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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153275
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】魚の品質判定システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134538
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2020019296の分割
【原出願日】2020-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】志村 和広
(57)【要約】
【課題】 熟練者でなくても魚の品質を容易に判定することのできる魚の品質判定シス
テムを提供する。
【解決手段】 魚の品質判定システム1は、魚の尾の断面を撮影した画像データ及びそ
の魚を捕った漁船を示す船データと、その魚の品質を示す品質データとの関係を、機械学
習により分析する。そして、判定対象の魚の尾の断面の画像データ及びその魚を捕った漁
船を示す船データを、ユーザ装置3から取得すると、分析した関係に基づいて、取得した
判定対象の魚の尾の断面の画像データ及びその魚を捕った漁船を示す船データを入力とし
て、判定対象の魚の品質を推定して出力する。出力された判定対象の魚の品質は、ユーザ
装置3に表示される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚の尾の断面を撮影した画像データを少なくとも含む入力データと、当該魚の品質を示す品質データとの関係を、機械学習により分析する機械学習部と、
判定対象の魚の尾の断面の画像データを少なくとも含む入力データを、ユーザ装置から取得するデータ取得部と、
前記機械学習部で分析した関係に基づいて、前記データ取得部で取得した前記判定対象の魚の尾の断面の画像データを少なくとも含む入力データを入力として、前記判定対象の魚の品質を推定して出力する推定部と、
前記推定部から出力された前記判定対象の魚の品質を、前記ユーザ装置に表示する表示部と、
を備える、魚の品質判定システム。
【請求項2】
魚の品質判定システムで実行される方法であって、
魚の尾の断面を撮影した画像データを少なくとも含む入力データと、当該魚の品質を示す品質データとの関係を、機械学習により分析するステップと、
判定対象の魚の尾の断面の画像データを少なくとも含む入力データを、ユーザ装置から取得するステップと、
前記分析した関係に基づいて、前記取得した前記判定対象の魚の尾の断面の画像データを少なくとも含む入力データを入力として、前記判定対象の魚の品質を推定して出力するステップと、
前記出力された前記判定対象の魚の品質を、前記ユーザ装置に表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項3】
ユーザ装置で実行されるプログラムであって、
前記ユーザ装置と通信可能なサーバ装置には、魚の尾の断面を撮影した画像データを少なくとも含む入力データと、当該魚の品質を示す品質データとの関係を、機械学習により分析する機械学習部が備えられ、
前記ユーザ装置には、前記機械学習部で分析した関係が前記サーバ装置から送信されて記憶されており、
前記プログラムは、前記ユーザ装置に、
判定対象の魚の尾の断面の画像データを少なくとも含む入力データを入力する処理と、
前記機械学習部で分析した関係に基づいて、前記判定対象の魚の尾の断面の画像データを少なくとも含む入力データを入力として、前記判定対象の魚の品質を推定して出力する処理と、
出力された前記判定対象の魚の品質を表示する処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚(特に、マグロ)の品質を判定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚介類の鮮度を評価する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ま
た、従来から、魚の卸売市場などで、マグロの尾の断面をみて、マグロの品質が判定され
ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-286262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マグロの尾の断面からマグロの品質を判定するには、長年の経験が必要であり、かなり
の熟練者でなければ、マグロの品質を判定することは困難であった。そのため、誰でも(
熟練者でなくても)マグロの品質を容易に判定することができるシステムの開発が望まれ
ていた。
【0005】
マグロの品質には、マグロの鮮度が大きく影響するが、その他にも、マグロを捕る漁法
や、マグロを捕った際の締め方(血抜きの仕方)、その後の保存の仕方などが大きく影響
する。しかしながら、従来、そのような要素(鮮度以外の要素)も考慮に入れて、マグロ
の品質を判定するシステムは存在していなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、熟練者でなくても魚の品質を容易に判
定することができ、しかも、魚の鮮度だけでなく、鮮度以外の要素を考慮に入れて、魚の
品質を判定することのできる魚の品質判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の魚の品質判定システムは、魚の尾の断面を撮影した画像データ及び当該魚を捕
った漁船を示す船データと、当該魚の品質を示す品質データとの関係を、機械学習により
分析する機械学習部と、判定対象の魚の尾の断面の画像データ及び当該魚を捕った漁船を
示す船データを、ユーザ装置から取得するデータ取得部と、前記機械学習部で分析した関
係に基づいて、前記データ取得部で取得した前記判定対象の魚の尾の断面の画像データ及
び当該魚を捕った漁船を示す船データを入力として、前記判定対象の魚の品質を推定して
出力する品質推定部と、前記品質推定部から出力された前記判定対象の魚の品質を、前記
ユーザ装置に表示する品質表示部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、ユーザ装置から、判定対象の魚の尾の断面の画像データ及びその魚
を捕った漁船を示す船データが取得されると、機械学習で分析した関係(魚の尾の断面の
画像データ及びその魚を捕った漁船を示す船データと、その魚の品質を示す品質データと
の関係)を用いて、判定対象の魚の品質が推定され、ユーザ装置に表示される。したがっ
て、熟練者でなくても魚の品質を容易に判定することができる。この場合、魚の品質の推
定に、魚の尾の断面の画像データだけでなく、その魚を捕った漁船を示す船データが利用
される。このように船データを利用することにより、魚の鮮度だけでなく、鮮度以外の要
素を考慮に入れて、魚の品質を判定することができる。
【0009】
また、本発明の魚の品質判定システムでは、前記機械学習部は、前記魚の品質データ及
び当該魚の重量を示す重量データと、当該魚の価格を示す価格データとの関係を、機械学
習により分析し、前記データ取得部は、前記判定対象の魚の重量データを、前記ユーザ装
置から取得し、前記推定部は、前記機械学習部で分析した関係に基づいて、当該推定部で
推定した前記判定対象の魚の品質データ及び前記データ取得部で取得した前記判定対象の
魚の重量データを入力として、前記判定対象の魚の価格を推定して出力し、前記表示部は
、前記推定部から出力された前記判定対象の魚の価格を、前記ユーザ装置に表示してもよ
い。
【0010】
この構成によれば、ユーザ装置から、判定対象の魚の重量を示す重量データが取得され
ると、機械学習で分析した関係(魚の品質データ及びその魚の重量データと、その魚の価
格を示す価格データとの関係)を用いて、判定対象の魚の価格が推定され、ユーザ装置に
表示される。したがって、魚の品質とあわせて、魚の価格も判定することができる。
【0011】
また、本発明の魚の品質判定システムでは、前記機械学習部は、前記魚の品質データ及
び当該魚の重量を示す重量データ及び当該魚を捕った日付を示す日付データと、当該魚の
価格を示す価格データとの関係を、機械学習により分析し、前記データ取得部は、前記判
定対象の魚の重量データ及び前記判定対象の魚を捕った日付データを、前記ユーザ装置か
ら取得し、前記推定部は、前記機械学習部で分析した関係に基づいて、当該推定部で推定
した前記判定対象の魚の品質データ及び前記データ取得部で取得した前記判定対象の魚の
重量データ及び前記判定対象の魚を捕った日付データを入力として、前記判定対象の魚の
価格を推定して出力し、前記表示部は、前記推定部から出力された前記判定対象の魚の価
格を、前記ユーザ装置に表示してもよい。
【0012】
この構成によれば、ユーザ装置から、判定対象の魚の重量を示す重量データと判定対象
の魚を捕った日付データが取得されると、機械学習で分析した関係(魚の品質データ及び
その魚の重量データ及びその魚を捕った日付データと、その魚の価格を示す価格データと
の関係)を用いて、判定対象の魚の価格が推定され、ユーザ装置に表示される。したがっ
て、魚の品質とあわせて、魚の価格も判定することができる。
【0013】
本発明の方法は、魚の品質判定システムで実行される方法であって、魚の尾の断面を撮
影した画像データ及び当該魚を捕った漁船を示す船データと、当該魚の品質を示す品質デ
ータとの関係を、機械学習により分析するステップと、判定対象の魚の尾の断面の画像デ
ータ及び当該魚を捕った漁船を示す船データを、ユーザ装置から取得するステップと、前
記分析した関係に基づいて、前記取得した前記判定対象の魚の尾の断面の画像データ及び
当該魚を捕った漁船を示す船データを入力として、前記判定対象の魚の品質を推定して出
力するステップと、前記出力された前記判定対象の魚の品質を、前記ユーザ装置に表示す
るステップと、
を含んでいる。
【0014】
この方法によっても、上記のシステムと同様に、ユーザ装置から、判定対象の魚の尾の
断面の画像データ及びその魚を捕った漁船を示す船データが取得されると、機械学習で分
析した関係(魚の尾の断面の画像データ及びその魚を捕った漁船を示す船データと、その
魚の品質を示す品質データとの関係)を用いて、判定対象の魚の品質が推定され、ユーザ
装置に表示される。したがって、熟練者でなくても魚の品質を容易に判定することができ
る。この場合、魚の品質の推定に、魚の尾の断面の画像データだけでなく、その魚を捕っ
た漁船を示す船データが利用される。したがって、魚の鮮度だけでなく、鮮度以外の要素
を考慮に入れて、魚の品質を判定することができる。
【0015】
本発明のプログラムは、魚の品質判定システムで実行される方法であって、魚の尾の断
面を撮影した画像データ及び当該魚を捕った漁船を示す船データと、当該魚の品質を示す
品質データとの関係を、機械学習により分析するステップと、判定対象の魚の尾の断面の
画像データ及び当該魚を捕った漁船を示す船データを、ユーザ装置から取得するステップ
と、前記分析した関係に基づいて、前記取得した前記判定対象の魚の尾の断面の画像デー
タ及び当該魚を捕った漁船を示す船データを入力として、前記判定対象の魚の品質を推定
して出力するステップと、前記出力された前記判定対象の魚の品質を、前記ユーザ装置に
表示するステップと、
を含んでいる。
【0016】
このプログラムによっても、上記のシステムと同様に、判定対象の魚の尾の断面の画像
データ及びその魚を捕った漁船を示す船データを取得すると、機械学習で分析した関係(
魚の尾の断面の画像データ及びその魚を捕った漁船を示す船データと、その魚の品質を示
す品質データとの関係)を用いて、判定対象の魚の品質が推定され、ユーザ装置に表示さ
れる。したがって、熟練者でなくても魚の品質を容易に判定することができる。この場合
、魚の品質の推定に、魚の尾の断面の画像データだけでなく、その魚を捕った漁船を示す
船データが利用される。したがって、魚の鮮度だけでなく、鮮度以外の要素を考慮に入れ
て、魚の品質を判定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熟練者でなくても魚の品質を容易に判定することができ、しかも、魚
の鮮度以外の要素を考慮に入れて、魚の品質を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態における品質判定システムのブロック図である。
図2】本発明の実施の形態における魚(マグロ)の尾の断面の画像データの一例である。
図3】本発明の実施の形態における船データの一例である。
図4】本発明の実施の形態における位置合わせマークの一例である。
図5】本発明の実施の形態における品質判定システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図6】他の実施の形態における品質判定システムのブロック図である。
図7】他の実施の形態における品質判定システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の魚の品質判定システムについて、図面を用いて説明する。
本実施の形態では、マグロの品質判定システムの場合を例示する。
【0020】
本発明の実施の形態の品質判定システムの構成を、図面を参照して説明する。図1は、
本実施の形態の品質判定システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、品
質判定システム1は、サーバ装置2と、ユーザ装置3で構成されている。サーバ装置2と
ユーザ装置3は、ネットワーク4で互いに通信可能に接続されている。例えば、サーバ装
置2は、品質判定サービスの提供者が所有するクラウドサーバ等であり、ユーザ装置3は
、品質判定サービスの利用者が所有するスマートフォン等である。
【0021】
図1に示すように、サーバ装置2は、機械学習部20と、データ取得部21と、推定部
22と、記憶部23を備えている。機械学習部20は、マグロの尾の断面を撮影した画像
データ(図2参照)及びそのマグロを捕った漁船を示す船データ(図3参照)と、そのマ
グロの品質を示す品質データとの関係を、機械学習により分析する。この機械学習には、
ニューラルネットワークによるディープラーニング等の任意の手法が用いられる。
【0022】
例えば、ニューラルネットワークであれば、マグロの尾の断面の画像データとそのマグ
ロを捕った漁船の船データを入力層に入力し、そのマグロの品質データを出力層から出力
するように構成する。そして、入力層に入力するデータと出力層から出力されるデータと
が紐付けられた分析用データ(教師データ)を用いた教師あり学習によって、ニューラル
ネットワークのニューロン間の重み付け係数が最適化される。品質の教師データとしては
、熟練者がそのマグロの尾の断面から判断した、そのマグロの品質のデータ(例えば、評
価S、A、B、Cなど)が用いられる。
【0023】
さらに、機械学習部20は、マグロの品質データ及びそのマグロの重量を示す重量デー
タと、そのマグロの価格を示す価格データとの関係を、機械学習により分析する。この機
械学習にも、ニューラルネットワークによるディープラーニング等の任意の手法が用いら
れる。
【0024】
例えば、ニューラルネットワークであれば、マグロの品質データとそのマグロの重量デ
ータを入力層に入力し、そのマグロの価格データを出力層から出力するように構成する。
そして、入力層に入力するデータと出力層から出力されるデータとが紐付けられた分析用
データ(教師データ)を用いた教師あり学習によって、ニューラルネットワークのニュー
ロン間の重み付け係数が最適化される。価格の教師データとしては、そのマグロの市場で
の落札価格(例えば、1キログラムあたりの金額など)のデータが用いられる。
【0025】
データ取得部21は、判定対象のマグロの尾の断面の画像データ及びそのマグロを捕っ
た漁船を示す船データを、ユーザ装置3から取得する。推定部22は、機械学習部20で
分析した関係に基づいて、データ取得部21で取得した判定対象のマグロの尾の断面の画
像データ及びそのマグロを捕った漁船を示す船データを入力として、判定対象のマグロの
品質を推定して出力する。
【0026】
例えば、上記のニューラルネットワークであれば、判定対象のマグロの尾の断面の画像
データ及びそのマグロを捕った漁船を示す船データを入力層に入力し、その判定対象のマ
グロの品質を推定して出力を出力層から出力することにより、判定対象のマグロの品質の
推定が行われる。
【0027】
また、データ取得部21は、判定対象のマグロの重量データを、ユーザ装置3から取得
する。推定部22は、機械学習部20で分析した関係に基づいて、推定部22で推定した
判定対象のマグロの品質データ及びデータ取得部21で取得した判定対象のマグロの重量
データを入力として、判定対象のマグロの価格を推定して出力する。
【0028】
例えば、上記のニューラルネットワークであれば、判定対象のマグロの品質データ及び
そのマグロの重量データを入力層に入力し、その判定対象のマグロの価格を推定して出力
を出力層から出力することにより、判定対象のマグロの価格の推定が行われる。
【0029】
記憶部23には、ユーザ装置3から取得した画像データや船データや重量データが記憶
される。また、記憶部23には、推定部22から出力されたマグロの品質データや価格デ
ータが記憶される。さらに、記憶部23には、機械学習により分析した、マグロの画像デ
ータ及び船データと品質データとの関係や、マグロの品質データ及び重量データと価格デ
ータとの関係が記憶される。
【0030】
図1に示すように、ユーザ装置3は、撮影部30と、データ入力部31と、撮影補助部
32と、表示部33と、記憶部34を備えている。撮影部30は、ユーザ装置3のカメラ
機能によって実現され、マグロの尾の断面を撮影することにより、マグロの尾の断面の画
像データが生成される(図2参照)。なお、生成されたマグロの尾の断面の画像データに
は、撮影日のデータが紐づけられていてもよい。
【0031】
データ入力部31は、各種のデータを入力する機能を備えている。データ入力部31か
らは、判定対象のマグロを捕った漁船の船データが入力される。船データには、例えば、
漁港、船名、船籍、漁場などのデータが含まれる(図3参照)。また、データ入力部31
からは、判定対象のマグロの重量データが入力される。
【0032】
撮影補助部32は、判定対象のマグロの尾の断面をユーザ装置3で撮影するときに、ユ
ーザ装置3の表示部33に、その判定対象のマグロの尾の断面の位置合わせを行うための
マークMを表示する。このマークMの形状は、例えば略円形である。判定対象のマグロの
尾の断面が略円形のマークMの内部に入るように、位置合わせが行われる(図4参照)。
データ取得部21は、判定対象のマグロの尾の断面の画像データとして、略円形のマーク
Mの内部の画像データを取得する。
【0033】
表示部33は、各種のデータを表示する機能を備えている。表示部33には、推定部2
2から出力された判定対象のマグロの品質が表示される。また、表示部33には、推定部
22から出力された判定対象のマグロの価格が表示される。なお、表示部33がタッチパ
ネル機能を備えている場合には、表示部33はデータ入力部31を兼ねることができる。
【0034】
記憶部34には、ユーザ装置3から入力されたマグロの画像データや船データや重量デ
ータが記憶される。また、記憶部34には、サーバ装置2から出力されたマグロの品質デ
ータや価格データが記憶される。
【0035】
以上のように構成された品質判定システム1について、図5のシーケンス図を参照して
その動作を説明する。
【0036】
図5に示すように、本実施の形態の品質判定システム1では、サーバ装置2の機械学習
部20で、マグロの尾の断面の画像データ及びそのマグロを捕った漁船を示す船データと
、そのマグロの品質を示す品質データとの関係を、予め機械学習により分析しておく(S
10)。また、マグロの品質データ及びそのマグロの重量を示す重量データと、そのマグ
ロの価格を示す価格データとの関係を、予め機械学習により分析しておく(S10)。
【0037】
そして、ユーザ装置3で、判定対象のマグロの尾の断面の画像データを撮影するととも
に(S11)、そのマグロを捕った漁船を示す船データを入力し(S12)、さらに、そ
のマグロの重量データを入力すると(S13)、これらのデータがユーザ装置3からサー
バ装置2に送信される(S14)。サーバ装置2の推定部22は、機械学習部20で分析
した関係に基づいて、判定対象のマグロの尾の断面の画像データ及びそのマグロを捕った
漁船を示す船データを入力として、判定対象のマグロの品質を推定して出力する(S15
)。また、機械学習部20で分析した関係に基づいて、判定対象のマグロの品質データ及
びそのマグロの重量データを入力として、判定対象のマグロの価格を推定して出力する(
S16)。
【0038】
サーバ装置2の推定部22から出力された推定結果(マグロの品質や価格)は、ユーザ
装置3に送信され(S17)、ユーザ装置3の表示部33に表示される(S18)。そし
て、サーバ装置2の機械学習部20では、推定部22から出力された推定結果(マグロの
品質や価格)を教師データとして用いて、関係の強化学習が行われる(例えば、ニューラ
ルネットワークのニューロン間の重み付け係数が最適化される)(S19)。
【0039】
このような本実施の形態の品質判定システム1によれば、ユーザ装置3から、判定対象
のマグロの尾の断面の画像データ(図2参照)及びそのマグロを捕った漁船を示す船デー
タ(図3参照)が取得されると、機械学習で分析した関係(マグロの尾の断面の画像デー
タ及びそのマグロを捕った漁船を示す船データと、そのマグロの品質を示す品質データと
の関係)を用いて、判定対象のマグロの品質が推定され、ユーザ装置3に表示される。し
たがって、熟練者でなくてもマグロの品質を容易に判定することができる。この場合、マ
グロの品質の推定に、マグロの尾の断面の画像データだけでなく、そのマグロを捕った漁
船を示す船データが利用される。このように船データを利用することにより、マグロの鮮
度だけでなく、鮮度以外の要素(マグロを捕る漁法や、マグロを捕った際の締め方、その
後の保存の仕方など)を考慮に入れて、マグロの品質を判定することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、ユーザ装置3から、判定対象のマグロの重量を示す重量デー
タが取得されると、機械学習で分析した関係(マグロの品質データ及びそのマグロの重量
データと、そのマグロの価格を示す価格データとの関係)を用いて、判定対象のマグロの
価格が推定され、ユーザ装置3に表示される。したがって、マグロの品質とあわせて、マ
グロの価格も判定することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、判定対象のマグロの尾の断面をユーザ装置3で撮影するとき
に、ユーザ装置3の表示部33に、その判定対象のマグロの尾の断面の位置合わせを行う
ための略円形のマークが表示される(図4参照)。この場合、判定対象のマグロの尾の断
面が略円形のマークの内部に入るように、位置合わせが行われ、略円形のマークの内部の
画像データが、判定対象のマグロの尾の断面の画像データ(推定部22に入力されるデー
タ)として用いられる。これにより、判定対象のマグロの尾の断面の画像データに、余計
な画像データ(尾の断面以外の画像データ)が含まれることを抑制することができ、品質
推定の精度が向上する。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定され
るものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが
可能である。
【0043】
例えば、機械学習部20は、マグロの品質データ及びそのマグロの重量を示す重量デー
タ及びそのマグロが捕れた日付を示す日付データと、そのマグロの価格を示す価格データ
との関係を、機械学習により分析してもよい。この機械学習にも、ニューラルネットワー
クによるディープラーニング等の任意の手法が用いられる。
【0044】
例えば、ニューラルネットワークであれば、マグロの品質データとそのマグロの重量デ
ータとそのマグロが捕れた日付データを入力層に入力し、そのマグロの価格データを出力
層から出力するように構成する。そして、入力層に入力するデータと出力層から出力され
るデータとが紐付けられた分析用データ(教師データ)を用いた教師あり学習によって、
ニューラルネットワークのニューロン間の重み付け係数が最適化される。価格の教師デー
タとしては、そのマグロの市場での落札価格(例えば、1キログラムあたりの金額など)
のデータが用いられる。
【0045】
この場合、ユーザ装置3から、判定対象のマグロの重量を示す重量データ及び判定対象
のマグロが捕れた日付データが取得されると、機械学習で分析した関係(マグロの品質デ
ータ及びそのマグロの重量データ及びそのマグロが捕れた日付データと、そのマグロの価
格を示す価格データとの関係)を用いて、判定対象のマグロの価格が推定され、ユーザ装
置3に表示される。このようにして、マグロの品質とあわせて、マグロの価格も判定する
ことができる。
【0046】
また、以上の説明では、サーバ装置2に推定部22が備えられた例について説明したが
図6に示すように、ユーザ装置3に推定部35が備えられてもよい。例えば、ユーザ装
置3の推定部35の機能は、記憶部34に格納されたプログラムによって実現することが
できる。その場合には、図7に示すように、サーバ装置2で、機械学習により分析が行わ
れると(S20)、分析により得られた関係(学習済みモデル)は、サーバ装置2からユ
ーザ端末へ送信される(S21)。
【0047】
ユーザ装置3では、判定対象のマグロの尾の断面の画像データを撮影するとともに(S
22)、そのマグロを捕った漁船を示す船データを入力し(S23)、さらに、そのマグ
ロの重量データを入力する(S24)。そうすると、ユーザ装置3の推定部35は、サー
バ装置2から送信された関係(学習済みモデル)に基づいて、判定対象のマグロの尾の断
面の画像データ及びそのマグロを捕った漁船を示す船データを入力として、判定対象のマ
グロの品質を推定して出力するとともに(S25)、判定対象のマグロの品質データ及び
そのマグロの重量データを入力として、判定対象のマグロの価格を推定して出力する(S
26)。
【0048】
そして、ユーザ装置3の推定部35から出力された推定結果(マグロの品質や価格)が
、ユーザ装置3の表示部33に表示される(S27)。この場合、ユーザ装置3の推定部
35から出力された推定結果(マグロの品質や価格)は、ユーザ装置3から入力されたデ
ータ(マグロの画像データ、船データ、重量データ)とともに、サーバ装置2へ送信され
(S28)、それを教師データとして用いて、関係(学習済みモデル)の強化学習が行わ
れる(例えば、ニューラルネットワークのニューロン間の重み付け係数が最適化される)
(S29)。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる魚の品質判定システムは、熟練者でなくても魚の品質を
容易に判定することができ、しかも、魚の鮮度以外の要素を考慮に入れて、魚の品質を判
定することができるという効果を有し、マグロの品質判定システム等として有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 品質判定システム
2 サーバ装置
3 ユーザ装置
4 ネットワーク
20 機械学習部
21 データ取得部
22 推定部
23 記憶部
30 撮影部
31 データ入力部
32 撮影補助部
33 表示部
34 記憶部
35 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7