線を検出するX線検出部と、X線検出部の少なくとも一部に対して空気を導風する導風部と、を備える。
【0007】
この構成のX線検査装置では、導風部によって導風される空気によって、X線検出部を冷やすことが可能になる。これにより、X線検出部における温度の変化を抑制することができる。
【0008】
本発明に係るX線検査装置では、X線検出部は、複数のエネルギー帯のX線を検出するセンサであってもよい。この構成のX線検査装置では、例えば、相対的に高いエネルギー帯のX線によって取得できる透過画像と相対的に低いエネルギー帯のX線によって取得できる透過画像とを同時に得ることができる。
【0009】
本発明に係るX線検査装置では、X線検出部は、X線検出部を制御する制御基板と共に、ユニットとして一体的に形成されており、導風部は、ユニットの少なくとも一部に対して空気を導風してもよい。この構成のX線検査装置では、発熱量の大きい制御基板がX線検出部と一体的に形成されている場合であっても、X線検出部における温度の変化を抑制することができる。
【0010】
本発明に係るX線検査装置では、導風部は、空気の流路である通風路と、通風路に空気を給気するファン、及び通風路から空気を排気するファンの少なくとも一方と、を有してもよい。これにより、より効果的に、X線検出部に空気を導風することができる。
【0011】
本発明に係るX線検査装置では、通風路とファンとは、シール部材を介して接続されてもよい。この構成のX線検査装置では、通風路とファンとが気密に接続されるので、これにより、より効果的に、X線検出部に空気を導風することができる。
【0012】
本発明に係るX線検査装置では、通風路に冷気を供給する冷風機を更に備え、通風路は、分岐部を有し、冷風機によって供給された冷たい空気は、分岐部を介してX線検出部とX線照射部とに導風されてもよい。この構成のX線検査装置では、X線照射部に冷気を供給することができる。また、X線照射部冷却用の冷風機を利用することができる。
【0013】
本発明に係るX線検査装置では、通風路から空気が排気される一端は、冷風機において空気を給気する給気口に向かって開口していてもよい。この構成のX線検査装置では、冷風機と通風路との間で、効果的にX線検出部を冷却することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、X線検出部の温度変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るX線検査装置の外観を示す斜視図である。
図2図1のX線検査装置の断面側面図である。
図3図1のX線検査装置の背面ドアを開放した状態の斜視図である。
図4図1のX線検査装置の筐体内部を示す斜視図である。
図5図4のX線検出部に面するように配置された通風路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図1図2及び図5には、説明の便宜のため、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」方向を設定するが、実施形態はこれらの方向に限定されない。
【0017】
図1図4に示されるように、X線検査装置1は、筐体2と、支持脚3と、搬送部5と、X線照射部6と、X線検出部7と、表示操作部8と、制御部10と、を備えている。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。検査前の物品Gは、搬入コンベア(図示せず)によってX線検査装置1に搬入される。検査後の物品Gは、搬出コンベア(図示せず)によってX線検査装置1から搬出される。X線検査装置1によって不良品と判定された物品Gは、搬出コンベアの下流に配置された振分装置(図示省略)よって生産ライン外に振り分けられる。X線検査装置1によって良品と判定された物品Gは、当該振分装置をそのまま通過する。
【0018】
筐体2は、搬送部5、X線照射部6、X線検出部7、及び制御部10を収容している。筐体2は、X線を遮蔽するステンレス鋼で形成されており、外部へのX線の漏洩を防止する。筐体2の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。筐体2には、検査領域Rに物品Gを搬送する搬入口4a及び検査領域Rから物品Gを搬出する搬出口4bが形成されている。検査前の物品Gは、搬入コンベアから搬入口4aを介して検査領域Rに搬入される。検査後の物品Gは、検査領域Rから搬出口4bを介して搬出コンベアに搬出される。搬入口4a及び搬出口4bのそれぞれには、X線の漏洩を防止するX線遮蔽カーテン4cが設けられている。
【0019】
支持脚3は、筐体2を支持している。搬送部5は、搬入口4aから検査領域Rを介して搬出口4bまで、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部5は、例えば、搬入口4aと搬出口4bとの間に掛け渡されたベルトコンベアである。
【0020】
X線照射部6は、搬送部5によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部6は、X線を出射するX線管(図示せず)と、X線管を絶縁性の冷却油内に浸漬した収容部6aと、収容部6aの下方に配置され、X線管から出射されたX線を搬送方向Aに垂直な面内において扇状に広げるコリメータ6bと、を有する。収容部6aの外周面には、上下方向に伸びる冷却フィン(図示せず)が設けられている。収容部6aの上面には、収容部6aの下方から上方に向かう風路を形成するファン6cが設けられている。
【0021】
X線検出部7は、第一ラインセンサ11と、第二ラインセンサ12と、を有している。第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12は、それぞれ、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列されたX線検出素子によって構成されている。第一ラインセンサ11は、物品G及び搬送部5の搬送ベルトを透過した低エネルギー帯のX線を検出する。第二ラインセンサ12は、物品G、搬送部5の搬送ベルト及び第一ラインセンサ11を透過した高エネルギー帯のX線を検出する。
【0022】
X線検出部7は、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12を含んでいる。本実施形態では、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12に制御基板14を加え、X線検出ユニット70aとして構成されている。X線検出ユニット70aは、収容部9に収容されている。収容部9は、X線検出部7を上下前後左右方向から覆う筐体である。収容部9の上面には、X線照射部6から照射されるX線が通過するスリットが設けられている。
【0023】
図5に示されるように、収容部9は、第一流路(通風路)61と、第二流路(通風路)62と、配置部63と、を有している。第一流路61は、X線検出ユニット70の少なくとも一部70aに面するように配置されており、一端61aから他端61bまで延在する。本実施形態では、一端61a及び他端61bは、閉められた状態のドア2aに向かって開口している。第一流路61は、上下方向から見た平面視においてU字状に形成されている。第二流路62は、第一流路61と同様に、X線検出ユニット70の少なくとも一部70aに面するように配置されており、一端62aから他端62bまで延在する。本実施形態では、一端62a及び他端62bは、閉められた状態のドア2aに向かって開口している。第一流路61は、上下方向から見た平面視においてU字状に形成されている。配置部63は、X線検出ユニット70が配置される部位である。
【0024】
第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bには、排気ファン66,66を支持するブラケット65が設けられている。第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bとブラケット65とは、ガスケット(シール部材)67を介して接続されている。また、第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bとブラケット65とは、溶接等によって接続されてもよい。ブラケット65は、排気ファン66,66の取付面65aが後斜め上方向に直交するように形成されている。すなわち、第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bは、後斜め上方向に直交するように開口している。排気ファン66,66から見て、上記後斜め上方向には、冷風機40の給気口42が配置されている。
【0025】
図2に示されるように、表示操作部8は、筐体2に設けられている。表示操作部8は、各種情報を表示すると共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部8は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部8を介して各種条件を入力することができる。
【0026】
図1及び図2に示されるように、制御部10は、筐体2の内部に配置されている。制御部10は、X線検査装置1の各部の動作を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部10には、X線検出部7の第一ラインセンサ11(図4参照)から低エネルギー帯のX線の検出結果が入力されると共に、X線検出部7の第二ラインセンサ12(図4参照)から高エネルギー帯のX線の検出結果が入力される。制御部10は、低エネルギー帯のX線の検出結果、及び高エネルギー帯のX線の検出結果に基づいて、物品Gに異物が含まれているか否かを判定する処理部として機能する。
【0027】
図1図3に示されるように、X線検査装置1の後面には、冷風機40が配置されている。冷風機40は、筐体2内部及び筐体2外部の空気を給気口42から給気し、給気した空気を熱交換器(図示しない)において熱交換し、熱交換により冷却された空気(冷気)を供給口41からダクト(通風路)50を介して筐体2内部に供給する。本実施形態では、冷風機40は、筐体2を開閉可能にするドア2aに取り付けられている。ドア2aには、冷風機40の下端を支持するブラケット44が設けられている。
【0028】
ダクト50は、ドア2aを閉めた状態において前後方向に延在する第一ダクト51と、第一ダクト51から分岐部54を介して分岐され、上下方向に延在する二つの分岐ダクト52,53と、を有している。第一ダクト51は、一端51aと他端51bとに開口を有し、一端51aと他端51bとの間に分岐ダクト52及び分岐ダクト53に分岐する分岐部54が設けられている。第一ダクト51の一端51aは、供給口41に接続されている。第一ダクト51の他端51bは、ドア2aが閉められた状態において後方に向かって開口している。すなわち、ドア2aが閉められた状態において、他端51bは、コリメータ6bが配置された収容部6aの下方の空間に向かって開口している。
【0029】
分岐ダクト52は、一端52aと他端52bとに開口を有する。分岐ダクト52の一端52aは分岐部54に接続される。分岐ダクト52の他端52bは、ドア2aを閉めた状態において、第一流路61の一端61aと対向するように、かつ近接するように設けられている(図5参照)。分岐ダクト53は、一端53aと他端53bとに開口を有する。分岐ダクト53の一端53aは、分岐部54に接続される。分岐ダクト53の他端53bは、ドア2aを閉めた状態において、第二流路62の一端62aと対向するように、かつ近接するように設けられている(図5参照)。
【0030】
次に、冷風機40から供給される冷気の流れについて説明する。本実施形態では、X線検出部7の少なくとも一部に対して空気を導風する導風部は、上述した冷風機40、第一流路61、第二流路62、及び排気ファン66を含んで構成される。図2及び図3に示されるように、冷風機40から供給される冷気は、冷風機40の供給口41から第一ダクト51に供給される。第一ダクト51に供給された冷気は、分岐部54を介して分岐ダクト52及び分岐ダクト53に流れ込む。分岐ダクト52に流れ込んだ冷気は、分岐ダクト52の他端52bから排気される。分岐ダクト53に流れ込んだ冷気は、分岐ダクト53の他端53bから排気される。
【0031】
図5に示されるように、分岐ダクト52の他端52bから排気される冷気は、ドア2aを閉めた状態において、第一流路61の一端61aから第一流路61に流入する。第一流路61に流れ込んだ冷気は、図5に示される矢印のように、収容部9の後方から前方に向かって流れ、再び、前方から後方に向かって流れる。X線検出ユニット70の一部に面する第一流路61を流れる冷気は、X線検出ユニット70から熱を奪う。そして、温度が上昇した空気(暖気)は、排気ファン66によって第一流路61の他端61bから排気される。排気ファン66から排気される暖気は、冷風機40の給気口42に向かって排気される。したがって、上記暖気は、冷風機40の給気口42から給気され、再び冷気として供給口41から供給される。
【0032】
分岐ダクト53の他端53bから排気される冷気は、第一流路61の一端62aから第二流路62に流入する。第二流路62に流れ込んだ冷気は、図5に示される矢印のように、収容部9の後方から前方に向かって流れ、再び、前方から後方に向かって流れる。X線検出ユニット70の一部に面する第二流路62を流れる冷気は、X線検出ユニット70から熱を奪う。そして、温度が上昇した空気(暖気)は、排気ファン66によって第二流路62の他端62bから排気される。排気ファン66から排気される暖気は、冷風機40の給気口42に向かって排気される。したがって、上記暖気は、冷風機40の給気口42から給気され、再び冷気として供給口41から供給される。
【0033】
図2に示される矢印のように、第一ダクト51の他端51bから排気される冷気は、収容部6aの下方であって、コリメータ6bが配置された空間に向かって排気される。コリメータ6bが配置された空間に向かって排気された冷気は、ファン6cによって上方に導風(導流)される。このとき、収容部6aの外周面に設けられた冷却フィンに沿って導風されるので、冷却フィンから熱を奪う。そして、温度が上昇した空気は、ファン6cによって冷風機40の給気口42に向かって導風される。したがって、上記空気は、冷風機40の給気口42から給気され、再び冷気として供給口41から供給される。
【0034】
上記実施形態のX線検査装置1では、図5に示されるように、第一流路61及び第二流路62によって導風される空気によって、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12を冷やすことが可能になる。これにより、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12における温度の変化を抑制することができる。
【0035】
上記実施形態のX線検査装置1では、図5に示されるように、X線検出ユニット70が一端61a(一端62a)から他端61b(他端62b)まで延在する第一流路61(第二流路62)に面しているので、X線検出ユニット70において発生した熱(暖気)を収容部9の外部に導風、又は収容部9の外部からX線検出ユニット70に冷気を導風することができる。この結果、X線検出ユニット70における温度の変化を抑制することができる。
【0036】
上記実施形態のX線検査装置1では、X線検出ユニット70は、複数のエネルギー帯のX線を検出するセンサ(第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12)である。この構成のX線検査装置1では、例えば、相対的に高いエネルギー帯のX線によって取得できる透過画像と相対的に低いエネルギー帯のX線によって取得できる透過画像とを同時に得ることができる。これにより、異物等の検出精度を高めることができる。
【0037】
上記実施形態のX線検査装置1では、第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bに、空気を排気する排気ファン66,66が設けられている。これにより、より効果的に、X線検出ユニット70において発生した熱を収容部9の外部に導風、又は収容部9の外部からX線検出ユニット70に冷気を導風することができる。
【0038】
上記実施形態のX線検査装置1では、第一流路61及び第二流路62の他端61b,62bと排気ファン66,66が設置されるブラケット65とは、ガスケット67を介して接続されるので、第一流路61及び第二流路62の密閉性が向上し、より効果的にX線検出ユニット70において発生した熱を収容部9の外部に導風、又は収容部9の外部からX線検出ユニット70に冷気を導風することができる。
【0039】
上記実施形態のX線検査装置1では、X線検出部7は、第一ラインセンサ11、第二ラインセンサ12と共に制御基板14を含んで、X線検出ユニット70として構成されており、第一流路61及び第二流路62は、X線検出ユニット70の少なくとも一部70a,70aに面するように配置されている。この構成のX線検査装置1では、発熱量の大きい制御基板14が第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12と一体的に形成されている場合であっても、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12における温度の変化を抑制することができる。
【0040】
上記実施形態のX線検査装置1では、第一流路61及び第二流路62に冷気を供給する冷風機40を備えるので、X線検出ユニット70の温度が上昇することを抑制することができる。
【0041】
上記実施形態のX線検査装置1では、X線検出ユニット70に冷気を供給するダクト50が分岐部45を有しており、X線照射部6にも冷気が導風される構成となっている。この構成のX線検査装置1では、X線照射部6の温度が上昇することを抑制できる。
【0042】
上記実施形態のX線検査装置1では、第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bに配置される排気ファン66は、冷風機40において空気を吸引する給気口42に向かって開口している。この構成のX線検査装置1では、冷風機40と第一流路61及び第二流路62との間で、効果的にX線検出ユニット70を冷却することができる。
【0043】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態では、X線検出部7として、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12を備える、いわゆるデュアルエナジーセンサーを例に挙げて説明したが、一のラインセンサからなるX線検出部7であってもよい。
【0045】
上記実施形態及び変形例では、X線検出部7は、制御基板14を含めて一体的に形成されたX線検出ユニット70として構成されている例を挙げて説明したが、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12等のセンサと制御基板14とはそれぞれ別の位置に配置されていてもよい。この場合には、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12等のセンサを冷却する構成を必須とするが、制御基板14も冷却することが好ましい。
【0046】
上記実施形態及び変形例では、第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bに排気ファン66,66をそれぞれ配置した例を挙げて説明したが、この構成に代えて又は加えて、第一流路61の一端61a及び第二流路62の一端62aに給気ファンを配置してもよい。
【0047】
上記実施形態及び変形例では、第一流路61の他端61b及び第二流路62の他端62bに設けられた排気ファン66,66が冷風機40に向けて暖気を排気する例を挙げて説明したが、筐体2の外部に排気する構成としてもよい。
【0048】
上記実施形態及び変形例では、一の冷風機40から供給される冷気が、X線照射部6及びX線検出ユニット70の両方に導風される例を挙げて説明したが、分岐部45等を設けず、X線検出ユニット70専用の冷風機40としてもよい。この場合は、分岐部45等を設ける必要がなく、冷風機40は、ダクトを介してX線検出ユニット70に冷気を供給してもよいし、第一流路61及び第二流路62に直接冷気を供給してもよい。
【0049】
上記実施形態及び変形例では、冷風機40は、筐体2の内部を開閉可能なドア2aに設けられる例を挙げて説明したが、筐体2の内部に配置されてもよい。また、筐体2の外部に配置された冷風機40からダクト等を介して第一流路61及び第二流路62に冷気を供給してもよい。
【0050】
上記実施形態及び変形例では、冷風機40を備え、X線検出部7に面する第一流路61及び第二流路62に冷気を供給する例を挙げて説明したが、冷風機40に代えて、ヒータ等を備え、第一流路61及び第二流路62に暖気を供給してもよい。この場合には、屋外等、温度が低い場所で使用される場合であっても、X線検出部7近傍の冷気を外部に導風、又は外部からX線検出部7に暖気(熱)を導風したりすることができる。この結果、X線検出部7における温度の変化を抑制することができる。
【0051】
上記実施形態及び変形例では、冷風機40又はヒータ等を備え、冷気又は暖気を第一流路61及び第二流路62に送風する例を挙げて説明したが、冷風機40及びヒータ等は、必ずしも備えなくてもよい。X線検出部7の一部に面するように第一流路61及び第二流路62を設ければ、自然対流によって空気が対流し、X線検出部7における温度の変化を抑制することができる。
【0052】
上記実施形態及び変形例では、第一流路61及び第二流路62を設ける例を挙げて説明したが、第一流路61及び第二流路62を設けず、冷風機40及びファンの少なくとも一方のみを備える構成としてもよい。この場合であっても、第一ラインセンサ11及び第二ラインセンサ12又はX線検出ユニット70に風が導風される。
【0053】
上記実施形態及び変形例では、図5に示されるように第一流路61及び第二流路62が形成された例を挙げて説明したが、X線検出部7の一部に面するような流路(通風路)であれば、形状、配置、及び風の向き等は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1…X線検査装置、2…筐体、2a…ドア、6…X線照射部、7…X線検出部、9…収容部、11…第一ラインセンサ、12…第二ラインセンサ、14…制御基板、40…冷風機、41…供給口、42…給気口、50…ダクト(通風路)、51…第一ダクト、52,53…分岐ダクト、54…分岐部、61…第一流路(通風路)、61a…第一流路の一端、61b…第一流路の他端、62…第二流路(通風路)、62a…第二流路の一端、62b…第二流路の他端、65…ブラケット、66…排気ファン、67…ガスケット(シール部材)、70…X線検出ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5