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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153273
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】二酸化炭素外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20231005BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20231005BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231005BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 33/10 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/24
A61K8/365
A61Q19/00
A61K9/06
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K33/00
A61K33/10
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/06
A61P9/00
A61P17/02
A61P17/16
A61P19/08
A61P21/00
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134482
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2019536752の分割
【原出願日】2018-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2017157598
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517289192
【氏名又は名称】田中 雅也
(71)【出願人】
【識別番号】520483660
【氏名又は名称】CO2TECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅也
(57)【要約】
【課題】一剤型の非水系二酸化炭素外用剤の提供。
【解決手段】ペースト基剤、炭酸塩、酸および/または加水分解により酸を生成する物質、およびアルコールからなる、ペースト状二酸化炭素外用剤。本外用剤は、皮膚に塗布するだけで、二酸化炭素特有の作用効果が得られるため、有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ペースト基剤、b)アルコール、c)炭酸塩および/または炭酸水素塩、およびd)酸および/または加水分解により酸を生成する物質、からなることを特徴とする、非水系のペースト状二酸化炭素外用剤であって、
上記a)としてカルボキシビニルポリマーおよび/またはアルキル変性カルボキシビニルポリマー0.1-10質量%;
上記b)として、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンおよび室温で液状のポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上のアルコール40-95質量%;
上記c)として、炭酸塩および/または炭酸水素塩1-20質量%;および、
上記d)として、酸および/または加水分解により酸を生成する物質0.1-20質量%;を含み、
水を追加的に供給することなく、皮膚に塗布するだけで使用するための、二酸化炭素外用剤。
【請求項2】
a)ペースト基剤として、カルボキシビニルポリマーおよび/またはアルキル変性カルボキシビニルポリマー0.2-5質量%;
b)アルコールとして、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上のアルコール70-90質量%;
c)炭酸塩および/または炭酸水素塩として、炭酸水素ナトリウム1-10質量%;および、
d)酸および/または加水分解により酸を生成する物質として、リンゴ酸1-10質量%およびリン酸二水素ナトリウム1-10質量%;
を含む、請求項1に記載の二酸化炭素外用剤。
【請求項3】
さらにカルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーとは別の増粘剤を含む、請求項1または2に記載の二酸化炭素外用剤。
【請求項4】
乾燥剤をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の二酸化炭素外用剤。
【請求項5】
水溶性賦形剤をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の二酸化炭素外用剤。
【請求項6】
発熱剤をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の二酸化炭素外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に塗布するだけで、または、さらに水を追加的に供給することで使用できる、非水系の二酸化炭素外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素外用剤として、酸もしくは炭酸塩を含む含水粘性組成物、及び酸もしくは炭酸塩を含む顆粒の組み合わせからなり、含水粘性組成物どうし、または含水粘性組成物と顆粒を混合することにより、酸と炭酸塩が反応し、二酸化炭素が発生する二酸化炭素外用剤調製用組成物(特許文献1~5参照);伸縮性を有する高分子立体網目構造体に少なくとも酸と水とを含む粘性物が含浸され、使用時に皮膚に接触させる主剤と、使用時に前記主剤に接触させることにより二酸化炭素が発生する少なくとも炭酸塩を含む反応剤とからなり、主剤と反応剤の反応により二酸化炭素を発生させる、二酸化炭素外用剤調製用材料(特許文献6参照);(A)炭酸塩または炭酸水素塩を含有する非水液状組成物と、(B)酸性非水液状組成物とを含有し、使用時に当該組成物(A)と組成物(B)を混合し、さらにこれに水を供給して二酸化炭素を発生させる、二酸化炭素供給皮膚化粧料(特許文献7参照);(A)酸性非水液状組成物と、(B)塩基性組成物を含有する含水液状組成物とを有し、前記(A)酸性非水液状組成物と前記(B)含水液状組成物を混合して使用する発泡性外用剤(特許文献8参照);20℃における粘度が4000mPa・s以上であり、且つ実質的に非水系である、ゲル状物または2剤型の発泡性皮膚用化粧料(特許文献9参照)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特許公開2000-319187号公報
【特許文献2】国際公開2002/80941号公報
【特許文献3】国際公開2006/80398号公報
【特許文献4】国際公開2003/57228号公報
【特許文献5】国際公開2005/16290号公報
【特許文献6】国際公開2004/4745号公報
【特許文献7】日本特許公開2005-89357号公報
【特許文献8】日本特許公開2015-180610号公報
【特許文献9】日本特許公開2005-194233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
含水粘性組成物を含む、二剤以上からなる二酸化炭素外用剤において、含水粘性組成物は、酸、または炭酸塩のいずれか一方しか含有できず、その重量の大半を水が占めるため、二酸化炭素外用剤の軽量化等は困難であった。
さらに、二剤以上からなる二酸化炭素外用剤は、使用時にすべての必要な製剤を混合して、二酸化炭素を発生させ、得られた二酸化炭素外用剤を、所望部位に塗布しなればならず、手間がかかった。
特許文献9に開示されている発泡性皮膚用化粧料は、実質的に非水系であるため、軽量化されているが、実施例1~10に具体的に開示があるのは二剤型の二酸化炭素外用剤である。また、実施例11および12には一剤型皮膚用化粧料が開示されているものの、いずれもゲルの物性に問題があり、実際、物性評価できるようなゲル状皮膚用化粧料を得ることはできなかった(後記試験例2参照)。
したがって、水の供給により、二酸化炭素の充分な作用が持続的に得られ、使用が簡便な、一剤式の二酸化炭素外用剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、必須成分として、ペースト基剤(以下、単に「基剤」とも言う)、アルコール、炭酸塩、酸および/または加水分解により酸を生成する物質(以下、「酸の代替物」とも言う)からなる、ペースト状の二酸化炭素外用剤が、皮膚に塗布するだけで、もしくはさらに水を供給することで、血管拡張作用等の二酸化炭素特有の作用効果が十分、かつ、持続的に得られることを見いだし、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明の二酸化炭素外用剤は、粘着性があるため、皮膚や布等に塗布可能であり、皮膚に塗布するだけで、またはさらに水を追加的に供給することで、血管拡張作用や筋力増強作用、疲労回復促進作用、がん細胞特異的アポトーシス誘導作用による抗腫瘍作用、骨折治癒促進作用、創傷治癒促進作用、脂質代謝促進作用、美肌作用、色素沈着の改善作用等の二酸化炭素特有の作用効果が得られ、持ち運びに便利であり、使用が簡便である。
なお、本発明の二酸化炭素外用剤は、容器内で水を適当量加えて溶解させることで従前知られている炭酸ガスパック剤を提供できるので、これを上記目的に使用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の二酸化炭素外用剤は、ペースト基剤、アルコール、炭酸塩、酸および/または加水分解により酸を生成する物質がペーストを形成し、水を供給するまで二酸化炭素発生反応が起こることなく、安定に共存している。
本発明の二酸化炭素外用剤は、基本的に非水系であるが、若干の水分含有は差し支えない。アルコールの水分含量の許容上限は、配合原料により異なるが、およそ2%である。二酸化炭素外用剤全量に対しては、水分含量の許容上限は、およそ1.8%である。
本発明でいうペーストとは、薄く延ばすことができ、皮膚や布などに塗布したときに、垂れ落ちない程度の粘度と粘着力がある流動物をいう。
本発明でいうペースト基剤とは、アルコールに粘性を与える物質をいい、ペースト基剤としては、カルボキシビニルポリマーが好適である。本発明でアルキル変性カルボキシビニルポリマーはカルボキシビニルポリマーと等価物とみなされ、カルボキシビニルポリマーの代わりに、あるいはカルボキシビニルポリマーとともに使用できる。
本発明で炭酸水素塩は炭酸塩と等価物とみなされ、炭酸塩の代わりに、あるいは炭酸塩とともに使用できる。
【0008】
本発明の二酸化炭素外用剤に水を供給すると、炭酸塩と、酸および/または加水分解により酸を生成する物質が溶解し、反応して二酸化炭素を発生する。
本発明の二酸化炭素外用剤は、皮膚に適度な水分が含まれている場合、皮膚に塗布するだけで、当該外用剤の、主としてアルコールが皮膚の水分を吸収し、その水分によって、当該外用剤の炭酸塩と、酸および/または加水分解により酸を生成する物質とが溶解して反応し、二酸化炭素が発生する。このとき、発生する二酸化炭素はほとんど気泡を形成することなく、直ちに皮膚から吸収されて作用を奏する。皮膚の水分が少ない場合や、二酸化炭素の発生量を多くしたい場合は、事前に目的部位の皮膚を湿らせておくとよい。湿らせる方法としては、特に限定されず、目的部位を水に浸したり、目的部位に濡れタオル等を被せたり、水蒸気を当てたり、ポリマーフィルム等で覆ったりすればよい。あるいは、本発明の二酸化炭素外用剤を目的部位に塗布後、当該外用剤の表面に水をかけたり、水蒸気を当てたり、濡れタオル等を被せたりして水を供給すればよい。あるいは、ポリマーフィルム等で覆って皮膚を蒸れさせてもよい。もちろん、これらの方法を適宜組み合わせてもよい。
【0009】
本発明に用いるペースト基剤としては、カルボキシビニルポリマーが好適であり、カルボキシビニルポリマーとしては、アルコール及び水に可溶であれば特に制限なく用いることができる。以下にペースト基剤の説明には具体例としてカルボキシビニルポリマーを用いるが、本発明の二酸化炭素外用剤のペースト基剤は、アルコールに粘度を与えるものであれば特に制限なく使用できる。
本発明の二酸化炭素外用剤において、カルボキシビニルポリマーの配合量は、皮膚や布等に塗布可能な粘度と粘着力を持つペースト状になる配合量であればよい。カルボキシビニルポリマーの好適な配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤の固形原料全量に対して、概ね0.1~40質量%である。
【0010】
本発明の二酸化炭素外用剤は、さらに増粘剤を加えてもよい。ここで増粘剤とは、カルボキシビニルポリマーとは別の増粘剤(以下、「追加的増粘剤」ともいう)であって、これにより、カルボキシビニルポリマーの相対的配合量を下げ、カルボキシビニルポリマー特有の糸引き現象が抑えられる。さらに、水に対する溶解もしくは膨潤速度が、カルボキシビニルポリマーよりも遅い、追加的増粘剤を用いると、二酸化炭素外用剤の吸水速度が遅くなり、炭酸塩と、酸および/または加水分解により酸を生成する物質の溶解速度も遅くなるため、二酸化炭素の発生速度が抑えられ、二酸化炭素の発生が持続的になるため好ましい。
追加的増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子、無機物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上を使用できる。
天然高分子としては、例えばアラビアゴム、カラギーナン、ガラクタン、寒天、クインスシード、グアガム、タマリンドガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、ローカストビーンガム、米澱粉、小麦粉澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉などの植物系高分子、カードラン、キサンタンガム、サクシノグルカン、デキストラン、ヒアルロン酸、プルランなどの微生物系高分子、アルブミン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、フィブロインなどの蛋白系高分子があげられる。
【0011】
半合成高分子としてはエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、カルボキシメチルエチルセルロース及びその塩類、カルボキシメチルスターチ及びその塩類、クロスカルメロース及びその塩類、結晶セルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、粉末セルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系高分子、アルファー化澱粉、部分アルファー化澱粉、カルボキシメチル澱粉、デキストリン、メチル澱粉などの澱粉系高分子、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系高分子、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなどのその他の多糖類系高分子などがあげられる。
【0012】
合成高分子としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸-メタアクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマーなどがあげられる。
無機物としては、例えば含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、コロイダルアルミナ、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどがあげられる。
カルボキシビニルポリマーとは別の増粘剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ジェランガムが好ましい。
追加的増粘剤の配合量は、カルボキシビニルポリマーの質量に対し、およそ0.1倍~50倍、好ましくはおよそ5~20倍である。
【0013】
本発明の二酸化炭素外用剤に用いるアルコールとしては、常温で液体であり、外用剤に使用可能なものであれば特に限定されず、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等の一価アルコール;イソペンチルジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、などがあげられ、これらの1種もしくは2種以上が使用できる。これらのなかでも多価アルコールが好ましい。
アルコールの配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤が、皮膚や布等に塗布可能な粘度と粘着力を持ち、かつ、アルコール不溶性の固形原料が沈殿しない程度の粘度を持つ、ペースト状になる配合量であればよい。アルコールの好適な配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤の固形原料全量に対して、概ね80~400質量%である。
なお、本発明の二酸化炭素外用剤において、アルコール不溶性の固形原料が若干沈殿しても、使用時に当該外用剤を撹拌して沈殿物を全体に分散させて使用することもできる。
【0014】
なお、アルコール不溶性の固形原料は、本発明の二酸化炭素外用剤中で沈殿しにくいように、可能な限り粒径が小さく、また、比重が同じか、近いものが好ましい。
アルコールは、吸湿性があり、含水量が一定以上であると、本発明の二酸化炭素外用剤の製造中に二酸化炭素が発生するおそれがある。それを防ぐために、あらかじめアルコールを乾燥して使用することが好ましい。乾燥方法としては、モレキュラーシーブや、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、無水炭酸カリウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト等の乾燥剤を用いるなど、アルコールの種類に応じて適した公知の乾燥法を用いることができる。
【0015】
本発明の二酸化炭素外用剤において、乾燥剤をさらに加えることができる。アルコールは吸湿性があるため、本発明の二酸化炭素外用剤に含まれる炭酸塩と、酸および/または加水分解により酸を生成する物質が、当該外用剤のアルコールが吸収する水分によって溶解し、使用前に二酸化炭素が発生するおそれがある。したがって、乾燥剤を加えることにより、二酸化炭素外用剤に水を供給するまで、二酸化炭素発生反応が起こらないようにできる。
乾燥剤としては、アルコールの種類に応じて乾燥に使用できる、既知の乾燥剤を用いることができ、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、無水炭酸カリウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を使用できる。
さらに、炭酸塩の無水物や、酸および/または加水分解により酸を生成する物質の無水物を乾燥剤として用いることもできる。もちろん、上記の乾燥剤と適宜組み合わせて用いることもできる。
【0016】
本発明の二酸化炭素外用剤に用いる炭酸塩は、酸と反応して二酸化炭素を発生するものであれば、特に限定されず、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなどがあげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
炭酸塩の好適な配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤の固形原料の全量に対し、概ね1~60質量%である。
酸との反応速度を抑えるために、炭酸塩は、通常の製剤学的手段を用いた、遅放性粒状物等であってもよい。
【0017】
本発明の二酸化炭素外用剤に用いる酸としては、炭酸塩と反応して二酸化炭素を発生する物であれば、特に限定されず、有機酸または無機酸からなる群の中から選ばれる1種もしくは2種以上を用いることができる。
有機酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、イタ酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、ヒドロキシアクリル酸、α-オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、乳酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のヒドロキシ酸などがあげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
無機酸としては、例えばリン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性へキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸などがあげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
酸の配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤の炭酸塩の一部を、好ましくは全てを中和できる量である。
炭酸塩との反応速度を抑えるために、固形の酸の場合は、通常の製剤学的手段を用いた、遅放性粒状物等であってもよい。
【0018】
本発明の二酸化炭素外用剤に用いる、加水分解により酸を生成する物質としては、グルコノデルタラクトン、パントラクトン等のラクトン、D,L-またはL-ラクチド(3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5ジオン)、D,L-またはL-グリコリド等の有機酸の環状二量体及び、無水フタル酸、無水マレイン酸及び、無水コハク酸等の酸無水物などがあげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
加水分解により酸を生成する物質は、水に溶解する初期での酸の生成量が少ないため、本発明の二酸化炭素外用剤に水が供給される初期の二酸化炭素の発生量が、酸を用いる場合と比較して少ない場合がある。これと酸を組み合わせて用いることにより、本発明の二酸化炭素外用剤に水を供給する初期から二酸化炭素の発生量を一定以上にし、かつ、二酸化炭素の発生を持続させることができる。
加水分解により酸を生成する物質の配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤に用いる炭酸塩の一部を、好ましくは全てを中和できる量である。
炭酸塩との反応速度を抑えるために、加水分解により酸を生成する物質は、通常の製剤学的手段を用いた、遅放性粒状物等であってもよい。
【0019】
本発明の二酸化炭素外用剤において、水溶性賦形剤をさらに加えることができる。本発明において、二酸化炭素は酸と炭酸塩の反応により発生するが、この反応には水が必要であり、本発明の二酸化炭素外用剤に水溶性賦形剤が含まれていると、当該外用剤に吸収される水の量が多くなり、二酸化炭素の発生反応が起こりやすく、また、二酸化炭素の発生量が多くなる。
水溶性賦形剤としては、第15改正日本薬局方に記載された「溶けやすい」または「極めて溶けやすい」に規定された溶解性を持つものが好ましい。具体的には、アラビノース、ガラクトース、グルコース、キシロース、ソルボース、フルクトース、マンノース、リボース、ラムノース等の単糖類、スクロース、セロビオース、トレハロース、マルトース、ラクツロース、ラクトース等の二糖類、アラビトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール等の糖アルコール類等があげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0020】
本発明の二酸化炭素外用剤において、発熱剤をさらに加えることができる。本発明において、二酸化炭素は水の存在下に炭酸塩と酸の反応により発生するが、この反応は吸熱反応であり、水の量が多いと、二酸化炭素外用剤の温度が低くなり、皮膚への塗布時に皮膚温を下げて、二酸化炭素の経皮吸収による血流増加作用を妨げるおそれがある。発熱剤は、この問題点を改善できる。
発熱剤としては、例えば、塩化カルシウムのような、水に溶けるときに水和熱を発生するものが使用できる。発熱剤の配合量は、本発明の二酸化炭素外用剤の使用時の水の量と、発熱剤の質量あたりの発熱量、上げたい水温から容易に決定できる。すなわち、本発明の二酸化炭素外用剤への給水量が5gで、その水温を5度上げたいのであれば、発熱剤が塩化カルシウムの場合、理論的には123mgの塩化カルシウムを二酸化炭素外用剤に配合すれば良い。発熱剤の配合量は任意に選べるが、二酸化炭素外用剤の固形物全量に対して5~30質量%が好ましい。
【0021】
本発明の二酸化炭素外用剤は、適量の水で溶解もしくは膨潤させると、二酸化炭素を発生して粘稠な二酸化炭素外用剤となる。水の量が多いと、粘度が低い粘性水溶液となり、二酸化炭素の散逸が増えるため、好ましくない。本発明の二酸化炭素外用剤と水の混合比は、二酸化炭素外用剤1質量部に対し、概ね0.1~40質量部、好ましくは0.5~10質量部である。
【0022】
本発明の二酸化炭素外用剤を、湿った創傷面に直接塗布すれば、創傷面の浸出液等から当該外用剤に水が供給されるため、別途水を供給する必要がない。口腔や大腸などの水分が多い臓器や器官も同様に、本発明の二酸化炭素外用剤を、直接適用するだけで、別途水を供給する必要がない。もちろん、このような使用法においても、別途水を供給することにより、二酸化炭素の発生量を増やすことができる。
本発明の二酸化炭素外用剤で好ましい態様は、ペースト基剤のカルボキシビニルポリマーに、酸としてリンゴ酸、及び/または酒石酸、及びリン酸二水素ナトリウム、アルコールとして1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンから選ばれる1種もしくは2種以上の2価もしくは3価アルコール、追加的増粘剤としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種もしくは2種以上、任意で、乾燥剤として硫酸ナトリウムを加えたものである。
本発明の二酸化炭素外用剤は、担持体に塗工してシート剤として使用できる。担持体に保水性がある場合は、当該担持体に水を含ませることにより、単にシート剤を目的部位に貼付するよりも、二酸化炭素の発生量が増えるため好ましい。
保水性のある担持体としては、織布、不織布、スポンジなどがあげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0023】
本発明の二酸化炭素外用剤は、大腸内に注入することにより、大腸内の水分を吸収して二酸化炭素を発生するため、痔疾の治療や予防が、また、排便反射機能の低下による便秘の治療が可能である。
【実施例0024】
次に実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1~74
表1-6に示したように、炭酸塩、酸および/または加水分解により酸を生成する物質(酸またはその代替物)、アルコール、カルボキシビニルポリマー(基剤)、及び適宜、カルボキシビニルポリマーとは別の増粘剤(追加的増粘剤)、水溶性賦形剤、乾燥剤を用いて常法により二酸化炭素外用剤を調製した。表中の数字は各々の原料の質量部を示す。
アルコールは、特に指定しない限り、試薬等をそのまま使用した。乾燥後に使用したアルコールは配合量を斜体文字で示した。
1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールの乾燥は、透明もしくは半透明のプラスチックボトルなどの蓋付き容器に入った1,3-ブチレングリコール、もしくはプロピレングリコールに、無水硫酸ナトリウムを加えて撹拌して行った。無水硫酸ナトリウムは多価アルコールの水分を吸収して容器の底で固化するが、加えた無水硫酸ナトリウムが固化せず、粒状物のままで沈殿するまで加えた。その後、容器の蓋を締めて一晩放置し、翌日、容器の底の硫酸ナトリウムが細かな粒状物のままであることを確認して使用した。
グリセリンの乾燥は、無水硫酸ナトリウムの代わりに二酸化ケイ素を用いて、透明もしくは半透明のプラスチックボトルなどの蓋付き容器に入ったグリセリンに、グリセリンの質量の約5%の二酸化ケイ素を加え、容器を振るなどして行った。その後、容器の蓋を締めて一晩放置し、翌日以降に使用した。
エタノールは、無水エタノールを使用した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
試験例1 物性評価
1)粘性
ガラスビーカー中で本発明の二酸化炭素外用剤調製30分後に、ガラスビーカーを傾けた時に、直ちに二酸化炭素外用剤が流れ出るものを×、ハチミツのようにゆっくりと流れ落ちるものを△、ガラスビーカーを傾けても30秒以内では流れ落ちないものを○として評価した。
2)保存安定性
実施例の一部については、約1gの本発明の二酸化炭素外用剤を115mm×90mmの大きさのアルミパウチに入れ、出来るだけ中の空気を抜いてヒートシールにより密閉し、40℃で保存した。4週間後、目視により、アルミパウチが膨らんだものを×、膨らまなかったものを○として、保存安定性を評価した。
評価結果は、表8~9に示した。本発明の二酸化炭素外用剤はいずれも好ましい粘性を示し、保存安定性も良好であった。
【0033】
試験例2 先行技術との対比
特許文献9の実施例11に従い、炭酸水素ナトリウム1.5g、フェノキシエタノール50mg、無水クエン酸1.5g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース100mg、1,3-ブチレングリコール6.85gを用いて50mlのガラスビーカー中で、発泡性皮膚用化粧料を調製した。なお、製造ロットがそれぞれ異なるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて合計3回調製したが、得られた発泡性皮膚用化粧料の粘度はいずれも不十分であり、ビーカーの底に固形原料が沈殿した。得られた発泡性皮膚用化粧料の1.5gを62歳男性が左手甲に塗布し、シャワー用化粧料としての評価を試みたが、いずれの発泡性皮膚用化粧料もすぐに垂れ落ちてしまい、評価は困難であった。
試験例3 血管拡張作用
1)発赤の強さと発赤の持続性
二酸化炭素外用剤の有効性の主な根拠は、二酸化炭素の経皮吸収による、血管拡張作用にある(田中雅也、二酸化炭素経皮吸収剤「エコツージェル」、月刊バイオインダストリー、2006年10月号74頁~83頁、シーエムシー出版)。したがって、血管拡張作用の強さは、同一被験者において皮膚の発赤の強さと比例するため、実施例と炭酸ガスパック剤エコツージェルビーシー(コスメプロ社製)の発赤の程度を目視で比較して評価した。
【0034】
【表7】
具体的には、本発明の二酸化炭素外用剤0.2gを、左手の甲に4cm四方の面積に塗布し、その上から、精製水約2gを含ませた、4cm四方のカット綿を直ちに載せ、当該外用剤の下の皮膚の発赤の程度と、持続性を下記の評価基準に従って、一人の試験者(62歳の男性)の目視により評価した。比較対照として、炭酸ガスパック剤エコツージェルビーシー(コスメプロ社製)を用いて二酸化炭素外用剤を調製し、その1gを、右手の甲に、4cm四方の面積に塗布した。
2)pH測定
水中の二酸化炭素は、pHが低いほど分子状(非解離炭酸)で存在する割合が増え、経皮吸収量が増えることが知られている(前記月刊バイオインダストリー参照)。そこで塗布2分後に、本発明の二酸化炭素外用剤が付着したカット綿にpH試験紙を当ててpHを測定した。
評価結果は、物性評価結果と併せて、表8~9に示した。本発明の二酸化炭素外用剤は、概ね、酸性領域のpH値を示し、発赤の強さと持続性も好ましい結果であった。
【0035】
【表8】
【0036】
【表9】
【0037】
試験例4(筋疲労回復試験)
二酸化炭素の経皮吸収による、筋肉のトレーニング効果や、筋疲労回復促進効果が知られている(日本整形外科学会雑誌、88:34-39 2014)。試験例4では、筋疲労による握力低下が、本発明の二酸化炭素外用剤によって回復するか否かを検討した。試験は整形外科専門医により、整形外科クリニックにおいて実施した。
6人の男性被験者に対し、最初に両手の握力をデジタル握力計で測定した。一般的に握力は利き手のほうが力を出しやすい。したがって、本発明の二酸化炭素外用剤の効果をより正しく測定するために、二酸化炭素外用剤は非利き手に使用することとした。
非利き手の前腕全体に実施例65の二酸化炭素外用剤1gを塗布し、10分間安静にした後、両手の握力を測定した。最初の握力測定によって筋疲労が起こるため、測定10分後に再度、握力を測定すると、通常は握力が低下する。本発明の二酸化炭素外用剤によって筋疲労が回復したり、筋力が増強したりするのであれば、本発明の二酸化炭素外用剤を使用しない利き手の握力よりも、使用した非利き手の握力の低下が少ないか、または増大すると予想される。
例えば、利き手の握力が、筋疲労で1kg低下した場合、その増減は-1kgである。本発明の二酸化炭素外用剤を使用した、非利き手の握力の増減が+1kgであった場合、各被験者で左右の手の筋力回復能がほぼ同一と仮定すると、本発明の二酸化炭素外用剤は、同一被験者において、握力増減-1kgを+1kgに変えたのであるから、筋疲労回復度としては、+2kgであると推定できる。したがって、本試験における回復握力を以下のように定義した。
【数1】
本試験では、本発明の二酸化炭素外用剤による回復握力が+0.5kg以上のものを有効、+0.5kg以下のものを無効と評価した。結果を表10に示す。
表10から明らかなように、被験者全員が、利き手の握力は最初の握力測定による筋疲労のために、10分後の握力測定において低下、または、ほとんど不変であった。一方、5人の被験者において、本発明の二酸化炭素外用剤を塗布した、非利き手の握力低下は小さいか、または逆に増加したことから、本発明の二酸化炭素外用剤による筋疲労回復効果が明らかであった。
【0038】
【表10】
【0039】
試験例5(関節拘縮改善試験)
本試験は理学療法士によって実施された。被験者は脳卒中片麻痺の下腿に痙性筋が認められる78歳女性。通常のリハビリテーションによる症状の改善が認められず、拘縮が強く、歩行障害があった。実施例61の二酸化炭素外用剤1gを下腿に塗布したところ、およそ10分後に足関節の背屈角度が5~10度改善し、歩行が容易になったことから、本発明の二酸化炭素外用剤による関節拘縮改善効果が明らかであった。
【0040】
試験例6(痛み軽減試験)
本試験は理学療法士によって実施された。被験者は、経口抗炎症剤であるロキソプロフェンナトリウムが痛みに無効であったドゥケルバン症候群の58歳女性。手関節撓側の短拇指伸筋と長母指外転筋の腱に疼痛があった。実施例64の二酸化炭素外用剤0.5gを対象部位に塗布したところ、およそ10分後に痛みはほぼ消失したことから、本発明の二酸化炭素外用剤による痛み軽減効果が明らかであった。
【0041】
試験例7(痛み軽減試験)
本試験は理学療法士によって実施された。被験者は右の肩甲骨下角の広背筋のあたりに、投球時に痛みが生じる、ジクロフェナクナトリウム軟膏が痛みに無効であった16歳男性野球投手。実施例64の二酸化炭素外用剤0.3gを対象部位に塗布したところ、およそ10分後に痛みはほぼ消失し、投球は全力で行えるようになったことから、本発明の二酸化炭素外用剤による痛み軽減効果が明らかであった。
以上から明らかなように、本発明の二酸化炭素外用剤は、皮膚に塗布するだけで、または、さらに水を供給することで、二酸化炭素の経皮吸収量が多く、二酸化炭素の発生が持続する、優れた二酸化炭素外用剤が得られることが明らかである。
【0042】
試験例8(ガングリオン治療試験)
本試験はアスレティックトレーナーによって実施された。被験者は右足首前側に、直径約1cm、高さ約4mmのガングリオンができた20歳代の男子体操選手。実施例73の二酸化炭素外用剤0.1gをガングリオンとその周囲皮膚に1日1回、1週間塗布したところ、ガングリオンは完全に消失したことから、本発明の二酸化炭素外用剤によるガングリオン治療効果は明らかであった。
【0043】
試験例9(リウマチの痛みと膝の硬直改善試験)
被験者は、リウマチによる膝の硬直と痛みが、経口抗炎症剤であるロキソプロフェンナトリウム等で改善しなかった80代の女性。実施例73の二酸化炭素外用剤0.1gを膝の皮膚に1日1回塗布したところ、2-3日後から膝の痛みで夜中に目が醒めることがなくなり、歩行が楽になったことから、本発明の二酸化炭素外用剤によるリウマチの痛みと膝の硬直改善効果は明らかであった。
【0044】
試験例10(色素沈着改善試験)
被験者は、医療機関で陰部の脱毛を行い、脱毛部に茶色い色素沈着が見られた40代の女性。実施例72の二酸化炭素外用剤0.1gを色素沈着部に1日1回塗布したところ、被験者が服用した抗炎症剤等では、通常は効果が認められない1週間後に、色素沈着は見られなくなったことから、本発明の二酸化炭素外用剤による色素沈着改善効果は明らかであった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の、二酸化炭素外用剤は、ペースト基剤、アルコール、炭酸塩、酸および/または加水分解により酸を生成する物質からなり、皮膚に塗布するだけで、または、さらに水を供給することで、二酸化炭素特有の作用効果が得られるため、有用である。