(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153334
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】補修装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/17 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F16L55/17
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135829
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2019124921の分割
【原出願日】2019-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】里見 拓人
(57)【要約】
【課題】流体管の損傷部位近傍に負荷を与えずに流体管に設置することができる補修装置を提供する。
【解決手段】周方向に複数分割された分割部材71からなる筒状体7を軸方向に複数連結して構成される筐体5と、筐体5の軸方向両端部に配置される支持手段6とを備え、流体管1を密封状に外嵌する流体管1の補修装置2であって、筒状体7は、流体管1を遊嵌可能な内径を有し、筒状体7が互いに連結される連結端部の端面間または該連結端部の外径側に配置されるシール部材83により密封されており、支持手段6は、筐体5の軸方向外側の軸直交方向に延びる端面と流体管1の外周面とを密封する弾性部材63と、弾性部材63を収容する凹部62aを有する端部ハウジング61とを備え、筐体5の内周面と流体管1の外周面とを離間させた状態で筐体5を流体管1に支持している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に複数分割された分割部材からなる筒状体を軸方向に複数連結して構成される筐体と、前記筐体の軸方向両端部に配置される支持手段とを備え、流体管を密封状に外嵌する流体管の補修装置であって、
前記筒状体は、前記流体管を遊嵌可能な内径を有し、前記筒状体が互いに連結される連結端部の端面間または該連結端部の外径側に配置されるシール部材により密封されており、前記支持手段は、前記筐体の軸方向外側の軸直交方向に延びる端面と前記流体管の外周面とを密封する弾性部材と、該弾性部材を収容する凹部を有する端部ハウジングとを備え、前記筐体の内周面と前記流体管の外周面とを離間させた状態で該筐体を前記流体管に支持していることを特徴とする補修装置。
【請求項2】
前記筒状体の連結端部には鍔部が設けられており、
隣接する前記筒状体は、対向する前記鍔部に外嵌可能な凹部を有する連結リングにより連結されていることを特徴とする請求項1に記載の補修装置。
【請求項3】
前記連結リングは、周方向に複数分割された分割体と、前記分割体同士を周方向に連結する締結部材と、を備え、前記凹部と前記鍔部との間に前記シール部材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の補修装置。
【請求項4】
前記筒状体を構成する前記分割部材の周方向端部には軸方向に延びる密封部材が配置されており、前記密封部材は前記シール部材の内周面に接触することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の補修装置。
【請求項5】
前記シール部材は前記密封部材と周方向に異なる位置で分割されていることを特徴とする請求項4に記載の補修装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の損傷部位を密封状に外嵌して補修する補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水管橋を構成する流体管や地中に埋設される流体管は、地震や地盤の振動、土圧、または経年劣化などにより亀裂等が生じ、不測の漏洩事故を引き起こすことがある。この種の漏洩箇所の補修工事として、通常、周方向に複数分割された筐体から成る補修装置が用いられ、該補修装置が流体管の亀裂部や、また例えば、土質、コンクリート内の鉄筋等によるマクロセル腐食、水管橋等の露出配管では、露や塩により発生する老朽部等の損傷部位、若しくは損傷する虞のある部位にパッキンを介して密封状に外嵌されることにより、流体漏洩を封止するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に示される補修装置は、周方向に分割された分割部材により構成される2つの筒状体を軸方向に直列接続することで筐体を構成し、流体管の損傷部位を密封状に外嵌するようになっており、流体管の損傷部位が軸方向に広範囲で形成されている場合であっても流体管の流体漏洩を封止できるようになっている。
【0004】
具体的には、各筒状体の両端の内周面には、該筒状体の端面に向けて拡径するテーパ面が形成されている。筒状体の連結端部に設けられるテーパ面間には環状の弾性部材が配置されており、筒状体の連結端部同士を軸方向に締結する際の締結力により、弾性部材がテーパ面間で狭圧され、該弾性部材が流体管の外周面に圧接されるようになっている。また、筒状体の連結端部とは反対側の端部のテーパ面にも弾性部材が配置されているとともに、その軸方向外側には押輪(支持手段)が配置されている。押輪は筒状体と連結された状態で流体管の外周面に固定されるとともに、弾性部材がテーパ面と流体管との間を密封している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭46-27163公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の補修装置にあっては、筒状体の連結端部に設けられたテーパ面間に配置される弾性部材を流体管の外周面に圧接させることで、これらの筒状体の連結端部間を密封するようになっているので、補修装置を流体管に設置したときに、筒状体の連結端部間に渡って配置される弾性部材が流体管を内径方向に押圧することにより、流体管の損傷部位近傍に負荷がかかってしまい、流体管がさらに損傷してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、流体管の損傷部位近傍に負荷を与えずに流体管に設置することができる補修装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の補修装置は、
周方向に複数分割された分割部材からなる筒状体を軸方向に複数連結して構成される筐体と、前記筐体の軸方向両端部に配置される支持手段とを備え、前記流体管を密封状に外嵌する流体管の補修装置であって、
前記筒状体は、前記流体管を遊嵌可能な内径を有し、前記筒状体が互いに連結される連結端部の端面間または該連結端部の外径側に配置されるシール部材により密封されており、前記支持手段は、前記筐体の内周面と前記流体管の外周面とを離間させた状態で該筐体を前記流体管に支持していることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の内周面や筒状体の連結端部同士の隙間を密封するシール部材が流体管の外周面に接触しないため、流体管の損傷部位近傍に負荷を掛けることなく補修装置を流体管に設置することができる。
【0009】
前記筒状体の連結端部には鍔部が設けられており、
隣接する前記筒状体は、対向する前記鍔部に外嵌可能な凹部を有する連結リングにより連結されていることを特徴としている。
この特徴によれば、隣接する筒状体の対向する鍔部に連結リングの凹部が周方向に亘って外嵌されるので、隣接する筒状体の軸心を合わせた状態で正確に連結することができる。
【0010】
前記連結リングは、周方向に複数分割された分割体と、前記分割体同士を周方向に連結する締結部材と、を備え、前記凹部と前記鍔部との間に前記シール部材が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、締結部材の締結力により凹部と鍔部との間でシール部材が狭持されるので、隣接する筒状体同士の連結作業と筒状体の連結端部間の密封作業とを一連の工程で行うことができる。
【0011】
前記筒状体を構成する前記分割部材の周方向端部には軸方向に延びる密封部材が配置されており、前記密封部材は前記シール部材の内周面に接触することを特徴としている。
この特徴によれば、締結部材の締結力により内径方向に押圧されるシール部材の内周面に密封部材が接触するので、シール部材と密封部材との間の密封性が高い。
【0012】
前記シール部材は前記密封部材と周方向に異なる位置で分割されていることを特徴としている。
この特徴によれば、分割されたシール部材の端部が密封部材と周方向に重ならないので、シール部材と密封部材との間の密封性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例における流体管に取付けられた補修装置を示す説明図である。
【
図2】流体管に取付けられた補修装置を示す一部断面図である。
【
図4】(a)は連結手段近傍の構造を示す要部拡大断面図、(b)は(a)の周方向に異なる位置の要部拡大断面図である。
【
図5】(a)は支持手段近傍の構造を示す要部拡大断面図、(b)は(a)の周方向に異なる位置の要部拡大断面図である。
【
図6】(a)は連結手段における連結ハウジングの構造を示す説明図、(b)は支持手段における端部ハウジングの構造を示す説明図である。
【
図7】(a)~(e)はシール部材の構造を示す図である。
【
図8】(a)~(e)は弾性部材の構造を示す図である。
【
図9】(a)(b)はパッキンの構造を示す図である。
【
図10】流体管に筒状体を外嵌させた状態を示す説明図である。
【
図11】筒状体同士を位置合わせした状態を示す説明図である。
【
図12】連結手段により筒状体同士を連結し筐体を構成した状態を示す説明図である。
【
図13】筐体を支持手段により流体管に支持させた状態を示す説明図である。
【
図14】流体管の周囲に障害物がある場合を示す説明図である。
【
図15】(a)~(d)は障害物を避けて筒状体を設置する手順を示す説明図である。
【
図16】(a)~(d)は障害物を避けて筐体を構成する手順を示す説明図である。
【
図17】(a)~(c)は障害物を避けて筐体を流体管に支持させる手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る補修装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る補修装置につき、
図1から
図17を参照して説明する。尚、以下、
図1の紙面右側を軸方向一方側、紙面左側を軸方向他方側として説明する。
【0016】
図1に示されるように、補修装置2は、流体管1の損傷部位を密封状に外嵌し、流体管1から流体が漏洩することを防止したり、流体管1の損傷部位を補修・補強するものである。尚、流体管1の損傷部位とは、例えば、流体管1の軸方向若しくは周方向に連続的又は断続的に形成される亀裂部1aや、経年劣化や露、塩分等により腐食した老朽部1bが含まれ、流体がすでに漏洩している部位、若しくは漏洩する虞のある部位が含まれる。ここで、亀裂部1aや老朽部1bは、それぞれが単体で存在している場合もあれば、複数存在したり混在している場合もある。
【0017】
ここで本実施例の流体管1は、例えば、離間して配置されるアバットメント3,4の間で図示しない河川や河口等に架設される水管橋1Aを構成する上水道用の鋼製であり、断面視略円形状に形成されている。尚、本発明に係る流体管は、ダクタイル鋳鉄やその他鋳鉄等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等であってもよい。更に尚、流体管の内周面はモルタル層や、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、本実施例の上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。また、流体管1は、地中に略水平方向に埋設されるものであってもよい。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、補修装置2は、筐体5と、筐体5の軸方向両端に配置され流体管1に固定するための支持手段6,6と、を備えている。筐体5は、本実施例では2つの筒状体7,7を流体管1の延設方向(軸方向)に連結手段8を用いて連結することにより構成されている。尚、筐体5は3つ以上の筒状体7を軸方向に連結して構成されていてもよい。
【0019】
図1~
図3に示されるように、筒状体7は、流体管1の外周面に沿って湾曲する円弧状を成す2つの分割部材71,71を周方向に連結することにより構成されている。具体的には、分割部材71は、金属や樹脂等から成り、分割部材71の周方向両端にはフランジ部71a,71aが形成されており、周方向に対向する分割部材71,71のフランジ部71a,71aを締結部材としてのT頭ボルト・ナット9により緊締することにより筒状体7が構成される。これらフランジ部71a,71aの対向面に形成された凹部に、軸方向に延びるパッキン10(密封部材)が配置されており、フランジ部71a,71a同士の間が密封されている。尚、筒状体7は、3つ以上の分割部材71により構成されていてもよい。
【0020】
筒状体7は、その軸方向と直交する仮想線を基準に略対称形状を成しており、筒状体7の軸方向両端部には、外径側に環状に突出する略同形状の鍔部72,73が形成されている。
図4に示されるように、鍔部72,73の外周面には、筒状体7の本体部分の外周面に向けて漸次縮径するように延びる傾斜面72a,73aが形成されている。尚、本実施例では、各筒状体7の軸方向一方側の鍔部を鍔部72と称し、軸方向他方側の鍔部を鍔部73と称して説明する。
【0021】
図1~
図3に戻って、筒状体7は、その軸方向の略中央部に筒状体7の外径側と内径側とを連通する貫通孔74が形成されており、その貫通孔74は該貫通孔74の内面に形成される雌ネジ部にキャップ75(蓋部材)が螺合することにより閉塞されている。本実施例では、筒状体7は、これら貫通孔74及びこれに螺合されたキャップ75が管頂部に位置するように流体管1を外嵌している。
【0022】
連結手段8は、内径側に開口する凹部82を有する断面視凹形状を成し周方向に分割構造の連結ハウジング81(連結リング)と、連結ハウジング81の凹部82内に収容され周方向に分割構造のシール部材83と、を有している。連結手段8は、その凹部82を鍔部72,73に外嵌させ、凹部82の内径側縁部が傾斜面72a,73aに圧接されることで、筒状体7,7同士を互いに近づける方向に付勢力を与えつつ連結している。また、シール部材83は、弾性を有する樹脂やゴム等の部材であり、連結ハウジング81を構成する円弧状部材84同士の連結力により凹部82の内底面と鍔部72,73の外周面との間で狭圧されており、鍔部72,73の間を密封するようになっている。
【0023】
具体的には、
図4及び
図6(a)に示されるように、連結ハウジング81は、周方向に均等に分割された3つの円弧状部材84(分割体)から構成されている。円弧状部材84の周方向両端部には接続フランジ84aが形成されており、接続フランジ84aにおける他の接続フランジ84aと対向する面と反対側の面には周方向に突出する突起84bが軸方向に離間して一対に形成されている(
図6(a)のB矢視図参照)。この突起84bには、接続フランジ84aの挿通孔84cに挿通され円弧状部材84同士を連結するT頭ボルト15(締結手段)の頭部が接触されて回動不能になっており、該T頭ボルト15の締結作業を容易にするとともに、その緩みが防止されるようになっている(
図2参照)。また、円弧状部材84の両端には、後述するシール分割体85の嵌合部85a,85bが嵌合される被嵌合部86が周方向に凹設されている。尚、連結ハウジング81は、2分割または4分割以上の分割体から構成されていてもよい。
【0024】
図7は、シール部材83を円弧状部材84と略同等の長さで周方向に3分割したシール分割体85を図示している。
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、シール分割体85の一端側には、外径側及び軸方向両側に張り出す嵌合部85aが形成されている。この嵌合部85aは、シール分割体85の一端側端面よりも他端側の位置に形成されており、すなわちシール分割体85の一端側端部は、嵌合部85aよりも周方向に突出する凸部87を構成している。
【0025】
また、
図7(a)及び
図7(c)に示されるように、シール分割体85の他方側には、外径側及び軸方向両側に張り出す嵌合部85bが形成されている。この嵌合部85bは、シール分割体85の他端側端面よりも一端側の位置に形成されており、すなわちシール分割体85の他方側端部は、嵌合部85aよりも周方向に窪む凹み部88となっている。
【0026】
また、
図7(d)に示されるように、シール分割体85の内周面には内径側に膨出する膨出部85cが軸方向に複数形成されているとともに、シール分割体85の軸方向の両側面には軸方向に窪む肉薄部85dが形成されている。肉薄部85dが形成されていることで、膨出部85cが鍔部72,73に圧接したときに弾性変形の逃げ代となり、シール分割体85が好適に弾性変形することができるようになっている。
【0027】
また、
図7(e)に示されるように、シール分割体85の他端側端部に設けられた凹み部88には、シール分割体85の一端側端部に設けられた凸部87が嵌合可能になっているので、周方向に連結されるシール分割体85同士の密封性が向上している。また、シール分割体85は、嵌合部85a,85bを備えており、該嵌合部85a,85bが円弧状部材84の被嵌合部86(
図6(a)参照)に嵌合されるため、シール分割体85が円弧状部材84に対して周方向に移動することを防止できる。
【0028】
図1~
図3に戻って、2つの筒状体7,7を連結手段8により連結して構成された筐体5の内径、具体的には筐体5のうち最も小径である鍔部72,73の内径は、流体管1の外径よりも大径に形成されているため、筐体5は流体管1を遊嵌可能となっている。この筐体5は、該筐体5の両端に配置される支持手段6,6により流体管1に固定されている。
【0029】
支持手段6は、内径側に開口する凹部62a,62bを有し周方向に分割構造の端部ハウジング61と、端部ハウジング61の凹部62a内に収容され周方向に分割構造の弾性部材63と、を有している。支持手段6は、その凹部62bを鍔部72または鍔部73に外嵌させ、凹部62bの内径側縁部が傾斜面72aまたは傾斜面73a(
図4参照)に圧接されることで、筒状体7,7同士を互いに離間させる方向に付勢力を与えるようになっている。
【0030】
また、弾性部材63は、弾性を有する樹脂やゴム等の部材からなり、端部ハウジング61を構成する円弧状部材64同士の連結力により流体管1の外周面に圧接されるようになっており、鍔部72または鍔部73と流体管1との間を密封するとともに、弾性部材63の流体管1の外周面への圧接力により筒状体7,7が流体管1に支持されるようになっている。詳しくは、弾性部材63は、筒状体7よりも軸方向外側、且つ筒状体7よりも内径側の位置で流体管1の外周面に圧接されていることで、筒状体7の内周面は流体管1の外周面から全周に亘って外径側に離間している。尚、軸方向の両側に配置される支持手段6,6は同一の構成であるため、軸方向一方側に配置される支持手段6のみ説明し、軸方向他方側に配置される支持手段6の説明を省略する。
【0031】
具体的には、
図5及び
図6(b)に示されるように、端部ハウジング61は、周方向に均等に分割された3つの円弧状部材64(分割体)から構成されている。円弧状部材64の周方向両端部には接続フランジ64aが形成されており、接続フランジ64aにおける他の接続フランジ64aと対向する面と反対側の面には周方向に突出する突起64bが軸方向に離間して一対に形成されている(
図6(b)のC矢視図参照)。この突起64bには、接続フランジ64aの挿通孔64cに挿通され円弧状部材64同士を連結するT頭ボルト16の頭部が接触されて回動不能になっており、該T頭ボルト16の締結作業を容易にするとともに、その緩みが防止されるようになっている(
図2参照)。また、円弧状部材64の両端には、後述する弾性分割体65の嵌合部65a,65bが嵌合される被嵌合部66が周方向に凹設されている。また、前述した凹部62aは、端部ハウジング61の軸方向一方側に形成され、凹部62bは、軸方向他方側に形成されている。尚、端部ハウジング61は、2分割または4分割以上の分割体から構成されていてもよい。
【0032】
図8は、弾性部材63を円弧状部材64と略同等の長さで周方向に3分割した弾性分割体65を図示している。
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、弾性分割体65の一端側には、外径側及び軸方向片側に張り出す嵌合部65aが形成されている。この嵌合部65aは、弾性分割体65の一端側端面よりも他端側の位置に形成されており、すなわち弾性分割体65の一端側端部は、嵌合部65aよりも周方向に突出する凸部67を構成している。
【0033】
また、
図8(a)及び
図8(c)に示されるように、弾性分割体65の他方側には、外径側及び軸方向片側に張り出す嵌合部65bが形成されている。この嵌合部65bは、弾性分割体65の他端側端面よりも一端側の位置に形成されており、すなわち弾性分割体65の他方側端部は、嵌合部65aよりも周方向に窪む凹み部68となっている。
【0034】
また、
図8(d)に示されるように、弾性分割体65の内周面及び側周面には内径側及び軸方向に膨出する膨出部65c,65dが二又状に形成されているとともに、膨出部65c,65dそれぞれに並設して突条部65e,65fが形成されている。支持手段6を組立てた状態にあっては、膨出部65c及び突条部65eが流体管1の外周面に圧接するとともに、膨出部65d及び突条部65fが鍔部72の軸方向端面に圧接し、且つ膨出部65c,65d同士が圧接するようになっている(
図5参照)。また、弾性分割体65には、その外径側に端部ハウジング61の凹部62aに嵌合可能な嵌合部65gが形成されている。
【0035】
また、
図8(e)に示されるように、弾性分割体65の他端側端部に設けられた凹み部68には、弾性分割体65の一端側端部に設けられた凸部67が嵌合可能になっているので、周方向に連結される弾性分割体65同士の密封性が向上している。また、弾性分割体65は、嵌合部65a,65bを備えており、該嵌合部65a,65bが円弧状部材64の被嵌合部66(
図6(a)参照)に嵌合されるため、弾性分割体65が円弧状部材64に対して周方向に移動することを防止できる。
【0036】
次に、パッキン10の形状について説明する。
図9に示されるように、パッキン10はゴムなどの弾性部材からなり、軸方向に延びる断面視略円形状の直線部11と、直線部11の両端部から内径方向に延びる第1片部12と、第1片部12の内径側端部から直線部11と離れる方向に延びる第2片部13と、第2片部13の端部から外径方向に延びる第3片部14と、を備えている(ここでは、軸方向他方側のみ図示している)。
【0037】
図4(a)に示されるように、パッキン10は、連結手段8側において、第3片部14が鍔部72,73よりも軸方向外方に突出配置されるとともに外径方向に突出配置されており、軸方向に連結される筒状体7,7に配置されたパッキン10,10の第3片部14,14同士が軸方向に密接しているとともに、それら第3片部14,14の外径側端部がシール部材83の内径側に密接している。また、
図5(a)に示されるように、パッキン10は、支持手段6側において、第3片部14が鍔部72よりも軸方向外方に突出配置されるとともに外径方向に突出配置されており、その軸方向端部が弾性部材63に密接している。したがって、パッキン10とシール部材83との間、及びパッキン10と弾性部材63との間が密封されている。ただし、パッキン10,10の第3片部14,14同士は必ずしも軸方向に密接していなくてもよく、第3片部14の側端部が鍔部72あるいは鍔部73の側面に密接して密封するようにしてもよい。
【0038】
次いで、補修装置2の組立手順について
図10~
図13に基づいて説明する。
図10に示されるように、先ず、流体管の損傷部位(亀裂部1a及び老朽部1b)から離間して管軸方向に挟む位置にて、分割部材71,71を周方向に連結して筒状体7,7を流体管1に取付ける。前述のように筒状体7,7は、流体管1の外径よりも大径に形成されているので、流体管1に遊嵌された状態となっている。このとき、分割部材71,71を流体管の損傷部位から離間した位置にて周方向に連結作業をすることができるため、流体の漏洩がある場合でも作業の煩雑さを回避できる。特に、流体の漏洩がある場合には、貫通孔74に螺合されたまま流体を排出可能な孔を有したキャップ75を用いて、流体を排出しながら行うと良い。
【0039】
次いで、
図11に示されるように、流体管の損傷部位(亀裂部1a及び老朽部1b)を覆うように筒状体7,7を軸方向に移動させて位置合わせを行う。このように筒状体7,7は流体管1に遊嵌された状態であるため、筒状体7,7を軸方向に自由に移動させて位置合わせすることができる。尚、亀裂部1aや老朽部1bから流体の漏洩がある場合には、前述したように筒状体7,7のキャップ75,75を緩めてもよいし、キャップ75,75を取外し、貫通孔74,74を開放することで、流体を外部に排出してもよい。また、この際、前述したように、分割部材71,71のフランジ部71a,71aの分割面(分割部材71,71の周方向端部)は、周方向で同一位置としても良いし、周方向で異なる位置にしても良い。
【0040】
次いで、
図12に示されるように、連結手段8を組立てて筒状体7,7同士を軸方向に連結し、筐体5を構成する。これにより、筒状体7,7同士が近づくように引き寄せられた状態で連結されるとともに、筒状体7,7の連結端部同士間が密封される。
【0041】
そして、
図13に示されるように、支持手段6,6を組立てて筐体5を流体管1に固定することにより、補修装置2の組立作業が完了する。尚、このように組立てられた補修装置2にあっては、補修装置2の内部空間に充填材を充填してもよい。このときには、キャップ75,75を取外し、貫通孔74,74を開放するとともに、一方の貫通孔74から補修装置2の内部空間の空気を抜きながら、他方の貫通孔74を介して補修装置2の内部空間内に充填材を充填することができ、2つの筒状体7,7を連結した場合は勿論、3つ以上の筒状体7,7,‥を連結した場合でも、一つの貫通孔74を用いて充填が可能である。
【0042】
以上説明したように、筒状体7,7の内径は、流体管1の外径よりも大きく形成され、流体管1を遊嵌可能となっており、筒状体7,7が互いに連結される鍔部72,73の外径側に配置されるシール部材83により密封されている。そして、筐体5は、流体管1の損傷部位よりも軸方向外側の位置で支持手段6,6により流体管1に支持されている。このとき、筐体5の内周面と流体管1の外周面とは周方向に亘って離間されている。これによれば、筒状体7,7の鍔部72,73同士の隙間を密封するシール部材83が流体管1の外面に接触せず、流体管1の損傷部位よりも軸方向外側の位置で支持手段6,6により筐体5が流体管1に支持されるため、筐体5の内周面と流体管1の外周面とを離間させた状態で筐体5を流体管1に外嵌させることができ、流体管1の損傷部位に負荷を掛けることなく補修装置2を設置することができる。
【0043】
また、隣接する筒状体7,7は、対向する鍔部72,73に外嵌可能な凹部82を有する連結ハウジング81により連結されている。具体的には、対向する鍔部72,73に連結ハウジング81の凹部82が周方向に亘って外嵌されるので、隣接する筒状体7,7の軸心を合わせた状態で正確に連結することができる。
【0044】
また、連結ハウジング81は、周方向に複数分割された円弧状部材84と、円弧状部材84同士を周方向に連結する締結部材としてのT頭ボルト15と、を備え、シール部材83は、連結ハウジング81の凹部82と鍔部72,73との間に配置されている。これによれば、T頭ボルト15の締結力により連結ハウジング81の凹部82と鍔部72,73との間でシール部材83が狭持されるので、隣接する筒状体7,7同士の連結作業と筒状体の連結端部に設けられる鍔部72,73間の密封作業とを一連の工程で行うことができる。
【0045】
また、筒状体7を構成する2つの分割部材71,71の対向するフランジ部71a,71aの間には、軸方向に延びるパッキン10が配置され、フランジ部71a,71aの間が密封されており、パッキン10の第3片部14は、連結手段8のシール部材83の内周面(膨出部85c)に接触している。これによれば、パッキン10の第3片部14に対してシール部材83がT頭ボルト15の締結力により押圧されるので、シール部材83とパッキン10との間の密封性が高い。
【0046】
また、筒状体7は、2つの分割部材71,71から構成されており、連結手段8は、3つの円弧状部材84及びシール分割体85から構成されており、分割部材71,71の周方向端部は、シール分割体85の周方向端部と周方向に異なる位置に配置されている(特に
図2,
図16参照)。すなわち、パッキン10とシール分割体85同士の分割端部同士が周方向に重ならないので、パッキン10とシール部材83との間の密封性が高い。また、支持手段6は、3つの円弧状部材64及び弾性分割体65から構成されており、分割部材71,71の周方向端部は、弾性分割体65の周方向端部と周方向に異なる位置に配置されている(特に
図2,
図17参照)。すなわち、パッキン10と弾性分割体65同士の分割端部同士が周方向に重ならないので、パッキン10と弾性部材63との間の密封性が高い。
【0047】
また、鍔部72,73は、その外周面から筒状体7の外周面に向けて漸次縮径するように延びる傾斜面72a,73aが形成されている。筒状体7,7の連結端部に形成される鍔部72,73の傾斜面72a,73aには、連結ハウジング81の凹部82の内径側縁部が圧接されることで、筒状体7,7同士を互いに近づけるように連結している。また、筐体5の軸方向両端に形成される鍔部72,73の傾斜面72a,73aには、支持手段6,6の凹部62b,62bの内径側縁部が圧接されることで、筒状体7,7同士を互いに離間させるようになっている。このように、筐体5を流体管1に固定した状態にあっては、各筒状体7,7の両端部で軸方向に引っ張り合う力が作用することとなるため、弾性部材63と筒状体7との密封性を高めるとともに、筒状体7,7同士を軸方向に直線的に接続することができる。例えば、筒状体7,7の連結端部同士が自重により落ちて筒状体7,7同士が略V字状に屈折した状態となることを回避できる。
【0048】
また、筒状体7は、軸方向と直交する線を基準に対称形状を成している。具体的には、筒状体7の軸方向両端部に形成される鍔部72,73は、同一形状を成しているため、筒状体7,7の向きに関係なく筐体5を構成することができる。
【0049】
また、支持手段6は、環状の端部ハウジング61と、端部ハウジング61の内径側に配置され該端部ハウジング61と流体管1との間を密封する環状の弾性部材63と、を有しており、弾性部材63は、筒状体7よりも内径側の位置で流体管1の外周面に圧接されている。これによれば、弾性部材63が端部ハウジング61と流体管1との間に介在するので、ボルトや押輪などの硬質の部材で筐体5を流体管1に支持する形態に比べて、流体管1の外周面が抉れること等を防止できる。また、筐体5の軸方向両端を密封する弾性部材63を利用して筐体5を流体管1に支持するので、筐体5を流体管1に支持するための部材を別個に用意しなくて済み、部品点数を少なくできる。また、端部ハウジング61の凹部62aに嵌合した弾性部材63が、流体管1の外周面に圧接された状態で、筒状体7の鍔部72は凹部62bに径方向に遊嵌されている。より詳しくは、凹部62bに嵌合した筒状体7の鍔部72の内周面は、全周に亘り流体管1の外周面から離間している。よって、筒状体7により流体管1に内径方向の負荷がかかることなく、流体管1の破損を回避できる。
【0050】
特に、本実施例のような水管橋1Aの場合、例えば
図1に示すように空気弁が設置されており、空気抜きの設計上、この空気弁に向けて上方に傾斜している。また例えば、各流体管1の自重により各流体管1の軸心がずれて接続されたり、管路が撓んで接続される等、非直線状に接続されることがあるが、筐体5の内周面と流体管1の外周面とが離間しているので、流体管1同士が非直線状に接続されても筐体5の内周面と接触することなく、流体管1に負荷がかかることが抑制される。また流体管1の外周面に溶接ビード等の凸状部が形成されても、筐体5の内周面と接触することなく、流体管1に負荷がかかることが抑制される。更に、筐体5は支持手段6の弾性部材63により支持されており、端部ハウジング61の内周面も流体管1の外周面から離間しているので、流体管1同士が非直線状に接続されても端部ハウジング61の内周面と直接接触することがなく衝撃を吸収できる。
【0051】
また、筒状体7は、径方向に貫通する貫通孔74と、該貫通孔74を開閉可能なキャップ75と、を備えている。これによれば、キャップ75を操作して貫通孔74から取外したり、緩めたりして、該貫通孔74を開放することで、流体管1と筐体5との間に存在する空気や液体を外部に排出することができるため、補修装置2の内部空間が高圧になることを回避できる。また、一方の貫通孔74から補修装置2の内部空間の空気を抜きながら、他方の貫通孔74を介して補修装置2の内部空間内に充填材を充填することもできる。
【0052】
尚、本実施例では、支持手段6が端部ハウジング61と弾性部材63とから構成されており、弾性部材63の弾性力により筐体5を流体管1に支持する形態を例示したが、これに限られず、例えば、弾性部材63とは別にボルトを設け、該ボルトを流体管1の外周面に食い込ませることで筐体5を流体管1に支持するようにしてもよい。
【0053】
また、本実施例では、筒状体7,7同士が連結手段8により連結される形態を例示したが、軸方向に延びるボルト・ナットを用いて筒状体7,7同士を軸方向に連結してもよい。
【0054】
また、本実施例では、筒状体7が軸方向に対称形状を成す形態を例示したが、筒状体が軸方向に非対称形状となっていてもよい。例えば、筒状体の両端に形成される鍔部が異なる形状に形成されていてもよいし、筒状体の軸方向一方にのみ鍔部が形成され、他方には鍔部が形成されない形態等であってもよい。また例えば、鍔部が周方向や軸方向に断続的に外径側に突設されるようにしてもよい。
【0055】
次に、流体管1の周囲に障害物18があり、補修装置2を設置するための作業スペースが限られている場合における補修装置2の設置手順について
図14~
図17に基づいて説明する。
【0056】
図14に示されるように、水管橋1Aは、道路や鉄道、橋等の構造物の延長方向に沿って配設されることが多く、例えば、水管橋1Aの側方向一方及び上方の近傍領域(以下、閉塞領域Sと称する)を断面視逆L字状に覆うコンクリート等の障害物18が配置されることがある。このような場合には、水管橋1Aの近傍に足場17を組んで、水管橋1Aの側方向他方側の開かれた領域(以下、開放領域Tと称する)から補修装置2を設置する作業を行う。
【0057】
図15(a)に示されるように、先ず、水管橋1Aを構成する流体管1に対して、側方向他方側の開放領域T側から一方の分割部材71を外嵌させる。そして、該分割部材71を流体管1の外周面に沿って回動させ、閉塞領域S側に移動させる。次に
図15(b)に示されるように、流体管1に対して開放領域T側から他方の分割部材71を外嵌させる。このとき、流体管1の開放領域T側に配置される分割部材71,71のフランジ部71a,71aに対し、流体管1の開放領域T側からT頭ボルト・ナット9を取付けて仮組みし、その状態で分割部材71,71を回動させ、他方のフランジ部71a,71aを閉塞領域S側に配置し、流体管1の開放領域T側からT頭ボルト・ナット9を取付けて仮組みする。これにより仮組みされた分割部材71,71が流体管1から落下することが防止される。
【0058】
その後、
図15(c)に示されるように、分割部材71,71を回動させながら径方向両側のT頭ボルト・ナット9を流体管1の開放領域T側から本締めして筒状体7を構成する。このように、筒状体7を回転しながら本締めすることで、閉塞領域S側に配置されるT頭ボルト・ナット9の本締めを可能とする。尚、上記と同様の工程によりもう1つの筒状体7も構成する。そして、
図15(d)に示されるように、貫通孔74が上方に配置されるように筒状体7を回動させる。筒状体7は、その内径が流体管1の外径よりも大きく形成されているので、自由に回動させることができる。また、この状態にあっては、筒状体7の上部が流体管1の上部に載置されている。また例えば、T頭ボルト・ナット9の挿入方向を逆転するなどして、閉塞領域S側に配置されるT頭ボルト・ナット9の本締めを行ってから、分割部材71,71を回動させて、開放領域T側に配置されるT頭ボルト・ナット9を本締めするようにしてもよい。
【0059】
続いて、
図16(a)に示されるように、筒状体7,7の連結端部同士を軸方向に近接させた状態で、流体管1の開放領域T側から円弧状部材84を筒状体7,7の鍔部72,73に外嵌させ、該鍔部72,73に沿って流体管1の閉塞領域S側に向けて周方向に移動させるとともに、別の円弧状部材84を流体管1の開放領域T側から鍔部72,73に外嵌させる。そして、
図16(b)に示されるように、円弧状部材84,84の接続フランジ84a,84a同士を流体管1の開放領域T側からT頭ボルト15により本締めして連結する。このとき、円弧状部材84にはシール分割体85が嵌合されており、組立が容易である。また、閉塞領域S側に配置されるT頭ボルト15がすでに本締めされていることになる。
【0060】
次に、
図16(c)に示されるように、連結した円弧状部材84,84を流体管1の閉塞領域S側に向けて周方向に移動させるとともに、別の円弧状部材84を流体管1の開放領域T側から鍔部72,73に外嵌させる。そして、
図16(d)に示されるように、円弧状部材84の接続フランジ84a,84aと、連結した円弧状部材84,84の両端の接続フランジ84a,84aと、をT頭ボルト15により連結し、連結手段8を構成することにより筒状体7,7が軸方向に連結されて筐体5が構成される。尚、このとき、各円弧状部材84同士の連結端部(シール分割体85同士の連結端部)は、分割部材71,71同士の連結端部(パッキン10の位置)と周方向にずれているので密封性が高くなっている。また例えば、円弧状部材84,84,84をT頭ボルト15により仮組し、連結手段8を構成した後、T頭ボルト15を本締めしても良い。
【0061】
続いて、
図17(a)に示されるように、筐体5の両端に形成される鍔部72,73に対して円弧状部材64を流体管1の開放領域T側から外嵌させ、該鍔部72,73に沿って流体管1の閉塞領域S側に向けて周方向に移動させるとともに、別の円弧状部材64を流体管1の開放領域T側から鍔部72,73に外嵌させる。そして、
図17(b)に示されるように、円弧状部材64,64の接続フランジ64a,64a同士を流体管1の開放領域T側からT頭ボルト16により本締めして連結する。このとき、円弧状部材64には弾性分割体65が嵌合されており、組立が容易である。また、閉塞領域S側に配置されるT頭ボルト16がすでに本締めされていることになる。
【0062】
次に、
図17(c)に示されるように、連結した円弧状部材64,64を流体管1の閉塞領域S側に向けて周方向に移動させるとともに、別の円弧状部材64を流体管1の開放領域T側から鍔部72,73に外嵌させる。そして、円弧状部材64の接続フランジ64a,64aと、連結した円弧状部材64,64の両端の接続フランジ64a,64aと、をT頭ボルト16により連結し、支持手段6を構成することにより、流体管1に補修装置2が外嵌するように設置される。尚、このとき、各円弧状部材64同士の連結端部(弾性分割体65同士の連結端部)は、分割部材71,71同士の連結端部(パッキン10の位置)と周方向にずれているので密封性が高くなっている。また例えば、円弧状部材64,64,64をT頭ボルト16により仮組し、支持手段6を構成した後、T頭ボルト16を本締めしても良い。
【0063】
このように、筒状体7の分割部材71,71、連結手段8の円弧状部材84,84、支持手段6の円弧状部材64,64を周方向に回動させながら漸次連結して組立てるので、作業スペースが限られている場合でも流体管1に補修装置2を設置することができる。この方法は、作業スペースが限られていない場合でも、例えば流体の漏洩が多い場合などに、作業者が流体の飛び出しを円弧状部材84,84や円弧状部材64,64で防ぎながら用いることもできる。
【0064】
次いで、本発明の変形例1について
図18を用いて説明する。尚、ここでは、筐体5の軸方向一方側に配置される支持手段600について説明する。
【0065】
図18に示されるように、本変形例1の支持手段600は、端部ハウジング610と、弾性部材630と、を有している。弾性部材630は、端部ハウジング610の凹部620aに嵌合される嵌合部650gから内径側且つ筐体5側(図示略)に傾斜して延びており、端部ハウジング610の軸方向一方側の壁部610aとの間に軸方向に隙間が形成されている。支持手段600を筐体5の軸方向一方側の端部に取付けた際には、弾性部材630の内径側先端650cが筐体5と流体管1とに接触するようになっている。また、弾性部材630は、内径側先端650cが筐体5と流体管1とに接触すると、該弾性部材630と壁部610aとの間の隙間に弾性変形して密封性を向上させることができる。このように、支持手段の弾性部材の形状は自由に変更することができる。
【0066】
次いで、本発明の変形例2について
図19を用いて説明する。尚、ここでは、連結ハウジング810を例示して説明するが、支持手段の端部ハウジングにも適用することができる。
【0067】
図19に示されるように、本変形例2の連結ハウジング810は、周方向に略均等に分割された3つの円弧状部材840a,840b,840cにより構成されている。円弧状部材840a,840bの端部同士には軸方向に貫通する孔部840dがそれぞれ対応する位置に形成されており、各孔部840dにはボルト・ナット30の軸部が挿通されている。この円弧状部材840a,840bはボルト・ナット30の軸部周りに回動可能に接続されている。また、円弧状部材840cは、円弧状部材840a,840bの両端に接続される。このようにすることで、円弧状部材840a,840b,840cを筒状体7,7の連結端部の周方向に連結して連結ハウジング810を組立てる作業が簡便になる。
【0068】
次いで、本発明の変形例3について
図20を用いて説明する。尚、ここでは、連結手段を例示して説明するが、支持手段にも適用することができる。
【0069】
図20(a)に示されるように、本変形例3の連結ハウジング811は、3つの円弧状部材841a,841b,841cにより構成されている。円弧状部材841aは、連結ハウジング811を半分に割った円弧状を成しており、円弧状部材841b,841cは、互いに略同形状であって、それぞれ中心角が略90度の円弧状を成している。すなわち、円弧状部材841aと円弧状部材841b,841cとは周方向の長さが異なり、略2倍の周長を有する。
【0070】
また、
図20(b)に示されるように、本変形例3のシール部材831は、3つのシール分割体851a,851b,851cにより構成されており、それぞれ上記した円弧状部材841a,841b,841cに嵌合されるものである。シール分割体851aは、シール部材83を半分に割った円弧状を成しており、円弧状部材841aと略同等の長さを有している。また、シール分割体851b,851cは、互いに略同形状であって、それぞれ中心角が略90度の円弧状を成しており、円弧状部材841b,841cと略同等の長さを有している。すなわち、シール分割体851aとシール分割体851b,851cとは周方向の長さが異なり、略2倍の周長を有する。このように、連結ハウジングを構成する円弧状部材及びシール部材を構成するシール分割体の長さは自由に変更することができる。
【0071】
次いで、本発明の変形例4について
図21を用いて説明する。尚、ここでは、連結手段を例示して説明するが、支持手段にも適用することができる。
【0072】
図21(a)に示されるように、本変形例4の連結ハウジング812は、周方向に略均等に分割された互いに略同形状の3つの円弧状部材842a,842b,842cにより構成されている。また、
図21(b)に示されるように、本変形例4のシール部材832は、2つのシール分割体852a,852bから構成されている。シール分割体852aの周方向長さは、シール部材832全体の略2/3となっており、シール分割体852bの周方向長さは、シール部材832全体の略1/3となっている。シール分割体852aは、2つの円弧状部材842a,842bに嵌合され、またシール分割体852bは、残りの円弧状部材842cに嵌合される。このように、連結ハウジングとシール部材との分割数が異なっていてもよい。尚、連結ハウジングとシール部材との分割数が同等であっても、連結ハウジングを構成する円弧状部材(分割体)の周方向の長さと、シール部材を構成するシール分割体の周方向の長さとが異なっていてもよい。
【0073】
次いで、本発明の変形例5について
図22を用いて説明する。本変形例5における筒状体700の鍔部721には、その軸方向の端面から対向する筒状体700’側に環状に突出する凸部701が周方向に亘り形成されている。また、筒状体700’の鍔部731には、凸部701が遊嵌される環状の凹部702が周方向に亘り形成されており、凹部702には環状のシール部材833が嵌合されている。筒状体700,700’の鍔部721,731を連結ハウジング813により連結すると、凸部701が凹部702に遊嵌されるとともに、凸部701と凹部702との間でシール部材833が狭圧されている。このように、シール部材833は、鍔部721,731の端面間に配設されていてもよい。また、例えば、凸部701、凹部702を無くした実施例の筒状体7,7の端面間に正面視で環状且つ側面視で板状のパッキンを介入させて密封するようにしてもよい。この変形例においては、シール部材833や上記したパッキンが流体管に影響を与えない範囲で接触するように配置しても構わない。
【0074】
次いで、本発明の変形例6について
図23を用いて説明する。本変形例6における筒状体710,710’は軸方向に離間した状態で連結手段800により連結されている。連結手段800のシール部材834は、実施例のシール部材83よりも体積が大きくなっており、筒状体710,710’の連結端部の端面間を密封できるようになっている。
【0075】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0076】
例えば、前記実施例では、同形状の筒状体7,7を軸方向に複数連結して筐体5を構成しているが、これらの筒状体は必ずしも同形状であるものに限られず、例えば軸方向長さが互いに異なっていてもよい。